JP2005139441A - 射出成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 難燃性に優れ、耐衝撃性、耐熱性にも優れた射出成形体を提供する。
【解決手段】乳酸系樹脂(A)、シランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物(B)、および、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)からなる混合物であって、成分(A)、(B)、(C)の合計中に占める成分(B)の割合が15〜40質量%であり、成分(A)、(B)、(C)の合計中に占める成分(C)の割合が10〜40質量%である射出成形体を製造すると、UL94に基づく難燃性がV−2以上、アイゾット衝撃強度が5kJ/m2以上、荷重たわみ温度が50℃以上の射出成形体を得ることができる。

Description

本発明は、優れた難燃性、耐衝撃性、および、耐熱性を有する射出成形体に関するものである。
プラスチックは今や生活と産業のあらゆる分野に浸透し、全世界の年間生産量は約1億トンにも達している。しかし、その大半が使用後廃棄され、これが地球環境を乱す原因の一つとして認識されている。そのため、枯渇性資源の有効活用が近年重要視されるようになり、再生可能資源の利用が重要な課題となって来ている。
現在、その解決策として注目されている手段の一つが、植物原料(生分解性)プラスチックの利用である。植物原料プラスチックは、非枯渇資源を利用したものであるため、プラスチック製造時における枯渇性資源の節約を図ることができるだけでなく、優れたリサイクル性を備えている。その中でも特に、乳酸系樹脂は、澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、しかも透明性・剛性・耐熱性等に優れていることから、ポリスチレンやABSなどの代替材料として、家電、OA機器、自動車部品等の射出成形分野において注目される材料である。
家電、OA機器、自動車部品等の用途においては、火災防止のために難燃性が要求されるが、乳酸系樹脂は、ポリスチレンやABSなどと同様、燃焼し易い材料であるため、これらの用途に用いる場合には難燃剤を配合するなどの難燃対策を施す必要がある。
従来、ポリスチレンやABS等の場合には、ハロゲン系難燃剤、特に臭素系の難燃剤を配合する難燃対策が採られることが多かったが、ハロゲン系難燃剤を配合すると、燃焼時にダイオシン類のような有害ガスが発生する場合があり、廃棄物焼却処理やサーマルリサイクルの際の安全性の面で課題があった。
かかる観点から、有害ガスを発生しない環境調和型の難燃剤として注目されているのが「金属水酸化物」である。
例えば、特許文献1などには、生分解性プラスチック原料よりなるペレットに水酸化アルミニウム、或いは、水酸化マグネシウムを30〜50wt%配合することにより難燃性を付与する方法が開示されている。しかし、金属水酸化物を難燃剤として生分解性プラスチックに配合すると、金属水酸化物が破壊の開始点となって耐衝撃性を低下させることが明らかになってきた。
特許文献2及び特許文献3には、生分解性を有する有機高分子化合物に難燃系添加剤を配合することにより難燃性を付与する手法が開示されているが、耐衝撃性は十分でなく、実施可能な技術には足りないものであった。
特許文献4には、生分解性難燃剤と生分解性を有する有機高分子化合物からなる難燃性生分解性樹脂組成物が開示されているが、かかる発明において提供される樹脂組成物の難燃性はUL94の基準においてHBを満足するものであり、家電、自動車用途等で広く用いるには難燃性は不十分であった。
特許文献5には、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、およびポリヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも1種の核酸関連物質を難燃剤として配合する手法が開示されているが、耐衝撃性に関しての記載はなく、耐衝撃性の乏しいポリ乳酸を主原料とする材料を家電、自動車等の用途に使用するには十分な技術ではなかった。
また、耐衝撃性の改良に関しては、例えば特許文献6において、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルとしてポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネート/アジペート共重合体などを配合する手段が開示されている。しかし、金属水酸化物を配合した系において耐衝撃性を改良するためには、これらの脂肪族ポリエステルを多量に配合する必要があるため、それに起因する射出成形体の軟質化(弾性率低下)及び耐熱性の低下が生じ、耐熱性が必要とされる用途に用いることが難しい。その上、これら脂肪族ポリエステルが燃焼の起点となって難燃性を低下させることが分ってきた。
特開平8−252823 特開2003−192925 特開2003−192929 特開2003−213149 特開2003−192921 特開平10−87976
このように、生分解性樹脂(例えば乳酸系樹脂)に金属水酸化物、あるいは、その他の難燃剤を配合することにより難燃性を付与する従来の方法では、難燃性は向上するものの、機械強度(特に耐衝撃性、耐熱性)の著しい低下を生じるため、難燃性、耐衝撃性、および、耐熱性の全てを兼ね備えた射出成形体を提供することは非常に困難であった。
そこで本発明は、難燃性と共に、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えた射出成形体を提供せんとするものである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、効果の高い本発明を完成するに至った。
本発明は、乳酸系樹脂(A)、シランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物(B)、および、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)の混合物を含有する樹脂組成物からなる射出成形体であって、
成分(A)、(B)、(C)の合計中に占める成分(B)の割合が15〜40質量%であり、成分(A)、(B)、(C)の合計中に占める成分(C)の割合が10〜40質量%であることを特徴とする射出成形体を提供するものである。
成分(B)、すなわちシランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物(B)の金属水酸化物として、水酸化アルミニウムを使用することを提案する。水酸化アルミニウムは他の金属水酸化物と比較してコスト面に優れ、また、より低温で高い吸熱反応を生じるため乳酸系樹脂の難燃化に適した難燃剤を提供することができる。
本発明はさらに、成分(B)の金属水酸化物として、平均粒径が0.1μm〜5μmである金属水酸化物を配合することを提案する。平均粒径が0.1μm〜5μmである金属水酸化物を配合することで、耐衝撃性の低下を最小限に抑えつつ射出成形体に難燃性を付与することができる。
本発明はさらに、射出成形体を形成する樹脂組成物100質量部に対して、カルボジイミド化合物を0.5〜10質量部配合することを提案する。カルボジイミド化合物を配合することで、乳酸系樹脂の耐久性をさらに向上させることができ、高い耐久性が必要とされる用途へ使用することができる。
このように、乳酸系樹脂と、シランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物とに、乳酸系樹脂及びジオール・ジカルボン酸の共重合体を配合することにより、難燃性、耐熱性を損なうことなく射出成形体の耐衝撃性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る射出成形体は、乳酸系樹脂(A)と、シランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物(B)と、乳酸系樹脂及びジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)との混合物を含有する樹脂組成物からなる射出成形体である。
[乳酸系樹脂(A)]
本実施形態に用いられる乳酸系樹脂には、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの二種類以上の組合せからなる混合体を用いることができる。
本実施形態に用いられる乳酸系樹脂のDL構成比は、L体:D体=100:0〜90:10であるか、若しくはL体:D体=0:100〜10:90であるのが好ましく、より好ましくはL体:D体=99.5:0.5〜94:6であるか、若しくはL体:D体=0.5:99.5〜6:94である。かかる範囲外では、部品の耐熱性が得られにくく、用途が制限されることがある。
乳酸系樹脂の代表的なものしては、三井化学社製「レイシア」シリーズ、カーギル・ダウ社製「NatureWorks」シリーズなどがあげられる。
また、本実施形態に用いられる乳酸系樹脂は、乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
ここで、乳酸系樹脂に共重合される「α―ヒドロキシカルボン酸」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられ、乳酸系樹脂に共重合される「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等が挙げられる。
乳酸系樹脂の重合法としては、縮重合法、開環重合法、その他の公知の重合法を採用することができる。
例えば、縮重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、或いはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持った乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。この際、ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸とからなるDL−ラクチドを用いることができ、これらを必要に応じて混合して重合することにより所望の組成、結晶性をもつ乳酸系樹脂を得ることができる。
耐熱性をさらに向上させるなどの必要に応じ、乳酸系樹脂の本質的な性質を損なわない範囲で、すなわち乳酸系樹脂成分を90wt%以上含有する範囲で、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸、及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを加えてもよい。
さらにまた、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを加えてもよい。
本実施形態に用いられる乳酸系樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲は、5万から40万、より好ましくは10万から25万である。5万以上の分子量であれば好適な実用物性が期待でき、40万以下であれば、溶融粘度が高すぎて成形加工性が劣るという問題もない。
[金属水酸化物(B)]
本実施形態では、シランカップリング剤によって表面処理が施された金属水酸化物(水和金属化合物)を用いることが重要である。
水酸化物の表面をシランカップリング剤で表面処理することによって、機械強度の低下抑制、難燃性の向上、さらには、樹脂との混練時や射出成形体の成型時における分子量の低下を抑制することができる。
金属水酸化物の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物、酸化スズ水和物、フロゴパイトなどが挙げられる。この中でも、難燃効果およびコストの面から水酸化アルミニウムを用いるのが特に好ましい。
シランカップリング剤の種類としては、エポキシシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン、アミノシラン、イソシアネートシランなどが挙げられるが、分散性及び難燃性付与効果の点から、エポキシシラン、ビニルシランを用いることが特に好ましい。
また、上記金属水酸化物の平均粒径は0.1μm〜5μmの範囲にあることが好ましく、0.5μm〜3μmの範囲にあることがより好ましい。平均粒径が0.1μm〜5μmの範囲内にある金属水酸化物を配合することにより、機械強度の低下を最小限に抑えることができる。
また、上記の金属水酸化物に加えて難燃助剤を配合することで、さらに難燃効率を向上させることができる。
難燃助剤の具体的な例としては、スズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硝酸鉄、硝酸銅、スルフォン酸金属塩などの金属化合物、赤リン、高分子量リン酸エステル、フォスファゼン化合物などのリン化合物、メラミンシアヌレートなどの窒素化合物、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、フッ素シリコーンなどのシリコーン化合物、あるいは、硝酸アンモニウム等の硝酸化合物等があげられる。
[乳酸系樹脂及びジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)]
本実施形態では、射出成形体の耐衝撃性を向上させるために、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体を配合することが重要である。乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体を配合することにより、難燃性を損なうことなく耐衝撃性を付与することができる。
乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体との合計中に占める乳酸系樹脂の割合としては、耐熱性の点から、下限は10質量%、特に20質量%であることがより好ましく、耐衝撃性付与効果の点から、上限は80質量%、特に70質量%であることがより好ましい。
共重合体の構造としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、何れの構造でもよいが、特に耐衝撃性改良効果、透明性の点からブロック共重合体、グラフト共重合体が好ましい。ランダム共重合体の具体例としては、三菱化学社製「GS−Pla」シリーズが挙げられ、ブロック共重合体、または、グラフト共重合体の具体例としては、大日本インキ化学工業社製「プラメート」シリーズがあげられる。
その製造方法に関しては特に限定されないが、ジオールとジカルボン酸を脱水縮合した構造を持つポリエステル、又はポリエーテルポリオールを、ラクチドと開環重合或いはエステル交換反応させて得る方法や、ジオールとジカルボン酸を脱水縮合した構造を持つポリエステル、又はポリエーテルポリオールを、乳酸系樹脂と脱水・脱グリコール縮合や、エステル交換反応することによって得る方法があげられる。
上記ジオール成分としては、特に限定されないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖状ジオール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール等の分岐鎖状ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールがあげられる。
上記ジカルボン酸成分としては、特に限定はされないが、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の直鎖状ジカルボン酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、エチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、2−エチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3−エチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、2−エチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−エチルアジピン酸、メチルグルタル酸等の分岐状ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、ビスフェノールA、ビフェノール等の芳香族ジカルボン酸があげられる。
また、上記乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体は、イソシアネート化合物や、カルボン酸無水物を用いて所定の分子量に調整することが可能である。ただし、加工性、耐久性の面から、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体の重量平均分子量は5万〜30万の範囲が好ましく、10万〜25万の範囲がより好ましい。
(成分(B)(C)の配合割合)
上記成分の配合量に関しては、乳酸系樹脂(A)、シランカップリング処理を施された金属水酸化物(B)、及び、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)の合計中に占める成分(B)の割合は、10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましい。10質量%を下回ると、耐衝撃性の改良効果が乏しくなる。一方、40質量%を上回ると、成形体の軟質化を生じ、耐熱性を損なうことがある。
他方、乳酸系樹脂(A)、シランカップリング処理を施された金属水酸化物(B)、及び、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)の合計中に占める成分(C)の割合は、15〜40質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。15質量%を下回ると、十分な難燃性を付与することが出来なくなる。一方、40質量%を上回ると、機械強度の著しい低下を生じることがある。
(その他の配合成分)
本実施形態の射出成形体に耐加水分解性を付与するために、成分(A)、成分(B)及び成分(C)のほかにカルボジイミド化合物を配合してもよい。
カルボジイミド化合物の配合量としては、本実施形態における射出成形体を形成する樹脂組成物100質量部に対して、カルボジイミド化合物を好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部配合することで耐久性を付与することができる。0.1質量部を下回る場合、耐加水分解性を付与することが出来ない可能性がある。また、10質量部を上回る場合、射出成形体の軟質化を生じ、耐熱性が低下することがある。
添加するカルボジイミド化合物の種類としては、芳香族カルボジイミド化合物を配合することが好ましい。脂肪族カルボジイミド化合物でも耐加水分解性付与効果は十分であるが、芳香族カルボジイミドの方がより効果的に耐加水分解性を付与することができる。
カルボジイミド化合物は、下記一般式の基本構造を有するものがあげられる。
−(N=C=N−R−)n−
(上記式において、nは1以上の整数を示す。Rはその他の有機系結合単位を示す。これらのカルボジイミド化合物は、Rの部分が、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかでもよい。)
通常nは1〜50の間で適宜決められる。
具体的には、例えばビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチルージイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、および、これらの単量体があげられる。該カルボジイミド化合物は、これらいずれかの単独、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
また、本実施形態の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、染料などの添加剤を処方することができる。
(製造方法)
次に、本実施形態における射出成形体の成形方法について説明する。
上記乳酸系樹脂、シランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体、および、その他添加剤などの混合は、同一の射出成形機にそれぞれの原料を投入して行うことができる。射出成型機を用いて原料を直接混合して射出成形する方法、あるいは、ドライブレンドした原料を二軸押出機を用いてストランド形状に押出してペレットを作製した後、再度射出成形機を用いて射出成形体を作製する方法がある。
いずれの方法においても、原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、均一に混合させるためには後者を選択することが好ましい。本実施形態においては、例えば、乳酸系樹脂、シランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体、および、その他添加剤を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製する。乳酸系樹脂はL−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比によって融点が変化すること、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体と乳酸系樹脂との混合の割合によって混合樹脂の融点が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。実際には160〜230℃の温度範囲が通常選択される。
上記方法にて作製したペレットを十分に乾燥して水分を除去した後、以下の方法で射出成形を行う。
本実施形態の射出成形体は、特に限定するものではないが、代表的には熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法及び射出圧縮成形法等の射出成形法によって得ることができる。その他目的に合わせて、上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用する事もできる。
射出成形装置は、一般射出成形機、ガスアシスト成形機及び射出圧縮成形機等と、これらに用いられる成形用金型及び付帯機器、金型温度制御装置及び原料乾燥装置等から構成される。成形条件は射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度を170〜210℃の範囲で成形する事が好ましい。
射出成形体を非晶状態で得る場合は、成形サイクル(型閉〜射出〜保圧〜冷却〜型開〜取出)の冷却時間を短くする点から、金型温度はできるだけ低温とする事が好ましい。一般的には15〜55℃でチラーを用いることも望ましい。しかし、後結晶化時の成形体の収縮及び反り、変形を抑える点ではこの範囲でより高温とするのが有利である。
また、射出成形によって得られる成形体にさらなる耐熱性を付与するために、成形時の金型内で、或いは金型から取り出した後に結晶化処理を行うことが有効である。
生産性の面から、射出成形体を形成する樹脂の結晶化速度が遅い場合は、金型から取り出した後に結晶化処理を行うことが好ましく、結晶化速度が速い場合は、金型内で結晶化を行うことが好ましい。
金型内で結晶化させる場合、加熱した金型内に溶融樹脂を充填した後、一定時間金型内で保持するのが好ましい。金型温度としては、80〜130℃、好ましくは90〜120℃、冷却時間としては、1〜300秒、好ましくは5〜30秒である。かかる温度、冷却時間にて金型内で結晶化処理を行うことで、本実施形態における射出成形体の耐熱性をさらに向上させることができる。
また、金型から成形体を取り出した後に結晶化させる場合、熱処理温度は、60〜130℃の範囲が好ましく、70〜90℃の範囲がより好ましい。熱処理温度が60℃より低い場合、成形工程において結晶化が進行せず、130℃より高い場合は、成形体の冷却時において変形や収縮を生じる。加熱時間は組成、および熱処理温度によって適宜決められるが、例えば70℃の場合は15分〜5時間熱処理を行うのが好ましい。また、130℃の場合は10秒〜30分熱処理を行うのが好ましい。
結晶化の方法としては、事前に温度の上げられた金型に射出成形し、金型内で結晶化させる方法や、射出成形後に金型の温度を上げ金型内で結晶化させる方法、あるいは、射出成形体を非晶状態で金型から取り出した後、熱風、蒸気、温水、遠赤外線ヒーター、IHヒーターなどで結晶化させる方法があげられる。このとき、射出成形体を固定しなくてもよいが、成形体の変形を防止するために、金型、樹脂型などで固定することが好ましい。また、生産性を考慮に入れて、梱包した状態で熱処理を行うこともできる。
上記結晶化処理の時間を短縮するために、結晶化促進剤を配合することができる。上記結晶化促進剤の具体例としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、含水ホウ酸カルシウム、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、セピオライト、ウィスカー、ガラス繊維、ガラスフレーク、金属粉末、ビーズ、シリカバルーン、シラスバルーンなどの無機系結晶化促進剤、あるいは、ソルビトール誘導体、オレフィン系ワックス、安息香酸塩、グリセリンなどの有機系結晶化促進剤が挙げられる。また、無機系結晶化促進剤と有機系結晶化促進剤を併用することも可能である。
上記結晶化促進剤の配合量としては、本実施形態における射出成形体を形成する樹脂組成物100質量部に対して0.1〜5質量部配合することが好ましく、0.5〜3質量部配合することがより好ましい。かかる範囲内で結晶化促進剤を配合することにより、耐衝撃性を損ねることなく結晶化速度の促進効果を付与することが可能である。これにより、金型内での速やかな結晶化が可能となり、成形サイクルを延長することなく耐熱性に優れた射出成形体を成形することができる。また、金型外で結晶化処理を行う場合においても、熱処理時間の大幅な短縮が可能となる。
以下に実施例を示すが、本発明の範囲がこれら実施例により何ら制限を受けるものではない。
先ずは、実施例の評価方法について説明する。
(1)難燃性
長さ135mm×幅13mm×厚さ3mmの試験片を用いて、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94垂直燃焼試験の手順に基づき、n=5にて燃焼試験を実施した。各試験片における1回目、2回目の接炎時における残炎時間(t1+t2)の5本の試験片の合計時間をTとし、Tが250秒以内のものをV−2規格合格とした。
(2)耐衝撃性
JIS K−7110に基づき、2号A試験片(ノッチ付き、長さ64mm×幅12.7mm×厚さ4mm)を作製し、東洋精機製作所製JISL−Dを用いて23℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を行った。
アイゾット衝撃強度の判定は、市販されているABS樹脂の耐衝撃性を基準として、5kJ/m2以上を合格とした。
(3)耐熱性
JIS K−7191に基づき、長さ120mm×幅11mm×厚さ3mmの試験片を作製し、東洋精器社製S−3Mを用いて荷重たわみ温度(HDT)の測定を行った。測定は、エッジワイズ方向、試験片に加える曲げ応力1.80MPaの条件で行った。
荷重たわみ温度の判定は、夏場に変形を生じないことを基準に、50℃以上を合格とした。
(4)耐久性
85℃、80%RHの条件で湿熱試験を行い、100時間経過後の分子量保持率を以下の式により算出した。
分子量保持率(%)=(湿熱試験後の重量平均分子量/湿熱試験前の重量平均分子量)×100
分子量保持率に関しては70%以上を実用基準とした。これは、70%を下回るあたりから急激に強度の劣化が進むためである。
なお、重量平均分子量の測定は、以下の方法で行った。
GPC(東ソー株式会社製HLC−8120)を用いて、溶媒クロロホルム、溶媒濃度0.2wt/vol%、溶液注入量200μL、溶媒流速1.0mL/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、乳酸系樹脂を主成分とする樹脂組成物の重量平均分子量を算出した。この際用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2000000、670000、110000、35000、10000、4000、600である。
(実施例1)
乳酸系樹脂(A)としてカーギル・ダウ社製NatureWorks4032D(L−乳酸/D−乳酸=98.6/1.4、重量平均分子量20万)を用い、エポキシシランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物(B)として、日本軽金属社製エポキシシランカップリング処理BFO13ST(水酸化アルミニウム、平均粒径:1μm)を用い、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)として、大日本インキ化学工業社製プラメートPD-150(ポリ乳酸とプロピレングリコール・セバシン酸の共重合体、ポリ乳酸:50モル%、プロピレングリコール:25モル%、セバシン酸:25モル%、重量平均分子量10万)を用いた。
これらNatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比65:25:10の割合でドライブレンドした後、三菱重工製40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて180℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。得られたペレットを東芝機械製射出成形機IS50E(スクリュー径25mm)を用い、長さ200mm×幅3mm×厚さ3mm又は4mmの板材を射出成形した。
主な成形条件は以下の通りである。
1)温度条件:シリンダー温度(195℃) 金型温度(20℃)
2)射出条件:射出圧力(115Pa) 保持圧力(55MPa)
3)計量条件:スクリュー回転数(65rpm) 背圧(15MPa)
次に、射出成形体をベーキング試験装置(大栄科学精器製作所製DKS-5S)内に静置し、70℃で2時間熱処理を行った。その後、上記射出成形によって得られた板材(射出成形品)を用いて、燃焼性、耐衝撃性、および、耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比55:25:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比45:25:30の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比65:15:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比45:35:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005139441
(比較例1)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比70:10:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13STを、質量比75:25の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比70:25:5の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150を、質量比25:25:50の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
金属水酸化物として日本軽金属社製ステアリン酸処理BF-013S(水酸化アルミニウム、平均粒径:1μm)を配合した。NatureWorks4032D、ステアリン酸処理BF-013S、プラメートPD-150を、質量比55:25:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体の代わりに、昭和高分子社製ビオノーレ3003(ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、分子量20万)を配合した。NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、ビオノーレ3003を、質量比55:25:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2005139441
(実施例6)
カルボジイミド化合物として、ラインケミー社製スタバクゾールI(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を配合した。NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150、スタバクゾールIを、質量比55:25:20:2の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
(実施例7)
カルボジイミド化合物として、ラインケミー社製スタバクゾールP(ポリカルボジイミド)を用いた。NatureWorks4032D、エポキシシランカップリング処理BFO13ST、プラメートPD-150、スタバクゾールPを、質量比55:25:20:5の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2005139441
表1から明らかなように、実施例1〜5の射出成形品は、UL94に基づく難燃性がV−2、アイゾット衝撃強度が5kJ/m2以上、荷重たわみ温度が50℃以上であり、難燃性、耐衝撃性及び耐熱性の全てにおいて優れていることが分かった。
一方、表2から明らかなように、比較例1及び5の射出成形品は、耐衝撃性、耐熱性には優れるものの、難燃性は規格外であり、難燃性に劣るものであった。比較例2、3の射出成形品は難燃性、耐熱性には優れているものの、アイゾット衝撃強度が5kJ/m2未満であり、耐衝撃性に劣るものであった。比較例4の射出成形品は、難燃性、耐衝撃性には優れるものの、荷重たわみ温度が50℃未満であり、耐熱性に劣るものであった。比較例6の射出成形品は耐熱性には優れているものの、難燃性は規格外、アイゾット衝撃強度が5kJ/m2未満であり、難燃性、耐衝撃性に劣ったものであった。このように、比較例1〜6の射出成型体は、難燃性、耐衝撃性、耐熱性の1つ以上において実用不可能なものであった。
さらに、表3から明らかなように、本発明における射出成形品を形成する樹脂組成物にカルボジイミド化合物を配合することにより、耐久性を付与することができることがわかった。
(実施例8)
乳酸系樹脂(A)としてカーギル・ダウ社製NatureWorks4032D(L−乳酸/D−乳酸=98.6/1.4、重量平均分子量20万)を用い、ビニルシランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物(B)として、日本軽金属社製ビニルシランカップリング処理BFO13STV(水酸化アルミニウム、平均粒径:1μm)を用い、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)として、大日本インキ化学工業社製プラメートPD-150(ポリ乳酸とプロピレングリコール・セバシン酸の共重合体、ポリ乳酸:50モル%、プロピレングリコール:25モル%、セバシン酸:25モル%、重量平均分子量10万)を用いた。
これらNatureWorks4032D、ビニルシランカップリング処理BFO13STV、プラメートPD-150を、質量比65:25:10の割合でドライブレンドした後、三菱重工製40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて180℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。得られたペレットを東芝機械製射出成形機IS50E(スクリュー径25mm)を用い、長さ200mm×幅3mm×厚さ4mmの板材を射出成形した。
主な成形条件は以下の通りである。
1)温度条件:シリンダー温度(195℃) 金型温度(20℃)
2)射出条件:射出圧力(115Pa) 保持圧力(55MPa)
3)計量条件:スクリュー回転数(65rpm) 背圧(15MPa)
次に、射出成形体をベーキング試験装置(大栄科学精器製作所製DKS-5S)内に静置し、70℃で2時間熱処理を行った。その後、上記射出成形によって得られた板材(射出成形品)を用いて、燃焼性、耐衝撃性についての評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例9)
NatureWorks4032D、ビニルシランカップリング処理BFO13STV、プラメートPD-150を、質量比55:25:20の割合でドライブレンドした後、実施例8と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例10)
NatureWorks4032D、ビニルシランカップリング処理BFO13STV、プラメートPD-150を、質量比45:25:30の割合でドライブレンドした後、実施例8と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例11)
NatureWorks4032D、ビニルシランカップリング処理BFO13STV、プラメートPD-150を、質量比65:15:20の割合でドライブレンドした後、実施例8と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例12)
NatureWorks4032D、ビニルシランカップリング処理BFO13STV、プラメートPD-150を、質量比45:35:20の割合でドライブレンドした後、実施例8と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2005139441
(実施例13)
カルボジイミド化合物として、ラインケミー社製スタバクゾールI(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を配合した。NatureWorks4032D、ビニルシランカップリング処理BFO13STV、プラメートPD-150、スタバクゾールIを、質量比55:25:20:2の割合でドライブレンドした後、実施例8と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例14)
カルボジイミド化合物として、ラインケミー社製スタバクゾールP(ポリカルボジイミド)を用いた。NatureWorks4032D、ビニルシランカップリング処理BFO13STV、プラメートPD-150、スタバクゾールPを、質量比55:25:20:5の割合でドライブレンドした後、実施例8と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2005139441
表4から明らかなように、金属水酸化物(B)として、ビニルシランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物を用いた実施例8〜14の射出成形品は、UL94に基づく難燃性がV−2、アイゾット衝撃強度が5kJ/m2以上であり、特に耐衝撃性に関しては、他の方法で表面処理を施した水酸化アルミニウムよりも向上していることが分かった。
また、表5から明らかなように、射出成形品を形成する樹脂組成物にカルボジイミド化合物を配合することにより、耐久性を付与することができることが確認された。


Claims (4)

  1. 乳酸系樹脂(A)、シランカップリング剤で表面処理を施された金属水酸化物(B)、および、乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体(C)の混合物を含有する樹脂組成物からなる射出成形体であって、
    成分(A)、(B)、(C)の合計中に占める成分(B)の割合が15〜40質量%であり、成分(A)、(B)、(C)の合計中に占める成分(C)の割合が10〜40質量%であることを特徴とする射出成形体。
  2. 成分(B)の金属水酸化物が、水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の射出成形体。
  3. 成分(B)の金属水酸化物の平均粒径が0.1μm〜5μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形体。
  4. 射出成形体を形成する樹脂組成物100質量部に対して、カルボジイミド化合物を0.5〜10質量部配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形体。



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