JP6107910B2 - 樹脂組成物、及び樹脂成形体 - Google Patents
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Description
一方、近年では、植物由来の樹脂の利用が検討されており、その植物由来の樹脂の一つにセルロース誘導体がある。
セルロース誘導体を用いた樹脂組成物としては、例えば、特許文献1には、「A)炭化水素基、B)アシル基:−CO−RB1とアルキレンオキシ基:−RB2−O−とを含む基(RB1は炭化水素基を表し、RB2は炭素数が3のアルキレン基を表す。)、及び、C)アシル基:−CO−RC(RCは炭化水素基を表す。)を有する水に不溶なセルロース誘導体を含有する熱成形材料」が開示されている。
請求項1に係る発明は、
重量平均分子量1万以上7.5万未満かつアセチル基の置換度が1.8以上2.5以下であるセルロースアセテートと、アジピン酸エステル含有化合物と、を含み、23℃の水中に24時間浸漬した後の質量増加率である飽和吸水率が7%以上であり、樹脂組成物全体に占める前記セルロースアセテートの比率が70質量%以上かつ前記アジピン酸エステル含有化合物の比率が15質量%以下である樹脂組成物である。
重量平均分子量1万以上7.5万未満かつアセチル基の置換度が1.8以上2.5以下であるセルロースアセテートと、アジピン酸エステル含有化合物と、を含み、23℃の水中に24時間浸漬した後の質量増加率である飽和吸水率が7%以上であり、樹脂組成物全体に占める前記セルロースアセテートの比率が70質量%以上かつ前記アジピン酸エステル含有化合物の比率が15質量%以下である樹脂組成物を含有する樹脂成形体である。
射出成形により成形された請求項2に記載の樹脂成形体である。
請求項4に係る発明は、
曲げ弾性率が3750MPa以上5000MPa以下である請求項2又は請求項3に記載の樹脂成形体である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロース誘導体を含み、飽和吸水率が7%以上である。
ここで、本実施形態に用いられる「セルロース誘導体」とは、セルロースが有する水酸基の少なくとも一部を置換基にて置換した化合物を指す。
一方で、このセルロース誘導体は、可塑性が増す代償として、弾性率及び耐熱性が低下することがあった。
この理由は定かではないが、以下のように推測される。
飽和吸水率が7%以上である樹脂組成物は、水分を取り込むための水酸基が多く存在し、かつ、吸水し易く、また、水分を保持し易くするため、セルロース誘導体の分子間の距離が適度にある、ことを示している。
セルロース誘導体は置換基の存在により、隣接する分子間の距離が適度に離されると共に、分子内に存在する水酸基により、セルロース誘導体の分子間では水素結合が形成される。その結果、飽和吸水率が7%以上である樹脂組成物中では、セルロース誘導体の分子間の距離が適度に保たれ、また、セルロース誘導体の分子間での水素結合が均一に近い状態で存在していると考えられる(樹脂組成物中にて水素結合が偏在化していないと考えられる)。
このような樹脂組成物の成形物である樹脂成形体では、上記のような水素結合の配置状態及びセルロース誘導体の分子間の距離がほぼそのままで残されることから、弾性率の向上が図られるものと推測される。
なお、上記のような樹脂組成物は、セルロース誘導体による水素結合を多く有しているため、耐熱性の低下を招き難いと考えられる。
本実施形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体における飽和吸水率は、ISO 62(プラスチック−吸水量の求め方)に準拠する方法(23℃の水中に24時間浸漬した後の質量増加率を測定する方法)にて測定される。
本実施形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体における飽和吸水率は7%以上であるが、8%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。また、吸水量が多すぎると親和水の影響で弾性率が低下する傾向がある点から、本実施形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体における飽和吸水率は、20%以下が好ましい。
本実施形態に用いられるセルロース誘導体について説明する。
本実施形態に用いられるセルロース誘導体は、特に制限されないが、樹脂組成物の飽和吸水率を高める点から、重量平均分子量、分子構造、樹脂組成物中の含有量等が、以下のような範囲であることが好ましい。
セルロース誘導体の重量平均分子量は、1万以上7.5万未満が好ましく、2万以上5万以下がより好ましい。
重量平均分子量が1万以上7.5万未満であることで、樹脂組成物中に含まれる水酸基が増加し、セルロース誘導体の分子間での水素結合が形成され、飽和吸水率を上昇させ易い。
セルロース誘導体は、セルロースが有する水酸基の少なくとも一部をアシル基にて置換した化合物であることが好ましく、具体的には、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)で表される化合物中に、アシル基が複数存在する場合には、それぞれのアシル基は、同じであってもよいし、一部が同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
nを40以上にすると、樹脂成形体の強度が高まり易くなり、nを300以下にすると、樹脂成形体の柔軟性の低下が抑制され易くなる。
n個のR1、n個のR2、及びn個のR3は、それぞれ、全て同じでも一部同じでも互いに異なっていてもよい。
RACで表される炭化水素基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることがより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよいが、飽和炭化水素基であることがより好ましい。
前記炭化水素基は、炭素及び水素以外の他の原子(例えば、酸素、窒素等)を有していてもよいが、炭素及び水素のみからなる炭化水素基であることがより好ましい。
これらの中でもアシル基としては、樹脂成形体の弾性率及び耐熱性の向上の観点、樹脂組成物の成形性の向上の観点から、アセチル基が好ましい。
セルロース誘導体の置換度は、飽和吸水率を高める点から、1.8以上2.5以下であることが好ましく、2.0以上2.5以下がより好ましく、2.2以上2.5以下が更に好ましい。
置換度が2.5以下であることにより、置換基同士の相互作用が強くなり過ぎず、分子の運動性の低下が抑制されることから、セルロース誘導体の分子間での水素結合が起こり、飽和吸水率を上昇させ易い。一方、置換度が1.8以上であることにより、セルロース誘導体の分子内での水素結合を形成し難くなることから、樹脂組成物中にセルロース誘導体の分子間での水素結合が均一に近い状態で含まれ、飽和吸水率を上昇させ易い。
なお、置換度とは、セルロースが有する水酸基が置換基により置換されている程度を示す指標である。前述のように、置換基がアシル基であれば、置換度は、セルロース誘導体のアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度はセルロース誘導体のD−グルコピラノース単位に3個ある水酸基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。
本実施形態に用いられるセルロース誘導体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。
以下、重量平均分子量が1万以上7万5000未満であり、セルロースの水酸基の一部が炭素数1以上6以下のアシル基で置換されたセルロース誘導体(以降、「特定セルロース誘導体」と称する)の製造方法について、例を挙げて説明する。
まず、アシル化前のセルロース、つまり、水酸基がアシル基で置換されていないセルロースを準備し、その分子量を調整する。
前記アシル化前のセルロースの市販品としては、例えば、日本製紙社製の、KCフロック(W50、W100、W200、W300G、W400G、W−100F、W60MG、W−50GK、W−100GK)、NDPT、NDPS、LNDP、NSPP−HR等が挙げられる。
攪拌の際の速度や時間等を調整することで、セルロースの分子量を求める値に調整することができる。なお、特に限定されるものではないが、攪拌の際の攪拌速度としては50rpm以上3000rpm以下の範囲が好ましく、100rpm以上1000rpm以下がより好ましい。また、攪拌時間は2時間以上48時間以下の範囲が好ましく、5時間以上24時間以下がより好ましい。
なお、攪拌の際に用いられる液体は、塩酸水溶液、ギ酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液、硫酸水溶液などが挙げられる。
上記の方法などによって分子量を調整したセルロースを、公知の方法により炭素数1以上6以下のアシル基でアシル化することで、特定セルロース誘導体が得られる。
例えば、前記セルロースが有する水酸基の一部をアセチル基で置換する場合であれば、酢酸、無水酢酸、及び硫酸の混合物を用いて、セルロースをエステル化する方法等が挙げられる。また、プロピオニル基で置換する場合であれば、前記混合物の無水酢酸に代えて無水プロピオン酸を用いて、セルロースをエステル化する方法が、ブタノイル基で置換する場合であれば、前記混合物の無水酢酸に代えて無水ブチル酸を用いて、セルロースをエステル化する方法が、ヘキサノイル基で置換する場合であれば、前記混合物の無水酢酸に代えて無水ヘキサン酸を用いて、セルロースをエステル化する方法が、それぞれ挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物では、セルロース誘導体の有する機能を発現し易くするため、セルロース誘導体の樹脂組成物全体に占める比率が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。該比率が70質量%以上であることにより、耐熱性に優れ、弾性率が高い樹脂成形体が得られ易い。
本実施形態に係る樹脂組成物は、更に可塑剤を含有してもよい。
なお、可塑剤の含有量は、樹脂組成物全体に占めるセルロース誘導体の比率が前述の範囲となる量とすることが好ましい。より具体的には、樹脂組成物全体に占める可塑剤の比率は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。可塑剤の比率が上記範囲であることにより、弾性率及び耐熱性に優れた樹脂成形体が得られ易く、また、可塑剤のブリードも抑制され易い。
これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
R6は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上20以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
一般式(2−1)及び(2−2)中、R4及びR5が表すポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(2)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
R4が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現し易くなる。R4が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はR4が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロース誘導体との親和性が高まり易くなる。このため、R4が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上し易くなる。
これら観点から、特に、R4が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH2)6−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、R4としてn−ヘキシレン基(−(CH2)6−)を表す化合物であることが好ましい。
R5が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現し易くなる。R5が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はR5が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロース誘導体との親和性が高まり易くなる。このため、R5が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、R5が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH2)4−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、R5としてn−ブチレン基(−(CH2)4−)を表す化合物であることが好ましい。
A1及びA2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
A1及びA2で表されるアラルキル基としては、−RA−Phで示される基である。RAは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、セルロース誘導体との親和性が高まり易くなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー社製、HPLC1100を用い、東ソー製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
粘度を35mPa・s以上にすると、セルロース誘導体への分散性が向上し易くなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、セルロース誘導体への分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm3)1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、更に、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。これらの成分の含有量は、樹脂組成物全体に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
但し、他の樹脂は、樹脂組成物全体に占めるセルロース誘導体の比率が前述の範囲となる量とすることが好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルフォン樹脂;ポリエーテルスルフォン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体樹脂;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、セルロース誘導体、又はセルロース誘導体と上記成分との混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することにより製造される。溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
なお、混練の際の温度は、使用するセルロース誘導体の溶融温度に応じて決定されればよいが、熱分解と流動性の点から、例えば、140℃以上240℃以下が好ましく、160℃以上200℃以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含有する。
つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
具体的には、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば、140℃以上240℃以下であり、好ましくは150℃以上220℃以下であり、より好ましくは160℃以上200℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば、30℃以上120℃以下であり、40℃以上80℃以下がより好ましい。射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX500、日精樹脂工業製NEX150、日精樹脂工業製NEX70000、東芝機械製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
セルロース(日本製紙社製KCフロックW50)2kgを、0.1M塩酸水溶液20L中に入れ、室温(25℃)で攪拌した。下記表1に示す攪拌時間で、それぞれの分子量のセルロースを得た。なお、攪拌装置として新東科学社製、製品名:EP−1800を用い、かつ攪拌の際の回転速度は500rpmに設定した。
(アセチル化工程)
表1の化合物1を1kg、氷酢酸500gを散布して前処理活性化した。その後、氷酢酸3.8kg、無水酢酸2.4kg、及び硫酸80gの混合物を添加し、40℃以下の温度で攪拌混合しながら、化合物1のエステル化を行った。繊維片がなくなった時をエステル化終了とした。
これに酢酸2kg、水1kgを加え、室温(25℃)で2時間攪拌した。
更にこの溶液を、20kgの水酸化ナトリウムを40kgの水に溶かした溶液中に攪拌しながらゆっくりと滴下した。得られた白色沈殿を吸引ろ過し、水60kgで洗い、セルロース誘導体(化合物6)を得た。
化合物3を用い、(アセチル化工程)終了後すぐに(精製工程)を実施した以外は上記と同様にして、セルロース誘導体(化合物11)を得た。
化合物3を用い、(脱アセチル工程)の攪拌時間を、それぞれ、0.5時間、1時間、3時間、5時間、10時間に変えた以外は上記と同様にして、セルロース誘導体(化合物12)、(化合物13)、(化合物14)、(化合物15)、(化合物16)を得た。
化合物3を用い、(アセチル化工程)の無水酢酸2.4kgを、それぞれ、無水プロピオン酸2kg/無水酢酸0.3kg、無水n−ブチル酸1.8kg/無水酢酸6kg、無水n−ヘキシル酸0.5kgに変えた以外は上記と同様にして、セルロース誘導体(化合物17)、(化合物18)、(化合物19)を得た。
これらの結果を下記表2にまとめる。
下記表4に示す実施例1〜23及び比較例1〜10に示す仕込み組成比、混練温度で、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物ペレットを得た。
・化合物26:ジメチルセルロース(ダイセル社製、L50、重量平均分子量170,000)
・化合物27:アジピン酸エステル含有化合物(大八化学工業社製、Daifatty101)
得られたペレットについて、ISO 62:1999に準拠する方法で、飽和吸水率を測定した。結果を表4に示した。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業社製、PNX40)を用い、下記表5に示すシリンダ温度及び金型温度で、ISO多目的ダンベル試験片(試験部長さ100mm、幅10mm、厚み4mm)を作製した。
得られたダンベル試験片(樹脂成形体)について、ISO 62:1999に準拠した方法で、飽和吸水率を測定した。結果を表5に示した。
得られたダンベル試験片について、万能試験装置(島津製作所製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO 178に準拠した方法で、曲げ弾性率を測定した。結果を表5に示した。
得られたダンベル試験片を用いて、荷重たわみ温度測定装置(東洋精機製作所社製、HDT−3)を用いて、ISO 75に準拠した方法で、1.8MPa荷重条件での荷重たわみ温度を測定した。結果を表5に示した。
Claims (4)
- 重量平均分子量1万以上7.5万未満かつアセチル基の置換度が1.8以上2.5以下であるセルロースアセテートと、アジピン酸エステル含有化合物と、を含み、23℃の水中に24時間浸漬した後の質量増加率である飽和吸水率が7%以上であり、樹脂組成物全体に占める前記セルロースアセテートの比率が70質量%以上かつ前記アジピン酸エステル含有化合物の比率が15質量%以下である樹脂組成物。
- 重量平均分子量1万以上7.5万未満かつアセチル基の置換度が1.8以上2.5以下であるセルロースアセテートと、アジピン酸エステル含有化合物と、を含み、23℃の水中に24時間浸漬した後の質量増加率である飽和吸水率が7%以上であり、樹脂組成物全体に占める前記セルロースアセテートの比率が70質量%以上かつ前記アジピン酸エステル含有化合物の比率が15質量%以下である樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
- 射出成形により成形された請求項2に記載の樹脂成形体。
- 曲げ弾性率が3750MPa以上5000MPa以下である請求項2又は請求項3に記載の樹脂成形体。
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