JPH10237165A - 高分子量ポリ乳酸系共重合体の製造方法及び共重合体 - Google Patents

高分子量ポリ乳酸系共重合体の製造方法及び共重合体

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JPH10237165A
JPH10237165A JP5398497A JP5398497A JPH10237165A JP H10237165 A JPH10237165 A JP H10237165A JP 5398497 A JP5398497 A JP 5398497A JP 5398497 A JP5398497 A JP 5398497A JP H10237165 A JPH10237165 A JP H10237165A
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健志 金森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐衝撃性・透明性・柔軟性を有し、か
つ成形性にも優れる高分子量の生分解性ポリ乳酸系共重
合体の製造方法及びポリ乳酸系共重合体を提供する。 【解決手段】 ラクチド(A)50〜99重量%と、分
岐構造を有し且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子
量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が3.0
以上のポリウレタン(B)1〜50重量%とを、開環重
合触媒(C)及びルバミン酸エステルに対するエステル
交換及び/又はエステルアミド交換触媒(C’)の存在
下に、開環共重合並びにエステル交換及び/又はエステ
ルアミド交換反応させる。ポリウレタン(B)は、ポリ
エステルポリウレタンが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量ポリ乳酸
系共重合体の製造方法に関し、より詳しくは、透明性、
柔軟性、耐衝撃性に優れ、かつ高分子量で成形加工性に
優れる生分解性乳酸系共重合体の製造方法及びその方法
で得られる高分子量ポリ乳酸系共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自然環境保護の見地から、自然環
境中で分解する生分解性ポリマー及びその成形品が求め
られ、脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂の研究開
発が活発に行われている。特に、乳酸系ポリマーは融点
が170〜180℃と十分に高く、しかも透明性に優れ
るため、包装材料や透明性を生かした成形品等の材料と
して大いに期待されている。しかし、ポリ乳酸はその剛
直な分子構造のために、耐衝撃性が劣り脆いという欠点
があり、これら乳酸系ポリマーの改良が望まれている。
【0003】例えば、特開平7−173266号公報に
は、ポリ乳酸と他の脂肪族ポリエステル等との共重合体
及びその製造方法が記載されている。同号公報によれ
ば、共重合体の製造方法は、ラクチドと、種々の構成割
合からなる脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は芳香族ジ
カルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステル
ポリマーとを、開環重合触媒の存在下に反応させるとい
うものである。その反応機構としては、ポリエステル末
端OH基へラクチドがブロック状に開環付加重合して、
A−B−A型のブロック状の共重合体が生成し、更にポ
リマー同士のエステル交換反応が進行すると考えられて
いる。更に、このエステル交換反応を十分行うことによ
り、ホモ重合体を含まない乳酸系共重合ポリエステルが
得られるとしている。又、この方法で得られたポリマー
は、透明性・柔軟性に優れると記載されている。
【0004】しかしながら、特開平7−173266号
公報に記載の方法では、ブロック共重合体及びエステル
交換反応の制御が難しく、得られるポリ乳酸系共重合体
中のポリ乳酸セグメントサイズ及びポリエステルポリマ
ーセグメントサイズが保証できず、乳酸系共重合ポリエ
ステルの物理特性が安定しない。すなわち、ブロック共
重合は、耐衝撃性を向上させるためによく用いられる手
法であるが、ランダムなエステル交換反応によりポリマ
ーセグメントの分裂が起こると、改質剤としてのポリエ
ステルの添加効果が発揮できないことになる。
【0005】又、高分子量の脂肪族ポリエステルとの共
重合では、脂肪族ポリエステル自身のもつ結晶性の高さ
故、透明性・柔軟性に優れた共重合体を得ることは難し
い。その一方、低分子量の脂肪族ポリエステルとの共重
合では、反応開始剤として働くOH基濃度が高くなり、
生成されるポリ乳酸系共重合体の分子量が低下するの
で、後加工に耐えうる高分子量の共重合体を得ることは
難しい。
【0006】このように、実際上、透明性・柔軟性に優
れた共重合体を得るために、改質剤として共重合できる
ポリマーは大きく制限されると共に、共重合体中の各成
分セグメントのサイズを制御することは非常に重要であ
る。
【0007】更に、より大きな改質効果を得るために改
質剤としてのポリマー成分の比率を増加させていった場
合、生成されるポリ乳酸系共重合体の分子量は、前述の
ように反応開始剤として働くOH基濃度が高くなるに従
って低下していくため、改質効果とは相反して共重合体
の成形性が低下していく。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記従来技術の問題点を解決し、共重合体中の各成
分セグメントのサイズを制御し、優れた耐衝撃性・透明
性・柔軟性を有し、かつ成形性にも優れる高分子量の生
分解性ポリ乳酸系共重合体の製造方法を提供することに
ある。また、本発明の目的は、この製造方法により得ら
れる高分子量の生分解性ポリ乳酸系共重合体を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、改質剤として特定のポリウレタンを用いること
により、上記目的を達成し得ることを見出だし、本発明
を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の高分子量ポリ乳酸系共
重合体の製造方法は、ラクチド(A)50〜99重量%
と、分岐構造を有し且つ重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が
3.0以上のポリウレタン(B)1〜50重量%とを、
少なくとも1種の開環重合触媒(C)及び少なくとも1
種のカルバミン酸エステルに対するエステル交換及び/
又はエステルアミド交換触媒(C’)の存在下に、開環
共重合並びにエステル交換及び/又はエステルアミド交
換反応させる方法である。
【0011】本発明の方法において、ポリウレタン
(B)が、ポリエステルポリウレタンであることが好ま
しく、ポリウレタン(B)が、ポリマー構成単位とし
て、3価以上の多価カルボン酸単位、及び/又は3価以
上の多価アルコール単位、及び/又は3価以上の多価イ
ソシアネート単位を含むポリエステルポリウレタンであ
ることが好ましく、ポリウレタン(B)の重量平均分子
量が、10,000〜500,000であることが好ま
しく、ポリウレタン(B)が、そのポリマー中に窒素原
子を0.1〜10重量%含むことが好ましく、ポリウレ
タン(B)の融点及び軟化点のうちの少なくとも一方が
200℃以下であることが好ましく、開環重合触媒
(C)が、錫化合物及びチタン化合物から選ばれること
が好ましく、開環重合触媒(C)及びカルバミン酸エス
テルに対するエステル交換及び/又はエステルアミド交
換触媒(C’)が共に、オクチル酸錫であることが好ま
しい。
【0012】また、本発明の高分子量ポリ乳酸系共重合
体は、上記の方法で得られる共重合体である。本発明の
高分子量ポリ乳酸系共重合体において、融点が150℃
以上であるものが好ましい。
【0013】以下、本発明で使用するラクチド(A)、
ポリウレタン(B)、開環重合触媒(C)及びカルバミ
ン酸エステルに対するエステル交換及び/又はエステル
アミド交換触媒(C’)について、順を追って説明す
る。
【0014】本発明で使用するラクチド(A)は、乳酸
の環状二量体であり、2つのL−乳酸からなるL−ラク
チド、2つのD−乳酸からなるD−ラクチド、L−乳酸
とD−乳酸とからなるメソ−ラクチドの3種が存在す
る。
【0015】L−ラクチド又はD−乳酸のみを含むポリ
乳酸系共重合体は、結晶化し高融点が得られる。本発明
では、これら3種のラクチドを組み合わせることによ
り、更に良好な諸特性を有するポリ乳酸系共重合体を得
ることができる。
【0016】本発明において、高い融点の共重合体を得
るために、ラクチドはL−ラクチドを総ラクチド中75
%以上含むことが好ましく、更に高い融点を得るため
に、L−ラクチドを総ラクチド中90%以上含むことが
好ましい。
【0017】ラクチドの合成、精製及び重合操作は、例
えば米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出
願第261572号明細書、Polymer Bulletin, 14, 49
1-495 (1985)、及び Makromol Chem., 187, 1611-1628
(1986) 等の文献に様々に記載されている。
【0018】本発明で使用するポリウレタン(B)は、
分子中に少なくとも2個のウレタン結合を含み、分岐構
造を有し且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が3.0以
上のものである。
【0019】一般にポリウレタンとは、分子中にウレタ
ン結合(−NHCOO−:別名 N−アルキル 或いは
N−アリールカルバミン酸エステル結合)を有するポ
リマーの通称である。これは、モノマーの重合によって
は得られず、通常はポリイソシアネートと、水酸基など
の活性水素原子を有する化合物、例えばポリオールとの
反応によって得られる。この時の原料となるポリオール
の成分や分子量等により様々な特性のポリウレタンが得
られる。
【0020】ポリウレタン(B)中のポリオール成分と
しては、特に限定されないが、具体的には、ポリエステ
ルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネ
ートポリオール等が挙げられる。
【0021】本発明においては、ポリウレタン(B)
が、ポリエステルポリウレタンであることが得られる共
重合体における耐衝撃性の改善効果の点から好ましく、
従って、ポリウレタン(B)中のポリオール成分として
はポリエステルポリオールが好ましい。
【0022】ポリエステルポリオールは、一般に多価カ
ルボン酸と多価ヒドロキシ化合物との重縮合によって得
られるが、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エステ
ル(ラクトン)の重合、多価カルボン酸無水物にエポキ
サイドの重付加、酸塩化物とヒドロキシ化合物のアルカ
リ塩との反応、エステル交換反応等によっても得られ
る。
【0023】ポリエステルポリオール中の多価カルボン
酸成分としては、特に限定されないが、例えば、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オルソフ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン
酸; トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、無水ト
リメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸等が挙げら
れる。
【0024】ポリエステルポリオール中の多価ヒドロキ
シ化合物成分としては、特に限定されないが、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタ
ンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオ
ール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノール等のジオール; グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の
3価以上の多価ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0025】また、ポリエステルポリオールの重縮合に
用いるヒドロキシカルボン酸成分としては、特に限定さ
れないが、例えば、グリコール酸、ヒドロキシブチルカ
ルボン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられ
る。
【0026】また、ポリエステルポリオールの重縮合に
用いる環状エステル(ラクトン)としては、特に限定さ
れないが、例えば、グリコリド、ε−カプロラクトング
リコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクト
ン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクト
ン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられ
る。
【0027】本発明で使用するポリウレタン(B)は、
これら各種ポリオールにイソシアネートを所望量添加し
架橋した、分子中に少なくとも2個のウレタン結合を含
むポリマーである。このようなイソシアネートとして
は、特に限定されないが、例えば、2,4-トリレンジイソ
シアネート、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリ
レンジイソシアネートとの混合体、ジフエニルメタンジ
イソシアネート、1,6-ナフタレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物; ジ
メチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリ
フェニルメタントリイソシアネート等の3価以上の多価
イソシアネート化合物が挙げられる。
【0028】本発明で使用するポリウレタン(B)は、
分岐構造を有し且つ多分散度(Mw/Mn)が3.0以
上であることが必須である。分岐構造は、3価以上の多
価カルボン酸、3価以上の多価ヒドロキシ化合物のよう
な分岐剤、及び/又は3価以上の多価イソシアネート化
合物を組み合わせることによって容易に得られ、多分散
度(Mw/Mn)3.0以上のポリウレタンの製造が可
能となる。このような分岐構造を有するポリウレタン
(B)を使用することで、ポリウレタンの変成比率を増
大しても分子量低下が少なく、高分子量ポリ乳酸系共重
合体を得ることができる。また、多分散度(Mw/M
n)が3.0以上のポリウレタンを使用することで、得
られる高分子量ポリ乳酸系共重合体の多分散度(Mw/
Mn)も3.0以上となり、フィルム形成性等の成形加
工性に優れた共重合体が製造される。一方、多分散度
(Mw/Mn)が3.0未満のポリウレタンを使用する
と、得られるポリ乳酸系共重合体の多分散度(Mw/M
n)は3.0未満となる。本発明において、多分散度
(Mw/Mn)3.5以上のポリウレタンを使用するこ
とが好ましい。
【0029】また、本発明において、ポリウレタン
(B)の分子量(重合度)は、得られるポリ乳酸系共重
合体の透明性・柔軟性・分子量に大きく影響する。ポリ
ウレタン(B)の重量平均分子量は、10,000〜5
00,000であることが好ましい。重量平均分子量が
10,000未満であると、得られる共重合体の分子量
が低く、その結果、成形性が悪いだけでなく、成形品と
しての物理特性も損なわれる。一方、500,000を
超えると、ポリウレタンが高粘性となり、均一な共重合
反応をさせることが難しくなる。
【0030】また、本発明において、ポリウレタン
(B)は、そのポリマー中にウレタン結合している窒素
原子を0.1〜10重量%含むことが好ましい。窒素原
子をこの範囲で含むことによって、得られるポリ乳酸系
共重合体のブロック共重合性とランダム共重合性とのバ
ランスを保つことが容易になる。すなわち、窒素原子が
0.1重量%未満では、ブロック共重合性が強くなり、
その結果、共重合体は不透明になり易い。一方、10重
量%を超えると、ランダム共重合性が強くなり、透明性
は得られ易くなるものの融点が著しく低下し、熱的性質
に劣る結果となる。
【0031】また、本発明において、ラクチドとの反応
を考慮すると、ポリウレタン(B)の融点及び軟化点の
うちの少なくとも一方が200℃以下であることが好ま
しい。ここで、融点は走査型示差熱量計(DSC)を用
いて測定した値であり、軟化点はJIS K 2531
に準ずる値である。融点及び軟化点の双方が200℃
を超えると、重合温度を200℃以上にする必要があ
り、それに伴い分解反応も促進され、共重合体の着色や
分子量低下が起こり好ましくない。融点及び軟化点の少
なくとも一方が80〜170℃であるポリウレタン
(B)を用いることがより好ましい。
【0032】本発明においては、ラクチド(A)50〜
99重量%に対して、ポリウレタン(B)1〜50重量
%を用いる。このような割合とすることにより、透明性
・柔軟性・耐衝撃性に優れたポリ乳酸系共重合体を得る
ことができる。ラクチド(A)が50重量%未満である
と、得られる共重合体は不透明になり易く、又、融点も
低下し熱的性質が劣る様になる。一方、ラクチド(A)
が99重量%を超えると、得られる共重合体はポリ乳酸
ホモポリマー同様、堅くて脆い性質となり、改質効果に
乏しくなる。より好ましい割合は、ラクチド(A)50
〜90重量%に対して、ポリウレタン(B)10〜50
重量%である。
【0033】本発明で使用する開環重合触媒(C)とし
ては、特に限定されるものではないが、一般に環状エス
テル類の開環重合触媒として知られているもの、例え
ば、錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、
ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム等の金属及び
その誘導体が挙げられる。誘導体としては、金属アルコ
キシド、カルボン酸塩、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物
が好ましい。具体的には、塩化錫、オクチル酸錫、塩化
亜鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコ
キシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム等が
挙げられる。これらの中でも、特に高分子量を得るに
は、錫化合物とりわけオクチル酸錫が好ましい。
【0034】本発明で使用するカルバミン酸エステルに
対するエステル交換及び/又はエステルアミド交換触媒
(C’)としては、一般にイソシアネートの重合反応や
イソシアネートと活性水素含有化合物との反応に用いら
れる金属化合物、例えば、オクチル酸錫、ジ−n−ブチ
ル錫オキサイド、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−
n−ブチル錫ジアセテート、ジ−n−オクチル錫オキサ
イド、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、酢酸カリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、錫化合物が好ましく、より優れた透明
性と柔軟性を得るには、特にオクチル酸錫、ジ−n−ブ
チル錫ジラウレートが好ましい。
【0035】本発明において、開環重合触媒(C)の添
加量は、ラクチド(A)の重量に対して0.0001〜
0.3重量部が好ましい。又、カルバミン酸エステルに
対するエステル交換及び/又はエステルアミド交換触媒
(C’)添加量は、ポリウレタン(B)の重量に対して
0.0001〜0.3重量部が好ましい。更に、触媒
(C)及び触媒(C’)の合計添加量は、ラクチド
(A)とポリウレタン(B)の合計重量に対して0.0
002〜0.6重量%が好ましい。
【0036】開環重合触媒(C)とカルバミン酸エステ
ルに対するエステル交換及び/又はエステルアミド交換
触媒(C’)の添加量比により、ラクチド(A)の開環
重合速度と、ラクチド(A)及びポリウレタン(B)間
のエステル交換及び/又はエステルアミド交換速度が制
御される。すなわち、開環重合触媒(C)の比率が高く
なると、ラクチド(A)の開環重合速度が速くなり、得
られるポリ乳酸系共重合体はブロック性の強いものにな
りやすく、一方、エステル交換及び/又はエステルアミ
ド交換触媒(C’)の比率が高くなると、エステル交換
及び/又はエステルアミド交換速度が速くなり、得られ
るポリ乳酸系共重合体はランダム性の強いものになりや
すい。
【0037】開環重合触媒(C)及びカルバミン酸エス
テルに対するエステル交換及び/又はエステルアミド交
換触媒(C’)が同一の触媒の場合、ラクチド(A)の
開環重合速度と、ラクチド(A)及びポリウレタン
(B)間のエステル交換及び/又はエステルアミド交換
速度の比は、触媒種によって決まるが、例えば(C)及
び(C’)が共にオクチル酸錫の場合、ブロック性・ラ
ンダム性が適度に制御され、耐衝撃性に優れ且つ透明性
のある共重合体が得られやすい。
【0038】又、開環重合触媒(C)及びカルバミン酸
エステルに対するエステル交換及び/又はエステルアミ
ド交換触媒(C’)の合計量は、反応条件により異なる
が、得られるポリ乳酸系共重合体の熱安定性を考えた場
合、0.1重量%以下が好ましい。
【0039】次に、製造方法について説明する。ラクチ
ド(A)とポリウレタン(B)の混合物を加熱溶融さ
せ、これに開環重合触媒(C)及びカルバミン酸エステ
ルに対するエステル交換及び/又はエステルアミド交換
触媒(C’)を添加する。反応温度は、ラクチド(A)
の融点以上であると、反応系が均一に出来、速い重合速
度が得られて望ましい。特に、反応の平衡上は、ラクチ
ド(A)の融点約100℃以上かつ180℃以下の温度
が望ましく、また、この温度範囲であれば、分解反応に
伴う共重合体の着色や分子量の低下も低減できる。すな
わち、ラクチド(A)を溶融し、更に共重合させるポリ
ウレタン(B)をラクチド(A)に溶解・混合した上で
反応させることが好ましい。
【0040】又、共重合体の分解及び着色を防ぐため、
反応は乾燥した不活性ガス雰囲気下で行うことが好まし
い。特に、窒素ガス、アルゴンガス雰囲気下、又はこれ
らガスのバブリング状態が好ましい。更に、加水分解反
応を抑制するため、原料のポリウレタン(B)は、十分
真空乾燥を行い、水分が除去されたものを用いることが
必要である。
【0041】重合反応は、ポリウレタン(B)の末端O
H基へラクチド(A)がブロック状に開環付加重合し、
A−B−A型のブロック状の共重合体が生成する反応
と、ポリ乳酸とカルバミン酸エステルとのエステル交換
及び/又はエステルアミド交換反応とが同時並行して進
行し、開環重合触媒(C)とエステル交換及び/又はエ
ステルアミド交換触媒(C’)の添加量比によって、こ
れら両反応速度の関係が決定される。すなわち、前述し
たように、ブロック性の強い共重合体から、ランダム性
の強い共重合体まで様々な物性を有するポリ乳酸系共重
合体を得ることができる。
【0042】特に、開環重合触媒(C)と交換触媒
(C’)の適正な添加量比によって、ブロック共重合体
並の高い熱安定性と、ランダム共重合体並の優れた透明
性・柔軟性を有する乳酸系共重合体を得ることが可能で
ある。この適正な添加量比は、ラクチド(A)及びポリ
ウレタン(B)の種類や使用量によっても変わるが、例
えば、開環重合触媒(C)/交換触媒(C’)=2/1
〜1/2である。
【0043】また、ポリウレタン(B)が分子鎖中に分
岐を有することで、変成率増大に伴う分子量低下を抑制
することができ、更には、成形性の向上した共重合体を
得ることが可能になる。
【0044】重合反応は、公知の反応容器を用いて行う
ことができる。例えば、1軸又は複数軸の攪拌機が配設
された竪型反応容器又は横型反応容器、1軸又は複数軸
の掻き取り羽根が配設された横型反応容器、1軸又は複
数軸のニーダー、1軸又は複数軸の押出機等の反応容器
を用いることができる。これらの反応容器を単独で用い
ても良く、又はこれらのうちの複数機を直列又は並列に
接続して用いても良い。
【0045】このような方法によって製造されたポリ乳
酸系共重合体は、高分子量のものであり、その重量平均
分子量は通常100,000〜500,000である。
また、ポリ乳酸系共重合体の融点は150℃以上である
ことが、高い熱安定性を得る目的から好ましい。
【0046】本発明のポリ乳酸系共重合体は、生分解性
も良好であり、使用後や製造工程における廃棄物減量に
役立つ。特に、コンポスト中での分解性に優れており、
数カ月間で外形が保たれない程度にまで分解される。
【0047】更に、本発明のポリ乳酸系共重合体には、
必要に応じて、各種の副次的添加物を加えて色々な改質
を行うこともできる。副次的添加物の例としては、安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フ
ィラー、静電剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌・抗カビ
剤、核形成剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤等その他
類似のものが挙げられる。
【0048】上記各種添加剤を配合する方法は、特に制
限されるものではなく、従来公知の方法によって行うこ
とができる。例えば、ミルロール、バンバリーミキサ
ー、スーパーミキサー、単軸あるいは二軸押出機等を用
いて混合混練すれば良い。
【0049】本発明のポリ乳酸系共重合体は、一般のプ
ラスチックと同様に、例えば、押出成形、射出成形、真
空成形、圧縮成形等の方法により成形し、フィルム、シ
ート等の包装材料、テープ、板、棒、ビン、容器等の各
種成形品を得ることができる。また、成形温度は、通
常、150〜250℃程度である。
【0050】本発明の製造方法によれば、ラクチド
(A)と、分岐構造を有し且つ多分散度(Mw/Mn)
が3.0以上のポリウレタン(B)とを、開環重合触媒
(C)及びカルバミン酸エステルに対するエステル交換
及び/又はエステルアミド交換触媒(C’)の存在下
に、開環共重合並びにエステル交換及び/又はエステル
アミド交換反応させるので、高分子量で多分散度(Mw
/Mn)が3.0以上のポリ乳酸系共重合体を得ること
ができる。このポリ乳酸系共重合体は、優れた内部可塑
化効果を有し柔軟・透明であり、成形性に優れたもので
ある。
【0051】本発明のポリ乳酸系共重合体の用途として
は、包装材料、医療用材料、産業資材、工業用品、容器
等が挙げられるが、特に柔軟性・透明性が必要とされる
フィルム、テープ、シートの材料として好適である。
【0052】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をさら
に具体的に説明する。重合体の重量平均分子量(M
w)、数平均分子量(Mn)及び多分散度(Mw/M
n)はGPC分析によるポリスチレン換算値、融点は走
査型示差熱量計(DSC)による測定値である。また、
引張試験はJIS K 7113、アイゾット衝撃試験
はJIS K 7110 に準じて行った。透明性につ
いては、JIS K 7105 準じてヘイズ測定を行
った。実施例及び比較例におけるポリウレタンの合成
は、特開平4−189822号公報、特開平5−295
071号公報等を参考にして行った。
【0053】[実施例1]1,4-ブタンジオール300
g、無水コハク酸300g、トリメチロールプロパン7
g(無水コハク酸に対して約1.5モル%)及びテトラ
イソプロピルチタネート0.6gを仕込み、205〜2
10℃で窒素ガス雰囲気下、混合してエステル化し酸価
7.1とした後、最終的には0.5torrまで減圧
し、215〜220℃で約5時間、脱グリコール反応を
行い、重量平均分子量70,000のポリエステルを合
成した。その後引続き、温度205℃で、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートを4g加えウレタン架橋を行い、重
量平均分子量176,000、多分散度(Mw/Mn)
4.89の分岐構造を有するポリエステルポリウレタン
(PU1)を得た。このポリエステルポリウレタン(P
U1)の融点は115℃であった。
【0054】得られたポリエステルポリウレタン(PU
1)20重量部に、L−ラクチド80重量部を加え、不
活性ガス雰囲気下、溶融混合した。これに、開環重合触
媒としてオクチル酸錫を0.10重量部、カルバミン酸
エステルに対するエステル交換及び/又はエステルアミ
ド交換触媒としてジ−n−ブチル錫ジラウレートを0.
14重量部添加し、2軸混練機で攪拌しつつ、190℃
で15分間重合した後、直径2mmのノズルより押し出
し、これを水冷し切断して乳酸系共重合体チップC1を
得た。
【0055】チップC1を、120℃、圧力1.5kg
/cm2 の窒素中で12時間処理し、未反応モノマー
(ラクチド)を除去し、チップC2を得た。チップC2
の重量平均分子量は172,000、多分散度(Mw/
Mn)は3.4、残存モノマー(ラクチド)は0.1重
量%であった。又、この乳酸系共重合体のDSCを測定
した結果、ガラス転移点温度は33℃、融点は168.
2℃であった。
【0056】チップC2を、75℃で真空乾燥し、絶乾
状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mm
厚)、引張試験片(2号試験片)及びアイゾット衝撃試
験(2号A試験片)の成形を行った。得られた名刺大プ
レートのヘイズ測定、引張試験及びアイゾット衝撃試験
行った結果、ヘイズは1%、引張強度は30MPa、引
張弾性率は0.6GPa、アイゾット衝撃強度は3.5
kJ/m2 であった。
【0057】[実施例2]実施例1で得られたポリエス
テルポリウレタン(PU1)30重量部に、L−ラクチ
ド70重量部を加え、不活性ガス雰囲気下、溶融混合し
た。これに、開環重合触媒としてオクチル酸錫を0.1
0重量部、カルバミン酸エステルに対するエステル交換
及び/又はエステルアミド交換触媒としてジ−n−ブチ
ル錫ジラウレートを0.14重量部添加し、2軸混練機
で攪拌しつつ、190℃で15分間重合した後、直径2
mmのノズルより押し出し、これを水冷し切断して乳酸
系共重合体チップC3を得た。
【0058】チップC3を、120℃、圧力1.5kg
/cm2 の窒素中で12時間処理し、未反応モノマー
(ラクチド)を除去し、チップC4を得た。チップC4
の重量平均分子量は190,000、多分散度(Mw/
Mn)は3.58、残存モノマー(ラクチド)は0.1
重量%であった。又、この乳酸系共重合体のDSCを測
定した結果、ガラス転移点温度は20℃、融点は95.
1℃と163.9℃の2点が観測された。
【0059】チップC4を、75℃で真空乾燥し、絶乾
状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mm
厚)、引張試験片(2号試験片)及びアイゾット衝撃試
験(2号A試験片)の成形を行った。得られた名刺大プ
レートのヘイズ測定、引張試験及びアイゾット衝撃試験
行った結果、ヘイズは5%、引張強度は16MPa、引
張弾性率は0.05GPa、アイゾット衝撃強度は60
kJ/m2 以上(破断せず)であった。
【0060】[実施例3]実施例1で得られたポリエス
テルポリウレタン(PU1)40重量部に、L−ラクチ
ド60重量部を加え、不活性ガス雰囲気下、溶融混合し
た。これに、開環重合触媒及びカルバミン酸エステルに
対するエステル交換及び/又はエステルアミド交換触媒
としてオクチル酸錫を0.24重量部添加し、2軸混練
機で攪拌しつつ、190℃で15分間重合した後、直径
2mmのノズルより押し出し、これを水冷し切断して乳
酸系共重合体チップC5を得た。
【0061】チップC5を、120℃、圧力1.5kg
/cm2 の窒素中で12時間処理し、未反応モノマー
(ラクチド)を除去し、チップC6を得た。チップC6
の重量平均分子量は196,000、多分散度(Mw/
Mn)は3.48、残存モノマー(ラクチド)は0.1
重量%であった。又、この乳酸系共重合体のDSCを測
定した結果、ガラス転移点温度は5℃、融点は110.
4℃と160.8℃の2点が観測された。
【0062】チップC6を、75℃で真空乾燥し、絶乾
状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mm
厚)、引張試験片(2号試験片)及びアイゾット衝撃試
験(2号A試験片)の成形を行った。得られた名刺大プ
レートのヘイズ測定、引張試験及びアイゾット衝撃試験
行った結果、ヘイズは8%、引張強度は17MPa、引
張弾性率は0.06GPa、アイゾット衝撃強度は60
kJ/m2 以上(破断せず)であった。
【0063】[比較例1]1,4-ブタンジオール216g
及びコハク酸236gを、210〜220℃で窒素ガス
雰囲気下、混合してエステル化し酸価7.9とした後、
混合物に触媒としてチタン酸テトラブチルを1.2g加
え、反応を進行させ、最終的には0.6torrまで減
圧し、215〜220℃で約5時間、脱グリコール反応
を行い、重量平均分子量32,000のポリエステルポ
リオールを合成した。その後引続き、温度を190℃に
下げ、ヘキサメチレンジイソシアネートを4g加えウレ
タン架橋を行い、重量平均分子量100,000、多分
散度(Mw/Mn)2.59のポリエステルポリウレタ
ン(PU2)を得た。
【0064】得られたポリエステルポリウレタン(PU
2)30重量部に、L−ラクチド70重量部を加え、不
活性ガス雰囲気下、溶融混合した。これに、開環重合触
媒としてオクチル酸錫を0.10重量部、カルバミン酸
エステルに対するエステル交換及び/又はエステルアミ
ド交換触媒としてジ−n−ブチル錫ジラウレートを0.
14重量部添加し、2軸混練機で攪拌しつつ、190℃
で15分間重合した後、直径2mmのノズルより押し出
し、これを水冷し切断して乳酸系共重合体チップC7を
得た。
【0065】チップC7を、120℃、圧力1.5kg
/cm2 の窒素中で12時間処理し、未反応モノマー
(ラクチド)を除去し、チップC8を得た。チップC8
の重量平均分子量は120,000、多分散度(Mw/
Mn)は2.2、残存モノマー(ラクチド)は0.1重
量%であった。又、この乳酸系共重合体のDSCを測定
した結果、ガラス転移点温度は観測されず、融点は14
0℃、167℃の2点が観測された。
【0066】チップC8を、75℃で真空乾燥し、絶乾
状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mm
厚)、引張試験片(2号試験片)及びアイゾット衝撃試
験(2号A試験片)の成形を行った。得られた名刺大プ
レートのヘイズ測定、引張試験及びアイゾット衝撃試験
行った結果、ヘイズは10%、引張強度は22MPa、
引張弾性率は0.3GPa、アイゾット衝撃強度は2.
6kJ/m2 であった。
【0067】[比較例2]比較例1で得られたポリエス
テルポリウレタン(PU2)40重量部に、L−ラクチ
ド60重量部を加え、不活性ガス雰囲気下、溶融混合し
た。これに、開環重合触媒としてオクチル酸錫を0.1
0重量部、カルバミン酸エステルに対するエステル交換
及び/又はエステルアミド交換触媒としてジ−n−ブチ
ル錫ジラウレートを0.14重量部添加し、2軸混練機
で攪拌しつつ、190℃で15分間重合した後、直径2
mmのノズルより押し出し、これを水冷し切断して乳酸
系共重合体チップC9を得た。
【0068】チップC9を、120℃、圧力1.5kg
/cm2 の窒素中で12時間処理し、未反応モノマー
(ラクチド)を除去し、チップC10を得た。チップC
10の重量平均分子量は100,000、多分散度(M
w/Mn)は2.0、残存モノマー(ラクチド)は0.
1重量%であった。又、この乳酸系共重合体のDSCを
測定した結果、ガラス転移点温度は観測されず、融点は
110℃、170℃の2点が観測された。
【0069】チップC10を、75℃で真空乾燥し、絶
乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1m
m厚)、引張試験片(2号試験片)及びアイゾット衝撃
試験(2号A試験片)の成形を行った。得られた名刺大
プレートのヘイズ測定、引張試験及びアイゾット衝撃試
験行った結果、ヘイズは20%、引張強度は20MP
a、引張弾性率は0.5GPa、アイゾット衝撃強度は
3.2kJ/m2 であった。
【0070】上記のように、実施例1〜3の乳酸系共重
合体チップC2、C4及びC6は、重量平均分子量が高
く、多分散度(Mw/Mn)が大きく、各種成形加工性
に優れている。そして、これら各チップから得られる成
型品はヘイズ値が小さく、引張弾性率が小さく、アイゾ
ット衝撃強度が高い。このように、実施例1〜3では、
透明性・柔軟性・耐衝撃性に優れる成型品が得られたこ
とが明らかである。一方、比較例1〜2の乳酸系共重合
体チップC8及びC10は、重量平均分子量が実施例1
〜3に比して小さく、多分散度(Mw/Mn)が小さ
く、これら各チップから得られる成型品はヘイズ値が大
きい。このように、比較例1〜2の成型品は、透明性に
劣っている。
【0071】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、上述のよう
に、各種ポリマーのセグメントサイズを制御し、ポリマ
ー鎖中に分岐構造を導入することにより、十分な高分子
量と優れた耐衝撃性・透明性・柔軟性を有し、かつ成形
性にも優れる高分子量生分解性ポリ乳酸系共重合体を製
造することができる。この製造方法により得られるポリ
乳酸系共重合体は、包装材料、医療用材料、産業資材、
工業用品、容器等の各種用途に用いられるが、特に柔軟
性・透明性が必要とされるフィルム、テープ、シートの
材料として非常に好適である。さらに、乳酸系ポリマー
は生分解性を有するので、従来のプラスチックのような
廃棄物処理の問題も軽減される。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクチド(A)50〜99重量%と、分
    岐構造を有し且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子
    量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が3.0
    以上のポリウレタン(B)1〜50重量%とを、少なく
    とも1種の開環重合触媒(C)及び少なくとも1種のカ
    ルバミン酸エステルに対するエステル交換及び/又はエ
    ステルアミド交換触媒(C’)の存在下に、開環共重合
    並びにエステル交換及び/又はエステルアミド交換反応
    させる、ポリ乳酸系共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリウレタン(B)が、ポリエステルポ
    リウレタンである、請求項1項に記載のポリ乳酸系共重
    合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリウレタン(B)が、ポリマー構成単
    位として、3価以上の多価カルボン酸単位、及び/又は
    3価以上の多価アルコール単位、及び/又は3価以上の
    多価イソシアネート単位を含むポリエステルポリウレタ
    ンである、請求項1又は2項に記載のポリ乳酸系共重合
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリウレタン(B)の重量平均分子量
    が、10,000〜500,000である、請求項1〜
    3項のうちのいずれか1項に記載のポリ乳酸系共重合体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリウレタン(B)が、そのポリマー中
    に窒素原子を0.1〜10重量%含む、請求項1〜4項
    のうちのいずれか1項に記載のポリ乳酸系共重合体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 ポリウレタン(B)の融点及び軟化点の
    うちの少なくとも一方が200℃以下である、請求項1
    〜5項のうちのいずれか1項に記載のポリ乳酸系共重合
    体の製造方法。
  7. 【請求項7】 開環重合触媒(C)が、錫化合物及びチ
    タン化合物から選ばれる、請求項1〜6項のうちのいず
    れか1項に記載のポリ乳酸系共重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 開環重合触媒(C)及びカルバミン酸エ
    ステルに対するエステル交換及び/又はエステルアミド
    交換触媒(C’)が共に、オクチル酸錫である、請求項
    1〜7項のうちのいずれか1項に記載のポリ乳酸系共重
    合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8項のうちのいずれか1項に
    記載の方法で得られる、ポリ乳酸系共重合体。
  10. 【請求項10】 融点が150℃以上である、請求項9
    に記載のポリ乳酸系共重合体。
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