ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法
技術分野
[0001] 本発明は、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関する。
本願は、 2005年 5月 17日に日本国に出願された特願 2005— 144391号に基づ く優先権を主張し、その内容をここに援用する。
背景技術
[0002] 近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩 により急速にパターンの微細化が進んで 、る。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的に は、従来は、 g線、 i線に代表される紫外線が用いられていた力 現在では、 KrFェキ シマレーザーや、 ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されてい る。また、これらエキシマレーザーより短波長の Fエキシマレーザー、電子線、 EUV (
2
極紫外線)や X線などにっ 、ても検討が行われて 、る。
また、微細な寸法のパターンを形成可能なパターン形成材料の 1つとして、膜形成 能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増 幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ可溶性が 低下するネガ型と、露光によりアルカリ可溶性が増大するポジ型とがある。
[0003] 従来、このような化学増幅型レジストの基材成分としてはポリマーが用いられており 、例えばポリヒドロキシスチレン (PHS)やその水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基 で保護した榭脂等の PHS系榭脂、(メタ)アクリル酸エステルカゝら誘導される共重合 体やそのカルボキシ基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護した榭脂等が用いられ ている。
しかし、このようなパターン形成材料を用いてパターンを形成した場合、パターンの 上面や側壁の表面に荒れ (ラフネス)が生じる問題がある。たとえばレジストパターン 側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにお けるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき
等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。 かかる問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、例えば電子 線や EUVによるリソグラフィーでは、数 lOnmの微細なパターン形成を目標として ヽ ること力ら、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが求められて 、る。
しかし、一般的に基材として用いられているポリマーは、分子サイズ (一分子当たり の平均自乗半径)が数 nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像 液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分 1分子単位で行われるため、基材 成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
[0004] このような問題に対し、極低ラフネスを目指した材料として、基材成分として低分子 材料を用いるレジストが提案されている。たとえば特許文献 1, 2には、水酸基等のァ ルカリ可溶性基を有し、その一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護された低 分子材料が提案されている。このような低分子材料は、低分子量であるが故に分子 サイズが小さぐラフネスを低減できると予想される。
特許文献 1 :特開 2002— 099088号公報
特許文献 2 :特開 2002— 099089号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] しかし、実際には、力かる材料を用いて、ラフネスの低減されたレジストパターンを 実用レベルで形成することは困難である。たとえば、パターンそのものが形成できな かったり、パターンを形成できたとしてもラフネスが充分に低減されな力つたり、その 形状を充分に保持できないなどの問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ラフネスの低減されたレジスト パターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供 することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明者らは、基材成分のフエノール性水酸基の分子レベルでの保護状態に着目 し、鋭意検討を重ねた結果、特定の分子量を有する多価フ ノールイ匕合物のフ ノ ール性水酸基を特定の保護数および Zまたは保護率で保護したィ匕合物により上記
課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する基 材成分 (A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分 (B)とを含むポジ型レジスト組 成物であって、
前記基材成分 (A)力 2以上のフエノール性水酸基を有し、分子量が 300〜2500 である多価フエノールイ匕合物(a)における前記フエノール性水酸基が酸解離性溶解 抑制基で保護された化合物 (A1)を含有し、かつ
前記化合物 (A1)は、一分子あたりの保護数 (個)の標準偏差(σ )が 1未満である ポジ型レジスト組成物である。
本発明の第二の態様は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する基材成分 (Α) と、露光により酸を発生する酸発生剤成分 (Β)とを含むポジ型レジスト組成物であつ て、
前記基材成分 (Α)力 2以上のフエノール性水酸基を有し、分子量が 300〜2500 である多価フエノールイ匕合物(a)における前記フエノール性水酸基が酸解離性溶解 抑制基で保護された化合物 (A1)を含有し、かつ
前記化合物 (A1)は、一分子あたりの保護率 (モル%)の標準偏差(σ )が 16. 7未
Ρ
満であるポジ型レジスト組成物である。
本発明の第三の態様は、前記第一の態様のポジ型レジスト組成物を用いて基板上 にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像 してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明の第四の態様は、前記第二の態様のポジ型レジスト組成物を用いて基板上 にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像 してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
[0007] なお、本発明にお 、て、「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
発明の効果
[0008] 本発明により、ラフネスの低減されたレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組 成物およびレジストパターン形成方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
[0009] 《第一の態様のポジ型レジスト組成物》
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する基材 成分 (A) (以下、(A)成分ということがある)と、露光により酸を発生する酸発生剤成 分 (B) (以下、(B)成分ということがある)とを含有するものである。
前記 (A)成分においては、露光により前記 (B)成分力も発生した酸が作用すると、 (A)成分全体がアルカリ不溶性カゝらアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジスト パターンの形成にぉ 、て、該ポジ型レジスト組成物力もなるレジスト膜を選択的に露 光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる 一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しな 、ので、アルカリ現像することによ りポジ型のレジストパターンが形成できる。
[0010] < (A)成分 >
本発明のポジ型レジスト組成物においては、(A)成分が、 2以上のフエノール性水 酸基を有し、分子量が 300〜2500である多価フエノールイ匕合物(a)における前記フ ェノール性水酸基が酸解離性溶解抑制基で保護されたィ匕合物 (A1)を含有する必 要がある。
[0011] 化合物 (A1)を構成する多価フ ノールイ匕合物(a) (フ ノール性水酸基の水素原 子が全く酸解離性溶解抑制基で保護されていない状態のもの)としては、 2以上のフ ェノール性水酸基を有し、分子量が 300〜2500である多価フエノール化合物であれ ば特に限定されず、例えば、非化学増幅型の g線や i線レジストにおける増感剤ゃ耐 熱性向上剤として知られている多価フエノールイ匕合物を用いることができる。
そのような多価フエノール化合物としては、例えば、ビス(2, 3, 4 トリヒドロキシフエ -ル)メタン、 2— (4 ヒドロキシフエ-ル) 2— (4,一ヒドロキシフエ-ル)プロパン、 2- (2, 3, 4 トリヒドロキシフエ-ル)一 2— (2,, 3' , 4,一トリヒドロキシフエ-ル)プ 口パン、ビス(4 ヒドロキシ一 3, 5 ジメチルフエ-ル) 2 ヒドロキシフエ-ルメタン 、ビス(4—ヒドロキシ一 3, 5—ジメチルフエ-ル) 4—ヒドロキシフエ-ルメタン、ビス (4 ヒドロキシ一 2, 5 ジメチルフエ-ル) 2 ヒドロキシフエ-ルメタン、ビス(4— ヒドロキシ一 3, 5—ジメチノレフエ二ノレ) 3, 4—ジヒドロキシフエ-ルメタン、ビス(4— ヒドロキシ一 2, 5 ジメチノレフエ二ノレ) 3, 4 ジヒドロキシフエ-ルメタン、ビス(4—
ヒドロキシ一 3—メチルフエ-ル) 3, 4—ジヒドロキシフエ-ルメタン、ビス(4—ヒドロ キシ一 3—メチルフエ-ル) 2 ヒドロキシフエ-ルメタン、ビス(3 シクロへキシル —4 ヒドロキシ一 6—メチルフエ-ル) 2 ヒドロキシフエ-ルメタン、ビス(3 シク 口へキシル 4—ヒドロキシ一 6—メチルフエ-ル) 4—ヒドロキシフエ-ルメタン、ビ ス(3—シクロへキシル 4—ヒドロキシ一 6—メチルフエニル) 3, 4—ジヒドロキシフ ェ-ルメタン、ビス(4 ヒドロキシ一 3, 5 ジメチルフエ-ル)一 2 ヒドロキシフエ- ルメタン、ビス(4 ヒドロキシ一 2, 3, 5 トリメチルフエ-ル)一 2 ヒドロキシフエ-ル メタン、ビス(4 ヒドロキシ一 2, 3, 5 トリメチルフエ二ル)一 3 ヒドロキシフエニルメ タン、ビス(4 ヒドロキシ一 2, 3, 5 トリメチルフエ-ル)一 4 ヒドロキシフエ-ルメタ ン、 1— [1— (4 ヒドロキシフエ-ル)イソプロピル]— 4— [1, 1—ビス(4 ヒドロキシ フエ-ル)ェチル]ベンゼン、フエノール、 m—クレゾール、 p タレゾールまたはキシ レノールなどのフエノール類のホルマリン縮合物の 4核体などが挙げられる。
化合物 (A1)を構成する多価フ ノールイ匕合物(a) (フ ノール性水酸基の水素原 子が全く酸解離性溶解抑制基で保護されて 、な 、状態のもの)のフエノール性水酸 基の数としては、 3個以上有することが好ましぐ 4〜20個であることがさらに好ましぐ 6〜 18個であることが最も好ましい。上記範囲とすることで、本願発明の効果が優れ たものとなる。
[0012] 本発明にお 、ては、多価フエノールイ匕合物(a)は、特に、下記一般式 (I)、 (II)また は (III)で表される多価フ ノールイ匕合物力 なる群力 選択される少なくとも 1種が 好ましい。下記に示すような、水酸基を有するベンゼン環 (置換基を有していてもよい )構造を有することにより、本発明の効果に優れる。その理由としては、該構造を有す ることにより、アモルファス (非晶質)性が高ぐその安定性も良好な膜を形成する機能 を発揮することが考えられる。
( I
[0014] [化 2]
( I I )
[0015] [化 3]
[0016] 上記一般式 (I)中、 R 〜R は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状または環状の、
11 17
炭素数 1〜10、好ましくは 1〜5の低級アルキル基、炭素数 5〜6の環状アルキル基、 または芳香族炭化水素基である。該アルキル基または芳香族炭化水素基は、その構 造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のへテロ原子を含んでもよい。芳香族炭 化水素基としては、炭素数が 6〜15であることが好ましぐたとえばフエ-ル基、トリル 基、キシリル基、メシチル基、フエネチル基、ナフチル基などが挙げられる。
g、 jはそれぞれ独立に 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 k、 qはそれぞれ独立 に 0または 1以上、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ g+j + k + qが 5以下である。
hは 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 1、 mはそれぞれ独立に 0または 1以上、 好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ h+1+m力 以下である。 iは 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 n、 oはそれぞれ独立に 0または 1以上、 好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ i+n+oが 4以下である。 pは 0または 1であり、好ましくは 1である。
Xは下記一般式 (la)または (lb)で表される基である。
[0017] [ィ匕 4]
(式 (la)中、 R 、R は、上記 R 〜R と同様、それぞれ独立に炭素数 1〜: L0のァ
18 19 11 17
ルキル基または芳香族炭化水素基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよ く;!:、 y、 zはそれぞれ独立に 0又は 1以上の整数であり、かつ r+y+zが 4以下である )
[0018] これらの中でも、 R がシクロアルキル基であり、 iの数が 1、かつ R が低級アルキル
11 12
基であり、 kの数が 1、かつ gの数が 1のものが、好ましい。
さらに、好ましくは、 R がシクロアルキル基であり、 jの数が 1、かつ R が低級アルキ
11 12
ル基であり、 kの数が 1、かつ gの数が 1であり、力つ qと 1と mと nと o力 であり、 hと iがと もに 1である化合物が、 LERの低減された高解像性で微細なパターンが形成できる ので好ましい。
Xは前記一般式 (lb)で表される基が合成が容易である点で最も好ま 、。
[0019] 上記一般式 (I)で表される多価フエノールイ匕合物のなかでも、最も好ましいものは、 下記式 (I 1)、 (1- 2) , (I 3)、及び (I 4)で表される多価フ ノールイ匕合物であ
上記一般式 (Π)中、 R 〜R は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状または環状の
21 26
、炭素数 1〜10、好ましくは 1〜5の低級アルキル基、炭素数 5〜6の環状アルキル基 、または芳香族炭化水素基である。該アルキル基または芳香族炭化水素基は、その 構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のへテロ原子を含んでもよい。芳香族 炭化水素基としては、炭素数が 6〜15であることが好ましぐたとえばフエ-ル基、トリ ル基、キシリル基、メシチル基、フ ネチル基、ナフチル基などが挙げられる。これら の中でも R 〜R は全て低級アルキル基が好ましい。
21 26
d'、 g'はそれぞれ独立に 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 は 0または 1以 上、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ d' +g' +h'が 5以下 である。
e 'は 1以上の整数であり、好ましくは 1〜2の整数であり、 i '、; j 'はそれぞれ独立に 0 または 1以上の整数であり、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、か
つ e ' +i' +j '力 以下である。
f '、 k'はそれぞれ独立に 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 1'は 0または 1以上 、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ +k' + が 5以下であ る。
q,は 1〜20、好ましくは 2〜 10の整数である。
[0022] 上記一般式 (III)中、 R
31〜R は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状または環状の 36
、炭素数 1〜10、好ましくは 1〜5の低級アルキル基、炭素数 5〜6の環状アルキル基 、または芳香族炭化水素基である。該アルキル基または芳香族炭化水素基は、その 構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のへテロ原子を含んでもよい。芳香族 炭化水素基としては、炭素数が 6〜15であることが好ましぐたとえばフエ-ル基、トリ ル基、キシリル基、メシチル基、フ ネチル基、ナフチル基などが挙げられる。これら の中でも R
31〜R は全て低級アルキル基が好ましい。
36
a' '、 e ' 'はそれぞれ独立に 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 f' 'は 0または 1 以上、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ a', +e', +f',が 5 以下である。
b' \ h"はそれぞれ独立に 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 g',は 0または 1 以上、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ b ', +h', +g' 'が 5以下である。
c' \ i"はそれぞれ独立に 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 j ',は 0または 1以 上、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ c ', + 1, +j ' 'が 5以 下である。
d',は 1以上、好ましくは 1〜2の整数であり、 k' '、 ,はそれぞれ独立に 0または 1 以上、好ましくは 0または 1以上で、 2を超えない整数であり、かつ d', +k', +1',が 3 以下である。
[0023] 本発明にお!/、て、多価フエノール化合物(a)は、分子量が 300〜2500である必要 があり、好ましくは 450〜1500、より好ましくは 500〜 1200である。分子量が上限値 以下であることにより、ラフネスが低減され、パターン形状がさらに向上し、また、解像 性も向上する。また、下限値以上であることにより、良好なプロファイル形状のレジスト
ノ《ターンが形成できる。
[0024] また、多価フ ノール化合物(a)は、分子量の分散度(MwZMn)が 1. 5以下であ ると、さらに本発明の効果に優れるため好ましい。これは、多価フエノールイ匕合物(a) 力 分散度が 1. 5以下という狭い分子量分布を有することにより、多価フエノール材 料中に、化合物 (A1)として、酸解離性溶解抑制基で保護されているフ ノール性水 酸基の数 (保護数)が異なる複数種の化合物が含まれて 、ても、各化合物 (A1)のァ ルカリ溶解性が比較的均一になるためと考えられる。分散度は小さいほど好ましぐよ り好ましくは 1. 4以下、最も好ましくは 1. 3以下である。
なお、分散度とは通常、ポリマー等の多分散系の化合物に用いられるものであるが 、単分散の化合物であっても、製造時における副生物や残留する出発物質などの不 純物の存在により、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)等で分析した際に 、見かけ上、その分子量に分布が生じる場合がある。つまり、単分散の化合物の場合 に分散度が 1であるとは純度が 100%であることを意味し、分散度が大きいほど不純 物の量が多い。
本発明において、分散度は、このような見かけ上の分子量分布を示すィ匕合物につい て、一般的に用いられて!/ヽるポリマーの質量平均分子量 (Mw)および数平均分子量 (Mn)の測定方法、例えば GPC等により Mwおよび Mnを測定し、 MwZMn比を求 めることにより算出できる。
多価フ ノールイ匕合物(a)の分散度は、最終目的生成物である多価フエノールイ匕 合物 (a)を合成後、反応副生成物や不純物を精製除去したり、分子量分別処理等の 公知の方法により不要な分子量部分を除去して調節することができる。
[0025] 多価フエノールイ匕合物(a)は、スピンコート法によりアモルファス (非晶質)な膜を形 成しうる材料である。ここで、アモルファスな膜とは、結晶化しない光学的に透明な膜 を意味する。スピンコート法は、一般的に用いられている薄膜形成手法の 1つである 多価フエノールイ匕合物がスピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる材料で あるかどうかは、 8インチシリコンゥエーハ上にスピンコート法により形成した塗膜が全 面透明であるか否かにより判別できる。より具体的には、例えば以下のようにして判別
できる。まず、当該多価フエノール材料に、一般的にレジスト溶剤に用いられている 溶剤を用いて、例えば乳酸ェチル Zプロピレングリコールモノメチルエーテルァセテ ート = 40Z60 (質量比)の混合溶剤(以下、 ΕΜと略記する)を、濃度が 14質量%と なるよう溶解し、超音波洗浄器を用いて超音波処理 (溶解処理)を施して溶解させ、 該溶液を、ゥエーハ上に 1500rpmにてスピンコートし、任意に乾燥ベータ(PAB, Po st Applied Bake)を 110。C、 90禾少の条件で施し、この状態で、 目視にて、透明力 どうかによりアモルファスな膜が形成されているかどうかを確認する。なお、透明でな V、曇った膜はァモノレファスな膜ではな!/、。
本発明において、多価フエノールイ匕合物(a)は、上述のようにして形成されたァモ ルファスな膜の安定性が良好であることが好ましぐ例えば上記 PAB後、室温環境下 で 2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されて 、ることが好ま 、。
[0026] 化合物 (A1)は、上記多価フ ノールイ匕合物(a)のフ ノール性水酸基の水酸基の 水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護されて ヽるものである。酸 解離溶解抑制基は、解離前は化合物 (A1)全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解 抑制性を有するとともに、解離後は化合物 (A1)全体をアルカリ可溶性へ変化させる 基である。そのため、化合物 (A1)においては、(B)成分とともにポジ型レジスト組成 物に配合された場合に、露光により(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離溶 解抑制基が解離して、化合物 (A1)全体がアルカリ不溶カもアルカリ可溶性へ変化 する。
[0027] 酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなぐ KrFや ArF用の化学増幅型レジ スト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系榭脂、(メタ)アタリレート系榭脂等におい て提案されているもののな力から適宜選択して用いることができる。なお、「(メタ)ァク リレート」とは、アタリレートと、メタタリレートの一方あるいは両方を意味する。
具体的には、第 3級アルキル基、第 3級アルキルォキシカルボ-ル基、アルコキシ カルボ-ルアルキル基、アルコキシアルキル基、環状エーテル基等が挙げられる。 第 3級アルキル基として、具体的には、 tert—ブチル基、 tert—ァミル基等の鎖状 の第 3級アルキル基、 2—メチルー 2—ァダマンチル基、 2—ェチルー 2—ァダマンチ ル基等の、脂肪族多環式基を含む第 3級アルキル基等が挙げられる。
ここで、本明細書および請求の範囲における「アルキル基」は、特に記載のない限り
、 1価の飽和炭化水素基を意味する。また、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な 概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味する。「脂肪族環式基」は、 芳香族性を持たな 、単環式基または多環式基であることを意味し、飽和または不飽 和の!/、ずれでもよ!/、が、通常は飽和であることが好まし!/、。
第 3級アルキルォキシカルボ-ル基における第 3級アルキル基としては、上記と同 様のものが挙げられる。第 3級アルキルォキシカルボ-ル基として、具体的には、 ter t ブチルォキシカルボ-ル基、 tert アミルォキシカルボ-ル基等が挙げられる。 環状エーテル基として、具体的には、テトラヒドロビラ-ル基、テトラヒドロフラニル基 等が挙げられる。
[0028] 本発明においては、特に、本発明の効果に優れることから、下記一般式 (pi)で表 されるアルコキシカルボ-ルアルキル基、および下記一般式(p2)で表されるアルコ キシアルキル基カゝらなる群カゝら選択される少なくとも 1種の酸解離性溶解抑制基を有 することが好ましい。
[0029] [化 6]
[式中、 Rおよび Rはそれぞれ独立に直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であ
1 2
つて、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく; Rは水素原子または低級アルキル基
3
であり; n,は 1〜3の整数である。 ]
[0030] 一般式 (pi)において、 n'は 1〜3の整数であり、 1であることが好ましい。
[0031] Rは直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であって、その構造中にヘテロ原子 を含んでもよい。すなわち、 Rとしてのアルキル基は、水素原子の一部または全部が ヘテロ原子を含む基 (ヘテロ原子そのものの場合も含む)で置換されて 、てもよく、該 アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されて 、てもよ 、。
ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよぐまた、ヘテロ原子と 炭素原子および Zまたは水素原子とからなる基、たとえばアルコキシ基等であっても よい。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたアルキル基の例と しては、たとえば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数 1〜 5のフッ素化低級アルキル基、同一の炭素原子に結合した 2つの水素原子が 1つの 酸素原子で置換された基 (すなわちカルボニル基 (c = o)を有する基)、同一の炭素 原子に結合した 2つの水素原子力^つの硫黄原子で置換された基 (すなわちチォカ ルポニル (C = S)を有する基)等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されている基としては 、たとえば、炭素原子が窒素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に—C H を含む分岐状または環状のアルキル基において該 CH—が—NH で置換
2 2
された基)や、炭素原子が酸素原子で置換されている例 (たとえば、その構造中に—
CH を含む分岐状または環状のアルキル基において該 CH—が—O で置換
2 2
された基)等が挙げられる。
[0032] Rとしての直鎖状のアルキル基は、炭素数が 1〜5であることが好ましぐ具体的に はメチル基、ェチル基、 n プロピル基、 n ブチル基、イソブチル基、 n ペンチル 基が挙げられ、メチル基又はェチル基であることが好ま 、。
Rとしての分岐状のアルキル基は、炭素数力 〜 10であることが好ましぐ 4〜8で あることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、 tert ブチル基、イソペンチル 基、ネオペンチル基、 tert ペンチル基等が挙げられ、 tert ブチル基であることが 好ましい。
[0033] Rとしての環状のアルキル基は、炭素数が 3〜20であることが好ましぐ 4〜14であ ることがより好ましく、 5〜 12であることが最も好まし 、。
該環状のアルキル基における基本環 (置換基を除 、た基本の環)の構造は、単環 でも多環でもよぐ特に、本発明の効果に優れることから、多環であることが好ましい。
また、基本環は、炭素および水素力 構成された炭化水素環であってもよぐ炭化水 素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。 本発明においては、特に、基本環が炭化水素環であることが好ましい。炭化水素環 の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカ ン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロへキ サン等のモノシクロアルカンや、ァダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロ デカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。これらのなかでも 、ァダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが好ましぐ特に ァダマンタンが好ましい。
これらの基本環は、その環上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい 置換基としては、低級アルキル基、フッ素原子、フッ素化低級アルキル基、酸素原子 ( = 0)等が挙げられる。該低級アルキル基としては、メチル基、ェチル基等の炭素数 1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する 場合、置換基の数は、 1〜3が好ましぐ 1がより好ましい。ここで、「置換基を有する」 とは、基本環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されているこ とを意味する。
Rの環状のアルキル基としては、これらの基本環から 1つの水素原子を除いた基が 挙げられる。 Rにおいては、該!^に隣接する酸素原子が結合する炭素原子が、上記 のような基本環を構成する炭素原子の 1つであることが好ましぐ特に、 Rに隣接する 酸素原子に結合する炭素原子が、低級アルキル基等の置換基が結合した第 3級炭 素原子であることが、本発明の効果に優れ、好ましい。
Rとして力かる環状アルキル基を有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、 下記式で表される基が挙げられる。
[化 7]
[式中、 Rは低級アルキル基であり、 n は上記と同様である。 ]
4
[0035] これらの中でも、下記一般式で表されるものが好ましい。
[0036] [化 8]
[式中、 Rは低級アルキル基であり、 n'は上記と同様である。 ]
4
[0037] Rの低級アルキル基は、炭素原子数 1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチ
4
ル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチル基、イソブチル基、 tert— ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状また は分岐状のアルキル基が挙げられる。 Rとしては、工業上入手しやすい点で、メチル
4
基又はェチル基が好ましぐメチル基がより好ましい。
[0038] 式 (p2)中、 Rとしては、上記 Rと同様のものが挙げられる。中でも Rとしては、直
2 1 2
鎖状アルキル基または環状アルキル基が好ましい。
Rは水素原子または低級アルキル基である。 Rの低級アルキル基は、炭素原子数
3 3
1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピ ル基、 n—ブチル基、イソブチル基、 tert—ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、 ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。 Rと
3 しては、工業上入手しやすい点で、水素原子またはメチル基が好ましぐ水素原子で あることがより好ましい。
[0039] Rが直鎖状アルキル基である式 (p2)で表される基としては、たとえば、 1 エトキシ
2
ェチル基、 1 エトキシメチル基、 1ーメトキシェチル基、 1ーメトキシメチル基、 1ーメト キシプロピル基、 1 エトキシプロピル基、 l—n—ブトキシェチル基、 1 ペンタフル ォロエトキシェチル基、 1—トリフルォロメトキシェチル基、 1—トリフルォロメトキシメチ ル基等が挙げられる。
Rが環状アルキル基である式 (p2)で表される基としては、たとえば、下記式で表さ
2
れる基が挙げられる。
[0040] [化 9]
R3 RAX}) 。x r'
R 3 3人 。3丄'
¾ R3 ¾T。H R o
[式中、 R3は前記と同じである。 ] R3V
[0041] これらのなかでも、下記一般式で表される化合物が好まし ヽ。
[R3は前記と同じであり、 n"は 0又は 1〜2の整数であり、 Wは 2原子の水素原子又は 酸素原子である。 ]
[0043] n"は 0又は 1が最も好ましい。ァダマンチル基と— C (R )—O— (CH ) 一との結
3 2 n" 合位置は特に限定されないが、ァダマンチル基の 1位又は 2位に結合することが好ま しい。
[0044] 化合物(A1)は、たとえば、多価フ ノール化合物(a)のフ ノール性水酸基の水 素原子の一部または全部を、周知の方法により、酸解離性溶解抑制基で置換するこ とにより製造できる。
多価フエノールイ匕合物(a)は、例えば、ビスサリチルアルデヒド誘導体とフエノール 誘導体 (ビスサリチルアルデヒド誘導体に対して約 4等量)とを有機溶剤に溶解した後 、酸性条件下で反応させることで合成することができる。
[0045] 本態様のポジ型レジスト組成物にぉ 、て、化合物 (A1)は、一分子あたりの保護数
(個)の標準偏差 σ 力 Si未満である必要がある。
ここで、「保護数」とは、化合物 (A1)中の、酸解離性溶解抑制基で保護されたフエ ノール性水酸基の数を意味する。化合物 (A1)は、上述したように、多価フ ノール 化合物 (a)のフエノール性水酸基の水素原子を酸解離性溶解抑制基で置換して製 造できるが、その際、通常、保護数の異なる複数の分子が生成する。つまり、化合物 (A1)は、通常、保護数が異なる複数の分子を含んでおり、保護数は一般的にその 平均値として求められる。この化合物 (A1)における各「保護数が異なる複数の分子」 の割合は、液体クロマトグラフィー等の手段により測定することができる。
そして、「一分子あたりの保護数の標準偏差 σ 」とは、この化合物 (A1)の分子レべ ルにおける保護数のばらつきに着目したものであり、該標準偏差 σ を 1未満とするこ とにより、ラフネスが低減されたレジストパターンが形成できる。すなわち、低分子量の 多価フエノールイ匕合物のフエノール性水酸基を、酸解離性溶解抑制基により、一分 子あたりの保護数の標準偏差 σ 力 ^未満となるよう保護したィ匕合物 (A1)においては
、分子ごとの酸解離性溶解抑制基の数のばらつきが少なぐ分子ごとの性質の差、た とえばアルカリ溶解性の差がないか、あつたとしても極めて小さいものである。なかで も、多価フ ノールイ匕合物(a)のフ ノール性水酸基の数が同一に近いほど、化合物 (A1)のフエノール性水酸基の数も同一に近くなり、特に、多価フエノール化合物(a) として上述したように分散度の小さいものを用いると、その性質がさらに均一となる。 そのため、力かる化合物を用いたレジストを用いて得られるレジスト膜は、膜の性質、 たとえば各種成分の膜中での分布、アルカリ溶解性、熱的性質 (Tg (ガラス転移点) など)等が均一となり、それによつて、化合物 (A1)が低分子量体であることとともに、 ラフネス低減効果が発揮されると推測される。
ラフネスの低減効果を考慮すると、一分子あたりの保護数の標準偏差 σ は小さい ほど好ましぐより好ましくは 0. 5以下であり、さらに好ましくは 0. 3以下であり、最も好 ましくは 0である。
[0046] 保護数の標準偏差 σ は、具体的には、下記の手順で算出することができる。
まず、たとえばィ匕合物 (A1)として X個のフエノール性水酸基を有する多価フエノー ルイ匕合物を用いて調製されたものを用い、該化合物 (A1)が、全部で 1000個の分子 で構成されて 、ると仮定する。
また、化合物 (A1)について、 NMRにより保護率(%)の平均値 (Xave (p) )を算出 し、該 Xave (p)と、使用した多価フエノール化合物(a)のフエノール性水酸基の数 (x 個)とから、保護数 (個)の平均値 (Xave (n) )を算出する。
次いで、化合物 (A1)について逆相液体クロマトグラフィーを行い、そのピーク面積 の割合から、各分子ごとの保護数 (Xi (n) )と、 1分子あたりの保護数が Xi(n)個の分 子 (i保護体 (i=0〜x) )の 1000分子中における存在数 n (個)を求める(n=逆相液 体クロマトグラフィーのピーク面積の割合 X 1000)。
これらの値を下記標準偏差の公式(1 n)に当てはめることにより、一分子あたりの 保護数の標準偏差 σ が算出される。
[0047] [数 1]
[0048] 一分子あたりの保護数の標準偏差 σ
ηは、多価フエノールイ匕合物(a)のフエノール 性水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護した後、カラムクロマトグラフィー等による精 製を行い、保護数が特定範囲内のものを回収する (または保護数が特定範囲外のも のを除去する)ことにより 1未満に調節できる。
すなわち、保護数が異なる場合、分子ごとに分子量や極性、アルカリ溶解性等が異 なるため、たとえばシリカゲノレカラム等を用いたカラムクロマトグラフィーを行うことによ り、保護数が異なる分子同士を分離することができる。そのため、保護数が特定範囲 内の分子を含むフラクションを回収する際に、回収する分子の保護数の範囲を狭く するほど標準偏差 σ を小さくすることができる。たとえば、 1種の多価フエノールイ匕合 物(a)を用いて得られる化合物について、カラムクロマトグラフィーにより、特定の保護 数のもののみを含むフラクションを回収すれば、一分子あたりの保護数の標準偏差 σ は 0となる。
一分子あたりの保護数の標準偏差 σ を所望の値に調節するには、たとえば、あら 力じめ試験的に化合物 (A1)の精製を行い、精製物について、上述したように、 ΝΜ R、液体クロマトグラフィー、標準偏差の公式(1 n)等を用いて保護数の標準偏差 σ を求め、その値が所望の値(1未満)となるようにカラムクロマトグラフィーの条件と 前記特定範囲を設定しておけばょ 、。
[0049] 化合物 (A1)の保護数の平均値としては、特に制限はなぐ使用する多価フエノー ル化合物 (a)の構造、後述する保護率等を考慮して適宜決定すればよ!ヽ。
保護数の平均値は、たとえば、プロトン NMR、カーボン NMR等の NMR (核磁 気共鳴スペクトル)により後述する保護率の平均値を測定し、その値と多価フ ノール 化合物(a)の構造から求めることができる。
保護数の平均値は、上述した一分子あたりの保護数の標準偏差 σ の調節の際に 回収する保護数の範囲を調節することにより調節できる。
[0050] 本態様において、化合物 (A1)は、さらに、一分子あたりの保護率 (%)の標準偏差 σ 力 7未満であることが好ましい。
Ρ
ここで、「保護率」とは、化合物 (A1)において、酸解離性溶解抑制基で保護された フエノール性水酸基の数 (すなわち保護数)および保護されて 、な 、フエノール性水
酸基の数の合計に対する保護数の割合 (モル%)を意味する。つまり、保護数が多価 フエノール化合物(a)の構造に影響されない値であるのに対し、保護率は、フエノー ル性水酸基の数と保護数とを考慮した値である。
化合物 (A1)は、上記保護数と同様、保護率が異なる複数の分子を含んでおり、保 護率は一般的にその平均値として求められる。この化合物 (A1)における各「保護率 が異なる複数の分子」の割合は、逆相液体クロマトグラフィー等の手段により保護数 が異なる複数の分子の割合を測定するとともに、各分子のフエノール性水酸基の数 力も保護率を算出することによって求めることができる。
そして、「一分子あたりの保護率の標準偏差 σ 」とは、この化合物 (A1)の分子レべ
Ρ
ルにおける保護率のばらつきに着目したものであり、該標準偏差 σ を 16. 7未満と
Ρ
することにより、ラフネスが低減されたレジストパターンが形成できる。すなわち、低分 子量の多価フエノールイ匕合物のフエノール性水酸基を、酸解離性溶解抑制基により 、一分子あたりの保護率の標準偏差 σ 力 7未満となるよう保護した化合物 (A1)
Ρ
にお 、ては、分子ごとの酸解離性溶解抑制基とフエノール性水酸基との比のばらつ きが少なぐ分子ごとの性質の差がないか、あつたとしても極めて小さいものである。 そのため、力かる化合物 (A1)を用いたレジストを用いて得られるレジスト膜は、上記 保護数の標準偏差 σ を 1未満とした場合と同様、膜の性質、たとえばアルカリ溶解 性が均一となる。
特に、多価フ ノール化合物(a)として上述したように分散度の小さ!/、ものを用いると 、その性質がさらに均一となる。そのため、力かる化合物を用いたレジストを用いて得 られるレジスト膜は、膜の性質、たとえば各種成分の膜中での分布、アルカリ溶解性、 熱的性質 (ガラス転移温度 (Tg)など)等が均一となり、それによつて、化合物 (A1)が 低分子量体であることとともに、ラフネス低減効果を発揮するると推測される。
ラフネスの低減効果を考慮すると、一分子あたりの保護率の標準偏差 σ は小さい
Ρ
ほど好ましぐより好ましくは 8以下であり、さらに好ましくは 4以下であり、最も好ましく は 0である。
保護率の標準偏差 σ は、具体的には、下記の手順で算出することができる。
Ρ
まず、たとえばィ匕合物 (A1)として X個のフエノール性水酸基を有する多価フエノー
ルイ匕合物を用いて調製されたものを用い、該化合物 (A1)が、全部で 1000個の分子 で構成されて 、ると仮定する。
また、化合物 (A1)について、 NMRにより保護率(%)の平均値 (Xave (p) )を算出 し、上記と同様にして、保護数 (個)の平均値 (Xave (n) )、各分子ごとの保護数 (Xi( n) )、 1分子あたりの保護数が Xi (n)個の分子 (i保護体 (i= 0〜x) )の 1000分子中 における存在数 n (個)を求める。
次いで、 1分子あたりの保護数 Xi (n)と、使用した多価フエノールイ匕合物(a)のフエ ノール性水酸基の数 (X個)とから、各分子の保護率(1分子あたりの保護率 (%) ;Xi ( P) )を算出する(たとえば多価フエノールイ匕合物(a)のフエノール性水酸基の数が 6個 の場合、 0個保護なら 0%、 1個保護なら 16. 7%、 2個保護なら 33. 3% · · ·。 ) 0 これらの値を下記標準偏差の公式(1 p)に当てはめることにより、一分子あたりの 保護率の標準偏差 σ が算出される。
Ρ
[0053] 一分子あたりの保護率の標準偏差 σ は、多価フエノールイ匕合物(a)のフエノール
P
性水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護した後、カラムクロマトグラフィー等による精 製を行い、保護率が特定範囲内のものを回収する (または保護率が特定範囲外のも のを除去する)ことにより 16. 7未満に調節できる。
すなわち、上述したように、保護数が異なる場合、分子ごとに分子量や極性、アル カリ溶解性等が異なるため、たとえばシリカゲルカラム等を用いたカラムクロマトグラフ ィーを行うことにより、保護数が異なる分子同士を分離することができる。
保護率は、上述したように、保護数および保護されていないフエノール性水酸基の 数の合計に対する保護数の割合であることから、使用する多価フエノール化合物(a) のフエノール性水酸基の数から、各保護数の分子における保護率が算出できる。 そのため、保護率が特定範囲内となるように、各保護数の分子を含むフラクションを 回収することにより一分子あたりの保護率の標準偏差 σ を特定範囲内とすることが
できる。その際に、回収する分子の保護率の範囲を狭くするほど標準偏差 σ を小さ
Ρ
くすることができる。たとえば 1種の多価フエノール化合物(a)を用いて得られる化合 物について、カラムクロマトグラフィーにより、 1つの保護数のもののみを含むフラクシ ヨンを回収すれば、一分子あたりの保護率の標準偏差 σ は 0となる。
Ρ
一分子あたりの保護率の標準偏差 σ を所望の値に調節するには、たとえば、あら
Ρ
力じめ試験的に化合物 (A1)の精製を行い、精製物について、上述したように、 ΝΜ R、液体クロマトグラフィー、標準偏差の公式(1 P)等を用いて保護率の標準偏差 σ を求め、その値が所望の値(16. 7未満)となるようにカラムクロマトグラフィーの条
Ρ
件と前記特定範囲を設定しておけばょ 、。
[0054] 化合物(A1)の保護率の平均値は、多価フ ノール化合物(a)の構造やフエノール 性水酸基の数、所望する各種リソグラフィー特性等を考慮して適宜決定することがで きる。たとえばラフネス低減効果に加えて、解像性の向上等を考慮すると、 5〜50モ ル%が好ましぐ 7〜45モル%がより好ましぐ 15〜45モル%がさらに好ましい。 保護率の平均値は、上述したように、たとえば NMRにより測定できる。
[0055] 化合物 (A1)は、 1種単独で用いてもよぐ 2種以上を併用してもよい。
(A)成分中、化合物 (A1)の割合は、 40質量%超であることが好ましぐ 50質量% 超であることがより好ましぐ 80質量%超がさらに好ましぐ最も好ましくは 100質量% である。
(A)成分中の化合物 (A1)の割合は、逆相液体クロマトグラフィー等の手段により測 定することができる。
[0056] (A)成分は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、これまでィ匕学増幅型レジ スト層の基材成分として提案されて!ヽる任意の榭脂成分 (以下、 (A2)成分と ヽうこと がある)を含有して 、てもよ 、。
かかる (A2)成分としては、例えば従来の化学増幅型の KrF用ポジ型レジスト組成 物、 ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース榭脂として提案されて ヽるものが挙げら れ、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
[0057] 本発明のポジ型レジスト組成物における (A)成分の含有量は、形成しょうとするレ ジスト膜厚に応じて調整すればょ ヽ。
[0058] < (B)成分 >
(B)成分としては、特に限定されず、これまでィ匕学増幅型レジスト用の酸発生剤とし て提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで 、ョードニゥム塩やスルホ -ゥム塩などのォ-ゥム塩系酸発生剤、ォキシムスルホネ 一ト系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスァリールスルホ-ルジァゾメタン類、ポリ(ビ ススルホ -ル)ジァゾメタン類などのジァゾメタン系酸発生剤、ニトロべンジルスルホネ 一ト系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種の ものが知られている。
[0059] ォニゥム塩系酸発生剤としては、下記一般式 (b— 1)または (b— 2)で表される化合 物が挙げられる。
[0060] [化 11]
R4' SO 3 ' ,, (b- 2)
[式中、 ,,〜 ", R5"〜R6"は、それぞれ独立に、ァリール基またはアルキル基を 表し; R4"は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表し; ,,〜 "のうち少なくとも 1っはァリール基を表し、 R5"〜R6"のうち少なくとも 1つは ァリール基を表す。 ]
[0061] 式 (b— 1)中、 "〜 "はそれぞれ独立にァリール基またはアルキル基を表す。 R1" 〜R3"のうち、少なくとも 1っはァリール基を表す。 "〜 "のうち、 2以上がァリール 基であることが好ましぐ Rlw〜R3"のすべてがァリール基であることが最も好ましい。
Rlw〜R3"のァリール基としては、特に制限はなぐ例えば、炭素数 6〜20のァリー ル基であって、該ァリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、ァ ルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよぐされていなくてもよい。ァリール 基としては、安価に合成可能なことから、炭素数 6〜: LOのァリール基が好ましい。具 体的には、たとえばフエ-ル基、ナフチル基が挙げられる。
前記ァリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数 1
〜5のアルキル基が好ましぐメチル基、ェチル基、プロピル基、 n-ブチル基、 tert- ブチル基であることが最も好まし 、。
前記ァリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数 1〜5のアルコキシ基が好ましぐメトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ァリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素 原子であることが好ましい。
"〜 "のアルキル基としては、特に制限はなぐ例えば炭素数 1〜10の直鎖状 、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数 1 〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、ェチル基、 n—プロピル基、イソプ 口ピル基、 n—ブチル基、イソブチル基、 n—ペンチル基、シクロペンチル基、へキシ ル基、シクロへキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また 安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、 Rlw〜R3"はすべてフエ-ル基であることが最も好ましい。
[0062] R4"は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖又は分岐のアルキル基としては、炭素数 1〜10であることが好ましぐ炭 素数 1〜8であることがさらに好ましぐ炭素数 1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記 R1"で示したような環式基であって、炭素数 4 〜 15であることが好ましぐ炭素数 4〜 10であることがさらに好ましぐ炭素数 6〜10 であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数 1〜: LOであることが好ましぐ炭素数 1〜 8であることがさらに好ましぐ炭素数 1〜4であることが最も好ましい。また、該フツイ匕 アルキル基のフッ素化率 (アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは 10〜: LO 0%、さらに好ましくは 50〜100%であり、特に水素原子をすベてフッ素原子で置換 したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4"としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であること が最も好ましい。
[0063] 式 (b— 2)中、 R5"〜R6"はそれぞれ独立にァリール基またはアルキル基を表す。 R 5,,〜R6,,のうち、少なくとも 1っはァリール基を表す。 R5"〜R6,,のすべてがァリール基
であることが好ましい。
R5"〜R 6,,のァリール基としては、 R1"〜R 3"のァリール基と同様のものが挙げられる
R5"〜R6"のアルキル基としては、 R1"〜R3"のアルキル基と同様のものが挙げられる これらの中で、 R5"〜R6"はすべてフエ-ル基であることが最も好ましい。
式 (b— 2)中の R4"としては上記式 (b - 1)の R4"と同様のものが挙げられる。
ォ-ゥム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフエ-ルョードニゥムのトリフルォロメタ ンスルホネートまたはノナフルォロブタンスルホネート、ビス(4— tert ブチルフエ- ル)ョードニゥムのトリフルォロメタンスルホネートまたはノナフルォロブタンスルホネー ト、トリフエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタンスルホネート、そのヘプタフルォロプ 口パンスルホネートまたはそのノナフルォロブタンスルホネート、トリ(4 メチルフエ- ル)スノレホニゥムのトリフノレオロメタンスノレホネート、そのヘプタフノレォロプロパンスノレ ホネートまたはそのノナフルォロブタンスルホネート、ジメチル(4ーヒドロキシナフチ ル)スノレホニゥムのトリフノレオロメタンスノレホネート、そのヘプタフノレォロプロパンスノレ ホネートまたはそのノナフルォロブタンスルホネート、モノフエ-ルジメチルスルホ -ゥ ムのトリフルォロメタンスルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたは そのノナフルォロブタンスルホネート、ジフエ-ルモノメチルスルホ-ゥムのトリフルォ ロメタンスルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォ ロブタンスルホネート、(4 メチルフエ-ル)ジフエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタ ンスルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォロブ タンスルホネート、(4—メトキシフエ-ル)ジフエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタン スルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォロブタ ンスルホネート、トリ(4— tert ブチル)フエ-ルスルホ-ゥムのトリフルォロメタンスル ホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォロブタンス ルホネート、ジフエ-ル(1— (4ーメトキシ)ナフチル)スルホ -ゥムのトリフルォロメタン スルホネート、そのヘプタフルォロプロパンスルホネートまたはそのノナフルォロブタ ンスルホネートなどが挙げられる。また、これらのォ -ゥム塩のァ-オン部がメタンスル
ホネート、 n—プロパンスルホネート、 n—ブタンスルホネート、 n—オクタンスルホネー トに置き換えたォ-ゥム塩も用いることができる。
[0065] また、前記一般式 (b— 1)又は (b— 2)において、ァニオン部を下記一般式 (b— 3) 又は (b— 4)で表されるァ-オン部に置き換えたものも用いることができる(カチオン 部は (b— 1)又は (b— 2)と同様)。
[0066] [化 12] 3〇2 02S— Y"
-N X" … (b-3) … (b 4)
\ ノ \
S02" 0 一 Z"
[式中、 X"は、少なくとも 1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数 2〜6のァ ルキレン基を表し; Υ"、 Ζ"は、それぞれ独立に、少なくとも 1つの水素原子がフッ素 原子で置換された炭素数 1〜10のアルキル基を表す。 ]
[0067] X"は、少なくとも 1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の アルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は 2〜6であり、好ましくは炭素数 3〜5 、最も好ましくは炭素数 3である。
Υ"、 Ζ"は、それぞれ独立に、少なくとも 1つの水素原子がフッ素原子で置換された 直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は 1〜 10であり、 好ましくは炭素数 1〜7、より好ましくは炭素数 1〜3である。
X"のアルキレン基の炭素数または Υ"、 Ζ"のアルキル基の炭素数は、上記炭素数 の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほ ど好まし ヽ。
また、 X"のアルキレン基または Υ"、 Ζ"のアルキル基において、フッ素原子で置換さ れている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また 200nm以下の高エネ ルギ一光や電子線に対する透明性が向上するので好ま U、。該アルキレン基または アルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは 70〜100%、 さらに好ましくは 90〜: LOO%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で 置換されたパーフルォロアルキレン基またはパーフルォロアルキル基である。
[0068] 本発明において、ォキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式 (B— 1)で表 される基を少なくとも 1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生す る特性を有するものである。この様なォキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅 型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
- 〔B— 1 )
(式 (B— 1)中、 R21、 R22はそれぞれ独立に有機基を表す。 )
[0070] 本発明において、有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子 (たと えば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子 (フッ素原子、塩素原 子等)等)を有していてもよい。
R21の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはァリール基が好 ましい。これらのアルキル基、ァリール基は置換基を有していても良い。該置換基とし ては、特に制限はなぐたとえばフッ素原子、炭素数 1〜6の直鎖、分岐または環状の アルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはァリー ル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数 1〜20が好ましぐ炭素数 1〜10がより好ましぐ炭素 数 1〜8がさらに好ましぐ炭素数 1〜6が特に好ましぐ炭素数 1〜4が最も好ましい。 アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲンィ匕されたアルキル基 (以下 、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲンィ匕され たアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味 し、完全にハロゲンィ匕されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置 換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭 素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン 化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好まし!/、。
ァリール基は、炭素数 4〜20が好ましぐ炭素数 4〜: LOがより好ましぐ炭素数 6〜1
0が最も好ましい。ァリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化された ァリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたァリール基とは、水素原子 の一部がハロゲン原子で置換されたァリール基を意味し、完全にハロゲンィ匕されたァ リール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたァリール基を意味する。
R21としては、特に、置換基を有さない炭素数 1〜4のアルキル基、または炭素数 1 〜4のフッ素化アルキル基が好まし 、。
[0071] R22の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基、ァリール基またはシァ ノ基が好ましい。 R22のアルキル基、ァリール基としては、前記 R21で挙げたアルキル 基、ァリール基と同様のものが挙げられる。
R22としては、特に、シァノ基、置換基を有さない炭素数 1〜8のアルキル基、または 炭素数 1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
[0072] ォキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式( B- 2)または (B— 3)で表される化合物が挙げられる。
[0073] [化 14]
R32_C=N— 0— SO,—Rj3
( B - 2 )
R 31
[式 (B— 2)中、 Rdlは、シァノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲンィ匕ァ ルキル基である。 R32はァリール基である。 R33は置換基を有さないアルキル基または ハロゲン化アルキル基である。 ]
[化 15]
[式 (B— 3)中、 R34はシァノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲンィ匕アル キル基である。 R35は 2または 3価の芳香族炭化水素基である。 R36は置換基を有さな いアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。 pは 2または 3である。 ]
[0075] 前記一般式(B— 2)にお!/、て、 R31の置換基を有さな 、アルキル基またはハロゲン
化アルキル基は、炭素数が 1〜: L0であることが好ましぐ炭素数 1〜8がより好ましぐ 炭素数 1〜6が最も好ましい。
R31としては、ハロゲンィ匕アルキル基が好ましぐフッ素化アルキル基がより好ましい
R31におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が 50%以上フッ素化さ れていることが好ましぐより好ましくは 70%以上、さらに好ましくは 90%以上フッ素 化されて!/、ることが好まし!/、。
[0076] R32のァリール基としては、フエ-ル基、ビフエ-ル (biphenyl)基、フルォレ -ル(fl uorenyl)基、ナフチル基、アントラセル(anthracyl)基、フエナントリル基等の、芳香 族炭化水素の環力 水素原子を 1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭 素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のへテロ原子で置換されたへテ ロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルォレニル基が好ましい。
R32のァリール基は、炭素数 1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキ シ基等の置換基を有して 、ても良 、。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン 化アルキル基は、炭素数が 1〜8であることが好ましぐ炭素数 1〜4がさらに好ましい 。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
[0077] R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲンィ匕アルキル基は、炭素数が 1〜 10であることが好ましぐ炭素数 1〜8がより好ましぐ炭素数 1〜6が最も好ましい。
R33としては、ハロゲンィ匕アルキル基が好ましぐ部分的又は完全にフッ素化された アルキル基が好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が 50%以上フッ素化さ れていることが好ましぐより好ましくは 70%以上、さらに好ましくは 90%以上フッ素 化されていること力 発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素 原子が 100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
[0078] 前記一般式(B— 3)にお!/、て、 R34の置換基を有さな 、アルキル基またはハロゲン 化アルキル基としては、上記 R31の置換基を有さな 、アルキル基またはハロゲンィ匕ァ ルキル基と同様のものが挙げられる。
R35の 2または 3価の芳香族炭化水素基としては、上記 R32のァリール基力もさらに 1
または 2個の水素原子を除 、た基が挙げられる。
R36の置換基を有さな 、アルキル基またはハロゲンィ匕アルキル基としては、上記 3 の置換基を有さないアルキル基またはハロゲンィ匕アルキル基と同様のものが挙げら れる。
pは好ましくは 2である。
ォキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、 α - (P -トルエンスルホ -ルォ キシィミノ) -ベンジルシア-ド、 a - (p -クロ口ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -ベンジ ルシア-ド、 a - (4-二トロベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -ベンジルシア-ド、 a - (4 -ニトロ- 2-トリフルォロメチルベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -ベンジルシア-ド、 a - (ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -4-クロ口べンジルシア-ド、 a - (ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) - 2, 4-ジクロロべンジルシア-ド、 a - (ベンゼンスルホ -ルォキシィ ミノ)- 2, 6 -ジクロロべンジルシア-ド、 a - (ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ)- 4 -メト キシベンジルシア-ド、 a - (2-クロ口ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -4-メトキシべ ンジルシア-ド、 a - (ベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -チェン- 2-ィルァセトニトリル 、 a - (4-ドデシルベンゼンスルホ -ルォキシィミノ) -ベンジルシア-ド、 a - [ (p-トル エンスルホ -ルォキシィミノ) -4-メトキシフエ-ル]ァセトニトリル、 at - [ (ドデシルペン ゼンスルホ -ルォキシィミノ) -4-メトキシフエ-ル]ァセトニトリル、 at - (トシルォキシィ ミノ) -4-チェ-ルシア-ド、 a - (メチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ル ァセトニトリル、 (X - (メチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロへキセ-ルァセトニトリル 、 a - (メチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロヘプテュルァセトニトリル、 a - (メチル スルホ -ルォキシィミノ)- 1 -シクロオタテュルァセトニトリル、 a - (トリフルォロメチルス ルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 a - (トリフルォロメチルス ルホ -ルォキシィミノ) -シクロへキシルァセトニトリル、 a - (ェチルスルホ -ルォキシィ ミノ) -ェチルァセトニトリル、 a - (プロピルスルホ -ルォキシィミノ) -プロピルァセトニト リル、 a - (シクロへキシルスルホニルォキシィミノ) -シクロペンチルァセトニトリル、 a - (シクロへキシルスルホ -ルォキシィミノ) -シクロへキシルァセトニトリル、 ひ - (シクロへ キシルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 a - (ェチルスル ホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 ひ - (イソプロピルスルホ-ル
ォキシィミノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 α - (η-ブチルスルホ -ルォキシイミ ノ) - 1 -シクロペンテ-ルァセトニトリル、 at - (ェチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロ へキセ-ルァセトニトリル、 OC - (イソプロピルスルホ -ルォキシィミノ)- 1 -シクロへキセ -ルァセト-トリル、 α - (η-ブチルスルホ -ルォキシィミノ) - 1 -シクロへキセ-ルァセ トニトリル、 α—(メチルスルホ -ルォキシィミノ) フエ-ルァセトニトリル、 α (メチ ルスルホニルォキシィミノ)—ρ—メトキシフエ二ルァセトニトリル、 α (トリフルォロメ チルスルホ -ルォキシィミノ) フエ-ルァセトニトリル、 α (トリフルォロメチルスル ホ -ルォキシィミノ) ρーメトキシフエ-ルァセトニトリル、 ひ (ェチルスルホ -ルォ キシィミノ)—ρ—メトキシフエ-ルァセトニトリル、 (X - (プロピルスルホ-ルォキシイミ ノ) ρ メチルフエ-ルァセトニトリル、 α (メチルスルホ -ルォキシィミノ)—ρ ブ ロモフエ-ルァセトニトリルなどが挙げられる。
また、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
[化 16]
CP*! 0。S 0 N^^^Cに'" 1 ' -C=N 0― S<¾— CF3
CN CN
CH3- C=N-OS02-(CH2}3CH3
CH3»C=N-OS02-(CH2}3CH3
[0081] また、前記一般式 (B— 2)または (B— 3)で表される化合物のうち、好ましい化合物 の例を下記に示す。
[0082] [化 17]
CF:
8751
34
[0084] 上記例示化合物の中でも、下記の 3つの化合物が好ましい
[0085] [化 19]
C4Hs-02S― 0― =C ~ C— ― O― S02― C4Hg
CN CN
[0086] [化 20]
!; H3- (^ '( )3
[0088] ジァゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスァリールスルホ -ルジァゾメ タン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホ -ル)ジァゾメタン、ビス(p トルェ ンスルホ -ル)ジァゾメタン、ビス( 1 , 1—ジメチルェチルスルホ -ル)ジァゾメタン、ビ ス(シクロへキシルスルホ -ル)ジァゾメタン、ビス(2, 4 ジメチルフエ-ルスルホ-ル )ジァゾメタン等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジァゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ 1, 3 ビス(フエ-ルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)プロパン(A= 3の場合)、 1 , 4 ビス(フエ-ルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)ブタン(A=4の場合)、 1, 6 ビス(フエ-ルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)へキサン(A= 6の場合)、 1, 10 ビス(フ -ルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)デカン(A= 10の場合)、 1 , 2— ビス(シクロへキシルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)ェタン(B= 2の場合)、 1, 3 ビス(シクロへキシルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)プロパン(B= 3の場合)、 1, 6 ビス(シクロへキシルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)へキサン(B = 6の場 合)、 1 , 10—ビス(シクロへキシルスルホ-ルジァゾメチルスルホ -ル)デカン(B = 1 0の場合)などを挙げることができる。
[0089] [化 22]
N, 0 0 N
C一 S H2ト S― C
[0090] 本発明にお!/、ては、中でも (B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオン又は アルキルスルホン酸イオンをァ-オンとするォ-ゥム塩を用いることが好まし 、。
(B)成分としては、 1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わ せて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分 100質量部に対し、 0. 5 30質量部、好ましくは 1 10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、 均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好まし 、。
[0091] <任意成分 >
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性( post exposure stability or the latent image formed by the pattern-wise exposure of t he resist layer)などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合 物 (D) (以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意 に用いれば良ぐ例えば、 n キシルァミン、 n プチルァミン、 n—ォクチルアミ ン、 n—ノ-ルァミン、 n—デシルァミン等のモノアルキルァミン;ジェチルァミン、ジ— n—プロピルァミン、ジ—n プチルァミン、ジ—n—ォクチルァミン、ジシクロへキシ ルァミン等のジアルキルァミン;トリメチルァミン、トリエチルァミン、トリ—n—プロピル ァミン、トリー n—ブチルァミン、トリー n キシルァミン、トリー n—ペンチルァミン、ト リー n プチルァミン、トリー n—ォクチルァミン、トリー n—ノニルァミン、トリー n—デ 力-ルァミン、トリ—n—ドデシルァミン等のトリアルキルァミン;ジエタノールァミン、トリ エタノールァミン、ジイソプロパノールァミン、トリイソプロパノールァミン、ジ一 n—オタ タノールァミン、トリー n—ォクタノールァミン等のアルキルアルコールァミンが挙げら
れる。これらの中でも、特に第 2級脂肪族アミンゃ第 3級脂肪族ァミンが好ましぐ炭 素数 5〜10のトリアルキルァミンがさらに好ましぐトリ一 n—ォクチルァミンが最も好ま しい。
これらは単独で用いてもょ 、し、 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。
(D)成分は、(A)成分 100質量部に対して、通常 0. 01〜5. 0質量部の範囲で用 いられる。
[0092] 本発明のポジ型レジスト組成物には、前記 (D)成分の配合による感度劣化の防止 、またレジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、さらに任意の 成分として、有機カルボン酸又はリンのォキソ酸若しくはその誘導体 (E) (以下、(E) 成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と (E)成分は併用することもで きるし、いずれ力 1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クェン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香 酸、サリチル酸などが好適である。
リンのォキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジー n—ブチルエステル 、リン酸ジフエ-ルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホス ホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ージー n—ブチルエステル、フエ- ルホスホン酸、ホスホン酸ジフエ-ルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどの ホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フエ-ルホスフィン 酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中 で特にホスホン酸が好まし 、。
(E)成分は、(A)成分 100質量部当り 0. 01〜5. 0質量部の割合で用いられる。
[0093] 本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例え ばレジスト膜の性能を改良するための付加的榭脂、塗布性を向上させるための界面 活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適 宜、添加含有させることができる。
[0094] <有機溶剤(S) >
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料 (上記 (A)成分および (B)成分、ならびに 各種任意成分など)を有機溶剤 (以下、「 (S)成分」 t 、うことがある。 )に溶解させて
製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるもので あればよぐ従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを 1種または 2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、 γ —プチ口ラタトン等のラタトン類;
アセトン、メチルェチルケトン、シクロへキサノン、メチルイソアミルケトン、 2—ヘプタノ ンなどのケトン類;
エチレングリコーノレ、エチレングリコーノレモノアセテート、ジエチレングリコール、ジェ チレングリコーノレモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコーノレモノァセ テート、ジプロピレングリコール、若しくはジプロピレングリコールモノアセテート、また はこれらのモノメチルエーテル、モノェチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブ チルエーテルまたはモノフエ-ルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導 体;
ジォキサンのような環式エーテル類;
乳酸メチル、乳酸ェチル(EL)、酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メ チル、ピルビン酸ェチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸ェチルな どのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよぐ 2種以上の混合溶剤として用いてもょ 、。 また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤と を混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、 PGMEAと極性溶剤との 相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは 1 : 9〜9 : 1、より好ましくは 2 : 8〜8: 2の範囲内とすることが好まし!/、。
より具体的には、極性溶剤として ELを配合する場合は、 PGMEA:ELの質量比が 好ましくは 1: 9〜9: 1、より好ましくは 2: 8〜8: 2であると好まし!/、。
また、有機溶剤として、その他には、 PGMEA及び ELの中カゝら選ばれる少なくとも 1種と γ—プチ口ラタトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前 者と後者の質量比が好ましくは 70: 30〜95: 5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚
に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度 2〜 20質量%、好ましくは 5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
[0095] 《第二の態様のポジ型レジスト組成物》
本発明の第二の態様のポジ型レジスト組成物は、(A)成分中、前記化合物 (A1)が 、一分子あたりの保護率 (モル%)の標準偏差(σ )が 16. 7未満であることを必須と
Ρ
する以外は第一の態様のポジ型レジスト組成物と同じである。この第二の態様のポジ 型レジスト組成物は、前記化合物 (A1)が、一分子あたりの保護数 (個)の標準偏差( σ )が 1未満であることは必須でなくてもよい。
一分子あたりの保護率 (モル0 /0)の標準偏差(σ )が 16. 7未満であることにより、ラフ
Ρ
ネスの低減されたレジストパターンが形成できる。一分子あたりの保護率 (モル0 /0)の 標準偏差(σ )についての説明は、第一の態様に示したのと同様である。
Ρ
[0096] 《第三又は第四のレジストパターン形成方法》
本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明の第一又は第二の態様のポジ 型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露 光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。 より具体的には、例えば以下の様なレジストパターン形成方法によりレジストパター ンを形成することができる。すなわち、まずシリコンゥエーハのような基板上に、上記ポ ジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、任意にプレベータ(ΡΑΒ)を施してレ ジスト膜を形成する。形成されたレジスト膜を、例えば電子線描画装置、 EUV露光装 置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介 さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、 ΡΕΒ (露光後加 熱)を施す。続いて、アルカリ現像液を用いて現像処理した後、リンス処理を行って、 基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗 、流し、乾燥 させて、レジストパターンを得る。
これらの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用する ポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光光源は、特に限定されず、 ArFエキシマレーザー、 KrFエキシマレーザー、 F
2 エキシマレーザー、 EUV (極紫外線)、 VUV (真空紫外線)、電子線、 X線、軟 X線な
どの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明に力かるポジ型レジスト組成物は 、電子線または EUV、特に電子線に対して有効である。
なお、場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベータ工程を含んでもよいし、基 板とレジスト膜との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
[0097] 上述したように、本発明のポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を 用いるレジストパターン形成方法によれば、ラフネスの低減されたレジストパターンを 形成できる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジ ストパターン形成方法によれば、高解像性のレジストパターン、たとえば寸法 120nm 以下の微細なパターンが形成できる。
実施例
[0098] 以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され るものではない。
製造例 1:化合物 (A)— 1の製造
10gの下記式(1)で表される多価フエノールイ匕合物(1) (本州化学工業製)を 50g のテトラヒドロフラン (THF)に溶解し、 0°Cにて 1. 12gの 60質量0 /0水素化ナトリウム( NaH)をカ卩えて 10分撹拌し、 8. Olgの下記式(5)で表されるブロモ酢酸— 2—メチ ルー 2—ァダマンチルを加え、室温 (r. t. )で 5時間撹拌した。反応終了後、水 Z酢 酸ェチルにて抽出精製を行 ヽ、分離した酢酸ェチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥 後、減圧濃縮して、 15. Ogの下記式 (3)で表される化合物 (A)— 1を得た。
[0099] [化 23]
(式(3)中、 Rは水素原子または下記式(5 ')で表される基である。 )
(5' )
[0101] 化合物 (A)—1について、 — NMR (同位体水素核磁気共鳴)による分析を行つ た結果を下記に示す。この結果から、化合物 (A)— 1の一分子あたりの保護率 (上記 式(3)中の Rのうち、 Rが下記式(5' )で表される基である割合 (モル%))の平均値 (P ave (p) )は 30. 2モル0 /。であった。
iH— NMR (重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン) δ = 8. 75-9.08 (m 3. 76H), 6. 33— 6.80 (m 14H), 5.60— 5. 96 (m 2H), 4.48-4. 75 (m 3.62H), 3.41— 3.63 (m 2H), 1. 35— 2. 25 (m 58.43 H)
[0102] また、多価フエノール化合物(1)中のフエノール性水酸基の数は 6個であるため、ィ匕 合物 (A) - 1の一分子あたりの保護数の平均値 (Pave (n) )は、上記保護率の平均 値 (Pave(p))から、 1.812個と算出された。
[0103] さらに、化合物 (A)— 1について、下記の条件で逆相液体クロマトグラフィーによる 定量を行い、ピーク面積の割合から、多価フエノールイ匕合物(1)におけるフエノール
性水酸基の i個 (i=0〜6)が保護された i保護体の存在数の比を求めた。その存在数 の比から、化合物 (A)—1が 1000個の分子力も構成されると仮定して、各保護体の 存在数 m (個)を算出した。その結果を表 1に示す。
<逆相液体クロマトグラフィー条件 >
•装置:ヒューレットパッカード社製 SERIES 1100
•カラム:資生堂社製 MGタイプ (官能基: C18粒子径 3 μ m、カラム内径 4. 6mm,力 ラム長さ 75mm)
•検出波長: 280nm
•流量: 2. OmLZ分
•測定温度: 45°C
•測定時間: 0〜22分
•サンプル注入量: 1. OμL·
•サンプル濃度(固形分濃度):約 1. 3質量%(THFにて希釈)
'溶離液
0〜1分:(1)純水 ZTHF=60Z40(質量比)
1〜21分:(1)から、下記(2)の組成に徐々に変化
21〜22分:(2)純水 ZTHF=10Z90(質量比)
これらの結果から、上述した公式(l—n)および(l—p)を用いて、化合物 (A)—l の一分子あたりの保護数の標準偏差 σ 、および保護率の標準偏差 σ を算出した。
η Ρ
すなわち、保護数の標準偏差 σ は以下のようにして算出した。まず、保護数の異 なる各保護体 (保護数 =0〜4)それぞれについて、 (Pi(n)— Pave (n)) 2を求め、そ の値に各保護体の存在数 mを乗じた。次いで、 i=0〜4それぞれの(Pi (n) -Pave( n))2Xmの値を足してその総和を求めた。そして、その総和を 1000で除して得られ た値( (Pi (n) - Pave (n) ) 2 X mの総和 ZlOOO)の平方根が保護数 (個)の標準偏 差 σ である。
また、保護率の標準偏差 σ は以下のようにして算出した。まず、 i保護体 (i=0〜4)
P
それぞれについて、(Pi(p)— Pave(p))2を求め、その値に各保護体の存在数 mを 乗じた。次いで、 i=0〜4それぞれの(Pi (p)— Pave(p))2Xmの値を足してその総
和を求めた。そして、その総和を 1000で除して得られた値((Pi (p) -Pave (p) ) 2 X mの総和/ 1000)の平方根が一分子あたりの保護率(%)の標準偏差 σ である。
1 Ρ これらの式中、 Pi (n)は各保護体の保護数、 Pave (n)は一分子あたりの保護数 (個 )の平均値、 Pi (p)は各保護体の保護率、 Pave (p)は一分子あたりの保護率 (%)の 平均値を表す。
[0105] [表 1]
[0106] 表 1に示すように、化合物 (A)—1中には、 0保護体から 4保護体までが含まれてい た。また、化合物 (A)—1の一分子あたりの保護数の標準偏差 σ は 1. 01であり、保 護率の標準偏差 σ は 16. 91であった。
Ρ
[0107] 製造例 2 :化合物 (Α)— 2の製造
前記化合物 (A)—1を、下記条件のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって 1回 精製して化合物 (Α) - 2を得た。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製条件:シリカゲル (ワコールゲル C100 )を用いて、展開溶剤として酢酸ェチルを用いた。また、シリカゲルは基質 (ィ匕合物( Α)— 1)に対して質量で 20倍の量を用いた。使用したカラム管の直径は 9cmであつ
lOgの化合物 (A)— 1を少量のクロ口ホルムに溶解した試料をカラムに充填した後 、上記展開溶剤を流し込み、得られた溶出液をフラクション Aとした。該フラクション A を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮して、化合物 (A)— 2を得た。
得られた化合物 (A)—2について、製造例 1と同様にして逆相液体クロマトグラフィ 一による定量を行レ、、各保護体の 1000分子あたりの存在数を求めた。
また、該存在数から、化合物 (A)—2の一分子あたりの保護数の平均値 Pave (n) は2. 178個、保護率の平均値 Pave (p)は 36. 3モル0 /0と算出された。
また、その結果から、製造例 1と同様にして、化合物 (A)—2の一分子あたりの保護 数の標準偏差び および保護率の標準偏差 σ を算出した。その結果を表 2に示す。
η Ρ
[0108] [表 2]
[0109] 表 2に示すように、化合物 (A)—2中には、 1〜3保護体のみが含まれていた。また 、化合物 (A)— 2の一分子あたりの保護数の標準偏差 σ は 0. 461であり、保護率の 標準偏差び は 7. 68であった。
Ρ
[0110] 製造例 3 :化合物 (Α)— 3の製造
製造例 2と同様にしてフラクション Αを得た後、下記条件のシリカゲルカラムクロマト グラフィ一によつて 2回目の精製を行 V、、化合物 (A) - 3を得た。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる 2回目の精製条件:シリカゲル (ワコールゲ
ル C200)を用いて、展開溶剤としてクロ口ホルム: MEK= 9 ·· 1を用いた。また、シリカ ゲルは、基質 (化合物 (A)— 2)に対して質量で 20倍の量を用いた。使用したカラム 管の直径は 9cmであった。
得られたィ匕合物 (A)—3について、製造例 1と同様にして逆相液体クロマトグラフィ 一による定量を行った。
その結果、化合物 (A)—3には、 2保護体のみが含まれていた。したがって、化合 物(A)— 3の一分子あたりの保護数の平均値 pave (n)は 2個、保護率の平均値 Pav e (p)は 33. 3モル0 /0であることがわかった。
また、その結果から、製造例 1と同様にして、化合物 (A)—3の一分子あたりの保護 数の標準偏差び および保護率の標準偏差 σ を算出した。その結果を表 3に示す。
η Ρ
[0111] [表 3]
[0112] 表 3に示すように、化合物 (Α)—3中には、 2保護体のみが含まれていた。また、化 合物 (Α)— 3の一分子あたりの保護数の標準偏差 σ および保護率の標準偏差 σ
η Ρ はともに 0であった。
[0113] 実施例:!〜 2,比較例 1
製造例 1〜3で得た化合物 (Α)—:!〜 (Α)— 3を用い、下記表 4に示す各成分を混
合、溶解してポジ型レジスト組成物溶液を得た。
表 4中、 [ ]内の数値は配合量 (質量部)を示す。また、表 4中の略号は以下の意味 を有する。
(B)— 1:トリフエ-ルスルホ-ゥムノナフルオロー n—ブタンスルホネート(D)— 1:トリ n—才クチノレアミン
(E)— 1 :サリチル酸
(S)— 1 : PGMEA
[0114] 次!、で、得られたポジ型レジスト組成物溶液を、へキサメチルジシラザン処理を施し た 8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、 110°Cにて 90秒間の ベータ (PAB)条件で PAB処理を行ってレジスト膜 (膜厚 150nm)を成膜した。 該レジスト膜に対し、電子線描画機 (HL— 800D (VSB) (日立社製)、加速電圧 7 OkV)にて描画(露光)を行 、、 100°Cにて 90秒間のベータ(PEB)条件で PEB処理 を行い、テトラメチルアンモ-ゥムヒドロキシド(TMAH)の 2. 38質量0 /0水溶液(23°C )にて 200秒間の現像を行った後、純水にて 30秒リンスした。その結果、 120nmのラ インアンドスペース (LZS)パターンが 1: 1に形成された。
[0115] 得られたレジストパターンを、上面から、 日立社製の走査型電子顕微鏡 (測長 SEM 、 S— 9220)を用いて観察し、下記の基準で LERを評価した。その結果を表 4に併 曰じした。
〇:ラインのうねりが少なかった。
X:ラインのうねりが大きかった。
[0116] [表 4]
[0117] 上記結果から明らかなように、実施例 1〜2のポジ型レジスト組成物を用いて得られ たレジストパターンは、ラインのうねりが少なぐ LERが低減されていた。
一方、比較例 1は、ラインのうねりが大きぐ LERが悪力つた。
産業上の利用可能性
本発明によれば、ラフネスの低減されたレジストパターンを形成できるポジ型レジス ト組成物およびレジストパターン形成方法を提供できる。