JP2006328190A - 電子機器用透明部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 化石資源を原料とせず、植物を原料とするためカーボンニュートラルに有効なポリ乳酸を素材としつつ、透明性および難燃性が求められる電子機器用部材に使用可能な樹脂組成物、およびその樹脂組成物からなる電子機器用透明部材の提供。
【解決手段】 ポリ乳酸、ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび難燃剤を含み、アイゾッド衝撃強度が2.7〜5kJ/m2、400nm〜760nmの波長域における光線透過率が40%以上である電子機器用透明部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子機器用透明部材に関し、特に、難燃性、耐熱性および透明性に優れるとともに、地球温暖化の防止に有効な電子機器用透明部材に関する。
電子機器を構成する部材には、その部材に求められる特性、機能等を考慮して、各種の樹脂が使用されている。例えば、透明性が必要な電子機器用部材、例えば、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ機器における排紙トレイ、給紙トレイ、あるいは原稿トレイなどには、通常、透明で軽く強靭な性質を有し、耐熱温度も高く、耐衝撃性や電気絶縁性に優れた特性を持つポリカーボネート(PC)が使用されている。このポリカーボネートは、石油を原料として合成されるビスフェノールAと塩化カルボニルまたはジフェニルカーボネートを反応させて製造されている。
ところで、石油、石炭、天然ガス等の化石資源は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を主成分とするものである。このような化石資源、または化石資源を原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素が大気中に放出された場合には、本来、大気中に存在せずに地中深くに固定されていた炭素を二酸化炭素として急激に放出することになり、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、地球温暖化の原因となる。したがって、ポリカーボネートは、電子機器用部材の素材としては、優れた特性を有するものであるが、化石資源である石油を原料とするものであるため、地球温暖化の防止の観点からは、使用量を低減することが望ましい。
一方、植物由来の樹脂は、元々、植物が大気中の二酸化炭素と水とを原料として光合成反応によって生成したものである。そのため、植物由来の樹脂は、これを焼却して二酸化炭素が発生しても、その二酸化炭素は、元々、大気中にあった二酸化炭素に相当するものであるから、大気中の二酸化炭素の収支はプラスマイナスゼロとなり、結局、大気中のCO2の総量を増加させない、という考え方、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料と言える。このようなカーボンニュートラルな材料を用いることは、近年、大気中の二酸化炭素の総量の増加を抑制することによって地球温暖化を防止する上で重要となっている。
そして、化石資源を原料とせず、植物、例えば、トウモロコシ等から得られる糖質を原料として製造されるポリ乳酸は、植物由来の材料で形成される樹脂であるため、カーボンニュートラルな素材であるとともに、高い融点を有し、また、溶融成形可能であることから、各種の分野での利用が期待されている。このポリ乳酸は、焼却時には燃焼熱量が低く、自然界に廃棄された場合にも、最終的に微生物等によって分解されるため、環境負荷が低い、という利点もある。また、ポリ乳酸は、量産された場合のコストを汎用プラスチックと同等程度にできる可能性が高い点でも優れている。また、ポリ乳酸は、将来枯渇が予想されている石油資源ではなく、永続的に再生可能な植物を原料として供給可能であり、より安全性が高く、資源リサイクルの観点からも有利である。
このポリ乳酸は、それ自体が燃焼し易いため、電子機器用部材など、難燃化が必要な部材には使用が困難であった。そこで、ポリ乳酸に特定の難燃剤を配合したり(特許文献1)、ポリ乳酸と他のモノマー成分を共重合させることが提案されている。しかし、ポリ乳酸に難燃剤を配合して、所要の難燃性、例えば、電子機器用部材に求められる難燃性、UL94規格でV−2程度の難燃性を付与した場合、射出成形しても、電子機器用部材に求められる機械的強度、特に、十分な衝撃強度を得ることができなかった。
特開2004−190026号公報(請求項1)
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、化石資源を原料とせず、植物由来の原料で製造されるためカーボンニュートラルな素材であるポリ乳酸を主材とし、難燃性、透明性および耐衝撃性に優れる電子機器用透明部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の電子機器用透明部材は、ポリ乳酸、ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび難燃剤を含み、アイゾット衝撃強度が2.7〜5kJ/m2、400nm〜760nmの波長域における光線透過率が40%以上であることを特徴とする。前記ポリ乳酸を25〜75質量部、ポリ(メチル)アクリル酸メチルを30〜75質量部および前記難燃剤を0.1〜30質量部の割合で含むことが好ましい。また、前記難燃剤は、リン含有難燃剤およびケイ素含有難燃剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の電子機器用透明部材は、電子機器用部材として要求される難燃性および耐衝撃性を有するとともに、透明性が求められる部材である。特に、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ機器における排紙トレイ、給紙トレイ、あるいは原稿トレイ等の透明性、難燃性および耐衝撃性に優れる特性が求められる部材が挙げられる。これらの排紙トレイ等の部材は、部材の背後に紙が有るか無いかを簡便に見分けることができるとともに、意匠の点で、透明であることが求められる。また、これらの部材は、所定の収納部に収納され、必要に応じて引き出して使用されるものが多く、電子機器を構成する他の部材(ABSやPC/ABS等からなる)と衝突しても割れないように、耐衝撃性が求められる。また、これらの部材は、電子機器の外部に配置されることが多く、難燃性を有することが求められる。さらに、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ機器に用いられるトナーによって変色もしくはクラックの発生がないこと(トナー適性)が求められる。
この電子機器用透明部材は、ポリ乳酸、ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび難燃剤を必須成分とし、アイゾット衝撃強度が2.7〜5kJ/m2、かつ400nm〜760nmの波長域における光線透過率が40%以上であることによって、透明性、難燃性および耐衝撃性に優れるとともに、カーボンニュートラルな部材として地球温暖化の防止に有効である。
また、本発明の電子機器用透明部材は、前記ポリ乳酸、前記ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび前記難燃剤を含む混合物を、直接、射出成形機のシリンダー内に供給し、溶融混練して射出成形してなることを特徴とする。
この電子機器用透明部材は、前記ポリ乳酸、前記ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび前記難燃剤を含む混合物を、直接、射出成形機のシリンダー内に供給して溶融混練して射出成形することによって、所望の成形品を得ることができる。
この電子機器用透明部材では、直接、射出成形機のシリンダー内に、前記混合物を供給して溶融混練して射出成形することによって、原料成分を混合してペレットに粗成形したり、予め調製したマスターバッチを用いて混合物を調製する等の成分調整工程を行うことなく、原料混合物を溶融混練して射出成形を行うことができる。そのため、成分調整工程における加熱によって、ポリ乳酸等の必須成分が変質することなく、良好な品質の部材を得ることができ、また、コスト的に有利である。
また、前記射出成形機は、シリンダー内に混練機構を有するスクリューを備え、前記スクリューにより前記混合物を混合および混練するものが好ましい。
シリンダー内に混練機構を有するスクリュー部を備える射出成形機を用いることによって、特に、高せん断力を有する混練機構を備えるスクリューを備える射出成形機によって、シリンダー内に供給された被混練対象物に大きなせん断力を加えて各成分を分散・混合して均一な混練を促進させるとともに、シリンダー内における溶融混練物の滞留時間を調整して、十分な溶融および混練作用を施すことができる。そのため、ペレットに粗成形したり、マスターバッチを用いる等の成分調整工程を行うことなく、原料混合物を直接、溶融混練して射出成形を行うことができる。
本発明の電子機器用透明部材は、特に、配置する箇所および求められる機能、例えば、裏側の機器、材料等を視認可能にする機能等に応じて透明性が要求されるとともに、難燃性および耐衝撃性に優れることが求められる、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ機器に用いられる排紙トレー、給紙トレー、あるいは原稿トレー等の透明部材として好適である。
本発明の電子機器用透明部材は、透明性を有するとともに、電子機器に要求される難燃性および耐衝撃性を有する。特に、本発明の電子機器用透明部材として、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ機器における排紙トレー、給紙トレー、あるいは原稿トレー等の部材として有用である。
また、本発明の電子機器用透明部材は、化石資源を原料とせず、植物由来の原料で製造されるためカーボンニュートラルな素材であるポリ乳酸を主材とするため、地球温暖化の防止に有効である。また、焼却時には燃焼熱量が低く、自然界に廃棄された場合にも、最終的に微生物等によって分解されるため、環境への負荷を低減することができる。
次に、本発明の電子機器用透明部材について、詳細に説明する。
本発明の電子機器用透明部材は、ポリ乳酸、ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび難燃剤を必須成分とする樹脂組成物で形成されるものである。
本発明で用いられるポリ乳酸は、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーである。また、本発明で用いられるポリ乳酸は、その一部が、L−乳酸またはD−乳酸と、他のモノマー単位とを含むポリ乳酸共重合体であってもよい。他のモノマー単位としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、およびカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。このような他のモノマー単位は、ポリ乳酸共重合体を構成する全モノマー単位の0〜30モル%の含有割合であることが好ましく、さらに0〜10モル%であることが好ましい。
このポリ乳酸は、公知の方法に従って製造することができ、例えば、乳酸の直接重合、乳酸の環化体であるラクチドの開環重合などによって製造することができる。モノマーとして用いられる乳酸は、トウモロコシやジャガイモなどから得られるデンプンを糖化し、さらに乳酸菌で発酵させて製造することができる。
また、ポリ乳酸は、変性されたものでもよく、例えば、耐熱性および機械的特性を向上させる目的で、無水マレイン酸、エポキシ化合物、アミン等によって変性されたものでもよい。
このポリ乳酸は、実質的に成形加工が可能であれば、その分子量および分子量分布は特に制限されないが、重量平均分子量が、通常、35000以上であることが好ましく、さらに好ましくは50000以上である。なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート換算の分子量をいう。
本発明で用いられるポリ(メチル)アクリル酸メチル(以下、「PMMA」と略す)は、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルの単独重合体、もしくはこれらのアクリル酸メチルとメタクリル酸メチルの共重合体、またはこれらの1種もしくは2種と、他の単量体との共重合体である。他の単量体としては、例えば、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸とフェノール類とのエステル;ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸と芳香族アルコールとのエステル等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
本発明で用いられるPMMAは、前記の単独重合体または共重合体等を1種単独でまたは2種以上を含む混合物である。
本発明の電子機器用透明部材を構成する素材の必須成分である難燃剤は、樹脂に配合することによって、その樹脂の燃焼速度の低下または抑制といった難燃効果を発揮する化学物質である。この難燃剤は、特に限定されず、常用のものを用いることができる。例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。これらの中でも、樹脂との複合時や成型加工時に熱分解してハロゲン化水素が発生して加工機械や金型を腐食させたり、作業環境を悪化させたりすることがなく、また、焼却廃棄時にハロゲンが気散したり、分解してダイオキシン類等の有害物質の発生等によって環境に悪影響を与える可能性が少ないことから、リン含有難燃剤およびケイ素含有難燃剤が好ましい。
リン含有難燃剤としては、特に限定されることはなく、常用のものを用いることができる。例えば、リン酸エステル、リン酸縮合エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物が挙げられる。
リン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどを挙げることができる。
リン酸縮合エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの芳香族リン酸縮合エステル等を挙げることができる。
また、リン酸、ポリリン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン等が挙げられる。
また、前記以外にも、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)などの含ハロゲンリン酸エステル、また、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドを挙げることができる。
これらのリン含有難燃剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのリン含有難燃剤の中でも、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートおよびリン酸縮合エステルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明で用いられるケイ素含有難燃剤は、式:RmSi(4-m)/2(mは1以上の整数、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基である)で表される構造単位を主構成単位とする二次元または三次元構造の有機ケイ素化合物;ポリジメチルシロキサン、またはポリジメチルシロキサンの側鎖または末端のメチル基が、水素原子、置換または非置換の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基で置換または修飾されたもの、いわゆるシリコーンオイル、または変性シリコーンオイルが挙げられる。置換または非置換の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基、またはトリフロロメチル基等が挙げられる。これらのケイ素含有難燃剤は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。このケイ素含有難燃剤として、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルおよびシリコーンパウダーが好ましい。
また、本発明において、前記のリン含有難燃剤またはケイ素含有難燃剤以外に、他の難燃剤を、必要に応じて用いることができる。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、スルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、フッ素系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛などの無機系難燃剤を用いることができる。これらの他の難燃剤は、1種で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の電子機器用透明部材において、ポリ乳酸、PMMAおよび難燃剤の含有割合は、前記ポリ乳酸を25〜75質量部、ポリ(メチル)アクリル酸メチルを30〜75質量部および前記難燃剤を0.1〜30質量部の割合であることが好ましい。
また、本発明の電子機器用透明部材は、前記のポリ乳酸、PMMAおよび難燃剤以外に、本発明の目的を阻害しない範囲で、成形性、耐熱性、難燃性等の各種特性を改善する目的で、他の成分を含んでいてもよい。例えば、前記ポリ乳酸およびPMMA以外のポリマー、強化材、核剤、可塑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーン)などを配合してもよい。さらに、染料や顔料を含む着色剤などを添加することもできる。
前記ポリ乳酸およびPMMA以外のポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーのいずれも用い得るが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。ポリ乳酸以外のポリマーの具体例としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリウレタン、芳香族および脂肪族ポリケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、熱可塑性澱粉樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、AAS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタン、MS樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂などを挙げることができる。また、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ジエンゴム(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合させたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエンまたはイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴムなども挙げられ、更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、あるいは各種の平均粒径(樹脂組成物中における)を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体なども使用することができ、さらにシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。これらのポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
強化材としては、熱可塑性樹脂の機械的特性(耐衝撃性、高温時における成形品の変形防止)を強化するために配合される、繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維および硼素繊維などの無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、マニラ麻、亜麻、リネン、絹、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙およびウールなどの有機繊維状強化材;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土などの板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材の中でも、ポリ乳酸のカーボンニュートラルな性質および生分解性を生かすという観点からは天然繊維や再生繊維がさらに好ましい。
また、前記強化材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、カップリング剤などで表面被覆または集束処理されていてもよい。
また、本発明の電子機器用透明部材が強化材を含む場合、その含有量は、ポリ乳酸100質量部に対して、3〜50質量部程度が好ましく、10〜30質量部程度がさらに好ましい。
核剤は、成形性および耐熱性の向上に有効であり、特に制限されず、ポリマーの核剤として配合されるものを用いることができる。この核剤としては、無機系核剤と有機系核剤がある。無機系核剤としては、例えば、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。
有機系核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩、および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどを挙げることができる。これらの無機系核剤および有機系核剤は、1種単独でも2種以上を併用して用いてもよい。
また、本発明の電子機器用透明部材において、透明性および難燃性を維持しながら、所定の成形性で所要の形態に成形するために、可塑剤を含有してもよい。用いられる可塑剤は、特に限定されず、ポリマーの成形に常用されるものを用いることができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジンなどの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロックおよび/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、および末端エーテル変性化合物などが挙げられる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール等が挙げられる。
本発明の電子機器用透明部材に可塑剤を含有させる場合、その含有量は、ポリ乳酸100質量部に対して0.01〜5質量部の割合が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1質量部の割合である。
本発明の電子機器用透明部材は、衝撃強度が、アイゾッド衝撃強度で2.7〜5kJ/m2であり、好ましくは3〜5kJ/m2である。本発明において、アイゾッド衝撃強度は、JIS K7110(ASTM D−256)に準拠して、射出成形にて成形した試験片(縦64×横12×厚さ3.2mm)に、入射角45±0.5°先端R0.25±0.05mmのノッチを入れた後、23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調整した後、アイゾッド衝撃試験機によって測定される値である。アイゾッド衝撃強度が2.7kJ/m2未満であると、十分な耐衝撃性を発揮できず、例えば、本発明の電子機器用透明部材が複写機等のトレイである場合、収納部からトレイを引き出す際に割れてしまう虞がある。
また、本発明の電子機器用透明部材は、例えば、前記排紙トレイ等の部材では、背後の紙の有無を目視で簡便に認識することができることから、400nm〜760nmの波長域における光線透過率が40%以上、好ましくは60%以上であるものである。
本発明の電子機器用透明部材は、前記ポリ乳酸、PMMAおよび難燃剤、ならびにその他必要に応じて配合される各種の添加剤を、直接、射出成形機に供給して、所要の形状に成形することによって製造することができる。用いられる射出成形機としては、シリンダー内に供給された被混練対象物に高せん断力を加えて各成分を分散・混合して均一な混練を促進させるとともに、シリンダー内における溶融混練物の滞留時間を調整して、十分な溶融および混練作用を施すことができる混練機構を備えるスクリューを備えるものが用いられる。この混練機構としては、例えば、スクリューの途中に、ピン・突起、ロータ、バリアなどの高剪断能を発揮する部分を設け、その部分を通過する被溶融混練物に大きな剪断力を与え、被溶融混練物を均質に溶融させるものを用いることができる。例えば、高分散効果を発揮するダルメージ部を有するスクリュー(特開平5−237913号公報、特公平6−73897号公報、特公平6−73898号公報等)、また、特開平6−91726号公報、特開2000−33615号公報等に記載されたものが挙げられる。前記ダルメージ部を有するスクリューは、例えば、フルフライトスクリューのスクリュー先端部にスクリュー軸方向に同じ長さをもったフィンをスクリュー回転方向にならべた形態を有するものである。
さらに、射出成形時のシリンダ温度は、ポリ乳酸の融点または流動開始温度以上であることが必要である。成形温度が低すぎると成形体にショートが発生したりして成形が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎると生分解性ポリエステル樹脂が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生する虞がある。
以下、本発明の実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
実施例1〜3
ポリ乳酸(PLA:三井化学(株)、H−100)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA:三菱レイヨン(株)、VH001)、およびトリフェニルホスフェート(TPP)を、表2に示す配合割合で混合し、得られた混合物を、シリンダー温度220℃に設定した二軸混練押出機(池貝鉄工(株)製、PCM30−25)に供給し、ペレットを作製した。得られたペレットを、射出成形機((株)井元製作所製、半自動射出成形機)に供給して、シリンダー温度220℃、金型温度30℃で、厚さ2mmの平板(20×80mm)状の試験片を成形した。
実施例4
トリフェニルホスフェートの代わりに、ケイ素含有難燃剤(Siオイル:信越化学工業(株)、KF56)を用い、各成分の配合割合を表2に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして、試験片を作成した。
実施例5
ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、およびトリフェニルホスフェートの配合割合を表2に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして、試験片を作成した。
比較例1〜4
ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、およびトリフェニルホスフェートの配合割合を表2に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして、試験片を作成した。
実施例1〜5、および比較例1〜4で得られた試験片について、下記の方法にしたがって、光線透過率、アイゾッド衝撃強度およびペレットブロッキングを測定または評価した。結果を表2に示す。
光線透過率
厚さ2mmの平板について、分光光度計を用いて、400nmの波長における光線透過率を測定した。
アイゾッド衝撃強度
JIS K7110(ASTM D256)に準拠して、射出成形にて成形した試験片に、入射角45±0.5°先端R0.25±0.05mmのノッチを形成し、23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調整した後、アイゾッド衝撃試験機によって衝撃強度を測定した。
ペレットブロッキング
ポリ乳酸、PMMAおよび難燃剤の混合物を80℃で乾燥後、混合物のブロッキングの有無を観察した。
Figure 2006328190

Claims (8)

  1. ポリ乳酸、ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび難燃剤を含み、アイゾッド衝撃強度が2.7〜5kJ/m2、400nm〜760nmの波長域における光線透過率が40%以上である電子機器用透明部材。
  2. 前記ポリ乳酸を25〜75質量部、ポリ(メチル)アクリル酸メチルを30〜75質量部および前記難燃剤を0.1〜30質量部の割合で含む請求項1に記載の電子機器用透明部材。
  3. 前記難燃剤が、リン含有難燃剤およびケイ素含有難燃剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1または請求項2に記載の電子機器用透明部材。
  4. 前記リン含有難燃剤が、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートおよびリン酸縮合エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の電子機器用透明部材。
  5. 前記ケイ素含有難燃剤が、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルおよびシリコーンパウダーから選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の電子機器用透明部材。
  6. 前記ポリ乳酸、前記ポリ(メチル)アクリル酸メチルおよび前記難燃剤を含む混合物を、直接、射出成形機のシリンダー内に供給し、溶融混練して射出成形してなる請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子機器用透明部材。
  7. 前記射出成形機は、シリンダー内に混練機構を有するスクリューを備え、前記スクリューにより前記混合物を混合および混練した後、射出成形されてなる請求項6に記載の電子機器用透明部材。
  8. 複写機に用いられる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電子機器用透明部材。
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