JP4724737B2 - 射出成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、生分解性を有する射出成形体に関するものである。
プラスチック製品等は使用後廃棄等されることが多く、焼却や埋立て等の処分が問題となっている。すなわち通常のプラスチックは、自然環境中で長期にわたって安定であり、しかも嵩比重が小さいため、廃棄物埋め立て処理地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なうという問題点が指摘されていた。
そのため、自然環境下で経時的に分解、消失する材料の研究が行われている。このような材料として今日注目を集めているのは、生分解性プラスチックである。生分解性プラスチックは土壌中や水中で加水分解や生分解によって徐々に崩壊、分解し、最終的には微生物の作用によって無害な分解物となることが知られている。また、コンポスト(堆肥化)処理によって、廃棄が容易になり、廃棄物の有効利用も可能となる。
実用化され始めている生分解性プラスチックとしては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、及びこれらのブレンド体等があり、特に乳酸系樹脂はコストパフォーマンスが良く、植物由来原料から得られること等の点から大きな注目を集めている。乳酸系樹脂は、高剛性、透明性という特徴を活かし、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の代替材料として、フィルム分野や射出成形分野において利用され始めている。
しかし、乳酸系樹脂は、家電製品、自動車部品、射出成形品等に用いられているABS樹脂と比較すると耐衝撃性が低いので、ABS樹脂の代替材料にはなれない。特開平10−87976号公報には、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート共重合体等のような、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の脂肪族ポリエステルを配合することにより、耐衝撃性を改良できることが開示されているが、これらの脂肪族ポリエステルは結晶性が高く、耐衝撃性を向上させる働きを担う非晶部分の割合が少ないので、これらの脂肪族ポリエステルの配合量を多くしなければ耐衝撃性を改良することができない。ところが、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルの配合量を多くすると、成形体の軟質化や耐熱性の低下が生じてしまう。例えば、家電部品や車の部品として使用される樹脂は、日本工業規格JISK−7110に基づくアイゾット衝撃強度(ノッチ付き、23℃)が15kJ/m以上であることが好ましく、また、日本工業規格JISK−7191に基づく荷重たわみ温度(A法、エッジワイズ方向)が50℃以上であることが好ましい。また、乳酸系樹脂は工業的に大量に生産されようとしており、原料供給面、および価格面において有利であるため、射出成形体に占める乳酸系樹脂の配合量が多い方が、製品を安定して、かつ安価に供給することができる。
さらに、これらの脂肪族ポリエステル系樹脂は、成形した後の製品が、長期に保管されたり、比較的長期にわたって使用される場合には、空気中の水蒸気や外部からの水分、あるいは成形品に収めた内容物からの水分によって、加水分解を起こし、機械物性の低下を招くなど、実用上大きな問題があった。特に、60℃、60%RH以上の高温多湿の雰囲気下では、脂肪族ポリエステルは短期間で分解して、数時間から数週間で使用できなくなることがあった。
特開平10−87976号公報
本発明は、乳酸系樹脂の耐衝撃性を改良すると共に、乳酸系樹脂が本来有している生分解性をほとんど損なうことなく、優れた耐加水分解性を有する生分解性の射出成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の射出成形体は、乳酸系樹脂(A)と、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下、かつ結晶融解熱量(ΔHm)が30J/g以下である乳酸系樹脂以外の生分解性ポリエステル系樹脂(B)とを含有する射出成形体であって、乳酸系樹脂(A)と生分解性ポリエステル系樹脂(B)の混合質量比が70:30〜90:10であることを特徴とする。
ここで、前記乳酸系樹脂(A)及び生分解性ポリエステル系樹脂(B)の合計質量が100質量部に対して、無機フィラーを5〜30質量部、および、カルボジイミド化合物を0.5〜10質量部含有することができる。
ここで、前記カルボジイミド化合物はビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミドであることが好ましい。
また、前記生分解性ポリエステル系樹脂(B)は、テトラメチレンアジペート/テレフタレート共重合体、あるいはポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合体であることができる。
また、上記射出成形体を、温度が60〜130℃の条件下で結晶化させることができる。
また、本発明の射出成形体は、JISK−7110に基づいて測定したアイゾット衝撃強度が15kJ/m以上であり、かつ、JISK−7191、A法に基づいて、エッジワイズ方向で測定した荷重たわみ温度が50℃以上であることが好ましい。
本発明によれば、乳酸系樹脂が本来有している生分解性をほとんど損なうことなく、優れた耐衝撃性、耐熱性、さらには耐加水分解性を有する生分解性射出成形体を提供することができる。
発明を実施するための形態
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の射出成形体は、乳酸系樹脂(A)及び乳酸系樹脂以外の生分解性ポリエステル系樹脂(B)を主成分とし、乳酸系樹脂(A):生分解性ポリエステル系樹脂(B)=70:30〜90:10の範囲で含有する。ただし、生分解性ポリエステル系樹脂(B)は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下、かつ結晶融解熱量(ΔHm)が30J/g以下である。生分解性ポリエステル系樹脂(B)の結晶融解熱量(ΔHm)が30J/gより大きいと、成形体の軟質化や耐熱性の低下が起こる。
本発明に用いられる乳酸系樹脂は、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸である、ポリ(DL−乳酸)や、これらの混合体である。
乳酸系樹脂のD乳酸(D体)とL乳酸(L体)との構成比は、L体:D体=100:0〜90:10、もしくは、L体:D体=0:100〜10:90であることが好ましく、L体:D体=100:0〜94:6、もしくは、L体:D体=0:100〜6:94であることがより好ましい。D体とL体との構成比がこの範囲外では、シートや成形体の耐熱性が得られにくく、用途が制限されてしまうことがある。
本発明においては、L体とD体との共重合比が異なる乳酸系樹脂をブレンドしてもよい。この場合には、複数の乳酸系樹脂のL体とD体との共重合比の平均値が上記範囲内に入るようにすれば良い。L体とD体のホモポリマーと、共重合体をブレンドすることにより、ブリードのしにくさと耐熱性の発現とのバランスをとることができる。
乳酸系樹脂の重合法としては、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法を採用することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用して任意の組成、結晶性を有する乳酸系樹脂を得ることができる。ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有する乳酸系樹脂を得ることができる。
さらに、耐熱性向上等の必要に応じて、少量の共重合成分を添加することもでき、テレフタル酸等の非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール等を用いることもできる。
さらにまた、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもできる。
乳酸系樹脂は、さらに、乳酸及び/又は乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸等の他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、脂肪族ジオール及び/又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
他のヒドロキシ−カルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
乳酸系樹脂に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等が挙げられる。
本発明に使用される乳酸系樹脂は、重量平均分子量が5万〜40万の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは10万〜25万の範囲である。乳酸系樹脂の重量平均分子量が5万より小さいと、機械物性や耐熱性等の実用物性がほとんど発現されず、40万より大きいと溶融粘度が高くなりすぎて成形加工性に劣ることがある。
本発明に好ましく使用される乳酸系樹脂としては、(株)島津製作所製のラクティシリーズ、三井化学(株)製のレイシアシリーズ、カーギル・ダウ社製のNature Worksシリーズ等が挙げられる。
本発明に用いられる乳酸系樹脂以外の生分解性ポリエステル系樹脂(B)は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である。また、結晶融解熱量(ΔHm)が、30J/g以下であることが必要であり、ΔHmが25J/g以下であることが好ましい。生分解性ポリエステル系樹脂(B)としては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。生分解性ポリエステル系樹脂(B)は、例えば、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、および脂肪族ジオール成分を縮合して得られる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分あるいは脂肪族ジオール成分は、それぞれ2種類以上を用いてもよい。
本発明において、最も好適に用いられる芳香族ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、脂肪族ジカルボン酸成分はアジピン酸であり、脂肪族ジオール成分は1,4−ブタンジオールである。
脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジオールからなる脂肪族ポリエステルは生分解性を有することが知られているが、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、および脂肪族ジオール成分からなるポリエステルにおいて生分解性を発現させるためには芳香環と芳香環との間に脂肪族鎖が存在することが必要である。そのため、芳香族ジカルボン酸成分は50モル%以下であることが好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、結晶融解熱量(ΔHm)が30J/g以下である生分解性ポリエステルとしては、具体的には、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体等が挙げられる。テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、Eastman Chemicals社製の「Eastar Bio」を商業的に入手することができ、また、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、BASF社製の「Ecoflex」を商業的に入手することができる。
本発明においては、乳酸系樹脂(A)と、Tgが0℃以下、かつΔHmが30J/g以下である生分解性ポリエステル系樹脂(B)とを、質量比で、70:30〜90:10の範囲で配合することが好ましく、75:25〜85:15の範囲で配合することがさらに好ましい。生分解性ポリエステル系樹脂(B)の配合量が30質量%より多いと、成形体の軟質化や耐熱性の低下を生じる。また、生分解性ポリエステル系樹脂(B)の配合量が10質量%より少ないと、耐衝撃性の改良効果が得られない。
従来から、乳酸系樹脂の耐衝撃性を改良するためには、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルを配合することが行われてきた。乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体と脂肪族多価アルコールとを縮合した脂肪族ポリエステルが用いられていた。代表的なものとして、昭和高分子(株)製のビオノーレシリーズ等が知られている。
しかし、ビオノーレシリーズ等の脂肪族ポリエステルは、結晶融解熱量(ΔHm)が30J/gよりも大きいので、耐衝撃性の改良効果を発現させるためには、脂肪族ポリエステルの配合割合を30質量%より多くする必要がある。乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルの配合割合が30質量%より多くなると、成形体の軟質化や耐熱性の低下を生じるので、実用的な射出成形体が得られないという問題がある。
ところが、本発明のように、ΔHmが30J/g以下である生分解性ポリエステル系樹脂を用いれば、脂肪族ポリエステル系樹脂を30質量%以下で配合しても、ビオノーレシリーズ等の脂肪族ポリエステルを30質量%より多く配合した場合と同等以上の耐衝撃性の改良効果が得られるので、耐衝撃性と耐熱性をともに有する射出成形体の提供が可能になる。
本発明においては、乳酸系樹脂(A)及び生分解性ポリエステル系樹脂(B)の合計質量が100質量部に対して、無機フィラーを5〜30質量部配合することが好ましい。このように無機フィラーを5〜30質量部の範囲で配合することにより、射出成形体を金型から取り出す際に、成形体が変形することを防止することができ、また、加熱時に成形体が収縮したり、反りが生じたりすることを防止することができる。無機フィラーの添加量が30質量部より多いと、成形体の強度低下が生じることもある。
本発明に用いられる無機フィラーの具体例としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、含水ホウ酸カルシウム、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、セピオライト、ウィスカー、ガラス繊維、金属粉末、ビーズ、シリカバルーン、シラスバルーン、有機系バルーン等が挙げられる。また、上記無機フィラーの表面を、チタン酸、脂肪酸、シランカップリング剤等で処理して樹脂との接着性を向上させておいてもよく、無機フィラーの効果を向上させることができる。
本発明においては、乳酸系樹脂(A)及び生分解性ポリエステル系樹脂(B)の合計質量が100質量部に対して、カルボジイミド化合物を0.5〜10質量部配合することが好ましい。このようにカルボジイミド化合物を0.5〜10質量部の範囲で配合することにより、得られる射出成形体に耐加水分解性を付与することができる。カルボジイミド化合物の添加量が10質量部より多いと、カルボジイミド化合物のブリードアウトが起こることがあり、そのため成形体の外観不良や、可塑化による機械物性の低下が起こることがある。また、生分解性やコンポスト分解性が損なわれることがある。
本発明に用いられるカルボジイミド化合物としては、下記一般式(1)に示す基本構造を有するものが挙げられる。

−(N=C=N−R−)− (1)

式中、nは1以上の整数であり、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間の適等な整数が選択される。nが2以上の整数である場合に、2以上のRは同一でも異なっていてもよい。
具体的には、例えば、ビス(プロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、および、これらの単量体が、カルボジイミド化合物として挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で使用しても、あるいは、2種以上組み合わせて使用してもよい。本発明においては、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミドを使用することが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、核剤、可塑剤等の添加剤を添加することもできる。
次に、本発明の射出成形体の成形方法について説明する。
乳酸系樹脂(A)と芳香族脂肪族ポリエステル等の生分解性ポリエステル系樹脂(B)、及び、必要に応じて、無機フィラー、カルボジイミド化合物、その他添加剤等の各原料を、同一の射出成形機に投入し、直接混合して射出成形することにより、射出成形体を得ることができる。あるいはまた、ドライブレンドした原料を、二軸押出機を用いてストランド形状に押し出してペレット化し、その後、ペレットを、再度、射出成形機に戻し、射出成形体を形成することもできる。
いずれの方法で射出成形体を形成するにしても原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、各原料を均一に混合するためには後者を選択することが好ましい。
具体的には、例えば、乳酸系樹脂と芳香族脂肪族ポリエステルとを、それぞれ十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押し出してペレットを形成する。ただし、乳酸系樹脂はL−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比によって融点が変化すること、芳香族脂肪族ポリエステルの混合の割合によって混合樹脂の融点が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。通常、100〜250℃の温度範囲内で選択される。
形成したペレットを十分に乾燥し、水分を除去した後、例えば熱可塑性樹脂を成形する場合に一般的に採用される射出成形方法等を用いて、射出成形を行う。
具体的には、射出成形法、ガスアシスト成形法、射出圧縮成形法等の射出成形法によって射出成形体を得ることができる。また、その他目的に応じて、上記の方法以外でもインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用する事もできる。ただし、射出成形方法は、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる射出成形装置は、一般的な射出成形機、ガスアシスト成形機及び射出圧縮成形機等と、これらの成形機に用いられる成形用金型及び付帯機器、金型温度制御装置及び原料乾燥装置等を備えている。
成形条件は、射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるために、溶融樹脂温度が170℃〜210℃の範囲で成形することが好ましい。
射出成形体を非晶状態で得る場合には、成形サイクル(型閉〜射出〜保圧〜冷却〜型開〜取出)の冷却時間を短くするために、金型温度は可能な限り低温であることが好ましい。金型温度は、一般的には15℃〜55℃であることが好ましく、チラーを用いることも望ましい。ただし、後結晶化時の成形体の収縮、反り、変形等を抑制するためには、15℃〜55℃の範囲内でも高温側に設定することが好ましく、例えば、40℃〜55℃であることが好ましい。
また、無機フィラーを添加した成形体では、添加量が多いと成形体の表面にフローマークが発生し易くなるので、射出速度を、無機フィラーを添加しない場合より低速にする事が好ましい。具体例を示すと、例えば、乳酸系樹脂(A)及び生分解性ポリエステル系樹脂(B)の100質量部に対して、タルクを15質量部添加した樹脂組成物を、肉厚2mmのプレート金型を備えたスクリュー径25mmの射出成形機を用いて射出成形する場合には、射出速度が30mm/秒以下であればフローマークの発生しない成形体が得られる。一方、無機フィラーを添加しない場合には、射出速度が50mm/秒でもフローマークは発生しない。
ヒケが発生しやすい場合には、保持圧力及び保持時間を十分に取ることが好ましい。例えば、保持圧力は30MPa〜100MPaの範囲で設定されることが好ましく、保持時間は成形体の形状や肉厚によって1秒〜15秒の範囲内で適宜設定されることが好ましい。例えば、上記の肉厚2mmのプレート金型を備えた射出成形機を用いて成形する場合に、保持時間は3秒前後である。
本発明においては、射出成形によって得られた成形体に、熱処理を行って結晶化させることが好ましい。このように成形体を結晶化させることにより、成形体の耐熱性をさらに向上させることができる。熱処理温度は、60〜130℃の範囲であることが好ましく、70〜90℃の範囲であることがより好ましい。熱処理温度が60℃より低いと、成形体の結晶化が進行せず、熱処理温度が130℃より高いと、形成された成形体を冷却する際に、成形体に変形や収縮が生じる。
熱処理時間は、材料の組成や熱処理装置、および熱処理温度に応じて適宜設定されるが、例えば、熱処理温度が70℃の場合には15分〜3時間熱処理を行うことが好ましく、また、熱処理温度が130℃の場合には、10秒〜30分間熱処理を行うことが好ましい。成形体を結晶化させる方法としては、射出成形後に金型の温度を上げて金型内で結晶化させる方法や、射出成形体を非晶状態で金型から取り出した後、熱風、蒸気、温水、遠赤外線ヒーター、IHヒーターなどで結晶化させる方法等が挙げられる。熱処理の際には、射出成形体を固定しなくてもよいが、成形体の変形を防止するためには、金型、樹脂型などで固定することが好ましい。また、生産性を考慮すると、梱包した状態で熱処理を行うことが好ましい。
金型内で結晶化させるためには、加熱した金型内に溶融樹脂を充填した後、一定時間金型内で保持する。金型温度は60℃〜130℃であることが好ましく、さらに好ましくは70℃〜90℃である。金型温度が60℃より低いと結晶化に長時間を要し、サイクルが長くなり過ぎる。一方、金型温度が130℃より高いとリリース時に変形を生じることがある。
本発明において、射出成形体は、日本工業規格JISK−7110に基づくアイゾット衝撃強度(ノッチ付き、23℃)が15kJ/m以上であることが好ましい。また、日本工業規格JISK−7191に基づく荷重たわみ温度(A法、エッジワイズ方向)が50℃以上であることが好ましく、55℃以上であることが更に好ましい。
本発明における射出成形体は、優れた耐熱性、耐衝撃性、さらには耐加水分解性を備えているので、家電製品、自動車部品、その他の一般的な成形品として、使用することができる。例えば、本発明によって、電卓型成形体を形成することができる。図1(a)は、本発明の実施形態の1つである電卓型成形体の平面図であり、(b)はその正面図である。1〜6は貫通孔の穴明き部であり、1は計算結果等を表示する窓部となる部分、2,3は数字等のキー部分となる部分、4,5,6は爪を掛ける部分である。
以下に、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す測定値は次に示すような条件で測定を行い、算出した。
(1)耐衝撃性
JISK−7110に基づいて、ノッチ付き2号A試験片(長さ64mm×幅12.7mm×厚さ4mm)を作製し、衝撃試験機(安田精機(株)製の「万能衝撃試験機No.258」)を用いて、23℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を行った。アイゾット衝撃強度は、15kJ/mを実用基準とした。
(2)耐熱性
JISK−7191に基づいて試験片(長さ120mm×幅11mm×厚さ3mm)を作製し、荷重たわみ温度試験装置(東洋精機(株)製の「S−3M」)を用いて、荷重たわみ温度の測定を行った。ただし、測定は、エッジワイズ方向、試験片に加える曲げ応力は1.80MPaの条件で行った。荷重たわみ温度は、55℃以上を実用基準とした。
(3)寸法安定性
電卓型金型を準備し、東芝機械(株)製の射出成形機「IS50E」を用い、図1に示すような形状の電卓型非晶性成形体を得た(X=約7.6cm、Y=12.2cm)。この時の成形条件は、シリンダー温度195℃、金型温度25℃、射出圧力110MPa、射出時間1.5秒、保持圧力80MPa、保持時間3.0秒、背圧10MPa、スクリュー回転数110rpmであった。
成形後、測定室内(温度23℃、湿度50%RH)で成形体を24時間静置し、図1に示すXとYの寸法を測定した。その後、70℃で3.5時間、熱処理を行った。ただし、熱処理は、恒温恒湿オーブンを用い、成形体に負荷のかからない状態で静置させて行った。熱処理後、直ちに成形体を取り出し、測定室内で24時間静置した後、再度、XとYの寸法を測定し、熱処理による収縮率を算出した。ただし、XとYの寸法の測定には三次元測定機を用いた。また、評価は下記評価基準に基づいて行った。
評価基準:
「A」 XとYの収縮率が共に1.0%未満であり、反りが生じなかったもの「B」 XとYの収縮率のいずれかが1.0以上、2.0未満であり、また、反りは生じるが、用途によっては実用範囲内であるもの
「C」 XとYの収縮率が共に2.0以上であり、大きな反りが生じたもの
(4)脂肪族ポリエステル系樹脂の重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol%、溶液注入量200μL、溶媒流速1.0mL/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、乳酸系樹脂の重量平均分子量を算出した。ただし、用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2000000、430000、110000、35000、10000、4000、600である。
(5)耐加水分解性
85℃、80%RHの条件で湿熱試験を行い、100時間経過後の分子量保持率を下記式により算出した。分子量保持率は、70%以上を実用基準とした。
Figure 0004724737
(実施例1)
乳酸系樹脂としてカーギル・ダウ社製の「Nature Works 4031D」(L−乳酸/D−乳酸=98.5/1.5、重量平均分子量20万)と、芳香族脂肪族ポリエステルとして Easman Chemicals 社製の「Eastar Bio」(テレフタル酸22モル%、アジピン酸28モル%、1,4−ブタンジオール50モル%、ΔHm=21.6J/g)を用いた。「Nature Works 4031D」と「Eastar Bio」とを、質量比で85:15の割合でドライブレンドした後、三菱重工(株)製の40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて180℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。得られたペレットを東芝機械(株)製の射出成形機「IS50E」(スクリュー径25mm)を用い、L100mm×W100mm×t3mm、またはt=4mmの、厚さが異なる2種類の板材(以下、それぞれ「3mm板」、「4mm板」と称す)を射出成形した。主な成形条件は以下の通りである。
1)温度条件:シリンダー温度(195℃)、金型温度(20℃)
2)射出条件:射出圧力(115MPa)、保持圧力(55MPa)
3)計量条件:スクリュー回転数(65rpm)、背圧(15MPa)
次に、得られた射出成形体をベーキング試験装置((株)大栄科学精器製作所製、「DKS−5S」)内に静置し、70℃で3.5時間熱処理を行った。4mm板を用いてアイゾット衝撃強度、3mm板を用いて荷重たわみ温度の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、「Nature Works 4031D」と、「Eastar Bio」とを、質量比が70:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
Tgが0℃以下であり、かつΔHmが30J/g以下である生分解性ポリエステル系樹脂として、BASF社製の「Ecoflex」(テレフタル酸24モル%、アジピン酸26モル%、1,4−ブタンジオール50モル%、ΔHm:21.0J/g)を用いた。実施例1において、「Nature Works 4031D」と「Ecoflex」とを、質量比が70:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例4)
生分解性ポリエステル系樹脂として、結晶化核剤としてエチレンビスラウリン酸アミド(EBL)を添加した「Ecoflex」(Ecoflex:EBL=100:0.3、ΔHm:25.4J/g)を用いた。実施例1において、乳酸系樹脂と、「Ecoflex」とを、質量比が70:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0004724737
表1から明らかなように、実施例1〜4の射出成形体は、アイゾット衝撃強度が15kJ/m以上、荷重たわみ温度が55℃以上であり、耐衝撃性及び耐熱性ともに優れていることが分かった。
(実施例5)
無機フィラーとしてタルク(日本タルク株式会社製の「ミクロエースL1」)を用いた。実施例1において、「Nature Works 4031D」と、「Eastar Bio」と、「ミクロエースL1」とを、質量比が80:15:5(=84:16:5.3)の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様にして、アイゾット衝撃強度、荷重撓み温度の測定を行い、また、得られた成形体について寸法安定性の評価も行った。その結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1において、「Nature Works 4031D」と、「Eastar Bio」と、「ミクロエースL1」とを、質量比が75:15:10(=83:17:11)の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例5と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例1において、「Nature Works 4031D」と、「Eastar Bio」と、「ミクロエースL1」とを、質量比が70:15:15(=82:18:17.6)の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例5と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0004724737
表2から明らかなように、実施例5〜7の射出成形体は、アイゾット衝撃強度が15kJ/m以上、荷重たわみ温度が55℃以上であり、耐衝撃性及び耐熱性ともに優れていることが分かった。
また、電卓型の成形体について行った寸法安定性の評価は良好な結果を示した。
(比較例1)
実施例1において、芳香族脂肪族ポリエステルを配合せずに、乳酸系樹脂として「Nature Works 4031D」を100質量部用いてペレットを作製した。このペレットを用いて実施例1と同様にして射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
(比較例2)
実施例1において、芳香族脂肪族ポリエステルの替わりに、脂肪族ポリエステルとしてポリブチレンサクシネート(昭和高分子(株)製の「ビオノーレ1001」、ΔHm=58.0J/g)を用い、「Nature Works 4031D」と「ビオノーレ1001」とを、質量比70:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
(比較例3)
実施例1において、芳香族脂肪族ポリエステルの替わりに、脂肪族ポリエステルとして、ポリブチレンサクシネート80モル%/アジペート20モル%共重合体(昭和高分子(株)製の「ビオノーレ3003」、ΔHm=43.0J/g)を用い、「Nature Works 4031D」と「ビオノーレ3003」とを、質量比70:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
(比較例4)
実施例1において、芳香族脂肪族ポリエステルの替わりに、脂肪族ポリエステルとして、ポリブチレンサクシネート80モル%/アジペート20モル%共重合体(昭和高分子(株)製の「ビオノーレ3010」、ΔHm=34.8J/g)を用い、「Nature Works 4031D」と「ビオノーレ3010」とを質量比70:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
(比較例5)
実施例1において、芳香族脂肪族ポリエステルの替わりに、脂肪族ポリエステルとして、ポリブチレンサクシネート80モル%/アジペート20モル%共重合体(昭和高分子(株)製の「ビオノーレ3003」、ΔHm=43.0J/g)を用い、「Nature Works 4031D」と「ビオノーレ3003」とを、質量比60:40の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
(比較例6)
実施例1において、「Nature Works 4031D」と、「Eastar Bio」とを、質量比が60:40の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
(比較例7)
実施例3において、「Nature Works 4031D」と「Ecoflex」とを、質量比が60:40の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0004724737
表3から明らかなように、比較例1〜4の射出成形体は、アイゾット衝撃強度が15kJ/m未満であり、耐衝撃性に劣っていることが分かった。また、比較例3〜7の射出成形体は、荷重たわみ温度が50℃未満であり、耐熱性に劣っていることが分かった。
(実施例8、9)
実施例1において、さらに、カルボジイミド化合物として、ラインケミー社製の「スタバクゾールP」(芳香族ポリカルボジイミド:シリカ=95:5)を用い、無機フィラーとして、タルク(日本タルク株式会社製の「ミクロエースL1」)を用いた。実施例1において、「Nature Works 4031D」と、「Eastar Bio」と、「ミクロエースL1」と、「スタバクゾールP」とを、質量比70:15:15:1.5(=82:18:17.6:1.76)、あるいは、質量比70:15:15:3.0(=82:18:17.6:3.5)の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体のそれぞれについて、実施例1と同様にして、耐衝撃性及び耐熱性の評価を行い、また、耐加水分解性の評価として分子量保持率を求めた。その結果を表4に示す。
(実施例10)
実施例1において、さらに、カルボジイミド化合物として、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド(ラインケミー社製の「スタバクゾールI」)を用い、無機フィラーとして、タルク(日本タルク株式会社製の「ミクロエースL1」)を用いた。実施例1において、「Nature Works 4031D」と、「Eastar Bio」と、「ミクロエースL1」と、「スタバクゾールI」とを、質量比70:15:15:1.5(82:18:17.6:1.76)の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作製した。得られた射出成形体のそれぞれについて、実施例1と同様にして、耐衝撃性及び耐熱性の評価を行い、また、耐加水分解性の評価として分子量保持率を求めた。その結果を表4に示す。
Figure 0004724737
表4から明らかなように、実施例8〜10の射出成形体は、アイゾット衝撃強度が15kJ/m以上、荷重たわみ温度が55℃以上であり、耐衝撃性及び耐熱性ともに優れていることが分かった。また、分子量保持率を算出したところ、70%以上を示し、耐加水分解性の評価において良好な結果を示した。
すなわち、本発明の射出成形体は、生分解性に優れており、また、日本工業規格JISK−7110に基づくアイゾット衝撃強度(ノッチ付き、23℃)が15kJ/m以上であり、日本工業規格JISK−7191に基づく荷重たわみ温度(A法、エッジワイズ方向)が50℃以上であり、耐衝撃性及び耐熱性ともに優れている。さらにまた、乳酸系樹脂の配合量を多くすることができるので、製品を安定して、かつ安価に供給することができる。しかも、脂肪族ポリエステル系樹脂の配合量を所定量以下に抑えることができるので、成形体が、長期に保管されたり、長期にわたって使用されても、また、高温多湿下で保存されても、空気中の水蒸気や外部からの水分等によって加水分解を起こすこともなく、機械物性の低下を招くこともない。
(a)は、本発明の第1の実施形態にかかる射出成形体の平面図であり、(b)は正面図である。
符号の説明
1〜6:穴あき部

Claims (5)

  1. 乳酸系樹脂(A)と、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下、かつ結晶融解熱量(ΔHm)が30J/g以下である乳酸系樹脂以外の生分解性ポリエステル系樹脂(B)とを含有する射出成形体の製造方法であって、前記乳酸系樹脂(A)と前記生分解性ポリエステル系樹脂(B)の混合質量比が70:30〜90:10であり、かつ、射出成形によって得られた成形体を非晶状態で金型から取り出した後、温度が60〜130℃の条件下で熱処理を行うことを特徴とする射出成形体の製造方法。
  2. 前記生分解性ポリエステル系樹脂(B)が、テトラメチレンアジペート/テレフタレート共重合体、あるいはポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形体の製造方法。
  3. 前記射出成形の際の金型温度が15〜55℃の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の射出成形体の製造方法によって製造されることを特徴とする射出成形体。
  5. JISK−7110に基づいて測定したアイゾット衝撃強度が15kJ/m以上であり、かつ、JISK−7191、A法に基づいて、エッジワイズ方向で測定した荷重たわみ温度が50℃以上であることを特徴とする請求項4に記載の射出成形体。
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