JP4605084B2 - ポリ乳酸系成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸を主成分とする、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れた成形品に関するものである。さらに詳細には成形品として使用する際にはラクチドなどの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)、さらには加熱使用時の臭気、透明性の悪化などの問題がないポリ乳酸系成形品に関するものである。
ポリ乳酸は、高い融点を持ち、また溶融成形可能で実用上優れた生分解性ポリマーとして期待されている。しかしながら、ポリ乳酸は結晶化速度が遅く、結晶化させて成形品等に用いるには限界があった。例えばフィルムとして用いた場合、ポリ乳酸フィルムは各種生分解性フィルムの中でも最も引っ張り強度や弾性率が高く、光沢、透明性にも優れているとされているが、樹脂のガラス転移温度が比較的低いために耐熱用途として用いるには限界があった。そのため、耐熱性(熱変形温度)の向上が求められている(例えば、非特許文献1参照)。
ところで2種もしくはそれ以上のポリマー同士を混合することは、ポリマーブレンドまたはポリマーアロイとして広く知られており、個々のポリマーの欠点を改良する方法として広く利用されている。しかしながら、一般的に2種のポリマーを混合した場合、多くは個々の相に分離し、一方の相が数μm以上の不均一な粗大分散構造を有するのが一般的である。この様な分散形態の場合、不透明であり、また機械強度も低く、さらには溶融混練時の吐出時にバラス効果を起こしやすく生産性に劣るものとなるのが多い。一方、極まれに2種のポリマーが均一に混合する場合があり、この種のものは、一般的に相溶性ポリマーまたは混和性ポリマーと呼ばれ、優れた特性を示すことが期待されるが、その例は限られたものである。
一方、ポリ乳酸と相溶性を有する樹脂を混合する方法としては、ガラス転移温度が約100℃であるポリメチルメタクリレートと混合することで、その樹脂組成物のガラス転移温度が向上することが記載され(例えば非特許文献2〜3)、ポリ乳酸を含むα−ヒドロキシカルボン酸重合体とポリ(メタ)アクリレート樹脂の混合によって加水分解性に優れた樹脂が生成することが記載され(例えば特許文献1)、ポリ乳酸にアクリル系化合物を配合し、耐候性、成形加工性に優れる樹脂組成物が得られることが記載され(例えば特許文献2)、主鎖中にカルボニル化合物を有する重合体にビニルアルコール系重合体を混合することで耐水性に優れた樹脂組成物が生成することが記載されている(例えば特許文献3)が、いずれも耐熱性や高温剛性向上に関する技術思想については全く開示されておらず、その解決手段についての示唆もない。
また一般的に、ポリ乳酸中には未反応および/または加水分解によって生じたラクチドや乳酸や線状の乳酸オリゴマーまたは環状の乳酸オリゴマーが相当数残存している。このような乳酸や線状の乳酸オリゴマーまたは環状の乳酸オリゴマーを相当量含んだポリ乳酸は成形時の熱安定性が低く、また通常の使用条件下において容易に加水分解されてしまうために、このような組成物からフィルムなどの成形品を製造しても比較的短期間に強度が落ちて実用性に劣るという大きな欠点があった。さらに、成形品として高温や多湿条件で使用したり、水や溶媒と接触して使用する場合には、成形品に含有されるラクチドや乳酸オリゴマーが系外に揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)したり、臭気を発するといった問題があった。ラクチドや乳酸オリゴマー量の制御に関する技術は開示されているものの(例えば特許文献4)、本技術ではラクチドや乳酸オリゴマーによる抗菌性、防黴性について言及されているのみでラクチドや乳酸オリゴマーの系外への揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)抑制や臭気低減に関する技術思想については全く開示されておらず、その解決手段についての示唆もされていない。
「生分解性ケミカルスとプラスチック」、株式会社シーエムシー、2000年、第147頁) 「ポリマー」(Polymer)39巻(26) , p6891 (1998) 「マクロモレキュール・ケミカル・フィジックス」(Macromol.Chem.Phys.)201巻 , p.1295(2000) 特開平8−59949号公報([0006]段落) 特開2002−155207号公報([0001]〜[0008]段落) 特開平6−322217号公報 ([0001]〜[0007]段落) 特開2000−328422号公報([0007]〜[0030]段落)
本発明の課題は、従来技術ではなしえなかった、優れた透明性、機械特性、耐熱性を有しなおかつラクチドなどの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)、さらには加熱使用時の臭気が抑制された繊維、フィルム等のポリ乳酸系成形品を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明のポリ乳酸系成形品は、主として次の構成を有する。すなわち、
(A)成分として重量平均分子量5万以上のポリ乳酸樹脂と、
(B)成分としてポリ(メタ)アクリレート及び/又はガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物と、
を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物からなり、
該ポリ乳酸樹脂組成物がシート状であって、
少なくとも片面に、(C)成分としてポリ(メタ)アクリレートからなる層を有し、
DSC昇温測定における該成形品の結晶融解熱量(ΔHm)が10J/g以下であり、
かつ、該成形品中のラクチド含有量が2質量%以下であり、
未延伸シートであることを特徴とす成形品である。
本発明のポリ乳酸系成形品は、従来技術ではなしえなかった、優れた透明性、機械特性、耐熱性を有し、なおかつ可塑剤やラクチドなどの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)および加熱使用時の臭気が抑制された成形品であり、特に耐熱容器を初めとするシートなど成形品の分野において従来以上に幅広い利用が可能である。具体的には、ブリスターパック等の各種保形具類や、食品トレー、飲料カップなどの容器類、飲料自動販売機のディスプレイ用ボトルなどの成形体用途に好ましく用いることができる。
さらに、本発明の成形品は、従来のプラスチックに対して植物由来原料の使用割合(植物度)が高いという利点や、自然環境中での生分解性が高く、使用後は自然環境中で比較的容易に分解されるという利点を有する。
また、本発明の好ましい態様のポリ乳酸系成形品は、耐衝撃性を有し、加熱使用時の透明性の悪化をも抑制した成形品である。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂は、産業界およびプラスチック廃棄物に係る環境問題の解決に寄与するところが非常に大きい。
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂は、実用的な機械特性を満足させるため、重量平均分子量が5万以上であることが必要であり、好ましくは8万以上、さらに10万以上であることがより好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
また本発明にかかるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸及び/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他のモノマー単位としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。上記他の共重合成分の共重合量は、全単量体成分に対し、30モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることが好ましい。
本発明において、特に高い耐熱性を有する成形品を得るためには、ポリ乳酸樹脂として乳酸成分の光学純度が高いものを用いることが好ましい。ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることが特に好ましく、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることが更に好ましい。
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
ポリ乳酸樹脂の融点は、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。ポリ乳酸樹脂の融点は通常、乳酸成分の光学純度を高くすることにより高くなり、融点120℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることにより、また融点150℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることにより得ることができる。
本発明における成形品とは、(A)成分として重量平均分子量5万以上のポリ乳酸樹脂と、(B)成分としてポリ(メタ)アクリレート及び/又はガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物とを配合したポリ乳酸樹脂組成物から成形されるものである。
本発明にかかるポリ乳酸樹脂組成物は、各成分を溶媒に溶かした溶液を均一混合した後、溶媒を除去して組成物を製造することにより製造することも可能であるが、溶媒へ原料の溶解、溶媒除去等の工程が不要で、実用的な製造方法である溶融混練法を採用することが好ましい。溶融混練法は、各成分を溶融混練することにより製造する方法である。その溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機等の通常使用されている公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。またその混合順序についても特に制限はなく、例えばポリ乳酸とポリ(メタ)アクリレート、ガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物をドライブレンド後、溶融混練機に供する方法や、予めポリ乳酸とポリ(メタ)アクリレート、ガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物を溶融混練したマスターバッチを作製後、該マスターバッチとポリ乳酸とを溶融混練する方法等が挙げられる。また必要に応じて、その他の添加剤を同時に溶融混練する方法や、予めポリ乳酸とその他の添加剤を溶融混練したマスターバッチを作製後、該マスターバッチとポリ乳酸とポリ(メタ)アクリレート、ガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物とを溶融混練する方法を用いてもよい。また溶融混練時の温度は190℃〜240℃の範囲が好ましく、またポリ乳酸の劣化を防ぐ意味から、200℃〜220℃の範囲とすることがより好ましい。
本発明にかかるポリ乳酸樹脂組成物は、相溶性または混和性に優れていることから、透明性に優れており、ポリ乳酸樹脂組成物を用いて0.2mm厚さのシートとした場合、通常波長400nmの可視光線における光線透過率が40%以上のものを得ることができる。また好ましい態様においては、波長400nmの可視光線における光線透過率が50%以上のものを得ることができる。さらに好ましい態様においては波長400nmの可視光線における光線透過率が60%以上のものをも得ることができる。
本発明にかかるポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ(メタ)アクリレート及び/又はガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物の種類や配合量によっては3μm以下の構造周期を有する場合があり、この場合、優れた機械特性と耐熱性を両立することから好ましい。この構造周期は、溶融混練時に一旦相溶化後、スピノーダル分解により形成された微細な相分離構造に由来する場合があるが、これに限定されるものではない。なお、「微細な相分離構造」を確認するためには、例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察等の方法が挙げられる。また、「構造周期」については、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れること等によって確認することができる。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、構造周期Λmの値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θm を用いて次式
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
さらに、本発明にかかるポリ乳酸樹脂組成物は、配合するポリ(メタ)アクリレート及び/又はガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物の種類や配合量を選択することにより相溶化する場合があり、この場合、特に透明性に優れることから各種透明用途で好適に用いられることから好ましい。一般的に、「相溶化」とは、分子レベルで両成分が均一に混合していることを意味し、前述した構造周期を測定すると少なくとも0.01μm以下となるが、この場合、特に好ましい。
本発明における(B)成分、後述する(C)成分のポリ(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートから選ばれる少なくとも1種の単量体を構成単位とするものであり、2種以上の単量体を共重合して用いても構わない。ポリ(メタ)アクリレートを構成するに使用されるアクリレートおよびメタクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノブチルアクリレートなどのアクリレート、およびメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタクリレートが挙げられるが、より高い高温剛性を付与するには、ポリメチルメタクリレートを用いることが好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートとしてポリメチルメタクリレートを用いる場合、ポリ乳酸樹脂との相溶性の観点、積層シートとする場合の溶融粘度調整の観点から、JIS K7210に準じて230℃で測定したポリメチルメタクリレートの流動性が、2g/10min以上であることが好ましく、3g/10min以上であることがより好ましく、5g/10min以上であることがさらに好ましく、7g/10min以上であることが特に好ましい。
本発明で用いられるポリ(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が20000〜500000であることが好ましく、100000〜200000であることがより好ましい。重量平均分子量が20000未満では成形品の強度が低下する場合があり、重量平均分子量が500000を超えると成形時の流動性が低下する場合がある。
これらの単量体を重合あるいは共重合する方法については特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等の公知の重合方法を用いることができる。
本発明における(B)成分、後述する(C)成分のポリビニル化合物は、ビニル化合物の重合体であり、その中でもガラス転移温度が60℃以上となる化合物をもちいることが必要である。ガラス転移温度が60℃未満の場合、ポリ乳酸と相溶化した場合でもポリ乳酸の耐熱性を向上させる効果が小さくなり好ましくない。ガラス転移温度が60℃以上となるポリビニル化合物の具体例としては、ポリスチレン、ポリ(4−アセチルスチレン)、ポリ(2−メチルスチレン)、ポリ(3−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(4−メトキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)(ポリビニルフェノール)、ポリ(2−ヒドロキシメチルスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシメチルスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシメチルスチレン)等の各種スチレン系重合体、およびポリ(ベンゾイルオキシエチレン)、ポリ(シクロヘキサノイルオキシエチレン)、ポリ(4−エトキシベンゾイルオキシエチレン)、ポリ(2−メトキシベンゾイルオキシエチレン)、ポリ(4−メトキシベンゾイルオキシエチレン)、ポリ(4−フェニルベンゾイルオキシエチレン)等の各種ポリビニルエステル等が挙げられるが、ポリ乳酸樹脂との相溶性の観点からポリ(4−ヒドロキシスチレン)(ポリビニルフェノール)を用いることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系成形品は、DSC昇温測定における該成形品の結晶融解熱量(ΔHm)が10J/g以下であることが必要である。かかる範囲を超えると、成形品に熱をかけた場合に結晶化が大きく進行するため、透明性の悪化を招き、好ましくない。この観点から、ΔHmは、より好ましくは8J/g以下、さらに好ましくは5J/g以下である。
成形体を加熱した際の更なる透明性維持には、(A)成分のポリ乳酸系樹脂の結晶の過大な成長を抑制し結晶を微細化する方法があり、そのために、(A)成分に結晶核剤を含有することが好ましい。
かかる結晶核剤は、ポリ乳酸系樹脂との相溶性が良好であることが好ましく、また、結晶化速度を高め、結晶化した時は該樹脂の透明性を維持することが好ましい。このような結晶核剤としては、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族/芳香族カルボン酸ヒドラジド、メラミン系化合物及びフェニルホスホン酸金属塩などを使用することができる。
かかる脂肪族カルボン酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類、N,N´−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N´−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N´−ジステアリルテレフタル酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類、N−ブチル−N´−ステアリル尿素、N−プロピル−N´−ステアリル尿素、N−ステアリル−N´−ステアリル尿素、N−フェニル−N´−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN−置換尿素類を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でも、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類が好適に用いられ、特に、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に用いられる。
また、かかる脂肪族カルボン酸塩の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸塩、ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀等のミリスチン酸塩、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミチン酸コバルト等のパルミチン酸塩、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル等のオレイン酸塩、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム等のステアリン酸塩、イソステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリン酸塩、ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、べヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、べヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル等のモンタン酸塩等を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に、ステアリン酸の塩類やモンタン酸の塩類が好適に用いられ、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウムが好適に用いられる。
また、かかる脂肪族アルコールの具体例としては、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の脂肪族モノアルコール類、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族多価アルコール類、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の環状アルコール類等を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に脂肪族モノアルコール類が好適に用いられ、特にステアリルアルコールが好適に用いられる。
また、かかる脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、ラウリン酸セチルエステル、ラウリン酸フェナシルエステル、ミリスチン酸セチルエステル、ミリスチン酸フェナシルエステル、パルミチン酸イソプロピリデンエステル、パルミチン酸ドデシルエステル、パルミチン酸テトラドデシルエステル、パルミチン酸ペンタデシルエステル、パルミチン酸オクタデシルエステル、パルミチン酸セチルエステル、パルミチン酸フェニルエステル、パルミチン酸フェナシルエステル、ステアリン酸セチルエステル、べヘニン酸エチルエステル等の脂肪族モノカルボン酸エステル類、モノラウリン酸グリコール、モノパルミチン酸グリコール、モノステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのモノエステル類、ジラウリン酸グリコール、ジパルミチン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのジエステル類、モノラウリン酸グリセリンエステル、モノミリスチン酸グリセリンエステル、モノパルミチン酸グリセリンエステル、モノステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのモノエステル類、ジラウリン酸グリセリンエステル、ジミリスチン酸グリセリンエステル、ジパルミチン酸グリセリンエステル、ジステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのジエステル類、トリラウリン酸グリセリンエステル、トリミリスチン酸グリセリンエステル、トリパルミチン酸グリセリンエステル、トリステアリン酸グリセリンエステル、パルミトジオレイン、パルミトジステアリン、オレオジステアリン等のグリセリンのトリエステル類等を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもエチレングリコールのジエステル類が好適であり、特にエチレングリコールジステアレートが好適に用いられる。
また、かかる脂肪族/芳香族カルボン酸ヒドラジドの具体例としては、セバシン酸ジ安息香酸ヒドラジド、メラミン系化合物の具体例としては、メラミンシアヌレート、ポリビン酸メラミン、フェニルホスホン酸金属塩の具体例としては、フェニルホスホン酸亜鉛塩、フェニルホスホン酸カルシウム塩、フェニルホスホン酸マグネシウム塩、フェニルホスホン酸マグネシウム塩等を使用することができる。
これらの透明核剤の具体的な添加量は、ポリ乳酸系樹脂組成物全体に対して、0.1〜2.5重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜2重量%、特に好ましくは0.5〜1.5重量%である。該添加量が0.1重量%より小さいと、透明核剤としての効果が不十分となり、耐熱性が低くなることがある。該添加量が2.5重量%より大きいと、透明性が低下したり、外観や物性の変化を起こす場合がある。
本発明の成形品は、ラクチド含有量が2質量%以下である。成形品に含まれるラクチド量が2質量%を超えると、本成形品を高温や多湿条件で使用したり、水や溶媒と接触して使用するなどの場合においてラクチドの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)したり、さらには加熱使用時に臭気が発生するなどの問題が発生する。例えば、包装材として用い加熱した場合には周囲を汚したり、食品を包装して水中で加熱使用する場合には内容物に移行したりする恐れがある。なお、ラクチドの融点は100℃程度であり、また加熱されると90℃以上の温度で昇華が始まる。
また、ポリ乳酸系重合体を加熱すると特有の臭気を発する場合があるが、この臭気は100℃以上に加熱した際に特に強く発生する場合が多い。一般に臭気の原因となる成分は複雑な相乗効果を持つものが多く、例えば単体ではいずれもほとんど臭気を感じない成分aと成分bが混合され混合物となると単体からは予測しがたい臭気を発する場合がある。ポリ乳酸系重合体からなる成形品のラクチド含有量と特有の臭気との直接の関係は明らかではないが、本発明者の発明者らは鋭意検討した結果、成形品が含有するラクチド含有量を2質量%以下とすることで、上記した特有の臭気を抑制できることを見出し、ここに開示するものである。
上記の観点から、本発明の成形品のラクチド含有量は、好ましくは1.2質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。
成形品中のラクチド含有量を低下させる方法としては、用いるポリ乳酸系重合体等の原料中の乳酸オリゴマー成分をあらかじめ低減、除去する方法、成形時や加工時あるいはその後に低減、除去する方法等が上げられる。例えばフィルムの場合について具体的に例を挙げると、ポリ乳酸系重合体などの原料類の合成時に触媒種や量、反応時間、温度等を調整する方法、原料から水あるいは有機溶媒等を用いてオリゴマーを除去する方法、原料使用時の乾燥温度や時間、真空度を調整してオリゴマーを除去する方法、溶融製膜時の押出温度、滞留時間を調整する方法、延伸温度、熱処理温度、処理時間を調整する方法、あるいは製膜後のフィルムに減圧処理や不活性ガス下での熱処理を施す方法、水あるいは有機溶媒を用いて抽出する方法などが挙げられる。好ましくは、原料を水あるいは有機溶媒を用いて抽出、洗浄する方法や原料乾燥時の乾燥温度を90〜120℃、乾燥時間をより長く、真空度をより高く調整する方法、溶融製膜時の押出温度をより低く、滞留時間より短く調整する方法、製膜工程で100℃以上のより高い温度で10秒以上のより長時間熱処理する方法が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系成形品中の組成物配合量に関しては特に制限はないが、ポリ乳酸樹脂と(B)成分(ポリ(メタ)アクリレート及び/又はガラス転移温度が60℃以上ポリビニル化合物)の合計を100質量部としたときに、ポリ乳酸樹脂99質量部以下20質量部超、及び(B)成分1質量部以上80質量部未満、好ましくはポリ乳酸樹脂99質量部以下50質量部超、及び(B)成分1質量部以上50質量部未満とする場合には、ポリ乳酸樹脂の特性を改良する点で有用であり、特にポリ乳酸樹脂の透明性や機械特性や耐熱性の改良に特に効果がある。上記特性のさらなる改良の観点から、より好ましくはポリ乳酸樹脂90質量部以下60質量部超、及び(B)成分10質量部以上40質量部未満、さらに好ましくはポリ乳酸樹脂85質量部以下65質量部超、及び(B)成分15質量部以上35質量部未満である。
正確な配合量を特定する方法の一つにNMRによる特定が挙げられる。例えば、ポリ乳酸とポリメチルメタクリレートの配合量を特定するには、重クロロホルム溶媒中55℃で1H核のNMR測定を行い、ポリ乳酸に由来するピーク(例えばメチン基に由来するピーク)とポリメチルメタクリレートに由来するピーク(例えばメトキシ基に由来するピーク)の強度比から算出することができる。1H核のピークが重複して算出できない場合は、さらに13C核の測定を行い、特定することができる。
本発明のポリ乳酸系成形品を、例えばポリ乳酸二軸延伸フィルムとして用いた場合は、透明性に優れており、100μm厚み換算ヘイズ値が好ましい態様において10%以下となり、さらに好ましくは7%以下となり、特に好ましくは5%以下となる。ここで、100μm厚み換算ヘイズ値とは、あらかじめ厚みを測定したフィルムサンプルのヘイズ値を厚み100μmのフィルムとした場合の換算値のことを指すが、換算前の実際の測定値においても10%以下であることが好ましい。なお100μm厚み換算ヘイズ値は、下記式により求めることが出来る。
100(%)=H×100/d
ここで、
100:100μm厚み換算ヘイズ値(%)
H :ヘイズの実測値(%)
d :ヘイズ測定部のフィルム厚み(μm)
である。
本発明のポリ乳酸系成形品中には、目的や用途に応じて各種の粒子を添加することができる。添加する粒子は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子、重合系内で生成させる内部粒子などを挙げることができる。これらの粒子を2種以上添加しても構わない。ポリ乳酸系成形品の機械的特性の観点から、かかる粒子の添加量は、0.01〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.02〜1質量%である。
また、添加する粒子の数平均粒子径は、好ましくは0.001〜10μmであり、さらに好ましくは0.01〜2μmである。数平均粒子径がかかる好ましい範囲であると、成形品の欠陥が生じにくくなり、透明性の悪化、成形性の悪化などを引き起こすことはない。
本発明のポリ乳酸系成形品には、本発明の目的・効果を損なわない範囲で必要に応じて添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤、顔料または染料等の着色剤を適量配合することができる。
また、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂やフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体などの軟質熱可塑性樹脂などの少なくとも1種以上をさらに含有することができる。
また、成形品をシートまたはフィルムとして用いる場合、その構成としては、単層であってもかまわないし、表面に易滑性、接着性、粘着性、耐熱性、耐候性など新たな機能を付与するために積層構成としてもよい。特に、更なる耐熱性の向上の観点から、その少なくとも片面に、(C)成分としてポリ(メタ)アクリレート及び/又はガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物からなる層を有することが好ましい。
また、(C)成分で、ポリ乳酸樹脂を含有している層を覆うことから、前述したポリ乳酸特有の臭気の抑制にも効果がある。
シートの積層構成に特に制限は無く、例えば、ポリ乳酸樹脂とアロイ成分からなるI層に、新たな機能を付与する、樹脂または添加剤の組成の異なるII層、III層を積層した場合には、I/IIの2層、II/I/II、II/I/III、あるいはI/II/IIIの3層などが例として挙げられる。さらには必要に応じて3層より多層の積層構成であってもよく、各層の積層厚み比も任意に設定できる。
本発明における(B)成分、(C)成分に用いられるポリ(メタ)アクリレート、ガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物は一般的に脆い性質を有する樹脂であり、これを成型体を構成する樹脂として用いた場合、成形体の耐衝撃性の悪化を招く場合がある。そこで、耐衝撃性を維持、あるいは、改善するために、ポリ(メタ)アクリレート、ガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物に耐衝撃性改良剤を添加する方法がある。
本発明でいう耐衝撃改良剤とは、熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良に用いることのできるものであれば特に制限されない。例えば下記の各種耐衝撃改良剤などから選ばれる少なくとも1種のものを用いることができる。
すなわち、耐衝撃改良剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリル系ゴム、シリコーン・アクリル系ゴム、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ジエンゴム(たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(たとえばスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエンまたはイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステル系エラストマー、およびポリアミド系エラストマーなどを使用することができる。
更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、或いは各種の平均粒径(樹脂組成物中における)を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造重合体なども使用することができる。
また、上記具体例に挙げた各種の(共)重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体などのいずれであっても、本発明の耐衝撃改良剤として用いることができる。
更には、これらの(共)重合体を作るに際し、他のオレフィン類、ジエン類、芳香族ビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどの単量体を共重合することも可能である。
これらの耐衝撃改良剤の中でも、アクリル単位を含む重合体や、酸無水物基および/またはグリシジル基を持つ単位を含む重合体が好ましい。ここでいうアクリル単位の好適例としては、メタクリル酸メチル単位、アクリル酸メチル単位、アクリル酸エチル単位およびアクリル酸ブチル単位を挙げることができ、酸無水物基やグリシジル基を持つ単位の好適例としては、無水マレイン酸単位およびメタクリル酸グリシジル単位を挙げることができる。
また、耐衝撃改良剤は、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成される、いわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造重合体であることが好ましく、メタクリル酸メチル単位またはアクリル酸メチル単位をシェル層に含む多層構造重合体であることがさらに好ましい。このような多層構造重合体としては、アクリル単位を含むことや、酸無水物基および/またはグリシジル基を持つ単位を含むことが好ましく、アクリル単位の好適例としては、メタクリル酸メチル単位、アクリル酸メチル単位、アクリル酸エチル単位およびアクリル酸ブチル単位を挙げることができ、酸無水物基やグリシジル基を持つ単位の好適例としては、無水マレイン酸単位やメタクリル酸グリシジル単位を挙げることができる。特に、メタクリル酸メチル単位、アクリル酸メチル単位、無水物マレイン酸単位およびメタクリル酸グリシジル単位から選ばれた少なくとも一つをシェル層に含み、アクリル酸ブチル単位、アクリル酸エチルヘキシル単位、スチレン単位およびブタジエン単位から選ばれた少なくとも一つをコア層に含む多層構造体が好ましく使用される。
また、別の好ましい耐衝撃性改良剤はポリウレタンゴムである。ここでポリウレタンゴムとはウレタン結合を有する弾性体全般を総称するものであり、熱可塑性ポリウレタンエラストマーや、それを架橋した架橋ポリウレタンゴムを含む。なかでも熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーはジイソシアネートと短鎖ポリオールからなるハードセグメントと、ジイソシアネートと長鎖ポリオールからなるソフトセグメントを少なくとも有する。熱可塑性ポリウレタンエラストマーを構成するジイソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが好ましく使われる。短鎖ポリオール成分としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ブテンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカメチレンジオール等が好ましく使われる。ソフトセグメントとしての長鎖ポリオールとしては、ポリアルキレンアジペート、ポリアルキレンエーテルなどが好ましく、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリノナンジオールアジペート、ポリテトラメチレングリコールなどがより好ましい。それぞれの成分は1種又は2種以上の混和物でも好適に用いることができる。
また、本発明における耐衝撃改良剤は、透明性を維持する観点から、屈折率を、添加する樹脂相の屈折率に合わせることが好ましい。例えば、(A)成分として屈折率1.45のポリ乳酸、(B)成分として屈折率1.49のポリメチルメタクリレートからなる樹脂相に添加する場合、屈折率は1.45〜1.49であることが好ましい。上記屈折率は、アッベ屈折計を用い、23℃、589nmの波長で測定した値である。
本発明にかかるポリ乳酸系樹脂組成物は、相溶性または混和性に優れ溶融混練可能であることから、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フイルム、繊維、シートなどとして利用できる。これらの物品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、日用品など各種用途に利用することができる。
本発明の成形品では既存の溶融成形法により得ることができるが、特にラクチド含有量を低減させる方法を含めて、シートを例にして以下に説明する。
シートでは、既存の製造法により得ることが出来る。いずれの場合にも使用するポリ乳酸系重合体のラクチド含有量を低減するため、90℃〜110℃にて真空乾燥し、真空度を10Torr以下の高真空とし、乾燥時間は6時間以上とすることが好ましい。また、さらに好ましいラクチド除去の方法として、ポリ乳酸重合体を10倍体積量以上のアセトンに24時間以上浸漬したのち、アセトン溶液を分離してさらに真空乾燥する方法が挙げられる。シートの製造においては、ポリ乳酸系重合体組成物を公知の方法でスリット状の口金よりシート状に溶融押し出しすることができるが、押出し機やポリマー配管、口金などの温度は200℃以下が好ましく、190℃以下がさらに好ましく、180℃以下がより好ましい。また、ポリ乳酸重合体およびアロイ化成分が押出し機内で溶融されてから口金より吐出されるまでの滞留時間は20分以下であることが好ましく、10分以下であることがさらに好ましく、5分以下であることがより好ましい。押出されたシート状の溶融物はキャスティングドラムに密着させて冷却固化せしめてシートを得る。組成物の熱劣化を最小限にしラクチド含有量を低減するためには、二軸の押出機を使用し、さらに二軸押出機の途中にベントポートを設け、ベントポートの減圧化により溶融時に発生するラクチドなどの低分子量揮発成分を除去する方法がより好ましい。
またシートには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤、顔料または染料等の着色剤を適量配合することができる。
シートに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられ、いずれの方法をも用いることができが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましいものとして例示できる。
さらに、ブロッキング防止、帯電防止、成形金型からの離型性付与、耐傷付き性改良などの目的で、表面に主にシリコーン系のコーティング機能層を設けることが有効であり、この機能層の形成には、シートの製造工程内で行うインラインコーティング法、シートの巻き取り後に行うオフラインコーティング法を用いることができる。
本発明のシートの厚さは特に制限はなく、用途に応じて要求される性能、例えば、耐熱性、機械強度、透明性、生分解速度、価格などにより適宜な厚さにすればよいが、通常5μm以上、1mm以下であり、特に20μm以上、300μm以下の範囲が好んで選択される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[評価方法]
(1)ポリ乳酸の重量平均分子量
日本Warters(株)製、Warters2690を用い、PMMAを標準とし、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒を用いて測定した。
(2)成形品の結晶融解熱量(J/g)
成形品の結晶融解熱量は、試料約5mgを、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220型を用い、窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度下での測定から求めた。
(3)成形品のラクチド含有量[%]:
シートサンプルを塩化メチレンに溶解し1g/20mlに濃度調整した後、アセトン60mlを追加し、さらに超音波攪拌しながらシクロヘキサン320mlを滴下していきポリ乳酸系重合体を主体とする析出・沈殿物生成させ、これを分離、ろ過して、試料液を作製した。この試料液をガスクロマトグラフ5890型(AgilentTechnologies社製、検出器:FIDタイプ)を用い、カラム:DB−17MS型(J&W社製)、カラム温度:50〜320℃、25℃/分、キャリアーガス:Heの条件にて分析を行い、あらかじめ濃度を変更したラクチド単体の試料液を用いて検量線を作成し、これによりラクチド量(%)を求めた。
(4)樹脂組成物の構造周期
厚み100μmのシートサンプルを、大塚電子(株)製光散乱装置DYNA−3000を用い、下記式に従い構造周期Λm(μmを計算した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
ここで、
λ:散乱光の散乱体内での波長(μm)
θm:散乱極大を与える散乱角
である。
なお、表1〜3において、構造周期が0.01μm以下の場合には「−」と記載した。
(5)樹脂組成物の機械特性
シートサンプルを、長さ×幅=50mm×10mmに切り出し、23℃、50%RHの環境下、オリエンテック社製テンシロンUTA−4を用いて、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で引張強度、引張伸びを測定した。
(6)100μm厚み換算ヘイズ値
シートサンプルの透明性の指標として、あらかじめ厚みを測定したシートサンプルのヘイズ値をヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。測定は1水準につき5回行い、5回の測定の平均値から厚み100μmとした場合の換算値として100μm厚み換算ヘイズ値(%)を求めた。換算式は下記のとおりである。
100(%)=H×100/d
ここで、
100:100μm厚み換算ヘイズ値(%)
H :シートサンプルのヘイズの実測値(%)
d :ヘイズ測定部のシートサンプル厚み(μm)
である。
(7)シートの成形性
シートサンプルを真空成形(ストレート成形)させ(予熱:80℃ 20秒間(実施例1〜3、5〜7、比較例1〜5)または90℃ 20秒間(実施例4、8〜14)または110℃ 20秒間(実施例15、16))、成形性を以下の基準により評価した。○および△であれば本願の発明を満たすものとして適当である。
○:成形ムラもなく、良好な成形性を有する。
△:一部に成形ムラが見られるが、使用には問題ないレベル。
×:成形ムラが随所に見られ、または成形品として使用できないレベル。
(8)成形品の熱変形温度
(7)にて作成した成形品を、外部から張力、荷重等の力を加えず、自重のみが加わった状態で、設定温度55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃に設定した熱風オーブンにそれぞれ2分間投入した。2分間経過後の成型品を観察して、何℃以上のオーブンに入れた成形品が変形しているかを確認した。
(9)乾熱処理後の臭気:
シートサンプル10gをガラス製のシャーレに入れて同じくガラス製の蓋をし、120℃の熱風オーブン中で30分間熱処理した後にシャーレごと取り出し、蓋を取り除いた直後の臭気の有無を下記基準にて評価した。○および△であれば本願の発明を満たすものとして適当である。
○:無作為に抽出した10人中7人以上が臭気を感じない。
△:無作為に抽出した10人中5人以上が臭気を感じない。
×:上記以外。
(10)加熱時の透明性
シートサンプルの加熱時の透明性の指標として、80℃に温度設定した熱風オーブン中で24時間加熱したシートサンプルを用いて、(6)と同様に100μm厚み換算ヘイズ値(%)を求めた。
(11)シートの耐衝撃性
直径1/2インチの真鍮製衝撃部を取り付けた東洋精機製インパクト試験機を用いて、シートサンプルをクランプで押さえ付け、シートサンプルの耐衝撃強度(J/mm)を測定した。サンプルは10枚用意し、インパクトする面を変えて5枚ずつ測定し、その平均値で評価した。
使用した樹脂、添加剤は次のとおりである。
PLA−1:ポリ乳酸(D体の含有量が1.2%であり、PMMA換算の重量平均分子量が16万であるポリL乳酸樹脂)
PLA−2:ポリ乳酸(D体の含有量が1.4%であり、PMMA換算の重量平均分子量が7万であるポリL乳酸樹脂)
PLA−3:ポリ乳酸(D体の含有量が0.9%であり、PMMA換算の重量平均分子量が4万であるポリL乳酸樹脂)
PMMA−1:ポリメチルメタクリレート(住友化学工業(株)社製“スミペックス”MGSS 流動性:10g/10min)
PMMA−2:ポリメチルメタクリレート(住友化学工業(株)社製“スミペックス”MG5 流動性:5g/10min)
PMMA−3:ポリメチルメタクリレート(住友化学工業(株)社製“スミペックス”MHF 流動性:2g/10min)
PMMA−4:ポリメチルメタクリレート(住友化学工業(株)社製“スミペックス”LG 流動性:10g/10min)
PMMA−5:ポリメチルメタクリレート(住友化学工業(株)社製“スミペックス”LG21 流動性:21g/10min)
PMMA−6:耐衝撃改良剤入りポリメチルメタクリレート(住友化学工業(株)社製“スミペックス”HT50Y 流動性:14g/10min)
PVPh:ポリビニルフェノール(ガラス転移温度:146℃ 丸善石油化学(株)社製“MARUKALYNCUR”S−2P)
PS:ポリスチレン(ガラス転移温度:90℃ A&Mポリスチレン社製“GPPS679”)
PVAc:ポリ酢酸ビニル(ガラス転移温度:30℃ アルドリッチ試薬)
EBLA:エチレンビスラウリン酸アミド(日本化成(株)社製“スリパックス”L)
R−1:アクリル系耐衝撃改良剤(三菱レーヨン(株)社製“メタブレン”W−450A、屈折率:1.472)。
比較例11
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 90質量部と90℃で6時間乾燥させた前記PMMA−1 10質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:10torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表1に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。さらに、該成形品の熱変形温度もポリ乳酸単独より高いものであった。
さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果も比較的優れたものであった。
比較例12
PLA−1量を80質量部、PMMA−1量を20質量部とした以外は比較例11と同様にして未延伸シートを得るとともに該シートの成形を行った。得られたシートおよび成形品の評価結果を表1に示す。
比較例11に比べ、PMMA成分の比率が増えたので、特に熱変形温度の向上が見られた。
比較例13
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 80質量部と90℃で6時間乾燥させた前記PMMA−1 20質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:3torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表1に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。さらに、該成形品の熱変形温度も比較例11に比べ高いものであった。
さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果は、ベントの真空度を高めたことによりラクチド含有量の抑制ができたことで、実施例2と比べさらに優れたものとなった。
比較例14
PLA−1量を50質量部、PMMA−1量を50質量部とした以外は比較例11と同様にして未延伸シートを得るとともに該シートの成形を行った。得られたシートおよび成形品の評価結果を表1に示す。
比較例11に比べ、PMMA成分の比率が増えたので、特に熱変形温度の向上が見られた。
比較例15
PMMA−1をPMMA−2へと変更した以外は比較例12と同様にして未延伸シートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性は良好であった。構造周期が0.05μmであることで、透明性は若干悪化したものの、実用レベルであった。
また、該成形品の熱変形温度は実施例1に比べ高いものであり、さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果も比較的優れたものであった。
比較例16
PMMA−1をPMMA−3へと変更した以外は比較例12と同様にして未延伸シートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。構造周期が3.2μmであることで、透明性は若干悪化したものの、実用レベルであった。
また、該成形品の熱変形温度も実施例1に比べ高いものであり、さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果も比較的優れたものであった。
比較例17
PLA−1をPLA−2へと変更した以外は比較例12と同様にして未延伸シートを得るとともに該シートの成形を行った。得られたシートおよび成形品の評価結果を表1に示す。
ポリ乳酸樹脂の分子量が低下したことにより、比較例12に比べ、熱変形温度の低下が見られたものの、実用上問題のないレベルであった。
比較例18
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 90質量部と130℃で6時間乾燥させた前記PVPh 10質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:10torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。
未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表1に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。さらに、該成形品の熱変形温度もポリ乳酸単独より高いものであった。
さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果も比較的優れたものであった。
比較例19
PLA−1量を80質量部、PVPh量を20質量部とした以外は実施例8と同様にして未延伸シートを得るとともに該シートの成形を行った。得られたシートおよび成形品のの評価結果を表1に示す。
比較例18に比べ、PVPh成分の比率が増えたので、特に熱変形温度の向上が見られた。
比較例20
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 80質量部と130℃で6時間乾燥させた前記PVPh 20質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:3torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表1に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。さらに、該成形品の熱変形温度も比較例18に比べ高いものであった。
さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果は、ベントの真空度を高めたことによりラクチド含有量の抑制ができたことで、比較例19と比べさらに優れたものとなった。
比較例21
PLA−1量を70質量部、PVPh量を30質量部とした以外は実施例8と同様にして未延伸シートを得るとともに該シートの成形を行った。得られたシートおよび成形品のの評価結果を表1に示す。
比較例18に比べ、特に熱変形温度の向上が見られた。
比較例22
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 90質量部と80℃で6時間乾燥させた前記PS 10質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:10torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表1に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、実施例1に比べて成形性の低下がやや見られたが実用上問題ない範囲であった。さらに、該成形品の熱変形温度はPVPh成分の比率が増えたので、比較例11に比べ高いものであった。
さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果も比較的優れたものであった。
比較例23
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1と結晶核剤EBLAの99/1質量%のブレンド物 50質量部と、80℃で6時間乾燥させた前記PMMA−4 50質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:10torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表3に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。さらに、該シートの加熱時の透明性は、結晶核剤を添加したことにより良好なものとなった。
比較例24
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 50質量部と、80℃で6時間乾燥させた前記PMMA−4と耐衝撃性改良剤R−1の85/15質量%のブレンド物 50質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:10torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表3に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。さらに、該シートの耐衝撃性は、耐衝撃改良剤R−1を添加したことにより良好なものとなった。
(実施例15)
層I用として、120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1と結晶核剤EBLAの99/1質量%のブレンド物 90質量部と、80℃で6時間乾燥させた前記PMMA−4と耐衝撃性改良剤R−1の85/15質量%のブレンド物 10質量部を、また層II用として、80℃で6時間乾燥させた前記PMMA−6とを、それぞれ独立した別々のベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:10torr)、L/D=45)に供給し、口金温度を220℃に設定したTダイ口金より共押出し、静電印加方式により、10℃に冷却したキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、層II:層I:層IIが1:3:1、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表3に示す。
また別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。
該シートの耐熱性は、PMMA成分を積層したことにより良好なものとなった。また、該シートの加熱時の透明性は、結晶核剤を添加したことにより良好なものとなり、該シートの耐衝撃性は、耐衝撃改良剤R−1を添加したことにより良好なものとなった。さらに、該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果は、PMMA成分を表層に用いたことで優れたものとなった。
(実施例16)
層I用として、120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1と結晶核剤EBLAの99/1質量%のブレンド物 90質量部と、80℃で6時間乾燥させた前記PMMA−4と耐衝撃性改良剤R−1の85/15質量%のブレンド物 10質量部を、また層II用として、80℃で6時間乾燥させた前記PMMA−5と耐衝撃性改良剤R−1の85/15質量%のブレンド物を、それぞれ独立した別々のベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:10torr)、L/D=45)に供給し、口金温度を220℃に設定したTダイ口金より共押出し、静電印加方式により、10℃に冷却したキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、層II:層I:層IIが1:8:1、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表3に示す。
別途、該シートのストレート成形を行ったところ、成形性も良好であった。また、結晶核剤を添加したことにより該シートの加熱後の透明性は良好なものとなり、PMMA成分と耐衝撃改良剤成分を表層に用いたことで乾熱処理後の臭気等も良好な結果であった。さらに、該シートの耐衝撃性は、耐衝撃改良剤R−1を添加したことにより良好なものとなった
(比較例1)
アロイ化成分を配合しなかったこと以外は、比較例11と同様に未延伸シート化を行い、アロイ化成分混合系との比較用サンプルとした。
(比較例2)
PLA−1をPLA−3へと変更した以外は比較例12と同様にして未延伸シート化を行ったが、ポリ乳酸の分子量が請求項の範囲外であったため、安定してシート化することができなかった。一部採取できたサンプルの評価結果を表2に示す。
(比較例3)
PVPhをPVAcへと変更した以外は比較例19と同様にして未延伸シートを得るとともに該シートの成形を行った。得られたシートおよび成形品の評価結果を表2に示す。ポリ乳酸単独(比較例1)に比べ、さらに熱変形温度が低下した。
(比較例4)
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 80質量部と90℃で6時間乾燥させた前記PMMA−1 20質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント部2ヶ所(真空度:20torr)、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化した後、140℃の雰囲気下で3分間加熱処理を行い、未延伸シートを得た。
該シートの乾熱処置後の臭気抑制効果は、加熱処理効果により優れたものとなったものの、該シートの結晶融解熱量が10J/gを越えていたため成形性不良であった。
(比較例5)
120℃で5時間、10torrの高真空下で乾燥した前記PLA−1 80質量部と90℃で6時間乾燥させた前記PMMA−1 20質量部とを、210℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベントなし、L/D=45)に与し、口金温度220℃に設定したTダイ口金に導きシート状に押し出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み100μmの未延伸シートとした。未延伸シートは安定に作成でき、得られたシートの物性を表2に示す。
該シートは、ラクチド含有量が2質量%を越えていたため、乾熱処置後の臭気抑制効果が見られなかった。
Figure 0004605084
Figure 0004605084
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本発明は、各種包装材料、各種産業資材用、各種工業材料用フィルムなどに応用することができる。具体的には、ブリスターパック等の各種保形具類や、食品トレー、飲料カップなどの容器類、飲料自動販売機のディスプレイ用ボトルなどの成形体用途に好ましく用いることができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。

Claims (7)

  1. (A)成分として重量平均分子量5万以上のポリ乳酸樹脂と、
    (B)成分としてポリ(メタ)アクリレート及び/又はガラス転移温度が60℃以上のポリビニル化合物と、
    を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物からなり、
    該ポリ乳酸樹脂組成物がシート状であって、
    少なくとも片面に、(C)成分としてポリ(メタ)アクリレートからなる層を有し、
    DSC昇温測定における該成形品の結晶融解熱量(ΔHm)が10J/g以下であり、
    かつ、該成形品中のラクチド含有量が2質量%以下であり、
    未延伸シートであることを特徴とする成形品。
  2. ポリ乳酸樹脂組成物の構造周期が3μm以下である請求項1に記載の成形品。
  3. ポリ乳酸樹脂組成物の構造周期が0.01μm以下である請求項2に記載の成形品。
  4. (B)成分及び/又は(C)成分のポリ(メタ)アクリレートが、ポリメチルメタクリレートである請求項1〜のいずれかに記載の成形品。
  5. JIS K7210に準じて測定した230℃での流動性が2g/10min以上であるポリメチルメタクリレートを用いる請求項に記載の成形品。
  6. (B)成分及び/又は(C)成分にさらに耐衝撃改良剤を添加した請求項1〜のいずれかに記載の成形品。
  7. (A)成分にさらに結晶核剤を添加した請求項1〜のいずれかに記載の成形品。
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