JP4610187B2 - セルロースエステル系樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、生物由来の材料を出発原料とし、再生可能な材料であるセルロースエステル系樹脂組成物及びこの組成物で形成された成形品に関する。
ポリエステルやポリアミド、ポリカーボネートなどのプラスチックは、パーソナルコンピュータなどのオフィス・オートメーション(OA)機器、テレビや冷蔵庫などの家電製品、容器やパッケージなどの包装材、壁材や床材などの建築資材、自動車などの輸送車両などを構成する材料として広く使用され、大量消費されている。前記プラスチックは成形性や生産性、機械的特性に優れるものの、合成樹脂であるため、廃棄や焼却によって、土壌中へ有害物質が流出したり、有毒ガスが発生するなど、環境的な負荷が大きい。
そこで、天然素材系のセルロースや澱粉主体のプラスチックや、ポリ乳酸やカプロラクトン系共重合体などの生分解性プラスチックの使用が検討されている。しかし、これらの生分解性プラスチックは、成形性、生産性、耐熱性などが低い。例えば、ポリ乳酸は結晶化速度が著しく遅く、成形サイクルが長くなり、射出成形には不適である。また、ポリ乳酸及びカプロラクトン系共重合体ともに、薄肉で射出成形すると、バリが発生し易い。このような欠点を克服する天然素材系プラスチックとしては、セルロース誘導体(例えば、低置換度セルロースエステルなど)が提案されている。
例えば、特許第2533764号公報(特許文献1)には、脂肪酸セルロースエステル100重量部に対して、弱有機酸0.001〜0.05重量部、特定のチオエーテル化合物0.05〜1重量部、亜リン酸エステル化合物0〜1重量部、エポキシ化合物0〜5重量部を配合してなる脂肪酸エステル系樹脂組成物が開示されている。この文献には、脂肪酸セルロースエステル系樹脂は、通常、可塑剤を含有し、更に充填剤などが添加されていると記載されている。さらに、実施例において、酢化度54.8%のセルロースアセテートフレークス100重量部に対して、可塑剤としてジエチルフタレート40重量部及び各種安定剤を添加した混合物を押出機でペレット化した後、射出成形機でプレートに成形することが記載されている。
特開平10−306175号公報(特許文献2)には、脂肪酸セルロースエステル100重量部に対して、融点が常温を超える亜リン酸エステル化合物0.05〜1重量部、弱有機酸0.001〜0.05重量部、チオエーテル化合物0.05〜1重量部、エポキシ化合物5重量部以下を配合してなる脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物が開示されている。この文献には、必要に応じ可塑剤として、トリフェニルホスフェートなどの正リン酸エステルなどを適量添加してもよいと記載され、実施例において、酢化度51%のセルロースアセテートフレークス100重量部に対して、可塑剤としてカプロラクトンオリゴマー40重量部が添加されている。
しかし、これらのセルロースエステル系樹脂組成物は、それのみでは可塑剤の割合が多過ぎ、剛性及び寸法精度が低く、例えば、家電製品の筐体などのように、薄肉成形品の成形には適していない。
特許第2533764号公報(請求項1、第2頁第3欄第15〜17行、第3頁第6欄第9〜20行) 特開平10−306175号公報(請求項3、段落番号[0023][0028])
従って、本発明の目的は、環境的な負荷が小さく、流動性、剛性及び寸法精度に優れた樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明の他の目的は、成形性が高く、薄肉で射出成形してもバリの発生を抑制できる樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、射出成形における成形サイクルを短縮でき、有機酸などのブリードアウトを抑制できる樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明の別の目的は、難燃性及び耐熱性の高い樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、所定の置換度のセルロースエステルと可塑剤と充填剤とを組み合わせると、環境的な負荷が小さく、流動性、剛性及び寸法精度に優れることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、平均置換度2.7以下のセルロースエステル、可塑剤及び充填剤で構成されている。前記セルロースエステルは、平均置換度1.7〜2.7(好ましくは1.7〜2.5)程度の酢酸セルロースであってもよい。前記組成物において、可塑剤と充填剤との割合(重量比)は、前者/後者=95/5〜30/70(特に90/10〜40/60)程度であってもよい。前記可塑剤の溶解性パラメータ(SP値)が8〜12(MPa)1/2程度であってもよく、例えば、リン酸エステルであってもよい。前記充填剤は、繊維状充填剤、板状充填剤、粉粒状充填剤などであってもよい。例えば、タルク、マイカ、窒化ホウ素などであってもよく、その平均粒径は5μm以下であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに、エポキシ化合物を含有してもよい。また、前記樹脂組成物は、さらに、有機酸、チオエーテル化合物、亜リン酸エステル化合物などの安定化剤を含有してもよい。前記可塑剤の割合は、セルロースエステル100重量部に対して1〜50重量部程度であってもよい。前記充填剤の割合は、セルロース100重量部に対して1〜40重量部程度であってもよい。前記エポキシ化合物の割合は、セルロースエステル100重量部に対して0.5〜5重量部程度であってもよい。前記樹脂組成物は、射出成形に用いてもよい。
本発明には、前記組成物で形成された成形品も含まれる。また、本発明には、前記組成物を用いて、射出成形におけるバリの発生を抑制する方法も含まれる。
本発明では、平均置換度2.7以下のセルロースエステルと可塑剤と充填剤とを組み合わせているため、流動性、剛性及び寸法精度に優れている。特に、特定の組成及び割合で組み合わせると、高温高湿下における寸法安定性など、その効果が顕著である。また、前記セルロースエステルは植物由来の環境適合性樹脂であって、かつ一定の生分解性を有するため、環境負荷の小さい組成物である。また、同じ植物由来の樹脂であるポリ乳酸や、生分解性樹脂である脂肪族ポリエステル(例えば、ポリブチレンサクシネートなど)、ポリカプロラクトンなどと比べると、この樹脂組成物は成形性が高く、薄肉品の成形においてバリの発生が少ない射出成形が可能である。さらに、得られる成形品は、難燃性及び耐熱性も高い。従って、この樹脂組成物は、家電製品やOA機器の筐体などのように、剛性、難燃性及び寸法精度が良好で、かつ薄肉での成形が必要とされる分野に特に適している。
本発明の樹脂組成物は、平均置換度2.7以下のセルロースエステル、可塑剤、及び充填剤で構成されている。さらに、この組成物には、エポキシ化合物、有機酸、チオエーテル化合物、亜リン酸エステル化合物などの安定化剤が含まれていてもよい。
[セルロースエステル]
セルロースエステルとしては、例えば、有機酸エステル[セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2-6カルボン酸エステル]、前記有機酸エステルの誘導体(ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなどのグラフト体など)、有機酸エステル・エーテル類(アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロースなどのC2-6アシルセルロースC1-6アルキルエーテル、アセチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルヒドロキシプロピルセルロースなどのC2-6アシルセルロースヒドロキシC2-6アルキルエーテルなど)、無機酸エステル(硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなど)、有機酸・無機酸混合エステル(硝酸酢酸セルロースなど)などが挙げられる。これらのセルロースエステルは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのセルロースエステルのうち、セルロース有機酸エステル、特に酢酸セルロースが好ましい。
セルロースエステル(例えば、酢酸セルロース)において、成形性及び機械的特性の点から、置換基(アシル基)の平均置換度は2.7以下であり、好ましくは1.7〜2.7、さらに好ましくは1.8〜2.6(特に2〜2.5)程度である。生分解性の点からは、平均置換度は、例えば、1.7〜2.5、好ましくは1.8〜2.4、さらに好ましくは1.9〜2.3(特に2〜2.2)程度であってもよい。
セルロースエステルの重合度は、特に制限されず、粘度平均重合度100〜1000、好ましくは100〜500、さらに好ましくは200〜500(特に200〜400)程度である。
[可塑剤]
可塑剤としては、例えば、リン酸エステル[リン酸トリエチル、リン酸トリブチルなどのリン酸トリC1-12アルキルエステル、リン酸トリブトキシエチルなどのリン酸トリC1-6アルコキシC1-12アルキルエステル、リン酸2−エチルヘキシルジフェニルなどリン酸C1-12アルキルジアリールエステル、リン酸トリフェニル(TPP)、リン酸クレジルジフェニルなどのリン酸C1-3アルキル−アリールジアリールエステル、リン酸トリクレジル(TCP)などのリン酸トリアリールエステルなど]、芳香族カルボン酸エステル[フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP)などのフタル酸ジC1-12アルキルエステル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸C1-6アルコキシC1-12アルキルエステル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸C1-12アルキル・アリール−C1-3アルキルエステル、エチルフタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレングリコレートなどのC1-6アルキルフタリルC2-4アルキレングリコレート、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)などのトリメリット酸トリC1-12アルキルエステル、ピロメリット酸テトラオクチルなどのピロメリット酸テトラC1-12アルキルエステルなど]、脂肪酸エステル[アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ブトキシエトキシエチル・ベンジル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル(BXA)などのアジピン酸エステル、アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジブチル、アゼライン酸ジオクチルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどのセバシン酸エステル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチルなど]、多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど)の低級脂肪酸エステル[トリアセチン(TA)、ジグリセリンテトラアセテートなど]、グリコールエステル(ジプロピレングリコールジベンゾエートなど)、クエン酸エステル[クエン酸アセチルトリブチル(OACTB)など]、アミド類[N−ブチルベンゼンスルホンアミド(BM−4)など]、エステルオリゴマー(カプロラクトンオリゴマーなど)などを含んでいてもよい。これらの可塑剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの可塑剤のうち、リン酸エステルが好ましい。また、リン酸エステルは、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)などの縮合型リン酸エステルであってもよい。リン酸エステルの中でも、難燃性の点から、芳香族リン酸エステルが好ましい。さらに、リン酸エステルと縮合型リン酸エステルとを組み合わせると、ブリードアウトを抑制できる。
可塑剤は、前記セルロースエステルとの相溶性の観点から、前記セルロースエステルの溶解性パラメータ(SP値)と同程度のSP値を有するのが好ましい。前記有機酸セルロースエステルのSP値は、置換度や種類によって異なるが、例えば、酢酸セルロースで10〜11(MPa)1/2程度である。従って、可塑剤のSP値は、例えば、8〜12(MPa)1/2、好ましくは8.5〜12(MPa)1/2、さらに好ましくは9〜12(MPa)1/2程度であってもよい。SP値がこの範囲から外れると、セルロースエステルに対する可塑化効果は不充分で、セルロースエステルに充分な熱可塑性を付与できない。すなわち、セルロースエステルがフレーク状のままであったり、塊状になったとしても高粘度であり、流動性を示さない。尚、本発明における溶解性パラメーターは、POLYMER HANDBOOK(FOURTH EDITION)に準じる。
可塑剤は、常温で固体であってもよいが、セルロースエステルとの親和性の点から、常温で液状であるのが好ましい。なお、常温で固体の可塑剤であっても、ヘンシェルミキサーなどの混合機により混練し、外部からの加熱又は混合機中の回転による摩擦熱で、系中の温度が可塑剤の融点以上に上昇すれば、可塑剤とセルロースエステルとは充分に混ざり合う。また、液状の可塑剤と固体の可塑剤とを組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の割合は、前記セルロースエステル100重量部に対して、例えば、1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは10〜35重量部(特に20〜35重量部)程度である。可塑剤の割合が少ないほど剛性は高くなり、加熱変形温度(HDT)も高くなる。しかし、可塑剤の割合が前記範囲よりも小さいと、可塑化効果が現れなくなるとともに、組成物の吸湿度が高くなり、高温高湿下における成形品の寸法安定性が低くなる。また、可塑剤の割合が前記範囲よりも大きいと、剛性が低下し、薄肉(1mm厚さ)成形すると、バリが発生し、生産性が低くなるとともに、成形後、可塑剤が揮散して収縮することにより寸法精度が悪化する。
[充填剤]
充填剤には、繊維状充填剤、非繊維状充填剤(粉粒状又は板状充填剤など)が含まれる。これらの充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
繊維状充填剤としては、例えば、有機繊維(天然繊維、紙類など)、無機繊維(ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維など)、金属繊維などが挙げられる。これらの繊維状充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの繊維状充填剤のうち、天然繊維、紙類、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維など、特に天然繊維が好ましい。天然繊維としては、例えば、パルプ[コットン、種毛(カポック、ポンパックスなど)、靱皮繊維(亜麻、大麻、ラミー、ジュート、こうぞ、みつまたなど)、単子葉植物繊維(竹、わら、バガス、エスパルトなど)、木材繊維(針葉樹、広葉樹など)、葉繊維(マニラ麻、サイザル麻など)など]又は再生パルプ、前記靱皮繊維、単子葉植物繊維、葉繊維をパルプ化せずに直接的に得られた繊維などが例示できる。紙類は、古紙であってもよい。
繊維状充填剤(例えば、天然繊維)の平均繊維長は、溶融混練におけるフィードを円滑に行い、耐衝撃性を改良する点から、例えば、10mm以下(例えば、0.1〜10mm)、好ましくは0.5〜10mm、さらに好ましくは1〜5mm程度である。繊維状充填剤の平均繊維径は、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜10μm程度である。
非繊維状充填剤のうち、粉粒状又は板状充填剤としては、鉱物質粒子(タルク、マイカ、ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレー、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ワラストナイトなど)、ホウ素含有化合物(窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタンなど)、金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなど)、金属珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウムなど)、金属酸化物(アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、金属炭化物(炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタンなど)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタンなど)、ホワイトカーボン、各種金属箔などが挙げられる。これらの非繊維状充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの非繊維状充填剤のうち、鉱物質粒子(タルク、マイカ、シリカ、ワラストナイトなど)、ホウ素含有化合物(窒化ホウ素など)、特に、タルク、マイカ、窒化ホウ素が好ましい。タルクとしては、例えば、鉱山から採取したタルク鉱石を慣用の方法で分級したタルクなどが使用できる。窒化ホウ素は、例えば、尿素、ジシアンジアミド、塩化アンモニウムなどをホウ酸に添加し、アンモニウム中で高温で還元窒化し、慣用の方法で分級した窒化ホウ素などが使用できる。
非繊維状充填剤の平均粒径は、30μm以下程度の範囲から選択できるが、例えば、10μm以下(0.1〜10μm)、好ましくは5μm以下(例えば、0.3〜5μm)、さらに好ましくは0.5〜5μm(特に1〜5μm)程度である。
これらの無機充填剤のうち、通常、粉粒状充填剤、特に鉱物質微粒子(例えば、タルクなど)が好ましく用いられるが、成形性の点からは、繊維状充填剤も好ましく用いることができる。
充填剤の割合は、前記セルロースエステル100重量部に対して、例えば、1〜40重量部、好ましくは3〜30重量部、さらに好ましくは5〜25重量部程度である。組成物中における充填剤の割合は、例えば、0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜20重量%程度である。充填剤の割合がこの範囲よりも小さくなると、薄肉(1mm厚さ)成形すると剛性が低くなり、高温高湿下における成形品のソリが著しい。一方、充填剤の割合が多いほど薄肉成形品の剛性は高くなり、加熱変形温度(HDT)も高くなり、成形時のバリの発生が抑制され、生産性が向上する。さらに、高温高湿下における変形(ソリ)が抑制され、寸法安定性の高い成形品を得ることができる。しかし、充填剤の割合が前記範囲よりも大きいと、流動性が低下して射出成形が困難になったり、射出成形時にヤケが発生し易くなる。また、充填剤が良好に分散されず、成形品の外観に不良が発生したり、靱性(衝撃強度や伸び)が低下する。
可塑剤と充填剤との割合(重量比)は、前者/後者=99/1〜10/90程度の範囲から選択できるが、通常、95/5〜30/70、好ましくは90/10〜40/60、さらに好ましくは85/15〜50/50程度である。本発明では、このような範囲で、可塑剤と充填剤とを組み合わせるため、樹脂組成物は流動性及び剛性に優れている。例えば、この樹脂組成物を薄肉で射出成形しても、従来の環境適合性樹脂であるポリ乳酸や脂肪族ポリエステル(例えば、ポリブチレンサクシネートなど)、ポリカプロラクトンなどの成形時に多く見られるバリの発生はなく、高い生産性で成形品を得ることができる。また、従来のセルロースエステル組成物に比べて、高い剛性を有し、寸法精度が高く、かつ高温高湿下における寸法安定性に優れた成形品が得られる。
[エポキシ化合物]
本発明の樹脂組成物には、溶融工程を有する成形(例えば、射出成形)によって、有機酸などの揮発成分が発生するのを低減する点から、エポキシ化合物を添加するのが好ましい。エポキシ化合物としては、例えば、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、グリシジルアミン化合物、長鎖脂肪族エポキシ化合物などが挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、3,4−エポキシ−1−[8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3−イル]−シクロヘキサンなどのエポキシ−[エポキシ−オキサスピロC8-15アルキル]−シクロC5-12アルカン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートや4,5−エポキシシクロオクチルメチル−4′,5′−エポキシシクロオクタンカルボキシレートなどのエポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキル−エポキシC5-12シクロアルカンカルボキシレート、ビス(2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどのビス(C1-3アルキルエポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキル)ジカルボキシレートなどが挙げられる。これらの脂環式エポキシ化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
グリシジルエステル化合物としては、例えば、例えば、脂肪族カルボン酸グリシジルエステル(酢酸グリシジルエステル、酪酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステルなどの飽和C2-24脂肪族カルボン酸グリシジルエステルや、アジピン酸ジグリシジルエステル、ドデカン二酸ジグリシジルエステルなどの肪族ジカルボン酸ジグリシジルエステルなど)、不飽和カルボン酸グリシジルエステル[(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステルなどの不飽和C2-24脂肪族カルボン酸グリシジルエステルなど]、芳香族カルボン酸グリシジルエステル(安息香酸グリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステルなど)などが挙げられる。これらのグリシジルエステル化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
グリシジルエーテル化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)などが挙げられる。これらのグリシジルエーテル化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
グリシジルアミン化合物としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジンなどが挙げられる。これらのグリシジルアミン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
長鎖脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化油脂(エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油など)、エポキシ化脂肪酸アルキル(エポキシ化ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化ステアリン酸オクチルなどのエポキシ化C8-24脂肪酸C1-12アルキルなど)、エポキシ化ポリブタジエン、長鎖α−オレフィンオキシドなどが挙げられる。これらの長鎖脂環族エポキシ化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。エポキシ化大豆油は、例えば、ダイセル化学工業(株)から、商品名ダイマック「S−300K」(融点−5℃〜5℃、比重0.991)として入手できる。
これらのエポキシ化合物のうち、脂環式エポキシ化合物や長鎖脂肪族エポキシ化合物、特に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4,5−エポキシシクロオクチルメチル−4′,5′−エポキシシクロオクタンカルボキシレートなどのエポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキル−エポキシC5-12シクロアルカンカルボキシレートや、エポキシ化大豆油などのエポキシ化油などが好ましい。
エポキシ化合物の割合は、前記セルロースエステル100重量部に対して、0.05〜5重量部程度の範囲から選択でき、揮発成分の臭気(有機酸臭など)を感じない程度にまで揮発成分の発生を抑制する点から、例えば、0.5〜5重量部、好ましくは0.6〜4重量部、さらに好ましくは0.8〜3重量部(特に1〜3重量部)程度である。
[安定化剤]
本発明の射出成形用樹脂組成物には、さらに、有機酸、チオエーテル化合物及び亜リン酸エステル化合物などの安定化剤が含まれていてもよい。これらの安定化剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(有機酸)
有機酸としては、pKa値1以上(好ましくは2以上)の弱有機酸が使用され、例えば、モノカルボン酸類[脂肪族カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸などのC2-10脂肪族カルボン酸など)、脂環族カルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸など)、芳香族カルボン酸(安息香酸、ナフトエ酸などのC7-12芳香族ポリカルボン酸など)など]、ポリカルボン酸類[脂肪族飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのC2-10脂肪族飽和ポリカルボン酸など)、脂肪族不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸などのC4-10脂肪族不飽和ポリカルボン酸など)、脂環族ポリカルボン酸(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などのC8-10脂環族ポリカルボン酸など)、芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、トリメリット酸などのC8-12芳香族ポリカルボン酸など)など]、オキシカルボン酸類[脂肪族オキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸などのC2-10脂肪族オキシカルボン酸など)、芳香族オキシカルボン酸(サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸などのC7-12芳香族オキシカルボン酸など)など]、オキシポリカルボン酸類[脂肪族オキシポリカルボン酸(酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などのC2-10脂肪族オキシポリカルボン酸など)など]、複素環式カルボン酸(ピリジンカルボン酸など)、芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのC6-10芳香族ポリカルボン酸など)などが挙げられる。これらの有機酸は、無水物又は水和物であってもよい。これらの有機酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの有機酸のうち、脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸など)などのモノカルボン酸類、脂肪族飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸など)や脂肪族不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマル酸など)などのポリカルボン酸類、脂肪族オキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸など)などのオキシカルボン酸類、脂肪族オキシポリカルボン酸(クエン酸、リンゴ酸など)などのオキシポリカルボン酸類、特に、クエン酸又はその水和物などのC2-6脂肪族オキシポリカルボン酸が好ましい。
有機酸の割合は、前記セルロースエステル100重量部に対して、例えば、0.005〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部、さらに好ましくは0.02〜0.05重量部程度である。有機酸の割合が、この範囲にあると、耐酸化効果を発揮して、成形品の着色が抑制されるとともに、セルロースエステルの分解による有機酸のブリードアウトも抑制される。
(チオエーテル化合物)
チオエーテル化合物は酸化を防止するために使用され、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジブロピオネート、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジパルミチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジブロピオネート、ラウリルステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、パルミチルステアリル−3,3′−チオジプロピオネートなどのジアルキル−−チオジカルボキシレートなどが使用できる。これらのチオエーテル化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのチオエーテル化合物のうち、ジラウリル−3,3′−チオジブロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジブロピオネートなどのジC10-22アルキル−3,3′−チオジC2-6脂肪族カルボキシレートなどが好ましい。
チオエーテル化合物の割合は、前記セルロースエステル100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部(特に0.1〜0.5重量部)程度である。
(亜リン酸エステル化合物)
亜リン酸エステル化合物は熱安定性を向上させるために使用され、例えば、トリアリールホスファイト(トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスファイト、トリナフチルホスファイトなど)、ジアリールアルキルホスファイト(ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイトなどのジアリールC1-18アルキルホスファイトなど)、アリールジアルキルホスファイト(フェニルジイソオクチルホスファイトなどのアリールC1-18ジアルキルホスファイトなど)、トリアルキルホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイトなどのトリC1-18アルキルホスファイトなど)、ジアルキルホスファイト(ジラウリルホスファイトなどのジC1-18アルキルホスファイトなど)、アルキルアリール単位を含むホスファイト[トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジノニルフェニル−o−ビフェニルホスファイトなどのトリス(C1-18アルキル−アリール)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなど]、脂肪族カルボン酸亜リン酸エステル(トリステアリルホスファイトなどのC1-18脂肪族カルボン酸亜リン酸エステルなど)、アルキレンオキシド単位含むホスファイト(ポリジプロピレングリコールノニルフェニルホスフェート、テトラフェニルジプロピレングリコールホスファイトなど)、サイクリックネオペンタン単位を含むホスファイト[サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなど]、ジホスファイト類(ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジドデシルペンタエリスリトールジイソシアネート、4,4′−イソプロピリデンジフェニルジドデシルジホスファイトなど)、トリホスファイト類[ヘプタシスジプロピレングリコールトリホスファイト、ヘキサ・トリデシル−1,1,3−トリ(3−t−ブチル−6−メチル−4−オキシフェニル)−3−メチルプロパントリホスファイト]などが挙げられる。これらの亜リン酸エステル化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの亜リン酸エステル化合物のうち、分岐アルキル基を含むホスファイト、例えば、トリC6-18アルキルホスファイト(トリイソデシルホスファイトなど)、分岐C3-6アルキル基(t−ブチル基など)を含むホスファイト[トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなど]などが好ましい。
亜リン酸エステル化合物の割合は、前記セルロースエステル100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部(特に0.3〜0.8重量部)程度である。
本発明の樹脂組成物は、用途に応じて、慣用の添加剤、例えば、他の安定化剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、着色剤(染料、顔料など)、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、分散剤、流動化剤、ドリッピング防止剤、抗菌剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の樹脂組成物は、慣用の方法で調製することができ、例えば、各成分をタンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ニーダーなどの混合機を用いて乾式又は湿式で混合して調製してもよい。さらに、前記混合機で予備混合した後、一軸又は二軸押出機などの押出機で混練してペレットに調製したり、加熱ロールやバンバリーミキサーなどの混練機で溶融混練して調製してもよい。溶融混練の温度は、可塑剤などの各成分の融点に応じて選択でき、例えば、50〜220℃、好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは70〜150℃程度である。例えば、可塑剤として、TPP(融点約50℃)を用いた場合、ミキサー内の摩擦熱で70℃以上になるように攪拌混合してもよい。
このようにして得られた樹脂組成物は、。射出成形、押出成形、真空成形、異型成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形、ガス注入成形などによって各種成形品に成形することができる。これらの成形方法のうち、高温での溶融工程を含む成形方法に用いるのが好ましく、特に、流動性、剛性及び寸法精度が高いため、射出成形に用いるのが好ましい。さらに、この樹脂組成物は、射出成形の成形サイクルを短くしても、強度や伸度などの機械的特性や耐熱性に優れた成形品を得ることが可能であり、生産性が高い。例えば、成形サイクルを5分以下(例えば、10秒〜5分程度)、好ましくは10秒〜3分、さらに好ましくは10秒〜1分(特に10〜40秒)程度にすることが可能である。さらに、前記樹脂組成物は、前記特性を有するため、薄肉(例えば、0.5〜3mm程度)で射出成形で成形しても、バリの発生が抑制される。射出成形におけるシリンダー温度は、特に限定されず、100〜220℃、好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは130〜180℃程度である。金型温度は、特に限定されず、30〜150℃程度の範囲から選択でき、例えば、40〜120℃、好ましくは50〜100℃程度である。
本発明の樹脂組成物は、剛性や耐衝撃性などの機械的強度や寸法精度などに優れるとともに、環境的な負荷も小さいため、各種用途、例えば、OA・家電機器分野、電気・電子分野、通信機器分野、サニタリー分野、自動車などの輸送車両分野、家具・建材などの住宅関連分野、雑貨分野などの各パーツ、ハウジングなどに使用することができる。本発明の樹脂組成物は、寸法精度が高く、耐熱性にも優れるため、高温に晒される機会が多く、薄肉に成形される分野、例えば、OA機器部品(パーソナルコンピュータ筐体、液晶ディスプレイの薄板など)や家電製品の筐体などの成形材料として有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[各成分の内容]
酢酸セルロース:ダイセル化学工業(株)製、商品名「L40」、置換度2.5、粘度平均重合度170、SP値11
ポリ乳酸:三井化学(株)製、商品名「レイシアH400」
脂肪族ポリエステル:ポリブチレンサクシネート(PBS)、昭和高分子(株)製、商品名「ビオノーレ1020」
TPP(トリフェニルホスフェート):大八化学工業(株)製、分子量326、リン含有率9.5重量%、沸点399℃、比重1.21、融点48.5℃、引火点225℃、SP値10.5
タルク:竹原化学(株)製、商品名「ハイトロンA」
エポキシ化合物:ダイセル化学工業(株)製、商品名「セロキサイド2021P」、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
チオエーテル化合物(ジラウリルチオジピロピオネート):日本油脂(株)製、商品名「アンチオックスL」
亜リン酸エステル(トリイソデシルホスファイト):旭電化(株)製、商品名「アデカスタブ3010」。
[引張試験]
JIS K7161に準拠して、試験片の引張破断伸度を測定した。
[加熱変形温度(HDT)]
ASTM D648に準拠し、荷重0.45MPaで測定した。
[曲げ強度]
3点曲げ法 JIS K 7203に準じて測定した(単位:MPa)。
[曲げ弾性率]
ASTM D−790に準拠し、曲げ弾性率を測定した。
[耐衝撃性]
得られた成形品を用いて、JIS K 7113規定の2号のダンベルを打ち抜き、試験片を得た。前記試験片の両端を支持し、シャルピー衝撃試験機に供して衝撃強度(kJ/m2)を測定した。
[成形性及びバリの有無]
170mm×100mmの平板(厚み1mm)で、かつその中央部に50mm四方の空洞部(窓部)が設けられた成形品を成形して成形性及びバリの有無を目視で観察し、以下の基準で評価した。
(成形性)
○:問題なし
×:離型しにくい
(バリの有無)
○:バリが見られない
△:僅かなバリが見られる
×:バリが多い。
[難燃性]
UL−94試験法に準拠し、1/16インチ(約1.6mm)厚みのテストピースを使用して評価した。
[吸水率]
ASTM−D570に準拠し、65℃、80%RH、24時間での吸水率を測定した。
[高温高湿下でのソリ]
70℃、80%RHの条件下で成形品を3時間放置した後、目視観察により、以下の基準でソリの状態を評価した。
○:成形品が波打つことなく、平面状態を保たれている
×:成形品が波打ち、平面状態が保たれていない。
実施例1〜4及び比較例1〜3
ヘンシェルミキサーを用いて、ミキサー内の摩擦熱で70℃以上となるように、表1に示す成分を攪拌して混合した。得られた混合物を二軸押出機(シリンダー温度:170℃、ダイス温度:220℃)に供給し、押し出してペレット化した。得られたペレットを、射出成形機に供給して、シリンダー温度220℃、金型温度50℃、成形サイクル30秒(射出15秒、冷却時間15秒)の条件で試験片を射出成形した。得られた試験片について、特性評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0004610187
表1の結果から明らかなように、実施例で得られた成形品は、各種機械的強度が高く、耐熱性及び成形性にも優れている。これに対して、比較例で得られた成形品は、機械的強度、成形性、難燃性などが低い。

Claims (2)

  1. 平均置換度が1.7〜2.5のセルロースエステル、溶解性パラメータ(SP値)8〜12(MPa)1/2のリン酸エステル、タルク、マイカ及び窒化ホウ素から選択された少なくとも一種の充填剤、及びエポキシ化合物で構成された樹脂組成物であって、前記酢酸セルロース100重量部に対して、前記リン酸エステル1〜50重量部、前記充填剤1〜40重量部、前記エポキシ化合物0.5〜5重量部の割合で含み、前記リン酸エステルと充填剤との割合(重量比)が、リン酸エステル/充填剤=90/10〜40/60である射出成形用樹脂組成物。
  2. セルロースエステルが酢酸セルロースである請求項1記載の組成物。
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