JP4758007B2 - 制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物に関し、詳しくは、押出成形や射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などによって溶融成形してなる成形材料の分野に広く使用でき、特に電子電気部品包装、運搬関係の用途をはじめとして、高度な制電処理が必要な用途に好適であり、かつ生分解性を有する、制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石油原料から合成される合成樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドなどに代表され、生活必需品から工業製品に到るまで広く用いられている。これら合成樹脂の利便性、経済性は、我々の生活を大きく支えるに至り、合成樹脂は、まさに石油化学産業の基盤となっている。
そのため、国内で生産される合成樹脂の生産量は、年間約1,500万トンに達し、その約1/3に及ぶ莫大な量が廃棄されており、焼却、埋め立てによる廃棄物処理はもはや限界に達している。近年、資源の回収、リサイクルなどの動きが活発化しており、2000年より施行された容器包装リサイクル法において、新たに合成樹脂が加えられることにより、合成樹脂の強力かつ効率的な回収と再利用が必要とされている。しかしながら、毎年生み出されるその莫大な合成樹脂生産量から見て、回収困難な用途に使用されるなど、リサイクルの難しい状況が残り、充分に回収、再利用ができるとは思われない。
また、自然環境中に散逸する合成樹脂製品も年々顕著になっており、野生動物の保護の障害となり、生活環境破壊を招くなど大きな社会問題になっている。
【0003】
このような環境をめぐる問題は、年々クローズアップされており、環境省をはじめとする国や各自治体は本格的に対策を講ずる必要性に迫られている。
合成樹脂の市場では、自然環境における分解性を求める動きが活発化しており、屋外に投棄されても、やがては分解資化する、生分解性樹脂が開発されている。また、一方、合成樹脂の焼却時に発生する有毒ガスなどへの対策から、より天然に近い素材が求められており、焼却対策の一環からも生分解性樹脂の要求が高まってきている。
【0004】
生分解性樹脂は、土壌中や海水中、河川、湖沼中の微生物によって分解できる樹脂であり、自然環境に直接接触する需要以外にも、合成樹脂廃棄物をリサイクルすることが効率的に悪く、コストもかかる用途などへの展開が急速に広がりつつある。散逸ゴミ対策などに関しても、生分解性樹脂は、ますますその価値が認識されるに到っており、今後利用が一段と広がることが期待されている。
現在、各地でコマーシャルコンポストの建設が進み、一方では消費者個々に向けた家庭用コンポストの販売も始まるなど、各地で生分解性材料の展開が期待されている。また、経済産業省にも実用化検討委員会が発足し、生分解性材料の推進に向けた動きが活発化している。さらに、世界的に見ても、年産1億トン規模の合成樹脂需要のかなりの部分が生分解性樹脂で占められる巨大市場になると予測されており、21世紀はまさに本格的な生分解性市場の広がりが予測される。
【0005】
現在実用化されている生分解性材料、環境低負荷型材料としては、脂肪族ポリエステル、変性澱粉、ポリ乳酸、およびこれらの樹脂をマトリックスとした各種複合素材、ポリマーアロイなどが知られている。また、これらの材料の中でも、ポリ乳酸はその原材料であるモノマーは石油資源に依存せず、またバイオ技術の発展から、効率的に生産されるようになり、さらにポリマーの大量生産によるコスト低減も見こまれており、特に注目されている材料である。
【0006】
一方、電子電気材料の包装には、いわゆる制電処理を施された包装材料が必要とされるが、近年半導体の大容量化や精密部品の静電気破壊を防止するため、より制電能力に優れた素材が求められている。
これまで、合成樹脂製包装材料においては、界面活性剤などの添加による複合化によって、制電対策が施されている。しかし、界面活性剤などによる制電性は環境湿度に依存するため、制電性能にバラツキが生じたり、制電性の持続性に問題がある。さらには、制電処理を施された合成樹脂製包装材料は、包装と輸送機能を果たした後は、多くは廃棄ゴミとなっている。近年、容器包装リサイクル法案が浸透し、リサイクルシステムが強化されつつあるものの、包装材料の多くは依然回収が困難であり、焼却や埋め立てといった方法によって処分されている。このような中で、高度な制電性機能を必要とする包装材料に対しても環境に配慮した素材が求められるようになっており、さまざまな手法によって対策が検討されている。
【0007】
生分解性樹脂の中には、親水性のものが多く、例えば、酢酸セルロース、ポリビニルアルコールなどがあり、機能的には制電特性を有する。しかし、その制電性は環境湿度に依存するため、制電性能にバラツキが生じることがある。また、カーボンブラックなどの導電性充填材を添加することによって、制電機能を付与し安定化させる方法も提案されている。しかし、導電性充填材を使用する場合、色調が黒色に限定されるため、包装材料として使用した場合、内部の製品の識別が困難であったり、成形加工が難しく、成形状況によって抵抗値が変動するなどの問題がある。さらに、一般的に、生分解性樹脂にカーボンブラックを添加すると、生分解機能が低下するという事例も報告されている。
【0008】
生分解性材料を用いた、制電化の事例としては、特開平9−263690号公報、特開平11−039945号公報などに開示されている。しかしながら、これら制電化においては、導電性充填材を比較的多量に混合する必要があるため、材料自体が硬く脆くなる傾向になること、製品の色調が黒色に限定されるため、包装材料として使用した場合、内部の識別が不可能であること、成形条件によって特に延伸加工時の物理的作用によって制電性が失われたりすること、などの問題点を有している。
また、生分解性樹脂材料に界面活性剤を添加して制電性を付与する場合、効果の持続性、発現時間のバラツキ、環境湿度依存性などの耐久性、使用環境の問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のごとき従来技術の問題点を解決し、生分解性樹脂の本来の機能を損うことなく、透明、もしくは着色化して使用することができ、かつ制電性を安定的に付与することを可能にする、環境に配慮し、制電用途に好適な、制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリ乳酸系樹脂に対し、可塑剤を添加することにより、ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度を30℃以下に降下させ、特定の金属塩類を少量添加することによって、表面抵抗値、体積抵抗値を低減化することができ、このことによって制電機能の安定化が図れ、かつ異形押出し、射出成形、ブロー成形などのあらゆる成形方法に対応できることを見出し本発明を完成するに到った。本発明は、ポリ乳酸系樹脂(a)100重量部に対し、可塑剤(b)8〜60重量部、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオンとイオン解離可能なアニオンとによって構成されている金属塩類(c)0.01〜5重量部を含有することを特徴とする制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物に関する。上記可塑剤(b)は、クエン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステルおよび−{O(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3 基である有機化合物の群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0011】
上記制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物は、溶融混練して得られるペレット状のものでもよい。
また、ドライブレンドして得られるパウダー状のものでもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に記述する。
まず、本発明に使用される(a)ポリ乳酸系樹脂は、乳酸の単独重合体、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸またはラクトンとの共重合体、あるいはこれらの組成物である。乳酸としては、L-乳酸、D-乳酸、またはそれらの混合物であってもよい。他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などが代表的に挙げられ、またこれらヒドロキシカルボン酸のエステル化物などの誘導体であってもよい。ラクトンとしてはカプロラクトンなどが挙げられる。
このポリ乳酸系樹脂の製造は、上記したモノマーおよび必要に応じてコモノマーを共存させて、縮合重合法、開環重合法などの方法によって重合し、行うことができる。また、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸からなる脂肪族ポリエステルとの共重合体でもよい。高分子量体を得る目的で、重合時に少量のジイソシアネート、ジエポキシ、酸無水物、酸クロライド化合物などの鎖延長剤を添加、併存させてもよい。
【0013】
本発明における可塑剤(b)は、分子内に2個以上のエステル基および/または2個以上のエーテル基を有するものが好ましい。例えば、アセチルトリブチルクエン酸などのクエン酸エステル、トリアセチン、グリセリンジカプリルモノアセチルなどのグリセリン脂肪酸エステル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチルなどの脂肪酸エステルなどのほか、トリエチレングリコールジアセチルCH3CO(OCH2CH2)3OCOCH3やアジピン酸ジブトキシエトキシエチルR−CO(CH2)4CO−R,R:−(OCH2CH2)2OC4H9等の−{O(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3 基である有機化合物、その他エーテル基エステル基を分子内に有する可塑剤が挙げられる。これらの可塑剤を単独あるいは2種類以上の可塑剤を組み合わせて用いることが出来る。好ましくは、液状の可塑剤である。
【0014】
これらの可塑剤の内、可塑化効率が高いクエン酸エステルやグリセリン脂肪酸エステル可塑剤が好ましい。一方、工業的には、金属塩類(c)を可塑剤(b)に溶解させて、ペレットコンパウンド、またはパウダーコンパウンドを製造する方法が効率的であり、可塑剤(b)には、金属塩類(c)を溶解させる必要がある。クエン酸エステルやグリセリン脂肪酸エステル可塑剤は金属塩類(c)を溶解させ得るが、(c)の添加量が多い場合などは(c)の溶解能力の特に高いアジピン酸ジブトキシエトキシエチルやトリエチレングリコールジアセチルなどのエーテル基を有する可塑剤を併用することも好ましい方法である。
【0015】
本発明における可塑剤(b)成分の配合量は、(a)成分の配合量を100重量部とすると、8〜60重量部、好ましくは10〜40重量部である。8重量部未満であると、制電性の効果が得られなく、一方、60重量部を超えると物理特性が著しく低下する問題が生じる。
【0016】
本発明における金属塩類(c)のカチオンであるアルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、例えば、Li,Na,K,Mg,Caなどが挙げられる。カチオンとしては、イオン半径の小さいLi+,Na+,K+が好ましく、特に好ましくは、リチウムLi+である。
また、本発明の金属塩類の構成要素であるイオン解離可能なアニオンとしては、例えば、Cl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO2)2N-,(CF3SO2)3C-などが挙げられる。好ましくは、ClO4 -,CF3SO3 -,(CF3SO2)2N-,(CF3SO2)3C-である。
【0017】
上記カチオンおよびアニオンによって構成されている金属塩類は数多くあるが、中でも、過塩素酸リチウムLiClO4,過塩素酸ナトリウムNaClO4,過塩素酸マグネシウムMg(ClO4)2,過塩素酸カリウムKClO4,トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムK・N(CF3SO2)2,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO2)2,トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF3SO2)3,トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO2)3が好ましい。中でも、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムおよびトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムがさらに好ましい。本発明の組成物は、これらの金属塩類を少なくとも1種含有する。
【0018】
(c)金属塩類の配合量は、(a)成分合計100重量部に対し、0.01〜5.0重量部、好ましくは0.01〜3.0重量部である。0.01重量部未満であると、充分な制電効果が得られない。一方、5.0重量部を超えても制電効果はほとんど向上せず、逆に材料劣化などを招く。
【0019】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、任意に、本発明の組成物へ他の高分子材料を含める有機、無機充填物質を添加しても構わない。本発明の組成物は、特に生分解性を特徴とするものであるため、任意に添加される高分子材料、有機添加剤は生分解性特性を有するか自然界に対し無害なものが好ましい。有機物質系滑剤、カルシウムなどの金属塩類安定剤、グリコール系、脂肪酸系のワックス、石油系ワックスなども添加できる。無機充填材としては、天然鉱石由来の炭酸カルシウム、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、シリカ、などのほか硫酸バリウム、金属粉などの特殊な充填材も用いることができる。無機の充填材は、一般的に無害なものがほとんどであり、目的に応じ適宜添加することが可能である。
上記充填材のほか、天然有機物系充填材として、精製パルプ、澱粉、木粉、籾殻などを目的に応じブレンドすることも可能である。
【0020】
本発明の樹脂組成物に使用される着色剤は、合成樹脂の着色剤として使用されるものであれば全て使用可能であるが、生分解を目的とした用途には、生分解性の着色剤、または、分解した後着色剤だけが残ったとき毒性の低いものが好ましい。
特に好ましい着色剤としては、食用色素や、無機顔料があげられる。食用色素としては、食用赤色2号、同3号、同40号、食用黄色4号、同5号、食用緑色3号、食用青色1号、同2号などのアルミニウムレーキ顔料などが使用できる。また、無機顔料としては、酸化チタン、べんがら、群青などが使用できる。
これらの着色剤は、1種類でも良いが、通常2種類以上を組合わせて、目的とする色調に調色することが出来る。
これらの着色剤を使用することにより、各色の成形品が得られ、成形品の識別が容易である。
【0021】
本発明の組成物は、予備混合し、溶融混練して、通常の2次加工原料形態であるペレット状コンパウンドとして使用することができる。ペレット加工することによって、各種成分を均一に予備分散ならしめ、高分子特性としての安定性を得ることができる。
ペレット状コンパウンドの加工において用いられる予備混合機としては、予備分散、分配、拡散混合を目的とするブレンダーが用いられる。ブレンダーの代表例としては、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー(スーパーミキサー)、タンブラーミキサー、タンブルミキサー、エアーブレンダーなどが挙げられる。これらの予備混合機は、各配合物の形態や拡散レベル、および、溶融混練機に応じて選定される。また、予備混合機を用いず、各配合物をそれぞれ異なるブラベンダーなどの定量切出機や定量液体添加装置を用いて、溶融混練機に投入してもよい。
【0022】
溶融混練機としては、一般的には単軸、二軸押出機、バンバリー式、ロール式などが挙げられる。これらも、組成物の形態や目的、生産性に応じて選定し、溶融混練することにより、ペレット状の原料を製造することが可能である。
また、本発明の組成物は、配合物をドライブレンドして得られるパウダー状としても使用できる。上記ペレット状コンパウンドの加工において用いられる予備混合機を用いて、ドライブレンドしてパウダー状の混合物の原料を製造することも可能である。
【0023】
本発明の組成物は、あらゆる成形方法に対応でき、各成形機で溶融され、異形押出を含む押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、エンボス成形など各種成形機による成形加工が可能である。
上記射出成形、押出成形などの成形機は、通常使用される一般的な仕様のものが採用できる。
例えば、射出成形の場合、一般的な射出成形機を使用することが可能である。一般的に、ペレット状コンパウンドを用いると、成形品の仕上りが良好であり、物理的性能も安定する。
このように、本発明の組成物は、用途に応じて成形方法を選択することができる。
【0024】
いずれの成形加工においても、原料の吸湿には注意が必要であり、予備乾燥と成形中の吸湿対策が重要である。乾燥が不充分であると、溶融体が発泡し成形品の外観、物理特性の低下を招く。
成形前の乾燥は、熱風式、真空バキューム式いずれかの方法によって予備乾燥し、かつ成形中は、ホッパドライヤーなどによって、吸湿を防止することが望ましい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
【0026】
試料作成方法
(a)ポリ乳酸系樹脂として、(株)島津製作所製の(a−1)LACTY9400(JIS K−7210、MFR 5g/10min、190℃、2,160g荷重)を用いた。
(b)可塑剤として、(b−1)グリセリンモノカプリルジアセチル〔理研ビタミン(株)製、リケマールPL009〕、および(b−2)アジピン酸ジブトキシエトキシエチル〔三光化学工業(株)製、サンコノール0862〕を用いた。
(c)金属塩として、(c−1)Li・ClO4、および(c−2)Li・N(CF3SO2)2を用いた。
【0027】
成形品(試験片)の作成方法
<射出成形加工>
射出成形は、型締め圧力80tの射出成形機を用い、シリンダー設定温度100〜170℃とし、金型設定温度30℃にて成形を行った。
<押出成形加工>
押出成形は、20mm単軸押出機を用い、シリンダー設定温度100〜170℃、テープ状ダイスを用いて、スクリュー回転10rpmで押し出した。
【0028】
制電性の評価方法
三菱化学(株)製、機種名ハイレスタを用い、定電圧法により、印加電圧500VでASTM D257に従って測定を行った。試験片としては、6×6×0.3cmの射出成形プレートを用いて、成形直後、環境温度25℃±2℃、相対湿度20%以下に保たれたデシケータ中に24時間放置し、表面固有抵抗値と体積抵抗値を測定した(調湿前)。その後、環境温度25℃±2℃、相対湿度50%に保ち24時間放置したサンプル(24hr後)について同様の測定を行った。
【0029】
透明性の評価
厚さ3mmの押出成形品を用いて、透明性の評価を行った。評価基準は、下記のとおりである。
透明:厚さ3mmの押出成形品を3枚重ね、その下に置いた新聞紙の記事が明確に読み取れる場合
非透明:厚さ3mmの押出成形品を3枚重ね、その下に置いた新聞紙の記事を読み取ることが困難である場合
【0030】
実施例1〜4
(a)〜(c)成分を、それぞれ表1記載の配合処方に従い配合し、タンブラーミキサーを用いて混合した。なお、金属塩(c)は、あらかじめ可塑剤(b)に溶解させて用いた。
溶融混練機としては、スクリュー径20mmの異方向2軸押出機を用い、シリンダー温度100〜170℃に設定し、溶融混練を行った。溶融した樹脂を紐状に押し出し、水冷によって冷却した後、ペレタイザーに送り、ペレットを作製した。得られたペレットを用い、射出成形加工、押出成形加工を行い、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
【0031】
比較例1〜4
(a)〜(c)成分を、それぞれ表2記載の配合処方に従い配合し、実施例1と同様にペレットを作製し、制電性評価を実施したが、効果は得られなかった。結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
本発明の実施例1〜4の射出成形プレートにおける制電性評価は、すべて表面固有抵抗値が1×1011Ω/sq.以下、体積固有抵抗値が1×1010Ω・cm以下で制電性効果があり、透明性に優れたサンプルであった。
一方、比較例1〜4は、表面固有抵抗値が1×1012Ω/sq.以上、体積固有抵抗値が1×1012Ω・cm以上となり制電性効果は全く無かった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物は、押出成形や射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などによって溶融成形してなる成形材料の分野に広く使用でき、特に電子電気部品包装、運搬関係の用途をはじめとして、高度な制電処理が必要な用途に好適であり、かつ生分解性を有し、環境保護に有効な樹脂組成物である。
Claims (4)
- ポリ乳酸系樹脂(a)100重量部に対し、可塑剤(b)8〜60重量部、および過塩素酸リチウムLiClO 4 ,過塩素酸ナトリウムNaClO 4 ,過塩素酸マグネシウムMg(ClO 4 ) 2 ,過塩素酸カリウムKClO 4 ,トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF 3 SO 3 ),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF 3 SO 2 ) 2 ,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムK・N(CF 3 SO 2 ) 2 ,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF 3 SO 2 ) 2 ,トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C(CF 3 SO 2 ) 3 およびトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF 3 SO 2 ) 3 から選ばれた金属塩類の少なくとも1種(c)0.01〜5重量部を含有し、
前記可塑剤(b)が、クエン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステルおよび−{O(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基である有機化合物の群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物。 - 前記可塑剤(b)が、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、トリエチレングリコールジアセチル、グリセリンモノカプリルジアセチルまたはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物。
- 溶融混練して得られるペレット状の請求項1または2記載の制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物。
- ドライブレンドして得られるパウダー状の請求項1または2記載の制電性可塑化ポリ乳酸系樹脂組成物。
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