JP2005126081A - カバーテープ用樹脂組成物、およびこれを用いたカバーテープ、並びに包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のカバーテープ用樹脂組成物は、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを、有機溶剤中に相溶してなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
キャリアテープに収容された電子部品、特にICチップ等の能動部品は、キャリアテープとの接触や、カバーテープをキャリアテープから剥離する際に発生する静電気によって帯電しやすく、実装時の静電吸着トラブルや電子部品の静電破壊を招くことがあった。
そこで、かかる問題を回避するべく、従来から様々な帯電防止策が提案されている。
例えば、(1)シール層表面に、厚さ0.1μm以下の共役導電性高分子層を設けることが提案されており(特許文献1等)、これによって帯電防止機能と透明性を備えたカバーテープが得られるとされている。
その他、(2)シール層に、球状シリコン等の導電性微粒子、高分子型帯電防止剤、有機導電性高分子を添加する(特許文献2等)、(3)基材上に、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂、或いは、吸水性ポリエステル樹脂等の吸水性樹脂を含む水性エマルジョンを塗布してシール層とし、このシール層に共役導電性高分子であるポリチオフェンを帯電防止剤として分散配合する(特許文献3、4等)等が提案されている。
第1に、高分子型帯電防止剤は、帯電防止機能が湿度等の影響を受けて変動しやすく、安定した帯電防止機能が得られない。
第2に、一般に有機導電性高分子は不溶不融であり、凝集体(すなわち粒子状)の形態で層内に分散する。これは、カーボンブラック等の導電性フィラーを添加したものと変わりなく、透明性の低下(ヘイズの増加)を招き、収納された部品のセンサ等による識別が困難となる。
第3に、導電性微粒子は塗工液を調製する際に沈降しやすく、均一に分散させることが難しい。そのため、シール層内における導電性微粒子の濃度にムラが生じやすく、安定した帯電防止機能が得られない。加えて、その添加量は、シール層内全体に渡って均一に分布させるには不十分である。そのため、シール層内には導電性微粒子の存在しない絶縁部分が局所的に形成され、発生した静電気を蓄えてしまうため、速やかな電荷減衰が行われない。しかも、この絶縁部分は極小であるため、計測器等を用いても測定の範囲が広すぎて検出することが極めて難しい。
加えて、水溶性樹脂や吸水性樹脂は高温高湿環境下で白濁しやすいため、透明性が低下(ヘイズが増加)し、収納された部品のセンサ等による識別が困難となる。
なお、かかる問題を回避するために、水溶性樹脂や吸水性樹脂を、メラミン系、ポリカルボジイミド系、オキサゾリジン系、エポキシ系、ポリイソシアネート系等の架橋剤で架橋させることが提案されているが、かかる架橋剤を添加すると、共役導電性高分子が凝集したり、ゲル化したりする。
その他、水溶性樹脂や吸水性樹脂の代わりに、有機溶剤可溶型の熱可塑性樹脂を用いることが検討されているが、有機溶剤可溶型の熱可塑性樹脂と共役導電性高分子とは一般に相溶性に劣り、塗工液調製時に共役導電性高分子が凝集・沈殿し、熱可塑性樹脂と共役導電性高分子が透明相溶化した塗工液を得ることが極めて難しい。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、優れた帯電防止機能と透明性とを兼ね備え、さらに耐ブロッキング性、接着特性に優れたカバーテープのシール層用組成物およびカバーテープを提供することを目的とする。また、かかる特性を備えたカバーテープを用いた包装体を提供することを目的とする。
本発明のカバーテープ用樹脂組成物は、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを、有機溶剤中に相溶してなることを特徴とする。
本発明のカバーテープは、キャリアテープの電子部品収納部を封止するためのカバーテープにおいて、基材上に、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを含有するシール層を具備することを特徴とする。かかる構成を採用することによって、透明性に優れたシール層が得られ、カバーテープの全光線透過率を90%以上、ヘイズ値を5%以下とすることができる。
本発明のカバーテープにおいては、前記基材と前記シール層との間に、さらに中間層を具備するものであっても良く、前記中間層としては、少なくとも共役導電性高分子とポリアニオンとを含有するものが好適である。
本発明の包装体は、キャリアテープの電子部品収納部が、上記の本発明のカバーテープにより封止されたことを特徴とする。
本発明のカバーテープ用樹脂組成物は、特定の熱可塑性樹脂と特定の導電材料とを有機溶剤中に相溶してなることを特徴とするものであり、本発明では、熱可塑性樹脂として特定のアクリル系共重合体、導電材料として共役導電性高分子およびポリアニオンを用いる。
アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸あるいはその誘導体(以下、「アクリル系単量体」と総称する。)を構成成分として含む共重合体である。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、アクリルニトリル、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリルニトリル等が挙げられる。
アクリル系共重合体としては、アクリル系単量体を2種以上共重合したものを用いても良いし、アクリル系単量体1種以上と他の単量体とを共重合したものを用いても良い。
アクリル系単量体と共重合し得る他の単量体としては、例えば、エチレン、スチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、コハク酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等の不飽和単量体が挙げられる。
アクリル系共重合体の構成成分やその含有比は特に限定されないが、ホモポリマーのガラス転移温度が−70〜−20℃と低いアクリル系単量体(A1)と、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上と高いアクリル系単量体(A2)とを併用することが好ましい。またこれらのアクリル系単量体の合計含有量を、単量体総量に対して90モル%以上とすることが好ましい。
換言すれば、アクリル系共重合体は、そのガラス転移温度が低い程、アクリル系単量体(A1)を相対的に多く含有し、導電材料との相溶性に優れたものとなる。
しかしながら、アクリル系単量体(A1)は、側鎖のアルキル基がポリマー主鎖の分子間力を緩和して内部可塑化するため、この含有量が多くなると、接着性あるいは粘着性が向上する一方、耐ブロッキング性の低下を招いてしまう。本発明者は、具体的にはガラス転移温度が40℃未満で耐ブロッキング性が不良となることを見出している。
なお、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上と高い他の単量体(例えば、エチレン、スチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、コハク酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等)も、アクリル系単量体(A2)と同様、耐ブロッキング性を向上させる一方、相溶性を低下させるので、アクリル系単量体(A2)と適宜併用して、ガラス転移温度、あるいはこれと相関関係のある相溶性等の特性を調整することができる。
用いるアクリル系共重合体は何らかの有機溶剤に溶解し得るものであれば、有機溶剤の種類は問わないが、例えば、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類等、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等に溶解可能なものが好ましい。
本発明では、帯電防止を目的として、導電材料である共役導電性高分子およびポリアニオンを配合する。
ポリチオフェン誘導体の具体例としては、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−ブチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、ポリ3−デシルチオフェン、ポリ3-ドデシルチオフェン、ポリ3−メトキシチオフェン、ポリ3-オクトキシチオフェン、ポリ3-カルボキシチオフェン、ポリ3-メチル−4−カルボキシチオフェン、ポリ3、4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。
ポリピロール誘導体の具体例としては、ポリ3−メチルピロール、ポリ3−ブチルピロール、ポリ3−オクチルピロール、ポリ3−デシルピロ―ル、ポリ3、4−ジメチルピロール、ポリ3、4−ジブチルピロール、ポリ3−ヒドロキシピロール、ポリ3−メチル−4ヒドロキシピロール、ポリ3−メトキシピロール、ポリ3−エトキシピロール、ポリ3−オクトキシピロール、ポリ3−オクトキシピロール、ポリ3−カルボキシルピロール、ポリ3−メチル−4−カルボキシピロール等が挙げられる。
アニオン系重合性単量体としては特に限定されないが、重合性単量体の適切な部位が一般式−O−SO3X、−O−PO(OX)2、−COOX、−SO3Xで表される基(Xは前記と同様。)等のアニオン基で置換されたもの等が挙げられる。具体的には、エチレンスルホン酸化合物、スチレンスルホン酸化合物、複素環スルホン酸化合物、アクリルアミドスルホン酸化合物、シクロビニレンスルホン酸化合物、ブタジエンスルホン酸化合物、ビニル芳香族スルホン酸化合物等が挙げられ、中でも、共役導電性高分子へのドープ効果に優れることから、スチレンスルホン酸が好ましく用いられる。
具体的には、導電材料の固形分総量をアクリル系共重合体の固形分に対して0.01〜2.0質量%とすることが好ましい。本発明者は、上述のアクリル系共重合体と共役導電性高分子とポリアニオンとの相溶性が極めて良好であるので、導電材料の固形分総量が0.01〜2.0質量%と少量であっても、上記表面抵抗値を有し、優れた帯電防止機能を発現するシール層を形成し得ること、また導電材料の合計配合量が0.01質量%未満では帯電防止機能が不十分となることがあり、2.0質量%超ではシール層の透明性(ヘイズ)に影響を与える恐れがあることを見出している。
有機溶剤は、上述のアクリル系共重合体を溶解し得るものを適宜選択して用いることができ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例示については、段落[0015]に記載したので、説明を省略する。
なお、シール層成膜時のコーティングラインのスピードを考慮して、適当な沸点(例えば、80〜150℃程度)を有する有機溶剤を適宜選択して用いることが好ましい。
カバーテープはキャリアテープの電子部品収納部を封止するために用いられるものであり、図1に厚み方向の断面を示すように、基材1とその上に形成されるシール層2により概略構成され、本発明ではシール層2の組成が特徴的である。
基材としては特に限定されないが、キャリアテープから剥離する際に切断されない程度の十分な強度を備え、環境や熱に対する寸法安定性に優れた絶縁性高分子フィルム等が好適に用いられる。
かかる高分子フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート等のフィルムや、これらの変性物、これらが複合化された複合フィルム等が挙げられる。中でも、強度、耐熱性、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。なお、フィルムの複合化にあたっては、あらかじめ貼り合わせ面に、粗面化処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理、アンカーコート処理等の公知の処理を施すこともできる。
本発明では、シール層2が上記の本発明のカバーテープ用樹脂組成物を用いて成膜されたものであり、シール層2は、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを含有してなる。
シール層2の膜厚は特に限定されないが、0.5〜50μmが好ましい。シール層2の膜厚が0.5μm未満では、十分な接着強度が維持できず、キャリアテープから剥がれやすくなり、50μm超では、接着剤がフローして安定した剥離強度が得られなくなる恐れがある。
本発明のカバーテープには、図2に示すように、基材1とシール層2との間に必要に応じて中間層3を設けても良い。
例えば、基材1よりも小さいせん断弾性率を有する弾性体(具体的には、ポリエチレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、スチレン系、アミド系、あるいはエステル系の熱可塑性エラストマー等)からなる中間層3を設けることによって、シール時の熱圧着コテの当たりを良くし安定した接着を得ることができる。この場合、中間層3の膜厚は、例えば0.5〜50μm程度が好ましい。
また、本発明のカバーテープは、キャリアテープ接合面の材質や表面状態、シール条件等にかかわらず、良好な接着性と剥離性を呈する。
また、静電気は、包装体搬送中のキャリアテープあるいはカバーテープと電子部品との接触や、カバーテープをキャリアテープから剥離するときの剥離帯電等によって発生すると考えられ、後者の剥離帯電に関して言及すれば、剥離は、キャリアテープとシール層との界面や、シール層と基材との界面(この場合厳密には、シール層はシール部がキャリアテープ側に、非シール部がカバーテープ側に残るので、シール層の凝集破壊が起きている)は勿論、シール層自身の凝集破壊によってシール層内厚み方向のいかなる箇所にも起こり得る。本発明では、アクリル系共重合体と導電材料との相溶性に優れるため、導電材料の添加量が少なくても、導電材料はシール層内全体に渡って均一かつ良好に分布する。そのため、剥離面に関係なく、すみやかに電荷を減衰することができる。
本発明の包装体は、キャリアテープの電子部品収納部(キャビティ)が、上記の本発明のカバーテープにより封止されたことを特徴とするものである。
キャリアテープとしては特に限定されず、市販のものを用いることができる。一般に、キャリアテープは、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のフィルムを、電子部品等の寸法に合わせてエンボス成形して得られる。また、用いるフィルムには予め、帯電防止剤や導電性フィラーが練り込まれたり、これらの導電性付与物質がウレタン系あるいはアクリル系バインダーに混合されたインクが表面に塗布されるなどして、帯電防止処理が施されている。
キャリアテープに収納された電子部品等は、包装体をキャリアテープの長手方向の両縁部に沿って設けられた送り用の孔で搬送しながら、断続的にカバーテープを引き剥がし、ピックアップ装置により電子部品等の存在、向き、位置を確認しながら取り出すことができる。
(実施例1)
<樹脂組成物Aの調製>
メチルメタクリレート50mol%、2−エチルヘキシルメタクリレート30mol%、ブチルメタクリレート20mol%からなるアクリル系共重合体を重合し、これをメチルエチルケトン/トルエン混合溶媒(質量比50/50)に溶解し、固形分30質量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
次に、導電材料としてチオフェン系の共役導電性高分子とポリアニオンとを含む水溶液(アグファゲバルト社製、商品名 ORGACON)を、イソプロピルアルコールにて溶剤置換した後、先に調製したアクリル系共重合体溶液に加えて均一に溶解し、透明薄紺色の本発明の樹脂組成物Aを得た。なお、導電材料は、先に調製したアクリル系共重合体溶液の固形分量に対して、導電材料の固形分量が1.0質量%となるように添加した。
<カバーテープの調製>
36μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製、商品名 ルミラー、片面帯電防止処理品)を基材とし、帯電防止処理が施されていない側の面に、先に調製した樹脂組成物Aをグラビアコータによりコーティングした。これを80℃で乾燥し、厚さ5μmのシール層を有する本発明のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Bの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート60mol%、ブチルメタクリレート30mol%、およびブチルアクリレート10mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の本発明の樹脂組成物Bを得た。
<カバーテープの調製>
基材厚を16μmとし、シール層を形成する前に、中間層として30μm厚のポリエチレンフィルム(二村化学工業社製)をドライラミネートし、樹脂組成物Bを用いてシール層を形成した以外は、実施例1と同様にして、本発明のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Cの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート70mol%、メチルアクリレート20mol%、および2−エチルヘキシルメタクリレート10mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の本発明の樹脂組成物Cを得た。
<カバーテープの調製>
基材厚を25μmとし、シール層を形成する前に、グラビアコータ法により、2μm厚のエチレン・酢酸ビニル共重合体(住友ケムテックス社製、商品名 スミカフレックス S-205)からなる中間層を設け、樹脂組成物Cを用いてシール層を形成した以外は、実施例1と同様にして、本発明のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Dの調製>
ポリエステルエマルジョン(東洋紡績株式会社製、商品名 バイナロール MD−1100、固形分30質量%)に、チオフェン系の共役導電性高分子とポリアニオンの水/イソプロピルアルコール溶液(長瀬産業製、商品名 デナトロン P-502S)を加えて攪拌し、導電材料が分散され薄紫色に懸濁した比較用の樹脂組成物Dを得た。なお、導電材料は、ポリエステルエマルジョンの固形分量に対して、導電材料の固形分量が3.0質量%となるように添加した。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Dを用いてシール層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Eの調製>
ポリエステルエマルジョンとして、東洋紡績株式会社製、商品名 バイナロール MD−1500、固形分30質量%を用いた以外は、比較例1と同様にして、導電材料が分散され薄紫色に懸濁した比較用の樹脂組成物Eを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Eを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Fの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート50mol%、メチルアクリレート30mol%、およびブチルアクリレート20mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Fを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Fを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Gの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート60mol%、ブチルメタクリレート20mol%、および2−エチルヘキシルアクリレート20mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Gを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Gを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Hの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート80mol%、およびメチルアクリレート20mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Hを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Hを用いてシール層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
<樹脂組成物Iの調製>
アクリル系共重合体の組成を、メチルメタクリレート80mol%、酢酸ビニル10mol%、およびブチルメタクリレート10mol%とした以外は、実施例1と同様にして、透明薄紺色の比較用の樹脂組成物Iを得た。
<カバーテープの調製>
樹脂組成物Iを用いてシール層を形成した以外は、実施例3と同様にして、比較用のカバーテープを得た。
評価項目および評価方法は以下の通りとした。
(a)ガラス転移温度
アクリル系共重合体またはポリエステルのガラス転移温度を、セイコーインスツルメンツ社製「示差走査熱量計(EXSTAR6000)」にて測定した。
(b)全光線透過率、ヘイズ値
カバーテープの全光線透過率およびヘイズ値を、村上色彩技術研究所製ヘイズ・透過・反射率計「HR−100」にて測定した。
(c)表面抵抗値
カバーテープのシール層側の表面抵抗値を、ダイヤインスツルメンツ社製「ハイレスタUP」にて測定した。測定電圧は10Vとした。
(d)耐ブロッキング性
温度40℃、相対湿度80%に保たれた高温高湿環境下に240時間静置した後、JIS6854に準拠した剥離強度試験を行い、CpK(工程能力指数)から耐ブロッキング性を評価した。判定基準を以下に示す。
○:CpKが1.33以上である。
×:CpKが1.33未満である。
(e)外観
得られたカバーテープを用いて、電子部品を収納したキャリアテープを封止し、温度40℃、相対湿度80%に保たれた高温高湿環境下に240時間静置した後、目視観察により外観を評価した。判定基準を以下に示す。
○:カバーテープを通してキャリアテープに収納された電子部品を良好に視認できた。
×:カバーテープを通してキャリアテープに収納された電子部品を良好に視認できなかった。
表1に、各例の相違点および評価結果を示す。なお、表1において、PEはポリエチレン、EVAはエチレン−酢酸ビニル共重合体、Tgはガラス転移温度を示す。
同表に示すように、40〜70℃のガラス転移温度を有するアクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを有機溶剤に溶解してシール層用の樹脂組成物を調製した実施例1〜3では、アクリル系共重合体と共役導電性高分子とポリアニオンとの相溶性に優れ、全光線透過率90%以上、ヘイズ値5%以下と、透明性の高いカバーテープが得られた。また、アクリル系共重合体と共役導電性高分子とポリアニオンとの相溶性に優れるため、導電材料を1.0質量%添加するだけで、十分な表面抵抗値が得られ、得られたカバーテープは良好な帯電防止機能を有するものであった。さらに、得られたカバーテープは、耐ブロッキング性、外観にも優れ、カバーテープとして必要な特性を全て充足するものであった。
ガラス転移温度が70℃超のアクリル系共重合体を主成分としてシール層用樹脂組成物を調製した比較例5および6では、アクリル系共重合体と導電材料との相溶性が悪く、得られたカバーテープは実施例に比して透明性が悪く、特にヘイズ値が5.0%超と不良であった。
2 シール層
3 中間層
Claims (6)
- 少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを、有機溶剤中に相溶してなることを特徴とするカバーテープ用樹脂組成物。
- キャリアテープの電子部品収納部を封止するためのカバーテープにおいて、
基材上に、少なくとも、40〜70℃のガラス転移温度を有する有機溶剤可溶型アクリル系共重合体と、共役導電性高分子と、ポリアニオンとを含有するシール層を具備することを特徴とするカバーテープ。 - 全光線透過率が90%以上、ヘイズ値が5%以下であることを特徴とする請求項2に記載のカバーテープ。
- 前記基材と前記シール層との間に、さらに中間層を具備することを特徴とする請求項2または3に記載のカバーテープ。
- 前記中間層が、少なくとも共役導電性高分子とポリアニオンとを含有することを特徴とする請求項4に記載のカバーテープ。
- キャリアテープの電子部品収納部が、請求項2〜5のいずれかに記載のカバーテープにより封止されたことを特徴とする包装体。
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