JP2016183282A - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
近年では植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロース誘導体がある。
請求項1に係る発明は、
セルロースの水酸基の一部がアセチル基で置換されたセルロース誘導体を樹脂組成物全体に占める比率で90質量%以上含み、
樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が10g/10min以上20g/10min以下である樹脂組成物である。
前記セルロース誘導体の重量平均分子量が1万以上7万5000未満である請求項1に記載の樹脂組成物である。
前記セルロース誘導体における前記アセチル基の置換度が1.8以上2.5以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物である。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体である。
射出成形により成形された請求項4に記載の樹脂成形体である。
請求項3に係る発明によれば、セルロース誘導体のアセチル基の置換度が1.8未満又は2.5を超える場合に比べ、熱流動性に優れる樹脂組成物が提供される。
請求項4に係る発明によれば、セルロース誘導体の樹脂組成物全体に占める比率が70質量%未満である場合に比べ、吸水反りが抑制された樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
本実施形態に係る樹脂組成物は、水酸基の一部がアセチル基で置換されたセルロース誘導体(以下「アセチルセルロース誘導体」とも称する)を樹脂組成物全体に占める比率で90質量%以上含む。そして、樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、10g/10min以上20g/10min以下である樹脂組成物である
一方で、立体障害が大きい置換基(例えばプロピレンオキシ、プロピオニル基等)で水素基の一部が置換されたセルロース誘導体は、熱流動性が向上するものの、得られる樹脂成形体の吸水反りを発生させることがある。
これは、このセルロース誘導体を含む樹脂組成物の固化速度が遅く、固化に時間を要するため、成形金型の接触部と内部との間で固化速度の差が大きくなり、得られる樹脂成形体に残留応力を発生させるためと考えられる。また、このセルロース誘導体の置換基の立体障害により、得られる樹脂成形体の強度が低下する傾向があるためとも考えられる。
アセチルセルロース誘導体は、立体障害の小さいアセチル基を有するため、立体障害が大きい置換基(例えばプロピレンオキシ、プロピオニル基等)を有する場合に比べ、固化速度が速い。この性質を持つアセチルセルロース誘導体を90質量%以上含む樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)を上記範囲に大きくすると、成形時に樹脂組成物が成形金型中で速やかに流れ、得られる樹脂成形体へのアセチルセルロース誘導体が充填され易くなる。加えて、固化時間が短く、成形金型の接触部と内部との間で固化速度の差が小さくなる。これにより、得られる樹脂成形体に残留応力が発生し難くなる。
さらに、得られる樹脂成形体へのアセチルセルロース誘導体が充填され易くなる上に、アセチルセルロース誘導体の立体障害が小さいため、得られる樹脂成形体の強度が高まる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、固化時間の短いため、成形サイクルも短くなる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、成形金型の接触部と内部との間で固化速度の差が小さく、得られる樹脂成形体の強度も高まるため、ヒケ(樹脂成形体表面に生じる凹痕)の発生も抑制される。
本実施形態に係る樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、10g/10min以上20g/10min以下であるが、得られる樹脂成形体の吸水反りを抑制する点から、12g/10min以上18g/10min以下が好ましく、14g/10min以上16g/10min以下がより好ましい。
樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、メルトインデックサ(東洋精機製作所社製、MI)を用い、樹脂温度220℃、荷重10kgの条件で測定した値である。
アセチルセルロース誘導体について説明する。
アセチルセルロース誘導体は、水酸基の一部がアセチル基で置換されたセルロース誘導体であり、具体的には、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
nを40以上にすると、樹脂成形体の強度が高まり易くなり、nを300以下にすると、樹脂成形体の柔軟性の低下が抑制され易くなる。
アセチルセルロース誘導体の重量平均分子量は、1万以上7.5万未満が好ましく、2万以上5万以下がより好ましい。
重量平均分子量が1万以上7.5万未満であることで、アセチルセルロース誘導体を含む樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)を上記範囲に調整され、得られる樹脂成形体の吸水反りの発生が抑えられ易くなる。また、重量平均分子量が1万以上7.5万未満であることで、アセチルセルロース誘導体の分子鎖が配向し難く、不規則となり、得られる樹脂成形体の強度が高まり、吸水反りの発生が抑えられ易くなる。
アセチルセルロース誘導体の置換度は、熱流動性を高める点から、1.8以上2.5以下であることが好ましく、2以上2.5以下がより好ましく、2.2以上2.5以下が更に好ましい。
なお、置換度とは、アセチルセルロースが有する水酸基が置換基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、アセチルセルロース誘導体のアセチルかの程度を示す指標となる。具体的には、置換度はアセチルセルロース誘導体のD−グルコピラノース単位に3個ある水酸基がアセチル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。
アセチルセルロース誘導体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。
以下、重量平均分子量が1万以上7万5000未満であるアセチルセルロース誘導体(以降、「特定アセチルセルロース誘導体」と称する)の製造方法について、例を挙げて説明する。
まず、アシル化前のセルロース、つまり、水酸基がアシル基で置換されていないセルロースを準備し、その分子量を調整する。
前記アシル化前のセルロースの市販品としては、例えば、日本製紙社製のKCフロックW50、W100、W200、W300G、W400G、W−100F、W60MG、W−50GK、W−100GK、NDPT,NDPS,LNDP,NSPP−HR等が挙げられる。
攪拌の際の速度や時間等を調整することで、セルロースの分子量を求める値に調整することができる。なお、特に限定されるものではないが、攪拌の際の攪拌速度としては50rpm以上3000rpm以下の範囲が好ましく、100rpm以上1000rpm以下がより好ましい。また、攪拌時間は2時間以上48時間以下の範囲が好ましく、5時間以上24 時間以下がより好ましい。
なお、撹拌の際に用いられる液体は、塩酸水溶液、ギ酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液、硫酸水溶液などが挙げられる。
上記の方法などによって分子量を調整したセルロースを、公知の方法によりアセチル基でアセチル化することで、特定アセチルセルロース誘導体が得られる。
具体的には、特定アセチルセルロース誘導は、例えば、酢酸、無水酢酸、及び硫酸の混合物を用いて、セルロースをエステル化する方法等により得られる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、アセチルセルロース誘導体の樹脂組成物全体に占める比率が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。該比率が90質量%以上であることにより、吸水反りの発生が抑制された樹脂成形体が得られ易い。
本実施形態に係る樹脂組成物は、更に可塑剤を含有してもよい。
なお、可塑剤の含有量は、樹脂組成物全体に占めるアセチルセルロース誘導体の比率が前述の範囲となる量とすることが好ましい。より具体的には、樹脂組成物全体に占める可塑剤の比率は10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。可塑剤の比率が上記範囲であることにより、吸水反りの発生が抑制された樹脂成形体が得られ易く、また、可塑剤のブリードも抑制され易い。
これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
R6は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上20以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
一般式(2−1)及び(2−2)中、R4及びR5が表すポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(2)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
R4が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現し易くなる。R4が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はR4が表すアルキレン基を直鎖状にすると、アセチルセルロース誘導体との親和性が高まり易くなる。このため、R4が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上し易くなる。
これら観点から、特に、R4が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH2)6−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、R4としてn−ヘキシレン基(−(CH2)6−)を表す化合物であることが好ましい。
R5が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現し易くなる。R5が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はR5が表すアルキレン基を直鎖状にすると、アセチルセルロース誘導体との親和性が高まり易くなる。このため、R5が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、R5が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH2)4−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、R5としてn−ブチレン基(−(CH2)4−)を表す化合物であることが好ましい。
A1及びA2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
A1及びA2が表すアラルキル基としては、−RA−Phで示される基である。RAは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、アセチルセルロース誘導体との親和性が高まり易くなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー社製、HPLC1100を用い、東ソー製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
粘度を35mPa・s以上にすると、アセチルセルロース誘導体への分散性が向上し易くなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、アセチルセルロース誘導体への分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm3)1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、耐加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミナ、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。これらの成分の含有量は、樹脂組成物全体に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
但し、他の樹脂は、樹脂組成物全体に占めるアセチルセルロース誘導体の比率が前述の範囲となる量とすることが好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルフォン樹脂;ポリエーテルスルフォン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体樹脂;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、アセチルセルロース誘導体、又はアセチルセルロース誘導体と上記成分との混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することにより製造される。溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
なお、混練の際の温度は、使用するアセチルセルロース誘導体の溶融温度に応じて決定されればよいが、熱分解と流動性の点から、例えば、140℃以上240℃以下が好ましく、160℃以上200℃以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含有する。
つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
具体的には、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば140℃以上240℃以下であり、好ましくは150℃以上220℃以下であり、より好ましくは160℃以上220℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば30℃以上120℃以下であり、40℃以上80℃以下がより好ましい。射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX500、日精樹脂工業製NEX150、日精樹脂工業製NEX70000、東芝機械製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
セルロース(日本製紙社製KCフロックW50)2kgを、0.1M塩酸水溶液20L中に入れ、室温(25℃)で攪拌した。表1に示す攪拌時間で、それぞれの重量平均分子量のセルロースを得た。なお、攪拌装置として新東科学社製、製品名:EP−1800を用い、かつ攪拌の際の回転速度は500rpmに設定した。
(アセチル化工程)
表1の化合物1を1kg、氷酢酸500gを散布して前処理活性化した。その後、氷酢酸3.8kg、無水酢酸2.4kg、及び硫酸80gの混合物を添加し、40℃以下の温度で攪拌混合しながら、化合物1のエステル化を行った。繊維片がなくなった時をエステル化終了とした。
これに酢酸2kg、水1kgを加え、室温(25℃)で2時間攪拌した。
更にこの溶液を、20kgの水酸化ナトリウムを40kgの水に溶かした溶液中に攪拌しながらゆっくりと滴下した。得られた白色沈殿を吸引ろ過し、水60kgで洗い、アセチルセルロース誘導体(化合物6)を得た。
化合物3を用い、(脱アセチル工程)の攪拌時間を、0.5時間に変えた以外は上記と同様にして、アセチルセルロース誘導体(化合物11)を得た。
化合物3を用い、(脱アセチル工程)の攪拌時間を、3時間に変えた以外は上記と同様にして、アセチルセルロース誘導体(化合物12)を得た。
これらの結果を表2にまとめる。
下記表4に示す実施例1〜10及び比較例1〜8に示す仕込み組成比、混練温度で、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物ペレットを得た。
得られたペレットのメルトフローレート(MFR)を、樹脂温度220℃、荷重10kgの条件にて、メルトインデックサ(東洋精機製作所社製、MI)で測定した。結果を表4に示す。
・化合物26:ジメチルセルロース(ダイセル社製、L50、重量平均分子量170,000)
・化合物27:アジピン酸エステル含有化合物(大八化学工業社製、Daifatty101)
得られたペレットについて射出成形機(日精樹脂工業社製、PNX40)を用い、表5に示すシリンダ温度及び金型温度で、D2試験片(長さ×幅=60×60mm、厚み2mm)を作製した。この時に、D2試験片が離型可能なまで固化し、連続成形できる条件で射出し、この時のショット間時間(射出間時間)をサイクルタイムとした。結果を表5に示す
上記成形したD2試験片の「ヒケ」の有無を目視で観察した。結果を表5に示す。
上記成形したD2試験片に対して、次のようにして吸水反りについて評価した。
恒温恒湿槽(エスペック社製、ARL−1100−J)を65℃/85%rhに設定し、その中のアルミプレート上にD2試験片を置き、24時間静置した後の最大歪量をノギスにて測定し、吸水反りとして評価した。
また、本実施例では、比較例に比べ、射出成形のサイクルタイム(つまり成形サイクル)も短く、ヒケの発生も抑制されていることがわかる。
Claims (5)
- セルロースの水酸基の一部がアセチル基で置換されたセルロース誘導体を樹脂組成物全体に占める比率で90質量%以上含み、
樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が10g/10min以上20g/10min以下である樹脂組成物。 - 前記セルロース誘導体の重量平均分子量が1万以上7万5000未満である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロース誘導体における前記アセチル基の置換度が1.8以上2.5以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
- 射出成形により成形された請求項4に記載の樹脂成形体。
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