JP4841869B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリブチレンサクシネートの結晶化速度が向上した樹脂組成物および成形体に関する。
近年環境問題の高まりから、プラスチック製品が自然環境中に棄却された場合、経時的に分解・消失し、最終的に自然環境に悪影響を及ぼさないことが求められ始めている。従来のプラスチックは、自然環境中で長期にわたって安定であり、しかも嵩比重が小さいため、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なうといった問題点が指摘されていた。
そこで、今日注目を集めているのは、生分解性樹脂材料である。生分解性樹脂は、土壌中や水中で、加水分解や生分解により、徐々に崩壊・分解が進行し、最終的に微生物の作用により無害な分解物となることが知られている。また、コンポスト(堆肥化)処理により、容易に廃棄物処理ができることが知られている。
実用化され始めている生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、およびこれらのブレンド体等がある。
これらの生分解性プラスチックはそれぞれ固有の特徴を有し、これらに応じた用途展開が考えられるが、中でも、幅広い特性と汎用樹脂に近い加工性を有する脂肪族ポリエステルが広く使われ始めている。また、脂肪族ポリエステルの中でも、ポリブチレンサクシネートは、結晶化速度が速く高結晶性で、耐熱性に優れているため、フィルム、シート、および、射出成形分野においてポリプロピレンやポリスチレンの代替材料となる可能性を秘めている。
しかしながら、ポリブチレンサクシネートは結晶化速度が速いものの、通常の成形方法では結晶化が完了しきれない場合があり、成形後の収縮、および、使用時における収縮による寸法変化が懸念されるため、さらなる結晶化速度の向上と結晶性の向上が求められることがある。
特開平9−169893号公報には、ポリブチレンサクシネートの結晶化速度を向上させるために層状珪酸塩を配合する手法が開示されているが、かかる手法では結晶化速度の向上は認められるが結晶性が向上していないので、実用上問題を生じることがあった。
特開平9−169893号公報
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、更にポリブチレンサクシネートの結晶化速度を向上させ、かつ、結晶性を向上させることを可能にする樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
本発明の樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネートにフェノキシ樹脂を配合した混合物を主成分として含有する樹脂組成物であり、該フェノキシ樹脂の配合割合が該混合物中、35質量%以下であることを特徴とする。
本発明の成形体は、上記いずれかの樹脂組成物を用いてなることを特徴とする。また、前記成形体は、フィルム、シート、又は、射出成形体であることができる。
本発明によれば、フェノキシ樹脂を配合することにより、ポリブチレンサクシネートが本来有する優れた結晶化速度を更に向上させ、かつ、結晶性を向上させることができる樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明について説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート及びフェノキシ樹脂からなる混合物を主成分として含む。
本発明に用いられるポリブチレンサクシネートは、コハク酸と1,4−ブタンジオールとを重合して得られる。ポリブチレンサクシネートとしては、例えば三菱化学(株)製の「GSPla」シリーズ、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ」シリーズ等が商業的に入手可能なものとして挙げられる。
本発明に用いられるフェノキシ樹脂としては、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4′−ビスフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、および、2,6−ジヒドロキシナフタレン等の芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジヒドロキシ化合物のうちから選ばれる1種あるいは2種以上の化合物と、グリセリンおよびエピクロルヒドリンとを縮合することにより得られるポリヒドロキシポリエーテルなどが挙げられる。市販のフェノキシ樹脂の代表的なものとしてはジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(登録商標)E1256、E4250、E4275、InChem社製のPKHH、PKHC、PKHJ、PKHB、PKFE等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の配合量としては、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との混合物中に占めるフェノキシ樹脂の割合が35質量%以下であり、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。フェノキシ樹脂の配合割合が35質量%を上回る場合、フェノキシ樹脂によりポリブチレンサクシネートの結晶化が阻害されるため、結晶化速度、及び、結晶化度が著しく低下する。
ところで、例えば脂肪族ポリエステルでもポリブチレンテレフタレート(PBT)の場合には、ポリブチレンテレフタレートにフェノキシ樹脂を配合するとポリブチレンテレフタレートのガラス転移温度(Tg)が下がって結晶化度が下がってしまうという現象が生じた。しかしながら、本発明のようにポリブチレンサクシネートにフェノキシ樹脂を配合すると、ポリブチレンサクシネートのガラス転移温度(Tg)が上がるという逆の現象が生じることが分かった。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)にフェノキシ樹脂を配合してもガラス転移温度(Tg)の上昇は認められなかった。したがって他の脂肪族ポリエステル等ではフェノキシ樹脂を配合しても結晶化度の向上を達成することができなかったことがポリブチレンサクシネートでは驚くことに達成することができたのである。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、可塑剤等の添加剤を配合することができる。
次に、本発明の樹脂組成物を用いて成形体を形成する方法について説明する。
ポリブチレンサクシネート、フェノキシ樹脂、および、必要に応じて添加剤等の各原料を、同一の押出機あるいは射出成形機に投入して直接混練し、成形することにより成形体を形成することができる。あるいは、ドライブレンドした原料を、二軸押出機を用いてストランド形状に押出してペレットを作製しておき、このペレットを射出成形機、押出機等に入れて成形することによりフィルム、シート、射出成形体等の成形体を形成することができる。
いずれの方法を採用するにしても、ポリブチレンサクシネートの分子量低下を考慮する必要があるが、各原料を均一に混合させるためには後者を選択することが好ましい。例えば、ポリブチレンサクシネート、フェノキシ樹脂、及び、必要に応じて添加剤等を、十分に乾燥させて水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製する。なお、ポリブチレンサクシネート、フェノキシ樹脂、及び、添加剤等との混合割合によって混合物(混合樹脂)の粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。実際には160℃〜230℃の温度範囲が通常選択される。
上記方法によって作製されたペレットを十分に乾燥させて水分を除去した後、フィルム、シート、射出成形体等の成形体が形成される。フィルム、シート等の成形方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー法、インフレーション法等が採用され、シート、プレート等の成形方法としては、一般的なTダイキャスト法、プレス法等が採用される。
射出成形体の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を成形する場合に一般的に採用される射出成形法、ガスアシスト成形法、射出圧縮成形法等の射出成形法を採用することができる。また、その他目的に合わせて、上記の方法以外でもインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用することもできる。ただし、射出成形法はこれらに限定されるものではない。
用いられる射出成形装置は、一般的な射出成形機、ガスアシスト成形機、射出圧縮成形機等と、これらの成形機に用いられる成形用金型及び付帯機器、金型温度制御装置、原料乾燥装置等から構成される。成形条件は射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度が160℃〜230℃の範囲で成形することが好ましい。
本発明によれば、ポリブチレンサクシネートの結晶速度を更に向上させることができるので、通常の成形方法によって成形体が形成されても、結晶化が十分に完了した成形体を実現することができる。そのため、成形後の収縮、使用時における収縮による寸法変化を心配する必要がなく、寸法安定性に優れた成形体を得ることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、各実施例及び各比較例において得られたシートは以下に示す方法で測定を行い、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を得た。
結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)の測定:
日本工業規格JIS K7121に基づき、測定用サンプルとして10mg程度に切り出したものについてパーキンエルマー社製の示差走査熱量分析装置「DSC−7」を用いて以下の手順に従って測定を行った。
(1)まず、500℃/分の速度で30℃から200℃まで昇温した後、200℃で2分間保持した。
(2)次に、10℃/分の速度で200℃から30℃まで降温してサーモグラムを作製した。
(3)その後、10℃/分の速度で30℃から200℃まで昇温してサーモグラムを作製した。
上記(2)の降温過程において得られたサーモグラムより、結晶化温度(Tc)を読み取った。また、上記(3)の再昇温過程において得られたサーモグラムより、結晶融解熱量(ΔHm)を読み取った。
なお、結晶化温度(Tc)は結晶化速度の指標であり、Tcが高いほうが結晶化速度が速くなる。また、結晶融解熱量(ΔHm)は結晶化度の指標であり、結晶融解熱量(ΔHm)が高いほうが結晶化度が高くなる。本発明においてはポリブチレンサクシネートの結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)が、ポリブチレンサクシネートにフェノキシ樹脂を含有した混合物の結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)より低いことが重要である。特に、結晶化温度(Tc)が75℃以上であり、結晶融解熱量(ΔHm)が55J/g以上であることが好ましい。
(実施例1)
ポリブチレンサクシネートとして三菱化学(株)製のGSPla AZ91T(重量平均分子量16万)を用い、フェノキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(登録商標)E1256(ビスフェノールAタイプ)を用いた。GSPla AZ91Tと、E1256とを質量比で、99質量部:1質量部の割合で配合し、三菱重工(株)製の40mmφの単軸押出機を用いて200℃で混練した後、口金から押出し、次いで、45℃のキャスティングロールに接触させて急冷し、200μm厚のシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=95:5となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=90:10となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートの作製を行った。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=85:15となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートの作製を行った。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=80:20となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートの作製を行った。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、フェノキシ樹脂としてE1256の替わりにジャパンエポキシレジン社製のE4250(ビスフェノールA/ビスフェノールF=50/50タイプ)を用いて、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E4250=90:10となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、フェノキシ樹脂としてE1256の替わりにジャパンエポキシレジン社製のE4275(ビスフェノールA/ビスフェノールF=25/75タイプ)を用いて、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E4250=90:10となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=70:30となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=97:3となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表1に示す。
(比較例1)
フェノキシ樹脂を使用せずに、ポリブチレンサクシネートGSPla AZ91Tからなるシートを作製した。すなわち、ポリブチレンサクシネートGSPla AZ91Tを三菱重工(株)製の40mmφの単軸押出機を用いて200℃で混練した後、口金から押出し、次いで、45℃のキャスティングロールに接触させて急冷し、200μm厚のシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=60:40となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:E1256=40:60となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、実施例1と同様にして結晶化速度及び結晶化度の評価を行うための測定を行ったところ、結晶化温度(Tc)及び結晶化熱量(ΔHm)は共にサーモグラムに現れなかった。
(比較例4)
実施例1において、フェノキシ樹脂の替わりに日本タルク(株)製のミクロエースL1(タルク、平均粒径4.9μm)を用いて、ポリブチレンサクシネートとタルクとの配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:ミクロエースL1=90:10となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例5)
ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製のユニペットRT523C、IV=0.2)からなる200μm厚のシートを作製した。すなわち、ポリエチレンテレフタレート(ユニペットRT523C)を三菱重工(株)製の40mmφの単軸押出機を用いて200℃で混練した後、口金から押出し、次いで、45℃のキャスティングロールに接触させて急冷し、200μm厚のシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例6)
比較例5において、更にポリエチレンテレフタレート(ユニペットRT523C)にフェノキシ樹脂(E1256)を用い、質量比で、ユニペットRT523C:E1256=80:20となるように配合した以外は実施例1と同様にして200μm厚のシートを作製した。
得られたシートについて、実施例1と同様の測定等を行った。その結果を表2に示す。
(比較例7)
ポリ乳酸(Nature Woreks LLC社製のNature Works 4032D(L−乳酸/D−乳酸=98.5/1.5、重量平均分子量20万)からなるシートを作製した。すなわち、ポリ乳酸(Nature Works 4032D)を三菱重工(株)製の40mmφの単軸押出機を用いて200℃で混練した後、口金から押出し、次いで、45℃のキャスティングロールに接触させて急冷し、200μm厚のシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例8)
比較例7において、更にフェノキシ樹脂(E1256)を用い、質量比で、Nature Works 4032D:E1256=80:20となるように配合した以外は比較例7と同様にして200μm厚のシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表2に示す。なお、結晶化温度(Tc)はサーモグラムに現れなかった。
(比較例9)
実施例1において、フェノキシ樹脂の替わりに層状珪酸塩(コープケミカル社製のフッ素雲母系鉱物、ME100)を用いて、ポリブチレンサクシネートと層状珪酸塩との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:ME100=95:5となるように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、結晶化温度(Tc)及び結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 0004841869
Figure 0004841869
表2の比較例1はポリブチレンサクシネートからなるシートであり、Tcが72℃、ΔHmが54J/gであるので、この数値と比較しつつ本発明の効果を考察する。表1から明らかなように、実施例1〜9の本発明の樹脂組成物からなる射出成形体(シート)のTcは比較例1のTc=72℃より向上しており、しかもTcが75℃以上であり、また、実施例1〜9の本発明の樹脂組成物からなるシートの結晶化熱量(ΔHm)は比較例1のΔHm=54J/gより向上しており、しかもΔHmが55J/g以上であることが分かる。すなわち、ポリブチレンサクシネートにフェノキシ樹脂を配合することによってTcが75℃以上、ΔHmが55J/以上のより好ましいレベルの結果がともに得られ、結晶化速度が向上し、かつ、結晶化が十分に完了しているものであることが分かった。
一方、表2から明らかなように比較例2〜3の樹脂組成物からなるシートはポリブチレンサクシネートに配合したフェノキシ樹脂の配合割合が多すぎるので、このTc及びΔHmは両方とも比較例1のTc=72℃及びΔHm=54J/gより低下しており、結晶化速度及び結晶化度ともに劣ったものであることが分かった。また、フェノキシ樹脂の替わりにタルクを配合した比較例4の樹脂組成物からなるシートは、Tcは1℃向上したものの十分な向上とは言えず、ΔHmの向上は認められず、結晶化が十分に完了したものではなかった。比較例5、6の樹脂組成物からなるシートは、ポリブチレンサクシネートの替わりにポリエチレンテレフタレートを用いたシートであり、PETにフェノキシ樹脂を配合した比較例6のシートはフェノキシ樹脂を配合していない比較例5のシートと比較してみると、結晶化温度(Tc)の向上は認められず、かつ、ΔHmは低下していることが分かった。また、比較例7、8はポリブチレンサクシネートの替わりにポリ乳酸を用いたシートであり、ポリ乳酸にフェノキシ樹脂を配合した比較例8のシートはフェノキシ樹脂を配合していない比較例7のシートと比較してみると、結晶化温度(Tc)はサーモグラムに現れず、かつ、ΔHmの向上は認められなかった。比較例9のシートはポリブチレンサクシネートに層状珪酸塩を配合したシートであり、層状珪酸塩を配合していない比較例1のシートと比較して、結晶化温度(Tc)は上昇しているが、結晶融解熱量(ΔHm)は減少している。すなわち、結晶化速度は増したが結晶性は低下していることが分かる。
すなわち、上記実施例及び比較例から明らかなように、ポリブチレンサクシネートにフェノキシ樹脂以外の、ポリ乳酸やPET等の核剤として知られているタルクを配合しても、あるいは、ポリ乳酸やPETにフェノキシ樹脂を配合しても、Tcの向上とΔHmの向上とが共に同時に認められることはなく、ポリブチレンサクシネートにフェノキシ樹脂を配合することによってはじめて本発明の優れた効果が達成されることが分かった。
以上説明したように、本発明によればポリブチレンサクシネートの結晶化速度を更に向上させることができ、かつ、結晶化を十分に完了させることができる樹脂組成物および成形体を得ることができる。そのため、成形後に収縮したり、使用時に収縮によって寸法変化が生じることのない成形体を実現することができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネートの有する生分解性、高結晶性、耐熱性等の特性を有しつつ、結晶化が十分に完了可能であるので、これらの特性が要求される用途に広く利用することができ、例えば、家電製品、自動車用製品等に利用することができる。また、これ以外にも、電気電子機器部品、日用品、食品容器、その他の一般的な射出成形品としても利用することができる。

Claims (3)

  1. ポリブチレンサクシネートにフェノキシ樹脂を配合した混合物を主成分として含有する樹脂組成物であり、該フェノキシ樹脂の配合割合が該混合物中、35質量%以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体。
  3. 前記成形体が、フィルム、シート、又は、射出成形体であることを特徴とする請求項2記載の成形体。


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