JP3829148B2 - 有機elデバイスの薄膜蒸着用マスクフレーム組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルマスク等のマスクに係り、より詳細には、有機ELデバイスを構成する薄膜を蒸着するための薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機ELデバイスは、能動発光型表示デバイスであって、視野角が広くてコントラストが優れているばかりではなく、応答速度が速いことから、次世代の表示デバイスとして注目されている。
【0003】
この種のデバイスは、発光層を形成する物質に応じて無機電子発光デバイスと有機ELデバイスとに大別できるが、有機ELデバイスは、無機電子発光デバイスに比べて輝度及び応答速度などの特性に優れており、カラーディスプレーが可能であるといった長所を有している。
【0004】
このような有機ELデバイスは、透明な絶縁基板上に所定のパターンをもって形成された第1電極と、該第1電極が形成された絶縁基板上に真空蒸着法により形成された有機発光層、及び該有機発光層の上面に該第1電極と直交する方向に形成されたカソード電極層としての第2電極を含む。
【0005】
このように構成された有機ELデバイスの製作において、第1電極はITO(Indium Tin Oxide)よりなるが、このITOは、フォトリソグラフィ法を用いて、塩化第2鉄を含むエッチング液によりウェットエッチングされてパターニングされる。しかし、カソード電極である第2電極についてもフォトリソグラフィ法を用いてエッチングすると、レジストを剥離する過程及び第2電極をエッチングする過程で水分が有機発光層と第2電極との境界面に入り込んで有機ELデバイスの性能及び寿命特性が著しく劣化してしまう。
【0006】
このような問題点を解決するために、有機発光層を構成する有機電子発光材料及び第2電極を構成する材料を蒸着する製造方法が提案されている。
【0007】
このように、蒸着方法を用いて有機ELデバイスを製作するためには、先ず、透明な絶縁基板にITOよりなる第1電極をフォトリソグラフィ法などにより成膜してストライプ状に形成する。次に、第1電極が形成された透明な絶縁基板に有機発光層を積層した後、第2電極の形成パターンに同じパターンを有するマスクを有機発光層上に密着させて該第2電極の形成材料を蒸着する。
【0008】
このような有機発光層またはカソード電極としての第2電極を蒸着するためのマスクと、このマスクを用いた有機ELデバイス及びその製造方法が大韓民国公開特許第2000−0060589号公報に開示されている。
【0009】
ここに開示された蒸着用のマスクは、薄板の本体に互いに所定距離離れたストライプ状のスロット群が形成された構造を有する。
【0010】
大韓民国公開特許第1998−0071583号公報に開示されたマスクは、金属薄板にスリット部及びブリッジ部がメッシュ状に形成されている。
【0011】
特開第2000−12238号公報に開示されているマスクは、電極マスク部と、一対の端子マスク部とを有している。電極マスク部は、カソード電極すなわち第2電極間の間隔に相当する幅を有し、互いに平行に設けられるストライプ状のマスキング部と、複数のマスキング部の両端を各々連結する連結部とを備える。
【0012】
これらの従来のマスクは、金属薄板にストライプ状の長孔が形成されてなるため、金属薄板の縁部がフレームにより引張り力が加えられるように支持されるとしても、マスクの自重により垂れ下がり、基板に密着しなくなるといった問題点がある。このような問題点は、基板が大きくなるほど激しくなる。さらに、カソードの蒸着工程時にマスクに加えられる熱によってマスクが膨脹し、スロットを形成するストリップの自重による垂れ下がりが一層激しくなるといった問題点がある。
【0013】
量産のためのマスクの一例を図1に示した。
【0014】
図1に示されたように、1枚の金属薄板11に有機ELデバイスを構成する単位基板を複数蒸着可能に単位マスキングパターン部12が備えられており、このマスクはフレーム20によって引張り力が加わるように固定される。
【0015】
このように、従来のマスク10は、量産のために相当に大きく製作されうるため、引張り力が一様に加えられるようにフレーム20に固定されるとしても、前述のような自重による問題は一層激しくなる。特に、大面積の金属薄板のマスクは、各単位マスキングパターン部12に形成されたスロット12aが設定された公差範囲内の幅を有するように、フレーム20に溶接されなければならない。この際に、マスクの垂れ下がりを防止するために各方向に引張り力を加えると、各マスキングパターン部12のスロット12aのピッチに歪みが発生するので、スロット12aの幅を設定された公差範囲に維持することができない。特に、マスク10の特定部位の単位マスキングパターン部12のスロットが変形すると、これと隣り合う全てのスロットにも力が加わって変形が生じるため、有機膜またはカソードの蒸着時に、マスク10のシャドウエフェクトのために設定されたパターンの公差範囲から外れてしまう。このような現象は、マスクに形成されたスロット12aの幅方向或いは短手方向(スロットの長手方向と直交する方向)で問題となる。
【0016】
特に、各単位マスキングパターン部12が歪むと、基板に形成されている単位電極パターンと各単位マスキングパターン部12との間の絶対位置ずれの累積値(以下、トータルピッチ)が大きくなり、基板の単位電極パターンに正確な赤色、青色及び緑色の有機膜が形成できないといった問題点がある。一方、大型の金属薄板に形成された単位マスキングパターン部12のピッチ及びトータルピッチの調整は極めて限られた部分でのみ可能であるため、マスク10を大型化するのには限界がある。
【0017】
そして、単一の原板マスク10の各サイドに引張り力を加えてフレーム20に固定する場合、図2に示されたように、マスク10からの引張り力によりフレームの両側の支持バー21が内側に湾曲し、フレームの上下部を構成する上部、下部支持バー22が各々上方向、下方向に凸状に湾曲するか、図3に示されたように、両側の支持バー21が各々外側に凸状に湾曲し、フレームの上下部を構成する上部、下部支持バー22が内側に湾曲する。
【0018】
マスク10に引張り力を一様に加えてフレーム20に溶接するとしても、単位マスクの変形及び基板に形成された単位電極パターン間の位置ずれは、前述のトータルピッチの調整を一層困難にする。
【0019】
マスクの熱膨張に起因するスロットを形成するストリップのクリープ変形を解決するためのマスクが、特開第2001−247961号公報に開示されている。
【0020】
同公報に開示されたマスクは、基板上に蒸着によるパターニング膜を形成する時に使われる蒸着用のマスクとして、多数の第1開口部を区切った隔壁を有するマスク部と、各々の開口面積が第1開口部のそれより狭い多数の第2開口部とを有し、多数の第2開口部がマスク部の各第1開口部上に配置された磁性材料を含むスクリーン部を備える。
【0021】
さらに、特開第2001−273979号公報には、磁性体マスクの構造が開示されており、特開第2001−254169号公報には、被蒸着物に密着されて蒸着部分をマスキングするためのマスクが開示されている。
【0022】
これらのマスクは、フレームに支持されたマスクが磁性体で構成され、被蒸着物に密着されうるが、マスクの自重及びマスクの引張りによるストリップ間のピッチの変化、マスクの移動及びハンドリング時のガラスとの高い密着力による有機膜の損傷、及びマスク及びフレームの内部応力によるトータルピッチの変化などの問題点がある。
【0023】
【特許文献1】
大韓民国公開特許第2000−0060589号公報
【特許文献2】
特開第2000−12238号公報
【特許文献3】
特開第2001−247961号公報
【特許文献4】
特開第2001−273979号公報
【特許文献5】
特開第2001−254169号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような問題を解決するために、本発明は、マスクの大型化による蒸着パターンの幅変化を低減することができ、単位マスク間のトータルピッチの調整が容易であるほか、マスク及びフレームの外力または内部応力によるトータルピッチの変化を最小化することのできる有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体を提供するところにその目的がある。
【0025】
本発明の他の目的は、多数の単位マスクが設置可能であり、しかも大面積化が可能な、有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体を提供するところにある。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、単位マスクの横方向ピッチを細かく調整することにより、マスクのトータルピッチの変化を根本的に解決することのできる有機EL素子の薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体を提供するところにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体は、開口部が形成されたフレームと、フレームの1つの開口部に対応する少なくとも2枚の単位マスクとを備えて構成される。ここで、少なくとも2枚の単位マスクは、前記フレームによって前記単位マスクの長手方向に引張り力が加えられるように両端部が前記フレームに固定され、かつ、長手方向に少なくとも1つの単位マスキングパターン部が形成されている。
【0028】
本発明において、前記単位マスクは、ストリップ状に形成され、互いに物理的に接触しないようにフレームに固定されることが望ましい。そして、前記フレームは、例えば、互いに平行に設けられた支持部材と、支持部材の両端部を連結する剛性部材とを備えて構成されうるが、これに限定されることはない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面に基づき、本発明の望ましい実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
本発明に係る有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体の一つの実施の形態を図4に示した。
【0031】
図面を参照すれば、本発明の望ましい実施の形態のマスクフレーム組立体は、フレーム30と、フレーム30によって引張り力が加えられるように両端部が支持されるマスク100とを含む。
【0032】
フレーム30は、互いに平行に配置された支持部31,32と、両支持部31,32の端部と連結されて矩形状の開口部33を形成する剛性部材34,35とを備える。フレーム30は、後述する単位マスク110に対して十分な引張り力を与えることができる剛性を有するように構成される。また、フレーム30は、被蒸着物とマスク100とを密着させる際に干渉を起こさない構造であれば、いかなる構造であってもよい。
【0033】
マスク100は、フレーム30によって引張り力が加えられるようにその両端部が支持される複数の単位マスク110で構成される。これらの単位マスク110は、図4及び図5に示されたように、ストリップ状の薄板で構成され、その長手方向(Y方向)に沿って所定間隔をおいて複数の単位マスキングパターン部111が配列される。ただし、単位マスク110は、ストリップ状に限定されず、他の形状を有してもよい。
【0034】
各単位マスキングパターン部111において、単位マスク110の薄板に互いに平行に設けられたストリップ111aによりロングスロット111bが形成される。ここで、ロングスロット111bは、フレーム30によって引張り力が加えられるように支持されることにより生じるポアソン収縮を考慮して、最終的に要求される長さ(フレームに固定された状態における長さ)より実質的に短く形成し、ロングスロット111bの幅は、最終的に要求される幅(フレームに固定された状態における幅)より実質的に広く形成することが望ましい。単位マスキングパターン部111は、上記の例に限定されず、種々のパターンの開口スロットを有するように構成されてもよい。
【0035】
前述のような単位マスク110の製作では、図6に示されたように、原板において単位マスク110間を連結している連結部120をハーフエッチングする。そして、各単位マスク100に形成された各々の単位マスキングパターン部111のパターン幅が設定された誤差範囲内である単位マスク110のみを選択的に切り出してフレーム30に取り付けることが望ましい。このような方法によると、フレームに固定される各単位マスク110の単位マスキングパターン部111は、設定された誤差範囲内のパターン幅を有するので、従来の単一金属薄板のマスクに比べて均一なパターン幅を有する。
【0036】
一方、フレーム30の各支持部31,32に単位マスク110を引張り力が加えられるように固定する際は、単位マスク110の両端部にY、X方向に引張り力を加えた状態で該両端部を支持部31,32に密着させた後に溶接する。ここで、単位マスク110は、主としてY方向に引張り力が加えられるので、ストリップよりなる単位マスキングパターン部111の歪みを最小化させることができる。
【0037】
前記溶接は、レーザーを用いた点溶接、ヤグレーザー溶接であることが望ましいが、本発明はこれに限定されず、種々の溶接法を適用しうる。ここで、単位マスク110間の間隔は、マスク100のトータルピッチの調整のために0.01〜1mmに維持することが望ましい。
【0038】
以下、図4、及び図7の蒸着装置に基づき、前述のように構成された有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体の使用方法を詳細に説明する。
【0039】
マスク100を用いて有機ELデバイスの薄膜、すなわち赤色、緑色、青色の有機膜またはカソード層などを蒸着するためには、真空チャンバ201の内部に設けられた有機膜蒸着容器202に対面する側にマスクフレーム組立体(30、100)を配置し、この上部に薄膜を形成すべき基板300を取り付ける。そして、その上部のマグネットユニット400を駆動して、フレーム30により支持されたマスク100を基板300に密着させる。
【0040】
この状態で、有機膜蒸着容器202を作動させることにより、これに付着している有機物またはカソード形成物質が蒸発して基板300に蒸着される。この過程で、マスク100は自重による垂下現象を起こし、さらには、基板300に密着した単位マスキングパターン部111のストリップ111bが熱変形するが、マスク100は複数の単位マスク110で構成されているので、過度の部分的変形及びパターンの歪みを防止することが可能になる。すなわち、単位マスク110は、ストリップ状にY方向に引張り力が加えられた状態でフレーム30に固定されているので、単位マスク100の各部位に引張り力がほぼ一様に加えられ、特定の部位に変形量が集中することを防止することができる。
【0041】
そして、前述のようにフレームに固定されるマスクは、従来のように単一の原板に複数の単位マスキングパターン部を形成することにより発生する微細パターンの形成による問題と、フレームへの固定時において横方向であるX方向に相対的に強い引張り力が加えられないことによって発生するパターン部の歪みの問題とを根本的に防止することができる。
【0042】
特に、多数の単位マスキングパターン部を有する単一の大型マスクの場合、内部の単位マスキングパターン部のトータルピッチは大型マスクの縁部から加えられる引張り力により調整しなければならないが、本発明のマスク100は複数の単位マスク110よりなっているので、基板上に形成されている単位電極パターン間の設定された絶対位置ずれの累積値であるトータルピッチの調整が容易である。特に、フレームに独立的に単位マスクが設置可能であるので、トータルピッチが単位マスク別に調整可能である。
【0043】
この明細書では、本発明を限定された実施の形態を中心として説明したが、本発明の範囲内であれば、様々な実施の形態が可能である。さらに、説明されてはいないが、均等な手段も本発明にそのまま適用可能である。よって、本発明の真の技術的な保護範囲は、特許請求の範囲によって定まるべきである。
【0044】
【発明の効果】
以上のような構成を有する本発明による有機ELデバイスの薄膜形成用のマスクフレーム組立体は、フレームに設けられるマスクを単位マスクに分割し、各々に引張り力が加えられるので、マスクのトータルピッチを例えば±2μm範囲内で調整可能であり、蒸着のための各パターンの幅公差は例えば±5μmの範囲内で調整可能であるばかりではなく、マスクの大型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体の分解斜視図である。
【図2】従来のマスクフレーム組立体の平面図である。
【図3】従来のマスクフレーム組立体の平面図である。
【図4】本発明の1つの実施形態の有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体の分解斜視図である。
【図5】単位マスクの抜粋斜視図である。
【図6】本発明の1つの実施形態の単位マスクを製造するための原板の平面図である。
【図7】基板に有機膜を蒸着するための蒸着装置を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
30 フレーム
31,32 支持部
33 開口部
34,35 鋼性部材
100 マスク
110 単位マスク
Claims (6)
- 開口部が形成されたフレームと、
前記フレームの1つの開口部に対応する少なくとも2枚の単位マスクとを備え、
前記少なくとも2枚の単位マスクは、前記フレームによって前記単位マスクの長手方向に引張り力が加えられるように前記フレームに両端部が固定され、かつ、長手方向に少なくとも1つの単位マスキングパターン部が形成されていることを特徴とする有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体。 - 前記単位マスクは、ストリップ状に形成され、互いに物理的に接触しないように前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の有機ELデバイスの薄膜蒸着用のマスクフレーム組立体。
- 前記フレームは、互いに平行に設けられた支持部材と、支持部材の両端部を連結する剛性部材とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の有機ELデバイスの薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
- 前記単位マスキングパターン部は、長手方向に沿って互いに平行に形成されたストリップにより区切られたロングスロットを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の有機ELデバイスの薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
- 前記単位マスキングパターン部は、所定パターンを有するように形成された開口を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の有機ELデバイスの薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
- 前記単位マスクのストリップの幅が、最終的に要求される幅より実質的に広く形成されていることを特徴とする請求項4に記載の有機ELデバイスの薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
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