JP2004277497A - 生分解性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】乳酸系樹脂の生分解性を損わず、乳酸系樹脂の耐衝撃性及び耐熱性を改良した新たな生分解性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】▲1▼乳酸系樹脂、▲2▼ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、かつ、結晶融解熱量(ΔHm)が50J/g以上である脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)、▲3▼Tgが0℃以下であり、かつ、ΔHmが30J/g以下である脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)、▲4▼平均粒径が1〜5μmである無機フィラーを含有する生分解性樹脂組成物を提案する。この生分解性樹脂組成物は、通常の方法により成形して耐衝撃性及び耐熱性が共に優れた生分解性成形体を製造することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する樹脂組成物及びこれを成形してなる生分解性成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常のプラスチックは、自然環境中で長期にわたって安定であり、しかも嵩比重が小さいため、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なうなどの問題が指摘されていた。近年、環境問題の意識が高まるにつれ、このようなプラスチック製品に対しても、自然環境中に廃棄された際に経時的に分解・崩壊し、最終的に自然環境に悪影響を及ぼさない環境適性が求められるようになり、生分解性プラスチックの研究開発が盛んに行われている。
【0003】
生分解性プラスチックは、土壌中や水中で加水分解或いは生分解して徐々に崩壊・分解が進行し、最終的には微生物の作用により無害な分解物となるため、コンポスト(堆肥化)処理により容易に廃棄物処理することができる。
現在、実用化されている生分解性プラスチックとしては、乳酸系樹脂、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、およびこれらのブレンド体等があり、それぞれの固有の特徴に応じた用途開発が行われている。中でも、脂肪族ポリエステルは、幅広い特性と汎用樹脂に近い加工特性をもっているため広い利用用途が考えられ、中でも特に「乳酸系樹脂」は、トウモロコシや砂糖キビなどの植物から得られる乳酸を原料とする天然物由来の樹脂であり、しかも透明性、剛性、耐熱性等に優れているため、例えばフィルム包装材や射出成形分野などにおいて、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレートなどの代替材料として注目されている。
【0004】
しかし、このような乳酸系樹脂も、家電製品、自動車部品などの射出成形品に用いられるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等と比べると、耐衝撃性及び耐熱性に劣り、そのままではABS等の代替材料として利用することはできなかった。
【0005】
そこで従来、乳酸系樹脂の耐衝撃性を改良する手段として、特許文献1(特開平11−116784)等において、ポリ乳酸に脂肪酸エステルを添加、結晶化を行うことにより耐衝撃性を改良する方法が開示されている。
しかし、この方法では脂肪酸エステルが核剤として働き耐衝撃性を向上させる一方、可塑剤としても働くため、著しい耐熱性の低下を生じる。また、室温の弾性率が低下するため、硬さを要する用途には使用できないという課題を抱えていた。
【0006】
また、乳酸系樹脂の耐熱性を改良する方法として、特許文献2(特開平10−87976)等には、ポリ乳酸以外の融点が100〜250℃の脂肪族ポリエステルと結晶性SiOを配合することで結晶化を促進し、耐熱性を改良する手法が開示されている。
しかし、この方法によると、耐熱性は改良されるものの耐衝撃性は改良され難く、成形品の輸送時や使用時等に破損を生じる恐れがあり、実用上充分であるとは言い難かった。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−116784号公報
【特許文献2】
特開平10−87976号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、乳酸系樹脂が本来有している生分解性を損なうことなく、乳酸系樹脂の耐衝撃性及び耐熱性をともに改良してなる新たな生分解性樹脂組成物及び生分解性成形体を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、乳酸系樹脂、結晶融解熱量(ΔHm)が異なる二種類以上の脂肪族ポリエステル、及び無機フィラーを含有する新たな生分解性樹脂組成物を提案する。
【0010】
即ち、本発明の生分解性樹脂組成物は、下記▲1▼〜▲4▼を含有する生分解性樹脂組成物である。
▲1▼乳酸系樹脂
▲2▼ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、かつ、結晶融解熱量(ΔHm)が50J/g以上である脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)(以下「脂肪族ポリエステルA」とも言う。)
▲3▼Tgが0℃以下であり、かつ、ΔHmが30J/g以下である脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)(以下「脂肪族ポリエステルB」とも言う。)
▲4▼平均粒径が1〜5μmである無機フィラー
【0011】
上記生分解性樹脂組成物において、それぞれの配合割合は、▲1▼〜▲4▼の合計量に占める▲1▼の割合が45〜60質量%であり、▲1▼〜▲4▼の合計量に占める▲2▼の割合が15〜30質量%であり、かつ、▲1▼〜▲4▼の合計量に占める▲3▼及び▲4▼の割合が、▲2▼≧▲3▼≧▲4▼の関係を満たすのが好ましい。
【0012】
本発明の生分解性樹脂組成物は、通常の方法により成形して耐衝撃性及び耐熱性が共に優れた生分解性成形体を製造することができる。
即ち、脂肪族ポリエステルA(Tg0℃以下、ΔHm50J/g以上)を乳酸系樹脂に配合することにより、乳酸系樹脂の耐熱性を向上させ、成形時及び製品使用時等における熱変形を防止することができ、また、脂肪族ポリエステルB(Tg0℃以下、ΔHm30J/g以下)を乳酸系樹脂に配合することにより、乳酸系樹脂の耐衝撃性を向上させ、製品の輸送時及び使用時等における応力変形、破損を防止することができる。さらに、平均粒径が1〜5μmの無機フィラーを配合することにより、成形時における変形、結晶化時(即ち加熱時)における収縮や反り、使用時における経時的な寸法変化を抑制することができる。
【0013】
ところで、脂肪族ポリエステルは、成形体として比較的長期にわたり保管或いは使用していると、空気中の水蒸気や内部又は外部からの水分により加水分解を起こし、例えば機械物性の低下を招くなどの問題を抱えている。特に60℃、60%RH以上の高温多湿の雰囲気においては、加水分解が著しく、数時間から数週間で加水分解を起して使用できなくなることがある。
そこで、成形体の耐加水分解性を高めるべく、上記の生分解性樹脂組成物にカルボジイミドを配合するのが好ましく、その際、カルボジイミド化合物の配合量は、上記▲1▼〜▲4▼の合計量100質量部に対して0.5〜10質量部とするのが好ましく、特に0.5〜5質量部とするのが好ましい。
【0014】
また、本発明の生分解性樹脂組成物を成形して得られる生分解性成形体(特に射出成形体)は、更に60〜130℃の範囲で結晶化させることにより、耐熱性をより一層高めることができる。
【0015】
なお、本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に含める意を包含するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
本発明の生分解性樹脂組成物は、乳酸系樹脂と、結晶融解熱量(ΔHm)が異なる二種類以上の脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)と、無機フィラーとを含有する樹脂組成物である。
【0018】
(乳酸系樹脂)
本発明に用いられる乳酸系樹脂(「PLA」とも言う。)は、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、或いは、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの二種類以上の混合体であればよく、乳酸系樹脂のDL構成比は、L体:D体=100:0〜90:10、若しくはL体:D体=0:100〜10:90が好ましい。中でもL体:D体=99.5:0.5〜94:6、若しくはL体:D体=0.5:99.5〜6:94であるのがより好ましい。前記の好ましい範囲内であれば、部品の耐熱性が特に得られ易く、広範囲の用途に用いることができる。
【0019】
また、本発明に用いられる乳酸系樹脂は、上記いずれかの乳酸と、他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、また、脂肪族ジオールや脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
乳酸系樹脂に共重合される上記の「他のヒドロキシ−カルボン酸単位」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類などを挙げることができる。
乳酸系樹脂に共重合される上記「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができる。
また、乳酸系樹脂に共重合される上記「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸などを挙げることができる。
【0020】
さらに、耐熱性を向上させるなどの必要に応じ、少量共重合成分としてテレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用いて共重合させてもよい。
また、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを共重合させることもできる。
【0021】
乳酸系樹脂の重合法としては、縮重合法、開環重合法、その他の公知の重合法を採用することができる。例えば、縮重合法では、L−乳酸或いはD−乳酸或いはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持った乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用して乳酸系樹脂を得ることができる。この際、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成及び結晶性を有する乳酸系樹脂を得ることができる。
【0022】
本発明に用いられる乳酸系樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲は、5万から40万、より好ましくは10万から25万である。5万以上の分子量であれば好適な実用物性を発揮する。また、40万以下であれば溶融粘度が高過ぎることがなく良好な成形加工性を発揮する。
なお、乳酸系樹脂の代表的なものとしては、島津製作所製ラクティシリーズ、三井化学製レイシアシリーズ、カーギル・ダウ製Nature Worksシリーズなどが挙げられる。
【0023】
(脂肪族ポリエステル)
本発明で用いる脂肪族ポリエステル、即ち結晶融解熱量(ΔHm)が異なる二種類以上の脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)は、下記に説明する脂肪族ポリエステル等の中から選択して用いることができる。但し、下記の例に限定されるものではない。
また、本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、重量平均分子量1万〜50万、好ましくは5万〜30万、さらに好ましくは10万〜30万のポリマーとしての脂肪族ポリエステルであり、可塑剤として使用される低分子量の脂肪族ポリエステルとは区別される。両者の違いは、配合する乳酸系樹脂のガラス転移温度(Tg)の低下の有無に現れる。
【0024】
本発明で用いる脂肪族ポリエステルとしては、乳酸系樹脂を除く生分解性脂肪族ポリエステル、例えば、乳酸系樹脂を除くポリヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル、その他の芳香族脂肪族脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。
【0025】
上記の「ポリヒドロキシカルボン酸」としては、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体や共重合体を挙げることができる。
【0026】
上記の「脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル」としては、次に説明する脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類或いは2種類以上選んで縮合するか、或いは必要に応じてイソシアネート化合物等でジャンプアップして所望のポリマー(高分子)として得ることができる重合体を挙げることができる。
この際の「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を代表的に挙げることができ、上記の「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等を代表的に挙げることができる。
【0027】
上記の「環状ラクトン類を開環縮合した脂肪族ポリエステル」としては、環状モノマーであるε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等が代表的に挙げることができ、これらから1種類又はそれ以上を選択して重合することにより得ることができる。
【0028】
上記の「合成系脂肪族ポリエステル」としては、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピオンオキサイド等との共重合体等を挙げることができる。
【0029】
上記の「菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル」としては、アルカリゲネスユートロファスを始めとする菌体内でアセチルコエンチームA(アセチルCoA)により生合成される脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。この脂肪族ポリエステルは、主にポリ−β−ヒドロキシ酪酸(ポリ3HB)であるが、プラスチックとしての実用特性向上のために、吉草酸ユニット(HV)を共重合し、ポリ(3HB−CO−3HV)の共重合体にすることが工業的に有利である。一般的には、HV共重合比は0〜40%である。さらに長鎖のヒドロキシアルカノエートを共重合してもよい。
【0030】
上記の「芳香族脂肪族ポリエステル」としては、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジオール成分からなる生分解性を有する芳香族脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
この際、「芳香族ジカルボン酸成分」としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、「脂肪族ジカルボン酸成分」としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等を挙げることができ、「脂肪族ジオール成分」としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。なお、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分或いは脂肪族ジオール成分は、それぞれ2種類以上組合わせて用いることもできる。
本発明において、最も好適に用いられる芳香族脂肪族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、脂肪族ジカルボン酸成分がアジピン酸であり、脂肪族ジオール成分が1,4−ブタンジオールである芳香族脂肪族ポリエステルである。
なお、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからなる脂肪族ポリエステルは生分解性を有することが知られているが、芳香族脂肪族ポリエステルにおいて生分解性を発現させるためには芳香環の合間に脂肪族鎖が存在することが必要である。そのため、芳香族ジカルボン酸成分の組成割合は50モル%以下に抑えることが好ましい。
【0031】
更に、結晶融解熱量(ΔHm)が異なる二種類以上の脂肪族ポリエステルのうち、少なくとも一方は、(Tg)が0℃以下で、かつΔHmが50J/g以上の脂肪族ポリエステル(「脂肪族ポリエステルA」)であり、少なくとも他の一方は、(Tg)が0℃以下で、かつΔHmが30J/g以下である脂肪族ポリエステル(「脂肪族ポリエステルB」)である必要がある。
脂肪族ポリエステルAを配合することにより、成型時に非晶状態である乳酸系樹脂の弾性率を上げ、成形体の離型性、寸法安定性及び耐熱性を向上させることができ、製品成形時及び使用時等における熱変形を防止することができる。又、脂肪族ポリエステルBを配合することにより、乳酸系樹脂の特徴である硬くて脆い性質を改良し、耐衝撃性に優れた成形体を得ることができ、製品輸送時及び使用時等における応力変形、破損を防止することができる。
【0032】
脂肪族ポリエステルA(Tg0℃以下、ΔHmが50J/g以上)の具体例としては、例えばポリブチレンサクシネート(昭和高分子社製ビオノーレ1001、1003、1010など)などを挙げることができる。
脂肪族ポリエステルB(Tg0℃以下、ΔHmが30J/g以下)の具体例としては、例えばポリブチレンサクシネート/アジペート共重合体(昭和高分子社製ビオノーレ3001、3003、3010など)、ポリカプロラクトン(ダイセル化学社製セルグリーンP−H7)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合体(BASF社製Ecoflex)、テトラメチレンアジペート/テレフタレート共重合体(EasmanChemicals製EastarBio)などを挙げることができる。
ただし、いずれの脂肪族ポリエステルA,Bも、上記例示に限定されるものではない。
【0033】
(無機フィラー)
本発明に用いられる無機フィラーの具体例としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、含水ホウ酸カルシウム、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、セピオライト、ウィスカー、ガラス繊維、ガラスフレーク、金属粉末、ビーズ、シリカバルーン、シラスバルーン、有機系バルーンなどを挙げることができる。
上記無機フィラーの表面を、チタン酸、脂肪酸、シランカップリング剤などで処理することにより樹脂との接着性を向上させ、無機フィラーの配合効果を向上させることができる。
なお、2種類以上のフィラーを組合わせて混合して用いることもできる。
【0034】
本発明に用いる無機フィラーの平均粒径は、1〜5μmであることが必要であり、特に2〜4μmであることが好ましい。平均粒径が1μm以上であれば、フィラーが凝集することがなく衝撃強度を低下させることがない。その一方、平均粒径が5μm以下であれば、無機フィラーが破壊の開始点となって成形体の強度を低下させるようなことがなく、実用上好ましい。なお、本発明において、無機フィラーの平均粒径は、レーザー回折法により測定した値を示す。
【0035】
(配合割合)
本発明において、▲1▼乳酸系樹脂と、▲2▼Tg0℃以下、ΔHm50J/g以上の脂肪族ポリエステルAと、▲3▼Tg0℃以下、ΔHm30J/g以下の脂肪族ポリエステルBと、▲4▼無機フィラーとの配合割合は、次の割合とするのが好ましい。
即ち、乳酸系樹脂は、上記▲1▼〜▲4▼の成分の合計量に占める割合が45〜60質量%、特に50〜60質量%であるのが好ましい。45〜60質量%の範囲内であれば、寸法安定性と耐熱性の点で特に優れたものとなる。
脂肪族ポリエステルAは、上記▲1▼〜▲4▼の成分の合計量に占めるその割合が15〜30質量%、特に20〜25質量%であるのがより好ましい。15〜30質量%の範囲内であれば、成形体の離型性、寸法安定性、及び耐熱性の改良効果を充分に得ることができる。
脂肪族ポリエステルB及び無機フィラーの配合割合については、▲2▼≧▲3▼≧▲4▼の関係を満たすようにするのが好ましい。即ち、脂肪族ポリエステルB及び無機フィラーのいずれも、脂肪族ポリエステルAと同量か或いはそれよりも少なく、かつ無機フィラー以上に脂肪族ポリエステルBを配合するのが好ましい。無機フィラーよりも耐衝撃性を改良する脂肪族ポリエステルBをより多く配合することにより、他の場合(▲2▼≧▲4▼≧▲3▼、▲4▼≧▲2▼≧▲3▼、▲4▼≧▲3▼≧▲2▼)の場合に比べて、耐衝撃性改良効果をより一層高めることができる。なお、▲3▼≧▲2▼≧▲4▼或いは▲3▼≧▲4▼≧▲2▼となる場合は、耐衝撃性の著しい改良効果は見られるものの、成形体の軟質化を生じ、成型時における成形体の変形、結晶化時における変形、使用時における変形などを生じる可能性があるから、耐熱性と耐衝撃性を兼ね備えた樹脂組成物を提供するためには、▲2▼、▲3▼及び▲4▼の配合量が▲2▼≧▲3▼≧▲4▼の関係であることが好ましい。
より具体的には、合計100となるように▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼=50〜60:残り:5〜15:5〜15の範囲内で▲2▼≧▲3▼≧▲4▼となるように設計するのが好ましい。
【0036】
(カルボジイミド化合物)
本発明の生分解性樹脂組成物においては、耐加水分解性を高めるためにカルボジイミド化合物を配合するのが好ましく、その際、カルボジイミド化合物の配合量は、上記▲1▼〜▲4▼の成分の合計量100質量部に対して、0.5〜10質量部、特に0.5〜5質量部とするのが好ましい。0.5質量部以上であれば耐加水分解性改良効果を充分に発現する。また、10質量部以下であれば、カルボジイミド化合物のブリードアウトによる成形体の外観不良や、可塑化による機械物性の低下が起こることがなく、生分解性やコンポスト分解性が損なわれることもない。
【0037】
本発明で用いるカルボジイミド化合物は、下記一般式の基本構造を有するものがあげられる。
なお、下記一般式において、nは1以上の整数を示し、Rはその他の有機系結合単位を示す。これらのカルボジイミド化合物は、Rの部分が、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかでもよい。また、通常nは1〜50の間で適宜決められる。
【0038】
【化1】
Figure 2004277497
【0039】
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及びこれらの単量体があげられる。該カルボジイミド化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
(その他の配合成分)
本発明の効果を損なわない範囲で、その他、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、核剤、可塑剤等の添加剤を処方することができる。
【0041】
(生分解性樹脂組成物)
本発明の生分解性樹脂組成物は、射出成形法,射出圧縮成形法,押出成形法,ブロー成形法,プレス成形法,発泡成形法など、現在公知の任意の成形方法により成形することができ、生分解性、耐熱性及び耐衝撃性を備えた成形体、特に生分解性射出成形体を好適に製造することができる。
また、カルボジイミド化合物を配合することによって耐加水分解性を高めることができ、例えば家電製品、自動車部品、その他一般成形品として、従来の汎用樹脂からなる製品とともに利用することが可能となる。
また、得られた成形体を熱処理して結晶化(後結晶化)させることにより、生分解性成形体の耐熱性をより一層高めることができる。
【0042】
(製造方法)
次に、本発明の生分解性樹脂組成物の製造方法、並びに当該樹脂組成物から成形体、特に射出成形体を製造する方法について説明する。
なお、ここでは主に射出成形する場合について述べるが、その他の成形方法については公知の成形方法を採用すればよい。
【0043】
乳酸系樹脂、脂肪族ポリエステルA、脂肪族ポリエステルB及び無機フィラー、更に必要に応じてカルボジイミド化合物及びその他添加剤は、例えば射出成形機に各原料を投入して混合及び射出成形を行うことができる。具体的には、射出成型機を用いて原料を直接混合して射出成形する方法、或いは、ドライブレンドした原料を二軸押出機等を用いてストランド形状に押出すなどしてペレットを作製した後、再度射出成形機を用いて射出成形体を作製する方法などを採用することができる。いずれの方法においても、原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があり、均一に混合するためには後者を選択することが好ましい。後者の具体例としては、例えば乳酸系樹脂、芳香族脂肪族ポリエステル及び無機フィラーを充分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製するなどすればよい。その際、乳酸系樹脂の融点が、L−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比によって変化することや、芳香族脂肪族ポリエステルの混合の割合によって混合樹脂の融点が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。実際には100〜250℃の温度範囲が通常選択される。このように作製したペレットは十分に乾燥して水分を除去した後射出成形を行えばよい。
【0044】
射出成形の方法は、特に限定するものではない。代表的な例として、熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法、射出圧縮成形法等を挙げることができる。その他目的に合わせて、上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用することもできる。
この際、射出成形装置は、一般射出成形機、ガスアシスト成形機及び射出圧縮成形機等と、これらに用いられる成形用金型及び付帯機器、金型温度制御装置及び原料乾燥装置等とから構成されるのが一般的である。
成形条件は、射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度を170℃〜210℃の範囲で成形するのが好ましい。
【0045】
非晶状態の射出成形体を製造する場合は、成形サイクル(型閉〜射出〜保圧〜冷却〜型開〜取出)における冷却時間を短くする点から金型温度をできるだけ低温とするのが好ましい。一般的には15℃〜55℃に設定し、チラーを用いることも望ましい。しかし、後結晶化時の成形体の収縮及び反り、変形を抑える点などを考慮すると、この範囲の高温側、即ち35〜55℃に設定することが有利である。
【0046】
また、無機フィラーを用いると、その充填量が多くなるにしたがい成形品表面にフローマークが発生することがある。その場合には、射出速度を未充填系より低速とすることで対処する。L100mm×W100mm×t2mmのプレート金型を備えたスクリュー径25mmの射出成形機で射出成形したところ、タルク15質量%を含むポリ乳酸系樹脂では、射出速度30mm/sec以下とするとフローマークの無い成形体が得られた。ところで、未充填樹脂の場合は50mm/secでもフローマークは発生しなかった。
【0047】
また、ヒケが発生がしやすい場合には、保持圧力及び保持時間を充分に取ることが好ましい。保持圧力は30MPa〜100MPaの範囲に設定するのが好ましく、保持時間は成形体の形状や肉厚によって1sec〜15secの範囲で適宜設定すればよい。例えば肉厚2mmのプレート体を成形する場合であれば3sec前後に設定すればよい。
【0048】
金型内で結晶化させるためには、加熱した金型内に溶融樹脂を充填した後、一定時間金型内で保持するのが好ましい。この際、金型温度としては60℃〜130℃、好ましくは70℃〜90℃である。60℃以上であれば結晶化を短時間で行うことができサイクルをより短くすることができる。その一方、130℃以下であればリリース時の変形をより確実に抑えることができる。
【0049】
また、得られた成形体の耐熱性をさらに向上させるために、成形体を更に熱処理して結晶化(後結晶)させることが有効である。その際の熱処理温度は、60〜130℃の範囲が好ましく、70〜90℃の範囲がより好ましい。熱処理温度が60℃以上であれば、成形工程において結晶化を充分に進行させることでき、130℃以下であれば、成形体の冷却時における変形や収縮をより確実に抑えることができる。加熱時間は、組成や熱処理温度によって適宜決めるのが好ましく、一般的には70℃の場合は15分〜5時間熱処理を行い、また、130℃の場合は10秒〜30分熱処理を行うのが好ましい。
結晶化の方法としては、事前に温度が上げられた金型に射出成形し、金型内で結晶化させる方法、成形後に金型の温度を上げて金型内で結晶化させる方法、或いは成形体を非晶状態で金型から取り出した後、熱風、蒸気、温水、遠赤外線ヒーター、IHヒーターなどで結晶化させる方法等を挙げることができる。この際、成形体を固定しなくてもよいが、成形体の変形を防止するために、金型、樹脂型などで固定する方がより好ましい。また、生産性を考慮に入れて、梱包した状態で熱処理を行うこともできる。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に制限を受けるものではない。
ここでは先ず、実施例及び比較例の物性値の測定方法、算出方法、並びに評価方法について説明する。
【0051】
(1)結晶融解熱量(ΔHm)
成形体を5mmφの10mg程度の鱗片状に削り出し、パーキンエルマー製DSC−7を用いて、JIS−K7121に基づいて昇温測定を行い、得られたサーモグラムより結晶融解熱量(ΔHm)を読み取った。
【0052】
(2)耐衝撃性
JISK−7110に基づいて2号A試験片(ノッチ付き、L64mm×W12.7mm×t4mm)を作製し、東洋精機製作所製JISL−Dを用いて23℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を行った。アイゾット衝撃強度は、20kJ/mを実用基準として評価した。
【0053】
(3)耐熱性
JISK−7191に基づいて試験片(L120mm×W11mm×t3mm)の作製を行い、東洋精機製S−3Mを用いて荷重たわみ温度の測定を行った。測定は、エッジワイズ方向、試験片に加える曲げ応力1.80MPaの条件で行った。荷重たわみ温度は、55℃以上を実用基準として評価した。
【0054】
(4)寸法安定性
東芝機械製射出成形機IS50Eを用いて、図1に示す電卓型非晶成形体を製造した。この時の成形条件は、シリンダー温度195℃、金型温度25℃、射出圧力110MPa、射出時間1.5sec、保圧力80MPa、保持時間3.0sec、背圧10MPa、スクリュー回転数110rpmであった。
成形後、測定室内(温度23℃湿度50%RH)で成形体を状態調整し、図に示すX寸法とY寸法を測定し、その後、指定された加熱条件(温度及び時間)でアニール処理を実施した。ただし、アニール処理には恒温恒湿オーブンを用い、成形体に負荷のかからない状態で静置して行った。
アニール処理後、直ちに成形体を取り出し測定室内で状態調整を行った。24時間状態調整を行った後、再度XとYの寸法を測定し、アニール処理による収縮率を算出した。
測定には三次元測定機を用いた。
評価は、XとYの収縮率が共に1.0%未満であるものを記号「○」、XまたはYの収縮率のいずれかが1.0%以上のものを記号「△」、XとYの収縮率が共に1.0%以上であるものを記号「×」で示した。
【0055】
(5)肪族ポリエステル系生分解性樹脂の重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol%、溶液注入量200μl、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、乳酸系樹脂の重量平均分子量を算出した。用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2000000、430000、110000、35000、10000、4000、600である。
【0056】
(6)耐加水分解性
85℃、80%RHの条件で湿熱試験を行い、100時間経過後の分子量保持率を以下の式により算出した。分子量保持率は、70%以上を実用基準として評価した。
【0057】
分子量保持率(%)
=(湿熱試験後の重量平均分子量/湿熱試験前の重量平均分子量)×100
【0058】
【実施例1】
乳酸系樹脂として、カーギル・ダウ社製NatureWorks4031D(L−乳酸/D−乳酸=98.5/1.5、重量平均分子量20万)を用い、
脂肪族ポリエステルA(Tgが0℃以下。ΔHm50J/g以下)として、昭和高分子社製ビオノーレ1003(ポリブチレンサクシネート、ΔHm:58.0J/g、Tg:−30℃)を用い、
脂肪族ポリエステルB(Tg0℃以下、ΔHmが30J/g以下)として、BASF社製ECOFLEX(テレフタル酸24モル%、アジピン酸26モル%、1,4−ブタンジオール50モル%、ΔHm:21.0J/g、Tg:−30℃)を用い、
無機フィラーとして、日本タルク社製SG−95(タルク、平均粒径:2.5μm)を用い、
上記のNatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、SG−95を、質量比50:25:15:10の割合でドライブレンドした後、三菱重工製40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて180℃でコンパウンドし、得られた樹脂組成物をペレット形状にした。
【0059】
得られたペレットを、東芝機械製射出成形機 IS50E(スクリュー径25mm)を用いて射出成形し、L200mm×W30mm×t3mm、4mmの板材を製造した。主な成形条件は以下の通りである。
1)温度条件:シリンダー温度(195℃)、金型温度(20℃)
2)射出条件:射出圧力(115MPa)、保持圧力(55MPa)
3)計量条件:スクリュー回転数(65rpm)、背圧(15MPa)
【0060】
次に、得られた射出成形体を、ベーキング試験装置(大栄科学精器製作所製DKS−5S)内に静置し、70℃で3.5時間熱処理を行った。そして、耐衝撃性、耐熱性及び寸法安定性等の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0061】
【実施例2】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、SG−95を、質量比55:25:10:10の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
【0062】
【実施例3】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、SG−95を、質量比60:25:10:5の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】
【実施例4】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、SG−95を、質量比55:15:15:15の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
【0064】
【実施例5】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、SG−95を、質量比55:30:10:5の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
【実施例6】
無機フィラーとして、日本タルク社製ミクロエースL−1(タルク、平均粒径:4.9μm)を用い、NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、ミクロエースL−1を、質量比55:25:10:10の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
【実施例7】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、SG−95を、質量比40:25:20:15の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
【実施例8】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、及び、SG−95を質量比70:20:5:5の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004277497
【0069】
【比較例1】
NatureWorks4031D及びビオノーレ1003を、質量比80:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
【0070】
【比較例2】
NatureWorks4031D及びECOFLEXを、質量比80:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
【0071】
【比較例3】
NatureWorks4031D及びSG−95を、質量比80:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
【0072】
【比較例4】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003及びECOFLEXを、質量比55:25:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
【0073】
【比較例5】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003及びSG−95を、質量比55:25:20の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 2004277497
【0075】
【実施例9】
カルボジイミド化合物として、ラインケミー社製スタバクゾールP(ポリカルボジイミド化合物)を用い、NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、SG−95及びスタバクゾールPを、質量比55:25:10:10:1.0の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0076】
【実施例10】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、SG−95及びスタバクゾールPを、質量比55:25:10:10:1.5の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0077】
【実施例11】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、SG−95及びスタバクゾールPを、質量比55:25:10:10:2.0の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0078】
【実施例12】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、SG−95及びスタバクゾールPを、質量比55:25:10:10:3.0の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0079】
【実施例13】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、SG−95及びスタバクゾールPを、質量比55:25:10:10:4.5の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0080】
【実施例14】
NatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX、SG−95及びスタバクゾールPを、質量比55:25:10:10:5.0の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で射出成形品の作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0081】
【表3】
Figure 2004277497
【0082】
表1から明らかなように、実施例1〜6の射出成形体は、アイゾット衝撃強度が20kJ/m以上であり、荷重たわみ温度が55℃以上であり、しかも寸法安定性に優れていることが分かった。
また、表3から明らかなように、カルボジイミド化合物を添加した実施例9〜14の射出成形体は、高い分子量保持率を有することが分った。中でも、カルボジイミド化合物をNatureWorks4031D、ビオノーレ1003、ECOFLEX及びSG−95の合計100質量部に対して1.5〜4.5、中でも特に2.0〜3.0配合する場合が好ましいことが分った。
なお、実施例1〜14の射出成形体は、いずれも生分解性であるので、環境保護の観点からも優れたものである。
【0083】
他方、比較例1の射出成形体は、荷重たわみ温度は55℃以上であり、耐熱性には優れているものの、耐衝撃性及び寸法安定性に劣っていた。
比較例2の射出成形体は、荷重たわみ温度は55℃以上であり、耐熱性には優れているものの、寸法安定性に劣っていた。
これに対し、比較例3及び比較例5の射出成形体は、寸法安定性には優れているものの、いずれもアイゾット衝撃強度が20kJ/m未満であり耐衝撃性に劣っていた。
また、比較例4の射出成形体は、荷重たわみ温度が55℃未満であり、耐熱性及び寸法安定性に劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、各実施例品及び比較例品について、その寸法安定性を調べるために製作した電卓型非晶成形体の平面図であり、(b)はその正面図である。
【符合の説明】
1〜6 穴あき部

Claims (5)

  1. 下記▲1▼〜▲4▼の成分を含有する生分解性樹脂組成物。
    ▲1▼ 乳酸系樹脂
    ▲2▼ ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、かつ、結晶融解熱量(ΔHm)が50J/g以上である脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)
    ▲3▼ Tgが0℃以下であり、かつ、ΔHmが30J/g以下である脂肪族ポリエステル(乳酸系樹脂除く)
    ▲4▼ 平均粒径が1〜5μmである無機フィラー
  2. ▲1▼〜▲4▼の合計量に占める▲1▼の割合が45〜60質量%であり、▲1▼〜▲4▼の合計量に占める▲2▼の割合が15〜30質量%であり、かつ、▲1▼〜▲4▼の合計量に占める▲3▼及び▲4▼の割合が、▲2▼≧▲3▼≧▲4▼の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
  3. ▲1▼〜▲4▼の合計量100質量部に対して、カルボジイミド化合物を0.5〜10質量部配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物を成形してなる生分解性成形体。
  5. 請求項4記載の成形体を60〜130℃の範囲で結晶化させて得られる生分解性成形体。
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