JP4061116B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、導電性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
導電性を有する樹脂組成物は、産業界において広く普及し、さまざまな用途、とりわけ導電性を要求される用途に利用されている。このような導電性樹脂組成物としては、例えば、種々の樹脂にカーボンブラックなどの導電性フィラーを高充填した組成物があり、経済性に優れることもあって、産業界を中心として広く利用されている。また、界面活性剤や親水性セグメントを構造中に有する帯電防止型導電性樹脂をポリマーアロイ化してなる帯電防止型導電性樹脂組成物も広く普及しており、さまざまな用途に応用されている。
【0003】
近年、導電性の高分子材料は、ICチップの包装関係に普及し、材料のバリエーションも、汎用プラスチックスからエンジニアリングプラスチックスに至るまで多様化してきている。また、精密機器やこれらをとりまく周辺機器の制電対策がますます重要になっている。用いられる導電性充填材も、カーボンブラック以外に、炭素繊維、黒鉛、金属コートフィラー、金属繊維等が、目的及び機能に応じて広く使い分けられている。しかしながら、導電性充填材は、高分子の機械特性を低下させたり、成形性を困難にする等の問題が内在している。
【0004】
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリアミド樹脂は、優れた耐摩耗性、機械強度を有し、広く応用されており、かつ導電性充填材を含む導電性樹脂も広く普及している。近年、精密機器の普及とともに、より高い制電機能が要求されており、従来の帯電防止水準では充分でなく、各種用途によって様々な導電性が要求されるようになってきている。上記の各樹脂にカーボンブラックに代表される導電性充填材を複合化したものは著しく高い導電性を有し、このような著しく高い導電性が要求される用途には有効である。しかし、余り高くない中程度の導電性を樹脂に付与しようとすると、カーボンブラック等の特性から均一かつ安定な導電性を得ることは困難であった。
【0005】
一方、導電性物質として、いわゆる親水性活性剤を用いたものが提案されている。しかし、末端にヒドロキシル基を有するため、温度・湿度の関与によって、ブリードアウトが生じ易く、表面汚染や、効果の持続性に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電気伝導物質のブリードアウトがなく、所定の抵抗領域、例えば、カーボンブラックで安定した導電性を発現できない抵抗領域で均一かつ安定した体積抵抗率を有するばかりでなく、良好な柔軟性をも併せ持ち、加えて、成形性にも優れる、導電性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、既に、特願平12−204540号、特願平12−204541号及び特願平13−29868号を出願し、ポリウレタン重合体、ポリエステル重合体又はポリアミド重合体と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能なアニオンとによって構成される金属塩、及び下記一般式(1)で表される化合物
【化1】
(式中、Xは炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキレン基、芳香族を含む2価の炭化水素基、又は2価の脂環式炭化水素基を示し、Zは夫々独立して、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは夫々独立して、炭素数1〜9の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、nは夫々独立して、1〜7の整数である)
を含む組成物であって、電気伝導物質のブリードアウトが少なく、体積固有抵抗値が小さく、かつ成形性が良好である、制電性を有する樹脂組成物を提案した。
【0008】
本発明者は更に、上記各出願に係る発明を改良すべく、鋭意検討を続けた。所定量の(B)を、上記各出願に係る樹脂組成物に配合すれば、更に硬度を下げることができる。更に、上記樹脂組成物に比較して粘度の剪断速度依存性がより大きくなってより一層成形性に優れ、硬さと物性バランスにより優れる樹脂組成物が得られることを見出した。加えて、このように成形性を更に改善することができたことから、成形品により均一な体積抵抗率を付与し得ることをも見出した。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)(A)ポリエステル重合体又はその共重合体、ポリウレタン重合体又はその共重合体、ポリアミド重合体又はその共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体より成る群から選ばれる一つ以上の熱可塑性樹脂95〜5重量部、及び
(B)官能基を有するゴム状弾性体又は官能基を有する化合物を含むゴム状弾性体組成物、ここで該官能基はエステル基、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、及びオキサゾリル基より成る群から選ばれる一つ以上である、ゴム状弾性体又はその組成物5〜95重量部
の合計100重量部、
(f)アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能なアニオンとによって構成される金属塩を成分(A)100重量部に対して0.0001〜10重量部、並びに
(e)上記式(1)で表される、金属塩(f)を溶解する有機化合物を成分(A)100重量部に対して0.1〜10重量部
を含む熱可塑性樹脂組成物である。
【0010】
特開平10−310617号公報(特許第3101230号公報)には、(a)ゴム状弾性体、(b)非芳香族系のゴム用軟化剤、(c)パーオキシド架橋型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴム、(d)パーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴム、(e)液状ポリブタジエン、(f)不飽和グリシジル化合物又はその誘導体、(g)不飽和カルボン酸又はその誘導体、及び(j)有機パーオキシド、更に(h)ポリエステル重合体又は共重合体、ポリウレタン重合体又は共重合体、ポリアミド重合体又は共重合体、及びポリメチルペンテン重合体又は共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。従来、該熱可塑性エラストマー組成物に導電性を付与するには、カーボンブラック等の導電性充填材を使用していた。しかし、該導電性充填剤では、著しく高い導電性、例えば、SRIS 2301に準拠した体積抵抗率で101〜102Ω・cm程度は比較的容易に得られるものの、中程度の導電性、例えば、105〜1012Ω・cmは、成形条件や成形品形状の影響を受け易く、かかる導電性を均一かつ安定して得ることは容易でなかった。従って、著しく高い導電性が要求される用途には有用であったが、中程度の導電性が要求される用途に使用することは困難であった。これに対して、本発明の樹脂組成物では、このような中程度の導電性を均一かつ安定して得ることが可能であることから、中程度の導電性が要求される用途に使用できる。更には、上記の従来の組成物と比較してより成形性に優れることから様々な形状に容易に成形可能であり、かつより良好な柔軟性をも兼ね備える。これに加えて、上記の従来の組成物が黒色であって色彩上用途が制限されるのに対し、本発明の樹脂組成物は透明乃至白色であることから色彩上の用途の制限がなく、幅広い用途に使用可能であるという利点をも有する。成分(f)は、例えば電池の電解質として使用されているものであり、熱可塑性エラストマー組成物に導電性を付与し得ること、まして上記のように均一かつ安定な導電性を付与し得ることは全く知られていない。
【0011】
好ましい態様として、
(2)(B)が、官能基含有ゴム状弾性体又はその組成物である上記(1)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(3)上記官能基が、エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、及びオキサゾリル基より成る群から選ばれる一つ以上の官能基である上記(2)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4)(B)が、
(a)ゴム状弾性体、及び
(h)エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、及びオキサゾリル基より成る群から選ばれる一つ以上の官能基を有する化合物
を含んで成る上記(2)又は(3)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(5)(h)が、
(h−1)液状ポリブタジエン、
(h−2)不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体、
(h−3)不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体、並びに
(h−4)水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系不飽和化合物
(h−5)エステル系飽和化合物
より成る群から選ばれる一つ以上の物質である上記(4)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(6)(h−1)が、末端水酸基を持つ液状ポリブタジエンである上記(5)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(7)(h−5)が、無水フタル酸エステル、分岐脂肪族二価アルコールエステル、及び高分子アクリル系可塑剤より成る群から選ばれる一つ以上の物質である上記(5)又は(6)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(8)上記の分岐脂肪族二価アルコールエステルが、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートである上記(7)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(9)(B)が、
(a)ゴム状弾性体 100重量部に対して、
(h−1)液状ポリブタジエン 1〜80重量部、
(h−2)不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体 1〜20重量部、
(h−3)不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体 1〜20重量部、
(h−4)水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系不飽和化合物 0.1〜150重量部、並びに
(h−5)エステル系飽和化合物 0.1〜150重量部
より成る群から選ばれる一つ以上の物質を含んで成る上記(4)〜(8)いずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(10)(B)が、
(a)ゴム状弾性体 100重量部に対して、
(k)有機パーオキシド 0.01〜3重量部
を更に含んで成る上記(1)〜(9)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(11)(B)が、
(a)ゴム状弾性体 100重量部に対して、
(x)非晶質ポリオレフィン 1〜150重量部
を更に含んで成る上記(1)〜(10)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(12)(B)が、
(a)ゴム状弾性体 100重量部に対して、
(c)パーオキシド分解型オレフィン系樹脂及び/又はそれを含む共重合体 1〜200重量部
を更に含んで成る上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(13)(B)が、
(a)ゴム状弾性体 100重量部に対して、
(b)非芳香族系のゴム用軟化剤 10〜200重量部
を更に含んで成る上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(14)(B)が、
(a)ゴム状弾性体 100重量部に対して、
(g)エステル系架橋助剤 3〜50重量部
を更に含んで成る上記(1)〜(13)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(15)(a)が、
(a−1)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとから成るブロック共重合体、及び/若しくは、これを水素添加して得られるブロック共重合体、並びに/又は
(a−2)エチレン系共重合体
である上記(1)〜(14)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(16)(a―1)が、芳香族ビニル化合物含有量が50重量%以下であり、数平均分子量(Mn)が5,000〜1,500,000であり、かつ多分散度(Mw/Mn)が10以下であるブロック共重合体、及び/又はその水素添加物である上記(15)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(17)(a―1)が、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水添物及びスチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体より成る群から選ばれる一つ以上の物質である上記(15)又は(16)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(18)(a−2)が、エチレン共重合体ゴム、エチレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム、及びエチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムより成る群から選ばれる一つ以上のゴム状弾性体である上記(15)〜(17)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(19)(a−2)が、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム、及びエチレン・ブテン・非共役ジエン共重合体ゴムより成る群から選ばれる一つ以上のゴム状弾性体である上記(15)〜(18)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(20)(A)が、極性基を持った熱可塑性樹脂である上記(1)〜(19)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(21)(A)が、ポリエステル重合体又はその共重合体、ポリウレタン重合体又はその共重合体、ポリアミド重合体又はその共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る群から選ばれる一つ以上の物質である上記(1)〜(20)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(22)(f)のカチオンが、Li+、Na+ 、K+、Mg2+及びCa2+より成る群から選ばれ、かつ(f)のアニオンが、Cl-、Br-、F-、I-、NO3 -、SCN-、ClO4 -、CF3SO3 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-及び(CF3SO2)3C-より成る群から選ばれる上記(1)〜(21)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(23)(f)のカチオンが、Li+又はNa+であり、かつ(f)のアニオンが、ClO4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-及び(CF3SO2)3C-より成る群から選ばれる上記(1)〜(21)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(24)(f)が、過塩素酸リチウムLiClO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、過塩素酸マグネシウムMg(ClO4)2、過塩素酸カリウムKClO4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムK・N(CF3SO2)2、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO2)2、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO2)3より成る群から選ばれる一つ以上の物質である上記(1)〜(21)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(25)(f)が、過塩素酸リチウムLiClO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO2)2、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO2)3より成る群から選ばれる1つ又はそれ以上である上記(1)〜(21)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(26)(f)が、過塩素酸リチウムLiClO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3より成る群から選ばれる一つ以上の物質である上記(1)〜(21)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(27)更に、金属塩(f)に対して溶解性を有する有機化合物(e)を、成分(A)100重量部に対して0.1〜10重量部含む請求項(1)〜(26)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(28)(e)が、−{O(ZO)n}−基(Zは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、かつnは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基及び/又はCH2基である上記(27)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(29)(e)が、下記一般式(1)
【化2】
(式中、Xは炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキレン基、芳香族を含む2価の炭化水素基、又は2価の脂環式炭化水素基を示し、Zは夫々独立して、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは夫々独立して、炭素数1〜9の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、nは夫々独立して、1〜7の整数である)
で表される化合物である上記(27)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(30)(e)/(f)の重量比が1/1〜1,000/1である上記(27)〜(29)のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物
を挙げることができる。
【0012】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は好ましくは、上記の各成分をドライブレンドした後、溶融混練して得られる組成物、あるいは、上記の各成分をドライブレンドして得られる直接成形可能な組成物が挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム状弾性体又はその組成物(B)は、(a)ゴム状弾性体を含み、好ましくは、更に(b)非芳香族系のゴム用軟化剤、(g)エステル系架橋助剤、(c)パーオキシド分解型オレフィン系樹脂及び/又はそれを含む共重合体ゴム、(x)非晶質ポリオレフィン、並びに(k)有機パーオキシドより成る群から選ばれる一つ以上の物質を含む。(B)は官能基を有することが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂(A)とゴム状弾性体又はその組成物(B)との相溶性を改善することができる。該官能基としては、好ましくは、エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、及びオキサゾリル基より成る群から選ばれる一つ以上の官能基が挙げられる。官能基含有ゴム状弾性体又はその組成物は、上記のゴム状弾性体又はその組成物(B)に、更に、(h)エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、及びオキサゾリル基より成る群から選ばれる一つ以上の官能基を有する化合物、好ましくは上記官能基を有する、(h−1)液状ポリブタジエン、(h−2)不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体、(h−3)不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体、(h−4)水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系不飽和化合物、並びに(h−5)エステル系飽和化合物より成る群から選ばれる一つ以上の物質を含めることにより得ることができる。以下、これらの成分について説明する。
【0014】
成分(a):ゴム状弾性体
ゴム状弾性体としては、天然ゴム、ジエン系合成ゴム、非ジエン系合成ゴム等のゴム状弾性を有する全ての物質を使用し得る。例えば、天然ゴム(NR);ジエン系ゴム、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(H−SBR)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SIBS)、水素添加スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、ABS等;非ジエン系ゴム、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム(EBR)、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム(EPDM);及びメタロセン触媒を用い合成したエチレン−α−オレフィン共重合体、アクリル系ゴム(ACM、ANM)、フッ素系ゴム等が挙げられる。上記のうち、ブロック共重合体(a−1)、並びにエチレン共重合体及び/又はエチレン−αオレフィン共重合体(a−2)が好ましく使用される。以下、(a−1)及び(a−2)について更に詳細に説明する。
【0015】
(a−1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、及び/又は、これらの水素添加されたもの等を挙げることができる。
【0016】
上記(水添)ブロック共重合体(ここで(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体、及び/又は、水添ブロック共重合体を意味する。)は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
【0017】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは好ましくは、芳香族ビニル化合物のみから成るか、又は芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と共役ジエン化合物を主成分とする化合物との共重合体ブロック、またはその水添物である。
【0018】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは好ましくは、共役ジエン化合物のみから成るか、又は共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物を主成分とする化合物との共重合体ブロック、またはその水添物である。
【0019】
これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの夫々において、分子鎖中のビニル化合物又は共役ジエン化合物の分布は、ランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せであってもよい。
【0020】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが2個以上ある場合には、夫々が同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0021】
(水添)ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上が選択され、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0022】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおけるミクロ結合は任意に選ぶことができる。また、水素添加率は任意であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。用途により水素添加したブロック共重合体を使用する場合には、好ましくは上記水添物を用途に合わせて適宜使用することが出来る。
【0023】
ブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ結合が20〜50%、特に25〜45%が好ましい。また、1,2−結合を選択的に水素添加したものであっても良い。
【0024】
また、イソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物の70〜100重量%が1,4−ミクロ結合を有し、かつ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0025】
上記した構造を有する本発明に供する(水添)ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000であり、より好ましくは10,000〜550,000、更に好ましく100,000〜400,000である。分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)]は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状又はこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0026】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されている。代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号明細書に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得ることができる。上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
【0027】
上記(水添)ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
【0028】
好ましくはスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体又はスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体であり、更に好ましくはスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体である。
【0029】
あるいは、(a−2)エチレン系共重合体、好ましくはエチレン共重合体ゴム、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の物質を挙げることができる。
【0030】
成分(a−2)としては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)、並びにエチレン、プロピレン及び非共役ジエンのターポリマー(EPDM)が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0031】
エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)とはエチレンとプロピレンのゴム状共重合体であり、エチレン成分含量が、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは60〜75重量%、更に好ましくは65〜75重量%である。エチレン成分含量が上記下限未満では、得られる樹脂組成物の耐摩耗性が不足し、粘着性も生ずる。エチレン成分含量が上記上限を超えては、得られる樹脂組成物の柔軟性が低下する。
【0032】
エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)とはエチレンとブテンのゴム状共重合体であり、エチレン成分含量が好ましくは40〜85重量%、より好ましくは60〜85重量%、更に好ましくは60〜80重量%である。エチレン成分含量が上記下限未満では、得られる樹脂組成物の耐摩耗性が不足し、上記上限を超えては柔軟性が低下する。
【0033】
また、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)に、エチレン、プロピレン以外の第三成分として不飽和基を有する繰返し単位を重合体に持たせたエチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)を使用することもできる。ここで、非共役ジエンとしては好ましくは、5-エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−ビニルノルボルネン(VNB)、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン及びジシクロペンタジエン(DCPD)が挙げられる。
【0034】
これらの共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、好ましくは5〜120、より好ましくは10〜100である。ムーニー粘度が5未満の場合は、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が劣ることがある。また120を越えたものを用いると成形加工性が悪くなることがある。
【0035】
成分(b):非芳香族系のゴム用軟化剤
非芳香族系のゴム用軟化剤としては、非芳香族系の鉱物油又は液状または低分子量の合成軟化剤が挙げられる。一般にゴム用鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖が組合った混合物であって、一般に、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%を占めるものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上を占めるものを芳香族系と呼び区別されている。本発明の成分(b)として用いられる非芳香族系のゴム用鉱物油軟化剤は、上記のパラフィン系及びナフテン系が好ましい。芳香族系の軟化剤は、成分(a)との関係で分散性が悪く好ましくない。該非芳香族系のゴム用鉱物油軟化剤は、パラフィン系の鉱物油軟化剤が特に好ましく、パラフィン系のなかでも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
【0036】
該非芳香族系のゴム用軟化剤は、37.8℃における動的粘度が20〜50,000cSt、好ましくは20〜500cStであり、100℃における動的粘度が2〜1,500cSt、好ましくは2〜50cStである。また、該非芳香族系のゴム用軟化剤の流動点は−10〜−25℃であり、引火点(COC)は170〜350℃であり、重量平均分子量は100〜2,000であることが推奨される。
【0037】
非芳香族系のゴム用軟化剤(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限値が好ましくは200重量部、より好ましくは150重量部である。下限値は好ましくは10重量部、より好ましくは20重量部である。下限値未満では添加の効果が認められず、柔軟性が得られない。上限値を超えては、軟化剤のブリードアウトを生じ易く、最終製品に粘着性を与えるおそれがあり、機械的性質も低下する。
【0038】
成分(c):パーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体
パーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴムは、得られる組成物を熱可塑性とし、あるいはゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。該成分は、有機パーオキシドの存在下に加熱処理することによって熱分解して分子量を減じ、溶融時の流動性が増大するオレフィン系の重合体又は共重合体であり、例えば、アイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα‐オレフィン例えばエチレン、1‐ブテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン等との共重合体を挙げることができる。
【0039】
該パーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴムは、ホモ部分のDSC測定による結晶化度が好ましくは、Tmが150℃〜167℃、△Hmが25mJ/mg〜83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はDSC測定のTm、△Hmから推定することができる。上記の範囲外では、得られる樹脂組成物の100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0040】
該パーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴムのMFR(ASTM D‐1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜200g/10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分である。上記下限値未満では、得られる樹脂組成物の成形性が低下し、上記上限値を超えては、得られる樹脂組成物のゴム弾性が悪化する。
【0041】
該パーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴム(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限値は200重量部、好ましくは100重量部であり、下限値は好ましくは1重量部である。上限値を超えると、得られる樹脂組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。また、下限値未満では、本発明の効果が得られない。
【0042】
成分(g):エステル系架橋助剤
本発明のエラストマー組成物においては、必要に応じて、エステル系架橋助剤成分(g)を用いることができる。成分(g)は、多官能性の不飽和結合を持つ化合物であり、本発明のエラストマー組成物の上記の(k)有機パーオキシドによる架橋処理に際して配合することができ、これにより均一、かつ効率的な架橋反応を行うことができる。また、多量に配合することにより、非芳香族系ゴム用軟化剤、特に、低分子量パラフィン系オイル等を適度に架橋し、エラストマー組成物からのブリードアウトを抑制することができる。
【0043】
成分(g)としては、例えば、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートのような多官能性メタクリレート化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートのような多官能性アクリレート化合物、ビニルブチラート又はビニルステアレートのような多官能性ビニル化合物を挙げることができる。これらは単独あるいは2種類以上を組み合わせても良い。これらの架橋助剤のうち、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
【0044】
該エステル系架橋助剤(g)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限値は50重量部、好ましくは20重量部であり、下限値を設けるならば、好ましくは3重量部である。上限値を超えると、得られる樹脂組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。
【0045】
成分(x)非晶質ポリオレフィン
本発明のエラストマー組成物においては、必要に応じて、非晶質ポリオレフィン成分(x)を配合することができる。本発明で用いる非晶質ポリオレフィン成分(x)は、190℃における溶融粘度が250〜50,000mPa・s、好ましくは10,000〜25,000mPa・sのプロピレンを主成分とする非晶質共重合体からなり、X線回析により測定した結晶化度が50%以下、好ましくは20%以下である比較的低分子量の重合体である。また、該非晶質ポリオレフィンのガラス転移温度は−33〜−23℃が好ましく、軟化点は120〜135℃が好ましい。
【0046】
非晶質ポリオレフィンの具体例としては、非晶質単独重合体のアタクチックポリプロピレン、プロピレンを主体とする他のオレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)との非晶質共重合体等を挙げることができる。これらの非晶質ポリオレフィンのうち、アタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン非晶質共重合体、プロピレン/1−ブテン非晶質共重合体が好ましい。前記非晶質ポリオレフィンは、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、ブロック共重合体の場合、プロピレン単位の結合様式はアタクチック構造である必要がある。また、非晶質共重合体がプロピレンとエチレンとの共重合体である場合、該プロピレン単位の含有量は、50モル%以上が好ましく、特に60〜100モル%が好ましい。
【0047】
該非晶質ポリオレフィン成分(x)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限値は150重量部、好ましくは80重量部であり、配合する場合は、下限値は好ましくは1重量部、より好ましくは3重量部である。上限値を超えると、得られるエラストマー組成物から軟化剤がブリードアウトしやすく剥離や変形及びフローマークが成形品に生じやすくなる。また得られるエラストマー組成物と極性基を有する樹脂とのアロイの耐油性や耐熱性が低下する。
【0048】
成分(h)エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、及びオキサゾリル基より成る群から選ばれる一つ以上の官能基を有する化合物
成分(h−1)液状ポリブタジエン
液状ポリブタジエンは、主鎖の微細構造がビニル1,2‐結合型、トランス1,4‐結合型、シス1,4‐結合型からなる、室温において液状の重合体であり、好ましくは透明な液状の重合体である。ここで、ビニル1,2‐結合は30重量%以下であることが好ましく、ビニル1,2‐結合が30重量%を超えては、得られる組成物の低温特性が低下するため好ましくない。
【0049】
該液状ポリブタジエンの数平均分子量は、上限値が好ましくは5,000、更に好ましくは4,000であり、下限値が好ましくは1,000、更に好ましくは2,000である。下限値未満では、得られる組成物の耐熱変形性が低下し、上限値を超えては、得られる組成物の相溶性が低下する。
【0050】
該液状ポリブタジエンは、例えば、エステル基、エポキシ基、イソシアナト基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基等から選ばれる1種以上の官能基を有していることが好ましい。その中でも、末端水酸基を有する共重合性化合物がさらに好ましく、末端水酸基と共重合反応性不飽和二重結合とを有するものが特に好ましい。市販品としては、例えば、出光石油化学株式会社製 R‐45HT(商標)が挙げられる。末端水酸基を持つ液状ポリブタジエンは、(a)ゴム状弾性体に官能基として水酸基を付与するためにより適しているが、水酸基を分子末端以外に持っている液状ポリブタジエンであっても(a)ゴム状弾性体に官能基として水酸基を付与することができる。
【0051】
成分(h−1)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限値が好ましくは80重量部、より好ましくは50重量部であり、下限値を設けるならば、好ましくは1重量部、より好ましくは3重量部である。上限値を超えると液状ポリブタジエン(h−1)のブリードアウトが発生する。
【0052】
成分(h−2)不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体
不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体は変性剤として使用されるものであり、好ましくは分子中にオレフィンと共重合し得る不飽和基とグリシジル基とを有するグリシジル化合物が用いられ、特に好ましくはグリシジルメタクリレート(GMA)が使用される。該変性剤により、好ましくは成分(a−1)における水添ブロック共重合体のソフト成分、成分(a−2)のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム又はエチレン・ブテン・非共役ジエン共重合体ゴム、及び成分(c)のパーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴム等が変性される。
【0053】
成分(h−2)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限が好ましくは20重量部、より好ましくは10重量部であり、下限を設けるならば、好ましくは1重量部である。上限を超えては、組成物の耐熱変形性、機械特性が悪化するばかりか、成分(h−2)の相溶性を改良する効果が認められなくなる。
【0054】
成分(h−3):不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体
不飽和カルボン酸又はその誘導体は変性剤として使用されるものであり、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ジカルボン酸又はその誘導体例えば酸、ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等が挙げられる。特に好ましくは無水マレイン酸(MAH)が用いられる。該変性剤により、好ましくは成分(a−1)における水添ブロック共重合体のソフト成分、成分(a−2)のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム又はエチレン・ブテン・非共役ジエン共重合体ゴム、及び成分(d)のパーオキシド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体ゴム等が変性されると考えられる。
【0055】
成分(h−3)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限が好ましくは20重量部、より好ましくは10重量部であり、下限が好ましくは1重量部である。上限を超えては、組成物に激しい黄変が生じ、また、耐熱変形性、機械特性が悪化するばかりでなく、成分(h−3)の相溶性を改良する効果が認められなくなる。
【0056】
(h−4):水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系不飽和化合物
本発明で用いる水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系不飽和化合物成分(h−4)は、分子構造内に水酸基を有するアクリル酸エステル化合物及びメタアクリル酸エステル化合物である。(h−4)成分は、ゴム状弾性体(a)に好ましくは過酸化物の存在下にグラフト重合し、熱可塑性エラストマー組成物の接着性を向上させる機能を発揮する。該化合物として、例えば、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、ECH変性フェノキシアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、EO変性コハク酸アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)メタクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)メタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸亜鉛、ポリエチレングリコールメタクリレート、EO変性リン酸ジメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−2−ヒドロキシエチルフマレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、及びこれらからなる重合体、共重合体あるいは他の単量体との共重合体を挙げることができる。これらの化合物又は重合体は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。ここで、アクリル酸エステル化合物と共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等を挙げることができる。
【0057】
成分(h−4)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限が好ましくは150重量部、より好ましくは100重量部であり、配合する場合、下限値を設けるならば、好ましくは0.1重量部、より好ましくは1重量部である。上限を超えては、ブリードを生じる。
【0058】
成分(h−5)エステル系飽和化合物
本発明で用いるエステル系飽和化合物(h−5)として、エステル系の可塑剤であって、リン酸エステル、フタル酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、アクリル系高分子などの環状、非環状の可塑剤が挙げられる。
【0059】
環状可塑剤としては、例えば、無水フタル酸エステルおよびトリメリット酸エステル、さらにはN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、ジベンジルセバケート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジ−t−オクチルフェニルエーテル、ジプロパンジオールジベンゾエート、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、イソプロピリデンジフェノキシプロパノール、アルキル化ナフタレン、ポリエチレングリコールジベンゾエート、o,p−トルエンスルホンアミド、トリメチルペンタンジオールジベンゾエートおよびトリメチルペンタンジオール・モノイソブチレート・モノベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、無水フタル酸エステル及びトリメリット酸エステルが好ましい。
【0060】
無水フタル酸エステルの代表的な例としては、例えば、ブチルオクチルフタレート、ブチル・2−エチルヘキシルフタレート、ブチル・n−オクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジ−トリデシルフタレート、n−ヘキシル・n−デシルフタレート、n−オクチル・n−デシルフタレート、アルキル・ベンジルフタレート、ビス(4−メチル−1,2−ペンチル)フタレート、ブチル・ベンジルフタレート、ブチル・シクロヘキシルフタレート、ジ(2−ブトキシエチル)フタレート、シクロヘキシル・イソデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジエチルイソフタレート、ジ−n−ヘプチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ(2−メトキシエチル)フタレート、ジメチルイソフタレート、ジノニルフタレート、ジオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)イソフタレート、混合ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、2−(エチルヘキシル)イソブチルフタレート、ブチル・フタリルブチルグリコレート、エチル(およびメチル)フタリルエチルグリコレート、ポリプロピレングリコール・ビス(アミル)フタレート、ヘキシル・イソデシルフタレート、イソデシル・トリデシルフタレート、イソオクチル・イソデシルフタレート等が挙げられる。
【0061】
トリメリット酸エステルの代表的な例としては、例えば、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−オクチル・n−デシルトリメリテート、トリオクチルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリ−n−ヘキシル・n−デシルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートおよびトリイソノニルトリメリテート等が挙げられる。
【0062】
また、非環状可塑剤としては、リン酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、ミリスチン酸エステル、リシノレイン酸エステル、アセチルリシノレイン酸エステル、セバシン酸エステル、ステアリン酸エステル、エポキシ化エステル、さらには、1,4−ブタンジオール・ジカプリレート、ブトキシエチルペラルゴネート・ジ[(ブトキシエトキシ)エトキシ]メタン、ジブチルタータレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ジイソオクチルジグリコレート、イソデシルノナノエート、テトラエチレングリコール・ジ(2−エチル−ブチレート)、トリエチレングリコール・ジ(2−エチル−ヘキサノエート)、トリエチレングリコールジペラルゴネート及び分岐脂肪族二価アルコールのエステル化合物である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)、アクリル系高分子等が挙げられる。
【0063】
リン酸エステルの代表的な例としては、例えば、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、メチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ(2−ブトキシエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェートおよびトリオクチルホスフェートが挙げられる。
【0064】
アジピン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジ[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジオクチルアジペート(ジイソオクチルアジペートを含む)、n−ヘキシル・n−デシルアジペート、n−オクチル・n−デシルアジペートおよびジ−n−ヘプチルアジペートが挙げられる。
【0065】
セバシン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブトキシエチルセバケート、ジイソオクチルセバケートおよびジイソプロピルセバケートが挙げられる。
【0066】
アゼライン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)アゼラエート、ジシクロヘキシルアゼラエート、ジイソブチルアゼラエートおよびジイソオクチルアゼラエートが挙げられる。
【0067】
アクリル系高分子可塑剤としては、(i)ラジカル重合性単量体と(ii)改質用化合物との混合物を、重合開始剤の存在下または非存在下に、反応させて得られる反応生成物からなる重合体が挙げられる。この重合体は、(ii)改質用化合物の重合体への結合様式がエステル結合である重合体が好ましく、(i)ラジカル重合性単量体として(メタ)アクリル酸を用い、かつ(ii)改質用化合物として脂肪族または脂環式アルコールを用いる重合体であってもよい。
【0068】
アクリル系高分子可塑剤において、ラジカル重合性単量体(i)としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ及びジアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン等のアルケン;ブタジエン、イソプレン等のジエン;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライドおよびアリルアルコール等が挙げられる。
【0069】
また、改質用化合物(ii)としては、シクロヘキシルアルコール等のシクロアルカノール;イソプロピルアルコール等のアルカノール;フルオロアルキルアルコール等のハロゲン基含有アルコール;エチレングリコール、ブタンジオール等のアルキレンジオール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノール等のシクロアルキレンジオール;末端に水酸基を有するポリエーテル、ポリエステル等のポリマー等の水酸基含有改質剤、シクロヘキシルカルボン酸、シクロヘキシルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フルオロアルキルジカルボン酸、無水マレイン酸およびフマル酸等のカルボキシル基含有化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテートおよびエチルカルビトールアセテート等のエステル基含有改質剤、シクロヘキセン、シクロペンテンおよびイソブテン等のアルケンが挙げられる。
【0070】
上記(i)と(ii)の組み合わせにおけるアクリル系重合体の例としては、(i)の(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸またはマレイン酸のモノアルキルエステル等と、(ii)の水酸基を有する化合物を用い、エステル化反応により、重合体に改質用化合物が導入された重合体が得られる。また、(i)のメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート等のエステル基含有単量体と(ii)の水酸基を有する化合物を用いれば、エステル交換反応をさせることにより、機能性重合体が得られる。さらに、(i)の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの水酸基含有単量体と(ii)のカルボキシル基またはエステル基含有化合物との反応によるエステル結合の形成により、機能性基を導入された重合体が得られる。さらにまた、(i)の(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体と(ii)のアルケンを用いることによりカルボキシル基がエチレン性不飽和結合に付加反応してエステル結合が形成され、改質用化合物が導入した重合体が得られる。
【0071】
本発明で用いることのできるアクリル系高分子可塑剤においては、上記(i)としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、メソオキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートが好ましく、中でもエチルアクリレートが主成分であることが最適である。
【0072】
また、該アクリル系高分子可塑剤の重量平均分子量(Mw)は、500〜10,000が好ましく、より好ましくは1,000〜6,000、さらに好ましくは1,000〜3,000であり、粘度は、100〜9,000mPa・sが好ましく、より好ましくは1,000〜6,000mPa・s、さらに好ましくは3,000〜5,000mPa・sであり、Acetone−Water Toleranceから求めたSP値は、10.5〜16.5が好ましく、より好ましくは13〜16、さらに好ましくは14〜16である。
【0073】
これらのエステル系飽和化合物である可塑剤の中では、DINP、TOTM、TXIB(イーストマンケミカル社製)が特に好ましい。成分(h−5)は、過酸化物の存在下に成分(a)にグラフト重合し、熱可塑性エラストマーと極性基を有する樹脂との相溶性を向上させる機能を主に果たす。
【0074】
成分(h−5)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限が好ましくは150重量部、より好ましくは100重量部であり、さらに好ましくは80重量部、下限値を設けるならば、好ましくは0.1重量部、より好ましくは5重量部である。上限を超えては、ブリードが生じる。
【0075】
成分(k):有機パーオキシド
有機パーオキシドは、ラジカルを発生せしめ、そのラジカルを連鎖的に反応させて、成分(a)を架橋せしめる働きを有する。また同時に、任意成分(c)を分解して溶融混練時の組成物の流動性を増大させてゴム成分の分散を良好にせしめる効果を有する。また、同時に成分(h)を成分(a)にグラフト重合させ、成分(A)との相溶性を向上する働きをする。更に必要に応じて配合する成分(c)、(x)を分解又は架橋して溶融混練時の組成物の流動性をコントロールしてゴム成分の分散を良好にせしめる。
【0076】
該成分としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ‐tert‐ブチルパーオキシド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキシン‐3、1,3‐ビス(tert‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)‐3、3,5‐トリメチルシクロヘキサン、n‐ブチル‐4,4‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p‐クロロベンゾイルパーオキシド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert‐ブチルパーオキシベンゾエート、tert‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert‐ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキシン‐3が特に好ましい。
【0077】
成分(k)の配合量は、上記の成分(a)、(h−1)〜(h−5)、(x)、(c)、(b)、及び(g)の配合割合、特に得られる熱可塑性樹脂組成物の品質を考慮して決定されるが、成分(a)ゴム状弾性体100重量部に対して、上限が好ましくは5重量部、特に好ましくは3重量部、更に好ましくは1.5重量部であり、下限を設けるならば、好ましくは0.01重量部、特に好ましくは0.1重量部である。上記上限を超えては、成形性が悪くなり、上記下限未満では、架橋を十分達成できず、得られるエラストマーの耐熱性、機械的強度が低い。
【0078】
また、本発明の(B)は、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、水酸基を含有するエチレン系共重合体や無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を含有することも可能である。
【0079】
上記水酸基を含有するエチレン系共重合体として、例えば、鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体(鹸化EVA)が挙げられ、含有する場合は成分(a)100重量部に対し、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部である。
【0080】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の(B)に加えて、下記の各成分(A)及び(f)を含む。
【0081】
成分(A):熱可塑性樹脂
本発明の熱可塑性樹脂(A)は、好ましくは極性基を持った熱可塑性樹脂であり、より好ましくはイオン導電性を付与できる化学構造として、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミン、ポリスルフィド、アクリロニトリルから選ばれる1種もしくは2種以上を構造を有し、且つ、ガラス転移点が40℃以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂であり、更に好ましくは、ポリエステル重合体又はその共重合体、ポリウレタン重合体又はその共重合体、ポリアミド重合体又はその共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリカーボネートから成る群から選ばれる少なくとも一つの物質が挙げられる。
【0082】
ポリエステル重合体又はその共重合体、ポリウレタン重合体又はその共重合体、及びポリアミド重合体又はその共重合体には、特に制限がなく、いずれの重合体又は共重合体も満足に使用し得る。好ましくはブロック共重合体又はグラフト共重合体が使用され、エラストマー性を有することが好ましい。該成分として、市販品を使用し得る。上記重合体又は共重合体は、単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
【0083】
ポリエステル重合体又はその共重合体は好ましくは、分子内のハードセグメントとしてポリエステルを、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテル又はポリエステルを用いた、マルチブロックコポリマーである。例えば、ハードセグメントとして、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用いたポリエステル/ポリエーテル型、ハードセグメントとして、芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いたポリエステル/ポリエステル型などが挙げられる。
【0084】
ポリエステル/ポリエーテル型は、例えばテレフタル酸ジメチルと1、4ブタンジオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを出発原料としてエステル交換反応、重縮合反応によって合成されるものである。また、ポリエステル/ポリエーテル型は、テレフタル酸ジメチルと1、4ブタンジオールおよびε−カプロラクトンなどを出発原料として、エステル交換反応、開環反応によっても合成することができる。
【0085】
ポリウレタン重合体又はその共重合体としては、例えば、ラクトン系、エステル系、又はエーテル系等の(共)重合体を挙げることができる。好ましくは、ソフトセグメントとして長鎖グリコールとイソシアネートとの反応で得られるポリウレタンと、ハードセグメントとして短鎖グリコールとイソシアネートとの反応で得られるポリウレタンとの、直鎖状のマルチブロックコポリマーが挙げられる。必要に応じて、これを、架橋剤(鎖延長剤)を用いて架橋したものであってもよい。
【0086】
ここで、長鎖グリコールとしては、ポリエーテル系のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらの共重合体、ポリエステル系のポリアジペート、ポリラクトンまたはポリカーボネート、又は脂肪族系のポリブタジエンまたはポリイソプレン等が挙げられる。また、短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、又はハイドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等の芳香族グリコールが通常、使用される。
【0087】
一方、イソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアナート(MDI)、2,4′&2,6−トリレンジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が用いられる。
【0088】
また、上記架橋剤(鎖延長剤)としては、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)等の芳香族ジアミン等が用いられる。
【0089】
ポリアミド重合体又はその共重合体は好ましくは、ポリアミド拘束相とソフトセグメントとしてポリエーテル,ポリエステル構造を有する熱可塑性エラストマーの総称である。例えば,ポリアミド拘束相としてPA12成分を用いた合成例として,ラウリルラクタム,ジカルボン酸,及びポリエーテルジオールを,ラクタム開環触媒としての水を加えて加圧加熱下の反応でカルボキシルテレケリックナイロン12オリゴマーを得て,次にポリエーテルジオールとの縮合反応によって得られる。ポリアミド拘束相はこの他PA6なども用いられる。基本構造的にはポリエテルブロックポリアミドエラストマー,ポリエーテルエステルブロックポリアミドエラストマーの形態のものとなる。ここで、使用されるジオールの種類などによって様々な特性を持ったポリアミドエラストマーが得られる。例えば、ナイロン‐6、ナイロン‐6,6、ナイロン‐4,6、ナイロン‐6,10又はナイロン‐6,12と、ハードセグメントがポリアミドでソフトセグメントがポリエーテルエステル(ポリアミドとしてはナイロン‐6系又はナイロン‐12系ポリアミドである)より成るブロックエラストマーを挙げることができる。
【0090】
アイオノマー樹脂としては、エチレンと一般式(2)で表される単量体との共重合体が挙げられる。
【0091】
【化3】
【0092】
一般式(2)中、R1は水素又はメチル基を表し、MはNa、Znなどの金属又は水素を表す。
【0093】
ここで、一般式(2)で表される単量体としては、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられ、中でもメタクリル酸金属塩が好ましい。
【0094】
アイオノマー樹脂は、高い反発弾性率を持つイオン架橋結合を有するイオン性共重合体であって、具体的にはエチレンとアクリル酸、又はメタクリル酸の如き不飽和有機酸と共重合体であり、一般式(2)のように完全に又は一部中和されて塩を生成したものが良い。陽イオンは、通常、アルカリ金属、亜鉛等であり、特にナトリウムと亜鉛を混合して用いると高い反発弾性率が得られ好適である。
【0095】
エチレンとの共重合体において、上記単量体が3〜20重量%、特に4〜15重量%を占めることが好ましい。メタクリル酸金属塩含量が3〜20重量%、特に4〜15重量%のエチレン−メタクリル酸金属塩共重合体が好ましい。上記単量体が3重量%未満では、得られる組成物中に充分に分散しないという問題点があり、20重量%を超えると必要な反発弾性が得られない。また、上記共重合体は、0.5〜15g/10分のメルトフローレート(JIS K 6760に準処し、温度190℃、荷重21.18Nで測定)を有することが好ましい。ここで必要に応じて、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体を配合することができ、3種以上の樹脂の混合物を用いることもできる。
【0096】
本発明で用いる極性基を有する樹脂のエチレンとビニル基含有単量体との共重合体を主成分とする樹脂としては、エチレンと下記の一般式(3)で示される単量体との共重合体を挙げることができる。
【0097】
【化4】
【0098】
一般式(3)中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、R3は、下記一般式(4)で表される。
【0099】
【化5】
【0100】
一般式(4)中、R4は水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としては、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
【0101】
一般式(3)で示される単量体の具体例としては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、酪酸イソプロペニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。特に好ましい単量体は、酢酸ビニル及びエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる。
【0102】
エチレンと一般式(3)で示される単量体との共重合体において、エチレンと一般式(3)で示される単量体との割合は、特に限定されないが、好ましくはエチレン97〜70重量%、単量体3〜30重量%である。また、エチレンと一般式(3)で示される単量体との共重合体には、更に変性オレフィンモノマー等の単量体を含有させることができ、その場合の変性オレフィンモノマー等の単量体の含有量は、共重合体の50重量%以下である。
【0103】
エチレンと一般式(3)で示される単量体との共重合体の具体例としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体、鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体(鹸化EVA)等を挙げることができる。
【0104】
ここで、鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体(鹸化EVA)は、EVAを鹸化した化合物であって、エチレン含有量が40〜95重量%、好ましくは60〜90重量%であり、かつ、酢酸ビニル成分の鹸化度が80%以上、好ましくは90%以上である。エチレン含有量が40重量%未満の場合には耐熱性に劣り、95重量%を越えるときは柔軟性に劣る。また、酢酸ビニル成分の鹸化度が60%未満のときには、耐熱性が低下する。
【0105】
該鹸化EVAは、JIS K6924−2に準拠し、190℃において、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10分であるのが好ましい。MFRが0.1未満では、組成物の流動性が悪く、30を超えると、機械強度および耐熱性に劣る。
【0106】
成分(A)及び成分(B)の配合量は、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部のうち、成分(A)95〜5重量部及び成分(B)5〜95重量部、好ましくは成分(A)90〜10重量部及び成分(B)10〜90重量部、より好ましくは成分(A)80〜20重量部及び成分(B)20〜80重量部である。成分(B)が上記下限未満で成分(A)が上記上限を超えては、得られるエラストマー組成物の柔軟性が低下し、ポリエステル重合体またはその共重合体、ポリアミド重合体またはその共重合体、ポリウレタン重合体またはその共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又は鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体の単体と大差がなくなる。成分(B)が上記上限を超え成分(A)が上記下限未満では添加効果が認められない。成分(A)を配合することにより、導電性を発現することができる。
【0107】
成分(f):アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可 能なアニオンとによって構成される金属塩
本発明に用いられる成分(f)金属塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオン、及びイオン解離可能なアニオンとによって構成される化合物である。
【0108】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンとしては、例えば、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+などが挙げられる。好ましくはイオン半径の小さいLi+、Na+、K+であり、より好ましくはLi+、Na+であり、特に好ましくはリチウムイオン(Li+)である。
【0109】
イオン解離可能なアニオンとしては、例えば、Cl-、Br-、F-、I-、NO3 -、SCN-、ClO4 -、CF3SO3 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-などが挙げられる。好ましくはClO4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-であり、特に好ましくはClO4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-である。
【0110】
上記カチオン及びアニオンによって構成される金属塩類は数多く存在する。この中でも、好ましくは過塩素酸リチウムLiClO4,過塩素酸ナトリウムNaClO4,過塩素酸マグネシウムMg(ClO4)2,過塩素酸カリウムKClO4,トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムK・N(CF3SO2)2,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO2)2,トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3,トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO2)3である。より好ましくは過塩素酸リチウムLiClO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO2)2、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO2)3である。更に好ましくは過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムである。特に好ましくは過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムである。これを少量添加するだけで固有抵抗が低くなるので、上記導電効果が一層発揮されることになる。
【0111】
成分(f)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、上限値が10重量部、好ましくは8重量部、より好ましくは3重量部である。下限値は0.0001重量部、好ましくは0.0003重量部、より好ましくは0.01重量部である。上記下限未満では、充分な導電性を得ることが難しく、一方、上記上限を超えては、結晶化の進行や材料劣化等を招き制電効果が低下する。
【0112】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に、下記の成分(e)を含めることができる。
【0113】
成分(e):金属塩(f)を溶解する有機化合物
成分(e)は、本発明の組成物において、成分(f)金属塩の成分(A)への溶解性及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンの解離安定性を高めるものである。
【0114】
好ましくは、成分(e)は、−{O(ZO)n}−基(Zは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基及び/又はCH2基である有機化合物である。上記分子鎖末端のCH2基とは、二重結合をしている炭素原子を有するものである。
【0115】
成分(e)は、例えば、炭素数1〜9の直鎖又は分岐脂肪族アルコール1モルに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜7モル付加して得られるアルコールと、二塩基酸とを原料として、一般的なエステル化合物の製造方法によって製造することができる。
【0116】
ここで、上記アルコールの例としては、プロパノール1モルにエチレンオキシド1〜7モル、プロピレンオキシド1〜4モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ブタノールにエチレンオキシド1〜6モルまたはプロピレンオキシド1〜3モル、ヘキサノールにエチレンオキシド1〜2モル、ペンタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、オクタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ノナノールにエチレンオキシド1〜4モル、プロピレンオキシド1〜2モル、またはブチレンオキシド1〜2モルを、それぞれ、付加させたヒドロキシル化合物が挙げられる。
【0117】
なお、これらの化合物の中で、ブタノール1モルにエチレンオキシド2モルを付加させた2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ブタノール1モルにエチレンオキシド1モルを付加させた2−ブトキシエタノールが、加工性とのバランスに良い。
【0118】
また、上記二塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、コハク酸などのカルボン酸、およびこれらのカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0119】
上記原料を使用して製造される成分(e)として、好ましくは、末端にヒドロキシル基を有さないアルキル基である化合物である。
【0120】
更に好ましくは、成分(e)は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
【化6】
式中、Xは炭素数1〜9の、直鎖または分岐のアルキレン基、芳香族を含む2価の炭化水素基、又は2価の脂環式炭化水素基を示し、Zは夫々独立して、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは夫々独立して、炭素数1〜9の、直鎖又は分岐のアルキル基を示し、nは夫々独立して、1〜7の整数である。
【0121】
特に好ましくは、下記化学式(5)に示されるアジピン酸ジブトキシエトキシエチル(ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート)、または下記化学式(6)に示されるビス(2−ブトキシエチル)フタレートである。
【0122】
【化7】
【0123】
【化8】
【0124】
成分(e)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、上限値が好ましくは10重量部、より好ましくは8重量部である。下限値を設けるならば、好ましくは0.1重量部、より好ましくは0.3重量部である。上記上限を超えては、得られる組成物の粘度が著しく低下し、ドローダウンなどの成形加工性が低下し、成形品の寸法安定性が悪くなるほか、物理的特性の低下を招く。
また、取り扱いを容易にする為には、室温で液状の有機化合物が好ましい。
【0125】
本発明の組成物において、上記成分(e)を添加する場合、成分(e)及び成分(f)の配合量は、(e)/(f)の重量比で、上限が、好ましくは1,000/1、より好ましくは100/1であり、下限が、好ましくは1/1である。成分(e)及び成分(f)の配合量の重量比を上記範囲にすることにより、ブリードのない安定した導電性を得ることができる。
【0126】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に、下記の成分(l)を含めることができる。
【0127】
成分(l)アルキレンオキサイド化合物
エチレングリコールなどのジアルコール体にエチレンオキサイド等をエポキシ基の開環反応にて連鎖重合させると、両末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールが得られる。この際、ポリエチレンオキサイドのようにオキシエチレンユニット単独でもよいが、オキシエチレン基、メチルオキシエチレン基、エチルオキシエチレン基などのユニットを、ランダム或いはブロック状に重合し、これをポリアルキレンオキサイド化合物(下記式(7))として用いることもできる。
【0128】
【化9】
式中、aは2から4の整数を示し、nは1以上の整数を示す。また、nの好ましい範囲は、4から20程度である。
【0129】
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわないかぎり、安定剤、着色剤、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)剤、金属粉などの添加剤を配合することができる。
【0130】
ペレット状コンパウンドの加工において用いられる混合機としては、予備分散、分配、拡散混合を目的とするブレンダーが予備混合機として用いられる。ブレンダーの代表例としては、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー(スーパーミキサー)、タンブラーミキサー、タンブルミキサー、エアーブレンダーなどが挙げられる。これらの予備混合機は、充填される副資材の形態や拡散レベルに応じて選定される。これらの予備混合機は、配合物をペレット状にする予備混合機として使用されるだけでなく、ドライブレンドして直接成形可能な組成物として供給することも可能である。
【0131】
本発明の組成物は、通常の熱可塑性樹脂の混合、混練に用いられる通常の装置、設備を用いて問題なく製造できる。押出機としては、ベント付きの単軸、二軸異方向、二軸同方向押出機が望ましい。また、押出機に代えて、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、タンブラー、コニーダーなどの混練機を用いても良い。
【0132】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その優れた特性、即ち、中程度の均一かつ安定した導電性を生かし、種々の用途に使用することができる。上記のようにカーボンブラック含有樹脂は、中程度の均一かつ安定した導電性が得られないと言う欠点を有している。従来、該欠点を認めつつも、代替品がないことからカーボンブラック含有樹脂が使用されて来た中程度の導電性を必要とする、下記の様々な用途に好適に、本発明の熱可塑性樹脂組成物が使用され得る。例えば、特に、LCD関連分野、LSI関連分野、IC関連分野、OA機器、AV機器、家電機器等の導電性あるいは帯電防止性が要求される分野、特に電子写真技術を用いたプリンター、複写機等の帯電・現像・転写ロール等に極めて好適に使用することができる。導電ロールは、電子写真、静電記録によるプリンター等の用途に好適である。近年、電子写真技術の進歩に伴い、乾式電子写真装置の転写材、トナーに対する接触帯電部材などとして半導電性弾性ロールが注目されており、現像ロール、転写ロール等に用いられている。家電機器カバー、OA機器カバー、FDケースカバー、帯電防止カバー、静電防止薄板、静電防止袋、ICカバーテープ、静電防止衣服、無菌服にも有用である。
【0133】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中における部及び%は、特に断らない限り、重量基準である。
【0134】
実施例、比較例及び参考例に用いた各種成分は、以下のとおりである。
【0135】
<成分(a):ゴム状弾性体>
(a−1)クラレ株式会社製 セプトン 4077(商標)
種類:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)
スチレン含有量:30重量%
数平均分子量:260,000、
重量平均分子量:320,000
分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
(a−2)住友化学工業株式会社製 W0741(商標)
種類:EPR
プロピレン含量27%、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]:42
【0136】
<成分(b):ゴム用軟化剤>
出光石油化学株式会社製 ダイアナプロセスオイル PW−90(商標)
【0137】
<成分(c):パーオキシド分解型オレフィン系樹脂及び/又はそれを含む共重合体ゴム>
ポリプロピレンブロック共重合体:トクヤマ株式会社製 PN610S(商標)
結晶化度:Tm 166℃、△Hm 82mJ/mg
【0138】
<成分(A):ポリエステル(共)重合体、ポリウレタン(共)重合体、及びポリアミド(共)重合体>
(A−1):
熱可塑性ポリエステル系エラストマー(TPEE)、東洋紡績株式会社製、ペルプレンP40B(商標)
(A−2):
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(TPUE)、ディーアイシーバイエル株式会社製、パンデックスT‐1180N(商標)
(A−3):
熱可塑性ポリアミド系エラストマー(TPAE)、東レ株式会社製、ペバックス2533SA01(商標)
【0139】
<成分(e):−{O(ZO)n}−基を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基及び/又はCH2基である有機化合物、及び成分(f):金属塩>
成分(e):
アジピン酸ジブトキシエトキシエチル(下記式(8)で示される化合物) 三光化学工業株式会社製
【化10】
成分(f−1):
過塩素酸リチウム(LiClO4) 和光純薬工業株式会社製
成分(f−2):
過塩素酸ナトリウム(NaClO4 ) 和光純薬工業株式会社製
成分(f−3):
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム
実施例4及び8〜12、比較例2及び4、並びに参考例1及び2においては、上記のアジピン酸ジブトキシエトキシエチル(e)に、過塩素酸リチウム(f)を20%溶解した、三光化学工業(株)製、サンコノール0862−20(商標)を用いた。その他の実施例及び比較例においては、上記化合物を適宜配合して使用した。
【0140】
<成分(h−1):末端水酸基液状ポリブタジエン>
出光石油化学工業株式会社製 R‐45HT(商標)
官能基として水酸基(アクリル型1級)と共重合反応性不飽和二重結合(1,4結合:80%)を持つ。数平均分子量:2,800
【0141】
<成分(h−2):不飽和グリシジル化合物又はその誘導体>
グリシジルメタクリレート、関東化学株式会社製
【0142】
<成分(h−3):不飽和カルボン酸又はその誘導体>
無水マレイン酸、関東化学株式会社製
【0143】
<成分(k):有機パーオキシド>
日本油脂株式会社製 パーヘキサ25B(商標)
【0144】
<成分(g):エステル系架橋助剤>
新中村化学株式会社製 NKエステルIND(商標)
【0145】
<成分(l):アルキレンオキシド化合物>
下記式(9)で示される化合物
【化11】
CH3O・CH2CH2O・CH2CH2OH (9)
及び
過塩素酸ナトリウム(NaClO4)の混合物を使用した。
実施例6においては、上記のアルキレンオキシド化合物(9)に、過塩素酸ナトリウムを36%溶解した、昭島化学株式会社製、MP100(商標)を用いた。
【0146】
<その他の成分>
カーボンブラック:ライオン株式会社製、ケッチェンブラックEC−600JD(商標)
【0147】
実施例、比較例及び参考例において用いた評価方法は次の通りである。
【0148】
<試験片の調製及び成形性>
サンプルペレットを型締め力120tonの射出成形機により、試験片を成形した。成形条件は、シリンダー温度=220℃、金型温度=40℃であり、ゲートは、幅40×厚み0.5mmのフィルムゲートを使用した。試験片形状は、厚みがゲート側から3mm、2mm、1mmの3段階である多段プレートであり、外寸は80×40mmである(図1参照)。この際、成形性を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:ヒケ無し。
△:3mm厚部分にヒケがある。
×:2mm厚部分にもヒケがある。
該試験片を室温23±2℃、相対湿度50%中で24時間調整後、下記物性の測定に供した。
【0149】
<体積固有抵抗値(導電性)>
SRIS 2301に準じて、下記のように測定した。
幅6×長さ6×厚み0.3(cm)の射出成形試験片を用い、電極としてプレートの両端に導電性塗料を幅1cm塗布したのち、両電極間における体積抵抗値を求めた。下記表1中の単位は、Ω・cmである。
【0150】
<ブリードアウト性>
温度40℃、湿度90%に7日間放置し、その間の状態を、下記の評価基準により評価した。
◎;ブリードが全く認められない場合
○;ブリードがごく僅かに認められるが、使用上問題ないレベルの場合
△;ブリードがやや認められ、使用上やや問題がある場合
×;ブリードがかなり認められ、使用できない場合
【0151】
<硬度>
JIS K 7215に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。
【0152】
<引張強さ>
JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。試験温度は室温(23℃)、120℃及び150℃とし、引張速度は500mm/分とした。
【0153】
<引張伸び>
JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0154】
<100%伸び応力>
JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0155】
<引裂強度>
JIS K 6301に準拠し、試験片は2.5mm厚プレスシートを、ダンベルでB型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0156】
<圧縮永久歪み> JIS K 6262に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを使用した。120℃×70時間、25%変形の条件にて測定した。
【0157】
<テーパー磨耗量>
JIS K 7204に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを用い、磨耗輪H‐22、1,000回転後の磨耗量を測定した。
【0158】
<耐油性>
JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。ASTM2号油を使用し、120℃×70時間の重量変化と体積変化を測定した。
【0159】
【実施例1〜12、比較例1〜5及び参考例1〜3】
表1には、実施例及び比較例に使用したゴム状弾性体組成物(B−1、B−2及びB−3)中の各成分の配合比を示した。表2の配合処方に基づき、各導電性樹脂組成物を調製し評価した。
各成分をタンブラーミキサー内で配合・混合・予備ドライブレンドし、次いで、該樹脂組成物を、47mm同方向2軸押出機により190℃で溶融混合し、ダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を水槽にて冷却処理し、カッターに通して導電性樹脂組成物のペレットを作製した。結果を表2に示す。
【0160】
【表1】
【0161】
【表2】
【0162】
実施例1〜8は、成分(A)として熱可塑性ポリエステル系エラストマーを使用したものである。実施例1〜3は、(B)、(A)及び(f)のみから成る組成物である。電気伝導物質のブリードアウトがなく、かつ体積固有抵抗値の変動がなく及び成形性が良好であり、加えて、柔軟性に富んでいた。また、(f)として(f−1)〜(f−3)を使い分けると、夫々体積抵抗率の異なる製品が得られた。実施例4は、実施例1の組成物に更に(e)を加えたものである。体積固有抵抗値をより低い値で安定させることができた。実施例5は、(B)及び(A)の比率は実施例4と同じで、(f)及び(e)の量を本発明の範囲で少なくしたものである。体積固有抵抗値が多少増加したが本発明の効果を損なうものではなかった。実施例6は、(B)、(A)及び(f)に、(e)に代えてアルキレンオキシド化合物(l)を加えたものである。若干のブリードアウトが生じたものの、本発明の効果を損なうものではなかった。即ち、本発明の組成物には該アルキレンオキシド化合物を併用し得ることが分った。実施例7は、実施例3の組成物に更に(e)を加えたものである。実施例4と同様に体積固有抵抗値をより低い値で安定させることができた。実施例8は、(B)及び(A)の比率を実施例1〜7とは反対にしたものである。柔軟性に富み電気伝導物質のブリードアウトがなく、体積固有抵抗値の変動がなく及び成形性が良好であった。実施例9及び10は、成分(A)として、夫々、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー及び熱可塑性ポリアミド系エラストマーを使用したものである。熱可塑性ポリエステル系エラストマーを使用した実施例4と同様に良好な結果が得られた。実施例11及び12は、ゴム状弾性体組成物(B)の配合組成を変えたものである。いずれも、実施例4と同様に良好な結果が得られた。また、実施例1〜10及び12におけるB−1及びB−3の成分(a−1)の一部又は全部をタフテックP JT−90C[商標、旭化成工業株式会社製、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体;SBBS、スチレン含有量30重量%、重量平均分子量(Mw):110,000、数平均分子量(Mn):99,000、分子量分布:1.11、ブタジエンブロックの水素添加率:75.1%、(1,2−ブタジエンの水素添加率92.7%、1,4−ブタジエンの水素添加率61.0%)]に置換えても同様に良好な結果が得られた。なお、上記タフテックP JT−90Cの共役ジエンブロック部分の水素添加率は、試料をNMRサンプル管(5mmφ)に採取し、重水素化クロロホルムを添加して十分に溶解し、次いで、核磁気共鳴装置(1H−NMR)日本電子製GSX−400型を用い常温、400MHz、3029回の積算にて測定したものである。
【0163】
一方、比較例1は、実施例1において(f)を配合しなかったものである。体積固有抵抗値が著しく高くなり導電性を示さなかった。比較例2は、(A)を配合しなかったものである。成分(e)及び(f)を加えてはいるものの、樹脂組成物の体積固有抵抗値は低下せず著しく高いものであった。比較例3は(f)を配合しなかったものである。その場合に(e)のみを(B)及び(A)に配合しても樹脂組成物の体積固有抵抗値は低下しないことが分った。比較例4及び5は(f)を本発明の範囲を超えて配合したものである。いずれの成形品においても、著しいブリードアウト及び変色が生じた。加えて、比較例4では硬度が低くなり、比較例5では成形時に焼けが生じた。
【0164】
参考例1及び2は夫々、本出願人の先願である特願平12−204541号及び特願平12−204540号の発明に相当するものであり、熱可塑性ポリエステル系エラストマー又は熱可塑性ポリウレタン系エラストマーに、成分(e)及び(f)を配合したものである。該組成物は、一般的な成形品に於ける成形性は良好であり、かつ体積抵抗率は安定していたが、特に薄物の成形品ではショートショットやヒケが生じ、また、場所によっては導電性にばらつきが生じた。本願発明の熱可塑性樹脂組成物では、上記の不具合を全て解消することができた。参考例3は、従来公知のカーボンブラックを導電性物質として使用したものである。105〜1010Ω・cmの範囲の体積抵抗率を得ようとしたが、104〜108Ω・cmの範囲で著しく変動し均一かつ安定な体積抵抗率は得られなかった。更に、該従来品は、その色彩が黒色であり使用に際して意匠性が劣るのに対して、本発明の組成物は、その色彩が透明乃至白色であることから、着色剤の付与により、あらゆる色彩の用途に対応可能であると言う利点を有している。
【0165】
【発明の効果】
本発明は、電気伝導物質のブリードアウトがなく、所定の抵抗領域、例えば、カーボンブラックで安定した導電性を発現できない抵抗領域で均一かつ安定した体積抵抗率を有するばかりでなく、良好な柔軟性をも併せ持ち、加えて、成形性にも優れるところの、導電性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で使用した試験片を作成するために使用した金型の概略図である。
Claims (6)
- (A)ポリエステル重合体又はその共重合体、ポリウレタン重合体又はその共重合体、ポリアミド重合体又はその共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体より成る群から選ばれる一つ以上の熱可塑性樹脂95〜5重量部、及び
(B)官能基を有するゴム状弾性体又は官能基を有する化合物を含むゴム状弾性体組成物、ここで該官能基はエステル基、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、及びオキサゾリル基より成る群から選ばれる一つ以上である、5〜95重量部
の合計100重量部、
(f)アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能なアニオンとによって構成される金属塩を成分(A)100重量部に対して0.0001〜10重量部、並びに
(e)下記式(1)で表される、金属塩(f)を溶解する有機化合物を成分(A)100重量部に対して0.1〜10重量部
を含む熱可塑性樹脂組成物。 - (e)/(f)の重量比が1/1〜1,000/1である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (f)のカチオンが、Li+、Na+ 、K+、Mg2+及びCa2+より成る群から選ばれ、かつ(f)のアニオンが、Cl-、Br-、F-、I-、NO3 -、SCN-、ClO4 -、CF3SO3 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-及び(CF3SO2)3C-より成る群から選ばれる請求項1〜2のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (f)のカチオンが、Li+又はNa+であり、かつ(f)のアニオンが、ClO4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-及び(CF3SO2)3C-より成る群から選ばれる請求項1〜3のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (f)が、過塩素酸リチウムLiClO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、過塩素酸マグネシウムMg(ClO4)2、過塩素酸カリウムKClO4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムK・N(CF3SO2)2、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO2)2、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO2)3より成る群から選ばれる1つ又はそれ以上である請求項1〜4のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (f)が、過塩素酸リチウムLiClO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO2)2、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO2)3より成る群から選ばれる1つ又はそれ以上である請求項1〜5のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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