JP4453789B2 - 導電性カバーテープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリアテープの収納部に小型電子製品などを収納するための導電性カバーテープに関するものであり、剥離時の帯電防止効果が高く、汎用シール性があり、透明性に優れるカバーテープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、表面実装技術(Surface Mount Technology)の飛躍的な発展により、小型電子部品の需要が著しい伸びを示している。これらのチップ型電子部品、例えばIC、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子レジスタ、水晶発振器などは、包装体に包装されて、保管、輸送される。上記包装体は、通常、電子部品の形状に合わせて成形された収納部を連続的に有する合成樹脂製(エンボス)キャリアテープと、上記キャリアテープに熱シールされるふた材であるカバーテープにより構成される。電子回路基板の製造工程などでは、上記包装体の熱シールしてあるカバーテープを剥離して、キャリアテープ収納部から電子部品を取り出し、所定の位置に装着する。
上記のキャリアテープおよびカバーテープからなる包装体には、収納、保管、輸送の際や、特に、カバーテープを剥離する際に、静電気が発生しやすい。そして、キャリアテープおよび/またはカバーテープが帯電すると、小型軽量な電子部品が静電気によりキャリアテープの収納部から飛び出し、確実に実装することが困難になったり、電子部品の静電破壊や劣化という静電気障害が起こるなどの問題が発生する。
また、カバーテープの上からキャリアテープの収納部に電子部品があるか否かを確認するためには、カバーテープがある程度の透明性〔高い全光線透過率および低い曇価(ヘイズ値)〕を有することが必要である。
【0003】
このような問題を解決するために、カバーテープに導電性または帯電防止性を付与したものが使用されている。従来のカバーテープへの導電性または帯電防止性の付与の方法としては、▲1▼電気伝導度の大きい金属または金属酸化物の微粉末を、基材層の上面に塗布したり、分散または蒸着させる、▲2▼界面活性剤を基材層の上面に塗布したり、練り込む、などという方法が行われている。
上記▲1▼の金属または金属酸化物の微粉末を用いたカバーテープは、導電性が高いが、全光線透過率および/または曇価が劣るため、近年の高速実装下における小型電子部品の印字チェックやピンチェックなどの検査工程において支障をきたす場合がある。また、金属蒸着法により形成された導電層は、全光線透過率が低く、好ましくない。
また、上記▲2▼の界面活性剤を用いたものは、全光線透過率は高いが、曇価および/または導電性が悪い場合が多い。高い導電性を得るために、界面活性剤の配合量を高めると、接着性などにおいて経時安定性が悪くなる。また、時間の経過により界面活性剤のブリードが起こり、表面抵抗率が上昇するため、保存中に導電性が悪化する問題がある。
【0004】
また、カバーテープの接着時や剥離時に、発生する静電気を防止するためには、接着層の下面および剥離面(層)にも導電層を設ける必要がある。しかし、上記▲1▼や▲2▼において、接着層の下面に、金属などの導電性フィラーおよび/または界面活性剤を分散させたり塗布する場合、カバーテープの接着性の不安定化を招く。また、金属粉は、非常に抵抗値が低いので、金属粉が絶縁物質中に離隔した状態で存在する場合、剥離時に静電気放電が発生し、被包装物である小型電子機器、特にICなどを破壊する危険性がある。
このように、剥離時の帯電防止効果が高く、かつキャリアテープの材質、表面状態を問わず、汎用シール性があるカバーテープはなかったのが現状である。
また、カバーテープの上からキャリアテープの収納部に電子部品があるか否かを、視認により確認するためには、カバーテープの全光線透過率が50%以上であることが好ましく、視認またはセンサーにより確認をするためには、曇価が30%以下であることが好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の技術的課題を背景になされたものであり、剥離時の帯電防止効果が高いため、静電気障害を引き起こさず、キャリアテープの材質や表面状態を問わず、汎用シール性があり、かつ、全光線透過率が高く、曇価も小さいため、近年の高速実装下における小型電子部品の印字チェックやピンチェックなどの検査工程においても支障をきたさないカバーテープを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電子部品を収納するための収納部を有するキャリアテープを被覆するためのカバーテープであって、上記カバーテープは基材層、中間層、接着層からなり、基材層は合成樹脂製フィルムからなり、その上面にはπ電子共役系導電性ポリマーからなる導電性ポリマー層が設けられ、中間層は上記基材層と接着層との間に設けられて上記二層を結合させており、接着層はキャリアテープに熱シールするための樹脂からなり、その下面にもπ電子共役系導電性ポリマーからなる導電性ポリマー層が設けられており、基材層上面の導電性ポリマー層の表面抵抗率が102〜107Ω/□、接着層下面の導電性ポリマー層の表面抵抗率が107〜1015Ω/□であり、かつ、上記基材層上面の導電性ポリマー層の厚さが、0.05〜0.1μm、接着層下面の導電性ポリマー層の厚さが0.001〜0.05μmであって、全光線透過率が71.5%以上、曇価が30%以下であることを特徴とする導電性カバーテープに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のカバーテープの構造の例について、図1を用いて説明する。図1は本発明のカバーテープの一例の断面図である。2は合成樹脂製フィルムからなる基材層であり、最上面にπ電子共役系導電性ポリマー層1が設けられている。3は中間層であり、基材層2と接着層4の間に設けられ、これらを結合させるバインダー層となっている。接着層4はキャリアテープに熱シールするための樹脂からなり、その下面(キャリアテープと接着する面)にも導電性ポリマー層1が設けられている。上記構造を有する本発明のカバーテープについて、以下に詳細に説明する。
【0008】
本発明のカバーテープの基材層として用いられる合成樹脂としては、カバーテープに剛性を付加するために、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンなどの2軸延伸フィルムを使用することが好ましい。好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)の2軸延伸フィルムである。
上記合成樹脂は、カバーテープがキャリアテープから剥離される際の強度に耐えうるものである必要がある。従って、合成樹脂強度は、例えば、引張強度1.50kgf/mm2 以上のものが好ましい。
合成樹脂製フィルムの厚さは、好ましくは6〜50μmである。6μm未満では強度が不足し、熱シール時にシワが発生しやすい。一方、50μmを超えると、柔軟性が不足し、熱シールが困難となる。基材層として使用される合成樹脂製フィルムには、π電子共役系導電性ポリマー層および/または中間層との密着性を向上させるために、フィルム表面にコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理などの予備処理をあらかじめ施しておいてもよい。
【0009】
本発明においては、基材層の上面あるいは両面、および下記接着層の下面に、π電子共役系導電性ポリマー層が設けられる。π電子共役系導電性ポリマーは、分子構造中に共役二重結合を有し、酸化によって、重合を起こすモノマーを重合してなる、繰り返し単位20〜200程度と推定されるポリマーである。上記モノマーとして、代表的なものとしては、アニリンおよびアニリン誘導体、複素5員環式化合物が挙げられる。複素5員環式化合物としては、ピロール、チオフェン、フラン、インドール、およびこれらの誘導体、例えば、N−メチルピロール、3−メチルピロール、3−メチルチオフェン、3−メチルフラン、3−メチルインドールなどが挙げられる。上記モノマーを、目的とする導電性に応じて選択し、無機酸、有機スルホン酸などのドーパントの存在下に酸化重合剤と接触させることで、π電子共役系導電性ポリマー層を形成することができる。ドーパントとしては、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン類、五フッ化リンなどのルイス酸、塩化水素、硫酸などのプロトン酸、塩化第二鉄などの遷移金属塩化物、過塩素酸銀、フッ化ホウ素銀などの遷移金属化合物などが挙げられる。本発明ではこれらπ電子共役系導電性ポリマーのなかでもポリピロールが好ましい。
【0010】
また、酸化重合剤としては、過マンガン酸、過マンガン酸カリウムなどのマンガン酸(塩)類、三酸化クロムなどのクロム酸類、硝酸銀などの硝酸塩類、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン類、過酸化水素、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物類、ペルオクソ二硫酸カリウムなどペルオクソ酸(塩)類、次亜塩素酸、次亜塩素酸カリウムなどの酸素酸(塩)類、塩化第二鉄、塩化第二銅、塩化第二スズ、塩化第二カリウムなどの遷移金属塩化物、酸化銀等の金属酸化物などが挙げられる。
これらの酸化重合剤のうち、ハロゲン類、ペルオクソ酸(塩)類、遷移金属塩化物などは、ドーパントとしての作用を有するため、これらを酸化重合剤として用いた場合には、特に他のドーパントを併用する必要はないが、併用するとさらに導電性を向上できる場合がある。またそのほか、酸化重合剤として、例えば、過塩素酸第二銅、過塩素酸第二鉄などが使用でき、これらは単独または組み合わせて使用できる。上記酸化重合剤の使用量は、モノマーに対し、好ましくは2〜3倍モル、さらに好ましくは2倍モル程度である。
【0011】
上記のモノマーを重合させて導電性ポリマー層を形成するには、例えば、基材層、中間層、および接着層をラミネートしたラミネートフィルムを上記のモノマー、酸化重合剤、ドーパントなどを分散した導電化処理液中に浸漬して、この処理液中で合成樹脂製フィルム表面でモノマーと酸化重合剤を接触させる方法(含浸重合)で行うことができる。
【0012】
このπ電子共役系導電性ポリマー層の形成は、基材層、中間層、および接着層をラミネートし、ラミネートフィルムの両面に行う。その場合、図1に示すような5層構造の本発明のカバーテープが得られる。なお、基材層両面または下面(中間層と接着する面)に導電性ポリマー層の形成を行った後、中間層、接着層をラミネートし、ラミネートフィルムの両面に導電性ポリマー層を形成すると、図2(参考図)に示すような構造のカバーテープが得られるが、本発明ではこのような構造をとらない。本発明では、基材層、中間層、および接着層をラミネートし、ラミネートフィルムの両面に、π電子共役系導電性ポリマー層の形成を行う。
ここで、上記基材層上面および接着層下面の2つの導電性ポリマー層は、基材層上面の表面抵抗率を102〜107Ω/□、接着層下面の表面抵抗率を107〜1015Ω/□となるように形成することが好ましい。2つの導電性ポリマー層の厚さは、カバーテープの全光線透過率、曇価、およびキャリアテープとの接着性に大きく影響する。基材層や接着層の厚さは、全光線透過率によって適宜決定される。例えば、基材層上面の導電性ポリマー層の厚さは、好ましくは0.05〜0.1μmである。0.05μm未満であると充分な帯電防止性が得られず、一方、0.1μmを超えると、透明性に劣る。また、接着層下面の導電性ポリマー層の厚さは、好ましくは0.001〜0.05μmである。0.001μm未満であると充分な帯電防止性が得られず、一方、0.05μmを超えると、シール性が著しく低下する。
【0013】
このπ電子共役系導電性ポリマー層の表面抵抗率としては、JIS K−6911に準拠して測定した場合、基材層上面のものは、好ましくは102 〜107 Ω/□である。表面抵抗率が102 Ω/□未満であると、カバーテープの全光線透過率が著しく低下してしまい、一方、107 Ω/□を超えると、本発明のカバーテープの目的とする充分な帯電防止性が得られない。
また、接着層下面のものは、好ましくは107 〜1015Ω/□である。表面抵抗率が107 Ω/□未満であるとシール性が著しく低下する。一方、1015Ω/□を超えると充分な帯電防止性能が得られない。
上記基材層上面および接着層下面の2つの導電性ポリマー層の表面抵抗率の調整は、上記厚さの調整を行うことによりできる。
なお、基材層の両面に導電性ポリマー層を設ける場合は、基材層の下面に設けられた導電性ポリマー層との接着性の良い中間層を設ける必要があり、全光線透過率が低下しやすい。従って、基材層の中間層側には導電性ポリマー層を設けないほうが好ましい。
【0014】
本発明においては、基材層と接着層との間に、これらを結合させるためのバインダー層である中間層が設けられる。中間層は押し出しラミネート法、共押し出しラミネート法、ドライラミネート法などのラミネート加工により形成される。
(共)押し出しラミネート法とは、基材層となるフィルムと接着層のフィルムの間に中間層となる樹脂を押し出して積層フィルムを製造するものである。中間層とする樹脂としては、低密度ポリエチレン(PE)、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。好ましくはポリエチレン系樹脂である。
ドライラミネート法とは、基材層となるフィルム上に中間層を形成する樹脂粉を散布し、接着層フィルムで挟み、適宜加熱、加圧、延伸して、積層フィルムを製造するものである。この方法において用いられる中間層となる樹脂としては、ポリエチレン系、ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、エポキシ系、ゴム系、ウレタン系樹脂などが挙げられる。好ましくはポリエチレン系樹脂である。
【0015】
中間層の厚さは、基材層と接着層とを結合させるためのバインダー層としての機能を有するものであれば、どのようなものでもよいが、好ましくは30μm以下である。30μmを超えると、カバーテープの熱シール性に劣る。
なお、中間層自身の強度、中間層と基材層および中間層と接着層との接着強度は、カバーテープがキャリアテープから剥離される際の強度に耐えうるものである必要がある。
【0016】
接着層(シーラント)として用いられる材料は、透明性を有する、キャリアテープと熱シール可能なシーラントであればどのようなものでもよい。例えば、ポリエチレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどが用いられる。これらの接着層に用いられる樹脂は、熱シールするキャリアテープの材質や、中間層の材質により選定される。なかでも、全光線透過率が50%以上、曇価30%以下のカバーテープが得られ、低温でシールできるため、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
接着層の厚さは、熱シール可能であれば、どのような厚さでもよいが、好ましくは50μm以下である。50μmを超えると、全光線透過率および曇価が低下する。
上記接着層の下面には、π電子共役系導電性ポリマー層との密着性を向上させるために、表面にコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理などの予備処理をあらかじめ施しておいてもよい。
また、接着層には、非イオン性界面活性剤、アニオン性(陰イオン性)界面活性剤、カチオン性(陽イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、イオン性高分子などを主成分とする界面活性剤を練り混んでもよい。
通常、キャリアテープの材料として使用される樹脂である、ポリスチレン、ポリエステルなどを接着層として使用する場合、高温、加圧下でのシール工程においてキャリアテープが変形を起こすおそれがあるので、150℃以下でシール可能な接着層にすることが好ましい。
【0017】
(共)押し出しまたはドライラミネート法を採用する場合の材料の好ましい組み合わせとしては、導電性ポリマー層/基材層/中間層/接着層として、例えば、ポリピロール/ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン系樹脂(粉末またはフィルム)/ポリエチレン系シーラントなどが挙げられる。
また、本発明の目的に反しない限り、導電性ポリマー層の耐磨耗性を向上させるため、基材層の上面に形成された導電性ポリマー層のさらに上面に保護コート層を設けてもよい。
【0018】
通常、キャリアテープの材質としては、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、アクリル系樹脂などが使用される。
本発明のカバーテープは、通常の圧着貼合機によりキャリアテープと圧着貼合せされる。
【0019】
キャリアテープとカバーテープを剥離する際の機構としては、界面剥離型と凝集剥離型がある。界面剥離型の場合には、キャリアテープ上にカバーテープの接着層が平面的に接着しており、カバーテープの接着層は、中間層、基材層と共に剥離され、キャリアテープ上に残ることがない。一方、凝集剥離型の場合には、接着層においてシール部と剥離部が分離されており、剥離の際に、キャリアテープ上に接着層のシール部が残ってしまう。また、剥離の際に、接着層あるいは中間層の樹脂由来の塵が発生し、電子部品の実装工程において支障をきたすため、好ましくない。また、本発明においては、接着層下面に導電層があるためのカバーテープ剥離時の静電気発生防止効果は、界面剥離の場合に大きく発現する。従って、本発明においては、界面剥離型の機構において、特に好適である。
【0020】
また、カバーテープがキャリアテープから剥離される際の強度である剥離強度は、「日本電子機械工業会技術レポート、集積回路用エンボスキャリア型テーピングに係わるガイド」、(社)日本電子工業会発行、(EIAJEDR−7601)に、キャリアテープ幅が8mmの時は、シール幅限定なしで0.1〜1N(10.2〜102gf)、キャリアテープ幅が12〜56mmの時は、シール幅限定なしで0.1〜1.3N(10.2〜132.6gf)と規定されている。また、JIS C−0806(電子部品のテーピング)では、キャリアテープ幅およびシール幅限定なしで、0.1〜0.7N(10.2〜71.4gf)と規定されている。従って、上記基準を満たす必要がある。
剥離強度が上記基準より低いと、包装体移送時に、カバーテープが剥がれ、内容物である電子部品が脱落する恐れがある。一方、剥離強度が上記基準より高いと、電子部品を取り出す際のカバーテープの剥離によりキャリアテープが振動し、電子部品が収納部から飛び出してしまうジャンピングトラブルが発生したり、カバーテープが切れる危険性がある。
【0021】
本発明のカバーテープの全光線透過率(JIS K−7105の試験方法で測定)は、71.5%以上である。全光線透過率がこれ未満ではカバーテープの上から内部の収納電子部品を容易に確認することが難しくなり、好ましくない。また、曇価(JIS K−7105の試験方法で測定)は、30%以下であることが好ましい。30%を超えると、カバーテープの上から収納部に電子部品があるか否かを、視認またはセンサーにより確認をすることが難しくなり、好ましくない。
【0022】
図3に本発明のカバーテープの使用状態の一例の断面図を示す。11はカバーテープ、12はキャリアテープ、13は収納電子部品である。
電子部品包装体の静電気帯電を抑制するためには、キャリアテープにも帯電防止性能を付与することが好ましい。さらに好ましくは、キャリアテープの表面抵抗率を、109 Ω/□以下にすることが好ましい。上記キャリアテープに帯電防止性能を付与するためには、界面活性剤、カーボンブラック、金属または金属酸化物の微粉末を練り込んだり、塗工する。また、キャリアテープ表面に、導電性ポリマー層を形成したり、カーボン印刷などにより導電層を形成したりして、帯電防止性能を付与することもできる。図3においては、キャリアテープ12表面にカーボン印刷を行い、導電層14を形成している。
【0023】
本発明では、基材層の少なくとも上面に導電性の高い導電性ポリマー層、接着層の下面に薄膜の導電性ポリマー層を形成させることにより、静電気帯電を抑制し、静電気による障害を起こさないカバーテープを得ることができる。また、本発明において、汎用シール性および透明性が優れ、かつ、キャリアテープの表面構成物質に適した接着層を選定することにより、時間の経過により接着特性が変化しない安定したシール特性を持つカバーテープを得ることができる。
また、本発明のカバーテープは、全光線透過率が高く、曇価も小さいため、近年の高速実装下における小型電子部品の印字チェックやピンチェックなどの検査工程においても支障をきたさない。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種評価は、下記のように行った。
【0025】
表面抵抗率
JIS K−6911に準じて測定した。測定条件は、23℃、50%RHで、印圧10V、単位はΩ/□である。
全光線透過率(Tt)
カバーテープをサンプルとし、JIS K−7105に準拠して、室温にて測定した。単位は%である。
曇価(Haze)
カバーテープをサンプルとし、JIS K−7105に準拠して、室温にて測定した。単位は%である。
【0026】
キャリアテープへの熱シール
カバーテープを5.5mm幅にスリット加工後、8mm幅の4種類のキャリアテープとの熱シールを行った。4種類のキャリアテープおよび熱シール条件を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
1)カーボン練込PS;ポリスチレンにカーボンを練り込んだもの
2)非晶質ポリエチレンテレフタレートにカーボン印刷したもの
3)ポリ塩化ビニルに界面活性剤を練り込んだもの
4)ポリスチレン
【0029】
剥離強度
JIS C−0806に準拠して測定し、熱シールして得られたフィルムの剥離強度を、下記の条件で測定した。
剥離角度;170度剥離、剥離速度;300mm/分、n=3
剥離帯電電位
上記剥離条件での剥離時のカバーテープおよびキャリアテープの剥離帯電電位を、JIS K−6911に準拠した表面抵抗率として、測定した。
測定値(V)の最高値と最低値を評価結果として示した。
視認性
キャリアテープに小型電子部品を収納してカバーテープで蓋をした後、目視によりカバーテープの上から内部の部品が確認できるか否かの視認性を評価した。評価基準を下記に示す。
○;収納部内部の小型電子部品の印字が明瞭に識別できる。
△;収納部内部の小型電子部品の存在は確認できるが、印字の文字は確認できない。
×;収納部内部の小型電子部品の存在が全く確認できない。
【0030】
実施例1
基材の2軸延伸フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、上記PETフィルムと、接着層となるポリエチレン(PE)系樹脂−エチレン酢酸ビニル(EVA)系樹脂フィルムの間に中間層となる低密度ポリエチレン(PE)を押し出してラミネートし(押し出しラミネート法)、ラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの両面に、π電子共役系導電性ポリマー層を形成した。
【0031】
得られたカバーテープの上表面(基材層上面導電性ポリマー層)の表面抵抗率、下表面(接着層下面導電性ポリマー層)の表面抵抗率、光線透過率、曇価を測定した結果を、表2〜3に示す。
また、得られたカバーテープを使用してキャリアテープとの熱シールを行い、熱シールカバーテープを剥離して、剥離強度、剥離時のカバーテープおよびキャリアテープの剥離帯電電位を測定した。評価結果を表2、4に示す。
【0032】
実施例2
上記実施例1と同様に行い、カバーテープを得た。評価結果を表2、4に示す。
実施例3
あらかじめ基材層の両面に導電性ポリマー層を形成し、アクリル系樹脂を使用してドライラミネート法を行った以外は、全て実施例1と同様にしてカバーテープを得た。ドライラミネート法とは、基材層となるフィルム上に中間層となるアクリル系樹脂の粉末を散布し、接着層となるPEフィルムで挟み、ラミネートフィルムを製造するものである。
このカバーテープについて実施例1と同様に物性を測定した。結果を表1に示す。また実施例1と同様にしてキャリアテープとの熱シールを行い、評価を行った。結果を表2、4に示す。
実施例4
導電性ポリマーとしてポリアニリンを使用した以外は、全て実施例3と同様にしてカバーテープを得た。
結果を表2、4に示す。
【0033】
比較例1
帯電防止処理を施さない以外は全て実施例1と同様にしてカバーテープを得た。結果を表3〜4に示す。
比較例2
導電性ポリマー層を設けない以外は全て実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得て、その両面に、第4級アンモニウム系界面活性剤を均一に塗布してカバーテープを得た。結果を表3〜4に示す。
【0034】
比較例3
接着層としてPS系樹脂を使用した以外は全て実施例3と同様にしてラミネートフィルムを得て、導電性ポリマー層を設ける代わりにフィルム基材層上面に、酸化スズ系化合物粉末を均一に塗布し、接着層下面には第4級アンモニウム系界面活性剤を均一に塗布してカバーテープを得た。結果を表3〜4に示す。
比較例4
表面抵抗率が3.7×101 Ω/□(膜厚約0.15μm)であるポリピロールを導電性ポリマー層とし、接着層としてPS系樹脂を使用した以外は全て実施例3と同様にしてカバーテープを得た。結果を表3〜4に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、カバーテープの基材層の上面および接着層下面にπ電子共役系導電性ポリマーからなる低電気抵抗の薄膜を形成することにより、キャリアテープとの剥離帯電を抑制できるカバーテープを得ることができる。また、本発明において、キャリアテープの表面構成物質に適した接着層を選定することにより、初期接着が良好であり、時間の経過により接着特性が変化しない安定したシール特性を持つカバーテープを得ることができる。さらに、導電性フィラーなどの光散乱の損失を生じさせるものを添加する必要がないので、曇価の小さいものを得ることができ、全光線透過率も高いので、視認および高速実装ラインでの検査工程を容易にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバーテープの構造を示す概略断面図である。
【図2】他のカバーテープの構造を示す参考図である。
【図3】本発明のカバーテープの使用状態の1例を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1; 導電性ポリマー層
2; 基材層
3; 中間層
4; 接着層
11;カバーテープ
12;キャリアテープ
13;電子部品
14;導電層
Claims (2)
- 電子部品を収納するための収納部を有するキャリアテープを被覆するためのカバーテープであって、上記カバーテープは基材層、中間層、接着層からなり、基材層は合成樹脂製フィルムからなり、その上面にはπ電子共役系導電性ポリマーからなる導電性ポリマー層が設けられ、中間層は上記基材層と接着層との間に設けられて上記二層を結合させており、接着層はキャリアテープに熱シールするための樹脂からなり、その下面にもπ電子共役系導電性ポリマーからなる導電性ポリマー層が設けられており、基材層上面の導電性ポリマー層の表面抵抗率が102〜107Ω/□、接着層下面の導電性ポリマー層の表面抵抗率が107〜1015Ω/□であり、かつ、上記基材層上面の導電性ポリマー層の厚さが、0.05〜0.1μm、接着層下面の導電性ポリマー層の厚さが0.001〜0.05μmであって、全光線透過率が71.5%以上、曇価が30%以下であることを特徴とする導電性カバーテープ。
- π電子共役系導電性ポリマーがポリピロールである請求項1記載の導電性カバーテープ。
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Publications (2)
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