JP6435603B2 - 樹脂組成物、成形体、及び該成形体から構成される内装部品、内装材、筐体 - Google Patents

樹脂組成物、成形体、及び該成形体から構成される内装部品、内装材、筐体 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、成形体、及び該成形体から構成される内装部品、内装材、筐体に関する。
更に詳しくは、必須成分としてセルロースエステルとエステルオリゴマーを含み、衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能バランスに優れる樹脂組成物、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体、及び前記成形体から構成される内装部品、内装材、筐体に関する。
電気製品や電子・電気機器などの内装部品、自動車や旅客機などの乗り物の内装部品・内装材、或いは事務機器や電子・電気機器などの筐体には、機械的特性(例えば、強度、弾性)や耐熱性などの優れた性能バランスが益々求められている。特に様々な使用条件でも高い精度が要求される機器や部品などの場合には、長時間に亘る使用期間や過酷な環境変化に対しても安定した性能の維持が要求される。
従来から、このような要求に適合し得る樹脂として、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリロ・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタールなどの化石資源由来の原料(主に石油)から製造される樹脂が広範囲の用途に利用され続けてきた。
しかしながら、これら化石資源由来の樹脂は、(1)化石資源の採掘から製品の生産までの各工程で二酸化炭素排出量が非常に多いために地球温暖化の原因となっていること、(2)有限である化石資源の大量消費により世界的な枯渇が切迫していること、などの問題があり、緊急な解決が求められている。
その解決策の一つとして、植物由来の原料から製造される樹脂が、化石資源由来の原料から製造される樹脂の代替として注目されている。
植物由来の原料から製造される樹脂は、本来、植物が大気中の二酸化炭素と水とを原料として光合成反応によって生成したものであるため、このような樹脂を焼却して二酸化炭素が発生しても、大気中の二酸化炭素の収支はプラス・マイナス・ゼロになる、所謂『カーボンニュートラル』という考え方がある。そのような考え方を基本に、化石資源由来の樹脂に代えて、カーボンニュートラルが可能な植物由来の原料から製造される樹脂を様々な材料に使用する検討が種々の分野で積極的に行われている。
植物由来の原料の中でもセルロースは、分子式(C10で表される多糖類であり、植物細胞の細胞壁や繊維の主成分であることから地球上に最も多く存在する炭化水素である。このセルロース誘導体であるセルロースエステルは、バイオマス材料として現在大きな注目を集めている。
セルロースエステルは、天然の高分子であるセルロースをモノカルボン酸でエステル化することにより得られる半合成高分子である。セルロースはβ−グルコースがグリコシド結合により直鎖上に重合した天然高分子で、構成単位であるグルコース環当たり3個の水酸基を有する。これらグルコース単位の2位、3位、6位の水酸基にエステル化している程度(即ち「置換度」)により性質の異なるセルロースエステルを得ることができる。
セルロースエステルの構造を構造式〔1〕として下記に示した。
構造式〔1〕
Figure 0006435603
前記構造式〔1〕において、nは、好ましくは1〜6の範囲であり、より好ましくは1〜4の範囲である。また、mは、好ましくは30〜200の範囲であり、より好ましくは50〜200の範囲である。
一般に用いられるセルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート(CA)、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート(CAT)などが挙げられる。
これらのセルロースエステルは、主に塗料、フィルム、シート、繊維などに用いられているが、熱可塑成形体への利用は殆ど知られていないのが実情であった。
その理由として、セルロースエステルは融点よりも熱分解温度の高いものが多いことが挙げられ、特に置換度の低いセルロースジアセテート等のセルロースエステルでは、水酸基が多く、分子間の水素結合が非常に強いため、エステルオリゴマー等の低融点化成分の非存在下では熱可塑成形が難しく、得られる成形物は靭性に乏しいという問題が挙げられる。
かかる問題を改良するための種々の提案がなされてきた。例えば、セルロースエステルの中でも、セルロースジアセテート(DAC)などのアセチル置換度の比較的低いセルロースエステルをフィルムやシートなどへ利用することが開示されている(特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、特許文献1や2は、セルロースジアセテートを溶剤に溶解させて、キャスト製膜又は塗布によりフィルムを作成しているが、十分な厚みを有しており、且つ機械的特性(例えば強度、弾性)や耐熱性などの性能バランスに優れる成形体を得られるまでには至っていない。
また、セルロースエステル、主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂、繰り返し構造単位を有する数平均分子量が500〜5000の重合体を含む可塑剤、及び分子量が400〜1500であるリン含有難燃剤を含む樹脂組成物(特許文献3参照。)、あるいは、セルロースエステル、主鎖に芳香環を有する熱可塑性樹脂、分子量が450以下の化合物からなる低分子可塑剤、質量平均分子量が500〜5000の化合物からなるオリゴマー可塑剤、分子量が400〜800のリン含有化合物からなるリン系難燃剤を含む樹脂組成物(特許文献4参照。)が知られている。
特許文献3や4には、成形性、耐ブリードアウト性、耐揮散性、難燃性、衝撃強度、及び曲げ強度が比較的に良好な成形体が得られ、例えば、自動車、家電、電気・電子機器等の構成部品、機械部品、住宅・建築用材料等として好適に使用することが記載されている。
しかしながら、特許文献3や4に記載の樹脂組成物は、(1)セルロースエステルと主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂が相溶性に劣るために、成形体において両成分の界面でクラックが発生しやすく、衝撃強度の等方性に乏しいこと、(2)置換度が低く(即ち、水酸基を多く有し)、極性の強いセルロースエステルを配合した場合では、湿熱条件下での耐ブリードアウト性が不充分であること、などの問題があり、種々の成形体への利用が困難であった。
特開昭63−167303号公報 特開2004−226799号公報 特開2011−225841号公報 特開2011−225845号公報
本発明の目的は、衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能バランスに優れる樹脂組成物、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体、及び前記成形体から構成される内装部品、内装材、筐体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を進めた結果、必須成分として、セルロースアセテートと特定のエステルオリゴマーとを含む樹脂組成物であれば、衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能バランスに優れ、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体、及び前記成形体から構成される内装部品、内装材、筐体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、必須成分として、セルロースエステル(A)、及びゲル浸透クロマトグラフィー法により測定した数平均分子量が600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B)とを含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の溶融固化後の固化物を試料として、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量測定法により窒素雰囲気下で測定した降温時の結晶化熱量(H)が、1.3〜3.1J/gの範囲であることを特徴とする樹脂組成物に関するものである。
また、本発明は、前記樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする成形体に関するものである。
更に、本発明は、前記成形体から構成されることを特徴とする内装部品に関するものである。
本発明は、前記成形体から構成されることを特徴とする内装材に関するものである。
本発明は、前記成形体から構成されることを特徴とする筐体に関するものである。
本発明の樹脂組成物は、衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能バランスに優れるので、例えば、電気・電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器、通信機器等)の内装部品、内装材、外装材、自動車部品、機械部品、住宅用材料等に広範囲に利用でき、これらの中でも、例えば、複写機、複合機、プリンター、パーソナルコンピュータ、テレビ等の電気電子機器用の内装材や外装材(特に筐体)を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物は、植物由来の樹脂であるセルロースから得られるセルロースエステル系樹脂を使用しているため、地球温暖化防止に貢献できる素材として、従来の化石資源由来の樹脂に代替できる。
本発明の樹脂組成物は、必須成分として、セルロースエステル(A)と、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下「GPC法」ともいう。)により測定した数平均分子量(以下「Mn」と略記する。)が600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B)を含む。
<(A)セルロースエステル>
先ず、第1の必須成分であるセルロースエステル(A)について、以下に説明する。
本発明で用いるセルロースエステル(A)は、通常、セルロースを原料にして公知慣用のエステル化方法により製造できる。
前記セルロースエステル(A)としては、特に限定しないが、例えば、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)、コットンリンター等のセルロース内のグルコース残基の2位、3位、6位の水酸基を全て、若しくはその一部をエステル化して製造される。
前記セルロースエステル(A)として、アセチル化されたセルロースを得る場合には、セルロースをアセチル化剤と反応させる公知慣用のエステル化方法により生成でき、必要に応じて熟成工程・沈殿工程・精製工程・乾燥工程を経て製造できる。例えば、(1)パルプ(セルロース)を解砕後、酢酸を主とするモノカルボン酸の散布混合により前処理活性化した後、無水酢酸を主とするモノカルボン酸無水物を硫酸などのエステル化触媒を用いてセルローストリアセテートを調製するエステル化工程、次いで(2)得られたセルローストリアセテートを加水分解により所望のアシル置換度に調整する熟成工程、次いで(3)得られたセルロースアセチル化物より、濾過、沈殿分離、水洗、脱水、乾燥する後処理工程、などの一連の工程を経ることにより製造できる。
前記エステル化触媒の種類、使用量、反応温度などは特に限定しない。エステル化触媒として、例えば、硫酸を使用した場合には、硫酸の使用量は、通常、前記セルロースエステル(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。エステル化の温度は好ましくは35〜80℃の範囲であり、より好ましくは35〜50℃の範囲である。また、熟成の温度は、好ましくは100〜160℃の範囲であり、より好ましくは130〜150℃の範囲である。更に、残留した硫酸などの酸を中和するためにモノカルボン酸金属塩などで処理してもよい。
前記セルロースエステル(A)としては、例えば、セルロースアセテート(CA)、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート(CAT)、ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなどが挙げられ、これら化合物は単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、引張強度、曲げ強度等の機械的強度や耐熱性が一層向上できることから、好ましくはセルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートであり、より好ましくはセルロースジアセテート、セルローストリアセテートである。
本発明で用いるセルロースエステル(A)が、アセチル化されたセルロースの場合は、その「平均アセチル置換度」としては、好ましくは2.3〜2.9の範囲であり、より好ましくは2.3〜2.6の範囲である。前記平均アセチル置換度がかかる範囲であれば、得られる樹脂組成物において、衝撃強度、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの優れた性能バランスを発現できる。
尚、本発明でいう「平均アセチル置換度」とは、ASTM D−817−91に準じて測定した値である。
また、前記セルロースエステル(A)の平均重合度としては、好ましくは140〜350の範囲、より好ましくは160〜275の範囲、更に好ましくは170〜200の範囲である。前記(A)の平均重合度がかかる範囲であれば、優れた機械的強度と耐熱性を共に発現できる。
前記平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)に従い測定できる。具体的には、絶乾したセルロースエステル0.2gを精秤し、メチレンクロライド:エタノール=9:1(質量比)の混合溶媒100mlに溶解し、この溶液をオストワルド粘度計にて25℃で落下秒数を測定し、平均重合度を以下の〔式1〕により算出する。
尚、前記〔式1〕中の各符号は下記の内容を意味する。
平均重合度=[η]/K・・・〔式1〕
[η]=(lnηrel)/C
ηrel=T/T
=6×10−4
T :測定サンプルの落下時間(秒)
:溶剤の落下時間(秒)
C :サンプルの濃度(g/l)
また、本発明では、前記セルロースエステル(A)として市販品を用いることもでき、例えば、セルロースジアセテートとして「L−20」(商標:株式会社ダイセル製、平均アセチル置換度2.41、平均重合度145)、「L−30」(同社製、平均アセチル置換度2.41、平均重合度160)、「L−50」(同社製、平均アセチル置換度2.41、平均重合度180)、「L−70」(同社製、平均アセチル置換度2.41、平均重合度190);あるいはセルローストリアセテートとして「LT−35」(商標:株式会社ダイセル製、平均アセチル置換度2.87、平均重合度270)などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、前記セルロースエステル(A)の含有量は、前記セルロースエステル(A)と前記エステルオリゴマー(B)との合計100質量部に対して、好ましくは70〜90質量部の範囲であり、より好ましくは75〜85質量部の範囲であり、更に好ましくは77.5〜82.5質量部の範囲である。前記(A)がかかる範囲であれば、優れた衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性を発現できる。
<(B)エステルオリゴマー>
次に、第2の必須成分であるエステルオリゴマー(B)について、以下に説明する。
本発明で用いるエステルオリゴマー(B)とは、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマーであり、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下「GPC法」という。)により測定した数平均分子量(以下「Mn」という。)が600未満であり、好ましくは300以上600未満である。前記(B)のMnが600未満であれば、セルロースアセテートを代表とする前記セルロースエステル(A)との相溶性が向上して、良好な可塑化効果を得ることができ、優れた衝撃強度を発現できる。
しかしながら、前記(B)のMnが600以上の場合には、前記セルロースエステル(A)との相溶性に劣り、可塑化効果が低下してしまい、充分な衝撃強度を発現できず、本発明の目的を達成できないおそれがある。
尚、本発明に記載のエステルオリゴマー(B)のMnとは、ポリスチレンを分子量標準とするゲル浸透クロマトグラフィー法(Gel Permeation Chromatography。GPC法。)により、下記の測定条件にて求めた値である。
試料溶液 ;0.4%(w/V)テトラヒドロフラン溶液
GPC型番 ;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム ;TSKgelG5000HxL・G4000HxL・G3000HxL
・G2000HxL・G1000HxL(東ソー株式会社製)
流量 ;1.0ml/分
溶離液 ;テトラヒドロフラン
検出条件 ;Ri(40℃)
本発明の樹脂組成物において、前記エステルオリゴマー(B)の含有量は、セルロースエステル(A)とエステルオリゴマー(B)との合計100質量部に対して、好ましくは10〜30質量部の範囲、より好ましくは15〜25質量部の範囲、更に好ましくは17.5〜22.5質量部の範囲である。前記(B)がかかる範囲であれば、優れた衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能を発現できる。
前記エステルオリゴマー(B)は、ジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシ基含有カルボン酸などのいずれも主鎖に芳香族骨格を有さない反応性化合物を合成原料に用いて常法に従い製造することができる。
前記主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、前記セルロースエステル(A)に対して相溶性がより良好であることから、好ましくはコハク酸、アジピン酸である。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸の他にも、その反応性誘導体を使用することができ、例えば、メチルエステル体など低級エステル、酸無水物、酸ハロゲン化物などが挙げられる。
前記主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール(直鎖、分岐)、あるいは1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環族ジオールなどが挙げられる。これらの中でも、セルロースエステル(A)に対する相溶性がより良好であることから、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましい。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記主鎖に芳香族骨格を有さないヒドロキシ基含有カルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸などが挙げられる。これらの中でも、前記セルロースエステル(A)に対する相溶性がより良好であることから、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸が好ましい。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記エステルオリゴマー(B)としては、例えば、ポリカプロラクトン、ポリブチロラクトン、ポリ乳酸などのヒドロキシカルボン酸、あるいはラクトン類(例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなど)が開環付加重合したエステルオリゴマーなども使用できる。
また、前記エステルオリゴマー(B)の製造時に、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖等の3官能以上の多官能化合物を併用してもよい。
前記エステルオリゴマー(B)の分子末端は、封止されることなく、COOH残基及び/又はOH残基を有するままでもよいが、得られた樹脂組成物の保存安定性の向上や吸湿の抑制などの観点から、分子末端が封止され、OH基及びCOOH基が実質的に残存していないことが好ましい。
前記エステルオリゴマー(B)の分子末端の封止は公知の方法で行うことができ、例えば、分子末端がCOOH基又はOH基の場合は、エステル封止法が、好ましい方法として挙げられる。封止の方法は、COOH基及び/又はOH基を有する化合物を一旦合成した後に封止剤と反応させてもよいし、あるいは縮合反応に封止剤を共存させて反応させてもよい。
エステル封止法の場合、前記エステルオリゴマー(B)の分子末端の封止に用いるモノカルボン酸類としては、例えば、無水酢酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、トルイル酸、p−tert−ブチル安息香酸、ナフトエ酸などのモノカルボン酸が挙げられ、これらのモノカルボン酸は芳香族骨格を有するものでも有さないものでも使用可能である。また、前記(B)の分子末端の封止に用いるモノアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのモノアルコールが挙げられ、これらのモノカルボン酸は芳香族骨格を有するものでも有さないものでも使用可能である。
本発明では、必須成分として、Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B)を含んでなる。しかしながら、前記(B)に代えて、主鎖に芳香族環を有するエステルオリゴマーを用いた場合には、得られた成形物が脆くなり、衝撃強度に劣ることから、本発明の目的を達成することができない。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、セルロースエステル(A)とエステルオリゴマー(B)の合計100質量部に対して、好ましくは前記(A)を70〜90質量部の範囲、前記(B)を10〜30質量部の範囲で含んでなる。
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂組成物の溶融固化後の固化物を試料に用いて、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量測定法(Differential scanning calorimetry。「DSC法」とも云う。)により窒素雰囲気下で測定した降温時(降温速度:−20℃/分)の結晶化熱量(H)が1.3〜3.1J/gの範囲であり、好ましくは2.0〜3.0の範囲である。
前記結晶化熱量(H)がかかる範囲であれば、得られる樹脂組成物が溶融固化後に適度な結晶化度となり、過度な可塑化を抑制しつつ、非晶性領域での優れた衝撃吸収性を発現できるため、衝撃強度の向上に有効な効果を発現することができる。
しかしながら、結晶化熱量(H)が1.3J/g未満の場合には、樹脂組成物の溶融固化後の結晶化度が低くなり過ぎてしまい、過度な可塑化が起こり強度不足となり、充分な衝撃強度を得ることができない恐れがある。一方、前記結晶化熱量(H)が3.1J/gを超える場合は、樹脂組成物の結晶化度が高くなり過ぎてしまい、柔軟性が損なわれて、充分な衝撃強度を得ることができない恐れがある。
また、本発明の樹脂組成物は、前記樹脂組成物の溶融固化後の固化物を試料に用いて、JIS K 7121に準拠してDSC法により窒素雰囲気下で測定した降温時(降温速度:−20℃/分)の結晶化ピーク温度(T)が、好ましくは150〜180℃の範囲であり、より好ましくは160〜175℃の範囲である。前記結晶化ピーク温度(T)がかかる範囲にあれば、優れた衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能をバランス良く発現できる。
本発明の樹脂組成物は、JIS K 7111に準拠して測定したシャルピー衝撃強度が、好ましくは4kJ/m以上であり、より好ましくは5kJ/m以上である。
本発明の樹脂組成物は、JIS K 7161に準拠して測定した引張強度が、好ましくは20MPa以上であり、より好ましくは30MPa以上である。
本発明の樹脂組成物は、JIS K 7161に準拠して測定した引張破断伸度が、好ましくは8%以上であり、より好ましくは10%以上である。
本発明の樹脂組成物は、JIS K 7171に準拠して測定した曲げ強度が、好ましくは25MPa以上であり、より好ましくは35MPa以上である。
本発明の樹脂組成物は、JIS K 7171に準拠して測定した曲げ弾性が、好ましくは1.0GPa以上であり、より好ましくは1.5GPa以上である。
本発明の樹脂組成物は、JIS K 7191に準拠して測定した荷重たわみ温度(フラットワイズ、B法、荷重0.45MPa)が、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上である。
本発明の樹脂組成物は、このように耐衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能バランスに優れているので、例えば、電気・電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器、通信機器等)の内装部品、内装材、外装材、自動車部品、機械部品、住宅用材料等に広範囲に利用でき、これらの中でも、例えば、複写機、複合機、プリンター、パーソナルコンピュータ、テレビ等の電気電子機器用の内装材や外装材(特に筐体)などとして好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物には、上記の原料以外にも衝撃強度を相乗的に向上させる目的で、例えばゴム系添加剤などの衝撃性向上剤を、製造工程の何れの段階においても用いることができる。
かかるゴム系添加剤としては、例えば、メタブレンS−2001(商標:三菱レイヨン株式会社製)、メタブレンSRA−200(同上)等のシリコーンアクリル系ゴム、メタブレンW−450A(同上)、メタブレンW−300A(同上)等のアクリル系ゴム、メタブレンC−223A(同上)、メタブレンC−323A(同上)、メタブレンC−303A(同上)、メタブレンC−215A(同上)等のスチレンブタジエン系ゴムなどが挙げられる。
前記ゴム系添加剤の添加量としては、本発明の樹脂組成物の全固形成分100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部の範囲であり、より好ましくは10〜30質量部の範囲である。前記ゴム系添加剤をかかる範囲で用いて、非相溶分散することによって、衝撃強度を相乗的に一層向上させることができる。
また、本発明の樹脂組成物には、上記の原料以外にも各種添加剤を本発明の目的を逸脱しない範囲内で、製造工程の何れの段階においても用いることができる。
かかる添加剤としては、例えば、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系、イオウ系など)、紫外線吸収剤、整泡剤、脱泡剤、砥粒、充填剤、顔料、染料、着色剤、増粘剤、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤、熱安定剤、粘着付与剤、触媒、フィラー(無機系、有機系)、シランカップリング剤、ワックス、加工助剤、抗菌剤、防カビ剤等の公知のものが使用できる。また、必要に応じて、ブレンド用樹脂として、公知の可塑性樹脂、硬化性樹脂等を本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜、選択して使用することができる。尚、前記添加剤はほんの一例であって、本発明の目的を阻害しない限り、その種類及び使用量を特に限定するものではない。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の成形体の製造方法としては、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、押出ラミネート成形、カレンダー成形、粉末成形などの公知の方法がいずれも採用できる。
成形温度は、適宜設定すればよく、通常、180〜250℃の範囲であり、好ましくは200〜230℃の範囲である。
本発明の成形体は、衝撃強度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性、耐熱性などの性能バランスに優れている。
本発明の内装部品、内装材、及び筐体は、本発明の成形体から構成されている。
本発明の内装部品、内装材、筐体としては、例えば、電気・電子機器関係(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器、通信機器等)、自動車関係、機械関係、住宅関係、医療関係などに広範囲に利用できる。これらの中でも、例えば、複写機、複合機、プリンター、パーソナル・コンピュータ、テレビ等の電気・電子機器用の内装部品、内装材や外装材(特に筐体)などとして好適に用いることができる。
また、本発明の内装部品、内装材、及び筐体は、植物由来の原料から製造される樹脂より成形された成形体より構成されているので、環境負荷低減にも充分に配慮されている。
以下に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、本発明では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」である。
尚、本発明で用いた測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
〔エステルオリゴマー(B)の数平均分子量(Mn)の測定方法〕
エステルオリゴマー(B)のMnは、ポリスチレンを分子量標準とするゲル浸透クロマトグラフィー法(Gel Permeation Chromatography、GPC法。)により、下記の測定条件にて求めた値である。
試料溶液 ;0.4%(wt/vol)テトラヒドロフラン溶液
GPC型番 ;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
連結カラム ;TSKgelG5000HxL・G4000HxL・G3000HxL・G2000HxL・G1000HxL(いずれも東ソー株式会社製)
流量 ;1.0ml/分
溶離液 ;テトラヒドロフラン
検出条件 ;屈折率法(温度条件:40℃)
〔成形体の作製方法〕
下記の第1表の組成と配合割合(質量%)に従い混合して樹脂組成物を調製した。
調製した樹脂組成物を二軸混練押出機(東洋精機株式会社製、型式:2D35W、25mmφ、L/D=35)に供給し、200〜230℃の温度条件で溶融混練押出して、コールドカットペレタイザーでストランドを作製した。
次いで、固化後のストランドを減圧乾燥(80℃×30torr×5時間)後、射出成形機(名機製作所株式会社製、型式:M50−AII−DM)に供給し、200〜230℃の温度条件で射出成形体(JIS K 7161 ダンベル1号A形、4mm、及び80mm×10mm×4mm)を作製し、これを試験片に用いた。
〔樹脂組成物の降温時の結晶化熱量(H)の測定方法と結晶性の判定基準〕
実施例及び比較例で得られたストランドを用いて、JIS K 7121に準拠して、示差走査型熱量計(型式:Q100、TAインスツルメントジャパン株式会社製)を用いて、DSC法により窒素雰囲気下で室温から230℃に昇温した後、降温時(降温速度:−20℃/分)のDSC曲線の発熱ピーク面積から結晶化熱量(H)(単位:J/g)を測定し、下記の基準に従い、結晶性を判定した。
結晶性の判定基準
○:結晶化熱量が1.5〜3.0J/gの場合。
×:結晶化熱量が1.5未満、又は3.0℃を超える場合。
〔樹脂組成物の降温時の結晶化ピーク温度(T)の測定方法と結晶化温度判定基準〕
実施例及び比較例で得られたストランドを用いて、JIS K 7121に準拠して、示差走査型熱量計(型式:Q100、TAインスツルメントジャパン株式会社製)を用いて、Differential Scanning Calorimetry法(DSC法)により窒素雰囲気下で室温から230℃に昇温した後、降温時(降温速度:−20℃/分)のDSC曲線の発熱ピークから結晶化ピーク温度(T)(単位:℃)を測定し、下記基準に従い、結晶化温度を判定した。
結晶化温度の判定基準
○:結晶化ピーク温度が150〜180℃の場合。
×:結晶化ピーク温度が150℃未満、又は180℃を超える場合。
〔樹脂組成物の衝撃強度の測定方法と判定基準〕
実施例及び比較例で得られた射出成形体(80mm×10mm×4mm)を用いて、JIS K 7111に準拠して、シャルピーインパクトテスター(東洋精機株式会社製)により、シャルピー衝撃強度を測定し、下記基準に従い、衝撃強度を判定した。
衝撃強度の判定基準
○:衝撃強度が4.0kJ/m以上の場合。
×:衝撃強度が4.0kJ/m未満の場合。
〔樹脂組成物の引張強度および引張破断伸度の測定方法〕
実施例及び比較例で得られた射出成形体(JIS K 7161、ダンベル1号A形、4mm)を用いて、JIS K 7161に準拠して、引張強度(最大点、MPa)、と引張破断伸度(%)を測定した。
〔樹脂組成物の曲げ強度及び曲げ弾性の測定方法〕
実施例及び比較例で得られた射出成形体(80mm×10mm×4mm)を用いて、JIS K 7171に準拠して、曲げ強度(MPa)と曲げ弾性(GPa)を測定した。
〔樹脂組成物の荷重たわみ温度の測定方法〕
実施例及び比較例で得られた射出成形体(80mm×10mm×4mm)を用いて、JIS K 7191に準拠して、荷重たわみ温度(℃)(フラットワイズ、B法、荷重0.45MPa)を測定した。
〔樹脂組成物のブリードの評価方法〕
実施例及び比較例で得られた射出成形体(JIS K 7161、ダンベル1号A形、4mm)を用いて、湿熱環境下(65℃×相対湿度85%×500時間)放置後の射出成形体の表面状態を観察してブリードの有無を判定した。
〔合成例1〕
≪セルロースエステル(A2)の合成≫
圧力反応容器に、セルロースエステルとして「L−70」(商標:株式会社ダイセル製、セルロースジアセテート、平均アセチル置換度2.41、平均重合度190。)を100部と、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という。)1000部を仕込み溶解後、水35部を添加して密閉状態で撹拌混合しながら1時間で150℃まで昇温した。
次いで、150℃で3時間、加水分解反応を継続後、80℃に冷却して、別の反応容器に準備した2000部の25℃の水に、500rpmで撹拌しながら滴下し、粗製セルロースジアセテートを再沈殿させた。濾取した前記粗製セルロースジアセテートについて、水洗・濾過処理を10回繰り返した後、乾燥してセルロースエステル(A2)を得た。
前記セルロースエステル(A2)は、平均アセチル置換度2.32であり、平均重合度170であった。
〔合成例2〕
≪セルロースエステル(A3)の合成≫
圧力反応容器に、セルロースエステル(A)として「LT−35」(商標:株式会社ダイセル製、セルローストリアセテート、平均アセチル置換度2.87、平均重合度270。)を100部と、NMP1000部を仕込み溶解後、水85部を添加して密閉状態で撹拌混合しながら1時間で150℃まで昇温した。
次いで、150℃で6時間、加水分解反応を継続後、80℃に冷却して、別の反応容器に準備した2000部の25℃の水に、500rpmで撹拌しながら滴下し、粗製セルローストリアセテートを再沈殿させた。濾取した粗製セルローストリアセテートについて、水洗・濾過処理を10回繰り返した後、乾燥してセルロースエステル(A3)を得た。
前記セルロースエステル(A3)は、平均アセチル置換度2.59であり、平均重合度220であった。
〔合成例3〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B1)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてジエチレングリコール(以下「DEG」という。)を1137部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてアジピン酸(以下「AA」という。)を760部と、モノカルボン酸として安息香酸(以下「BzA」という。)を635部と、触媒としてテトライソプロピルチタネート(以下「TiPT」という。)を0.08部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で20時間縮合反応を継続し、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B1)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B1)の実測Mnは495であり、酸価は0.5mgKOH/g(以下を単位略す。)であった。
〔合成例4〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B2)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてDEG1611部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてAA1084部と、触媒としてTiPTを0.08部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で20時間縮合反応を継続し、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B2)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B2)の実測Mnは385であり、酸価は0.3であった。
〔合成例5〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B3)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてエチレングリコール(以下「EG」という。)544部及びDEG930部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてAA1255質量部と、触媒としてTiPTを0.08部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で20時間縮合反応を継続した後、200℃×10torrで2時間減圧処理し、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B3)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B3)の実測Mnは565であり、酸価は0.3であった。
〔合成例6〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B4)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてEG688部及び1,2−プロピレングリコール(以下「1,2PG」という。)844部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてAA1589部と、触媒としてTiPTを0.08質量部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で20時間縮合反応を継続した後、200℃×10torrで2時間減圧処理し、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B4)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B4)の実測Mnは589であり、酸価は0.4であった。
〔合成例7〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B5)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてDEG890部及び1,2PG638部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてAAを1201部と、触媒としてTiPTを0.08部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で24時間縮合反応を継続した後、180℃×10torrで2時間減圧処理し、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B5)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B5)の実測Mnは573であり、酸価は0.3であった。
〔合成例8〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B6)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてEG1334部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてコハク酸(以下「SuA」という。)622部及びAA770部と、触媒としてTiPTを0.08部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で24時間縮合反応を継続した後、180℃×10torrで2時間減圧処理し、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B6)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B6)の実測Mnは385であり、酸価は0.5であった。
〔合成例9〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B7)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてDEG1611部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてAA1084部と、触媒としてTiPTを0.08質量部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で24時間縮合反応を継続した後、200℃×10torrで2時間減圧処理し、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B7)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B7)の実測Mnは485であり、酸価は0.4であった。
〔合成例10〕
≪Mnが600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B8)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとして1,2PG761部と、モノカルボン酸としてBzA1832部と、触媒としてTiPTを0.08部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で24時間縮合反応を継続した後、主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B8)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B8)の実測Mnは278であり、酸価は0.1であった。
〔合成例11〕
≪Mnが600未満であり、且つ分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有するエステルオリゴマー(B9)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてDEG491部及びトリエチレングリコール(以下「TEG」という。)を681部と、主鎖に芳香族骨格を有するジカルボン酸としてテレフタル酸(以下「TPA」という。)を828部と、触媒としてTiPTを0.25部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で24時間縮合反応を継続した後、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有するエステルオリゴマー(B9)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B9)の実測Mnは545であり、酸価は0.5であった。
〔合成例12〕
≪Mnが600未満であり、且つ分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有するエステルオリゴマー(B10)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてDEG1353部と、主鎖に芳香族骨格を有するジカルボン酸としてTPA492部及び無水フタル酸(以下「OPA」という。)を329部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてAA325部と、触媒としてTiPTを0.15部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で24時間縮合反応を継続した後、主鎖に芳香族骨格を有するエステルオリゴマー(B10)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B10)の実測Mnは540であり、酸価は0.4であった。
〔合成例13〕
≪Mnが600未満であり、且つ分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有するエステルオリゴマー(B11)の合成≫
反応容器に、アルコールとしてエチルアルコールを1004部と、主鎖に芳香族骨格を有するジカルボン酸としてOPAを1480部と、触媒としてTiPTを0.15部仕込み、減圧ポンプで反応容器内を減圧した。反応容器内圧力10torrとした後に反応容器を密閉状態にして昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃、内圧を0.3MPa(ゲージ圧)に上昇させた後、徐々に加圧を解除しながら縮合水を系外に留去し、その後、デカンターからエチルアルコールを還流しながら220℃で20時間縮合反応を継続した。最後に残留エチルアルコールを減圧留去し、主鎖に芳香族骨格を有するエステルオリゴマー(B11)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B11)の実測Mnは254であり、酸価は0.1であった。
〔合成例14〕
≪Mnが600以上であり、且つ分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B12)の合成≫
反応容器に、主鎖に芳香族骨格を有さないジオールとしてEG412部及び1,2PG506部と、主鎖に芳香族骨格を有さないジカルボン酸としてAA1581部と、触媒としてTiPTを0.08部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇させた後、220℃で20時間縮合反応を継続した後、主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B12)を合成した。
前記エステルオリゴマー(B12)の実測Mnは1180であり、酸価は0.2であった。
〔実施例1〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」(商標:株式会社ダイセル製、セルロースジアセテート、平均アセチル置換度2.41。)77.5部と、合成例3で得たエステルオリゴマー(B1)22.5部との混合物をサニタリークラッシャー(三庄インダストリー株式会社製)に仕込み、均一になるまで混合して、本発明の樹脂組成物(CP1)(ドライブレンド)を調整した。
前記樹脂組成物を二軸混練押出機(東洋精機株式会社製、型式:2D35W、25mmφ、L/D=35)に供給し、200〜230℃の温度条件で溶融混練押出し、コールドカットペレタイザーでストランドを作製した。
次いで、得られたストランドを80℃×30torr×5時間減圧乾燥後、射出成形機(名機製作所株式会社製、型式:M50−AII−DM)に供給して、200〜230℃の温度条件で射出成形して、成形体(M1)(JIS K 7161 ダンベル1号A形、4mm、及び80mm×10mm×4mm)を作製した。前記成形体(M1)を用いて物性評価し、その評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M1)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例2〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例4で得たエステルオリゴマー(B2)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP2)(ドライブレンド)を調整した。
前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M2)を作製した。前記成形体(M2)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M2)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例3〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例5で得たエステルオリゴマー(B3)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP3)(ドライブレンド)を調整した。
前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M3)を作製した。前記成形体(M3)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M3)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例4〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を70部と、合成例5で得たエステルオリゴマー(B3)20部と、メタブレンC−223A(商品名;三菱レイヨン株式会社製、スチレンブタジエンゴム)10部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP4)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M4)を作製した。前記成形体(M4)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M4)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例5〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例6で得たエステルオリゴマー(B4)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP5)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M5)を作製した。前記成形体(M5)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M5)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例6〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例7で得たエステルオリゴマー(B5)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP6)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M6)を作製した。前記成形体(M6)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M6)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例7〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例8で得たエステルオリゴマー(B6)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP7)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M7)を作製した。前記成形体(M7)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M7)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例8〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例9で得たエステルオリゴマー(B7)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP8)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M8)を作製した。前記成形体(M8)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M8)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例9〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を72.5部と、合成例9で得たエステルオリゴマー(B7)27.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP9)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M9)を作製した。前記成形体(M9)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M9)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例10〕
合成例1で得たセルロースエステル(A2)(セルロースジアセテート、平均アセチル置換度2.32、平均重合度170のもの。)を72.5部と、合成例4で得たエステルオリゴマー(B2)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP10)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M10)を作製した。前記成形体(M10)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M10)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔実施例11〕
合成例2で得たセルロースエステル(A3)(平均アセチル置換度2.59、平均重合度220のもの。)を72.5部と、合成例4で得たエステルオリゴマー(B2)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、本発明の樹脂組成物(CP11)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M11)を作製した。前記成形体(M11)の物性評価結果を第1表に示した。
本発明の成形体(M11)は、適度な結晶性と優れた耐衝撃強度を有しており、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性などの性能バランスにも優れていた。
〔比較例1〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」(商標:株式会社ダイセル製、セルロースジアセテート、平均アセチル置換度2.41。)77.5部と、合成例10で得たエステルオリゴマー(B8)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(CP12)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M12)を作製した。前記成形体(M12)の物性評価結果を第2表に示した。
前記成形体(M12)は、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量測定法(DSC法)により窒素雰囲気下で測定した降温時の結晶化熱量ピークを示さなかった。
また、前記成形体(M12)のシャルピー衝撃強度は3.2kJ/m(以下、単位略す。)であり劣っていた。
〔比較例2〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を75部と、合成例10で得たエステルオリゴマー(B8)25部を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(CP13)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M13)を作製した。前記成形体(M13)の物性評価結果を第2表に示した。
前記成形体(M13)は、DSC法による降温時の結晶化熱量ピークを示さず、また、シャルピー衝撃強度は3.5であり劣っていた。
〔比較例3〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例11で得たエステルオリゴマー(B9)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(CP14)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M14)を作製した。前記成形体(M14)の物性評価結果を第2表に示した。
前記成形体(M14)は、DSC法による降温時の結晶化熱量が3.26J/g(以下、単位を略す。)であり大きく結晶性が強すぎるため、シャルピー衝撃強度が1.5であり劣っていた。
〔比較例4〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5部と、合成例12で得たエステルオリゴマー(B10)22.5部を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(CP15)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M15)を作製した。前記成形体(M15)の物性評価結果を第2表に示した。
前記成形体(M15)は、DSC法による降温時の結晶化熱量が3.25であり大きく結晶性が強すぎるため、シャルピー衝撃強度が1.5であり劣っていた。
〔比較例5〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を80部と、エステルオリゴマー(B11)としてジエチルフタレート(大八化学株式会社製。以下「DEP」という。)20部を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(CP16)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M16)を作製した。前記成形体(M16)の物性評価結果を第2表に示した。
前記成形体(M16)は、DSC法による降温時の結晶化熱量ピークを示さず、また、シャルピー衝撃強度は1.4であり劣っていた。
〔比較例6〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5質量部と、エステルオリゴマー(B11)としてDEP22.5質量部を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(CP17)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M17)を作製した。前記成形体(M17)の物性評価結果を第2表に示した。
前記成形体(M17)は、DSC法による降温時の結晶化熱量ピークを示さず、また、シャルピー衝撃強度は3.8であり劣っていた。
〔比較例7〕
セルロースエステル(A1)として「L−50」を77.5質量部と、合成例14で得たエステルオリゴマー(B12)22.5質量部を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(CP18)(ドライブレンド)を調整した。
次いで、前記樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で射出成形し成形体(M18)を作製した。前記成形体(M18)の物性評価結果を第2表に示した。
前記成形体(M18)は、DSC法による降温時の結晶化熱量が3.11であり大きく結晶性が強すぎるため、シャルピー衝撃強度が1.3であり劣っていた。
Figure 0006435603
Figure 0006435603
Figure 0006435603
Figure 0006435603
Figure 0006435603
尚、第1表及び第2表中の略号は、下記の名称を意味する。
EG :エチレングリコール
1,2PG :1,2−プロピレングリコール
DEG :ジエチレングリコール
TEG :トリエチレングリコール
SuA :コハク酸
AA :アジピン酸
TPA :テレフタル酸
OPA :無水フタル酸
BzA :安息香酸
DEP :ジエチルフタレート
L−50 :商標、株式会社ダイセル製、セルロースジアセテート、平均アセチル置換度2.41、平均重合度180のもの。
本発明の樹脂組成物は、優れた耐衝撃強度、引張強度、曲げ強度、弾性、耐熱性を発現できるので、例えば、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)の内装部品、内装部品、内装材、外装材、自動車部品、機械部品、住宅用材料等に広範囲に利用でき、これらの中でも、例えば、複写機、複合機、プリンター、パーソナルコンピュータ、テレビ等といった電気電子機器用の外装部品(特に筐体)として好適に使用できる。また、本発明の樹脂組成物は、植物由来の原料を用いた樹脂であるセルロースから誘導されるセルロースエステル系樹脂を使用しているため、温暖化防止に貢献できる素材として、従来の石油をはじめとした化石資源由来樹脂の代替に有用である。

Claims (9)

  1. 必須成分として、セルロースエステル(A)、及びゲル浸透クロマトグラフィー法により測定した数平均分子量が300以上600未満であり、分子末端を除く主鎖に芳香族骨格を有さないエステルオリゴマー(B)とを含む樹脂組成物であって、前記セルロースエステル(A)の含有量が、前記セルロースエステル(A)と前記エステルオリゴマー(B)の合計100質量部に対して70〜90質量部の範囲であり、前記樹脂組成物の溶融固化後の固化物を試料として、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量測定法により窒素雰囲気下で測定した降温時の結晶化熱量(H)が、1.3〜3.1J/gの範囲であり、かつ、JIS K 7161に準拠して測定した引張破断伸度が、8%以上であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物の溶融固化後の固形物を試料として、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量測定法により窒素雰囲気下で測定した降温時の結晶化ピーク温度(T)が、150〜180℃の範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記セルロースエステル(A)と前記エステルオリゴマー(B)との合計100質量部に対して、前記(B)を10〜30質量部の範囲で含む請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記セルロースエステル(A)の平均アセチル置換度が、2.3〜2.6の範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. JIS K7111に準拠して測定したシャルピー衝撃強度が、4kJ/m以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする成形体。
  7. 請求項6記載の成形体から構成されることを特徴とする内装部品。
  8. 請求項6記載の成形体から構成されることを特徴とする内装材。
  9. 請求項6記載の成形体から構成されることを特徴とする筐体。
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