JP4017627B2 - 切断装置 - Google Patents
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ワイヤソーを用いた切断装置では、ガイドローラに所定の間隔をおいて張られたワイヤソーを高速で走行させ、このワイヤソーにシリコンインゴットを押し当てて切断し、多数のウエハを同時に製造している。ワイヤソーの供給速度は通常切断開始から終了まで一定に保たれており、被切断材の材質や寸法、ワイヤソーの線速、研削液、ワイヤーテンション等の加工条件が変わると、作業者の経験に基づいてワイヤソーの供給速度を変更している。また、作業者の経験が乏しい場合には、加工中に頻繁にワイヤソーの撓み量を確認して、ワイヤソーの新線供給速度を変えて切断作業が行われている。
ワイヤソーを用いた切断装置として、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されたものがあり、また、ワイヤソーの表面状態を検査する装置として特許文献4に記載されたものがある。
図1に、本発明の実施形態に係る切断装置の構成の一例を示す。
切断装置30において、巻出しボビン31から供給されたワイヤソー1は、プーリー32により進行方向及び通過位置が変えられて、クーラントノズル33を備えた2つのガイドローラ34に巻き取られる。その結果、2つのガイドローラ34の間にその長手方向に沿ってワイヤソー1が間隔をおいて複数箇所に張られた状態となる。
ガイドローラ34を通過したワイヤソー1に対して、ワイヤソー検査装置37が配置されてワイヤソー1の砥粒の状態が検査された後、ワイヤソー1はプーリー32によって、進行方向及び通過位置が変えられて巻取りボビン38によって巻き取られて回収される。
図2において、ワイヤソー1の長手方向に対して垂直な2軸方向に、CCDカメラ2が配置され、このCCDカメラ2に対向してワイヤソー1を挟んでLED光源3が配置されている。CCDカメラ2にはカメラ用電源4が接続され、LED光源3にはLED光源用電源5が接続されている。2つのカメラ用電源4にはカメラ切替器6が接続され、カメラ切替器6と2つのLED光源3は制御装置7に接続され、制御装置7は演算装置8に接続されている。演算装置8には、その周辺機器としてのディスプレイ9、キーボード10、およびマウス11が接続されている。
図3(a)に、CCDカメラ2によって撮影されたワイヤソー1の投影画像の一例を示す。ワイヤソー1は、芯線21の周囲にボンド材を用いて砥粒23を固着してなるものであるが、この検査方法においてはまず、画像の明度を読み取って、画像の明るさを表す曲線Iを引く。この曲線Iの立ち上がり部をワイヤソー1の両端と定義し、この両端から等距離の点を通ってワイヤソー1の長手方向に直線Iを引き、この直線Iをワイヤソー1の中心線とする。
砥粒の突き出し量を正確に検出するためには、ワイヤソー表面の細かい凹凸やフィラーなどによる凹凸による影響を取り除く必要がある。そのため、曲線IIをフィルタによる移動平均処理によって滑らかにする処理を施す。図5に、移動平均処理の手順を示す。(a)は平均処理前のワイヤソーの輪郭線である曲線IIであり、(b)は平均処理後の曲線IIである。(a)においては、測定点X1、X2、X3、X4、X5、X6等における明度の測定値である、F(X1)、F(X2)、F(X3)、F(X4)、F(X5)、F(X6)等を繋いで、関数F(X)によって曲線IIが表わされる。
G(X3)=(F(X1)+F(X2)+F(X3)+F(X4)+F(X5))/5
G(X4)=(F(X2)+F(X3)+F(X4)+F(X5)+F(X6))/5
G(XN)=(F(XN−2)+F(XN−1)+F(XN)+F(XN+1)+F(XN+2))/5
として移動平均値を求め、この移動平均値による関数をG(X)として、平均化された輪郭線とする。
図6に、平均化された輪郭線の一例を示す。平均化された輪郭線であるG(X)の微分値(G(X+1)−G(X))が最後に正になった位置(X3)をピークスタートとし、最初に微分値(G(X+1)−G(X))が負になった位置(X5)をピークエンドとする。このピークスタートとピークエンドの中点をもってピーク(X4)とする。
このピークの数によって砥粒数を検出することができ、また隣り合うピークの間隔によって砥粒間隔を検出することができる。
図3(b)に、砥粒のピーク位置を直線IIで表し、砥粒のボトム位置を直線IIIで表す。
以上の方法で検出されたピーク(X4)におけるピーク値G(X4)と、ボトム(X8)におけるボトム値G(X8)に基づいて、ピーク値とボトム値との差を求めることによって、砥粒の突き出し量を求めることができる。
ステップ1
まず、砥粒数が閾値以上であるかについて判定する。図4に、砥粒23の固着状況の一例として、ワイヤソー1の長手方向について長さLの部分に、左右それぞれに砥粒23が5個ずつ固着されているものを示しており、たとえば、長さLの部分に固着されている砥粒数が5個以上であるものを良品と判定する。この判定は、ワイヤソーの左側、右側のいずれについても行い、
左側の砥粒数≧5
右側の砥粒数≧5
のとき良と判定してステップ2に進み、それ以外のときは不可と判定して砥粒数を赤で表示してステップ2に進む。
右側と左側での砥粒23の砥粒数の偏りについて判定する。左側の砥粒数と右側の砥粒数との比が0.9以上であれば良と判定し、0.6以上0.9未満であれば可と判定してステップ3に進む。すなわち、
左側の砥粒数≧右側の砥粒数のとき、
右側の砥粒数/左側の砥粒数≧0.9:良の判定
0.6≦右側の砥粒数/左側の砥粒数<0.9:可の判定
左側の砥粒数≦右側の砥粒数のとき、
左側の砥粒数/右側の砥粒数≧0.9:良の判定
0.6≦左側の砥粒数/右側の砥粒数<0.9:可の判定
とし、それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示してステップ3に進む。
ワイヤソーの外径を判定する。ワイヤソーの外径は芯線径と砥粒径の組み合わせで変化するため、使用前のワイヤソーについての外径を基準にして閾値を設定するのが良い。
例えば、
使用中のワイヤソー外径≧使用前のワイヤソー外径×0.9 :良の判定
使用前のワイヤソー外径×0.8≦使用中のワイヤソー外径≦使用前のワイヤソー外径×0.9 :可の判定
使用中のワイヤソー外径≦使用前のワイヤソー外径×0.8 :不可の判定
不可の場合はその数値を赤で表示してステップ4に進む。
図3(b)におけるピーク値とボトム値との差を検出することによって得られる砥粒突出し量について良否判定を行う。1個の砥粒について、そのピーク値から、その砥粒の両端のボトム値を引くことによって、2つの砥粒突出し量が算出される。このようにして算出される砥粒突出し量について、画像上の全砥粒についての平均砥粒突出し量を求め、この平均砥粒突出し量が平均砥粒粒径の25%以上40%以下であれば、良と判定する。また、15%以上25%未満、あるいは40%を超え70%以下であれば可と判定する。すなわち、
0.25≦平均砥粒突出し量/平均砥粒粒径≦0.40:良の判定
0.15≦平均砥粒突出し量/平均砥粒粒径<0.25:可の判定
0.40<平均砥粒突出し量/平均砥粒粒径≦0.70:可の判定
とし、それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示して、砥粒突出し量の偏りの検査に進む。
左側の平均砥粒突き出し量と右側の平均砥粒突き出し量との比が0.9以上であれば良と判定し、0.6以上0.9未満であれば可と判定してステップ5に進む。すなわち、
左側の平均砥粒突き出し量≧右側の平均砥粒突き出し量のとき、
右側の平均砥粒突き出し量/左側の平均砥粒突き出し量≧0.9:良の判定
0.6≦右側の平均砥粒突き出し量/左側の平均砥粒突き出し量<0.9:可の判定
左側の平均砥粒突き出し量≦右側の平均砥粒突き出し量のとき、
左側の平均砥粒突き出し量/右側の平均砥粒突き出し量≧0.9:良の判定
0.6≦左側の平均砥粒突き出し量/右側の平均砥粒突き出し量<0.9:可の判定
とし、それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示してステップ5に進む。
図3(b)における直線IIの間隔を検出することによって得られる砥粒間隔の標準偏差について判定を行い、砥粒の分散状態についての良否を判定する。
砥粒間隔の標準偏差は、芯線を挟んで右側の砥粒と左側の砥粒のいずれもが良と判定される条件を満たしているときに良と判定される。すなわち、図4において、左側の砥粒間隔を総称してLLとし、右側の砥粒間隔を総称してLRとしたときに、
LLの標準偏差≦120μm、かつLRの標準偏差≦120μm
のときに良と判定し、この範囲を除いて
LLの標準偏差≦200μm、かつLRの標準偏差≦200μm
のときに可と判定し、それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示して、砥粒間隔の閾値についての判定に進む。
なお、以上の標準偏差における数値は、投影画像における画素数から算出することができる。
平均砥粒間隔は、芯線を挟んで右側の砥粒と左側の砥粒のいずれもが良と判定される条件を満たしているときに良と判定される。すなわち、図4において、
(LL1+LL2+LL3+LL4)/4≦250μm、かつ
(LR1+LR2+LR3+LR4)/4≦250μm
のときに良と判定し、この範囲を除いて
(LL1+LL2+LL3+LL4)/4≦300μm、かつ
(LR1+LR2+LR3+LR4)/4≦300μm
のときに可と判定し、それ以外のときは不可と判定してその数値を赤で表示する。
なお、上記の説明における数値は一例であって、上記のものに限定されず、必要に応じて適宜定めることができる。また、上記の判定においては、予め定めた閾値との比較によって良否判断を行っているが、使用前のワイヤソーについての各数値との比較によって良否判断を行うこともできる。
試験条件を表1に示す。
図9に、ワイヤソーの摩耗状態に関する検査結果を示す。
加工前でのワイヤソーの外径は57ドットであり、砥粒の突き出し量は3.8ドットであったのに対して、ワイヤソーの新線供給速度を4m/minとして40分間加工を行うと、外径が52ドット、砥粒の突き出し量が1.1ドットの状態(状態1)となった。ここでのドットとは、静止画像における画素のドット数を意味し、例えば、ワイヤソーの外径が57ドットであるとは、57ドットの画素数でワイヤソーの外径が認識されることを意味する。この状態に達したときに、新線供給速度を8m/minに早めて加工を行うと、外径のドット数、ボンド層の厚さのドット数のいずれも回復し、摩耗状態が軽減していることが確認された。
加工前でのワイヤソーの砥粒数は所定の長さ当たり24個であり、砥粒間隔の標準偏差は30ドットであったのに対して、ワイヤソーの新線を供給しない状態、すなわち新線供給速度を0m/minとして60分間加工を行うと、砥粒数が7個、砥粒間隔の標準偏差が145ドットの状態(状態2)となった。この状態に達したときに、新線供給速度を4m/minにして加工を行うと、砥粒数、砥粒間隔の標準偏差のいずれも回復し、砥粒の配列状態が改善していることが確認された。
2 CCDカメラ
3 LED光源
4 カメラ用電源
5 LED光源用電源
6 カメラ切替器
7 制御装置
8 演算装置
9 ディスプレイ
10 キーボード
11 マウス
21 芯線
23 砥粒
30 切断装置
31 巻出しボビン
32 プーリー
33 クーラントノズル
34 ガイドローラ
35 被切断材
36 ブロック
37 ワイヤソー検査装置
38 巻取りボビン
Claims (2)
- 芯線の周囲にボンド材によって砥粒を固着したワイヤソーの長手方向に対して80°〜90°の角をなすように略垂直に配置された光源と、この光源からワイヤソーに照射された光を用いてワイヤソーの投影画像を撮影するカメラと、前記投影画像に基づいて少なくとも、砥粒の個数、砥粒間隔、砥粒の突き出し量を検出してワイヤソーの良否判定を行う演算装置とを有するワイヤソー検査装置を備え、前記ワイヤソー検査装置から得られるワイヤソーの表面状態に関する情報に基づいてワイヤソーの新線供給速度を定めて新線を供給し、被切断材を切断することを特徴とする切断装置。
- 前記ワイヤソー検査装置をワイヤソーの旧線側に配置したことを特徴とする請求項1記載の切断装置。
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