JP2005266741A - パターン形成材料用基材、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2以上のフェノール性水酸基を有し、下記(1)、(2)および(3)を満たす多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護されている低分子化合物(X1)を含有することを特徴とするパターン形成材料用基材。(1)分子量が300〜2500(2)分子量の分散度が1.5以下(3)スピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる
【選択図】 なし
Description
また、微細な寸法のパターンを形成可能なパターン形成材料の1つとして、膜形成能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ可溶性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ可溶性が増大するポジ型とがある。
レジスト等のパターン形成材料の主たる基材成分としては、従来、質量平均分子量が約5000以上のポリマーが用いられている。
このようなラフネスは、従来はあまり問題となっていなかった。しかし、近年、半導体素子等の急激な微細化に伴い、いっそうの高解像度、例えば寸法幅90nm以下の解像度が求められており、それに伴って、ラフネスが深刻な問題となってきている。例えばラインパターンを形成する場合、パターン側壁表面の荒れ、すなわちLER(ラインエッジラフネス)により、形成される線幅にばらつきが生じるが、その線幅のばらつきの管理幅は、寸法幅の10%程度以下とすることが望まれており、パターン寸法が小さいほどLERの影響は大きい。例えば90nm程度の寸法を持つラインパターンを形成する場合、その線幅のばらつきの管理幅は、10nm程度以下とすることが望まれている。
しかし、一般的に基材として用いられているポリマーは、一分子当たりの平均自乗半径が数nm前後と大きく、上記の管理幅はポリマー数個分程度の幅でしかない。そのため、基材成分としてポリマーを使う限り、LERの低減は非常に困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、LERの低減された高解像性のパターンが形成できるパターン形成材料用基材、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第1の態様は、2以上のフェノール性水酸基を有し、下記(1)、(2)および(3)を満たす多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護されている低分子化合物(X1)を含有することを特徴とするパターン形成材料用基材である。
(1)分子量が300〜2500
(2)分子量の分散度が1.5以下
(3)スピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる
また、本発明の第2の態様は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、前記第1の態様のパターン形成材料用基材であることを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
また、本発明の第3の態様は、前記第2の態様のポジ型レジスト組成物を基板上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
≪パターン形成材料用基材≫
本発明のパターン形成材料用基材は、2以上のフェノール性水酸基を有し、上記(1)乃至(3)の条件を満たす多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護されている低分子化合物(X1)を含有することを特徴とする。
低分子化合物(X1)を構成する多価フェノール化合物(x)としては、2以上のフェノール性水酸基を有し、分子量が300〜2500であり、分子量の分散度が1.5以下であり、スピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる多価フェノール化合物であれば特に限定されず、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や耐熱性向上剤として知られている多価フェノール化合物を用いることができる。そのような多価フェノール化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の4核体などが挙げられる。
g、jはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、k、qはそれぞれ独立に0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつg+j+k+qが5以下である。
hは1以上、好ましくは1〜2の整数であり、l、mはそれぞれ独立に0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつh+l+mが4以下である。
iは1以上、好ましくは1〜2の整数であり、n、oはそれぞれ独立に0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつi+n+oが4以下である。
pは0または1であり、好ましくは1である。
これらの中でも、R11がシクロアルキル基であり、jの数が1、かつR12が低級アルキル基であり、kの数が1、かつgの数が1のものが、好ましい。
さらに、好ましくは、R11がシクロアルキル基であり、jの数が1、かつR12が低級アルキル基であり、kの数が1、かつgの数が1であり、かつqとlとmとnとoが0であり、hとiがともに1である化合物が、LERの低減された高解像性で微細なパターンが形成できるので好ましい。
d、gはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、hは0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつd+g+hが5以下である。
e、iはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、jは0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつe+i+jが4以下である。
f、kはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、lは0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつf+k+lが5以下である。
mは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。
a、eはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、fは0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつa+e+fが5以下である。
b、hはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、gは0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつb+h+gが5以下である。
c、iはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、jは0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつc+i+jが5以下である。
dは1以上、好ましくは1〜2の整数であり、k、lはそれぞれ独立に0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつd+k+lが3以下である。
なお、分散度とは通常、ポリマー等の多分散系の化合物に用いられるものであるが、単分散の化合物であっても、製造時における副生物や残留する出発物質などの不純物の存在により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等で分析した際に、見かけ上、その分子量に分布が生じる場合がある。つまり、単分散の化合物の場合に分散度が1であるとは純度が100%であることを意味し、分散度が大きいほど不純物の量が多い。本発明において、分散度は、このような見かけ上の分子量分布を示す化合物について、一般的に用いられているポリマーの質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定方法、例えばGPC等によりMwおよびMnを測定し、Mw/Mn比を求めることにより算出できる。
分散度は、最終目的生成物である多価フェノール化合物(x)を合成後、反応副生成物や不純物を精製除去したり、分子量分別処理等の公知の方法により不要な分子量部分を除去して調節することができる。
ここで、アモルファスな膜とは結晶化しない光学的に透明な膜を意味する。
スピンコート法は、一般的に用いられている薄膜形成手法の1つであり、多価フェノール化合物がスピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる材料であるかどうかは、8インチシリコンウエーハ上にスピンコート法により形成した塗膜が全面透明であるか否かにより判別できる。より具体的には、例えば以下のようにして判別できる。
まず、当該多価フェノール材料に、一般的にレジスト溶剤に用いられている溶剤を用いて、例えば乳酸エチル/プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート=40/60(質量比)の混合溶剤(以下、EMと略記する)を、濃度が14質量%となるよう溶解し、超音波洗浄器を用いて超音波処理(溶解処理)を施して溶解させ、該溶液を、ウェハ上に1500rpmにてスピンコートし、任意に乾燥ベーク(PAB,Post Applied Bake)を110℃、90秒の条件で施し、この状態で、目視にて、透明かどうかによりアモルファスな膜が形成されているかどうかを確認する。なお、透明でない曇った膜はアモルファスな膜ではない。
本発明において、多価フェノール材料(x)は、上述のようにして形成されたアモルファスな膜の安定性が良好であることが好ましく、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されていることが好ましい。
低分子化合物(X1)は、上記多価フェノール化合物(x)のフェノール性水酸基の水酸基の一部または全部を酸解離性溶解抑制基で置換することにより保護したものである。
酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。
具体的には、鎖状アルコキシアルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、第3級アルキル基、第3級アルコキシカルボニルアルキル基及び環状エーテル基等が挙げられる。
第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
第3級アルキル基としては、tert−ブチル基、tert−アミル基などのような鎖状第3級アルキル基、2−メチル−アダマンチル基、2−エチルアダマンチル基などのような脂肪族多環式基を含む第3級アルキル基等が挙げられる。
第3級アルコキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−アミルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
環状エーテル基としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
これらの中でも、解離性に優れ、低分子化合物(X1)の均一性を高め、LERを向上させることが可能な点から、鎖状アルコキシアルキル基が好ましく、1−エトキシエチル基や1−エトキシメチル基がより好ましい。
本発明において、パターン形成材料用基材中において、上記多価フェノール化合物(x)におけるフェノール性水酸基が、酸解離性溶解抑制基により全く保護されていないもの(以下、未保護体(X2)という)はなるべく少ない方が好ましい。
本発明のパターン形成材料用基材中、未保護体(X2)の割合は、60質量%以下であることが好ましい。未保護体(X2)の割合は少ないほど好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。未保護体(X2)が60質量%以下であると、パターンを形成した際、LERをさらに低減できる。また、解像性にも優れる。
未保護体(X2)の割合を60質量%以下とする方法としては、例えば、一種または2種以上の多価フェノール化合物(x)について、そのフェノール性水酸基の全部または一部を、周知の手法により酸解離性溶解抑制基で保護する方法等により製造した後、未保護体(X2)をゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)により、分取することや上記酸解離性溶解抑制基で保護する方法により調節できる。
また、低分子化合物(X1)において、各異性体の保護数は、上記酸解離性溶解抑制基で保護する方法により調節できる。
パターン形成材料用基材中の低分子化合物(X1)と該低分子化合物(X1)における各異性体、および未保護体(X2)の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分ということがある。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分ということがある。)とを含む。
前記(A)成分においては、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。
そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
(A)成分は、前記本発明のパターン形成材料用基材(以下、多価フェノール系基材材料(A1)という)である。
本発明のポジ型レジスト組成物における(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。一般的には、固形分濃度にして、3〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
本発明において、(B)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ジアゾメタンニトロベンジルスルホネート類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲より少ないとパターン形成が十分に行われないおそれがあり、上記範囲を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
本発明のポジ型レジスト組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、および後述する任意の各成分を、有機溶剤(C)に溶解させて製造することができる。
有機溶剤(C)としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤(C)は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましいが、その配合比は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3であると好ましい。
また、有機溶剤(C)として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤(C)の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内とされる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、脂肪族アミンとは炭素数15以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのような第3級アルカノールアミンやトリ−n−オクチルアミンのような第3級アミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
また、前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
付加的樹脂としては、例えば、例えば従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているものが挙げられ、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。付加的樹脂の割合は、本発明の効果を損なわない範囲とし、ポジ型レジスト組成物の総固形分に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物を用いて、例えば以下の様なレジストパターン形成方法によりレジストパターンを形成することができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(PAB)を40〜120秒間、好
ましくは60〜90秒間施し、これに例えば電子線描画装置などにより、電子線や極紫外線等を選択的に露光する。すなわちマスクパターンを介して露光する、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射して描画した後、70〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜500秒間、好ましくは60〜300秒間施す。次いでこれをアル
カリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、EBおよびEUV、特にEBに対して有効である。
LERが低減される理由としては、定かではないが、以下の理由が考えられる。すなわち、レジストパターンを形成した際のレジスト膜表面における荒れ(LER)は、例えば以下の1.、2.のような、レジスト膜の基材成分を構成するマトリクス分子ごとのアルカリ現像液に対する溶解性のばらつきにその原因のひとつを求めることができる。
1.酸解離性溶解抑制基で部分あるいは全保護されたアルカリ可溶性基を有するマトリクス分子を含有する基材中、各マトリクス分子が有する酸解離性溶解抑制基の数や、未保護のアルカリ可溶性基の数、各マトリクス分子の分子量分布の広さ(多分散)などがもたらす、基材自体のアルカリ溶解性のばらつき
2.露光時に化学増幅型アルカリ可溶性マトリクスに付加された酸解離性保護基の脱保護反応のばらつき
このように、ミクロな視点で見た場合に分子量分布やモノマー組成比が不均一であるポリマーをパターン形成材料の基材として用いるために、リソグラフィ過程において多くの問題が生じると考えられる。例えば、レジスト膜を形成するためのスピンコーティング過程において、親水性の高いポリマー同士、疎水性の高いポリマー同士がそれぞれドメインを形成し、それによって酸発生剤等の分布にもばらつきが生じる。その結果、露光部と未露光部と界面において、発生した酸による酸解離性溶解抑制基の解離(脱保護反応)が進行する際の進行度が均一でなく、脱保護反応後の各ポリマーのアルカリ溶解性にばらつきが生じ、レジスト膜の溶解速度にもばらつきが生じる。
そして、このようなレジスト中の各ポリマーの溶解性のわずかな差がLERを増大させてしまう。したがって、LERを低減するためには各ポリマーのアルカリ溶解挙動を制御しなければならないが、上述のように、ポリマー自体のアルカリ溶解性を均一にすることは難しく、LERの低減は困難である。
すなわち、LERの悪化の原因として、ストレージ中にレジスト組成物中に経時的に異物が生じる異物経時の問題や、パターン形成時にパターン表面に見られる現像欠陥(ディフェクト)の問題が考えられるが、本発明者らの検討によれば、定かではないが、これらの問題は、上記低分子化合物が結晶性の高い材料であるため、それ自体でアモルファスな膜を形成できないことがその一因であると推測される。つまり、LERの低減のためには、マトリクス自体がアモルファスで安定な膜を形成できる必要があると考えられる。
なお、従来のレジスト組成物において、マトリクス自体が結晶性の高い材料であったとしても、一般的に、物質の結晶性は、構造を異にする物質、いわゆる不純物が混入することにより低下することが知られており、そのことから、酸解離性の保護基を付与されたアルカリ可溶性のマトリクスに、酸発生剤、クエンチャ、溶媒など複数の構成物を加えたレジスト組成物全体としては、アモルファスな膜を提供できる材料であると考えられる。
また、特定範囲の低分子であるが故に、一分子内のアルカリ可溶性基の保護数が少数であっても、基材全体としては充分な保護数となるため、露光後の溶解コントラストを充分に得ることができ、解像性も向上する。
さらに、本発明においては、現在のリソグラフィプロセスにおいて問題となっている問題の1つであるディフェクト(現像欠陥)も改善される。すなわち、ディフェクトは、様々な要因により様々な様態で現出するものであるが、レジスト組成物中、さらに言えば基材中の、極度に溶解挙動の異なるポリマーが主たる原因と一つとして認識されている。現行のポリマー系で言えば、アルカリ溶解性を持たない非酸解離性溶解抑制基を有するモノマーが高い割合で導入されたようなポリマーは、露光部においても酸による極性変化度合いが極端に低く、現像のこりとして観察されたり、あるいは周りの高分子が溶解するために現像プロセス中に一度は溶解してもその後の純水によるリンスプロセスへの移行の際に再析出してレジスト薄膜表面に付着することなどが予想される。しかし、本発明においては、上述したように、材料中の各分子のアルカリ溶解性が比較的均一であるため、ディフェクトについても改善されると考えられる。
参考例1
下記式で表される多価フェノール化合物No.01〜19について、下記の手順で溶解性およびアモルファス性を評価した。
各化合物No.01〜19に対し、乳酸エチル/プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート=40/60(質量比)の混合溶剤(以下、EMと略記する)を、濃度が14質量%となる量添加し、超音波洗浄器を用いて超音波処理(溶解処理)を施してサンプルとした。超音波処理後、各サンプルを一昼夜室温で静置して、その溶解状態を目視にて確認した。
次いで、上記EMへの溶解性の評価において、完全に溶解しなかったものについて、EMに代えてテトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)を用いて同様の評価を行った。
その結果を表1に示す。表1中、○は完全に溶解していたことを示し、△は完全には溶解せず、不溶物が見られたことを示し、×は超音波処理後は溶解したが静置後に再結晶したか、あるいは超音波処理直後でも溶解していなかったことを示す。
上記溶解性の評価が×でなかったサンプル(14質量%EM溶液)を、0.45ミクロンのポアサイズのディスクフィルタにてろ過処理した後、シリコンウェハ上に1500rpmにて2mLスピンコートし450nmの膜を設けた。この状態で、目視にて、アモルファス(非晶質)な膜(光学的に透明な膜)が形成されているかどうかを確認した。
上記スピンコート後、アモルファスな膜が形成されていたウェハについて、乾燥ベーク(PAB,Post Applied Bake)を110℃、90秒の条件で施した。この状態で、目視にて、アモルファスな膜が形成されているかどうかを確認した。
上記スピンコート後、アモルファスな膜が形成されていたウェハについて、ウェハカセットケース内で、室温環境下で2週間放置した。この状態で、目視にて、アモルファスな膜が形成されているかどうかを確認した。
その結果を表1に示す。表1中、○はアモルファスな膜が形成されていたことを示し、Crystはウェハ上に、部分的にまたは全面的に結晶化部分が形成されたことを示す。なお、「Coat後」はスピンコート後、PAB処理する前を、「PAB後」はPABを開始してから、PAB処理後にウェハが室温に戻るまでを意味する。
なお、表1中、*1は、乳酸エチル、トルエン、酢酸ブチル、2−ヘプタノンにも不溶であったことを意味する。
上記参考例1におけるNo.18の多価フェノール化合物(分子量981:以下、MBSAと略す)、10gをテトラヒドロフラン33gに溶解し、これにエチルビニルエーテル1.8gを添加して攪拌しながら室温にて12時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル系にて抽出精製を行った。これによりパターン形成材料用基材(a1)10.1gを得た。
{1−エトキシエチル基で保護されたフェノール性水酸基の数/(フェノール性水酸基の数+1−エトキシエチル基で保護されたフェノール性水酸基の数)}×100
上記参考例1におけるNo.19の多価フェノール化合物(分子量708:以下、MBSA−2と略す)、10gをテトラヒドロフラン33gに溶解し、これにエチルビニルエーテル4.9gを添加して攪拌しながら室温にて12時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル系にて抽出精製を行った。これによりパターン形成材料用基材(a2)を得た。
製造例1で得たパターン形成材料用基材(a1)と、その合計固形分量に対して、10質量%のトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートと、1質量%のトリ−n−オクチルアミンとを乳酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=40/60(質量比)に溶解し、固形分濃度が6質量%のポジ型レジスト組成物溶液を得た。
実施例1において用いた多価フェノール材料(a1)を、多価フェノール材料(a2)に変えた以外は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物溶液を得た。
実施例1において用いた多価フェノール材料(a1)を、ポリヒドロキシスチレン樹脂(GPCによるポリスチレン換算のMwが8000、分散度が2.65)のフェノール性水酸基が1−エトキシエチル基により保護された樹脂(保護率30.7モル%)に変えた以外は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物溶液を得た。
実施例1、2および比較例1で得られたポジ型レジスト組成物を用いて以下の評価を行った。
『解像度』
ポジ型レジスト組成物溶液を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、110℃にて90秒ベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚150nm)を成膜した。該レジスト膜に対し、電子線描画機(日立製HL−800D、70kV加速電圧)にて描画を行い、110℃にて90秒ベーク処理(PEB)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液にて60秒現像、純水にて30秒リンスして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。
得られたレジストパターンを測長SEMにより観察し、解像度を求めた。
実施例2においては、PABを80℃で90秒間、PEBを70℃で300秒間に変更した。
その結果、実施例1は50nmのラインアンドスペース、実施例2は80nmのラインアンドスペース、が形成され、比較例1は70nmのラインアンドスペースが形成された。
ポジ型レジスト溶液を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、110℃にて90秒ベーク処理を行ってレジスト膜(膜厚160nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機(日立製HL−800D、70kV加速電圧)にて、10μC/cm2の露光量で露光し、110℃にて90秒ベーク処理、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液にて現像後膜厚が初期膜厚の約90%になる現像時間にて現像したあと(実施例1と2は60秒現像、比較例1は15秒現像)、純水にて30秒リンスした。
リンス後、レジスト膜の表面を、AFM(原子間力顕微鏡:Veeco Instrument Inc.社製di NanoScope IV/D5000)により観察し、1μm角あたりの自乗平均面粗さ(Rms)を求めた。
表面ラフネスとパターンのLERとの間に正の相関があることは、山口らの報告(T.Yamaguchi et al.,J.Photopolymer.Sci.Technol.,10(1997)635など)によって指摘されており、上記結果から、実施例1および2のポジ型レジスト組成物を用いて得られるパターンのLERが良好であることがわかる。また、リンス後のレジスト膜表面の粗さの改善により、ディフェクトについても改善されることが十分予想される。
Claims (5)
- 2以上のフェノール性水酸基を有し、下記(1)、(2)および(3)を満たす多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護されている低分子化合物(X1)を含有することを特徴とするパターン形成材料用基材。
(1)分子量が300〜2500
(2)分子量の分散度が1.5以下
(3)スピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる - 前記多価フェノール化合物(x)が、下記一般式(I)、(II)または(III)で表される多価フェノール化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載のパターン形成材料用基材。
- 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、請求項1または2記載のパターン形成材料用基材であることを特徴とするポジ型レジスト組成物。 - さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項3記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項3または4記載のポジ型レジスト組成物を基板上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。
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