JP2005126081A - カバーテープ用樹脂組成物、およびこれを用いたカバーテープ、並びに包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた帯電防止機能と透明性とを兼ね備え、さらに耐ブロッキング性、接着特性に優れたカバーテープ用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明のカバーテープ用樹脂組成物は、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを、有機溶剤中に相溶してなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた帯電防止機能と透明性とを兼ね備え、さらに耐ブロッキング性、接着特性に優れたカバーテープ用樹脂組成物、およびこれをシール層に用いたカバーテープ、並びに包装体に関する。
近年、回路基板への電子部品の実装効率を向上するため、電子部品をキャリアテープの電子部品収納部に一定ピッチで収納し、各電子部品収納部をカバーテープで封止した包装体の形態で、実装装置まで搬送し、キャリアテープから電子部品を自動的に取り出して、実装することが広く行われている。
キャリアテープに収容された電子部品、特にICチップ等の能動部品は、キャリアテープとの接触や、カバーテープをキャリアテープから剥離する際に発生する静電気によって帯電しやすく、実装時の静電吸着トラブルや電子部品の静電破壊を招くことがあった。
そこで、かかる問題を回避するべく、従来から様々な帯電防止策が提案されている。
例えば、(1)シール層表面に、厚さ0.1μm以下の共役導電性高分子層を設けることが提案されており(特許文献1等)、これによって帯電防止機能と透明性を備えたカバーテープが得られるとされている。
その他、(2)シール層に、球状シリコン等の導電性微粒子、高分子型帯電防止剤、有機導電性高分子を添加する(特許文献2等)、(3)基材上に、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂、或いは、吸水性ポリエステル樹脂等の吸水性樹脂を含む水性エマルジョンを塗布してシール層とし、このシール層に共役導電性高分子であるポリチオフェンを帯電防止剤として分散配合する(特許文献3、4等)等が提案されている。
特開2001−301819号公報 特開2001−106994号公報 特開平6−295016号公報 特開平9−31222号公報
しかしながら、(1)シール層表面に導電性高分子層を備えたカバーテープ(特許文献1等)は、導電性高分子層に接着性がなく、キャリアテープに対して直接接着を行うことができないため、該層を部分的に除去してシール層を露出させ接着を行う必要がある。そのため、シール条件によって接着状態がばらつきやすい。さらに接着状態にばらつきがあると、同時にカバーテープの剥離性にもばらつきが生じることとなり、連続して剥離を行うと、キャリアテープが振動して内包された電子部品が飛び出したり、カバーテープが部分的に残ってしまう等の不具合を招いてしまう。加えて、導電性高分子層を別途設ける必要があるため、生産性にも問題がある。
(2)シール層内に高分子型帯電防止剤、有機導電性高分子、導電性微粒子を配合したカバーテープ(特許文献2等)では、以下のような問題があった。
第1に、高分子型帯電防止剤は、帯電防止機能が湿度等の影響を受けて変動しやすく、安定した帯電防止機能が得られない。
第2に、一般に有機導電性高分子は不溶不融であり、凝集体(すなわち粒子状)の形態で層内に分散する。これは、カーボンブラック等の導電性フィラーを添加したものと変わりなく、透明性の低下(ヘイズの増加)を招き、収納された部品のセンサ等による識別が困難となる。
第3に、導電性微粒子は塗工液を調製する際に沈降しやすく、均一に分散させることが難しい。そのため、シール層内における導電性微粒子の濃度にムラが生じやすく、安定した帯電防止機能が得られない。加えて、その添加量は、シール層内全体に渡って均一に分布させるには不十分である。そのため、シール層内には導電性微粒子の存在しない絶縁部分が局所的に形成され、発生した静電気を蓄えてしまうため、速やかな電荷減衰が行われない。しかも、この絶縁部分は極小であるため、計測器等を用いても測定の範囲が広すぎて検出することが極めて難しい。
(3)シール層の接着成分として、水溶性樹脂や吸水性樹脂(水性エマルジョン)を用いたカバーテープ(特許文献3、4等)では、キャリアテープをカバーテープで封止した状態で高温高湿環境下に保管した場合、水溶性樹脂や吸水性樹脂が可塑化し、剥離強度の経時的な変動を招いてしまう。さらに、搬送時の振動等によって、収納側に露出したカバーテープのシール層と電子部品とが接触した際に、電子部品に樹脂が付着しブロッキングを招いてしまう。また、ロール状に巻かれたカバーテープ単体を高温高湿環境下に保管した場合にも同様に、水溶性樹脂や吸水性樹脂が可塑化し、基材裏面/シール層表面間にブロッキングが発生してしまう。そして、かかる剥離強度の経時的な変動やブロッキングが、実装トラブルの要因となり得る。
加えて、水溶性樹脂や吸水性樹脂は高温高湿環境下で白濁しやすいため、透明性が低下(ヘイズが増加)し、収納された部品のセンサ等による識別が困難となる。
なお、かかる問題を回避するために、水溶性樹脂や吸水性樹脂を、メラミン系、ポリカルボジイミド系、オキサゾリジン系、エポキシ系、ポリイソシアネート系等の架橋剤で架橋させることが提案されているが、かかる架橋剤を添加すると、共役導電性高分子が凝集したり、ゲル化したりする。
その他、水溶性樹脂や吸水性樹脂の代わりに、有機溶剤可溶型の熱可塑性樹脂を用いることが検討されているが、有機溶剤可溶型の熱可塑性樹脂と共役導電性高分子とは一般に相溶性に劣り、塗工液調製時に共役導電性高分子が凝集・沈殿し、熱可塑性樹脂と共役導電性高分子が透明相溶化した塗工液を得ることが極めて難しい。
以上説明したように、帯電防止機能と透明性は互いに背反する特性であり、これらを兼ね備えたカバーテープは未だ開発されていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、優れた帯電防止機能と透明性とを兼ね備え、さらに耐ブロッキング性、接着特性に優れたカバーテープのシール層用組成物およびカバーテープを提供することを目的とする。また、かかる特性を備えたカバーテープを用いた包装体を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するべく検討を行い、特定の熱可塑性樹脂と特定の導電材料とを組み合わせることで良好な相溶性が得られ、帯電防止機能と透明性の両立を図ることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明のカバーテープ用樹脂組成物は、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを、有機溶剤中に相溶してなることを特徴とする。
本発明のカバーテープは、キャリアテープの電子部品収納部を封止するためのカバーテープにおいて、基材上に、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを含有するシール層を具備することを特徴とする。かかる構成を採用することによって、透明性に優れたシール層が得られ、カバーテープの全光線透過率を90%以上、ヘイズ値を5%以下とすることができる。
本発明のカバーテープにおいては、前記基材と前記シール層との間に、さらに中間層を具備するものであっても良く、前記中間層としては、少なくとも共役導電性高分子とポリアニオンとを含有するものが好適である。
本発明の包装体は、キャリアテープの電子部品収納部が、上記の本発明のカバーテープにより封止されたことを特徴とする。
本発明によれば、有機溶剤可溶型のアクリル系共重合体と、導電材料(共役導電性高分子およびポリアニオン)との相溶性に優れるので、優れた帯電防止機能と透明性とを兼ね備え、さらに耐ブロッキング性、接着特性に優れたカバーテープ用樹脂組成物およびカバーテープを提供することができる。また、このカバーテープを用いることにより、電子部品の帯電を十分に防止しつつ、内包された電子部品等をセンサ等を用いて容易に識別することができ、カバーテープに起因する実装トラブルを抑制できる包装体を提供することができる。
「カバーテープ用樹脂組成物」
本発明のカバーテープ用樹脂組成物は、特定の熱可塑性樹脂と特定の導電材料とを有機溶剤中に相溶してなることを特徴とするものであり、本発明では、熱可塑性樹脂として特定のアクリル系共重合体、導電材料として共役導電性高分子およびポリアニオンを用いる。
(アクリル系共重合体)
アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸あるいはその誘導体(以下、「アクリル系単量体」と総称する。)を構成成分として含む共重合体である。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、アクリルニトリル、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリルニトリル等が挙げられる。
アクリル系共重合体としては、アクリル系単量体を2種以上共重合したものを用いても良いし、アクリル系単量体1種以上と他の単量体とを共重合したものを用いても良い。
アクリル系単量体と共重合し得る他の単量体としては、例えば、エチレン、スチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、コハク酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等の不飽和単量体が挙げられる。
本発明では、ガラス転移温度が40〜70℃、特に好ましくは50〜70℃のアクリル系共重合体を用いる。本発明者は、かかるアクリル系共重合体が、導電材料である共役導電性高分子およびポリアニオンに対して優れた相溶性を呈し、しかも耐ブロッキング性にも優れることを見出した。
アクリル系共重合体の構成成分やその含有比は特に限定されないが、ホモポリマーのガラス転移温度が−70〜−20℃と低いアクリル系単量体(A1)と、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上と高いアクリル系単量体(A2)とを併用することが好ましい。またこれらのアクリル系単量体の合計含有量を、単量体総量に対して90モル%以上とすることが好ましい。
ホモポリマーのガラス転移温度の低いアクリル系単量体(A1)としては、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、導電材料の相溶性向上に寄与する。すなわち、側鎖のアルキル基がポリマー主鎖の分子間力を緩和させ、分子密度の低いバルキーな構造をとるため、導電材料を分子間に取り込みやすく、相溶性が向上するのである。さらに、導電材料のポリアニオンあるいはポリアニオンの側鎖と、アクリル系共重合体の側鎖の極性を近づけることにより、両者が擬似的な高分子網目構造を呈し、相溶性を一層向上させることもできる。
換言すれば、アクリル系共重合体は、そのガラス転移温度が低い程、アクリル系単量体(A1)を相対的に多く含有し、導電材料との相溶性に優れたものとなる。
しかしながら、アクリル系単量体(A1)は、側鎖のアルキル基がポリマー主鎖の分子間力を緩和して内部可塑化するため、この含有量が多くなると、接着性あるいは粘着性が向上する一方、耐ブロッキング性の低下を招いてしまう。本発明者は、具体的にはガラス転移温度が40℃未満で耐ブロッキング性が不良となることを見出している。
一方、ホモポリマーのガラス転移温度の高いアクリル系単量体(A2)としては、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリルニトリル等が挙げられる。これらは、主鎖の分子間力に対する側鎖の影響が小さいため、アクリル系単量体(A1)と反対の特性を呈する。すなわち、アクリル系共重合体は、そのガラス転移温度が高い程、アクリル系単量体(A2)を相対的に多く含有し、耐ブロッキング性は優れたものとなる一方、導電材料との相溶性は低下し、導電材料の凝集を招くものとなる。本発明者は、具体的にはガラス転移温度が70℃超で導電材料に対する相溶性が不良となり、導電材料が凝集することを見出している。
つまり、ガラス転移温度と、相溶性や耐ブロッキング性との間には相関関係があり、ホモポリマーのガラス転移温度の低いアクリル系単量体(A1)とホモポリマーのガラス転移温度の高いアクリル系単量体(A2)とをバランス良く配合し、ガラス転移温度を40〜70℃、特に好ましくは50〜70℃とすることで、導電材料に対する優れた相溶性と、優れた耐ブロッキング性とを両立することができる。
なお、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上と高い他の単量体(例えば、エチレン、スチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、コハク酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等)も、アクリル系単量体(A2)と同様、耐ブロッキング性を向上させる一方、相溶性を低下させるので、アクリル系単量体(A2)と適宜併用して、ガラス転移温度、あるいはこれと相関関係のある相溶性等の特性を調整することができる。
さらに、本発明では、有機溶剤可溶型のアクリル系共重合体を用いる。これによって、シール層の吸水や吸湿による可塑化やブロッキングを完全に抑えることができる。
用いるアクリル系共重合体は何らかの有機溶剤に溶解し得るものであれば、有機溶剤の種類は問わないが、例えば、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類等、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等に溶解可能なものが好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるアクリル系共重合体の配合量は特に限定されない。但し、アクリル系共重合体はシール層に接着性を付与する成分であり、シール層が良好な接着性を発現するには、通常のシール条件、例えば、熱圧着に用いるコテ(サイズ例;幅0.3〜1.0mm、長さ 10〜50mm)等の表面温度が120〜200℃、圧力1〜5g/mm、毎分50〜100回のサイクルで1〜5回重ね押しするシール条件で、接着活性化する共に、シール層のキャリアテープからの剥離強度(接着強度)が、100〜1000g/cm程度(180℃剥離)となるように、アクリル系共重合体の配合量を設定することが好ましい。さらに、この剥離強度のシール温度依存性が小さく、熱圧着の条件によって大きく変動しないことが好ましい。具体的には、最低シール温度と最高シール温度に60℃以上の差があっても、最高シール温度での剥離強度が最低シール温度での剥離強度の4倍以下であることが好ましく、3倍以下であることが特に好ましい。これによって、安定してシールを行うことができ、剥離強度のばらつきに起因する実装トラブルを抑制することができる。
(導電材料)
本発明では、帯電防止を目的として、導電材料である共役導電性高分子およびポリアニオンを配合する。
共役導電性高分子としては特に限定されないが、透明性に優れると共に、体積固有抵抗が低く少量の添加で優れた帯電防止機能を発現することから、例えば、ポリチオフェンやその誘導体、ポリピロールやその誘導体等が好ましく用いられる。
ポリチオフェン誘導体の具体例としては、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−ブチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、ポリ3−デシルチオフェン、ポリ3-ドデシルチオフェン、ポリ3−メトキシチオフェン、ポリ3-オクトキシチオフェン、ポリ3-カルボキシチオフェン、ポリ3-メチル−4−カルボキシチオフェン、ポリ3、4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。
ポリピロール誘導体の具体例としては、ポリ3−メチルピロール、ポリ3−ブチルピロール、ポリ3−オクチルピロール、ポリ3−デシルピロ―ル、ポリ3、4−ジメチルピロール、ポリ3、4−ジブチルピロール、ポリ3−ヒドロキシピロール、ポリ3−メチル−4ヒドロキシピロール、ポリ3−メトキシピロール、ポリ3−エトキシピロール、ポリ3−オクトキシピロール、ポリ3−オクトキシピロール、ポリ3−カルボキシルピロール、ポリ3−メチル−4−カルボキシピロール等が挙げられる。
これら共役導電性高分子の合成方法は特に限定されないが、酸化剤または酸化重合触媒の存在下にて重合性共役モノマーを重合する化学酸化重合法等が挙げられる。該重合法に用いて好適な酸化剤としては、ペルオキソ二硫化アンモニウム、ペルオキソ二硫化ナトリウム、ペルオキソ二硫化カリウム等の二硫化塩、塩化第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が挙げられる。
ポリアニオンとしては特に限定されないが、先の共役導電性高分子に化学酸化ドープを生じさせることができるアニオン基を含有するものが好ましい。かかるアニオン基としては、例えば、一般式−O−SOX、−O−PO(OX)、−COOX、−SOXで表される基等(各式中、Xは水素原子またはアルカリ金属原子を示す。)が挙げられ、中でも、共役導電性高分子へのドープ効果に優れることから、−SOX及び−O−SOXで表される基が特に好ましい。
かかるポリアニオンは、少なくとも1種のアニオン系重合性単量体を用いて重合を行うことによって得られる。なお、重合に際しては、他の重合性単量体を用いて共重合させることも差し支えない。
アニオン系重合性単量体としては特に限定されないが、重合性単量体の適切な部位が一般式−O−SOX、−O−PO(OX)、−COOX、−SOXで表される基(Xは前記と同様。)等のアニオン基で置換されたもの等が挙げられる。具体的には、エチレンスルホン酸化合物、スチレンスルホン酸化合物、複素環スルホン酸化合物、アクリルアミドスルホン酸化合物、シクロビニレンスルホン酸化合物、ブタジエンスルホン酸化合物、ビニル芳香族スルホン酸化合物等が挙げられ、中でも、共役導電性高分子へのドープ効果に優れることから、スチレンスルホン酸が好ましく用いられる。
共役導電性高分子とポリアニオンの配合比は特に限定されないが、化学酸化ドープを効率的に行うため、共役導電性高分子1モルに対してポリアニオンを1.5〜5.0モルとすることが好ましく、2.0〜3.0モルとすることが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物における共役導電性高分子とポリアニオンの配合量は特に限定されない。但し、良好な帯電防止機能を付与するために、シール層表面の抵抗値が10〜1010Ωとなるように、これらの配合量を設定することが好ましい。
具体的には、導電材料の固形分総量をアクリル系共重合体の固形分に対して0.01〜2.0質量%とすることが好ましい。本発明者は、上述のアクリル系共重合体と共役導電性高分子とポリアニオンとの相溶性が極めて良好であるので、導電材料の固形分総量が0.01〜2.0質量%と少量であっても、上記表面抵抗値を有し、優れた帯電防止機能を発現するシール層を形成し得ること、また導電材料の合計配合量が0.01質量%未満では帯電防止機能が不十分となることがあり、2.0質量%超ではシール層の透明性(ヘイズ)に影響を与える恐れがあることを見出している。
(有機溶剤)
有機溶剤は、上述のアクリル系共重合体を溶解し得るものを適宜選択して用いることができ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例示については、段落[0015]に記載したので、説明を省略する。
なお、シール層成膜時のコーティングラインのスピードを考慮して、適当な沸点(例えば、80〜150℃程度)を有する有機溶剤を適宜選択して用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば、アクリル系共重合体を有機溶剤に溶解した後、この溶液に対して、共役導電性高分子およびポリアニオンを含む市販の導電性組成物を添加し、混合する方法等が挙げられる。なお、市販の導電性組成物に水等の無機溶媒が含まれている場合には、これをあらかじめ有機溶媒に置換してから添加することが好ましい。
本発明は、接着性を付与する樹脂と帯電防止機能を発現する導電材料との組み合わせを最適化し、これらの相溶性を著しく向上させたものであり、優れた帯電防止機能と透明性とを兼ね備え、さらには耐ブロッキング性、接着特性に優れたシール層を形成し得る、優れたカバーテープ用樹脂組成物である。
「カバーテープ」
カバーテープはキャリアテープの電子部品収納部を封止するために用いられるものであり、図1に厚み方向の断面を示すように、基材1とその上に形成されるシール層2により概略構成され、本発明ではシール層2の組成が特徴的である。
(基材)
基材としては特に限定されないが、キャリアテープから剥離する際に切断されない程度の十分な強度を備え、環境や熱に対する寸法安定性に優れた絶縁性高分子フィルム等が好適に用いられる。
かかる高分子フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート等のフィルムや、これらの変性物、これらが複合化された複合フィルム等が挙げられる。中でも、強度、耐熱性、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。なお、フィルムの複合化にあたっては、あらかじめ貼り合わせ面に、粗面化処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理、アンカーコート処理等の公知の処理を施すこともできる。
基材の厚さは特に限定されないが、12〜150μm程度が好ましい。基材厚が12μm未満では、十分な剥離強度が得られず、断続的に20〜50m/秒の速さで剥離すると切断されてしまう恐れがあり、150μm超では、剛性が強くなりすぎてハンドリングが困難となる上、シール時の熱伝導に時間を要するため、高速シール性に不利になる。
基材の外表面(シール層形成面と反対側の面)側の構造は特に限定されず、界面活性剤等からなる帯電防止層や二酸化ケイ素薄膜等からなる透湿防止層等を、必要に応じて設けても良い。
(シール層)
本発明では、シール層2が上記の本発明のカバーテープ用樹脂組成物を用いて成膜されたものであり、シール層2は、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを含有してなる。
シール層2の膜厚は特に限定されないが、0.5〜50μmが好ましい。シール層2の膜厚が0.5μm未満では、十分な接着強度が維持できず、キャリアテープから剥がれやすくなり、50μm超では、接着剤がフローして安定した剥離強度が得られなくなる恐れがある。
シール層2の成膜方法としては特に限定されないが、上記の本発明の樹脂組成物を基材上にコーティングし、塗膜を形成した後、乾燥する方法が好適である。コーティング法としては、グラビアコート、コンマコート、ロールコート等の公知のコーティング法を採用することができる。なお、カバーテープは、シール層2形成後に得られる原反を数〜数十mmの所望の幅に切断し、リールに巻き取ることで、最終製品となる。
(中間層)
本発明のカバーテープには、図2に示すように、基材1とシール層2との間に必要に応じて中間層3を設けても良い。
例えば、基材1よりも小さいせん断弾性率を有する弾性体(具体的には、ポリエチレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、スチレン系、アミド系、あるいはエステル系の熱可塑性エラストマー等)からなる中間層3を設けることによって、シール時の熱圧着コテの当たりを良くし安定した接着を得ることができる。この場合、中間層3の膜厚は、例えば0.5〜50μm程度が好ましい。
剥離強度を安定させるために、剥離層として機能する中間層3を設けても良い。この場合、シール層に用いるアクリル系共重合体の種類にもよるが、キャリアテープとは異なる材質で、かつシール層に対する接着強度が比較的低い素材(例えば、オレフィン系フィルム等)により中間層3を構成することが好ましい。中間層3には、剥離性の調整を目的として、ワックス、シリコーン、アクリルシリコーン等の化合物を適宜配合しても良いが、透明性を阻害しないようにすることが重要である。かかる層を設けることで、キャリアテープの種類やシール条件等にかかわらず、安定した剥離性が得られる。
また、中間層3を設ける場合には、帯電防止剤を添加し帯電防止機能を付与することが好ましい。帯電防止剤としては特に限定されないが、透明性および帯電防止機能の観点から、本発明の樹脂組成物で挙げた共役導電性高分子およびポリアニオンを用いることが好ましい。中間層3にも帯電防止機能を付与することにより、キャリアテープからカバーテープを剥離させるときに発生する剥離帯電をより低減させることができ、好適である。
本発明のカバーテープは、上記の本発明の樹脂組成物を用いて成膜されたシール層2を備えたものであるので、優れた帯電防止機能と透明性とを兼ね備え、さらに耐ブロッキング性、接着特性に優れたものとなる。
本発明では、シール層2の透明性に優れるので、カバーテープ全体の全光線透過率を90%以上、ヘイズ値を5%以下とすることができ、カバーテープを通して、キャリアテープに収納された内容物を良好に視認することができる。そのため、電子部品に刻印された部品番号、ロット等についても精度良く識別することができる。
また、本発明のカバーテープは、キャリアテープ接合面の材質や表面状態、シール条件等にかかわらず、良好な接着性と剥離性を呈する。
また、静電気は、包装体搬送中のキャリアテープあるいはカバーテープと電子部品との接触や、カバーテープをキャリアテープから剥離するときの剥離帯電等によって発生すると考えられ、後者の剥離帯電に関して言及すれば、剥離は、キャリアテープとシール層との界面や、シール層と基材との界面(この場合厳密には、シール層はシール部がキャリアテープ側に、非シール部がカバーテープ側に残るので、シール層の凝集破壊が起きている)は勿論、シール層自身の凝集破壊によってシール層内厚み方向のいかなる箇所にも起こり得る。本発明では、アクリル系共重合体と導電材料との相溶性に優れるため、導電材料の添加量が少なくても、導電材料はシール層内全体に渡って均一かつ良好に分布する。そのため、剥離面に関係なく、すみやかに電荷を減衰することができる。
「包装体」
本発明の包装体は、キャリアテープの電子部品収納部(キャビティ)が、上記の本発明のカバーテープにより封止されたことを特徴とするものである。
キャリアテープとしては特に限定されず、市販のものを用いることができる。一般に、キャリアテープは、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のフィルムを、電子部品等の寸法に合わせてエンボス成形して得られる。また、用いるフィルムには予め、帯電防止剤や導電性フィラーが練り込まれたり、これらの導電性付与物質がウレタン系あるいはアクリル系バインダーに混合されたインクが表面に塗布されるなどして、帯電防止処理が施されている。
本発明の包装体は、例えば、キャリテープの電子部品収納部に電子部品等を収納した後、これをカバーテープに合わせて、カバーテープの長手方向の両縁部をそれぞれ0.3〜1.0mm幅で連続的にシールして包装し、リールに巻き取ることによって得られる。電子部品等はこの包装体の形態で、保管あるいは搬送される。
キャリアテープに収納された電子部品等は、包装体をキャリアテープの長手方向の両縁部に沿って設けられた送り用の孔で搬送しながら、断続的にカバーテープを引き剥がし、ピックアップ装置により電子部品等の存在、向き、位置を確認しながら取り出すことができる。
本発明の包装体は、本発明のカバーテープを用いて得られたものであるので、電子部品の帯電を十分に防止しつつ、内包された電子部品をセンサ等を用いて容易に識別することができ、カバーテープに起因する実装トラブルを抑制できるものとなる。
次に、本発明に係る実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
<樹脂組成物Aの調製>
メチルメタクリレート50mol%、2−エチルヘキシルメタクリレート30mol%、ブチルメタクリレート20mol%からなるアクリル系共重合体を重合し、これをメチルエチルケトン/トルエン混合溶媒(質量比50/50)に溶解し、固形分30質量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
次に、導電材料としてチオフェン系の共役導電性高分子とポリアニオンとを含む水溶液(アグファゲバルト社製、商品名 ORGACON)を、イソプロピルアルコールにて溶剤置換した後、先に調製したアクリル系共重合体溶液に加えて均一に溶解し、透明薄紺色の本発明の樹脂組成物Aを得た。なお、導電材料は、先に調製したアクリル系共重合体溶液の固形分量に対して、導電材料の固形分量が1.0質量%となるように添加した。
<カバーテープの調製>
36μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製、商品名 ルミラー、片面帯電防止処理品)を基材とし、帯電防止処理が施されていない側の面に、先に調製した樹脂組成物Aをグラビアコータによりコーティングした。これを80℃で乾燥し、厚さ5μmのシール層を有する本発明のカバーテープを得た。
(実施例2)
<樹脂組成物Bの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート60mol%、ブチルメタクリレート30mol%、およびブチルアクリレート10mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の本発明の樹脂組成物Bを得た。
<カバーテープの調製>
基材厚を16μmとし、シール層を形成する前に、中間層として30μm厚のポリエチレンフィルム(二村化学工業社製)をドライラミネートし、樹脂組成物Bを用いてシール層を形成した以外は、実施例1と同様にして、本発明のカバーテープを得た。
(実施例3)
<樹脂組成物Cの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート70mol%、メチルアクリレート20mol%、および2−エチルヘキシルメタクリレート10mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の本発明の樹脂組成物Cを得た。
<カバーテープの調製>
基材厚を25μmとし、シール層を形成する前に、グラビアコータ法により、2μm厚のエチレン・酢酸ビニル共重合体(住友ケムテックス社製、商品名 スミカフレックス S-205)からなる中間層を設け、樹脂組成物Cを用いてシール層を形成した以外は、実施例1と同様にして、本発明のカバーテープを得た。
(比較例1)
<樹脂組成物Dの調製>
ポリエステルエマルジョン(東洋紡績株式会社製、商品名 バイナロール MD−1100、固形分30質量%)に、チオフェン系の共役導電性高分子とポリアニオンの水/イソプロピルアルコール溶液(長瀬産業製、商品名 デナトロン P-502S)を加えて攪拌し、導電材料が分散され薄紫色に懸濁した比較用の樹脂組成物Dを得た。なお、導電材料は、ポリエステルエマルジョンの固形分量に対して、導電材料の固形分量が3.0質量%となるように添加した。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Dを用いてシール層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
(比較例2)
<樹脂組成物Eの調製>
ポリエステルエマルジョンとして、東洋紡績株式会社製、商品名 バイナロール MD−1500、固形分30質量%を用いた以外は、比較例1と同様にして、導電材料が分散され薄紫色に懸濁した比較用の樹脂組成物Eを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Eを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
(比較例3)
<樹脂組成物Fの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート50mol%、メチルアクリレート30mol%、およびブチルアクリレート20mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Fを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Fを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
(比較例4)
<樹脂組成物Gの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート60mol%、ブチルメタクリレート20mol%、および2−エチルヘキシルアクリレート20mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Gを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Gを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
(比較例5)
<樹脂組成物Hの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート80mol%、およびメチルアクリレート20mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Hを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Hを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
(比較例6)
<樹脂組成物Iの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート80mol%、酢酸ビニル10mol%、およびブチルメタクリレート10mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Iを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Iを用いてシール層を形成した以外は、実施例3と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
(評価)
評価項目および評価方法は以下の通りとした。
(a)ガラス転移温度
アクリル系共重合体またはポリエステルのガラス転移温度を、セイコーインスツルメンツ社製「示差走査熱量計(EXSTAR6000)」にて測定した。
(b)全光線透過率、ヘイズ値
カバーテープの全光線透過率およびヘイズ値を、村上色彩技術研究所製ヘイズ・透過・反射率計「HR−100」にて測定した。
(c)表面抵抗値
カバーテープのシール層側の表面抵抗値を、ダイヤインスツルメンツ社製「ハイレスタUP」にて測定した。測定電圧は10Vとした。
(d)耐ブロッキング性
温度40℃、相対湿度80%に保たれた高温高湿環境下に240時間静置した後、JIS6854に準拠した剥離強度試験を行い、CpK(工程能力指数)から耐ブロッキング性を評価した。判定基準を以下に示す。
○:CpKが1.33以上である。
×:CpKが1.33未満である。
(e)外観
得られたカバーテープを用いて、電子部品を収納したキャリアテープを封止し、温度40℃、相対湿度80%に保たれた高温高湿環境下に240時間静置した後、目視観察により外観を評価した。判定基準を以下に示す。
○:カバーテープを通してキャリアテープに収納された電子部品を良好に視認できた。
×:カバーテープを通してキャリアテープに収納された電子部品を良好に視認できなかった。
(結果)
表1に、各例の相違点および評価結果を示す。なお、表1において、PEはポリエチレン、EVAはエチレン−酢酸ビニル共重合体、Tgはガラス転移温度を示す。
同表に示すように、40〜70℃のガラス転移温度を有するアクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを有機溶剤に溶解してシール層用の樹脂組成物を調製した実施例1〜3では、アクリル系共重合体と共役導電性高分子とポリアニオンとの相溶性に優れ、全光線透過率90%以上、ヘイズ値5%以下と、透明性の高いカバーテープが得られた。また、アクリル系共重合体と共役導電性高分子とポリアニオンとの相溶性に優れるため、導電材料を1.0質量%添加するだけで、十分な表面抵抗値が得られ、得られたカバーテープは良好な帯電防止機能を有するものであった。さらに、得られたカバーテープは、耐ブロッキング性、外観にも優れ、カバーテープとして必要な特性を全て充足するものであった。
これに対して、アクリル系共重合体の代わりに、ポリエステルエマルジョンを用いてシール層用樹脂組成物を調製した比較例1および2では、ポリエステルエマルジョンと導電材料との相溶性が悪く、得られたカバーテープは透明性が著しく悪く、全例中、全光線透過率が最低レベルであった。また、比較例1では、用いたポリエステルのガラス転移温度が40〜70℃と適当であったが、高温高湿試験後に、ポリエステルの吸水によるブロッキングと白濁が観察された。そこで、比較例2では、ガラス転移温度の高いポリエステルを用いてみたものの、高温高湿試験後には樹脂の吸水によるブロッキング、白濁が同様に観察された。加えて、比較例1,2では、導電材料を実施例の3倍多く添加したにもかかわらず、実施例に比してシール層の表面抵抗値が大きく、帯電防止機能にも劣るものであった。
実施例と同様、アクリル系共重合体を主成分としてシール層用樹脂組成物を調製した比較例3および4では、アクリル系共重合体と導電材料との相溶性が良好なため、全光線透過率、ヘイズ値は良好であったが、ガラス転移温度が40℃未満のアクリル系共重合体を用いたため、高温高湿試験後にブロッキングが確認された。
ガラス転移温度が70℃超のアクリル系共重合体を主成分としてシール層用樹脂組成物を調製した比較例5および6では、アクリル系共重合体と導電材料との相溶性が悪く、得られたカバーテープは実施例に比して透明性が悪く、特にヘイズ値が5.0%超と不良であった。
なお、アクリル系共重合体のガラス転移温度と、得られるカバーテープの透明性(全光線透過率およびヘイズ値)との関係を明確にするべく、図3に、実施例1〜3および比較例3〜6の結果をまとめて図示しておく。この図から、用いるアクリル系共重合体のガラス転移温度が低い程、カバーテープの透明性が高くなる傾向にあり、ガラス転移温度が70℃以下であれば、90%以上の全光線透過率と5%以下のヘイズ値が得られることが明らかである。
Figure 2005126081
本発明のカバーテープ用樹脂組成物は、導電材料との相溶性の優れたアクリル系共重合体を用いているため、良好な帯電防止機能を備えつつ、従来と比較して非常に透明性に優れる。そして、このカバーテープ用樹脂組成物を用いた本発明のカバーテープおよび包装体によれば、画像認識装置で認識しづらい極めて小さい電子部品、電子材料の存在、向き、位置を容易に且つ正確に認識でき、さらには、電子部品、電子材料に小さく刻印された製造番号やマーキング等までも読み取り、識別することが可能となるため、電子部品、電子材料ごとに異なった箇所に実装することも可能となる。
図1は、本発明のカバーテープの概略断面図である。 図2は、本発明のカバーテープのその他の例を示す図である。 図3(a)、(b)は、本発明に係る実施例および比較例において、アクリル系共重合体のガラス転移温度と、得られるカバーテープの透明性との関係を示す図である。
符号の説明
1 基材
2 シール層
3 中間層

Claims (6)

  1. 少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを、有機溶剤中に相溶してなることを特徴とするカバーテープ用樹脂組成物。
  2. キャリアテープの電子部品収納部を封止するためのカバーテープにおいて、
    基材上に、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを含有するシール層を具備することを特徴とするカバーテープ。
  3. 全光線透過率が90%以上、ヘイズ値が5%以下であることを特徴とする請求項2に記載のカバーテープ。
  4. 前記基材と前記シール層との間に、さらに中間層を具備することを特徴とする請求項2または3に記載のカバーテープ。
  5. 前記中間層が、少なくとも共役導電性高分子とポリアニオンとを含有することを特徴とする請求項4に記載のカバーテープ。
  6. キャリアテープの電子部品収納部が、請求項2〜5のいずれかに記載のカバーテープにより封止されたことを特徴とする包装体。
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