JP7049400B2 - 蒸着マスク - Google Patents

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Description

本発明は、蒸着マスクに関し、なかでも、マスク本体を枠体で支持する形態の蒸着マス
クに関する。本発明は、例えば有機EL素子の発光層を形成する際に好適に使用される蒸
着マスクに適用できる。
表示装置を有するスマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器において、機器
の軽量化および駆動時間の長時間化を目的として、液晶ディスプレイに替えて、より軽量
で消費電力が小さな有機ELディスプレイの採用が始まっている。有機ELディスプレイ
は、蒸着マスク法により、基板(蒸着対象)上に有機EL素子の発光層(蒸着層)を形成
することで製造される。このとき、より多くのマスク本体を備える大型化された蒸着マス
クを使用して、一回の蒸着作業でより多くの製品を製造することにより、有機ELディス
プレイの製造コストを低減させることができる。そのため、有機ELディスプレイの製造
メーカーから、蒸着マスクの大型化の要望が高まっている。
蒸着マスク法に用いられる蒸着マスクは、例えば特許文献1に開示されている。係る特
許文献1では、複数のマスク部(蒸着パターン)を備えるメタルマスク(マスク本体)と
、額縁状に形成されてメタルマスクを緊張した状態で固定保持するインバー材からなるフ
レーム(枠体)とで蒸着マスクを構成している。メタルマスクは、フレームに対してスポ
ット溶接で接合されている。
この種の蒸着マスクは、本出願人も提案しており、例えば特許文献2に開示されている
。係る蒸着マスクは、蒸着パターンを備える複数のマスク本体と、マスク本体に対して不
離一体的に接合される補強用の枠体とからなる。枠体はインバー材(低熱線膨張係数の材
質)で形成されており、各マスク本体は、その外周縁がマスク本体を囲む枠体に電鋳法で
形成された金属層で接合されている。
特開2004-323888号公報 特開2005-15908号公報
特許文献1および特許文献2の蒸着マスクのように、メタルマスクを固定保持するフレ
ームや、マスク本体を補強する枠体をインバー材で構成することにより、蒸着時の作業環
境が高温環境であっても、蒸着マスクが膨張するのを抑制して、蒸着層(発光層)の再現
精度および蒸着精度を確保できる。しかし、特許文献1の蒸着マスクのメタルマスクは、
緊張状態でフレームに固定保持されているものの、蒸着マスクを大型化した場合には、フ
レームで支持されていないメタルマスクの面積が大きくなり、自重によりメタルマスクに
反り変形が生じてしまう。そのため、再現精度および蒸着精度が低下をするのを避けられ
ない。
その点、特許文献2の蒸着マスクでは、各マスク本体はマスク本体を囲む枠体に接合さ
れているので、蒸着マスクを大型化した場合でも、自重によるマスク本体の反り変形が生
じることはなく、蒸着層の再現精度および蒸着精度を確保できる。しかし、インバー材か
らなる枠体であっても、蒸着作業時には僅かに膨張する。また、枠体はインバー材の金属
板材で形成されるが、通常、一般に流通している金属板材には板厚偏差が存在するため、
枠体の部位によって板厚にばらつきがある。このため、枠体の各部分で膨張量が異なり、
膨張量の違いが蒸着マスク全体の歪としてあらわれることがある。このように蒸着マスク
に歪が生じると、蒸着マスクの平坦度が悪化して、再現精度および蒸着精度が極度に低下
してしまう。この歪は、枠体を大型化するにつれ顕著にあらわれる。このような母材の板
厚偏差に由来する歪の発生は、金属板材の製造工程を管理して、板厚偏差が小さい母材を
専用に製造し使用することにより抑制できるが、その分母材が高価となり、蒸着マスクの
製造コストの上昇を招く。ここで、板厚偏差とは、金属板材の標準寸法に対する厚さのば
らつき幅を意味する。
本発明の目的は、マスク本体を枠体で支持する形態の蒸着マスクにおいて、製造コスト
の上昇を抑えながら蒸着マスクの大型化を実現でき、さらに蒸着マスクの平坦度を維持す
ることができ、良好な蒸着層の再現精度および蒸着精度を確保できる蒸着マスクを提供することにある。
本発明の蒸着マスクは、多数独立の蒸着通孔5からなる蒸着パターン6を備えるマスク
本体2と、マスク本体2の周囲に配置した、低熱線膨張係数の金属板材からなる補強用の
枠体3とを備える。マスク本体2と枠体3とは、金属層8を介して不離一体的に接合され
ている。そして、枠体3が同一形状に形成された上枠16と下枠17とで構成されて、上
枠16と下枠17とが接着層18を介して接合され一体化されていることを特徴とする。
複数の枠体3・3を積層して、積層方向に隣り合う枠体3・3どうしを接着層19を介
して接合する。
上枠16と下枠17は、突弧面あるいは凹弧面どうしが対向する状態で接合して、上枠
16および下枠17の二次元曲面、ないしは三次元曲面状の反りが相殺された状態で、枠
体3を平坦状に形成する。
マスク本体2は長方形状に形成して、複数のマスク本体2をマトリクス状に配置する。
枠体3は、外周枠10と、外周枠10内に複数のマスク開口11を区画する、格子枠状の
縦枠12および横枠13を備える。マスク本体2の長辺と平行な縦枠12の幅寸法をW1
とし、マスク本体2の短辺と平行な横枠13の幅寸法をW2とするとき、縦枠12の幅寸
法W1と横枠13の幅寸法W2とを、不等式(W1≦W2≦W1×1.1)を満足するよ
うに設定する。
金属層8をマスク本体2と一体形成する形態を採ることができる。
枠体3の下面に固定される支持フレーム46と、支持フレーム46の下面に固定される
補助フレーム47とを備える。支持フレーム46には、枠体3のマスク開口11に対応す
るフレーム開口48を形成し、フレーム開口48は、マスク開口11より一回り大きな開
口形状に形成し、枠体3の縦枠12および横枠13の全体を支持フレーム46で支持する
。また、補助フレーム47は額縁状に形成して、支持フレーム46の四周縁を補助フレー
ム47で支持する。
本発明の蒸着マスク製造方法に係る蒸着マスクは、多数独立の蒸着通孔5からなる蒸着
パターン6をパターン形成領域4内に備えるマスク本体2と、マスク本体2の周囲に配置
した、低熱線膨張係数の金属板材からなる補強用の枠体3とを備えている。蒸着マスクの
製造方法においては、補強用の枠体3を形成する枠体形成工程と、母型24の表面に、蒸
着通孔5に対応するレジスト体29aを有する一次パターンレジスト29を設ける一次パ
ターンニング工程と、一次パターンレジスト29を用いて母型24上に電着金属を電鋳し
、該母型24上にマスク本体2に対応する一次電鋳層30を所定位置に複数個形成する第
1の電鋳工程と、枠体3の各マスク開口11内に、該マスク開口11に対応する一次電鋳
層30が位置するように位置合わせしながら、母型24上に枠体3を配する枠体配設工程
と、枠体3の表面と、マスク本体2のパターン形成領域4の外周縁4aの表面とを覆う状
態で、電鋳法により金属層8を形成して、該金属層8を介して一次電鋳層30と枠体3と
を不離一体的に接合する第2の電鋳工程と、母型24から一次電鋳層30、枠体3、およ
び金属層8を一体に剥離する剥離工程とを含む。枠体形成工程において、上枠16と下枠
17の突弧面あるいは凹弧面どうしが対向する状態で、両枠16・17を接着層18で接
合して、上枠16および下枠17の二次元曲面、ないしは三次元曲面状の反りが相殺され
た状態で、枠体3を平坦状に形成する接合工程とを含んで枠体3を形成することを特徴と
する。
また、本発明の蒸着マスク製造方法に係る蒸着マスクは、多数独立の蒸着通孔5からな
る蒸着パターン6をパターン形成領域4内に備えるマスク本体2と、マスク本体2の周囲
に配置した、低熱線膨張係数の金属板材からなる補強用の枠体3とを備えている。蒸着マ
スクの製造方法においては、補強用の枠体3を形成する枠体形成工程と、母型24の表面
に、マスク本体2に対応するレジスト体29aを有する一次パターンレジスト29を設け
る一次パターンニング工程と、一次パターンレジスト29を含む母型24の上面の全面に
、接着レジスト43を貼り付けたうえで、一次パターンレジスト29を囲むように、母型
24上に枠体3を接着固定する枠体配設工程と、枠体3の下面に位置する接着レジスト4
3を除いて、接着レジスト43を除去する工程と、レジスト体29aを除く母型24の表
面と、および枠体3の表面とを覆う状態で、電着金属を電鋳して、マスク本体2を構成す
る一次電鋳層30と、該マスク本体2と枠体3とを接合する金属層8とを一体に形成する
一体電鋳工程と、母型24から一次電鋳層30、金属層8、および枠体3を一体に剥離す
る剥離工程とを含む。枠体形成工程において、上枠16と下枠17の突弧面あるいは凹弧
面どうしが対向する状態で、両枠16・17を接着層18で接合して、上枠16および下
枠17の二次元曲面、ないしは三次元曲面状の反りが相殺された状態で、枠体3を平坦状
に形成する接合工程とを含んで枠体3を形成することを特徴とする。
一次パターンニング工程において、導電性を有する母型24の表面にフォトレジスト層
25を積層し、さらにフォトレジスト層25の表面に一次パターンニングに対応する透光
孔26aを有するパターンフィルム26を積層したパターンニング前段体27を形成する
。パターンニング前段体27の温度と紫外線照射装置の炉内温度とを、露光作業時の炉内
温度に予熱した状態で、紫外線照射装置によるフォトレジスト層25の露光作業を行う。
第1の電鋳工程で使用する電鋳液の温度領域と、第2の電鋳工程で使用する電鋳液の温
度領域とを、略同一の温度領域に設定する。
本発明に係る蒸着マスクによれば、枠体3の各部分での熱による膨張量の違いを小さく
して、熱膨張に起因する枠体3の歪の発生を抑制できる。詳しくは、枠体3の母材となる
一般に流通している金属板材は、その厚み寸法が薄くなるほど製造工程における圧延ロー
ルの通過回数が増えるため、板厚が薄くなるほど板厚偏差は小さくなる傾向がある。この
ため、枠体3を上枠16と下枠17とで構成し、上下の枠16・17を接着層18を介し
て接合して一体化することで、従来と同一厚みの枠体3を形成するときに、より薄い金属
板材を使用して枠体3を形成できるので、枠体3全体の板厚偏差を小さくできる。これに
より、大型の蒸着マスクであっても、金属板材の板厚偏差に由来する熱膨張による歪の発
生を抑制できる。また、母材には一般に流通している厚みの薄い金属板材を使用するだけ
であるので、専用の金属板材を使用して枠体3を形成する必要もない。以上のように、本
発明によれば、製造コストの上昇を抑えながら蒸着マスクの大型化を実現でき、さらに蒸
着マスクの平坦度を維持することができ、良好な蒸着層の再現精度および蒸着精度を確保
できる。また、上枠16と下枠17との間に接着層18が介在する枠体3によれば、蒸着
マスクにたわみ変形を生じさせる外力が加わったとき、接着層18の分だけ枠体3が柔軟
に弾性変形して、蒸着マスクの破損を効果的に防止できる。
複数の枠体3・3を積層し、積層方向に隣り合う枠体3・3どうしを接着層19を介し
て接合すると、従来と同一厚みの枠体3を形成するときに、さらに薄い金属板材を使用し
て枠体3を形成できるので、金属板材の板厚偏差に由来する熱膨張による歪の発生をより
抑制できる。従って、蒸着マスクの大型化を実現でき、さらに蒸着マスクの平坦度を維持
することができ、より良好な蒸着層の再現精度および蒸着精度を確保できる。また、枠体
3どうしを接合する接着層18・19が増えることにより、外力に対してより柔軟に弾性
変形できるので、蒸着マスクの破損をより効果的に防止できる。
上枠16および下枠17の二次元曲面、ないしは三次元曲面状の反りが相殺された状態
で接合して、枠体3を平坦状に形成すると、金属板材に由来する僅かな反りを解消して、
平坦度をさらに向上することができ、さらに良好な蒸着層の再現精度および蒸着精度を確
保できる。
縦枠12の幅寸法W1と横枠13の幅寸法W2とを、不等式(W1≦W2≦W1×1.
1)を満足するように設定すると、横枠13の断面積を縦枠12の断面積と同じか、それ
よりも大きくでき、しかも横枠13の長さは縦枠12の長さよりも小さいので、縦枠12
を横枠13で確りと支持して、長さの長い縦枠12が自重によりたわみ変形するのを阻止
できる。従って、自重による枠体3の変形を阻止して蒸着マスクの大型化を実現でき、さ
らに蒸着マスクの平坦度を維持することができ、蒸着層の再現精度および蒸着精度を高精
度化できる。また、縦枠12および横枠13の剛性を全体で略均一化できるので、蒸着マ
スク1をたわみ変形させる外力が加わった場合に、外力を均等に分散させて局部的に集中
するのを解消でき、蒸着マスク1の変形や破損を効果的に防止できる。加えて、横枠13
の幅寸法W2に関して(W2≦W1×1.1)とするので、必要以上に横枠13の断面積
が大きくなることによる枠体3の重量増加を抑制して、蒸着マスク全体の重量がいたずら
に大きくなるのを解消しながら枠体3の構造強度と剛性を増強できる。
金属層8をマスク本体2と一体形成して、マスク本体2と枠体3とを不離一体的に接合
すると、別途金属層8を形成してマスク本体2と枠体3とを接合する手間を省いて、製造
に要する工程を省略し時間を短縮できるので、蒸着マスクの製造コストの削減を図ること
ができる。
支持フレーム46で枠体3の縦枠12および横枠13の全体を支持し、さらに、補助フ
レーム47で支持フレーム46の四周縁を支持すると、蒸着マスク全体の構造強度と剛性
をさらに増強して、蒸着マスクがたわみ変形するのを阻止して平坦度を維持することがで
き、蒸着層の再現精度および蒸着精度をより高精度化できる。
本発明に係る蒸着マスクの製造方法によれば、枠体形成工程において、上枠16および
下枠17の二次元曲面、ないしは三次元曲面状の反りが相殺された状態で平坦状に接合す
るので、金属板材に由来する僅かな反りを解消して、平坦度をさらに向上することができ
る。従って、製造コストの上昇を抑えながら大型化を実現でき、さらに平坦度を維持する
ことができ、良好な蒸着層の再現精度および蒸着精度を確保できる蒸着マスクを得ること
ができる。
本発明に係る蒸着マスクの別の製造方法によれば、金属層8を形成する手間を省いて、
製造に要する工程を省略し時間を短縮しつつ、上記と同様に平坦度をさらに向上すること
ができる。従って、製造コストの上昇を抑えながら大型化を実現でき、さらに平坦度を維
持することができ、良好な蒸着層の再現精度および蒸着精度を確保できる蒸着マスクを得
ることができる。
一次パターンニング工程において、パターンニング前段体27の温度と紫外線照射装置
の炉内温度とを、露光作業時の炉内温度に予熱した状態で、紫外線照射装置によるフォト
レジスト層25の露光作業を行うようにすると、位置精度がよく、しかも意図した形状ど
おりの一次パターンレジスト29を母型24上に設けることができる。詳しくは、パター
ンニング前段体27を構成する母型24、フォトレジスト層25、およびパターンフィル
ム26は、それぞれ異なる熱線膨張係数を備えている。そのため、パターンニング前段体
27を露光作業時の炉内温度より低温の状態で炉内に収容して露光作業を行うと、紫外線
照射によりパターンニング前段体27が加熱されて膨張し、前記3者24・25・26の
相対的な位置関係がずれながら露光作業が行われることになる。これに伴い、母型24に
対する一次パターンレジスト29の位置精度が低下し、さらに、一次パターンレジスト2
9の形状も意図したとおりに露光することができない。一次パターンレジスト29の位置
精度の低下や形状不良は、第1の電鋳工程あるいは一体電鋳工程におけるマスク本体2の
形成に影響を及ぼし、意図した寸法精度のマスク本体2を電鋳により形成できない不具合
が生じる。しかし、パターンニング前段体27と紫外線照射装置の炉内の温度とを露光作
業時の炉内温度に予熱しておくことにより、紫外線照射による温度上昇を解消して、パタ
ーンニング前段体27の熱膨張を防止できる。従って、位置精度がよく、しかも意図した
形状どおりの一次パターンレジスト29を母型24上に設けることができ、寸法精度の良
好なマスク本体2を形成して、蒸着層の再現精度および蒸着精度の高精度化に寄与できる
第1の電鋳工程、および第2の電鋳工程で使用する電鋳液の温度領域を、略同一に設定
して、金属層となる金属層8を介して一次電鋳層30と枠体3とを不離一体的に接合する
と、マスク本体2が熱膨張しながら枠体3と接合されるのを阻止できる。従って、枠体3
に対するマスク本体2の接合位置の位置精度を向上でき、蒸着層の再現精度および蒸着精
度がより高精度化された蒸着マスクを得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの要部を示す縦断正面図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの全体を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの縦断側面図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの要部を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの枠体の平面図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの製造方法における枠体形成工程の前段を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの製造方法における枠体形成工程の後段を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの製造方法における一次パターンニング工程、および第1の電鋳工程を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの製造方法における活性化処理工程を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸着マスクの製造方法における二次パターンニング工程、枠体配設工程、第2の電鋳工程、および剥離工程を示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係る蒸着マスクの要部を示す縦断正面図である。 本発明の第2実施形態に係る蒸着マスクの枠体配設工程、第2の電鋳工程、および剥離工程を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る蒸着マスクの要部を示す縦断正面図である。 本発明の第3実施形態に係る蒸着マスクの製造方法における一次パターンニング工程、および第1の電鋳工程を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る蒸着マスクの製造方法における二次パターンニング工程、枠体配設工程、第2の電鋳工程、および剥離工程を示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係る蒸着マスクの要部を示す縦断正面図である。 本発明の第4実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す説明図である。 本発明の第5実施形態に係る蒸着マスクを示す縦断正面図である。 本発明の第5実施形態に係る蒸着マスクの分解斜視図である。 本発明の第5実施形態に係る蒸着マスクの平面図である。 本発明の第5実施形態に係る蒸着マスクの変形例を示す分解斜視図である。
(第1実施形態) 図1から図10に、本発明に係る蒸着マスクとその製造方法の第1実
施形態を示す。なお、本実施形態の図1から図10における厚みや幅などの寸法は実際の
様子を示したものではなく、それぞれ模式的に示したものである。以下の各実施形態の図
においても同様である。
図2および図3に示すように蒸着マスク1は、複数のマスク本体2と、このマスク本体
2を囲むように周囲に配置した補強用の枠体3とを含む。マスク本体2は四隅が丸められ
た長方形状に形成されており、その内部にパターン形成領域4を備える。パターン形成領
域4には、多数独立の蒸着通孔5からなる蒸着パターン6が形成されている。図4に示す
ようにマスク本体2には、パターン形成領域4の外周縁4aの全周にわたって多数個の接
合通孔7が設けられている。
マスク本体2は、ニッケルからなる電着金属を素材として電鋳法で形成される。マスク
本体2の厚みは、好ましくは10~20μmの範囲とし、本実施形態では12μmに設定
した。また、平面視におけるマスク本体2の寸法は、長手方向の寸法を108mmに、短
手方向の寸法を62mmに設定し、30個のマスク本体2を6行5列のマトリクス状に配
置した。なお、マスク本体2は、ニッケル以外にニッケルコバルト等のニッケル合金、そ
の他の電着金属を素材として形成することができる。本実施形態の蒸着マスク1を有機E
L素子用の蒸着マスクに適用する場合には、蒸着パターン6は、有機EL素子の発光層に
対応するように形成する。
図5に示すように、枠体3は、外周枠10と、外周枠10内にマスク開口11を区画す
る、格子枠状の縦枠12および横枠13を備えている。縦枠12はマスク本体2の長辺と
平行に設けられ、横枠13はマスク本体2の短辺と平行に設けられている。本実施形態に
おいて枠体3は、ニッケル-鉄合金であるインバー材からなる低熱線膨張係数の金属板材
からなり、マスク本体2よりも十分に肉厚に形成されており、その厚み寸法は1.6mm
に設定した。また、平面視において、枠体3の寸法は460×730mmに設定し、マス
ク開口11の寸法は長手方向の寸法を110mmに、短手方向の寸法を64mmに設定し
た。枠体3は、ニッケル-鉄-コバルト合金であるスーパーインバー材等で形成してもよ
く、その厚み寸法は、例えば1~5mm程度に設定できる。なお、枠体3の形成素材とし
てインバー材やスーパーインバー材を採用するのは、その熱線膨張係数が極めて小さく、
蒸着工程における熱影響によるマスク本体2の寸法変化を良好に抑制できることに拠る。
縦枠12の幅寸法をW1とし、横枠13の幅寸法をW2とするとき、縦枠12の幅寸法
W1と横枠13の幅寸法W2とは、不等式(W1≦W2≦W1×1.1)を満足するよう
に設定されている。本実施形態においては、縦枠12の幅寸法W1を10mmに設定し、
横枠13の幅寸法W2を10.64mmに設定した。このように、縦枠12の幅寸法W1
よりも横枠13の幅寸法W2を大きく設定すると、横枠13の断面積を縦枠12の断面積
よりも大きくでき、しかも横枠13の長さは縦枠12の長さよりも小さいので、縦枠12
を横枠13で確りと支持して、長さの長い縦枠12が自重によりたわみ変形するのを阻止
できる。従って、自重による枠体3の変形を阻止して蒸着マスク1の大型化を実現でき、
さらに蒸着マスク1の平坦度を維持することができ、蒸着パターンの再現精度および蒸着
精度を高精度化できる。また、縦枠12および横枠13の剛性を全体で略均一化できるの
で、蒸着マスク1をたわみ変形させる外力が加わった場合に、外力を均等に分散させて局
部的に集中するのを解消でき、蒸着マスク1の変形や破損を効果的に防止できる。加えて
、横枠13の幅寸法W2に関して(W2≦W1×1.1)とするので、必要以上に横枠1
3の断面積が大きくなることによる枠体3の重量増加を抑制して、蒸着マスク全体の重量
がいたずらに大きくなるのを解消しながら枠体3の構造強度と剛性を増強できる。
図1および図6(a)に示すように枠体3は、同一厚み寸法で同一形状に形成された上
枠16と下枠17とで構成されており、上枠16と下枠17とが接着層18を介して接合
され一体化されている。詳しくは、図6(b)に示すように、上枠16と下枠17とを、
突弧面どうしが対向する状態で接合して、二次元曲面状の反りが相殺された状態で、枠体
3が平坦状に形成されている。なお、前記二次元曲面状の反りは、金属板材に由来する僅
かな反りであり、三次元曲面状の反りの場合もある。本実施形態においては、接着層18
は、シート状の未硬化感光性ドライフィルムレジストを使用しており、上枠16と下枠1
7の接合後、不要部分の接着層18は除去される。接着層18は市販されている種々の接
着剤を用いてもよい。枠体3を構成する上下の枠16・17の厚み寸法を同一厚みとした
のは、二次元曲面状の反りが相殺された状態で接合して、枠体3を平坦状に形成するのを
容易化するためである。突弧面は凹弧面であってもよく、また、両者を含んでいてもよい
。なお、二次元曲面状の反りが相殺された状態で平坦状に接合できれば、上下の枠16・
17の厚み寸法は異なっていてもよい。
上記のように、上枠16および下枠17の二次元曲面状の反りが相殺された状態で接合
して、枠体3を平坦状に形成すると、金属板材に由来する僅かな反りを解消して、平坦度
をさらに向上することができ、さらに良好な蒸着層の再現精度および蒸着精度を確保でき
る。
図1に示すように、本実施形態においては、上記の手法で形成した一対(複数)の枠体
3・3を積層し、積層方向に隣り合う枠体3・3どうしを接着層19を介して接合した。
上面側の枠体3を構成する上下の枠16・17の厚み寸法は、それぞれ0.3mmに設定
し、下面側の枠体3を構成する上下の枠16・17の厚み寸法は、それぞれ0.5mmに
設定した。
図1において符号8は、マスク本体2のパターン形成領域4の外周縁4aの上面に形成
した金属層を示す。金属層8は、ニッケルを電鋳法で積層して形成される。各マスク本体
2はそれぞれマスク開口11に配置されており、電鋳法で形成された金属層8によりマス
ク本体2のパターン形成領域4の外周縁4aが枠体3に対して不離一体的に接合されてい
る。図1および図4に示すように金属層8は、パターン形成領域4の外周縁4aの上面と
、枠体3の上面と、パターン形成領域4に臨む側面と、マスク本体2と枠体3の間隙部分
にわたって、断面ハット形に形成されている。また、金属層8は、接合通孔7内にも形成
されており、これにより、マスク本体2と枠体3との接合強度を向上している。なお、金
属層8は、ニッケル以外にニッケルコバルト等のニッケル合金、その他の電着金属を素材
として形成することができる。
図6から図10は本実施形態に係る蒸着マスク1の製造方法を示しており、そこでは、
まず、枠体形成工程を行って補強用の枠体3を形成する。
(枠体形成工程)
まず、例えば金属板材に対する熱影響の小さいワイヤー放電加工機等を用いて、金属板
材から上枠16および下枠17の大きさに切り出す切断工程を行う。次いで、切り出した
上枠16および下枠17にエッチングやレーザー加工を施すことにより、図6(a)に示
すように、マスク開口11となる複数の開口を形成するマスク開口形成工程を行う。次い
で、図6(b)に示すように、金属板材に由来する上枠16と下枠17の突弧面どうしが
対向する状態で、両枠16・17を接着層18で接合して、二次元曲面状の反りが相殺さ
れた状態で、枠体3を平坦状に形成する接合工程を行う。接着層18は、シート状の未硬
化感光性ドライフィルムレジストからなる。
次いで、図6(c)に示すように、所定のロール間寸法に配置した上下の転動ロール2
2・22の間を通過させて挟圧する定着工程を行う。さらに、不要部分の接着層18(マ
スク開口11および外周枠10の外側に露出する部分)を除去(現像)することにより枠
体3を得た。このように、接着層18にシート状の未硬化感光性ドライフィルムレジスト
を使用するのは、未硬化の感光性ドライフィルムレジストは接着性を有しており、さらに
、後述する一次パターンニング工程等でも使用する素材であるため、別途市販の接着剤等
を用意する必要がなく、その分蒸着マスク1の製造コストを削減できるからである。なお
、切断工程においては、レーザー切断機を使用して金属板材を冷却しつつ、上下の枠16
・17を切り出すこともできる。
厚みの異なる金属板材から上記の各工程を行って、図7(a)に示すように、一対の枠
体3・3を製造する。これらの枠体3・3を図7(b)に示すように積層し、枠体3・3
どうしをシート状の未硬化感光性ドライフィルムレジストからなる接着層19で接合した
。こののち、図7(c)に示すように、所定のロール間寸法に配置した上下の転動ロール
22・22の間を通過させて挟圧する積層工程を行う。これにて、積層された一対の枠体
3・3を得た。
(パターンニング前段体形成工程)
図8(a)に示すように、導電性を有する例えばステンレスや真ちゅう製の母型24の
表面にフォトレジスト層25を形成する。このフォトレジスト層25は、ネガタイプのシ
ート状感光性ドライフィルムレジストの一枚ないし数枚をラミネートして熱圧着により形
成して、所定の厚みになるようにした。次いで、フォトレジスト層25の上に、蒸着通孔
5および接合通孔7(一次パターンニング)に対応する透光孔26aを有するパターンフ
ィルム26(ガラスマスク)を密着させ、パターンニング前段体27を得た。
(予熱工程)
パターンニング前段体27は、例えばヒータープレートや予熱炉等を用いて、露光作業
時の紫外線照射装置の炉内温度に予熱する。パターンニング前段体27の予熱と並行して
、紫外線照射装置の炉内も露光作業時の炉内温度に予熱する。紫外線照射装置の炉内の予
熱は、炉内に照射対象を収容しない状態、もしくはダミー母型(母型+フォトレジスト層
+保護フィルム)を収容した状態で紫外線ランプ28を点灯して行う。パターンニング前
段体27および炉内は、例えば23±3℃に予熱する。因みに露光作業における紫外線照
射装置の炉内の最高温度は、26℃前後である。
(一次パターンニング工程)
紫外線照射装置の炉内およびパターンニング前段体27の予熱が完了したら、パターン
ニング前段体27を紫外線照射装置の炉内に収容し、図8(a)に示すように、紫外光ラ
ンプ28で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行う。次いで、未露光
部分を溶解除去することにより、図8(b)に示すように、蒸着通孔5および接合通孔7
に対応するレジスト体29aを有する一次パターンレジスト29を母型24上に形成した
。このように、紫外線照射装置の炉内およびパターンニング前段体27を、露光作業時の
炉内温度に予熱した状態で露光作業を行うと、紫外線照射によりパターンニング前段体2
7が加熱されて膨張し、前記3者24・25・26の相対的な位置関係がずれながら露光
作業が行われることを解消することができる。従って、位置精度がよく、しかも意図した
形状どおりの一次パターンレジスト29を母型24上に設けることができ、蒸着層の再現
精度および蒸着精度の高精度化に寄与できる。
(第1の電鋳工程)
次いで、上記母型24を電鋳液の温度条件が40~50℃に建浴された電鋳槽に入れ、
図8(c)に示すように先のレジスト体29aの高さの範囲内で、母型24のレジスト体
29aで覆われていない表面にニッケルからなる電着金属を一次電鋳して、一次電鋳層3
0、すなわちマスク本体2となる層を形成した。次に、レジスト体29aを溶解除去する
ことにより、図8(d)に示すように、多数独立の蒸着通孔5からなる蒸着パターン6お
よび接合通孔7を備えるマスク本体2を得た。なお、図8(d)において符号30aは、
マスク本体2・2どうしの間に形成された、後述する剥離工程で除去される一次電着層を
示す。
(活性化処理工程)
図9(a)に示すように、一次電鋳層30・30aの表面全体に、フォトレジスト層3
3を形成してから、接合通孔7の周辺部分に対応する透光孔34aを有するパターンフィ
ルム34を密着させて紫外線照射装置の炉内に収容し、紫外光ランプ28で紫外線光を照
射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行う。ここでのフォトレジスト層33は、先と
同様にネガタイプのシート状感光性ドライフィルムレジストの一枚ないし数枚をラミネー
トして熱圧着により形成して、所定の厚みになるようにした。次いで、未露光部分のフォ
トレジスト層33を溶解除去することにより、図9(b)に示すように、接合通孔7の周
辺部分に対応する開口35aを有するパターンレジスト35を得た。つまり、接合通孔7
の周辺部分のみが表面に露出するようにパターンレジスト35を形成した。
次いで、パターンレジスト35の開口35aに露出する一次電鋳層30部分、すなわち
接合通孔7の周辺の一次電鋳層30に対して酸浸漬や電解処理等の活性化処理を施し、さ
らに図9(c)に示すようにパターンレジスト35を溶解除去した。図9(c)において
符号36は活性化処理を施した部分を示しており、詳しくは接合通孔7の内壁面と、該接
合通孔7の周辺の一次電鋳層30の上面に対して活性化処理を施した。このように接合通
孔7の周辺に活性化処理を施すと、無処理の場合に比べて、一次電鋳層30と後述する第
2の電鋳工程で形成する金属層8との接合強度を格段に向上できる。なお、先の活性化処
理に替えて、接合通孔7の周辺の一次電鋳層30に対して、ストライクニッケルや無光沢
ニッケル等の薄層を形成してもよい。これによっても接合通孔7の周辺部分と金属層8と
の接合強度の向上を図ることができる。
(二次パターンニング工程、および枠体配設工程)
図10(a)に示すように、一次電鋳層30・30aの形成部分を含む母型24の表面
全体に、フォトレジスト層38を形成する。このフォトレジスト層38は、先と同様にネ
ガタイプのシート状感光性ドライフィルムレジストの一枚ないし数枚をラミネートして熱
圧着により形成して、所定の厚みになるようにした。次いで、パターン形成領域4に対応
する透光孔39aを有するパターンフィルム39を密着させて紫外線照射装置の炉内に収
容し、紫外光ランプ28で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行う。
この状態においては、パターン形成領域4に係る部分(38a)が露光されており、それ
以外が未露光の部分(38b)のフォトレジスト層38を得た(図10(b)参照)。
次いで、図10(b)に示すように、母型24上に一次電鋳層30を囲むように、枠体
3を位置合わせしながら配した。ここでは、未露光のフォトレジスト層38bの接着性を
利用して、母型24上に枠体3を仮止め固定した。さらに図10(c)に示すように、表
面に露出している未露光のフォトレジスト層38bを溶解除去して、パターン形成領域4
を覆うレジスト体40aを有する二次パターンレジスト40を形成した。このとき、枠体
3の下面にある未露光のフォトレジスト層38bは、枠体3でカバーされて溶解除去され
ず母型24上に残留している。
(第2の電鋳工程)
上記母型24を電鋳液の温度条件が23±3℃に建浴された電鋳槽に入れ、図10(d
)に示すように、パターン形成領域4の外周縁4aに臨む一次電鋳層30の上面と、枠体
3の表面と、枠体3と一次電鋳層30との間で表面に露出する母型24の表面と、接合通
孔7内とに、ニッケルからなる電着金属を電鋳して金属層8を形成した。これにより、一
次電着層30と枠体3を金属層8で不離一体的に接合できる。
(剥離工程)
母型24から一次電鋳層30および金属層8を剥離したうえで、これら両層30・8か
ら枠体3の下面に位置する一次電鋳層30aを剥離した。最後に、二次パターンレジスト
40および未露光のフォトレジスト層38bを除去することにより、図3に示す蒸着マス
ク1を得た。
本実施形態においては、第1の電鋳工程における電鋳液の温度領域は、第2の電鋳工程
における電鋳液の温度領域よりも高い温度領域に設定した。これによれば、マスク本体2
に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で枠体3に対して
保持できる。従って、蒸着窯内における昇温時に伴うマスク本体2の膨張分を、当該テン
ションで吸収し、膨張による枠体3に対するマスク本体2の位置ずれや皺の発生を防ぐこ
とができる。
(第2実施形態) 図11および図12に、本発明に係る蒸着マスクとその製造方法の第
2実施形態を示す。本実施形態においては、図11に示すように、マスク本体2と枠体3
を不離一体的に接合する金属層8の内部応力に由来する枠体3の歪の発生を防止するため
に、金属層8を枠体3の上面においてマスク開口11の周縁上以外に形成しないことで金
属層8を分断して応力緩和部42を設けた点が先の第1実施形態と異なる。
第1実施形態に係る枠体3は、その上面と、上面に連続するマスク開口11の両縁部の
三方を金属層8で囲まれているため、電鋳にて金属層8を形成する際に、内部応力が生じ
た状態で形成されると、前記内部応力により枠体3に歪が発生して、蒸着マスク1の平坦
度に悪影響を及ぼすことがある。しかし、本実施形態のように、応力緩和部42を設ける
ことにより金属層8の内部応力を応力緩和部42で逃がして、枠体3に歪が発生するのを
防止できる。なお、ここでいう「金属層8を分断」とは、金属層8が枠体3の上面全面に
おいて繋がって形成されていなければ良いということであり、その態様は本実施形態のも
のに限られない。他は第1実施形態と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその
説明を省略する。以下の実施形態においても同じとする。
本実施形態に係る蒸着マスク1の製造方法においては、枠体形成工程の終段において、
枠体3の上面に応力緩和部42に対応するレジスト体42aを形成する工程を行い、枠体
3の上面にレジスト体42aを設ける。続くパターンニング前段体形成工程から二次パタ
ーンニング工程は、第1実施形態で説明した図8(a)~(d)、図9(a)~(c)、
および図10(a)に示す方法と同様であるが、第1の電鋳工程は、電鋳液の温度領域を
23±2℃に建浴した状態で行う。
(枠体配設工程)
図12(a)に示すように、母型24上に一次電鋳層30を囲むように、レジスト体4
2aを設けた枠体3を位置合わせしながら配した。ここでは、未露光のフォトレジスト層
38bの接着性を利用して、母型24上に枠体3を仮止め固定した。さらに図12(b)
に示すように、表面に露出している未露光のフォトレジスト層38bを溶解除去して、パ
ターン形成領域4を覆うレジスト体40aを有する二次パターンレジスト40を形成した
。このとき、枠体3の下面にある未露光のフォトレジスト層38bは、枠体3でカバーさ
れて溶解除去されず母型24上に残留している。
(第2の電鋳工程)
上記母型24を電鋳液の温度条件が23±3℃に建浴された電鋳槽に入れ、図12(c
)に示すように、パターン形成領域4の外周縁4aに臨む一次電鋳層30の上面と、レジ
スト体42aで覆われていない枠体3の表面と、枠体3と一次電鋳層30との間で表面に
露出する母型24の表面と、接合通孔7内とに、ニッケルからなる電着金属を電鋳して金
属層8を形成した。これにより、一次電着層30と枠体3を金属層8で不離一体的に接合
できる。本実施形態においては、第1の電鋳工程、および第2の電鋳工程で使用する電鋳
液の温度領域を、同一(23±3℃)に設定した。これにより、一次電鋳層30、すなわ
ちマスク本体2が熱膨張しながら枠体3と接合されるのを可及的に阻止できるので、枠体
3に対するマスク本体2の接合位置の位置精度を向上でき、蒸着層の再現精度および蒸着
精度がより高精度化された蒸着マスクを得ることができる。なお、第1の電鋳工程および
第2の電鋳工程とも、電鋳槽内の電鋳液の温度を低く設定すればするほど、一次電鋳層3
0及び金属層8の熱膨張を可及的に抑えることができる。この時、第1の電鋳工程の電鋳
槽の電鋳液の温度と第2の電鋳工程における電鋳槽の電鋳液の温度とは、同一もしくは±
3℃にするのがより好ましい。
(剥離工程)
母型24から一次電鋳層30および金属層8を剥離したうえで、これら両層30・8か
ら枠体3の下面に位置する一次電鋳層30aを剥離した。最後に、二次パターンレジスト
40、レジスト体42a、および未露光のフォトレジスト層38bを除去することにより
、図11に示す応力緩和部42を設けた蒸着マスク1を得た。
(第3実施形態) 図13から図15に、本発明に係る蒸着マスクとその製造方法の第3
実施形態を示す。本実施形態においては、図13に示すように、枠体3を1個の枠体3で
構成してマスク本体2を補強した点と、金属層8が侵入するマスク本体2の接合通孔7を
廃した点が先の第1実施形態と異なる。本実施形態における上枠16および下枠17は、
0.8mmの金属板材を母材として形成されており、枠体3は先の第1実施形態と同一厚
み寸法に設定している。
図14および図15は本実施形態に係る蒸着マスク1の製造方法を示しており、そこで
は、まず、第1実施形態で説明した図6に示す枠体形成工程を行って補強用の枠体3を形
成する。
(枠体形成工程)
まず、例えば金属板材に対する熱影響の小さいワイヤー放電加工機等を用いて、金属板
材から上枠16および下枠17の大きさに切り出す切断工程を行う。次いで、切り出した
上枠16および下枠17にエッチングやレーザー加工を施すことにより、図6(a)に示
すように、マスク開口11となる複数の開口を形成するマスク開口形成工程を行う。次い
で、図6(b)に示すように、金属板材に由来する上枠16と下枠17の突弧面どうしが
対向する状態で、両枠16・17を接着層18で接合して、二次元曲面状の反りが相殺さ
れた状態で、枠体3を平坦状に形成する接合工程を行う。接着層18は、シート状の未硬
化感光性ドライフィルムレジストからなる。
次いで、図6(c)に示すように、所定のロール間寸法に配置した上下の転動ロール2
2・22の間を通過させて挟圧する定着工程を行う。さらに、不要部分の接着層18(マ
スク開口11および外周枠10の外側に露出する部分)を除去(現像)することにより枠
体3を得た。このように、接着層18にシート状の未硬化感光性ドライフィルムレジスト
を使用するのは、未硬化の感光性ドライフィルムレジストは接着性を有しており、さらに
、後述する一次パターンニング工程等でも使用する素材であるため、別途市販の接着剤等
を用意する必要がなく、その分蒸着マスク1の製造コストを削減できるからである。
(パターンニング前段体形成工程)
図14(a)に示すように、導電性を有する例えばステンレスや真ちゅう製の母型24
の表面にフォトレジスト層25を形成する。このフォトレジスト層25は、ネガタイプの
シート状感光性ドライフィルムレジストの一枚ないし数枚をラミネートして熱圧着により
形成して、所定の厚みになるようにした。次いで、フォトレジスト層25の上に、蒸着通
孔5に対応する透光孔26aを有するパターンフィルム26(ガラスマスク)を密着させ
、パターンニング前段体27を得た。
(予熱工程)
パターンニング前段体27は、例えばヒータープレートや予熱炉等を用いて、露光作業
時の紫外線照射装置の炉内温度に予熱する。パターンニング前段体27の予熱と並行して
、紫外線照射装置の炉内も露光作業時の炉内温度に予熱する。紫外線照射装置の炉内の予
熱は、炉内に照射対象を収容しない状態、もしくはダミー母型(母型+フォトレジスト層
+保護フィルム)を収容した状態で紫外線ランプ28を点灯して行う。パターンニング前
段体27および炉内は、例えば23±3℃に予熱する。因みに露光作業における紫外線照
射装置の炉内の最高温度は、26℃前後である。
(一次パターンニング工程)
紫外線照射装置の炉内およびパターンニング前段体27の予熱が完了したら、パターン
ニング前段体27を紫外線照射装置の炉内に収容し、図14(a)に示すように、紫外光
ランプ28で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行う。次いで、未露
光部分を溶解除去することにより、図14(b)に示すように、蒸着通孔5(一次パター
ンニング)に対応するレジスト体29aを有する一次パターンレジスト29を母型24上
に形成した。このように、紫外線照射装置の炉内およびパターンニング前段体27を、露
光作業時の炉内温度に予熱した状態で露光作業を行うと、紫外線照射によりパターンニン
グ前段体27が加熱されて膨張し、前記3者24・25・26の相対的な位置関係がずれ
ながら露光作業が行われることを解消することができる。従って、位置精度がよく、しか
も意図した形状どおりの一次パターンレジスト29を母型24上に設けることができ、蒸
着層の再現精度および蒸着精度の高精度化に寄与できる。
(第1の電鋳工程)
次いで、上記母型24を電鋳液の温度条件が40~50℃に建浴された電鋳槽に入れ、
図14(c)に示すように先のレジスト体29aの高さの範囲内で、母型24のレジスト
体29aで覆われていない表面にニッケルからなる電着金属を一次電鋳して、一次電鋳層
30、すなわちマスク本体2となる層を形成した。次に、レジスト体29aを溶解除去す
ることにより、図14(d)に示すように、多数独立の蒸着通孔5からなる蒸着パターン
6を備えるマスク本体2を得た。
(二次パターンニング工程、および枠体配設工程)
図15(a)に示すように、一次電鋳層30の形成部分を含む母型24の表面全体に、
フォトレジスト層38を形成した。このフォトレジスト層38は、先と同様にネガタイプ
のシート状感光性ドライフィルムレジストの一枚ないし数枚をラミネートして熱圧着によ
り形成して、所定の厚みになるようにした。次いで、パターン形成領域4に対応する透光
孔39aを有するパターンフィルム39を密着させて紫外線照射装置の炉内に収容し、紫
外光ランプ28で紫外線光を照射して露光を行う。この状態においては、パターン形成領
域4に係る部分(38a)が露光されており、それ以外が未露光の部分(38b)のフォ
トレジスト層38を得た(図15(b)参照)。なお、本実施例においても二次パターン
ニング工程に先立ち活性化処理工程を行って、パターン形成領域4の外周縁4aとなる一
次電鋳層30に対して酸浸漬や電解処理等の活性化処理を施してもよい。
次いで、図15(b)に示すように、母型24上に一次電鋳層30を囲むように、枠体
3を位置合わせしながら配した。ここでは、未露光のフォトレジスト層38bの接着性を
利用して、母型24上に枠体3を仮止め固定した。さらに図15(c)に示すように、表
面に露出している未露光のフォトレジスト層38bを溶解除去して、パターン形成領域4
を覆うレジスト体40aを有する二次パターンレジスト40を形成した。このとき、枠体
3の下面にある未露光のフォトレジスト層38bは、枠体3でカバーされて溶解除去され
ず母型24上に残留している。
(第2の電鋳工程)
次いで、上記母型24を電鋳液の温度条件が23±3℃に建浴された電鋳槽に入れ、図
15(d)に示すように、パターン形成領域4の外周縁4aに臨む一次電鋳層30の上面
と、枠体3の表面と、枠体3と一次電鋳層30との間で表面に露出する母型24の表面と
に、ニッケルからなる電着金属を電鋳して金属層8を形成した。これにより、一次電着層
30と枠体3を金属層8で不離一体的に接合できる。
(剥離工程)
母型24から一次電鋳層30および金属層8を剥離したうえで、これら両層30・8か
ら枠体3の下面に位置する一次電鋳層30aを剥離した。最後に、二次パターンレジスト
40および未露光のフォトレジスト層38bを除去することにより、図13に示す蒸着マ
スク1を得た。
(第4実施形態) 図16および図17に、本発明に係る蒸着マスクとその製造方法の第
4実施形態を示す。本実施形態においては、図16に示すように、マスク本体2と枠体3
を金属層8で不離一体的に接合するが、金属層8をマスク本体2を構成する一次電鋳層3
0と一体形成する点が先の各実施形態と異なる。このように、金属層8をマスク本体2と
一体形成すると、別途金属層8を形成してマスク本体2と枠体3とを接合する手間を省い
て、製造に要する工程を省略し時間を短縮できるので、蒸着マスク1の製造コストの削減
を図ることができる。
図17は本実施形態に係る蒸着マスク1の製造方法を示しており、そこでは、まず、第
1実施形態で説明した図6および図7に示す枠体形成工程を行って補強用の枠体3を形成
する。
(枠体形成工程)
まず、例えば金属板材に対する熱影響の小さいワイヤー放電加工機等を用いて、金属板
材から上枠16および下枠17の大きさに切り出す切断工程を行う。次いで、切り出した
上枠16および下枠17にエッチングやレーザー加工を施すことにより、図6(a)に示
すように、マスク開口11となる複数の開口を形成するマスク開口形成工程を行う。次い
で、図6(b)に示すように、金属板材に由来する上枠16と下枠17の突弧面どうしが
対向する状態で、両枠16・17を接着層18で接合して、二次元曲面状の反りが相殺さ
れた状態で、枠体3を平坦状に形成する接合工程を行う。接着層18は、シート状の未硬
化感光性ドライフィルムレジストからなる。
次いで、図6(c)に示すように、所定のロール間寸法に配置した上下の転動ロール2
2・22の間を通過させて挟圧する定着工程を行う。さらに、不要部分の接着層18(マ
スク開口11および外周枠10の外側に露出する部分)を除去(現像)することにより枠
体3を得た。このように、接着層18にシート状の未硬化感光性ドライフィルムレジスト
を使用するのは、未硬化の感光性ドライフィルムレジストは接着性を有しており、さらに
、後述する一次パターンニング工程等でも使用する素材であるため、別途市販の接着剤等
を用意する必要がなく、その分蒸着マスク1の製造コストを削減できるからである。
厚みの異なる金属板材から上記の各工程を行って、図7(a)に示すように、一対の枠
体3・3を製造する。これらの枠体3・3を図7(b)に示すように積層し、枠体3・3
どうしをシート状の未硬化感光性ドライフィルムレジストからなる接着層19で接合した
。こののち、図7(c)に示すように、所定のロール間寸法に配置した上下の転動ロール
22・22の間を通過させて挟圧する積層工程を行う。これにて、積層された一対の枠体
3・3を得た。
(パターンニング前段体形成工程)
図17(a)に示すように、導電性を有する例えばステンレスや真ちゅう製の母型24
の表面にフォトレジスト層25を形成する。このフォトレジスト層25は、ネガタイプの
シート状感光性ドライフィルムレジストの一枚ないし数枚をラミネートして熱圧着により
形成して、所定の厚みになるようにした。次いで、フォトレジスト層25の上に、マスク
本体2に対応する透光孔26aを有するパターンフィルム26(ガラスマスク)を密着さ
せ、パターンニング前段体27を得た。
(予熱工程)
パターンニング前段体27は、例えばヒータープレートや予熱炉等を用いて、露光作業
時の紫外線照射装置の炉内温度に予熱する。パターンニング前段体27の予熱と並行して
、紫外線照射装置の炉内も露光作業時の炉内温度に予熱する。紫外線照射装置の炉内の予
熱は、炉内に照射対象を収容しない状態、もしくはダミー母型(母型+フォトレジスト層
+保護フィルム)を収容した状態で紫外線ランプ28を点灯して行う。パターンニング前
段体27および炉内は、例えば23±3℃に予熱する。因みに露光作業における紫外線照
射装置の炉内の最高温度は、26℃前後である。
(一次パターンニング工程)
紫外線照射装置の炉内およびパターンニング前段体27の予熱が完了したら、パターン
ニング前段体27を紫外線照射装置の炉内に収容し、図17(a)に示すように、紫外光
ランプ28で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行う。次いで、未露
光部分を溶解除去することにより、図17(b)に示すように、マスク本体2(一次パタ
ーンニング)に対応するレジスト体29aを有する一次パターンレジスト29を母型24
上に形成した。このように、紫外線照射装置の炉内およびパターンニング前段体27を、
露光作業時の炉内温度に予熱した状態で露光作業を行うと、紫外線照射によりパターンニ
ング前段体27が加熱されて膨張し、前記3者24・25・26の相対的な位置関係がず
れながら露光作業が行われることを解消することができる。従って、位置精度がよく、し
かも意図した形状どおりの一次パターンレジスト29を母型24上に設けることができ、
蒸着層の再現精度および蒸着精度の高精度化に寄与できる。
(枠体配設工程)
図17(c)に示すように、一次パターンレジスト29の形成部分を含む母型24の表
面全体に、接着レジスト43を形成した。この接着レジスト43は、先と同様にネガタイ
プのシート状感光性ドライフィルムレジストの一枚ないし数枚をラミネートして熱圧着に
より形成して、所定の厚みになるようにした。次いで、母型24上に一次パターンレジス
ト29を囲むように、枠体3を位置合わせしながら配した。ここでは、未露光の接着レジ
スト43の接着性を利用して、母型24上に枠体3を仮止め固定した。さらに図17(d
)に示すように、表面に露出している未露光の接着レジスト43を溶解除去した。このと
き、枠体3の下面にある接着レジスト43は、枠体3でカバーされて溶解除去されず母型
24上に残留している。
(一体電鋳工程)
上記母型24を電鋳液の温度条件が23±3℃に建浴された電鋳槽に入れ、図17(e
)に示すように、レジスト体29aで覆われていない母型24の表面と、枠体3の表面と
に、ニッケルからなる電着金属を電鋳して金属層8を形成した。これにより、マスク本体
2を構成する一次電鋳層30と、該マスク本体2と枠体3とを接合する金属層8とを一体
に形成できる。
(剥離工程)
母型24から一次電鋳層30、金属層8、および枠体3を一体に剥離したうえで、これ
ら両層30・8から枠体3の下面に位置する接着レジスト43を除去することにより、図
16に示す蒸着マスク1を得た。
上記の第4実施形態の製造方法によれば、金属層8を形成する手間を省いて、製造に要
する工程を省略し時間を短縮しつつ、上記と同様に枠体3の剛性を増強できる。従って、
製造コストの上昇をさらに抑えながら大型化を実現でき、さらに平坦度を維持することが
でき、蒸着層の良好な再現精度および蒸着精度を確保できる蒸着マスク1を得ることがで
きる。
(第5実施形態) 図18から図20に、本発明に係る蒸着マスクの第5実施形態を示す
。本実施形態における蒸着マスク1は、図18に示すように、枠体3の下面に固定される
支持フレーム46と、支持フレーム46の下面に固定される補助フレーム47とを備える
。支持フレーム46および補助フレーム47の外形形状は、枠体3に一致させている。図
19および図20に示すように支持フレーム46には、枠体3のマスク開口11に対応す
るフレーム開口48が形成されており、フレーム開口48は、マスク開口11より一回り
大きな開口形状に形成されている。枠体3は、その縦枠12および横枠13の全体が支持
フレーム46で支持されている。さらに、補助フレーム47は額縁状に形成されており、
支持フレーム46の四周縁が補助フレーム47で支持されている。蒸着マスク1、支持フ
レーム46、および補助フレーム47は、それぞれ位置合わせされたのち、3者1・46
・47をスポット溶接することにより接合され一体化される。スポット溶接の溶接個所4
9は、四隅部分と、縦枠12および横枠13の延長線上の四周縁部分に設けられている(
図20参照)。
上記のように、支持フレーム46で枠体3の縦枠12および横枠13の全体を支持し、
さらに、補助フレーム47で支持フレーム46の四周縁を支持すると、蒸着マスク全体の
構造強度と剛性をさらに増強して、蒸着マスク1がたわみ変形するのを阻止して平坦度を
維持することができ、蒸着層の再現精度および蒸着精度をより高精度化できる。
図21に、本発明に係る蒸着マスクの第5実施形態の変形例を示す。本実施形態におい
ては、蒸着マスク1は、10個のマスク本体2を2行5列のマトリクス状に配置した。こ
の蒸着マスク1を3個製造し、これら3個の蒸着マスク1を支持フレーム46と補助フレ
ーム47で支持した。具体的には、まず、1個の蒸着マスク1を用意し、位置およびテン
ションを調整したうえで支持フレーム46に固定する。係る固定は、枠体3の隅部分と縦
枠12および横枠13の延長線上の周縁部分をスポット溶接にて固定する。残る2個の蒸
着マスク1も同様にして支持フレーム46に固定する。最後に、支持フレーム46の蒸着
マスク1が固定された側の反対側に補助フレーム47を固定(スポット溶接)する。この
ように複数の蒸着マスク1を支持フレーム46と補助フレーム47で支持する形態である
と、隣り合う蒸着マスク1どうしの相対位置を微調整して配置することができ、隣り合う
蒸着マスク1のマスク本体2の相対的な位置精度を向上できる。従って、良好な再現精度
および蒸着精度を確保できる。また、所望する大きさの蒸着マスク1を自由に設定できる
以上のように、上記各実施形態の蒸着マスク、および蒸着マスク製造方法においては、
枠体3を上枠16と下枠17とで構成し、上下の枠16・17を接着層18を介して接合
して一体化したので、従来と同一厚みの枠体3を形成するときに、より薄い金属板材を使
用して枠体3を形成でき、枠体3全体の板厚偏差を小さくできる。これにより、大型の蒸
着マスク1であっても、金属板材の板厚偏差に由来する熱膨張による歪の発生を抑制でき
る。また、母材には一般に流通している厚みの薄い金属板材を使用するだけであるので、
専用の金属板材を使用して枠体3を形成する必要もない。以上のように、上記各実施形態
の蒸着マスクによれば、製造コストの上昇を抑えながら蒸着マスク1の大型化を実現でき
、さらに蒸着マスク1の平坦度を維持することができ、良好な再現精度および蒸着精度を
確保できる。また、上枠16と下枠17との間に接着層18が介在する枠体3によれば、
蒸着マスク1にたわみ変形を生じさせる外力が加わったとき、接着層18の分だけ枠体3
が柔軟に弾性変形して、蒸着マスク1の破損を効果的に防止できる。
また、第1、第2、第4、および第5実施形態の蒸着マスクにおいては、複数の枠体3
・3を積層し、積層方向に隣り合う枠体3・3どうしを接着層19を介して接合したので
、従来と同一厚みの枠体3を形成するときに、さらに薄い金属板材を使用して枠体3を形
成できるので、金属板材の板厚偏差に由来する熱膨張による歪の発生をより抑制できる。
上記各実施形態のように、蒸着マスク1が有するマスク本体2の枚数や配置態様は、上
記実施形態に示したものに限らない。また、マスク本体2は複数である必要はなく1個で
あってもよい。上下枠16・17の接合工程に先立って、曲面付与用の上下金型を用いて
、切り出した上枠16および下枠17にプレス加工を施して、二次元曲面あるいは三次元
曲面を付与することができる。この場合には、線対称の関係となる二次元曲面あるいは三
次元曲面を付与することで、後の接合工程において、枠体3を平坦状に形成することが容
易化できる。一次電鋳層30および金属層8は、光沢ニッケルとその上に電鋳される無光
沢ニッケルの2層構造としてもよい。この場合には光沢ニッケルは母型24に対してくっ
つき難く、製造工程における蒸着マスク1の母型24からの剥離工程を作業効率良く進め
ることができる。
1 蒸着マスク
2 マスク本体
3 枠体
4 パターン形成領域
4a 外周縁
5 蒸着通孔
6 蒸着パターン
8 金属層
10 外周枠
11 マスク開口
12 縦枠
13 横枠
16 上枠
17 下枠
18 接着層
19 接着層
24 母型
25 フォトレジスト層
26 パターンフィルム
26a 透光孔
27 パターンニング前段体
29 一次パターンレジスト
29a レジスト体
30 一次電鋳層
43 接着レジスト
46 支持フレーム
47 補助フレーム
48 フレーム開口
W1 縦枠の幅寸法
W2 横枠の幅寸法

Claims (3)

  1. 多数独立の蒸着通孔(5)からなる蒸着パターン(6)を備えるマスク本体(2)と、マスク本体(2)を囲むように周囲に配置した、低熱線膨張係数の金属材からなる補強用の枠体(3)とを備えた蒸着マスクであって、
    マスク本体(2)と枠体(3)とは、金属層(8)を介して不離一体的に接合されており、
    枠体(3)が上枠(16)と下枠(17)とで構成され、上枠(16)および下枠(17)が低熱線膨張係数の金属材からなり、上枠(16)と 下枠(17)とが接着層(18)を介して接合され一体化され
    上枠(16)と下枠(17)は、突弧面あるいは凹弧面どうしが対向する状態で接合されていることを特徴とする蒸着マスク。
  2. 複数の枠体(3・3)が積層されて、積層方向に隣り合う枠体(3・3)どうしが接着層(19)を介して接合されている請求項1に記載の蒸着マスク。
  3. マスク本体(2)は長方形状に形成されて、複数のマスク本体(2)がマトリクス状に配置されており、
    枠体(3)は、外周枠(10)と、外周枠(10)内に複数のマスク開口(11)を区画する、格子枠状の縦枠(12)および横枠(13)を備えており、
    マスク本体(2)の長辺と平行な縦枠(12)の幅寸法を(W1)とし、マスク本体(2)の短辺と平行な横枠(13)の幅寸法を(W2)とするとき、縦枠(12)の幅寸法(W1)と横枠(13)の幅寸法(W2)とが、不等式(W1≦W2≦W1×1.1)を満足するように設定されている請求項1または2に記載の蒸着マスク。
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