JP2002083679A - 有機電界発光装置の製造方法 - Google Patents

有機電界発光装置の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】シャドーマスク数の過度な増大を防ぎ、基板面
積を効率的に活用することが可能な、マスク蒸着法によ
る有機電界発光装置の多面取り製造方法を提供する。 【解決手段】第一電極が形成された1枚の基板上に、n
面(nは3以上の整数)の少なくとも有機化合物からな
る発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し、その
後、基板をn個に切断する工程を含む有機電界発光装置
の製造方法であって、前記発光層もしくは前記第二電極
の少なくとも一方を、1枚の基板に対してm個(mは2
以上n未満の整数)のシャドーマスクを配置させたマス
ク蒸着法によりパターニングすることを特徴とする有機
電界発光装置の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子、フラッ
トパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリ
ア、標識、看板、電子写真機などの分野に利用可能な、
電気エネルギーを光に変換できる有機電界発光装置の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極から注入された電子と陽極から注入
された正孔とが両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合し
て発光する有機電界発光素子の研究が近年活発に行われ
ている。この素子は、薄型、低駆動電圧下での高輝度発
光、有機蛍光材料を選ぶことによる多色発光が特徴であ
り注目を集めている。最近では、有機電界発光素子をフ
ラットパネルディスプレイなどの表示装置に応用する検
討も盛んである。
【0003】このような表示装置は一般的に多面取りと
呼ばれる方法で製造される。これは、1枚の基板上に複
数面の機能部分を同時形成し、その後、基板を切断する
ことで1枚の基板から複数個の表示装置を同時に製造す
るものであり、低コスト化を可能とする量産方法であ
る。
【0004】ところで、有機電界発光装置の製造には有
機薄膜層や電極などのパターニングが必要であるが、有
機薄膜層は水分や有機溶媒、薬液に対する耐久性に乏し
く、一般的にはパターニングにフォトリソグラフィ法に
代表されるウエットプロセスが利用できない。したがっ
て、蒸着法に代表されるドライプロセスによって有機電
界発光装置を製造し、パターニングにはマスク蒸着法を
利用することが多い。つまり、基板前方にシャドーマス
クを配置して、シャドーマスク開口部のみに有機物ある
いは電極材料を蒸着するものである。
【0005】マスク蒸着法による多面取りを行うために
は、図2の概念図に示すように、大きな基板1と同程度
の大きさのシャドーマスク30を使用するので(図では
理解を容易にするために基板とシャドーマスクとが離れ
て描かれているが、実際には両者が密着した状態で下方
から蒸着物が飛来させて基板上に蒸着する)、熱膨張係
数や伸びの大きい金属で作製されるシャドーマスクの寸
法精度が悪化するという問題があった。この問題を解決
するために、特開2000−113978号公報では、
図3の概念図に示すように、n個のそれぞれ独立したシ
ャドーマスク30を配置して同時にマスク蒸着を行う技
術が開示されている。基板が大きくなってもシャドーマ
スクの大きさはそのままなので、シャドーマスクの寸法
精度が悪化することがなく、大きな基板でも多面取りが
可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では大きな基板で小さな表示装置を大量に多面取りす
る場合に、シャドーマスクの数が多くなりすぎて、それ
ぞれの相対位置合わせを行う手間が増大するという問題
があった。また、シャドーマスクを保持するフレームの
幅やシャドーマスク同士の隙間などに起因する蒸着無効
エリアが相対的に広くなる、つまり、基板の有効活用面
積が低下するので、1枚の基板から製造できる表示装置
数が理想状態に比べて減少するという問題があった。
【0007】本発明はかかる問題を解決し、シャドーマ
スク数の過度な増大を防ぎ、基板面積を効率的に活用す
ることが可能な、マスク蒸着法による有機電界発光装置
の多面取り製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一電極が形
成された1枚の基板上に、n面(nは3以上の整数)の
少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層およ
び第二電極を形成し、その後、基板をn個に切断する工
程を含む有機電界発光装置の製造方法であって、前記発
光層もしくは前記第二電極の少なくとも一方を、1枚の
基板に対してm個(mは2以上n未満の整数)のシャド
ーマスクを配置させたマスク蒸着法によりパターニング
することを特徴とする有機電界発光装置の製造方法であ
る。さらに、1個のシャドーマスクがk面(kは2以上
n未満の整数)に対応したマスクパターンを有してお
り、n=m×k(kは2以上n未満の整数)であること
が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における有機電界発光装置
とは、陽極と陰極との間に少なくとも有機化合物からな
る発光層が存在し、電気エネルギーにより発光する装置
であり、本発明の製造方法は、単一発光素子、セグメン
ト型、単純マトリクス型、アクティブマトリクス型など
の表示装置の形式や、カラー、モノクロなどの発光色数
を問わず任意の構造の有機電界発光装置に適用すること
が可能である。
【0010】本発明の好ましい一形態を図1の概念図に
示す。1枚の基板上に16面の少なくとも有機化合物か
らなる発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し、そ
の後、基板を16個に切断する場合に(n=16)、発
光層もしくは第二電極の少なくとも一方を、1枚の基板
に対して4個のシャドーマスク30を配置させたマスク
蒸着法によりパターニングする例である(m=4)。そ
れぞれ1個のシャドーマスクはさらに4面に対応したパ
ターンを有しているので(k=4)、n=m×kの関係
にある。
【0011】図2の概念図に示すように、基板と同程度
の大きさの1個のシャドーマスク30でパターニングし
ようとする従来法では、シャドーマスクの寸法精度が悪
化して、所望の位置にパターニングできなくなる。ま
た、図3の概念図に示すように、16個のシャドーマス
クを配置してパターニングしようとする従来法では、シ
ャドーマスクの寸法精度は問題ないが、16個すべての
シャドーマスクの相対位置合わせを行う作業が必要であ
る。また、シャドーマスクを保持するフレームの幅やシ
ャドーマスク同士の隙間などに起因する基板の無駄な部
分が増加してしまう。本発明の方法では、シャドーマス
クの大きさを寸法精度を損なわない範囲に留めておくの
で、従来法のいずれの問題点も解消される。もちろん、
n=16、m=2、k=8の組み合わせでもよいし、n
=16、m=8、k=2の組み合わせであってもよい。
【0012】また、ある層のパターニングに用いるシャ
ドーマスクを1種類にすることが可能なので量産面で有
利であるため、n=m×kの関係がより好ましい。例え
ば、1枚の基板上から3個の有機電界発光装置を製造す
る場合に(n=3)、1枚の基板に対して、1面のパタ
ーンに対応したシャドーマスクを1つと、2面のパター
ンに対応したシャドーマスク1つを配置させてパターニ
ングしてもよい(m=2)。必要な寸法精度や生産性を
考慮して最適な組み合わせを選択すればよい。本発明は
このような組み合わせを選択する自由度が高いことも利
点の1つである。
【0013】本発明は、比較的大きな1枚の基板から、
比較的小さな有機電界発光装置を数多く製造する場合に
特に効果的である。具体的には、基板サイズは200×
200mm以上、さらに400×400mm以上が好ま
しく、有機電界発光装置の発光領域のサイズは80×6
0mm以下、さらには40×30mm以下であることが
好ましく、面数nは6以上、さらには12、16、30
以上であることが好ましい。
【0014】次に代表的な有機電界発光装置の製造手順
を示しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【0015】第一電極として酸化錫インジウム(以下I
TO)透明電極膜を形成したガラス基板を用い、必要に
応じてフォトリソグラフィ法で第一電極をパターニング
することができる。第一電極のパターニングは形成する
発光装置の仕様により異なる。モノクロの単一素子の場
合から画素数の多いカラーディスプレイまで各種の有機
電界発光装置の製造に対応することが可能である。作製
しようとする有機電界発光装置のサイズと基板のサイズ
から配置できる面数が決まるので、1枚の基板上にn面
(nは3以上の整数)の有機電界発光装置を効率よく製
造するように設計される。以降の薄膜層の形成、第二電
極の形成はそれぞれが第一電極パターンに位置合わせし
て実施される。
【0016】第一電極のパターニング後に、スペーサー
を基板上に形成することもできる。このスペーサーは隔
壁法における隔壁として機能させたり、マスク蒸着法に
おいてシャドーマスクが薄膜層を傷つけることを防止す
るマスク傷防止層として機能させたり、発光領域を規定
したり第一電極のエッジ部分を覆うための絶縁層として
機能させることができる。
【0017】第一電極に対応して、少なくとも有機化合
物からなる発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し
て有機電界発光装置を形成する。発光層および第二電極
のパターニング法は限定されるものではなく、隔壁法を
用いることもできるが、少なくとも一方をマスク蒸着法
によってパターニングする。マスク蒸着法を用いる工程
の選択は、形成しようとする有機電界発光装置の機能に
対応して行うことができる。例えば、モノクロ発光装置
においては第二電極の形成工程が適当である。また、カ
ラーディスプレイにおいては、いずれか一方の工程でマ
スク蒸着を行い、他方は隔壁法を用いることもできる
し、両方のパターニング工程をマスク蒸着法で実施する
こともできる。また、第二電極のパターニングを隔壁法
で行う場合でも、蒸着エリアを規制するためにシャドー
マスクを併用することが多い。
【0018】マスク蒸着法では、目的とするパターンに
対応した開口部とマスク部を形成したシャドーマスクを
基板の前面に配置してそれぞれの材料を蒸着するが、n
面の有機電界発光装置を同時にマスク蒸着法で形成する
際に、本発明ではそれより少ないm個のシャドーマスク
が配置される。この際、1枚の基板から異なるパターニ
ングが要求される複数種類の有機電界発光装置を製造す
る場合には、異なる仕様のシャドーマスクを対応させる
ことになる。
【0019】1枚の基板に作製したn面(nは3以上の
整数)の有機電界発光装置は、第二電極のパターニング
工程の後に切断されてn個の有機電界発光装置となる
が、真空装置内での切断は困難であり、外気の水分や酸
素による発光特性の劣化を防ぐために、第二電極上に保
護膜を形成した後に切断することが好ましい。保護層の
材料としては、酸化珪素、酸化ガリウム、酸化チタン、
窒化珪素などの無機材料、各種高分子材料、有機電界発
光装置を構成する有機材料を用いることができる。なか
でも窒化珪素は水分に対するバリア性に優れた好適な保
護層材料である。これらの保護層は蒸着法、スパッタリ
ング法、CVD法などによって形成されるが、用いる材
料によってはマスク蒸着法など既知の方法で保護層をパ
ターニングして形成することもできる。さらに、第二電
極パターニングの後、n個の有機電界発光装置に切断し
た後に公知技術を用いて発光領域の封止を行ってもよ
い。また、n個の有機電界発光装置に切断する前に、公
知技術を用いてn面の発光領域を同時に封止して、その
後に切断することもできる。この場合には保護層は形成
してもしなくてもよい。
【0020】本発明は1枚の基板にn面(nは3以上の
整数)の有機電界発光装置を同時に作製するものである
が、素子作製の手順や用いる方法と材料は1面ずつの作
製の場合と全く同様である。形成する有機電界発光装置
の代表的な構造は、ガラス基板上に形成された透明な第
一電極(陽極)上に正孔輸送層、有機発光層、電子輸送
層、第二電極(陰極)の積層構造である。また、第一電
極を所定の間隔をあけて配置された複数のストライプ状
電極にパターニングし、第二電極はそれらに対して交差
する複数のストライプ状電極にパターニングすることが
好ましく、第一電極と第二電極の交差部が発光領域とな
り、マトリクスが形成される。
【0021】シャドーマスクには蒸着部分となる開口部
と非蒸着部分となるマスク部分が存在するが、例えば、
ストライプ状の第二電極パターンに対応するシャドーマ
スクにおいては、マスク部分が糸のように細くなり、撓
みなどによって開口部形状が変形するという問題があ
る。このような問題に対しては、ストライプ状開口部の
変形を防止するために開口部を横切るように補強線を導
入してシャドーマスクの強度を向上させる手段が採用さ
れている。マトリクス状に形成される発光層形成に用い
るシャドーマスクに配置される補強線とストライプ状で
連続した導線として機能する第二電極の形成に用いるシ
ャドーマスクに配置される補強線とは、設置する位置が
異なり、それぞれ支障のないように工夫される。
【0022】このような微細なパターンに対応するシャ
ドーマスクは、非蒸着部となるマスク部分の機械的強度
が不足するので、n面の有機電界発光装置に対応するパ
ターンを有する1個のシャドーマスクをフレームに取り
付けたようなものよりも、k面に対応するm個のシャド
ーマスクをそれぞれm個のフレームに取り付けて用いる
本発明の方法が、シャドーマスクの強度や精度を保持す
るのに効果的であり、結果として有機電界発光装置の製
造歩留まりを高くすることになる。本発明の効果を十分
に発揮するため、シャドーマスクの厚みは500μm以
下であり、100μm以下、さらに、50μm以下であ
ることが好ましい。
【0023】シャドーマスクの好ましい厚みは、マスク
部分の幅の3倍以下、より好ましくは2倍以下である。
開口部をエッチング法で除去して作製する場合と電鋳法
のようにマスク部を形成して作製する場合などシャドー
マスクの作製方法によって、制約される条件が異なるの
で、選択できる厚さの範囲も異なってくる。本発明に用
いるような微細なマスク部分を有するシャドーマスクの
作製は、これに限定されるものではないが、電鋳法が好
ましい。電鋳法において、微細パターンの形成に用いる
フォトレジストの有効アスペクト比は2〜3であり、マ
スク部分の最小幅寸法を基準とすれば、シャドーマスク
の厚みはその3倍以下が好ましく、より好ましくは2倍
以下となる。本発明のマスク蒸着法で用いるシャドーマ
スクのマスク部分の最小幅は、発光層用の場合200μ
m程度であり、用いるマスクの好ましい厚みは500μ
m以下となる。補強線を用いたシャドーマスクでは、そ
の線幅が25μm程度であり、このマスク部の作製を考
慮すると、用いられるマスク厚みは50μm程度が好ま
しいことになる。
【0024】発光層および第二電極のマスク蒸着法に用
いられるシャドーマスクは、ステンレス鋼、銅合金、鉄
ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属系材料、各
種樹脂系材料を用いて作製されるが、特に限定されるも
のではない。パターンが微細なためマスクの強度が十分
ではなく、有機電界発光装置の基板との密着性を磁力に
よって向上させることが必要な場合には、マスク材とし
て磁性材料を用いることが好ましい。その材料として
は、純鉄、炭素鋼、W鋼、Cr鋼、Co鋼、KS鋼など
の焼入硬化磁石材料、MK鋼、Alnico鋼、NKS
鋼、Cunico鋼などの析出硬化磁石材料、OPフェ
ライト、Baフェライトなどの焼結磁石材料、ならびに
Sm−Co系やNd−Fe−B系に代表される各種希土
類磁石材料、珪素鋼板、Al−Fe合金、Ni−Fe合
金(パーマロイ)などの金属磁心材料、Mn−Zn系、
Ni−Zn系、Cu−Zn系などのフェライト磁心材
料、カーボニル鉄、Moパーマロイ、センダストなどの
微粉末を結合材と共に圧縮成型させた圧粉磁心材料が挙
げられる。これらの磁性材料を薄い板状に成形したもの
からマスクを作製することが望ましいが、ゴムや樹脂に
磁性材料の粉末を混入してフィルム状に成形したものを
用いることもできる。
【0025】シャドーマスクの製造方法はエッチング法
や電鋳法に限定されるものではなく、機械的研磨法、サ
ンドブラスト法、焼結法、レーザー加工法などの方法を
利用することもできる。
【0026】シャドーマスクの配置方法は特に限定され
るものではないが、各シャドーマスク同士の隙間は小さ
い方が好ましい。隙間あるいはその他の蒸着無効スペー
スが少ないほど、同じ数の有機電界発光装置を得るため
に必要な1枚の基板の大きさは小さくて済む。これは、
基板のコストだけでなく、必要な蒸着装置の寸法や、蒸
着面積中の膜厚ムラを小さくできるという大きな利点に
つながる重要な因子である。シャドーマスク同士の隙間
は20mm以下、さらに、10mm、5mm以下である
ことが好ましい。また、シャドーマスクを取り付けるフ
レームや、蒸着物がある入射角度をもつことによって発
生する蒸着影による蒸着無効スペースも小さい方が好ま
しいので、隙間だけでなくトータル的に蒸着無効スペー
スを少なくするように工夫すればよい。
【0027】フルカラー表示の有機電界発光装置は、赤
(R)、緑(G)、青(B)の3色の領域に発光ピーク
波長を有する3つの発光色に対応してパターニングされ
た3種類の発光層を有する。このようなフルカラー有機
電界発光装置の1つの発光層パターニングは、開口部を
第一電極のピッチで3ピッチ毎に形成したシャドーマス
クを用いて行う。第1の色の発光層をパターニングした
後、1ピッチ分だけ基板とシャドーマスクの相対位置を
動かして第2の色の発光層を作製し、さらに1ピッチ分
だけ相対位置を動かして第3の色の発光層を形成する。
しかし、フルカラー有機電界発光装置の発光層の形成
も、この方法に限定されることはなく、1つの発光層の
マスク蒸着を2回以上に分割して実施するなどの方法を
用いることもある。
【0028】スペーサーは第一電極に接する状態で形成
されることが多いために、十分な電気絶縁性を有するこ
とが好ましい。導電性のスペーサーを用いることもでき
るが、その場合は電極間の短絡を防止するための電気絶
縁性部分を形成すればよい。スペーサー材料としては公
知の材料を用いることが可能であり、無機物では酸化ケ
イ素をはじめとする酸化物材料、ガラス材料、セラミッ
クス材料などを、有機物ではポリビニル系、ポリイミド
系、ポリスチレン系、アクリル系、ノボラック系、シリ
コーン系などのポリマー系樹脂材料を好ましい例として
挙げることができる。さらに、スペーサーの全体、もし
くは基板あるいは第一電極と接する部分を黒色化するこ
とで、有機電界発光装置の表示コントラスト向上に寄与
するブラックマトリクス的な機能をスペーサーに付加す
ることもできる。このような場合のスペーサー材料とし
ては、無機物ではケイ素、砒化ガリウム、二酸化マンガ
ン、酸化チタンや酸化クロムと金属クロムとの積層膜な
どを、有機物では上記樹脂材料に、電気絶縁性を高める
ために表面処理の施されたカーボンブラック系、フタロ
シアニン系、アントラキノン系、モノアゾ系、ジスアゾ
系、金属錯塩型モノアゾ系、トリアリルメタン系、アニ
リン系などの公知の顔料や染料、あるいは上記無機材料
粉末を混合した材料を好ましい例として挙げることがで
きる。
【0029】スペーサーのパターニング方法は特に限定
されないが、第一電極のパターニング工程後に基板全面
にスペーサー層を形成し、公知のフォトリソ法を用いて
パターニングする方法が工程的に容易である。フォトレ
ジストを使用したエッチング法あるいはリフトオフ法に
よってスペーサーをパターニングしてもよいし、例示し
た上記樹脂材料に感光性を付加させた感光性スペーサー
材料を用い、スペーサー層を直接露光、現像することで
パターニングすることもできる。
【0030】第一電極と第二電極は素子の発光のために
十分な電流を供給するための役割を有するものであり、
光を取り出すために少なくとも一方は透明であることが
望ましい。通常、基板上に形成される第一電極を透明電
極とし、これを陽極とする。
【0031】好ましい透明電極材料としては、酸化錫、
酸化亜鉛、酸化インジウム、ITOなどをあげることが
できる。パターニングを施す目的からは、加工性に優れ
たITOを用いることが好ましい。
【0032】第一電極をパターニングする工程には、ウ
エットエッチングを伴うフォトリソグラフィ法を用いる
ことができる。第一電極のパターン形状は特に限定され
ず、用途によって最適パターンを選択すればよい。本発
明では一定の間隔をあけて配置された複数のストライプ
状電極にパターニングすることが好ましい。
【0033】透明電極の表面抵抗を下げたり、電圧降下
抑制のために、ITOには少量の銀や金などの金属が含
まれていてもよく、また、錫、金、銀、亜鉛、インジウ
ム、アルミニウム、クロム、ニッケルをITOのガイド
電極として使用することも可能である。特に、クロムは
ブラックマトリックスとガイド電極の両方の機能を持た
せることができることから好適な金属である。素子の消
費電力の観点からは、ITOは低抵抗であることが望ま
しい。例えば、300Ω/□以下のITO基板(ITO
薄膜を形成した透明基板)であれば素子電極として機能
するが、現在では10Ω/□程度のITO基板の供給も
可能になっていることから、低抵抗品を使用することが
特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて選ぶこ
とができるが、通常100〜300nmである。ITO
膜形成方法は、電子ビーム法、スパッタリング法、化学
反応法など特に制限を受けるものではない。
【0034】透明電極は可視光線透過率が30%以上あ
れば使用に大きな障害はないが、理想的には100%に
近い方が好ましい。基本的には可視光全域において同程
度の透過率をもつことが好ましいが、発光色を変化させ
たい場合には積極的に光吸収性を付与させることも可能
である。このような場合にはカラーフィルターや干渉フ
ィルターを用いて変色させる方法が技術的に容易であ
る。
【0035】基板の材料は、表示または発光装置として
機能するに適した光学的透明性、機械的強度、耐熱性な
どを有するものであれば、材質は特に限定されない。ポ
リメチルメタクリレート、ポリカーボネート、無定形ポ
リオレフィンなどのプラスチック板やフィルム類を用い
ることができるが、ガラス板を用いるのが最も好まし
い。ガラスの材質については、無アルカリガラスや酸化
珪素膜などのバリアコートを施したソーダライムガラス
などが使用できる。厚みは機械的強度を保つのに十分な
厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分であ
る。
【0036】上記第一電極もしくは基板には、公知技術
を用いて反射防止機能を付加することができる。
【0037】有機電界発光装置に含まれる薄膜層として
は、1)正孔輸送層/発光層、2)正孔輸送層/発光層
/電子輸送層、3)発光層/電子輸送層、そして4)以
上の組合せ物質を一層に混合した形態の発光層、のいず
れであってもよい。すなわち、素子構成として有機化合
物からなる発光層が存在していれば、上記1)〜3)の
多層積層構造の他に4)のように発光材料単独または発
光材料と正孔輸送材料や電子輸送材料を含む発光層を一
層設けるだけでも良い。
【0038】正孔輸送層は正孔輸送性物質単独で、ある
いは正孔輸送性物質と高分子結着剤により形成される。
正孔輸送性物質としては、N,N’−ジフェニル−N,
N’−ジ(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニ
ル−4,4’−ジアミン(TPD)やN,N’−ジフェ
ニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ジフェニル−
4,4’−ジアミン(NPD)などに代表されるトリフ
ェニルアミン類、N−イソプロピルカルバゾール、ビス
カルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系
化合物、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体
やフタロシアニン誘導体に代表される複素環化合物、ポ
リマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネー
トやポリスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポ
リシラン、ポリフェニレンビニレンなどが好ましいが、
特に限定されるものではない。
【0039】発光層の材料は、アントラセンやピレン、
そして8−ヒドロキシキノリンアルミニウムの他には、
例えば、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェ
ニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾ
ール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジ
ン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導
体、チアジアゾロピリジン誘導体、ポリマー系では、ポ
リフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導
体、そしてポリチオフェン誘導体などが使用できる。ま
た、発光層に添加するドーパントとしては、ルブレン、
キナクリドン誘導体、フェノキサゾン660,DCM
1、ペリノン、ペリレン、クマリン540、ジアザイン
ダセン誘導体などがそのまま使用できる。
【0040】電子輸送性物質としては、電界を与えられ
た電極間において陰極からの電子を効率よく輸送するこ
とが必要で、電子注入効率が高く、注入された電子を効
率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和
性が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性
に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に
発生しにくい物質であることが要求される。このような
条件を満たす物質として8−ヒドロキシキノリンアルミ
ニウム、ヒドロキシベンゾキノリンベリリウム、2−
(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)
−1,3,4−オキサジアゾール(t−BuPBD)な
どのオキサジアゾール系誘導体、薄膜安定性を向上させ
たオキサジアゾール二量体系誘導体の1,3−ビス(4
−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジゾリル)
ビフェニレン(OXD−1)、1,3−ビス(4−t−
ブチルフェニル−1,3,4−オキサジゾリル)フェニ
レン(OXD−7)、トリアゾール系誘導体、フェナン
トロリン系誘導体などがある。
【0041】以上の正孔輸送層、発光層、電子輸送層に
用いられる材料は単独で各層を形成することができる
が、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリ
レート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレン
エーテル、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶
性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、
ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬
化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
【0042】上記正孔輸送層、発光層、電子輸送層など
の有機層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸
着、スパッタリング法などがある。特に限定されるもの
ではないが、通常は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着な
どの蒸着法が特性面で好ましい。層の厚みは、有機層の
抵抗値にもよるので限定することはできないが、10〜
1000nmの間から選ばれる。
【0043】第二電極となる陰極は、電子を本素子の発
光層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されな
い。従って、アルカリ金属などの低仕事関数金属の使用
も可能であるが、電極の安定性を考えると、白金、金、
銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、マグネシウム、インジ
ウムなどの金属、またはこれら金属と低仕事関数金属と
の合金などが好ましい例として挙げられる。また、あら
かじめ有機層に低仕事関数金属を微量ドーピングしてお
き、その後に比較的安定な金属を陰極として成膜するこ
とで、電極注入効率を高く保ちながら安定な電極を得る
こともできる。これらの電極の作製法も抵抗加熱蒸着、
電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グ法などのドライプロセスが好ましい。
【0044】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を説明するが、
本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0045】実施例1 発光層パターニング用としてマスク部分と補強線とが同
一平面内に形成されたNi合金からなるシャドーマスク
を作製した。1個のシャドーマスクの外形は120×8
4mm、マスク部分の厚さは25μmである。1面に対
応するマスクパターンとして、長さ29mm、幅100
μmのストライプ状開口部がピッチ300μmで324
本配置され、各ストライプ状開口部には、開口部と直交
する幅20μm、厚さ25μmの補強線が0.9mm間
隔に形成されている。1個のシャドーマスクには、前記
パターンが4面分形成されている(k=4)。また、シ
ャドーマスクは外形が等しい幅4mmのステンレス鋼製
フレームに固定されている。このように作製した4個の
シャドーマスクを、図1に示したように、長辺方向に1
0mm、短辺方向に16mmの間隔をあけて、それぞれ
の相対位置を合わせて2×2の配列に配置した(m=
4)。
【0046】第二電極パターニング用として、マスク部
分の一方の面と補強線との間に隙間が存在する構造のN
i合金からなるシャドーマスクを作製した。シャドーマ
スクの外形は120×84mm、マスク部分の厚さは1
00μmである。1面に対応するマスクパターンとし
て、42mm、幅250μmのストライプ状開口部がピ
ッチ300μmで96本配置されている。1個のシャド
ーマスクには、前記パターンが4面分形成されている
(k=4)。マスク部分の上には、幅35μm、厚さ3
5μm、対向する二辺の間隔が200μmの正六角形構
造からなるメッシュ状の補強線が形成されている。シャ
ドーマスクは発光層用シャドーマスクと同様のステンレ
ス鋼製のフレームに固定されていおり、また、発光層用
シャドーマスクと同様に、4個のシャドーマスクを、そ
れぞれの相対位置を合わせて配置した(m=4)。
【0047】第一電極は以下の通りパターニングした。
厚さ1.1mmの無アルカリガラス基板表面にスパッタ
リング法によって厚さ130nmのITO透明電極が形
成されたITOガラス基板を230×184mmの大き
さに切断した。ITO基板上にフォトレジストを塗布し
て、通常のフォトリソグラフィ法による露光、現像によ
ってフォトレジストをパターニングした。本実施例では
n=m×k=16面の有機電界発光装置を形成すること
を目的としているので、それに対応する配置で第一電極
のパターニングを行う必要があり、パターン露光に用い
るフォトマスクは16面の第一電極パターンがまとめら
れたものを用いた。なお、16面のそれぞれについてパ
ターン露光を繰り返してパターニングすることもでき
る。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フ
ォトレジストを除去することで、16面の有機電界発光
装置に対応するITOをパターニングした。1面に対応
するITOは、長さ38mm、幅80μmのストライプ
形状の第一電極であり、100μmピッチで324本配
置されている。
【0048】スペーサーは以下のように形成した。ポジ
型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、OFPR−
800)をスピンコート法により前記ITO基板上に塗
布し、ホットプレート上で80℃、90秒間プリベーキ
ングした。この塗布膜にフォトマスクを介してパターン
露光を行うが、この場合も前記の第一電極パターニング
と同様に16面の有機電界発光装置に対応する一括露光
をした。現像にはテトラメチルアンモニウムハイドロオ
キサイド(TMAH)水溶液(東京応化工業(株)製、
NMD−3)を用い、その後、ホットプレート上で18
0℃、8分間ベーキングした。このようにして形成した
スペーサーは、幅70μm、長さ235μmの開口部を
幅方向に324個、長さ方向に96個もち、それぞれの
開口部が第一電極の中央部を露出するように配置されて
いる。本スペーサーはマスク傷を防止するマスク傷防止
層と、第一電極のエッジ部分を覆う絶縁層との機能を有
している。
【0049】前記スペーサーを形成したITO基板を洗
浄した後、真空蒸着機内にセットした。本蒸着機では、
真空中においてそれぞれ10μm程度の精度で基板とマ
スクの位置合わせができ、マスクを交換することが可能
である。
【0050】発光層を含む薄膜層は、抵抗線加熱方式に
よる真空蒸着法によって以下のように形成した。なお、
蒸着時の真空度は2×10-4Pa以下であり、蒸着中は
蒸着源に対して基板を回転させた。
【0051】まず、それぞれ16面の発光エリア全面に
銅フタロシアニンを15nm、ビス(N−エチルカルバ
ゾール)を60nm蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0052】次に、4個の発光層用シャドーマスクを基
板前方に配置して両者を密着させ、基板後方にはフェラ
イト系板磁石(日立金属(株)製、YBM−1B)を配
置した。この際、ストライプ状第一電極がシャドーマス
クのストライプ状開口部の中心に位置し、補強線がスペ
ーサーの位置と一致し、かつ補強線とスペーサーが接触
するように配置される。磁性体からなるシャドーマスク
を磁力によって基板に密着させても、実際にはスペーサ
ー部分とシャドーマスクとが密着し、最終的に発光する
スペーサーの開口部に形成された正孔輸送層には傷がつ
かない。
【0053】この状態で、0.3wt%の1,3,5,
7,8−ペンタメチル−4,4−ジフロロ−4−ボラ−
3a,4a−ジアザ−s−インダセン(PM546)を
ドーピングした8−ヒドロキシキノリン−アルミニウム
錯体(Alq3)を20nm蒸着し、G発光層をパター
ニングした。
【0054】次に、前記G発光層のパターニングと同様
にして、シャドーマスクを1ピッチ分ずらした位置の第
一電極パターンに位置合わせして、1wt%の4−(ジ
シアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジルス
チリル)−ピラン(DCJT)をドーピングしたAlq
3を15nm蒸着して、R発光層をパターニングした。
前記R発光層のパターニングと同様にして、シャドー
マスクをさらに1ピッチ分ずらした位置の第一電極パタ
ーンに位置合わせして、4,4’−ビス(2,2’−ジ
フェニルビニル)ジフェニル(DPVBi)を15nm
蒸着して、B発光層をパターニングした。RGBそれぞ
れの発光層は、ストライプ状第一電極の3本ごとに配置
され、第一電極の露出部分を完全に覆っている。
【0055】次に、DPVBiを35nm、Alq3を
10nmそれぞれ16面の発光エリア全面に蒸着して電
子輸送層を形成した。この後に、薄膜層をリチウム蒸気
に曝してドーピング(膜厚換算量0.5nm)した。
【0056】第二電極は抵抗線加熱方式による真空蒸着
法によって以下のように形成した。なお、蒸着時の真空
度は3×10-4Pa以下であり、蒸着中は2つの蒸着源
に対して基板を回転させた。
【0057】前記発光層のパターニングと同様に、第二
電極用シャドーマスク4個を基板前方に配置して両者を
密着させ、基板後方には磁石を配置した。この際、スト
ライプ状の開口部は第一電極と直交するように、かつ、
スペーサーがマスク部分の位置と一致するように両者は
配置される。この状態でアルミニウムを240nmの厚
さに蒸着して第二電極をパターニングした。最後に、一
酸化珪素を150nm抵抗加熱蒸着法によって基板全面
に蒸着して、保護層を形成した。
【0058】真空蒸着機から取り出した16面のパター
ンが形成された1枚の基板を切断し、16個の有機電界
発光装置に分割した。幅80μm、ピッチ100μm、
本数324本のITOストライプ状第一電極上に、パタ
ーニングされたRGBそれぞれの発光層を含む薄膜層が
形成され、第一電極と直交するように幅250μm、ピ
ッチ300μmのストライプ状第二電極が96本配置さ
れた単純マトリクス型カラー有機電界発光装置が作製で
きた。R、G、Bの3つの発光領域が1画素を形成する
ので、本発光装置は300μmピッチで108×96画
素を有する。
【0059】本実施例により明らかなように、それぞれ
4面のマスクパターンを有する4個のシャドーマスクを
用いて、発光層や第二電極のパターニングに必要な蒸着
工程を同時に実施し、第二電極形成後に切断することに
より、16個の有機電界発光装置を一度に作製できた。
16個の有機電界発光装置すべてのパターニング精度は
±15μmの許容誤差より小さく、効率的な製造が可能
になった。
【0060】実施例2 第二電極のパターニングまでは実施例1と同様にした。
次に、真空蒸着機から取り出した16面のパターンが形
成された1枚の基板を切断し、16個の発光装置に分割
し、それらをロータリーポンプによる減圧雰囲気下で2
0分間保持した後、露点−90℃以下のアルゴン雰囲気
下に移した。この低湿雰囲気下にて、基板と封止用ガラ
ス板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせること
で封止し、樹脂が完全に硬化してから大気中に取り出し
た。封止により有機電界発光装置の主要劣化原因である
水分の影響や機械的な擦りの問題から発光領域を保護す
ることができるので、実施例1に比べて耐環境性により
優れる16個の有機電界発光装置を一度に作製した。
【0061】なお、基板の切断前に1枚の基板と16枚
の封止板、あるいは、1枚の基板と1枚の封止板とを一
度に封止し、大気中に取り出した後で基板あるいは基板
と封止板を切断することで、16個の有機電界発光装置
を一度に作製することも可能である。
【0062】比較例1 発光層および第二電極パターニング用として、1面に対
応するマスクパターンは実施例1と同じであるが、図2
のように1個のシャドーマスクに本パターンが16面形
成されたシャドーマスクを作製した(k=16)。シャ
ドーマスクの外形は230×184mmであり、外形が
等しい幅4mmのステンレス鋼製フレームに固定されて
いる。本比較例では、1個のシャドーマスクを用いて
(m=1)、n=m×k=16面の有機電界発光装置を
形成することを目的としている。
【0063】その後は実施例1と同様にして、1枚の基
板から16個の有機電界発光装置を一度に作製した。し
かしながら、実施例1に比べてシャドーマスクが大型化
し、寸法精度が悪化したために、パターニング精度が±
15μmの許容誤差より小さく収まった有機電界発光装
置は16個中わずか4個であった。
【0064】比較例2 発光層および第二電極パターニング用として、1面に対
応するマスクパターンが実施例1と同じで、1個のシャ
ドーマスクに本パターンが1面のみ形成されたシャドー
マスクを作製した(k=1)。シャドーマスクの外形は
60×47mmであり、外形が等しい幅4mmのステン
レス鋼製フレームに固定されている。本比較例では、図
3のように16個のシャドーマスクを用いて(m=1
6)、n=m×k=16面の有機電界発光装置を形成し
た。
【0065】このように作製した16個のシャドーマス
クを、長辺方向に10mm、短辺方向に16mmの実施
例1と同じ間隔をあけて、それぞれの相対位置を合わせ
て4×4の配列に配置した。この位置合わせには実施例
1の約4倍の時間を要した。
【0066】ITOガラス基板を270×220mmの
大きさに切断して用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、1枚の基板から16個の有機電界発光装置を一度に
作製した。16個の有機電界発光装置すべてのパターニ
ング精度は±15μmの許容誤差より小さかったが、シ
ャドーマスクを細かく分割しすぎたために、シャドーマ
スクのフレームや隙間などの無駄な面積が増大し、実施
例1と同じ数の有機電界発光装置を得るために、実施例
1より大きな基板が必要となった。したがって、1枚の
基板における膜厚ムラが大きくなり、16個の有機電界
発光装置の発光特性のバラツキが実施例1に比べて大き
くなった。
【0067】実施例3 マスク傷防止兼絶縁層として機能する第一のスペーサー
の形成までは実施例1と同様にした。次に、隔壁として
機能する第二のスペーサーを以下のように形成した。ポ
リイミド系感光性コーティング剤(東レ(株)製、UR
−3100)をスピンコートし、クリーンオーブン中、
窒素雰囲気下で80℃、1時間プレベーキングした。次
に、この塗布膜にフォトマスクを介して16面のパター
ンを一括露光した後、現像液(東レ(株)製、DV−5
05)を用いて現像した。その後クリーンオーブン中で
180℃、30分間、さらに220℃で30分間ベーキ
ングを行って、第一電極と直交する隔壁を形成した。こ
の半透明で電気絶縁性の隔壁は絶縁層上に位置してお
り、1面に対応するパターンは、長さ44mm、幅30
μm、高さ4μmであり、300μmピッチで97本配
置されている。
【0068】電子輸送層の形成までは実施例1と同様に
行った。第二電極の形成においては、第二のスペーサー
を隔壁法における隔壁として利用し、隔壁が存在する領
域にアルミニウムを斜め蒸着して第二電極パターニング
を行った。
【0069】その後の保護層形成と切断は実施例1と同
様に行って、16個の有機電界発光装置を一度に作製し
た。16個の有機電界発光装置すべてのパターニング精
度は±15μmの許容誤差より小さく、実施例1と同様
の効率的な製造ができた。
【0070】実施例4 正孔輸送層の形成までは実施例1と同様にした。次に、
0.3wt%のPM546をドーピングしたAlq3を
15nm、さらに、Alq3を35nm、それぞれ16
面の発光エリア全面に蒸着した。すなわち、本実施例で
は発光層をパターニングしなかった。この後に、薄膜層
をリチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換算量0.5
nm)した。
【0071】第二電極および保護層の形成と、その後の
切断は実施例1と同様にして、16個のG発光モノクロ
有機電界発光装置を得た。このように、モノクロディス
プレイにおいても同時に複数個の有機電界発光装置を得
ることができ、効率的な製造が可能であった。
【0072】
【発明の効果】本発明では1面に1個のシャドーマスク
を対応させる従来法に比べてシャドーマスクの数を減ら
すことができる。したがって、位置合わせの手間が省力
化できる。また、蒸着無効エリアの面積を減少させるこ
とができるので、同じ数の有機電界発光装置を得るため
に必要な基板サイズが小さくて済む。基板サイズが小さ
いと蒸着装置も小さくて済み、同じ条件で蒸着したとき
の膜厚ムラもより少なくなるので、より特性の揃った有
機電界発光装置を効率よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマスク蒸着法によるパターニング方法
を説明する概念図。
【図2】1枚の基板に1個のシャドーマスクを対応させ
た従来のパターニング方法を説明する概念図。
【図3】1面に1個のシャドーマスクを対応させた従来
のパターニング方法を説明する概念図。
【符号の説明】
1 基板 30 シャドーマスク 34 フレーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB04 AB18 BA06 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00 FA01 4K029 AA09 BA62 BD00 CA01 HA03 5C094 AA43 AA46 AA48 BA12 BA27 CA19 CA24 DA13 FB01 FB14 GB10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一電極が形成された1枚の基板上に、n
    面(nは3以上の整数)の少なくとも有機化合物からな
    る発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し、その
    後、基板をn個に切断する工程を含む有機電界発光装置
    の製造方法であって、前記発光層もしくは前記第二電極
    の少なくとも一方を、1枚の基板に対してm個(mは2
    以上n未満の整数)のシャドーマスクを配置させたマス
    ク蒸着法によりパターニングすることを特徴とする有機
    電界発光装置の製造方法。
  2. 【請求項2】1個のシャドーマスクがk面(kは2以上
    n未満の整数)に対応したマスクパターンを有してお
    り、n=m×kであることを特徴とする請求項1記載の
    有機電界発光装置の製造方法。
  3. 【請求項3】シャドーマスクの厚さが500μm以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光装置
    の製造方法。
  4. 【請求項4】第一電極を間隔をあけて配置された複数の
    ストライプ状電極にパターニングし、第二電極を前記第
    一電極に交差する複数のストライプ状電極にパターニン
    グすることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光装
    置の製造方法。
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