JP2001172488A - 生分解性ポリエステル樹脂組成物とその用途 - Google Patents

生分解性ポリエステル樹脂組成物とその用途

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶化速度が速く、成形性に優れた生分解性
を有するポリエステル樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 この生分解性ポリエステル樹脂組成物
は、芳香族ジカルボン酸を必須構成単位として含む生分
解可能なポリマー(A)と脂肪族ポリエステル(B)と
を含んでなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性ポリエス
テル樹脂組成物とその用途に関する。詳しくは、成形加
工性と引き裂き性が改良された生分解性ポリエステル樹
脂組成物とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】生分解性ポリエステルとしては、従来よ
り、脂肪族および芳香族ポリエステルにおいて数多く知
られている。脂肪族ポリエステルとしては、一般に生分
解性が認められており、その特徴を生かして繊維、成型
品、シートやフィルムに使用できることが、特開平7−
11517号公報、特開平6−170941号公報など
に提案されている。一方、生分解性を有する芳香族ポリ
エステルは、例えば特表平5−507109号公報、特
表平10−508640号公報、特表平11−5001
57号公報などに開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、かねてより脂肪族ポリエステルの成形加工性に
ついて研究を行っていたところ、重大な問題点が2つあ
ることが見出された。第1番目として、脂肪族ポリエス
テルは、工業上の生産性の点から見ると、タックフリー
時間が長く成形性に劣ること。すなわち、射出成型時に
は、タックフリー時間が長いため金型内で十分な結晶化
が起きず製品の変形、表面外観の不良、最悪の場合は金
型から離型できないという問題があった。また、フィル
ムの成形、例えばインフレーションフィルムの成形にお
いては、ダイスから押し出され成形されたフィルムを巻
き取る際、タックフリー時間が長くフィルム同士が融着
する問題があった。
【0004】これらの問題に関しては、本発明者らはか
ねてより研究を重ねた結果、いくつかの知見が得られ、
その一つとして特開平8−120165号公報を提案し
た。特開平8−120165号公報は、結晶化速度が速
く、成形性に優れた生分解性を有するポリエステル樹脂
組成物を提供するものであった。しかし、この方法によ
りポリエステル樹脂の結晶化速度は速められたことは確
認されたものの、実際に成形を行うとこれだけでは不十
分であることが判明した。なお、本発明で言うタックフ
リー時間とは溶融状態の樹脂が冷却固化され、表面の粘
着性がなくなるまでの時間である。なお、測定法につい
ては後述する。
【0005】第2番目として、さらに脂肪族ポリエステ
ルは、耐熱性が悪く、加熱溶融して塑性加工する成型品
としての使用には問題を残していることが判明した。さ
らに、上記の成形加工性以外に、フィルムにしたときの
耐引き裂き性についても改良が望まれていた。例えば、
食料品店や飲食店からでる生ゴミをコンポスト化する
際、生分解性樹脂性のゴミ袋が使用されるが、魚の骨の
ような尖ったものが混じっているとゴミ袋を突き刺し、
裂けるという問題があった。一方、芳香族ジカルボン酸
を必須構成単位として含む生分解可能なポリマー(A)
自体は既に公知であるが、これら従来公知のポリマー
は、タックフリー時間が短く、成形性については実用上
問題はないものの、引張強度が十分でなかったり、さら
には芳香族ジカルボン酸を多く含むため土壌中などでの
生分解性が低く、特に河川での生分解性を想定した活性
汚泥中での生分解性は著しく悪いことが判明した。
【0006】また、比較的速い生分解速度を要求される
小規模のコンポスト化装置に対応するにはコンポスト中
での生分解に劣ることが判明した。芳香族ジカルボン酸
を必須構成単位として含む生分解可能なポリマー(A)
の生分解性を向上させるために芳香族ジカルボン酸成分
を減らすことも考えられるが、生分解性を満足させるほ
ど芳香族ジカルボン酸成分を減らすと融点の低下を招い
たり、結晶性に乱れが生じ、耐熱性や成形加工性が低下
してしまう問題が生ずる。したがって、本発明は、以上
のような状況に鑑みて、上記の従来の脂肪族ポリエステ
ル樹脂組成物の問題点を解決し、タックフリー時間が短
く耐熱性に優れ、成形性と耐引き裂き性の改良された新
規で有用な生分解性ポリエステル樹脂組成物とその用途
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結
果、芳香族ジカルボン酸を必須構成単位として含む生分
解可能なポリマー(A)と脂肪族ポリエステル(B)と
を含んでなる組成物を開発することにより、上記の目的
を達成した。したがって、本発明にかかる生分解性ポリ
エステル樹脂組成物は、芳香族ジカルボン酸を必須構成
単位として含む生分解可能なポリマー(A)と脂肪族ポ
リエステル(B)とを含んでなる。
【0008】本発明の樹脂組成物が成形性および耐引き
裂き性と生分解性を両立できた理由は、生分解性に優れ
る脂肪族ポリエステル(B)と成形性および耐引き裂き
性に優れる芳香族ジカルボン酸を必須構成単位として含
む生分解可能なポリマー(A)とを所定の比率で組成物
とすることにより、(A)成分と(B)成分が、所謂、
「海島構造」となるためであると考えられる。成形加工
時および成形物として使用している間は、(A)成分に
より成形性および耐引き裂き性に優れ、その使命を終
え、環境中やコンポスト中に放出されると、組成物中の
(B)成分が速やかに生分解する。一方、(B)成分が
生分解によりなくなることで微粒子となった(A)成分
は環境中に残るが、これも表面積が著しく増大した結
果、短時間で生分解すると考えられる。
【0009】該樹脂組成物のタックフリー時間は、3秒
〜30秒であることが好ましい。また、該樹脂組成物
は、下記式(I)で表される分子量保持率が0.8以上
であることが好ましい。 分子量保持率=X/Y ・・・(I) (上式において、Xは150℃、4時間加熱試験後の数
平均分子量、Yは加熱試験前の数平均分子量を表す。) 本発明にかかる成形体は、芳香族ジカルボン酸を構成単
位として含む生分解可能なポリマー(A)と脂肪族ポリ
エステル(B)とを含んでなる生分解性ポリエステル樹
脂組成物から得られる。
【0010】該成型体のプラスチックの引張試験(AS
TM−D882−90(A法))において引張速度10
00mm/分で測定したときの靭性が49N/mm2以上で
あることが好ましい。より好ましくは98N/mm2以上で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いる、芳香族ジカルボ
ン酸を必須構成単位として含む生分解可能なポリマー
(A)としては、特に限定されず、例えば数平均分子量
5,000〜100,000の芳香族ジカルボン酸を必
須構成単位として含む生分解可能なポリマーであって、
その数平均分子量は、より好ましくは10,000〜8
0,000、最も好ましくは20,000〜50,00
0であり、その融点は60〜200℃、より好ましくは
80〜160℃、最も好ましくは95〜160℃であ
る。前記芳香族ジカルボン酸を必須構成単位として含む
生分解可能なポリマー(A)の例としては、ポリエステ
ル、ポリエステルエーテル、ポリエステルアミド、ポリ
エーテルエステルアミドなどがあげられる。
【0012】本発明でいう生分解性あるいは生分解可能
とは次のように定義される。すなわち、生分解可能なポ
リマー(A)または脂肪族ポリエステル(B)または生
分解性ポリエステル樹脂組成物が、ISO14851、
ISO14852、ISO14855、化審法の生分解
性試験(MITI法)のいずれかの試験法で試験して、
60%以上、好ましくは70%以上の生分解度のもので
あることと定義される。芳香族ジカルボン酸を必須構成
単位として含む生分解可能なポリエステル(A)は、例
えば、主としてテレフタル酸もしくはそのエステルおよ
び/またはアジピン酸もしくはそのエステルと、炭素数
2以上のグリコール、エステル形成可能な基を少なくと
も3個有する化合物、スルホネート化合物、ヒドロキシ
カルボン酸、ジイソシアネート、ビスオキサゾリンある
いはジビニルエーテルとを用いて、公知の方法(例えば
特表平5−507109、特表平10−508640、
特表平11−500157)により得ることができる。
【0013】また、汎用飽和ポリエステルと生分解性ポ
リエステルとを別々に合成したのち、各ポリエステルを
公知の方法(例えば特開平9−3180)により溶融混
練、エステル交換することで、生分解可能なポリマー
(A)とすることもできる。汎用飽和ポリエステルとし
ては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメ
チレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサ
ンジメチレンエチレンテレフタレート)、ポリ(1,4
−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートイソフタレ
ート)、ポリ(エチレンナフタリンジカルボキシレー
ト)などが挙げられる。生分解性ポリエステルとして
は、例えばポリエチレンサクシネ−ト、ポリブチレンサ
クシネ−ト、ポリブチレンサクシネ−トアジペート、ポ
リヘキサメチレンサクシネ−ト、ポリエチレンアジペ−
ト、ポリヘキサメチレンアジペ−ト、ポリブチレンアジ
ペ−ト、ポリエチレンオキザレ−ト、ポリブチレンオキ
ザレ−ト、ポリネオペンチルオキザレ−ト、ポリエチレ
ンセバケ−ト、ポリブチレンセバケ−ト、ポリヘキサメ
チレンセバケ−ト、ポリグリコ−ル酸やポリ乳酸などの
ようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらの共重合
体、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−プロピオ
ラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエ−
ト)、ポリ(3−ヒドロキシブチレ−ト)、ポリ(3−
ヒドロキシバリレ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシカプロ
レ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエ−ト)、ポ
リ(3−ヒドロキシオクタノエ−ト)のようなポリ(β
−ヒドロキシアルカノエ−ト)とポリ(4−ヒドロキシ
ブチレ−ト)などが挙げられる。生分解性ポリエステル
の数平均分子量は5,000〜200,000、好まし
くは10,000〜100,000、さらに好ましくは
30,000〜80,000、最も好ましくは50,0
00〜80,000である。
【0014】芳香族ジカルボン酸を必須構成単位として
含む生分解可能なポリエステルエーテルは、例えば、主
としてテレフタル酸もしくはそのエステルおよび/また
はアジピン酸もしくはそのエステルと、炭素数2以上の
グリコール、ポリエーテルポリオール、エステル形成可
能な基を少なくとも3個有する化合物、スルホネート化
合物、ヒドロキシカルボン酸、ジイソシアネート、ビス
オキサゾリンあるいはジビニルエーテルを用いて、公知
の方法(例えば特表平10−508647、特表平11
−500468)により得ることができる。芳香族ジカ
ルボン酸を必須構成単位として含む生分解可能なポリエ
ステルアミドは、例えば、主としてテレフタル酸もしく
はそのエステルおよび/またはアジピン酸もしくはその
エステルと、炭素数2以上のグリコール、アミノ−C2
〜C12−アルカノール又はアミノ−C5〜C10−シクロ
アルカノール、ジアミノ−C1〜C8−アルカン、エステ
ル形成可能な基を少なくとも3個有する化合物、スルホ
ネート化合物、ヒドロキシカルボン酸、天然のアミノ
酸、ポリアミド、ジイソシアネート、ビスオキサゾリン
あるいはジビニルエーテルを用いて、公知の方法(例え
ば特表平10−512006、特表平11−50076
2)により得ることができる。
【0015】テレフタル酸もしくはそのエステルの一部
を例えばイソフタル酸、フタル酸又は2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、好ましくはイソフタル酸、又はエステ
ル誘導体、例えばジ−C1〜C6−アルキルエステル、特
にジメチルエステル又はそれらの混合物の少なくとも1
種と換えることができる。アジピン酸もしくはそのエス
テルの一部を、他の脂肪族C4〜C10−又は脂環式C5〜
C10−ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタール酸、
ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸又はセバシン酸
又はそれらのエステル誘導体、例えばジ−C1〜C6−ア
ルキルエステル又はその無水物、例えば無水コハク酸、
又はそれらの混合物、好ましくはコハク酸、無水コハク
酸、セバシン酸、及びジ−C1〜C6−アルキルエステ
ル、例えばそれらのジメチル、ジエチル、ジ−n−プロ
ピル、ジイソブチル、ジ−n−ペンチル、ジネオペンチ
ル、ジ−n−ヘキシルエステル、とくにコハク酸ジメチ
ルの少なくとも1種で換えることができる。
【0016】炭素数2以上のグリコールとしては、C2
〜C6−アルカンジオール及びC5〜C10−シクロアルカ
ンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−及び
1、3−プロパンジオール、1,2−及び1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール又は1,6−ヘ
キサンジオール、特にエチレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール及び1,4−ブタンジオール、シクロペ
ンタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,2−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール及びこれらの混合物より成る群から選択され
る。ポリエーテルポリオールとしては、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール、及びこれらの共重合体、好ましくはジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチ
レングリコールである。数平均分子量は250〜800
0、好ましくは600〜3000の範囲内である。
【0017】エステル形成可能な基を少なくとも3個有
する化合物としては、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペン
タエリスリトール、ポリエーテルトリオール、グリセロ
ール、トリメシン酸、トリメリット酸又は無水物、ピロ
メリット酸又は二無水物及びヒドロキシイソフタル酸及
びこれらの混合物より成る群から選択される。スルホネ
ート化合物としては、スルホネート基を含有するジカル
ボン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩又はその
エステル形成性誘導体、好ましくは、5−スルホイソフ
タル酸のアルカリ金属塩又はその混合物、特に好ましく
はナトリウム塩である。
【0018】ヒドロキシカルボン酸としては、グリコー
ル酸、D−、L−又はD,L−乳酸、6−ヒドロキシヘ
キサノイック酸、その環状誘導体、例えばグリコリド
(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、D−又はL
−ジラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン
−2,5−ジオン)、p−ヒドロキシ安息香酸及びその
オリゴマー及びポリマー、例えばポリ−3−ヒドロキシ
酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリラクチド及びポリ−
3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシ吉草酸であり、
特に好ましくは、低分子量で環状のその誘導体がポリエ
ステルの製造のために使用できる。
【0019】天然アミノ酸としては、グリシン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、アラニン、バリン、ロイシ
ン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン
並びにそれらから得られるオリゴマー及びポリマー、例
えばポリアスパラギン酸イミド及びポリグルタミン酸イ
ミド、好ましくはグリシンがあげられる。ポリアミドと
しては、4〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸及び
4〜10個の炭素原子を有するジアミン、例えばテトラ
メチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメ
チレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチ
レンジアミン、ノナメチレンジアミン及びデカメチレン
ジアミンの重縮合によって得られるものを使用する。こ
のなかで好ましいポリアミドは、ポリアミド−46、ポ
リアミド−66及びポリアミド−610である。
【0020】生分解可能なポリマー(A)を製造するに
際しては、ポリエステル、ポリアミドを製造する際に通
常使用されている触媒を使用する。この触媒としてはリ
チウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、ア
ルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、
鉛、アンチモン、カドミウム、マンガン、鉄、ジルコニ
ウム、バナジウム、イリジウム、ランタン、セレンなど
の金属、およびこれらの有機金属化合物、有機酸の塩、
金属アルコキシド、金属酸化物などが挙げられる。好ま
しくは、有機酸の塩、金属アルコキシド、アセチルアセ
トネートである。特に好ましい触媒としては、酢酸カル
シウム、ジブチル錫オキサイド、テトラブチルチタネー
ト、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモンである。こ
れらの触媒は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用
いることができる。
【0021】このようにしてえられた生分解可能なポリ
マー(A)はさらにジイソシアネート、ビスオキサゾリ
ン、あるいはジビニルエーテルと反応させてもよい。ジ
イソシアネートとしては、トリレン2,4−ジイソシア
ネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、4,4’
−及び2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
ナフタレン1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、ヘキシルメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート及びメチレンビス(4−イソ
シアナトシクロヘキサン)よりなる群から選択されるジ
イソシアネート、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシ
アネートが使用できる。原則的に、3より小さくない官
能性を有するイソシアヌレート及び/又はビウレット基
を有していて良い3官能性のイソシアネートを使用する
ことも又はジイソシアネート化合物を部分的にトリ−又
はポリイソシアネートと換えることも可能である。
【0022】ビスオキサゾリンとしては、例えば、2,
2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレ
ン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン
−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレ
ン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメ
チレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキ
サメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−
オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,
2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オ
キサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2
−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−
(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビ
ス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス
−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、
ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド
等が挙げられる。これらの中から一種または二種以上を
用いることができる。
【0023】ジビニルエーテルとしては、例えば、1,
4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサ
ンジオールジビニルエーテル及び1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールジビニルエーテルよりなる群から選択さ
れる。本発明に用いる脂肪族ポリエステル(B)として
は、特に限定されず、例えば数平均分子量10,000
〜100,000の脂肪族ポリエステル、好ましくは、
25,000〜100,000、さらに好ましくは、4
0,000〜100,000、さらに好ましくは、50,
000〜100,000である。脂肪族ポリエステル
(B)が、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と炭
素数2〜4の脂肪族グリコール成分とから得られる脂肪
族ポリエステルであると、好ましい。
【0024】また前記脂肪族ポリエステル(B)は、
i)多塩基酸(あるいはそのエステル)とグリコールを
重縮合する方法、ii)ヒドロキシカルボン酸(あるいは
そのエステル)を重縮合する方法、iii)環状酸無水物
と環状エーテルを開環重合する方法、iv)環状エステル
を開環重合する方法等で得られる。i)の方法で用いら
れる多塩基酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、
スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカル
ボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸あるい
はそれらのエステル等が挙げられ、グリコールとして
は、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4ーブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコー
ル等が挙げられる。また、グリコール成分の一部として
ポリオキシアルキレングリコールを使用することも可能
であり、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオ
キシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレン
グリコールおよびこれらの共重合体が例示される。これ
らのうちで、得られるポリエステルの融点、生分解性、
経済性を考慮するとコハク酸とエチレングリコールおよ
び/またはコハク酸と1,4−ブタンジオールの組合せ
が好ましい。
【0025】ii)の方法で用いられるヒドロキシカルボ
ン酸としては、例えばグリコール酸、乳酸、3−ヒドロ
キシプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2、2−ジメチル
プロピオン酸、3−ヒドロキシ−3−メチル−酪酸、4
−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロ
キシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草
酸、6−ヒドロキシカプロン酸、クエン酸、リンゴ酸あ
るいはそれらのエステル等が挙げられる。重縮合反応と
しては通常のエステル交換法またはエステル化法さらに
は両方の併用によっても何らさしつかえない。iii)の
方法で用いられる環状酸無水物としては、例えば無水コ
ハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタ
ル酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸、等が挙げら
れる。iii)の方法で用いられる環状エーテルとして
は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シ
クロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロ
ヒドリン、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシ
ジルエーテル、テトラヒドロフラン、オキセパン、1,
3−ジオキソランなどが挙げられる。これらのうちで、
得られるポリエステルの融点、生分解性、経済性を考慮
すると無水コハク酸とエチレンオキシドの組合せが好ま
しい。重合触媒としては、特に限定はなく、通常ポリエ
ステルを開環重合する際に使用するものを用いる。例え
ばテトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコ
ニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テ
トラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ−n−ブ
トキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウ
ム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシ
アルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウ
ム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−iso−
ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミ
ニウム、モノ−sec−ブトキシ−ジ−iso−プロポ
キシアルミニウム、エチルアセトアセテートアルミニウ
ムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルア
セトアセテート)、テトラエトキシチタン、テトラ−i
so−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタ
ン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブ
トキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、トリ−i
so−プロポキシガリウム、トリ−iso−プロポキシ
アンチモン、トリ−iso−ブトキシアンチモン、トリ
メトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−iso−
プロポキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリ
−iso−ブトキシボロン、トリ−n−ブトキシボロ
ン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−t−ブトキ
シボロン、トリ−iso−プロポキシガリウム、テトラ
メトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、
テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n
−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブトキシ
ゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テ
トラ−sec−ブトキシゲルマニウム、テトラ−t−ブ
トキシゲルマニウムなどの金属アルコキド;五塩化アン
チモン、塩化亜鉛、臭化リチウム、塩化すず(IV)、
塩化カドミウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルなど
のハロゲン化物;トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチ
ルアルミニウムジクロライド、トリ−iso−ブチルア
ルミニウムなどのアルキルアルミニウム;ジメチル亜
鉛、ジエチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛などのアルキル
亜鉛;トリアリルアミン、トリエチルアミン、トリ−n
−オクチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの三級
アミン;リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイ
タングステン酸などのヘテロポリ酸およびそのアルカリ
金属塩;酸塩化ジルコニウム、オクチル酸ジルコニー
ル、ステアリン酸ジルコニール、硝酸ジルコニールなど
のジルコニウム化合物等が挙げられ、中でもオクチル酸
ジルコニール、テトラアルコキシジルコニウム、トリア
ルコキシアルミニウム化合物が特に好ましい。重合は、
ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−
ヘキサン、ジオキサン、クロロホルム、ジクロロエタン
などの不活性溶媒中での溶液重合や塊状重合等の方法に
より行うことができる。
【0026】iv)の方法で用いられる環状エステルとし
ては、例えばβ−プロピオラクトン、β−メチル−β−
プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラ
クトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。iv)
の方法における開環重合は公知の開環重合触媒を用い、
溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行うことがで
きる。このような脂肪族ポリエステル(B)を得る方法
のなかで比較的短い時間で工業的に効率よく製造できる
方法として、iii)の環状酸無水物と環状エーテルを開
環重合する方法が好ましい。
【0027】i)、ii)、iii)またはiv)の方法によ
って得られたポリエステルも数平均分子量が10000
よりも低い場合、さらにエステル交換反応で高分子量化
しても良いし、種々の鎖延長剤と反応させて高分子量化
しても良い。鎖延長剤としては、イソシアナート化合
物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン
化合物、多価金属化合物、多官能酸無水物、リン酸エス
テル、亜リン酸エステル等が挙げられ、一種、または二
種以上を組み合わせてもよい。鎖延長剤とポリエステル
との反応方法は特に制限はないが、ポリエステルを適当
な溶媒に溶かして鎖延長剤と反応させる方法、ポリエス
テルを加熱溶融させて鎖延長剤と反応させる方法などが
挙げられる。
【0028】本発明の組成物の製造方法としては、生分
解可能なポリマー(A)を脂肪族ポリエステル(B)を製
造する際に混練する方法、脂肪族ポリエステル(B)を
生分解可能なポリマー(A)を製造する際に混練する方
法、生分解可能なポリマー(A)と脂肪族ポリエステル
(B)を別々に製造して混練によりエステル交換する方
法などが適用可能であるが、生分解可能なポリマー
(A)と脂肪族ポリエステル(B)がなるべく反応してラ
ンダム化しないように生分解可能なポリマー(A)と脂
肪族ポリエステル(B)を別々に製造して混練する方法
が望ましい。上記混練としては、溶融混練が好ましい。
【0029】生分解可能なポリマー(A)と脂肪族ポリ
エステル(B)の混練比率は、これらの質量比で1/9
9〜99/1の比率になるようにするのが好ましい。結
晶化速度と耐引き裂き性および生分解性を考慮すると、
5/95〜70/30がより好ましく、10/90〜5
0/50がさらに好ましい。本発明の組成物を得るため
には、公知の装置を用いることができる。縦型反応装置
では、ヘリカルリボン翼や螺旋状変形バッフルの付いた
反応釜を挙げることができる。横型反応装置では、変形
翼を連ねた撹拌軸を並べて配置した横型1軸或いは2軸
混練装置を挙げることができる。
【0030】また、バッチ式あるいは連続式でも良い。
バッチ式としては例えば、マックスブレンド翼式リアク
タ(住友重機械工業(株)製)、スーパーブレンド翼式
リアクタ(住友重機械工業(株)製)、逆円錐リボン翼
式リアクタ(三菱重工業(株)製)、ねじり格子翼式リ
アクタ((株)日立製作所製)を挙げることができる。
連続式では例えばバイボラック(住友重機械工業(株)
製)、日立メガネ翼重合機((株)日立製作所製)、日
立格子翼重合機((株)日立製作所製)、セルフクリー
ニング式リアクタ(三菱重工業(株)製)、横型二軸式
リアクタ(三菱重工業(株)製)、KRCニーダー
((株)栗本鉄工所製)、TEX−K((株)日本製鋼
所製)やプラスチックの押出成形あるいは脱揮等に広く
用いられている一軸又は二軸の押出機等を挙げることが
できる。
【0031】本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物
の数平均分子量は、通常、5,000〜200,00
0、好ましくは、10,000〜100,000、さら
に好ましくは、20,000〜80,000である。本
発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物には、必要に応
じて他の成分、例えば結晶核剤、顔料、染料、耐熱剤、
酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、安定剤、充填
剤、強化材、難燃剤、可塑剤、他の重合体を本発明の効
果を損なわない範囲で添加することができる。本発明の
生分解性ポリエステル樹脂組成物は、タックフリー時間
が短く、成形性も良好であるので、押し出し成形、射出
成形、中空成形、真空成形等の通常の成型方法に適用す
ることができ、各種部品、容器、資材、器具、フィル
ム、シート、繊維等の成型品とすることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでは
ない。なお、例中の部は重量部を表わす。実施例で実施
した評価方法は以下の通りである。結果をまとめて表1
に示した。 (分子量)ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GP
C)を用いてポリスチレン換算の数平均分子量を測定し
た。 (融点)DSCにて測定した。
【0033】(タックフリー時間)130℃、1470
×104Pa、2分間の条件で圧縮成形機により厚さ1
00〜200μmのフィルムを作成し、得られたフィル
ムを2cm×2cmの試料に切り抜いた。この試料を厚さ4
0μmのアルミカップに入れ、130℃のオーブンに5
分間放置し溶融させた。このアルミカップを40℃にし
たホットプレートに置き、その時点からアルミカップ内
のフィルム表面を金属スパーテルの先端でおさえては離
す操作を繰り返した。前記アルミカップをホットプレー
トに置いた時から前記フィルム表面にスパーテルで押さ
えることによるくぼみがつかなくなるまでの時間を計測
し、その時間をタックフリー時間とした。
【0034】(分子量保持率)130℃、1470×1
4Pa、2分間の条件で圧縮成形機により厚さ100
〜200μmのフィルムを作成し、得られたフィルムを
2cm×2cmの試料に切り抜いた。この試料を23℃、相
対湿度65%の恒温恒湿室で150℃にしたホットプレ
ートに置き、4時間放置後、GPCにより数平均分子量
を求め、式(I)に代入して、分子量保持率を求めた。 分子量保持率=X/Y ・・・(I) (式中、Xは、150℃、4時間加熱試験後の数平均分
子量、Yは、加熱試験前の数平均分子量を表す。) (引張試験)130℃、1470×104Pa、2分間
の条件で圧縮成形機により厚さ100〜200μmのフ
ィルムを作成した。このフィルムをダンベルに打ち抜
き、ASTM−D882−90(A法)に準じて引張速
度1000mm/分で引張破断強度、引張弾性率、破断伸
度、靭性を測定した。
【0035】(生分解性試験)130℃、1470×1
4Pa、2分間の条件で圧縮成形機により厚さ100
〜200μmのフィルムを作成し、得られたフィルムを
土壌を仕込んだプランター中に埋設して、一日一回散水
し23℃、相対湿度65%の恒温恒湿室中に保存し、1
00日後の外観変化を観察した。なお、土壌は箕面市小
野原および吹田市西御旅町で採取したもの、腐葉土を
3:1:3の割合で混合したものを使用した。結果は下
記の通りに記載した。
【0036】 ○ : 10%以上の重量減少があった。 △ : 3〜10%の重量減少があった。 × : 3%未満の重量減少があった。 (参考例1)1,4−ブタンジオール146.0g、ア
ジピン酸218.8g、および錫ジオクトエート(ニッ
カオクチックス錫:日本化学産業(株)製)0.001
6gを窒素雰囲気下で230〜240℃の範囲内の温度
で反応させた。反応で生成した水のほとんどを蒸留によ
り除去した後に、チタンテトラブトキシド(モノマー)
0.0003gを反応混合物に添加した。系内を減圧に
し、過剰の1,4−ブタンジオールを1時間かけて留去
した。
【0037】得られたポリマー46.3g、テレフタル
酸ジメチル103.7g、1,4−ブタンジオール10
3.7g、ポリエチレングリコール(分子量600:和
光純薬工業(株)製)115.2g、およびチタンテト
ラブトキシド(モノマー)0.37gを容器中、窒素雰
囲気下で撹拌しながら徐々に180℃に加熱した。この
処理の間に、エステル交換で生成されたメタノールを蒸
留によって除去した。混合物を窒素雰囲気下で撹拌速度
を上げながら230℃で3時間にわたって加熱し、かつ
さらに1時間後に50重量%のリン酸水溶液0.074
gを添加した。圧力を2時間にわたって6.67×10
5Paに減少させ、かつさらに2.67×105Pa未満、
240℃で1時間維持し、その一方で過剰量の1,4−
ブタンジオールを蒸留によって除去し、プレポリマー
(1)を得た。
【0038】得られたプレポリマー(1)30.6gを
窒素雰囲気下で180℃に加熱した。さらに攪拌しなが
ら、ヘキサメチレンジイソシアネート0.23gを添加
し、かつさらにこの混合物を30分間攪拌し、生分解可
能なポリマー(1)を得た。 (参考例2)参考例1のプレポリマー(1)15.3g
を平板状攪拌装置のついた100ml平底フラスコに入
れ、系内を真空ポンプで0.0133×105Paに保
ち、加熱した。オイルバスの温度を230℃に保ち、3
時間攪拌した。次にオイルバスの温度を200℃に保
ち、ヘキサメチレンジイソシアネート0.26gを添加
し、かつさらにこの混合物を30分間攪拌し、生分解可
能なポリマー(2)を得た。
【0039】(参考例3)100LのSUS製反応器に
無水コハク酸32.5×103部およびオクチル酸ジル
コニール371.0部を加え、窒素置換を行った。次い
で攪拌下にSUS製反応器を徐々に130℃まで昇温し
て無水コハク酸を溶融し、同温度でSUS製反応器内の
圧力を39.2×104〜78.5×104Paに維持し
ながら、酸化エチレン16.5×103部を1時間あた
り3.14×103部の添加速度で5.25時間にわた
って連続的に導入した。酸化エチレン導入後130℃で
1.0時間熟成反応をおこない重合生成物を得た。得ら
れた重合生成物の収率を求めたところ100.0%であ
った。また、GPC測定による数平均分子量は2510
0であった。
【0040】引き続き、得られた重合生成物を窒素化で
別の100LSUS製反応器に移し、亜リン酸ジフェニ
ル474.0部を加え、1.47×105〜3.87×
105Paの減圧下、60rpm、ジャケット温度28
0℃の条件で1.7時間反応させ、脂肪族ポリエステル
(1)を得た。GPC測定による数平均分子量は547
00であった。 (実施例1)参考例1で得られた生分解可能なポリマー
(1)15.0部と参考例3で得られた脂肪族ポリエス
テル(1)15.0部、結晶核剤としてタルク(LMP
100、丸尾カルシウム(株)製)1.2部、界面活性剤
としてステアリン酸リチウム0.15部および酸化防止
剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕(IRGANOX 1010、チバガイギー
社製)0.15部を、ラボプラストミル((株)東洋精
機製作所製))を用いて、30rpm、ヒーター温度1
30℃の条件下で5分間混合し、生分解性ポリエステル
樹脂組成物(1)を得た。
【0041】(実施例2)実施例1の生分解可能なポリ
マー(1)を生分解可能なポリマー(2)に変えた他は
実施例1と同様にして、生分解性ポリエステル樹脂組成
物(2)を得た。 (実施例3)実施例1の生分解可能なポリマー(1)の
量を1.2g、脂肪族ポリエステル(1)の量を28.
8gに変えた他は実施例1と同様にして、生分解性ポリ
エステル樹脂組成物(3)を得た。 (実施例4)実施例1の生分解可能なポリマー(1)の
量を27.0g、脂肪族ポリエステル(1)の量を3.
0gに変えた他は実施例1と同様にして、生分解性ポリ
エステル樹脂組成物(4)を得た。
【0042】(実施例5)実施例1の生分解可能なポリ
マー(1)の量を22.5g、脂肪族ポリエステル
(1)の量を7.5gに変えた他は実施例1と同様にし
て、生分解性ポリエステル樹脂組成物(5)を得た。 (実施例6)実施例1の生分解可能なポリマー(1)の
量を7.5g、脂肪族ポリエステル(1)の量を22.
5gに変えた他は実施例1と同様にして、生分解性ポリ
エステル樹脂組成物(6)を得た。以上の実施例および
参考例の結果を、表1および表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成
物は、結晶化速度が速く、生分解性の優れた繊維、成型
品、フィルムやシート等への成形加工が容易である。本
発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体
は、繊維、成型品、フィルムやシート等に有用で、生分
解性に優れ、耐熱性が良好で、引き裂き強度、引っ張り
強度、靭性等の強度的にも優れている。したがって、本
発明の生分解性ポリエステル樹脂成形体は、使い捨ての
包装材料や日用雑貨品等に有効に使用できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジカルボン酸を構成単位として含む
    生分解可能なポリマー(A)と脂肪族ポリエステル
    (B)とを含んでなる、生分解性ポリエステル樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】生分解可能なポリマー(A)と脂肪族ポリ
    エステル(B)とが、別々に合成し溶融混練によりエス
    テル交換させた形で、含まれている、請求項1に記載の
    生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】生分解可能なポリマー(A)が、アジピン
    酸もしくはそのエステルおよび/またはテレフタル酸も
    しくはそのエステルを構成単位として含むポリマーであ
    る、請求項1または2に記載の生分解性ポリエステル樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】脂肪族ポリエステル(B)が、炭素数2〜
    6の脂肪族ジカルボン酸成分と炭素数2〜4の脂肪族グ
    リコール成分とから得られる脂肪族ポリエステルであ
    る、請求項1から3までのいずれかに記載の生分解性ポ
    リエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1から4までのいずれかに記載の生
    分解性ポリエステル樹脂組成物から得られる成形体。
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