JP4515737B2 - 制電性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、制電性樹脂組成物に関し、さらに詳細には、高い静電気消散機能を有し、かつ制電性フィラーの分散性が優れ、持続性、成形加工性、成形外観、環境安定性に優れた制電性樹脂組成物に関するものである。
制電性樹脂は、産業界において広く普及し、さまざまな用途に利用されている。この制電性樹脂としては、例えば、各樹脂に対してカーボンブラックなどの導電性フィラーを高充填した組成物があり、経済性に優れることもあって、産業界を中心として広く利用されている。
ところで、近年、制電性樹脂およびその組成物は、ICチップの包装関係に普及し、材料のバリエーションも汎用プラスチックスからエンジニアリングプラスチックスに至るまで多様化している。また、用いられる導電性充填材も、カーボンブラック以外に、炭素繊維、黒鉛、金属コートフィラー、金属繊維などが、目的および機能に応じて広く使い分けられている。ICチップの包装に使用されるICトレイなどの素材としての制電性樹脂組成物は、軽量化、薄肉化、コンパクト化が検討されるようになり、強度と高い剛性が求められる傾向にある。さらに、ICの種類の識別などを目的として、トレイ、キャリアテープにも着色性などの意匠性の要求もある。
このような要求に対し、制電性フィラーとして汎用されているカーボンブラックは、経済的であり、抵抗値の低いものが得られるが、黒色に限定されるのと、一般的には加工性や材料強度などに問題があることから、通常は種々の改質材と共に複合化されて使用されている。
さらに、近年、ICやLSIなどの高性能化と大容量化によってトレイなどの包装用途や周辺機器に使用される高分子素材に求められる電気特性としては、体積固有抵抗値が1010Ω・cm未満の特性が安定して求められるようになり、いわゆる従来の帯電防止領域の水準では充分ではなくなっているほか、静電気を利用した電子写真システム、複写機、プリンター装置などの普及により比較的高い体積固有抵抗値を使用環境の影響(多湿雰囲気、低湿雰囲気)に左右されず、安定的に発現させる高分子素材も求められるようになっている。
また、帯電防止剤を含有した制電性樹脂組成物も広く普及しており、さまざまな用途に応用されている。帯電防止剤には、表面にブリードさせて機能を持たせる界面活性剤型のものと、いわゆる高分子型と称する、親水性セグメントを構造中に有する親水性高分子材料を、ポリマーアロイ化することによって機能を発現させるものがある。
界面活性剤型は、樹脂組成物中に含有されている界面活性剤の表面への移行によって帯電防止を図るものであるが、表面の払拭、洗浄によって制電性効果が失われたり、表面汚染、持続性の問題があるほか、満足のいく体積固有抵抗値は得られない。
一方、高分子型は、熱可塑性樹脂に対し、親水性高分子をポリマーアロイ化することによって、永久的な制電性能を付与するものであり、産業上の利用価値が高い。しかしながら、高い制電機能を発現させようとすると、アロイ化するために必要な高分子型帯電防止剤の量が多くなるため、経済的に問題となる場合がある。高分子型帯電防止剤は一般的に親水性セグメントを有しているものが多く、柔軟性を有するものが多いため、アロイ化することにより、得られる制電性樹脂材料の剛性が低下し、成形品の変形が生じる他、柔軟性を有する高分子合成ゴム、エラストマーのような高分子素材への添加では、得られる制電性のバラツキが大きく、適用が難しい問題がある。
さらに、従来知られている上記界面活性剤型、高分子型帯電防止剤を使用して得られる制電性樹脂組成物は、いずれも、その体積固有抵抗値が1010〜1012Ω・cmの範囲がほとんどであるため、目的を充分に満足し得ない場合が多い。
また、予め帯電防止剤を表面処理したフィラーを含有する制電性樹脂組成物(例えば、特許文献1)があるが、体積固有抵抗値の低減が充分ではなく、帯電防止剤がフィラ−から分離しブリードアウトする問題がある。
さらに、高分子型帯電防止剤として、片末端にアルキル基またはアルキル置換フェニル基を有し、エチレンオキシド基を有するポリ(オリゴ)エチレングリコールの末端基が、メタクリロイル基、またはアクリロイル基によりエステル化されたメタクリレートまたはアクリレートなどが挙げられている(特許文献2)。上記片末端のアルキル基は、炭素数1〜25の直鎖または分岐のものが用いられている。同公報では、これらの親水性高分子によってフィラーの表面がコーティング処理されたものや、さらにこの高分子中にリチウム塩などが溶解されたものが提案されているが、リチウム塩として塩化リチウム塩などの塩素系が用いられているため、塩素系イオンによる接触機材の腐食、高分子の劣化、環境安定性、着色の問題がある。
さらに、同公報(特許文献2)には、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム塩が用いられているものも開示されている。同公報記載の発明では、導電性は良好であるものの、目的の導電性を得るために必要なこのようなフィラーの充填には、50〜60重量%以上の高添加量を必要とするため、高充填による加工性、機械特性の低下、成形品の表面外観の悪化、着色性(黄変)、材料の熱劣化、環境安定性などの問題がある。
特開昭56−136849号公報 特開平11−256144号公報
解決しようとする課題は、従来の制電性樹脂組成物は、少量の帯電防止剤の添加では体積固有抵抗値を低く保つことができず、また、湿度により表面固有抵抗値、体積固有抵抗値が変化してしまい、かつロット間でのバラツキが大きく、成形加工性、表面外観、持続性、環境安定性に問題があったことである。
本発明は、(A)熱可塑性高分子化合物および/または未加硫ゴム 20〜80重量部、
(B)表面をポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体で被覆した無機充填材 20〜80重量部[ただし、(A)+(B)=100重量部]に対し、
(C)極性基を有する熱可塑性樹脂 [ただし、(A)成分を除く]3〜40重量部、
を配合したことを特徴とする制電性樹脂組成物に関するものである。
ここで、(C)成分としては、(C−1)オレフィン成分を主体とするブロック(α)と親水性成分を主体とするブロック(β)とを有するブロックコポリマーおよび/またはグラフトコポリマー、(C−2)ポリエーテルエステルアミド、ならびに(C−5)ポリウレタンエラストマーの群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
本発明は、上記の制電性樹脂組成物に、さらに、(D)アルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオン、およびアニオンによって構成されている金属塩 0.0001〜20重量部[ただし、(A)+(B)=100重量部に対し]を配合した制電性樹脂組成物に関するものである。
ここで、(D)成分としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドの群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
本発明は、上記の制電性樹脂組成物に、さらに、(E)エステル基およびまたはエーテル基を有する分子量1,500以下の有機化合物を、(D)成分100重量部に対し、100〜5,000重量部配合した制電性樹脂組成物に関するものである。
ここで、(E)成分としては、(E−1) −{O(AO)n}−基(ここで、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3 基である有機化合物、(E−2)下式(1)で表わされる有機化合物、ならびに(E−3)下式(2)で表わされる有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
R−(Y−Z)n−Y−R ・・・(1)
X−(Z−Y)n−Z−X ・・・(2)
〔式(1)〜(2)中、Rは脂肪族アルコキシ基、脂環式アルコキシ基または芳香族アルコキシ基、Yは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または芳香族ジカルボン酸残基、Xは脂肪酸残基またはベンゼンモノカルボン酸残基、Zは炭素数2〜18のアルキレングリコール残基、nは0以上の整数を示す。〕
本発明の制電性樹脂組成物は、少量の帯電防止剤の添加でも体積固有抵抗値を低く保つことができ、また、湿度により表面固有抵抗値、体積固有抵抗値が変化せず、かつロット間でのバラツキが少なく、成形加工性、表面外観に優れ、持続性、環境安定性に優れている。その優れた特性を生かし、OA機器、家電分野、電気・電子分野、車両分野、筆記用具分野、建材分野、保安分野、およびこれら分野の部品、その他の各種パーツ、ハウジング、パッケージなどに好適に使用することができる。
(A)成分
本発明の組成物に用いられる(A)熱可塑性高分子化合物や未加硫ゴムは、いかなるものでもよい。このうち、熱可塑性高分子化合物には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーが含まれる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)などのポリスチレン系樹脂;アクリレート/メタクリレート系樹脂などの、ビニルモノマー重合体または共重合体;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などの、ポリα−オレフィン;プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などの、α−オレフィンどうし、またはα−オレフィンと他のモノマーとの共重合体;その他のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステルおよび脂肪族系ポリエステル;液晶ポリエステル;ポリフェニレンオキシドなどの芳香族ポリエーテル;ポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのスルホン系ポリマーなどが挙げられる。
また、熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどの有極性エラストマー、ポリオレフィン系、ポリスチレン系〔芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体を基本とする誘導体(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS))、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)などの無極性型エラストマーなども使用可能である。
未加硫ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(AR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなども適用可能である。
これらの熱可塑性エラストマーや未加硫ゴムには可塑剤やプロセス油などの加工油が含まれていてもよい。
本発明においては、上記の熱可塑性高分子化合物および/または未加硫ゴムの中から1種または2種以上が目的に応じて適宜選択される。なかでも、成形性の点から、熱可塑性高分子化合物としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂などのビニルモノマー重合体または共重合体;ポリプロピレン、結晶性プロピレン・エチレン共重合体や結晶性プロピレン・ブテン−1共重合体などの結晶性プロピレン共重合体、ナイロン、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましく、特にポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂などのビニルモノマー重合体または共重合体が好ましい。未加硫ゴムとしては、NBR、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、EPDM、AR、SBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどが好ましい。また、ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)との複合系樹脂(PC/ABS系アロイ)やポリカーボネートとポリスチレンとの複合系樹脂(PC/PS系アロイ)の様に2種以上の樹脂を組み合わせて用いることもできる。この場合、成形性、機械特性の向上が見られる。
さらにまた、耐熱性の点からは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリイミド、芳香族ポリエーテルなどが好ましい。
(B)成分
(B)成分は、表面処理無機充填材であって、無機充填材の表面が、ポリアルキレンエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体に、表面コートもしくはグラフト結合され、被覆されたものである。
本発明の無機充填材は、特に限定されるものではなく、公知の無機充填材を使用可能であるが、なかでも炭酸カルシウム、タルク、雲母、ガラス、珪酸カルシウム、セリサイト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モンモリロナイト、ゼオライト、酸化チタン、カオリンなどが、良好に使用可能である。また、無機充填材の形態は特に限定されるものではなく、粒子径の小さなものから繊維状、テトラポット状、鱗片状などのアスペクト比の大きな形状のものまで使用可能である。
上記無機充填材の表面処理に使用される(共)重合体は、アルキレンエーテル、エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体であり、好ましくはポリアルキレンエーテル、ポリエステルである。上記(共)重合体は、有極性官能基であるエステル基、エーテル基、水酸基、アミン基、カルボニル基、エポキシ基、スルホン酸基や、無極性基であるアルキル基、アルキル基置換フェニル基を、骨格中に有していてもよい。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体は、様々な合成方法によって得られ、その形態にも様々のものがあるが、その例として、末端水酸基を有する直鎖状または分岐状ポリマーポリオールタイプ、およびまたはそれらの末端水酸基がメチル基、エチル基、t−ブチル基などでキャップされたタイプが挙げられる。
上記直鎖状ポリマーポリオールとして、例えば、末端が水酸基を有し、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびブタンジオールの群から選ばれた少なくとも1種の化合物を構成成分として有する直鎖状ブロック共重合体を骨格として有する直鎖状ポリマーポリオールが挙げられる。
また、上記分岐状ポリマーポリオールとして、例えば、エチレンオキサイド系構成成分の含有率が10モル%〜50モル%であり、ケン化度30〜100%、数平均分子量1,000〜20,000、エチレン単位含量が1〜90重量%であるエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体ケン化物へ、アルキレンオキサイドをグラフトした分岐状ポリマーポリオールが挙げられる。
上記エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体の製造方法については特に制限はなく、公知の方法、例えば高圧ラジカル重合法などにより製造し得る。
エチレンモノマーとの共重合原料である飽和カルボン酸のビニルエステルとしては、特に限定はないが、炭素数が2〜4程度の脂肪族カルボン酸のビニルエステルが好ましく、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどが挙げられ、またこれらは適宜混合して使用することもできる。これらの中では酢酸ビニルが最も好ましい。
また、共重合原料としては、エチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルのほかに、少量のα,β-不飽和カルボン酸のアルキルエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどおよびこれら2種以上の混合物などを用いることもできる。エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のエチレン含有量は、通常、1〜90重量%程度、好ましくは40〜80重量%程度である。
また、数平均分子量は、通常、1,000〜20,000程度、好ましくは1,000〜10,000程度である。
エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のケン化反応についても、その方法に特に制限はなく、例えばエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体とアルコールをアルカリ触媒の存在下で加熱してケン化し、アルコールを除去後アルキレンオキサイドを導入し、グラフトする方法が挙げられる。
また、ケン化方法としては、用いるエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体の分子量、飽和カルボン酸ビニルエステルの含有量などに起因する特性に応じて、アルコールとの不均一液相系、アルコール溶液系、アルコール中ペレット分散系などが適宜採用できる。ケン化率は、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体の飽和カルボン酸ビニルエステル含量によっても変わり、特に限定されないが、通常、30〜100%程度、好ましくは50〜100%程度である。
また、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体ケン化物へのアルキレンオキサイドの付加方法については特に制限はないが、該ケン化物に、アルキレンオキサイドを気体状で反応させることが一般的である。
アルキレンオキサイドとしては特に限定はないが、通常、炭素数が2〜4程度のものが好ましく、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、環状エーテルである共重合体変性物などが挙げられる。中でも、エチレンオキサイドが、好ましく使用される。アルキレンオキサイドは、2種以上使用することもでき、この場合ブロック付加してもランダム付加しても良い。
アルキレンオキサイドの付加量は、特に限定はないが、ケン化物100重量部に対して、通常、20〜1,000重量部程度、好ましくは50〜500重量部程度である。
エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体ケン化物のアルキレンオキサイド付加物は、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体をケン化して飽和カルボン酸ビニルエステルの一部もしくはすべてをビニルアルコール構造に変化させたものに、アルキレンオキサイドをグラフトすることにより製造したものであり、主鎖がポリエチレン単位、側鎖がポリオキシアルキレン単位を有した構造と推定される。
本発明で用いるエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体としては、市場入手性、価格などからエチレン・酢酸ビニル共重合体が特に好適であり、酢酸ビニル単位含有量5〜50重量%、数平均分子量が1,000〜5,000のものが、バルクケン化反応が容易なことからより好適である。
エチレン・酢酸ビニル共重合体のケン化率は、30〜100%の範囲が樹脂との相溶性のよいものを得るうえで好ましい。エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物へのエチレンオキサイド付加量は、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物に対して50〜1,000重量%であることが、樹脂との相溶性、帯電防止性の効果の面でより好ましい。
上記分岐状ポリマーポリオールとして、末端が水酸基を有するポリマーポリオールであって、3官能ポリオール構造へアルキレンオキサイドをグラフトして得られる分岐状ポリマーポリオールも、使用可能である。3官能ポリオール構造の3官能ポリオールとしては、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンなどのトリヒドロキシ芳香族化合物、グリセリン1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンなどの脂肪族トリオール、トリエタノールアミンなどのトリアルコールアミン類などが挙げられる。
これらの重合体は、例えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、クロロホルムなどのハロゲン類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類などが挙げられるがこれに限定されない。これら有機溶媒中においてイソシアネートなどの架橋剤を用いて重合する方法や、3官能ポリオール、アルキレンオキサイドを熱可塑性樹脂と溶融ブレンドして反応させ重合する方法によって容易に得ることができる。なお、アルキレンオキサイドとしては、特に限定はないが、通常、炭素数が2〜4程度のものが好ましく、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、環状エーテルである共重合体変性物などが挙げられる。
上記分岐状ポリマーポリオールとしては、スチレン・無水マレイン酸共重合体とポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルとの反応によって得られる分岐状ポリマーポリオールも、使用可能である。
例えば、スチレン・無水マレイン酸共重合体の数平均分子量が1,000〜400,000で、無水マレイン酸に対するスチレンの共重合モル比が1/1〜1/9であり、さらにポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの数平均分子量が100〜5,000であり、該ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルが下記式(3)で示される分岐状ポリマーポリオール
1O−(CH2−CH−O)m−H
│ ………(3)
2
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基、mは5〜100の整数を示す。)などが挙げられる。ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルとしては、単独のみならず、2種以上〔例えば、式(3)においてR2が水素のものとメチル基のもの〕であっても良い。中でもポリエチレンオキシドモノメチルエーテルが、反応性の面で好ましい。
上記分岐状ポリマーポリオールとして、ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの末端水酸基とスチレン・無水マレイン酸共重合体の酸無水物基との反応によって、ポリスチレンを主鎖としてポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルを側鎖とする櫛形ポリマーポリオールも挙げられる。上記櫛形ポリマーポリオールにおいて、ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの数平均分子量は、100未満では、ポリマーポリオール自体がもつ帯電防止機能が不充分となり、一方、5,000を超えるとスチレン・無水マレイン酸共重合体との反応性が劣る。式(3)のR1の炭素数が4を超えると、イオン伝導性が劣る。
これらの重合物に用いられるポリエーテルにおけるエチレンオキサイドの含有率は、10モル%〜50モル%であることが望ましい。50モル%を超えると結晶化などが起こり固体状となり取扱いが困難となり、一方、10モル%未満では(C)、(D)成分の溶解が不充分となるほか、電気特性が低下する。
また、鎖延長剤として、芳香族イソシアナート、脂肪族イソシアナートなどで反応させて延長され得られる直鎖状または分岐状ポリエーテルブロック共重合型ポリマーポリオールも、使用可能である。このような構造体の例としては、セグメント化ポリウレタンエラストマーなどを挙げることができる。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体としては、上記で説明した分岐状ポリマーポリオールのほかに、ハードセグメント、ソフトセグメントからなるエラストマー骨格のものも、使用可能である。例えば、ポリエステルエラストマー構造のものであり、ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートなどに対し、ソフトセグメントとしてポリエーテル構造を有するポリエステル/ポリエーテル型、またはソフトセグメントとしてポリエステル構造を有するポリエステル/ポリエステル型に代表されるエラストマーである。
上記ポリエステル/ポリエーテル型は、例えばテレフタル酸ジメチルと1,4ブタンジオールならびにポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを出発原料として、エステル交換反応、重縮合反応によって合成されるものである。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、ポリアミドエラストマーも使用可能である。ポリアミドエラストマーとは、ポリアミド拘束相と、ソフトセグメントとしてポリエーテルおよび/またはポリエステル構造を有する熱可塑性エラストマーの総称である。例えば、ポリアミド拘束相としてPA(ポリアミド)12成分を用いたポリアミドエラストマーは、ラウリルラクタム、ジカルボン酸、およびポリエーテルジオールを原料とし、ラクタム開環触媒としての水を加えて、加圧加熱下の反応でカルボキシルテレケリックナイロン12オリゴマーを得て、次にポリエーテルジオールとの縮合反応によって得られる。ポリアミド拘束相としては、このほかPA(ポリアミド)6なども用いられる。
本発明に使用できるポリアミドエラストマーは、基本構造的にはポリエステルブロックポリアミドエラストマー、ポリエーテルエステルブロックポリアミドエラストマーである。構成要素として使用されるジオールの種類などによって様々な特性を持ったポリアミドエラストマーが使用できる。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、脂肪族ポリエステルも使用可能である。脂肪族ポリエステルは、工業的には、脂肪族ジカルボン酸と過剰のジオールを出発原料として脱水重縮合反応および脱ジオール反応によって合成されるもの、カプロラクトンの開環重合などによって合成されるものなどが挙げられる。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステルの構造としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどの、コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合物、コハク酸およびアジピン酸と1,4−ブタンジオールの3元系縮合物からなるものが挙げられる。また生分解性の機能を損わない範囲で、機能性の改質を目的とし、イソシアネート基、ウレタン基、芳香族環といった反応基や骨格を構造中に導入したり、あるいはポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのような種々の共重合体も用いることができる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートおよびその共重合体など、各種高分子量タイプが工業生産されている。脂肪族ポリエステルには、生分解性機能がある市販品を用いることができ、例えば、ポリブチレンサクシネートアジペートである昭和高分子(株)製、生分解性脂肪族ポリエステル、商品名ビオノーレ、ポリカプロラクトンであるダイセル化学工業(株)製、商品名CELGREEN PH7などがあるが、用途や特性に応じた樹脂を任意に選定することができる。
脂肪族ポリエステルとして、一般的にはガラス転移点が30℃以下のものを用いることが好ましい。30℃を超えると、充分な制電性を得ることができなくなることがある。
アルキレンエーテルおよび/またはエステルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体として、ポリエーテル系アミド樹脂も、使用可能である。
上記ポリエーテル系アミド樹脂は、ポリエーテルセグメントを有する高分子の非イオン系界面活性剤の1種であり、具体例としてはポリエーテルエステルアミド樹脂、ポリエーテルアミドイミド樹脂などが挙げられる。具体的には、エチレングリコール・アミド共重合体、エチレングリコール・メタクリレート共重合体、エチレングリコール系・エステルアミド共重合体など、エーテルセグメントとアミドセグメントを共重合した制電性エラストマーである。中でも、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物および/またはポリオキシアルキレングリコールから誘導されるポリエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。
アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体としては、ポリアクリロニトリル、トリアジソジチオール化合物と脂肪族ジハライドとの重縮合反応によるポリスルフィド系熱可塑性エラストマー、ポリウレア樹脂の主原料として用いられるポリアミンや非タンパク性脂肪族化合物などが挙げられる。
なお、無機充填材の表面処理に使用される(共)重合体のガラス転移点(Tg)は、好ましくは40℃以下、さらに好ましくは25℃以下である。Tgが40℃を超えると、通常の使用環境下では充分な導電性を得ることができない。
好ましい(共)重合体の重量平均分子量は、1,000〜100,000であり、さらに好ましくは5,000〜50,000である。
アルキレエーテル、エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体による無機充填材の表面処理方法は、特に限定されるものではない。
例えば、特開平10−176079号公報などに例示されている、無機充填材の表面を水溶性カチオン系、アニオン系高分子界面活性剤によって処理する方法が使用できる。
上記水溶性カチオン系、アニオン系高分子界面活性剤としては、第1、2、3級アミン塩型カチオン系低分子、高分子界面活性剤および第4級アンモニウム塩型カチオン系低分子界面活性剤、または高分子界面活性剤が挙げられる。
本発明の(B)成分を得る場合、例えば、無機充填材100重量部に対し、アルキレンエーテル、エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体を好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部配合して得られる。
上記の(共)重合体の量が0.5重量部未満では、導電性が不十分であり、一方、上記(共)重合体が15重量部を超えると電気特性は良好であるが、フィラーのベタツキが強くなり供給性に問題が生じるほか、マトリックス樹脂を可塑化する作用が加わり、成形収縮率が大きく、変形があり、機械特性が低下し、精密な成形品には不向きである。
上記の(共)重合体で無機充填材を被覆する場合、具体的には、例えば、表面を水溶性カチオン系、アニオン系高分子界面活性剤によって処理された無機充填材および上記(共)重合体を有機溶媒下で溶解し、ヘンシェルミキサーやリボンミキサーなどを用いて混合させる方法などが挙げられる。
このようにして得られる表面が上記の(共)重合体で被覆された無機充填材の平均粒径は0.05〜10.0μmが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0μm、さらに好ましくは0.3〜2.0μmである。粒径が0.05μm未満の場合や、10.0μmを超える場合では、無機充填材の製造性や樹脂組成物中での分散性に問題がある。
本発明の(B)成分は、必要に応じて配合される(D)成分であるLi、Na、Kなどのアルカリ金属イオンとアニオンなどを含むイオン成分を、予め1種以上任意に含有していても構わない。
本発明の組成物において、(B)表面処理無機充填材の使用割合は、(A)成分および(B)成分の合計を100重量部とすると、(A)成分20〜80重量部、(B)成分80〜20重量部、好ましくは(A)成分30〜70重量部、(B)成分70〜30重量部、さらに好ましくは(A)成分40〜60重量部、(B)成分60〜40重量部である。(B)成分の配合割合が80重量部を超えると、電気特性は良好であるが、加工性、外観の悪化、機械特性の低下を招く。一方、(B)成分が20重量部未満では、電気特性が不充分である。
(C)成分
本発明の組成物に用いられる(C)極性基を有する熱可塑性樹脂は、使用される(A)成分以外の、分子構造内に極性基を有するものであればいかなるものでもよい。なかでも、(C−1)オレフィン成分を主体とするブロック(α)と親水性成分を主体とするブロック(β)とを有するブロックコポリマーおよび/またはグラフトコポリマーや、熱可塑性エラストマーが好ましい。例えば、(C−2)ポリエーテルエステルアミド樹脂、(C−3)ポリエステルエラストマー、(C−4)脂肪族ポリエステル、(C−5)ポリウレタンエラストマー、および(C−6)ポリアミドエラストマーなどが挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
(C−1)成分
オレフィン成分を主体とするブロック(α)と親水性成分を主体とするブロック(β)とを有するブロックコポリマーおよび/またはグラフトコポリマーである。該(C−1)コポリマーは、ブロック(α)とブロック(β)とが、好ましくはエステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合およびイミド結合よりなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合した構造を有する。該(C−1)コポリマーは公知であり、例えば、特開2001−278985号公報に記載されているものを使用することができる。市販品として、例えば、ペレスタット300(商標、三洋化成工業株式会社製)が使用できる。
(C−1)コポリマーを構成するオレフィン成分を主体とするブロック(α)としては好ましくは、カルボニル基(好ましくは、カルボキシル基、以下同じ。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(α1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(α2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(α3)、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(α4)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(α5)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(α6)、またはカルボニル基をポリマーの主鎖から分岐するかたちで導入したポリオレフィン(α7)などを使用し得る。これらのうち、変性のし易さから、カルボニル基を有するポリオレフィン(α1)および(α4)がより好ましい。
(α1)としては、両末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(含有量50重量%以上、好ましくは75重量%以上)とするポリオレフィン(α0)の両末端にカルボニル基を導入したものが用いられる。
ここで、(α0)としては、炭素数2〜30のオレフィンの1種または2種以上の混合物(好ましくは炭素数2〜12のオレフィン、特に好ましくはプロピレンおよび/またはエチレン)の重合によって得られるポリオレフィン、および高分子量のポリオレフィン(好ましくは炭素数2〜30のオレフィン、より好ましくは炭素数2〜12のオレフィンの重合によって得られるポリオレフィン、特に好ましくはポリプロピレンおよび/またはポリエチレン)の熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィンが挙げられる。
(α2)としては、(α0)の両末端に水酸基を導入したものが用いられる。
(α3)としては、(α0)の両末端にアミノ基を導入したものが用いられる。
(α4)としては、片末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(含有量50重量%以上、好ましくは75重量%以上)とするポリオレフィン(α00)の片末端にカルボニル基を導入したものが用いられる。
(α5)としては、(α00)の片末端に水酸基を導入したものが用いられる。
(α6)としては、(α00)の片末端にアミノ基を導入したものが用いられる。
(α7)としては、(α00)の主鎖から分岐した形でカルボニル基を導入したものが用いられる。
親水性成分を主体とするブロック(β)としては、ポリエーテル含有親水性ポリマー、好ましくは、ポリエーテルセグメントを有するもの、ポリエーテルエステルセグメントを有するもの、ポリエーテルアミドセグメントを有するもの、ポリエーテルエステルアミドセグメントを有するものが使用できる。
ブロック(β)の体積抵抗率(後述のΑSTM D257に準じて測定される値)は、好ましくは1×105〜1×1011Ω・cm、より好ましくは1×106〜1×109Ω・cmである。体積抵抗率が1011Ω・cmを超えると帯電防止性が低下する。
(C−2)ポリエーテルエステルアミド;
本発明の(C−2)ポリエーテルエステルアミドは、ポリエーテルセグメントを有する高分子の非イオン系界面活性剤の1種である。(C−2)ポリエーテルエステルアミドの具体例としては、ポリエチレングリコール・ポリアミド共重合体、ポリエチレングリコール系ポリエステルアミド共重合体などポリエーテルセグメントを有する制電性エラストマーが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
好ましくは、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物および/またはポリオキシアルキレングリコールから誘導されるポリエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。
(C−3)ポリエステルエラストマー;
本発明の(C−3)成分であるポリエステルエラストマーとは、分子内のハードセグメントとしてポリエステルを、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテルまたはポリエステルを用いた、マルチブロックコポリマーである。(C−3)成分としては、ハードセグメントとして、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用いたポリエステル/ポリエーテル型、ハードセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いたポリエステル/ポリエステル型などが挙げられる。
ポリエステル/ポリエーテル型は、例えばテレフタル酸ジメチルと1,4ブタンジオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを出発原料として、エステル交換反応、重縮合反応によって合成されるものである。また、ポリエステル/ポリエーテル型は、テレフタル酸ジメチルと1,4−ブタンジオールおよびε−カプロラクトンなどを出発原料として、エステル交換反応、開環反応によっても合成することができる。
本発明の(C−3)成分としては、通常のポリエステルエラストマーが全て使用でき、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
C−4)脂肪族ポリエステル
本発明の(C−4)成分である脂肪族ポリエステルは、生分解性として一般的に市販されているものも用いることができる。例えば、昭和高分子(株)より販売されている商品名ビオノーレ(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート)やダイセル化学工業(株)より販売されているセルグリーン(ポリカプロラクトン)などが挙げられるが、用途や特性に応じた樹脂を任意に選定することができる。工業的には、脂肪族ジカルボン酸と過剰のジオールを出発原料として、脱水重縮合反応および脱ジオール反応によって合成されるものなどが挙げられる。このような脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートおよびその共重合体が一般的であり、各種高分子量タイプが工業生産されている。
本発明に好適に用いられる(C−4)脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート(コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合物)、ポリブチレンサクシネートアジペート(コハク酸およびアジピン酸、ならびに1,4−ブタンジオールの3元系縮合物)などが挙げられる。
また、本発明の(C−4)脂肪族ポリエステルには、イソシアネート基、ウレタン基といった反応基を構造中に導入することも可能である。さらに、本発明の(C−4)脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのような種々の共重合体を用いることもできる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
(C−5)ポリウレタンエラストマー
本発明のポリウレタンエラストマー(C−5)とは、ウレタン基を持つ熱可塑性エラストマーであり、ソフトセグメントとして長鎖グリコールとイソシアネートの反応で得られるポリウレタンと、ハードセグメントとして短鎖グリコールとイソシアネートからなるポリウレタンとの、直鎖状のマルチブロックコポリマーであり、必要に応じて、架橋剤(鎖延長剤)も用いられる。
ここで、長鎖グリコールの種類による一般的な分類としては、ポリエーテル系としてポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、あるいはそれらの共重合体が挙げられ、ポリエステル系としてポリアジペート、ポリラクトン、ポリカーボネート、脂肪族系としてポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられる。
また、短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのような脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのような脂環族グリコール、ハイドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルのような芳香族グリコールが、通常、使用される。
一方、上記イソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4′&2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)などが用いられる。
また、上記架橋剤(鎖延長剤)としては、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)などの芳香族ジアミンなどが用いられる。
上記(C−5)ポリウレタンエラストマーは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
(C−6)ポリアミドエラストマー
本発明の(C−6)成分であるポリアミドとは、アミド結合をその繰り返し単位中に有するアミド系樹脂を総称するものであり、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12などや、ポリアミドポリエステル共重合体、ポリアミドポリエーテル共重合体などが挙げられる。
本発明の(C−6)成分であるポリアミドエラストマーとは、ハードセグメントであるポリアミド拘束相と、ソフトセグメントとしてポリエーテル、ポリエステル構造を有する熱可塑性エラストマーの総称である。例えば、ポリアミド(PA)拘束相としてPA12成分を用いたポリアミドエラストマーは、ラウロラクタム、ジカルボン酸、およびポリエーテルジオールを、ラクタム開環触媒としての水を加えて加圧加熱下の反応で、カルボキシルテレケリックナイロン12オリゴマーを得て、次にポリエーテルジオールとの縮合反応によって熱可塑性エラストマーを得る方法が挙げられる。ポリアミド拘束相としては、この他、PA6なども用いられる。
ポリアミドエラストマーは、上記合成方法により、基本構造的には、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー、ポリエーテルエステルブロックポリアミドエラストマーの形態のものとなる。ここで、上記合成方法に使用されるジオールの種類などによって様々な特性を持ったポリアミドエラストマーが得られる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
ポリアミドエラストマーは、高い高温特性と機械特性、耐油性、低温特性などに優れているため、機械部品、自動車部品などの他、スポーツ用品関係など広範囲に使用されている。
また、加工性、特性を改質する目的として、ポリアミド、ポリアミドエラストマーは、他の樹脂とポリマーアロイ、ポリマーブレンドとしての形態で使用することも可能である。
なお、(C)極性基を有する熱可塑性樹脂は、任意にカチオンがLi,Na ,K,Mg,Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属や、イオン解離可能なアニオンなどを含むイオン成分を予め少なくとも1種以上含有していても構わない。
また、(C)成分は、ガラス転移温度が60℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下、より好ましくは、30℃以下である。ガラス転移温度が60℃を超えると、充分な制電性効果を得ることができない。
(C)成分の配合量は上記の(A)および(B)成分の合計量100重量部に対し、3〜40重量部、さらに好ましくは4〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。である。この量が3重量部未満では、環境依存性の少ない制電性能が得られなく、一方、40重量部を超えると機械特性、成形加工性が著しく低下する。
(D)成分
(D)金属塩類のカチオンであるアルカリ金属としては、Li,Na,Kなどが挙げられる。カチオンとしては、イオン半径の小さいLi+,Na+が好ましく、特に好ましくは、リチウムLi+である。また、本発明の金属塩類の構成要素であるアニオンとしては、例えば、Cl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-などが挙げられるが、本発明に用いられる好ましいアニオン種は、ClO4 -,CF3SO3 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-である。上記好ましいアニオン種は、カチオンの解離を促進させ、より少ない添加量で効果を生じるという利点がある。
(D)金属塩類は、必要に応じ配合されるが、その配合量は、(A)および(B)成分の合計量100重量部に対し、0.0001〜20重量部、好ましくは0.001〜10重量部の範囲である。0.0001重量部未満では、充分な導電性を得ることが難しく、一方、20重量部を超えると、樹脂の機械特性、加工特性、熱安定性を損う。本発明では、後記(E)成分に、予め(D)成分を分散安定化させておくことが望ましい。
上記カチオンおよびアニオンによって構成されている金属塩類は数多くあるが、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO22、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO22、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド リチウムLi・C(CF3SO23、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウムNa・C(CF3SO23などを用いることが好ましい。これらを少量添加するだけで樹脂組成物の固有抵抗が低くなるので、上記効果が一層発揮されることになる。本発明の組成物は、これらの金属塩類を少なくとも1種含有する。
中でも、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(E)成分
(E)成分は、エステル基および/またはエーテル基を有する分子量1,500以下の有機化合物であり、必要に応じて用いられる。この(E)成分は、本発明の組成物において、金属塩の溶解性、解離安定性、電気伝導性の促進、加工安定性、表面外観の改良に効果がある。この(E)成分としては、下記の、(E−1〜3)成分があげられる。
(E−1)成分
(E−1)成分として、特に好ましくは、下記一般式(4)で表わされるものであり、下記一般式(4)において、Rが末端にヒドロキシル基を有さないアルキル基であるものが、制電性とブリードのバランスにおいて好ましい。
COO(AO)n

B ・・・・・(4)

COO(AO)n
〔式中、Bは炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキレン基、芳香族を含む2価の炭化水素基、または2価の脂環式炭化水素基を示し、Aはそれぞれ独立して、炭素数2〜4のアルキレン基を示し,Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜9の直鎖または分岐アルキル基を示し、nはそれぞれ独立して、1〜7の整数である。〕
具体的には、下記化学式(5)に示されるビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート〔上記一般式(4)において、Bは炭素数4のアルキレン基、Rは炭素数4の直鎖のアルキル基、Aは炭素数2のアルキレン基、nは2をそれぞれ示す。〕、または下記化学式(6)に示されるビス(2−ブトキシエチル)フタレート〔上記一般式(4)において、Bはフェニル基、Rは炭素数4の直鎖のアルキル基、Aは炭素数2のアルキレン基、nは1をそれぞれ示す。〕である。
COO(CH2CH2O)2(CH23CH3

(CH24 ・・・・・(5)

COO(CH2CH2O)2(CH23CH3

COOCH2CH2O(CH23CH3

Ph ・・・・・(6)

COOCH2CH2O(CH23CH3
上記(E−1)成分は、例えば、炭素数1〜9の直鎖、または分岐脂肪族アルコール1モルに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜7モル付加して得られるアルコールと、二塩基酸とを原料として、一般的なエステル化合物の製造方法によって製造することができる。
ここで、上記アルコールの例としては、プロパノール1モルにエチレンオキシド1〜7モル、プロピレンオキシド1〜4モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ブタノール1モルにエチレンオキシド1〜6モルまたはプロピレンオキシド1〜3モル、ヘキサノール1モルにエチレンオキシド1〜2モル、ペンタノール1モルにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、オクタノール1モルにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ノナノール1モルにエチレンオキシド1〜4モル、プロピレンオキシド1〜2モル、またはブチレンオキシド1〜2モルを、それぞれ、付加させたヒドロキシル化合物が挙げられる。これらの化合物の中で、ブタノール1モルにエチレンオキシド2モルを付加させた2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ブタノール1モルにエチレンオキシド1モルを付加させた2−ブトキシエタノールが、加工性とのバランスに良い。
また、上記二塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、コハク酸などのカルボン酸、およびこれらのカルボン酸無水物などが挙げられる。
(E−2)、(E−3)成分
(E−2)下式(1)で表わされる有機化合物、(E−3)下式(2)で表わされる有機化合物も使用することができる。
R−(Y−Z)n−Y−R ・・・(1)
X−(Z−Y)n−Z−X ・・・(2)
〔式(1)〜(2)中、Rは脂肪族アルコキシ基、脂環式アルコキシ基または芳香族アルコキシ基、Yは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または芳香族ジカルボン酸残基、Xは脂肪酸残基またはベンゼンモノカルボン酸残基、Zは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、nは0以上の整数を示す。〕
上記(E−2)、(E−3)成分は、一般的なエステル化合物の製造方法によって製造することができる。すなわち、多塩基酸成分と多価アルコール成分、ならびに一価アルコール成分および/または一価カルボン酸成分を用いて縮合させて製造される。
上記多塩基酸成分としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸などの好ましくは炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸などや、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、ならびにそれらの無水物などが挙げられる。多塩基酸成分は、これら1種または2種以上の混合物として使用できる。
上記多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコ−ル、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタン−ジオール−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオールなどの炭素数2〜18の脂肪族グリコール、およびジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
多価アルコール成分は、1種または2種以上の混合物として使用できる。
一価アルコール成分としては、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、2−メチルオクタノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールなどの炭素数8〜18の脂肪族アルコ−ル、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、1−フェニルエタノール、2−フェノキシエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−ヒドロキシエチルベンジルエーテルなどの芳香族アルコールが挙げられる。一価アルコール成分は、1種または2種以上の混合物として使用できる。
一価カルボン酸成分としては、例えばカプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸などが挙げられ、1種または2種以上の混合物として使用できる。
なお、(E−2)、(E−3)成分のポリエステル化合物には、必要に応じ、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価またはそれ以上の多価アルコールおよび多塩基酸を変性剤として使用してもよい。
また、(E−2)、(E−3)のポリエステル化合物には、必要に応じ、カルボン酸基とアルコール基、またはカルボン酸残基とアルコール残基を分子内に有する化合物、例えばカプロラクトン、1,2−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ラノリン誘導脂肪酸、オキシ安息香酸などを、多塩基酸および多価アルコールの一部として組み込ませ用いることも可能である。
これらの(E−2)、(E−3)のポリエステル化合物の合成反応は、例(a)ばパラトルエンスルフォン酸、リン酸、などの酸触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチルオキサイド、および塩化亜鉛などの金属触媒により促進されるので、通常、これらの触媒の存在下で行なうのが良い。触媒の使用量は、通常0.005〜0.2%の範囲である。
通常、その反応は、100〜250℃好ましくは130〜250℃に加熱して反応させる。
本発明で使用される(E−2)、(E−3)のポリエステル化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは100〜4,000、好ましくは200〜1,000が好適である。性能の安定上、通常(E)成分へ(D)成分を溶解して用いることが好ましく、100未満であると溶解性は良好であるが、(E)成分の他樹脂との接触による移行、熱安定性、揮発特性の低下に伴う加工時のガス発生などの問題を引き起こす。一方、4,000を超えると溶解した溶液の粘度が著しく上昇するため配合作業性が悪くなる。
(E)成分の添加量は、(D)成分100重量部に対し、100〜5,000重量部、好ましくは200〜1000重量部の範囲である。100重量部未満では、充分な導電性、加工特性、表面外観の改善を得ることが難しく、また、(D)成分の溶解性、解離安定性が不充分となる。一方、5,000重量部を超えると、得られる組成物の粘度が著しく低下し、成形加工が困難となるほか、ブリードアウトが生じ、物理的特性の低下を招く。
本発明の制電性樹脂組成物には、この他本発明の目的を損なわないかぎり、その他の無機充填材、安定剤、着色剤、強化用ゴム、エラストマー成分、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)剤、金属粉などの添加剤を目的に応じて任意に配合することができる。
本発明の制電性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂の混合、混練に用いられる通常の装置、設備を用いて問題なく製造できる。具体的には、タンブラー、ヘンシェルミキサーなどの予備混合機に、(A)〜(E)成分、その他の成分を仕込み、均一に混合する。その後、混合物を押し出し機に供給して溶融混練し、ダイから押し出すとともにペレタイザーによりペレット化する。押し出し機としては、ベント付きの単軸、二軸異方向、二軸同方向押し出し機が望ましい。また、押し出し機に代えて、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、タンブラー、コニーダーなどの混練機を用いても良い。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中における部および%は、特に断らない限り、重量基準である。
実施例および比較例に用いた各種成分は、以下のとおりである。
(A)熱可塑性高分子化合物;
(A−1)ポリプロピレン樹脂:出光石油化学(株)製、商品名ランダムPP、F−730NV(表中では「PP」)
(A−2)ABS樹脂:テクノポリマー(株)製、商品名テクノABS170(表中では「ABS」)
(B)成分;
炭酸カルシウム表面へポリアルキレンエーテルを被覆したもの:(株)ファイマテック製、商品名AFF−EML33re11、平均粒子径1.0μm(表中では「フィラー(1)」)
炭酸カルシウム表面へアルキレンエーテル重合体を被覆していないもの:(株)製、商品名NS400、平均粒子径1.17μm(表中では「フィラー(2)」)
(C)成分;
(C−1)オレフィン成分を主体とするブロック(α)と親水性成分を主体とするブロック(β)とを有するブロックコポリマーおよび/またはグラフトコポリマー:ペレスタット300(商品名)、三洋化成工業株式会社製
(C−2)ポリエーテルエステルアミド:ペレスタットNC6321(商品名)、三洋化成工業株式会社製
(C−5)ポリウレタンエラストマー:パンデックス T−8180N
(D)成分;
(D−1) ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム:Li・N(CF3SO22
(D)成分および(E)成分;
(D−2) (E)成分であるビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペートに(D)成分としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを20重量%溶解させたもの:サンコノール0862-20R
(D−3) (E)成分であるビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペートに(D)成分としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを18重量%溶解させたもの:サンコノール0862-18
実施例1〜9、比較例1〜4
組成物ペレットの調製;
表1、2の配合処方に従い、(A)熱可塑性樹脂、(B)成分、および(C)〜(E)成分をタンブラーミキサーにより予備ドライブレンドし、47mm同方向2軸押し出し機により180〜220℃で溶融混合した。押し出し機のダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を、水槽にて冷却処理し、カッターに通して制電性樹脂組成物のペレットを調製した。
評価用試験片の調製;
上記調製したサンプルペレットを使用して、型締め圧力80ton/cm2の射出成形機により射出成形し、幅6×長さ6×厚み0.3(cm)の試験片プレートを成形した。成形条件は、シリンダー温度180〜220℃、金型温度40〜60℃で行った。
評価
上記の試験片について、下記の評価を行った。結果を表1、表2に示す。ただし、実施例7および9は参考例である。
表面固有抵抗値、体積固有抵抗値
上記調製した試験片を用い 所定環境下(23℃湿度10%、23℃湿度50%、23℃湿度85%)にて24時間放置後、三菱化学(株)製、ハイレスタにて、ASTM D257(印加電圧500V)に準じて測定を行った。
Figure 0004515737



Figure 0004515737
本発明の制電性樹脂組成物は、その優れた特性を生かし、OA機器分野、家電分野、電気・電子分野、車両分野、筆記用具分野、建材分野、保安分野、およびこれら分野の部品、およびその他の各種パーツ、ハウジング、パッケージなどに好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. (A)ビニルモノマー重合体または共重合体;結晶性プロピレン共重合体;ナイロン;ポリブチレンテレフタレート;NBR;イソプレンゴム(IR);ブタジエンゴム(BR);ブチルゴム(IIR);エチレン−プロピレンゴム(EPM);EPDM;AR;SBR;フッ素ゴム;シリコーンゴム;ウレタンゴム;ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)との複合系樹脂;ポリカーボネートとポリスチレンとの複合系樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート;芳香族ポリイミド;または芳香族ポリエーテ 20〜80重量部、
    (B)表面をアルキレンエーテル、エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)重合体で被覆した無機充填材 80〜20重量部[ただし、(A)+(B)=100重量部]に対し、
    (C−1)オレフィン成分を主体とするブロック(α)と親水性成分を主体とするブロック(β)とを有するブロックコポリマーおよび/またはグラフトコポリマー[ただし、(A)成分を除く]3〜40重量部、
    を配合したことを特徴とする制電性樹脂組成物。
  2. さらに(D)アルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオン、およびアニオンによって構成されている金属塩 0.0001〜20重量部[ただし、(A)+(B)=100重量部に対し]を配合した請求項1に記載の制電性樹脂組成物
  3. (D)成分が、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の制電性樹脂組成物。
  4. さらに(D)成分を溶解できる(E)エステル基および/またはエーテル基を有する分子量1,500以下の有機化合物を、(D)成分100重量部に対し、100〜5,000重量部配合した請求項2または3に記載の制電性樹脂組成物。
  5. (E)成分が、(E−1) −{O(AO)n}−基(ここで、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基である有機化合物、(E−2)下式(1)で表わされる有機化合物、ならびに(E−3)下式(2)で表わされる有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の制電性樹脂組成物。
    R−(Y−Z)n−Y−R ・・・(1)
    X−(Z−Y)n−Z−X ・・・(2)
    〔式(1)〜(2)中、Rは脂肪族アルコキシ基、脂環式アルコキシ基または芳香族アルコキシ基、Yは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または芳香族ジカルボン酸残基、Xは脂肪酸残基またはベンゼンモノカルボン酸残基、Zは炭素数2〜18のアルキレングリコール残基、nは0以上の整数を示す。〕
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