JP2006347892A - 化合物、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
また、微細な寸法のパターンを形成可能なパターン形成材料の1つとして、膜形成能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ可溶性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ可溶性が増大するポジ型とがある。
しかし、このようなパターン形成材料を用いてパターンを形成した場合、パターンの上面や側壁の表面に荒れ(ラフネス)が生じる問題がある。たとえばレジストパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
かかる問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、例えば電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが求められている。
しかし、一般的に基材として用いられているポリマーは、分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)が数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分1分子単位で行われるため、基材成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ラフネスの低減されたレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法、ならびに該ポジ型レジスト組成物用として好適な化合物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、下記一般式(I)で表され、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物におけるフェノール性水酸基の水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で置換された化合物である。
前記基材成分(A)が、下記一般式(I)で表され、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物におけるフェノール性水酸基の水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で置換された化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明の化合物(以下、化合物(A1)という。)は、上記一般式(I)で表され、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物(以下、多価フェノール化合物(I)という。)におけるフェノール性水酸基の水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で置換されている化合物である。
化合物(A1)においては、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とともにレジスト組成物に配合された場合に、露光により、該酸発生剤成分(B)から発生した酸が作用すると、酸解離溶解抑制基が解離し、化合物(A1)全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性へ変化する。
上記一般式(I)中、R11〜R14はそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であり、該直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−プロピル基が挙げられる。これらの中でも、合成が容易である点で、メチル基又はエチル基が好ましい。
l、nはそれぞれ独立に0または1であり、好ましくは0である。
式(Ia)中、R18〜R19は、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基または芳香族炭化水素基である。該アルキル基または芳香族炭化水素基は、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
R18〜R19の直鎖状または分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜5が好ましい。直鎖状のアルキル基としては、R11〜R14の直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられる。分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
R18〜R19の環状のアルキル基としては、炭素数5〜6が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。
r、y、zはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、かつr+y+zが4以下である。
Xとしては、前記一般式(Ib)で表される基が、合成が容易である点で最も好ましい。
ここで、「分散度」とは、通常、ポリマー等の多分散系の化合物に用いられるものであるが、単分散の化合物であっても、製造時における副生物や残留する出発物質などの不純物の存在により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等で分析した際に、見かけ上、その分子量に分布が生じる場合がある。つまり、単分散の化合物の場合に分散度が1であるとは純度が100%であることを意味し、分散度が大きいほど不純物の量が多い。本発明において、分散度は、このような見かけ上の分子量分布を示す化合物について、一般的に用いられているポリマーの質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定方法、例えばGPC等によりMwおよびMnを測定し、Mw/Mn比を求めることにより算出できる。
分散度は、最終目的生成物である多価フェノール化合物(I)を合成後、反応副生成物や不純物を精製除去したり、分子量分別処理等の公知の方法により不要な分子量部分を除去して調節することができる。
ここで、スピンコート法は一般的に用いられている薄膜形成手法の1つであり、アモルファスな膜とは結晶化しない光学的に透明な膜を意味する。
多価フェノール化合物がスピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる材料であるかどうかは、8インチシリコンウェーハ上にスピンコート法により形成した塗膜が全面透明であるか否かにより判別できる。より具体的には、例えば以下のようにして判別できる。まず、当該多価フェノール化合物に、一般的にレジスト溶剤に用いられている溶剤を用いて、例えば乳酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=40/60(質量比)の混合溶剤(以下、EMと略記する)を、濃度が14質量%となるよう溶解し、超音波洗浄器を用いて超音波処理(溶解処理)を施して溶解させ、該溶液を、ウェーハ上に1500rpmにてスピンコートし、任意に乾燥ベーク(PAB,Post Applied Bake)を110℃、90秒の条件で施し、この状態で、目視にて、透明な膜が得られたかどうかを判別することにより、アモルファスな膜が形成されているかどうかを確認する。なお、透明でない曇った膜はアモルファスな膜ではない。
さらに、多価フェノール化合物(I)は、上述のようにして形成されるアモルファスな膜が安定性の良好なものであることが好ましく、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも透明な状態、すなわちアモルファスな状態が維持されていることが好ましい。
酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。具体的には、第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシアルキル基、環状エーテル基等が挙げられる。
第3級アルキル基として、具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基等の鎖状の第3級アルキル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等の、脂肪族多環式基を含む第3級アルキル基等が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
第3級アルキルオキシカルボニル基における第3級アルキル基としては、上記と同様のものが挙げられる。第3級アルキルオキシカルボニル基として、具体的には、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
環状エーテル基として、具体的には、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよく、また、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基、たとえばアルコキシ基等であってもよい。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたアルキル基の例としては、たとえば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換された基(すなわちカルボニル基(C=O)を有する基)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換された基(すなわちチオカルボニル(C=S)を有する基)等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されている基としては、たとえば、炭素原子が窒素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−NH−で置換された基)や、炭素原子が酸素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−O−で置換された基)等が挙げられる。
R1としての分岐状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、tert−ブチル基であることが好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよく、特に、本発明の効果に優れることから、多環であることが好ましい。また、基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明においては、特に、基本環が炭化水素環であることが好ましい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。これらのなかでも、アダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが好ましく、特にアダマンタンが好ましい。
これらの基本環は、その環上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、低級アルキル基、フッ素原子、フッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該低級アルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。ここで、「置換基を有する」とは、基本環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていることを意味する。
R1の環状のアルキル基としては、これらの基本環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。R1においては、該R1に隣接する酸素原子が結合する炭素原子が、上記のような基本環を構成する炭素原子の1つであることが好ましく、特に、R1に隣接する酸素原子に結合する炭素原子が、低級アルキル基等の置換基が結合した第3級炭素原子であることが、本発明の効果に優れ、好ましい。
R1としてかかる環状アルキル基を有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記式で表される基が挙げられる。
R3は水素原子または低級アルキル基である。R3の低級アルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。R3としては、工業上入手しやすい点で、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。
R2が環状アルキル基である式(p2)で表される基としては、たとえば、下記式で表される基が挙げられる。
アダマンチル基と−CH(R3)−O−(CH2)n’’−との結合位置は特に限定されないが、アダマンチル基の1位または2位に結合することが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分ということがある)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分ということがある)とを含むものである。
前記(A)成分においては、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
化合物(A1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中、化合物(A1)の割合は、40質量%超であることが好ましく、50質量%超であることがより好ましく、80質量%超がさらに好ましく、最も好ましくは100質量%である。
(A)成分中の化合物(A1)の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定することができる。
かかる樹脂成分としては、例えば従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているものが挙げられ、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R21の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R21としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R22としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R31としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R31におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R32のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R35の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R32のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
pは好ましくは2である。
また、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(A=3の場合)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(A=4の場合)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(A=6の場合)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(A=10の場合)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(B=2の場合)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(B=3の場合)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(B=6の場合)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(B=10の場合)などを挙げることができる。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
ポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げらる。これらの中でも、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましく、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むことを特徴とする。
より具体的には、例えば以下の様なレジストパターン形成方法によりレジストパターンを形成することができる。すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、任意にプレベーク(PAB)を施してレジスト膜を形成する。形成されたレジスト膜を、例えば電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施す。続いて、アルカリ現像液を用いて現像処理した後、リンス処理を行って、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流し、乾燥させて、レジストパターンを得る。
これらの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、電子線、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、電子線またはEUV、特に電子線に対して有効である。
なお、場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベーク工程を含んでもよいし、基板とレジスト膜との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
ラフネスが低減される理由としては、化合物(A1)が、多価フェノール化合物(I)を基本骨格とし、そのフェノール性水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護した構造を有することにより、該化合物(A1)を含有するポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜の現像液に対する溶解挙動がより均一になるためと推測される。
すなわち、基材成分としてポリマーを用いる従来のレジストは、例えば、レジスト膜を形成するためのスピンコーティング過程において、親水性の高い分子同士、疎水性の高い分子同士がそれぞれ部分的に局在化し、それによってレジスト膜中の(B)成分等の各種成分の分布にもばらつきが生じる。また、ポリマーにおいては、酸解離性溶解抑制基の分布や解離の度合いにムラが生じやすい。そのため、露光部と未露光部との界面において、発生した酸による酸解離性溶解抑制基の解離(脱保護反応)が進行する際の進行度が均一でなかったり、脱保護反応後の各基材成分の分子のアルカリ溶解性にばらつきが生じ、レジスト膜の溶解速度にもばらつきが生じる等によりラフネスが大きくなっていたと考えられる。
一方、本発明において、化合物(A1)は、多価フェノール化合物(I)が上記構造を有することにより、分子間の物理的、化学的な性質(分子量、親水性、極性など)の差が少ないと推測される。特に、酸解離性溶解抑制基の分布状態が比較的均一となっており、そのことがラフネスの改善に寄与していると考えられる。
すなわち、多価フェノール化合物(I)は、1つの炭素原子を中心として、該炭素原子に、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシフェニル基1個と、2,6−位に直鎖状のアルキル基を有する4−ヒドロキシフェニル基2個とが結合した三環構造の2−ヒドロキシフェニル基が、Xを介して、他の三環構造の2−ヒドロキシフェニル基に結合した六環構造を有している。かかる構造においては、立体障害により、4−ヒドロキシフェニル基の水酸基(外側水酸基)に、酸解離性溶解抑制基が導入されにくくなり、それによって、分子内に存在するフェノール性水酸基間の反応性の差が小さくなっていると推測される。たとえば4−ヒドロキシフェニル基の水酸基の両側に直鎖状のアルキル基の一方または両方がない場合、4−ヒドロキシフェニル基の水酸基は、ジ(4−ヒドロキシフェニル)メチル基によって立体障害をうける2−ヒドロキシフェニル基に比べて、酸解離性溶解抑制基が導入されやすい。このような差が小さいことにより、分子内において酸解離性溶解抑制基が導入される位置や数の偏りや、解離の度合いのばらつきが少なくなると考えられる。そのため、化合物(A1)においては、性質のばらつきが少なく、該化合物(A1)を含有するポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜の性質が均一になり、ラフネスが低減できると考えられる。
合成例1(化合物の合成)
下記式(1)で表される多価フェノール化合物(1)(本州化学工業社製)3gをテトラヒドロフラン(THF)15gに溶解し、60質量%水素化ナトリウム(NaH)0.32gを加え、10分間撹拌し、2−ブロモ酢酸−2−メチルアダマンタン1.97gを加え、室温(r.t)にて10時間撹拌した。
反応終了後、水/酢酸エチル=1:1(質量比)にて抽出処理を行い、分離した酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮して、3.3gの下記式(2)で表される化合物(A)−1を得た。
1H−NMRデータ(重DMSO、内部標準:テトラメチルシラン):δ8.95−9.20 m 0.92H,7.82−7.98 m 2.87H,6.45−6.95 m 14H,5.42−5.76 m 2H,4.29−4.69 m 3.59H,3.47−3.75 m 2H,1.31−2.30 m 54.52H
前記式(1)で表される多価フェノール化合物(1)(本州化学工業社製)3gをTHF15gに溶解し、60質量%水素化ナトリウム(NaH)0.45gを加え、10分間撹拌し、2−ブロモ酢酸−2−メチルアダマンタン2.67gを加え、室温(r.t)にて10時間撹拌した。
反応終了後、水/酢酸エチル=1:1(質量比)にて抽出処理を行い、分離した酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮して、3.3gの前記式(2)で表される化合物(A)−3を得た。
化合物(A)−3について、1H−NMRによる分析を行った結果を下記に示す。この結果から、化合物(A)−3の保護率(上記式(2)中のRのうち、Rが上記式(3)で表される基である割合(モル%))は48.4%であった。
1H−NMRデータ(重DMSO、内部標準:テトラメチルシラン):δ8.95−9.20 m 0.6H,7.83−7.99 m 2.5H,6.44−6.95 m 14H,5.42−5.75 m 2H,4.26−4.68 m 5.81H,3.47−3.75 m 2H,1.31−2.30 m 73.37H
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物溶液を得た。
(A)−2:ポリヒドロキシスチレン(質量平均分子量(Mw)=8000、Mw/Mn=2.65)の水酸基の30.7モル%を1−エトキシエチル基で保護した樹脂
(B)−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
(D)−1:トリ−n−オクチルアミン
(S)−1:PGMEA/EL=6/4(質量比)の混合溶剤
<表面ラフネス>
ポジ型レジスト組成物溶液を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、110℃にて90秒間ベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚150nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて、現像後膜厚が初期膜厚の約80%となる露光量(μC/cm2)で大面積(約1cm角)描画し、表2に示すPEB温度にて90秒間のベーク処理(PEB)を行い、TMAHの2.38質量%水溶液(23℃)を用いて60秒間の現像を行った後、純水にて30秒間リンスした。
リンス後、レジスト膜の表面を、AFM(原子間力顕微鏡:Veeco Instrument Inc.社製di NanoScope IV/D5000)により観察し、1μm角あたりの自乗平均表面粗さRms(nm)を求めた。
一方、樹脂を用いた比較例1は、表面ラフネスが非常に大きかった。したがって、LERも不良である。
Claims (6)
- 酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、下記一般式(I)で表され、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物におけるフェノール性水酸基の水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で置換された化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
- さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項3または4記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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JP2001312055A (ja) * | 2000-02-18 | 2001-11-09 | Fuji Photo Film Co Ltd | ポジ型レジスト組成物 |
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2005
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