JP4354482B2 - ツルーイング工具 - Google Patents

ツルーイング工具 Download PDF

Info

Publication number
JP4354482B2
JP4354482B2 JP2006349550A JP2006349550A JP4354482B2 JP 4354482 B2 JP4354482 B2 JP 4354482B2 JP 2006349550 A JP2006349550 A JP 2006349550A JP 2006349550 A JP2006349550 A JP 2006349550A JP 4354482 B2 JP4354482 B2 JP 4354482B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
truing
abrasive grains
layer
abrasive
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006349550A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008155347A (ja
Inventor
欣也 横井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
Noritake Super Abrasive Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Noritake Super Abrasive Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd, Noritake Super Abrasive Co Ltd filed Critical Noritake Co Ltd
Priority to JP2006349550A priority Critical patent/JP4354482B2/ja
Publication of JP2008155347A publication Critical patent/JP2008155347A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4354482B2 publication Critical patent/JP4354482B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、cBNやダイヤモンド等を用いた超砥粒ホイールのツルーイング時に、ツルーアーとして使用されるツルーイング工具に関する。
研削ホイールを継続して使用すると、偏芯や形状崩れあるいは目詰まり等が発生し、充分な研削性能が得られなくなる。このような場合にはツルーイングを行い、砥石面の修正を行う。内面研削砥石のツルーイングにはカップ型のツルーイング工具が用いられることが多い。
このようなカップ型ツルーイング工具には種々の構造のものがあるが、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたものは、円柱状台金の一端部に円筒状研削部を備え、該円筒状研削部の先端面を用いて研削するカップ型研削工具であって、該円筒状研削部は砥粒が金属結合材によって結合された砥石組織がその砥石組織よりも薄く且つ円柱状台金と一体の金属で裏打ちされたものから構成されたものである。
この構成を図10、図11に示す。図10に示すものは、砥粒を1層に配列したものであり、図11に示すものは、砥粒を2層に配列したものである。いずれの場合においても、円柱状台金51と、この円柱状台金51の一端部に固設され、一端が開口したカップ状すなわち円筒状ツルーイング部52を備えている。
特許文献1に記載されている工具の円筒状研削部であるツルーイング部52は、砥粒53が金属結合剤によって結合された砥粒層54が、薄い金属製の裏打層40により裏打ちされて厚みが薄く構成されていることから、切れ味がよく、また、先端面の砥粒が消耗或いは脱落してもその下側の砥粒が先端面に現れることから、従来工具と比較して工具寿命が得られるとされている。
しかし、特許文献1記載のカップ型研削工具における円筒状研削部での砥粒が1層構造の場合には、図12に示すように、先端面に出現する砥粒53の数が少ないため、ツルーイング対象となるホイールの仕様や、ツルーイング条件によっては、砥粒の消耗及び脱落が早く、ツルーアーとしての寿命が短くなってしまう。また、図13に示すように、1層目砥粒層55と2層目砥粒層56とに砥粒53が2層に固定された構造の場合には、先端面の厚みが厚く接触面積が大きくなり、かつ先端面に出現する砥粒数も多いため、ツルーイング抵抗が大きく、細軸状砥石などは抵抗により撓みが発生するため、精度良くツルーイングできない等の欠点があった。
また、特許文献2には、砥粒をランダムに、あるいは筋状に配置したカップ型ツルーアーが記載されている。しかし、このツルーアーも一層構造であるため、特許文献1記載のカップ型研削工具の円筒状研削部の砥粒が1層である場合と同じく、先端面に出現するダイヤモンド砥粒の数が少ないため、ツルーイング対象となるホイールの仕様や、ツルーイング条件によっては、砥粒の消耗及び脱落が早く、ツルーアーとしての寿命が短くなってしまうという問題点がある。
特許第3459379号公報 特許第3020443号公報
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたもので、切れ味を損なわずに、寿命を向上させることが可能なツルーイング工具を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明のツルーイング工具は、円柱状台金の一端部に固設され、一端が開口した円筒状ツルーイング部を備え、前記円筒状ツルーイング部の先端面を用いてツルーイングを行うツルーイング工具であって、前記円筒状ツルーイング部は、砥粒が電着により結合されて形成された砥粒層が、前記砥粒層よりも薄くかつ前記円柱状台金と一体の金属で裏打ちされて構成されており、前記砥粒層は、砥粒が裏打層の表面に砥粒の粒径の20%以上30%以下の厚みのメッキ層により固定された下層と、前記下層の表面上に砥粒の粒径の80%以上120%以下の厚みのメッキ層を析出させて、砥粒が下層の砥粒よりも突き出して固定して形成された上層とからなり、上層の砥粒は下層の砥粒の隙間に配置され、メッキ層全体の厚みが砥粒の粒径の100%以上150%以下であることを特徴とする。
上記の構成により、特許文献1記載の工具と比較して、砥粒が1層構造のものに比べて砥粒数が増加し、かつ、2層構造のものに比べて著しく砥粒数を増加させることなく、先端面の厚みも著しく増加させることがないため、切れ味を損なわずに、寿命を向上させることが可能となる。
下層のメッキ層の厚みが砥粒の粒径の20%未満であると、下層の砥粒が安定して固定できない傾向にある。また30%を超えると、上層の砥粒の固定位置が砥粒層の厚み方向の上側に突出し、砥粒層の厚みが実質的に増加してしまうことから、使用時に先端面の接触面積が増加し切れ味を損なうこととなり好ましくない。
また、上層のメッキ層の厚みは砥粒の保持力からすると砥粒の粒径の80%以上120%以下とするのが望ましく、80%未満であると上層砥粒の砥粒保持力が弱くツルーイング時に上層砥粒が脱落しやすくなるため好ましくない。また、120%を超えると、砥粒層の厚みが厚くなり、ツルーイング時に先端面の接触面積が大きくなってツルーイング抵抗が大きくなることから好ましくない。
メッキ層の全体の厚みを砥粒の粒径の100%以上150%以下とした理由は、この数値範囲が、上述した下層のメッキ層厚みと上層のメッキ層厚みを足したものとなるからである。
本発明は、前記メッキ層中に、ダイヤモンド、cBN、SiC、Si34、Al23のいずれかからなる、平均粒径が20μm以下の微小硬質粒子が含有されていることを特徴とする。
メッキ層中に微小硬質粒子が含有されていることにより、ツルーイング時に発生する研削ホイールの切粉によるメッキ金属の摩耗を抑制できるため、砥粒保持力が向上しツルーイング工具の寿命が向上する。
本発明によると、切れ味を損なわずに、寿命を向上させることが可能なカップ型ツルーイング工具を実現することができる。
以下に、本発明のツルーイング工具をその実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るツルーイング工具の構造を示す断面図である。
ツルーイング工具10は、円柱状台金11と、この円柱状台金11の一端部に固設され、一端が開口したカップ状すなわち円筒状ツルーイング部12を備えている。このツルーイング工具10では、円筒状ツルーイング部12の先端面13を用いてツルーイングが行われる。ツルーイング工具10の寸法は、円筒状ツルーイング部12の外径がφ15mm、円筒状ツルーイング部12の台金長手方向の幅が10mmであり、先端面13の厚みは約0.725mmである。
図2に、ツルーイング工具10の砥粒層の詳細を示す。
図2において、円筒状ツルーイング部12は、砥粒21が電着により結合されて形成された砥粒層22と、砥粒層22よりも薄くかつ円柱状台金11と一体の金属からなる裏打層40により形成されている。砥粒層22は、砥粒21が裏打層40の表面に、砥粒21の粒径の20%以上30%以下の厚みのメッキ層23により固定された下層24と、下層24の表面上に砥粒21の粒径の80%以上120%以下の厚みのメッキ層25を析出させて、砥粒21が下層24の砥粒21よりも突き出して固定して形成された上層26とからなっている。上層26の砥粒21は下層24の砥粒21の隙間に配置され、2つのメッキ層23、25全体の厚みが砥粒21の粒径の100%以上150%以下となっている。
本発明のツルーイング工具は図3に示す工程に従って製造される。台金用意工程31では、工具鋼などの金属素材から円筒状に形成された台金が用意される。このとき、円筒状ツルーイング部12となる部分の外径は、最終製品の外径寸法(φ15mm)よりも砥粒層の厚み分、すなわち、(0.625mm×2(両側))を差引いた寸法(φ13.75mm)で製作される。また内径寸法については後工程において取り扱い易い寸法に設定する。本実施例においては、円筒状ツルーイング部12となる部分の台金の片側の厚みを約1mmに設定し、内径寸法では約φ11.75mmとしている。これらの寸法は、図4(a)に示す通りである。電着工程32では、台金に予め砥粒が固定される部分を除いてマスクを実施し、マスクが覆われていない表面(円筒状ツルーイング部12となる部分の外周面)にダイヤモンド砥粒を、電着法によって析出されたダイヤモンド砥粒の粒径の25%の厚みのニッケルメッキ金属によって固着して、下層の砥粒層を形成する。
この下層の砥粒層の上部に、上層のダイヤモンド砥粒が下層のダイモンド砥粒の間隙を埋めるように配置されて、砥粒粒径の100%厚みのニッケルメッキ金属によって上層の砥粒層を形成する。その後、台金内周部削除工程33で、台金内周部が削除される。
以下に、具体的な実施例を示す。
実施例1
本実施例1では、上述した寸法の台金を、砥粒が固定される部分(円筒状ツルーイング部12となる部分の外周面)を除いてマスクを実施し、砥粒として平均粒径500μmのダイヤモンド砥粒を用意し、メッキ液を入れた電着装置内に台金及び砥粒を入れ、0.25A/dm2の電流を15Hr流して50μmのメッキ金属によって下層のダイヤモンド砥粒を仮固定した。その後、余分なダイヤモンド砥粒を除去し、再度3.0A/dm2の電流を1.25Hr流して合計約125μmの(砥粒粒径の25%の厚み)のニッケルメッキ金属を析出し、下層の砥粒層を形成した。そして、この下層の上に再度、ダイヤモンド砥粒を散布し、0.25A/dm2の電流を5Hr流して50μmのメッキ金属を析出させ、上層のダイヤモンド砥粒を仮固定した。その後、余分なダイヤモンド砥粒を除去し、再度3.0A/dm2の電流を4.2Hr流して合計500μm(砥粒粒径の100%の厚み)のメッキ金属を析出して上層の砥粒層を形成した。
台金内周部削除工程33では、前工程で施されたマスクを除去した後、円筒状ツルーイング部12となる部分の台金の内周部を切削加工により削除し、この部分の台金の片側の厚みを0.1mmにして、裏打層40を形成した。この裏打層40の厚みは、円筒状ツルーイング部12の剛性が十分に得られる厚みで、且つ先端面の加工において接触面積を抑制するため、砥粒層厚みよりも薄くすることが望ましい。
実施例2
本実施例2では、実施例1と同一製法にてツルーイング工具を製造しているが、メッキ金属に平均粒径20μm以下のダイヤモンドからなる微小硬質粒子を含有させている点が実施例1とは異なる。
製品寸法、台金寸法、及び基本的なメッキ製法は実施例1と同様であり、500μmのダイヤモンドを固定するためのメッキ工程において使用するメッキ液中に、平均粒径が5μmのダイヤモンド砥粒をメッキ液1リットルあたり10gの割合で混合懸濁させた液を使用した。その詳細を以下に示す。
本実施例2では、実施例1と同一寸法の台金を、砥粒が固定される部分(円筒状ツルーイング部12となる部分の外周面)を除いてマスクを実施し、砥粒として平均粒径500μmのダイヤモンド砥粒を用意し、平均粒径が5μmのダイヤモンド砥粒をメッキ液1リットルあたり10gの割合で混合懸濁させたメッキ液を入れた電着装置内に、台金及びダイヤモンド砥粒を入れ、0.25A/dm2の電流を15Hr流して、50μmのメッキ層によって下層のダイヤモンド砥粒を仮固定した。
その後、余分なダイヤモンド砥粒を除去し、再度平均粒径が5μmのダイヤモンド砥粒を、メッキ液1リットルあたり10gの割合で混合懸濁させたメッキ液を入れた電着装置内で、3.0A/dm2の電流を1.25Hr流して合計約125μmの砥粒粒径の25%の厚み)のニッケルメッキ金属を析出し、下層の砥粒層を形成した。
そして、再度 平均粒径が5μmのダイヤモンド砥粒をメッキ液1リットルあたり10gの割合で混合懸濁させたメッキ液中にて下層砥粒層の上にダイヤモンド砥粒を散布し、0.25A/dm2の電流を5Hr流して50μmのメッキ層を析出させ、上層のダイヤモンド砥粒を仮固定した。その後余分なダイヤモンド砥粒を除去し、再度、平均粒径が5μmのダイヤモンド砥粒をメッキ液1リットルあたり10gの割合で混合懸濁させたメッキ液中にて3.0A/dm2の電流を4.2Hr流して、合計500μm(砥粒粒径の100%の厚み)のメッキ金属を析出して上層の砥粒層を形成した。
台金内周部削除工程33では、前工程で施されたマスクを除去した後、円筒状ツルーイング部12となる部分の台金の内周部を切削加工により削除し、この部分の台金の片側の厚みを0.1mmにして裏打層40を形成した。
本発明の効果を確認するために、上述した実施例1、2のツルーイング工具(発明品)と、特許文献1に記載された構造の工具(1層及び2層の砥粒層構造品)を用いてツルーイング試験を実施した。
ツルーイング試験を実施した工具の寸法及びダイヤモンド砥粒の粒径は同一とした。但し砥粒層の厚みは砥粒層構造により異なるため、円筒状ツルーイング部先端面の厚み及び円筒状ツルーイング部の内径寸法は各ツルーイング工具により異なっている。
表1に、試験に用いた各ツルーイング工具の寸法を示す。
Figure 0004354482
表1において、比較対照品1は特許文献1に記載された1層構造のものであり、比較対照品2は特許文献1に記載された2層構造のものである。また、表1におけるAからFまでの寸法は、図4(b)に示す各寸法である。
ツルーイング性能確認試験1
ツルーイング時の抵抗を確認するため、以下のツルーイング条件にて表1に示す4種類のツルーイング工具のツルーイング時の消費電力を比較した。なお、このツルーイング工具は内面研削にて使用されることが多いが、内面研削では消費電力値が小さく正確な測定が困難なことから、平面研削盤により試験を実施した。
試験条件は以下の通りである。
・使用ホイール CBN 140 O 125 VN1KP
(ホイールの寸法:205×20×76.2)
・ツルーイング条件
機 械:平面研削盤
ツルーイング方式:トラバースロータリー方式
ホイール周速度(V):45m/s
ツルーアー周速度(Vd):7.0m/s
ツルーアー回転方向:ダウンカット
ツルーイングリード:0.10mm/r.o.w
ツルーイング切込量:R2μm/pass×100pass
研削油 :シンセティックタイプ SEC−700(希釈倍率50倍)
試験結果を表2に示す。
Figure 0004354482
表2は、ツルーイング電力の比較を示す。
表2に示すように、発明品1、2に明確な差はなく、両者とも比較対照品1と同等の消費電力(ツルーイング抵抗)であることが確認され良好な切れ味を示した。これは発明品1、2の刃先厚みと比較対照品1の刃先厚みとに大きな差がないため、ツルーイング時の抵抗にも差がでなかったものと判断される。
また、比較対照品2は円筒状ツルーイング部の先端面の厚みが厚く、先端面に出現する砥粒数も多いことから、ツルーイング時にホイールとの接触面積が大きくなり、ツルーイング抵抗も高くなったものと判断される。
ツルーイング性能確認試験2
次に、各ツルーイング工具の寿命及びツルーイング性能を確認するため、ツルーイング性能確認試験1に使用したツルーイング工具を使用し、ビトリファイドボンドcBNホイールのツルーイングを行い、そのホイールを用いて自動車部品の内面研削を実施した。
試験条件は以下の通りである。
・使用ホイール:CB200O160V
・ツルーイング条件
機 械:内面研削盤
ホイール周速度(V):37m/s
ツルーアー周速度(Vd):2.83m/s
ツルーアー回転方向:ダウンカット
ツルーイングリード:0.036mm/回転
ツルーイング切込量:R5μm×1pass
・被削材
材 質:SUJ−2(HRC60)
被削材寸法:外径16×厚み30.5×内径10.6
取 代:φ0.4
試験結果を表3に示す。
Figure 0004354482
表3に示すように、比較対照品1は他のツルーイング工具と比較してツルーイングインターバルは極端に短くはなく、ホイールのツルーイング作用面は安定した砥面状態に調整されたものと思われる。円筒状ツルーイング部は、砥粒が1層に並んだ厚み構造となっていることから、ツルーイング抵抗が低くツルーイング作用面のcBN砥粒が平坦化せず良好な砥面が得られたが、ツルーイング工具の先端面に出現する砥粒数が少ないため、耐摩耗性が劣り、低寿命となっている。
また、比較対照品2では、円筒状ツルーイング部は砥粒が2層に並んだ厚み構造となっていることから、耐摩耗性が高く、比較的高寿命が得られたが、先端面に出現する砥粒数が多過ぎ、かつ先端面の刃先厚みも厚いため、ツルーイング抵抗が高く、ツルーイング作用面のcBN砥粒が平坦化する傾向にある。そのため、ツルーイングインターバルが短くなっている。
比較対照品1、2と比較して、発明品1、2はツルーイングインターバルが長く、寿命も点でも有効性が確認された。比較対照品1、2の砥粒層構造は下層の砥粒層とこの下層砥粒層の上に下層の砥粒よりも突き出して下層の砥粒の隙間に上層の砥粒が配置された構造となっていることから、比較対照品1と比較して先端面に出現する砥粒数が多く、その一方で比較対照品2ほど過度に多くはなく、適度な砥粒数となっている。更に先端面の刃先厚みも比較対照品1と大差がないことから、ツルーイング抵抗が低く、ツルーイング作用面のcBN砥粒が平坦化せず良好な砥面が得られ、ツルーイングインターバルが長いことが確認された。
また、耐摩耗性も高く寿命的にも長いことが確認されており、特に発明品2については砥粒を固定しているメッキ金属中に平均粒径が5μmのダイヤモンド砥粒を含有していることから、メッキ金属の耐摩耗性が高く、砥粒の保持力が高くなるため、寿命が長くなっている。
次に、図5に基づいてメッキ層の厚みの最適範囲について説明する。
図5(a)は、下層24の厚みが砥粒21の粒径の20%未満の場合を示しており、下層24の厚みが不足して砥粒21が安定して固定されず、下層24に付着する砥粒21の数が少なくなるなどのバラツキが発生しやすい。
図5(b)は、下層24の厚みが砥粒21の粒径の30%を超える場合を示しており、上層26に固定される砥粒21の位置が、下層24に固定される砥粒21の位置よりもかなり上側になり、下層24に固定される砥粒21に対する突き出しが大きくなるため、砥粒層自体の厚みが厚くなる。そのため、先端面の接触面積が増加し切れ味が損なわれやすい。
図5(c)は、上層26の厚みが砥粒21の粒径の80%未満の場合を示しており、上層26に固定される砥粒21のメッキ層からの突き出しが大きくなり、砥粒21の保持力が低下することから、ツルーイング時に砥粒が脱落しやすくなる。
図5(d)は、上層26の厚みが砥粒21の粒径の120%を超える場合を示しており、砥粒層の厚みが厚くなることから、ツルーイング時に先端面の接触面積が大きくなり、切れ味が損なわれやすい。
以下に、本発明におけるメッキ層の厚みが最適な範囲であることを実証するデータについて説明する。
下層24のメッキ厚みを変化させたときの砥粒付着状態を調査した結果を表4に示す。
Figure 0004354482
表4においては、砥粒の粒径に対する下層24のメッキ厚みの割合が25%のときを100とした指数で表している。これをグラフ化したものを図6に示す。砥粒の粒径に対するメッキ厚みが20%以上では砥粒が安定して均一に付着しているのに対して、20%未満であると、砥粒の付着数が急速に少なくなり、その付着状態にムラが発生している。
下層24のメッキ厚みを変化させ、図4に示す構造の台金を用いて実施例1の方法で作製したツルーイング工具を用いて、切れ味(消費電力)を調査した結果を表5に示す。試験条件は上述したツルーイング性能試験1の条件と同一である。また、これをグラフ化したものを図7に示す。
Figure 0004354482
下層24のメッキ厚みが増加すると、その結果として上層26も含めた砥粒層22の厚みが増加して、切れ味が低下する傾向がある。砥粒の粒径に対する下層24のメッキ厚みの割合が30%以下の範囲では切れ味の顕著な低下は見られないが、これを超えたところで顕著に増加している。
また、このように、砥粒層22全体の厚みだけによって切れ味が決定されるのではなく、下層24のメッキ厚みによって切れ味が決定される理由として以下のものがある。すなわち、下層24の厚みが増加することによって、単純に上層26の砥粒付着の位置が高くなることにより、砥粒層22の厚みが厚くなるだけではなく、下層24のメッキ厚みが厚くなることで下層24の砥粒密度が高くなり、これにより下層24の砥粒の隙間に、上層26に固定される砥粒が安定して配置されず、下層24の砥粒の上に固定される砥粒が存在することとなる。そのため、この下層24の砥粒の上に固定された砥粒の存在によって、砥粒層22の厚みが更に厚くなる。
本発明においては、このようなメカニズムによって切れ味の良否が決定されており、試験結果から判断すると、砥粒の粒径に対する下層24のメッキ厚みの割合が30%以下であると、上述したような、下層24の砥粒の隙間に固定されずに、下層24の砥粒の上に固定される、上層26の砥粒の存在を防止することができる。従って、砥粒の粒径に対する下層24のメッキ厚みの割合の上限を30%としたことは、上記の理由により大きな意味を持つ。
以上の2つの試験結果から、下層24のメッキ厚みを、砥粒の粒径の20%以上30%以下とすることにより、砥粒の固定を確実にすることができるとともに、切れ味を良好に保つことができる。
次に、上層26のメッキ厚みを変化させたときの寿命を調査した結果を表6に示す。
Figure 0004354482
試験に用いたツルーイング工具は、図4に示す構造の台金を用いて実施例1の方法で作製したものであり、試験条件は上述したツルーイング性能確認試験2と同一である。また、これをグラフ化したものを図8に示す。上層26のメッキ厚みが砥粒の粒径の80%未満になると、明確に寿命が低下する。これは上層26のメッキ厚みが少ないことから、上層26の砥粒の保持力が十分ではなく、ツルーイング抵抗やツルーイング時の砥石切粉によるボンド摩耗により、早期に砥粒脱落が起こるためである。
上層26のメッキ厚みを変化させたときの切れ味(消費電力)を調査した結果を表7に示す。
Figure 0004354482
試験に用いたツルーイング工具は、図4に示す構造の台金を用いて実施例1の方法で作製したものであり、試験条件は上述したツルーイング試験1の条件と同一である。また、これをグラフ化したものを図9に示す。試験結果によると、上層26のメッキ厚みが増加すると消費電力も高くなる傾向にある。また、上層26のメッキ厚みが120%を超えると、消費電力の増加が顕著となる。この切れ味の鈍化は、上層26のメッキ厚みが厚くなることで下層24を含めた砥粒層22の接触面積が大きくなり、ツルーイング時の抵抗となっているためである。
また、一般的なツルーイングにおいては、メッキ厚みを、砥粒を覆うことができる厚みまでに設定することで、砥粒保持力を確保できる。それ以上にメッキ厚みを厚くしても、ツルーイング抵抗上昇等の弊害となってしまう。
以上の2つの試験結果から、上層26のメッキ厚みを、砥粒の粒径の80%以上120%以下とすることにより、寿命が向上するとともに、切れ味を良好に保つことができる。
本発明は、切れ味を損なわずに、寿命を向上させることが可能なツルーイング工具として利用することができる。
本発明の実施形態に係るツルーイング工具の構造を示す断面図である。 ツルーイング工具の砥粒層の詳細を示す図である。 ツルーイング工具を製造する工程を示す図である。 ツルーイング工具の寸法と仕様を示す図である。 メッキ層の厚みについて説明するための図である。 下層のメッキ厚みを変化させたときの砥粒付着状態を調査した結果を示す図である。 下層のメッキ厚みを変化させたときの切れ味(消費電力)を調査した結果を示す図である。 上層のメッキ厚みを変化させたときの寿命(ツルーイング回数)を調査した結果を示す図である。 上層のメッキ厚みを変化させたときの切れ味(消費電力)を調査した結果を示す図である。 従来のツルーイング工具の構造を示す図である。 従来のツルーイング工具の構造を示す図である。 従来のツルーイング工具の砥粒層の詳細を示す図である。 従来のツルーイング工具の砥粒層の詳細を示す図である。
符号の説明
10 ツルーイング工具
11 円柱状台金
12 円筒状ツルーイング部
13 先端面
21 砥粒
22 砥粒層
23 メッキ層
24 下層
25 メッキ層
26 上層
31 台金用意工程
32 電着工程
33 台金内周部削除工程
40 裏打層

Claims (2)

  1. 円柱状台金の一端部に固設され、一端が開口した円筒状ツルーイング部を備え、前記円筒状ツルーイング部の先端面を用いてツルーイングを行うツルーイング工具であって、前記円筒状ツルーイング部は、砥粒が電着により結合されて形成された砥粒層が、前記砥粒層よりも薄くかつ前記円柱状台金と一体の金属で裏打ちされて構成されており、前記砥粒層は、砥粒が裏打層の表面に砥粒の粒径の20%以上30%以下の厚みのメッキ層により固定された下層と、前記下層の表面上に砥粒の粒径の80%以上120%以下の厚みのメッキ層を析出させて、砥粒が下層の砥粒よりも突き出して固定して形成された上層とからなり、上層の砥粒は下層の砥粒の隙間に配置され、メッキ層全体の厚みが砥粒の粒径の100%以上150%以下であるツルーイング工具。
  2. 前記メッキ層中に、ダイヤモンド、cBN、SiC、Si34、Al23のいずれかからなる、平均粒径が20μm以下の微小硬質粒子が含有されている請求項1記載のツルーイング工具。
JP2006349550A 2006-12-26 2006-12-26 ツルーイング工具 Active JP4354482B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006349550A JP4354482B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 ツルーイング工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006349550A JP4354482B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 ツルーイング工具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008155347A JP2008155347A (ja) 2008-07-10
JP4354482B2 true JP4354482B2 (ja) 2009-10-28

Family

ID=39656827

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006349550A Active JP4354482B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 ツルーイング工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4354482B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11819979B2 (en) 2016-02-22 2023-11-21 A.L.M.T. Corp. Abrasive tool

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5567900B2 (ja) * 2010-05-21 2014-08-06 日本碍子株式会社 電着砥石及びその製造方法
DE102013108918A1 (de) * 2013-08-19 2015-02-19 Saint-Gobain Diamantwerkzeuge Gmbh & Co. Kg Formabrichtrolle
JP6846740B2 (ja) * 2017-03-30 2021-03-24 帝国イオン株式会社 耐摩耗性皮膜及びその形成方法、並びに耐摩耗性部材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11819979B2 (en) 2016-02-22 2023-11-21 A.L.M.T. Corp. Abrasive tool

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008155347A (ja) 2008-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100293863B1 (ko) 초지립공구와그제조방법
US7285039B1 (en) Tools for polishing and associated methods
KR100609361B1 (ko) 초미세 홈붙이 칩과 초미세 홈붙이 공구
US20150099428A1 (en) Dicing Device and Dicing Method
JP6191839B2 (ja) ダイヤモンド焼結体ボールエンドミルとその製造方法
JP4354482B2 (ja) ツルーイング工具
JP2003300165A (ja) セグメントタイプ砥石
JP2522278B2 (ja) 電鋳薄刃砥石
CN108883517B (zh) 超硬磨料砂轮
JP2006263890A (ja) 研削砥石
CN109195747B (zh) 超硬磨料砂轮
JP6165388B1 (ja) 砥粒工具
JP3690994B2 (ja) 電着工具の製造方法
JPH10329029A (ja) 電着超砥粒砥石
US20060068691A1 (en) Abrading tools with individually controllable grit and method of making the same
JP3459379B2 (ja) カップ型研削工具
EP3409422A1 (en) Abrasive tool
JP4169612B2 (ja) 電着工具の製造方法
JP2001038506A (ja) 単結晶ダイヤモンドバイトおよびその製造方法。
RU2808089C2 (ru) Режущий инструмент с асимметричными зубьями, имеющими режущие частицы
JPH09254146A (ja) 硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工方法
JPH1190834A (ja) 超砥粒砥石及びその製造方法
JP4896114B2 (ja) 電着工具の製造方法
JP2000127050A (ja) 超砥粒電着ホイール
JPH0138626B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090714

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090729

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4354482

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130807

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250