JP2004283966A - レジンボンドワイヤソーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明な砥粒層を用いてレジンボンドワイヤソーを形成し、芯線と砥粒層との位置関係を測定し、芯線と砥粒層との偏心量を制御して、断線を防止し、加工精度を向上させたレジンボンドワイヤソーの製造方法を提供する。
【解決手段】被覆ワイヤ2は芯線1の周囲に、砥粒4をボンド材5で結合した砥粒層6が形成されている。この被覆ワイヤ2において、砥粒層6の厚みa,bと、芯線1の径d、および被覆ワイヤ2の外径Dを測定し、芯線1の周囲に形成された砥粒層6の厚みの偏りの最大値が、砥粒層6の厚みの平均値の20%以内となるように制御する。
【選択図】 図2
【解決手段】被覆ワイヤ2は芯線1の周囲に、砥粒4をボンド材5で結合した砥粒層6が形成されている。この被覆ワイヤ2において、砥粒層6の厚みa,bと、芯線1の径d、および被覆ワイヤ2の外径Dを測定し、芯線1の周囲に形成された砥粒層6の厚みの偏りの最大値が、砥粒層6の厚みの平均値の20%以内となるように制御する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密部品の切断に用いられるレジンボンドワイヤソーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種半導体デバイスの製造分野における大口径シリコンインゴットからのシリコンウエハの切り出しに、レジンボンドワイヤソーが用いられている。このレジンボンドワイヤソーとしては、例えば、高抗張力金属を芯線として用い、ポリアミドイミド樹脂を結合剤とした砥粒層を芯線の外周面に形成させたものがある。
このレジンボンドワイヤソーの製造過程において、芯線と砥粒層とが偏心を生じることがある。このような偏心を生じると、斜め切れや砥粒層の偏摩耗の原因となり、ワイヤの捻れや、芯線が剥き出しになることによって、ワイヤが断線することがある。従って、レジンボンドワイヤソーの製造工程において、芯線と砥粒層との偏心をなくすことは、レジンボンドワイヤソーの切断性能を向上させるために不可欠なことである。
【0003】
しかし、レジンボンドワイヤソーの分野においてはこれまで、砥粒の固着力や砥粒層の耐摩耗性の向上に重点が置かれていたため、砥粒固着材料にフェノールを代表とする成形用樹脂が用いられており、耐摩耗性向上のために、金属系のフィラ材が添加されている。この種のレジンボンドワイヤソーが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3078020号公報(発明の詳細な説明部分)
【特許文献2】
特開2000−225613号公報(段落番号0010〜0041)
【特許文献3】
特開2001−25975号公報(段落番号0010〜0055)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの文献に記載されたレジンボンドワイヤソーは、砥粒層が不透明であるため、砥粒層に覆われた芯線の位置を確認することはできない。そのため、砥粒層が真円に形成されていても、芯線に対する砥粒層の偏りを認識することができない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、透明な砥粒層を用いてレジンボンドワイヤソーを形成し、芯線と砥粒層との位置関係を測定し、芯線と砥粒層との偏心量を制御して、断線を防止し、加工精度を向上させたレジンボンドワイヤソーの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明は、芯線の周囲に樹脂にて砥粒を固着してなる砥粒層を設けたレジンボンドワイヤソーの製造方法において、前記レジンボンドワイヤソーを透過した光を用いて、前記芯線と前記砥粒層との位置関係を測定し、前記芯線と前記砥粒層との偏心量を制御して砥粒層を形成することを特徴とする。
この製造方法によると、芯線と砥粒層との偏心量を制御することによって、芯線と砥粒層との同芯度を良好に保つことができる。そのため、砥粒層の偏摩耗を抑制し、芯線が露出して削られることを防止することができる。
また、斜め切れを防止することができるため、加工精度が向上する。
【0007】
本発明においては、前記芯線の周囲に形成された砥粒層の厚みの偏りの最大値が、前記砥粒層の厚みの平均値の20%以内となるように制御することを特徴とする。
前記芯線の周囲に形成された砥粒層の厚みの偏りの最大値が、前記砥粒層の厚みの平均値の20%を超えると、斜め切れや砥粒層の偏摩耗を生じやすく、砥粒層の厚みを上記のように制御することによって、芯線と砥粒層との偏心によって生じる弊害をなくすことができる。
【0008】
本発明においては、前記レジンボンドワイヤソーを透過する光として、可視光線、紫外線、赤外線のいずれかを用いることを特徴とする。
可視光線、紫外線、赤外線のいずれを用いても、これらをレジンボンドワイヤソーに透過させることによって、芯線と砥粒層との位置関係を測定して、芯線と砥粒層との偏心量を制御することが可能だからである。
【0009】
本発明においては、樹脂がアクリレート、メタアクリレート、アクリル酸を含有する感光性樹脂であり、砥粒層内に含まれる固体成分の含有量が砥粒層の体積に対して25%以内であることを特徴とする。
感光性樹脂を用いるのは、透明性を確保でき、且つ硬化と未硬化の制御が容易な樹脂であるためである。また、熱硬化性樹脂に比べて硬化速度が格段に速いため、ダイス位置制御部で制御した芯線と砥粒層との偏心量が変化する前に硬化させることができ、液だれ等の影響を受け難いという利点があるためである。
砥粒層内に含まれる固体成分を砥粒層の体積に対して25%以内としたのは、砥粒層内に含まれる固体成分の含有量が砥粒層の体積に対して25%を超えると、砥粒層の透明性が低下し、芯線と砥粒層との偏心量を制御することが困難になるからである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施形態に基づいて説明する。
図1(a)に、本発明のレジンボンドワイヤソーの製造方法における製造工程を示す。
砥粒が混入された樹脂を貯留するボンド槽10内に芯線1を通過させ、ボンド槽10を通過した被覆ワイヤ2の被覆厚みをダイス11により均一化する。砥粒としてダイヤモンド等を用いることができる。
ダイス11の周囲には、図1(b)に示すように、被覆ワイヤ2が通過する方向に対して垂直な平面内で直交する2軸(X軸、Y軸)方向に、ダイス位置制御部12が設けられている。
ダイス11を通過した被覆ワイヤ2は、紫外線照射装置等からなる樹脂硬化部13により被覆層の液状樹脂が硬化される。
【0011】
その後、被覆ワイヤ2は、挟み込みローラ14を通過することによって進行方向が変えられ、又、両端を挟み込み保持されることにより被覆ワイヤ2の軸方向の回転を抑制し、X、Y軸の変動が防止される。続いて、振れ防止用の第1のV溝プーリー15を通過する。この第1のV溝プーリー15を通過する際に、Y軸方向観察用カメラ16によって、被覆ワイヤ2の砥粒層のY軸方向の厚みが測定される。図1(c)に、被覆ワイヤ2の進行方向に対して垂直なY軸方向、X軸方向を示す。
この測定に使用される光として、例えば可視光の波長領域(波長400nm〜700nm)における白色光を用いることができる。白色光を用いる場合には、砥粒層の光透過度が80%以上であることが好ましい。砥粒層の光透過度が80%未満であると、光透過度が低いために、レジンボンドワイヤソーを透過した光を用いて芯線と砥粒層との位置関係を測定して、芯線と砥粒層との偏心量を制御することが困難になるからである。
【0012】
ここで測定された被覆ワイヤ2の砥粒層のY軸方向の厚みが正常な範囲であれば、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸方向についてシフトさせないが、被覆ワイヤ2の砥粒層のY軸方向の厚みが正常な範囲を超える場合には、その情報がダイス位置制御部12に送出され、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸方向について適正な位置にシフトさせる。
【0013】
その後、被覆ワイヤ2は振れ防止用の第2のV溝プーリー17を通過する。この第2のV溝プーリー17を通過する際に、X軸方向観察用カメラ18によって、被覆ワイヤ2の砥粒層のX軸方向の厚みが測定される。
ここで測定された被覆ワイヤ2の砥粒層のX軸方向の厚みが正常な範囲であれば、ダイス位置制御部12はダイス11をX軸方向についてシフトさせないが、被覆ワイヤ2の砥粒層のX軸方向の厚みが正常な範囲を超える場合には、その情報がダイス位置制御部12に送出され、ダイス位置制御部12はダイス11をX軸方向について適正な位置にシフトさせる。
その後、被覆ワイヤ2は挟み込みローラ14を通過した後、巻き取られる。
【0014】
図2に、図1に示した製造工程において、砥粒層の厚みを制御する工程の詳細を示す。
図2において、被覆ワイヤ2は芯線1の周囲に、砥粒4をボンド材5で結合した砥粒層6が形成されており、図1において説明したY軸方向観察用カメラ16、及びX軸方向観察用カメラ18は、被覆ワイヤ2の長手方向に対して直交する2軸(X軸、Y軸)について、砥粒層6の厚みを測定するものである。
【0015】
例えば、Y軸方向について、図2に示す砥粒層6の厚みa,bと、芯線1の径d、および被覆ワイヤ2の外径Dを測定し、Dとdによって定まる量であり、砥粒層6の厚みの平均値を意味するAを式(1)
【数1】
のように定義し、このAに対して、a,bが、式(2)
【0016】
【数2】
【0017】
を満たせば、ワイヤソーの製造状況は良好であると判断し、このときは、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸方向についてシフトさせない。
しかし、a,bとAが、式(3)、または式(4)
【0018】
【数3】
【数4】
【0019】
の関係にあるときには、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸の正または負の方向について適正な位置にシフトさせて、式(1)の関係を満たすようにし、芯線1と砥粒層6との偏心を解消する。
また、a,bとAが、式(5)
【0020】
【数5】
【0021】
の関係にあるときには、ワイヤソーは不良であると判断する。
以上説明した砥粒層6の制御を、X軸方向についても同様に行う。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、芯線の周囲に樹脂からなるレジンボンドを用いて砥粒を固着してなる砥粒層を設けたレジンボンドワイヤソーの製造方法において、レジンボンドワイヤソーを透過した光を用いて、芯線と砥粒層との位置関係を測定し、芯線と砥粒層との偏心量を制御して砥粒層を形成することにより、砥粒層の偏摩耗を抑制し、芯線が露出して削られることを防止することが可能なレジンボンドワイヤソーを製造することができる。
また、斜め切れを防止することができるため、加工精度を向上させたレジンボンドワイヤソーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレジンボンドワイヤソーの製造方法における製造工程を示す図である。
【図2】図1に示した製造工程において、砥粒層の厚みを制御する工程の詳細を示す図である。
【符号の説明】
1 芯線
2 被覆ワイヤ
4 砥粒
5 ボンド材
6 砥粒層
10 ボンド槽
11 ダイス
12 ダイス位置制御部
13 樹脂硬化部
14 挟み込みローラ
15 第1のV溝プーリー
16 Y軸方向観察用カメラ
17 第2のV溝プーリー
18 X軸方向観察用カメラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密部品の切断に用いられるレジンボンドワイヤソーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種半導体デバイスの製造分野における大口径シリコンインゴットからのシリコンウエハの切り出しに、レジンボンドワイヤソーが用いられている。このレジンボンドワイヤソーとしては、例えば、高抗張力金属を芯線として用い、ポリアミドイミド樹脂を結合剤とした砥粒層を芯線の外周面に形成させたものがある。
このレジンボンドワイヤソーの製造過程において、芯線と砥粒層とが偏心を生じることがある。このような偏心を生じると、斜め切れや砥粒層の偏摩耗の原因となり、ワイヤの捻れや、芯線が剥き出しになることによって、ワイヤが断線することがある。従って、レジンボンドワイヤソーの製造工程において、芯線と砥粒層との偏心をなくすことは、レジンボンドワイヤソーの切断性能を向上させるために不可欠なことである。
【0003】
しかし、レジンボンドワイヤソーの分野においてはこれまで、砥粒の固着力や砥粒層の耐摩耗性の向上に重点が置かれていたため、砥粒固着材料にフェノールを代表とする成形用樹脂が用いられており、耐摩耗性向上のために、金属系のフィラ材が添加されている。この種のレジンボンドワイヤソーが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3078020号公報(発明の詳細な説明部分)
【特許文献2】
特開2000−225613号公報(段落番号0010〜0041)
【特許文献3】
特開2001−25975号公報(段落番号0010〜0055)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの文献に記載されたレジンボンドワイヤソーは、砥粒層が不透明であるため、砥粒層に覆われた芯線の位置を確認することはできない。そのため、砥粒層が真円に形成されていても、芯線に対する砥粒層の偏りを認識することができない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、透明な砥粒層を用いてレジンボンドワイヤソーを形成し、芯線と砥粒層との位置関係を測定し、芯線と砥粒層との偏心量を制御して、断線を防止し、加工精度を向上させたレジンボンドワイヤソーの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明は、芯線の周囲に樹脂にて砥粒を固着してなる砥粒層を設けたレジンボンドワイヤソーの製造方法において、前記レジンボンドワイヤソーを透過した光を用いて、前記芯線と前記砥粒層との位置関係を測定し、前記芯線と前記砥粒層との偏心量を制御して砥粒層を形成することを特徴とする。
この製造方法によると、芯線と砥粒層との偏心量を制御することによって、芯線と砥粒層との同芯度を良好に保つことができる。そのため、砥粒層の偏摩耗を抑制し、芯線が露出して削られることを防止することができる。
また、斜め切れを防止することができるため、加工精度が向上する。
【0007】
本発明においては、前記芯線の周囲に形成された砥粒層の厚みの偏りの最大値が、前記砥粒層の厚みの平均値の20%以内となるように制御することを特徴とする。
前記芯線の周囲に形成された砥粒層の厚みの偏りの最大値が、前記砥粒層の厚みの平均値の20%を超えると、斜め切れや砥粒層の偏摩耗を生じやすく、砥粒層の厚みを上記のように制御することによって、芯線と砥粒層との偏心によって生じる弊害をなくすことができる。
【0008】
本発明においては、前記レジンボンドワイヤソーを透過する光として、可視光線、紫外線、赤外線のいずれかを用いることを特徴とする。
可視光線、紫外線、赤外線のいずれを用いても、これらをレジンボンドワイヤソーに透過させることによって、芯線と砥粒層との位置関係を測定して、芯線と砥粒層との偏心量を制御することが可能だからである。
【0009】
本発明においては、樹脂がアクリレート、メタアクリレート、アクリル酸を含有する感光性樹脂であり、砥粒層内に含まれる固体成分の含有量が砥粒層の体積に対して25%以内であることを特徴とする。
感光性樹脂を用いるのは、透明性を確保でき、且つ硬化と未硬化の制御が容易な樹脂であるためである。また、熱硬化性樹脂に比べて硬化速度が格段に速いため、ダイス位置制御部で制御した芯線と砥粒層との偏心量が変化する前に硬化させることができ、液だれ等の影響を受け難いという利点があるためである。
砥粒層内に含まれる固体成分を砥粒層の体積に対して25%以内としたのは、砥粒層内に含まれる固体成分の含有量が砥粒層の体積に対して25%を超えると、砥粒層の透明性が低下し、芯線と砥粒層との偏心量を制御することが困難になるからである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施形態に基づいて説明する。
図1(a)に、本発明のレジンボンドワイヤソーの製造方法における製造工程を示す。
砥粒が混入された樹脂を貯留するボンド槽10内に芯線1を通過させ、ボンド槽10を通過した被覆ワイヤ2の被覆厚みをダイス11により均一化する。砥粒としてダイヤモンド等を用いることができる。
ダイス11の周囲には、図1(b)に示すように、被覆ワイヤ2が通過する方向に対して垂直な平面内で直交する2軸(X軸、Y軸)方向に、ダイス位置制御部12が設けられている。
ダイス11を通過した被覆ワイヤ2は、紫外線照射装置等からなる樹脂硬化部13により被覆層の液状樹脂が硬化される。
【0011】
その後、被覆ワイヤ2は、挟み込みローラ14を通過することによって進行方向が変えられ、又、両端を挟み込み保持されることにより被覆ワイヤ2の軸方向の回転を抑制し、X、Y軸の変動が防止される。続いて、振れ防止用の第1のV溝プーリー15を通過する。この第1のV溝プーリー15を通過する際に、Y軸方向観察用カメラ16によって、被覆ワイヤ2の砥粒層のY軸方向の厚みが測定される。図1(c)に、被覆ワイヤ2の進行方向に対して垂直なY軸方向、X軸方向を示す。
この測定に使用される光として、例えば可視光の波長領域(波長400nm〜700nm)における白色光を用いることができる。白色光を用いる場合には、砥粒層の光透過度が80%以上であることが好ましい。砥粒層の光透過度が80%未満であると、光透過度が低いために、レジンボンドワイヤソーを透過した光を用いて芯線と砥粒層との位置関係を測定して、芯線と砥粒層との偏心量を制御することが困難になるからである。
【0012】
ここで測定された被覆ワイヤ2の砥粒層のY軸方向の厚みが正常な範囲であれば、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸方向についてシフトさせないが、被覆ワイヤ2の砥粒層のY軸方向の厚みが正常な範囲を超える場合には、その情報がダイス位置制御部12に送出され、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸方向について適正な位置にシフトさせる。
【0013】
その後、被覆ワイヤ2は振れ防止用の第2のV溝プーリー17を通過する。この第2のV溝プーリー17を通過する際に、X軸方向観察用カメラ18によって、被覆ワイヤ2の砥粒層のX軸方向の厚みが測定される。
ここで測定された被覆ワイヤ2の砥粒層のX軸方向の厚みが正常な範囲であれば、ダイス位置制御部12はダイス11をX軸方向についてシフトさせないが、被覆ワイヤ2の砥粒層のX軸方向の厚みが正常な範囲を超える場合には、その情報がダイス位置制御部12に送出され、ダイス位置制御部12はダイス11をX軸方向について適正な位置にシフトさせる。
その後、被覆ワイヤ2は挟み込みローラ14を通過した後、巻き取られる。
【0014】
図2に、図1に示した製造工程において、砥粒層の厚みを制御する工程の詳細を示す。
図2において、被覆ワイヤ2は芯線1の周囲に、砥粒4をボンド材5で結合した砥粒層6が形成されており、図1において説明したY軸方向観察用カメラ16、及びX軸方向観察用カメラ18は、被覆ワイヤ2の長手方向に対して直交する2軸(X軸、Y軸)について、砥粒層6の厚みを測定するものである。
【0015】
例えば、Y軸方向について、図2に示す砥粒層6の厚みa,bと、芯線1の径d、および被覆ワイヤ2の外径Dを測定し、Dとdによって定まる量であり、砥粒層6の厚みの平均値を意味するAを式(1)
【数1】
のように定義し、このAに対して、a,bが、式(2)
【0016】
【数2】
【0017】
を満たせば、ワイヤソーの製造状況は良好であると判断し、このときは、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸方向についてシフトさせない。
しかし、a,bとAが、式(3)、または式(4)
【0018】
【数3】
【数4】
【0019】
の関係にあるときには、ダイス位置制御部12はダイス11をY軸の正または負の方向について適正な位置にシフトさせて、式(1)の関係を満たすようにし、芯線1と砥粒層6との偏心を解消する。
また、a,bとAが、式(5)
【0020】
【数5】
【0021】
の関係にあるときには、ワイヤソーは不良であると判断する。
以上説明した砥粒層6の制御を、X軸方向についても同様に行う。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、芯線の周囲に樹脂からなるレジンボンドを用いて砥粒を固着してなる砥粒層を設けたレジンボンドワイヤソーの製造方法において、レジンボンドワイヤソーを透過した光を用いて、芯線と砥粒層との位置関係を測定し、芯線と砥粒層との偏心量を制御して砥粒層を形成することにより、砥粒層の偏摩耗を抑制し、芯線が露出して削られることを防止することが可能なレジンボンドワイヤソーを製造することができる。
また、斜め切れを防止することができるため、加工精度を向上させたレジンボンドワイヤソーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレジンボンドワイヤソーの製造方法における製造工程を示す図である。
【図2】図1に示した製造工程において、砥粒層の厚みを制御する工程の詳細を示す図である。
【符号の説明】
1 芯線
2 被覆ワイヤ
4 砥粒
5 ボンド材
6 砥粒層
10 ボンド槽
11 ダイス
12 ダイス位置制御部
13 樹脂硬化部
14 挟み込みローラ
15 第1のV溝プーリー
16 Y軸方向観察用カメラ
17 第2のV溝プーリー
18 X軸方向観察用カメラ
Claims (4)
- 芯線の周囲に樹脂にて砥粒を固着してなる砥粒層を設けたレジンボンドワイヤソーの製造方法において、前記レジンボンドワイヤソーを透過した光を用いて、前記芯線と前記砥粒層との位置関係を測定し、前記芯線と前記砥粒層との偏心量を制御して砥粒層を形成することを特徴とするレジンボンドワイヤソーの製造方法。
- 前記芯線の周囲に形成された砥粒層の厚みの偏りの最大値が、前記砥粒層の厚みの平均値の20%以内となるように制御することを特徴とする請求項1記載のレジンボンドワイヤソーの製造方法。
- 前記レジンボンドワイヤソーを透過する光として、可視光線、紫外線、赤外線のいずれかを用いることを特徴とする請求項1または2記載のレジンボンドワイヤソーの製造方法。
- 前記樹脂がアクリレート、メタアクリレート、アクリル酸を含有する感光性樹脂であり、砥粒層内に含まれる固体成分の含有量が砥粒層の体積に対して25%以内であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレジンボンドワイヤソーの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003079868A JP2004283966A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | レジンボンドワイヤソーの製造方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004283966A true JP2004283966A (ja) | 2004-10-14 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102762338A (zh) * | 2010-02-23 | 2012-10-31 | 株式会社钢臂功科研 | 树脂被覆锯丝的设计方法 |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003079868A patent/JP2004283966A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102762338A (zh) * | 2010-02-23 | 2012-10-31 | 株式会社钢臂功科研 | 树脂被覆锯丝的设计方法 |
CN104260215A (zh) * | 2010-02-23 | 2015-01-07 | 株式会社钢臂功科研 | 树脂被覆锯丝的设计方法 |
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