JP3456423B2 - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法

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JP3456423B2
JP3456423B2 JP28129098A JP28129098A JP3456423B2 JP 3456423 B2 JP3456423 B2 JP 3456423B2 JP 28129098 A JP28129098 A JP 28129098A JP 28129098 A JP28129098 A JP 28129098A JP 3456423 B2 JP3456423 B2 JP 3456423B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子、フラッ
トパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリ
ア、標識、看板、電子写真機などの分野に利用可能な、
電気エネルギーを光に変換できる有機電界発光素子の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極から注入された電子と陽極から注入
された正孔とが、両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合
して発光するという有機電界発光素子の研究が近年活発
に行われるようになってきた。この素子は、薄型、低駆
動電圧下での高輝度発光、蛍光材料を選ぶことによる多
色発光が特徴であり注目を集めている。
【0003】有機電界発光素子が低電圧で高輝度に発光
することは、イーストマン・コダック社のC.W.Tangらに
よって初めて示された(Appl.Phys.Lett.,51(12)913(198
7).)。ここに示された有機電界発光素子の代表的な構成
は、ITO透明電極膜が形成されたガラス基板上に、蒸
着法によって正孔輸送性のジアミン化合物、発光層であ
る8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、そして陰極と
してMg:Agを順次設けたものであり、10V程度の
駆動電圧で1000cd/m2の緑色発光が可能であっ
た。現在の有機電界発光素子は、上記の素子構成要素の
他に電子輸送層を設けるなど構成を変えているものもあ
るが、基本的にはC.W.Tangらの構成を踏襲している。
【0004】高輝度および多色発光が可能であるこれら
の有機電界発光素子を表示素子などに利用する検討も盛
んである。しかし、日経エレクトロニクス1996.1.29(N
o.654)p.102にも指摘されているように、素子のパター
ン加工が1つの大きな問題となっている。例えば、フル
カラーディスプレイの場合では、所定の位置に赤(R),
緑(G),青(B)の発光層を形成する必要がある。従来、
このようなパターン加工はフォトリソグラフィ法に代表
されるウエットプロセスによって達成されたが、有機電
界発光素子を形成する有機膜は水分や有機溶媒、薬液に
対する耐久性に乏しい。特開平6−234969号公報
に代表されるように、有機材料を工夫することによりウ
エットプロセスの可能な素子が得られることも示されて
いるが、このような方法では素子に用いる有機材料が限
定されてしまう。さらに、表示素子に必要な有機層上部
の電極のパターン加工についても同様の問題がある。
【0005】このような理由から従来は、蒸着法に代表
されるドライプロセスによって有機電界発光素子を製造
し、パターン加工にはマスク蒸着法を利用し、実現する
ことが多かった。つまり、素子の基板前方にシャドーマ
スクを配置して、シャドーマスク開口部のみに有機層あ
るいは電極を蒸着するものである。
【0006】さらに、ウエットプロセスを用いないパタ
ーニング法として、特開平5−275172号公報、特
開平5−258859号公報、特開平5−258860
号公報などに開示されている隔壁法が知られている。第
一電極パターニング後の基板上に平行に配置したストラ
イプ状の隔壁を作製し、その基板に隔壁に対して垂直方
向、基板面に対して斜めの方向から発光材料や第二電極
材料を蒸着することによってパターニングする方法であ
る。また、特開平8−315981号公報に開示されて
いる隔壁法では、T字断面形状または断面形状の1部も
しくは全部が逆テーパーであるオーバーハング部を有す
る隔壁が形成された基板に垂直に蒸着して第二電極をパ
ターニングしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】発光層を含む薄膜層や
その上に形成する第二電極は、マスク蒸着法を用いる場
合にも、隔壁法を用いる場合にも真空装置内の作業工程
を経ることが不可欠であり、これらの工程が発光素子の
生産性を決める要素となり、素子の生産コストに重要な
影響を与える。
【0008】本発明はかかる問題を解決し、素子生産性
を向上し、コストダウンが可能な有機電界発光素子の製
造方法を提供する。
【0009】前記目的を達成するために、本発明の有機
電界発光素子の製造方法は次のことを特徴とする。すな
わち、基板上に形成された第一電極上に少なくとも有機
化合物からなる発光層を含むn面(nは2以上の整数)
薄膜層を形成する工程と、前記薄膜層上にn面の第二
電極を形成する工程と、前記第二電極形成後に前記基板
をn個に切断する工程とを含む有機電界発光素子の製造
方法であって、それぞれがフレームに取り付けられ、互
いに位置合わせされた複数個のシャドーマスクを前記基
板上に同時に配置させた状態で、発光層もしくは第二電
極の少なくとも一方をマスク蒸着法によりパターニング
することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における有機電界発光素子
とは、陽極と陰極との間に少なくとも有機化合物からな
る発光層が存在し、電気エネルギーにより発光する素子
である。
【0011】本発明の有機電界発光素子の製造方法は、
1枚の基板上にn面(nは2以上の整数)の発光素子を
同時に形成するものであり、基板上に形成された第一電
極上に少なくとも有機化合物からなる発光層を含むn面
(nは2以上の整数)の薄膜層を形成する工程と、前記
薄膜層上にn面の第二電極を形成する工程と、前記第二
電極形成後に前記基板をn個に切断する工程とを含む有
機電界発光素子の製造方法であって、それぞれがフレー
ムに取り付けられ、互いに位置合わせされた複数個のシ
ャドーマスクを前記基板上に同時に配置させた状態で、
発光層もしくは第二電極の少なくとも一方をマスク蒸着
法によりパターニングすることを特徴とする。この製造
方法は、単一発光素子、セグメント型、単純マトリクス
型、アクティブマトリクス型などの発光装置の形式や、
カラー、モノクロなどの発光色数を問わず任意の構造の
有機電界発光素子に適用することが可能である。
【0012】第一電極として酸化錫インジウム(以下I
TO)透明電極膜を形成したガラス基板を用い、必要に
応じてフォトリソグラフィ法で第一電極をパターニング
することができる。第一電極のパターニングは形成する
発光素子の仕様により異なる。モノクロの単一素子の場
合から画素数の多いカラーディスプレイまで各種の有機
電界発光素子の製造に対応することが可能である。作製
しようとする発光素子のサイズと基板のサイズから配置
できる面数が決まってくるが、本発明の目的は1枚の基
板上にn面(nは2以上の整数)の有機電界発光素子を
同時に形成することにあり、最低でも2面の発光素子を
1枚の基板上に製造し、第二電極形成工程後に基板を切
断してn個の有機電界発光素子を得る。
【0013】第一電極のパターニング後に、少なくとも
一部分が薄膜層の厚さを上回る高さをもつスペーサーを
基板上に形成することもできる。このスペーサーは隔壁
法における隔壁として機能させたり、マスク蒸着法にお
いてシャドーマスクが薄膜層を傷つけることを防止する
層として機能させたり、発光領域を規定したり第一電極
のエッジ部分を覆うための絶縁層として機能させること
ができる。
【0014】第一電極に対応して、少なくとも有機化合
物からなる発光層を含む薄膜層および第二電極を形成し
て有機電界発光素子を形成する。発光層および第二電極
のパターニング法は限定されるものではなく、隔壁法を
用いることもできるが、少なくとも一方をマスク蒸着法
によってパターニングする。マスク蒸着法を用いる工程
の選択は、形成しようとする発光素子の機能に対応して
行うことができる。例えば、モノクロ発光素子において
は第二電極の形成工程が適当である。また、カラーディ
スプレイにおいては、いずれか一方の工程でマスク蒸着
を行い、他方は隔壁法を用いることもできるし、両方の
パターニング工程をマスク蒸着法で実施することもでき
る。また、第二電極のパターニングを隔壁法で行う場合
でも、蒸着エリアを規制するためにシャドーマスクを併
用することが多い。
【0015】マスク蒸着法でパターニングを行う場合、
1枚の基板に対してn個のシャドーマスクを配置させた
状態で発光層もしくは第二電極の少なくとも一方のパタ
ーニングを実施する。マスク蒸着法では、目的するパタ
ーニングに対応した開口部とマスク部を形成したシャド
ーマスクを基板の前面に配置してそれぞれの材料を蒸着
するが、n面の発光素子を同時にマスク蒸着法で形成す
るためには、n面の発光素子に対応したそれぞれのシャ
ドーマスクが配置されることが必要である。この際、n
面の発光素子が同一のものであればシャドーマスクも同
一の仕様のものを用いる。また、第一電極のパターニン
グ仕様が異なるものが混在する場合においては、異なる
仕様のシャドーマスクを対応させて用いることになる。
【0016】シャドーマスク自体は剛直性や機械的強度
が十分でない場合が多いので、機械的強度の十分な材料
でできたフレームに取り付けて用いられる。本発明の1
枚の基板上にn面(nは以上の整数)の有機電界発光
素子を同時に形成する方法では、n個のフレームにそれ
ぞれシャドーマスクを取り付けたものを同時に配置して
用いる。これを「分割タイプ」と呼称する。この場合、
それぞれ独立したn個のシャドーマスクを用いるので、
マスクの取り替えの自由度が大きく、またマスクはそれ
ぞれ個別に位置合わせすることができるので精度の高い
パターニングが可能になる。
【0017】
【0018】
【0019】1枚の基板に作製したn面(nは2以上の
整数)の有機電界発光素子は、第二電極のパターニング
工程の後に切断されてn個の有機電界発光素子とする
が、真空装置内での切断は困難であり、外気の水分や酸
素による発光特性の劣化を防ぐため第二電極上に保護膜
を形成した後に切断することが好ましい。保護層の材料
としては、酸化珪素、酸化ガリウム、酸化チタン、窒化
珪素などの無機材料、各種高分子材料、有機電界発光素
子を構成する有機材料を用いることができる。なかでも
窒化珪素は水分に対するバリア性に優れた好適な保護層
材料である。これらの保護層は蒸着法、スパッタリング
法、CVD法などによって形成されるが、用いる材料に
よってはマスク蒸着法など既知の方法で保護層をパター
ニングして形成することもできる。さらに、第二電極パ
ターニングの後、n個の発光素子に切断した後に公知技
術を用いて発光領域の封止を行ってもよい。
【0020】本発明は1枚の基板にn面(nは2以上の
整数)の有機電界発光素子を同時に作製するものである
が、素子作製の手順や用いる方法と材料は1面ずつの作
製においてと全く同様である。形成する有機電界発光素
子の代表的な構造の断面図1および図2に示す。ガラ
ス基板1に形成された透明な第一電極(陽極)2上に正
孔輸送層5、有機発光層6、電子輸送層7、第二電極
(陰極)8が積層されている。さらに第二電極の間にス
ペーサー4が形成されているが、スペーサーの形状は限
定されるわけではなく目的に応じて最適化すればよい。
【0021】本発明においては、n面(nは2以上の整
数)の有機電界発光素子に対応して1枚の基板をn分割
した位置に第一電極を形成することが好ましく、以降の
薄膜層の形成、第二電極の形成はそれぞれがこれに位置
合わせして実施される。
【0022】本発明では、第一電極を所定の間隔をあけ
て配置された複数のストライプ状電極にパターニング
し、第二電極はそれらに対して交差する複数のストライ
プ状電極にパターニングすることが好ましく、第一電極
と第二電極の交差部が発光領域となり、マトリクスが形
成される。
【0023】シャドーマスクには蒸着部分となる開口部
と非蒸着部分となるマスク部分が存在するが、例えば、
ストライプ状の第二電極パターンに対応するシャドーマ
スクにおいては、マスク部分が糸のように細くなり、撓
みなどによって開口部形状が変形するという問題があ
る。このような問題に対しては、ストライプ状開口部の
変形を防止するために開口部を横切るように補強線を導
入してシャドーマスクの強度を向上させる手段が採用さ
れている。マトリクス状に形成される発光層形成に用い
るシャドーマスクに配置される補強線とストライプ状で
連続した導線として機能する第二電極の形成に用いるシ
ャドーマスクに配置される補強線とは、設置する位置が
異なり、それぞれ支障のないように工夫される。図3に
発光層パターニングに用いるシャドーマスクの一例を示
し、図4に第二電極パターニングに用いるシャドーマス
クの一例を示したが、これらに限定されるものではな
い。
【0024】このような微細なパターンに対応するシャ
ドーマスクは、非蒸着部となるマスク部分の機械的強度
が不足するので、n面の有機電界発光素子に対応する1
枚のシャドーマスクを1個の開口部を有するフレームに
取り付けたようなものよりも、n面に対応するn枚のシ
ャドーマスクをそれぞれn個のフレームに取り付けて用
る本発明の方法が、シャドーマスクの強度や精度を保
持するのに効果的であり、結果として有機電界発光素子
の製造歩留まりを高くすることになる。本発明の効果を
十分に発揮するため、シャドーマスクの厚みは500μ
m以下であることが好ましい。シャドーマスクの好まし
い厚みは、マスク部分の幅の3倍以下、より好ましくは
2倍以下である。開口部をエッチング法で除去して作製
する場合と電鋳法のようにマスク部を形成して作製する
場合などシャドーマスクの作製方法によって、制約され
る条件が異なるので、選択できる厚さの範囲も異なって
くる。本発明に用いるような微細なマスク部分幅を有す
るシャドーマスクの作製は、これに限定されるものでは
ないが、電鋳法が好ましい。電鋳法において、微細パタ
ーンの形成に用いるフォトレジストの有効アスペクト比
は2〜3であり、マスク部幅の最小寸法を基準とすれ
ば、シャドーマスクの厚みはその3倍以下が好ましく、
より好ましくは2倍以下となる。本発明のマスク蒸着法
で用いるシャドーマスクのマスク部分幅は、発光層用の
場合200μm程度であり、用いるマスクの好ましい厚
みは500μm以下となる。補強線を用いたシャドーマ
スクでは、その線幅が25μm程度であり、このマスク
部の作製を考慮すると、用いられるマスク厚みは50μ
m程度が好ましいことになる。
【0025】発光層および第二電極のマスク蒸着法に用
いられるシャドーマスクは、ステンレス鋼、銅合金、鉄
ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属系材料、各
種樹脂系材料を用いて作製されるが、特に限定されるも
のではない。パターンが微細なためマスクの強度が十分
ではなく、有機電界発光素子の基板との密着性を磁力に
よって向上させることが必要な場合には、マスク材とし
て磁性材料を用いることが好ましい。その材料として
は、純鉄、炭素鋼、W鋼、Cr鋼、Co鋼、KS鋼など
の焼入硬化磁石材料、MK鋼、Alnico鋼、NKS
鋼、Cunico鋼などの析出硬化磁石材料、OPフェ
ライト、Baフェライトなどの焼結磁石材料、ならびに
Sm−Co系やNd−Fe−B系に代表される各種希土
類磁石材料、珪素鋼板、Al−Fe合金、Ni−Fe合
金(パーマロイ)などの金属磁心材料、Mn−Zn系、
Ni−Zn系、Cu−Zn系などのフェライト磁心材
料、カーボニル鉄、Moパーマロイ、センダストなどの
微粉末を結合材と共に圧縮成型させた圧粉磁心材料が挙
げられる。これらの磁性材料を薄い板状に成形したもの
からマスクを作製することが望ましいが、ゴムや樹脂に
磁性材料の粉末を混入してフィルム状に成形したものを
用いることもできる。
【0026】シャドーマスクの製造方法は、特に限定さ
れるものではなく、機械的研磨法、サンドブラスト法、
焼結法、レーザー加工法などの方法を利用することがで
きるが、加工精度に優れるエッチング法、電鋳法、フォ
トリソグラフィ法を利用することが好ましい。中でも電
鋳法はマスク部分を比較的容易に成形できるので特に好
ましいシャドーマスクの製造方法である。
【0027】フルカラー表示の有機電界発光素子は、赤
(R)、緑(G)、青(B)の3色の領域に発光ピーク
波長を有する3つの発光色に対応してパターニングされ
た3種類の発光層を有する。このようなフルカラー有機
電界発光素子の1つの発光層パターニングは、開口部を
第一電極のピッチで3ピッチ毎に形成したシャドーマス
クを用いて行う。第1の色の発光層をパターニングした
後、1ピッチ分だけ基板とシャドーマスクの相対位置を
動かして第2の色の発光層を作製し、さらに1ピッチ分
だけ相対位置を動かして第3の色の発光層を形成する。
しかし、フルカラー有機電界発光素子の発光層の形成
も、この方法に限定されることはなく、1つの発光層の
マスク蒸着を2回以上に分割して実施するなどの方法を
用いることもある。
【0028】スペーサーは第一電極に接する状態で形成
されることが多いために、十分な電気絶縁性を有するこ
とが好ましい。導電性のスペーサーを用いることもでき
るが、その場合は電極間の短絡を防止するための電気絶
縁性部分を形成すればよい。スペーサー材料としては公
知の材料を用いることが可能であり、無機物では酸化ケ
イ素をはじめとする酸化物材料、ガラス材料、セラミッ
クス材料などを、有機物ではポリビニル系、ポリイミド
系、ポリスチレン系、アクリル系、ノボラック系、シリ
コーン系などのポリマー系樹脂材料を好ましい例として
挙げることができる。さらに、スペーサーの全体、もし
くは基板あるいは第一電極と接する部分を黒色化するこ
とで、有機電界発光装置の表示コントラスト向上に寄与
するブラックマトリクス的な機能をスペーサーに付加す
ることもできる。このような場合のスペーサー材料とし
ては、無機物ではケイ素、砒化ガリウム、二酸化マンガ
ン、酸化チタンや酸化クロムと金属クロムとの積層膜な
どを、有機物では上記樹脂材料に、電気絶縁性を高める
ために表面処理の施されたカーボンブラック系、フタロ
シアニン系、アントラキノン系、モノアゾ系、ジスアゾ
系、金属錯塩型モノアゾ系、トリアリルメタン系、アニ
リン系などの公知の顔料や染料、あるいは上記無機材料
粉末を混合した材料を好ましい例として挙げることがで
きる。
【0029】スペーサーのパターニング方法は特に限定
されないが、第一電極のパターニング工程後に基板全面
にスペーサー層を形成し、公知のフォトリソ法を用いて
パターニングする方法が工程的に容易である。フォトレ
ジストを使用したエッチング法あるいはリフトオフ法に
よってスペーサーをパターニングしてもよいし、例示し
た上記樹脂材料に感光性を付加させた感光性スペーサー
材料を用い、スペーサー層を直接露光、現像することで
パターニングすることもできる。
【0030】第一電極と第二電極は素子の発光のために
十分な電流を供給するための役割を有するものであり、
光を取り出すために少なくとも一方は透明であることが
望ましい。通常、基板上に形成される第一電極を透明電
極とし、これを陽極とする。
【0031】好ましい透明電極材料としては、酸化錫、
酸化亜鉛、酸化インジウム、ITOなどをあげることが
できる。パターニングを施す目的からは、加工性に優れ
たITOを用いることが好ましい。
【0032】第一電極をパターニングする工程には、ウ
エットエッチングを伴うフォトリソグラフィ法を用いる
ことができる。第一電極のパターン形状は特に限定され
ず、用途によって最適パターンを選択すればよい。本発
明では一定の間隔をあけて配置された複数のストライプ
状電極にパターニングすることが好ましい。
【0033】透明電極の表面抵抗を下げたり、電圧降下
抑制のために、ITOには少量の銀や金などの金属が含
まれていてもよく、また、錫、金、銀、亜鉛、インジウ
ム、アルミニウム、クロム、ニッケルをITOのガイド
電極として使用することも可能である。特に、クロムは
ブラックマトリックスとガイド電極の両方の機能を持た
せることができることから好適な金属である。素子の消
費電力の観点からは、ITOは低抵抗であることが望ま
しい。例えば、300Ω/□以下のITO基板(ITO
薄膜を形成した透明基板)であれば素子電極として機能
するが、現在では10Ω/□程度のITO基板の供給も
可能になっていることから、低抵抗品を使用することが
特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて選ぶこ
とができるが、通常100〜300nmである。ITO
膜形成方法は、電子ビーム法、スパッタリング法、化学
反応法など特に制限を受けるものではない。
【0034】透明電極は可視光線透過率が30%以上あ
れば使用に大きな障害はないが、理想的には100%に
近い方が好ましい。基本的には可視光全域において同程
度の透過率をもつことが好ましいが、発光色を変化させ
たい場合には積極的に光吸収性を付与させることも可能
である。このような場合にはカラーフィルターや干渉フ
ィルターを用いて変色させる方法が技術的に容易であ
る。
【0035】基板の材料は、表示または発光素子として
機能するに適した光学的透明性、機械的強度、耐熱性な
どを有するものであれば、材質は特に限定されない。ポ
リメチルメタクリレート、ポリカーボネート、無定形ポ
リオレフィンなどのプラスチック板やフィルム類を用い
ることができるが、ガラス板を用いるのが最も好まし
い。ガラスの材質については、無アルカリガラスや酸化
珪素膜などのバリアコートを施したソーダライムガラス
などが使用できる。厚みは機械的強度を保つのに十分な
厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分であ
る。
【0036】上記第一電極もしくは基板には、公知技術
を用いて反射防止機能を付加することができる。
【0037】有機電界発光素子に含まれる薄膜層として
は、1)正孔輸送層/発光層、2)正孔輸送層/発光層
/電子輸送層、3)発光層/電子輸送層、そして4)以
上の組合せ物質を一層に混合した形態の発光層、のいず
れであってもよい。すなわち、素子構成として有機化合
物からなる発光層が存在していれば、上記1)〜3)の
多層積層構造の他に4)のように発光材料単独または発
光材料と正孔輸送材料や電子輸送材料を含む発光層を一
層設けるだけでも良い。
【0038】正孔輸送層は正孔輸送性物質単独で、ある
いは正孔輸送性物質と高分子結着剤により形成される。
正孔輸送性物質としては、N,N’−ジフェニル−N,
N’−ジ(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニ
ル−4,4’−ジアミン(TPD)やN,N’−ジフェ
ニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ジフェニル−
4,4’−ジアミン(NPD)などに代表されるトリフ
ェニルアミン類、N−イソプロピルカルバゾール、ビス
カルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系
化合物、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体
やフタロシアニン誘導体に代表される複素環化合物、ポ
リマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネー
トやポリスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポ
リシラン、ポリフェニレンビニレンなどが好ましいが、
特に限定されるものではない。
【0039】第一電極上にパターニングして形成される
発光層の材料は、アントラセンやピレン、そして8−ヒ
ドロキシキノリンアルミニウムの他には、例えば、ビス
スチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエ
ン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、
ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペ
リノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、チアジアゾ
ロピリジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビ
ニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そしてポリ
チオフェン誘導体などが使用できる。また、発光層に添
加するドーパントとしては、ルブレン、キナクリドン誘
導体、フェノキサゾン660,DCM1、ペリノン、ペ
リレン、クマリン540,ジアザインダセン誘導体など
がそのまま使用できる。
【0040】電子輸送性物質としては、電界を与えられ
た電極間において陰極からの電子を効率よく輸送するこ
とが必要で、電子注入効率が高く、注入された電子を効
率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和
性が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性
に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に
発生しにくい物質であることが要求される。このような
条件を満たす物質として8−ヒドロキシキノリンアルミ
ニウム、ヒドロキシベンゾキノリンベリリウム、2−
(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)
−1,3,4−オキサジアゾール(t−BuPBD)な
どのオキサジアゾール系誘導体、薄膜安定性を向上させ
たオキサジアゾール二量体系誘導体の1,3−ビス(4
−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジゾリル)
ビフェニレン(OXD−1)、1,3−ビス(4−t−
ブチルフェニル−1,3,4−オキサジゾリル)フェニ
レン(OXD−7)、トリアゾール系誘導体、フェナン
トロリン系誘導体などがある。
【0041】以上の正孔輸送層、発光層、電子輸送層に
用いられる材料は単独で各層を形成することができる
が、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリ
レート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレン
エーテル、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶
性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、
ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬
化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
【0042】上記正孔輸送層、発光層、電子輸送層など
の有機層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸
着、スパッタリング法などがある。特に限定されるもの
ではないが、通常は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着な
どの蒸着法が特性面で好ましい。層の厚みは、有機層の
抵抗値にもよるので限定することはできないが、経験的
には10〜1000nmの間から選ばれる。
【0043】第二電極となる陰極は、電子を本素子の発
光層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されな
い。従って、アルカリ金属などの低仕事関数金属の使用
も可能であるが、電極の安定性を考えると、白金、金、
銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、マグネシウム、インジ
ウムなどの金属、またはこれら金属と低仕事関数金属と
の合金などが好ましい例として挙げられる。また、あら
かじめ有機層に低仕事関数金属を微量ドーピングしてお
き、その後に比較的安定な金属を陰極として成膜するこ
とで、電極注入効率を高く保ちながら安定な電極を得る
こともできる。これらの電極の作製法も抵抗加熱蒸着、
電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グ法などのドライプロセスが好ましい。
【0044】電気エネルギーとは主として直流電流を指
すが、パルス電流や交流電流を用いることも可能であ
る。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消
費電力、寿命を考慮するとできるだけ低いエネルギーで
最大の輝度が得られるようにするべきである。
【0045】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を説明するが、
本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0046】実施例1 発光層パターニング用として、図3に示したようにマス
ク部分と補強線とが同一平面内に形成された同一のシャ
ドーマスク12枚を作製した。1枚のシャドーマスクの
外形は120×84mm、マスク部分31の厚さは25
μmであり、長さ64mm、幅100μmのストライプ
状開口部32がピッチ300μmで272本配置されて
いる。各ストライプ状開口部には、開口部と直交する幅
20μm、厚さ25μmの補強線33が1.8mm間隔
に形成されている。それぞれのシャドーマスクは外形が
等しい幅4mmのステンレス鋼製フレーム34に固定さ
れている。このように作製した12枚のシャドーマスク
を4枚づつ3組に分けて用いる。本実施例はn=4で
「分割タイプ」による有機電界発光素子の作製を行う。
本実施例では4枚のシャドーマスクを基板上に上下左右
2枚づつ配置して用いた。
【0047】第二電極パターニング用として、図4およ
び図5に示すようにマスク部分31の一方の面35と補
強線33との間に隙間36が存在する構造の同一のシャ
ドーマスクを4枚用意した。シャドーマスクの外形は1
20×84mm、マスク部分の厚さは100μmであ
り、長さ100mm、幅250μmのストライプ状開口
部32がピッチ300μmで200本配置されている。
マスク部分の上には、幅40μm、厚さ35μm、対向
する二辺の間隔が200μmの正六角形構造からなるメ
ッシュ状の補強線が形成されている。隙間の高さはマス
ク部分の厚さと等しく100μmである。各々のシャド
ーマスクは発光層用シャドーマスクと同様のステンレス
鋼製のフレームに固定して用いられる。
【0048】第一電極は以下の通りパターニングした。
厚さ1.1mmの無アルカリガラス基板表面にスパッタ
リング蒸着法によって厚さ130nmのITO透明電極
が形成されたITOガラス基板(ジオマテック社製)を
240×200mmの大きさに切断した。ITO基板上
にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフ
ィ法による露光、現像によってフォトレジストをパター
ニングした。本実施例では4面の有機電界発光素子を形
成することを目的としているので、それに対応する配置
で第一電極のパターニングを行う必要があり、パターン
露光に用いるフォトマスクは4面の第一電極パターンが
まとめられたものを用いた。また、4面のそれぞれにつ
いて、パターン形成位置をマスク蒸着用のシャドーマス
クの配置に対応させて、パターン露光を繰り返してパタ
ーニングすることもできる。ITOの不要部分をエッチ
ングして除去した後、フォトレジストを除去すること
で、4面の有機電界発光素子に対応してITOを長さ9
0mm、幅70μmのストライプ形状にパターニングし
た。1面当たりのストライプ状第一電極は100μmピ
ッチで816本配置されている。
【0049】スペーサーは以下のように形成した。ポリ
イミド系の感光性コーティング剤(東レ社製、UR−3
100)をスピンコート法により前記ITO基板上に塗
布して、クリーンオーブンによる窒素雰囲気下で80
℃、1時間プリベーキングした。この塗布膜にフォトマ
スクを介してパターン露光を行うが、この場合も前記の
第一電極パターニングと同様に4面の有機電界発光素子
に対応する位置合わせを行って、1枚のフォトマスクを
用いるか、個別にパターン露光を行って感光性コーティ
ング剤のパターニングを行う。現像には東レ社製DV−
505を用い、その後、クリーンオーブン中で180
℃、30分間、さらに250℃、30分間ベーキングし
て、第一電極に直交するスペーサーを形成した。この半
透明なスペーサーは、長さ90mm、幅50μm、高さ
4μmであり、300μmピッチで201本配置されて
いる。このスペーサーの電気絶縁性は良好であった。
【0050】前記スペーサーを形成したITO基板を洗
浄した後、真空蒸着機内にセットした。本蒸着機では、
真空中においてそれぞれ10μm程度の精度で基板とマ
スクの位置合わせができ、マスクを交換することが可能
である。
【0051】発光層を含む薄膜層は、抵抗線加熱方式に
よる真空蒸着法によって以下のように形成した。なお、
蒸着時の真空度は2×10-4Pa以下であり、蒸着中は
蒸着源に対して基板を回転させた。
【0052】まず、図6に示すような配置において、水
晶振動子による膜厚モニター表示値で銅フタロシアニン
を30nm、ビス(N−エチルカルバゾール)を120
nm基板全面に蒸着して正孔輸送層5を形成した。
【0053】次に、第一の発光層用シャドーマスク4
を取り付けた発光層用マスクを基板前方に配置して両者
を密着させ、基板後方にはフェライト系板磁石(日立金
属社製、YBM−1B)を配置した。この際、図7およ
び図8に示したように、ストライプ状第一電極2がシャ
ドーマスクのストライプ状開口部32の中心に位置し、
補強線33がスペーサー4の位置と一致し、かつ補強線
とスペーサーが接触するように、配置される。4のシ
ャドーマスクは個々に精度高く位置合わせを行う。この
状態で、0.3wt%の1,3,5,7,8−ペンタメ
チル−4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジア
ザ−s−インダセン(PM546)をドーピングした8
−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体(Alq3
を43nm蒸着し、G発光層をパターニングした。
【0054】次に、前記G発光層のパターニングと同様
にして、シャドーマスクを交換して、第二の発光層用シ
ャドーマスク4を取り付け、1ピッチ分ずらした位置
の第一電極パターンに位置合わせして、1wt%の4−
(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジ
ルスチリル)−ピラン(DCJT)をドーピングしたA
lq3を30nm蒸着して、R発光層をパターニングし
た。前記R発光層のパターニングと同様にしてシャドー
マスクを交換し、第三の発光層用シャドーマスク4
取り付け、さらに1ピッチ分ずらした位置の第一電極パ
ターンに位置合わせして、4,4’−ビス(2,2’−
ジフェニルビニル)ジフェニル(DPVBi)を40n
m蒸着して、B発光層をパターニングした。RGBそれ
ぞれの発光層は、ストライプ状第一電極の3本ごとに配
置され、第一電極の露出部分を完全に覆っている。
【0055】次に、図9に示したような配置において、
DPVBiを70nm、Alq3を20nm基板全面に
蒸着した。この後に、薄膜層をリチウム蒸気に曝してド
ーピング(膜厚換算量0.5nm)した。
【0056】第二電極は抵抗線加熱方式による真空蒸着
法によって以下のように形成した。なお、蒸着時の真空
度は3×10-4Pa以下であり、蒸着中は2つの蒸着源
に対して基板を回転させた。
【0057】前記発光層のパターニングと同様に、第二
電極用シャドーマスク4を基板前方に配置して両者を
密着させ、基板後方には磁石を配置した。この際、図1
0および図11に示すように、スペーサー4がマスク部
分31の位置と一致するように両者は配置される。4
のシャドーマスクは個々に位置合わせをチェックして精
度を向上させた。この状態でアルミニウムを400nm
の厚さに蒸着して第二電極8をパターニングした。
【0058】最後に、図9に示したような配置におい
て、一酸化珪素を200nm電子ビーム蒸着法によって
基板全面に蒸着して、保護層を形成した。
【0059】真空蒸着機から取り出した4面の発光素子
の形成された基板を切断して、4個の発光素子に分割し
た。幅70μm、ピッチ100μm、本数816本のI
TOストライプ状第一電極上に、パターニングされたR
GBそれぞれの発光層を含む薄膜層が形成され、第一電
極と直交するように幅250μm、ピッチ300μmの
ストライプ状第二電極が200本配置された単純マトリ
クス型カラー有機電界発光素子が作製できた。R、G、
Bの3つの発光領域が1画素を形成するので、本発光素
子は300μmピッチで272×200画素を有する。
【0060】本実施例により明らかなように、それぞれ
のパターニングに必要な蒸着工程を4個の有機電界発光
素子に対して同時に行うことができ、第二電極形成後に
切断することにより、効率的な有機電界発光素子の製造
が可能になった。
【0061】実施例2 正孔輸送層を形成し、G発光層およびR発光層のパター
ニングまでは実施例1と同様に行った。その後、図12
に示したような配置において、DPVBiを100n
m、Alq3を20nm基板全面に蒸着して青色発光層
を兼用する電子輸送層7を形成した。すなわち、本実施
例ではB発光層のパターニングは行わなかった。この後
に、薄膜層をリチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換
算量0.5nm)した。
【0062】その後の第二電極のパターニングおよび保
護層の形成と基板を取り出した後の切断は実施例1と同
様に行った。このようにして実施例1と同様の300μ
mピッチで272×200画素を有する有機電界発光素
子を4個同時に作製することができた。
【0063】作製された発光素子の発光領域は70×2
50μmの大きさでR、G、Bそれぞれ独立の色で均一
に発光した。
【0064】本実施例を繰り返すことで、各工程毎に4
個ずつの有機電界発光素子が製造できる。途中で1枚の
シャドーマスクに損傷が発生したが、このシャドーマス
クだけの交換を行うことにより作業が繰り返し継続でき
た。
【0065】実施例3 電子輸送層の形成までは実施例1と同様に行った。第二
電極の形成においては、第一電極と直交して形成され、
300μmピッチで201本存在するスペーサーを隔壁
法における隔壁として利用し、隔壁が存在する領域にア
ルミニウムを斜め蒸着して第二電極パターニングを行っ
た。その後の保護層形成と切断は実施例1と同様に行っ
て、4個の有機電界発光素子を得た。このように比較的
簡便な工程により同時に複数個の有機電界発光素子を得
ることができ、効率的製造が可能になる。
【0066】実施例4 実施例1と同様の工程により、4面の有機電界発光素子
に対応して第一電極(ITO)を長さ90mm、幅27
0μmのストライプ形状にパターニングした。1面当た
りに第一電極は300μmピッチで272本配置されて
いる。
【0067】スペーサーおよび正孔輸送層の形成は実施
例1と同様にした。
【0068】次に、0.3wt%のPM546をドーピ
ングしたAlq3を30nm蒸着し、さらに、Alq3
70nm基板全面に蒸着した。すなわち、本実施例では
発光層をパターニングしなかった。この後に、薄膜層を
リチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換算量0.5n
m)した。
【0069】第二電極および保護層の形成と、その後の
切断は実施例3と同様にして、4面のG発光モノクロ有
機電界発光素子を得た。作製された発光素子の発光領域
は270×250μmの大きさで均一に発光した。
【0070】このように、モノクロディスプレイにおい
ても比較的簡便な工程により同時に複数個の有機電界発
光素子を得ることができ、効率的製造が可能になる。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、1枚の基板上にn面
(nは2以上の整数)の有機電界発光素子を同時に作製
できるので、生産効率の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で製造される有機電界発光素子の一例を
示す平面図。
【図2】図1のXX’断面図。
【図3】本発明に使用される発光層パターニング用シャ
ドーマスクの一例を示す 平面図。
【図4】本発明に使用される第二電極パターニング用シ
ャドーマスクの一例を示 す平面図。
【図5】図4のXX’断面図。
【図6】正孔輸送層の形成方法の一例を説明するXX’
断面図。
【図7】本発明の発光層パターニング方法の一例を説明
するXX’断面図。
【図8】本発明の発光層パターニング方法の一例を説明
するYY’断面図。
【図9】電子輸送層の形成方法の一例を説明するXX’
断面図。
【図10】本発明の第二電極パターニング方法の一例を
説明するXX’断面図。
【図11】本発明の第二電極パターニング方法の一例を
説明するYY’断面図。
【図12】電子輸送層の形成方法の別の一例を説明する
XX’断面図。
【符号の説明】
1 基板 2 第一電極 4 スペーサー 5 正孔輸送層 6 発光層 7 電子輸送層 8 第二電極 10 薄膜層 11 正孔輸送材料 12 発光材料 13 電子輸送材料 14 第二電極材料 30 シャドーマスク 31 マスク部分 32 開口部 33 補強線 34 フレーム 35 マスク部分の一方の面 36 隙間
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−80142(JP,A) 特開 平7−254486(JP,A) 特開 平10−241859(JP,A) 特開 平10−41069(JP,A) 特開 平10−204615(JP,A) 特開 平9−320758(JP,A) 特開 平10−134964(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28 C23C 14/04 G09F 9/00 340

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された第一電極上に少なくと
    も有機化合物からなる発光層を含むn面(nは2以上の
    整数)の薄膜層を形成する工程と、前記薄膜層上にn面
    第二電極を形成する工程と、前記第二電極形成後に前
    記基板をn個に切断する工程とを含む有機電界発光素子
    の製造方法であって、それぞれがフレームに取り付けら
    れ、互いに位置合わせされた複数個のシャドーマスクを
    前記基板上に同時に配置させた状態で、発光層もしくは
    第二電極の少なくとも一方をマスク蒸着法によりパター
    ニングすることを特徴とする有機電界発光素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】少なくとも一部分が薄膜層の厚さを上回る
    高さをもつスペーサーを基板上に形成する工程を含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子の製造
    方法。
  3. 【請求項3】シャドーマスクの厚さがマスク部分の幅の
    最小寸法の3倍以下であることを特徴とする請求項1記
    載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 【請求項4】シャドーマスクの厚さが500μm以下で
    あることを特徴とする請求項記載の有機電界発光素子
    の製造方法。
  5. 【請求項5】シャドーマスクがn個(nは2以上の整
    数)であることを特徴とする請求項1記載の有機電界発
    光素子の製造方法。
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