JP2008248072A - 導電性ポリ乳酸組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性、透明性、力学的特性に優れ、溶融成形加工を容易に且つ円滑に行うことができ、しかも環境汚染や炭酸ガスの発生による地球温暖化を防ぐことのできる導電性ポリマー組成物およびそれよりなる成形体の提供。
【解決手段】 ポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)を含有するポリ乳酸組成物、またはポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)を含有し、ブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満である導電性ポリ乳酸組成物、並びにそれらのポリ乳酸組成物よりなる成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は導電性ポリ乳酸組成物並びにそれからなる成形体および製品に関する。より詳細には、本発明は、ポリ乳酸とπ電子共役ポリマーを含有する導電性ポリ乳酸組成物、ポリ乳酸、π電子共役ポリマーおよび特定のブロックコポリマーを含有する導電性ポリ乳酸組成物並びにそれらの導電性ポリ乳酸組成物よりなる成形体に関する。本発明の導電性ポリ乳酸組成物は、π電子共役ポリマーの含有量が少なくても良好な導電性を示し浸出しきい値が低く、機械的強度、耐久性などの特性に優れ、しかもポリ乳酸を主体としていることにより、透明性、生分解性に優れ、自然環境にもやさしいという特性を有しており、それらの特性を活かして、導電性、帯電防止性、透明性などの特性が要求される種々の用途に有効に使用することができる。
半導体や液晶ディスプレイなどの部材には、キズ、汚れ、埃や塵の付着などによる価値の低下を防止するために工程用保護フイルムが使用されている。当該工程用保護フイルムには、前記した保護機能と併せて、工程用保護フイルム自体への埃や塵の付着防止、更には電子部品の静電破壊防止のために、導電性が要求されることが多い。
導電性が要求される工程用保護フイルムの他の具体例として、キャリアテープおよびそのカバーテープが挙げられる。一般に、チップ型電子部品、例えばコンデンサやLSIなどは、ポケット状に成型されたキャリアテープのポケットに収納され、このキャリアテープの蓋材であるカバーテープで密封された状態で供給される。また、電子回路基板への前記部品の組み込みは、前記カバーテープを剥離し、チップ型電子部品を取り出し、所定の位置に運んで装着することによって行われる。この過程で静電気が生じてキャリアテープが帯電すると、小型の電子部品は静電破壊を起こすことが多い。
また、導電性が要求される工程用保護フイルムの他の具体例として、液晶ディスプレイ部材などの表示材用保護フィルムが挙げられる。パソコン、ワープロ、電卓などの液晶ディスプレイ製品には、製造、搬送、保管などの際に表面が損傷したり、ゴミやほこりなどが付着して汚染されるのを防止するために、プラスチック製の保護フイルムが表面に積層されている。この保護フイルムは、製品表面に一時的に貼着され、製品の使用時には剥離できるように粘着剤層を有している。しかし、この保護フイルムは、被着体の表面に貼着するために保護フイルムを巻き取ったロールから巻き出す際に、静電気が発生して帯電し易く、それに伴って被着体に貼りつけた際にゴミが付着したり、保護フイルムと被着体との間に異物が挟まり、製品の表面を傷つけるなどの問題を生じ易い。しかも、保護フイルムが帯電していると、液晶、電子回路基板のICが破壊されるという問題がある。
さらに、導電性が要求される工程用保護フイルムの具体例として、ペリクル搬送容器用のフイルムが挙げられる。フォトリソグラフィ工程では、ガラス板表面にクロム等の蒸着膜で回路パターンを形成したフォトマスクやレチクル(以下「マスク」という)を使用し、レジストを塗布したシリコンウエハー上にその回路パターンを露光により転写する作業が行われる。この工程ではマスクに設けた回路パターンに塵埃などの異物が付着した状態で露光が行われると、ウエハ上にも上記異物が転写されて不良製品のウエハとなってしまう。特に、露光をステッパーで行う場合には、ウエハ上に形成される全てのチップが不良となる危険が多いことから、マスクの回路パターンへの異物の付着は大きな問題となる。
また、半導体や液晶ディスプレイなどの製品は大量生産されるため、それらの製品の保護に用いられる工程用保護フイルムの量も多量にのぼっており、要が済んだ工程用保護フイルムは、剥がされてその大半が廃棄されることから、環境汚染やエネルギーの大量消費の問題を生じている。そのような問題を解決するために、大量に使用される工程用保護フィルムを生分解性の材料から形成したり、生産工程から廃棄までの過程における二酸化炭素の排出量収支を実質的にゼロにする(カーボンニュートラルにする)ことのできる材料から形成することが強く求められている。
上記した問題を解決するために、ポリ乳酸中に導電性カーボンを含有させた導電性樹脂組成物(特許文献1)、基材フイルムの表面にπ電子共役系導電性ポリマー層を形成した導電性保護フイルム(特許文献2)、導電性フィラーや有機物質を練り込んだ導電性高分子フイルムまたは表面に導電性材料の層を形成した導電性高分子フイルムで覆ったペリクル(特許文献3)、ペリクル枠の内面側に導電性塗料をコーティングしたペリクル(特許文献4)、部品を収納するための収納部を設けた表面にπ電子共役系導電性組成物層を形成したポリ乳酸よりなる導電性キャリアテープ(特許文献5)、容器本体を長鎖脂肪族アミン、第四アンモニウム塩、リン酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステルなどの帯電防止剤(界面活性剤)を混合した帯電防止性合成樹脂から形成し、蓋体を帯電性合成樹脂から形成したペリクル用容器(特許文献6)などが提案されている。
上記した従来技術のうち、ポリ乳酸を用いているもの(特許文献1、5)は、ポリ乳酸が生分解性で、繰り返して生産可能な植物(例えば穀類、豆類、イモ類、サトウキビなど)を原料として製造できることから、環境に優しい材料であるといえる。しかし、特許文献1のものでは、導電性カーボンを含有させているため、不透明であり、しかも導電性の付与のための導電性カーボンを多量に配合すると、樹脂組成物から得られる成形体の力学的特性が低下し、導電性と力学的特性をバランス良く兼ね備えることが困難である。そのことは、導電性フィラーをフイルム中に練り込んでいる特許文献3においても同様である。
また、基材フイルムの表面や容器内面などに導電性の層を形成した特許文献2、4、5では、基材上に導電性層を形成するための工程や設備が必要であり、工業的および商業的観点からは不利である。
さらに、界面活性剤などの帯電防止剤を樹脂中に混合して導電性にしている特許文献6のものは、導電性付与が不十分であり、しかも周囲環境の影響(特に湿度の影響)を受け易く、また界面活性剤が経時的に表面にブリードアウトしてフイルムや成形品の表面が粘着性になり、塵などが付着し易くなるという問題がある。
また、導電性を付与するために、樹脂フイルムなど表面に金属や金属酸化物(例えばアルミニウム、インジウム酸化スズ、酸化珪素、硫化亜鉛など)よりなる導電性の層を蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどによって形成することが行われているが、特別の設備および工程が必要で、コスト高となり、しかも熱成形すると、導電層が破壊され、期待する効果を発現しないという問題がある。
特開平10−120887号公報 特開平5−331431号公報 特開平1−246547号公報 特開昭64−48062号公報 特開2002−104499号公報 実開平1−120148号公報 「Polymer Engineering and Science」,Vol.14,1974年,No.2,p.147 「SP値基礎・応用と計算方法」、情報機構発行、2005年3月,p.71−78
本発明の目的は、導電性、透明性、力学的特性に優れ、しかも地球環境の悪化を防ぐことのできる導電性ポリマー組成物を提供することである。
本発明の目的は、熱可塑性で、汎用の溶融成形加工技術を用いて、フイルムやその他の成形体を簡単に且つ円滑に製造することのできる導電性ポリマー組成物を提供することである。
本発明の目的は、塗工、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどによってフイルムなどの基材上に導電性層を形成するという繁雑な工程や余分の装置が要らず、溶融成形加工などによって、導電性、透明性、力学的特性などに優れるフイルムやその他の成形体を簡単に且つ円滑に製造することのできる導電性ポリマー組成物を提供することである。
本発明の目的は、前記した優れた特性を備える導電性ポリマー組成物を用いて、導電性に優れ、且つ帯電防止性に優れるフイルムやその他の各種成形体を提供することである。
本発明者は、上記の目的を達成すべく検討を重ねてきた。その結果、ポリ乳酸を主体とし、それにπ電子共役ポリマーを配合したポリ乳酸組成物が、導電性、透明性、力学的特性などに優れていること、しかも熱可塑性でフイルムを初めとして各種の成形体を溶融成形加工によって簡単に且つ円滑に製造できることを見出した。
さらに、本発明者は、ポリ乳酸を主体とし、それにπ電子共役ポリマーと共に、π電子共役ポリマーとの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であるポリマーブロックを有するブロックコポリマーを配合すると、導電性がより向上すると共に、その溶融成形加工性、柔軟性、引張強度などの機械的特性がより良好になることを見出した。
また、本発明者は、前記ブロックコポリマーとして、π電子共役ポリマーとの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であるポリマーブロックを少なくとも1つ有すると共に、π電子共役ポリマーとの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5以上であるポリマーブロックを少なくとも1つ有するブロックコポリマーを用いると、浸出しきい値が低くなって導電性がより良好になることを見出した。
また、本発明者は、前記した優れた効果が、π電子共役ポリマーとしてポリアニリン系ポリマー、特に可塑化効果を発揮するドーパントによりドーピングしたポリアニリン系ポリマーを用いた際により良好に発揮されることを見出した。
さらに、本発明者は、π電子共役ポリマーとしてポリアニリン系ポリマー、特にドーパントによってドーピングしたポリアニリンポリマーを用いる際に、平均粒径が1μm以下の金属酸化物、特に酸化亜鉛を含有させると、ポリアニリン系ポリマーの含有量がより少量な場合にも、導電性に優れる導電性ポリマー組成物が得られることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) ポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)を含有する導電性ポリ乳酸組成物であって、ポリ乳酸(A)の含有量が導電性ポリ乳酸組成物の全質量に基づいて50質量%以上であることを特徴とする導電性ポリ乳酸組成物[以下これを「導電性ポリ乳酸組成物(i)」ということがある]である。
そして、本発明は、
(2) ポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)を含有する導電性ポリ乳酸組成物であって、ポリ乳酸(A)の含有量が導電性ポリ乳酸組成物の全質量に基づいて50質量%以上であり、且つブロックコポリマー(C)が、ブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であるブロックポリマーであることを特徴とする導電性ポリ乳酸組成物[以下これを「導電性ポリ乳酸組成物(ii)」ということがある]である。
また、本発明は、
(3) ブロックコポリマー(C)が、ブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であり、ブロックコポリマー(C)を構成する前記とは異なる他のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5以上であるブロックポリマーである前記(2)の導電性ポリ乳酸組成物である。
さらに、本発明は、
(4) ポリ乳酸(A)とブロックコポリマー(C)の屈折率の差(△n)の絶対値が0.03未満である前記(2)または(3)の導電性ポリ乳酸組成物;
(5) π電子共役ポリマー(B)が、可塑化効果を有するドーパントによりドーピングされているポリアニリン系ポリマーである前記(1)〜(4)のいずれの導電性ポリ乳酸組成物;および、
(6) π電子共役ポリマー(B)がポリアニリン系ポリマーであり、ブロックコポリマー(C)が、ポリアニリン系ポリマーとの溶解度パラメータ差の絶対値が2.5未満であるアルキルメタクリレート系ポリマーブロックを有するブロックコポリマーである前記(2)〜(5)のいずれかの導電性ポリ乳酸組成物;
である。
そして、本発明は、
(7) ポリ乳酸、可塑化効果を有するドーパントによりドーピングされているポリアニリン系ポリマー、およびポリメチルメタクリレートブロックとポリn−ブチルアクリレートブロックを有するブロックコポリマーを含有することを特徴とする導電性ポリ乳酸組成物である。
さらに、本発明は、
(8) 平均粒径が1μm以下の金属酸化物を含有する前記(1)〜(7)のいずれかの導電性ポリ乳酸組成物;および、
(9) 金属酸化物が酸化亜鉛である前記(8)の導電性ポリ乳酸組成物;
である。
また、本発明は、
(10) 前記(1)〜(9)のいずれかの導電性ポリマーポリ乳酸組成物からなる成形体;
(11) 前記(1)〜(9)のいずれかの導電性ポリ乳酸組成物からなるペリクル搬送用包装具;
(12) 前記(1)〜(9)のいずれかの導電性ポリ乳酸組成物からなる部品を収納するための収納部が設けられたキャリアテープおよびそのカバーテープ;および、
(13) 前記(1)〜(9)のいずれかの導電性ポリ乳酸組成物からなる表示材用保護フイルム;
である。
本発明のポリ乳酸組成物は、導電性、透明性、力学的特性などに優れており、しかも熱可塑性でフイルムを初めとして各種の成形体を溶融成形加工などによって簡単に且つ円滑に製造できる。特に、π電子共役ポリマー(B)として可塑化効果のあるドーパントによってドーピングしたπ電子共役ポリマーを含有する本発明の導電性ポリ乳酸組成物は、溶融成形加工性により優れており、汎用の各種の溶融成形加工法によってサイズや形状の異なる種々の成形体(製品)を円滑に製造することができる。
本発明のポリ乳酸組成物は、生分解性で、しかも植物を原料とする二酸化炭素の排出量収支が実質的にゼロ(カーボンニュートラル)であるポリ乳酸を主体とするため、地球環境に優しく、環境汚染やエネルギーの大量消費の問題解決に大きく貢献できる。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物では、π電子共役ポリマーに添加するドーパントの量が少量で済むことから、酸性のドーパントによる導電性ポリ乳酸組成物の酸性化を抑制することができる。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物において、ブロックコポリマー(C)として、π電子共役ポリマーとの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であるポリマーブロックを少なくとも1つ有し且つπ電子共役ポリマーとの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5以上であるポリマーブロックを少なくとも1つ有するブロックコポリマーを用いたものは、より良好な導電性を有する。
上記した本発明の優れた効果は、π電子共役ポリマー(B)としてポリアニリン系ポリマー、特にドーパントによってドーピングしたポリアニリンポリマーを含有する本発明の導電性ポリ乳酸組成物においてより顕著に発揮される。
また、π電子共役ポリマー(B)としてポリアニリン系ポリマーを含有し、更に平均粒径が1μm以下の金属酸化物、特に酸化亜鉛を含有する本発明の導電性ポリ乳酸組成物は、ポリアニリン系ポリマーの含有量がより少量であっても良好な導電性を有する。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物は、前記した優れた特性を活かして、静電気放電、静電気消失、電磁波シールドなどの制電機能を有する各種製品、光透過性と通電性の両方の機能を有する透明導電膜、透明ヒーター、タッチパネル、太陽電池、有機EL、電子ペーパーなどの種々の用途に有効に利用することができる。具体的には、本発明の導電性ポリ乳酸組成物は、ペリクルを包装具に収容して移送、保管してもペリクルを帯電することを防止し、ペリクルに塵埃等の異物が付着することを防止するための帯電防止性フイルムとして、半導体用キャリアテープ、カバーテープとして、液晶ディスプレーなどの電子機器類の表面を保護するためのフイルムなどとして有効に使用することができる。
そして、本発明のポリ乳酸組成物よりなるフイルムは、静電気によるごみや埃の付着防止、電子機器内部にある液晶や回路基板のICなどの帯電による破壊の防止に有効であるのみならず、その優れた透明性によって、フイルムを貼着した下層の模様、文字などの識別が容易で、当該フイルムを貼着した製品や商品の輸送、組立作業時などに便利である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(i)および導電性ポリ乳酸組成物(ii)(以下これらを総称して単に「導電性ポリ乳酸組成物」ということがある)は、ポリ乳酸(A)を主体とする。
乳酸には、L−乳酸、D−乳酸およびL−乳酸とD−乳酸の混合体(ラセミ体)が存在し、ポリ(L−乳酸)モホポリマーおよびポリ(D−乳酸)ホモポリマーの融点は一般に180℃程度である。ポリ乳酸におけるL−乳酸およびD−乳酸の共重合比率を調整することで、ポリ乳酸の融点、結晶性などを調整することができる。
ポリ乳酸は、縮重合法、開環重合法などの公知の方法で製造することができる。例えば、縮重合法では、D−乳酸、L−乳酸またはこれらの混合物を直接脱水縮重合することにより任意の組成を持つポリ乳酸を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調製剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を持つポリ乳酸を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性をもつポリ乳酸を得ることができる。
本発明では、ポリ乳酸(A)として、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマーおよびL−乳酸とD−乳酸のコポリマーの1種または2種以上を用いることができる。
また、本発明で用いるポリ乳酸(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、乳酸以外の他の共重合単位を30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下の割合で有していてもよい。
ポリ乳酸が含有していてもよい他の共重合単位としては、例えば、ジオール、ジカルボン酸、乳酸以外のヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどに由来する構造単位を挙げることができる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族または脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキサイドを付加したグリコールなどの芳香族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリグリコール類;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロンなどの脂肪族ヒドロキシカルボン酸;ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸;ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−バレロラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、ピバロラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2オンなどのラクトン;などに由来する構造単位を挙げることができる。ポリ乳酸(A)が、芳香族環を有する他の構造単位を含有していると、耐熱性が向上する。
本発明で用いるポリ乳酸(A)は、必要に応じて、前記した他の共重合単位の1種または2種以上を有していることができる。
また、ポリ乳酸(A)は、必要に応じて、分子量増大を目的として少量の鎖伸長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などに由来する構造単位を有していてもよい。
そのうちでも、本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸(A)として、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸とD−乳酸のコポリマー、L−乳酸とラクチドとのコポリマーおよびD−乳酸とラクチドとのコポリマーのうちの1種または2種以上、特に乳酸のホモポリマーを含有していることが、入手の容易性などの点から好ましい。
本発明で用いるポリ乳酸(A)は、その重量平均分子量が50,000〜400,000であることが好ましく、75,000〜200,000であることがより好ましい。
ポリ乳酸(A)の分子量が低過ぎると、ポリ乳酸組成物から得られる成形体の力学的特性、耐加水分解性などの物性が低下し実用的でなくなり、一方分子量が高すぎると、溶融粘度が高すぎて成形加工性が低下する。
なお、本明細書におけるポリ乳酸の重量平均分子量は、ゲルパパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量をいい、その具体的な測定方法は以下の実施例に記載するとおりである。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(i)および導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、上記したポリ乳酸(A)と共に、π電子共役ポリマー(B)を含有する。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物で用いるπ電子共役ポリマー(B)は、特に制限されず、導電性であるかまたはドーパントの作用によって導電性を発現するπ電子共役ポリマーのいずれもが使用できる。本発明で用い得るπ電子共役ポリマーの具体例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリナフチレンビニレン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリオキサジアゾール、ポリチアジル、ポリアセン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリテルロフェン、ポリアミノピレン、前記したポリマーの誘導体などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
前記したうちでも、本発明では、π電子共役ポリマー(B)として、ポリアニリンおよび/またはその誘導体が、ドーピングが容易であり、しかも取扱い性、安定性、均一性などの点で優れていて、技術的および商業的に有望であることから好ましく用いられる(なお、本明細書中ではポリアニリンおよびその誘導体を総称して「ポリアニリン系ポリマー」という)。
ポリアニリン系ポリマーとしては、非置換ロイコエメラルジン、プロトエメラルジン、エメラルジン、ニグルアニリンまたはトルプトロエメラルジン形態などの、プロトン酸によるドーピングによって導電性ポリマーとなり得る任意のポリアニリン系ポリマーが使用できる。置換基を有するポリアニリン、化学的に修飾されたポリアニリンなどのポリアニリン誘導体も使用できる。
置換基を有するポリアニリンとしては、例えば、下記の一般式(I)に示すような側鎖(置換基)を有するポリアニリン系ポリマーであってもよく、下記の一般式(I)に示すポリアニリン系ポリマーは一般に可塑性を有する。
Figure 2008248072

[式中、Xは側鎖(置換基)を示す。]
上記の一般式(I)において、Xの具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルカノイル基、アロイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、アリールアルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アルキルシリル基、アルキルシリルオキシ基、各種スルホン酸基(例えばアルキルスルホン酸基、アルケニルスルホン酸基、アルキニルスルホン酸基、ハロアルキルスルホン酸基、アリールスルホン酸基、フェニルスルホン酸基、アラルキルスルホン酸基、ベンジルスルホン酸基、アルコキシアルキルスルホン酸基、アルカノイルスルホン酸基、アロイルスルホン酸基、ベンゾイルスルホン酸基、アルコキシスルホン酸基、アリールアルコキシスルホン酸基、ハロアルコキシスルホン酸基、アリールオキシスルホン酸基、アラルキルオキシスルホン酸基、アルコキシアルキルオキシスルホン酸基、アルカノイルオキシスルホン酸基、アルコキシカルボニルオキシスルホン酸基、アラルキルオキシスルホン酸基、アラルキルオキシカルボニルオキシスルホン酸基、アルキルシリルスルホン酸基、アルキルシリルオキシスルホン酸基など)、ポリマー鎖(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、オレフィン−ビニルアルコールコポリマー、オレフィン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドンなどのビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン、スチレン−ブチレンコポリマーまたはその水素添加体、スチレン−イソプレンコポリマーまたはその水素添加体、核水添ポリスチレンなどのスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェノール、液晶性ポリマー、フッ素系ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、オレフィンマレイミドコポリマー、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴムなどよりなるポリマー鎖)などを挙げることができる。
本発明で特に好ましく用いられるポリアニリン系ポリマーは、非伝導性未置換のポリアニリンに由来する導電性ポリアニリン、および約3.0未満のpKa値を有する1種以上のプロトン性酸の使用によって導電型にプロトン化する導電性ポリアニリンである。その際のプロトン性酸としては、ポリアニリンをプロトン化して2×106[Ω/□]未満の表面抵抗値を有する錯塩を形成するプロトン性酸が好ましく用いられる。
本発明で用いるπ電子共役ポリマー(B)は、本発明の導電性ポリ乳酸組成物の溶融成形性を向上させて多様な用途に使用可能にするために、ドーパント(ドーピング剤)によりドーピングして可塑化されていることが好ましく、特にポリアニリン系ポリマーよりなるπ電子共役ポリマー(B)では、ドーピング処理によって可塑化されていることが望ましい。
π電子共役ポリマー(B)、特にポリアニリン系ポリマーのドーピングに用いられるドーパントは特に制限されず、π電子共役ポリマー(B)の特性を損ねることなる可塑化し得るものであればいずれも使用できる。
π電子共役ポリマー(B)、特にポリアニリン系ポリマーに用い得るドーパントとしては、例えば以下の一般式(IIa)〜(IIe)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008248072
上記の一般式(IIa)〜(IIe)において、基Yの具体例としては、水酸基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、フェニル基、アラルキル基、ベンジル基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、アルカノイル基、アロイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、アリールアルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アルキルシリル基、アルキルシリルオキシ基、ポリマー鎖(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、オレフィン−ビニルアルコールコポリマー、オレフィン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドンなどのビニル系ポリマー;ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン、スチレン−ブチレンコポリマーまたはその水素添加体、スチレン−イソプレンコポリマーまたはその水素添加体、核水添ポリスチレンなどのスチレン系ポリマー;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル;ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェノール、液晶性ポリマー、フッ素系ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、オレフィンマレイミドコポリマー、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴムなどのポリマーよりなるポリマー鎖)などを挙げることができる。
また、上記の一般式(IIa)〜(IIe)において、基Zの具体例としては、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、アルケニルスルホン酸基、アルキニルスルホン酸基、ハロアルキルスルホン酸基、アリールスルホン酸基、フェニルスルホン酸基、アラルキルスルホン酸基、ベンジルスルホン酸基、アルコキシアルキルスルホン酸基、アルカノイルスルホン酸基、アロイルスルホン酸基、ベンゾイルスルホン酸基、アルコキシスルホン酸基、アリールアルコキシスルホン酸基、ハロアルコキシスルホン酸基、アリールオキシスルホン酸基、アラルキルオキシスルホン酸基、アルコキシアルキルオキシスルホン酸基、アルカノイルオキシスルホン酸基、アルコキシカルボニルオキシスルホン酸基、アラルキルオキシスルホン酸基、アラルキルオキシカルボニルオキシスルホン酸基、アルキルシリルスルホン酸基、アルキルシリルオキシスルホン酸基などのスルホン酸基を挙げることができる。
また、π電子共役ポリマー(B)、特にポリアニリン系ポリマーに用い得るドーパントは、Yの具体例として上記で挙げたポリマー鎖の1つに、例えば以下の一般式(IIIa)〜(IIIe)で表される基のうちの1または2つ以上が結合(懸垂)したものであってもよい。
Figure 2008248072

[式中、Zは、上記の一般式(IIa)〜(IIe)におけるZと同じ基を示す。]
π電子共役ポリマー(B)、特にポリアニリン系ポリマーのドーパントとしては、上記した化合物のうちの1種または2種以上を用いることができる。
上記した化合物のうちでも、π電子共役ポリマー(B)、特にポリアニリン系ポリマーのドーパントとしては、Yが炭素数1〜20のアルキル基で、Zがスルホン酸基である上記の一般式(IIa)で表される化合物(すなわちアルキルベンゼンスルホン酸)が、汎用性、信頼性、化学的安定性の点から好ましく用いられ、具体例としては、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−デシルベンゼンスルホン酸、p−ウンデシルベンゼンスルホン酸、p−トリデシルベンゼンスルホン酸、p−テトラデシルベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。
ドーパントの使用割合は、ポリアニリン系ポリマーなどのπ電子共役ポリマー(B)100質量部に対して、2〜1800質量部が好ましく、20〜700質量部がより好ましく、100〜350質量部が更に好ましい。
また、別の観点からいうと、ポリアニリン系ポリマーでは、ポリアニリン系ポリマー中の窒素原子1モルに対して、ドーパントの使用割合は0.01〜5モルが好ましく、0.1〜2モルがより好ましく、0.5〜1モルが更に好ましい。
ドーパントの使用量が少なすぎると、ポリアニリン系ポリマーなどのπ電子共役ポリマー(A)の可塑化および導電化が十分に行われにくくなり、一方多すぎると酸性度が強くなって金属腐食の原因となったり、取り扱い性の低下を招き易くなる。
π電子共役ポリマー(B)のドーピング処理は、π電子共役ポリマー(B)の所定の量のドーパントを添加して、加熱下に溶融混練することによって行うことができる。π電子共役ポリマー(B)がポリアニリン系ポリマーである場合には、ポリアニリン系ポリマーにドーパントを添加して、一般に、20〜200℃、特に80〜150℃で、0.1〜10分間、特に1〜5分間程度溶融混練温することによってドーピングを円滑に行うことができる。
また、本発明の導電性ポリ乳酸組成物中に以下で詳述する一次粒子の平均粒径が1μm以下の金属酸化物を更に含有させる場合には、ドーパントと金属酸化物との複合体を溶融混練などによって予め調製しておき、当該複合体をπ電子共役ポリマー(B)に添加して溶融混練することによってドーピングを行ってもよい。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、上記したポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)と共に、特定のブロックコポリマー(C)、すなわち、ブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満[2.5(J/cm31/2未満]であるブロックコポリマー[前記溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であってπ電子共役ポリマー(B)と親和性の高いポリマーブロックを有するブロックコポリマー]を含有する。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、当該ブロックコポリマー(C)を更に含有することによって、ポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)の2者からなる組成物に比べてその導電性が一層良好になる。その理由としては、π電子共役ポリマー(B)が、ブロックコポリマー(C)中に、パーコレーション・パスがつながった状態で微分散するためであると推測される。
ブロックコポリマー(C)としては、π電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータとブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満[2.5(J/cm31/2未満]であり、π電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータとブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの前記とは異なる他のポリマーブロックの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5以上[2.5(J/cm31/2以上]であるブロックコポリマー、すなわち、π電子共役ポリマー(B)と、溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であるポリマーブロックと溶解度パラメータの差の絶対値が2.5以上であるポリマーブロックの両方を有するブロックコポリマーが、π電子共役ポリマー(B)が親和性の高い相に偏在化してミクロ相分離構造をパーコレーション・パスとして利用できる点からより好ましく用いられる。
ここで、本明細書における「π電子共役ポリマー(B)」の溶解度パラメータとは、本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)に含まれるπ電子共役ポリマー(B)が、ドーピングされていない場合は非ドーピングπ電子共役ポリマーの溶解度パラメータをいい、またドーピングされているπ電子共役ポリマーである場合はドーピングされたポπ電子共役ポリマーの溶解度パラメータをいい、π電子共役ポリマー(B)がドーピングされていて更に金属酸化物を含有する複合物である場合は当該複合物の溶解度パラメータをいう。
さらに、本明細書におけるπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータは、下記の数式(i)(Fedorの推算式)により算出される溶解度パラメータ(δ)[単位=(J/cm31/2]をいう。
Figure 2008248072

[式中、Ecohは凝集エネルギー密度(J/mol)およびVはモル分子容(mol/cm3)を示す。]

数式(i)における凝集エネルギー密度(Ecoh)およびモル分子容(V)は、Federの推算式から求めることができ、その詳細については非特許文献1に記載されているとおりである。
また、本明細書におけるブロックコポリマー(C)の溶解度パラメータ並びにその他のポリマーの溶解度パラメータは、下記の数式(ii)(Smallの式)により算出される溶解度パラメータをいい、その詳細については非特許文献2に記載されているとおりである。

溶解度パラメータ(SP)=dΣG/M (ii)

[式中、SPは、ブロックコポリマー(C)またはその他のポリマーの溶解度パラメータ、Mはブロックコポリマー(C)または他のポリマーを構成する単位(単量体単位)の分子量(コポリマーの場合には共重合組成に応じて単量体単位の分子量を加重平均した値)、dはブロックコポリマー(C)または他のポリマーの密度、Gはブロックコポリマー(B)または他のポリマーの有する原子団および基に固有の定数を示す。]
ブロックコポリマー(C)としては、π電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータとブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満[2.5(J/cm31/2未満]であるブロックコポリマーであればいずれも使用できる。
ブロックコポリマー(C)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、オレフィン−ビニルアルコールコポリマー、オレフィン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドンなどのビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン、スチレン−ブチレンコポリマーまたはその水素添加体、スチレン−イソプレンコポリマーまたはその水素添加体、核水添ポリスチレンなどのスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェノール、液晶性ポリマー、フッ素系ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、オレフィンマレイミドコポリマー、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴムなどのポリマーから選ばれる2つ以上のポリマーがブロック状に結合したブロックコポリマーであって且つ当該2つ以上のポリマーブロックのうちの少なくとも1つが、π電子共役ポリマー(B)との溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満となる溶解度パラメータを有するポリマーよりなるブロックであるブロックコポリマーを用いることができる。
ブロックコポリマー(C)における、π電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータとの差の絶対値が2.5未満であるポリマーブロックを形成するポリマーの種類は、π電子共役ポリマー(B)の種類およびその溶解度パラメータの値に応じて異なる。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)では、ブロックコポリマー(C)として、ポリ乳酸(A)の屈折率と、ブロックコポリマー(C)の屈折率の差(△n)の絶対値が0.03未満となるようなブロックコポリマー(C)が、導電性ポリ乳酸組成物(ii)、ひいてはそれから得られる成形体の透明性がより良好になる点から好ましく用いられる。ポリ乳酸(A)の屈折率とブロックコポリマー(C)の屈折率の差(△n)の絶対値が0.03未満の場合は、ポリ乳酸(A)中に分散したブロックコポリマー(C)の粒子径が大きくても可視光領域における光散乱を低減でき、それによって目視において十分な透明性を確保できる。
かかる点から、本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)では、ブロックコポリマー(C)として、ポリ乳酸(A)と屈折率の差の小さい、アルキルメタクリレート系ポリマーブロックを有するブロックコポリマーが、導電性ポリ乳酸組成物から得られる成形体の透明性、耐候性、耐傷性などが良好になる点から好ましく用いられる。
また、ブロックコポリマー(C)として、室温以下のガラス転移温度を有するポリマーブロックを少なくとも1つ有するブロックコポリマーを用いた場合には、導電性ポリ乳酸組成物から機械的強度の向上した成形体が得られる。その際の、ブロックコポリマー(C)における、室温以下のガラス転移温度を有するポリマーブロックは特に限定されないが、例えばポリアルキルアクリレート系ポリマーブロックなどを挙げることができる。
π電子共役ポリマー(B)がポリアニリン系ポリマー、特にドーピングしたポリアニリン系ポリマーである場合には、アルキルメタクリレート系ポリマーの溶解度パラメータがドーピングしたポリアニリン系ポリマーの溶解度パラメータと近くて、ドーピングしたポリアニリン系ポリマーの溶解度パラメータとアルキルメタクリレート系ポリマーの溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満にすることが容易であるので、アルキルメタクリレート系ポリマーよりなるポリマーブロックを少なくとも1つ有するブロックコポリマーがブロックコポリマー(C)として好適に用いられる。
ドーピングしたポリアニリン系ポリマーと組み合わせて用い得るアルキルメタクリレート系ポリマーよりなるポリマーブロックを有するブロックコポリマーとしては、例えば、
・[アルキルメタクリレート系ポリマー]−[他のポリマーブロック]よりなるジブロックコポリマー;
・[アルキルメタクリレート系ポリマー]−[他のポリマーブロック]−[アルキルメタクリレート系ポリマー]よりなるトリブロックコポリマー;
・[アルキルメタクリレート系ポリマーと他のポリマーが交互に4個以上結合したブロックコポリマー;
などを挙げることができる。
そのうちでも、[アルキルメタクリレート系ポリマー]−[他のポリマーブロック]よりなるジブロックコポリマー、[アルキルメタクリレート系ポリマー]−[他のポリマーブロック]−[アルキルメタクリレート系ポリマー]よりなるトリブロックコポリマーが好ましく用いられる。
ブロックコポリマーを形成する前記したアルキルメタクリレート系ポリマーブロックは、メタクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル、特にメチルメタクリレートから主としてなるポリマーブロック(アルキルメタクリレート系ポリマーブロックの10モル%以上がメチルメタクリレートに由来する構造単位からなるポリマーブロック)であることが、透明性が高い点から好ましい。
また、アルキルメタクリレート系ポリマーブロックを有する前記ブロックコポリマーにおいて、他のポリマーブロックは、ブロックコポリマーを熱可塑性に維持できる限りはいずれのポリマーからなっていてもよいが、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマーからなるポリマーブロックであることが、透明性、ミクロ相分離の明瞭性などの点から好ましい。
特に、π電子共役ポリマー(B)がポリアニリン系ポリマー、特にドーピングしたポリアニリン系ポリマーである場合には、ブロックコポリマー(C)として、ポリメチルメタクリレート−ポリn−ブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートよりなるトリブロックコポリマーが引張強度などの機械的特性、透明性、入手容易性などの点から好ましく用いられる。
ブロックコポリマー(C)の分子量は特に制限されないが、機械的特性、加工性、工程上の取り扱い性などの点から、ブロックコポリマー(C)全体の数平均分子量は、30,000〜300,000、特に50,000〜100,000であることが好ましい。
また、ブロックコポリマー(C)として、ポリメチルメタクリレート−ポリn−ブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートよりなるトリブロックコポリマーを用いる場合は、2つのポリメチルメタクリレートブロックの数平均分子量がそれぞれ5,000〜100,000、特に10,000〜50,000で、ポリn−ブチルアクリレートブロックの数平均分子量が5,000〜200,000、特に10,000〜100,000で、トリブロックコポリマー全体の数平均分子量が30,000〜300,000、特に50,000〜100,000のトリブロックコポリマーを用いることが好ましい。
なお、本明細書における前記数平均分子量は、GPCにより測定したときの数平均分子量をいう。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(i)は、ポリ乳酸(A)を、導電性ポリ乳酸組成物(i)の全質量に基づいて、50質量%以上の割合で含有しており、50〜99質量%の割合で含有することが好ましく、60〜99質量%の割合で含有することがより好ましい。
また、導電性ポリ乳酸組成物(i)では、π電子共役ポリマー(B)の含有量は、導電性ポリ乳酸組成物(i)の全質量に基づいて50質量%以下であり、1〜50質量%であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。ポリ乳酸(A)とπ電子共役ポリマー(B)の質量比でいうと、導電性ポリ乳酸組成物(i)では、ポリ乳酸(A)100質量部に対して、π電子共役ポリマー(B)の含有量が100質量部以下であることが好ましく、5〜70質量部であることがより好ましく、10〜50質量部であることが更に好ましく、10〜30質量部であることが一層好ましい。
導電性ポリ乳酸組成物(i)において、ポリ乳酸(A)の含有量が前記よりも少ないと、導電性ポリ乳酸組成物(i)の成形加工性が低下し、しかも植物に由来する生分解性のポリ乳酸の含有量が相対的に低くなることから、環境に対する負荷が大きくなる。
一方、導電性ポリ乳酸組成物(i)において、π電子共役ポリマー(B)の含有量が少なくなり過ぎると、導電性に優れる導電性ポリ乳酸組成物が得られなくなる。
また、本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、ポリ乳酸(A)を、導電性ポリ乳酸組成物(ii)の全質量に基づいて、50質量%以上の割合で含有しており、50〜90質量%の割合で含有することが好ましく、50〜80質量%の割合で含有することがより好ましい。そして、導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、導電性ポリ乳酸組成物(ii)の全質量に基づいて、π電子共役ポリマー(B)を5〜50質量%、更には10〜45質量%、特に15〜40質量%の割合で含有し、ブロックコポリマー(C)を3〜45質量%、更には5〜40質量%、特に10〜35質量%の割合で含有することが好ましい。
ポリ乳酸(A)に対する質量割合でいうと、導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、ポリ乳酸(A)100質量部に対して、π電子共役ポリマー(B)を10〜90質量部、更には15〜85質量部、特に20〜80質量部の割合で含有し、ブロックコポリマー(C)を8〜80質量部、更には10〜75質量部、特に15〜70質量部の割合で含有することが好ましい。
導電性ポリ乳酸組成物(ii)においても、ポリ乳酸(A)の含有量が前記よりも少ないと、導電性ポリ乳酸組成物(ii)の成形加工性が低下し、しかも植物に由来する生分解性のポリ乳酸の含有量が相対的に低くなることから、環境に対する負荷が大きくなる。
また、導電性ポリ乳酸組成物(ii)において、π電子共役ポリマー(B)の含有量が少なくなり過ぎると、導電性に優れる導電性ポリ乳酸組成物が得られなくなり、ブロックコポリマー(C)の含有量が少なすぎると、ブロックコポリマー(C)を配合したことによる効果(特に導電性の更なる向上、透明性の向上、柔軟性、機械的強度の向上などの効果)が発揮されなくなる。
導電性ポリ乳酸組成物(i)および導電性ポリ乳酸組成物(ii)において、π電子共役ポリマー(B)として、プロトン酸(上記したスルホン酸など)よりなるドーパントでドーピングしたπ電子共役ポリマー、特にプロトン酸でドーピングしたポリアニリン系ポリマーである場合は、プロトン酸(ドーパント)による組成物の酸性化を防いで組成物を中和し、また導電性をより良好にするために、導電性ポリ乳酸組成物中に金属酸化物を含有させることが好ましい。それによって、酸性組成物による加工装置の腐食などの損傷、最終的に得られる生成物の酸性化防止、導電性の向上、溶融時の流動性の向上などを図ることができる。導電性ポリ乳酸組成物中に金属酸化物を含有させる場合は、平均粒径が1μm以下の金属酸化物を用いることが好ましく、それによって、π電子共役ポリマー(B)の可塑化効果がより顕著になり、ブロックコポリマー(C)よりなるマトリックス中へのπ電子共役ポリマー(B)への分散性が向上し、より少量のπ電子共役ポリマー(B)の含有量で、導電性ポリ乳酸組成物の導電性をより良好なものにすることができる。
ここで、本明細書における「金属酸化物の一次粒子の平均粒径」とは、金属酸化物を電子顕微鏡で写真撮影し、その写真から個々の粒子の面積を求め、さらに当該面積と同じ面積を有する円(面積相当円)の直径を求める操作を500個の粒子について行って、その平均値を採ったときの値である。
金属酸化物の種類は限定されず、例えば、亜鉛、マグネシウム、バリウム、カルシウム、銅、アルミニウム、チタン、鉄、ジルコニウム、カドミウム、鉛、スズなどの金属の酸化物を挙げることができ、それらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、中和作用、安定性、導電性の向上効果、安全性などの点から、酸化亜鉛(ZnO)がより好ましく用いられる。
金属酸化物は、π電子共役ポリマー(B)のドーピング前、ドーピング時、ドーピング後、π電子共役ポリマー(B)とブロックコポリマー(C)の混合時、混合後のいずれの段階で添加してもよいが、ドーピングしたπ電子共役ポリマー(B)を用いる場合には、プロトン酸などのドーパントと金属酸化物を予め加熱混合してドーパント/金属酸化物の複合体を調製しておき、当該複合体を用いてπ電子共役ポリマー(B)のドーピングを行い、それにより得られたπ電子共役ポリマー(B)をブロックコポリマー(C)と混合することが、成形安定性、得られる組成物および成形体の機械物性および導電性の点から好ましい。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(i)は、ポリマー成分として、ポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)のみを含有していてもよいし、または必要に応じて、ポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)と共に他のポリマーを少量(好ましくは導電性ポリマー組成物の全質量に基づいて30質量%以下、特に10質量%以下)であれば含有していてもよい。その際の他のポリマーの代表例は、ポリ乳酸以外の生分解性ポリエステルであり、具体的には、例えば、乳酸以外のヒドロキシカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマー、乳酸と乳酸以外のヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステルなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
ここで、前記した乳酸以外のヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシ吉草酸などを挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などを挙げることができ、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができ、また環状ラクトン類としては、例えば、蛩−カプロラクトン、艟−バレロラクトン、竈−メチル−艟−バレロラクトンなどを挙げることができる。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、ポリマー成分として、ポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)のみを含有していてもよいし、または必要に応じて、他のポリマーを少量(好ましくは導電性ポリマー組成物の全質量に基づいて20質量%以下、特に10質量%以下)であれば含有していてもよい。その際の他のポリマーの代表例は、導電性ポリ乳酸組成物(i)について上記で挙げたのと同様の生分解性ポリエステルの1種または2種以上を挙げることがいる。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)がポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)と共に他のポリマーを含有する場合は、他のポリマーとして、ブロックコポリマー(C)とマクロに相分離せずにミクロ相分離構造を形成するポリマーを用いることが好ましい。その理由は、本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)では、ブロックコポリマー(C)中の溶解度パラメータの近いポリマーブロック[π電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータとの差の絶対値が2.5未満であるポリマーブロック]よりなる相にπ電子共役ポリマー(B)を完全にまたは部分的に相溶させてミクロ相分離構造を形成させるための微細分散用鋳型としてブロックコポリマー(C)を利用しているが、他のポリマーとしてブロックコポリマー(C)とマクロに相分離するものを使用すると、π電子共役ポリマー(B)がブロックコポリマー(C)中の溶解度パラメータの近いポリマーブロック中にミクロ相分離構造をなして微細分散しなくなり、良好な導電性が得られにくくなることによる。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(ii)では、ポリマー成分としてポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)の3者のみを含有する場合、またはポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)、ブロックコポリマー(C)および他のポリマーを含有する場合のいずれにおいても、ブロックコポリマー(C)に形成されるミクロ相分離構造は、そのドメイン間距離[すなわちブロックコポリマー(C)を構成する各ポリマーブロック相間の距離]が、5〜500nmであることが好ましく、10〜250nmであることがより好ましい。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物(i)および導電性ポリ乳酸組成物(ii)は、必要に応じて、グラファイト、金属伝導体、補強繊維、不活性充填材、染料などの他の成分の1種または2種以上を含有することができるが、透明性を確保するためには、含有しない方が好ましい。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物の製造方法は特に制限されず、ポリマー重合体組成物の製造に用いられている公知の方法で混合することにより製造することができる。例えば、ポリ乳酸(A)とπ電子共役ポリマー(B)、或いはポリ乳酸(A)とπ電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどで必要に応じて他のポリマーやその他の成分とブレンドし、そのブレンド物を更に単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどの混練機を用いて均一に混合・混練することによって製造することができる。
また、π電子共役ポリマー(B)が非可塑性であったり、加熱により分解し易いポリマーである場合には、ポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)を有機溶媒に溶解するか、またはポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)を有機溶媒に溶解して溶液を調製し、その溶液を用いて成形加工や紡糸などを行うことができる。
本発明の導電性ポリ乳酸組成物は、成形体(フイルム、シート、プレート、管状体、型物、ブロック状成形体、中空成形品、容器など)、繊維などの種々の製品、何ら限定されるものではないが、具体的には例えばペリクル搬送用包装具、電気・電子部品などを収容するための収納部を設けたキャリアテープやそのカバーテープ、液晶板などの表示材用保護フイルムなどの製造に用いることができる。前記した製品を製造するための成形または加工は、溶融法または溶液法のいずれで行ってもよい。具体的な成形加工方法としては、例えば、押出成形、押出ブロー成形、射出成形、射出ブロー成形、熱プレス成形、真空成形、圧空成形、カレンダー成形、流延成形、回転成形、反応成形、発泡成形などを挙げることができる。また、本発明の導電性ポリ乳酸組成物から繊維を製造する場合には、例えば、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸、空隙紡糸、ゲル紡糸、フラッシュ紡糸などのような通常の紡糸方法を採用することができる。
以下に、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の例において、各種物性や性能などの測定、算出または評価は次のようにして行った。
(1)ブロックコポリマーにおける各ポリマーブロックの分子量およびブロックコポリマー全体の分子量
ブロックコポリマーの全体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)、並びにブロックコポリマーにおける各ポリマーブロックの重量平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)によりポリスチレン換算分子量で求めた。GPCで用いた測定装置および条件は次のとおりである。
[GPC測定の装置および条件]
・装置:東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8020」
・分離カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHXL」
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
(2)ブロックコポリマーにおける各ポリマーブロックの含有割合
1H−NMR(1H−核磁気共鳴)測定によって求めた。1H−NMR測定で用いた測定装置および条件は次のとおりである。
1H−NMR測定の装置および条件]
・装置:日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置「JNM−LA400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
(3)溶解度パラメータ
(3−1)π電子共役ポリマーの溶解度パラメータ:
π電子共役ポリマーの溶解度パラメータ(δ)を、上記した数式(i)により求めた。
その際に、凝集エネルギー密度「Ecoh」(J/mol)およびモル分子容「V」(mol/cm3)は上記したように非特許文献1に基づいて、Federの推算法から求めた。
(3−2)ブロックコポリマーおよびその他のポリマーの溶解度パラメータ:
ブロックコポリマーおよびその他のポリマーの溶解度パラメータは、非特許文献2に記載されている方法にしたがって、上記の数式(ii)(Smallの式)によって上記した方法で求めた。
(4)ポリアニリン塩複合物中に含まれている金属化合物種の同定および粒径の算出
以下の参考例7において、当該参考例7で用いたポリアニリン塩複合物(PANIPOL製「CXM」)中に含まれている金属化合物種を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)(日立製作所製「S4800」)を使用して、加速電圧30kVの条件下で同定すると共に、その粒径を求めた。
(5)金属化合物の一次粒子の平均粒径
上記(4)で使用したのと同じ、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を使用して、加速電圧30kVの条件下に写真撮影し、その写真から、任意の500個の粒子の面積をそれぞれ求め、さらに当該面積と同じ面積を有する円(面積相当円)の直径をそれぞれ求めて、500個の粒子の直径の平均値を採って金属化合物の一次粒子の平均粒径とした。
(6)ポリ乳酸およびブロックコポリマーの屈折率
以下の実施例または比較例で用いた、ポリ乳酸、ポリメチルメタクリレート−ポリn−ブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートトリブロックコポリマー(PMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマー)およびポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー[PS−P(E/P)−PSトリブロックコポリマー]のそれぞれを用いて、熱プレス成形機(神藤金属工業製「SF−57」)を使用して、所定の温度[ポリ乳酸では150℃、PMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーでは180℃、PS−P(E/P)−PSトリブロックコポリマーでは180℃]で、プレス圧49MPa(50kgf/cm2)、加熱時間1.5分、保圧時間0.5分の条件で、厚さ75μmのフイルムを製造し、当該フィルムを切断して採取した試験片(縦×横=50mm×50mm)を用い、屈折率測定装置(アタゴ社製「RX2000」)を使用して、25℃で屈折率を測定した。
(7)表面抵抗値の測定
以下の実施例または比較例で得られた成形体[フイルム(試験片)]を用いて、抵抗率計(三菱化学株式会社製「ロレスターFP」)を使用して、四探針プローブ法にて表面抵抗値を測定した。具体的には、温度25℃、湿度50%RHの条件下に、試験片(縦×横=50mm×50mmのフイルム片)の面内の任意の5点の表面抵抗値を前記した抵抗率計を使用して四探針プローブ法にて測定し、得られた値の平均値を採って、試験片の表面抵抗値とした。
(8)透明性:
文字を印刷した紙(文字:黒色、フォント12pt、字体MSゴシック)の上に、以下の実施例または比較例で得られたフイルム(試験片、縦×横字=50mm×50mm)を密接させて載せ、試験片を通して紙に印刷した文字が読み取れるかどうかを下記の基準にしたがって判定して透明性の評価とした。
[透明性の評価基準]
◎:文字が容易に読み取れる(透明性良好)
○:文字がほぼ読み取れる(透明性ほぼ良好)
△:文字の読み取りがかなり困難である(透明性不良)
×:文字の読み取りが全くできない(不透明)
《参考例1》[ポリメチルメタクリレート−ポリn−ブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートトリブロックコポリマーの製造]
(1) 3リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にてトルエン1170g、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン2.82ml、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム33mmolを含有するトルエン溶液54mlを加え、さらに、sec−ブチルリチウム3.0mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.4mlを加えた。これにメタクリル酸メチル50mlを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温(25℃)にて1時間攪拌後、無色となった。この時点で、反応液1gを採取してサンプリング試料1とした。
(2) 引き続き、重合液の内部温度を−12℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル146mlを6時間かけて滴下して反応を行わせた。滴下終了後、反応液1gを採取してサンプリング試料2とした。
(3) 続いて、反応液にメタクリル酸メチル15mlを加えて室温で撹拌下に反応させた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて10時間攪拌後に無色となり、この時点で反応液にメタノール3gを添加して重合を停止させた。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノールの割合は90質量%)中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収してサンプリング試料3とした。
(4) 上記(1)〜(3)で回収したサンプリング試料1〜3について、上記した方法でGPC測定および1H−NMR測定を行って、その結果に基づいて、各重合段階で得られたポリマーおよびブロックコポリマーのMw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ブロックとポリn−ブチルアクリレート(PnBA)ブロックの質量比などを求めたところ、最終的に得られた上記白色沈殿物は、PMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーであり、その全体の重量平均分子量(Mw)は79,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.28、および各ポリマーブロックの割合はPMMA(12質量%)−PnBA(76質量%)−PMMA(12質量%)であること(PMMAの合計24質量%)が判明した。
《参考例2》[ドーパント(ドデシルベンゼンスルホン酸)・酸化亜鉛(平均粒径20nm)複合物の調製]
ドデシルベンゼンスルホン酸(和光純薬製)(ドーパント)と酸化亜鉛(石原産業株式会社製「EZO−50」、一次粒子の平均粒径=20nm))を1.0:1.0のモル比で混合し、乳鉢で十分に混ぜ合わせた後、ブラベンダーを使用して150℃で5分間にわたって100rpmの回転速度で混練して、ペースト状のドーパント(ドデシルベンゼンスルホン酸)・酸化亜鉛(平均粒径20nm)複合物[以下これを「ドーパント・金属化合物複合物(DM−1)」という]を調製した。
《参考例3》[ドーパント(パラトルエンスルホン酸)・酸化亜鉛(平均粒径20nm)複合物の調製]
ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸の代わりにパラトルエンスルホン酸(アルドリッチ社製)を用いて、パラトルエンスルホン酸:酸化亜鉛=1.0:1.0のモル比で混合し、以下参考例2と同様の操作を行って、ペースト状のドーパント(パラトルエンスルホン酸)・酸化亜鉛(20nm)複合物[以下これを「ドーパント・金属化合物複合物(DM−2)」という]を調製した。
《参考例4》[ドーパント(ポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸)・酸化亜鉛(平均粒径20nm)複合物の調製]
ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸の代わりにポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸(第一工業製薬社製)を用いて、ポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸:酸化亜鉛=1.0:1.0のモル比で混合し、以下参考例2と同様の操作を行って、ペースト状のドーパント(ポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸)・酸化亜鉛(20nm)複合物[以下これを「ドーパント・金属化合物複合物(DM−3)」という]を調製した。
《参考例5》[ドーパント(ドデシルベンゼンスルホン酸)・酸化亜鉛(平均粒径6μm)複合物の調製]
酸化亜鉛(一次粒子の平均粒径=20nm)の代わりに酸化亜鉛(ハイスイテック社製「PZ」、一次粒子の平均粒径=6μm)を用いて、ドデシルベンゼンスルホン酸:酸化亜鉛(平均粒径6μm)=1.0:1.0のモル比で混合し、以下参考例2と同様の操作を行って、ペースト状のドーパント(ドデシルベンゼンスルホン酸)・酸化亜鉛(6μm)複合物[以下これを「ドーパント・金属化合物複合物(DM−4)」という]を調製した。
《参考例6》[ドーパント(ドデシルベンゼンスルホン酸)・炭酸カルシウム(平均粒径50nm)複合物の調製]
酸化亜鉛の代わりに炭酸カルシウム(白石工業社製「白艶華U」、一次粒子の平均粒径=50nm)を用いて、ドデシルベンゼンスルホン酸:炭酸カルシウム=1.0:1.0のモル比で混合し、以下参考例2と同様の操作を行って、ペースト状のドーパント(ドデシルベンゼンスルホン酸)・炭酸カルシウム(50nm)複合物[以下これを「ドーパント・金属化合物複合物(DM−5)」という]を調製した。
上記の参考例2〜6で調製したドーパント・金属化合物複合物(DM−1)〜(DM−6)の内容を整理すると、以下の表1のとおりである。
Figure 2008248072
《参考例7》[ポリアニリン塩複合物からのポリアニリン塩(B−0)の抽出および脱ドープしたポリアニリン(B−1)の調製]
(1)ポリアニリン塩複合物からのポリアニリン塩(B−0)の抽出:
ポリアニリン塩複合物(PANIPOL製「CXM」)500gをトルエン2Lに溶解させた溶解液を、エタノール中に徐々に滴下し、得られた沈殿物を回収した。この沈殿物を真空化で乾燥したところ、ポリアニリン塩(B−0)100gと金属化合物400gが得られた。これにより得られた金属化合物を上記した方法で同定(分析)分析したところ、亜鉛化合物であることが判明した。また、当該亜鉛化合物の粒径を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を使用して前記した方法で測定したところ(測定した亜鉛化合物粒子の数=約500個)、全ての粒子の粒径が1μmよりも大きく、1μm以下のものは観察されなかった。
(2)脱ドープしたポリアニリン(B−1)の調製:
上記(1)で得られたポリアニリン塩(B−0)を3%アンモニア水溶液10Lと共に室温で2時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過して回収し、蒸留水で洗浄液のpHが7〜8になるまで洗浄した。次に、該沈殿物をメタノールで洗浄液が無色になるまで洗浄した後、更にメタノールおよびエチルエーテルで洗浄した。得られた物質を真空化で乾燥して、脱ドープしたポリアニリン(B−1)(ドーパントを除いたポリアニリン)50gを得た。
《参考例8》[ドーピングによるポリアニリン塩(B−2a)の調製]
前記の参考例7で得られた脱ドープしたポリアニリン(B−1)に、ポリアニリン(B−1)中の窒素原子1モルに対して0.5モルの割合でドデシルベンゼンスルホン酸(和光純薬製)をドーパントとして加え、乳鉢で十分に混ぜ合わせた後、ブラベンダーを用いて、150℃で、5分間にわたって100rpmの回転速度で混練してドデシルベンゼンスルホン酸ドーピングによるペースト状のポリアニリン塩(B−2a)を調製した。
《参考例9》[ドーピングによるポリアニリン塩(B−2b)の調製]
前記の参考例7で得られた脱ドープしたポリアニリン(B−1)に、ポリアニリン(B−1)中の窒素原子1モルに対して0.5モルの割合でパラトルエンスルホン酸(アルドリッチ社製)をドーパントとして加え、以後参考例8と同様の操作を行って、パラトルエンスルホン酸ドーピングによるペースト状のポリアニリン塩(B−2b)を調製した。
《参考例10》[ドーピングによるポリアニリン塩(B−2c)の調製]
前記の参考例7で得られた脱ドープしたポリアニリン(B−1)に、ポリアニリン(B−1)中の窒素原子1モルに対して0.5モルの割合でポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸(第一工業製薬社製)をドーパントとして加え、以後参考例8と同様の操作を行って、ポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸ドーピングによるペースト状のポリアニリン塩(B−2c)を調製した。
《参考例11》[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3a)の調製]
参考例8で得られたドデシルベンゼンスルホン酸ドーピングによるポリアニリン塩(B−2a)に対して、参考例2で調製したドーパント・金属化合物複合物(DM−1)[ドデシルベンゼンスルホン酸・酸化亜鉛(平均粒径20nm)複合物]を、ポリアニリン塩(B−2a)中の窒素原子とドーパント・金属化合物複合物(DM−1)中の金属化合物(酸化亜鉛)とのモル比が1.0:1.0になる量で加えて、乳鉢で十分に混ぜ合わせた後、ブラベンダーを使用して150℃で5分間にわたり100rpmの回転速度で混練して、酸化亜鉛(平均粒径20nm)を含有するペースト状のポリアニリン塩複合物[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3a)]を調製した。
《参考例12》[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3b)の調製]
参考例9で得られたパラトルエンスルホン酸ドーピングによるポリアニリン塩(B−2b)に対して、参考例3で調製したドーパント・金属化合物複合物(DM−2)[パラトルエンスルホン酸・酸化亜鉛(平均粒径20nm)複合物]を、ポリアニリン塩(B−2b)中の窒素原子とドーパント・金属化合物複合物(DM−2)中の金属化合物(酸化亜鉛)とのモル比が1.0:1.0になる量で加え、参考例11と同様に混合および混練して、酸化亜鉛(平均粒径20nm)を含有するペースト状のポリアニリン塩複合物[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3b)]を調製した。
《参考例13》[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3c)の調製]
参考例10で得られたポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸ドーピングによるポリアニリン塩(B−2c)に対して、参考例4で調製したドーパント・金属化合物複合物(DM−3)[ポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテルスルホン酸・酸化亜鉛(平均粒径20nm)複合物]を、ポリアニリン塩(B−2c)中の窒素原子とドーパント・金属化合物複合物(DM−3)中の金属化合物(酸化亜鉛)とのモル比が1.0:1.0になる量で加え、参考例11と同様に混合および混練して、酸化亜鉛(平均粒径20nm)を含有するペースト状のポリアニリン塩複合物[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3c)]を調製した。
《参考例14》[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3d)の調製]
参考例8で得られたドデシルベンゼンスルホン酸ドーピングによるポリアニリン塩(B−2a)に対して、参考例5で調製したドーパント・金属化合物複合物(DM−4)[ドデシルベンゼンスルホン酸・酸化亜鉛(平均粒径6μm)複合物]を、ポリアニリン塩(B−2a)中の窒素原子とドーパント・金属化合物複合物(DM−4)中の金属化合物(酸化亜鉛)とのモル比が1.0:1.0になる量で加え、参考例11と同様に混合および混練して、酸化亜鉛(平均粒径6μm)を含有するペースト状のポリアニリン塩複合物[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3d)]を調製した。
《参考例15》[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3e)の調製]
参考例8で得られたドデシルベンゼンスルホン酸ドーピングによるポリアニリン塩(B−2a)に対して、参考例6で調製したドーパント・金属化合物複合物(DM−5)[ドデシルベンゼンスルホン酸・炭酸カルシウム(平均粒径50nm)複合物]を、ポリアニリン塩(B−2a)中の窒素原子とドーパント・金属化合物複合物(DM−5)中の金属化合物(炭酸カルシウム)とのモル比が1.0:1.0になる量で加えて、参考例11と同様に混合および混練して、炭酸カルシウム(平均粒径50nm)を含有するペースト状のポリアニリン塩複合物[金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3e)]を調製した。
上記の参考例7〜15で得られた脱ドープしたポリアニリン(B−1)、ドーピングによるポリアニリン塩(B−2a)〜(B−2c)、金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3a)〜(B−3e)の内容を、上記した方法で求めた溶解度パラメータ(δ)と共に下記の表2に示す。
また、以下の実施例または比較例で用いている市販のポリアニリン塩分散液(日産化学社製「NX−BOO1X」)中に含まれているポリアニリン塩および市販のポリピロール分散液(日本カトリット社製)中に含まれているポリピロールについても、上記した方法で求めた溶解度パラメータ(δ)を下記の表2に示す。
さらに、上記の参考例1で得られたポリメチルメタクリレート−ポリn−ブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートトリブロックコポリマーにおける各ポリマーブロックを構成するポリマー(ポリメチルメタクリレートとポリn−ブチルアクリレート)、並びに以下の比較例2および比較例5で用いているポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーにおける各ポリマーブロックを構成するポリマー[ポリスチレンとポリ(エチレン/プロピレン)]について、上記した方法で求めた溶解度パラメータ(δ)を下記の表3に示す。
Figure 2008248072
Figure 2008248072
また、下記の実施例または比較例で用いたポリ乳酸、ポリメチルメタクリレート−ポリn−ブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートトリブロックコポリマーおよびポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーの屈折率は、以下の表4に示すとおりである。
Figure 2008248072
《実施例1》
(1) ポリ乳酸(三井化学株式会社製「レイシアH280」、以下の実施例および比較例でも同じ)60質量部に、参考例11で得られた酸化亜鉛(平均粒径20nm)含有ポリアニリン塩複合物(B−3a)40質量部を加え、ブラベンダーを使用して温度150℃で150rpmの回転速度で1分間混練して、導電性ポリ乳酸組成物[導電性ポリ乳酸組成物(i)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリ乳酸組成物を用いて、熱プレス成形機(神藤金属工業製「SF−57」)を使用して、温度180℃、プレス圧49MPa(50kgf/cm2)、加熱時間1.5分、保圧時間0.5分の条件で、厚さ75μmのフイルムを製造した。
(3) 上記(2)で得られたフイルムから、縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
《実施例2》
(1) ポリ乳酸80質量部に、ポリアニリン塩分散液(日産化学社製「NX−BOO1X」、ドデシルベンゼンスルホン酸ドーピング品、ポリアニリン塩濃度=10質量%)から抽出したポリアニリン塩20質量部を加えて、ポリ乳酸:ポリアニリン塩の質量比が80:20である混合物[導電性ポリ乳酸組成物(i)]を調製し、当該混合物5質量部にキシレン95質量部を加えて室温で溶解して、固形分濃度5質量%の溶液を調製し、当該溶液をペトリデイッシュに注いだ後、室温で、大気圧下に1週間放置してトルエンを蒸発させ、次いで室温(25℃)で真空下に一晩放置してキシレンを完全に除去して、厚さが約75μmのフイルムを製造した。
(2) 上記(1)で得られたフイルムから、縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
《実施例3》
(1) ポリ乳酸80質量部に、ポリピロール分散液[日本カートリット社製、ポリピロール濃度=10質量%]から抽出したポリピロール[ポリピロールの溶解度パラメータ(δ)=27.0(J/cm3)1/2]20質量部を加えて、ポリ乳酸:ポリピロールの質量比が80:20の混合物[導電性ポリ乳酸組成物(i)]を調製し、当該混合物5質量部にメチルエチルケトン95質量部を加えて室温で溶解して、固形分濃度5質量%の溶液を調製し、当該溶液をペトリデイッシュに注いだ後、室温で、大気圧下に1週間放置してメチルエチルケトンを蒸発させ、次いで室温(25℃)で真空下に一晩放置してメチルエチルケトンを完全に除去して、厚さ約75μmのフイルムを製造した。
(2) 上記(1)で得られたフイルムから、縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
《比較例1》
(1) ポリ乳酸90質量部に、導電性カーボンブラック(ライオン株式会社製「ケッチェンブラックEC600JD」)10質量部を加え、ブラベンダーを使用して実施例1の(1)と同様に混練して導電性ポリ乳酸組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリ乳酸組成物を用いて、熱プレス成形機を使用して実施例1の(2)と同様の操作を行って厚さ75μmのフイルムを製造した。
(3) 上記(2)で得られたフイルムから、縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
Figure 2008248072
《実施例4》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例11で得られた金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3a)を17質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを33質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して150℃で150rpmの回転速度で1分間混練して、導電性ポリ乳酸組成物[導電性ポリ乳酸組成物(ii)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
《比較例2》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例11で得られた金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3a)を17質量部およびポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー(株式会社クラレ製「S2002」)を33質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して実施例4の(1)と同様に混練して導電性ポリ乳酸組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
Figure 2008248072
《実施例5》
(1) ポリ乳酸54質量部に、参考例8で得られたドデシルベンゼンスルホン酸ドーピングによるポリアニリン塩(B−2a)を40質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを6質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して150℃で150rpmの回転速度で1分間混練して、導電性ポリ乳酸組成物[導電性ポリ乳酸組成物(ii)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表7に示すとおりであった。
《実施例6》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例11で得られた金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3a)を38質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを12質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して実施例5の(1)と同様に混練して、導電性ポリ乳酸組成物[導電性ポリ乳酸組成物(ii)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表7に示すとおりであった。
《比較例3》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例14で得られた酸化亜鉛(平均粒径6μm)含有ポリアニリン塩複合物(B−3d)を38質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを12質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して実施例5の(1)と同様に混練して、導電性ポリ乳酸組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表7に示すとおりであった。
《比較例4》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例15で得られた炭酸カルシウム(平均粒径50nm)含有ポリアニリン塩複合物(B−3e)を38質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを12質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して実施例5の(1)と同様に混練して導電性ポリ乳酸組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表7に示すとおりであった。
Figure 2008248072
《実施例7》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例12で得られた金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3b)を17質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを33質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して150℃で150rpmの回転速度で1分間混練して、導電性ポリ乳酸組成物[導電性ポリ乳酸組成物(ii)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表8に示すとおりであった。
《比較例5》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例12で得られた金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3b)を17質量部およびポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー(株式会社クラレ製「S2002」)を33質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して実施例7の(1)と同様に混練して導電性ポリ乳酸組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表8に示すとおりであった。
Figure 2008248072
《実施例8》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例13で得られた金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3c)を38質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを12質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して150℃で150rpmの回転速度で1分間混練して、導電性ポリ乳酸組成物[導電性ポリ乳酸組成物(ii)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表9に示すとおりであった。
《実施例9》
(1) ポリ乳酸50質量部に、参考例13で得られた金属化合物含有ポリアニリン塩複合物(B−3c)を17質量部および参考例1で得られたPMMA−PBA−PMMAトリブロックコポリマーを33質量部の割合で加えて、ブラベンダーを使用して実施例8の(1)と同様に混練して、導電性ポリ乳酸組成物[導電性ポリ乳酸組成物(ii)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られた導電性ポリマー組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして厚さ75μmのフイルムを製造した後、当該フイルムから縦×横字=50mm×50mmの試験片を採取して、表面抵抗値の測定および透明性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表9に示すとおりであった。
Figure 2008248072
本発明の導電性ポリ乳酸組成物は、導電性、透明性、力学的特性などに優れており、しかも可塑性であって溶融成形加工が可能であるため、それらの特性を活かして、静電気放電、静電気消失、電磁波シールド、帯電防止などの制電機能を有するフイルムやその他の各種成形体、光透過性と通電性の両方の機能を有する透明導電膜などの成形体などに有効に用いることができる。

Claims (13)

  1. ポリ乳酸(A)およびπ電子共役ポリマー(B)を含有する導電性ポリ乳酸組成物であって、ポリ乳酸(A)の含有量が導電性ポリ乳酸組成物の全質量に基づいて50質量%以上であることを特徴とする導電性ポリ乳酸組成物。
  2. ポリ乳酸(A)、π電子共役ポリマー(B)およびブロックコポリマー(C)を含有する導電性ポリ乳酸組成物であって、ポリ乳酸(A)の含有量が導電性ポリ乳酸組成物の全質量に基づいて50質量%以上であり、且つブロックコポリマー(C)が、ブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であるブロックポリマーであることを特徴とする導電性ポリ乳酸組成物。
  3. ブロックコポリマー(C)が、ブロックコポリマー(C)を構成する複数のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5未満であり、ブロックコポリマー(C)を構成する前記とは異なる他のポリマーブロックのうちの少なくとも1つのポリマーブロックの溶解度パラメータとπ電子共役ポリマー(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が2.5以上であるブロックポリマーである請求項2に記載の導電性ポリ乳酸組成物。
  4. ポリ乳酸(A)とブロックコポリマー(C)の屈折率の差(△n)の絶対値が0.03未満である請求項2または3項に記載の導電性ポリ乳酸組成物。
  5. π電子共役ポリマー(B)が、可塑化効果を有するドーパントによりドーピングされているポリアニリン系ポリマーである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ポリ乳酸組成物。
  6. π電子共役ポリマー(B)がポリアニリン系ポリマーであり、ブロックコポリマー(C)が、ポリアニリン系ポリマーとの溶解度パラメータ差の絶対値が2.5未満であるアルキルメタクリレート系ポリマーブロックを有するブロックコポリマーである請求項2〜5のいずれか1項に記載の導電性ポリ乳酸組成物。
  7. ポリ乳酸、可塑化効果を有するドーパントによりドーピングされているポリアニリン系ポリマー、およびポリメチルメタクリレートブロックとポリn−ブチルアクリレートブロックを有するブロックコポリマーを含有することを特徴とする導電性ポリ乳酸組成物。
  8. 平均粒径が1μm以下の金属酸化物を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性ポリ乳酸組成物。
  9. 金属酸化物が酸化亜鉛である請求項8に記載の導電性ポリ乳酸組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性ポリマーポリ乳酸組成物からなる成形体。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性ポリ乳酸組成物からなるペリクル搬送用包装具。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性ポリ乳酸組成物からなる部品を収納するための収納部が設けられたキャリアテープおよびそのカバーテープ。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性ポリ乳酸組成物からなる表示材用保護フイルム。
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