JP2007204656A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた成形性および耐熱性に加え優れた難燃性を有する乳酸系樹脂組成物および成形品を提供する。
【課題手段】乳酸系樹脂(A)と、熱可塑性ポリエステル樹脂、澱粉、変性澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、芳香環を有するホスホン酸金属塩と、縮合リン酸エステルとを含む樹脂組成物。

Description

本発明は、樹脂組成物及びそれを用いた樹脂成形品に関する。
熱可塑性樹脂は比較的安価で軽量、耐蝕性や加工性に優れていることから、今日では機械部品、精密部品、電気・電子機器部品、日用雑貨類、工業部品、繊維などその用途展開は多岐にわたっている。
近年、従来の熱可塑性樹脂の特徴に加え、微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される微生物崩壊性の樹脂が広く市場に展開されてきている。微生物崩壊性樹脂は自然界に廃棄前は耐蝕性を有するが、廃棄後は自然界の微生物により最終的に水と二酸化炭素にまで分解される。よって微生物崩壊性樹脂は、従来の難分解性の高分子樹脂と比較して自然循環型の素材であり、環境負荷軽減の観点から今後益々の需要増加が見込まれている。
非石化資源を原料とした代表的な微生物崩壊性樹脂であるポリ乳酸は、優れた透明性や加工性でフィルムや繊維に加え家電製品等にその用途を拡大している。しかしポリ乳酸樹脂は、自然環境への安全性の面では優れているが、重要な実用特性の一つである難燃性は十分なものではなかった。特に家電製品の用途では微生物崩壊性樹脂を使用する事で環境性能の向上が期待されるが、家電製品の筐体として使用するためには日本工業規格(JIS)やUL(Underwriter Laboratory)規格に定められている難燃規格を満たす必要がある。
一般的に熱可塑性樹脂に難燃性を付与するには有機ハロゲン化合物や無機化合物、有機リン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物などが用いられている。これらの中で優れた難燃効果を付与するのは、有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物であるが、ハロゲン含有難燃剤は成型加工時に熱分解してハロゲン化水素を発生し加工機械や金型を腐食させたり、成形品の焼却廃棄時にダイオキシン等の有害物質を発生する可能性が懸念されている。また、代表的な無機化合物系難燃剤としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムがあるが、ポリエステル系樹脂に使用する際には含有する加熱により発生する水分を抑制する加工条件の設定が必要であり、また充分な難燃効果を発現させるには成形品中に相当量を含有させる必要があり、成形品の機械物性低下や加工性の悪化が起こる。
更に、ポリ乳酸は結晶性樹脂であるが結晶化速度が遅いため、例えば射出成形において成形金型を結晶化可能な温度に設定し、長時間アニーリングすることにより結晶化させる等により寸法精度や強度を調整する等の所作が必要である為、品質のばらつきや生産工程の増加によるコスト上昇等が、乳酸系樹脂の普及を妨げる大きな要素となっていた。
この様な問題を解決すべく、特許文献1では微生物崩壊性が考慮されていない。
また、特許文献2では結晶化剤としてワックスが開示されている。しかし、難燃性については特に考慮されていない。特許文献3では、難燃剤として赤リン、無機リン化合物、有機リン化合物、窒素化合物、水酸化物が、結晶化剤としてp−t−ブチル安息香酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物や乳酸カルシウム等が開示されているが、結晶化の効果が不充分である。特許文献4では、酸化マグネシウム等の金属塩、金属水酸化物、赤りん等のりん系化合物が開示されているが、結晶化については考慮されていない。特許文献5では、ポリエチレンテレフタレートと芳香族ポリエステルと赤リンと結晶化促進剤等による難燃性と寸法安定性に優れる難燃性電子部品が紹介されているが、微生物崩壊性による環境負荷低減については考慮されていない。特許文献6では、生分解性のあるポリエステルと強化材料および充填材料と結晶化促進剤等からなる成形適性と難燃性などを有する射出成形品が開示されているが、結晶化の効果が不充分であった。また、特許文献7ではポリ乳酸に対する難燃性の付与が開示されているが、結晶化についての具体的な所作が示されていなかった。
昭和48−090348号公報 特開平11−106628号公報 特開2004−161790号公報 特開2005−162871号公報 特開2001−302895号公報 特開2004−331967号公報 特開2004−190025号公報
本発明の目的は、優れた成形性および耐熱性に加え優れた難燃性を有する乳酸系樹脂組成物および成形品を提供することである。
本発明は、乳酸系樹脂(A)と、熱可塑性ポリエステル樹脂、澱粉、変性澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、芳香環を有するホスホン酸金属塩と、一般式(1)で示される縮合リン酸エステルとを含むことを特徴とする樹脂組成物に関する。
一般式(1):
Figure 2007204656
(式中、R1〜R12はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基、Yは直接結合またはC1〜C3のアルキレン基、−S−、−SO2 −、−O−、─CO−もしくは−N=N−である2価の結合基、nは0または1を、mは0から4の整数を示す。)、
本発明により、優れた成形性及び耐熱性に加え優れた難燃性を有する乳酸系樹脂組成物および成形品を得る事ができる。すなわち、本発明の組成物は、高い難燃性を要望される電気、電子分野の筐体や部品等に使用できる非ハロゲン系樹脂組成であり、既存の材料と比較して環境配慮が高く、また結晶化が促進されるので成形サイクルが短縮できると共に得られた成形品の耐熱性は優れている。
<乳酸系樹脂(A)>
本発明で用いられる乳酸系樹脂(A)は、ポリ乳酸ホモポリマーの他、ポリ乳酸コポリマーを含む。また、ポリ乳酸ホモポリマー及び/又はポリ乳酸コポリマーを主体とするブレンドポリマーであっても良い。
乳酸系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、GPC分析によるポリスチレン換算で5万〜50万が好ましく、10万〜25万が更に好ましい。重量平均分子量が5万未満では実用上必要な物性が得られない場合があり、一方、重量平均分子量が50万を超えると、成形性不良になり易い場合がある。
また、乳酸系樹脂(A)におけるL−乳酸単位及びD−乳酸単位の構成モル比L/Dは、100/0〜0/100のいずれであっても良いが、高い融点を得るにはL−乳酸またはD−乳酸のいずれかの単位を75モル%以上、更に高い融点を得るにはL−乳酸またはD−乳酸のいずれかの単位を90モル%以上含むことが好ましい。
ポリ乳酸コポリマーは、乳酸モノマー又はラクチドと共重合可能な他の成分とが共重合されたものである。他の成分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等及びこれらの構成成分より成る各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
ジカルボン酸の例としてコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
多価アルコールの例としてビスフェノールにエチレンオキサイドを付加反応させたものなどの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、リメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテルグリコール等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸の例としてグリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、その他特開平6−184417号公報に記載されているもの等が挙げられる。
ラクトンとしてグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−又はγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
本発明で用いられる乳酸系樹脂(A)は、従来公知の方法で合成されるものである。すなわち特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集第44巻、3198−3199頁に記載のような乳酸モノマーからの直接脱水縮合、又は乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって合成することができる。
直接脱水縮合を行う場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いても良い。また、開環重合を行う場合においてもL−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、meso−ラクチド、又はこれらの混合物いずれのラクチドを用いても良い。
ラクチドの合成、精製及び重合操作は、例えば米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出願第261572号明細書、PolymerBulletin,14,491−495(1985)及びMakromol Chem, 187, 1611−1628 (1986)等の文献に様々に記載されている。
この重合反応に用いる触媒は特に限定されるものではなく、公知の乳酸重合用触媒を用いることができる。例えば乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等のスズ系化合物、粉末スズ、酸化スズ; 亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物; テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物; ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物; 三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物; 酸化ビスマス(III) 等のビスマス系化合物; 酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム系化合物等を挙げることができる。
これらの中でも、スズ又はスズ化合物からなる触媒が活性の点から特に好ましい。これらの触媒の使用量は、例えば開環重合を行う場合、ラクチドに対して0.001〜5重量%程度が好ましい。
重合反応は上記触媒の存在下、触媒種によって異なるが、通常100〜220℃の温度で行うことができる。また、特開平7−247345号公報に記載のような2段階重合を行うことも好ましい。
本発明において、乳酸系樹脂(A)は、樹脂組成物においては基材樹脂として、乳酸系樹脂成形品においては希釈樹脂として用いられる。
<樹脂(B)>
本発明における樹脂(B)は、熱可塑性ポリエステル樹脂、澱粉、変性澱粉からなる群から1種以上選択されたものである。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂の他、芳香族ポリエステル、微生物または植物より合成されたポリエステル樹脂等が挙げられる。
澱粉または変性澱粉としては、とうもろこし、米、芋、馬鈴薯、麦等から得られる澱粉、またはその澱粉に天然油脂等を共重合させたもの、あるいは澱粉を主成分としてラクトース、グルコース等の糖類、糖蜜、カゼイン等の微生物の摂取し好適な有機物質で修飾されたものが挙げられる。
樹脂(B)の例として、具体的には市販された微生物崩壊性樹脂等が挙げられる。例えば昭和高分子社製や日本触媒社製のポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、三井化学社製、カーギル社製や島津製作所社製のポリ乳酸、ダイセル化学社製のポリカプロラクトン、モンサント社製のポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(P(3HB−3HV))やポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB))やポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))、三菱ガス化学社製のユーペック(ポリエステルポリカーボネート)、日本コーンポール社製変性澱粉樹脂等が挙げられる。
本発明において樹脂組成物中に含まれる乳酸系樹脂(B)の量は、50重量%〜1重量%が好ましく、これにより、乳酸系樹脂用樹脂組成物を得る際に、乳酸系樹脂(B)の結晶化速度が乳酸系樹脂(A)と実質的に同程度であれば乳酸系樹脂(B)を多く含有できる。結晶化速度が実質的に速い場合は、相対的に乳酸系樹脂(A)含有量を多くする事が可能できる。
<芳香環を有するホスホン酸金属塩>
本発明においては、芳香環を有するホスホン酸金属塩を乳酸系樹脂の結晶化剤として用いる。芳香環を有するホスホン酸金属塩における芳香環としては、フェニル基が好ましい。具体例としてフェニルホスホン酸、2−メトキシフェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、4−エチルフェニルホスホン酸、2−イソプロピルフェニルホスホン酸、3−ニトロフェニルホスホン酸、4−ニトロフェニルホスホン酸、2−メチル−4−ニトロフェニルホスホン酸、3−メチル−5−ニトロフェニルホスホン酸、2−クロロ−5−メチルフェニルホスホン酸、4−クロロフェニルホスホン酸、4−ブロモフェニルホスホン酸、2−ヨードフェニルホスホン酸、2−フルオロフェニルホスホン酸等が挙げられる。
芳香環を有するホスホン酸金属塩における金属としては、周期率表の3Aから4B族の元素であることが好ましい。更に2価の金属元素が好ましく、銅、亜鉛、コバルト、鉄がより好ましい。銅、亜鉛が最も好ましい。これらは1種、または2種以上の併用が可能である。特にフェニルホスホン酸銅は、高い耐熱性と疎水性を持つため熱可塑性樹脂との加工性が良好であり、また安価に合成できるため好ましい。
本発明の樹脂成形品における芳香環を有するホスホン酸金属塩の含有量は0.01〜50重量%である。この範囲であれば、乳酸系樹脂の結晶化を促進させることができる。0.01重量%未満では、結晶化ピーク温度や結晶化熱量は確認できるものの再現性があまりない上冷却時間も長くなり成形性が良好でない。より好ましくは0.01〜30重量%であり、0.01〜10重量%の範囲が特に好ましい。
<縮合リン酸エステル>
縮合リン酸エステルの具体例としては、例えば、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ハイドロキノンビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジクレジル)ホスフェート、ハイドロキノンビス(ジクレジル)ホスフェート、下記一般式(II)で表されるビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、下記一般式(III)で表されるレゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、下記一般式(IV)で表されるハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェートおよびこれらの縮合物があげられ、特にレソルシノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェートが、熱安定性に優れかつ低揮発性で好ましい。市販品としては、大八化学工業株式会社製PX−200が挙げられる。縮合リン酸エステル量は、組成物の総重量に対して0.001〜60重量%の範囲が望ましく、加工性と難燃性のバランスから特に10〜30重量%の範囲が好ましい。
Figure 2007204656
Figure 2007204656
Figure 2007204656
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、架橋剤等の通常プラスチックの加工の際に常用されている添加剤を加える事が出来る。また、使用し得る着色剤に特に制限はなく、例えばカーボンブラックアゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン、又はメチン系等の各種有機顔料等が挙げられる。
さらに本発明における樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌・抗カビ剤、他の核形成剤等の各種添加剤が配合されていても良い。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物における基材樹脂としては、乳酸系樹脂(A)と樹脂(B)の組み合わせである。更にこれらの樹脂以外の樹脂も必要に応じて添加することができる。
本発明の樹脂組成物は、基材樹脂と、芳香環を有するホスホン酸金属塩とを配合し、エクストルーダー、ニーダー、ロールミル、バンバリミキサー等の混練機を用いて得られる。
本発明の樹脂組成物は、成形品製造の際に希釈樹脂(乳酸系樹脂(A))と混合して成形されるいわゆるマスターバッチであってもよいし、また、そのままの組成で成形されるコンパウンドであってもよい。
本発明の樹脂組成物の形状は特に規定しないが、マスターバッチとして使用される場合は共に混合される希釈樹脂の形状と同一であれば加工時の分離発生防止などの点から好ましい。
<樹脂成形品>
本発明の樹脂成形品は、樹脂組成物がマスターバッチの場合は、成形品製造の際に希釈樹脂として乳酸系樹脂(A)と混合して成形される。また、コンパウンドの場合はそのままの組成で成形される。どちらの場合でも、樹脂組成物中の樹脂(B)の量は、成形品の結晶促進効果を妨げない範囲で設定できる。一般に射出成形による樹脂成形品は、成形品を成形するときに成形金型を結晶化可能な温度に設定し、一定時間アニーリングすることによって結晶化させている。樹脂が結晶化したか否かは、走査型示差熱量計(DSC)における発熱ピーク(結晶化ピーク)の有無により分かる。結晶化ピークや結晶化熱量が認められない場合は、結晶化が起こっていないと考えられる。本発明においては、成形品の組成におけるDSCの結晶化ピーク温度が90〜130℃、更に100〜115℃が好ましい。また、金型内の装填時間は20〜300秒、好ましくは40〜90秒である。20秒未満では結晶化が不充分で、300秒以上では成形サイクルが長くなり不経済である。
本発明における結晶化ピーク温度及び結晶化熱量は、走査型示差熱量計(Seiko Instruments Inc社製、DSC−6200)で測定した値である。更に詳しくは、3mgのペレットサンプルを30℃/分で20〜220℃まで昇温し、さらに1分間保持してサンプルを均質化した後、10℃/分の速度で50℃まで降温させ、その過程において結晶化ピーク温度及び結晶化熱量を測定した値である。
成形品の成形方法は、一般のプラスチックと同様の射出成形、押し出し成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形、圧縮成形等、公知の方法が挙げられる。
成形品の具体例としては機械部品、精密部品、電気・電子機器部品、日用雑貨類、工業部品、繊維、容器、キャップ、フィルム、テープ等が挙げられる。これらは積層構造を有していても良い。更に詳しくは自動車のダッシュボード、コンソール、ドア内張り、ピラー、開閉ハンドルノブ、フロアカーペット、シートカバー等の内装材、バンパー、ドア開閉ハンドルノブ、給油口フタ、フェンダー、ドアミラー、マッドガード等の外装品、弁当箱等が挙げられる。
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例においる乳酸系樹脂(A)、樹脂(B)、および芳香環を有するホスホン酸金属塩、縮合リン酸エステル、それぞれの製造元と商品名を以下に示す。
乳酸系樹脂(A);三井化学(株)製ポリ乳酸「レイシアH−100、レイシアH−400」
樹脂(B);昭和高分子製ポリブチレンサクシネート「ビオノーレ1001」
昭和高分子製ポリブチレンサクシネート・アジペート「ビオノーレ3001」
日本コーンスターチ社製変性澱粉「コーンポールF3A」
芳香環を有するホスホン酸金属塩;
・東洋インキ製造(株)「フェニルホスホン酸銅試作品、フェニルホスホン酸亜鉛試作品」
縮合リン酸エステル;
・大八化学製「レソルシノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート10%(PX200)」
・大八化学製「ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート」( CR−741C)
・旭電化製「レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート」(アデカスタブPFR)
1.樹脂組成物の製造
(実施例1−9)
表1に示した乳酸系樹脂(A)、樹脂(B)、芳香環を有するホスホン酸金属塩、縮合リン酸エステルを、総量100重量%として均一混合し、二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM30;スクリュ径約30mm、L/D約42)を用い、スクリュ回転数250rpmにて溶融混練して、樹脂組成物を得た。溶融混練の際の設定温度は、200℃で行った。
Figure 2007204656
(比較例1−6)
表2に示した成分を用いて、同様にして樹脂組成物を得た。
Figure 2007204656
2.評価
得られた組成物の「難燃性」「成形性」「耐熱性」を次の手順に従って評価し表3、表4に纏めた。
Figure 2007204656
Figure 2007204656
<成形品の製造>
得られた樹脂組成物を60℃の熱風乾燥機で12時間乾燥し、射出成形機によりUL94垂直燃焼試験片を成形した。
・射出成形機;
東芝機械社製 IS75E 成形温度=200℃、金型設定温度105℃、射出一次設定圧力=60%、冷却固化時間1分間
・UL94垂直燃焼試験片;
厚さ=1/8インチ(約3.2mm)
<UL94垂直燃焼試験>
UL94垂直燃焼試験方法に準拠して実施した。
<成形性>
射出成形用金型からの成形品の脱型状態を目視評価した。
良好:脱型が容易
不良:脱型しない、または脱型するが成形不良
<成形品の耐熱性>
得られたUL94垂直燃焼試験片を、槽内温度85℃の熱風オーブン中にそれぞれ重ねて1時間静置した後、接触面の付着状態を観察し評価した。
良好:付着しない(成形時、充分結晶化された場合、耐熱性が向上して溶着が少ない)
不良:付着する(成形時、結晶化が不充分な場合、耐熱性が向上せず溶着が著しい)

Claims (3)

  1. 乳酸系樹脂(A)と、熱可塑性ポリエステル樹脂、澱粉および変性澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、芳香環を有するホスホン酸金属塩と、一般式(1)で示される縮合リン酸エステルとを含むことを特徴とする樹脂組成物。
    一般式(1):
    Figure 2007204656
    (式中、R1〜R12はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基、Yは直接結合またはC1〜C3のアルキレン基、−S−、−SO2 −、−O−、─CO−もしくは−N=N−である2価の結合基、nは0または1を、mは0から4の整数を示す。)
  2. 芳香環を有するホスホン酸金属塩の金属が、銅、亜鉛、コバルト、鉄から選ばれる1種以上である請求項1の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の樹脂組成物からなる成形品。
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