JP2011132449A - 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 - Google Patents

成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 Download PDF

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貴康 永井
Daisuke Sawai
大輔 澤井
Shunei Yoshitani
俊英 芳谷
Shigeo Kamihira
茂生 上平
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Abstract

【課題】高い剛性(曲げ弾性率)、良好な曲げ強度、及び高い熱変形温度といった性能と、さらに良好な耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)、優れた成形加工性、及び寸法安定性とを有する成形材料及び成形体を提供する。
【解決手段】セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体と、
有機繊維とを含有する成形材料。
A)炭化水素基:−R
B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体に関する。
コピー機、プリンター等の電気電子機器を構成する部材には、その部材に求められる特性、機能等を考慮して、各種の素材が使用されている。例えば、電気電子機器の駆動機等を収納し、当該駆動機を保護する役割を果たす部材(筐体)にはPC(Polycarbonate)、ABS(Acrylonitrile−butadiene−styrene)樹脂、PC/ABS等が一般的に多量に使用されている(特許文献1)。これらの樹脂は、石油を原料として得られる化合物を反応させて製造されている。
ところで、石油、石炭、天然ガス等の化石資源は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を主成分とするものである。このような化石資源、又は化石資源を原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素が大気中に放出された場合には、本来、大気中に存在せずに地中深くに固定されていた炭素を二酸化炭素として急激に放出することになり、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、これが地球温暖化の原因となっている。したがって、化石資源である石油を原料とするABS、PC等のポリマーは、電気電子機器用部材の素材としては、優れた特性を有するものであるものの、化石資源である石油を原料とするものであるため、地球温暖化の防止の観点からは、その使用量の低減が望ましい。
一方、植物由来の樹脂は、元々、植物が大気中の二酸化炭素と水とを原料として光合成反応によって生成したものである。そのため、植物由来の樹脂を焼却して二酸化炭素が発生しても、その二酸化炭素は元々、大気中にあった二酸化炭素に相当するものであるから、大気中の二酸化炭素の収支はプラスマイナスゼロとなり、結局、大気中のCOの総量を増加させない、という考え方がある。このような考えから、植物由来の樹脂は、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料と称されている。石油由来の樹脂に代わって、カーボンニュートラルな材料を用いることは、近年の地球温暖化を防止する上で急務となっている。
このため、PCポリマーにおいて、石油由来の原料の一部としてデンプン等の植物由来資源を使用することにより石油由来資源を低減する方法が提案されている(特許文献2)。
しかし、より完全なカーボンニュートラルな材料を目指す観点から、さらなる改良が求められている。
ここで、セルロースに代表される多糖類は、植物から得られる地球上で再生産可能なバイオマス材料として、また環境中にて生分解可能な材料として、昨今の大きな注目を集めつつある。セルロースは紙に用いられるばかりではなく、その誘導体であるセルロースエステルは、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート等が、フィルム材料等として多くの分野で用いられおり、商業的に流通している。
公知のセルロース誘導体として、ヒドロキシプロピルメチルアセチルセルロースが特許文献3及び特許文献4に記載されている。特許文献3及び特許文献4では、このヒドロキシプロピルメチルアセチルセルロースは、揮発しやすい有機溶剤の蒸気圧を低減するための添加剤として有用であることが記載されている。また、特許文献3及び特許文献4に記載のヒドロキシプロピルメチルアセチルセルロースにおける各置換基の置換度は、例えばヒドロキシプロピル基のモル置換度(MS)が約2から8の範囲、メチル基の置換度が約0.1から1の範囲、アセチル基の置換度は約0.8から2.5の範囲であることが記載されている。
セルロース誘導体の機械的強度、耐熱性、成形性の向上を目的として、セルロース誘導体に繊維や微粒子を分散することが検討されている。
特許文献5〜7には、樹脂材料と繊維又は粒子を含有する樹脂組成物又は成形体が記載されており、樹脂材料としてセルロース誘導体が挙げられている。
特開昭56−55425号公報 特開2008−24919号公報 米国特許第3979179号明細書 米国特許第3940384号明細書 特開2004−315577号公報 特開2000−334852号公報 特開2009−183245号公報
本発明者らは、カーボンニュートラルな樹脂として、セルロースを使用することに初めて着目した。しかし、セルロースは一般的に熱可塑性を持たないため、加熱等により成形することが困難であるため、成形加工に適さない。また、たとえ熱可塑性を付与できたとしても、耐衝撃性等の強度が大きく衰える問題がある。例えば、上記特許文献3、4に記載のセルロース誘導体は水可溶性又は膨潤性であり、強度が不足しており成形材料として好ましくない。
本発明の目的は、高い剛性(曲げ弾性率)、良好な曲げ強度、及び高い耐熱性(熱変形温度)といった性能と、更に良好な耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)、優れた成形加工性、及び寸法安定性とを有する成形材料及び成形体を提供することである。また、本発明の別の目的は、該成形材料を成形して得られる成形体、該成形体の製造方法、及び該成形体から構成される電気電子機器用筐体を提供することである。
本発明者らは、セルロースの分子構造に着目し、セルロースをエーテル構造とエステル構造を有する特定構造のセルロース誘導体とし、該特定構造のセルロース誘導体と、有機繊維とを含有する成形材料により、剛性、曲げ強度、耐熱性といった性能を下げずに、寸法安定性に優れた成形材料及び成形体を提供しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
[1]
セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体と、
有機繊維とを含有する成形材料。
A)炭化水素基:−R
B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)
[2]
前記セルロース誘導体が、更に、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が下記C)で置換された基を少なくとも1つ含む、[1]に記載の成形材料。
C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基(RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2又は3のアルキレン基を表す。)
[3]
前記C)アルキレンオキシ基とアシル基とを含む基が、下記一般式(3)で表される構造を含む基である、[1]又は[2]に記載の成形材料。
Figure 2011132449
(式中、RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2又は3のアルキレン基を表す。nは1以上の整数を表す。)
[4]
前記Rが炭素数1〜4のアルキル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の成形材料。
[5]
前記Rがメチル基又はエチル基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の成形材料。
[6]
前記R及びRC1が、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基である、[1]〜[5]のいずれかに記載の成形材料。
[7]
前記R及びRC1が、それぞれ独立に、メチル基、エチル基又はプロピル基である、[1]〜[6]のいずれかに記載の成形材料。
[8]
前記Rが、炭素数3〜10の分岐構造を有する炭化水素基である、[1]〜[6]のいずれかに記載の成形材料。
[9]
前記アルキレンオキシ基が下記式(1)又は(2)で表される基である、[2]〜[8]のいずれかに記載の成形材料。
Figure 2011132449
[10]
前記セルロース誘導体が、カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さない、[1]〜[9]のいずれかに記載の成形材料。
[11]
前記セルロース誘導体が水に不溶である、[1]〜[10]のいずれかに記載の成形材料。
[12]
前記有機繊維の平均繊維長が100μm〜30mmである、[1]に記載の成形材料。
[13]
前記有機繊維の平均繊維長が0.5〜30mm、かつ平均繊維径が5〜500μmである、[12]に記載の成形材料。
[14]
前記有機繊維が、天然繊維、合成ポリマー繊維、及び再生繊維から選択される少なくとも1つである、[1]〜[13]のいずれかに記載の成形材料。
[15]
前記天然繊維がケナフ、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻、インド麻)、サイザル麻、マニラ麻、絹、及びウールから選択される少なくとも1つである、[14]に記載の成形材料。
[16]
前記合成ポリマー繊維がポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維から選択される少なくとも1つである、[14]に記載の成形材料。
[17]
前記再生繊維が再生セルロース繊維、又はペットボトルを再生した繊維である[14]に記載の成形材料。
[18]
前記再生セルロール繊維がレーヨン、キュプラ、ポリノジック、リヨセル、及びアセテート繊維から選択される少なくとも1つである、[17]に記載の成形材料。
[19]
前記有機繊維の含有量が成形材料中1〜50質量%である、[1]〜[18]のいずれかに記載の成形材料。
[20]
[1]〜[19]のいずれかに記載のセルロース誘導体と、有機繊維とを含有する成形材料を加熱成形して得られる成形体。
[21]
前記有機繊維の、下記式により求められる、前記成形体の長手方向への配向度φが0.5以上である[20]に記載の成形体。
Figure 2011132449
(αはX線回折により求めた成形体中の有機繊維のピーク半値幅を表す。)
[22]
[1]〜[19]のいずれかに記載の成形材料を加熱し、成形する工程を含む、成形体の製造方法。
[23]
[20]又は[21]に記載の成形体から構成される電気電子機器用筐体。
本発明の成形材料は、優れた熱可塑性を有するため、加熱成形などにより成形することができる。また、本発明の成形材料、及び成形体は、剛性、曲げ強度、耐熱性といった性能に優れ、かつ良好な耐衝撃性と成形加工性、寸法安定性を有しており、例えば、自動車、家電、電気電子機器等の構成部品、機械部品、住宅・建築用材料等として好適に使用することができる。また、本発明の成形材料は、植物由来の樹脂であるセルロースから得られるセルロース誘導体を使用しているため、温暖化防止に貢献できる素材として、従来の石油由来の樹脂に代替できる。
本発明は、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体と、
有機繊維とを含有する成形材料。
A)炭化水素基:−R
B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
1.セルロース誘導体
本発明の成形材料に含まれるセルロース誘導体は、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体である。
A)炭化水素基:−R
B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)
すなわち、本発明におけるセルロース誘導体は、セルロースエーテルエステルであり、セルロース{(C10}に含まれる水酸基の水素原子の少なくとも一部が、A)炭化水素基:−R、B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)により置換されている。
より詳細には、本発明におけるセルロース誘導体は、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2011132449
上記一般式(A)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、A)炭化水素基:−R、B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)、又はその他の置換基を表す。ただし、R、R、及びRの少なくとも一部がA)炭化水素基を表し、かつR、R、及びRの少なくとも一部がB)アシル基を表す。
本発明におけるセルロース誘導体は、上記のようにβ−グルコース環の水酸基の少なくとも一部がA)炭化水素基、及びB)アシル基によって、エーテル化、及びエステル化されていることにより、熱可塑性を発現することができ、成形加工に適したものとなる。
更には、セルロースは完全な植物由来成分であるため、カーボンニュートラルであり、環境に対する負荷を大幅に低減することができる。
なお、本発明にいう「セルロース」とは、多数のグルコースがβ−1,4−グリコシド結合によって結合した高分子化合物であって、セルロースのグルコース環における2位、3位、6位の炭素原子に結合している水酸基が無置換であるものを意味する。また、「セルロースに含まれる水酸基」とは、セルロースのグルコース環における2位、3位、6位の炭素原子に結合している水酸基を指す。
前記セルロース誘導体は、その全体のいずれかの部分に前記A)炭化水素基、及びB)アシル基とを含んでいればよく、同一の繰り返し単位からなるものであってもよいし、複数の種類の繰り返し単位からなるものであってもよい。また、前記セルロース誘導体は、ひとつの繰り返し単位において前記A)炭化水素基、及びB)アシル基をすべて含有する必要はない。
より具体的な態様としては、例えば以下の態様が挙げられる。
(1)R、R及びRの少なくとも1つが、A)炭化水素基で置換されている繰り返し単位と、R、R及びRの少なくとも1つが、B)アシル基で置換されている繰り返し単位と、から構成されるセルロース誘導体。
(2)ひとつの繰り返し単位のR、R及びRのいずれかがA)炭化水素基、及びB)アシル基で置換されている(すなわち、ひとつの繰り返し単位中に前記A)及びB)の置換基を有する)同種の繰り返し単位から構成されるセルロース誘導体。
(3)置換位置や置換基の種類が異なる繰り返し単位が、ランダムに結合しているセルロース誘導体。
また、セルロース誘導体には、無置換の繰り返し単位(すなわち、前記一般式(A)において、R、R及びRすべてが水素原子である繰り返し単位)を含んでいてもよい。
また、セルロース誘導体は、水素原子、A)炭化水素基、及びB)アシル基以外のその他の置換基を有していても良い。
A)炭化水素基:−Rは、脂肪族基、及び芳香族基のいずれでもよい。
が脂肪族基である場合は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよく、不飽和結合を持っていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
が芳香族基である場合は、単環、及び縮環のいずれでもよい。Rが芳香族基である場合の好ましい炭素数は6〜18であり、より好ましくは6〜14、更に好ましくは6〜10である。芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
A)炭化水素基は、得られる成形材料(以下「セルロース樹脂組成物」又は「樹脂組成物」と称する場合がある。)の耐衝撃性が優れることから、脂肪族基であることが好ましく、メルトフローレート等の成形加工性が優れることから、より好ましくはアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(低級アルキル基)である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、tert−ブチル基、イソヘプチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
B)アシル基:−CO−Rにおいて、Rは炭化水素基を表す。Rは、脂肪族基、及び芳香族基のいずれでもよい。
が脂肪族基である場合は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよく、不飽和結合を持っていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
が芳香族基である場合は、単環、及び縮環のいずれでもよい。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
は、好ましくはアルキル基又はアリール基である。Rは、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数1又は2のアルキル基(すなわち、メチル基又はエチル基)である。
また、Rは、炭素数3〜10の分岐構造を有する炭化水素基であることも好ましく、炭素数3〜10の分岐構造を有するアルキル基であることがより好ましく、炭素数7〜9の分岐構造を有するアルキル基であることが更に好ましい。
としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、tert−ブチル基、及びイソヘプチル基等が挙げられる。好ましくは、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、又は2−エチルヘキシル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、又は2−エチルヘキシル基である。
本発明の成形材料におけるセルロース誘導体は、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、前記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び前記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体であるが、更に、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が下記C)で置換された基を少なくとも1つ含むことが耐衝撃性の観点から好ましい。
C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基(RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2又は3のアルキレン基を表す。)
前記C)に含まれるアシル基(−CO−RC1)において、RC1は炭化水素基を表す。RC1が表す炭化水素基としては、前記Rで挙げたものと同様のものを適用することができる。RC1の好ましい範囲も前記Rと同様である。
前記C)に含まれるアルキレンオキシ基(−RC2−O−)において、RC2は炭素数が2又は3のアルキレン基を表す。RC2は、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれでもよいが、直鎖状、又は分岐状が好ましく、分岐状がより好ましい。
アルキレンオキシ基(−RC2−O−)としては、具体的には下記構造が挙げられる。
Figure 2011132449
上記の中でも、得られる成形材料の曲げ弾性率が優れることから、−RC2−O−が分岐状である下記式(1)又は(2)で表される基が好ましい。
Figure 2011132449
前記C)の基は、アルキレンオキシ基を複数含んでいてもよいし、1つだけ含むものであってもよい。好ましくは、前記C)の基は、下記一般式(3)で表すことができる。
Figure 2011132449
前記一般式(3)中、RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2又は3のアルキレン基を表す。RC1及びRC2の好ましい範囲は、前記したものと同様である。nは1以上の整数である。nの上限は特に限定されず、アルキレンオキシ基の導入量等により変わるが、例えば10程度である。nは好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。RC2は複数存在する場合は各々同じでも異なってもよいが、同じであることが好ましい。
また、本発明におけるセルロース誘導体は、アルキレンオキシ基を1つだけ含む前記C)の基(上記一般式(3)においてnが1である基)と、アルキレンオキシ基を2以上含む前記C)の基(上記一般式(3)においてnが2以上である基)とを含んでいてもよい。
また、前記C)の基におけるアルキレンオキシ基のセルロース誘導体に対する結合向きは特に限定されないが、アルキレンオキシ基のアルキレン基部分(RC2)がβ−グルコース環構造側に結合していることが好ましい。
前記A)におけるR、前記B)におけるR、前記C)におけるRC1及びRC2は、さらなる置換基を有していてもよいし無置換でもよいが、無置換であることが好ましい。
前記A)におけるR、前記B)におけるR、前記C)におけるRC1及びRC2がさらなる置換基を有する場合、さらなる置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(アルキル基部分の炭素数は好ましくは1〜5)、アルケニル基等が挙げられる。ただし、置換基を含む場合でもRC2の炭素数は2又は3である。なお、R、R、及びRC1がアルキル基以外である場合は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)を置換基として有することもできる。
特に、R及びRC1がさらなる置換基を有する場合、カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さないことが好ましい。セルロース誘導体がカルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さないことにより、本発明の成形材料を水不溶性とすることができ、成形性を更に向上させることができる。また、セルロース誘導体がカルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を有する場合、化合物安定性を悪化させることが知られており、特に熱分解を促進することがあるため、これらの基を含まないことが好ましい。
なお、「カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さない」とは、本発明におけるセルロース誘導体が全くカルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を有さない場合のみならず、本発明におけるセルロース誘導体が水に不溶な範囲で微量のカルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を有する場合を包含するものとする。例えば、原料であるセルロースにカルボキシル基が含まれる場合があり、これを用いて前記A)〜C)の置換基を導入したセルロース誘導体はカルボキシル基が含まれる場合があるが、これは「カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さないセルロース誘導体」に含まれるものとする。
この場合、カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩の好ましい含有量としては、セルロース誘導体に対して1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
また、本発明におけるセルロース誘導体は、水に不溶であることが好ましい。ここで、「水に不溶である」とは、25℃の水100質量部への溶解度が5質量部以下であることとする。
本発明におけるセルロース誘導体の具体例としては、
アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルペンチルセルロース、アセチルヘキシルセルロース、アセチルシクロヘキシルセルロース、アセチルフェニルセルロース、アセチルナフチルセルロース、
プロピオニルメチルセルロース、プロピオニルエチルセルロース、プロピオニルプロピルセルロース、プロピオニルブチルセルロース、プロピオニルペンチルセルロース、プロピオニルヘキシルセルロース、プロピオニルシクロヘキシルセルロース、プロピオニルフェニルセルロース、プロピオニルナフチルセルロース、
ブチリルメチルセルロース、ブチリルエチルセルロース、ブチリルプロピルセルロース、ブチリルブチルセルロース、ブチリルペンチルセルロース、ブチリルヘキシルセルロース、ブチリルシクロヘキシルセルロース、ブチリルフェニルセルロース、ブチリルナフチルセルロース、
メチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、エチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピルセルロース−2−エチルヘキサノエート、ブチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、ペンチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、ヘキシルセルロース−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキシルセルロース−2−エチルヘキサノエート、フェニルセルロース−2−エチルヘキサノエート、ナフチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、
アセトキシエチルメチルアセチルセルロース、アセトキシエチルエチルアセチルセルロース、アセトキシエチルプロピルアセチルセルロース、アセトキシエチルブチルアセチルセルロース、アセトキシエチルペンチルアセチルセルロース、アセトキシエチルヘキシルアセチルセルロース、アセトキシエチルシクロヘキシルアセチルセルロース、アセトキシエチルフェニルアセチルセルロース、アセトキシエチルナフチルアセチルセルロース、
アセトキシエチルメチルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルエチルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルプロピルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルブチルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルペンチルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルヘキシルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルシクロヘキシルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルフェニルプロピオニルセルロース、アセトキシエチルナフチルプロピオニルセルロース、
アセトキシエチルメチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルエチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルプロピルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルブチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルペンチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルヘキシルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルシクロヘキシルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルフェニルセルロース−2−エチルヘキサノエート、アセトキシエチルナフチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、
プロピオニルオキシエチルメチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルエチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルプロピルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルブチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルペンチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルヘキシルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルシクロヘキシルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルフェニルアセチルセルロース、プロピオニルオキシエチルナフチルアセチルセルロース、
プロピオニルオキシエチルメチルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルエチルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルプロピルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルブチルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルペンチルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルヘキシルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルシクロヘキシルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルフェニルプロピオニルセルロース、プロピオニルオキシエチルナフチルプロピオニルセルロース、
プロピオニルオキシエチルメチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルエチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルプロピルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルブチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルペンチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルヘキシルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルシクロヘキシルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルフェニルセルロース−2−エチルヘキサノエート、プロピオニルオキシエチルナフチルセルロース−2−エチルヘキサノエート、
アセトキシプロピルメチルアセチルセルロース、アセトキシプロピルエチルアセチルセルロース、アセトキシプロピルプロピルアセチルセルロース、アセトキシプロピルブチルアセチルセルロース、アセトキシプロピルペンチルアセチルセルロース、アセトキシプロピルヘキシルアセチルセルロース、アセトキシプロピルシクロヘキシルアセチルセルロース、アセトキシプロピルフェニルアセチルセルロース、アセトキシプロピルナフチルアセチルセルロース、
プロピオニルオキシプロピルメチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルエチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルプロピルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルブチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルペンチルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルヘキシルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルシクロヘキシルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルフェニルアセチルセルロース、プロピオニルオキシプロピルナフチルアセチルセルロース、
バレロキシプロピルメチルバレロイルセルロース、バレロキシブチルメチルバレロイルセルロースなどが挙げられる。
本発明の成形材料は、前記特定のセルロース誘導体を1種のみ含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
本発明におけるセルロース誘導体中のA)炭化水素基:−R、B)アシル基:−CO−R、及びC)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基の置換位置、並びにβ−グルコース環単位当たりの各置換基の数(置換度)は特に限定されない。
例えば、A)炭化水素基:−Rの置換度DS(繰り返し単位中、β−グルコース環の2位、3位及び6位の水酸基に対するRの数)は、1.0<DSであることが好ましく、1.0<DS<2.5がより好ましい。また、DSは1.1以上であることが好ましい。
B)アシル基(−CO−R)の置換度DS(繰り返し単位中、β−グルコース環のセルロース構造の2位、3位及び6位の水酸基に対する−CO−Rの数)は、0.1<DSであることが好ましく、0.1<DS<2.0であることがより好ましい。
C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基の置換度DS(繰り返し単位中、β−グルコース環のセルロース構造の2位、3位及び6位の水酸基に対するC)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基の数)は、0<DSであることが好ましく、0<DS<1.0であることがより好ましい。0<DSであることにより、セルロース誘導体の溶融開始温度を低くできるので、熱成形をより容易に行うことができる。
上記のような範囲の置換度とすることにより、機械強度及び成形性等を向上させることができる。
また、セルロース誘導体中に存在する無置換の水酸基の数も特に限定されない。水素原子の置換度DS(繰り返し単位中、2位、3位及び6位の水酸基が無置換である割合)は0〜1.5の範囲とすることができ、好ましくは0〜0.6とすればよい。DSを0.6以下とすることにより、成形材料の流動性を向上させたり、熱分解の加速・成形時の成形材料の吸水による発泡等を抑制させたりできる。
また、本発明におけるセルロース誘導体は、A)炭化水素基、B)アシル基、及びC)アルキレンオキシ基とアシル基とを含む基以外の置換基を有しても良い。有してもよい置換基の例としては、例えばヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシエトキシエチル基、ヒドロキシプロポキシプロピル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、ヒドロキシプロポキシプロポキシプロピル基が挙げられる。よって、セルロース誘導体が有するすべての置換基の各置換度の総和は3であるが、(DS+DS+DS+DS)は3以下である。
また、前記C)の基におけるアルキレンオキシ基の導入量はモル置換度(MS:グルコース残基あたりの置換基の導入モル数)で表される(セルロース学会編集、セルロース辞典P142)。アルキレンオキシ基のモル置換度MSは、0<MSであることが好ましく、0<MS≦1.5であることがより好ましく、0<MS<1.0であることが更に好ましい。MSが1.5以下(MS≦1.5)であることにより、耐熱性・成形性等を向上させることができ、成形材料に好適なセルロース誘導体が得られる。
本発明におけるセルロース誘導体の分子量は、数平均分子量(Mn)が5×10〜1000×10の範囲が好ましく、10×10〜500×10の範囲が更に好ましく、10×10〜200×10の範囲が最も好ましい。また、質量平均分子量(Mw)は、7×10〜10000×10の範囲が好ましく、15×10〜5000×10の範囲が更に好ましく、100×10〜3000×10の範囲が最も好ましい。この範囲の平均分子量とすることにより、成形体の成形性、力学強度等を向上させることができる。
分子量分布(MWD)は1.1〜10.0の範囲が好ましく、1.5〜8.0の範囲が更に好ましい。この範囲の分子量分布とすることにより、成形性等を向上させることができる。
本発明における、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行うことができる。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めることができる。
2.セルロース誘導体の製造方法
本発明におけるセルロース誘導体の製造方法は特に限定されず、セルロースを原料とし、セルロースに対しエーテル化及びエステル化することにより本発明におけるセルロース誘導体を製造することができる。セルロースの原料としては限定的でなく、例えば、綿、リンター、パルプ等が挙げられる。
前記A)炭化水素基:−R、及びB)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)を有するセルロース誘導体の好ましい製造方法の態様は、セルロースエーテルに、塩基存在下、酸クロリド又は酸無水物等を反応させることにより、エステル化する工程を含むものである。
前記セルロースエーテルとしては、例えば、セルロースに含まれるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位の水酸基の水素原子の少なくとも一部が、炭化水素基に置換されたものを用いることができ、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、アリルセルロース、ベンジルセルロース等が挙げられる。
前記A)炭化水素基:−R、B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)、及びC)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基(RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2又は3のアルキレン基を表す。)を有するセルロース誘導体の好ましい製造方法の態様は、炭化水素基と、ヒドロキシエチル基を有するヒドロキシエチルセルロースエーテル又はヒドロキシプロピル基を有するヒドロキシプロピルセルロースエーテルに酸クロライド又は酸無水物等を反応させることにより、エステル化(アシル化)する工程を含む方法によって行うものである。
また、別の態様として、例えばメチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルにプロピレンオキサイド等によりエーテル化するか、又はセルロースにメチルクロライド、エチルクロライド等のアルキルクロライド/炭素数3のアルキレンオキサイド等を作用させた後、更に酸クロライド又は酸無水物等を反応させることにより、エステル化する工程を含む方法も挙げられる。
酸クロライドを反応させる方法としては、例えばCellulose 10;283−296,2003に記載の方法を用いることができる。
炭化水素基とヒドロキシエチル基を有するセルロースエーテルとしては、具体的には、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルアリルセルロース、ヒドロキシエチルベンジルセルロース等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースである。
炭化水素基とヒドロキシプロピル基を有するセルロースエーテルとしては、具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルアリルセルロース、ヒドロキシプロピルベンジルセルロース等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースである。
酸クロリドとしては、前記B)アシル基、及びC)に含まれるアシル基に対応したカルボン酸クロライドを使用することができる。カルボン酸クロリドとしては、例えば、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、ブチリルクロリド、イソブチリルクロリド、ペンタノイルクロリド、2−メチルブタノイルクロリド、3−メチルブタノイルクロリド、ピバロイルクロリド、ヘキサノイルクロリド、2−メチルペンタノイルクロリド、3−メチルペンタノイルクロリド、4−メチルペンタノイルクロリド、2,2−ジメチルブタノイルクロリド、2,3−ジメチルブタノイルクロリド、3,3−ジメチルブタノイルクロリド、2−エチルブタノイルクロリド、ヘプタノイルクロリド、2−メチルヘキサノイルクロリド、3−メチルヘキサノイルクロリド、4−メチルヘキサノイルクロリド、5−メチルヘキサノイルクロリド、2,2−ジメチルペンタノイルクロリド、2,3−ジメチルペンタノイルクロリド、3,3−ジメチルペンタノイルクロリド、2−エチルペンタノイルクロリド、シクロヘキサノイルクロリド、オクタノイルクロリド、2−メチルヘプタノイルクロリド、3−メチルヘプタノイルクロリド、4−メチルヘプタノイルクロリド、5−メチルヘプタノイルクロリド、6−メチルヘプタノイルクロリド、2,2−ジメチルヘキサノイルクロリド、2,3−ジメチルヘキサノイルクロリド、3,3−ジメチルヘキサノイルクロリド、2−エチルヘキサノイルクロリド、2−プロピルペンタノイルクロリド、ノナノイルクロリド、2−メチルオクタノイルクロリド、3−メチルオクタノイルクロリド、4−メチルオクタノイルクロリド、5−メチルオクタノイルクロリド、6−メチルオクタノイルクロリド、2,2−ジメチルヘプタノイルクロリド、2,3−ジメチルヘプタノイルクロリド、3,3−ジメチルヘプタノイルクロリド、2−エチルヘプタノイルクロリド、2−プロピルヘキサノイルクロリド、2−ブチルペンタノイルクロリド、デカノイルクロリド、2−メチルノナノイルクロリド、3−メチルノナノイルクロリド、4−メチルノナノイルクロリド、5−メチルノナノイルクロリド、6−メチルノナノイルクロリド、7−メチルノナノイルクロリド、2,2−ジメチルオクタノイルクロリド、2,3−ジメチルオクタノイルクロリド、3,3−ジメチルオクタノイルクロリド、2−エチルオクタノイルクロリド、2−プロピルヘプタノイルクロリド、2−ブチルヘキサノイルクロリド等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば前記B)アシル基、及びC)に含まれるアシル基に対応したカルボン酸無水物を使用することができる。このようなカルボン酸無水物としては、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、オクタン酸無水物、2−エチルヘキサン酸無水物、ノナン酸無水物等が挙げられる。
なお、前述したとおり、本発明におけるセルロース誘導体は置換基としてカルボン酸を有さないことが好ましいため、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸等、セルロースと反応させてカルボキシル基が生じる化合物を用いないことが好ましい。
そのほかの具体的な製造条件等は、常法に従うことができる。例えば、「セルロースの事典」131頁〜164頁(朝倉書店、2000年)等に記載の方法を参考にすることができる。
3.有機繊維
本発明の成形材料は有機繊維を含有する。
有機繊維を本発明における特定のセルロース誘導体と混ぜて成形材料とすることで、特定のセルロース誘導体を単独で用いた場合よりも、寸法安定性を向上させることができる。更に力学特性が向上するという利点がある。
本発明における特定のセルロース誘導体は、エーテル構造とエステル構造を含む。そのため、従来のセルロースエステルなどに対して、側鎖構造が異なり、他材料との親和性が大きく異なる。更に、本発明における特定のセルロース誘導体は、微粉末を分散させるときに重要なパラーメータである、温度印加させて機械混練(剪断)させた時の分散性の指標となる、粘度―温度特性が従来のセルロースエステルとは異なるので有機繊維の分散性に優れる。そのため、有機繊維は、本発明における特定のセルロース誘導体中で分散性に優れ、両者は良好に混練することができる。そのため、特定のセルロース誘導体を単独で用いた場合に比較して剛性、及び曲げ強度に優れ、耐熱性といった性能を下げずに、寸法安定性及び成形性に優れた成形材料及び成形体が得られる。
本発明に用いる有機繊維は、成形体補強の点から平均繊維長が100μm〜30mmであることが好ましく、300μm〜3mmであることがより好ましい。また、平均繊維径が5〜500μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
また、本発明に用いる有機繊維のアスペクト比は、5〜1000であることが好ましく、5〜300であることがより好ましい。10〜300であることが更に好ましい。
また、本発明に用いる天然繊維は、所望の範囲のアスペクト比とするため、又、成形性、ハンドリングの点から平均繊維径が5〜500μmであることがより好ましく、
10〜500μmであることがより好ましい。
そして、平均繊維長が0.5〜30mm、かつ平均繊維径が5〜500μmであることが特に好ましい。
有機繊維としては、天然繊維、合成ポリマー繊維、及び再生繊維から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
(天然繊維)
天然繊維としては、ケナフ、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻、インド麻)、サイザル麻、マニラ麻、木綿、絹、羊毛、カシミア、アルパカ、モヘア、アンゴラ等を挙げることができる。入手容易性、供給安定性、及びコスト等の点からケナフ、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻、インド麻)、サイザル麻、マニラ麻、絹、及びウールから選択される少なくとも1つであることが好ましい。
天然繊維は環境循環素材であり、環境適応性の点で優れる。
(合成ポリマー繊維)
合成ポリマー繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維等が挙げられ、ポリエステル繊維、ナイロン繊維であることが好ましく、ポリエステル繊維であることがより好ましい。
合成繊維は吸湿特性に優れ、寸法安定性の点で優れる。
ポリエステル系繊維としては、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を挙げることができる。本発明においてはポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリアミド系繊維としては、ナイロン6やナイロン6 6を挙げることができる。
アクリル系繊維としては、ポリアクリロニトリルを挙げることができる。
(再生繊維)
再生繊維としては、再生セルロース繊維、ペットボトルを再生した繊維等が挙げられ、再生セルロース繊維、ペットボトルを再生した繊維が好ましく、再生セルロース繊維であることが好ましい。
再生繊維は環境循環素材であり、環境適応性の点で優れる。
再生セルロース繊維は、天然パルプやコットンリンターなどのセルロース系天然繊維を一度銅アンモニア溶液やN−メチルモルホリンーN−オキシド溶液やアルカリと二硫化炭素などの溶媒に溶解した後、湿式紡糸をして再配列された再生繊維である。一度溶解し、変性安定化した後、工業的に紡糸されているので、均一な繊維径や繊維長を有して、品質が大変安定化しており、材料に関する信頼度が高いものである。再生繊維の重合度は150〜300程度で、結節強度が1.0〜1.3程度である。
再生セルロース繊維としては、例えばレーヨン、キュプラ、ポリノジック、リヨセル、アセテート繊維などを挙げることができ、レーヨン、ポリノジック、アセテート繊維から選択される少なくとも1つであることが好ましく、レーヨン、アセテート繊維であることがより好ましい。
ここで、本発明に用いる有機繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡により測定することができる。
4.成形材料、及び成形体
本発明の成形材料は、上記で説明したセルロース誘導体と有機繊維とを含有しており、任意に相溶化剤を含有する。また必要に応じてその他の添加剤を含有することができる。
本発明の成形材料に含まれる成分の含有割合は、特に限定されない。成形材料中、好ましくはセルロース誘導体を50〜99.9質量%、より好ましくは60〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%含有する。
有機繊維の含有量は、耐衝撃性、成形加工性及び寸法安定性の向上の観点から、成形材料中、1〜50質量%が好ましく、更に好ましくは1〜30質量%である。0.01質量%以上であれば有機繊維の添加の効果を得ることができ、30質量%以下であればセルロース誘導体の耐衝撃性、成形性、剛性、曲げ強度、耐熱性等の低下を抑えることができるため好ましい。
本発明の成形材料は、セルロース誘導体、及び有機繊維のほか、必要に応じて、酸化防止剤、有機繊維以外のフィラー(強化材)、難燃剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
5.酸化防止剤
本発明の成形材料は、更に酸化防止剤を含有することが好ましい。これによって、上記有機繊維の酸化を抑制できるため、セルロース誘導体への添加量が少量であっても十分な効果を発揮することができ。したがって、特定のセルロース誘導体が有する耐衝撃性、成形性、剛性、曲げ強度、耐熱性等の低下を抑え、寸法安定性を付与することができる。
本発明における酸化防止剤は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤を用いることができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1.6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル及び1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、次亜リン酸カルシウム、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジン)イソシアヌレート等のフェノール系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系化合物などが挙げられるが、中でも次亜リン酸カルシウムが好ましい。
アミン系酸化防止剤としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキザレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤の具体例としては、チオエーテル系、ジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、及びチオジプロピオンエステル系などのイオウを含む化合物を挙げることができる。これらの中でも、特にチオジプロピオンエステル系化合物の使用が好ましい。
本発明における酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。
本発明の成形材料が酸化防止剤を含有する場合、その含有量は限定的でないが、成形材料中、0.01〜2質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜0.5質量%である。0.01質量%以上であれば酸化防止剤の添加の効果を得ることができ、1質量%以下であればセルロース誘導体の耐衝撃性、成形性、剛性、曲げ強度、耐熱性等の低下を抑えることができるため好ましい。
本発明の成形材料は、有機繊維以外のフィラーを含有することにより、成形材料によって形成される成形体の機械的特性を強化することができる。
有機繊維以外のフィラーとしては、公知のものを使用できる。フィラーの形状は、繊維状、板状、粒状、粉末状等いずれでもよい。また、無機物でも有機物でもよい。
具体的には、無機フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の繊維状の無機フィラーや;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、カーボンブラック、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状や粒状の無機フィラーが挙げられる。
成形材料が有機繊維以外のフィラーを含有する場合、その含有量は限定的でないが、有機繊維以外のフィラーと有機繊維の合計が成形材料中、通常30質量%以下、好ましくは5〜20質量%とすればよい。
本発明の成形材料は、難燃剤を含有することができる。これによって、その燃焼速度の低下又は抑制といった難燃効果を向上させることができる。
難燃剤は、特に限定されず、常用のものを用いることができる。例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。これらの中でも、樹脂との複合時や成形加工時に熱分解してハロゲン化水素が発生して加工機械や金型を腐食させたり、作業環境を悪化させたりすることがなく、また、焼却廃棄時にハロゲンが気散したり、分解してダイオキシン類等の有害物質の発生等によって環境に悪影響を与える可能性が少ないことから、リン含有難燃剤及びケイ素含有難燃剤が好ましい。
リン含有難燃剤としては、特に限定されることはなく、常用のものを用いることができる。例えば、リン酸エステル、リン酸縮合エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物が挙げられる。
リン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどを挙げることができる。
リン酸縮合エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェート並びにこれらの縮合物などの芳香族リン酸縮合エステル等を挙げることができる。
また、リン酸、ポリリン酸と周期律表1族〜14族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン等が挙げられる。
また、前記以外にも、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)などの含ハロゲンリン酸エステル、また、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドを挙げることができる。
これらのリン含有難燃剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ素含有難燃剤としては、二次元又は三次元構造の有機ケイ素化合物、ポリジメチルシロキサン、又はポリジメチルシロキサンの側鎖又は末端のメチル基が、水素原子、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基で置換又は修飾されたもの、いわゆるシリコーンオイル、又は変性シリコーンオイルが挙げられる。
置換又は非置換の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基、又はトリフロロメチル基等が挙げられる。
これらのケイ素含有難燃剤は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記リン含有難燃剤又はケイ素含有難燃剤以外の難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物、スルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、フッ素系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛等の無機系難燃剤を用いることができる。これらの他の難燃剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の成形材料が難燃剤を含有する場合、その含有量は限定的でないが、成形材料中、通常30質量%以下、好ましくは2〜10質量%とすればよい。この範囲とすることにより、十分な難燃性向上効果を得ることができ、ペレットブロッキングの発生の抑制ができる。
本発明の成形材料は、前記したもの以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲で、成形性・難燃性等の各種特性をより一層改善する目的で他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、前記セルロース誘導体及び前記有機繊維以外のポリマー、可塑剤、安定剤(紫外線吸収剤など)、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーン)、帯電防止剤、難燃助剤、加工助剤、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。更に、染料や顔料を含む着色剤などを添加することもできる。
前記セルロース誘導体及び前記有機繊維以外のポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーのいずれも用い得るが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。セルロース誘導体及び有機繊維以外のポリマーの具体例としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー(エチレン−プロピレンブロックコポリマーなど)、ポリブテン−1及びポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びその他の芳香族ポリエステル等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン12等のポリアミド、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアセタール(ホモポリマー及び共重合体を含む)、ポリウレタン、芳香族及び脂肪族ポリケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性澱粉樹脂、ポリメタクリル酸メチルやメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ビニルエステル系樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系ポリマー、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミドなどを挙げることができる。
また、各種アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、ジエン系ゴム(例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合させたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエン又はイソプレンとの共重合体、ブチルゴム、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、その他ポリウレタン系やポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、あるいは各種の平均粒径を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体なども使用することができ、更にシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。
これらのポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の成形材料がセルロース誘導体及び前記有機繊維以外のポリマーを含有する場合、その含有量は、成形材料に対して30質量%以下が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
本発明の成形材料は、可塑剤を含有してもよい。これにより、難燃性及び成形性をより一層向上させることができる。可塑剤としては、ポリマーの成形に常用されるものを用いることができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジンなどの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等が挙げられる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等が挙げられる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール等が挙げられる。
本発明の成形材料が可塑剤を含有する場合、その含有量は、成形材料中通常5質量%以下であり、0.005〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%である。
本発明の成形体は、前記セルロース誘導体と前記有機繊維を含む成形材料を成形することにより得られる。より具体的には、前記セルロース誘導体と前記有機繊維、又は、前記セルロース誘導体と前記有機繊維及び必要に応じて各種添加剤等を含む成形材料を加熱し、各種の成形方法により成形する工程を含む製造方法によって得られる。
本発明の成形体の製造方法は、前記成形材料を加熱し、成形する工程を含む。
成形方法としては、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が挙げられる。
加熱温度は、通常160〜300℃であり、好ましくは180〜260℃である。
また、本発明の成形体は、成形体中の有機繊維が特定方向へ配向していることが好ましい。成形体中の有機繊維が特定方向へ配向していることにより寸法安定性に優れる。有機繊維の配向の程度は、X線回折による結晶面の方位角方向の回折強度分布より測定することができる。
成形体の射出成形方向を0°としたときに、含まれている有機繊維の結晶面(hkO)面に2θ角度を固定した状態で、方位角方向に0〜180°までの0.1°ステップで測定を行い、(1)式で配向度φを求めることができる。
この測定により配向度は0〜1の範囲で変化し、0が無配向、1が完全配向に対応する。
Figure 2011132449
(半値幅αは結晶面のピーク強度が半分になる時の角度)
有機繊維の、上記式により求められる、本発明の成形体の長手方向への配向度φが0.5以上であることが好ましく、0.6〜1であることがより好ましく、0.7〜1であることが更に好ましい。寸法安定性のためである。
本発明の成形体の用途は、とくに限定されるものではないが、例えば、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)の内装又は外装部品、自動車、機械部品、住宅・建築用材料等が挙げられる。これらの中でも、優れた耐熱性及び耐衝撃性を有しており、環境への負荷が小さい観点から、例えば、コピー機、プリンター、パソコン、テレビ等といった電気電子機器用の外装部品(特に筐体)として好適に使用することができる。
以下、本発明に係る実施例及び比較例及びこれらを用いた評価試験の結果を示し、本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<合成例1:アセトキシプロピルメチルアセチルセルロース(C−1)の合成>
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた5Lの三ツ口フラスコにヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)60g、N,N−ジメチルアセトアミド2100mLを量り取り、室温で攪拌した。反応系が透明になり完溶したことを確認した後、アセチルクロライド101mLをゆっくりと滴下し、系の温度を80℃〜90℃に昇温した。このまま3時間攪拌した後、反応系の温度を室温まで冷却した。反応溶液を水10Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量の水で3回洗浄を行った。得られた白色固体を100℃で6時間真空乾燥することにより目的のセルロース誘導体(C−1)(アセトキシプロピルメチルアセチルセルロース)を白色粉体として得た。
<合成例2、3、4:アセトキシエチルメチルアセチルセルロース(C−2)、メチルアセチルセルロース(C−3)、エチルアセチルセルロース(C−4)の合成>
合成例1におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)をヒドロキシエチルメチルセルロース(商品名マーポローズME−250T;松本油脂製)、メチルセルロース(商品名マーポローズM−4000:松本油脂製株式会社製)、エチルセルロース(商品名エトセル300CP:ダウケミカル製)に変更した以外は合成例1と同様にしてアセトキシエチルメチルアセチルセルロース(C−2)、メチルアセチルセルロース(C−3)、エチルアセチルセルロース(C−4)を得た。
<合成例5:メチルセルロース−2−エチルヘキサノエート(C−5)の合成>
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコにメチルセルロース(和光純薬製:メチル置換度1.8)80g、ピリジン1500mLを量り取り、室温で攪拌した。ここに水冷下、2−エチルヘキサノイルクロリド173mLをゆっくりと滴下し、更に60℃で6時間攪拌した。反応後、室温に戻し、氷冷下、メタノール200mLを加えてクエンチした。反応溶液を水12Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノール溶媒で3回洗浄を行った。得られた白色固体を100℃で6時間真空乾燥することによりメチルセルロース−2−エチルヘキサノエート(C−5)を得た。
<合成例6:バレロキシプロピルメチルバレロイルセルロース(C−6)の合成>
合成例5におけるメチルセルロース(和光純薬製:メチル置換度1.8)に変えて、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)、及び2−エチルヘキサノイルクロリドに変えてバレロイルクロライドを用いた以外、合成例5と同様にして、バレロキシプロピルブバレロイルセルロース(C−6)を得た。
<合成例7:バレロキシブチルメチルバレロイルセルロース(C−7)の合成>
合成例6におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)をヒドロキシブチルメチルセルロース(メトローズSM4000:信越化学製)を用いた以外、合成例6と同様にしてバレロキシブチルメチルバレロイルセルロース(C−7)を得た。
なお、以上で得られたセルロース誘導体が有する炭化水素基の種類及び置換度、アルキレンオキシ基の種類及びモル置換度、アシル基の種類及びアシル化度は、Cellulose Communication 6,73−79(1999)に記載の方法を利用して、H−NMRにより、観測及び決定した。なお、炭化水素基の置換度とはグルコース環ユニットに置換した炭化水素基のモル数であり、0以上3未満の値をとる。アルキレンオキシ基のモル置換度とは、グルコース環ユニットに置換したアルキレンオキシ基のモル数であり、0以上の値をとる。また、アシル化度とは、セルロースのグルコース環又はエーテル置換基に存在する水酸基をエステル化することによりアシル基で置換した程度を示し、0以上100以下で示す。
<セルロース誘導体の分子量測定>
得られたセルロース誘導体について、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、を測定した。これらの測定方法は以下の通りである。
[分子量及び分子量分布]
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いた。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めた。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用した。
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)及び置換度をまとめて表1に示す。
Figure 2011132449
[成形体の作製1]
セルロース誘導体(C−1〜C−7、H−1)、天然繊維1〜4、酸化防止剤を表2に示す配合割合(質量%)で混合し、成形材料を作製した。この成形材料を二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給しペレットを作製し、ついで得られたペレットを、射出成形機(ファナック(株)Roboshot S−2000i、自動射出成形機)に供給して、4×10×80mmの多目的試験片(衝撃試験片及び曲げ試験片)を成形した。
なお、表2において、天然繊維1〜4、フェノール系酸化防止剤は以下のものを示す。
・天然繊維1:(株)日本ヘンプ、ケナフ繊維、直径150μm、繊維長0.1mm
・天然繊維2:(株)日本ヘンプ、ケナフ繊維、直径150μm、繊維長0.5mm
・天然繊維3:(株)日本ヘンプ、ケナフ繊維、直径150μm、繊維長3mm
・天然繊維4:(株)日本ヘンプ、ケナフ繊維、直径150μm、繊維長5mm
・酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤、イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)
[成形体の作製2]
セルロース誘導体(C−1〜C−7、H−1)、再生繊維1、再生繊維2、酸化防止剤を表3に示す配合割合(質量%)で混合し、成形材料を作製した。この成形材料を二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給しペレットを作製し、ついで得られたペレットを、射出成形機(ファナック(株)Roboshot S−2000i、自動射出成形機)に供給して、4×10×80mmの多目的試験片(衝撃試験片及び曲げ試験片)を成形した。
なお、表3において、再生繊維1、再生繊維2、再生繊維3、フェノール系酸化防止剤は以下のものを示す。
・再生繊維1:ダイワボウレーヨン(株) 乾式不織布用原綿 ドライショートカットタイプをレッチャ製解繊機によって平均繊維長800μmにカットしたもの。
・再生繊維2:ダイワボウレーヨン(株) 乾式不織布用原綿 ドライショートカットタイプをレッチャ製解繊機によって平均繊維長80μmにカットしたもの。
・再生繊維3:ダイワボウレーヨン(株) 乾式不織布用原綿 ドライショートカットタイプを平均繊維長5μmにカットしたもの。
・酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤、イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)
[成形体の作製3]
セルロース誘導体(C−1〜C−7、H−1)合成繊維1、合成繊維2、酸化防止剤を表4に示す配合割合(質量%)で混合し、成形材料を作製した。この成形材料を二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給しペレットを作製し、ついで得られたペレットを、射出成形機(ファナック(株)Roboshot S−2000i、自動射出成形機)に供給して、4×10×80mmの多目的試験片(衝撃試験片及び曲げ試験片)を成形した。
なお、表4において、合成繊維1、合成繊維2、フェノール系酸化防止剤は以下のものを示す。
・合成繊維1:PET繊維、自社作製品。IV=0.8のPETを280℃で溶融紡糸し、直径100μmの繊維を得た。
・合成繊維2:PP繊維 宇部日東化成 シムテックス NH−PP
・酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤、イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)
[評価]
得られた成形材料及び多目的試験片を用いて、以下の項目について評価した。評価結果等を表2〜4に示す。
(曲げ弾性率)
ISO178に準拠して、射出成形にて成形した試験片を23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調整した後、インストロン(東洋精機製、ストログラフV50)によって支点間距離64mm、試験速度2mm/minで曲げ弾性率を測定した。測定は3回測定の平均値である。
(曲げ強度)
ISO178に準拠して、射出成形にて成形した試験片を23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調整した後、インストロン(東洋精機製、ストログラフV50)によって支点間距離64mm、試験速度2mm/minで曲げ試験をおこない、試験中の最大応力を曲げ強度とした。測定は3回測定の平均値である。
(シャルピー衝撃強度)
ISO179に準拠して、射出成形にて成形した試験片に入射角45±0.5°、先端0.25±0.05mmのノッチを形成し、23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上静置した後、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)によってエッジワイズにて衝撃強度を測定した。測定は3回測定の平均値である。
(吸水による衝撃強度変化)
成形した試験片を23℃の蒸留水に24時間浸水させた。その後、水分を拭き取り、速やかにISO179に準拠して、射出成形にて成形した試験片に入射角45±0.5°、先端0.25±0.05mmのノッチを形成し、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)によってエッジワイズにて衝撃強度を測定した。測定は3回測定の平均値である。
○:吸水により衝撃強度が変化したもの
△:吸水により衝撃強度が向上したもの
×:吸水により衝撃強度が低下したもの
(熱変形温度(HDT))
ISO75に準拠して、試験片の中央に一定の曲げ荷重(1.8MPa)を加え(フラットワイズ方向)、等速度で昇温させ、中央部のひずみが0.34mmに達したときの温度(℃)を測定した。熱変形温度測定装置は、(株)東洋精機製作所製HDTテスタ6M−2を用いた。測定は3回測定の平均値である。
(繊維長)
光学顕微鏡を用いて測定した繊維長(mm)の平均値である。
(分散性評価)
分散性の指標として、光学顕微鏡(ニコン LV100)を用いて評価をした。ミクロトームで2μmに薄切し200倍で観察したときに、凝集物が観察される場合を×、1000倍で観察したときに、凝集物が観察される場合を△、凝集物が観察されない場合を○とした。
(配向度)
再生繊維の成形材料中での配列の程度を評価した。測定装置として(株)リガク製 自動X線回折装置 RINT−2500を用いた。この装置に広角X線回折用繊維試料台を取り付け、成形体の(hkO)面に2θ角度を固定した状態で、射出成形方向を0°としたときに方位角方向に0〜180°までの0.1°ステップで測定を行い、(1)式で配向度φを求めた。
Figure 2011132449
α:ピーク半値幅
この測定により配向度は0〜1の範囲で変化し、0が無配向、1が完全配向に対応する。配向度が0.5以上を○、0.3〜0.5を△、0.3未満を×として、表2〜4に記載した。
(寸法安定性評価)
JIS K 7209に準拠して、試験片を50℃で24時間乾燥させた後、重量測定をおこない、23℃の恒温水槽に試料を24時間浸漬し、含水以外の水分を取り除き、浸漬前後の寸法変化(長さ、幅、厚み)を測定した。長さの寸法変化率(%)は{(浸漬後の長さ/浸漬前の長さ−1)×100}、幅の寸法変化率(%)は{(浸漬後の幅/浸漬前の幅−1)×100}、厚みの寸法変化率(%)は{(浸漬後の厚み/浸漬前の厚み−1)×100}で求めた。今回は長さ方向の寸法変化率を寸法安定性として、<0.3%を○、0.3〜0.5%を△、>0.5%を×として表2〜4に示した。
(成形性)
成形性評価は、射出成形機での成形適性を示しており、成形搬送性及び射出性ともに優れている成形材料を○、いずれか一方に課題がある成形材料を△、両方に課題がある成形材料を×とした。評価結果を表2〜4に示す。
Figure 2011132449
Figure 2011132449
Figure 2011132449
表2〜4から明らかなように、特定のセルロース誘導体に有機繊維を添加した成形材料からなる試験片は、比較例の成形材料からなる試験片と比較すると、本発明の成形材料からなる試験片は高い剛性(曲げ弾性率)、良好な曲げ強度、及び高い耐熱性(熱変形温度)といった性能と、更に良好な耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)、優れた成形加工性、及び寸法安定性が示された。
以上の結果から、本発明の要件を満たすことにより良好な物性バランスを有しつつ、成形性及び寸法安定性に優れた成形材料を実現できることが明らかである。

Claims (23)

  1. セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
    下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
    下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体と、
    有機繊維とを含有する成形材料。
    A)炭化水素基:−R
    B)アシル基:−CO−R(Rは炭化水素基を表す。)
  2. 前記セルロース誘導体が、更に、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が下記C)で置換された基を少なくとも1つ含む、請求項1に記載の成形材料。
    C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基(RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2または3のアルキレン基を表す。)
  3. 前記C)アルキレンオキシ基とアシル基とを含む基が、下記一般式(3)で表される構造を含む基である、請求項1又は2に記載の成形材料。
    Figure 2011132449
    (式中、RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2又は3のアルキレン基を表す。nは1以上の整数を表す。)
  4. 前記Rが炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の成形材料。
  5. 前記Rがメチル基又はエチル基である、請求項1〜4のいずれかに記載の成形材料。
  6. 前記R及びRC1が、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基である、請求項1〜5のいずれかに記載の成形材料。
  7. 前記R及びRC1が、それぞれ独立に、メチル基、エチル基又はプロピル基である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形材料。
  8. 前記Rが、炭素数3〜10の分岐構造を有する炭化水素基である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形材料。
  9. 前記アルキレンオキシ基が下記式(1)又は(2)で表される基である、請求項2〜8のいずれかに記載の成形材料。
    Figure 2011132449
  10. 前記セルロース誘導体が、カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さない、請求項1〜9のいずれかに記載の成形材料。
  11. 前記セルロース誘導体が水に不溶である、請求項1〜10のいずれかに記載の成形材料。
  12. 前記有機繊維の平均繊維長が100μm〜30mmである、請求項1〜11のいずれかに記載の成形材料。
  13. 前記有機繊維の平均繊維長が0.5〜30mm、かつ平均繊維径が5〜500μmである、請求項1〜11のいずれかに記載の成形材料。
  14. 前記有機繊維が、天然繊維、合成ポリマー繊維、及び再生繊維から選択される少なくとも1つである、請求項1〜13のいずれかに記載の成形材料。
  15. 前記天然繊維がケナフ、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻、インド麻)、サイザル麻、マニラ麻、絹、及びウールから選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の成形材料。
  16. 前記合成ポリマー繊維がポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維から選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の成形材料。
  17. 前記再生繊維が再生セルロース繊維、又はペットボトルを再生した繊維である請求項14に記載の成形材料。
  18. 前記再生セルロール繊維がレーヨン、キュプラ、ポリノジック、リヨセル、及びアセテート繊維から選択される少なくとも1つである、請求項17のいずれかに記載の成形材料。
  19. 前記有機繊維の含有量が成形材料中1〜50質量%である、請求項1〜18のいずれかに記載の成形材料。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載のセルロース誘導体と、有機繊維とを含有する成形材料を加熱成形して得られる成形体。
  21. 前記有機繊維の、下記式により求められる、前記成形体の長手方向への配向度φが0.5以上である請求項20に記載の成形体。
    Figure 2011132449
    (αはX線回折により求めた成形体中の有機繊維のピーク半値幅を表す。)
  22. 請求項1〜19のいずれかに記載の成形材料を加熱し、成形する工程を含む、成形体の製造方法。
  23. 請求項20又は21に記載の成形体から構成される電気電子機器用筐体。
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