JP2003226819A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2003226819A
JP2003226819A JP2002348569A JP2002348569A JP2003226819A JP 2003226819 A JP2003226819 A JP 2003226819A JP 2002348569 A JP2002348569 A JP 2002348569A JP 2002348569 A JP2002348569 A JP 2002348569A JP 2003226819 A JP2003226819 A JP 2003226819A
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acid
resin
flame
aromatic
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JP2002348569A
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English (en)
Inventor
Hatsuhiko Harashina
初彦 原科
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Polyplastics Co Ltd
Original Assignee
Polyplastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン系難燃剤を使用することなく、難燃
化された難燃性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)と、重合度3以上の
ポリマー型芳香族リン酸エステル(B)と、芳香族樹脂
(C)と、窒素含有化合物及び無機酸の金属塩から選択
された少なくとも一種の難燃助剤(D)で構成された難
燃剤とで難燃性樹脂組成物を構成する。前記熱可塑性樹
脂はポリエステル系樹脂であってもよい。前記窒素含有
化合物は、アミノ基含有トリアジン化合物と酸素酸との
塩、ポリリン酸アミド、環状尿素化合物等である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂と、
ポリマー型芳香族リン酸エステル、芳香族樹脂及び特定
の難燃助剤(窒素含有化合物、無機酸の金属塩)で構成
された難燃剤とを含有する難燃性樹脂組成物およびその
製造方法、ならびにこの難燃性樹脂組成物で形成された
成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂のうち、ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリエステル系樹脂やスチレン系樹脂
などは、優れた機械的特性、電気的特性、耐候性、耐水
性、耐薬品性や耐溶剤性を有するため、電気・電子部
品、自動車部品など種々の用途に利用されている。一
方、利用分野が拡大するにつれ、難燃特性の向上が検討
されている。
【0003】特開昭61−287960号公報には、キ
シリレンアジパミド単位を有するポリアミド樹脂に、ブ
チレンナフタレート単位を有するポリエステル樹脂を添
加することにより、ポリアミド樹脂の成形性を向上させ
て射出成形する方法が開示されている。特開昭62−2
01963号公報には、熱可塑性ポリエステル樹脂に、
メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂と相溶化剤とを添
加して、ガスバリア性および透明性を向上させたポリエ
ステル樹脂組成物が開示されている。さらに、特開昭6
3−92667号公報には、エチレンテレフタレート単
位を有するポリエステル樹脂に、メタキシリレン基含有
ポリアミド樹脂および特定の熱可塑性樹脂、さらには雲
母粉末を添加してなる延伸ブロー成形用樹脂組成物が開
示されている。これらの文献においては、樹脂の成形
性、ガスバリア性や透明性は向上するものの、その難燃
性は充分でない。
【0004】そこで、ハロゲン化合物やアンチモン化合
物を用いた難燃剤を添加することにより、熱可塑性樹脂
を難燃化する方法が提案されている。例えば、特開昭6
3−150349号公報には、ポリアミド樹脂とナイロ
ン66からなる混合樹脂に、ガラス繊維、有機ハロゲン
系難燃剤、三酸化アンチモン、及びアルカリ金属または
アルカリ土類金属の水酸化物を配合して難燃化された樹
脂組成物が開示されている。しかし、ハロゲン系難燃剤
においては、燃焼分解時にダイオキシン系化合物を発生
する場合があり、環境問題上好ましくない。そこで、非
ハロゲン系難燃剤として、リン系、窒素含有化合物など
を使用して、難燃化する方法が提案されている。
【0005】特開平6−25506号公報には、芳香族
ビニル化合物とビニル単量体との共重合体、ゴム質重合
体とのグラフト共重合体、およびノボラック樹脂からな
る熱可塑性樹脂に、リン系化合物を添加した難燃性樹脂
組成物が開示されている。特開平9−111059号公
報には、ポリオレフィン系樹脂に、特定量のフェノール
樹脂、リン含有化合物(赤リン)、および膨張性黒鉛を
配合してなる難燃性樹脂組成物が開示されている。ま
た、特開平10−195283号公報には、特定の構造
を有するリン酸エステルに特定化合物(ノボラック型フ
ェノール樹脂および鉄、コバルト、ニッケル又は銅の酸
化物)を適量組み合わせて、難燃化したポリエステル樹
脂組成物が開示されている。特開平11−152402
号公報には、ポリブチレンテレフタレートと、補強成分
と、芳香族ホスフェートオリゴマー及びメラミンピロホ
スフェートで構成された難燃剤とを含む組成物であっ
て、難燃剤の割合がポリマー成分に対して約35〜55
重量%である難燃化ポリエステル組成物が開示されてい
る。
【0006】非ハロゲン系難燃剤は、有害なハロゲンを
含まないものの、ハロゲン系難燃剤と比較して、難燃効
果が劣るため、多量の難燃剤を必要とする。多量の難燃
剤の添加は、ブリードアウト(又はブルーミング)及び
モールドデポジットの生成や樹脂の機械的特性の低下を
引き起こす。そのため、難燃性とともに、機械的特性を
向上させることができない。例えば、膨張性黒鉛を併用
した場合には、成形時の外観が著しく低下する。特に、
リン含有化合物としてリン酸エステルを使用した場合に
は、ブリードアウト及びモールドデポジットの生成や耐
熱性の低下を引き起こす。
【0007】このように、従来の方法では、樹脂の特性
を低下させることなく、高い難燃性を付与することは困
難である。また、上記の難燃剤においては、特定の樹脂
に対して難燃化可能であるものの、幅広い熱可塑性樹脂
に対しては、高い難燃性を付与できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、少量の難燃剤であっても、高いレベルで難燃化され
た非ハロゲン系難燃性樹脂組成物およびその製造方法を
提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、樹脂の特性を低下さ
せることなく、難燃剤のモールドデポジット及びブリー
ドアウト(又はブルーミング)を有効に抑制でき、高度
に難燃化された難燃性樹脂組成物およびその製造方法を
提供することにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、ポリマー型芳
香族リン酸エステルの耐加水分解性に優れた難燃性樹脂
組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0011】本発明の別の目的は、難燃性が改善された
成形体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
達成するため鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂に、特定の
非ハロゲン系難燃剤を添加することにより、高いレベル
で難燃化できることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、
熱可塑性樹脂(A)と難燃剤とを含有する難燃性樹脂組
成物であって、前記難燃剤が、重合度3以上のポリマー
型芳香族リン酸エステル(B)と、芳香族樹脂(C)
と、窒素含有化合物(D1)及び無機酸の金属塩(D
2)から選択された少なくとも一種の難燃助剤(D)と
で構成されている。熱可塑性樹脂(A)には、ポリエス
テル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、
ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂など
が含まれる。前記ポリマー型芳香族リン酸エステル
(B)は、下記式(1)で表される化合物であってもよ
い。
【0014】
【化2】
【0015】(式中、R1〜R4は置換基を有していても
よいアリール基を、Z1は二価の芳香族性基を示す。m
は3以上の整数を示す)。
【0016】芳香族樹脂(C)は、ポリフェニレンスル
フィド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリカ
ーボネート系樹脂、芳香族ナイロン、ポリアリレート系
樹脂、芳香族エポキシ樹脂、ヒドロキシル基及び/又は
アミノ基を有する芳香族環を主鎖又は側鎖に有する樹
脂、特にポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニ
レンオキシド系樹脂等であってもよい。
【0017】窒素含有化合物(D1)は、アミノ基を有
する窒素含有環状化合物、アミノ基を有する窒素含有環
状化合物と酸素酸との塩、アミノ基を有する窒素含有環
状化合物と有機リン酸との塩、アミノ基を有する窒素含
有環状化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有化合物
との塩、ポリリン酸アミド、環状尿素化合物などであっ
てもよい。無機酸の金属塩(D2)は、酸素酸と多価金
属との塩などであってもよい。
【0018】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤、リン系安定剤、無機
系安定剤、活性水素原子に対して反応性の官能基を有す
る化合物(反応性安定剤)、フッ素系樹脂、充填剤など
を含んでいてもよい。
【0019】また、本発明には、熱可塑性樹脂と難燃剤
とを混合して難燃性樹脂組成物を製造する方法、および
前記難燃性樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。
【0020】
【発明の実施の形態】[熱可塑性樹脂(A)]熱可塑性
樹脂(A)としては、成形用として利用される種々の樹
脂、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニ
レンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン系樹
脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0021】(1)ポリエステル系樹脂 ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成
分との重縮合、オキシカルボン酸又はラクトンの重縮
合、またはこれらの成分の重縮合などにより得られるホ
モポリエステル又はコポリエステルである。好ましいポ
リエステル系樹脂は、通常、飽和ポリエステル系樹脂、
特に芳香族飽和ポリエステル系樹脂が含まれる。
【0022】ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪
族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素
数4〜40程度のジカルボン酸、好ましくは炭素数4〜
14程度のジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例え
ば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭
素数8〜12程度のジカルボン酸)、芳香族ジカルボン
酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカ
ルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,
4′−オキシジ安息香酸、4,4′−ジフェニルメタン
ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン
酸などの炭素数8〜16程度のジカルボン酸)、又はこ
れらの誘導体(例えば、低級アルキルエステル、アリー
ルエステル、酸無水物などのエステル形成可能な誘導
体)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、
単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。さら
に、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸な
どの多価カルボン酸などを併用してもよい。
【0023】好ましいジカルボン酸成分には、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸が含まれる。
【0024】ジオール成分には、例えば、脂肪族アルキ
レンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカ
ンジオールなどの炭素数2〜12程度の脂肪族グリコー
ル、好ましくは炭素数2〜10程度の脂肪族グリコー
ル)、ポリオキシアルキレングリコール[アルキレン基
の炭素数が2〜4程度であり、複数のオキシアルキレン
単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコールなど]、脂環族ジ
オール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェ
ノールAなど)などが挙げられる。また、ハイドロキノ
ン、レゾルシノール、ビフェノール、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4
−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、キ
シリレングリコールなどの芳香族ジオールを併用しても
よい。これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み
合わせて使用してもよい。さらに、必要に応じて、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ペンタエリスリトールなどのポリオールを併用して
もよい。
【0025】好ましいジオール成分には、C2-6アルキ
レングリコール(エチレングリコール、トリメチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ールなどの直鎖状アルキレングリコール)、繰返し数が
2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシ
アルキレングリコール[ジエチレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4
ルキレン)単位を含むグリコール]、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールなどが含まれる。
【0026】オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安
息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、
グリコール酸、オキシカプロン酸などのオキシカルボン
酸又はこれらの誘導体などが含まれる。
【0027】ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロ
ラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、
ε−カプロラクトンなど)などのC3-12ラクトンなどが
含まれる。
【0028】好ましいポリエステル系樹脂には、アルキ
レンテレフタレート、アルキレンナフタレートなどのア
ルキレンアリレートを主成分(例えば、50〜100重
量%、好ましくは75〜100重量%程度)とするホモ
ポリエステル又はコポリエステル[例えば、ポリアルキ
レンテレフタレート(例えば、ポリ(1,4−シクロヘ
キサンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレ
フタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレー
ト)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポ
リC2-4アルキレンナフタレート)などのホモポリエス
テル;アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレン
ナフタレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)
として含有するコポリエステル]が含まれる。特に好ま
しいポリエステル系樹脂には、ブチレンテレフタレート
単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレー
ト系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレートコポリエステル)が含まれる。
なお、これらのポリエステル系樹脂は単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。
【0029】また、コポリエステルにおいて、共重合可
能な単量体としては、C2-6アルキレングリコール(エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオールなどの直鎖状アルキレングリコールな
ど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を
有するポリオキシアルキレングリコール(ジエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ
(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールな
ど)、C6-12脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、
芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸など)、
芳香族オキシカルボン酸(オキシ安息香酸、オキシナフ
トエ酸など)などが挙げられる。なお、ポリエステル系
樹脂は、溶融成形性などを損なわない限り、直鎖状のみ
ならず分岐鎖構造を有していてもよく、架橋されていて
もよい。また、液晶ポリエステルであってもよい。
【0030】ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例え
ば、エステル交換、直接エステル化法などにより製造で
きる。
【0031】(2)スチレン系樹脂 スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系単量体
(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レンなど)の単独又は共重合体;スチレン系単量体とビ
ニル単量体(例えば、アクリロニトリルなどの不飽和ニ
トリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル
酸、無水マレイン酸などのα,β−モノオレフィン性不
飽和カルボン酸又は酸無水物あるいはそのエステルな
ど)との共重合体;スチレン系グラフト共重合体、スチ
レン系ブロック共重合体などが挙げられる。
【0032】好ましいスチレン系樹脂としては、ポリス
チレン[GPPS、SPS(シンジオタクチックポリス
チレン)]、(GPPS)、スチレン−メタクリル酸メ
チル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−アクリロ
ニトリル−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ゴ
ム成分にスチレン系単量体が重合した耐衝撃性ポリスチ
レン(HIPS)、ポリスチレン系グラフト又はブロッ
ク共重合体などが含まれる。ポリスチレン系グラフト共
重合体としては、ゴム成分に少なくともスチレン系単量
体および共重合性単量体がグラフト重合した共重合体
(例えば、ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニト
リルをグラフト重合したABS樹脂、アクリルゴムにス
チレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したAAS
樹脂、塩素化ポリエチレンにスチレン及びアクリロニト
リルをグラフト重合したACS樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体にスチレン及びアクリロニトリルをグラフ
ト重合した重合体、エチレン−プロピレンゴムにスチレ
ン及びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、ポ
リブタジエンにスチレンとメタクリル酸メチルをグラフ
ト重合したMBS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体
ゴムにスチレン及びアクリロニトリルがグラフト重合し
た樹脂などが挙げられる。ブロック共重合体としては、
ポリスチレンブロックとジエン又はオレフィンブロック
とで構成された共重合体(例えば、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−
イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−
スチレン(SIS)ブロック共重合体、水素添加スチレ
ン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロック共重合
体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン(SEP
S)ブロック共重合体)などが挙げられる。これらのス
チレン系樹脂は、単独で、又は2種以上組み合わせて使
用できる。
【0033】(3)ポリアミド系樹脂 ポリアミドには、ジアミンとジカルボン酸とから誘導さ
れるポリアミド;アミノカルボン酸、必要に応じてジア
ミン及び/又はジカルボン酸を併用して得られるポリア
ミド;ラクタム、必要に応じてジアミン及び/又はジカ
ルボン酸との併用により誘導されたポリアミドが含まれ
る。ポリアミドには、少なくとも2種の異なったポリア
ミド形成成分により形成されるコポリアミドも含まれ
る。
【0034】ジアミンとしては、例えば、トリメチレン
ジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメ
チルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノ
ナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;ビス(4−
アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3
−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ジアミン
が挙げられる。また、フェニレンジアミン、メタキシリ
レンジアミンなどの芳香族ジアミンを併用してもよい。
これらのジアミンは1種で又は2種以上使用できる。
【0035】ジカルボン酸としては、例えば、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、オクタデカン二酸などのC4-20脂肪族
ジカルボン酸;二量体化脂肪酸(ダイマー酸);シクロ
ヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−
1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタ
ル酸、無水フタル酸、イソフタル酸やテレフタル酸、ナ
フタレンカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙
げられる。
【0036】アミノカルボン酸としては、例えば、アミ
ノヘプタン酸、アミノノナン酸、アミノウンデカン酸な
どのC4-20アミノカルボン酸が例示される。アミノカル
ボン酸も一種で又は二種以上使用できる。
【0037】ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタ
ム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタ
ム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカラ
クタムなどのC4-20ラクタムが挙げられる。これらのラ
クタムも1種で又は2種以上組み合せて使用できる。
【0038】ポリアミド系樹脂としては、ナイロン4
6、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族
ポリアミド、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル
酸及び/又はイソフタル酸)と脂肪族ジアミン(例え
ば、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンな
ど)とから得られるポリアミド、芳香族および脂肪族ジ
カルボン酸(例えば、テレフタル酸とアジピン酸)と脂
肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)とか
ら得られるポリアミドなどが挙げられる。これらのポリ
アミドは単独で又は混合して使用できる。好ましいポリ
アミドには、非芳香族及び脂肪族ポリアミド(ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12など)、半芳香族ポリアミ
ド(ナイロンMXD6、ナイロン9Tなど)、半芳香族
共重合ポリアミド(ナイロン6T/6、ナイロン6T/
66、ナイロン6T/12、ナイロン6I/6、ナイロ
ン6I/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/6
I/6、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/M
5Tなど)などが含まれる。ポリアミド系樹脂は、1種
で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0039】(4)ポリカーボネート系樹脂 ポリカーボネート系樹脂には、ジヒドロキシ化合物と、
ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステ
ルとの反応により得られる重合体が含まれる。ジヒドロ
キシ化合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好
ましくはビスフェノール化合物である。
【0040】ビスフェノール化合物としては、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メ
チルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
4−メチルペンタンなどのビス(ヒドロキシアリール)
1-6アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリー
ル)C4-10シクロアルカン;4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルエーテル;4,4′−ジヒドロキシジフェニル
スルホン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィ
ド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトンなどが挙
げられる。
【0041】好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビ
スフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。ポリカ
ーボネート系樹脂は、1種で又は2種以上組み合わせて
使用できる。
【0042】(5)ポリフェニレンオキシド系樹脂 ポリフェニレンオキシド系樹脂(ポリフェニレンエーテ
ル系樹脂)には、単独重合体および共重合体が含まれ
る。単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジ
エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メ
チル−6−エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポ
リ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)
オキシド、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,
4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−メ
トキシ−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メ
チル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)オ
キシド、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェ
ニレン)オキシド、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4
−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−フェ
ニル−1,4−フェニレン)オキシド等のポリ(モノ、
ジ又はトリC1-6アルキル−フェニレン)オキシド、ポ
リ(モノ又はジC6 -20アリール−フェニレン)オキシ
ド、ポリ(モノC1-6アルキル−モノC6-20アリール−
フェニレン)オキシドなどが挙げられる。
【0043】ポリフェニレンオキシドの共重合体として
は、前記単独重合体のモノマーユニットを2つ以上有す
る共重合体(例えば、2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンオキシド単位と、2,3,6−トリメチル−1,
4−フェニレンオキシド単位とを有するランダム共重合
体など)、ベンゼンホルムアルデヒド樹脂(フェノール
樹脂などのベンゼン環含有化合物のホルムアルデヒド縮
合物)やアルキルベンゼンホルムアルデヒド樹脂に、ク
レゾール、p−tert−ブチルフェノールなどのアルキル
フェノールを反応させて得られるアルキルフェノール変
性ベンゼンホルムアルデヒド樹脂ブロックと、主体構造
としてのポリフェニレンオキシドブロックとで構成され
た変性ポリフェニレンオキシド共重合体、ポリフェニレ
ンオキシド又はその共重合体にスチレン系重合体がグラ
フトしている変性グラフト共重合体などが挙げられる。
ポリフェニレンオキシド系樹脂は1種で又は2種以上組
み合わせて使用できる。
【0044】(6)ビニル系樹脂 ビニル系樹脂としては、ビニル系単量体(例えば、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息
香酸ビニルなどのビニルエステル;塩素含有ビニル単量
体(例えば、塩化ビニル、クロロプレンなど);フッ素
含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど);
メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトンなど
のビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソ
ブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルカ
ルバゾール、N−ビニルピロリドンなどのビニルアミン
類など)の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能
なモノマーとの共重合体などが含まれる。
【0045】前記ビニル系樹脂の誘導体(例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニル
ブチラールなどのポリビニルアセタール、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体など)も使用できる。これらのビニル系樹脂は1種で
又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0046】(7)オレフィン系樹脂 オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピ
レンなどのα−C2-10オレフィンの単独又は共重合体、
特に、プロピレン系樹脂(例えば、プロピレン−エチレ
ン共重合体、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体な
ど)などが挙げられる。
【0047】(8)アクリル系樹脂 アクリル系樹脂には、例えば、(メタ)アクリル系単量
体((メタ)アクリル酸又はそのエステルなど)の単独
又は共重合体の他、 (メタ)アクリル酸−スチレン共重
合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体など
が含まれる。
【0048】(9)その他の樹脂 その他の樹脂としては、ポリアセタール樹脂、脂肪族ポ
リケトン系樹脂(ケトン樹脂);ポリスルホン(例え
ば、熱可塑性ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホ
ン)、ポリ(4,4′−ビスフェノールエーテルスルホ
ンなど);ポリエーテルケトン;ポリ(エーテルエーテ
ルケトン);ポリエーテルイミド;熱可塑性ポリウレタ
ン系樹脂(例えば、トリレンジイソシアネートなどのジ
イソシアネート化合物と、前記グリコール及び/又は前
記ジアミンとの反応により得られる重合体、ポリテトラ
メチレングリコールなどのセグメントを有していてもよ
いポリウレタンエラストマーなど);熱可塑性ポリイミ
ド;ポリオキシベンジレン;熱可塑性エラストマーなど
が例示できる。
【0049】これらの高分子化合物を、単独でまたは二
種以上組合わせて使用してもよい。
【0050】好ましい熱可塑性樹脂としては、液晶ポリ
エステルであってもよいポリエステル系樹脂、スチレン
系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂などが挙
げられ、さらに好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、スチレン系樹脂が挙げられ、特に
ポリエステル系樹脂(PBT系樹脂、PET系樹脂な
ど)が好ましい。ポリエステル系樹脂とスチレン系樹脂
とを併用してもよい。
【0051】上記の熱可塑性樹脂の数平均分子量は、特
に制限されず、樹脂の種類や用途に応じて適宜選択さ
れ、例えば、5×103〜200×104、好ましくは1
×10 4〜150×104、さらに好ましくは1×104
〜100×104程度の範囲から選択できる。また、熱
可塑性樹脂がポリエステル系樹脂の場合、数平均分子量
は、例えば、5×103〜100×104、好ましくは1
×104〜70×104、さらに好ましくは1.2×10
4〜30×104程度であってもよい。
【0052】[難燃剤]本発明では、難燃剤をポリマー
型芳香族リン酸エステル(B)と芳香族樹脂(C)と難
燃助剤(D)とで構成することにより、幅広い熱可塑性
樹脂に対して、その特性を低下させることなく、高い難
燃性を付与できる。
【0053】(B)ポリマー型リン酸エステル ポリマー型芳香族リン酸エステル(B)は、例えば、下
記式(1)で表される化合物であってもよい。
【0054】
【化3】
【0055】(式中、R1〜R4は置換基を有していても
よいアリール基を、Z1は二価の芳香族性基を示す。m
は3以上の整数を示す)。
【0056】式(1)において、R1〜R4で示されるア
リール基としては、フェニル、ナフチル等のC6-20アリ
ール基、置換アリール基(4−メチルフェニル、3−メ
チルフェニル、2−メチルフェニル基等のトリル基、
3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニ
ル、2,3−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェ
ニル基等のキシリル基、エチルフェニル基等のC1-4
ルキルアリール基、ヒドロキシフェニル基等)等が挙げ
られる。
【0057】Z1で表される二価の芳香族性基として
は、アリーレン基[例えば、フェニレン基(1,3−又
は1,4−フェニレン基)やナフチレン基等のC6-20
リーレン基等]、複数の前記アリーレン基を有する基
[ビスフェノール残基(ビスフェノール類からヒドロキ
シル基が除かれた基)やビフェニレン基]等であっても
よい。前記ビスフェノール残基のビスフェノール類とし
ては、例えば、ビス(ヒドロキシジアリール)アルカン
類[ビスフェノールA、ビスフェノールD、ビスフェノ
ールAD、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、ビスフェノールF、2,2′−
ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2′−ジエチル−
4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン等のビス(ヒ
ドロキシアリール)C1-6アルカンなど]、ビス(C1-4
アルキル置換ヒドロキシアリール)アルカン[例えば、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンなど]、ビス(ヒドロキシジアリー
ル)シクロアルカン類[1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリ
ール)C3-12シクロアルカンなど]、ビス(ヒドロキシ
アリール)カルボン酸[例えば、ビス−4,4−(ヒド
ロキシフェニル)ブタン酸などのビス(ヒドロキシアリ
ール)C2-6カルボン酸など]、ビス(ヒドロキシアリ
ールアルキル)ベンゼン類[1,4−ビス(4−ヒドロ
キシフェニルイソプロピル)ベンゼンなど]、ビス(ヒ
ドロキシジアリール)スルホン類[ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)スルホン等]、ビス(ヒドロキシ
アリール)エーテル類[ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)エーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル等]、ビス(ヒドロキシアリール)ケトン
類[4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,
3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキ
シベンゾフェノン等]、ビス(ヒドロキシアリール)ス
ルフィド類[ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキルフェニル)スル
フィド等]、ビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド
類[ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドな
ど]、ジヒドロキシジフェニル類[4,4′−ジヒドロ
キシビフェニル、2,2′−ビフェノール等]、ジ(ヒ
ドロキシフェニル)チオエーテル[ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)チオエーテルなど]、テルペンジフェノー
ル類[例えば、1,4−ジ(C1-4アルキル置換ヒドロ
キシフェニル)−p−メンタンなど]等が例示できる。
【0058】式(1)で表される化合物としては、例え
ば、レゾルシノールホスフェート類(レゾルシノールと
フェニルホスフェートとの縮合物、レゾルシノールとク
レジルホスフェートとの縮合物、レゾルシノールとキシ
レニルホスフェートとの縮合物等)、ハイドロキノンホ
スフェート類(ハイドロキノンとフェニルホスフェート
との縮合物、ハイドロキノンとクレジルホスフェートと
の縮合物、ハイドロキノンとキシレニルホスフェートと
の縮合物等)、ビフェノールホスフェート類(ビフェノ
ールとフェニルホスフェートとの縮合物、ビフェノール
とクレジルホスフェートとの縮合物、ビフェノールとキ
シレニルホスフェートとの縮合物等)、ビスフェノール
ホスフェート類(ビスフェノールAとフェニルホスフェ
ートとの縮合物、ビスフェノールAとクレジルホスフェ
ートとの縮合物、ビスフェノールAとキシレニルホスフ
ェートとの縮合物等)などが挙げられる。
【0059】前記縮合物は、例えば、ヒドロキシアリー
ル化合物(フェノールやクレゾール、キシレノール、ナ
フトール等)とオキシハロゲン化リン(塩化ホスホリル
など)とをモノエステル化させた後、芳香族ジヒドロキ
シ化合物(レゾルシノールやハイドロキノン、ビスフェ
ノール化合物等)等で縮合化することによって得ること
ができる。尚、モノエステル化反応及び/又は縮合反応
は、触媒の非存在下でも進行するが、触媒(塩化マグネ
シウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化リ
ンなど)の存在下で行ってもよい。また、特に、高分子
量体を得るためには、縮合反応を減圧下で行うことが好
ましい。
【0060】このようなポリマー型リン酸エステルの代
表的な製造方法として、US261687号公報、US
2636876号公報、US4482693号公報、特
開昭48−91147号公報、特開平9−255786
号公報、Plymer,Vol29,p756(1988)などを参照できる。
【0061】式(1)において、mは3以上(例えば、
3〜200)、好ましくは5〜100、さらに好ましく
は5〜80(特に5〜70)程度の整数である。
【0062】尚、ポリマー型リン酸は、mが3以上のポ
リマー型リン酸エステルを含んでいればよく、また、m
が1のダイマー型リン酸エステル及び/又はmが2のト
リマー型リン酸エステルを含む混合物であってもよい。
ダイマー型リン酸エステル及び/又はトリマー型リン酸
エステルの含有量は、例えば、50重量%以下、好まし
くは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下
程度である。
【0063】また、前記ポリマー型リン酸エステルは、
ヒドロキシル基を有するポリマー(フェノール樹脂な
ど)のリン酸エステルであってもよい。このようなポリ
マーのリン酸エステルとしては、例えば、下記式(2)
で表される構造単位を有するポリマーが挙げられる。
【0064】
【化4】
【0065】(式中、R5及びR6はアリール基を示
す)。
【0066】前記アリール基としては、前記例示のアリ
ール基(C6-20アリール基、特にフェニル)及び置換ア
リール基(アルキル置換アリール基)が挙げられる。
【0067】本発明において、ポリマー型リン酸エステ
ルとしては、特に、式(1)で表される化合物が好まし
い。
【0068】(C)芳香族樹脂 芳香族樹脂(C)には、ポリフェニレンスルフィド系樹
脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリカーボネート
系樹脂、ポリアリレート系樹脂、芳香族ナイロン、芳香
族エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、芳
香族ビニル樹脂が含まれる。ポリフェニレンオキシド系
樹脂及びポリカーボネート系樹脂としては、前記熱可塑
性樹脂の項で例示した樹脂と同様の樹脂を使用すること
ができ、熱可塑性樹脂と芳香族樹脂とは、通常、異種の
樹脂が使用される。
【0069】(ポリフェニレンスルフィド系樹脂)ポリ
フェニレンスルフィド系樹脂(ポリフェニレンチオエー
テル系樹脂)としては、ポリフェニレンスルフィド骨格
−(Ar−S−)−[式中、Arはフェニレン基を示す]
を有する単独重合体及び共重合体が含まれる。フェニレ
ン基(−Ar−)としては、例えば、p−フェニレン
基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニ
レン基(例えば、C1-5アルキル基などの置換基を有す
るアルキルフェニレン基や、フェニル基などの置換基を
有するアリールフェニレン基)、p,p′−ジフェニレ
ンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′ジ
フェニレンエーテル基、p,p′−ジフェニレンカルボ
ニル基等が例示できる。ポリフェニレンスルフィド系樹
脂は、このようなフェニレン基で構成されるフェニレン
スルフィド基のうち、同一の繰返し単位を用いたホモポ
リマーであってもよく、組成物の加工性の点から、異種
繰返し単位を含むコポリマーであってもよい。
【0070】ホモポリマーとしては、p−フェニレンス
ルフィド基を繰返し単位とする実質上線状のものが好ま
しく用いられる。コポリマーは、前記フェニレンスルフ
ィド基の中で相異なる2種以上を組み合わせて使用でき
る。これらのうち、コポリマーとしては、p−フェニレ
ンスルフィド基を主繰返し単位とし、m−フェニレンス
ルフィド基を含む組み合わせが好ましく、耐熱性、成形
性、機械的特性等の物性上の点から、p−フェニレンス
ルフィド基を60モル%(好ましくは70モル%)以上
含む実質上線状のコポリマーが特に好ましい。
【0071】ポリフェニレンスルフィド樹脂は、比較的
低分子量の線状ポリマーを酸化架橋又は熱架橋により溶
融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーであ
ってもよく、2官能性モノマーを主体とするモノマーか
ら縮重合によって得られる実質的に線状構造の高分子量
ポリマーであってもよい。得られる成形物の物性の点か
らは、縮重合によって得られる実質的に線状構造ポリマ
ーの方が好ましい。又、ポリフェニレンスルフィド樹脂
としては、前記のポリマーの他に、3個以上の官能基を
有するモノマーを組み合わせて重合した分岐又は架橋ポ
リフェニレンスルフィド樹脂や、この樹脂を前記の線状
ポリマーにブレンドした樹脂組成物も用いることができ
る。
【0072】ポリフェニレンスルフィド系樹脂として
は、ポリフェニレンスルフィドやポリビフェニレンスル
フィド(PBPS)の他、ポリフェニレンスルフィドケ
トン(PPSK)、ポリビフェニレンスルフィドスルホ
ン(PPSS)等も使用できる。ポリフェニレンスルフ
ィド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用で
きる。
【0073】ポリフェニレンスルフィド系樹脂の数平均
分子量は、例えば、300〜30×104程度、好まし
くは400〜10×104程度、さらに好ましくは50
0〜5×104程度である。
【0074】(芳香族ナイロン)難燃剤を構成する芳香
族ナイロンとしては、前記熱可塑性樹脂のポリアミド樹
脂とは異種の樹脂が使用される。このような樹脂として
は、下記式(3)で表される単位を有する化合物などが
使用できる。
【0075】
【化5】
【0076】(式中、Z2及びZ3は、同一又は異なっ
て、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族
炭化水素基から選択され、かつ少なくとも一方が芳香族
炭化水素基であり、R7及びR8は、同一又は異なって、
水素原子、アルキル基及びアリール基から選択され、ま
た、R7及びR8は、直結して環を形成してもよい)。
【0077】このような芳香族ナイロンには、ジアミン
とジカルボン酸とから誘導されるポリアミドであって、
ジアミン成分およびジカルボン酸成分のうち、少なくと
も一方の成分が芳香族化合物であるポリアミド;芳香族
アミノカルボン酸、必要に応じてジアミン及び/又はジ
カルボン酸を併用して得られるポリアミドが含まれる。
芳香族ナイロンには、少なくとも2種の異なったポリア
ミド形成成分により形成されるコポリアミドも含まれ
る。
【0078】ジアミンとしては、例えば、フェニレンジ
アミン、ジアミノトルエン、2,4−ジアミノメシチレ
ン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、キ
シリレンジアミン(特に、メタキシリレンジアミン、パ
ラキシリレンジアミン)、ビス(2−アミノエチル)ベ
ンゼン、ビフェニレンジアミン、ビフェニル骨格を有す
るジアミン(例えば、4,4−ジアミノ−3,3′−エ
チルビフェニル)、ジフェニルアルカン骨格を有するジ
アミン[例えば、ジアミノジフェニルメタン、ビス(4
−アミノ−3−エチル)ジフェニルメタン、ビス(4−
アミノ−3−メチルフェニル)メタン、3,3′−ジク
ロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′
−ビス(4−アミノフェニル)プロパンなど]、ビス
(4−アミノフェニル)ケトン、ビス(4−アミノフェ
ニル)スルホン、1,4−ナフタレンジアミンなどの芳
香族ジアミンおよびそれらのN−置換芳香族ジアミンが
挙げられる。また、1,3−シクロペンタンジアミン、
1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノ−
3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミ
ン;トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、
ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,
4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメ
チレンジアミンなどの脂肪族アミンおよびそれらのN−
置換脂肪族ジアミンなどを併用してもよい。これらのジ
アミンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジアミンとしては、芳香族ジアミン(特に、キシリレン
ジアミン、N,N′−ジアルキル置換キシリレンジアミ
ン)を使用するのが好ましい。
【0079】ジカルボン酸としては、例えば、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウ
ンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オク
タデカン二酸などのC2-20脂肪族ジカルボン酸;フタル
酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロ
ヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−
1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;二量
体化脂肪酸(例えば、ダイマー酸)などが挙げられる。
これらのジカルボン酸は単独で又は二種以上組み合わせ
て使用できる。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボ
ン酸(特に、アジピン酸などのC6-20脂肪族ジカルボン
酸)を使用するのが好ましい。
【0080】芳香族又は脂環族アミノカルボン酸として
は、例えば、フェニルアラニン、チロシン、アントラニ
ル酸、アミノ安息香酸などが例示される。アミノカルボ
ン酸も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0081】また、芳香族ナイロンとして、難燃剤とし
ての特性を損わない範囲で、ラクタム及び/又はα,ω
−アミノカルボン酸との縮合体を使用してもよい。ラク
タムとしては、プロピオラクタム、ブチロラクタム、バ
レロラクタム、カプロラクタム(ε−カプロラクタムな
ど)などのC3-12ラクタムなど、α,ω−アミノカルボ
ン酸としては、7−アミノヘプタン酸、10−アミノデ
カン酸などが挙げられる。
【0082】その他の芳香族ナイロンの副成分として、
一塩基酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸、カプロン
酸、ニコチン酸など)、モノアミン類(例えば、エチル
アミン、ブチルアミン、ベンジルアミンなど)、二塩基
酸類(例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、シンコメロン酸など)、ジアミン類
(例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミンなど)、ラクタム類等から選択された少なくとも
1種を粘度調整剤として使用できる。
【0083】芳香族ナイロンとしては、ジアミン成分が
芳香族化合物であるポリアミド(例えば、ジアミン成分
としてキシリレンジアミンを含むポリアミド又はコポリ
アミド)、好ましくは芳香族ジアミンとα,ω−C2-12
ジカルボン酸とから得られるポリアミド[例えば、アジ
ピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリア
ミド(MXD6)、スベリン酸とメタキシリレンジアミ
ンとから得られるポリアミド、アジピン酸とパラキシリ
レンジアミンとから得られるポリアミド(PMD6)、
スベリン酸とパラキシリレンジアミンとから得られるポ
リアミド、アジピン酸とN,N′−ジメチルメタキシリ
レンジアミンとから得られるポリアミド、スベリン酸と
N,N′−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得ら
れるポリアミド、アジピン酸と1,3−フェニレンジア
ミンとから得られるポリアミド、アジピン酸と4,4′
−ジアミノジフェニルメタンとから得られるポリアミ
ド、アジピン酸とメタキシリレンジアミン及びパラキシ
リレンジアミンとから得られるコポリアミド、アジピン
酸とメタキシリレンジアミン及びN,N′−ジメチルメ
タキシリレンジアミンとから得られるコポリアミドな
ど]などが挙げられる。特に好ましい芳香族ナイロンと
しては、芳香族ジアミン(特に、キシリレンジアミン)
とα,ω−C2-12脂肪族ジカルボン酸から得られるポリ
アミド(特に、MXD6)が挙げられる。これらのポリ
アミドは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0084】これらの芳香族ナイロンは、例えば、特公
昭44−22510号公報、特公昭47−51480号
公報、特開昭57−200420号公報、特開昭58−
111829号公報、特開昭62−283179号公
報、工業化学雑誌74巻4号(1971年)第786
頁、工業化学雑誌74巻10号(1971年)第218
5頁、エンジニアリングプラスチック辞典(技報堂出
版、1998年)第74頁及びそれらに記載の参考文献
を基に常圧直接法あるいは溶融重合法などにより調製さ
れる。
【0085】芳香族ナイロンの数平均分子量は、特に制
限されず、例えば、300〜10×104、好ましくは
500〜5×104程度の範囲から選択できる。
【0086】(ポリアリレート系樹脂)ポリアリレート
系樹脂には、下記式(4) [−O−Ar−OC(O)−A1−C(O)−] (4) (式中、Arは芳香族基を示し、A1は芳香族、脂環
族、又は脂肪族基を示す)で表される構造単位を有する
化合物が使用できる。
【0087】このようなポリアリレート系樹脂は、ポリ
エステル化反応としてエステル交換法(例えば、アセテ
ート法、フェニルエステル法など)、酸クロリド法、直
接法、または重付加法などにより、溶融重合法、溶液重
合法、または界面重合法などを使用して製造できる。
【0088】ポリアリレート系樹脂は、芳香族ポリオー
ル成分とポリカルボン酸成分(芳香族ポリカルボン酸成
分、脂肪族ポリカルボン酸成分、脂環式ポリカルボン酸
成分など)との反応により得ることができる。ポリカル
ボン酸成分は、通常、少なくとも芳香族ポリカルボン酸
成分を含む。
【0089】芳香族ポリオール(モノマー)としては、
通常、単環式芳香族ジオール、多環式芳香族ジオールな
どのジオール、又はそれらの反応性誘導体[例えば、芳
香族ポリオールの塩(ナトリウム塩、カリウム塩な
ど)、芳香族ポリオールのエステル(酢酸エステルな
ど)、シリル保護された芳香族ポリオール(トリメチル
シリル化体など)など]が用いられる。
【0090】単環式芳香族ジオールとしては、例えば、
ベンゼンジオール(レゾルシノール、ハイドロキノン、
m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール
など)、ナフタレンジオールなどの炭素数6〜20程度
の芳香族環ジオールが挙げられる。
【0091】多環式芳香族ジオールとしては、例えば、
前記Z1の項で例示のビスフェノール類などが挙げられ
る。好ましい芳香族ポリオールには、ビスフェノール
類、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカ
ン(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビ
スフェノールADなど)、ビフェノールなどが含まれ
る。これら芳香族ポリオールは、単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。
【0092】なお、前記芳香族ポリオールは、脂肪族又
は脂環式ポリオールと併用してもよい。脂肪族ポリオー
ルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコールなどのC1-10脂肪族ポリ
オールが挙げられる。また、前記脂肪族ポリオールに
は、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC3-10
脂肪族環を有する脂肪族ポリオールも含まれる。脂環式
ポリオールとしてはシクロヘキサンジオールなどのC
3-10脂環式ポリオールが挙げられる。
【0093】芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、
単環式芳香族ジカルボン酸、多環式芳香族ジカルボン酸
などのジカルボン酸、又はそれらの反応性誘導体[例え
ば、芳香族ポリカルボン酸ハライド(芳香族ポリカルボ
ン酸クロライドなど)、芳香族ポリカルボン酸エステル
(アルキルエステル、アリールエステルなど)、芳香族
ポリカルボン酸無水物など]が挙げられる。
【0094】単環式芳香族環ジカルボン酸には、例え
ば、前記芳香族ナイロンの項で例示の芳香族カルボン酸
(ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸など
の炭素数8〜20程度のアリールジカルボン酸)が挙げ
られる。なお、前記ベンゼンジカルボン酸及びナフタレ
ンジカルボン酸(特に、ベンゼンジカルボン酸)には、
1又は2個のC1-4アルキル基が置換していてもよい。
【0095】多環式芳香族ジカルボン酸としては、ビス
(アリールカルボン酸)類、例えば、ビフェニルジカル
ボン酸、ビス(カルボキシフェニル)メタンなどのビス
(カルボキシアリール)C1-6アルカン;ビス(カルボ
キシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(カルボキシ
アリール)C3-12シクロアルカン;ビス(カルボキシフ
ェニル)ケトンなどのビス(カルボキシアリール)ケト
ン;ビス(カルボキシフェニル)スルホキシドなどのビ
ス(カルボキシアリール)スルホキシド;ビス(カルボ
キシフェニル)エーテルなどのビス(カルボキシアリー
ル)エーテル;ビス(カルボキシフェニル)チオエーテ
ルなどのビス(カルボキシアリール)チオエーテルなど
が挙げられる。
【0096】好ましい芳香族ポリカルボン酸成分には、
単環式芳香族ジカルボン酸(特に、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸)、ビ
ス(カルボキシアリール)C1-6アルカンなどが含まれ
る。
【0097】脂肪族ポリカルボン酸(モノマー)として
は、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂肪族ジカルボ
ン酸(特にC2-20脂肪族ジカルボン酸)が挙げられ、ジ
カルボキシメチルシクロヘキサンなどのC3-10脂肪族環
を有するジカルボン酸であってもよい。脂環式ポリカル
ボン酸としては、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂
環式ジカルボン酸(特にC3-20脂環式ジカルボン酸)が
含まれる。
【0098】好ましいポリアリレート系樹脂には、芳香
族ポリオールがベンゼンジオール及び/又はビスフェノ
ール類であるポリアリレート樹脂、例えば、ベンゼンジ
オール類(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)及び
/又はビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェ
ノールAD、ビスフェノールF、ビフェノールなど)と
ベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸な
ど)とのポリエステル、ベンゼンジオール類及び/又は
ビスフェノール類とビス(アリールカルボン酸)類[例
えば、ビス(カルボキシフェニル)メタン、ビス(カル
ボキシフェニル)エタン、ビス(カルボキシフェニル)
プロパンなどのビス(カルボキシアリール)C1-4アル
カン]とのポリエステルなどが挙げられる。これらポリ
アリレート系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使
用できる。
【0099】また、ポリアリレート系樹脂は、芳香族ジ
オール及び芳香族ジカルボン酸に加えて、必要に応じ
て、芳香族トリオール、芳香族テトラオール[例えば、
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エ
タンなど]、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカル
ボン酸などを併用してもよい。
【0100】また、ポリアリレート系樹脂の末端は、ア
ルコール類、カルボン酸類など(特に、一価のアルコー
ル類、一価のカルボン酸類など)で封鎖(結合)しても
よい。ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖する一価のア
ルコール類としては、例えば、一価のアリールアルコー
ル類(C1-10アルキル基及び/又はC6-10アリール基が
置換していてもよい一価のフェノール類、例えば、フェ
ノール、o,m,又はp位に1〜2個のメチル基などの
1-4アルキル基を有するアルキルフェノール;o,
m,又はp位にフェニル、ベンジル、クミル基などを有
するアリールフェノールなど)、一価のアルキルアルコ
ール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、ヘキサノール、ステアリルアルコールなどのC
1-20アルキルモノアルコール類)、一価のアラルキルア
ルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコー
ルなどのC7-20アラルキルモノアルコール類)などが含
まれる。
【0101】ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖(結
合)する一価のカルボン酸類としては、一価の脂肪族カ
ルボン酸(酢酸、プロピオン酸、オクタン酸などのC
1-20脂肪族モノカルボン酸)、一価の脂環式カルボン酸
(シクロヘキサンカルボン酸などのC4-20脂環式モノカ
ルボン酸)、一価の芳香族カルボン酸(安息香酸、トル
イル酸、o,m,又はp−tert−ブチル安息香酸、
p−メトキシフェニル酢酸等のC7-20芳香族モノカルボ
ン酸)などが含まれる。また、前記カルボン酸類は、フ
ェニル酢酸などの芳香族基が置換した一価の脂肪族カル
ボン酸(特に、C6- 20芳香族基が置換したC1-10脂肪族
モノカルボン酸)であってもよい。
【0102】また、ポリアリレート系樹脂は、ポリアリ
レート系樹脂以外の樹脂、例えば、ポリアミド、ポリカ
ーボネートなどとポリマーアロイを構成してもよい。前
記ポリマーアロイは、単純混合物のみならずエステル交
換反応させたポリマーアロイ(例えば、PETアロイ)
あるいは相溶化剤を含んだポリマーアロイも含まれる。
【0103】ポリアリレート系樹脂の数平均分子量は、
例えば、300〜30×104程度、好ましくは500
〜10×104程度である。
【0104】(芳香族エポキシ樹脂)芳香族エポキシ樹
脂には、エーテル系エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノ
ール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂な
ど)、芳香族アミン成分を用いたアミン系エポキシ樹脂
などが含まれる。
【0105】ビスフェノール型エポキシ樹脂を構成する
ビスフェノールは、前記ビス(ヒドロキシアリール)類
に同じである。好ましいビスフェノール型エポキシ樹脂
としては、ビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカ
ン、特にビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビス
フェノールFなどのグリシジルエーテルが挙げられる。
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂には、分子量の大
きな前記ビスフェノールグリシジルエーテル(すなわ
ち、フェノキシ樹脂)も含まれる。
【0106】ノボラック型エポキシ樹脂を構成するノボ
ラック樹脂としては、芳香族環にアルキル基(例えば、
1-20アルキル基、好ましくはメチル基、エチル基など
のC 1-4アルキル基)が置換していてもよいノボラック
樹脂(例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾール
ノボラック樹脂など)を挙げることができる。好ましい
ノボラック型エポキシ樹脂には、C1-2アルキル基が置
換していてもよいノボラック樹脂のグリシジルエーテル
が含まれる。
【0107】アミン系エポキシ樹脂を構成する芳香族ア
ミン成分には、単環式芳香族アミン(アニリン、トルイ
ジンなど)、単環式芳香族ジアミン(ジアミノベンゼ
ン、キシリレンジアミンなど)、単環式芳香族アミノア
ルコール(アミノヒドロキシベンゼンなど)、多環式芳
香族性ジアミン(ジアミノジフェニルメタンなど)、多
環式芳香族性アミンなどが挙げられる。
【0108】芳香族エポキシ樹脂の数平均分子量は、例
えば、200〜50,000程度、好ましくは300〜
10,000程度、さらに好ましくは400〜6,00
0程度(例えば、400〜5,000程度)である。ま
た、フェノキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、500
〜50,000程度、好ましくは1,000〜40,0
00程度、さらに好ましくは3,000〜35,000
程度である。
【0109】芳香族エポキシ樹脂は、アミン系硬化剤
(例えば、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン、メタ
フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族
アミンなど)、ポリアミノアミド系硬化剤、酸および酸
無水物系硬化剤などの硬化剤により硬化して用いてもよ
い。
【0110】これらの樹脂成分は単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。
【0111】(ヒドロキシル基及び/又はアミノ基含有
芳香族環を有する樹脂)ヒドロキシル基及び/又はアミ
ノ基を有する芳香族環を有する樹脂としては、前記芳香
族環を主鎖又は側鎖に有する樹脂が挙げられる。これら
の樹脂のうち、芳香族環を主鎖に有する樹脂としては、
例えば、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂が例示でき、
芳香族環を側鎖に有する樹脂としては、芳香族ビニル樹
脂が例示できる。
【0112】(1)ノボラック樹脂 ノボラック樹脂は、下記式(5)で表される繰り返し単
位を有している。
【0113】
【化6】
【0114】(式中、R9〜R11は、同一又は異なっ
て、水素原子、アルキル基又はアリール基を示し、nは
1以上の整数を示す)。
【0115】アルキル基及びアリール基としては、メチ
ル、エチル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチ
ル、ノニル、ドデシル等のC1-20アルキル基(特に、C
1-12アルキル基)、フェニル、ナフチル等のC6-20アリ
ール基及び置換アリール基(特にメチルフェニル基、エ
チルフェニル基等のC1-4アルキル置換アリール基)が
挙げられる。
【0116】ノボラック樹脂(特に、ランダムノボラッ
ク樹脂)は、一般に、フェノール類と、アルデヒド類と
の反応により得られる。フェノール類としては、例え
ば、フェノール、p−又はm−クレゾール、3,5−キ
シレノール、アルキルフェノール(例えば、t−ブチル
フェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノー
ルなどのC1-20アルキルフェノール)、アリールフェノ
ール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノー
ル、クミルフェノール)などが挙げられる。これらのフ
ェノール類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用し
てもよい。
【0117】アルデヒド類としては、例えば、ホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドな
どの脂肪族アルデヒド、フェニルアセトアルデヒドなど
の芳香族アルデヒドなどが挙げられる。好ましいアルデ
ヒド類としては、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。
また、トリオキサン、パラホルムアルデヒドなどのホル
ムアルデヒドの縮合体も使用できる。フェノール類とア
ルデヒド類との割合は、前者/後者=1/0.5〜1/
1(モル比)程度である。
【0118】フェノール類とアルデヒド類との縮合反応
は、通常、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒として
は、例えば、無機触媒(例えば、塩酸、硫酸、リン酸な
ど)、有機触媒(p−トルエンスルホン酸、シュウ酸な
ど)などが挙げられる。
【0119】特に、1〜2核体が低減されたフェノール
ノボラック樹脂が好ましく用いられる。このようなフェ
ノールノボラック樹脂としては、例えば、商品名「スミ
ライトレジンPR−53647」、「スミライトレジン
PR−NMD−100シリーズ」、「スミライトレジン
PR−NMD−200シリーズ」として住友デュレズ
(株)から入手できる。
【0120】また、ノボラック樹脂として、オルソ/パ
ラ比が1以上のハイオルソノボラック樹脂を使用しても
よい。
【0121】特に、ノボラック樹脂としては、オルソ/
パラ比が、1以上、例えば、1〜20(特に1〜15)
程度であるノボラック樹脂、すなわち、いわゆるハイオ
ルソノボラック樹脂が好ましく用いられる。このような
ハイオルソノボラック樹脂としては、例えば、商品名
「スミライトレジンHPNシリーズ」として住友デュレ
ズ(株)から入手できる。
【0122】なお、前述のフェノール類と、ジオキシベ
ンゼン類、ナフトール類、ビスフェノール類(例えば、
前記Z1の項で例示のビスフェノール類)、アルキルベ
ンゼン類(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレ
ン、メシチレンなど)、アニリン類、フルフラール類、
尿素類やトリアジン類(例えば、尿素、シアヌル酸、イ
ソシアヌル酸、メラミン、グアナミン、アセトグアナミ
ン、ベンゾグアナミンなど)、テルペン類、カシューナ
ット類、ロジン類などの共縮合成分との共縮合体も使用
できる。特に、トリアジン類で変性されたアミノトリア
ジンノボラックは好ましい共縮合体である。このような
アミノトリアジンノボラックはフェノール類、トリアジ
ン類、及びホルムアルデヒド類を、塩基性触媒(アンモ
ニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなど)
及び/又は酸性触媒(シュウ酸など)の存在下又は非存
在下で共縮合する方法[例えば、DIC Techni
cal Review No.3、p47(199
7)、特開平8−253557号公報、特開平10−2
79657号公報など]により得られる。アミノトリア
ジンノボラックは、商品名「フェノライト」として大日
本インキ化学工業(株)から入手できる。
【0123】また、ノボラック樹脂(ランダムノボラッ
ク樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール性
水酸基の一部又は全部が、リン化合物(例えば、リン
酸、亜リン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸など
のリン酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化物、塩、
又はエステル(特に、脂肪族エステル)など)、及びホ
ウ素化合物(例えば、ホウ酸、有機ボロン酸、有機ボリ
ン酸などのホウ酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化
物、塩、又はエステルなど)から選択された少なくとも
1種を用いて変性された変性ノボラック樹脂(例えば、
リン酸変性ノボラック樹脂、ホウ酸変性ノボラック樹脂
など)も使用できる。ノボラック樹脂の水酸基は、通
常、リン酸エステル又はホウ酸エステルとして変性され
ている。
【0124】さらに、ノボラック樹脂(ランダムノボラ
ック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール
性水酸基の水素原子の一部又は全部が、金属イオン、シ
リル基もしくは有機基(アルキル基、アルカノイル基、
ベンゾイル基、グリシジル基など)で変性(又は置換)
された変性ノボラック樹脂も使用できる。
【0125】好ましいノボラック樹脂としては、フェノ
ールホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキルフェノ
ールホルムアルデヒド樹脂(例えば、t−ブチルフェノ
ールホルムアルデヒドノボラック樹脂、p−オクチルフ
ェノールホルムアルデヒド樹脂)、およびこれらの共縮
合体(アミノトリアジンノボラック樹脂)、ならびにこ
れらの混合物が挙げられる。
【0126】ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂
及びハイオルソノボラック樹脂)の数平均分子量は、特
に制限されず、例えば、300〜5×104、好ましく
は300〜1×104程度の範囲から選択できる。
【0127】(2)アラルキル樹脂 アラルキル樹脂は、下記式(6)で表される構造単位を
有している。
【0128】
【化7】
【0129】(式中、Arは芳香族基を示し、Z4及び
5は同一又は異なってアルキレン基を示し、R12は水
素原子又はアルキル基を示す。Xはヒドロキシル基、ア
ミノ基、又はN−置換アミノ基を示す)。
【0130】Arで示される芳香族基としては、炭素数
6〜20の芳香族基、例えば、フェニレン基(o−フェ
ニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基な
ど)、ナフチレン基など、好ましくはフェニレン基(特
に、p−フェニレン基)を挙げることができる。
【0131】Z4及びZ5で示されるアルキレン基として
は、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレ
ン、ヘキサメチレンなどのC1-6アルキレン基(C1-4
ルキレン基、特にC1-2アルキレン基)が挙げられる。
12で示されるアルキル基としては、前記R9〜R10
項で例示したC1-20アルキル基(特にC1-4アルキル
基)が挙げられる。
【0132】Xで示されるN−置換アミノ基には、モノ
又はジC1-4アルキルアミノ基、例えば、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基が含まれる。
【0133】アラルキル樹脂としては、Xがヒドロキシ
ル基であるフェノールアラルキル樹脂を用いる場合が多
い。好ましいフェノールアラルキル樹脂には、Z4及び
5がメチレン基、Arがフェニレン基、R26が水素原
子であり、下記式(7)で表されるp−キシレン置換フ
ェノールを繰り返し単位として有する樹脂が含まれる。
【0134】
【化8】
【0135】アラルキル樹脂は、一般に、下記式(8)
で表される化合物とフェノール類又はアニリン類との反
応により得ることができる。フェノール類を用いるとフ
ェノールアラルキル樹脂が、アニリン類を用いるとアニ
リンアラルキル樹脂を得ることができる。
【0136】Y−Z4−Ar−Z5−Y (8) (式中、Yはアルコキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキ
シル基又はハロゲン原子を示す。Ar、Z4及びZ5は前
記に同じ)。
【0137】式(8)において、Yで示されるアルコキ
シ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ
基などのC1-4アルコキシ基が含まれる。アシルオキシ
基にはアセトキシ基などの炭素数が2〜5程度のアシル
オキシ基が含まれる。また、ハロゲン原子には、塩素、
臭素、ヨウ素などが含まれる。
【0138】前記式(8)で表される化合物としては、
例えば、キシリレングリコールC1- 4アルキルエーテル
(p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−キ
シリレングリコールジエチルエーテルなど)などのアラ
ルキルエーテル類、p−キシリレン−α,α′−ジアセ
テートなどのアシルオキシアラルキル類、p−キシリレ
ン−α,α′−ジオールなどのアラルキルジオール類、
p−キシリレン−α,α′−ジクロライド、p−キシリ
レン−α,α′−ジブロマイドなどのアラルキルハライ
ド類が挙げられる。
【0139】フェノール類としては、例えば、前記ノボ
ラック樹脂の項で例示のフェノール又はアルキルフェノ
ールが挙げられる。これらフェノール類は、1種で又は
2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0140】アニリン類としては、例えば、アニリン、
アルキルアニリン(例えば、トルイジン、キシリジン、
オクチルアニリン、ノニルアニリンなどのC1-20アルキ
ルアニリン)、及びN−アルキルアニリン(例えば、
N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン
などのN−C1-4アルキルアニリン)が挙げられる。こ
れらアニリン類は、1種で又は2種以上組み合わせて使
用してもよい。
【0141】前記式(8)で表される化合物と、フェノ
ール類又はアニリン類との割合は、例えば、前者/後者
=1/1〜1/3(モル比)程度、好ましくは1/1〜
1/2.5(モル比)程度である。
【0142】このようにして得られたアラルキル樹脂の
軟化点は、例えば、40〜160℃程度、好ましくは5
0〜150℃程度、さらに好ましくは55〜140℃程
度である。尚、他のアラルキル樹脂として、特開200
0−351822号公報記載のアラルキル樹脂が使用で
きる。
【0143】また、アラルキル樹脂は必要に応じて硬化
又は変性してもよい。硬化又は変性は、通常、ポリアミ
ン(ヘキサメチレンテトラミンなど)によるメチレン架
橋、エポキシ化合物(エピクロルヒドリンなど)による
エポキシ変性などの慣用の方法により行うことができ
る。
【0144】(3)芳香族ビニル樹脂 芳香族ビニル樹脂としては、例えば、下記式(9)で表
される構造単位を有する樹脂が使用できる。
【0145】
【化9】
【0146】(式中、R13は水素原子又はC1-3アルキ
ル基、R14は芳香族環を示し、pは1〜3の整数であ
る)。
【0147】式(9)において、好ましいC1-3アルキ
ル基としては、メチル基が挙げられる。また、芳香族環
としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン環などのC
6-20芳香族環が挙げられる。なお、芳香族環は、置換基
(例えば、ヒドロキシル基;前記R9〜R10の項で例示
のアルキル基;前記Yの項で例示のアルコキシ基など)
を有していてもよい。
【0148】式(9)において、ヒドロキシル基の水素
原子は、金属イオン、シリル基もしくはアルキル基、ア
ルカノイル基、ベンゾイル基などの有機基(保護基)で
保護されていてもよい。
【0149】このような誘導体から得られる樹脂は、例
えば、下記式(10)に示される構造単位を有する。
【0150】
【化10】
【0151】[式中、R13は前記に同じ。R15は−O
H, −OSi(R16)3及び−OM(Mは金属カチオン、O
16及びOCOR16であり、R16は1〜5個の炭素原子
を有するアルキル基又はアリール基である)からなる群
より選ばれる基である。また、qは1〜3の整数であ
る]。
【0152】前記式において、Mは一価のアルカリ金属
カチオン(ナトリウム、リチウム、カリウムなど)、又
は二価のアルカリ土類金属カチオン(マグネシウム、カ
ルシウムなど)もしくは遷移金属カチオンのいずれかで
あってもよい。
【0153】前記式の置換基R15は、オルト位、メタ位
又はパラ位のいずれか一つに位置していればよい。さら
に、置換基R15に加えて、ペンダント芳香族環はC1-4
アルキル基で置換されていてもよい。
【0154】芳香族ビニル系樹脂には、前記構造単位
(9)に対応するヒドロキシル基を有する芳香族ビニル
モノマーの単独又は共重合体、または他の共重合性モノ
マーとの共重合体などが含まれる。
【0155】芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、
ビニルフェノール、ジヒドロキシスチレン、ビニルナフ
トールなどのヒドロキシル基含有芳香族ビニルモノマー
などが含まれる。これらの芳香族ビニルモノマーは単独
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0156】他の共重合性モノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル系モノマー[(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル
などの(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロ
キシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸グリシジルな
ど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニト
リルなど]、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレ
ン、ビニルナフタリン、ビニルシクロヘキサンなど)、
重合性多価カルボン酸(フマル酸、マレイン酸など)、
マレイミド系モノマー(マレイミド、N−アルキルマレ
イミド、N−フェニルマレイミドなど)、ジエン系モノ
マー(イソプレン、1,3−ブタジエン、1,4−ヘキ
サジエン、ジシクロペンタジエンなど)、ビニル系モノ
マー(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの
ビニルエステル類;メチルビニルケトン、メチルイソプ
ロペニルケトンなどのビニルケトン類;ビニルイソブチ
ルエーテル、ビニルメチルエーテルなどのビニルエーテ
ル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルイミダゾールなどの窒素含有ビニルモノ
マーなど)などが挙げられる。これらの共重合性モノマ
ーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0157】ビニルモノマーと共重合性モノマーとの割
合は、例えば、10/90〜100/0(重量%)、好
ましくは30/70〜100/0(重量%)、さらに好
ましくは50/50〜100/0(重量%)程度であ
る。
【0158】好ましい芳香族ビニル樹脂は、ビニルフェ
ノール単独重合体(ポリヒドロキシスチレン)、特にp
−ビニルフェノール単独重合体である。
【0159】芳香族ビニル樹脂の数平均分子量は、特に
制限されず、例えば、300〜50×104、好ましく
は400〜30×104程度の範囲から選択できる。
【0160】これらの芳香族樹脂のうち、ポリフェニレ
ンスルフィド系樹脂及びポリフェニレンオキシド系樹脂
が好ましい。
【0161】(D)難燃助剤 本発明の難燃助剤(D)には、窒素含有化合物(D1)
及び無機酸の金属塩(D2)が含まれる。
【0162】(D1)窒素含有化合物 難燃助剤として用いられる窒素含有化合物としては、
(a)アミノ基を有する窒素含有環状化合物、(b)ア
ミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素酸との塩、
(c)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と有機リン
酸との塩、(d)ポリリン酸アミド、(e)環状尿素化
合物等が挙げられる。
【0163】(a)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物 アミノ基を有する窒素含有環状化合物には、少なくとも
1つのアミノ基と、少なくとも1つの窒素原子を環のヘ
テロ原子として有するヘテロ環状化合物が含まれ、ヘテ
ロ環は、窒素以外にイオウ、酸素などの他のヘテロ原子
を有していてもよい。このような窒素含有ヘテロ環に
は、イミダゾール、チアジアゾール、チアジアゾリン、
フラザン、トリアゾール、チアジアジン、ピラジン、ピ
リミジン、ピリダジン、トリアジン、プリンなどの複数
の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不飽
和窒素含有ヘテロ環などが含まれる。このような窒素含
有環のうち、複数の窒素原子を環の構成原子として有す
る5又は6員不飽和窒素含有環が好ましく、特に、トリ
アゾール及びトリアジンが好ましい。
【0164】トリアゾール化合物としては、1,2,3
−トリアゾール類(1H−1,2,3−トリアゾール
類;2H−1,2,3−トリアゾール類など)、及び
1,2,4−トリアゾール類(グアナゾールなどの1H
−1,2,4−トリアゾール類;グアナジンなどの4H
−1,2,4−トリアゾール類など)が例示でき、アミ
ノ基はトリアゾール環の適当な部位(窒素原子及び炭素
原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。アミノ基
の個数は、特に制限されず、1〜3個、特に1〜2個程
度である。
【0165】トリアジン化合物としては、1,3,5−
トリアジン類[メラミン、置換メラミン(2−メチルメ
ラミンなどのアルキルメラミン、グアニルメラミンな
ど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンな
ど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデ
ヒド樹脂、フェノール−メラミン樹脂、ベンゾグアナミ
ン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂な
ど)などのメラミン又はその誘導体;アンメリン、アン
メリドなどのシアヌール酸アミド類;グアナミン、メチ
ルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、
サクシノグアナミン、CTU−グアナミンなどのグアナ
ミン又はその誘導体など]、アミノ基含有1,2,3−
トリアジン類(5−位、4,5−位、4,5,6−位な
どにアミノ基が置換した1,2,3−トリアジン、4−
アミノ−ベンゾ−1,2,3−トリアジンなど)、アミ
ノ基含有1,2,4−トリアジン類(3−位、5−位、
3,5−位などにアミノ基が置換した1,2,4−トリ
アジンなど)などの各種アミノトリアジン類が挙げられ
る。アミノ基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子
及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。
アミノ基の個数は特に制限されず、1〜4個、特に1〜
3個(例えば、1〜2個)程度である。
【0166】これらのうち、アミノ基含有トリアジン化
合物、特にアミノ基含有1,3,5−トリアジン類が好
ましい。
【0167】(b)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物と酸素酸との塩 アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記
(a)と同様の窒素含有環状化合物が使用できる。
【0168】アミノ基を有する窒素含有環状化合物は、
環を構成する窒素原子部位(イミノ基)で酸素酸と塩を
形成してもよいが、通常、環に置換した少なくとも1つ
のアミノ基と酸素酸とで塩を形成するのが好ましい。複
数のアミノ基を有する場合、全てのアミノ基が酸素酸と
塩を形成していてもよい。また、複数の同種又は異種の
窒素含有化合物(前記窒素含有環状化合物や他のアミノ
基含有窒素含有化合物)が1つのポリ酸と塩を形成し
て、ポリ酸の複塩を形成してもよい。
【0169】(酸素酸)酸素酸には、硝酸、塩素酸(過
塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸など)、リン
酸、硫酸、スルホン酸、ホウ酸、クロム酸、アンチモン
酸、モリブデン酸、タングステン酸、スズ酸、ケイ酸な
どが含まれる。好ましい酸素酸には、リン酸(ポリリン
酸)、硫酸、スルホン酸、ホウ酸が含まれる。
【0170】(1)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物のリン酸塩 リン酸には、ペルオクソリン酸、オルトリン酸、メタリ
ン酸、亜リン酸(ホスホン酸)、次亜リン酸(ホスフィ
ン酸)などの非縮合リン酸;ポリメタリン酸(HPO3)
r(式中、rは、2以上の整数を示す)、次リン酸、無
水リン酸(五酸化二リン)などの縮合リン酸(ポリリン
酸)などが含まれる。また、前記ポリリン酸には下記式
(11)で表される縮合リン酸類も含まれる。
【0171】
【化11】
【0172】(式中、sは2以上の整数を示す)。
【0173】前記式において、sは、縮合リン酸の縮合
度を示し、好ましくは2〜200の整数、さらに好まし
くは3〜100の整数である。
【0174】また、前記ポリリン酸には、ピロリン酸、
三リン酸、四リン酸なども含まれる。
【0175】複数の塩形成可能な部位を有するリン酸
は、少なくとも一部の部位がアミンや尿素などの他のア
ミノ基含有化合物と部分塩(ポリリン酸アンモニウム、
ポリリン酸尿素などの縮合酸の部分塩;オルトリン酸尿
素などの非縮合酸の部分塩など)を形成してもよい。
【0176】アミノ基を有する窒素含有環状化合物のリ
ン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のリン
酸塩、例えば、非縮合リン酸塩(オルトリン酸メラミ
ン、ホスホン酸メラミンなどの非縮合リン酸のメラミン
塩;前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メ
ロン塩、グアナミン塩など)、ポリリン酸塩[ピロリン
酸メラミン塩(ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラ
ミン)、これらのピロリン酸メラミン塩に対応する三リ
ン酸塩、四リン酸塩などのポリリン酸メラミン類;前記
ポリリン酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、
メロン塩、グアナミン塩など]などが例示できる。ま
た、ポリリン酸塩は、硫酸に由来する硫黄原子を含んで
いてもよい。前記トリアジン塩に対応するトリアゾール
塩なども使用できる。
【0177】ポリリン酸塩には、ポリリン酸メラミン・
メラム・メレム複塩、メタリン酸メラミン・メラム・メ
レム複塩や、前記イオウ原子を含むポリ酸(リン原子の
他に、イオウ原子、酸素原子などを含むポリ酸)のメラ
ミン・メラム・メレム複塩なども含まれる。これらの複
塩の詳細は特開平10−306081号公報、特開平1
0−306082号公報を参照できる。
【0178】(2)アミノ基を有する窒素含有化合物の
硫酸塩 硫酸としては、ペルオクソ一硫酸、硫酸、亜硫酸等の非
縮合硫酸、ペルオクソ二硫酸やピロ硫酸等の縮合硫酸な
どが挙げられる。
【0179】アミノ基を有する窒素含有化合物の硫酸塩
としては、アミノ基含有トリアジン化合物の硫酸塩、例
えば、縮合硫酸塩[硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫
酸ジメラミン、硫酸グアニルメラミンなど)、硫酸メラ
ミンに対応する亜硫酸メラミンなどの非縮合硫酸メラミ
ン類;前記非縮合硫酸メラミン塩に対応するメレム塩、
メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など)]、縮合硫酸
塩[ピロ硫酸メラミン類(ピロ硫酸メラミン、ピロ硫酸
ジメラミンなど)、ピロ硫酸メラミン塩に対応するメレ
ム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など]などが
例示できる。また、前記トリアジン塩に対応するトリア
ゾール塩も使用できる。
【0180】なお、硫酸メラミンは、例えば、特開平8
−231517号公報に記載の方法などにより得ること
ができる。ピロ硫酸ジメラムは、例えば、A.C.S. Sympo
siumSeries No. 425 "Fire and Polymers"、第15章、
211〜238頁(American Chemical Society, Washi
ngton D.C., 1990)、特開平10−306082号公報
に記載の方法などにより得ることができる。このような
窒素含有環状化合物(トリアジン化合物)の硫酸塩とし
ては、例えば、(株)三和ケミカルから「アピノン90
1」などとして入手可能である。
【0181】(3)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物のスルホン酸塩 スルホン酸としては、C1-10アルカンスルホン酸(例え
ば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジス
ルホン酸など)、C6-20アリールスルホン酸(例えば、
ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)等の有
機スルホン酸が挙げられる。
【0182】アミノ基を有する窒素含有環状化合物のス
ルホン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物
(例えば、メラミン、メラム、メレム、メロン、グアナ
ミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなど)のス
ルホン酸塩[スルホン酸メラミン類(メタンスルホン酸
メラミン、メタンスルホン酸メラム、メタンスルホン酸
メレム、メタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複
塩、メタンスルホン酸グアナミンなど)]が例示でき
る。このような窒素含有環状化合物(トリアジン化合
物)の有機スルホン酸塩としては、例えば、日産化学工
業(株)から「メタンスルホン酸メラム MMS−20
0」などとして入手可能である。
【0183】(4)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物のホウ酸塩 ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸などの非縮
合ホウ酸;四ホウ酸、無水ホウ酸などの縮合ホウ酸など
が挙げられる。
【0184】アミノ基を有する窒素含有環状化合物のホ
ウ酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のホウ
酸塩、例えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸メラミン
塩(オルトホウ酸モノ乃至トリメラミンなどのオルトホ
ウ酸メラミン塩)、前記メラミン塩に対応するメレム
塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩などのオルトホ
ウ酸塩;前記オルトホウ酸塩に対応するメタホウ酸
塩]、ポリホウ酸塩[縮合ホウ酸メラミン塩(無水ホウ
酸メラミン、四ホウ酸メラミンなど)、前記メラミン塩
に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン
塩]などが例示できる。
【0185】このような窒素含有環状化合物(トリアジ
ン化合物)のホウ酸塩としては、例えば、DMS社から「m
elapur」、Joseph Storey & Co LTD社から「STORFLAM M
LB」、Budenheim Iberica Comercial社から「BUDIT 31
3」などとして入手可能である。
【0186】前記酸素酸塩は、単独で又は二種以上組み
合わせて使用できる。
【0187】アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸
素酸との割合は、特に制限されないが、例えば、前者/
後者(モル比)=1/20〜20/1、好ましくは1/
10〜10/1(例えば1/5〜10/1)、特に1/
2〜8/1程度である。窒素含有環状化合物が有するア
ミノ基と酸素酸の塩形成可能部位との当量比も特に制限
されず、例えば、10/1〜1/2、好ましくは5/1
〜1/1、特に4/1〜1/1程度である。
【0188】(c)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物と有機リン酸との塩 アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記
(a)と同様のアミノ基を有する窒素含有環状化合物が
例示できる。
【0189】有機リン酸としては、例えば、前記(b)
の項で例示した非縮合リン酸[リン酸(オルトリン酸な
ど)、ホスホン酸など]の部分エステル、及び有機基で
置換されたホスホン酸又はホスフィン酸などが例示でき
る。有機リン酸は、アミノ基を有する窒素含有環状化合
物と塩を形成可能な部位を少なくとも1つ有していれば
よい。
【0190】リン酸エステル(有機オルトリン酸)に
は、アルコール類(一価又は多価アルコール、一価又は
多価のフェノール類)のリン酸モノ又はジエステルが含
まれる。前記アルコール類には、前記ポリアリレート系
樹脂の項で例示した一価のアルコール(特にC1-10脂肪
族モノオール)及び脂肪族ポリオールの他、グリセロー
ル、ペンタエリスリトールなどのC1-10脂肪族ポリオー
ル;ニトリロトリメタノールなどのヘテロ原子を有する
2-10脂肪族ポリオール;シクロペンタノール、シクロ
ヘキサノールなどのC5-8脂環族モノオール(好ましく
はC5-6シクロアルカノール);シクロヘキサンジオー
ルなどのC5-8脂環族ジオール(好ましくはC5-6シクロ
アルカンジオール);フェノール、アルキルフェノール
(例えば、p−又はm−クレゾール、3,5−キシレノ
ール、トリメチルフェノール、t−ブチルフェノール、
p−オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのモノ
乃至トリC1-20アルキルフェノール)、アリールフェノ
ール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノー
ル、クミルフェノール)、ナフトール、ヒドロキシビフ
ェニルなどの一価フェノール類;前記ポリアリレート系
樹脂の項で例示した一価のアラルキルアルコール及び芳
香族環ジオールなどが含まれる。
【0191】このようなリン酸エステルとしては、メチ
ルホスフェート、ジブチルホスフェートなどのモノ又は
ジC1-10アルキルホスフェート;エチレングリコールモ
ノホスフェート、ペンタエリスリトールビスホスフェー
トなどのC2-10脂肪族多価アルコールのモノ乃至テトラ
ホスフェート;モノフェニルホスフェート、モノクレジ
ルホスフェート、モノキシレニルホスフェート、モノト
リメチルフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェー
ト、ジクレジルホスフェート、ジキシレニルホスフェー
ト、ジトリメチルフェニルホスフェートなどの置換基
(C1-4アルキル基など)を有していてもよい一価フェ
ノール類のリン酸エステル(例えば、C1- 4アルキル基
を有していてもよいモノ又はジC6-14アリールホスフェ
ート);フェニレンビスホスフェートなどの置換基(C
1-4アルキル基など)を有していてもよい多価フェノー
ル類のモノ又はジホスフェート(例えば、C1-4アルキ
ル基を有していてもよいC6-14アリーレンモノ又はジホ
スフェート)など]、アルキル−アリールリン酸エステ
ル[メチルフェニルホスフェートなどのC1-10アルキル
6-14アリールホスフェート(好ましくはC1-6アルキ
ルC6-10アリールホスフェート)など]などが含まれ
る。
【0192】有機ホスホン酸には、前記リン酸エステル
に対応するホスホン酸モノエステル、ホスホン酸のリン
原子に直接結合した水素原子が有機基(脂肪族炭化水素
基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などの有機
基)で置換された有機ホスホン酸、前記アルコール類の
有機ホスホン酸モノエステルなどが含まれる。
【0193】前記有機ホスホン酸には、脂肪族ホスホン
酸[メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホ
スホン酸、ブチルホスホン酸などのアルキルホスホン
酸;1−ヒドロキシエチリデン−1−ホスホン酸、1−
ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸などの脂
肪族ポリオールのモノ又はジホスホン酸エステル;ホス
ホノ酢酸、3−ホスホノプロピオン酸などのホスホノC
1-10脂肪族カルボン酸又はそのカルボン酸エステル(ホ
スホノ酢酸エチル、3−ホスホノプロピオン酸エチルな
どのホスホノカルボン酸のカルボン酸エステル類など)
などのホスホノカルボン酸類などの置換基(ヒドロキシ
ル基、カルボキシル基、エステル基など)を有していて
もよいC1-10アルキル基で置換されたホスホン酸(好ま
しくはC1- 6アルキル置換ホスホン酸);エチレンビス
ホスホン酸などのC1-10アルキレンジホスホン酸;ニト
リロトリス(メチルホスホン酸)([ニトリロトリス
(メチレン)]トリスホスホン酸)などのヘテロ原子を
有する脂肪族多価基で置換されたホスホン酸など]、芳
香族ホスホン酸[フェニルホスホン酸、トリルホスホン
酸などのC6-10アリールホスホン酸;ホスホノ安息香酸
などのホスホノC7-15芳香族カルボン酸又はそのカルボ
ン酸エステル(ホスホノ安息香酸エチルなどのホスホノ
芳香族カルボン酸のカルボン酸エステル類など)などの
ホスホノカルボン酸;フェニレンビスホスホン酸などの
置換基(C1-4アルキル基など)を有していてもよい芳
香族多価基で置換されたホスホン酸など]などが含まれ
る。また、前記有機ホスホン酸はポリマーと結合したホ
スホン酸(ポリビニルホスホン酸など)であってもよ
い。
【0194】有機ホスホン酸モノエステルには、前記有
機ホスホン酸と前記リン酸エステルの項で例示のアルコ
ール類とのモノエステル、例えば、メチルホスホン酸モ
ノメチルエステルなどのC1-10アルキルホスホン酸モノ
1-6アルキルエステル;ホスホノカルボン酸のジエス
テル(エトキシカルボニルメチルホスホン酸モノエチ
ル、エトキシカルボニルエチルホスホン酸モノエチルな
どのC2-6アルコキシカルボニルC1-6アルキルホスホン
酸モノC1-6アルキルエステルなど);メチルホスホン
酸モノフェニルエステルなどのC1-10アルキルホスホン
酸モノC6-10アリールエステル;フェニルホスホン酸モ
ノメチルエステルなどのC6-10アリールホスホン酸C
1-6アルキルエステル;フェニルホスホン酸モノフェニ
ルエステルなどのC6-10アリールホスホン酸モノC6-10
アリールエステルなどが含まれる。なお、前記ホスホン
酸エステルは、環状ホスホン酸エステル(9,10−ジ
ヒドロ−10−ヒドロキシ−10−オキソ−9−オキサ
−10−ホスファフェナントレンなど)であってもよ
い。
【0195】有機ホスフィン酸には、ホスフィン酸のリ
ン原子に有機基(脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素
基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基)が結合した有
機ホスフィン酸が含まれる。このような有機ホスフィン
酸としては、前記置換ホスホン酸に対応する置換ホスフ
ィン酸、例えば、メチルエチルホスフィン酸、ジエチル
ホスフィン酸などのモノ又はジC1-10アルキルホスフィ
ン酸;メチルフェニルホスフィン酸などのC1-10アルキ
ルC6-10アリールホスフィン酸;フェニルホスフィン酸
などのC6-10アリールホスフィン酸;ホスフィニコカル
ボン酸[ホスフィニコジ酢酸などのホスフィニコジC
1-6脂肪族カルボン酸;3−(メチルホスフィニコ)プ
ロピオン酸などのC1-6アルキルホスフィニコ−モノC
1-6脂肪族カルボン酸、3−(フェニルホスフィニコ)
プロピオン酸などのC6-10アリールホスフィニコ−モノ
1-6脂肪族カルボン酸、これらのホスフィニコカルボ
ン酸のカルボン酸エステルなど;ホスフィニコモノ又は
ジC6-10アリールカルボン酸又はそのカルボン酸エステ
ル];ヒドロキシホスフィンオキシド(1−ヒドロキシ
ジヒドロホスホニルオキシド、1−ヒドロキシホスホラ
ンオキシドなど)などが挙げられる。
【0196】前記有機リン酸塩は、塩形成可能な部位の
一部又は全部でアミノ基を有する窒素含有環状化合物と
塩を形成でき、いずれの塩も使用できる。このような有
機リン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物の
塩、例えば、有機リン酸エステルのメラミン塩(ペンタ
エリスリトールビスホスフェート・メラミン、ペンタエ
リスリトールビスホスフェート・ジメラミンなど)、C
1-6アルキル置換ホスホン酸のメラミン塩、C1-6脂肪族
ジオールのモノ又はジホスホン酸エステルのメラミン塩
(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸・
ジメラミン、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホ
スホン酸・テトラメラミンなど)、ヘテロ原子を有する
脂肪族多価基で置換されたホスホン酸のメラミン塩[ニ
トリロトリス(メチルホスホン酸)・テトラメラミン
塩、ニトリロトリス(メチルホスホン酸)・ヘキサメラ
ミン塩など]、及びC6-10アリールホスホン酸・メラミ
ン(フェニルホスホン酸・メラミン、フェニルホスホン
酸・ジメラミンなど)、ホスフィニコカルボン酸・メラ
ミン塩[3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸・
メラミン、3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸
・ジメラミンなどのアリールホスフィニコカルボン酸・
メラミン塩];前記メラミン塩に対応するメレム塩、メ
ラム塩、メロン塩、グアナミン塩;並びにペンタエリス
リトールビスホスフェート・メラミン・メレムなどの前
記メラミン塩に対応する複塩などが挙げられる。また、
前記トリアジン化合物塩に対応するトリアゾール塩も使
用できる。このような有機リン酸塩は、単独で又は二種
以上組み合わせて使用できる。
【0197】このようなアミノ基を有する窒素含有化合
物(特に、アミノ基含有トリアジン化合物)の有機リン
酸塩の製造方法は、特に制限されないが、例えば、前記
窒素含有化合物と有機リン酸と含む溶液又は分散液(水
−アセトン混合系、水−アルコール混合系などの水溶液
又は懸濁液など)を、適当な温度(例えば50〜100
℃程度)で攪拌、混合し、生成する沈殿物を分離、乾燥
する方法などにより製造できる。
【0198】(d)ポリリン酸アミド ポリリン酸アミドとしては、前記酸素酸の項で例示した
リン酸類と、−N=C=N−又は−N=C(−N<)2
表されるユニットを有する化合物(シアナミド誘導体な
ど)との縮合物であり、アミド態の窒素を含有する高分
子化合物である。このようなポリリン酸アミドは、通
常、前記リン酸と前記シアナミド誘導体とを、尿素及び
リン酸尿素から選択された少なくとも一種(結合剤)の
存在下で加熱(焼成など)することにより得られる。
【0199】前記リン酸類としては、非縮合リン酸(オ
ルトリン酸、メタリン酸など)、ポリリン酸、リン酸の
部分エステル(ポリリン酸アンモニウム、リン酸尿素な
ど)などが好ましく使用できる。リン酸類は、単独で又
は二種以上組み合わせて使用できる。
【0200】前記シアナミド誘導体としては、アミノ基
含有トリアジン類(メラミン、メラム、メレム、メロ
ン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン
などのアミノ基含有1,3,5−トリアジン類、3−ア
ミノ−1,2,4−トリアジンなどのアミノ基含有1,
2,4−トリアジン類など)、アミノ基含有トリアゾー
ル類(2,5−ジアミノ−1,3,4−トリアゾールな
どのアミノ基含有1,3,4−トリアゾール類など)な
どの環状シアナミド誘導体;グアニジン類[グアニジ
ン、グアニジン誘導体(ジシアンジアミド、グアニル尿
素など)など]などの非環状シアナミド誘導体などが挙
げられる。好ましいシアナミド誘導体は、アミノ基含有
1,3,5−トリアジン類、グアニジン又はその誘導
体、特にメラミンなどである。このようなシアナミド誘
導体は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0201】ポリリン酸アミドは、単独で又は二種以上
組み合わせて使用できる。ポリリン酸アミドについて
は、例えば、特開平7−138463号公報を参照でき
る。このようなポリリン酸アミドは、特公昭53−21
70号公報、特公昭53−15478号公報、特公昭5
5−49004号公報、特開昭61−126091号公
報、特開平10−81691号公報、米国特許第404
3987号明細書などに記載の方法などにより製造でき
る。ポリリン酸アミドは、「スミセーフPM」[住友化
学工業(株)製]、「タイエンS」[太平化学産業
(株)製]、「アピノンMPP」[(株)三和ケミカル
製]、「Melapur」[DSM社製]、「Exol
it」[クラリアント社製]、「AMGARD」[Al
bright&Wilson社製]として市販されてい
る。
【0202】(e)環状尿素化合物 環状尿素化合物は、少なくとも1つの尿素ユニット−N
HCONH−を環の構成ユニットとして有する限り、特
に制限されず、単環化合物、芳香族炭化水素環との縮合
環、架橋環などのいずれであってもよい。このような環
状尿素化合物には、環状モノウレイド、環状ジウレイド
等が挙げられる。これらの環状尿素化合物は、単独で又
は二種以上組み合わせて使用できる。
【0203】環状モノウレイドとしては、例えば、アル
キレン尿素[メチレン尿素、エチレン尿素、クロトニリ
デン尿素(CDU)などのC1-10アルキレン尿素(好ま
しくはC1-6アルキレン尿素)など]、アルケニレン尿
素(ビニレン尿素、シトシン等のC2-10アルケニレン尿
素など)、アルキニレン尿素[C2-10アルキニレン尿素
(好ましくはC2-6アルキニレン尿素)など]、アリー
レン尿素(イメサチンなど)、ジカルボン酸のウレイド
(パラバン酸、ジメチルパラバン酸、バルビツル酸、
5,5−ジエチルバルビツル酸、ジリツル酸、ジアルル
酸、アロキサン、アロキサン酸、イソシアヌール酸、ウ
ラミル等)、β−アルデヒド酸のウレイド[ウラシル、
5−メチルウラシル(チミン)、ジヒドロウラシル、ウ
ラゾール、ベンゾイレン尿素等]、α−オキシ酸のウレ
イド[ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、
1,1−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイ
ン)、アラントイン等のヒダントイン類など]、又はそ
の誘導体などが例示できる。
【0204】環状ジウレイドとしては、例えば、尿酸、
3−メチル尿酸、プソイド尿酸、アセチレン尿素(グリ
コールウリル)、α−オキシ酸のジウレイド[1,1−
メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイン)、アラ
ントインなど]、p−ウラジンなどのジウレア、ジカル
ボン酸のジウレイド(アロキサンチン、プルプル酸
等)、又はその誘導体などが例示できる。
【0205】これらの環状尿素化合物のうち、2つの尿
素ユニットを環の構成ユニットとして有する環状ジウレ
イド、特にアセチレン尿素、尿酸、それらの誘導体が好
ましい。
【0206】これらの窒素含有化合物のうち、アミノ基
を有する窒素含有環状化合物とポリリン酸との複塩(特
にポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩)、アミノ
基を有する窒素含有環状化合物とポリメタリン酸との塩
(特にポリメタリン酸メラミン)、ポリリン酸アミド、
アミノ基を有する窒素含有環状化合物と、硫酸、ピロ硫
酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸又は有機ホスフィ
ン酸との塩(特に硫酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機
スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、有機ホス
フィン酸メラミン)、環状尿素化合物等が好ましい。
【0207】(D2)無機酸の金属塩 塩を構成する無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン
酸、ホウ酸、炭酸、スズ酸等の各種無機酸が使用でき
る。好ましい無機酸は、前記(C)の(b)の項で例示
した酸素酸やスズ酸、特に、リン酸、ホウ酸及びスズ酸
である。
【0208】無機酸と塩を形成する金属には、アルカリ
金属(カリウム、ナトリウムなど);アルカリ土類金属
(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど);遷移金
属(スカンジウムなどの第3A族金属;チタンなどの第
4A族金属;バナジウムなどの第5A族金属;クロム、
モリブデンなどの第6A族金属;マンガンなどの第7A
族金属;鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの第
8族金属;及び銅、銀などの第1B族金属)、第2B族
金属(亜鉛、カドミウム、水銀など)、第3B族金属
(アルミニウムなど)、第4B族金属(スズ、鉛な
ど)、第5B族金属(アンチモン、ビスマスなど)など
が含まれる。これらの金属は一種で又は二種以上組み合
わせて使用できる。
【0209】(リン酸の金属塩)リン酸としては、オル
トリン酸、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの非
縮合リン酸;次リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩
(三リン酸塩、四リン酸塩など)、ポリメタリン酸塩
(Ca3(P392など)、無水リン酸塩類(Ca
2(P412)、Ca5(P3102など)などの縮合リ
ン酸、特に非縮合リン酸が好ましい。
【0210】金属は、多価金属、例えば、アルカリ土類
金属、遷移金属、周期表2B〜3B族金属、特に、アル
カリ土類金属が好ましい。
【0211】リン酸の金属塩としては、前記リン酸と多
価金属との塩の他、この多価金属リン酸塩に対応するリ
ン酸水素塩が挙げられ、前記金属塩には、配位子(例え
ば、ヒドロキソ、ハロゲンなど)が配位していてもよ
い。
【0212】リン酸の金属塩としては、例えば、ピロリ
ン酸塩(Ca227など)、ポリメタリン酸塩[Ca3
(P392など]、無水リン酸塩類(Ca2(P
412)、Ca5(P3102など)の他、Ca5(P
43(OH)、Ca5(PO43(F,Cl)などの
縮合リン酸塩を使用してもよいが、リン酸水素塩を用い
るのが好ましい。
【0213】このようなリン酸水素塩としては、例え
ば、オルトリン酸水素マグネシウム(リン酸水素マグネ
シウム、リン酸二水素マグネシウムなど)、オルトリン
酸水素カルシウム(リン酸二水素カルシウム、第二リン
酸カルシウムなど)などのアルカリ土類金属リン酸水素
塩;リン酸水素マンガン(リン酸水素マンガン(III)な
ど)、リン酸水素鉄[Fe(H2PO43など]等の遷
移金属リン酸水素塩;リン酸水素亜鉛、リン酸水素カド
ミウムなどの周期表第2B族金属のリン酸水素塩;リン
酸水素アルミニウムなどの周期表第3B族金属のリン酸
水素塩;リン酸水素スズなどの周期表第4B族金属のリ
ン酸水素塩などの非縮合リン酸水素塩などである。これ
らのうち、実質的に無水のリン酸水素金属塩、特にアル
カリ土類金属リン酸水素塩[リン酸二水素マグネシウ
ム、リン酸二水素カルシウム、第二リン酸カルシウム
(CaHPO4)など]が好ましい。
【0214】(ホウ酸の金属塩)ホウ酸としては、オル
トホウ酸、メタホウ酸などの非縮合ホウ酸;ピロホウ
酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸などの縮合ホウ
酸、並びに塩基性ホウ酸などが好ましい。
【0215】金属としては、アルカリ金属などを用いて
もよいが、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B族
金属の多価金属が好ましい。
【0216】ホウ酸金属塩は、通常、含水塩であり、例
えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸カルシウム、メタ
ホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属非縮合ホウ酸
塩;オルトホウ酸マンガン、メタホウ酸銅などの遷移金
属非縮合ホウ酸塩;メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸カドミ
ウムなどの周期表第2B族金属の非縮合ホウ酸塩(特に
メタホウ酸塩)など]、縮合ホウ酸塩(四ホウ酸三マグ
ネシウム、ピロホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金
属縮合ホウ酸塩;四ホウ酸マンガン、二ホウ酸ニッケル
などの遷移金属縮合酸塩;四ホウ酸亜鉛、四ホウ酸カド
ミウムなどの周期表第2B族金属の縮合ホウ酸塩な
ど);塩基性ホウ酸塩(塩基性ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ
酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の塩基性ホウ酸
塩など)などが挙げられる。また、これらのホウ酸塩に
対応するホウ酸水素塩(例えば、オルトホウ酸水素マン
ガンなど)なども使用できる。特に、アルカリ土類金属
又は周期表第2B族金属ホウ酸塩(非縮合又は縮合ホウ
酸塩)、特に、(含水)ホウ酸亜鉛類、(含水)ホウ酸
カルシウム類が好ましい。
【0217】(スズ酸の金属塩)スズ酸としては、スズ
酸、メタスズ酸、オルトスズ酸、ヘキサヒドロオクソス
ズ酸等が例示できる。金属としては、アルカリ金属や、
アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B族金属等の多
価金属が例示できる。スズ酸の金属塩は、通常、含水塩
であり、例えば、スズ酸のアルカリ金属塩(例えば、ス
ズ酸ナトリウムやスズ酸カリウム等)、スズ酸のアルカ
リ土類金属塩(例えば、スズ酸マグネシウムなど)、ス
ズ酸の遷移金属塩(例えば、スズ酸コバルトなど)、ス
ズ酸の周期表2B族金属塩(例えば、スズ酸亜鉛など)
が例示できる。これらのスズ酸の金属塩のうち、スズ酸
の周期表2B族金属塩、特にスズ酸亜鉛類が好ましい。
スズ酸の金属塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使
用できる。
【0218】リン酸、ホウ酸及びスズ酸以外の無機酸
(酸素酸)の金属塩としては、前記リン酸金属塩及びホ
ウ酸金属塩に対応する各種金属塩が使用できる。
【0219】これらの無機酸の金属塩のうち、リン酸金
属塩、特にアルカリ土類金属リン酸水素塩(例えば、リ
ン酸水素カルシウム)が好ましい。
【0220】これらの難燃助剤(D)は、エポキシ系化
合物、カップリング剤(シラン系化合物、チタネート系
化合物、アルミニウム系化合物など)、クロム系化合物
などの表面改質剤により処理してもよい。また、難燃助
剤(D)は、金属、ガラス、トリアジン誘導体のシアヌ
ール酸塩、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、ユ
リア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、
キシレン樹脂又はこれらの共縮合樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリ
ルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、
ケイ素樹脂、ポリイミドなど)、熱可塑性樹脂などで被
覆処理してもよい。これらの処理のうち、通常、熱硬化
性樹脂(例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂など)
で被覆処理する。例えば、難燃助剤(D)の被覆処理方
法として、特開昭52−125489号公報、特開昭6
2−21704号公報、特開昭63−110254号公
報、特開平8−53569号公報、特開平8−5357
4号公報、特開2000−169120号公報、特開2
001−131293号公報などを参照することができ
る。難燃助剤(D)と被覆成分との割合は、特に制限さ
れないが、例えば、被覆成分が被覆難燃助剤(D)の
0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%
(例えば、0.1〜8重量%)程度である。
【0221】以上のような難燃助剤(D)は、一種で又
は二種以上組み合わせて使用できる。
【0222】無機酸の金属塩の割合は、樹脂の特性を損
わない限り特に制限されず、熱可塑性樹脂100重量部
に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重
量部、さらに好ましくは3〜15重量部程度である。
【0223】[難燃剤の使用割合]本発明の難燃剤は、
ポリマー型リン酸エステルと芳香族樹脂と特定の難燃助
剤とを組み合わせることにより、幅広い熱可塑性樹脂に
対して、少量の添加であっても高い難燃性を付与でき
る。前記熱可塑性樹脂に対する難燃剤の割合は、樹脂の
特性を損わない限り特に制限されず、熱可塑性樹脂10
0重量部に対して、難燃剤0.1〜300重量部(例え
ば1〜300重量部)、好ましくは10〜250重量
部、さらに好ましくは50〜200重量部程度である。
【0224】熱可塑性樹脂と芳香族樹脂とは、通常、異
種の樹脂を使用し、その場合、熱可塑性樹脂と芳香族樹
脂との割合(重量比)は、熱可塑性樹脂/芳香族樹脂=
50/50〜99/1、好ましくは60/40〜98/
2、さらに好ましくは70/30〜97/3程度であ
る。
【0225】難燃剤における芳香族樹脂(C)の割合
は、難燃性を付与できる範囲で適当に選択でき、ポリマ
ー型リン酸エステル(B)100重量部に対して、1〜
500重量部(例えば、3〜500重量部)、好ましく
は5〜400重量部、さらに好ましくは5〜300重量
部程度である。また、難燃助剤(D)の割合は、ポリマ
ー型リン酸エステル(B)100重量部に対して、5〜
1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さら
に好ましくは50〜300重量部程度である。難燃剤に
おける芳香族樹脂(C)と難燃助剤(D)との割合(重
量比)は、10/90〜99/1、好ましくは20/8
0〜95/5、さらに好ましくは40/60〜90/1
0程度である。
【0226】熱可塑性樹脂及び芳香族樹脂で構成された
樹脂成分に対する窒素含有化合物の割合は、樹脂成分1
00重量部に対して、80重量部以下(例えば、0.0
1〜80重量部程度)、好ましくは0.05〜70重量
部、さらに好ましくは0.1〜60重量部(特に1〜6
0重量部)程度であり、通常、1〜70重量部程度であ
る。
【0227】[添加剤]本発明の難燃性樹脂組成物は、
必要に応じて種々の添加剤(例えば、他の難燃剤、ドリ
ッピング防止剤、酸化防止剤、安定剤など)を含んでい
てもよい。添加剤の全体の含有量は、熱可塑性樹脂10
0重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましく
は、0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重
量部程度である。
【0228】(他の難燃剤)なお、本発明の難燃性樹脂
組成物は、さらに難燃性を付与するため、他の難燃剤、
例えば、リン含有化合物、窒素含有難燃剤、硫黄含有難
燃剤、ケイ素含有難燃剤、アルコール系難燃剤、無機系
難燃剤(金属酸化物、金属水酸化物など)などを含んで
いてもよい。
【0229】(1)リン含有化合物 リン含有化合物としては、有機リン化合物(モノマー
型、ダイマー型及びトリマー型のオリゴマー型有機リン
化合物、ポリマー型有機リン化合物など)、無機リン化
合物などが挙げられる。
【0230】前記有機リン化合物のうち、オリゴマー型
有機リン化合物には、リン酸エステル、リン酸エステル
アミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸化合物
(エステル、金属塩など)、有機ホスフィン酸化合物
(エステル、金属塩など)、ホスフィンオキシド(トリ
フェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフィン
オキシドなど)などが含まれる。
【0231】(リン酸エステル)リン酸エステルとして
は、脂肪族リン酸エステル[リン酸トリメチル、リン酸
トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロ
ピル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、リン
酸ペンタエリスリトール(例えば、GreatLake
s Chemical社のNH−1197、特開200
1−106889号公報に記載のビシクロリン酸エステ
ルなど)などのリン酸トリC1-10アルキルエステル;前
記リン酸トリエステルに対応するリン酸ジC1-10アルキ
ルエステル及びリン酸モノC1-10アルキルエステルな
ど]、芳香族リン酸エステル[リン酸トリフェニル、リ
ン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸ジフェ
ニルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、
リン酸ジフェニルエチルクレジルなどのリン酸トリC
6-20アリールエステルなど]、脂肪族−芳香族リン酸エ
ステル[リン酸メチルジフェニル、リン酸フェニルジエ
チル、スピロ環状芳香族リン酸エステル(ジフェニルペ
ンタエリスリトールジホスフェート、ジクレジルペンタ
エリスリトールジホスフェート、ジキシリルペンタエリ
スリトールジホスフェート等)など]などが挙げられ
る。
【0232】(リン酸エステルアミド)リン酸エステル
アミドとしては、リン酸エステル及びリン酸アミドの結
合様式を含み、特開2002−226547号公報、特
開2001−354684号公報、特開2001−13
9823号公報、特開2000−327834号公報、
特開2000−154277号公報、特開平10−17
5985号公報、特開平8−59888号公報、特開昭
63−235363号公報、特開昭54−19919号
公報に記載のリン酸エステルアミドなどが使用できる。
【0233】リン酸エステルアミドは、商品名「リン酸
エステルアミド系難燃剤SPシリーズ(例えば、SP−
601、SP−670、SP−703など)」(四国化
成工業(株)製)として入手できる。
【0234】(ホスホニトリル化合物)ホスホニトリル
化合物としては、直鎖状及び環状のフェノキシホスファ
ゼンなどが使用できる。
【0235】(有機ホスホン酸化合物)有機ホスホン酸
(亜リン酸)化合物としては、例えば、芳香族亜リン酸
エステル(アリールがフェニル、クレジル、キシリルな
どである亜リン酸トリC6-20アリールエステルなど)、
脂肪族亜リン酸エステル(アルキルが前記アルキルなど
である亜リン酸トリC1-10アルキルエステル;前記亜リ
ン酸トリアルキルエステルに対応する亜リン酸ジ又はモ
ノC1-10アルキルエステルなど)、有機亜リン酸エステ
ル[例えば、アルキルが前記例示のアルキルであるC
1-6アルキルホスホン酸ジC1-6アルキル(ペンタエリス
リトールビス(メチルホスホネート)などのスピロ環状
アルキルホスホン酸エステルなど)、アルキルが前記例
示のアルキルであり、アリールがフェニル、クレジル、
キシリルなどであるC1-6アルキルホスホン酸ジC6-10
アリール及びC1-6アルキルホスホン酸C1-6アルキルC
6-10アリールなどのアルキルホスホン酸ジエステル;前
記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC6-10アリ
ール−ホスホン酸ジエステル(ペンタエリスリトールジ
フェニルホスホネートなどのスピロ環状C6-10アリール
ホスホン酸エステルなど);C6-10アリールホスホン酸
モノエステル(例えば、10−ヒドロキシ−9,10−
ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン
−10−オキシドなど);ホスホノカルボン酸エステル
(メトキシカルボニルメチルホスホン酸ジメチルなどの
前記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC1-4
ルコキシカルボニルオキシC1-4アルキルホスホン酸ジ
エステル)などのホスホノカルボン酸トリエステル]な
どの各種ホスホン酸エステルが含まれる。また、アルキ
ル又はアリール基で置換されていてもよい亜リン酸、亜
リン酸モノエステル、又はホスホノカルボン酸の金属塩
(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)なども含まれ
る。
【0236】(有機ホスフィン酸化合物)有機ホスフィ
ン酸化合物には、アルキル基(C1-4アルキル基など)
又はアリール基(C6-10アリール基など)が置換(一置
換又は二置換)していてもよいホスフィン酸エステル
(ホスフィン酸メチルなどのホスフィン酸C1-6アルキ
ル、ホスフィン酸フェニルなどのホスフィン酸C6-10
リール、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホス
ファフェナントレン−10−オキシド、10−C1-30
ルキル又はC6-20アリール置換−9,10−ジヒドロ−
9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オ
キシドなどの環状ホスフィン酸エステルなど)などが含
まれる。また、アルキル基又はアリール基が置換してい
てもよいホスフィン酸(例えば、ジメチルホスフィン
酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸
など)の金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩な
ど)、ホスフィニコカルボン酸エステル(例えば、3−
メチルホスフィニコプロピオン酸エステル、3−フェニ
ルホスフィニコプロピオン酸エステルなど)、及びその
単独重合体や共重合体なども含まれる。
【0237】(ポリマー型有機リン化合物)ポリマー型
有機リン化合物としては、ポリマー型リン酸エステル
(B)以外のモノマー型有機リン化合物の縮合物、例え
ば、ポリホスフィニコカルボン酸エステル、ポリホスホ
ン酸アミドも含まれる。
【0238】(無機リン化合物)前記無機リン化合物に
は、例えば、赤リン、(ポリ)リン酸塩[リン酸、亜リ
ン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等の非縮合又は縮合リン
酸の無機塩(アンモニウム、Ca、Mg、Zn、Ba、
Al塩など)]などが含まれる。
【0239】赤リンは、難燃効果が高く、少量であって
も樹脂に難燃性を付与できる。また、少量で効果が得ら
れるため、樹脂の特性(例えば、機械的特性や電気的特
性)を損なうことなく難燃化できる。赤リンとしては、
通常、安定化処理を施した赤リン(安定化赤リン)が好
ましく用いられる。特に、赤リンの粉砕を行わず、赤リ
ン表面に水や酸素との反応性が高い破砕面を形成させず
に微粒子化する方法で得られた赤リン、さらには、赤リ
ンの表面が、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹
脂)、金属、金属化合物(例えば、金属水酸化物、金属
酸化物等)等により単独で又は2種以上組み合わせて被
覆された赤リンなどが使用できる。
【0240】赤リンとしては、通常、安定化赤リンを粉
粒状で使用できる。安定化赤リンの粒子径としては、例
えば、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜70
μm、さらに好ましくは0.1〜50μm程度である。
【0241】好ましいリン含有化合物としては、リン酸
エステル(脂肪族リン酸エステル、芳香族リン酸エステ
ル及び縮合リン酸エステル、特に縮合リン酸エステルな
ど)、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、
有機ホスホン酸化合物、有機ホスフィン酸化合物、無機
リン化合物((ポリ)リン酸塩など)などが挙げられ、
特に、モノマー型又はオリゴマー型リン酸エステル(例
えば、ダイマー型リン酸エステル)が好ましい。
【0242】(2)窒素含有難燃剤 窒素含有難燃剤としては、トリアジン類とシアヌール酸
又はその誘導体との塩、例えば、メラミンシアヌレート
などのシアヌール酸のメラミン塩;メラミン塩に対応す
るメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩(例え
ば、グアナミンシアヌレート、アセトグアナミンシアヌ
レート、ベンゾグアナミンシアヌレートなど)などが含
まれる。これらの塩は、単独で又は二種以上組み合わせ
て使用できる。
【0243】(3)硫黄含有難燃剤 硫黄含有難燃剤としては、有機スルホン酸(アルカンス
ルホン酸、パーフルオロスルホン酸、アリールスルホン
酸、スルホン化ポリスチレンなど)、スルファミン酸、
有機スルファミン酸、有機スルホン酸アミドなどの塩
(アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩など)などが挙げられる。
【0244】(4)ケイ素含有難燃剤 ケイ素含有難燃剤には、(ポリ)オルガノシロキサンが
含まれる。(ポリ)オルガノシロキサンとしては、ジア
ルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンな
ど)、アルキルアリールシロキサン(フェニルメチルシ
ロキサンなど)、ジアリールシロキサン、モノオルガノ
シロキサンなどの単独重合体(例えば、ポリジメチルシ
ロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなど)、又は
共重合体などが含まれる。また、(ポリ)オルガノシロ
キサンとしては、分岐オルガノシロキサン[東芝シリコ
ーン(株)の商品名「XC99−B5664」、信越化
学工業(株)の商品名「X−40−9243」、「X−
40−9244」、「X−40−9805」、特開平1
0−139964号公報記載の化合物など]、分子末端
や主鎖に、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミ
ノ基、エーテル基などの置換基を有する変性(ポリ)オ
ルガノシロキサン(例えば、変性シリコーンなど)など
も使用できる。
【0245】(5)アルコール系難燃剤 アルコール系難燃剤としては、多価アルコール(ペンタ
エリスリトールなど)、オリゴマーの多価アルコール
(ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール
など)、エステル化された多価アルコール、置換された
アルコール、セルロース類(セルロース、ヘミセルロー
ス、リグノセルロース、ペクトセルロース、アジポセル
ロースなど)、糖類(単糖類、多糖類など)などが挙げ
られる。
【0246】(6)無機系難燃剤 無機系難燃剤のうち、金属酸化物としては、例えば、酸
化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ジ
ルコニウム、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミ
ニウム、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化マンガン、三酸化
アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンなど
が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸
化ジルコニウムが挙げられる。金属硫化物としては、例
えば、硫化亜鉛、硫化モリブデン、硫化タングステンな
どが挙げられる。また、無機系難燃剤には、膨張性黒鉛
なども含まれる。
【0247】これら他の難燃剤は、一種で又は二種以上
組み合わせて使用できる。
【0248】他の難燃剤の含有量は、例えば、熱可塑性
樹脂100重量部に対して、0.01〜50重量部程
度、好ましくは0.05〜30重量部程度、特に0.1
〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0249】また、本発明の難燃性樹脂組成物は、長期
間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤又は安定剤
を含んでいてもよい。酸化防止剤又は安定剤には、例え
ば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、ア
ミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ
系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定
剤)、無機系安定剤、活性水素原子に対して反応性の官
能基を有する化合物(反応性安定剤)などが含まれる。
【0250】フェノール系酸化防止剤には、ヒンダード
フェノール類(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)、
例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]などのC2-10アルキレンジオール−ビス[3
−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレング
リコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジ又
はトリオキシC2-4アルキレンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス
[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]などのC3-8アルキレントリオ
ール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、
ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]などのC4-8アルキレンテトラオールテトラキス
[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
【0251】アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミ
ン類、例えば、トリ又はテトラC1- 3アルキルピペリジ
ン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキ
シ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,
6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テト
ラ又はペンタC1-3アルキルピペリジン)C2-20アルキ
レンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレー
ト、オギザレートに対応するマロネート、アジペート、
セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミ
ン、N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミ
ン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フ
ェニレンジアミンなどが含まれる。
【0252】リン系(有機リン系)安定剤(又は酸化防
止剤)には、例えば、トリイソデシルホスファイト、ト
リスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、
2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)オクチルホスファイト、4,4′−ブチリデンビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシル
ホスファイト、トリス(分岐C3-6アルキルフェニル)
ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−
ジ−t−アミルフェニル)ホスファイトなど]、(分岐
3-6アルキルフェニル)フェニルホスファイト[例え
ば、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファ
イト、2−t−ブチルフェニルジフェニルホスファイト
など]、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフ
ァイト、ビス(C1-9アルキルアリール)ペンタエリス
リトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペン
タエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]、トリ
フェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキ
シ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニ
ルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−
ジホスファピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホス
フォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ
−t−ブチル)−4,4′−ビフェニレンジホスフォナ
イトなど)などが含まれる。リン系安定剤は、通常、分
岐C3-6アルキルフェニル基(特に、t−ブチルフェニ
ル基)を有している。
【0253】ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キ
ノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが
含まれ、イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリル
チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネ
ートなどが含まれる。
【0254】無機系安定剤(無機金属又は鉱物系安定
剤)には、ハイドロタルサイト、ゼオライト及びアルカ
リ土類金属化合物などが含まれる。前記ハイドロタルサ
イトとしては、特開昭60−1241号公報及び特開平
9−59475号公報などに記載されているハイドロタ
ルサイト類、例えば、下記式で表されるハイドロタルサ
イト化合物などが使用できる。
【0255】 [M2+ 1-x3+ x(OH)2x+[An- x/n・mH2O]x- (式中、M2+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+などの
二価金属イオンを示し、M3+はAl3+、Fe3+、Cr3+
などの三価金属イオンを示す。An-はCO3 2-、OH-
HPO4 2-、SO4 2-などのn価(特に1価又は2価)の
アニオンを示す。xは、0<x<0.5であり、mは、
0≦m<1である)。
【0256】なお、ハイドロタルサイトは、「DHT−
4A」、「DHT−4A−2」、「アルカマイザー」な
どとして協和化学工業(株)から入手可能である。
【0257】前記ゼオライトとしては、特に制限されな
いが、例えば、特開平7−62142号公報に記載され
ているゼオライト[最小単位セルがアルカリ及び/又は
アルカリ土類金属の結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオ
ライト(A型、X型、Y型、L型及びZSM型ゼオライ
ト、モルデン沸石型ゼオライト;チャバザイト、モルデ
ン沸石、ホージャサイトなどの天然ゼオライトなど)な
ど]などが使用できる。
【0258】なお、A型ゼオライトは、「ゼオラムシリ
ーズ(A−3、A−4、A−5)」、「ゼオスターシリ
ーズ(KA100P、NA−100P、CA−100
P)」などとして、また、X型ゼオライトは、「ゼオラ
ムシリーズ(F−9)」、「ゼオスターシリーズ(NX
−100P)」などとして、Y型ゼオライトは、「HS
Zシリーズ(320NAA)」などとして東ソー
(株)、日本化学工業(株)から入手可能である。
【0259】前記アルカリ土類金属化合物としては、例
えば、酸化物(酸化マグネシウムなど)、水酸化物(水
酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、炭酸塩
[炭酸マグネシウム、(軟質/コロイド/重質)炭酸カ
ルシウムなど]、有機カルボン酸塩(酢酸マグネシウ
ム、酢酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カ
ルシウムなど)などが使用できる。
【0260】これらの無機系安定剤は、単独で又は二種
以上組み合わせて使用できる。
【0261】反応性安定剤には、活性水素原子に対して
反応性の官能基を有する化合物が含まれる。活性水素原
子に対して反応性の官能基を有する化合物としては、環
状エーテル基、酸無水物基、イソシアネート基、オキサ
ゾリン基(環)、オキサジン基(環)、カルボジイミド
基等から選択された少なくとも一種の官能基を有する化
合物が例示できる。
【0262】環状エーテル基を有する化合物には、エポ
キシ基やオキセタン基を有する化合物などが含まれる。
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビニルシ
クロヘキセンジオキシドなどの脂環式化合物、バーサテ
ィック酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル
化合物、グリシジルエーテル化合物(ハイドロキノンジ
グリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルなど)、
グリシジルアミン化合物、エポキシ基含有ビニル共重合
体、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ジエン系モ
ノマー−スチレン共重合体、トリグリシジルイソシアヌ
レート、エポキシ変性(ポリ)オルガノシロキサンなど
が挙げられる。
【0263】オキセタン基を有する化合物としては、例
えば、イソフタル酸ジ[1−エチル(3−オキセタニ
ル)]メチルエステルやテレフタル酸ジ[1−エチル
(3−オキセタニル)]メチルエステルなどのオキセタ
ニルエステル化合物、オキセタニルエーテル化合物{例
えば、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエ
ーテルや3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメ
チル)オキセタンなどのアルキルオキセタニル化合物、
3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタンなど
のアリールオキセタニル化合物、1,4−ビス{[(3
−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベン
ゼンなどのアラルキルオキセタニルエーテル化合物、ビ
スフェノール−Aジ[1−エチル(3−オキセタニ
ル)]メチルエーテルなどのビスフェノール型オキセタ
ン樹脂、モノ乃至ポリ[1−エチル(3−オキセタニ
ル)]メチルエーテル化フェノールノボラックやモノ乃
至ポリ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエー
テル化クレゾールノボラックなどのノボラック型オキセ
タン樹脂など}、3−エチル−3−{[3−(トリエト
キシシリル)プロポキシ]メチルオキセタンなどのオキ
セタン変性(ポリ)オルガノシロキサン、及び前記オキ
セタニル単位を有する誘導体{例えば、[1−エチル
(3−オキセタニル)]メチル誘導体}に対応するアル
キルオキセタニルメチル誘導体{例えば、[1−メチル
(3−オキセタニル)]メチル誘導体}などが挙げられ
る。
【0264】酸無水物基を有する化合物としては、例え
ば、無水マレイン酸基を有するオレフィン系樹脂(例え
ば、エチレン−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン
酸変性ポリプロピレン等)などが挙げられる。
【0265】イソシアネート基を有する化合物として
は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂
肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど
の脂環族イソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネ
ートなどの芳香族イソシアネート、これらのイソシアネ
ートの変性体(例えば、イソホロンジイソシアネートの
三量体など)などが挙げられる。
【0266】オキサゾリン基を有する化合物としては、
例えば、2,2′−(1,3−フェニレン)−ビス(2
−オキサゾリン)や2,2′−(1,4−フェニレン)
−ビス(2−オキサゾリン)などのビスオキサゾリン化
合物や、オキサゾリン基を有するビニル系樹脂(例え
ば、ビニルオキサゾリン変性スチレン系樹脂等)などが
挙げられる。
【0267】オキサジン基を有する化合物としては、例
えば、2,2′−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,
3−オキサジン)などのビスオキサジン化合物などが挙
げられる。
【0268】カルボジイミド基を有する化合物として
は、例えば、ポリ(フェニルカルボジイミド)、ポリ
(ナフチルカルボジイミド)などのポリアリールカルボ
ジイミド、ポリ(2−メチルジフェニルカルボジイミ
ド)、ポリ(2,6−ジエチルジフェニルカルボジイミ
ド)、ポリ(2,6−ジイソプロピルジフェニルカルボ
ジイミド)、ポリ(2,4,6−トリイソプロピルジフ
ェニルカルボジイミド)、ポリ(2,4,6−トリt−
ブチルジフェニルカルボジイミド)などのポリアルキル
アリールカルボジイミド、ポリ[4,4′−メチレンビ
ス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド]、ポ
リ[4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチル
フェニル)カルボジイミド]、ポリ[4,4′−メチレ
ンビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイ
ミド]、ポリ[4,4′−メチレンビス(2−エチル−
6−メチルシクロヘキシルフェニル)カルボジイミド]
などのポリ[アルキレンビス(アルキル又はシクロアル
キルアリール)カルボジイミド]などが挙げられる。
【0269】これらの反応性安定剤は、単独で又は二種
以上組み合わせて使用できる。
【0270】これらの酸化防止剤及び/又は安定剤は単
独で又は二種以上使用できる。酸化防止剤及び/又は安
定剤の含有量は、例えば、熱可塑性樹脂100重量部に
対して、0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜
10重量部、特に0.1〜10重量部程度の範囲から選
択できる。
【0271】これらの酸化防止剤及び安定剤のうち、耐
加水分解性の点から、無機系安定剤と反応性安定剤とを
組み合わせるのが好ましく、両者の割合(重量比)は、
無機系安定剤/反応性安定剤=95/5〜10/90、
好ましくは90/10〜30/70、さらに好ましくは
80/20〜50/50程度である。
【0272】なお、熱可塑性樹脂としてポリエステル系
樹脂又はポリカーボネート系樹脂を用いる場合、前記特
定の難燃助剤の項で例示したリン酸類(例えば、リン
酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ポリリン酸
などの無機リン酸;ホスホノカルボン酸、含窒素リン酸
などの有機リン酸など)を添加すると、熱安定性がさら
に向上する。
【0273】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、フ
ッ素系樹脂などのドリッピング防止剤を添加してもよ
い。ドリッピング防止剤により、燃焼時の火種及び融液
の滴下(ドリップ)を抑制できる。フッ素系樹脂には、
テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレ
ン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレ
ン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素
含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノ
マーと、エチレン、プロピレン、アクリレートなどの共
重合性モノマーとの共重合体が含まれる。このようなフ
ッ素系樹脂(フッ素含有樹脂)としては、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチ
レン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチ
レン共重合体などの共重合体が例示される。これらのフ
ッ素樹脂は、一種で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。
【0274】前記フッ素系樹脂は、粒子状で使用しても
よく、平均粒径は、例えば、10〜5000μm程度、
好ましくは100〜1000μm程度、さらに好ましく
は100〜700μm程度であってもよい。
【0275】フッ素系樹脂の含有量は、例えば、熱可塑
性樹脂と芳香族樹脂との合計100重量部に対して、
0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量
部程度、さらに好ましくは0.1〜3重量部程度であ
る。
【0276】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、目
的に応じて他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤
としては、安定剤(紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安
定剤など)、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、核剤、衝
撃改良剤、摺動剤などが挙げられる。
【0277】[充填剤]本発明の難燃性樹脂組成物は、
機械的強度、剛性、耐熱性及び電気的性質などをさらに
向上させるため、充填剤により改質されていてもよい。
充填剤には、繊維状充填剤、非繊維状充填剤(板状充填
剤、粉粒状充填剤など)が含まれる。
【0278】繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アス
ベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アル
ミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、金
属繊維、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族
ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリア
クリロニトリルなどのアクリル樹脂など)などが例示で
きる。
【0279】非繊維状充填剤のうち、板状充填剤には、
例えば、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種
金属箔などが例示できる。
【0280】粉粒状充填剤には、カーボンブラック、炭
化ケイ素、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス
粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバ
ーなど)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カ
オリン、タルク、クレー、ケイ藻土、ウォラストナイト
などのケイ酸塩;酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アル
ミナなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウムなどの金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ムなどの金属の硫酸塩、金属粉末などが含まれる。
【0281】好ましい繊維状充填剤としては、ガラス繊
維、カーボン繊維が挙げられ、好ましい非繊維状充填剤
としては、粉粒状又は板状充填剤、特に、ガラスビー
ズ、ミルドファイバー、カオリン、タルク、マイカ、及
びガラスフレークが挙げられる。
【0282】また、特に好ましい充填剤には、ガラス繊
維、例えば、高い強度・剛性を有するガラス繊維(チョ
ップドストランドなど)が含まれる。
【0283】充填剤を用いる場合、難燃性樹脂組成物中
の充填剤の割合は、例えば、1〜60重量%程度、好ま
しくは1〜50重量%程度、さらに好ましくは1〜45
重量%程度である。
【0284】これらの充填剤の使用に当たっては、必要
ならば、収束剤又は表面処理剤を使用することが望まし
い。このような収束剤又は表面処理剤としては、官能性
化合物が含まれる。前記官能性化合物としては、例え
ば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系
化合物、好ましくはエポキシ系化合物、特にビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂など
が挙げられる。
【0285】充填剤は、前記収束剤又は表面処理剤によ
り、収束処理又は表面処理されていてもよい。処理の時
期については、充填剤の添加と同時に処理してもよく、
添加前に予め処理してもよい。
【0286】また、併用される官能性表面処理剤又は収
束剤の使用量は、充填剤に対して5重量%以下、好まし
くは0.05〜2重量%程度である。
【0287】本発明の難燃剤は、燃焼時に樹脂表面の炭
化を促進するためか、樹脂を高度に難燃化できる。ま
た、ポリマー型リン酸エステルと、芳香族樹脂と、特定
の難燃助剤とを組み合わせることにより、少量であって
も熱可塑性樹脂を効果的に難燃化でき、ブリードアウト
や耐熱性を低下させることもない。
【0288】[難燃性樹脂組成物の製造方法]本発明の
難燃性樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物であっ
てもよく、熱可塑性樹脂と、難燃剤と、必要によりドリ
ッピング防止剤や他の添加剤などとを慣用の方法で混合
することにより調製できる。例えば、(1)各成分を混
合して、一軸又は二軸の押出機により混練し押出してペ
レットを調製した後、成形する方法、(2)一旦、組成
の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペ
レットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組
成の成形品を得る方法、(3)成形機に各成分の1又は
2以上を直接仕込む方法などが採用できる。さらに、押
出機によるペレットの製造方法としては、(1)脆性充
填剤(ガラス系充填剤など)を除く成分を先に溶融混合
した後に、脆性充填剤成分を混合する製造方法、(2)
ポリマー型リン酸エステル及び脆性充填剤を除く成分を
先に溶融混合した後に、脆性充填剤及びリン含有化合物
を(同じフィード位置で)同時混合する製造方法、
(3)ポリマー型リン酸エステル及び脆性充填剤を除く
成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤及びリン含有
化合物を(別々のフィード位置で)順次混合する製造方
法等が採用できる。この押出機によるペレット製造にお
いて、少量の芳香族化合物やハロゲン化合物(ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、トリクロロ
ベンゼン、クロロホルム、トリクロロエチレンなど)を
分散助剤として押出時に配合してもよい。この分散助剤
は押出機のベント口から混練樹脂より除去される。ま
た、成形品に用いられる組成物の調製において、熱可塑
性樹脂の粉粒体(例えば、ポリエステル系樹脂の一部又
は全部を粉砕した粉粒体)と、他の成分(難燃剤など)
とを混合して溶融混練すると、他の成分の分散を向上さ
せるのに有利である。
【0289】なお、ハンドリングの観点から、非樹脂状
成分(ポリマー型リン酸エステル、窒素含有化合物、無
機酸の金属塩など)と、樹脂状成分(熱可塑性樹脂、芳
香族樹脂など)とを一旦溶融混合することにより、マス
ターバッチを調製すると便利である。特に、リン含有化
合物として赤リンを併用する場合、マスターバッチを調
製する場合が多い。また、樹脂状成分でマスターバッチ
を構成する場合、熱可塑性樹脂の一部をマスターバッチ
に用いることが多い。
【0290】マスターバッチには、例えば、(a)熱可
塑性樹脂の一部と非樹脂状成分とで構成されたマスター
バッチ、(b)芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成され
たマスターバッチ、(c)芳香族樹脂と樹脂状難燃剤と
非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(d)熱
可塑性樹脂の一部と芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成
されたマスターバッチ、(e)熱可塑性樹脂の一部と樹
脂状成分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッ
チ、(f)熱可塑性樹脂の一部と芳香族樹脂と樹脂状成
分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチなどが
挙げられる。
【0291】なお、前記マスターバッチは、必要に応じ
て、種々の添加剤、例えば、フッ素系樹脂、酸化防止
剤、リン系安定剤、無機系安定剤、反応性安定剤、充填
剤などを含有していてもよい。
【0292】このようにして得られたマスターバッチ
と、熱可塑性樹脂と、必要に応じて、残りの成分とを溶
融混合することにより、難燃性樹脂組成物を製造でき
る。
【0293】また、本発明の難燃性樹脂組成物を溶融混
練し、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の方法
で成形でき、形成された成形品は、難燃性および成形加
工性に優れているため、種々の用途に使用できる。例え
ば、電気・電子部品、家電機器部品、オフィスオートメ
ーション(OA)機器部品、機械機構部品、自動車部
品、包装材料やケースなどに好適に用いることができ
る。
【0294】
【発明の効果】本発明では、熱可塑性樹脂と、重合度3
以上のポリマー型芳香族リン酸エステル、芳香族樹脂及
び特定の難燃助剤で構成された難燃剤とを組み合わせる
ので、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、少量であ
っても難燃化できる。特に、樹脂の特性を低下させるこ
となく、難燃剤のモールドデポジット及びブリードアウ
ト(又はブルーミング)を有効に抑制できる。また、前
記リン酸エステルの耐加水分解性に優れた難燃性樹脂組
成物が得られる。さらに、このような樹脂組成物によ
り、難燃性が改善された成形体を得ることができる。
【0295】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0296】尚、下記の試験により樹脂組成物の難燃
性、ブルーミング性及び耐加水分解性を評価した。
【0297】(難燃性の評価)UL94に準拠して、試
験片の厚み0.8mmで難燃性を評価した。
【0298】(ブルーミング性の評価)0.8mmの燃
焼試験片を150℃で5時間加熱し、試験片表面の染み
出し状態を目視観察し、以下の判断基準によりブルーミ
ング性を評価した。
【0299】 〇:染み出しが全く見られない △:若干の染み出しが見られる ×:著しい染み出しが見られる。
【0300】(耐加水分解性の評価)射出成形によりI
SO引張試験片を作製し、引張試験片のPCT試験(測
定条件:121℃×100%RH、2気圧、24時間)
を行い、PCT試験前後の引張強度を測定し、引張強度
保持率%を耐加水分解性の指標とした。
【0301】[熱可塑性樹脂 A] A−1:ポリブチレンテレフタレート[ジュラネック
ス、固有粘度=1.0、ポリプラスチックス(株)製] A−2:ポリスチレン[メルトフローレート(MFR)
=1.0g/10分、トーヨースチロール(株)製] A−3:ポリエチレンテレフタレート[ベルペットEF
G、カネボウ合繊(株)製] A−4:アクリロニトリル−スチレン共重合体[セビア
ンN JD、ダイセル化学工業(株)製。
【0302】[難燃剤] [リン酸エステル B] B−1:ポリ(ハイドロキノンフェニルホスフェート)
[数平均分子量=12000] B−2:ポリ(ハイドロキノン−2,6−キシリルホス
フェート)[数平均分子量=9500] B−3:ポリ(レゾルシノールフェニルホスフェート)
[数平均分子量=11100] B−4:ポリ(ビフェノールフェニルホスフェート)
[数平均分子量=1200、ダイマー型及びトリマー型
リン酸エステル含有ポリマー型リン酸エステル] B−5:レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)。
【0303】[芳香族樹脂 C] C−1:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル[PPEポリマーYPX−100F、三菱
ガス化学(株)製] C−2:ポリカーボネート[パンライトL1225、帝
人化成(株)製] C−3:フェノキシ樹脂[フェノトートYP−50、東
都化成(株)製] C−4:ポリアリレート[ポリアリレートU100、ユ
ニチカ(株)製] C−5:ノボラック型フェノール樹脂[スミライトレジ
ンPR53647、住友デュレズ(株)製] C−6:ポリ(1,4−フェニレン)スルフィド C−7:ビスフェノール−A型エポキシ樹脂[エピコー
ト1004K、油化シェルエポキシ(株)製] C−8:ノボラック型エポキシ樹脂[EPPN−20
1、日本化薬(株)製]。
【0304】[難燃助剤 D] [窒素含有環状化合物 D1] D1−1:ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩
[PMP200、日産化学工業(株)製] D1−2:ポリリン酸アミド[スミセーフPM、住友化
学工業(株)製] D1−3:ポリリン酸メラミン[Melapur20
0、DSM(株)製] D1−4:ポリメタリン酸メラミン:特開平10−81
691号公報の実施例1に準じて合成した化合物 D1−5:硫酸メラミン[アピノン901、(株)三和
ケミカル製] D1−6:メラミンシアヌレート[MC610、日産化
学工業(株)製] [無機酸金属塩 D2] D2−1:無水リン酸一水素カルシウム:[平均粒子径
=約30μm、太平化学産業(株)製] D2−2:硼酸亜鉛[ファイアーブレークZB、ボラッ
クス・ジャパン(株)製]。
【0305】[無機充填剤 E] E−1:直径10μm、長さ3mmのガラスチョップド
ストランド E−2:タルク。
【0306】[酸化防止剤 F] F−1:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート][イルガノックス1010、チバガイ
ギー(株)製]。
【0307】[リン系安定剤 G1] G1−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[アデ
カスタブPEP36、アデカアーガス(株)製] G1−2:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト[サンド
スタブP−EPQ、サンド(株)製]。
【0308】[無機系安定剤 G2] G2−1:炭酸カルシウム G2−2:ハイドロタルサイト[DHT−4A、協和化
学工業(株)製] G2−3:ゼオライト[ゼオラムA−3、東ソー(株)
製]。
【0309】[反応性安定剤 G3] G3−1:バーサティック酸グリシジルエステル G3−2:1,4−ビス{[3−エチル−3−オキセタ
ニル)メトキシ]メチル}ベンゼン[OXT−121、
東亞合成(株)製] G3−3:ポリカルボジイミド[カルボジライトHMV
−8CA、日清紡績(株)製] G3−4:オキサゾリン含有ビニルポリマー[エポクロ
スRAS−1020、日本触媒(株)製]。
【0310】[ドリッピング防止剤 H] H−1:ポリテトラフルオロエチレン。
【0311】実施例1〜30及び比較例1〜5 前記成分を表1〜表3の割合(重量部)で混合し、押出
機により混練押出して樹脂組成物を調製した。この樹脂
組成物を射出成形により燃焼試験用成形品と引張評価用
成形品を作製し、燃焼性、ブルーミング性、耐加水分解
性を評価した。結果を表1〜表3に示す。
【0312】
【表1】
【0313】
【表2】
【0314】
【表3】
【0315】表から明らかなように、難燃剤として、重
合度3以上のポリマー型芳香族リン酸エステル(B)
と、芳香族樹脂(C)と、特定の難燃助剤(D)とを用
いた実施例はいずれも、これらの成分のいずれかを欠く
比較例に比べ、難燃性、ブルーミング性及び耐加水分解
性に優れていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA02 AA22 AA42 AA43 AA44 AA45 AA46 AA50 AA51 AA56 AB19 AB25 AB27 AC11 AC12 AC15 AE07 AF47 AH12 AH17 BA01 BB03 BB05 BB06 4J002 BB001 BC021 BG001 CD032 CF061 CF071 CF081 CF162 CG001 CG002 CH071 CH072 CL001 CL032 CN012 DE167 DF037 DG047 DJ007 EU007 EU187 EW046 FD136 FD137

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A)と難燃剤とで構成さ
    れた難燃性樹脂組成物であって、前記難燃剤が、重合度
    3以上のポリマー型芳香族リン酸エステル(B)と、芳
    香族樹脂(C)と、窒素含有化合物(D1)及び無機酸
    の金属塩(D2)から選択された少なくとも一種の難燃
    助剤(D)とで構成されている難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリエステル系
    樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボ
    ネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル
    系樹脂、オレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂から選択
    された少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1記
    載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(A)が、1,4−シクロ
    ヘキサンジメチレンテレフタレート、C2-4アルキレン
    テレフタレート及びC2-4アルキレンナフタレートから
    選択された少なくとも1種の単位を有するホモ又はコポ
    リエステルである請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリブチレンテ
    レフタレート、ブチレンテレフタレートを主成分とする
    コポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、及びエ
    チレンテレフタレートを主成分とするコポリエステルか
    ら選択された少なくとも一種である請求項1記載の難燃
    性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリマー型芳香族リン酸エステル(B)
    が、下記式(1)で表される化合物である請求項1記載
    の難燃性樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1〜R4は置換基を有していてもよいアリール
    基を、Z1は二価の芳香族性基を示す。mは3以上の整
    数を示す)
  6. 【請求項6】 芳香族樹脂(C)が、ポリフェニレンス
    ルフィド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリ
    カーボネート系樹脂、芳香族ナイロン、ポリアリレート
    系樹脂、芳香族エポキシ樹脂、並びにヒドロキシル基及
    び/又はアミノ基を有する芳香族環を主鎖又は側鎖に有
    する樹脂から選択された少なくとも一種である請求項1
    記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 芳香族樹脂(C)が、芳香族エポキシ系
    樹脂及び/又はポリフェニレンオキシド系樹脂である請
    求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 窒素含有化合物(D1)が、アミノ基を
    有する窒素含有環状化合物、アミノ基を有する窒素含有
    環状化合物と酸素酸との塩、アミノ基を有する窒素含有
    環状化合物と有機リン酸との塩、ポリリン酸アミド及び
    環状尿素化合物から選択された少なくとも一種である請
    求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 窒素含有化合物(D1)が、アミノ基を
    有する窒素含有環状化合物とポリリン酸との複塩、アミ
    ノ基を有する窒素含有環状化合物とポリメタリン酸との
    塩、ポリリン酸アミド、アミノ基を有する窒素含有環状
    化合物と、硫酸、ピロ硫酸、有機スルホン酸、有機ホス
    ホン酸又は有機ホスフィン酸との塩、及び環状尿素化合
    物から選択された少なくとも一種である請求項1記載の
    難燃性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 窒素含有化合物(D1)が、ポリリン
    酸メラミン・メラム・メレム複塩、ポリメタリン酸メラ
    ミン、ポリリン酸アミド、硫酸メラミン、ピロ硫酸メラ
    ム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン及
    び有機ホスフィン酸メラミンから選択された少なくとも
    一種である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 無機酸の金属塩(D2)が、リン酸、
    ホウ酸及びスズ酸から選択された少なくとも一種の酸素
    酸と多価金属との塩である請求項1記載の難燃性樹脂組
    成物。
  12. 【請求項12】 無機酸の金属塩(D2)が、リン酸と
    多価金属との塩である請求項1記載の難燃性樹脂組成
    物。
  13. 【請求項13】 無機酸の金属塩(D2)が、リン酸水
    素カルシウム塩である請求項1記載の難燃性樹脂組成
    物。
  14. 【請求項14】 熱可塑性樹脂(A)と芳香族樹脂
    (C)との割合(重量比)が、熱可塑性樹脂/芳香族樹
    脂=50/50〜99/1である請求項1記載の難燃性
    樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 熱可塑性樹脂(A)100重量部に対
    して難燃剤0.1〜300重量部を含有する請求項1記
    載の難燃性樹脂組成物。
  16. 【請求項16】 難燃剤が、ポリマー型芳香族リン酸エ
    ステル(B)100重量部に対して芳香族樹脂(C)1
    〜500重量部及び難燃助剤(D)5〜1000重量部
    を含む請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 さらに、ヒンダードフェノール系酸化
    防止剤、リン系安定剤、無機系安定剤、活性水素原子に
    対して反応性の官能基を有する化合物(反応性安定
    剤)、フッ素系樹脂及び充填剤から選択された少なくと
    も一種を含む請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 熱可塑性樹脂と請求項1記載の難燃剤
    とを混合して難燃性樹脂組成物を製造する方法。
  19. 【請求項19】 請求項1記載の難燃性樹脂組成物で形
    成された成形体。
  20. 【請求項20】 電気・電子部品、オフィスオートメー
    ション機器部品、家電機器部品、自動車部品、又は機械
    機構部品である請求項19記載の成形体。
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