JP4513194B2 - 有機電界発光装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機などの分野に利用可能な、電気エネルギーを光に変換できる有機電界発光装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合して発光する有機電界発光素子の研究が近年活発に行われている。この素子は、薄型、低駆動電圧下での高輝度発光、有機蛍光材料を選ぶことによる多色発光が特徴であり注目を集めている。最近では、有機電界発光素子をフラットパネルディスプレイなどの表示装置に応用する検討も盛んである。
【0003】
このような表示装置は一般的に多面取りと呼ばれる方法で製造される。これは、1枚の基板上に複数面の機能部分を同時形成し、その後、基板を切断することで1枚の基板から複数個の表示装置を同時に製造するものであり、低コスト化を可能とする量産方法である。
【0004】
ところで、有機電界発光装置の製造には有機薄膜層や電極などのパターニングが必要であるが、有機薄膜層は水分や有機溶媒、薬液に対する耐久性に乏しく、一般的にはパターニングにフォトリソグラフィ法に代表されるウエットプロセスが利用できない。したがって、蒸着法に代表されるドライプロセスによって有機電界発光装置を製造し、パターニングにはマスク蒸着法を利用することが多い。つまり、基板前方にシャドーマスクを配置して、シャドーマスク開口部のみに有機物あるいは電極材料を蒸着するものである。
【0005】
マスク蒸着法による多面取りを行うためには、図2の概念図に示すように、大きな基板1と同程度の大きさのシャドーマスク30を使用するので(図では理解を容易にするために基板とシャドーマスクとが離れて描かれているが、実際には両者が密着した状態で下方から蒸着物が飛来させて基板上に蒸着する)、熱膨張係数や伸びの大きい金属で作製されるシャドーマスクの寸法精度が悪化するという問題があった。この問題を解決するために、特開2000−113978号公報では、図3の概念図に示すように、n個のそれぞれ独立したシャドーマスク30を配置して同時にマスク蒸着を行う技術が開示されている。基板が大きくなってもシャドーマスクの大きさはそのままなので、シャドーマスクの寸法精度が悪化することがなく、大きな基板でも多面取りが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では大きな基板で小さな表示装置を大量に多面取りする場合に、シャドーマスクの数が多くなりすぎて、それぞれの相対位置合わせを行う手間が増大するという問題があった。また、シャドーマスクを保持するフレームの幅やシャドーマスク同士の隙間などに起因する蒸着無効エリアが相対的に広くなる、つまり、基板の有効活用面積が低下するので、1枚の基板から製造できる表示装置数が理想状態に比べて減少するという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題を解決し、シャドーマスク数の過度な増大を防ぎ、基板面積を効率的に活用することが可能な、マスク蒸着法による有機電界発光装置の多面取り製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第一電極が形成された1枚の基板上に、n面(nは3以上の整数)の少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し、その後、基板をn個に切断する工程を含む有機電界発光装置の製造方法であって、前記発光層もしくは前記第二電極の少なくとも一方を、1枚の基板に対してm個(mは2以上n未満の整数)のシャドーマスクを配置させたマスク蒸着法によりパターニングすることを特徴とする有機電界発光装置の製造方法である。さらに、1個のシャドーマスクがk面(kは2以上n未満の整数)に対応したマスクパターンを有しており、n=m×k(kは2以上n未満の整数)である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における有機電界発光装置とは、陽極と陰極との間に少なくとも有機化合物からなる発光層が存在し、電気エネルギーにより発光する装置であり、本発明の製造方法は、単一発光素子、セグメント型、単純マトリクス型、アクティブマトリクス型などの表示装置の形式や、カラー、モノクロなどの発光色数を問わず任意の構造の有機電界発光装置に適用することが可能である。
【0010】
本発明の好ましい一形態を図1の概念図に示す。1枚の基板上に16面の少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し、その後、基板を16個に切断する場合に(n=16)、発光層もしくは第二電極の少なくとも一方を、1枚の基板に対して4個のシャドーマスク30を配置させたマスク蒸着法によりパターニングする例である(m=4)。それぞれ1個のシャドーマスクはさらに4面に対応したパターンを有しているので(k=4)、n=m×kの関係にある。
【0011】
図2の概念図に示すように、基板と同程度の大きさの1個のシャドーマスク30でパターニングしようとする従来法では、シャドーマスクの寸法精度が悪化して、所望の位置にパターニングできなくなる。また、図3の概念図に示すように、16個のシャドーマスクを配置してパターニングしようとする従来法では、シャドーマスクの寸法精度は問題ないが、16個すべてのシャドーマスクの相対位置合わせを行う作業が必要である。また、シャドーマスクを保持するフレームの幅やシャドーマスク同士の隙間などに起因する基板の無駄な部分が増加してしまう。本発明の方法では、シャドーマスクの大きさを寸法精度を損なわない範囲に留めておくので、従来法のいずれの問題点も解消される。もちろん、n=16、m=2、k=8の組み合わせでもよいし、n=16、m=8、k=2の組み合わせであってもよい。
【0012】
また、ある層のパターニングに用いるシャドーマスクを1種類にすることが可能なので量産面で有利であるため、n=m×kの関係がより好ましい。例えば、1枚の基板上から3個の有機電界発光装置を製造する場合に(n=3)、1枚の基板に対して、1面のパターンに対応したシャドーマスクを1つと、2面のパターンに対応したシャドーマスク1つを配置させてパターニングしてもよい(m=2)。必要な寸法精度や生産性を考慮して最適な組み合わせを選択すればよい。本発明はこのような組み合わせを選択する自由度が高いことも利点の1つである。
【0013】
本発明は、比較的大きな1枚の基板から、比較的小さな有機電界発光装置を数多く製造する場合に特に効果的である。具体的には、基板サイズは200×200mm以上、さらに400×400mm以上が好ましく、有機電界発光装置の発光領域のサイズは80×60mm以下、さらには40×30mm以下であることが好ましく、面数nは6以上、さらには12、16、30以上であることが好ましい。
【0014】
次に代表的な有機電界発光装置の製造手順を示しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【0015】
第一電極として酸化錫インジウム(以下ITO)透明電極膜を形成したガラス基板を用い、必要に応じてフォトリソグラフィ法で第一電極をパターニングすることができる。第一電極のパターニングは形成する発光装置の仕様により異なる。モノクロの単一素子の場合から画素数の多いカラーディスプレイまで各種の有機電界発光装置の製造に対応することが可能である。作製しようとする有機電界発光装置のサイズと基板のサイズから配置できる面数が決まるので、1枚の基板上にn面(nは3以上の整数)の有機電界発光装置を効率よく製造するように設計される。以降の薄膜層の形成、第二電極の形成はそれぞれが第一電極パターンに位置合わせして実施される。
【0016】
第一電極のパターニング後に、スペーサーを基板上に形成することもできる。このスペーサーは隔壁法における隔壁として機能させたり、マスク蒸着法においてシャドーマスクが薄膜層を傷つけることを防止するマスク傷防止層として機能させたり、発光領域を規定したり第一電極のエッジ部分を覆うための絶縁層として機能させることができる。
【0017】
第一電極に対応して、少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層および第二電極を形成して有機電界発光装置を形成する。発光層および第二電極のパターニング法は限定されるものではなく、隔壁法を用いることもできるが、少なくとも一方をマスク蒸着法によってパターニングする。マスク蒸着法を用いる工程の選択は、形成しようとする有機電界発光装置の機能に対応して行うことができる。例えば、モノクロ発光装置においては第二電極の形成工程が適当である。また、カラーディスプレイにおいては、いずれか一方の工程でマスク蒸着を行い、他方は隔壁法を用いることもできるし、両方のパターニング工程をマスク蒸着法で実施することもできる。また、第二電極のパターニングを隔壁法で行う場合でも、蒸着エリアを規制するためにシャドーマスクを併用することが多い。
【0018】
マスク蒸着法では、目的とするパターンに対応した開口部とマスク部を形成したシャドーマスクを基板の前面に配置してそれぞれの材料を蒸着するが、n面の有機電界発光装置を同時にマスク蒸着法で形成する際に、本発明ではそれより少ないm個のシャドーマスクが配置される。この際、1枚の基板から異なるパターニングが要求される複数種類の有機電界発光装置を製造する場合には、異なる仕様のシャドーマスクを対応させることになる。
【0019】
1枚の基板に作製したn面(nは3以上の整数)の有機電界発光装置は、第二電極のパターニング工程の後に切断されてn個の有機電界発光装置となるが、真空装置内での切断は困難であり、外気の水分や酸素による発光特性の劣化を防ぐために、第二電極上に保護膜を形成した後に切断することが好ましい。保護層の材料としては、酸化珪素、酸化ガリウム、酸化チタン、窒化珪素などの無機材料、各種高分子材料、有機電界発光装置を構成する有機材料を用いることができる。なかでも窒化珪素は水分に対するバリア性に優れた好適な保護層材料である。これらの保護層は蒸着法、スパッタリング法、CVD法などによって形成されるが、用いる材料によってはマスク蒸着法など既知の方法で保護層をパターニングして形成することもできる。さらに、第二電極パターニングの後、n個の有機電界発光装置に切断した後に公知技術を用いて発光領域の封止を行ってもよい。また、n個の有機電界発光装置に切断する前に、公知技術を用いてn面の発光領域を同時に封止して、その後に切断することもできる。この場合には保護層は形成してもしなくてもよい。
【0020】
本発明は1枚の基板にn面(nは3以上の整数)の有機電界発光装置を同時に作製するものであるが、素子作製の手順や用いる方法と材料は1面ずつの作製の場合と全く同様である。形成する有機電界発光装置の代表的な構造は、ガラス基板上に形成された透明な第一電極(陽極)上に正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、第二電極(陰極)の積層構造である。また、第一電極を所定の間隔をあけて配置された複数のストライプ状電極にパターニングし、第二電極はそれらに対して交差する複数のストライプ状電極にパターニングすることが好ましく、第一電極と第二電極の交差部が発光領域となり、マトリクスが形成される。
【0021】
シャドーマスクには蒸着部分となる開口部と非蒸着部分となるマスク部分が存在するが、例えば、ストライプ状の第二電極パターンに対応するシャドーマスクにおいては、マスク部分が糸のように細くなり、撓みなどによって開口部形状が変形するという問題がある。このような問題に対しては、ストライプ状開口部の変形を防止するために開口部を横切るように補強線を導入してシャドーマスクの強度を向上させる手段が採用されている。マトリクス状に形成される発光層形成に用いるシャドーマスクに配置される補強線とストライプ状で連続した導線として機能する第二電極の形成に用いるシャドーマスクに配置される補強線とは、設置する位置が異なり、それぞれ支障のないように工夫される。
【0022】
このような微細なパターンに対応するシャドーマスクは、非蒸着部となるマスク部分の機械的強度が不足するので、n面の有機電界発光装置に対応するパターンを有する1個のシャドーマスクをフレームに取り付けたようなものよりも、k面に対応するm個のシャドーマスクをそれぞれm個のフレームに取り付けて用いる本発明の方法が、シャドーマスクの強度や精度を保持するのに効果的であり、結果として有機電界発光装置の製造歩留まりを高くすることになる。本発明の効果を十分に発揮するため、シャドーマスクの厚みは500μm以下であり、100μm以下、さらに、50μm以下であることが好ましい。
【0023】
シャドーマスクの好ましい厚みは、マスク部分の幅の3倍以下、より好ましくは2倍以下である。開口部をエッチング法で除去して作製する場合と電鋳法のようにマスク部を形成して作製する場合などシャドーマスクの作製方法によって、制約される条件が異なるので、選択できる厚さの範囲も異なってくる。本発明に用いるような微細なマスク部分を有するシャドーマスクの作製は、これに限定されるものではないが、電鋳法が好ましい。電鋳法において、微細パターンの形成に用いるフォトレジストの有効アスペクト比は2〜3であり、マスク部分の最小幅寸法を基準とすれば、シャドーマスクの厚みはその3倍以下が好ましく、より好ましくは2倍以下となる。本発明のマスク蒸着法で用いるシャドーマスクのマスク部分の最小幅は、発光層用の場合200μm程度であり、用いるマスクの好ましい厚みは500μm以下となる。補強線を用いたシャドーマスクでは、その線幅が25μm程度であり、このマスク部の作製を考慮すると、用いられるマスク厚みは50μm程度が好ましいことになる。
【0024】
発光層および第二電極のマスク蒸着法に用いられるシャドーマスクは、ステンレス鋼、銅合金、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属系材料、各種樹脂系材料を用いて作製されるが、特に限定されるものではない。パターンが微細なためマスクの強度が十分ではなく、有機電界発光装置の基板との密着性を磁力によって向上させることが必要な場合には、マスク材として磁性材料を用いることが好ましい。その材料としては、純鉄、炭素鋼、W鋼、Cr鋼、Co鋼、KS鋼などの焼入硬化磁石材料、MK鋼、Alnico鋼、NKS鋼、Cunico鋼などの析出硬化磁石材料、OPフェライト、Baフェライトなどの焼結磁石材料、ならびにSm−Co系やNd−Fe−B系に代表される各種希土類磁石材料、珪素鋼板、Al−Fe合金、Ni−Fe合金(パーマロイ)などの金属磁心材料、Mn−Zn系、Ni−Zn系、Cu−Zn系などのフェライト磁心材料、カーボニル鉄、Moパーマロイ、センダストなどの微粉末を結合材と共に圧縮成型させた圧粉磁心材料が挙げられる。これらの磁性材料を薄い板状に成形したものからマスクを作製することが望ましいが、ゴムや樹脂に磁性材料の粉末を混入してフィルム状に成形したものを用いることもできる。
【0025】
シャドーマスクの製造方法はエッチング法や電鋳法に限定されるものではなく、機械的研磨法、サンドブラスト法、焼結法、レーザー加工法などの方法を利用することもできる。
【0026】
シャドーマスクの配置方法は特に限定されるものではないが、各シャドーマスク同士の隙間は小さい方が好ましい。隙間あるいはその他の蒸着無効スペースが少ないほど、同じ数の有機電界発光装置を得るために必要な1枚の基板の大きさは小さくて済む。これは、基板のコストだけでなく、必要な蒸着装置の寸法や、蒸着面積中の膜厚ムラを小さくできるという大きな利点につながる重要な因子である。シャドーマスク同士の隙間は20mm以下、さらに、10mm、5mm以下であることが好ましい。また、シャドーマスクを取り付けるフレームや、蒸着物がある入射角度をもつことによって発生する蒸着影による蒸着無効スペースも小さい方が好ましいので、隙間だけでなくトータル的に蒸着無効スペースを少なくするように工夫すればよい。
【0027】
フルカラー表示の有機電界発光装置は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の領域に発光ピーク波長を有する3つの発光色に対応してパターニングされた3種類の発光層を有する。このようなフルカラー有機電界発光装置の1つの発光層パターニングは、開口部を第一電極のピッチで3ピッチ毎に形成したシャドーマスクを用いて行う。第1の色の発光層をパターニングした後、1ピッチ分だけ基板とシャドーマスクの相対位置を動かして第2の色の発光層を作製し、さらに1ピッチ分だけ相対位置を動かして第3の色の発光層を形成する。しかし、フルカラー有機電界発光装置の発光層の形成も、この方法に限定されることはなく、1つの発光層のマスク蒸着を2回以上に分割して実施するなどの方法を用いることもある。
【0028】
スペーサーは第一電極に接する状態で形成されることが多いために、十分な電気絶縁性を有することが好ましい。導電性のスペーサーを用いることもできるが、その場合は電極間の短絡を防止するための電気絶縁性部分を形成すればよい。スペーサー材料としては公知の材料を用いることが可能であり、無機物では酸化ケイ素をはじめとする酸化物材料、ガラス材料、セラミックス材料などを、有機物ではポリビニル系、ポリイミド系、ポリスチレン系、アクリル系、ノボラック系、シリコーン系などのポリマー系樹脂材料を好ましい例として挙げることができる。さらに、スペーサーの全体、もしくは基板あるいは第一電極と接する部分を黒色化することで、有機電界発光装置の表示コントラスト向上に寄与するブラックマトリクス的な機能をスペーサーに付加することもできる。このような場合のスペーサー材料としては、無機物ではケイ素、砒化ガリウム、二酸化マンガン、酸化チタンや酸化クロムと金属クロムとの積層膜などを、有機物では上記樹脂材料に、電気絶縁性を高めるために表面処理の施されたカーボンブラック系、フタロシアニン系、アントラキノン系、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノアゾ系、トリアリルメタン系、アニリン系などの公知の顔料や染料、あるいは上記無機材料粉末を混合した材料を好ましい例として挙げることができる。
【0029】
スペーサーのパターニング方法は特に限定されないが、第一電極のパターニング工程後に基板全面にスペーサー層を形成し、公知のフォトリソ法を用いてパターニングする方法が工程的に容易である。フォトレジストを使用したエッチング法あるいはリフトオフ法によってスペーサーをパターニングしてもよいし、例示した上記樹脂材料に感光性を付加させた感光性スペーサー材料を用い、スペーサー層を直接露光、現像することでパターニングすることもできる。
【0030】
第一電極と第二電極は素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものであり、光を取り出すために少なくとも一方は透明であることが望ましい。通常、基板上に形成される第一電極を透明電極とし、これを陽極とする。
【0031】
好ましい透明電極材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITOなどをあげることができる。パターニングを施す目的からは、加工性に優れたITOを用いることが好ましい。
【0032】
第一電極をパターニングする工程には、ウエットエッチングを伴うフォトリソグラフィ法を用いることができる。第一電極のパターン形状は特に限定されず、用途によって最適パターンを選択すればよい。本発明では一定の間隔をあけて配置された複数のストライプ状電極にパターニングすることが好ましい。
【0033】
透明電極の表面抵抗を下げたり、電圧降下抑制のために、ITOには少量の銀や金などの金属が含まれていてもよく、また、錫、金、銀、亜鉛、インジウム、アルミニウム、クロム、ニッケルをITOのガイド電極として使用することも可能である。特に、クロムはブラックマトリックスとガイド電極の両方の機能を持たせることができることから好適な金属である。素子の消費電力の観点からは、ITOは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板(ITO薄膜を形成した透明基板)であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度のITO基板の供給も可能になっていることから、低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて選ぶことができるが、通常100〜300nmである。ITO膜形成方法は、電子ビーム法、スパッタリング法、化学反応法など特に制限を受けるものではない。
【0034】
透明電極は可視光線透過率が30%以上あれば使用に大きな障害はないが、理想的には100%に近い方が好ましい。基本的には可視光全域において同程度の透過率をもつことが好ましいが、発光色を変化させたい場合には積極的に光吸収性を付与させることも可能である。このような場合にはカラーフィルターや干渉フィルターを用いて変色させる方法が技術的に容易である。
【0035】
基板の材料は、表示または発光装置として機能するに適した光学的透明性、機械的強度、耐熱性などを有するものであれば、材質は特に限定されない。ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、無定形ポリオレフィンなどのプラスチック板やフィルム類を用いることができるが、ガラス板を用いるのが最も好ましい。ガラスの材質については、無アルカリガラスや酸化珪素膜などのバリアコートを施したソーダライムガラスなどが使用できる。厚みは機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。
【0036】
上記第一電極もしくは基板には、公知技術を用いて反射防止機能を付加することができる。
【0037】
有機電界発光装置に含まれる薄膜層としては、1)正孔輸送層/発光層、2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、3)発光層/電子輸送層、そして4)以上の組合せ物質を一層に混合した形態の発光層、のいずれであってもよい。すなわち、素子構成として有機化合物からなる発光層が存在していれば、上記1)〜3)の多層積層構造の他に4)のように発光材料単独または発光材料と正孔輸送材料や電子輸送材料を含む発光層を一層設けるだけでも良い。
【0038】
正孔輸送層は正孔輸送性物質単独で、あるいは正孔輸送性物質と高分子結着剤により形成される。正孔輸送性物質としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)やN,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)などに代表されるトリフェニルアミン類、N−イソプロピルカルバゾール、ビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやポリスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリフェニレンビニレンなどが好ましいが、特に限定されるものではない。
【0039】
発光層の材料は、アントラセンやピレン、そして8−ヒドロキシキノリンアルミニウムの他には、例えば、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そしてポリチオフェン誘導体などが使用できる。また、発光層に添加するドーパントとしては、ルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン660,DCM1、ペリノン、ペリレン、クマリン540、ジアザインダセン誘導体などがそのまま使用できる。
【0040】
電子輸送性物質としては、電界を与えられた電極間において陰極からの電子を効率よく輸送することが必要で、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和性が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが要求される。このような条件を満たす物質として8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、ヒドロキシベンゾキノリンベリリウム、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−BuPBD)などのオキサジアゾール系誘導体、薄膜安定性を向上させたオキサジアゾール二量体系誘導体の1,3−ビス(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジゾリル)ビフェニレン(OXD−1)、1,3−ビス(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジゾリル)フェニレン(OXD−7)、トリアゾール系誘導体、フェナントロリン系誘導体などがある。
【0041】
以上の正孔輸送層、発光層、電子輸送層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
【0042】
上記正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの有機層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング法などがある。特に限定されるものではないが、通常は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着などの蒸着法が特性面で好ましい。層の厚みは、有機層の抵抗値にもよるので限定することはできないが、10〜1000nmの間から選ばれる。
【0043】
第二電極となる陰極は、電子を本素子の発光層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されない。従って、アルカリ金属などの低仕事関数金属の使用も可能であるが、電極の安定性を考えると、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属、またはこれら金属と低仕事関数金属との合金などが好ましい例として挙げられる。また、あらかじめ有機層に低仕事関数金属を微量ドーピングしておき、その後に比較的安定な金属を陰極として成膜することで、電極注入効率を高く保ちながら安定な電極を得ることもできる。これらの電極の作製法も抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法などのドライプロセスが好ましい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0045】
実施例1
発光層パターニング用としてマスク部分と補強線とが同一平面内に形成されたNi合金からなるシャドーマスクを作製した。1個のシャドーマスクの外形は120×84mm、マスク部分の厚さは25μmである。1面に対応するマスクパターンとして、長さ29mm、幅100μmのストライプ状開口部がピッチ300μmで324本配置され、各ストライプ状開口部には、開口部と直交する幅20μm、厚さ25μmの補強線が0.9mm間隔に形成されている。1個のシャドーマスクには、前記パターンが4面分形成されている(k=4)。また、シャドーマスクは外形が等しい幅4mmのステンレス鋼製フレームに固定されている。このように作製した4個のシャドーマスクを、図1に示したように、長辺方向に10mm、短辺方向に16mmの間隔をあけて、それぞれの相対位置を合わせて2×2の配列に配置した(m=4)。
【0046】
第二電極パターニング用として、マスク部分の一方の面と補強線との間に隙間が存在する構造のNi合金からなるシャドーマスクを作製した。シャドーマスクの外形は120×84mm、マスク部分の厚さは100μmである。1面に対応するマスクパターンとして、42mm、幅250μmのストライプ状開口部がピッチ300μmで96本配置されている。1個のシャドーマスクには、前記パターンが4面分形成されている(k=4)。マスク部分の上には、幅35μm、厚さ35μm、対向する二辺の間隔が200μmの正六角形構造からなるメッシュ状の補強線が形成されている。シャドーマスクは発光層用シャドーマスクと同様のステンレス鋼製のフレームに固定されていおり、また、発光層用シャドーマスクと同様に、4個のシャドーマスクを、それぞれの相対位置を合わせて配置した(m=4)。
【0047】
第一電極は以下の通りパターニングした。厚さ1.1mmの無アルカリガラス基板表面にスパッタリング法によって厚さ130nmのITO透明電極が形成されたITOガラス基板を230×184mmの大きさに切断した。ITO基板上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光、現像によってフォトレジストをパターニングした。本実施例ではn=m×k=16面の有機電界発光装置を形成することを目的としているので、それに対応する配置で第一電極のパターニングを行う必要があり、パターン露光に用いるフォトマスクは16面の第一電極パターンがまとめられたものを用いた。なお、16面のそれぞれについてパターン露光を繰り返してパターニングすることもできる。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、16面の有機電界発光装置に対応するITOをパターニングした。1面に対応するITOは、長さ38mm、幅80μmのストライプ形状の第一電極であり、100μmピッチで324本配置されている。
【0048】
スペーサーは以下のように形成した。ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、OFPR−800)をスピンコート法により前記ITO基板上に塗布し、ホットプレート上で80℃、90秒間プリベーキングした。この塗布膜にフォトマスクを介してパターン露光を行うが、この場合も前記の第一電極パターニングと同様に16面の有機電界発光装置に対応する一括露光をした。現像にはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液(東京応化工業(株)製、NMD−3)を用い、その後、ホットプレート上で180℃、8分間ベーキングした。このようにして形成したスペーサーは、幅70μm、長さ235μmの開口部を幅方向に324個、長さ方向に96個もち、それぞれの開口部が第一電極の中央部を露出するように配置されている。本スペーサーはマスク傷を防止するマスク傷防止層と、第一電極のエッジ部分を覆う絶縁層との機能を有している。
【0049】
前記スペーサーを形成したITO基板を洗浄した後、真空蒸着機内にセットした。本蒸着機では、真空中においてそれぞれ10μm程度の精度で基板とマスクの位置合わせができ、マスクを交換することが可能である。
【0050】
発光層を含む薄膜層は、抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって以下のように形成した。なお、蒸着時の真空度は2×10-4Pa以下であり、蒸着中は蒸着源に対して基板を回転させた。
【0051】
まず、それぞれ16面の発光エリア全面に銅フタロシアニンを15nm、ビス(N−エチルカルバゾール)を60nm蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0052】
次に、4個の発光層用シャドーマスクを基板前方に配置して両者を密着させ、基板後方にはフェライト系板磁石(日立金属(株)製、YBM−1B)を配置した。この際、ストライプ状第一電極がシャドーマスクのストライプ状開口部の中心に位置し、補強線がスペーサーの位置と一致し、かつ補強線とスペーサーが接触するように配置される。磁性体からなるシャドーマスクを磁力によって基板に密着させても、実際にはスペーサー部分とシャドーマスクとが密着し、最終的に発光するスペーサーの開口部に形成された正孔輸送層には傷がつかない。
【0053】
この状態で、0.3wt%の1,3,5,7,8−ペンタメチル−4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(PM546)をドーピングした8−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体(Alq3)を20nm蒸着し、G発光層をパターニングした。
【0054】
次に、前記G発光層のパターニングと同様にして、シャドーマスクを1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせして、1wt%の4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジルスチリル)−ピラン(DCJT)をドーピングしたAlq3を15nm蒸着して、R発光層をパターニングした。 前記R発光層のパターニングと同様にして、シャドーマスクをさらに1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせして、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ジフェニル(DPVBi)を15nm蒸着して、B発光層をパターニングした。RGBそれぞれの発光層は、ストライプ状第一電極の3本ごとに配置され、第一電極の露出部分を完全に覆っている。
【0055】
次に、DPVBiを35nm、Alq3を10nmそれぞれ16面の発光エリア全面に蒸着して電子輸送層を形成した。この後に、薄膜層をリチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換算量0.5nm)した。
【0056】
第二電極は抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって以下のように形成した。なお、蒸着時の真空度は3×10-4Pa以下であり、蒸着中は2つの蒸着源に対して基板を回転させた。
【0057】
前記発光層のパターニングと同様に、第二電極用シャドーマスク4個を基板前方に配置して両者を密着させ、基板後方には磁石を配置した。この際、ストライプ状の開口部は第一電極と直交するように、かつ、スペーサーがマスク部分の位置と一致するように両者は配置される。この状態でアルミニウムを240nmの厚さに蒸着して第二電極をパターニングした。最後に、一酸化珪素を150nm抵抗加熱蒸着法によって基板全面に蒸着して、保護層を形成した。
【0058】
真空蒸着機から取り出した16面のパターンが形成された1枚の基板を切断し、16個の有機電界発光装置に分割した。幅80μm、ピッチ100μm、本数324本のITOストライプ状第一電極上に、パターニングされたRGBそれぞれの発光層を含む薄膜層が形成され、第一電極と直交するように幅250μm、ピッチ300μmのストライプ状第二電極が96本配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光装置が作製できた。R、G、Bの3つの発光領域が1画素を形成するので、本発光装置は300μmピッチで108×96画素を有する。
【0059】
本実施例により明らかなように、それぞれ4面のマスクパターンを有する4個のシャドーマスクを用いて、発光層や第二電極のパターニングに必要な蒸着工程を同時に実施し、第二電極形成後に切断することにより、16個の有機電界発光装置を一度に作製できた。16個の有機電界発光装置すべてのパターニング精度は±15μmの許容誤差より小さく、効率的な製造が可能になった。
【0060】
実施例2
第二電極のパターニングまでは実施例1と同様にした。次に、真空蒸着機から取り出した16面のパターンが形成された1枚の基板を切断し、16個の発光装置に分割し、それらをロータリーポンプによる減圧雰囲気下で20分間保持した後、露点−90℃以下のアルゴン雰囲気下に移した。この低湿雰囲気下にて、基板と封止用ガラス板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止し、樹脂が完全に硬化してから大気中に取り出した。封止により有機電界発光装置の主要劣化原因である水分の影響や機械的な擦りの問題から発光領域を保護することができるので、実施例1に比べて耐環境性により優れる16個の有機電界発光装置を一度に作製した。
【0061】
なお、基板の切断前に1枚の基板と16枚の封止板、あるいは、1枚の基板と1枚の封止板とを一度に封止し、大気中に取り出した後で基板あるいは基板と封止板を切断することで、16個の有機電界発光装置を一度に作製することも可能である。
【0062】
比較例1
発光層および第二電極パターニング用として、1面に対応するマスクパターンは実施例1と同じであるが、図2のように1個のシャドーマスクに本パターンが16面形成されたシャドーマスクを作製した(k=16)。シャドーマスクの外形は230×184mmであり、外形が等しい幅4mmのステンレス鋼製フレームに固定されている。本比較例では、1個のシャドーマスクを用いて(m=1)、n=m×k=16面の有機電界発光装置を形成することを目的としている。
【0063】
その後は実施例1と同様にして、1枚の基板から16個の有機電界発光装置を一度に作製した。しかしながら、実施例1に比べてシャドーマスクが大型化し、寸法精度が悪化したために、パターニング精度が±15μmの許容誤差より小さく収まった有機電界発光装置は16個中わずか4個であった。
【0064】
比較例2
発光層および第二電極パターニング用として、1面に対応するマスクパターンが実施例1と同じで、1個のシャドーマスクに本パターンが1面のみ形成されたシャドーマスクを作製した(k=1)。シャドーマスクの外形は60×47mmであり、外形が等しい幅4mmのステンレス鋼製フレームに固定されている。本比較例では、図3のように16個のシャドーマスクを用いて(m=16)、n=m×k=16面の有機電界発光装置を形成した。
【0065】
このように作製した16個のシャドーマスクを、長辺方向に10mm、短辺方向に16mmの実施例1と同じ間隔をあけて、それぞれの相対位置を合わせて4×4の配列に配置した。この位置合わせには実施例1の約4倍の時間を要した。
【0066】
ITOガラス基板を270×220mmの大きさに切断して用いたこと以外は実施例1と同様にして、1枚の基板から16個の有機電界発光装置を一度に作製した。16個の有機電界発光装置すべてのパターニング精度は±15μmの許容誤差より小さかったが、シャドーマスクを細かく分割しすぎたために、シャドーマスクのフレームや隙間などの無駄な面積が増大し、実施例1と同じ数の有機電界発光装置を得るために、実施例1より大きな基板が必要となった。したがって、1枚の基板における膜厚ムラが大きくなり、16個の有機電界発光装置の発光特性のバラツキが実施例1に比べて大きくなった。
【0067】
実施例3
マスク傷防止兼絶縁層として機能する第一のスペーサーの形成までは実施例1と同様にした。次に、隔壁として機能する第二のスペーサーを以下のように形成した。ポリイミド系感光性コーティング剤(東レ(株)製、UR−3100)をスピンコートし、クリーンオーブン中、窒素雰囲気下で80℃、1時間プレベーキングした。次に、この塗布膜にフォトマスクを介して16面のパターンを一括露光した後、現像液(東レ(株)製、DV−505)を用いて現像した。その後クリーンオーブン中で180℃、30分間、さらに220℃で30分間ベーキングを行って、第一電極と直交する隔壁を形成した。この半透明で電気絶縁性の隔壁は絶縁層上に位置しており、1面に対応するパターンは、長さ44mm、幅30μm、高さ4μmであり、300μmピッチで97本配置されている。
【0068】
電子輸送層の形成までは実施例1と同様に行った。第二電極の形成においては、第二のスペーサーを隔壁法における隔壁として利用し、隔壁が存在する領域にアルミニウムを斜め蒸着して第二電極パターニングを行った。
【0069】
その後の保護層形成と切断は実施例1と同様に行って、16個の有機電界発光装置を一度に作製した。16個の有機電界発光装置すべてのパターニング精度は±15μmの許容誤差より小さく、実施例1と同様の効率的な製造ができた。
【0070】
実施例4
正孔輸送層の形成までは実施例1と同様にした。
次に、0.3wt%のPM546をドーピングしたAlq3を15nm、さらに、Alq3を35nm、それぞれ16面の発光エリア全面に蒸着した。すなわち、本実施例では発光層をパターニングしなかった。この後に、薄膜層をリチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換算量0.5nm)した。
【0071】
第二電極および保護層の形成と、その後の切断は実施例1と同様にして、16個のG発光モノクロ有機電界発光装置を得た。このように、モノクロディスプレイにおいても同時に複数個の有機電界発光装置を得ることができ、効率的な製造が可能であった。
【0072】
【発明の効果】
本発明では1面に1個のシャドーマスクを対応させる従来法に比べてシャドーマスクの数を減らすことができる。したがって、位置合わせの手間が省力化できる。また、蒸着無効エリアの面積を減少させることができるので、同じ数の有機電界発光装置を得るために必要な基板サイズが小さくて済む。基板サイズが小さいと蒸着装置も小さくて済み、同じ条件で蒸着したときの膜厚ムラもより少なくなるので、より特性の揃った有機電界発光装置を効率よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマスク蒸着法によるパターニング方法を説明する概念図。
【図2】1枚の基板に1個のシャドーマスクを対応させた従来のパターニング方法を説明する概念図。
【図3】1面に1個のシャドーマスクを対応させた従来のパターニング方法を説明する概念図。
【符号の説明】
1 基板
30 シャドーマスク
34 フレーム

Claims (3)

  1. 第一電極が形成された1枚の基板上に、n面(nは3以上の整数)の少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し、その後、基板をn個に切断する工程を含む有機電界発光装置の製造方法であって、前記発光層もしくは前記第二電極の少なくとも一方を、1枚の基板に対してm個(mは2以上n未満の整数)の、k面(kは2以上n未満の整数であり、n=m×kである)に対応したマスクパターンを有するシャドーマスクを配置させたマスク蒸着法によりパターニングすることを特徴とする有機電界発光装置の製造方法
  2. シャドーマスクの厚さが500μm以下であることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光装置の製造方法。
  3. 第一電極を間隔をあけて配置された複数のストライプ状電極にパターニングし、第二電極を前記第一電極に交差する複数のストライプ状電極にパターニングすることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光装置の製造方法。
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