JP4451639B2 - 制電性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、制電性樹脂組成物に関し、さらに詳細には、静電気消散機能が制御され、持続性に優れ、接触移行性のない制電性樹脂組成物に関するものである。
制電性樹脂は、産業界において広く普及し、さまざまな用途に利用されている。この制電性樹脂としては、例えば、各樹脂に対してカーボンブラックなどの導電性フィラーを高充填した組成物があり、経済性に優れることもあって、産業界を中心として広く利用されている。
ところで、近年、制電性樹脂およびその組成物は、ICチップの包装関係に普及し、材料のバリエーションも汎用プラスチックスからエンジニアリングプラスチックスに至るまで多様化している。また、用いられる導電性充填材も、カーボンブラック以外に、炭素繊維、黒鉛、金属コートフィラー、金属繊維などが、目的および機能に応じて広く使い分けられている。ICチップの包装に使用されるICトレーなどの素材としての制電性樹脂組成物は、軽量化、薄肉化、コンパクト化が検討されるようになり、強度と高い剛性が求められる傾向にある。さらに、ICの種類の識別などを目的として、トレー、キャリアテープにも着色性などの意匠性の要求もある。
このような要求に対し、制電性フィラーとして汎用されているカーボンブラックは、経済的であり、抵抗値の低いものが得られるが、黒色に限定されるのと、一般的には加工性や材料強度などに問題があることから、通常は種々の改質材と共に複合化されて使用されている。
さらに、近年、ICやLSIなどの高性能化と大容量化によってトレーなどの包装用途や周辺機器に使用される高分子素材に求められる電気特性としては、体積固有抵抗値が1010Ω・cm未満の特性が安定して求められるようになり、いわゆる従来の帯電防止領域の水準では充分ではなくなっているほか、静電気を利用した電子写真システムなどの普及により比較的高い体積固有抵抗値を安定的に発現させる高分子素材も求められるようになっている。
また、帯電防止剤を含有した制電性樹脂組成物も広く普及しており、さまざまな用途に応用されている。帯電防止剤には、表面にブリードさせて機能を持たせる界面活性剤型のものと、いわゆる高分子型と称する、親水性セグメントを構造中に有する親水性高分子材料を、ポリマーアロイ化することによって機能を発現させるものがある。
界面活性剤型は、樹脂組成物中に含有されている界面活性剤の表面への移行によって帯電防止を図るものであるが、表面の払拭、洗浄によって制電性効果が失われたり、表面汚染、持続性の問題があるほか、満足のいく体積固有抵抗値は得られない。
一方、高分子型は、熱可塑性樹脂に対し、親水性高分子をポリマーアロイ化することによって、永久的な制電性能を付与するものであり、産業上の利用価値が高い。しかしながら、高い制電機能を発現させようとすると、アロイ化するために必要な高分子型帯電防止剤の量が多くなるため、経済的に問題となる場合がある。高分子型帯電防止剤は一般的に親水性セグメントを有しているものが多く、柔軟性を有するものが多いため、アロイ化することにより、得られる制電性樹脂材料の剛性が低下し、成形品の変形が生じる他、柔軟性を有する高分子合成ゴム、エラストマーのような高分子素材への添加では、得られる制電性のバラツキが大きく、適用が難しい問題がある。
さらに、従来知られている上記界面活性剤型、高分子型帯電防止剤を使用して得られる制電性樹脂組成物は、いずれも電気抵抗値の制御が難しい。
また、予め帯電防止剤を表面処理したフィラーを含有する制電性樹脂組成物(特許文献1)があるが、体積固有抵抗値の低減が充分ではなく、帯電防止剤がフィラ−から分離しブリードアウトする問題がある。
さらには、高分子型帯電防止剤として、片末端にアルキル基またはアルキル置換フェニル基を有し、エチレンオキシド基を有するポリ(オリゴ)エチレングリコールの末端基が、メタクリロイル基、またはアクリロイル基によりエステル化されたメタクリレートまたはアクリレートなども挙げられている(特許文献2)。上記片末端のアルキル基は、炭素数1〜25の直鎖または分岐のものが用いられている。同公報では、これらの親水性高分子によってフィラーの表面がコーティング処理されたものや、さらにこの高分子中にリチウム塩などが溶解されたものが提案されているが、リチウム塩として塩化リチウム塩などの塩素系が用いられているため、塩素系イオンによる接触機材の腐食、高分子の劣化、着色の問題がある。
また、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム塩が用いられているもの(特許文献2)も例示されている。同公報記載の発明では、導電性は良好であるものの、目的の導電性を得るために必要なこのようなフィラーの充填には、50〜60重量%以上の高添加量を必要とするが、導電性の安定性は満足のいくものではなかった。むしろ、高充填による機械特性の低下、着色性(黄変)、材料の熱劣化などの問題がある。
非カーボン系による帯電防止の従来技術である界面活性剤系組成物や特願2002−060213等の、電解質を特定の脂肪酸系溶媒に溶解して導入する方法は低分子化合物(例えば有機系着色剤、有機系染料、可塑剤、プロセスオイル等)を含む成形体やフイルム等の成形体が接触した場合、低分子化合物だけが選択的に非接触体へ移行するいわゆる接触移行が発生する。この接触移行により接触部分の機能を低下させたり、外観を損ねるなど品質低下に至らしめる問題があった。
特開平11−256144号公報 特開平11−256144号公報
従来の制電性樹脂組成物が、持続性に優れてはいるものの、制電特性の安定性と、接触移行のバランスに十分ではないという問題があった。
本発明は、(a)熱可塑性樹脂および/または未加硫ゴム20〜80重量部、(b)表面がポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体で被覆された無機充填材80〜20重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕、ならびに下記の(c)金属塩5〜100重量部を(d)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、(a)+(b)=100重量部に対して金属塩として0.01〜20重量部となるように配合したことを特徴とする制電性樹脂組成物に関する。
(c)金属塩:Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+よりなる群から選ばれるカチオンならびにCl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-および(CF3SO23-よりなる群から選ばれたアニオンとによって構成される金属塩
また、上記の制電性樹脂組成物から水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去したことを特徴とする制電性樹脂組成物に関する。
ここで、上記の2種の制電性樹脂組成物において、(c)成分が、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドの群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、本発明は、(a)熱可塑性樹脂および/または未加硫ゴム20〜80重量部、(b)表面がポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体で被覆された無機充填材80〜20重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕に、上記の(c)金属塩5〜100重量部を(d)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、(a)+(b)=100重量部に対して金属塩として0.01〜20重量部となるように配合した後、該配合物を溶融混練して(d)水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去したことを特徴とする上記の制電性樹脂組成物の製造方法に関する。
本発明の制電性樹脂組成物は、表面がポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体で被覆された無機充填材が特定量添加されており、制電特性が安定的に保たれ、接触移行が無く、かつバラツキもなく、持続性に優れている。その優れた特性を生かし、OA機器関連、家電分野、電気・電子分野、車両分野、その他の各種パーツ、ハウジング、パッケージなどに好適に使用することができる。
本発明の組成物に用いられる(a)熱可塑性樹脂や未加硫ゴムは、いかなるものでもよい。このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)などのポリスチレン系樹脂;アクリレート/メタクリレート系樹脂などの、ビニルモノマー重合体または共重合体;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などの、ポリα−オレフィン;プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などの、α−オレフィンどうし、またはα−オレフィンと他のモノマーとの共重合体;その他のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステルおよび脂肪族系ポリエステル;液晶ポリエステル;ポリフェニレンオキシドなどの芳香族ポリエーテル;ポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのスルホン系ポリマーなどが挙げられる。
また、熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどの有極性エラストマー、ポリオレフィン系、ポリスチレン系〔スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)〕などの無極性型エラストマーなども使用可能である。この他、未加硫ゴムとして、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(AR)、
スチレン−ブタジエンゴム(SBR)なども適用可能である。これらの熱可塑性エラストマーや未加硫ゴムには可塑剤やプロセス油などの加工油が含まれているのが一般的であるが、これらは接触移行の原因となるものが多いため、含まれないか、極力少なく用いる方が好ましい。
本発明においては、上記の熱可塑性樹脂および/または未加硫ゴムの中から1種または2種以上が目的に応じて適宜選択される。なかでも、成形性の点から、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂などのビニルモノマー重合体または共重合体;ポリプロピレン、結晶性プロピレン・エチレン共重合体や結晶性プロピレン・ブテン−1共重合体などの結晶性プロピレン共重合体、ナイロン、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましく、特にポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂などのビニルモノマー重合体または共重合体が好ましい。未加硫ゴムとしては、NBR、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、EPDM、AR、SBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどが好ましい。
特に、熱可塑性エラストマー、未加硫ゴムは、イオン成分が溶媒和しているセグメントの分子運動性を助長し好ましいイオン伝導性を与える働きがあり、電気伝導性が良好となる。本発明においては、これら熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、未加硫ゴムにおける任意高分子成分同志のポリマーブレンド、ポリマーアロイなどの形態も使用可能である。
なお、耐熱性の点からは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリイミド、芳香族ポリエーテルなどが好ましい。
(b)成分は、表面処理無機充填材であって、無機充填材の表面に、ポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体が表面コートもしくはグラフト結合されたものである。
本発明の無機充填材は、特に限定されるものでは無く、公知の無機充填材を使用可能であるが、なかでも炭酸カルシウム、タルク、雲母、ガラス、珪酸カルシウム、セリサイト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モンモリロナイト、ゼオライト、酸化チタン、カオリンなどが、良好に使用可能である。また、無機充填材の形態は特に限定されるものでは無く、粒子径の小さなものから繊維状、テトラポット状、鱗片状などのアスペクト比の大きな形状のものまで使用可能である。
上記無機充填材の表面処理に使用される(共)重合体は、アルキレンエーテル、エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体であり、好ましくはポリアルキレンエーテル、ポリエステルである。上記(共)重合体は構造中に有極性官能基であるエステル基、エーテル基、水酸基、アミン基、カルボニル基、エポキシ基、スルホン酸基や、無極性基であるアルキル基、アルキル基置換フェニル基を、骨格中に有していても良い。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体は、様々な合成方法によって得られ、その形態にも様々のものがあるが、その例として、末端水酸基を有する直鎖状または分岐状ポリマーポリオールタイプ、およびまたはそれらの末端水酸基がメチル基、エチル基、t−ブチル基などでキャップされたタイプが挙げられる。
上記直鎖状ポリマーポリオールとして、例えば、末端が水酸基を有し、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびブタンジオールの群から選ばれた少なくとも1種の化合物を構成成分として有する直鎖状ブロック共重合体を骨格として有する直鎖状ポリマーポリオールが挙げられる。
また、上記分岐状ポリマーポリオールとして、例えば、エチレンオキサイド系構成成分の含有率が10モル%〜50モル%であり、けん化度30〜100%、数平均分子量1,000〜20,000、エチレン単位含量が1〜90重量%であるエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体けん化物へ、アルキレンオキサイドをグラフトした分岐状ポリマーポリオールが挙げられる。
上記エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体の製造方法については特に制限はなく、公知の方法、例えば高圧ラジカル重合法などにより製造し得る。
エチレンモノマーとの共重合原料である飽和カルボン酸のビニルエステルとしては、特に限定はないが、炭素数が2〜4程度の脂肪族カルボン酸のビニルエステルが好ましく、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどが挙げられ、またこれらは適宜混合して使用することもできる。これらの中では酢酸ビニルが最も好ましい。
また、共重合原料としては、エチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルのほかに、少量のα,β-不飽和カルボン酸のアルキルエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどおよびこれら2種以上の混合物などを用いることもできる。エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のエチレン含有量は、通常、1〜90重量%程度、好ましくは40〜80重量%程度である。
また、数平均分子量は、通常、1,000〜20,000程度、好ましくは1,000〜10,000程度である。
エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のけん化反応についても、その方法に特に制限はなく、例えばエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体とアルコールをアルカリ触媒の存在下で加熱してけん化し、アルコールを除去後アルキレンオキサイドを導入し、グラフトする方法が挙げられる。
また、けん化方法としては、用いるエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体の分子量、飽和カルボン酸ビニルエステルの含有量などに起因する特性に応じて、アルコールとの不均一液相系、アルコール溶液系、アルコール中ペレット分散系などが適宜採用できる。けん化率は、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体の飽和カルボン酸ビニルエステル含量によっても変わり、特に限定されないが、通常、30〜100%程度、好ましくは50〜100%程度である。
また、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体けん化物へのアルキレンオキサイドの付加方法については特に制限はないが、該けん化物に、アルキレンオキサイドを気体状で反応させることが一般的である。
アルキレンオキサイドとしては特に限定はないが、通常、炭素数が2〜4程度のものが好ましく、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、環状エーテルである共重合体変性物などが挙げられる。中でも、エチレンオキサイドが、好ましく使用される。アルキレンオキサイドは、2種以上使用することもでき、この場合ブロック付加してもランダム付加しても良い。
アルキレンオキサイドの付加量は、特に限定はないが、けん化物100重量部に対して、通常、20〜1,000重量部程度、好ましくは50〜500重量部程度である。
エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体けん化物のアルキレンオキサイド付加物は、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体をけん化して飽和カルボン酸ビニルエステルの一部もしくはすべてをビニルアルコール構造に変化させたものに、アルキレンオキサイドをグラフトすることにより製造したものであり、主鎖がポリエチレン単位、側鎖がポリオキシアルキレン単位を有した構造と推定される。
本発明で用いるエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体としては、市場入手性、価格などからエチレン・酢酸ビニル共重合体が特に好適であり、酢酸ビニル単位含有量5〜50重量%、数平均分子量が1,000〜5,000のものが、バルクけん化反応が容易なことからより好適である。
エチレン・酢酸ビニル共重合体のけん化率は、30〜100%の範囲が樹脂との相溶性のよいものを得るうえで好ましい。エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物へのエチレンオキサイド付加量は、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物に対して50〜1,000重量%であることが、樹脂との相溶性、帯電防止性の効果の面でより好ましい。
上記分岐状ポリマーポリオールとして、末端が水酸基を有するポリマーポリオールであって、3官能ポリオール構造へアルキレンオキサイドをグラフトして得られる分岐状ポリマーポリオールも、使用可能である。3官能ポリオール構造の3官能ポリオールとしては、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンなどのトリヒドロキシ芳香族化合物、グリセリン1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンなどの脂肪族トリオール、トリエタノールアミンなどのトリアルコールアミン類などが挙げられる。
これらの重合体は、例えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、クロロホルムなどのハロゲン類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類などが挙げられるがこれに限定されない。これら有機溶媒中においてイソシアネートなどの架橋剤を用いて重合する方法や、3官能ポリオール、アルキレンオキサイドを熱可塑性樹脂と溶融ブレンドして反応させ重合する方法によって容易に得ることができる。なお、アルキレンオキサイドとしては、特に限定はないが、通常、炭素数が2〜4程度のものが好ましく、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、環状エーテルである共重合体変性物などが挙げられる。
上記分岐状ポリマーポリオールとしては、スチレン・無水マレイン酸共重合体とポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルとの反応によって得られる分岐状ポリマーポリオールも、使用可能である。
例えば、スチレン・無水マレイン酸共重合体の数平均分子量が1,000〜400,000で、無水マレイン酸に対するスチレンの共重合モル比が1/1〜1/9であり、さらにポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの数平均分子量が100〜5,000であり、該ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルが下記式(1)で示される分岐状ポリマーポリオール
1O−(CH2−CH−O)m−H
│ ………(1)
2
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基、mは5〜100の整数を示す。)などが挙げられる。ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルとしては、単独のみならず、2種以上〔例えば、式(1)においてR2が水素のものとメチル基のもの〕であっても良い。中でもポリエチレンオキシドモノメチルエーテルが、反応性の面で好ましい。
上記分岐状ポリマーポリオールとして、ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの末端水酸基とスチレン・無水マレイン酸共重合体の酸無水物基との反応によって、ポリスチレンを主鎖としてポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルを側鎖とする櫛形ポリマーポリオールも挙げられる。上記櫛形ポリマーポリオールにおいて、ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの数平均分子量は、100未満では、ポリマーポリオール自体がもつ帯電防止機能が不充分となり、一方、5,000を超えるとスチレン・無水マレイン酸共重合体との反応性が劣る。式(1)のR1の炭素数が4を超えると、イオン伝導性が劣る。
これらの重合物に用いられるポリエーテルにおけるエチレンオキサイドの含有率は、10モル%〜50モル%であることが望ましい。50モル%を超えると結晶化などが起こり固体状となり取扱いが困難となり、一方、10モル%未満では(c)、(d)成分の溶解が不充分となる他、電気特性が低下する。
また、鎖延長剤として、芳香族イソシアナート、脂肪族イソシアナートなどで反応させて延長され得られる直鎖状または分岐状ポリエーテルブロック共重合型ポリマーポリオールも、使用可能である。このような構造体の例としては、セグメント化ポリウレタンエラストマーなどを挙げることができる。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、ハードセグメント、ソフトセグメントからなるエラストマー骨格のものも、使用可能である。例えばポリエステルエラストマー構造のものであり、ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートなどに対し、ソフトセグメントとしてポリエーテル構造を有するポリエステル/ポリエーテル型、またはソフトセグメントとしてポリエステル構造を有するポリエステル/ポリエステル型に代表されるエラストマーである。
上記ポリエステル/ポリエーテル型は、例えばテレフタル酸ジメチルと1,4ブタンジオールならびにポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを出発原料として、エステル交換反応、重縮合反応によって合成されるものである。
上記ポリエステル/ポリエーテル型は、テレフタル酸ジメチルと1,4ブタンジオールならびにε−カプロラクトンなどを出発原料として、エステル交換反応、開環反応によって合成されるものである。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、ポリアミドエラストマーも使用可能である。ポリアミドエラストマーとは、ポリアミド拘束相と、ソフトセグメントとしてポリエーテルおよび/またはポリエステル構造を有する熱可塑性エラストマーの総称である。例えば、ポリアミド拘束相としてPA(ポリアミド)12成分を用いたポリアミドエラストマーは、ラウリルラクタム、ジカルボン酸、およびポリエーテルジオールを原料とし、ラクタム開環触媒としての水を加えて、加圧加熱下の反応でカルボキシルテレケリックナイロン12オリゴマーを得て、次にポリエーテルジオールとの縮合反応によって得られる。ポリアミド拘束相としては、このほかPA(ポリアミド)6なども用いられる。
本発明に使用できるポリアミドエラストマーは、基本構造的にはポリエステルブロックポリアミドエラストマー、ポリエーテルエステルブロックポリアミドエラストマーである。構成要素として使用されるジオールの種類などによって様々な特性を持ったポリアミドエラストマーが使用できる。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、脂肪族ポリエステルも使用可能である。脂肪族ポリエステルは、工業的には、脂肪族ジカルボン酸と過剰のジオールを出発原料として脱水重縮合反応および脱ジオール反応によって合成されるもの、カプロラクトンの開環重合などによって合成されるものなどが挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステルの構造としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどの、コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合物、コハク酸およびアジピン酸と1,4−ブタンジオールの3元系縮合物からなるものが挙げられる。また生分解性の機能を損わない範囲で、機能性の改質を目的とし、イソシアネート基、ウレタン基、芳香族環といった反応基や骨格を構造中に導入したり、あるいはポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのような種々の共重合体も用いることができる。
脂肪族ポリエステルとして、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートおよびその共重合体など、各種高分子量タイプが工業生産されている。脂肪族ポリエステルには、生分解性機能がある市販品を用いることができ、例えば、ポリブチレンサクシネートアジペートである昭和高分子(株)製、生分解性脂肪族ポリエステル、商品名ビオノーレ、ポリカプロラクトンであるダイセル化学工業(株)製、商品名CELGREEN PH7などがあるが、用途や特性に応じた樹脂を任意に選定することができる。
脂肪族ポリエステルとして、一般的にはガラス転移点が30℃以下のものを用いることが好ましい。30℃を超えると、充分な制電性を得ることができなくなることがある。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、ポリエーテル系アミド樹脂も、使用可能である。
上記ポリエーテル系アミド樹脂は、ポリエーテルセグメントを有する高分子の非イオン系界面活性剤の1種であり、具体例としてはポリエーテルエステルアミド樹脂、ポリエーテルアミドイミド樹脂などが挙げられる。具体的には、エチレングリコール・アミド共重合体、エチレングリコール・メタクリレート共重合体、エチレングリコール系・エステルアミド共重合体など、エーテルセグメントとアミドセグメントを共重合した制電性エラストマーである。中でも、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物および/またはポリオキシアルキレングリコールから誘導されるポリエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。
アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、ポリアクリロニトリル、トリアジソジチオール化合物と脂肪族ジハライドとの重縮合反応によるポリスルフィド系熱可塑性エラストマー、ポリウレア樹脂の主原料として用いられるポリアミンや非タンパク性脂肪族化合物などが挙げられる。
なお、無機充填材の表面処理に使用される(共)重合体のガラス転移点(Tg)は、好ましくは40℃以下、さらに好ましくは25℃以下である。Tgが40℃を超えると、通常の使用環境下では充分な導電性を得ることができない。
アルキレンエーテル、エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体による無機充填材の表面処理方法は、特に限定されるものでは無い。
例えば、特開平10−176079号公報などに例示されている、表面を水溶性カチオン系、アニオン系高分子界面活性剤によって処理する方法が使用できる。
上記水溶性カチオン系、アニオン系高分子界面活性剤としては、第1、2、3級アミン塩型カチオン系低分子、高分子界面活性剤および第4級アンモニウム塩型カチオン系低分子界面活性剤、または高分子界面活性剤が挙げられる。
本発明の(b)成分を得る場合、例えば、無機充填材100重量部に対し、アルキレンエーテル、エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体を好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部配合して得られる。
上記の基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体が0.5重量部未満では導電性が不充分であり、上記の基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体が15重量部を超えると、フィラーのベタツキが強くなり供給性に問題が生じる他、マトリックス樹脂を可塑化する作用が加わり機械特性が低下したり、また、電気特性は良好であるが、成形収縮率が大きく、変形があり、精密な成形品には不向きである。
具体的には、例えば、無機充填材および上記(共)重合体を有機溶媒下で溶解し、ヘンシェルミキサーやリボンミキサーなどを用いて混合させる方法などが挙げられる。
好ましい(共)重合体の重量平均分子量は、1,000〜100,000であり、さらに好ましくは5,000〜50,000である。
本発明の(b)成分は、(c)成分であるLi、Na、Kなどのアルカリ金属イオンとアニオンなどを含むイオン成分を、予め1種以上任意に含有していても構わない。
本発明の組成物において、(b)表面処理無機充填材の使用割合は、(a)成分および(b)成分の合計100重量部とすると、(a)成分20〜80重量部、(b)成分80〜20重量部、好ましくは(a)成分30〜70重量部、(b)成分70〜30重量部、さらに好ましくは(a)成分40〜60重量部、(b)成分60〜40重量部である。(b)成分の配合割合が80重量部を超えると、電気特性は良好であるが、加工性、外観の悪化、機械特性の低下を招く。一方、(b)成分が20重量部未満では、電気特性が不充分である。
(c)金属塩を構成するカチオンは、Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+よりなる群から選ばれる。イオン半径の小さいLi+,Na+が好ましく、特に好ましくは、リチウムLi+である。また、本発明の(c)金属塩の構成要素であるアニオンは、Cl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-よりなる群から選ばれるが、本発明に用いられる好ましいアニオン種は、CF3SO3 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-である。上記好ましいアニオン種は、カチオンの解離を促進させ、より少ない添加量で効果を生じるという利点がある。
上記カチオンおよびアニオンによって構成されている金属塩類は数多くあるが、中でも、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO22、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO22、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド リチウムLi・C(CF3SO23、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウムNa・C(CF3SO23を用いることが好ましい。これらを少量添加するだけで樹脂組成物の固有抵抗が低くなるので、上記効果が一層発揮されることになる。本発明の組成物は、これらの金属塩を少なくとも1種含有する。
上記原料を使用して製造される(c)金属塩成分は、水および/またはアルコール系溶媒100重量部に対し、5〜100重量部溶解して、溶液の状態で(a)+(b)に配合される。配合量は、(a)+(b)=100重量部に対し、(c)金属塩として、好ましくは0.01〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では、充分な導電性、加工特性、表面外観の改善を得ることが難しく、一方、20重量部を超えると、得られる組成物の粘度が著しく増大し、成形加工が困難となるほか、樹脂の機械特性、熱安定性を損なったり、物理的特性の低下を招く。
(d)水および/またはアルコール系溶媒としては、水を主な成分として含む溶媒系、水単独を溶媒として使用したもの、一般的な水,純水、蒸留水、またはイオン交換水などが挙げられる。また、アルコール系溶媒とは、アルコールを主な成分として含む溶媒系を意味し、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどのC1〜C4アルコールが挙げられる。水とアルコール系溶媒を併用してもよい。また、これらの溶媒には、アセトンなどの親水性(特に水溶性)有機溶媒を添加してもよい。
本発明に用いられる(C)成分を溶解する(d)水および/またはアルコール系溶媒の溶液は、本発明の組成物において、金属塩の溶解性、解離安定性、電気伝導性の促進に効果がある。
本発明の第2の組成物である溶媒の除去された組成物は、(a)成分と(b)成分に、(c)金属塩の溶液を配合した制電性樹脂組成物を溶融混練して、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去して得ることができる。
溶融混練は、通常の熱可塑性樹脂の混合、混練に用いられる通常の装置、設備を用いて問題なく行える。
具体的には、タンブラー、ヘンシェルミキサーなどの予備混合機に、(a)〜(c)成分溶液、その他の成分を仕込み、均一に混合する。その後、混合物を押し出し機に供給して溶融混練し、ダイから押し出すとともにペレタイザーによりペレット化する。押し出し機としては、ベント付きの単軸、二軸異方向、二軸同方向押し出し機が望ましい。また、押し出し機に代えて、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、タンブラー、コニーダーなどの混練機を用いても良い。
混練の温度としては、100〜280℃が好ましく、さらに好ましくは120〜250℃である。
水および/またはアルコール系溶媒へ溶解した電解質はコンパウンドを製造する過程で添加されるが、このような電解質溶液を含む組成物を加温加圧により溶融混練すると、この工程で選択的に水アルコール系溶媒だけが除去されるので、移行性が著しく改善される。また、水、アルコール系溶媒はコンパウンドを製造する過程で揮発除去が完全にできず、微量が残っていても、成形加工時にはほとんどが系外に除去されるため接触移行性が著しく改善される。
本発明の制電性樹脂組成物には、この他本発明の目的を損なわないかぎり、その他の無機充填材、安定剤、着色剤、強化用ゴム、エラストマー成分、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)剤、金属粉などの添加剤を目的に応じて任意に配合することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中における部および%は、特に断らない限り、重量基準である。
実施例および比較例に用いた各種成分は、以下のとおりである。
(a)熱可塑性樹脂;
ポリプロピレン樹脂:東ソ−(株)製、商品名ブロックPP、PN640(表中では「PP」)
(b)成分;
炭酸カルシウム表面へアルキレンエーテル重合体をグラフトしたもの:(株)ファイマテック製、商品名AFF−EML33re11、平均粒子径1.0μm(表中では「フィラー−A」)
炭酸カルシウム表面へアルキレンエーテル重合体をグラフトし、塩素系Li塩(塩化リチウム)を配合したもの:(株)ファイマテック製、商品名AFF−EML33、平均粒子径1.0μm、Li塩量3%(表中では「フィラー−B」)
炭酸カルシウム表面へアルキレンエーテル重合体をグラフトしていないもの:(株)ファイマテック製、商品名AFF−95、平均粒子径0.9μm(表中では「フィラー−C」)
(c)成分;
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム:Li・N(CF3SO22
(c)成分を調合する為;(d)蒸留水、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル(旭電化製)を用いた。
実施例1〜11、比較例1〜19(組成物ペレットの調製)
表1〜3の配合処方に従い、表1〜3に示す(a)熱可塑性樹脂、(b)成分、および(d)水および/またはアルコール系溶媒で調合した(c)成分をタンブラーミキサーにより予備ドライブレンドし、47mm同方向2軸押し出し機により180〜220℃で溶融混合した。押し出し機のダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を、水槽にて冷却処理し、カッターに通して制電性樹脂組成物のペレットを調製した。この製造過程において(d)水および/またはアルコール系溶媒で調合した(c)成分は、2軸押し出し機により180〜220℃で溶融混合することにより、(d)水および/またはアルコール系溶媒の溶媒だけが揮発除去された。
評価用試験片の調製;
上記調製したサンプルペレットを使用して、型締め圧力80ton/cm2の射出成形機により射出成形し、幅6×長さ6×厚み0.3(cm)の試験片プレートを成形した。成形条件は、シリンダー温度180〜220℃、金型温度40〜60℃で行った。
体積固有抵抗値
上記調製した試験片を用い、三菱化学(株)製、ハイレスタにて、ASTM D257に準じて測定を行った。
体積固有抵抗値のバラツキ
体積固有抵抗値の測定時、試験片プレートの位置を変えて測定した時に体積固有抵抗がバラツクものをバラツキ「有り」。試験片プレートの位置を変えて測定しても体積固有抵抗値が一定であり安定したものをバラツキ「なし」と評価した。
接触移行性の評価
接触体としては、染料系着色剤として、オリエント化学(株)製OPLAS RED330を試験片プレート表面上に載せ、以下の条件にて処理した。
25℃×相対湿度50%×24時間
30℃×相対湿度80%×24時間
40℃×相対湿度80%×24時間 で放置した後、着色剤を除去し、試験片プレート表面上の汚染状態を以下にて判定した。
試験片プレート表面への着色剤成分の移行について以下のように評価した。
明確に強く認められる;×
僅かに認められる;△
視認し難いレベル;○
認められない;◎
○、◎が使用できるレベルである
成形加工性、表面外観
上記調製した試験片プレートの成形性表面外観の判定を、目視にて行った。ショートショット、表面肌荒れ、ジェッティングマーク、シリンダー内10分滞留による色焼け(黄変)などの不具合について、下記基準で評価した。
×:2つ以上の不具合が存在する。
△:不具合が一つ存在する。
○:使用できるレベル。
◎:不具合が全く存在しない。















Figure 0004451639




Figure 0004451639





Figure 0004451639
本発明の制電性樹脂組成物は、その優れた特性を生かし、OA機器、家電分野、電気・電子分野、車両分野、その他の各種パーツ、ハウジング、パッケージなどに好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. (a)熱可塑性樹脂および/または未加硫ゴム20〜80重量部、(b)表面がポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体で被覆された無機充填材80〜20重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕、ならびに下記の(c)金属塩5〜100重量部を(d)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、(a)+(b)=100重量部に対して金属塩として0.01〜20重量部となるように配合したことを特徴とする制電性樹脂組成物。
    (c)金属塩:Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+よりなる群から選ばれるカチオンならびにF - NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-および(CF3SO23-よりなる群から選ばれたアニオンとによって構成される金属塩
  2. 請求項1記載の制電性樹脂組成物から水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去したことを特徴とする制電性樹脂組成物。
  3. (c)成分が、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の制電性樹脂組成物。
  4. (a)熱可塑性樹脂および/または未加硫ゴム20〜80重量部、(b)表面がポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体で被覆された無機充填材80〜20重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕に、下記の(c)金属塩5〜100重量部を(d)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、(a)+(b)=100重量部に対して金属塩として0.01〜20重量部となるように配合した後、該配合物を溶融混練して(d)水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去したことを特徴とする請求項2記載の制電性樹脂組成物の製造方法。
    (c)金属塩:Li + 、Na + 、K + 、Mg 2+ およびCa 2+ よりなる群から選ばれるカチオンならびにF - ,NO 3 - ,SCN - ,ClO 4 - ,CF 3 SO 3 - ,BF 4 - ,(CF 3 SO 2 2 - および(CF 3 SO 2 3 - よりなる群から選ばれたアニオンとによって構成される金属塩
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