JP2018199214A - 研磨物品及び形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削工具、特にワイヤソーの分野で必要とされる研磨物品及び形成方法を提供する。
【解決手段】ワイヤ基材201と、そのワイヤ基材201を覆う電気メッキ層から成るタッキング薄膜202と、コーティング層204及びタッキング薄膜202との間の接合が金属結合領域を画定するようにそのタッキング薄膜202に接合されるコーティング層204を含む研磨剤粒子203と、研磨剤粒子203及びタッキング薄膜202を覆う接合層205と、を有する研磨物品200。
【選択図】図2

Description

以下は研磨物品、特に単一層の研磨物品の形成方法に関する。
過去一世紀にわたり各種産業用に、加工物から材料を取り除く一般的な機能用途(例え
ばのこ切断、ドリル加工、研磨、洗浄処理、彫刻、及び研削を含む)に向けて多様な研磨
工具が開発されてきた。特に電子産業に関しては、単結晶インゴットの材料をスライスし
てウエハを形成するのに好適な研磨剤が特に該当する。産業が成熟するにつれてインゴッ
トはより大きな直径に増大し、かつ遊離砥粒及びワイヤソーを使用することが、そのよう
な加工物の歩留まり、生産性、加工変質層、寸法の制約及びその他の因子によって受け入
れられるようになってきた。
一般的には、ワイヤソーは長尺のワイヤに取付けられた研磨剤を有する研磨工具であり
、高速度でスプール巻きされ切断機能をもたらす。丸のこはブレードの半径以下の切断深
さに制約されるが、ワイヤソーはより融通性があり、直線的な切削経路又は輪郭切削経路
が可能である。
従来の研磨剤固定ワイヤソーでは、金属ワイヤ又はケーブルの上にスチールビーズを滑
り込ませ、そのビーズをスペーサーによって離間させてこれらの物品を作製するなど様々
な手法が行われてきた。これらのビーズは、一般的に電気メッキ又は焼結のどちらかによ
って取付けられる研磨剤粒子により被覆され得る。しかしながら電気メッキ及び焼結は、
時間がかかり従ってコストのかかる事業であり、ワイヤソー切削工具を迅速に生産するこ
とが妨げられている。これらのワイヤソーの大部分は、電子部品用途のような切り溝損失
がそれ程重大でない用途に使用され、石や大理石の切断に多く使用される。化学的接合方
法、例えばろう付けによって研磨剤粒子を取り付ける幾つかの試みが行われたが、そのよ
うな製作方法はワイヤソーの引張強度を低下させ、ワイヤソーは高張力下での切断利用の
際に破断及び早期破壊を受けやすいようになる。その他のワイヤソーでは、樹脂を使用し
て研磨剤をワイヤに接合させる。残念ながら、樹脂接合したワイヤソーは急速に摩耗しや
すく、特に硬質材料を切り込む際に、研磨剤粒子の使用寿命を実現する前にかなり研磨剤
が失われる。
従って、産業界では改善された切削工具が、特にワイヤソーの分野で引き続いて必要と
される。
一態様によれば、研磨物品は、基材と、基材を覆うタッキング薄膜と、タッキング薄膜
に接合される研磨剤粒子を覆うコーティング層を含む研磨剤粒子とを含み、コーティング
層とタッキング薄膜との間の接合が金属結合領域を画定し、かつ接合層が研磨剤粒子とタ
ッキング薄膜とを覆う。
別の態様によれば、研磨物品は、長さ:幅のアスペクト比が少なくとも約10:1であ
る細長い本体で構成される基材と、約450℃以下の融点を有するはんだ材料を含む基材
を覆うタッキング薄膜と、タッキング薄膜に接合された研磨剤粒子、及び研磨剤粒子とタ
ッキング薄膜を覆う接合層とを含む。
更に別の態様では、研磨物品の形成方法は、基材を準備すること、基材の表面を覆うタ
ッキング薄膜を形成すること、そのタッキング薄膜がはんだ材料を含むこと、そのタッキ
ング薄膜の上にコーティング層を含む研磨剤粒子を配置すること、及びコーティング層と
タッキング薄膜を互いに接合するためにタッキング薄膜を処理すること、を含む。その方
法は、タッキング薄膜及び研磨剤粒子を覆って接合層を形成することを含む。
さらに別の態様によれば、研磨物品の形成方法は、長さ:幅のアスペクト比が少なくと
も約10:1である細長い本体で構成される基材を準備すること、その基材の表面を覆う
金属を含むタッキング薄膜を形成すること、そのタッキング薄膜が約450℃以下の融点
を有すること、そのタッキング薄膜の中に研磨剤を配置すること、及びタッキング薄膜と
研磨剤粒子を覆って接合層を形成すること、を含む。
別の態様は研磨物品の形成方法を含み、その方法は、ワイヤで構成される基材を準備す
ること、その基材の表面を覆う金属材料を含むタッキング薄膜を形成すること、そのタッ
キング薄膜の中に研磨剤粒子を配置すること、そのタッキング薄膜を処理して研磨剤粒子
とタッキング薄膜との間に金属結合領域を形成すること、及びそのタッキング薄膜及び研
磨剤粒子を覆って接合層を形成すること、を含む。
添付の図面を参照して、本開示はより良く理解され、かつ多くの特徴及び利点は当業者
に明らかになるであろう。
図1は実施形態に従う研磨物品を形成するプロセスを提供するフローチャートを含む。 図2は実施形態に従う研磨物品の一部を例示する断面図を含む。 図3は実施形態によって形成された研磨物品の拡大画像を含む。 図4は別の実施形態によって形成された研磨物品の拡大画像を含む。 図5は別の実施形態によって形成された研磨物品の拡大画像を含む。 図6はさらに別の実施形態によって形成された研磨物品の拡大画像を含む。 図7は更に別の実施形態によって形成された研磨物品の拡大画像を含む。 図8は別の実施形態により形成された研磨物品の拡大画像を含む。
異なった図面における同系の参照番号の使用は類似又は同一の項目を示す。
以下は研磨物品に関し、特に加工物を研磨し、のこで切断するのに好適な研磨物品に関
する。特定の例では、研磨物品はワイヤソーを形成することができ、そのワイヤソーは、
電子産業、光学産業及びその他の関連産業における敏感な結晶材料の加工に使用すること
ができる。
図1は実施形態に従った研磨物品を形成するプロセスを提供するフローチャートを含む
。プロセスは基材を準備することによる工程101にて開始できる。基材はそれに研磨材
料を取り付けるための表面を提供でき、それにより研磨物品の研磨性能を促進する。
実施形態に従って、基材を準備するプロセスはワイヤの形状で基材を提供するプロセス
を含むことができる。実際に、ワイヤ基材はスプール巻き機構で接続してよい。例えばワ
イヤは供給スプールと巻取りスプールとの間に供給できる。供給スプールと巻取りスプー
ルとの間のワイヤの移行が加工を促進させることができ、ワイヤが供給スプールから巻取
りスプールに移行する間にワイヤが所望の形成プロセスを介して移行され、最終的に形成
される研磨物品の成分層を形成することができる。
実施形態に従って、基材は長さ:幅のアスペクト比が少なくとも10:1である細長い
部材であることができる。その他の実施形態では、基材は少なくとも約100:1の、例
えば少なくとも1000:1の、又はさらには少なくとも約10,000:1などのアス
ペクト比を有することができる。基材の長さは、基材の長さ方向の軸に沿って測定された
最長の寸法である。幅は長さ方向の軸と直交して測定された基材の第2番目に長い(場合
により最小の)寸法である。
更に、細長い部材形状の基材は、少なくとも約50メートルの長さを有する。実際にそ
の他の基材は少なくとも約100メートル、例えば少なくとも約500メートル、少なく
とも約1,000メートル、又はさらに10,000メートルなどの平均長さを有する、
より長いものであり得る。
更に、基材は約1cm以下にできない幅を有する。実際に、基材は、約0.5cm以下
、例えば、約1mm以下、0.8mm以下、又は約0.5mm以下、などの平均幅を有す
る細長い部材であり得る。その上、基材は少なくとも約0.01mm、例えば、少なくと
も約0.03mmなどの平均幅を有することができる。基材が上記の最小値と最大値との
間の範囲内の平均幅を有してよいことは明らかである。更に、基材がほぼ円形の断面形状
を有するワイヤである場合には、幅とは直径のことを指すと理解されよう。
実施形態に従って、基材は無機材料、例えば金属又は合金材料などを含むことができる
。一部の基材は元素の周期律表において認識されているような遷移金属元素を含むことが
できる。例えば、基材は鉄、ニッケル、コバルト、銅、クロム、モリブデン、バナジン、
タンタル、タングステンなどの元素を組み入れることができる。特定の実施形態に従うと
、基材は鉄をふくむことができ、及びより詳細にはスチールであってもよい。
特定の実施形態では、基材はともに編まれた複数のフィラメントを含んでよいワイヤな
どの細長い部材であってもよい。すなわち、基材は互いに巻きついた、編みこまれた、又
は別物体例えば中央部の芯線などに固定された、多くのより小径のワイヤから形成されて
いることができる。特定の設計では、基材用に好適な構造体としてピアノ線を利用するこ
ともできる。
更に基材を供給するプロセスに言及すると、基材は供給スプールから巻き取りスプール
まで特定の速度でスプール巻きでき、加工を容易化できることが理解されよう。例えば、
基材は約5m/分以下の速度で供給スプールから巻き取りスプールまでスプール巻きでき
る。その他の実施形態では、スプール巻きの速度は、少なくとも8m/分、少なくとも1
0m/分、少なくとも12m/分、更には少なくとも14m/分であるようにより速くで
きる。特定の例では、スプール巻きの速度は約200m/分以下、例えば約100m/分
以下などとし得る。スプール巻きの速度は上記のいずれかの最小値と最大値との間の範囲
内であることができる。スプール巻きの速度は研磨物品が最終的に形成され得る速度を表
わし得ることは理解されよう。
工程101にて基材を提供した後で、その基材の表面を覆うタッキング薄膜を形成する
ことによって工程102にプロセスは継続される。タッキング薄膜を形成するプロセスに
は、付着プロセス、例えば、スプレー、印刷、浸漬、ダイコーティング、メッキ、電気メ
ッキ、及びこれらの組合せを含むものが挙げられる。タッキング薄膜は基材の外側表面に
直接接合できる。実際にタッキング薄膜は、それが基材の外側表面の大部分を覆うように
、より詳細には基材の本質的に全ての外側表面を覆うように形成することができる。
タッキング薄膜は、それが接合領域を画定するようにして基材に接合されるように形成
される。接合領域はタッキング薄膜と基材との間の要素の相互拡散によって画定される。
タッキング薄膜が基材の表面上に付着される場合には、付着の時点における接合領域の形
成が必ずしも必要ではないことが理解されよう。例えば、タッキング薄膜と基材との間の
接合領域の形成は、基材と基材上に形成されたその他の成分層との間の接合を促進するた
めの加熱処理などのその後の加工中に形成されてよい。
実施形態に従うと、タッキング薄膜は金属、合金、金属マトリックスの複合材、及びそ
れらの組合せから形成できる。特定の一実施形態では、タッキング薄膜は遷移金属元素を
含む材料で形成できる。例えば、タッキング薄膜は遷移金属元素を含む合金であってもよ
い。幾つかの好適な遷移金属元素には、例えば、鉛、銀、銅、亜鉛、錫、チタン、モリブ
デン、クロム、鉄、マンガン、コバルト、ニオビウム、タンタル、タングステン、パラジ
ウム、白金、金、ルテニウム及びそれらの組合せが挙げられる。特定の一実施形態では、
タッキング薄膜は錫と鉛、例えば、60/40の錫/鉛の組成を含む合金で作製できる。
別の実施形態では、タッキング薄膜は大部分が錫の含有物である材料で作製できる。事実
、特定の研磨物品ではタッキング薄膜は本質的に錫からなる材料を含む。
錫は少なくとも約99%の純度を有し得る。更に、錫は少なくとも約99.1%、少な
くとも約99.2%、少なくとも約99.3%、少なくとも約99.4%、少なくとも約
99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8
%、又は少なくとも約99.9%の純度を有することができる。別の態様では錫は少なく
とも約100%の純度を有することができる。
実施形態に従って、タッキング薄膜ははんだ材料であることができる。はんだ材料は約
450℃以下などの特定の融点を有する材料を含むことは当然である。はんだ材料は、ろ
う付け材料とは異なり、ろう付け材料は一般的に、はんだ材料よりはるかに高い融点、例
えば450℃超、更に一般的には500℃超の融点を有する。更に、ろう付け材料は異な
った組成物を有する。その上、実施形態に従うと、本明細書の実施形態のタッキング薄膜
は約400℃以下、例えば、約375℃以下、350℃以下、約300℃以下、又は約2
50℃以下の融点を有する材料で形成してもよい。更に、タッキング薄膜は少なくとも1
00℃、例えば、少なくとも125℃、少なくとも150℃、又はその上少なくとも17
5℃の融点を有してもよい。タッキング薄膜は、上記のいずれかの最低温度と最高温度と
の間の範囲内の融点を有することができることは当然である。
タッキング薄膜の形成はタッキング薄膜を覆う追加層の形成を含むことができる。例え
ば一実施形態では、タッキング薄膜の形成は、更なる加工を容易にするためにタッキング
薄膜を覆う追加層の形成を含むことができる。被覆薄膜は融剤材料であることができ、融
剤はタッキング薄膜の材料の融解を容易にし、タッキング薄膜上の研磨剤粒子の接着をさ
らに促進させる。融剤材料はタッキング薄膜を覆うほぼ均一な層の形態であることができ
、より具体的にはタッキング薄膜と直接に接触する。融剤材料は液体又はペースト形態で
あってもよい。一実施形態によると、融剤材料はスプレー、浸漬、塗装、印刷、刷毛塗り
及びそれらの組み合わせなどの付着プロセスを使用してタッキング薄膜に適用できる。
融剤材料形態の追加の層は、大部分が融剤材料の含有物を含むことができる。特定の例
では、追加層の本質的に全てが融剤材料からなることができる。
工程102においてタッキング薄膜を形成した後で、プロセスはタッキング薄膜の上に
研磨剤粒子を配置することによって工程103に継続できる。一部の例では、プロセスの
特性に応じて、研磨剤粒子をタッキング薄膜と直接接触させることができる。より詳細に
は、研磨剤粒子は、タッキング薄膜を覆う、融剤材料を含む層などの追加層と直接接触で
きる。実際に、融剤材料を含む追加層の材料は、更なるプロセスで研磨剤粒子をタッキン
グ薄膜に対して適所に永久的な接合を形成することが実施されるまで、加工中に研磨剤材
料を所定の位置に保持することを容易にする元々の粘度及び接着特性を有することができ
る。
タッキング薄膜上に、及びより詳細には融剤材料を含む追加層の上に、研磨剤粒子を供
給する好適な方法には、スプレー、重力コーティング(gravity coating
)、浸漬、ダイコーティング、静電塗装、及びそれらの組み合わせが挙げられる。研磨剤
粒子を適用するのに特に好適な方法には、スプレープロセスが挙げられ、融剤材料を含む
追加層の上に実質的に均一な研磨剤粒子のコーティングを塗布するために実施される。
代替的な実施形態では、研磨剤粒子の供給方法には、融剤材料及び研磨剤粒子を含む混
合物を形成することが含まれ得る。その混合物を形成し、かつタッキング薄膜でコーティ
ングする第1のコーティングと次に研磨剤粒子を適用する2工程プロセスを利用すること
とは対照的に、タッキング薄膜の上に直接的に付着できる。研磨剤粒子を融剤と混合し、
次いでその混合物をワイヤに適用することによってワイヤ単位当たりの単層中の研磨剤粒
子濃度が比較的高く達成できるようになる。例えば、ワイヤ1mm当たり600個までの
研磨剤粒子を有するワイヤソーは、この方法を使用して作製できる。研磨剤粒子は、研磨
剤粒子が凝集した実質的に単一層で又は多層になった研磨剤粒子で、ワイヤの上に付着で
きる。
研磨剤粒子には、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、オキシ窒化物、オキシホウ化物
(oxyboride)、ダイヤモンド及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実
施形態では、研磨剤粒子は超砥粒材料(superabrasive material
)を組入れることができる。例えば、一つの好適な超砥粒材料にはダイヤモンドが挙げら
れる。特定の例では、研磨剤粒子は本質的にダイヤモンドからなることができる。
一実施形態では、研磨剤粒子は少なくとも約10GPaのビッカース硬度を有する材料
を含むことができる。その他の例では、研磨剤粒子は少なくとも約25GPaの、例えば
少なくとも30GPa、少なくとも40GPa、少なくとも50GPa、若しくは更に少
なくとも75GPaなどのビッカース硬度を有することができる。更に本明細書の実施形
態において使用される研磨剤粒子は、約200GPa以下、例えば、150GPa以下、
若しくは更に100GPa以下などのビッカース硬度を有することができる。研磨剤粒子
は上記のいずれかの最小値と最大値との間の範囲内のビッカース硬度を有することができ
ることは明らかである。
研磨剤粒子は、研磨剤粒子の所望する最終用途によって部分的に決定される平均粒径を
有することができる。特定の例では、研磨剤粒子は約500ミクロン以下の平均粒径を有
することができる。その他の例では、研磨剤粒子の平均粒径はより小さく、平均粒径が約
300ミクロに以下、約250ミクロン以下、約200ミクロン以下、約150ミクロン
以下、若しくは更に約100ミクロン以下などであってもよい。実施形態に従って、研磨
剤粒子の平均粒径は、少なくとも約0.1ミクロン、例えば、少なくとも約0.5ミクロ
ン、若しくは更に少なくとも1ミクロンであることができる。研磨剤粒子は、上記のいず
れかの最小値と最大値との間の範囲内の平均粒径を有することができることは当然である
研磨剤粒子は、研磨剤粒子の外側表面上にコーティング層を含んでもよい。好適なコー
ティング層には、金属又は合金材料が挙げられる。一つの特定の実施形態に従うと、コー
ティング層は遷移金属元素、例えば、チタン、バナジン、クロム、モリブデン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、マンガン、タンタル、タングステン、及びそれらに組み
合わせ、を含むことができる。 特定のコーティング層は、ニッケル合金、及び更にはコ
ーティング層の組成物中に存在するその他の化学種と比較して重量%で測定した時にニッ
ケルが最大含有物である合金などを含むことができる。さらに特定の例では、コーティン
グ層は単一の金属種を含むことができる。例えば、コーティング層は本質的にニッケルか
らなることができる。
研磨剤粒子は、そのコーティング層が研磨剤粒子の外側表面の少なくとも約50%を覆
うように形成することができる。その他の実施形態では各研磨剤粒子のコーティング層の
被覆はより大きく、コーティング層が、研磨剤粒子の外側表面の少なくとも約75%、少
なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%を覆うように、若しくは本
質的に外側表面全体を覆うようにすることができる。
研磨剤粒子を工程103においてタッキング薄膜の上に配置した後、そのプロセスはタ
ッキング薄膜を処理することによってタッキング薄膜中で研磨剤粒子を接合させる工程1
04で継続され得る。処理には、加熱、硬化、乾燥、及びそれらの組み合わせなどのプロ
セスが含まれる。一つの特定の実施形態では、処理には、タッキング薄膜をタッキング薄
膜の融解が誘発されるに十分な温度に加熱し、一方研磨剤粒子及び基材の損傷を押さえる
ために過度の温度を回避するような熱加工が含まれる。例えば、処理は基材、タッキング
薄膜、及び研磨剤粒子を約450℃以下の温度に加熱することが含まれる。注目すべきは
、処理プロセスはより低い、例えば、約375℃以下、約350℃以下、約300℃以下
、若しくは更に約250℃以下、処理温度で実施できることである。その他の実施形態で
は、処理プロセスはタッキング薄膜を少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、若
しくは更に少なくとも約175℃という融点まで加熱することを含んでもよい。
加熱プロセスは、タッキング薄膜内で及び融剤材料を含む追加層内での材料の融解を促
進させ、研磨剤粒子をタッキング薄膜及び基材と接合させることができることは理解され
るだろう。加熱プロセスは研磨剤粒子とタッキング薄膜との間に特別な結合の形成を促進
させることができる。コーティングされた研磨剤粒子との関連で注目すべきは、研磨剤粒
子のコーティング材料とタッキング薄膜材料との間に金属結合領域が形成できることであ
る。その金属結合領域は、タッキング薄膜中の少なくとも1種の化学種と研磨剤粒子を覆
うコーティング層中の少なくとも1種の化学種との間で 相互拡散を有する拡散接合領域
によって特徴付けられ、その結果金属結合領域は、2つの成分層由来の化学種の混合物を
含む。
工程104にてタッキング薄膜を処理した後で、その工程はタッキング薄膜及び研磨剤
粒子を覆う結合層の形成によって工程105に継続できる。その結合層の形成は向上した
摩耗耐性を有する研磨物品の形成を容易にすることができる。更に接合層は研磨剤物品の
研磨剤粒子の保持を増強することができる。実施形態に従うと、接合層の形成プロセスに
は研磨剤粒子及びタッキング薄膜によって画定された物品の外側表面上への接合層の付着
が含まれる。事実、接合層は研磨剤粒子及びタッキング薄膜に直接的に接合できる。
接合層の形成には、メッキ、スプレー、浸漬、印刷、及びそれらの組み合わせなどのプ
ロセスを含めることができる。一つの特定の実施形態に従うと、接合層はメッキプロセス
によって形成できる。注意すべきことは、接合層の形成には、多工程のプロセスが含まれ
、工程104からのタッキングされた研磨剤粒子を有する基材は最初に、接合層の形成の
前に清浄化又はリンスされて、好ましくない材料(例えば、追加層由来の残留融剤材料)
を除去することができる。
接合層は、接合層が研磨剤粒子及びタッキング薄膜の露出表面の少なくとも90%を覆
うように形成され得る。その他の実施形態では、接合層が研磨剤粒子及びタッキング薄膜
の露出表面の少なくとも92%、少なくとも95%、若しくは更に少なくとも97%を覆
うように接合層の被覆をより大きくすることができる。一つの特定実施形態では、接合層
が研磨剤粒子及びタッキング薄膜の露出された表面の実質的すべてを覆うように形成する
ことができ、かつ成分層を完全に被覆し、研磨剤物品の外側表面を画定する。
接合層は有機材料、無機材料及びそれらの組み合わせなどの材料から作製できる。幾つ
かの好適な有機物材料には、UV硬化ポリマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及びそれ
らの組み合わせを含むことができる。幾つかのその他の好適なポリマー材料には、ウレタ
ン、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、アクリレート、ポリビニル及びそれらの組み合
わせを含むことができる。
接合層に使用するのに好適な無機材料には、金属、金属合金、サーメット、セラミック
、複合材、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一つの特定の例において、接合層は少
なくとも1つの遷移金属元素、及び更に詳細には遷移金属元素を含有する金属合金を有す
る材料で形成されることができる。接合層に使用するのに好適な幾つかの遷移金属元素に
は、鉛、銀、銅、亜鉛、錫、チタン、モリブデン、クロム、鉄、マンガン、コバルト、ニ
オブ、タンタル、タングステン、パラジウム、白金、金、ルテニウム、及びそれらの組み
合わせが挙げられる。特定の例では、接合層にはニッケルが含まれ、かつニッケルを含む
金属合金、若しくは更にはニッケル系合金でであってもよい。更にその他の実施形態では
、接合層は本質的にニッケルからなることができる。
一つの実施形態に従うと、接合層を例えば複合材を含み、タッキング薄膜より大きな硬
度を有する材料で作製できる。例えば、接合層はタッキング薄膜のビッカース硬度よりも
少なくとも約5%硬いビッカース硬度を有することができる。実際に、その他の実施形態
では接合層のビッカース硬度はタッキング薄膜のビッカース硬度と比較して、少なくとも
約10%、例えば少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少な
くとも約50%、少なくとも約75%、若しくは更に少なくとも約100%硬いことがで
きる。
更に、接合層は圧痕法によって測定した時の破壊靭性(KIc)が、タッキング薄膜の
平均的破壊靭性よりも少なくとも約5%大であることができる。特定の実施形態では、接
合層は、タッキング薄膜の破壊靭性(KIc)よりも少なくとも約8%大きい、少なくと
も約10%大きい、少なくとも約15%大きい、少なくとも約20%大きい、少なくとも
約25%大きい、少なくとも約30%大きい、若しくは更に少なくとも約40%大きい破
壊靭性を有することができる。
任意選択で、接合層はフィラー材料を含むことができる。フィラーは最終的に形成され
る研磨物品の性能特性を増強させるのに好適な各種材料であることができる。幾つかの好
適なフィラー材料には研磨材料、中空球などの空孔形成剤、ガラス球、発泡アルミナ、貝
殻並びに/又は繊維などの天然材料、金属粒子、及びそれらの組み合わせを含むことがで
きる。
一つの特定の実施形態では、接合層に研磨剤粒子の形態のフィラーを含むことができる
。フィラーの研磨剤粒子は、研磨剤粒子とは、特に粒径に関して顕著に異なっていてもよ
く、そのため例えば特定の例において砥粒フィラーはタッキング薄膜に接合された研磨剤
粒子の平均粒径よりも実質的に小さい平均粒径を有してもよい。例えば、砥粒フィラーは
研磨剤粒子の平均粒径の少なくとも約1/2の平均粒径を有することができる。実際に研
磨剤フィラーは、さらに小さい平均的粒径を有していてもよく、例えば、タッキング薄膜
内に配置された研磨剤粒子の平均粒径の少なくとも約1/3であり、少なくとも約1/5
、少なくとも約1/10、及び具体的には約1/2〜約1/10の間の範囲にあってもよ
い。
接合層内部にある砥粒フィラーは、例えば、カーバイド、カーボン系材料(例えば、フ
ラーレン)、ホウ化物、窒化物、酸化物、オキシ窒化物、オキシホウ化物、及びそれらの
組み合わせから作製できる。特定の例では、砥粒フィラーは、ダイヤモンド、立方晶窒化
ホウ素、又はそれらの組み合わせなどの超砥粒材料(superabrasive ma
terial)であることができる。砥粒フィラーがタッキング薄膜に接合された研磨剤
粒子と同一の材料であってもよいことは明らかである。別の例では、砥粒フィラーはタッ
キング薄膜に接合された研磨剤粒子とは異なった材料を含むことができる。
図2には実施形態に従った研磨物品の一部の断面図が含まれる。図示したように研磨物
品200は基材201を有することができ、基材はワイヤのような細長い形状である。更
に説明すると、研磨物品は基材201の外側表面全体にわたって付着されたタッキング薄
膜202を有する。更に、研磨物品200は研磨剤粒子203を覆うコーティング層20
4を含む研磨剤粒子203を有することができる。研磨剤粒子203はタッキング薄膜2
02に接合され得る。具体的には、研磨剤粒子203は界面206においてタッキング薄
膜202に接合され得、そこでは本明細書に説明されるように金属結合領域が形成され得
る。
研磨物品200には、研磨剤粒子203の外側表面を覆うコーティング層204が含ま
れることができる。注目すべきは、コーティング層204がタッキング薄膜202と直接
的に接触できることである。本明細書で説明されるように、研磨剤粒子203、更に詳細
には研磨物品203のコーティング層204はコーティング層204とタッキング薄膜2
02との間の界面において金属結合領域を形成することができる。
一実施形態によると、タッキング薄膜202は研磨剤粒子203の平均粒径と比較して
特定の厚さを有することができる。例えば、タッキング薄膜202は、研磨剤粒子203
の平均粒径の約80%以下の平均厚さを有することができる。その他の研磨物品では、タ
ッキング薄膜202は、研磨剤粒子203の 平均粒径の約70%以下の平均厚さを有す
ることができ、例えば、約60%以下、約50%以下、約40%以下、若しくは更に約3
0%以下のであってもよい。更に特定の例では、タッキング薄膜202の平均厚さは、研
磨剤粒子203の平均粒径の少なくとも約3%であることができ、例えば、少なくとも約
5%、少なくとも約8%、若しくは更に少なくとも約10%であってもよい。タッキング
薄膜202は上記のいずれかの最小値と最大値の間の範囲内の平均厚さを有することがで
きることは明らかである。
代替表現では、特定の研磨物品によると、タッキング薄膜202は約25ミクロン以下
の平均厚さを有することができる。更にその他の実施形態ではタッキング薄膜202は約
20ミクロン以下の平均厚さを有することができ、例えば、約15ミクロン以下、約12
ミクロン以下、若しくは更に約10ミクロン以下であってもよい。一実施形態に従うと、
タッキング薄膜202は少なくとも約0.05ミクロンである、例えば少なくとも約0.
1ミクロン、少なくとも約0.5ミクロン、若しくは更に少なくとも約1ミクロン、の平
均厚さを有することができる。タッキング薄膜202が上記のいずれかの最小値と最大値
との間の範囲内の平均厚さを有することができることは明らかである。
特定の態様において、研磨剤粒子の粒径に応じてタッキング薄膜202の厚さは研磨物
品の性能に影響を及ぼし得る。例えば、特定の粒径に対してタッキング薄膜202があま
りに薄すぎると、研磨剤粒子は基材201に接合できない。更にタッキング薄膜202が
あまりに厚すぎると、研磨剤粒子がタッキング薄膜202の内部にあまりに深く埋め込ま
れてしまい、コーティング層204が研磨剤粒子203及びタッキング薄膜202を覆っ
て付着されると、研磨剤粒子202は基材201から実質的に突き出ないことになる。
平均粒径が約10〜20ミクロンの範囲内にあるニッケルコート研磨剤粒子用には、タ
ッキング薄膜の厚さは少なくとも約1ミクロンであり得る。更にその厚さは少なくとも約
1.25ミクロン又は少なくとも約1.75ミクロンであってもよい。しかしながら、厚
さには制限があり、その厚さは約3.0ミクロン以下、約2.75ミクロン以下、約2.
5ミクロン以下、約2.25ミクロン以下、若しくは約2.0ミクロン以下のであり得る
。平均粒径が10〜20ミクロンの範囲内にある研磨剤粒子用には、タッキング薄膜20
2は、上記のいずれかの最小値及び最大値の厚さ間の範囲内にある厚さを有することがで
きる。
約40〜60ミクロンの範囲内の平均粒径を有するニッケルコート研磨剤粒子用には、
タッキング薄膜厚さが少なくとも約1ミクロンであることができる。更に厚さは、少なく
とも約1.25ミクロン、少なくとも約1.75ミクロン、少なくとも約2.0ミクロン
、少なくとも約2.25ミクロン、少なくとも約2.5ミクロン、少なくとも約2.75
ミクロン、若しくは更に少なくとも約3.0ミクロン、であってもよい。しかしながら、
厚さには制限があり、その厚さは約5.0ミクロン以下、約4.75ミクロン以下、約4
.5ミクロン以下、約4.25ミクロン以下、約4.0ミクロン以下、約3.75ミクロ
ン以下、約3.5ミクロン以下、約3.25ミクロン以下、若しくは約3.0ミクロン以
下の、ものであってもよい。40〜60ミクロンの範囲の平均粒径を有する研磨剤粒子用
には、タッキング薄膜202は上記のいずれかの最小値及び最大値の間の範囲内の厚さを
有することができる。
更に説明されるように、接合層205は、研磨剤粒子203及びタッキング薄膜202
に直接的に被覆し直接的に接合し得る。一実施形態によると、接合層205は特定の厚さ
を有して形成され得る。例えば、接合層205は研磨剤粒子203の平均粒径の少なくと
も約10%の平均厚さを有することができる。その他の実施形態では、接合層205の平
均厚さは、例えば少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、若し
くは更に少なくとも約50%、より大きいであることができる。更に、接合層205の平
均厚さは、その平均厚さが、研磨剤粒子203の平均粒径の約130%以下、例えば、約
110%以下、約100%以下、約95%以下、若しくは更に約90%以下に制限され得
る。接合層205が上記のいずれかの最大及び最小のパーセントの間の範囲内の平均厚さ
を有することができることは明らかである。
更に特定の用語において、接合層205は、少なくとも2ミクロンである平均厚さを有
するように形成できる。その他の研磨物品用には、接合層205は、例えば、少なくとも
約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約15ミクロン、若しくは更に少
なくとも約20ミクロンなどのより大きな平均厚さを有することができる。特定の研磨物
品は、約100ミクロン以下、例えば、90ミクロン以下、80ミクロン以下、若しくは
更に70ミクロン以下の平均厚さを有する接合層205を有することができる。接合層2
05は上記のいずれかの最小値と最大値の間の範囲内の平均厚さを有することができるこ
とは明らかである。
特定の態様において、研磨物品はワイヤ1mm当たり少なくとも約60個の粒子を有す
ることができる。更にその砥粒濃度は、ワイヤ1mm当たり少なくとも約100個の粒子
、ワイヤ1mm当たり少なくとも約150個の粒子、ワイヤ1mm当たり少なくとも約2
00個の粒子、ワイヤ1mm当たり少なくとも約250個の粒子、ワイヤ1mm当たり少
なくとも約300個の粒子、であることができる。別の態様では、その砥粒濃度は、ワイ
ヤの1mm当たり約750個以下、ワイヤ1mm当たり約700個以下、ワイヤ1mm当
たり約650個以下、若しくは更にワイヤ1mm当たり約600個以下であってもよい。
別の態様では、その砥粒濃度はこれらの研磨剤濃度の値のいずれか2つを含む間の範囲内
であることができる。
別の態様では、研磨物品はワイヤ1km当たり少なくとも約0.5カラットのダイヤモ
ンドの砥粒濃度を有することができる。更に砥粒濃度は、ワイヤ1km当たり少なくとも
約1.0カラット、ワイヤ1km当たり少なくとも約1.5カラット、ワイヤ1km当た
り少なくとも約2.0カラット、ワイヤ1km当たり少なくとも約3.0カラット、ワイ
ヤ1km当たり少なくとも約4.0カラット、ワイヤ1km当たり少なくとも約5.0カ
ラットであることができる。しかしながらその濃度には制限がある。例えば、濃度は、ワ
イヤ1km当たり15.0カラット以下、1km当たり14.0カラット以下、1km当
たり13.0カラット以下、1km当たり12.0カラット以下、1km当たり11.0
カラット以下、若しくは1km当たり10.0カラット以下であってもよい。
実施例1
基材として所定長さの高強度カーボンスチールワイヤを準備する。高強度カーボンスチ
ールワイヤは約125ミクロンの平均直径を有する。タッキング薄膜を電気メッキによっ
て基材の外側表面上に形成させる。電気メッキプロセスにより約4ミクロンの平均厚さを
有するタッキング薄膜を形成する。そのタッキング薄膜は、錫/鉛が60/40のはんだ
組成物で形成される。
タッキング薄膜を形成した後、そのワイヤをStay Clean(登録商標)液状の
半田付け用フラックスとしてHarris製品グループより市販されている液状融剤材料
を収容するバスの中でスプール巻き(spool)させ、次いでその処理されたワイヤに
20〜30ミクロンの平均粒径を有するニッケルコートダイヤモンドの研磨剤粒子をスプ
レー塗布する。その後基材、タッキング薄膜、及び研磨剤粒子を約190℃までの温度で
加熱処理する。次にその 研磨材プリフォームを冷却及びリンスする。ニッケルコートダ
イヤモンドをタッキング薄膜に接合させるプロセスは15m/分の平均スプール巻き速度
で実施する。
その後研磨材プリフォームは15%塩酸を使用して洗浄し、続いて脱イオン水でリンス
する。リンスした物品をニッケルで電気メッキし、研磨剤粒子及びタッキング薄膜と直接
接触しかつ覆う接合層を形成させる。図3には実施例1の方法で形成された研磨物品の一
部の拡大画像が含まれる。
実施例2
基材として所定長さの高強度カーボンスチールワイヤを準備する。高強度カーボンスチ
ールワイヤは約125ミクロンの平均直径を有する。タッキング薄膜を電気メッキによっ
て基材の外側表面上に形成させる。電気メッキプロセスにより約6ミクロンの平均厚さを
有するタッキング薄膜を形成する。そのタッキング薄膜は、錫/鉛が60/40のはんだ
組成物で形成される。
タッキング薄膜を形成した後、そのワイヤをStay Clean(登録商標)液状の
はんだ付け用フラックスとしてHarris製品グループより市販されている液状融剤材
料を収容するバスの中でスプール巻き(spool)させ、次いでその処理されたワイヤ
に15〜25ミクロンの平均粒径を有するニッケルコートダイヤモンドの研磨剤粒子をス
プレー塗布する。その後基材、タッキング薄膜、及び研磨剤粒子を約190℃までの温度
で加熱処理する。次にその研磨材プリフォームを冷却及びリンスする。ニッケルコートダ
イヤモンドをタッキング薄膜に接合させるプロセスは15m/分の平均スプール巻き速度
で実施する。
その後研磨材プリフォームは15%塩酸を使用して洗浄し、続いて脱イオン水でリンス
する。リンスした物品をニッケルで電気メッキし、研磨剤粒子及びタッキング薄膜と直接
接触しかつ覆う接合層を形成させる。図4には得られた物品を図示する。図4に示すよう
に、錫/鉛のタッキング薄膜402は約6ミクロンの厚さを有し、Niコートダイヤモン
ド404をワイヤ406上のタッキング薄膜402の中に比較的深く埋め込まれることが
できるようにする。しかしながら、ニッケルの最終層408がニッケルコートダイヤモン
ド404及びタッキング薄膜402の上に電気メッキされた後では、Niコートダイヤモ
ンド404のワイヤ406の表面からの突き出しが貧弱であり、切断用に役立たない。
実施例3
基材として所定長さの高強度カーボンスチールワイヤを準備する。高強度カーボンスチ
ールワイヤは約120ミクロンの平均直径を有する。タッキング薄膜を電気メッキによっ
て基材の外側表面上に形成させる。電気メッキプロセスにより約2ミクロンの平均厚さを
有するタッキング薄膜を形成する。そのタッキング薄膜は、高純度錫はんだ付け組成物で
形成される。
タッキング薄膜を形成した後、そのワイヤをStay Clean(登録商標)液状の
半田付け用フラックスとしてHarris製品グループより市販されている液状融剤材料
を収容するバスの中でスプール巻き(spool)させ、次いでその処理されたワイヤに
10〜20ミクロンの平均粒径を有するニッケルコートダイヤモンドの研磨剤粒子をスプ
レー塗布する。その後基材、タッキング薄膜、及び研磨剤粒子を約250℃までの温度で
加熱処理する。次にその研磨材プリフォームを冷却及びリンスする。ニッケルコートダイ
ヤモンドをタッキング薄膜に接合させるプロセスは15m/分の平均スプール巻き速度で
実施する。
その後研磨材プリフォームは15%塩酸を使用して洗浄し、続いて脱イオン水でリンス
する。リンスした物品をニッケルで電気メッキし、研磨剤粒子及びタッキング薄膜と直接
接触しかつ覆う接合層を形成させる。
実施例4
基材として所定長さの高強度カーボンスチールワイヤを準備する。高強度カーボンスチ
ールワイヤは約120ミクロンの平均直径を有する。タッキング薄膜を電気メッキによっ
て基材の外側表面上に形成させる。電気メッキプロセスにより約2ミクロンの平均厚さを
有するタッキング薄膜を形成する。そのタッキング薄膜は、高純度錫はんだ付け組成物で
形成される。
タッキング薄膜を形成した後、そのワイヤをStay Clean(登録商標)液状の
半田付け用フラックスとしてHarris製品グループより市販されている液状融剤材料
を収容するバスの中でスプール巻き(spool)させ、次いでその処理されたワイヤに
10〜20ミクロンの平均粒径を有するニッケルコートダイヤモンドの研磨剤粒子を融剤
と混合する。その後基材、タッキング薄膜、及び研磨剤粒子を約250℃までの温度で加
熱処理する。次にその研磨材プリフォームを冷却及びリンスする。ニッケルコートダイヤ
モンドをタッキング薄膜に接合させるプロセスは15m/分の平均スプール巻き速度で実
施する。
その後研磨材プリフォームは15%塩酸を使用して洗浄し、続いて脱イオン水でリンス
する。リンスした物品をニッケルで電気メッキし、研磨剤粒子及びタッキング薄膜と直接
接触しかつ覆う接合層を形成させる。
融剤中のニッケルコートダイヤモンド研磨剤粒子の濃度を調節することによって、ワイ
ヤ上のダイヤモンドの濃度は、ワイヤ1mm当たり60個の粒子及びワイヤ1mm当たり
600個の粒子を有する範囲で得られる。これは120ミクロンのスチールワイヤ1km
当たり約0.6〜6.0カラットに相当する。図5にワイヤ1mm当たり粒子502を約
60個の濃度で有するワイヤ500を示し、図6にワイヤ1mm当たり粒子602を約6
00個の濃度で有するワイヤ600を示す。これらのワイヤ500,600の各々の上の
粒子502,602は、凝集することなく又は積み重ねされる(多数層である)ことなく
、実質的に単一層で配置される。
切断試験
100mm四方のシリコンのレンガ12個を加工物として準備する。実施例4に従って
製造された365mのワイヤを準備する。ワイヤはワイヤ1km当たり約1.0カラット
の研磨剤粒子濃度を有する。ワイヤには約14ニュートンのワイヤ張力があり、9m/秒
の速度で操作する。切断時間は120分である。ワイヤは順調に加工物を切断しシングル
カットで12個のウエハを生産した。
EDS分析
実施例4のワイヤのEDS解析により、ワイヤ上に形成された金属間化合物の徴候は認
められない。図7を参照して、EDS解析の結果によりスチールワイヤ702及びスチー
ルワイヤ702上に付着される錫704の層が示される。更にニッケルの層が錫704の
上に付着される。図8では、同様にEDS解析の結果は、ニッケル層802がダイヤモン
ド804の周囲に形成され、その結果ダイヤモンド804は殆ど完全にニッケル層802
でコーティングされていることを示す。更にニッケル層802はスチールコア808の上
に付着される錫層806と界面を形成する。
実施例5
基材として所定長さの高強度カーボンスチールワイヤを準備する。高強度カーボンスチ
ールワイヤは約120ミクロンの平均直径を有する。タッキング薄膜を浸漬コーティング
によって基材の外側表面上に形成させる。浸漬コーティング工程により約2ミクロンの平
均厚さを有するタッキング薄膜を形成する。そのタッキング薄膜は、高純度錫はんだ付け
組成物で形成される。
タッキング薄膜を形成した後、そのワイヤをStay Clean(登録商標)液状の
半田付け用フラックスとしてHarris製品グループより市販されている液状融剤材料
を収容するバスの中でスプール巻き(spool)させ、次いでその処理されたワイヤに
10〜20ミクロンの平均粒径を有するニッケルコートダイヤモンドの研磨剤粒子をスプ
レー塗布する。残念ながら、理由はよく分からないが、研磨剤粒子は浸漬コーティングに
よって形成されたタッキング薄膜と接着しなく、残りの加工処理プロセスは実施されない
基材上の研磨剤粒子の欠損によって、実施例5に類似した方式で形成された研磨物品は
使用可能な量の研磨剤粒子を欠損しているであろうし、その研磨物品は研磨切断工具とし
て支持されないであろう。
上記の開示した主題は例示するものとして見なされ、制限するものではなく、かつ付帯
の請求項はその全ての変形形態、改良形態、及びその他の実施形態を対象とすることを意
図し、それは本発明の真の発明の範囲内に含まれる。従って、本発明の範囲は、法によっ
て許可される最大の度合いまで、以下の請求項およびそれらの均等物の最も広い範囲で許
容されるとする解釈によって決定され、前述の詳細な説明によって制約又は制限されるべ
きではない。
本開示の要旨は特許法に従うために提供されるものであって、本発明の特許請求の範囲
の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されるものではないと判断して提出される
ものである。更に前記の図面の詳細な説明における種々の特徴が、開示の効率化の目的で
一群にされたり又は単一の実施形態中で説明されたりしている。本開示は、特許請求され
た実施形態が各請求項の中で明確に唱えたものより多くの特徴を要求するものであるとい
う意図を反映するとして解釈されない。むしろ、以下の請求項は、開示された任意の実施
形態のすべての特徴より少ない発明的主題を対象とするものである。従って以下の請求項
は図面の詳細な説明の中に組み込まれ、各請求項は、特許請求された主題を独立して規定
するような独自の存在である。

Claims (14)

  1. ワイヤ基材と、
    前記ワイヤ基材を覆うタッキング薄膜と、
    前記タッキング薄膜に接合した研磨剤粒子を覆うコーティング層を含む研磨剤粒子であ
    って、前記コーティング層と前記タッキング薄膜との間の接合が金属結合領域を画定し、
    前記タッキング薄膜が、前記研磨剤粒子の平均粒径の少なくとも10%で、30%以下
    の平均厚さを有する、研磨剤粒子と、
    前記タッキング薄膜が電気メッキ層を含み、
    前記研磨剤粒子及び前記タッキング薄膜を覆う接合層と、
    を含む、研磨物品。
  2. 長さ:幅のアスペクト比が少なくとも10:1である、細長い本体を含むワイヤ基材と

    450℃以下の融点を有するはんだ材料を含むワイヤ基材を覆うタッキング薄膜と、
    前記タッキング薄膜に接合した研磨剤粒子であって、
    前記タッキング薄膜が、前記研磨剤粒子の平均粒径の少なくとも10%で、30%以下
    の平均厚さ、及び前記タッキング薄膜が、少なくとも約0.1ミクロンで、4ミクロン以
    下の平均厚さを有する、研磨剤粒子と、
    前記研磨剤粒子及び前記タッキング薄膜を覆う接合層と、
    を含む、研磨物品。
  3. 前記金属結合領域が、前記コーティング層の少なくとも1種の化学種と前記タッキング
    薄膜の少なくとも1種の化学種との間の相互拡散領域によって特徴付けられる拡散結合領
    域を含む、請求項1に記載の研磨物品。
  4. 前記タッキング薄膜が、鉛、銀、銅、亜鉛、錫、チタン、モリブデン、クロム、鉄、マ
    ンガン、コバルト、ニオブ、タンタル、タングステン、パラジウム、白金、金、ルテニウ
    ム、及びこれらの組み合せからなる金属の群から選択される金属を含む、請求項1に記載
    の研磨物品。
  5. 前記タッキング薄膜が、金属、合金、金属マトリックスの複合材、及びこれらの組み合
    せからなる材料の群から選択される材料を含む、請求項1に記載の研磨物品。
  6. 前記タッキング薄膜がはんだ材料を含む、請求項1に記載の研磨物品。
  7. 前記タッキング薄膜が450℃以下の融点を有する、請求項1に記載の研磨物品。
  8. ワイヤ基材の軸方向1mm当たり少なくとも60個の研磨剤粒子濃度を更に有する、請
    求項1に記載の研磨物品。
  9. 前記研磨剤粒子が超砥粒材料を含む、請求項1に記載の研磨物品。
  10. 前記接合層が、鉛、銀、銅、亜鉛、錫、チタン、モリブデン、クロム、鉄、マンガン、
    コバルト、ニオブ、タンタル、タングステン、パラジウム、白金、金、ルテニウム、及び
    これらの組み合せからなる金属の群から選択される金属を含む、請求項1に記載の研磨物
    品。
  11. 前記接合層がニッケルを含む、請求項1に記載の研磨物品。
  12. 前記接合層が、前記研磨剤粒子の平均粒径の少なくとも10%の平均厚さを有する、請
    求項1に記載の研磨物品。
  13. 加工物を切断するための研磨物品であって、
    ワイヤ基材を準備する工程と、
    前記ワイヤ基材の表面を覆う金属材料を含むタッキング薄膜を形成する工程と、
    前記タッキング薄膜中に研磨剤粒子を配置する工程と、
    前記タッキング薄膜を処理して、前記研磨剤粒子と前記タッキング薄膜との間に金属結
    合領域を形成する工程と、
    前記タッキング薄膜及び前記研磨剤粒子を覆う接合層を形成する工程と、
    を含み、
    前記タッキング薄膜が、前記研磨剤粒子の平均粒径の少なくとも10%で、30%以下
    の平均厚さ、及び前記タッキング薄膜が、少なくとも約0.1ミクロンで、4ミクロン以
    下の平均厚さを有する、方法によって形成された、研磨物品。
  14. タッキング薄膜を処理する工程が、前記タッキング薄膜を450℃以下の温度に加熱す
    ることを含む、請求項13に記載の研磨物品。
JP2018141531A 2010-12-30 2018-07-27 研磨物品及び形成方法 Withdrawn JP2018199214A (ja)

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