JP2011225845A - 樹脂組成物、成形体、及び電気電子機器用筐体 - Google Patents

樹脂組成物、成形体、及び電気電子機器用筐体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性、難燃性、衝撃強度及び吸湿性の全ての特性に優れた成形体が得られる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)セルロースエステル、(B)主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂、(C1)分子量が450以下の化合物からなる低分子可塑剤、(C2)質量平均分子量が500〜5000の化合物からなるオリゴマー可塑剤、及び(D)分子量が400〜800のリン含有化合物からなるリン系難燃剤を含む樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、成形体、及び電気電子機器用筐体に関する。
コピー機、プリンター等の電気電子機器を構成する部材には、その部材に求められる特性、機能等を考慮して、各種の素材が使用されている。例えば、電気電子機器の駆動機等を収納し、当該駆動機を保護する役割を果たす部材(筐体)にはPC(Polycarbonate)、ABS(Acrylonitrile−butadiene−styrene)樹脂、PC/ABS等が一般的に多量に使用されている。これらの樹脂は、石油を原料として得られる化合物を反応させて製造されている。
ところで、石油、石炭、天然ガス等の化石資源は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を主成分とするものである。このような化石資源、又は化石資源を原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素が大気中に放出された場合には、本来、大気中に存在せずに地中深くに固定されていた炭素を二酸化炭素として急激に放出することになり、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、これが地球温暖化の原因となっている。したがって、化石資源である石油を原料とするABS、PC等のポリマーは、電気電子機器用部材の素材としては、優れた特性を有するものであるものの、化石資源である石油を原料とするものであるため、地球温暖化の防止の観点からは、その使用量の低減が望ましい。
一方、植物由来の樹脂は、元々、植物が大気中の二酸化炭素と水とを原料として光合成反応によって生成したものである。そのため、植物由来の樹脂を焼却して二酸化炭素が発生しても、その二酸化炭素は元々、大気中にあった二酸化炭素に相当するものであるから、大気中の二酸化炭素の収支はプラスマイナスゼロとなり、結局、大気中のCOの総量を増加させない、という考え方がある。このような考えから、植物由来の樹脂は、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料と称されている。石油由来の樹脂に代わって、カーボンニュートラルな材料を用いることは、近年の地球温暖化を防止する上で急務となっている。
このため、PCポリマーにおいて、石油由来の原料の一部としてデンプン等の植物由来資源を使用することにより石油由来資源を低減する方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、より完全なカーボンニュートラルな材料を目指す観点から、さらなる改良が求められている。
セルロースは植物から得られる地球上で再生産可能なバイオマス材料として、また環境中にて生分解可能な材料として、昨今の大きな注目を集めつつある。セルロースは紙に用いられるばかりではなく、その誘導体であるセルロースエステルは、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート等が、フィルム材料等として用いられている。
特許文献2では、セルロースエステル、ポリ乳酸樹脂、及び芳香族ポリカーボネート樹脂、難燃剤として縮合リン酸エステルを含む樹脂組成物において、可塑剤としてエチレンビスラウリン酸アミド(分子量425)、又はポリエチレン・プロピレングリコール(平均分子量8400)を用いて成形体を形成することが記載されている。
特許文献3にはセルロースアセテート溶液に、負の固有屈折性を有する添加剤としてポリスチレン樹脂、可塑剤としてトリフェニルフォスフェート(分子量326)、及びもう1つの可塑剤としてエチルフタリルグリコレート(分子量280)を含む塗布液からフィルムを製膜することが記載されている。
特許文献4では、セルロースアセテート溶液に可塑剤としてトリフェニルフォスフェート(分子量326)、及びもう1つの可塑剤としてジトリメチロールプロパンテトラアセテート(分子量305)を含む塗布液からフィルムを製膜することが記載されている。
特開2008−24919号公報 特開2006−111858号公報 特開2006−291192号公報 特開2002−265636号公報
しかしながら、本発明者らの検討により、特許文献2に記載の樹脂組成物に用いられている可塑剤は、該樹脂組成物から得られる成形体の難燃性を低下させることがわかった。一方、該樹脂組成物において、難燃剤の添加量を増やすと、成形体の耐衝撃性が低下することがわかった。
また、特許文献3及び4に用いられている可塑剤も、特許文献2の可塑剤と同様に成形体の難燃性を低下させるものであることがわかった。
このようにカーボンニュートラルな材料としてセルロースエステルを使用した成形体では、難燃性と衝撃強度のバランスをとることが困難であった。また、特許文献2の樹脂組成物では、1種類の可塑剤を含有するが、該可塑剤が特定の分子量範囲よりも高分子の場合は得られた成形体の耐吸湿性が劣る(吸湿率が上昇する)ことがわかった。一方、該可塑剤が比較的低分子の場合は得られた成形体の耐衝撃性が劣ることがわかった。このように、衝撃強度と吸湿性のバランスをとることも、セルロースエステルを含む成形体では問題となっていた。
また、特許文献3、4のようなセルロースエステルフィルムには、相分離により透明性を低下させる懸念があることから高分子の可塑剤は通常用いられない場合が多い。
本発明は、セルロース誘導体を用いた樹脂組成物における上記課題に着目してなされたものであって、その目的は、様々な用途に用いることができる新規な樹脂組成物として、成形性、難燃性、衝撃強度及び耐吸湿性の全ての特性に優れた成形体が得られる樹脂組成物を提供することである。また、本発明の別の目的は、該樹脂組成物を成形して得られる成形体、及び該成形体から構成される電気電子機器用筐体を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、セルロースエステルに、特定の構造を有する熱可塑性樹脂と、特定の範囲の分子量を有する低分子可塑剤と、特定の範囲の分子量を有するオリゴマー可塑剤と、特定の範囲の分子量を有するリン系の難燃剤とを含有する樹脂組成物により、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
1.
(A)セルロースエステル、(B)主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂、(C1)分子量が450以下の化合物からなる低分子可塑剤、(C2)質量平均分子量が500〜5000の化合物からなるオリゴマー可塑剤、及び(D)分子量が400〜800のリン含有化合物からなるリン系難燃剤を含む樹脂組成物。
2.
前記(A)セルロースエステルがセルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートである上記1に記載の樹脂組成物。
3.
前記(A)セルロースエステルがセルロースジアセテートである上記1又は2に記載の樹脂組成物。
4.
前記(A)セルロースエステルの含有量が、樹脂組成物の全固形分に対して30〜70質量%である上記1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
5.
前記(B)熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である上記1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
6.
前記(B)熱可塑性樹脂の数平均分子量が15000〜30000である上記1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
7.
前記(C1)低分子可塑剤の水―n‐オクタノール分配係数(ClogP)が2〜6である上記1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
8.
前記(C2)オリゴマー可塑剤の水―n‐オクタノール分配係数(ClogP)が2〜6である上記1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
9.
前記(C2)オリゴマー可塑剤が、繰り返し構造を有する上記1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
10.
前記(D)におけるリン含有化合物がリン酸エステルである上記1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
11.
前記(C1)低分子可塑剤と前記(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計が、樹脂組成物の全固形分に対して5質量%〜30質量%である上記1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
12.
前記(C1)低分子可塑剤、前記(C2)オリゴマー可塑剤及び前記(D)リン系難燃剤の含有量の合計が、樹脂組成物の全固形分に対して10質量%〜40質量%である上記1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
13.
(C1)低分子可塑剤の含有量/((C1)低分子可塑剤の含有量と(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計)の値が、0.2〜0.8である上記1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
14.
((C1)低分子可塑剤の含有量と(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計)/((C1)低分子可塑剤、前記(C2)オリゴマー可塑剤及び前記(D)リン系難燃剤の含有量の合計)の値が0.15〜0.7である上記1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
15.
更に(E)相溶化剤を含有する上記1〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
16.
更に(F)安定化剤を含有する上記1〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
17.
更に(G)フッ素系樹脂を含有する上記1〜16のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
18.
上記1〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる射出成形用樹脂組成物。
19.
上記1〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物又は上記18に記載の射出成形用樹脂組成物を成形して得られる成形体。
20.
上記19に記載の成形体から構成される電気電子機器用筺体。
本発明の樹脂組成物は、成形性、難燃性、衝撃強度及び吸湿性の全ての特性に優れた成形体が得られる樹脂組成物であるので、例えば自動車、家電、電気電子機器等の構成部品、機械部品、住宅・建築用材料等として好適に使用することができる。また、本発明の樹脂組成物は、植物由来の樹脂であるセルロースから得られるセルロースエステル系樹脂を使用しているため、温暖化防止に貢献できる素材として、従来の石油由来の樹脂に代替できる。
本発明の樹脂組成物は、(A)セルロースエステル、(B)主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂、(C1)分子量が450以下の化合物からなる低分子可塑剤、(C2)分子量が500〜5000の化合物からなるオリゴマー可塑剤、及び(D)分子量が400〜800のリン含有化合物からなるリン系難燃剤を含む。
1.セルロースエステル
本発明の樹脂組成物はセルロースエステルを含有する。
本発明におけるセルロースエステルとしては、特に限定はない。セルロースエステルは、通常、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、コットンリンターパルプ等のセルロースをエステル化して製造されている。
セルロースエステルは、セルロースをアシル化剤と反応させる慣用のエステル化方法により生成でき、必要に応じてケン化又は熟成工程を経て製造できる。セルロースエステルは、通常、パルプ(セルロース)を活性化剤により活性化処理(活性化工程)した後、硫酸などの触媒を用いてアシル化剤によりエステル(トリエステルなど)を調製し(アシル化工程)、ケン化(加水分解)・熟成によりエステル化度を調整する(ケン化・熟成工程)ことにより製造できる。セルロースアセテートの場合は、例えば、硫酸触媒法、酢酸法、メチレンクロライド法等の慣用の方法で製造できる。
アシル化工程におけるアシル化剤の割合は、所望のアシル化度(酢化度など)となる範囲で選択でき、例えば、パルプ(セルロース)100質量部に対して230〜300質量部、好ましくは240〜290質量部、更に好ましくは250〜280質量部程度である。なお、セルロースアセテートの場合、アシル化剤としては、例えば、無水酢酸などが使用できる。
アシル化又は熟成触媒としては、通常、硫酸が使用される。硫酸の使用量は、通常、セルロース100質量部に対して、0.5〜15質量部、好ましくは5〜15質量部、更に好ましくは5〜10質量部程度である。また、ケン化・熟成の温度は、40〜160℃の範囲から選択でき、例えば、50〜70℃程度である。
更に、残留した硫酸を中和するために、アルカリで処理してもよい。
セルロースエステルとしては、例えば、有機酸エステル[セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロースと炭素数2〜6のカルボン酸エステルなど]、混合エステル(セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースと炭素数2〜6のジカルボン酸エステルなど)、グラフト体(ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなど)、無機酸エステル(硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等)、有機酸・無機酸混合エステル(硝酸酢酸セルロースなど)等が例示される。
本発明においては、これらのセルロースエステルのうち、有機酸で修飾されたセルロース有機酸エステルが好ましく、炭素数2〜12の有機酸で修飾されたセルロース有機酸エステルがより好ましい。具体的には、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートブチレートなどが好ましく、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートブチレートがより好ましく、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが更に好ましい。なかでも難燃性、及び主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂と相溶した際の形状制御がしやすい(衝撃強度の向上につながる)という観点からセルロースジアセテートが特に好ましい。
セルロースエステルのアシル置換度は耐衝撃性の観点から2.7以下であることが好ましく、2.65以下であることがより好ましく、2.6以下であることが更に好ましい。アシル置換度は1〜2.7が好ましく、1.3〜2.65がより好ましく、1.5〜2.6が更に好ましい。
セルロースアセテートの場合、平均酢化度30〜62.5%程度の範囲から選択でき、通常、平均酢化度43.7〜62.5%(アセチル基の平均置換度1.7〜3)、好ましくは45〜62.5%(平均置換度1.8〜3)、更に好ましくは48〜62.5%(平均置換度2〜3)程度である。
セルロースエステルの重合度は、特に制限されず、粘度平均重合度200〜400、好ましくは250〜400、更に好ましくは270〜350程度である。粘度平均重合度は特開平9−77801号公報、〔0018〕〜〔0019〕に記載の方法で測定することができる。
本発明におけるセルロースエステルは公知の方法で製造することができる。また、市販品を使用することもできる。例えば、セルロースアセテートプロピオネートとして、イーストマンケミカル社製、「482−20(アセチル置換度:0.1、プロピオニル置換度:2.5、Mn:73000、Mw:234000)」が、セルロースアセテートブチレートして、Aldrich社製「cellulose acetate butyrate(アセチル置換度:0.4、ブチレート置換度:1.1、Mn:70000)」が、セルロースジアセテートとして、ダイセル化学製、「L−70(アセチル置換度:2.45、Mn:65000、Mw:200000)」、セルローストリアセテートとして、ダイセル化学製、「FRM(アセチル置換度:2.79、Mn:66000、Mw:186000)」、ダイセル化学製、「LT−35」(アセチル置換度:2.87)などがある。
本発明の樹脂組成物に含まれるセルロースエステルの含有量は特に限定されない。好ましくはセルロースエステルを樹脂組成物の全固形分に対して、30〜70質量%、より好ましくは40〜65質量%、更に好ましくは40〜60質量%含有する。この範囲とすることで、耐衝撃性、難燃性、成形性に優れた成形体を得ることができる。またセルロースエステルの含有量を70質量%以下であると耐吸湿性の観点で優れる。
2.主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂
本発明の樹脂組成物は主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂を含有する。セルロースのみでは得られない熱可塑性を樹脂組成物に与えて成形を可能とするためであり、また、得られる成形体に衝撃強度や難燃性を付与するためである。
本発明における主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく、例えば、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニル単量体成分を重合体の構成成分として含む重合体、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等を挙げることができ、なかでもポリカーボネート樹脂が、セルロースエステルと共に使用した場合に剛性、耐衝撃性、耐熱性、耐吸湿性、成形性のバランスに優れているという理由から好ましい。
また芳香族環を有する熱可塑性樹脂の数平均分子量は、15000〜30000であることが好ましい。数平均分子量が15000以上では、衝撃強度や難燃性がより向上し、数平均分子量が30000以下であれば、成形性がより向上するからである。数平均分子量の値は、例えば、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求められる。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用できる。
また芳香族環を有する熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は2〜40cm/10minが好ましい。MFRは分子量と相関する傾向があり、前記数平均分子量の好ましい範囲15000〜30000に対して、MFR2〜40cm/10minが相関する範囲と考えられる。
MFRは溶融粘度の指標であり、シリンダー内で300℃に溶融した樹脂に対して荷重(1.2kg)をかけて、10分間で流れ出てくる樹脂の容量を測ることで得られる。MFRの値が大きい方が流動性は高く、値が小さい方が流動性は低いことになる。また、MFR測定についてはJIS7210にも記載されている。
なお、本発明において、芳香族環を有さない熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレンなどや、側鎖のみに芳香族環を有する熱可塑性樹脂、例えばポリスチレンなどは、衝撃強度、難燃性の観点から好ましくない。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明では、ポリカーボネート樹脂として、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が挙げられる。
該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用することができる。好ましくはビスフェノールAが挙げられる。更に、難燃性を更に高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物や、シロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーあるいはオリゴマーを使用することができる。
本発明で用いることができる芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。更に2種以上のポリカーボネート樹脂を併用してもよい。
本発明において使用することができる芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、上に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂と以下に記載する脂肪族ポリカーボネート樹脂との共重合体が挙げられる。セルロース誘導体との相溶性を高めるという理由から、芳香族成分と脂肪族成分の共重合比は95/5〜30/70が好ましく90/10〜50/50がより好ましい。
芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂の共重合に用いることができる脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、炭素数2〜12の脂肪族ジオール残基からなるものであることが好ましい。これらの脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ−[5.2.1.0]デカン、エリスリタン、イソソルバイド等の5員環ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,3−アダマンタンジオール、1,3−アダマンタンジメタノール、4,9:5,8−ジメタノ−1(2),6(7)−ヒドロキシメチル−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ペンゾインデン、2,3−ノルボルナンジオール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジメタノール等の6員環ジオール、スピログリコール等のスピロ環ジオール等などが挙げられる。特に、得られる成形材料の剛性や耐熱性の点より脂環式脂肪族ジオールが好ましい。これらの成分は、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリカーボネート樹脂の製造方法については、限定されるものでは無く、ホスゲン法(界面重合法)あるいは、溶融法(エステル交換法)、あるいは原料として二酸化炭素を使用するノンホスゲン法等で製造することができる。更に、溶融法で製造された、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
更に、芳香族ポリカーボネート樹脂としては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、光学ディスクなどの光記録媒体、導光板、自動車窓ガラスや自動車ヘッドランプレンズ、風防などの車両透明部材、水ボトルなどの容器、メガネレンズ、防音壁やガラス窓、波板などの建築部材などが好ましく挙げられる。また、再生芳香族ポリカーボネート樹脂としては、製品の不適合品、スプルー、又はランナーなどから得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレットなども使用可能である。
本発明ではカーボネート樹脂として市販品を用いることもでき、例えばパンライトL1225Y:ビスフェノールA骨格を有するポリカーボネート樹脂(Mn=25000)(帝人化成(株)社製)、パンライトL1225L:ビスフェノールA骨格を有するポリカーボネート樹脂(Mn=21000)(帝人化成(株)社製)、パンライトAD−5503、パンライトL−1250Y、L1225LL、パンライトK1300Y(帝人化成(株)社製)などが挙げられる。
(芳香族ポリエステル)
本発明でいう芳香族ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸とジオール、又はそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である。
本発明における芳香族ポリエステルの原料である芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸が好適に用いられ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく使用できる。
芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して使用してもよい。なお少量であれば、該ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を一種以上混合使用することも可能である。
また本発明の芳香族ポリエステルを構成する原料であるジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等、及びそれらの混合物等が挙げられる。
具体的な芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、等の他、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、等のような共重合ポリエステルが挙げられる。これらのうち、機械的性質等のバランスがとれたポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートが好ましく使用でき、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく使用できる。本発明においては、これらを単独でも用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ポリエステルは市販品を用いてもよく、ポリエチレンテレフタレート樹脂(三井PET J005、三井ペット樹脂(株)製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ジュラネックス2002、日本ポリプラスチック(株)製)などが挙げられる。
かかる芳香族ポリエステルの製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、副生する水又は低級アルコールを系外に排出することにより行われる。
(ポリフェニレンエーテル)
本発明で用いられるポリフェニレンエーテルとは、下記一般式(を繰り返し単位とした単独重合体、下記一般式(a)の繰り返し単位を含む共重合体、あるいはそれらの変性ポリマーを示す。
Figure 2011225845
式中R、R、R、R、は各々独立に、水素原子、第一級若しくは第二級の低級アルキル基、フェニル基を表す。R、R、R、Rは水素原子、炭素数1〜3の一級アルキル基が特に好ましい。nは繰り返し単位の数を表す。
当該ポリフェニレンエーテルとしては幅広い分子量の重合体が使用可能であるが、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)として、好ましくは0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/又は共重合体が使用され、更に好ましい還元粘度は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲である。当該ポリフェニレンエーテルとしては、その目的に応じて幅広い溶融流動性の樹脂が使用可能であり、特に溶融流動性の制限はない。しかしながら、例えば、特に高い強度、高い耐熱性及び機械諸物性が要求される構造材料として使用される場合には、JIS K6730に従い、かつ、280℃、荷重10Kgで測定されたメルトインデックスの値としては、好ましくは6(g/10min)以下、より好ましくは5(g/10min)以下、特に好ましくは4(g/10min)以下の値の樹脂が使用される。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この内、特に好ましいものは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。ポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールあるいは2−メチルフェノール(o−クレゾール))との共重合体などが挙げられる。以上のような各種ポリフェニレンエーテル樹脂の中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、更にはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
本発明で使用するポリフェニレンエーテルの製造方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法が挙げられる。
米国特許第3306875号、同第3257357号及び同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号及び特開昭50−51197号及び同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
ポリフェニレンエーテルは、重合工程後のパウダーのまま用いてもよいし、押出機などを用いて、窒素ガス雰囲気下あるいは非窒素ガス雰囲気下、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融混練することでペレット化して用いてもよい。
ポリフェニレンエーテルには、ジエノフィル化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含まれる。この変性処理には、種々のジエノフィル化合物が使用されるが、ジエノフィル化合物の例としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フェニルマレイミド、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアリレート、メチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンなどの化合物が挙げられる。更にこれらジエノフィル化合物により変性する方法としては、ラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で押出機などを用い、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融状態で官能化してもよい。あるいはラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で、非溶融状態、すなわち室温以上、かつ融点以下の温度範囲にて官能化してもよい。この際、ポリフェニレンエーテルの融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義され、ピークトップ温度が複数ある場合にはその内の最高の温度で定義される。
ポリフェニレンエーテルは、市販されているものを使用でき、例えば旭化成ケミカルズ(株)製ザイロン(熱可塑性ポリフェニレンエーテルとポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイ)、GEプラスチック社製ノリルPX9701(ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル)が挙げられる。
(ポリエーテルイミド)
ポリエーテルイミドは公知の樹脂であり、たとえば日本ジーイープラスチックス社から商品名ULTEMとして市販されているものが挙げられる。
(ポリフェニレンサルファイド)
ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、置換若しくは非置換のフェニレンサルファイド繰り返し単位を有する公知の樹脂である。たとえばフィリプス ペトロリアム(株)、及び東ソー・サスティール(株)、(株)トープレン及び呉羽化学(株)等から市販されているものが挙げられる。
本発明の樹脂組成物に含まれる主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されない。好ましくは該熱可塑性樹脂を樹脂組成物の全固形分に対して、30〜70質量%、より好ましくは15〜40質量%、更に好ましくは20〜40質量%含有する。この範囲とすることで、成形体の強度、特に衝撃強度と難燃性がより優れたものとなる。
3.可塑剤
本発明の樹脂組成物は可塑剤として、分子量が450以下の化合物からなる可塑剤(「低分子可塑剤」とも呼ぶ)と、分子量が500〜5000の化合物からなる可塑剤(「オリゴマー可塑剤」とも呼ぶ)の両方を含有する。これらの可塑剤は、本発明の樹脂組成物の成形性を向上させることに寄与している。更に低分子可塑剤は、セルロースエステルの吸湿性をコントロールして耐吸湿性を付与することができ、オリゴマー可塑剤は、セルロースエステルを含む成形体の機械的強度を補って衝撃強度を付与することができる。
(C1)低分子可塑剤
低分子可塑剤としては、分子量が450以下の可塑剤であれば特に制限はなく、好ましくは分子量が350以上450以下の可塑剤である。ポリマーの成形に常用されるものを用いることができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
また低分子可塑剤(C1)の水―n‐オクタノール分配係数(ClogP)は2〜6であることが好ましい。ClogPの値をこの範囲とすることで、耐吸湿性をより向上させることができる。またClogPを6以下とすることで、可塑剤の添加による難燃性の低下をより抑制することができる。
なお、水―n‐オクタノール分配係数であるClogP値とは、化合物のn‐オクタノール中及び水中における化合物の平衡濃度間の比率を示すn‐オクタノール/水分配係数Pの常用対数値をいう。このClogP値は、化合物の化学構造に基づくフラグメントアプローチ(A.Leo,Comprehensive Medical Chemistry,Vol.4;C.Hansch,P.G.Sammens,J.B.Taylor and C.A.Ramden,Eds.,p.295,Pergramon Press,1990)等によって決定され、デイライト・ケミカル・インフォメーション・システム社から入手し得る”CLOGP”プログラムで計算された値と定義される。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジンなどの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等が挙げられる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等が挙げられる。グリセリン系可塑剤としてはグリセリルトリベンゾエートを好ましく用いることができる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール等が挙げられる。
低分子可塑剤は一種のみを使用してもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
(C2)オリゴマー可塑剤
オリゴマー可塑剤としては、質量平均分子量が500〜5000の可塑剤であれば特に制限はないが、好ましくは質量平均分子量が600〜1500の可塑剤である。オリゴマー可塑剤の質量平均分子量の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行うことができる。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めることができる。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用することができる。
オリゴマー可塑剤としては、ポリマーの成形に常用されるものを用いることができ、上述の低分子可塑剤と同様、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
また、オリゴマー可塑剤(C2)の水―n‐オクタノール分配係数(ClogP)は2〜6であることが好ましい。ClogPの値をこの範囲とすることで、吸湿性の増大をより抑制することができる。またClogPを6以下とすることで、可塑剤の添加による難燃性、衝撃強度の低下をより抑制することができる。
更に、本発明のオリゴマー可塑剤としては、繰り返し構造単位を有するものがより好ましい。
通常、可塑剤は樹脂成形体の難燃性や衝撃強度を低下させるものであるが、繰り返し構造単位を有する重合体を可塑剤として添加した場合、難燃性や衝撃強度の低下を抑制しやすくなる。この効果は、繰り返し構造単位が重合することにより、分子が線状の構造をとり易くなることに由来すると考えられる。
繰り返し構造単位を含む可塑剤としては、例えばポリビニルオリゴマー((メタ)アクリル系オリゴマー、スチレン系オリゴマーなど)、ポリエーテル系オリゴマー、ポリウレタン系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマーなどを好ましく用いることができる。なかでも繰り返し単位が互いにエステル結合で連結しているポリエステルオリゴマーが成形性、強度、難燃性のバランスに優れるという理由から好ましい。
ポリエステルオリゴマーの具体例としては、2価のカルボン酸、2価のアルコール、ヒドロキシ基含有カルボン酸を構成成分として含むものが好ましい。2価のカルボン酸の例としては、アジピン酸、コハク酸、デカンジカルボン酸、セバチン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などが挙げられる。セルロースエステルに対して相溶性が高いことがより好ましく、具体的にはアジピン酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく挙げられる。
また2価のアルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。上記2価のカルボン酸と同様にセルロースエステルに対して相溶性が高いことがより好ましく、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましく挙げられる。
またヒドロキシ基含有カルボン酸の例としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸などが好ましく挙げられる。上記2価のカルボン酸と同様にセルロースエステルに対して相溶性が高いことがより好ましく、具体的にはグリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸が好ましく挙げられる。
更に、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸などのヒドロキシカルボン酸あるいは環状ラクトンを原料とするポリエステルオリゴマーなども好ましい例として挙げることができる。
これらのポリエステルオリゴマーの末端は、封止されることなくOH残基を有するままでもよいし、封止されていてもよいが、耐吸湿性の観点から末端封止がされ、水酸基とカルボキシル基を含有していないことが好ましい。
封止は、エステル封止、エーテル封止等、任意の方法で行うことができる。エステル封止の場合、封止に用いるモノカルボン酸類としては酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、トルイル酸、p−tert−ブチル安息香酸、ナフトエ酸等を挙げることができる。封止に用いるモノアルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールを挙げることができる。
オリゴマー可塑剤は一種のみを使用してもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれる可塑剤の含有量は特に限定されない。好ましくは樹脂組成物の全固形分に対して、(C1)低分子可塑剤と(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計が、5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%含有する。この範囲とすることで成形性がより優れたものとなり、また混練や成形プロセス中のブリードアウトが抑えられる。
また、(C1)低分子可塑剤の含有量/((C1)低分子可塑剤の含有量と(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計)の値が、0.2〜0.8であることが好ましく、0.4〜0.6であることがより好ましい。この範囲とすることで、得られる成型体の耐吸湿性と衝撃強度のよりよいバランスを得ることができる。なお、上記含有量は質量基準である。
4.(D)リン系難燃剤
本発明の樹脂組成物はリン含有化合物からなるリン系難燃剤を含有する。リン含有化合物の分子量は400〜800であり、500〜700であることが好ましい。分子量をこの範囲とすることで、成形体の優れた衝撃強度を維持しつつ難燃性を付与することができる。
リン系難燃剤は、通常使用される臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等、他の難燃剤と比較して、樹脂との複合時や成形加工時に熱分解してハロゲン化水素が発生して加工機械や金型を腐食させたり、作業環境を悪化させたりすることがなく、焼却廃棄時にハロゲンが揮散したり、分解してダイオキシン類等の有害物質の発生等によって環境に悪影響を与える可能性が少ないという利点がある。また通常使用されるケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等、他の難燃剤と比較して、曲げ弾性率や耐衝撃性の低下が抑制されるという利点がある。
本発明におけるリン含有化合物としては、特に限定されることはなく、常用のものを用いることができる。例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物が挙げられるが、熱安定性の観点からリン酸エステルが好ましく、なかでも縮合リン酸エステル(分子内にリン酸エステルユニットを2つ以上有する化合物)がより好ましい。
リン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどを挙げることができる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェート並びにこれらの縮合物などの芳香族縮合リン酸エステル等を挙げることができる。
これらリン酸エステルの分子量は、成形時の揮散と、成形体のブリードアウトを抑制することが出来るという観点から、500〜700が好ましい。
また、リン酸、ポリリン酸と周期律表1族〜14族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン等が挙げられる。
更に、前記以外にも、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)などの含ハロゲンリン酸エステル、また、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドを挙げることができる。
これらのリン含有難燃剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのリン系難燃剤は公知の方法で製造することができる。また、市販品を使用することもでき、例えば、「PX−200、1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学製)」「CR733S(大八化学製)」、「FP−600(アデカ社製)」を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる前記低分子可塑剤、前記オリゴマー可塑剤、及びリン系難燃剤の合計の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜30質量%である。この範囲とすることで、耐衝撃性、脆性、燃焼性等の観点から好ましい。また、成形時の揮散と、成形体のブリードアウトをより低く抑えることもできる。
また、(低分子可塑剤の含有量+オリゴマー可塑剤の含有量)/(低分子可塑剤の含有量+オリゴマー可塑剤の含有量+リン系難燃剤の含有量)の値が0.15〜0.7であることが好ましく、0.3〜0.5であることがより好ましい。この範囲とすることで、得られる成型体について耐吸湿性、衝撃強度、難燃性のよりよいバランスを得ることができる。なお、上記含有量は質量基準である。
5.相溶化剤
本発明の樹脂組成物は、更に相溶化剤を含有することが好ましい。相溶化剤とは、本発明におけるセルロースエステルと熱可塑性樹脂とを相溶化させるものであり、セルロースエステルに親和性のある部分と熱可塑性樹脂に親和性のある部分を持つ化合物や、前記2種の樹脂の何れかに反応する官能基を有する化合物が好ましい。前者の例としては、極性が異なる部分を有するブロックポリマーやグラフトポリマーを好ましく用いることができる。後者の例としては、反応性基としてカルボン酸無水物、又は、エポキシ基、イソシアネート基、及びオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種を有するオリゴマー又はポリマーが好ましい。本発明の樹脂組成物に相溶化剤を配合すると、熱可塑性樹脂に対するセルロースエステルの分散性が更に向上し、樹脂組成物の流動性(成形加工性)、及び成形体の耐衝撃性などの性能がより向上する。
相溶化剤は、上記の条件を満たす材料であれば特に限定されないが、具体的には、日本油脂(株)製モディパーシリーズ、住友化学(株)製、ボンドファースト、ボンダインシリーズ、日本石油(株)社製レクスパールシリーズ、東亞合成(株)社製レゼダシリーズ、アルフォンシリーズ、日本触媒(株)製エポクロスシリーズなどの市販品が好適に用いられる。また相溶化剤はこれらに限定されることはなく、「プラスチック相溶化剤 開発・評価・リサイクル」(シーエムシー出版)に記載の相溶化剤なども好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物における相溶化剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%である。
6.安定化剤
本発明の樹脂組成物は、更に安定化剤を含有することが好ましい。安定化剤としては、特に限定はされないが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物における安定化剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して、0.05〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%である。
7.フッ素系樹脂
本発明の樹脂組成物は、更にフッ素系樹脂を含有することが好ましい。成形体が燃焼した場合のドリップを防止し、更に高度な難燃性を得るためである。
本発明におけるフッ素系樹脂とは、物質分子中にフッ素を含有する樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド/エチレン共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体が好ましく、更にはポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体も好ましく用いられる。ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂の分子量は10万〜1000万の範囲のものが好ましく、とくに10万〜100万の範囲のものがより好ましく、本発明の押出成形性と難燃性にとくに効果がある。ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、三井・デュポンフロロケミカル(株)製の“テフロン(登録商標)”6−J、“テフロン(登録商標)”6C−J、“テフロン(登録商標)”62−J、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製の“フルオン”CD1やCD076などが市販されている。また、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の市販品としては、三菱レイヨン(株)から、“メタブレン(登録商標)”Aシリーズとして市販され、“メタブレン(登録商標)”A−3000、“メタブレン(登録商標)”A−3800などが市販されている。また、ポリテトラフルオロエチレンの“テフロン(登録商標)”6−Jなどは凝集し易いため、他の樹脂組成物と共にヘンシェルミキサーなどで機械的に強く混合すると凝集により塊が生じる場合があり、混合条件によってはハンドリング性や分散性に課題がある。一方、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は前記のハンドリング性や分散性に優れ、とくに好ましく用いられる。前記のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体とは、限定されるものではないが、特開2000−226523号公報で開示されているポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体などが挙げられ、前記の有機系重合体としては芳香族ビニル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、及びシアン化ビニル系単量体を10質量%以上含有する有機系重合体などであり、それらの混合物でもよく、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体中のポリテトラフルオロエチレンの含有量は0.1質量%〜90質量%であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるフッ素系樹脂の含有量は樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.02〜2質量%であり、更に好ましくは0.03〜1質量%である。この範囲とすることで、成形性への影響を抑えながら難燃性をより向上させることができる。
8.樹脂組成物、及び成形体
本発明の樹脂組成物は、上記した成分のほか、必要に応じて、フィラー(強化材)等の種々の添加剤を含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物は、フィラー(強化材)を含有してもよい。フィラーを含有することにより、樹脂組成物によって形成される成形体の機械的特性を強化することができる。
フィラーとしては、公知のものを使用できる。フィラーの形状は、繊維状、板状、粒状、粉末状等いずれでもよい。また、無機物でも有機物でもよい。
具体的には、無機フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の繊維状の無機フィラーや;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、カーボンブラック、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状や粒状の無機フィラーが挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維等の合成繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、マニラ麻、亜麻、リネン、絹、ウール等の天然繊維、微結晶セルロース、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙等から得られる繊維状の有機フィラーや、有機顔料等の粒状の有機フィラーが挙げられる。
樹脂組成物がフィラーを含有する場合、その含有量は限定的でないが、樹脂組成物の全固形分に対して、30質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記したもの以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲で、成形性・難燃性等の各種特性をより一層改善する目的で他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、前記セルロースエステル以外のポリマー、紫外線吸収剤、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーン)、帯電防止剤、難燃助剤、加工助剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。更に、染料や顔料を含む着色剤などを添加することもできる。
前記セルロースエステル以外のポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーのいずれも用い得るが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。セルロースエステル以外のポリマーの具体例としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー(エチレン−プロピレンブロックコポリマーなど)、ポリブテン−1及びポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びその他の芳香族ポリエステル等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン12等のポリアミド、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアセタール(ホモポリマー及び共重合体を含む)、ポリウレタン、芳香族及び脂肪族ポリケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性澱粉樹脂、ポリメタクリル酸メチルやメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS樹脂、AES樹脂(エチレン系ゴム強化AS樹脂)、ACS樹脂(塩素化ポリエチレン強化AS樹脂)、ASA樹脂(アクリル系ゴム強化AS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ビニルエステル系樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系ポリマー、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミドなどを挙げることができる。
また、各種アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、ジエン系ゴム(例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合させたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエン又はイソプレンとの共重合体、ブチルゴム、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、その他ポリウレタン系やポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、あるいは各種の平均粒径を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体なども使用することができ、更にシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。
これらのポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物が前記セルロースエステル、主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂、及び可塑剤以外のポリマーを含有する場合、その含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して30質量%以下が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、様々な用途に用いることが可能である。例えば、溶剤に溶かして塗布法によりフィルムとしてもよい。また、溶融押し出し法などによりフィルムとしてもよい。
本発明の樹脂組成物は射出成形用樹脂組成物であることが好ましい。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形することにより得られる。
本発明の成形体の製造方法は、本発明の樹脂組成物を加熱し、成形する工程を含む。
成形方法としては、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が挙げられる。
加熱温度は、通常160〜300℃であり、好ましくは180〜260℃である。
本発明の成形体の用途は、とくに限定されるものではないが、例えば、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)の内装又は外装部品、自動車、機械部品、住宅・建築用材料等が挙げられる。これらの中でも、優れた耐熱性及び耐衝撃性を有しており、環境への負荷が小さい観点から、例えば、コピー機、プリンター、パソコン、テレビ等といった電気電子機器用の外装部品(特に筐体)として好適に使用することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。
<オリゴマー可塑剤の製造>
表1に示すジカルボン酸成分、ジオール成分を表1に記載の各質量部で用いて、表1記載の末端構造、質量平均分子量、及びClogP値を有するオリゴマー可塑剤(オリゴマー可塑剤1〜4)を製造した。
Figure 2011225845
[質量平均分子量の測定方法]
オリゴマー可塑剤の質量平均分子量の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いた。具体的には、THFを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めた。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用した。
[ClogP値の測定方法]
オリゴマー可塑剤のClogP値はデイライト・ケミカル・インフォメーション・システム社から入手し得る”CLOGP”プログラムで計算された値を使用した。
<実施例1〜27、29〜54、比較例1〜18、28>
[成形体の作製]
セルロースエステル、熱可塑性樹脂、低分子可塑剤、オリゴマー可塑剤、難燃剤及びその他の成分を表2〜7に示す配合割合(質量%)で混合し、樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給しペレットを作製し、ついで得られたペレットを、射出成形機(ファナック(株)Roboshot S−2000i、自動射出成形機)に供給して、シャルピー衝撃試験用の試験片(長さ:80mm、幅:10mm、厚さ:4.0mm)、及び難燃試験用の試験片(長さ:120mm、幅:13mm、厚さ:1.6mm)を成形した。
[評価]
得られた樹脂組成物、ペレット、及び多目的試験片を用いて、以下の項目について評価した。評価結果は表2〜7に示した。
(シャルピー衝撃強度)
ISO179に準拠して、射出成形にて成形したシャルピー衝撃試験用の試験片に入射角45±0.5°、先端0.25±0.05mmのノッチを形成し、23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上静置した後、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)によってエッジワイズにて衝撃強度を測定した。測定は3回測定の平均値である。
また、シャルピー衝撃強度が10kJ/m2以上のものを◎、6kJ/m2以上のものを○、4kJ/m2以上のものを△、4kJ/m2未満のものを×とした。
(吸湿率)
混練後のペレットを32℃、85%環境下に7日間で保管した。保管前後のペレット質量を測定し、(増えた質量/元のペレット質量)×100で吸湿率(%)を測定した。
また、吸湿率2.5%以下のものを○、3%未満のものを△、3%以上のものを×とした。
(難燃性)
難燃試験用の試験片を用い、難燃性の指標として、UL94に準拠した垂直燃焼試験を行った。試験本数は5本である。自己消火性の無いものをV−not、燃焼試験時に樹脂組成物のドリップがあり所定時間内に自己消火するものをV−2、燃焼時に樹脂組成物ドリップがなく所定時間内に自己消火するものをV−1(燃焼時間30秒以内)、V−0(燃焼時間10秒以内)とした。
また、V−0を○、V−1及びV−2を△、V−notを×とした。
(成形性)
成形性評価は、射出成形機での成形適性を示しており、成形搬送性及び射出性ともに優れている樹脂組成物を○、いずれか一方に課題がある樹脂組成物を△、両方に課題がある樹脂組成物を×とした。
なお、○は成形時の温度230℃以下で着色などの劣化無く成形ができるものであり、△は成形時の240℃以下で着色などの劣化無く成形ができるものであり、×は成形時の240℃より高い温度で着色などの劣化無く成形ができるものであり、××は成形できないものである。
Figure 2011225845
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表中、MFR(cm/10min)はシリンダー内で300℃に溶融した樹脂に対して荷重(1.2kg)をかけて、10分間で流れ出てくる樹脂の容量を測定し、求めた。
Figure 2011225845
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以上の結果より、熱可塑性樹脂が主鎖に芳香族環を有さない場合、良好な衝撃強度、難燃性が得られないこと、低分子可塑剤がない場合や規定の分子量を有さない場合は耐吸湿性が得られないこと、オリゴマー可塑剤がない場合や規定の分子量を有さない場合は衝撃強度が劣ることが確認された。更に難燃剤がない場合は難燃性が悪化することが確認された。

Claims (20)

  1. (A)セルロースエステル、(B)主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂、(C1)分子量が450以下の化合物からなる低分子可塑剤、(C2)質量平均分子量が500〜5000の化合物からなるオリゴマー可塑剤、及び(D)分子量が400〜800のリン含有化合物からなるリン系難燃剤を含む樹脂組成物。
  2. 前記(A)セルロースエステルがセルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(A)セルロースエステルがセルロースジアセテートである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(A)セルロースエステルの含有量が、樹脂組成物の全固形分に対して30〜70質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(B)熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記(B)熱可塑性樹脂の数平均分子量が15000〜30000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記(C1)低分子可塑剤の水―n‐オクタノール分配係数(ClogP)が2〜6である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記(C2)オリゴマー可塑剤の水―n‐オクタノール分配係数(ClogP)が2〜6である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記(C2)オリゴマー可塑剤が、繰り返し構造を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記(D)におけるリン含有化合物がリン酸エステルである請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記(C1)低分子可塑剤と前記(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計が、樹脂組成物の全固形分に対して5質量%〜30質量%である請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記(C1)低分子可塑剤、前記(C2)オリゴマー可塑剤及び前記(D)リン系難燃剤の含有量の合計が、樹脂組成物の全固形分に対して10質量%〜40質量%である請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. (C1)低分子可塑剤の含有量/((C1)低分子可塑剤の含有量と(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計)の値が、0.2〜0.8である請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. ((C1)低分子可塑剤の含有量と(C2)オリゴマー可塑剤の含有量の合計)/((C1)低分子可塑剤、前記(C2)オリゴマー可塑剤及び前記(D)リン系難燃剤の含有量の合計)の値が0.15〜0.7である請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  15. 更に(E)相溶化剤を含有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  16. 更に(F)安定化剤を含有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  17. 更に(G)フッ素系樹脂を含有する請求項1〜16のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる射出成形用樹脂組成物。
  19. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物又は請求項18に記載の射出成形用樹脂組成物を成形して得られる成形体。
  20. 請求項19に記載の成形体から構成される電気電子機器用筺体。
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