JP4203353B2 - ワイヤー工具およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤーの外周面に砥粒が電着されたワイヤー工具およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の加工分野でワイヤーを工具として用いることが行われている。例えば、各種の半導体デバイス等を製造するに際しては、単結晶、多結晶、或いはアモルファスのシリコン、水晶、石英、ガラス、サファイア、炭化珪素等から成る例えば柱状の素材インゴットが、スライシング加工により所定の厚さ寸法の薄板(ウェハ)に切断加工される。このような高脆性材料を高精度且つ低価格で切断するための加工方法として、ワイヤーの外周面に砥粒、例えばダイヤモンドやCBN等の超砥粒を固着した固定砥粒型ワイヤーソーを用いることが試みられている。
【0003】
従来、上記のような高脆性材料の切断加工は、内周部に砥粒の固着された内周刃や、遊離砥粒を用いたワイヤーソーで行われていた。上記の内周刃は、固定砥粒であることから高い加工能率が得られるが、その内径寸法および内外径の差がインゴット径よりも大きい必要があるため、インゴットの大口径化に対応することが困難である。また、多数の工具を用いて同時に多数枚の薄板を切り出そうとしても、外周を支持する構造上、マルチソーを実現することも困難である。一方、遊離砥粒によるワイヤーソーは、インゴットの大口径化に容易に対応でき、且つ多数本のワイヤーを多溝プーリー間に巻き掛けることによって容易にマルチソーを実現できるが、ワイヤー1本当たりの加工能率が低く、また、砥粒および被加工物の切り粉を含む研削油廃液が大量に生じるため環境負荷が高い問題がある。しかも、大口径のインゴットでは内周側になるほど遊離砥粒の供給が困難になるため、加工能率が一層低下する問題もある。
【0004】
これらに対して、固定砥粒型ワイヤーソーは、砥粒が工具に固着されている内周刃の長所と、ワイヤーを用いて加工する遊離砥粒型ワイヤーソーの長所とを兼ね備えたものであって、高い切断能率を有し且つ大口径のインゴットであっても切断可能な利点があり、精密且つ低ダメージを要求される被加工物や、サファイヤ等の難削材の切断加工にも好適に用いられる。また、遊離砥粒の場合に比較してワイヤーの線径に対して砥粒径を大きくできる特徴もある。
【0005】
特に、複数の素線を縒り合わせたワイヤーの表面に砥粒を電着したワイヤーソーによれば、それら素線間に形成される隙間がチップポケットとして機能すると共に、その隙間を通して加工液や切り粉が容易に流通させられる。そのため、一本のワイヤーの外周面に砥粒が一層程度の厚みで電着されたワイヤーソーの場合のような加工点に略密着させられることに起因する加工液の供給不足や切り粉の排出不良等の不都合が好適に解消される(例えば特許文献1参照)。なお、ワイヤーの外周面に螺旋状に砥粒を固着することによって加工液や切り粉の流通を促進したワイヤーソーも提案されているが、製造工程が複雑化して著しく価格が高くなると共に、一層程度の厚みに固着されているに過ぎない砥粒による凹凸では十分な大きさの流通経路は確保できない。
【0006】
また、ワイヤー工具は微小孔研磨にも用いられている。例えば、光ファイバのコネクタ部品であるフェルールには、その軸心方向に貫通するファイバ挿入孔が備えられているが、このファイバ挿入孔は、2本の光ファイバを軸心が一致した状態で相互に接続できるように、直径および真円度に高い精度が要求される。そのため、例えばワイヤー工具をそのファイバー挿入孔内に刺し通して、遊離砥粒を供給しつつその軸心方向に相対移動させることにより、そのファイバー挿入孔が所望の直径および真円度に研磨加工される(例えば特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−277398号公報
【特許文献2】
特開平10−328985号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような縒り線を用いたワイヤーソーでは、単線のものに比べて素線が著しく細くなるため、機械的強度例えば引張り強度が低下し、使用中の捩り等に起因する応力で切れ易くなる不都合があった。
【0009】
また、微小孔研磨加工においては、予めワイヤー工具を微小孔内に刺し通す必要があることから、ワイヤー工具の直径が加工前の微小孔の内径よりも小さくされる必要があるので、上記固定砥粒型ワイヤーソーのような外周面に砥粒が固定された工具を適用することは困難である。そのため、遊離砥粒が用いられるワイヤーソーの場合と同様に、砥粒や切り粉を含む研削油廃液が大量に生じるため環境負荷が高い問題があった。
【0010】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、切れ味が良く且つ孔内面の研磨加工にも好適なワイヤー工具およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための第1の手段】
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、ワイヤーの外周面に砥粒が鍍金層によって固着されたワイヤー工具であって、(a)前記鍍金層は、前記ワイヤーの長手方向に沿った断面において周期的な凹凸を成す下地鍍金層と、その下地鍍金層の外周面に鍍金によって形成されるとともに砥粒を固着する砥粒固着層とを含み、 ( b )前記鍍金層の厚みが前記ワイヤーの長手方向において周期的に変化させられることにより外周面にその長手方向に沿って周期的な凹凸が形成されていることにある。
【0012】
【第1発明の効果】
このようにすれば、砥粒を固着するための鍍金層は、ワイヤーの長手方向に沿った断面において周期的な凹凸を成す下地鍍金層と、その下地鍍金層の外周面に鍍金によって形成されるとともに砥粒を固着する砥粒固着層とを含み、厚みが変化させられることによってワイヤー工具の外周面に周期的に凹凸が形成されていることから、その凹み部分が加工液や切り粉の流通経路或いはチップポケットとして好適に機能し得る。そのため、加工点に加工液が十分に供給されると共に、切り粉による目詰りが緩和されるので、切断工具として用いられた場合には良好な切れ味が得られる。また、孔内面の研磨工具として用いられた場合には、例えば相対的に小径の部分を加工前の孔径より小さく、且つ相対的に大径の部分を形成しようとする孔径に応じた大きさとすることにより、ワイヤー工具をその小径部分から孔内に挿入し且つ加工前の孔径よりも大径の部分でその孔内面が研磨加工される。ワイヤー工具の大径部は当初は孔を通過できないが、例えばその長手方向に往復移動を繰り返すと孔内面が僅かに研磨されると共に砥粒が脱落することで工具径が細くなるので孔を通過できるようになり、その過程で孔内面が所定の内径に研磨される。したがって、遊離砥粒を用いること無く孔内面を研磨することができる。このとき、ワイヤー工具表面の凹凸は鍍金厚みを変化させることで設けられているため、細い素線を縒ったワイヤーを用いる場合のような強度低下は生じない。なお、本願において「周期的」とは、ワイヤーの長手方向において凹部および凸部が繰り返されることを意味するものであり、その周期が一定値である場合に限られない。
【0013】
【第1発明の他の態様】
ここで、好適には、(b)前記凹凸は前記ワイヤーの長手方向に沿った断面において鋸歯状を成すものである。このようにすれば、鋸歯状を成す外周面の傾斜面において孔内面の研磨が一層容易に行われ、且つワイヤー工具の最大径に応じた高精度で内径の形状および寸法が得られる。すなわち、このような断面形状を備えたワイヤー工具は、孔内面研磨に特に好適である。
【0014】
また、好適には、前記凹凸は前記ワイヤーの長手方向においてなだらかに高さが変化するものである。
【0015】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、ワイヤーの外周面にそのワイヤーの長手方向に沿った断面において周期的な凹凸を成す下地鍍金層を設ける下地鍍金工程と、その下地鍍金層上に砥粒を鍍金によって固着する砥粒固着工程とを含む、外周面に長手方向に沿って周期的な凹凸が形成されたワイヤー工具の製造方法であって、(a)前記下地鍍金工程は、鍍金液を収容する下地鍍金槽内に配置された、長手方向に関連して開口面積が変化させられた複数の鍍金液流通口を有する鍍金管を用い、その鍍金管内をその長手方向に通した前記ワイヤーと前記下地鍍金槽内に設けられた電極との間に直流電圧を印加することによりそのワイヤーの表面にその長手方向に沿った断面において周期的な凹凸を成す下地鍍金層を形成し、そのワイヤーを所定長さ送った後に更にその下地鍍金層の形成を繰り返し施すことにある。
【0016】
【第2発明の効果】
このようにすれば、ワイヤーと他の電極(一般にワイヤーが負極、他の電極が陽極となる)との間に通電されることにより為される電気鍍金では、ワイヤー外周面のうち電極に近い位置ほど形成される下地鍍金層が厚くなるため、鍍金槽内でワイヤーが間歇的に送られると、ワイヤーの長手方向においてその送り長さに応じた中心間隔を以て周期的に厚さの変化する下地鍍金層が形成される。そのため、この下地鍍金層の上に砥粒が鍍金によって固着させられることにより、鍍金層の厚みがワイヤーの長手方向において周期的に変化させられることにより外周面にその長手方向に沿って周期的な凹凸が形成されたワイヤー工具を得ることができる。
【0017】
【第2発明の他の態様】
ここで、好適には、(b)前記下地鍍金工程は、下地鍍金槽内で他の部分から電気的に遮蔽されると共に電極が設けられた鍍金領域内に備えられ且つ長手方向における位置に関連して開口面積が分布させられた複数の鍍金液流通口を有する鍍金管内をその長手方向に通しつつ前記ワイヤーに電気鍍金を施すものである。このようにすれば、ワイヤーのうち電極が設けられた鍍金領域内に位置する部分に専ら下地鍍金層が形成されるが、そのワイヤーは複数の鍍金液流通口を有する鍍金管内を通されることから、その鍍金厚みは、その鍍金液流通口を通って鍍金管内に入った鍍金金属イオン量に応じた厚さになる。このとき、その鍍金液流通口は鍍金管の長手方向における位置に関連して開口面積が分布させられているため、その長手方向において、その開口面積分布に従った鍍金厚み分布が形成される。したがって、開口面積分布を適宜定めることにより、所望の大きさの凹凸が所望の周期で形成されたワイヤー工具を得ることができる。
【0018】
また、好適には、上記のように鍍金槽内に鍍金領域および鍍金管が備えられる場合において、前記鍍金液流通口の開口面積は、前記ワイヤーの長手方向に沿って連続的または段階的に大きくなるように設けられる。このようにすれば、前記鋸歯状の凹凸が好適に形成される。
【0019】
また、好適には、前記鍍金液流通口の開口面積は、前記ワイヤーの長手方向の中央部から両端部に向かうに従って対称的に、且つ連続的または段階的に、増加しまたは減少するように設けられる。このようにすれば、前記のなだらかに変化する凹凸が好適に形成される。
【0020】
また、前記第1,第2発明において、好適には、前記砥粒は、1(μm)乃至100(μm)の範囲内の平均粒径を有するものである。1(μm)未満では十分な研削力が得られず、一方、100(μm)を越えると鍍金液中に分散させ或いは液中で循環させることが困難になり延いては鍍金によってワイヤー外周面に固着することが困難になる。一層好適には、60(μm)以下が好ましく、更に好ましくは、55(μm)以下、更に好ましくは50(μm)以下である。また、好適には、2(μm)以上が好ましく、更に好ましくは3(μm)以上である。
【0021】
また、前記第1,第2発明において、好適には、前記砥粒は、10(μm)乃至100(μm)の範囲内の平均粒径を有するものである。このようにすれば、比較的大径の砥粒が備えられていることから、例えば切断用途に一層好適なワイヤー工具が得られる。砥粒径は、一層好適には、60(μm)以下であり、更に好適には、55(μm)以下、更に好適には50(μm)以下である。
【0022】
また、好適には、前記砥粒は、1(μm)乃至10(μm)の範囲内の平均粒径を備えたものである。このようにすれば、比較的小径の砥粒が備えられていることから、例えば孔研磨用途に一層好適なワイヤー工具が得られる。砥粒径は、一層好適には、2(μm)以上であり、更に好適には、3(μm)以上である。
【0023】
また、好適には、前記ワイヤーは線径が1(mm)以下である。このようにすれば、線径が十分に細いため、例えば切断加工に用いられた場合の切断代を小さくできる利点がある。なお、ワイヤーの線径の下限値は、例えば、加工上要求される機械的強度、例えば引張り強度を確保し得るように用途等に応じて定められる。また、上記のワイヤー線径は、砥粒の平均粒径が10(μm)乃至100(μm)の範囲内とされる場合等に一層有効である。
【0024】
また、好適には、前記凹凸は高低差が5(μm)以上である。すなわち、ワイヤー工具の直径の最小値と最大値との差は10(μm)以上である。このようにすれば、ワイヤー工具と加工点との間に十分に大きな隙間が形成されることから、加工液や切り粉等の流通が一層容易になるため、例えば切断加工に用いられた場合において、一層良い切れ味が得られる利点がある。なお、凹凸の高低差の上限は、例えば、ワイヤー工具に要求される線径の下限値と、許容される切断代の大きさの上限値等に基づいて、ワイヤー工具の用途等に応じて定められる。また、上記の高低差は、例えば、凹凸がなだらかに変化する場合、砥粒の平均粒径が10(μm)乃至100(μm)の範囲内とされる場合、ワイヤー線径が1(mm)以下とされる場合等に一層有効である。
【0025】
また、好適には、前記凹凸は高低差が前記砥粒の平均粒径以上の値である。すなわち、ワイヤー工具の直径の最小値と最大値との差は砥粒の平均粒径の2倍以上である。このようにすれば、高低差が十分に大きくされることから、例えば、孔研磨に用いられた場合に高い研磨効率を得ることができる。なお、上記の高低差は、例えば、凹凸が前記のように鋸歯状を成す場合、砥粒の平均粒径が1(μm)乃至10(μm)の範囲内とされる場合等に一層有効である。
【0026】
また、好適には、前記凹凸は、その凸部が50(mm)以上の中心間隔で備えられる。このようにすれば、凹凸の周期が十分に長くされることから、例えば切断加工に用いられる場合においては、加工液や切り粉等の流通経路が一層確実に確保され、孔研磨に用いられる場合、一層好適には、鋸歯状断面とされる場合においては、凹凸間の傾斜面が十分に長くなることによって一層高い加工精度が得られる。
【0027】
また、好適には、前記凹凸は、その凸部がワイヤー工具を使用する際にこれを案内するために用いられるプーリの直径寸法以上の中心間隔で備えられる。このようにすれば、使用時の曲げに対する十分な耐久性が得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明のワイヤー工具の一実施例である砥粒固定型ワイヤーソー10の長手方向における一部分を抜き出して示す斜視図である。図において、ワイヤーソー10は、ワイヤー12の外周面に鍍金層14によって多数の砥粒16が固着されたものであって、その外周面18は長手方向においてなだらかに高さの変化する凹凸面となっている。
【0030】
図2および図3は、上記ワイヤーソー10の長手方向に垂直な断面およびその長手方向に沿った断面をそれぞれ示す図である。これらの図において、上記のワイヤー12は、例えばピアノ線等の鋼線から成り、例えば0.05〜0.30(mm)程度の範囲内、例えば0.16(mm)程度の全長に亘って一様な線径を備えたものである。また、砥粒16は、例えば10〜100(μm)の範囲内、例えば35(μm)程度の平均粒径を備えた単結晶ダイヤモンド砥粒であって、その表面はニッケル等から成る金属層20で覆われている。この金属層20は、例えば鍍金やCVD法等で設けられたものであって、例えば数(μm)(例えば1〜5(μm)の範囲内)、例えば2.5(μm)程度の厚さ寸法を有する。
【0031】
また、前記鍍金層14は、ワイヤー12の長手方向においてその厚さ寸法がなだらかに繰り返し(すなわち周期的に)増減する断面形状を備えたものである。この鍍金層14の最小厚みt1すなわち凹部22の底部の厚さ寸法は、例えば3〜60(μm)の範囲内、例えば20(μm)程度、最大厚みt2すなわち凸部24の頂上の厚さ寸法は、例えば8〜80(μm)の範囲内、例えば28(μm)程度であって、それらの差は例えば5〜20(μm)の範囲内、例えば8(μm)程度である。すなわち、ワイヤーソー10の外周面18の凹凸は、この鍍金層14の厚さ寸法が長手方向において変化させられることによって形成されており、埋め込まれている砥粒16による凹凸を除いたその最小径が例えば0.166〜0.280(mm)の範囲内、例えば0.200(mm)程度で、最大径が0.176〜0.320(mm)の範囲内、例えば0.216(mm)程度になっている。繰り返しの周期すなわち凸部24の中心間隔pは、例えば50〜500(mm)の範囲内、例えば100(mm)程度である。上記砥粒16は、このような鍍金層14上にその一部が突き出して設けられることにより切れ刃を構成している。
【0032】
また、両図に示されるように、鍍金層14は、その表層部を構成する砥粒固着層26と、その内周部を構成する下地鍍金層28とが積層されたものである。これら砥粒固着層26および下地鍍金層28は、例えば何れもニッケル等で構成されている。下地鍍金層28は、その表面30が外周面18と同様な凹凸形状に構成されており、その厚さ寸法は、凹部22において例えば1〜5(μm)の範囲内、例えば2(μm)程度、凸部24において例えば6〜25(μm)の範囲内、例えば10(μm)程度であって、それらの差は例えば5〜20(μm)の範囲内、例えば8(μm)程度である。一方、砥粒固着層26は、このような凹凸面を成す下地鍍金層28上に、その表面形状に倣って、例えば3〜60(μm)の範囲内、例えば18(μm)程度の一様な厚さ寸法で設けられている。なお、ワイヤー12には、下地鍍金層28の下に錆防止等の目的のブラス(真鍮)鍍金が1(μm)程度の厚さで備えられてもよい。
【0033】
このため、本実施例においては、ワイヤー12がその全長に亘って一様な線径を備えることによってその外周面32を断面形状の平坦な円筒面に保ちながら、鍍金層14の厚さ寸法がワイヤー12の長手方向において変化させられることにより、ワイヤーソー10の外周面18が高低差8(μm)程度の凹凸面に構成されている。なお、砥粒16は、上記の下地鍍金層28上において、砥粒固着層26に例えば20〜80(%)の範囲内、例えば50(%)程度の埋込率(すなわち砥粒16の差渡し寸法に対する鍍金厚み)を以て固着されている。なお、実際に砥粒固着に寄与する砥粒固着層26の鍍金厚みは比較的薄くされているが、本実施例においては砥粒16の外周面に金属層20が設けられており、その金属層20と砥粒固着層26とが強固に結合させられるため特に支障はない。
【0034】
以上のように構成されたワイヤーソー10によれば、砥粒16を固着するための鍍金層14の厚みが変化させられることによって外周面18に周期的に凹凸が形成されていることから、その凹部22が加工液や切り粉の流通経路として好適に機能し得る。そのため、加工点に加工液が十分に供給されると共に、切り粉による目詰りが緩和されるので良好な切れ味が得られる。しかも、外周面18の凹凸は鍍金厚みを変化させることで設けられているため、細い素線を縒ったワイヤーを用いる場合のような強度低下は生じ得ず、従来の同程度の線径を備えたワイヤーソーと同等の強度を有している。因みに、下記の表1に示されるように、縒り線が用いられる場合には、単線の場合に比較して直径が半分程度のものが用いられる結果、総断面積が単線の場合の1/2になる。そのため、同材質で構成される場合には引張り強度も1/2と低くなることから、使用時に必要なテンションを掛けることができないのである。
【0035】
【0036】
また、本実施例によれば、ワイヤー12の線径が0.16(mm)程度と細くされることにより、ワイヤーソー10の最大径が0.216(mm)程度と十分に細い値に留められているため、切断代を極めて小さくできる。
【0037】
また、本実施例によれば、外周面18の凹凸の高低差が8(μm)程度と十分に大きくされることにより、ワイヤーソー10の直径の最小値と最大値との差が16(μm)程度になっているため、ワイヤーソー10と加工点との間に十分に大きな隙間が形成される。そのため、加工液や切り粉等の流通が一層容易になり、一層良い切れ味が得られる。
【0038】
また、本実施例においては、外周面18の凹凸は、その凸部24が100(mm)程度の十分に長い中心間隔で備えられることから、加工液や切り粉等の流通経路が一層確実に確保される。また、ワイヤーソー10を使用するに際しては、プーリ等を用いてこれを所望の方向に案内するが、このプーリは一般に50(mm)程度の直径を備えたものであることから、凹凸の繰り返し周期がこれよりも十分にながいため、プーリの案内溝内で湾曲させられることに起因する断線が好適に抑制される利点もある。
【0039】
ところで、上記のワイヤーソー10は、例えば図4に示されるワイヤー工具製造装置40を用いて製造される。図において、工具製造装置40には、ワイヤー12の供給源となるロール42が備えられており、そのロール42側から順に、脱脂槽44,第1水洗槽46,酸洗槽48,第2水洗槽50,下地鍍金槽52,第1電着槽54,第2電着槽56,砥粒埋込槽58,および第3水洗槽60が相互に隣接して設けられている。各槽44乃至60の槽内および上方には複数個のガイド・プーリ62がそれぞれ備えられており、ワイヤー12は、そのプーリ62で案内されることにより各槽44乃至60内を順次に通過させられる。
【0040】
上記脱脂槽44は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液が蓄えられたものであり、ワイヤー12の表面に付着している油分等の汚れがここで除去される。また、第1水洗槽46は、油分が除去されたワイヤー12に付着している水酸化ナトリウム水溶液を洗い流すためのものである。また、酸洗槽48は、例えば塩酸(HCl水溶液)が蓄えられたものであり、ワイヤー12表面の酸化物層(すなわち錆等)がここで除去される。第2水洗層50は、ここで付着した塩酸を洗い流すためのものである。
【0041】
また、下地鍍金槽52は、ワイヤー12に砥粒固着層26を構成するためのニッケル鍍金が乗り易くなるように前記のニッケル鍍金から成る下地鍍金層28を形成するためのものである。この槽内には、ニッケル・イオンを含む電着液(鍍金液)が蓄えられており、ワイヤー12の移動方向における長さ寸法は例えば1(m)程度である。この下地鍍金槽52内の電着液すなわち鍍金浴は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、および硼酸から成るワット浴であり、例えば3.0〜6.0程度の範囲内のpHに調製されている。また、鍍金浴の温度は例えば30〜50(℃)程度の範囲内である。
【0042】
図5は、上記の下地鍍金槽52の構成を詳細に説明する図である。下地鍍金槽52内には、そのワイヤー12の進行方向の中間部に一対の遮蔽板64,64が備えられており、その中間部に槽内の他の部分から電気的に遮蔽された領域が形成されている。遮蔽板64,64の相互間隔すなわち遮蔽領域66の長さ寸法は例えば50〜500(mm)の範囲内、例えば100(mm)程度である。遮蔽板64には、ワイヤー12が容易に通過し得る程度の大きさの厚み方向に貫通する貫通孔68が備えられている。本実施例においては、この遮蔽板64,64間の遮蔽領域66が鍍金領域に相当する。
【0043】
また、上記鍍金領域66内には上記の遮蔽板64,64で両端部が閉じられた筒状治具70が配置されており、ワイヤー12は、その筒状治具70内をその軸心方向に沿って通されている。この筒状治具70には、例えば直径8(mm)程度の相対的に開口面積の大きい複数個の鍍金液流通孔72と、例えば直径3(mm)程度の相対的に開口面積の小さい複数個の鍍金液流通孔74とが設けられている。これら孔72,74は、鍍金領域66内において筒状治具70の外部と内部との間の鍍金液の流通を可能とするものである。また、鍍金液流通孔72が設けられている中央部領域76は、鍍金液流通孔74が設けられている両端部領域78,78の各々よりも開口面積の総和が大きく、例えば2〜3倍程度の大きさとされている。すなわち、筒状治具70には、その長手方向における位置に関連して開口面積が分布させられた複数の鍍金液流通口が備えられている。
【0044】
なお、図においては、中央部領域76に1つの孔72を、両端部領域78に3つの孔74を描いているが、これは開口面積の相違を表すために便宜上そのようにしたものであり、実際の孔数は所望の開口面積比が得られるように適宜定められる。また、上記中央部領域76および両端部領域78,78は、例えば相互に同様な長さ寸法に構成される。また、図において80は、後述する陰極電極84との間に電圧を印加するための陽極電極である。本実施例においては、上記の筒状治具70が鍍金管に相当する。
【0045】
図4に戻って、第1電着槽54は、下地鍍金層28が設けられたワイヤー12にニッケル鍍金によって砥粒16を固着(電着)するためのものである。槽内にはニッケル・イオンを含む電着液が蓄えられており、ワイヤー12の移動方向における長さ寸法は例えば1(m)程度である。この第1電着槽54内の電着液すなわち鍍金浴も、前記の下地鍍金槽52と同様なワット浴である。
【0046】
また、上記第1電着槽54のうち下地鍍金槽52側の一部すなわちワイヤー12の送り方向後方側には、砥粒沈降領域82が設けられている。この砥粒沈降領域82では、砥粒16を水等の分散媒に分散させた鍍金液が電着液中のワイヤー12に向かって供給される。鍍金液中に含まれる砥粒16は、例えば粒径が35(μm)で前記の金属層20が数(μm)(例えば2.5(μm))程度の厚さ寸法で予め設けられたダイヤ砥粒(例えば東名ダイヤ製 IRM-NP30 M30/40)である。ここには、その鍍金液の供給装置や、沈降した余剰の砥粒16を回収するための回収装置等が適宜備えられている。
【0047】
また、第2電着槽56は、ワイヤー12の第1電着槽54を通過した部分がプーリ62によって案内される過程でその上下が反転させられた後に通過させられるものであり、上記の第1電着槽54と同様に構成されている。但し、この第2電着槽56では、ワイヤー12が上下の反転した状態で送られることから、その槽内を通過する過程で上方から沈降する砥粒16が外周面14のうち上側に位置する部分すなわち第1電着槽54における半周部分とは反対側に付着させられ且つ鍍金層14によって固着される。すなわち、本実施例においては、鍍金層14は、これら2つの第1電着槽54および第2電着槽56で2回に分けて形成されることとなる。なお、このようにニッケル鍍金処理が2回行われると、1回目の鍍金処理で砥粒16が固着された半周部分では残りの半周部分に比較して鍍金厚みが厚くなる傾向がある。この厚さ寸法の相違が加工性能上の問題となる場合には、例えば、第2電着槽56内にワイヤー12の下半分を覆うための遮蔽等を設けることにより、鍍金厚みの相違が緩和される。
【0048】
また、上記の第1電着槽54および第2電着槽56では、例えば砥粒径の5〜25(%)の厚さで鍍金が成されることにより、プーリ62を通過した際に落ちない程度に砥粒16が仮固着される。砥粒埋込槽58では、これら第1電着槽54および第2電着槽56で仮固着された砥粒16が、例えば20〜80(%)程度の範囲内で予め定められた埋込率まで埋め込まれる。これにより、砥粒16がワイヤー12に確実に固着される。
【0049】
また、ワイヤー12の進行経路のうち、下地鍍金槽52、第1電着槽54、第2電着槽56、および埋込槽58の前後5箇所には、そのワイヤー12に接触する陰極電極84が備えられており、それら槽52,54,56,58内に備えられている陽極電極80(前記の図5参照)との間で通電させられるようになっている。電流密度は例えば0.5〜15(A/dm2)の範囲内となるように調節される。
【0050】
また、第3水洗槽60では、上記の埋込槽58を通過したワイヤー12から電着液を洗い流すためのものである。すなわち、第3水洗槽60において、ワイヤー12に付着している電着液が水で置換される。
【0051】
このような工具製造装置40を用いてワイヤーソー10を製造するに際しては、先ず、鍍金工程(砥粒電着工程)において、プーリ62で案内されることにより脱脂槽44乃至第3水洗槽60内を順次に通されているワイヤー12を、その第3水洗槽60の先に備えられたモータ等の図示しない適宜の巻取り装置で巻き取ることにより、矢印R方向に断続的に送る。すなわち、例えば50〜500(mm)の範囲内、例えば100(mm)程度の所定長さ(すなわち前記の鍍金管70の長さ寸法に等しい長さ)だけ送った後、例えば0.5〜5分の範囲内、例えば3分程度の所定時間だけその位置で停止させ、再び所定長さだけ送って所定時間だけ停止させる動作を繰り返す。ワイヤー送り速度は、例えば50〜5000(mm/min)程度に設定される。
【0052】
上記のワイヤー送り過程において、脱脂槽44乃至第2水洗槽50でワイヤー外周面18の油膜や酸化物等が除去された後、先ず、下地鍍金槽52では、ワイヤー12に1〜10(μm)程度の厚さ寸法でニッケル鍍金が施される。この下地鍍金工程では、陰極電極84によって負極にされたワイヤー12と陽極電極80との間の電位差に基づき、鍍金液内の金属(ニッケル)イオンがワイヤー12の外周面に固着されるのであるが、前述したように下地鍍金槽52内には遮蔽板64で遮蔽された鍍金領域66が設けられると共に、その遮蔽領域66内に開口面積が長手方向における位置に関連して分布させられた複数の鍍金液流通孔72,74を有する鍍金管70が備えられている。
【0053】
そのため、ワイヤー12のうち鍍金領域66外に位置する部分は、負極とされていても陽極電極80との間の電位差に基づいて金属イオンがその部分に向かって移動させられることが無いので、ワイヤー12の鍍金は、専ら鍍金領域66内だけで行われる。しかも、鍍金液延いてはその液中の金属イオンは、上記流通孔72,74を通る経路で鍍金管70内に流入することになるため、前述した開口面積分布に従い、中央部領域76では相対的に多量の金属イオンがワイヤー12に向かって移動させられる一方、両端部領域78では相対的に少量の金属イオンがワイヤー12に向かって移動させられる。そして、このような金属イオンの移動すなわち鍍金は、間歇的に送られるワイヤー12の専ら停止中に成されることから、両端部領域78から中央部領域76に向かうに従って厚くなる鍍金厚み分布が形成される。前記の図5において下方に示した図は、このように形成される鍍金厚み分布を表したものである。
【0054】
また、ワイヤー12の間歇送りの間隔は、前述したように100(mm)程度すなわち鍍金管70の長さ寸法(すなわち一回の停止中に鍍金されるワイヤー12の長さ寸法)に略一致させられていることから、上記のような厚み分布はその送り間隔で以て形成される。このように、本実施例においては、遮蔽板64および筒状治具70によって鍍金液の流通が制御されることにより、前記のような厚さ寸法が周期的に変化させられる下地鍍金層28が形成されるのである。
【0055】
次いで、第1電着槽54内および第2電着槽56内では、その砥粒沈降領域82においてワイヤー12に向かって上方から砥粒16を含む鍍金液が供給されるので、陰極電極84が接触させられることで負極となっているワイヤー12の外周面32に、分散状態で沈降するその砥粒16が付着させられ、且つ電着液中の金属イオン(ニッケル・イオン)がその外周面に引き寄せられて鍍金層14を形成する。これにより、砥粒16がニッケル鍍金(砥粒固着層26)によってワイヤー外周面32に固着される。このとき、砥粒16には金属層20が設けられていることから正に帯電するため、その砥粒16自身も電気的にワイヤー12に引き寄せられる。このような電気的作用によって、ワイヤー12の外周面32の周方向の全長に亘って砥粒16が一様に分布し、且つ鍍金による固着力が発揮されるまでの間に脱落することが好適に抑制される。また、砥粒16は専ら沈降過程でワイヤー12に付着させられることから、その外周面32における付着厚みは砥粒16の一層程度の厚みに留まる。
【0056】
なお、砥粒沈降領域82は、第1電着槽54および第2電着槽56のうちワイヤー12の進行方向後方側の一部に設けられているので、それら第1電着槽54内および第2電着槽56内において、ワイヤー12はその外周面32に砥粒16が付着させられたまま水平方向に移動させられる。本実施例においては、このように砥粒16を乗せたまま移動させられる過程でワイヤー12にニッケル鍍金が施されて、砥粒16が固着されるのである。
【0057】
また、ワイヤー12上における砥粒16の固着密度すなわち分布は、砥粒沈降領域82における砥粒16(鍍金液)の供給量で決定される。そのため、前述したようにワイヤー12の長手方向において高密度領域と低密度領域とが交互に設けられたワイヤーソー10を製造するに際しては、ワイヤー12の移動速度に関連して、供給する砥粒量(鍍金液量或いは鍍金液の砥粒濃度)を経時的に変化させればよい。
【0058】
このようにして砥粒16がワイヤー12の全周に仮固着された後、埋込槽58にワイヤー12が送られると、その表面に重ねてニッケル鍍金が施されることにより、前記の砥粒固着層26が形成される。このとき、埋込槽58では鍍金液の流通が何ら制限されていないことから、砥粒固着層26は下地鍍金層28上に略一様な厚みで形成されることになる。この結果、ワイヤー12の表面に電着された砥粒16が略一様な埋込率を以て埋没させられ、前記のワイヤーソー10が得られる。ワイヤーソー10は、続く第3水洗槽60内で電着液を洗浄除去された後、ロール42と同様なロールに巻き取られて回収される。
【0059】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前述した実施例と共通する部分は説明を省略する。
【0060】
図6は、他の実施例の孔研磨工具90の長さ方向の一部を示す斜視図であり、図7は、その長手方向に沿った断面を示す図である。図において、孔研磨工具90は、ワイヤーソー10と同様にワイヤー12の外周面に鍍金層92によって砥粒16を固着したものである。この孔研磨工具90の外周面94は、長手方向に沿った一方向において直径の直線的に増加する傾斜面が例えば50〜500(mm)の範囲内、例えば100(mm)程度の中心間隔pで繰り返し設けられることにより、その長手方向に沿って周期的な凹凸が備えられている。
【0061】
断面を表した図7に示されるように、この孔研磨工具90においても、上記の周期的な凹凸は、ワイヤー12の円筒面を成す外周面32上にその長手方向において鍍金層92の厚さ寸法が周期的に変化させられることによって形成されたものである。このため、孔研磨工具90は、その外周面94が長手方向に沿った断面において鋸歯状を成すものとなっている。なお、鍍金層92の厚さ寸法の最小値t1すなわち凹部96の底部における厚さ寸法は、例えば2〜15(μm)の範囲内、例えば4(μm)程度、最大厚みt2すなわち凸部98の頂上における厚さ寸法は、例えば4〜25(μm)の範囲内、例えば12(μm)程度である。本実施例においてはワイヤー12の線径が例えば0.08(mm)程度であるので、砥粒16による凹凸を除外した孔研磨工具90の最小径は例えば0.084〜0.110(mm)の範囲内、例えば0.088(mm)程度で、最大径は例えば0.088〜0.130(mm)の範囲内、例えば0.104(mm)程度である。なお、最小径は研磨しようとする孔の加工前の内径よりも僅かに小さい大きさに定められており、最大径は加工後に得ようとする孔内径に定められている。
【0062】
また、上記の鍍金層92も、例えばそれぞれニッケルから成る下地鍍金層100および砥粒固着層102の二層構成とされているが、下地鍍金層100は、その表面104が外周面94と同様な凹凸形状すなわち鋸歯状に構成されており、その厚さ寸法は、凹部96において例えば1〜5(μm)の範囲内、例えば2(μm)程度、凸部98において例えば3〜15(μm)の範囲内、例えば10(μm)程度であって、それらの差は例えば2〜10(μm)の範囲内、例えば8(μm)程度である。一方、砥粒固着層102は、このような凹凸面を成す下地鍍金層100上に、その表面形状に倣って、例えば1〜5(μm)の範囲内、例えば2(μm)程度の一様な厚さ寸法で設けられている。
【0063】
なお、本実施例においては、砥粒16は、例えば平均粒径が3(μm)程度のダイヤモンド砥粒であり、その表面にはニッケル等の金属層は何ら設けられていない。そのため、上記のような砥粒固着層102内に、砥粒16は例えば50(%)程度の埋込率を以て固着されている。また、上述した各数値から明らかなように、本実施例においては、孔研磨工具90の凹凸の高低差が8(μm)程度、すなわち砥粒16の平均粒径よりも十分に大きい値に設定されている。
【0064】
以上のように構成された孔研磨工具90においても、砥粒16を固着するための鍍金層92の厚みが変化させられることによって外周面94に周期的に凹凸が形成されていることから、加工対象である孔内に孔研磨工具90をその小径部分から挿入して往復移動させることにより、小径部分と大径部分との中間部およびその大径部分でその孔内面が好適に研磨加工される。したがって、遊離砥粒を用いること無く孔内面を研磨することができる利点がある。このとき、ワイヤー工具表面の凹凸は鍍金厚みを変化させることで設けられているため、細い素線を縒ったワイヤーを用いる場合のような強度低下は生じない。
【0065】
なお、上記のような孔研磨加工において、孔研磨工具90がその全長に亘って図示のような凹凸形状にされていると、加工対象である孔内への挿入や往復移動が困難な場合がある。そのような場合には、例えば両端部に小径部と同程度の直径を備えた部分を適当な長さ寸法で設ければよい。
【0066】
また、本実施例によれば、工具外周面94の凹凸の高低差が砥粒16の平均粒径よりも大きくされているため、孔研磨において高い研磨効率を得ることができる。
【0067】
なお、上記のような孔研磨工具90も、前述した図4に示されるような工具製造装置40を用いて製造されるが、下地鍍金層100の厚み分布がワイヤーソー10とは異なるものとされているため、前記の図5に示されていた下地鍍金槽52に代えて図8に示される下地鍍金槽106が用いられる。
【0068】
図8において、下地鍍金槽106は、下地鍍金槽52と概略同様に構成されたものであるが、鍍金領域66内に備えられている鍍金管108の構成が鍍金管70とは異なるものとなっている。この鍍金管108は、その長手方向においてワイヤー12の送り方向の後方側(図における左方)から前方側(図における右方)に向かって順に、例えば直径が8(mm)程度の鍍金液流通孔110、直径が5(mm)程度の鍍金液流通孔112、および直径が3(mm)程度の鍍金液流通孔114を備えたものである。また、鍍金管108の後端部領域116,中間部領域118、および前端部領域120の各々における開口面積の総和は、例えば4:2:1程度の比に設定されている。すなわち、各領域116,118,120の各々における鍍金液流通孔110,112,114の開口面積の総和は、ワイヤー12の長手方向において段階的に大きくなる。
【0069】
上記のような下地鍍金槽106が備えられた工具製造装置40によれば、その下地鍍金槽106において、間歇的に送られるワイヤー12の専ら停止中に、図8において下方に示すように上記の開口面積分布に従った一方向に沿って次第に小さくなる鍍金厚み分布、例えば後端部領域116で12(μm)程度、中間部領域118で6(μm)程度、前端部領域120で3(μm)程度の厚み分布が形成される。このとき、ワイヤー12の間歇送りの送り間隔は、例えば鍍金管108の長さ寸法に略一致させられているので、上記のような厚み分布がその送り間隔で以て形成されることになる。そのため、前述したような断面において鋸歯状を成す下地鍍金層100が形成されことから、これに砥粒16を鍍金によって固着し且つ埋め込むことにより、前記の孔研磨工具90が得られるのである。
【0070】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0071】
例えば、実施例においては、外周面18がなだらかな凹凸面であるワイヤーソー10や、外周面94が断面において鋸歯状を成す孔研磨工具90に本発明が適用された場合について説明したが、外周面18,94の形状はこれらに限られない。例えば、ワイヤーソー10の外周面18を鋸歯状に構成してもよく、孔研磨工具90の外周面94をなだらかな凹凸面に構成してもよい。また、切断用途においては加工液や切り粉等の流通が好適に行われ、孔研磨用途においては適当な斜面が備えられるのであれば、これらの形状に限られず、外周面は様々な凹凸形状とすることができる。
【0072】
また、実施例においては、外周面18,94の凹凸の中心間隔が100(mm)程度に設定されていたが、この大きさは、用途や加工負荷、更には製造の容易さ等に応じて適宜の値とすることができる。
【0073】
また、実施例においては、砥粒16がダイヤモンドである場合について説明したが、砥粒16の材質は切断対象に応じて適宜選択される。例えば、立方晶窒化硼素(CBN)等の他の超砥粒や、アルミナや炭化珪素等の普通砥粒が用いられるワイヤー工具にも本発明は同様に適用される。
【0074】
また、実施例においては、砥粒固着層26、102、下地鍍金層28,100、および金属層20が何れもニッケルで構成されていたが、一部または全てを例えばNi-Co等のニッケル合金や銅、ブラス等の他の金属材料をこれらに代えて用いてもよい。
【0075】
また、実施例においては、第1電着槽54および第2電着槽56で砥粒16をワイヤー12の外周面32に仮固着した後、埋込槽58において鍍金厚みを十分に厚くしていたが、第1電着槽54および第2電着槽56において十分な鍍金厚みを確保できる場合には、埋込槽58は設けなくとも良い。
【0076】
また、実施例においては、第1電着槽54および第2電着槽56を設けることにより、各槽においてワイヤー12の半面に砥粒16を電着していたが、例えば第1電着槽54の直前に磁石を設けてワイヤー12を磁化するように構成すれば、砥粒16がその磁力によってもワイヤー12に向かわせられることにより、槽内において下側に位置する半面にも砥粒16が電着されるので、その場合には第2電着槽56は設ける必要がない。
【0077】
また、実施例においては、砥粒16の埋込率が50(%)とされていたが、埋込率は、工具の用途や砥粒16の大きさ、砥粒16を覆う金属層20の有無等に応じて、例えば、20〜80(%)の範囲内、好適には、25〜75(%)の範囲内、一層好適に30〜70(%)の範囲内において適宜定められる。
【0078】
また、ワイヤーソー10および孔研磨工具90の各部の寸法や、製造する際の各工程における条件は、実施例に記載されたものに限定されず、工具の用途や工程の規模等に応じて適宜変更される。例えば、ワイヤー送り速度は、製造効率の面では速い方が好ましいが、設定する電流密度や鍍金槽の大きさ等に応じて適当な値が選定される。
【0079】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のワイヤーソーの長手方向の一部を示す斜視図である。
【図2】図1のワイヤーソーの長手方向に垂直な断面を示す図である。
【図3】図1のワイヤーソーの長手方向に沿った断面を示す図である。
【図4】図1のワイヤーソーを製造するための製造装置の構成を説明する模式図である。
【図5】図4の製造装置に備えられた下地鍍金槽の詳細な構成と形成され得る鍍金厚み分布とを説明する図である。
【図6】本発明の他の実施例の孔研磨用ワイヤーの長手方向における一部を示す斜視図である。
【図7】図6の孔研磨用ワイヤーの長手方向に沿った断面を示す図である。
【図8】図6のワイヤーの製造に用いられる下地鍍金槽の構成を説明するための図5に対応する図である。
【符号の説明】
10:ワイヤーソー
12:ワイヤー
14:鍍金層
16:砥粒
18:外周面
22:凹部
24:凸部
28:下地鍍金層
Claims (3)
- ワイヤーの外周面に砥粒が鍍金層によって固着されたワイヤー工具であって、
前記鍍金層は、前記ワイヤーの長手方向に沿った断面において周期的な凹凸を成す下地鍍金層と、該下地鍍金層の外周面に鍍金によって形成されるとともに砥粒を固着する砥粒固着層とを含み、
前記鍍金層の厚みが前記ワイヤーの長手方向において周期的に変化させられることにより外周面にその長手方向に沿って周期的な凹凸が形成されていることを特徴とするのワイヤー工具。 - 前記凹凸は前記ワイヤーの長手方向に沿った断面において鋸歯状を成すものである請求項1のワイヤー工具。
- ワイヤーの外周面に該ワイヤーの長手方向に沿った断面において周期的な凹凸を成す下地鍍金層を設ける下地鍍金工程と、その下地鍍金層上に砥粒を鍍金によって固着する砥粒固着工程とを含む、外周面に長手方向に沿って周期的な凹凸が形成されたワイヤー工具の製造方法であって、
前記下地鍍金工程は、鍍金液を収容する下地鍍金槽内に配置された、長手方向に関連して開口面積が変化させられた複数の鍍金液流通口を有する鍍金管を用い、該鍍金管内をその長手方向に通した前記ワイヤーと前記下地鍍金槽内に設けられた電極との間に直流電圧を印加することにより該ワイヤーの表面にその長手方向に沿った断面において周期的な凹凸を成す下地鍍金層を形成し、該ワイヤーを所定長さ送った後に更に該下地鍍金層の形成を繰り返し施すことを特徴とするワイヤー工具の製造方法。
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