JP7249837B2 - 難燃性メタクリル系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

難燃性メタクリル系樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性メタクリル系樹脂組成物に関する。また、難燃性メタクリル系樹脂組成物を成形加工してなる成形体に関する。
一般に、メタクリル樹脂は、高透明性、高耐候性、高硬度、及び、易加工性等の優れた特性を有することから、自動車部品、建築材料、電気・電子製品、家具、乗り物、装飾等、幅広い用途に用いられている。しかしながら、メタクリル樹脂は燃えやすいという課題があり、難燃性が必要とされる用途への使用が制限されるため、市場よりメタクリル樹脂の難燃化が望まれている。
熱可塑性樹脂の難燃化の方法としては、リン酸エステル系化合物等を添加する方法(特許文献1、特許文献2)が知られている。リン酸エステル系化合物の添加の場合、難燃化するためには多量添加が必要となり、耐熱性や強度といった物性の低下が著しいという課題がある。
また、メタクリル樹脂にリンを含有するコモノマーを共重合させることにより、難燃化する方法(特許文献3)も報告されている。共重合による難燃化技術は、耐熱性や強度といった物性を維持しつつ、高い難燃性を発現させることが可能だが、物性改善を目的として他の添加材料を加える際には、所望する難燃性能を得るための難燃成分量の調節が容易に行えないという課題がある。
一方、メタクリル樹脂にフェノキシ樹脂を混錬することで、位相差や強度を改善する方法(特許文献4、5)が報告されているが、メタクリル樹脂の難燃化手法としてフェノキシ樹脂を混錬する例は知られていない。また、臭素化フェノキシ樹脂をメタクリル樹脂に積層することにより、積層体として難燃化される例(特許文献6)が報告されているが、透明性、難燃性が十分であるとは言えない。
特開2008-50580号公報 特開2008-308693号公報 特開2015-86250号公報 特許第5312479号公報 国際公開2016-076357号公報 特開平4-35940号公報
本発明は、難燃性、透明性、流動性、及び耐熱性に優れた難燃性メタクリル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究した結果、メタクリル系樹脂(A)に、リン系難燃剤(B)とフェノキシ樹脂(C)とを配合することで、難燃性、透明性、流動性、及び耐熱性、に優れた難燃性メタクリル系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]
メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、及びフェノキシ樹脂(C)を含み、
上記メタクリル系樹脂(A)、上記リン系難燃剤(B)、及び上記フェノキシ樹脂(C)の合計100質量%に対して、メタクリル系樹脂(A):60~76質量%、リン系難燃剤(B):9~15質量%、及びフェノキシ樹脂(C):15~25質量%を含み、
前記メタクリル系樹脂(A)がメタクリル系樹脂100質量%に対して、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を70~100質量%、アクリル酸エステルに由来する構造単位を0~10質量%、不飽和カルボン酸、酸無水物、芳香族ビニル化合物、N-置換マレイミドに由来する構造単位を0~20質量%含み、
前記リン系難燃剤(B)が、ホスファゼン化合物またはリン酸エステル化合物であり、
前記フェノキシ樹脂(C)が、下記(16)式で表される構造単位を50質量%以上含み、
Figure 0007249837000001
前記フェノキシ樹脂(C)の重量平均分子量が10,000~100,000である、
ことを特徴とする、難燃性メタクリル系樹脂組成物。
[2]
上記リン系難燃剤(B)がハロゲン原子を含まないリン系難燃剤である、[1]に記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
[3]
上記リン系難燃剤(B)の質量割合(b)、及び上記フェノキシ樹脂(C)の質量割合(c)が、下記式(1)を満たす、[1]又は[2]に記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
1≦c/b≦2 (1)
(式中、b、cは、上記難燃性メタクリル系樹脂組成物100質量%に対する質量割合(質量%)を表す。)
[4]
JIS K6911の耐熱性試験A法において、180秒以内に自己消火する、[1]~[3]のいずれかに記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
[5]
JIS K7201に記載の酸素指数法で測定される酸素指数が23%以上である、[1]~[4]のいずれかにに記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物を押出成形又は射出成形してなることを特徴とする、成形体。
[7]
透明難燃板である、[6]に記載の成形体。
本発明は、難燃性、透明性、及び流動性、に優れた難燃性メタクリル系樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)に係る、難燃性メタクリル系樹脂組成物、該難燃性メタクリル系樹脂組成物を構成する各成分、各成分の配合割合、その調製方法等について、順次具体的に説明する。本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々に変形して実施することができる。
[難燃性メタクリル系樹脂組成物]
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、及びフェノキシ樹脂(C)を含有する。
<メタクリル系樹脂(A)>
上記メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を少なくとも含むことが好ましく、メタクリル酸エステルに由来する構造単位とアクリル酸エステルに由来する構造単位又は共重合可能なその他のモノマーに由来する構造単位とを含むことがより好ましく、メタクリル酸エステルに由来する構造単位、アクリル酸エステルに由来する構造単位、共重合可能なその他のモノマーに由来する構造単位を含むことがさらに好ましい。
メタクリル系樹脂(A)中の各構成単位の質量割合としては、メタクリル系樹脂(A)100質量%に対して、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を70~100質量%、アクリル酸エステルに由来する構造単位を0~10質量%、及び共重合可能なその他のモノマーに由来する構造単位を0~20質量%含むことが好ましい。なお、アクリル酸エステルに由来する構造単位、共重合可能なその他のモノマーに由来する構造単位は、含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。
メタクリル酸エステルに由来する構造単位の質量割合としては、好ましくは80~100質量%、より好ましくは80~98質量%、更に好ましくは80~95質量%である。また、アクリル酸エステルに由来する構造単位の質量割合としては、好ましくは1~8質量%、より好ましくは2~6質量%である。また、共重合可能なその他のモノマーに由来する構造単位の質量割合としては、好ましくは0~15質量%、更に好ましくは0質量%超12質量%以下、特に好ましくは1~10質量%である。
上記メタクリル酸エステルに由来する構造単位としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類、及びそれらの誘導体に由来する構造単位が挙げられる。中でも、リン系難燃剤(B)とフェノキシ樹脂(C)と組み合わせて用いたときに、メタクリル系樹脂組成物としての透明性、流動性が得られる観点から、メタクリル酸メチルが好ましい。また、必要に応じてそれらの2種以上が含まれていてもよい。
上記アクリル酸エステルに由来する構造単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル等のアクリル酸エステル類、及びそれらの誘導体に由来する構造単位が挙げられる。中でも、リン系難燃剤(B)とフェノキシ樹脂(C)と組み合わせて用いたときに、メタクリル系樹脂組成物としての透明性、耐熱分解性が得られる観点から、アクリル酸メチルが好ましい。また、必要に応じてそれらの2種以上が含まれていてもよい。
上記共重合可能なその他のモノマーに由来する構造単位としては、例えば、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸等の酸無水物、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のN-置換マレイミド等に由来する構造単位が挙げられる。中でも、リン系難燃剤(B)とフェノキシ樹脂(C)と組み合わせて用いたときに、メタクリル樹脂組成物として高い耐熱性が得られる観点から、無水マレイン酸、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドが好ましい。また、低吸湿性が得られる観点からは、スチレンが好ましい。必要に応じてそれらの2種以上が含まれていてもよい。
メタクリル系樹脂(A)は、難燃性メタクリル系樹脂組成物の成形性、耐熱分解性の観点から、さらに連鎖移動剤に由来する構造単位を含むものが好ましい。
上記連鎖移動剤としては、連鎖移動を起こせる化合物であれば特に制限はなく、例えば、メルカプト基を有する化合物、α-メチルスチレンダイマー、テルピノレン等が挙げられる。中でも、メルカプト基を有する化合物が好ましい。ここでいうメルカプト基を有する化合物としては、例えば、n-オクチルメルカプタン、1-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン、2-メルカプトエタノール、芳香族メルカプタン、チオグリコール酸エステル類、3-メルカプトプロピオン酸、β-メルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。また、必要に応じてそれらの2種以上が含まれていてもよい。
メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(以下、「Mw」と称することがある。)は、好ましくは60,000~200,000であり、より好ましくは70,000~160,000、さらに好ましくは80,000~150,000である。
メタクリル系樹脂(A)のMwが60,000以上あることで、難燃性メタクリル系樹脂組成物を成形加工して得られる成形体の実用強度が十分に高くなる。また、メタクリル系樹脂(A)のMwが200,000以下であることで、難燃性メタクリル系樹脂組成物が、流動性と易加工性とを兼ね備えることができる。
メタクリル系樹脂(A)のMwと数平均分子量(以下、「Mn」と称することがある。)との比(Mw/Mn:以下、この値を「分子量分布」と称することがある。)は、好ましくは1.2~2.4であり、より好ましくは1.2~2.2、さらに好ましくは1.2~2.0である。
メタクリル系樹脂(A)の分子量分布が1.2以上であることで、難燃性メタクリル系樹脂組成物の流動性が向上し、成形加工性に優れる傾向となる。分子量分布が2.4以下であることで、難燃性メタクリル系樹脂組成物を成形加工して得られる成形体が、耐衝撃性及び靭性に優れる傾向となる。
なお、Mw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したクロマトグラムを標準ポリメタクリル酸メチルの分子量で換算した値である。
メタクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、好ましくは110℃以上であり、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。
メタクリル系樹脂(A)のガラス転移温度の上限は、通常130℃である。ガラス転移温度は、分子量やその立体規則性(シンジオタクティシティ(rr))を調節することによって制御することができる。ガラス転移温度がこの範囲にあると、難燃性メタクリル系樹脂組成物の耐熱性が良好になる。
メタクリル系樹脂(A)のJIS K7210に準拠し、230℃、3.8kg荷重にて測定したメルトマスフローレートは、0.1~30g/10minであることが好ましく、より好ましくは0.5~20g/10min、さらに好ましくは1.0~10g/10minである。
メルトマスフローレートが上記範囲であると、難燃性メタクリル系樹脂組成物の成形性が良好なものとなる。
メタクリル系樹脂(A)の製造方法は、特に制限されるものではなく、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法等の公知の重合法を用いることができる。重合温度、重合時間、連鎖移動剤の種類や量、重合開始剤の種類や量等を適宜調整することによって、Mw、Mw/Mn、メルトフローレート等の特性が、本明細書の規定する範囲を満足するメタクリル系樹脂(A)を製造することができる。
メタクリル系樹脂(A)の別の製造方法として、重量平均分子量等の特性のいずれかが上記範囲から外れている複数種のメタクリル系樹脂を適宜混合することによって、重量平均分子量等の特性が上記範囲を満足するメタクリル系樹脂(A)を得る方法が挙げられる。かかる方法は、工程管理が容易である。複数種のメタクリル樹脂の混合は、公知の方法、例えばニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の溶融混練装置を用いて行うことができる。混練時の温度は、使用するメタクリル樹脂の溶融温度に応じて適宜調節することができ、通常150℃~300℃である。
上記重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
重合開始剤の添加量としては、重合に用いる単量体の総量を100質量%とした場合に、0.01~1質量%としてよく、好ましくは0.05~0.5質量%である。
メタクリル系樹脂(A)の質量割合は、透明性、耐熱性の観点から、メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)及びフェノキシ樹脂(C)の合計100質量%に対して、60~76質量%であることが好ましく、より好ましくは65~76質量%、更に好ましくは70~76質量%である。
また、本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物100質量%中のメタクリル系樹脂(A)の質量割合としては、65~75質量%であることが好ましい。
<リン系難燃剤(B)>
上記リン系難燃剤(B)は、ハロゲン原子を含まないリン系難燃剤が好ましい。
難燃剤としてハロゲン原子を含有するハロゲン系化合物を用いると、押出・射出成形時にハロゲン系化合物の分解による加工不良の発生や、成形機・金型の腐食、更には燃焼時のダイオキシンの発生等が起こることがある。ハロゲン原子を含まないリン系難燃剤を用いることにより、環境負荷の少ない難燃性メタクリル系樹脂組成物を得ることができる。
上記リン系難燃剤(B)としては、リン酸エステル化合物やホスファフェナントレン化合物等のリン酸エステル系難燃剤、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスファゼン化合物、有機ホスフィン酸金属塩、リン酸金属塩、赤燐等が挙げられる。その中でも特に分子中のリン含有量が多く、難燃性メタクリル系樹脂組成物の透明性及び耐熱性の低下が少ないことから、ホスファゼン化合物が好ましい。
(ホスファゼン化合物)
上記ホスファゼン化合物としては、特に下記一般式(1)、(2)で示されるものが好ましく、この中の1種又は2種以上が挙げられる。
Figure 0007249837000002
Figure 0007249837000003
一般式(1)中、R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。このようなアリール基又はアルキルアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でもR1及びR2がフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。
このような環状フェノキシホスファゼンとしては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120~130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物等が挙げられる。
また、一般式(1)中、nは3~25の整数を表すが、中でも3~8の整数が好ましく、nの異なる化合物の混合物であってもよい。上記混合物としては、n=3のものが50質量%以上、n=4のものが10~40質量%、n=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物(合計を100質量%とする)が好ましい。
一般式(2)中、R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。このようなアリール基又はアルキルアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でもR1及びR2がフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。
このような鎖状フェノキシホスファゼンとしては、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220~250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3~10,000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物等が挙げられる。
また、R3は、-N=P(OR13、-N=P(OR23、-N=P(O)OR1、-N=P(O)OR2から選ばれる少なくとも1種を示し、R4は、-P(OR14、-P(OR24、-P(O)(OR12、-P(O)(OR22から選ばれる少なくとも1種を示す。上記R3、R4中のR1、R2としては、上述の一般式(2)中のR1及びR2と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
また、一般式(2)中、nは3~10,000の整数を表し、好ましくは3~1,000、より好ましくは3~100、さらに好ましくは3~25である。
上記一般式(1)又は(2)で表されるホスファゼン化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン(例えば、o-トリルオキシホスファゼン、m-トリルオキシホスファゼン、p-トリルオキシホスファゼン、o,m-トリルオキシホスファゼン、o,p-トリルオキシホスファゼン、m,p-トリルオキシホスファゼン、o,m,p-トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)キシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C1-C6アルキルC6-C20アリールオキシホスファゼンや、(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン(例えば、フェノキシo-トリルオキシホスファゼン、フェノキシm-トリルオキシホスファゼン、フェノキシp-トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m-トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p-トリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p-トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m,p-トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)フェノキシキシリルオキシホスファゼン、(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C6-C20アリールC1-C10アルキルC6-C20アリールオキシホスファゼン等が例示できる。
これらのうち、好ましくは、環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状C1-C3アルキルC6-C20アリールオキシホスファゼン、C6-C20アリールオキシC1-C3アルキルC6-C20アリールオキシホスファゼン(例えば、環状及び/又は鎖状トリルオキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状フェノキシトリルフェノキシホスファゼン等)である。
上記ホスファゼン化合物は、その一部が架橋された架橋ホスファゼン化合物であってもよい。このような架橋構造を有することで耐熱性が向上する傾向にある。
このような架橋ホスファゼン化合物としては、下記一般式(3)に示す架橋構造、例えば、4,4’-スルホニルジフェニレン(すなわち、ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2-(4,4’-ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4’-オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4’-チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4’-ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
Figure 0007249837000004
[式(3)中、X2は-C(CH32-、-SO2-、-S-、又は-O-であり、rは0又は1である。]
上記架橋ホスファゼン化合物としては、一般式(1)においてR1及びR2がフェニル基である環状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(3)で表される架橋構造によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物、又は一般式(2)においてR1及びR2がフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(3)で表される架橋構造によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物、が難燃性の点から好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(3)で表される架橋構造によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
上記架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、一般式(1)で表される環状ホスファゼン化合物又は一般式(2)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基及びフェニレン基数を基準として、通常50~99.9%、好ましくは70~90%である。また、上記架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
上記ホスファゼン化合物は、通常、粉粒体で使用できる。粒子状のホスファゼン化合物の平均粒径は、好ましくは0.01~100μm、より好ましくは0.1~50μm程度である。このようなホスファゼン化合物は、安全性に優れるため、環境負荷が少なく、本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物に添加した場合、熱安定性、耐熱性、加水分解性に優れた材料となる。このようなホスファゼン化合物は、一般に販売されているものが使用でき、例えば、商品名「FP-110(株式会社伏見製薬所製)」、「SPS-100(大塚化学株式会社製)」等が挙げられる。
(リン酸エステル化合物)
リン酸エステル系化合物としては、(1)モノエチルホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート、(TEP)等のリン酸エステル、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)等の芳香族リン酸エステル、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合リン酸エステル及びそれらの誘導体やそれらの縮合物;(2)ジメチルビニルホスホナート、ジエチルビニルホスホナート、ジフェニルビニルホスホナート、ジフェニルビニルホスフィンオキシド等のホスホン酸エステル及びそれらの誘導体やそれらの縮合物;下記の一般式(4)又は(5)で表されるリン酸エステル化合物;等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、単独使用で、又は2種以上を併せて使用することができる。
Figure 0007249837000005
(式(4)中、Rは炭素数1~24のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、炭素数1~24のアリール基、炭素数1~24のアルコキシ基、炭素数1~24のアルコキシカルボニル基、炭素数1~24のアルキルカルボキシル基、又は炭素数1~24のアルキレン基を表し、nは1又は2である。)
Figure 0007249837000006
(式(5)中、Xはハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4-ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)サルファイドから誘導される基が挙げられる。p、q、rおよびsはそれぞれ0または1であり、kは0~5の整数を表す。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を置換していない、フェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、又はp-クミルフェノールから誘導される基である。
中でも、式(5)中、Xが、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、又はジヒドロキシジフェニルから誘導される基であり、p、q、rおよびsはそれぞれ1であることが好ましく、kは1~3の整数であり、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を置換していない、フェノール、クレゾール、又はキシレノールから誘導される基である化合物が好ましい。
上記リン酸エステル系難燃剤の中でも、耐加水分解性等にも優れる観点から、ホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェート、ホスフェートオリゴマーとしてはレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)及びビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が好ましく、耐熱性等にも優れる観点から、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)及びビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)がより好ましい。これらは耐熱性も良好であるためそれらが熱劣化したり、揮発したりする等の弊害がないため好ましい。
リン系難燃剤(B)は、それぞれ単独で使用しても良く、また2種類以上を併用して用いても良い。リン系難燃剤(B)の質量割合は、メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、フェノキシ樹脂(C)との合計100質量%に対して、9~15質量%であり、好ましくは9~14質量%、さらに好ましくは9~12質量%である。リン系難燃剤(B)の質量割合が9質量%よりも少ないと難燃効果が不十分となり、15質量%よりも多いと耐熱性や物性が著しく低下する。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物中のリン濃度は、好ましくは0.8~2.5質量%であり、より好ましくは1.2~2.0質量%である。
<フェノキシ樹脂(C)>
上記フェノキシ樹脂(C)は、熱可塑性を有する高分子量エポキシ樹脂であり、ヒドロキシ基含有部を有する鎖及び芳香族ユニットを有するポリヒドロキシポリエーテルのことを指す。
上記フェノキシ樹脂(C)としては、下記式(6)で表される構造単位を1種以上含み、かつ下記式(6)で表される構造単位を50質量%以上含む樹脂等が挙げられる。
Figure 0007249837000007
式(6)中、Xは少なくとも一つのベンゼン環を含む2価基であり、Rは炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。式(6)で表される構造単位は、ランダム、交互、又はブロックのいずれかの形態で繋がっていてもよい。
上記Xは、式(7)~(13)に示す化合物に由来する2価基であることが好ましい。
なお、2価基を構成する2つの結合手の位置は化学的に可能な位置であれば特に限定されない。式(6)中のXは、式(7)~(13)に示す化合物中のベンゼン環上から2つの水素原子が引き抜かれてできる結合手を有する二価基であることが好ましい。特に、式(8)~(13)に示す化合物中のいずれか二つのベンゼン環上からそれぞれ1つの水素原子が引き抜かれてできる結合の手を有する二価基であることが好ましい。
Figure 0007249837000008
式(7)中、R1は、水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は炭素数2~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、nは、1~4のいずれかの整数である。
Figure 0007249837000009
Figure 0007249837000010
式(8)中、R1は、単結合、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、又は炭素数3~20のシクロアルキリデン基である。
式(8)(9)中、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は炭素数2~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、n及びmは、それぞれ独立に、1~4のいずれかの整数である。
Figure 0007249837000011
Figure 0007249837000012
Figure 0007249837000013
Figure 0007249837000014
式(10)(11)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、又は炭素数3~20のシクロアルキリデン基である。
式(10)、(11)、(12)及び(13)中、R4及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は炭素数2~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、q及びrは、それぞれ独立に、1~4のいずれかの整数である。
上記式(7)~(13)で表される化合物に由来する2価基の例としては、以下のようなものを挙げることができる。なお、この例示は、式(6)中のXがこれらに限定されることを意味しない。
Figure 0007249837000015
式(6)中のXは、複数のベンゼン環が脂環又はヘテロ環と縮合してなる化合物に由来する2価基であっても良い。例えば、フルオレン構造やカルバゾール構造を有する化合物に由来する2価基を挙げることができる。
Figure 0007249837000016
式(6)で表される構造単位は、好ましくは式(14)若しくは(15)で表される構造単位、より好ましくは式(16)で表される構造単位である。
Figure 0007249837000017
Figure 0007249837000018
式(14)中、R1は、単結合、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、又は炭素数3~20のシクロアルキリデン基である。式(14)又は(15)中、R2は、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。
Figure 0007249837000019
上記フェノキシ樹脂(C)は、式(6)で表される構造単位を10~1000個含むことが好ましく、より好ましくは15~500個、さらに好ましくは30~300個含むことが好ましい。
上記フェノキシ樹脂(C)の末端の構造としては、エポキシ基を含有しないものが好ましい。末端にエポキシ基を含んでいると、溶融混錬時の温度条件によっては、熱により架橋反応が進み、押出操作が困難になる場合がある。
フェノキシ樹脂(C)としては、新日鉄住金化学のYP-50やYP-50S、三菱化学のjERシリーズ、InChem社のフェノキシ樹脂であるPKHH等を用いることができる。
上記フェノキシ樹脂(C)としては、例えば、2価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応、2価フェノール化合物と2官能エポキシ樹脂との重付加反応から得られる樹脂等が挙げられる。上記反応は溶媒中あるいは無溶媒下に行うことができる。
上記2価フェノール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、1、3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、1、4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン等を挙げることができる。これらの中でも、物性、コスト面から特に4,4-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、又は9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましい。
上記2官能エポキシ樹脂としては、上記の2価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応で得られるエポキシオリゴマー、例えば、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSタイプエポキシ樹脂、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、ビスフェノールFタイプエポキシ樹脂、メチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、クロロハイドロキノンジグリシジルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルオキシドジグリシジルエーテル、2,6-ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも、物性、コスト面から、特にビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、ビスフェノールSタイプエポキシ樹脂、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールFタイプエポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、又は9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテルが好ましい。
フェノキシ樹脂(C)の製造において用いることができる溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトフェノン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン等を好適に用いることができる。
フェノキシ樹脂(C)の製造に用いることのできる触媒としては、従来公知の重合触媒が挙げられ、アルカリ金属水酸化物、第三アミン化合物、第四アンモニウム化合物、第三ホスフィン化合物、第四ホスホニウム化合物が好ましい。
上記フェノキシ樹脂(C)の重量平均分子量は、好ましくは3,000~2,000,000であり、より好ましくは10,000~100,000、さらに好ましくは35,000~70,000である。重量平均分子量がこの範囲にあることで、難燃性に優れ、流動性と易加工性を兼ね備えた難燃メタクリル系樹脂組成物を得ることができる。
なお、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、後述する実施例記載のメタクリル系樹脂の重量平均分子量の測定方法で測定することができる。
上記フェノキシ樹脂(C)のガラス転移温度は、80℃以上が好ましく、85℃以上がより好ましく、90℃以上が最も好ましい。上記範囲のガラス転移温度を有するフェノキシ樹脂(C)を用いることにより、耐熱性が向上する。フェノキシ樹脂(C)のガラス転移温度の上限は、特に規定しないが、一般的には、150℃である。ガラス転移温度が上記上限以下であると、外観に優れる成形体を得ることができる。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物に使用するフェノキシ樹脂(C)は、それぞれ単独で使用しても良く、また2種類以上を併用して用いても良い。
フェノキシ樹脂(C)の質量割合は、メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、フェノキシ樹脂(C)の合計100重量%に対し、15~25重量%であることが好ましく、より好ましくは15~20重量%である。
フェノキシ樹脂(C)の質量割合が15質量%以上であることにより、リン系難燃剤との相乗効果が得られ、難燃性に優れる組成物が得られる。フェノキシ樹脂(C)の質量割合が、25重量%以下であることにより、耐熱性や透明性等の物性に優れる。
フェノキシ樹脂(C)の質量割合がこの範囲にあることで、優れた難燃性と透明性を兼ね備えた難燃性メタクリル系樹脂組成物が得られる。
<その他添加剤>
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、フィラー、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、耐衝撃性改質剤、有機色素、光拡散剤、艶消し剤、蛍光体、帯電防止剤、染顔料、等の添加剤を含有していてもよい。
上記フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
上記フィラーの質量割合としては、難燃性メタクリル系樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
上記酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの中、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤を質量比で、0.2/1~2/1で使用するのが好ましく、0.5/1~1/1で使用するのがより好ましい。
上記リン系酸化防止剤としては、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-オクチルホスファイト(ADEKA社製;商品名:アデカスタブHP-10)、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製;商品名:IRGAFOS168)、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサー3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA社製;商品名:アデカスタブPEP-36)、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製;商品名:アデカスタブ2112)等を挙げることができる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製;商品名IRGANOX1010)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製;商品名IRGANOX1076)、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニロキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン(ADEKA社製;商品名AO-80)等を挙げることができる。
上記熱劣化防止剤としては、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
上記熱劣化防止剤としては、2-t-ブチル-6-(3-tert-ブチル-5-メチル-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4-ジt-アミル-6-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシ-α-メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物であり、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われるものである。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、又は波長380~450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが100dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。
シクロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U-3410型分光光度計を用いて、波長380~450nm、光路長1cmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(MUV)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×MUV
上記ベンゾトリアゾール類は紫外線被照による着色等の光学特性低下を抑制する効果が高いので、本実施形態の成形体を光学用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。ベンゾトリアゾール類としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-t-オクチルフェノール](ADEKA社製;LA-31)、2-(5-オクチルチオ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール等が好ましい。
波長380nm以下の短波長を効率的に吸収したい場合は、トリアジン類の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。このような紫外線吸収剤としては、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(ADEKA社製;LA-F70)や、その類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製;TINUVIN477やTINUVIN460やTINUVIN479)、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等を挙げることができる。
また、本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物の耐候性劣化を効率的に抑制するには、280nm付近(UV-B領域)に最大吸収領域を有する紫外線吸収剤を使用することが特に好ましい。このような紫外線吸収剤としては、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイロキシ)エトキシ]フェノール(ADEKA社製;LA-46)等を挙げることができる。
紫外線吸収剤の質量割合は、紫外線吸収剤のモル吸光係数や、吸収したい波長にも依存するが、難燃性メタクリル系樹脂組成物100質量%に対して、0.01~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~5質量%、さらに好ましくは0.02~2質量%である。質量割合が多い場合、長期間の劣化は抑制されるが、成形時や使用時のブリードアウトが発生することがある。少なすぎると所望の紫外線吸収が発現しない。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物等のヒンダードアミン類が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油等が挙げられる。
離型剤としては、金型からの成形体の離型を容易にする機能を有する化合物である。離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル等が挙げられる。上記離型剤としては、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、高級アルコール類/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比が、2.5/1~3.5/1の範囲で使用するのが好ましく、2.8/1~3.2/1の範囲で使用するのがより好ましい。
高分子加工助剤としては、通常、乳化重合法によって製造することができる、0.05~0.5μmの粒子径を有する重合体粒子である。上記重合体粒子は、単一組成比及び単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比又は極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。高分子加工助剤としては、極限粘度が3~6dl/gであることが好ましい。
上記耐衝撃性改質剤としては、アクリル系ゴム若しくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤;ゴム粒子を複数包含した改質剤、アクリル系ブロック共重合体等が挙げられる。
上記有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
上記光拡散剤や上記艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
上記蛍光体としては、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤等が挙げられる。
これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの添加剤は、メタクリル系樹脂(A)、フェノキシ樹脂(C)等を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、製造されたメタクリル系樹脂(A)、フェノキシ樹脂(C)に添加してもよいし、本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物を調製する際に添加してもよい。
難燃性メタクリル系樹脂組成物に含有される添加剤の合計量は、得られる成形体の外観不良を抑制する観点から、難燃性メタクリル系樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
<難燃性メタクリル系樹脂組成物の特性>
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、及びフェノキシ系樹脂(C)の合計含有量は、難燃性、透明性、流動性の観点から、95質量%以上であることが好ましく、より好ましくは97~99質量%である。
上記リン系難燃剤(B)の質量割合(b)及び上記フェノキシ樹脂(C)の質量割合(c)は、透明性を維持しつつ、一層優れた難燃性、耐熱性、流動性が得られる観点から、下記の式(1)の関係を満たすことが好ましく、下記の式(1)’の関係を満たすことがより好ましく、下記の式(1)’’の関係を満たすことがさらに好ましい。
1≦c/b≦2 (1)
1.2≦c/b≦2 (1)’
1.2≦c/b≦1.8 (1)’’
(式中、b、cは、上記難燃性メタクリル系樹脂組成物100質量%に対する質量割合(質量%)を表す。)
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物のガラス転移温度は、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは95℃以上である。難燃性メタクリル系樹脂組成物のガラス転移温度の上限は特に制限はないが、好ましくは100℃である。上記ガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物を成形してなる成形体のビカット軟化温度は、耐熱性に優れる観点から、80℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上であり、95℃以上であることが特に好ましい。上記ビカット軟化温度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物をGPCにて測定して決定されるMwは、好ましくは60,000~200,000であり、より好ましくは70,000~160,000、さらに好ましくは80,000~150,000である。
難燃性メタクリル系樹脂組成物をGPCにて測定して決定される分子量分布Mw/Mnは、好ましくは1.2~2.5であり、より好ましくは1.3~2.0である。
Mwや分子量分布Mw/Mnがこの範囲にあると、難燃性メタクリル系樹脂組成物の成形加工性が良好となり、耐衝撃性や靭性に優れた成形体を得易くなる。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物を230℃及び3.8kg荷重の条件で測定して決定されるメルトフローレートは、好ましくは0.1~30.0g/10分、さらに好ましくは0.5~20.0g/10分、最も好ましくは1.0~15.0g/10分である。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物は、3.0mmの厚さの成形品として評価した時に、全光線透過率が好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、90%以上が特に好ましい。また、3.0mm厚さの曇価(ヘーズ)が、3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.5%以下がさらに好ましい。これらの範囲にある難燃性メタクリル系樹脂組成物は透明性に優れたものとなり、視認性に優れたものとなる。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物の、JIS K6911の耐熱性試験A法により測定される燃焼性における自己消火するまでの時間としては、180秒以内であることが好ましく、より好ましくは120秒以内、更に好ましくは60秒以内である。また、上記試験における燃焼距離は、100mm以内であることが好ましく、より好ましくは25mm以内である。
上記自己消火するまでの時間及び燃焼距離は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物の、JIS K7201に準拠して測定される、厚さ3mmの成形体としたときの酸素指数としては、23%以上であることが好ましく、より好ましくは25%以上、更に好ましくは28%以上である。
上記酸素指数は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
<難燃性メタクリル系樹脂組成物の調製>
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、フェノキシ樹脂(C)の存在下に、メタクリル酸メチル等を含む単量体混合物を重合してメタクリル系樹脂(A)を生成させる方法や、メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)及びフェノキシ樹脂(C)を溶融混練する方法等を挙げることができる。これらのうち溶融混練法は工程が単純であるので、好ましい。溶融混練の際に、必要に応じて他の重合体や添加剤を混合してもよいし、メタクリル系樹脂(A)を他の重合体及び添加剤と混合した後にフェノキシ樹脂(C)と混合してもよいし、フェノキシ樹脂(C)を他の重合体及び添加剤と混合した後にメタクリル系樹脂(A)と混合してもよいし、その他の方法でもよい。混練は、例えば、ニーダールーダー、単軸又は二軸押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合装置又は混練装置を使用して行なうことができる。これらのうち、二軸押出機が好ましい。混合・混練時の温度は、使用するメタクリル系樹脂(A)及びフェノキシ樹脂(C)の溶融温度等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは110℃~300℃である。
<難燃性メタクリル系樹脂組成物の成形方法>
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物は、通常、上記方法で製造されたペレットとして得られ、これを原料として射出成形、押出成形等、各種成形方法によって成形体を製造することができる。
混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機等を用いた方法が挙げられる。予備混合においては、場合により押出造粒器やブリケッティングマシーン等により造粒を行うこともできる。混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、及びペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。
射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、及び超高速射出成形等の射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
押出成形においては、各種異形押出成形品、シート、フィルム等の成形体を得ることができる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。
本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物を回転成形やブロー成形等に供することにより、中空成形品を得ることも可能である。
[成形体]
本実施形態の成形体は、上述の本実施形態の難燃性メタクリル系樹脂組成物を成形して得ることができる。中でも、押出成形又は射出成形してなる成形体が好ましい。
本実施形態の成形体は、透明難燃板として好適に用いられる。
本実施形態の成形体のJIS K7361に準拠して測定される厚さ3mmとしたときの全光線透過率としては、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。上記全光線透過率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の成形体のJIS K7136に準拠して測定される厚さ3mmとしたときの曇価は、3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.5%以下である。上記曇価は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の成形体の厚さは、特に制限されないが、難燃板として用いる場合には、その厚さは1~10mmであることが好ましく、より好ましくは3~8mm、さらに好ましくは3~5mmである。難燃性を重視するのであれば板厚が厚いほど有利であり、好ましい。
本実施形態の成形体としては、その一形態であるシートの表面に機能層を設けてもよい。機能層としては、ハードコート層、アンチグレア層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、防眩層、静電気防止層、防汚層、微粒子等の易滑性層等を挙げることができる。機能層は片面だけに設けても良いし、両面に設けても良い。
本実施形態の成形体は、例えば、パソコン、ノートパソコン、ゲーム機(家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、パチンコ、及びスロットマシーン等)、ディスプレー装置(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクタ、及び有機EL等)、マウス、並びにプリンター、コピー機、スキャナー及びファックス(これらの複合機を含む)等の外装材や電気・電子部品、キーボードのキーや各種スイッチ等のスイッチ成形品が例示される。さらに本実施形態の成形体は、その他幅広い用途に有用であり、例えば、携帯情報端末(いわゆるPDA)、携帯電話、携帯書籍(辞書類等)、携帯テレビ、記録媒体(CD、MD、DVD、次世代高密度ディスク、ハードディスク等)のドライブ、記録媒体(ICカード、スマートメディア、メモリースティック等)の読取装置、光学カメラ、デジタルカメラ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、及びタイプライター等電気・電子機器を挙げることができ、これらの外装材等の各種部品に本実施形態の成形体を適用することができる。また各種容器、カバー、筆記具本体、装飾品等の各種雑貨においても好適である。さらにはランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品等の車両用部品を挙げることができる。
さらに本実施形態の成形体は、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[原料]
後述する実施例及び比較例において使用した原料について下記に示す。
[[メタクリル系樹脂(A)を構成するモノマー]]
・(a-1)メタクリル酸メチル(MMA)
旭化成株式会社製(重合禁止剤として中外貿易(株)社製2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール(2,4-di-methyl-6-tert-butylphenol)が、MMA100質量%に対して2.5質量ppm添加されているもの)
・(a-2)アクリル酸メチル(MA):三菱化学株式会社製
・(a-3)N-シクロヘキシルマレイミド(N-CMI):株式会社日本触媒製
・(a-4)スチレン(St):旭化成株式会社製
[リン系難燃剤(B)]
・(b-1)ラビトルFP-110(ヘキサフェノキシトリシクロホスファゼン):株式会社伏見製薬所製
・(b-2)PX-200(芳香族縮合リン酸エステル化合物):大八化学工業株式会社製
[フェノキシ樹脂(C)]
・(c-1)PKHH:巴工業株式会社製(後述の(1.重量平均分子量(Mw))に記載の方法で測定したMw:61,000)
・(c-2)フェノトートYP-50:新日鉄住金化学株式会社製(高分子量フェノキシ樹脂、後述の(1.重量平均分子量(Mw))に記載の方法で測定したMw:94,000)
[[その他]]
・ラウロイルパーオキサイド:日本油脂(株)社製、開始剤として使用。
・n-オクチルメルカプタン:アルケマ(株)社製、連鎖移動剤として使用。
・第三リン酸カルシウム:日本化学工業(株)社製、懸濁剤として使用。
・炭酸カルシウム:白石工業(株)社製、懸濁剤として使用。
・ラウリル硫酸ナトリウム:和光純薬(株)社製、懸濁助剤として使用。
[[添加剤]]
・アデカスタブ2112:株式会社ADEKA社製
・アデカスタブAO-80:株式会社ADEKA社製
以下、メタクリル系樹脂(A)、難燃性メタクリル系樹脂組成物、及び成形体の特性の測定方法について記載する。
<1.重量平均分子量(Mw)>
後述の製造例で製造したメタクリル系樹脂(A)及び実施例で製造した難燃性メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)を、下記の装置及び条件で測定した。
・測定装置:東ソー株式会社製、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC-8320GPC)
・測定条件:
カラム:TSKguardcolumn SuperH-H 1本、TSKgel SuperHM-M 2本、TSKgel SuperH2500 1本を順に直列接続して使用した。本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量が遅く溶出する。
展開溶媒:テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/分、内部標準として、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を、0.1g/L添加した。
検出器:RI(示差屈折)検出器
検出感度:3.0mV/分
カラム温度:40℃
サンプル:0.02gのメタクリル系樹脂(A)、又は難燃性メタクリル系樹脂組成物のテトラヒドロフラン20mL溶液
注入量:10μL
検量線用標準サンプル:単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる、以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymer Laboratories製、PMMA Calibration Kit M-M-10)を用いた。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準試料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂(A)、又は難燃性メタクリル系樹脂組成物の溶出時間に対するRI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、3次近似式の検量線とを基に、メタクリル系樹脂(A)、又は難燃性メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)を求めた。結果を表1に示す。
<2.単量体単位の組成>
重合により得られたメタクリル系樹脂(A)について、NMR及びFT-IRの測定を実施し、単量体単位及び構造単位の組成を確認した。
NMR:日本電子株式会社製、JNM-ECA500
FT-IR:日本分光社製、IR-410、ATR法(Dura Scope(ATR結晶:ダイヤモンド/ZnSe)、分解能:4cm-1)を用いた。
<3.耐熱性の測定>
(3-1.ガラス転移温度(Tg))
後述の実施例及び比較例で得られた難燃性メタクリル系樹脂組成物について、熱分析装置(Perkin Elmer社製、Diamond DSC)を用いて、ASTM-D-3418に準拠して測定を行い、中点法によりガラス転移温度(℃)を算出した。評価結果を表1に示す。
(3-2.ビカット軟化温度(VST))
後述の実施例及び比較例で得られた難燃性メタクリル系樹脂組成物からなる成形体(3mm厚)から試験片を切り出し、JIS K7191に準拠し、HDT試験装置(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、試験荷重50N、押込み圧子が試験片に1mm侵入した時の温度をn=3で測定した時の平均値をビカット軟化温度とした。結果を表1に示す。
<4.光学特性(透明性)>
(4-1.全光線透過率)
後述の実施例及び比較例で得られた難燃性メタクリル系樹脂組成物からなる成形体(3mm厚)を用いて、JIS K7361に準拠して、ヘーズメーターNDH7000SPII(日本電色工業株式会社製)を用いて全光線透過率の測定を行い、透明性の指標とした。結果を表1に示す。
(4-2.曇価(ヘーズ))
後述の実施例及び比較例で得られた難燃性メタクリル系樹脂組成物からなる成形体(3mm厚)を用いて、JIS K7136に準拠して、ヘーズメーターNDH7000SPII(日本電色工業株式会社製)を用いて曇価(ヘーズ)の測定を行い、透明性の指標とした。結果を表1に示す。
<5.流動性>
(5-1.メルトフローレート)
後述の実施例及び比較例で得られた難燃性メタクリル系樹脂組成物について、メルトインデクサ(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、JIS K7210に準拠し、230℃、3.8kg荷重でのメルトマスフローレート(MFR)を測定した。結果を表1に示す。
<6.難燃性>
(6-1.水平燃焼試験による難燃性の評価)
後述の実施例及び比較例で得られた難燃性メタクリル系樹脂組成物からなる成形体(3mm厚)から試験片を切り出し、JIS K6911のA法に準拠して水平燃焼試験を行い、燃焼性を測定した。燃焼性の判定は以下の基準により行った。結果を表1に示す。
◎(優れる):接炎後、60秒以内に自己消火するもの
○(良好):接炎後、燃焼時間が60秒を越え、180秒以内に自己消火するもの
×(不良):接炎後、燃焼時間が180秒を越えるもの
(6-2.酸素指数)
後述の実施例及び比較例で得られた難燃性メタクリル系樹脂組成物からなる成形体(3mm厚)から試験片を切り出し、JIS K7201に準拠し、酸素指数(上端点火法)の測定を測定した。結果を表1に示す。
以下、メタクリル系樹脂(A)の製造例について記載する。
[製造例1]
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:20.3kg、アクリル酸メチル:1.3kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、及びn-オクチルメルカプタン:75gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ26mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット〔メタクリル系樹脂(A-1)〕を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は14.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。また、構造単位はMMA/MA=94/6質量%であった。
[製造例2]
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:90g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.52gを投入し、混合液(b)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(b)、メタクリル酸メチル:20.4kg、N-シクロヘキシルマレイミド:1.39kg、スチレン:1.39kg、ラウロイルパーオキサイド:41g、及びn-オクチルメルカプタン:49gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ26mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット〔メタクリル系樹脂(A-2)〕を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は12.3万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.87であった。また、構造単位はMMA/N-CMI/St=88/6/6質量%であった。
[製造例3]
n-オクチルメルカプタンの添加量を32gに変えた以外は、製造例2と同様の原料及び方法を用いて、〔メタクリル系樹脂(A―3)〕を得た。得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は15.5万であった。
[製造例4]
n-オクチルメルカプタンの添加量を70gに変えた以外は、製造例2と同様の原料及び方法を用いて、〔メタクリル系樹脂(A―4)〕を得た。得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は7.8万であった。
上述の各製造例により製造したメタクリル系樹脂を用いて、難燃性メタクリル系樹脂組成物を製造した。
(実施例1)
製造例1で得られたメタクリル系樹脂(A-1)73質量%に対し、リン系難燃剤(FP-110)9質量%、フェノキシ樹脂(PKHH)18質量%、さらにメタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、フェノキシ樹脂(C)の合計100質量%に対してアデカスタブ2112とアデカスタブAO-80を0.05質量%ずつ加えてハンドブレンドにより混合した後、東芝機械株式会社製のベント付(3か所)Φ26mm二軸押出機TEM-26SS(L/D=48)を用いて溶融混錬した。押出温度は、C1/C2/C3/C4~H=150℃/190℃/210℃/230℃とし、メインスクリュー回転数は150rpm、吐出量は10kg/hにて溶融混錬し、ペレット状の難燃性メタクリル系樹脂組成物を製造した。
得られたペレットを80℃で12時間、熱風循環式乾燥機により乾燥し、射出成形機(東芝機械株式会社製:EC-100SX)にて厚さ3mmの試験片を成形し、上記評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1中の重量平均分子量は、難燃性メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量である。
(実施例2~8、比較例1~3)
表1に記載の樹脂及び添加剤を用いて、実施例1と同様の方法でメタクリル系樹脂組成物をペレット化し、評価を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0007249837000020
<実施例1~8と比較例1~3>
表1に示す通り、メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、フェノキシ樹脂(C)の質量割合が所定の範囲内にあり、リン系難燃剤(B)の質量割合(b)とフェノキシ樹脂(C)の質量割合(c)との比(c/b)が一定の範囲にある場合は、透明性を維持しつつ、難燃性、耐熱性、流動性に特に優れる、難燃性メタクリル系樹脂組成物、及びそれからなる成形体を提供することができる。

Claims (7)

  1. メタクリル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)、及びフェノキシ樹脂(C)を含み、
    前記メタクリル系樹脂(A)、前記リン系難燃剤(B)、及び前記フェノキシ樹脂(C)の合計100質量%に対して、メタクリル系樹脂(A):60~76質量%、リン系難燃剤(B):9~15質量%、及びフェノキシ樹脂(C):15~25質量%を含み、
    前記メタクリル系樹脂(A)がメタクリル系樹脂100質量%に対して、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を70~100質量%、アクリル酸エステルに由来する構造単位を0~10質量%、不飽和カルボン酸、酸無水物、芳香族ビニル化合物、N-置換マレイミドに由来する構造単位を0~20質量%含み、
    前記リン系難燃剤(B)が、ホスファゼン化合物またはリン酸エステル化合物であり、
    前記フェノキシ樹脂(C)が、下記(16)式で表される構造単位を50質量%以上含み、
    Figure 0007249837000021
    前記フェノキシ樹脂(C)の重量平均分子量が10,000~100,000である、
    ことを特徴とする、難燃性メタクリル系樹脂組成物。
  2. 前記リン系難燃剤(B)がハロゲン原子を含まないリン系難燃剤である、請求項1に記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
  3. 前記リン系難燃剤(B)の質量割合(b)、及び前記フェノキシ樹脂(C)の質量割合(c)が、下記式(1)を満たす、請求項1又は2に記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
    1≦c/b≦2 (1)
    (式中、b、cは、前記難燃性メタクリル系樹脂組成物100質量%に対する質量割合(質量%)を表す。)
  4. JIS K6911の耐熱性試験A法において、180秒以内に自己消火する、請求項1~3のいずれか一項に記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
  5. JIS K7201に記載の酸素指数法で測定される酸素指数が23%以上である、請求項1~4のいずれかに一項に記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の難燃性メタクリル系樹脂組成物を押出成形又は射出成形してなることを特徴とする、成形体。
  7. 透明難燃板である、請求項6に記載の成形体。
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