JP4471816B2 - ワイヤソーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、砥粒数、砥粒の配列間隔、砥粒の突き出し量を適正化して、切断性能を向上させたワイヤソーを製造する方法に関する。
シリコン、ガラス、磁性体、水晶、サファイアなどのインゴットスライス加工において、近年固定砥粒ワイヤソーが使用され始めている。
固定砥粒ワイヤソーは高強度な芯線にボンド材にて砥粒を固着した構成のものであり、ボンド材の主な種類としては、感光性樹脂や熱硬化性樹脂等を使用したレジンタイプ、Niなどのメッキを使用した電着タイプ、銀ろう等を使用したろう付けタイプがある。
固定砥粒ワイヤソー表面においては、一定量の砥粒がほぼ等しい間隔で規則的に付着していることが理想的であるが、製造上の誤差によって砥粒の付着状態が乱れる場合がある。ワイヤソーは高速で製造されるため、製造途中での検査は困難であり、ワイヤソー表面の砥粒付着状態の検査は、製造後に目視か顕微鏡による観察によって行われていた。しかし、この方法では、検査員によって合否判定基準が変わりやすいため、ワイヤソーの品質を一定水準で管理することが難しく、また、検査に長時間を有するため、生産性の点で問題があった。
ワイヤソー表面の砥粒固着状態を良好なものとすることを目的としたワイヤソーの製造方法が、特許文献1に開示されている。
特開2002−36091号公報
しかし、この製造方法は、ワイヤソー表面において砥粒の占める面積、すなわち砥粒数を限定してワイヤソーの切断性能を管理するものであり、砥粒間隔や砥粒の突き出し量の最適化を行うことができない。このように、砥粒数を管理して製造するだけでは、砥粒の脱落を有効に防止することはできない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、砥粒数、砥粒の配列間隔、砥粒の突き出し量を適正化して、切断性能を向上することが可能なワイヤソーの製造方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明のワイヤソーの製造方法は、砥粒が混入された樹脂を貯留するボンド槽内に芯線を通過させ、芯線に前記砥粒が混入された樹脂を被覆することにより、被覆ワイヤを形成する工程と、前記被覆ワイヤにおける被覆層の厚みを、被覆ワイヤをダイスに通過させることにより均一化する工程と、ダイスを通過した被覆ワイヤの被覆層における樹脂を硬化させ、砥粒を芯線の回りに固着したワイヤソーを形成する工程と、前記ワイヤソーの投影画像を撮影し、撮影されたワイヤソーの投影画像の明度に基づいてワイヤソーの輪郭を検知して砥粒の位置を検知し、検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線におけるピークの数から砥粒の個数を求め、かつ、前記輪郭線における隣り合うピークの間隔から砥粒間隔を求め、さらに、前記輪郭線のピーク値とボトム値とから砥粒の突き出し量を求めて、砥粒の固着状態を検査する工程と、を備え、検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線におけるピークの数から求めた砥粒の数における、前記芯線を挟んで前記ワイヤソーの一方の側に位置する砥粒の数と、その反対側に位置する砥粒の数を比較したときに、砥粒が多く存在する側の砥粒数に対する、砥粒が少なく存在する側の砥粒数の比を0.6以上1以下となるように被覆ワイヤをダイスに通過させる際におけるダイスの位置を調整し、検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線における隣り合うピークの間隔から求めた砥粒間隔の標準偏差を200μm以下となるように前記ボンド槽内における砥粒と樹脂との分散性を調整し、検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線のピーク値とボトム値とから求めた砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%以上70%以下となるように前記ボンド槽内における樹脂の粘度を調整することを特徴とする。
ここで、砥粒が多く存在する側の砥粒数に対する、砥粒が少なく存在する側の砥粒数の比が0.6未満であると、砥粒層の偏芯が大きく、被削材の加工面精度が低下するとともに、偏摩耗が発生する。
なお、芯線を挟んでワイヤソーの一方の側に位置する砥粒の数と、その反対側に位置する砥粒の数を比較する際に、以下のように場所や範囲を設定して行う。
測定長さについては、1.0mm以上の測定長さを要する。また、測定間隔は、30m以下であることを要する。この範囲以外であると、測定長さが短すぎ、あるいは測定間隔が長すぎて適正な測定がしにくい。
螺旋構造である場合のように、粗密制御している場合には、測定長さの制限を設けることによって適正化をすることができないので、この場合には、複数箇所の測定結果の平均値を用いて評価する。
また、砥粒の配列間隔の標準偏差が200μmを超えると、砥粒が密集した領域では被削材の加工面精度が低下し、砥粒間隔が広い領域ではボンド材が被削材と接触してボンド材の剥離が発生しやすい。
さらに、砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%未満であると、突き出し量が少ないために加工能率が低下し、ボンド材が被削材と接触してボンド材の剥離が発生しやすい。一方、砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の70%を超えると、突き出し量が大きすぎて砥粒保持力が低下し、砥粒が脱落しやすく寿命が短くなる。

本発明においては、芯線に砥粒を固着させるボンド材が樹脂(レジンボンドである。ワイヤソーは多数のプーリーを介してワイヤガイドにセッティングされており、加工中は被削材との接触部に撓みが発生して切断が進行する。従って、ワイヤソーはこの撓みに対して柔軟に変形して負荷を吸収することが必要となり、ワイヤソーがこのような柔軟性を有するためには、ボンド材として樹脂(レジンボンドを用いることが適している。
このときのボンド材の弾性率は2000MPa以下であるのが良い。弾性率が2000MPaを超えると、ワイヤソーの柔軟性が乏しくなり、プーリーとの接触位置や、被削材との接触部において樹脂の剥離が生じ、砥粒数の比や砥粒間隔、あるいは砥粒突き出し量を制御しても、砥粒が脱落する原因となり、加工能率と加工精度が低下する。
本発明によると、砥粒数、砥粒の配列間隔、砥粒の突き出し量を適正化することにより、被削材の加工面精度を良好とし、ボンド材の剥離を防止し、砥粒保持力を維持して、切断性能を向上させたワイヤソーを実現することができる。
以下、本発明をその実施の形態に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係るワイヤソーは、固着される砥粒について、砥粒数、砥粒の配列間隔、砥粒の突き出し量を適正化したものであるが、これらの適正化を実現するために、以下に説明する検査装置を用いている。この検査装置について図1を用いて説明する。
図1において、ワイヤソー1の長手方向に対して垂直な2軸方向に、CCDカメラ2が配置され、このCCDカメラ2に対向してワイヤソー1を挟んでLED光源3が配置されている。CCDカメラ2にはカメラ用電源4が接続され、LED光源3にはLED光源用電源5が接続されている。2つのカメラ用電源4にはカメラ切替器6が接続され、カメラ切替器6と2つのLED光源3は制御装置7に接続され、制御装置7は演算装置8に接続されている。演算装置8には、その周辺機器としてのディスプレイ9、キーボード10,およびマウス11が接続されている。
この検査装置においては、CCDカメラ2によってワイヤソー1の静止画像が撮影されるが、この際にLED光源3によってワイヤソー1に対して光が照射される。従って、CCDカメラ2はワイヤソー1に照射された光を用いてワイヤソー1の投影画像を撮影する。カメラ切替器6によって、2つのCCDカメラ2のうちいずれを選択するかが切り替えられ、制御装置7によってカメラ用電源4、LED光源用電源5のオン/オフと、カメラ切替器6の切替が制御される。ワイヤソー1の投影画像は演算装置8に取り込まれ、そのデータが処理されてワイヤソーの良否が判定される。
上記の検査装置を用いたワイヤソーの検査方法について以下に説明する。
図2(a)に、CCDカメラ2によって撮影されたワイヤソー1の投影画像の一例を示す。ワイヤソー1は、芯線21の周囲にボンド材を用いて砥粒23を固着してなるものであるが、この検査方法においてはまず、画像の明度を読み取って、画像の明るさを表す曲線Iを引く。この曲線Iの立ち上がり部をワイヤソー1の両端と定義し、この両端から等距離の点を通ってワイヤソー1の長手方向に直線Iを引き、この直線Iをワイヤソー1の中心線とする。
次に、ワイヤソー1の輪郭部の明るさに設定して、この明るさの点を繋いでワイヤソー1の輪郭線である曲線IIを引く。
砥粒の突き出し量を正確に検出するためには、ワイヤソー表面の細かい凹凸やフィラーなどによる凹凸による影響を取り除く必要がある。そのため、曲線IIをフィルタによる移動平均処理によって滑らかにする処理を施す。図4に、移動平均処理の手順を示す。(a)は平均処理前のワイヤソーの輪郭線である曲線IIであり、(b)は平均処理後の曲線IIである。(a)においては、測定点X1、X2、X3、X4、X5、X6等における明度の測定値である、F(X1)、F(X2)、F(X3)、F(X4)、F(X5)、F(X6)等を繋いで、関数F(X)によって曲線IIが表わされる。
これらの測定値に基づいて、
G(X3)=(F(X1)+F(X2)+F(X3)+F(X4)+F(X5))/5
G(X4)=(F(X2)+F(X3)+F(X4)+F(X5)+F(X6))/5
G(XN)=(F(XN−2)+F(XN−1)+F(XN)+F(XN+1)+F(XN+2))/5
として移動平均値を求め、この移動平均値による関数をG(X)として、平均化された輪郭線とする。
次に、砥粒の突き出し量を検出するために、砥粒のピークとボトムを検出する。
図5に、平均化された輪郭線の一例を示す。平均化された輪郭線であるG(X)の微分値(G(X+1)−G(X))が最後に正になった位置(X3)をピークスタートとし、最初に微分値(G(X+1)−G(X))が負になった位置(X5)をピークエンドとする。このピークスタートとピークエンドの中点をもってピーク(X4)とする。
このピークの数によって砥粒数を検出することができ、また隣り合うピークの間隔によって砥粒間隔を検出することができる。
次に、平均化された輪郭線であるG(X)の微分値(G(X+1)−G(X))が最後に負になった位置(X7)をボトムスタートとし、最初に微分値(G(X+1)−G(X))が正になった位置(X9)をボトムエンドとする。このボトムスタートとボトムエンドの中点をもってボトム(X8)とする。
図2(b)に、砥粒のピーク位置を直線IIで表し、砥粒のボトム位置を直線IIIで表す。
以上の方法で検出されたピーク(X4)におけるピーク値G(X4)と、ボトム(X8)におけるボトム値G(X8)に基づいて、ピーク値とボトム値との差を求めることによって、砥粒の突き出し量を求めることができる。
以下に、検査内容をステップを追って説明する。
ステップ1
まず、砥粒数が閾値以上であるかについて判定する。図3に、砥粒23の固着状況の一例として、ワイヤソー1の長手方向について長さLの部分に、左右それぞれに砥粒23が5個ずつ固着されているものを示しており、たとえば、長さLの部分に固着されている砥粒数が5個以上であるものを良品と判定する。この判定は、ワイヤソーの左側、右側のいずれについても行い、
左側の砥粒数≧5
右側の砥粒数≧5
のとき良と判定してステップ2に進み、それ以外のときは不可と判定して砥粒数を赤で表示して検査を終了する。
ステップ2
右側と左側での砥粒23の砥粒数の偏りについて判定する。左側の砥粒数と右側の砥粒数との比が0.9以上であれば良と判定し、0.6以上0.9未満であれば可と判定してステップ3に進む。すなわち、
左側の砥粒数≧右側の砥粒数のとき、
右側の砥粒数/左側の砥粒数≧0.9:良の判定
0.6≦右側の砥粒数/左側の砥粒数<0.9:可の判定
左側の砥粒数≦右側の砥粒数のとき、
左側の砥粒数/右側の砥粒数≧0.9:良の判定
0.6≦左側の砥粒数/右側の砥粒数<0.9:可の判定
とし、それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示して検査を終了する。
ステップ3
図2における直線IIの間隔を検出することによって得られる砥粒間隔の標準偏差について判定を行い、砥粒の分散状態についての良否を判定する。
砥粒間隔の標準偏差は、芯線を挟んで右側の砥粒と左側の砥粒のいずれもが良と判定される条件を満たしているときに良と判定される。すなわち、図3において、左側の砥粒間隔を総称してLLとし、右側の砥粒間隔を総称してLRとしたときに、
Lの標準偏差≦120μm、かつLRの標準偏差≦120μm
のときに良と判定し、この範囲を除いて
Lの標準偏差≦200μm、かつLRの標準偏差≦200μm
のときに可と判定し、ステップ4に進む。それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示して検査を終了する。
なお、以上の標準偏差における数値は、投影画像における画素数から算出することができる。
ステップ4
図2におけるピーク値とボトム値との差を検出することによって得られる砥粒突出し量について良否判定を行う。1個の砥粒について、そのピーク値から、その砥粒の両端のボトム値を引くことによって、2つの砥粒突出し量が算出される。このようにして算出される砥粒突出し量について、画像上の全砥粒についての平均砥粒突出し量を求め、この平均砥粒突出し量が平均砥粒粒径の25%以上40%以下であれば、良と判定する。また、20%以上25%未満、あるいは40%を超え70%以下であれば可と判定する。すなわち、
0.25≦平均砥粒突出し量/平均砥粒粒径≦0.40:良の判定
0.20≦平均砥粒突出し量/平均砥粒粒径<0.25:可の判定
0.40<平均砥粒突出し量/平均砥粒粒径≦0.70:可の判定
とし、それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示して検査を終了する。
以上のステップによって良と判定された場合には、そのままワイヤソーの製造が続けられる。可と判定された場合には、あらかじめ設定された回数だけ「可」の判定が連続した場合は、警報を鳴らし、装置停止等の処置がなされる。また、不可と判定されたときには、検査終了後に、警報を鳴らし、装置停止の処置がなされる。
上記の測定に使用される光として、例えば可視光の波長領域(波長400nm〜700nm)の光を用いることができる。また、測定に使用できる光源としては、蛍光灯、ハロゲンランプ、LED等を用いることができる。
以下に、砥粒数、砥粒の配列間隔、砥粒の突き出し量を適正化したワイヤソーの製造方法を示す。
図6に、ワイヤソーの砥粒の分布状態を制御しつつワイヤソーを製造する工程を図示する。
砥粒が混入された樹脂を貯留するボンド槽31内に芯線32を通過させ、ボンド槽31を通過した被覆ワイヤ33の被覆厚みをダイス34により均一化する。
ダイス34の周囲には、図6(b)に示すように、被覆ワイヤ33が通過する方向に対して垂直な平面内で直交する2軸(X軸、Y軸)方向に、ダイス位置制御部35が設けられている。
ダイス34を通過した被覆ワイヤ33は、紫外線照射装置等からなる樹脂硬化部36により被覆層の液状樹脂が硬化される。
その後、被覆ワイヤ33は、挟み込みローラ37を通過することによって進行方向が変えられ、又、両端を挟み込み保持されることにより被覆ワイヤ33の軸方向の回転を抑制し、X、Y軸の変動が防止される。続いて、振れ防止用の第1のV溝プーリー38を通過する。この第1のV溝プーリー38を通過する際に、Y軸方向観察用カメラ39によって、ワイヤソーの投影画像が撮影される。図6(c)に、被覆ワイヤ2の進行方向に対して垂直なY軸方向、X軸方向を示す。
その後、被覆ワイヤ33は振れ防止用の第2のV溝プーリー40を通過する。この第2のV溝プーリー40を通過する際に、X軸方向観察用カメラ41によって、ワイヤソーの投影画像が撮影される。
その後、被覆ワイヤ33は挟み込みローラ37を通過した後、巻き取られる。
砥粒が多く存在する側の砥粒数に対する、砥粒が少なく存在する側の砥粒数の比が0.6以上1以下となるようにワイヤソーを形成することは、以下の方法で実現することが可能である。すなわち、砥粒数の比が0.6近くまで低下したときには、ダイス34の位置を調整して、ダイス34の砥粒比が少ない方側の間隙を拡大する。
また、砥粒の間隔の標準偏差が200μm以下であるワイヤソーを形成することは、砥粒の間隔の標準偏差が200μm近くまで増加したときに、ボンド槽31内を攪拌して砥粒と樹脂との分散性を高めることによって可能である。
さらに、砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%以上70%以下であるようにワイヤソーを形成することは、以下の2つの方法によって可能である。第1の方法は、砥粒の突き出し量がこの範囲外近くになったとき、ボンド槽31の温度を調整して、樹脂の粘度を調整することである。すなわち、砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%に近づいたときは樹脂の粘度を低くし、70%に近づいたときは樹脂の粘度を高くする。第2の方法は、砥粒の突き出し量がこの範囲外近くになったとき、樹脂内の揮発成分を調整することである。すなわち、砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%に近づいたときは樹脂内の揮発成分を増やし、70%に近づいたときは樹脂内の揮発成分を減らす。
次に、試験結果を示す。
以上の方法で製造されたワイヤソーについて切断試験を行った。
ワイヤソーを形成する芯線及び砥粒は以下の通りである。
芯線:φ0.18mm
砥粒:Niコート砥粒 40/60μm
試験条件は以下の通りである。
切断装置:単線切断装置
ワイヤ速度:平均400m/min
ワイヤテンション:25N
被切断材:単結晶シリコン 40mm幅
表1に砥粒数の比を変えて製造されたワイヤソーに対する試験結果を示す。
Figure 0004471816
表1において、切れ味は、砥粒数の比が0.95のときの、加工開始後5分間の切り溝長さを100としたときの指標で表している。切れ味低下率は、加工開始から5分間における切れ味に対する、加工開始40分経過後から5分間の切れ味の比率を指標として表している。また、ワイヤ摩耗率は、加工開始40分経過後10個所で測定したワイヤソーの径を平均化し、加工開始前のワイヤソーの径との差をワイヤソー径変化量として求め、
(ワイヤソー径変化量)/(砥粒層厚み×2)×100
の計算式にてワイヤ摩耗率としている。面粗さは、砥粒数の比が0.95のときの、加工後の被切断材の面粗さを100としたときの指標で表している。
表1からわかるように、砥粒が多く存在する側の砥粒数に対する、砥粒が少なく存在する側の砥粒数の比が0.6以上1以下であるときに、切れ味、切れ味低下率、ワイヤ摩耗率、面粗さのいずれも良好な値を示している。特に、0.8以上1以下のときに、さらに好ましい値を示している。これに対し、0.6未満であると、切れ味、切れ味低下率、ワイヤ摩耗率、面粗さのいずれについても劣っている。
表2に砥粒間隔の標準偏差を変えて製造されたワイヤソーに対する試験結果を示す。
Figure 0004471816
表2において、切れ味は、砥粒間隔の標準偏差が105μmのときの、加工開始後5分間の切り溝長さを100としたときの指標で表している。また、面粗さは、砥粒間隔の標準偏差が105μmのときの、加工後の被切断材の面粗さを100としたときの指標で表している。切れ味低下率とワイヤ摩耗率については、表1の場合と同様である。
表2からわかるように、砥粒間隔の標準偏差が200μmを超えると、面粗さが劣化している。これは、砥粒間隔の標準偏差が200μmを超えると、砥粒配列の分散性が悪いために、砥粒が凝集した部分では被削材の加工面精度が低下し、砥粒間隔が広い部分ではボンド材の剥離が生じやすいという事態を生じて、面粗さを良好な状態に保てなくなるからである。砥粒間隔の標準偏差が150μm以下のときに、さらに好ましい値を示している。
表3に、砥粒突き出し量を変えて製造されたワイヤソーに対する試験結果を示す。
Figure 0004471816
表3において、切れ味は、砥粒突き出し量が砥粒の平均粒径の38%のときの、加工開始後5分間の切り溝長さを100としたときの指標で表している。また、面粗さは、砥粒突き出し量が砥粒の平均粒径の38%のときの、加工後の被切断材の面粗さを100としたときの指標で表している。切れ味低下率とワイヤ摩耗率については、表1の場合と同様である。
砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%以上70%以下のときは、切れ味、切れ味低下率、ワイヤ摩耗率、面粗さのいずれも良好な値を示している。特に、25%以上40%以下のときに、さらに好ましい値を示している。これに対し、砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%未満であると、切れ味が低下している。これは、突き出し量が少ないために、ボンド材が被削材と接触しやすいからである。一方、砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の70%を超えると、ワイヤ摩耗率が大きくなる。これは、突き出し量が大きすぎて砥粒保持力が低下し、砥粒が脱落しやすくなるからである。
本発明の製造方法により製造されたワイヤソーは、砥粒数、砥粒の配列間隔、砥粒の突き出し量を適正化して、切断性能を向上させたワイヤソーとして利用することができる。
本発明のワイヤソーの検査装置の一例を示す図である。 CCDカメラによって撮影されたワイヤソーの投影画像の一例を示す図である。 芯線の周囲に複数の砥粒が固着されてワイヤソーが形成されている様子を模式的に示す図である。 ワイヤソーの輪郭線の移動平均処理を示す図である。 砥粒のピークとボトムを検出する方法を示す図である。 本発明のワイヤソーの製造工程を示す図である。
符号の説明
1 ワイヤソー
2 CCDカメラ
3 LED光源
4 カメラ用電源
5 LED光源用電源
6 カメラ切替器
7 制御装置
8 演算装置
9 ディスプレイ
10 キーボード
11 マウス
21 芯線
23 砥粒
31 ボンド槽
32 芯線
33 被覆ワイヤ
34 ダイス
35 ダイス位置制御部
36 樹脂硬化部
37 挟み込みローラ
38 第1のV溝プーリー
39 Y軸方向観察用カメラ
40 第2のV溝プーリー
41 X軸方向観察用カメラ

Claims (1)

  1. 砥粒が混入された樹脂を貯留するボンド槽内に芯線を通過させ、芯線に前記砥粒が混入された樹脂を被覆することにより、被覆ワイヤを形成する工程と、
    前記被覆ワイヤにおける被覆層の厚みを、被覆ワイヤをダイスに通過させることにより均一化する工程と、
    ダイスを通過した被覆ワイヤの被覆層における樹脂を硬化させ、砥粒を芯線の回りに固着したワイヤソーを形成する工程と、
    前記ワイヤソーの投影画像を撮影し、撮影されたワイヤソーの投影画像の明度に基づいてワイヤソーの輪郭を検知して砥粒の位置を検知し、検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線におけるピークの数から砥粒の個数を求め、かつ、前記輪郭線における隣り合うピークの間隔から砥粒間隔を求め、さらに、前記輪郭線のピーク値とボトム値とから砥粒の突き出し量を求めて、砥粒の固着状態を検査する工程と、
    を備え、
    検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線におけるピークの数から求めた砥粒の数における、前記芯線を挟んで前記ワイヤソーの一方の側に位置する砥粒の数と、その反対側に位置する砥粒の数を比較したときに、砥粒が多く存在する側の砥粒数に対する、砥粒が少なく存在する側の砥粒数の比を0.6以上1以下となるように被覆ワイヤをダイスに通過させる際におけるダイスの位置を調整し、
    検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線における隣り合うピークの間隔から求めた砥粒間隔の標準偏差を200μm以下となるように前記ボンド槽内における砥粒と樹脂との分散性を調整し、
    検知したワイヤソーの輪郭データを移動平均処理して得られる輪郭線のピーク値とボトム値とから求めた砥粒の突き出し量が砥粒の平均粒径の20%以上70%以下となるように前記ボンド槽内における樹脂の粘度を調整することを特徴とするワイヤソーの製造方法
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