JP2010097081A - レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物、酸発生剤 - Google Patents

レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物、酸発生剤 Download PDF

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Abstract

【課題】新規なレジスト組成物、該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法、該ポジ型レジスト組成物用の成分、特に酸発生剤として有用な新規な化合物および酸発生剤を提供する。
【解決手段】トリフェニルメタンを骨格とする特定のフェノール化合物および該フェノール化合物における−OHの水素原子の一部が有機基で置換された置換フェノール化合物からなる群から選択され、一分子中に少なくとも2つの−OHを有する化合物における−OHのうち、少なくとも1つの−OHの水素原子が式(I)で表される基で置換され、少なくとも1つの−OHの水素原子が酸解離性溶解抑制基を含む特定の基で置換されている化合物を含有するレジスト組成物。
Figure 2010097081

【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物用の成分、特に酸発生剤として有用な新規な化合物、酸発生剤、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関する。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、膜形成能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有し、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型とがある。
従来、化学増幅型レジストの基材成分としてはポリマーが用いられており、たとえばポジ型の場合、主に、酸(酸発生剤から発生した酸)の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂が用いられている(たとえば特許文献1参照)。かかる樹脂および酸発生剤成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部において酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により前記樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性が増大し、結果、該レジスト膜の露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
また、化学増幅型レジスト組成物において使用される酸発生剤としては、これまで多種多様のものが提案されており、たとえばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤などが知られている。オニウム塩系酸発生剤としては、スルホニウム塩やヨードニウム塩が一般的に用いられている(たとえば特許文献2参照)。
しかし、このような化学増幅型レジストを用いてパターンを形成した場合、パターンの上面や側壁の表面に荒れ(ラフネス)が生じる問題がある。たとえばレジストパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
かかる問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、例えば電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが求められている。
しかし、一般的に基材成分として用いられているポリマーは、分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)が数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分1分子単位で行われるため、基材成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
このような問題に対し、極低ラフネスを目指した材料として、基材成分として低分子材料を用いるレジストが提案されている。たとえば非特許文献1,2には、水酸基、カルボキシ基等のアルカリ可溶性基を有し、その一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護された低分子材料が提案されている。
特開2003−241385号公報 特開2005−37888号公報 T.Hirayama,D.Shiono,H.Hada and J.Onodera:J.Photopolym.Sci.Technol.17(2004)、p435 Jim−Baek Kim,Hyo−Jin Yun,Young−Gil Kwon:Chemistry Letters(2002)、p1064〜1065
上記のような低分子材料を基材成分として用いたレジスト組成物は、基材成分の分子サイズが小さく、ラフネスを低減できると予想される。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、基材成分として上述のような低分子材料を用いた場合、実用上、いくつかの問題がある。たとえば耐熱性が低い問題がある。また、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が小さく、解像性が充分に向上しない問題がある。また、露光後にアウトガスが生じやすい問題もある。これらの問題は、特に、酸発生剤としてオニウム塩系酸発生剤を用いた場合に顕著である。
近年、レジストパターンの微細化はますます進み、従来のレジスト組成物には、種々のリソグラフィー特性の更なる向上が要望されている。そのため、上記のような問題を解決できる新規な材料が要求されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、新規なレジスト組成物、該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法、該レジスト組成物用の成分、特に酸発生剤として有用な新規な化合物および酸発生剤を提供することを課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、下記一般式(1−1)で表されるフェノール化合物および該フェノール化合物における−OHの水素原子の一部が有機基で置換された置換フェノール化合物からなる群から選択され、一分子中に少なくとも2つの−OHを有する化合物(1)における−OHのうち、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(I)で表される基で置換され、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(II)で表される基で置換されている化合物(B1)を含有するレジスト組成物である。
Figure 2010097081
[式中、n11は1〜3の整数であり;Aは(n11+1)価の連結部であり;aおよびn1はそれぞれ独立に1以上の整数であり、n2およびn5はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつa+n1+n2+n5が5以下であり;bは1以上の整数であり、n3およびn4はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつb+n3+n4が4以下であり;cは1以上の整数であり、n6およびn7はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつc+n6+n7が4以下であり;R101〜R107はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または芳香族炭化水素基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく;ZおよびZはそれぞれ独立に下記一般式(z1)で表される基である。]
Figure 2010097081
[式中、R113は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。]
Figure 2010097081
[式中、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基であり;RおよびRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基であり、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく;A’は単結合または2価の連結基であり;Xはアニオンである。]
Figure 2010097081
[式中、Rは酸解離性溶解抑制基である。]
本発明の第二の態様は、支持体上に、前記第一の態様のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明の第三の態様は、下記一般式(1−1)で表されるフェノール化合物および該フェノール化合物における−OHの水素原子の一部が有機基で置換された置換フェノール化合物からなる群から選択され、一分子中に少なくとも2つの−OHを有する化合物(1)における−OHのうち、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(I)で表される基で置換され、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(II)で表される基で置換されている化合物である。
Figure 2010097081
[式中、n11は1〜3の整数であり;Aは(n11+1)価の連結部であり;aおよびn1はそれぞれ独立に1以上の整数であり、n2およびn5はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつa+n1+n2+n5が5以下であり;bは1以上の整数であり、n3およびn4はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつb+n3+n4が4以下であり;cは1以上の整数であり、n6およびn7はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつc+n6+n7が4以下であり;R101〜R107はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または芳香族炭化水素基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく;ZおよびZはそれぞれ独立に下記一般式(z1)で表される基である。]
Figure 2010097081
[式中、R113は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。]
Figure 2010097081
[式中、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基であり;RおよびRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基であり、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく;A’は単結合または2価の連結基であり;Xはアニオンである。]
Figure 2010097081
[式中、Rは酸解離性溶解抑制基である。]
本発明の第四の態様は、前記第三の態様の化合物からなる酸発生剤である。
本明細書および本特許請求の範囲において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物を意味する。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明によれば、新規なレジスト組成物、該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法、該レジスト組成物用の成分、特に酸発生剤として有用な新規な化合物および酸発生剤を提供できる。
≪レジスト組成物≫
<化合物(B1)>
本発明のレジスト組成物は、特定の化合物(1)における−OHのうち、少なくとも1つの−OHの水素原子が前記一般式(I)で表される基(以下、基(I)ということがある。)で置換され、少なくとも1つの−OHの水素原子が前記一般式(II)で表される基(以下、基(II)ということがある。)で置換されている化合物からなる酸発生剤(B1)(以下、(B1)成分ということがある。)を含有する。
この(B1)成分は、基(I)を有することにより、露光により酸を発生する酸発生剤成分としての機能を有する。また、特定の化合物(1)を骨格とするため、膜形成能を有し、また、基(II)を有することにより、酸(酸発生剤成分から発生した酸)の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する性質を有し、化学増幅型ポジ型レジストの基材成分としての機能も有する。
そのため、(B1)成分からなる膜を形成可能であり、また、該膜に対して露光を行うと、当該(B1)成分中の基(I)から酸(X)が発生し、該酸は、当該(B1)成分中の基(II)におけるR(酸解離性溶解抑制基)を解離させる。「酸解離性溶解抑制基」は、前記酸の作用により解離する酸解離性を有し、かつその解離前は(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を抑制し、該(B)成分をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有する基であり、該Rが解離することにより、(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
そのため、(B1)成分を含有するレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、(B1)成分から酸が発生し、該酸が当該(B1)成分自身に作用してRを解離させ、結果、該レジスト膜の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、該レジスト膜をアルカリ現像すると、露光部のレジスト膜が除去され、レジストパターンが形成される。
[基(I)]
式(I)中、Rのアリーレン基は、置換基を有さない無置換のアリーレン基であってもよく、その水素原子の一部または全部が置換基で置換されている置換アリーレン基であってもよい。Rのアリーレン基における置換基の数は、0〜2が好ましい。
無置換のアリーレン基としては、例えば、炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。該アリーレン基は、安価に合成可能なことから、炭素数が6〜10であることが好ましい。該アリーレン基としては、特に、フェニレン基またはナフチレン基が好ましい。
置換アリーレン基における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。これらの中でもアルキル基が好ましい。
前記置換アリーレン基における置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
該置換基としてのエーテル基としては、式:−R01−R02[式中、R01はアルキレン基であり、R02はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
01のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。また、その炭素数は1〜10が好ましく、3〜5がより好ましい。該アルキレン基として、具体的には、前記で無置換のアルキル基として挙げたアルキル基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
02のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。また、その炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。該アルキル基として、具体的には、前記で挙げた無置換のアルキル基と同様のものが挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、前記置換基として挙げたハロゲン原子と同様のものが挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、特に、フッ素化アルキル基が好ましい。
としては、置換基を有していてもよいフェニレン基またはナフチレン基が好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基が最も好ましい。
が置換基を有していてもよいフェニレン基である場合、当該フェニレン基において、隣接する酸素原子(基(I)でその水素原子が置換される−OHの酸素原子)が結合する位置は、隣接するイオウ原子が結合する位置に対し、パラ位であることが好ましい。
式(I)中、Rおよび/またはRがアリール基である場合、該アリール基は、置換基を有さない無置換のアリール基であってもよく、その水素原子の一部または全部が置換基で置換されている置換アリール基であってもよい。
無置換のアリール基としては、例えば、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。該アリール基は、安価に合成可能なことから、炭素数が6〜10であることが好ましい。該アリール基としては、特に、フェニル基またはナフチル基が好ましい。
置換アリール基における置換基としては、前記置換アリーレン基における置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式(I)中、Rおよび/またはRがアルキル基である場合、該アルキル基としては、特に限定されず、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
式(I)中、RおよびRは相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよい。この場合、RおよびRは、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
本発明において、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましく、無置換のアリール基であることがより好ましく、フェニル基またはナフチル基であることがさらに好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。
式(I)中、A’は単結合または2価の連結基である。
該2価の連結基としては、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の基等が好適なものとして挙げられる。
該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
また、該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基。以下、2価の脂肪族環式基ということがある。)、該2価の脂肪族環式基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
2価の脂肪族環式基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂肪族環式基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の基における「ヘテロ原子」とは、炭素原子および水素原子以外原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04(R04はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−、またはこれらの基のうちの少なくとも1つと、2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、その構造中に芳香族炭化水素環を含む炭化水素から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、芳香族炭化水素環から2個の水素原子を除いた基(アリーレン基)、該芳香族環式基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、たとえば、ベンゼン環、ビフェニル環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基は、当該基を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されていてもよい。
芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよく、有さなくてもよい。ここで、芳香族炭化水素基が置換基を有するとは、無置換の芳香族炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていることを意味する。
前記芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から選択される1種以上が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。
環状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、4〜14であることがより好ましく、5〜12であることが特に好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよい。また、該基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、後記するように炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。
これらの基本環は、その環上に炭化水素基からなる置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
前記置換基としてのアリール基としては特に限定されないが、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。中でもフェニル基がより好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、酸素原子(−O−)に前記アルキル基が結合した基が挙げられる。
前記置換基としてのアリールオキシ基としては、酸素原子(−O−)に前記アリール基が結合した基が挙げられる。
本発明において、式(I)中のA’は、2価の連結基であることが好ましく、ヘテロ原子含有連結基がより好ましい。中でも、式:−C(=O)−W−O−[Wは2価の連結基である。]で表される基が最も好ましい。すなわち、基(I)としては、下記一般式(I−1)で表される基が最も好ましい。
Figure 2010097081
[式中、R〜RおよびXはそれぞれ前記と同じであり、Wは2価の連結基である。]
式(I−1)中、Wとしては、前記A’として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Wとしては、特に、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基が最も好ましい。
式(I)中、Xのアニオンは特に限定されず、オニウム塩系酸発生剤のアニオン部として公知のものを適宜選択して用いることができる。
として好ましいアニオンとしては、たとえば、下記一般式(x−1)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表す。]
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
該直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
該環状のアルキル基としては、炭素数4〜20であることが好ましく、炭素数4〜15であることがより好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、酸素原子(=O)、式:Z−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、R”において挙げたハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記アルキル基としては、R”におけるアルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Z−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−O−R93−O−C(=O)−、−R92−O−C(=O)−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合および/またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−O−、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−O−R93−O−C(=O)−、−R92−O−C(=O)−R93−O−C(=O)−が好ましい。
Z−Q−で表される基において、Zの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。前記R”は水素原子、または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としての−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、上述した構成単位(a2)におけるR”と同じである。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてヒドロキシアルキル基としては、置換基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
Zにおける芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアルキル基またはヘテロアリール基が好ましい。
該アリール基としては、無置換のアリール基、または置換基としてハロゲン原子を有するアリール基(ハロゲン化アリール基)が好ましく、フェニル基、ナフチル基、フッ素化フェニル基が特に好ましい。
前記アリールアルキル基としては、アルキル基がメチル基であるものが好ましく、ナフチルメチル基またはベンジル基が好ましい。
前記ヘテロアリール基としては、ヘテロ原子として窒素原子を含むものが好ましく、ピリジンから水素原子を1つ除いた基が特に好ましい。
Zにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Zにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Zにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)またはこれらの組み合わせが好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明において、Zは、置換基を有していてもよい環式基を有するものであることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
本発明において、R”は、置換基としてZ−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、Z−Q−Y−[式中、QおよびZは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
すなわち、Xは、下記一般式(x−11)で表されるアニオンであることが好ましい。
Figure 2010097081
[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基であり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]
式(x−11)中、Z、Qはそれぞれ前記と同じである。
のアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
式(x−11)で表されるアニオンとして、好ましいものとしては、下記一般式(x−11−1)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、Zは前記と同じであり、Qは単結合またはアルキレン基であり、pは1〜3の整数であり、m1〜m4はそれぞれ独立に0または1である。ただし、m2+m3は1または2である。]
前記式(x−11−1)中、pは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。
のアルキレン基としては、上記Qについての説明におけるR91〜R93のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
m1〜m4は、それぞれ0または1である。ただし、m2+m3は1または2である。
式(x−11−1)で表されるアニオンとして、より具体的には、以下に示す、一般式(x−11−10)で表されるアニオン、一般式(x−11−20)で表されるアニオン、一般式(x−11−30)で表されるアニオン、一般式(x−11−40)で表されるアニオン等が挙げられる。
・・一般式(x−11−10)で表されるアニオン
Figure 2010097081
[式(x−11−10)中、Z、Q、m3およびpはそれぞれ前記と同じである。]
式(x−11−10)中、Zとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、置換基を有していてもよい直鎖状の脂肪族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。中でも、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含む脂肪族環式基が好ましい。
としては、単結合またはメチレン基が特に好ましい。中でも、Zが置換基を有していてもよい脂肪族環式基である場合は、Qが単結合であることが好ましい。また、Xが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である場合は、Qがメチレン基であることが好ましい。
一般式(x−11−10)で表されるアニオンの好適な具体例を以下に挙げる。
Figure 2010097081
[式中、Q”、m3およびpはそれぞれ前記と同じであり、RおよびR’はそれぞれ独立に置換基であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、v1〜v2はそれぞれ独立に0〜5の整数である。]
式中、Rの置換基としては、前記Zにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式中、R’の置換基としては、前記Zにおいて、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
またはR’に付された符号(w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRまたはR’はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
w1〜w6は、それぞれ独立に、0〜2であることが好ましく、0が最も好ましい。
v1〜v2は、それぞれ独立に、0〜3であることが好ましく、0が最も好ましい。
・・一般式(x−11−20)で表されるアニオン
Figure 2010097081
[式(x−11−20)中、Zおよびpはそれぞれ前記と同じであり、Qはアルキレン基である。]
式(x−11−20)中、Zとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、置換基を有していてもよい直鎖状の脂肪族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。
のアルキレン基としては、上記Qについての説明におけるR91〜R93のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
一般式(x−11−20)で表されるアニオンの好適な具体例を以下に挙げる。
Figure 2010097081
[式中、p、RおよびR’はそれぞれ前記と同じであり、w7〜w9はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q1は1〜12の整数であり、gは1〜20の整数である。]
またはR’に付された符号(w7〜w9)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRまたはR’はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
w7〜w9は、それぞれ独立に、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
q1は、1〜8であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。
gは、1〜15であることが好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。
pは、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
・・一般式(x−11−30)で表されるアニオン
Figure 2010097081
[式(x−11−30)中、pは前記と同じであり、q2は0〜5の整数であり;R”はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;r1は0〜2の整数であり、r2は1〜5の整数であり、1≦r1+r2≦5である。]
式(x−11−30)中、q2は、1〜4が好ましく、1又は2がより好ましく、2が最も好ましい。
”のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基は、それぞれ、前記Zにおける芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
r1は、0が最も好ましい。
r2は、2〜5が好ましく、5が最も好ましい。
・・一般式(x−11−40)で表されるアニオン
Figure 2010097081
[式(x−11−40)中、pおよびRはそれぞれ前記と同じであり、q3は1〜12の整数であり、r3は0〜3の整数である。]
式(x−11−40)中、Rとしては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基が好ましい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
に付された符号(r3)が2以上の整数である場合、当該化合物における複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
pは、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
q3は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
r3は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
また、R”としては、置換基として酸素原子(=O)を有するものも好ましい。この場合、R”としては、R10”−(CHn’−[式中、置換基として酸素原子(=O)を有する炭素数4〜20の環状のアルキル基であり;n’は0または1である。]で表される基が好ましい。
「置換基として酸素原子(=O)を有する」とは、炭素数4〜20の環状のアルキル基を構成する1の炭素原子に結合する2つの水素原子が、酸素原子(=O)と置換されている基を意味する。
10”の環状のアルキル基としては、炭素数4〜20であれば特に制限はなく、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから、1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。単環式基としては、炭素数3〜8のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12が好ましく、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。
10”としては、置換基として酸素原子(=O)を有する炭素数4〜20の多環式のアルキル基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、またはテトラシクロドデカニル基を構成する1の炭素原子に結合する2つの水素原子が、酸素原子(=O)と置換されている基が好ましく、特に置換基として酸素原子(=O)を有するノルボルニル基が好ましい。
10”のアルキル基は、酸素原子以外にも置換基を有していてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基等が挙げられる。
式:R10”−(CHn’−中、n’は、0または1であり、1であることが好ましい。
”がR10”−(CHn’−で表される基である場合、Xは、カンファースルホン酸イオン(カンファーの水素原子の1つが−SO で置換されたイオン)であることが好ましく、特に、下記化学式(x−12−1)で表されるイオン(ノルボルナン環の1位に結合したメチル基の炭素原子にスルホン酸イオン(−SO )が結合したもの)であることが好ましい。
Figure 2010097081
また、上記以外に、Xとして用いることができるアニオンとしては、下記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
X”のアルキレン基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
X”のアルキレン基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
Y”、Z”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、前記R”において挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
前記Y”、Z”におけるハロゲン化アルキル基は、アルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基であり、上記R”におけるハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
該ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が特に好ましい。
なお、式(b−4)中、Y”およびZ”のうちの一方がアルキル基であり、他方がフッ素化アルキル基である場合は、該アルキル基に結合した−SO−が−C(=O)−に置換されていてもよい。すなわち、式(b−4)で表されるアニオン部は、下記一般式(b−4’)で表されるものであってもよい。
Figure 2010097081
[式中、Rはフッ素化アルキル基であり、Rはアルキル基である。]
式中、Rにおけるフッ素化アルキル基は、前記Y”およびZ”におけるハロゲン化アルキル基として示したハロゲン化アルキル基のうちのフッ素化アルキル基と同様である。
におけるアルキル基は、前記Y”およびZ”におけるアルキル基として示したハアルキル基のうちのフッ素化アルキル基と同様である。
のアルキル基として、好ましい具体例としては、環状アルキル基を有するもの;例えばメチルアダマンチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
Y”、Z”におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、置換基を有していてもよい。
Y”、Z”におけるアルキル基が「置換基を有していてもよい」とは、前記アルキル基における水素原子の一部もしくは全部が、置換基で置換されていても良いことを意味する。Y”、Z”におけるハロゲン化アルキル基が「置換基を有していてもよい」とは、当該ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子および水素原子の一部もしくは全部が、置換基で置換されていても良いことを意味する。Y”、Z”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
Y”、Z”におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基が有していてもよい置換基は、炭素原子、水素原子およびハロゲン原子以外の他の原子または基であればよく、例えば、ヘテロ原子、アルキル基、式:Z−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
これらの置換基のうち、ヘテロ原子、アルキル基としては、それぞれ、前記R”における置換基として挙げたヘテロ原子、アルキル基と同様のものが挙げられる。
−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
としては、前記Z−Q−で表される基におけるQと同様のものが挙げられる。
としては、エステル結合および/またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−O−、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
−Q−で表される基において、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。
としては、前記Z−Q−で表される基におけるZと同様のものが挙げられる。
としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状または環状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、環状の脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。
本発明においては、式(b−4)中、Y”およびZ”のうちの少なくとも一方が、置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であることが好ましい。
特に、Y”およびZ”の一方がパーフルオロアルキル基であり、他方が、置換基を有していてもよいアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが好ましい。このような場合の式(b−4)で表されるアニオンとしては、たとえば、下記式(b4−1)〜(b4―11)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2010097081
Figure 2010097081
[式中、Rは前記と同じであり、gは1〜4の整数であり、t1〜t5はそれぞれ独立に1〜4の整数であり、m31〜m35はそれぞれ独立に0又は1であり、s1〜s8はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q3〜q5はそれぞれ独立に0〜3の整数である。]
に付された符号(s1〜s8)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
gは、それぞれ独立に1〜4の整数であり、1又は2が好ましく、1が最も好ましい。
t1〜t5は、それぞれ独立に1〜4の整数であり、1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
31〜m35は、それぞれ独立に0又は1であり、0が好ましい。
s1〜s8は、それぞれ独立に0〜3の整数であり、0又は1が好ましく、0が最も好ましい。
q3〜q5は、それぞれ独立に0〜3の整数であり、0又は1が好ましく、0が最も好ましい。
また、上記以外に、Xとして用いることができるアニオンとして、メチドアニオンが挙げられる。該メチドアニオンとしては、たとえば、下記一般式(b−c1)で表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、R”は、少なくとも1の水素原子がフッ素置換されている炭素数1〜10のアルキル基であり;R”は、置換基を有していてもよい炭化水素基、または−SO−R”である。]
式(b−c1)中、R”は、少なくとも1の水素原子がフッ素置換されている炭素数1〜10のアルキル基である。当該アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。本発明におけるR”としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
式(b−c1)において、R”が置換基を有していてもよい炭化水素基の場合(なお、「置換基を有していてもよい炭化水素基」とは、当該炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する。)、R”の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。具体的には、上記式:Z−Q−におけるZと同様のものが挙げられる。
”としては、置換基としてハロゲン原子を有するアリール基(ハロゲン化アリール基)または−SO−R”が好ましい。該ハロゲン化アリール基におけるアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基、たとえばフェニル基、ナフチル基等のアリール基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。ハロゲン化アリール基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
以下に、基(I)の好ましい具体例を示す。
Figure 2010097081
[式中、R11〜R14はそれぞれ独立にアルキル基またはアルコキシ基であり、n13およびn14はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Xは前記と同じである。]
式(I−1)〜(I−3)中、R11〜R14のアルキル基、アルコキシ基としては、それぞれ、前記置換アリール基における置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基と同様のものが挙げられる。
n13およびn14はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、0が最も好ましい。
[基(II)]
式(II)中、Rは酸解離性溶解抑制基である。
該酸解離性溶解抑制基は、解離前は(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を抑制し、該(B1)成分をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光により当該(B1)成分中の基(I)から発生した酸(X)の作用により解離してこの(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる基である。そのため、(B1)成分を配合したレジスト組成物においては、露光により(B1)成分から酸が発生すると、該酸の作用により酸解離性溶解抑制基が解離して、当該(B1)成分がアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性へと変化し、当該レジスト組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
脂肪族環式基の、置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、ジシクロデカン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基;(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基等が挙げられる。
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(21−1)〜(21−9)で表される基等が挙げられる。
(ii)脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(22−1)〜(22−6)で表される基等が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、R14は低級アルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
Figure 2010097081
[式中、R15およびR16は、それぞれ独立にアルキル基である。]
14〜R16のアルキル基としては、低級アルキル基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよい。]
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2010097081
[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
Yのアルキル基は、その構造中にヘテロ原子を含んでもよい。すなわち、Rとしてのアルキル基は、水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基(ヘテロ原子そのものの場合も含む)で置換されていてもよく、該アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい。ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよく、また、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基、たとえばアルコキシ基等であってもよい。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたアルキル基の例としては、たとえば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換された基(すなわちカルボニル基(C=O)を有する基)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換された基(すなわちチオカルボニル基(C=S)を有する基)等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されている基としては、たとえば、炭素原子が窒素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH−が−NH−で置換された基)や、炭素原子が酸素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH−が−O−で置換された基)等が挙げられる。
Yとしての直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
Yとしての分岐状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、tert−ブチル基であることが好ましい。
Yが直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である場合、式(p1)で表される基の具体例としては、たとえば、1−エトキシエチル基、1−エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−n−ブトキシエチル基、1−ペンタフルオロエトキシエチル基、1−トリフルオロメトキシエチル基、1−トリフルオロメトキシメチル基等が挙げられる。
Yとしての環状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、4〜14であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよく、特に、本発明の効果に優れることから、多環であることが好ましい。また、基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明においては、特に、基本環が炭化水素環であることが好ましい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。これらのなかでも、アダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが好ましく、特にアダマンタンが好ましい。
これらの基本環は、その環上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、低級アルキル基、フッ素原子、フッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該低級アルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
ここで、「置換基を有する」とは、基本環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていることを意味する。
Yの環状のアルキル基としては、これらの基本環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
Yが環状のアルキル基である場合、式(p1)で表される基の具体例としては、たとえば、下記式(p1−1)〜(p1−20)で表される基が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、R’ は前記と同じである。]
上記のなかでも、式(p1−13)、(p1−13)、(p1−19)および(p1−20)を包括する下記一般式(p1−21)で表される基、または式(p1−15)および(p1−16)を包括する下記式(p1−22)で表される基が好ましい。
Figure 2010097081
[式中、R’は前記と同じであり、n”およびm”はそれぞれ独立に0〜2の整数であり、Wは2原子の水素原子または酸素原子である。]
n”およびm”は0又は1であることが最も好ましい。
アダマンチル基における−CHR’−O−(CHn”−の結合位置は特に限定されないが、アダマンチル基の1位又は2位が好ましい。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
本発明においては、Rが、上述した式(21−1)〜(21−9)、(22−1)〜(21−6)、(p2−1)〜(p2−25)で表される基のように、環式基を有する酸解離性溶解抑制基であることが、本発明の効果に優れることから好ましい。Rが環式基を有する酸解離性溶解抑制基であると、鎖状である場合に比べ、(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が低くなる。そのため、当該(B1)成分をレジスト組成物に配合した場合に、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の未露光部のアルカリ現像液に対する耐性が高くなり、結果、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が大きくなって解像性が向上する。
としては、特に、脂肪族環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましく、1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基がより好ましく、前記式(22−1)〜(22−6)のいずれかで表される基がさらに好ましく、式(22−1)で表される基が最も好ましい。
[化合物(1)]
化合物(1)は、前記一般式(1−1)で表されるフェノール化合物(以下、フェノール化合物(1a)という。)および該フェノール化合物(1−1)における−OHの水素原子の一部が有機基で置換された置換フェノール化合物(以下、置換フェノール化合物(1b)という。)からなる群から選択されるものであって、一分子中に少なくとも2つの−OHを有する。
式(1−1)中、n11は1〜3の整数である。つまり、化合物(1)は、その骨格に2〜4個のトリフェニルメタン構造を有する化合物である。かかる構造を有することにより、(B1)成分は優れた膜形成能を有し、また、耐熱性、種々のリソグラフィー特性等にも優れる。
11は1が最も好ましい。
Aは(n11+1)価の連結部である。
該連結部としては、特に限定されない。好ましい連結部としては、置換基を有していてもよい(n11+1)価の炭化水素基が挙げられる。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜5が特に好ましく、1または2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、飽和炭化水素基が好ましい。
たとえば2価の直鎖状の飽和炭化水素基(直鎖状のアルキレン基)として、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
また、3価または4価の直鎖状の飽和炭化水素基としては、それぞれ、前記直鎖状のアルキレン基からさらに1個または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、飽和炭化水素基が好ましい。
たとえば2価の分岐鎖状の飽和炭化水素基(分岐鎖状のアルキレン基)として、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、3価または4価の分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、それぞれ、前記分岐鎖状のアルキレン基からさらに1個または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。ここで、炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
該置換基としては、水酸基、カルボキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を(n11+1)個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が、前述した直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、その構造中に芳香族炭化水素環を含む炭化水素から(n11+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、芳香族炭化水素環から(n11+1)個の水素原子を除いた基(芳香族環式基)、該芳香族環式基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、たとえば、ベンゼン環、ビフェニル環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基は、当該基を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されていてもよい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよく、有さなくてもよい。ここで、芳香族炭化水素基が置換基を有するとは、無置換の芳香族炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていることを意味する。
芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から選択される1種以上が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。
環状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、4〜14であることがより好ましく、5〜12であることが特に好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよい。また、該基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、後記するように炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。
これらの基本環は、その環上に炭化水素基からなる置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
前記置換基としてのアリール基としては特に限定されないが、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。中でもフェニル基がより好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、酸素原子(−O−)に前記アルキル基が結合した基が挙げられる。
前記置換基としてのアリールオキシ基としては、酸素原子(−O−)に前記アリール基が結合した基が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基、アリール基は、それぞれ、その構造中に、炭化水素基以外の基または原子を含んでもよい。また、前記置換基としてのアルコキシ基中のアルキル基、およびアリールオキシ基中のアリール基も、それぞれ、その構造中に、炭化水素基以外の基または原子を含んでもよい。
例えば、これらのアルキル基およびアリール基中の水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基(ヘテロ原子そのものの場合も含む)で置換されていてもよく、該アルキル基およびアリール基中の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基(ヘテロ原子そのものの場合も含む)で置換されていてもよい。
水素原子を置換する「ヘテロ原子を含む基」におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたものとしては、例えば、水酸基、アルコキシ基、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基などの、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基で置換されたものが挙げられる。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子自体で置換されたものとしては、例えば、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換されたもの(すなわちカルボニル基(C=O)を有するもの)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換されたもの(すなわちチオカルボニル基(C=S)を有するもの)が挙げられる。
炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されたものとしては、例えば、その構造中に−CH−を含むものにおいて、該−CH−が前記ヘテロ原子含有連結基で置換されたものなどが挙げられる。ヘテロ原子含有連結基としては、たとえば酸素原子(エーテル結合;−O−)、硫黄原子(チオエ−テル結合;−S−)、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、カルボニルオキシ基(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)等が挙げられる。
炭化水素基以外の置換基は、上記のヘテロ原子を含む基以外のものでもよい。
式(1−1)中、Aが置換基を有していてもよい炭化水素基である場合、該炭化水素基としては、特に、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基が好ましい。
たとえば、n11が1の場合、すなわちAが2価の連結部である場合、該連結部としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基が好ましく、特に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または芳香族炭化水素基が好ましい。中でも下記一般式(A2−1)で表される基が好ましい。
Figure 2010097081
[式中、Zは前記一般式(z1)で表される基または水素原子であり;R108、R109はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または芳香族炭化水素基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく;n8、n9はそれぞれ独立に0以上の整数であり、dは1以上の整数であり、かつn8+n9+dは1〜4の整数であり、n10は0〜5の整数である。]
式(A2−1)中、R108、R109のアルキル基または芳香族炭化水素基としては、上記R101〜R107のアルキル基または芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
上記R101〜R107のアルキル基または芳香族炭化水素基は、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
108、R109としては、本発明の効果に優れる点で、メチル基が好ましい。
dは1以上の整数であり、1〜2が好ましく、1が最も好ましい。
n8、n9はそれぞれ独立に0以上の整数であり、d+n8+n9が4以下となる値である。n8+n9は1または2であることが好ましい。
n10は、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0または1である。
11が2の場合、すなわちAが3価の連結部である場合、該連結基の具体例としては、たとえば、下記一般式(A3−1)で表される基が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、Wは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、Wは3価の直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基であり、R110は芳香族炭化水素基である。]
としては、前記で挙げた直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
としては、前記で挙げた直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
110としては、前記で挙げた芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。該芳香族炭化水素基としては、特に、置換基を有していてもよいアリーレン基が好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基が特に好ましい。
式(A3−1)で表される基としては、特に、下記一般式(A3−11)で表される基が好ましい。
Figure 2010097081
[式中、R111〜R113はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。]
111〜R113のアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。該アルキル基は、炭素数が1〜3であることが好ましく、メチル基が最も好ましい。
11が3の場合、すなわちAが4価の連結部である場合、該連結基の具体例としては、たとえば、下記一般式(A4−1)で表される基が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、W、Wはそれぞれ独立に環状の脂肪族炭化水素基であり、R120は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
、Wにおける環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから3個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサンから3個の水素原子を除いた基が好ましい。
該環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、水酸基、カルボキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
120の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基としては、前記と同様のものが挙げられる。
式(A4−1)で表される基としては、特に、下記一般式(A4−11)で表される基が好ましい。
Figure 2010097081
[式中、R121、R122はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。]
121、R122のアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
該アルキル基は、炭素数が1〜3であることが好ましく、メチル基が最も好ましい。
式(1−1)中、R101〜R107はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または芳香族炭化水素基である。
101〜R105におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐状の低級アルキル基、または炭素数5〜6の環状アルキル基が好ましい。前記低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。前記環状アルキル基としてはシクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらのアルキル基または芳香族炭化水素基は、その構造中にヘテロ原子を含んでもよい。該ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
式(1−1)中、R101が複数存在する場合、該複数のR101はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。R102〜R107についても同様である。
式(1−1)中、ZおよびZはそれぞれ独立に前記一般式(z1)で表される基である。
式(z1)中、R113は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該炭化水素基としては、前記Aで挙げた置換基を有していてもよい炭化水素基のうちの2価のものと同様のものが挙げられる。
113としては、直鎖状のアルキレン基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。前記芳香族炭化水素基は、芳香族環として、ベンゼン環またはナフタレン環を含むことが好ましく、特に、ベンゼン環を含むことが好ましい。
113としては、特に、下記一般式(z1−1)または(z1−2)で表される基が好ましい。
Figure 2010097081
[式中、eは1〜5の整数であり、fは0〜5の整数である。]
式(z1−1)中、eは1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
式(z1−2)中、fは0〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
式(z1−2)中のベンゼン環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記で芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該ベンゼン環における置換基の数は、0〜4が好ましく、0または1がより好ましく、0であることが最も好ましい。該置換基の数が2以上の場合、これら複数の置換基は互いに同一でも異なってもよい。置換基のベンゼン環への結合位置は特に限定されない。
式(z1)において、R113が式(z1−2)で表される基である場合、式(z1−2)中のベンゼン環に対する−(CH−および−COOHの結合位置は、特に限定されないが、−(CH−および−COOHが互いにパラ位となるように結合していることが好ましい。
式(1−1)中、aおよびn1はそれぞれ独立に1以上の整数であり、n2およびn5はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつa+n1+n2+n5が5以下である。
aは、1または2であることが好ましく、1が最も好ましい。
n1は、1または2であることが好ましく、1が最も好ましい。
n2は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
n5は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
式(1−1)中、a、n1、n2、n5が複数存在する場合、該複数のa、n1、n2、n5はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
式(1−1)中、bは1以上の整数であり、n3およびn4はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつb+n3+n4が4以下である。
bは、1〜4の整数であることが好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1が最も好ましい。
n3は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
n4は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(1−1)中、b、n3、n4が複数存在する場合、該複数のb、n3、n4はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
式(1−1)中、cは1以上の整数であり、n6およびn7はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつc+n6+n7が4以下である。
cは、1〜4の整数であることが好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1が最も好ましい。
n6は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
n7は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(1−1)中、c、n6、n7が複数存在する場合、該複数のc、n6、n7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記式(1−1)で表されるフェノール化合物(1a)は、2〜4個のトリフェニルメタン構造を有するものである。
該フェノール化合物(1a)中、1つのトリフェニルメタン構造中に含まれるフェノール性水酸基の数は、1〜5が好ましく、2〜3がより好ましい。
また、該フェノール化合物は、上述したように、ZおよびZが式(z1)で表される基である。つまり、1つのトリフェニルメタン構造中に、少なくとも1つのカルボキシ基を有する。
1つのトリフェニルメタン構造中のカルボキシ基の数(つまり式(1−1)中のb、cの値)は、1〜4が好ましく、1または2がより好ましく、1が最も好ましい。
フェノール化合物(1a)において、各トリフェニルメタン構造を構成する3つのベンゼン環のうち、Aが結合するベンゼン環におけるAの結合位置は、特に限定されないが、他の2つのベンゼン環が結合した炭素原子が結合する位置に対し、メタ位に結合していることが好ましい。かかる化合物は、レジスト組成物用として好適であること、合成しやすい等の利点を有する。
下付文字aを付した水酸基(すなわち−(OH))の結合位置は、特に限定されないが、得られる(B1)成分がレジスト組成物用として好適であること、合成しやすさ等の点で、少なくとも、フェニル基のパラ位(4位)に結合していることが好ましい。
101〜R107の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、R101が、水酸基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子(オルト位の炭素原子)の少なくとも一方に結合していることが好ましい。
−OZおよび−OZの結合位置は特に限定されないが、少なくとも、Aの結合位置に対してパラ位に結合していることが好ましい。かかる化合物は、レジスト組成物用として好適であること、合成しやすい等の利点を有する。
フェノール化合物(1a)としては、特に、下記一般式(1−11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010097081
[式中、n11、A、n3〜n4、n6〜n7、b、c、R101〜R104、R106〜R107、ZおよびZはそれぞれ前記と同じである。]
式中、複数のR101はそれぞれ同じ基を示していてもよく、異なる基を示していてもよい。R102についても同様である。
102の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、水酸基のオルト位であり且つR101のメタ位である位置、または水酸基のメタ位であり且つR101のパラ位である位置に結合していることが好ましい。
103、R104、R106、R107の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、水酸基のオルト位またはメタ位が好ましい。
OZおよびOZは、それぞれ、Aの結合位置に対してパラ位に結合していることが好ましい。
上記フェノール化合物(1a)は、従来公知の方法を利用して製造できる。たとえばサリチルアルデヒド誘導体と、置換基を有していてもよいフェノール化合物とを酸性条件下で脱水縮合させることによりトリス(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体を得て、該(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体の水酸基に、さらに、クロロ酢酸メチル等のハロゲン化酢酸誘導体、クロロメチル安息香酸誘導体、ブロモメチル安息香酸誘導体等のハロゲン化アルキル安息香酸を反応させてカルボキシ基含有基を導入することにより、該フェノール化合物(1a)を製造できる。
ただし、上記のような従来公知の方法では、カルボキシ基含有基が導入される水酸基の位置や数を制御しにくく、フェノール化合物(1a)の収率が低いという問題がある。
そのため、フェノール化合物(1a)の製造方法としては、まず、前記サリチルアルデヒド誘導体の水酸基に、前記式(z1)で表される基を上記と同様にして導入した後、これを、置換基を有していてもよいフェノール化合物と酸性条件下で脱水縮合させる方法が好ましい。
以下、フェノール化合物(1a)の好ましい製造方法をより具体的に説明する。
たとえば、フェノール化合物(1a)の製造方法としては、下記一般式(1−01)で表される化合物(1−01)と下記一般式(1−02)で表される化合物(1−02)とを反応させて下記一般式(1−03)で表される化合物(1−03)を得る工程(以下、化合物(1−03)形成工程という)と、
前記化合物(1−03)と下記一般式(1−04)で表される化合物(1−04)とを酸性条件下で反応させる工程を経てフェノール化合物(1a)を得る工程(以下、フェノール化合物(1a)形成工程という)とを有する製造方法が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、n11、A、n3〜n4、n6〜n7、b、c、R101〜R107、Z、ZおよびR113はそれぞれ前記と同じであり;Xはハロゲン原子であり;R201は保護基である。]
一般式(1−02)中、Xのハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。反応性に優れることから、塩素原子、臭素原子が好ましい。
201の保護基は、化合物(1−01)と化合物(1−02)とを反応させる際に反応せず、かつ、塩基性条件下で加水分解する基であれば特に限定されない。このような塩基性条件下で加水分解する基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。
化合物(1−02)としては市販のものを利用できる。
化合物(1−01)は、市販のものを利用してもよく、合成してもよい。たとえば、化合物(1−01)は、下記一般式(1−01−1)で表される化合物(1−01−1)に、ヒドロキシメチル基を導入して下記一般式(1−01−2)で表される化合物(1−01−2)を得て、そのアルコール性水酸基をホルミル化することにより得ることができる。
Figure 2010097081
[式中、n11、A、n3〜n4、n6〜n7、b、c、R103〜R104およびR106〜R107はそれぞれ前記と同じである。]
(化合物(1−03)形成工程)
化合物(1−01)と化合物(1−02)とは、公知の方法により反応させることができる。たとえば、N−メチルピロリドン等の有機溶剤に化合物(1−01)を溶解し、該溶液中に炭酸カリウム等の塩基を添加し、撹拌しながら該溶液中に化合物(1−02)を添加することにより反応させることができる。
このとき使用する有機溶剤としては、化合物(1−01)および化合物(1−02)、並びに生成する化合物(1−03)を溶解するものであればよく、一般的な有機溶剤から任意のものを選択すればよい。一般的な有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルペンチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができ、これらを単独で、または混合して用いることができる。
反応条件は、用いる原料の組み合わせ、有機溶剤の沸点等に応じて適宜選定すれば良いが、反応温度は二段階に切り替えるのが好ましく、例えば、化合物(1−01)と化合物(1−02)との混合時の温度は、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃であり、その後昇温して、好ましくは60〜130℃、より好ましくは60〜120℃で引き続き反応を行うのがよい。
反応時間は、例えば、昇温前は好ましくは0.5〜3.5時間、より好ましくは1.5〜3.0時間とし、昇温後は好ましくは1〜24時間、より好ましくは3〜15時間とするのがよい。
反応終了後、反応液は、そのまま次の工程に用いてもよいが、水と、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤とを添加し、有機相(メチルイソブチルケトン相等)を減圧濃縮して化合物(1−03)を得てもよいし、酸を適量加えて酸析してもよい。
(フェノール化合物(1a)形成工程)
次に、酸性条件下で化合物(1−03)と化合物(1−04)とを反応させる。これにより、化合物(1−03)のホルミル基(−CHO)と化合物(1−04)とが反応する。その後、塩基性条件下で加水分解を行うことにより保護基R201が解離し、フェノール化合物(1a)が形成される。
化合物(1−04)としては市販のものを利用できる。
化合物(1−03)と化合物(1−04)とは、例えば、化合物(1−04)をメタノール等の有機溶剤に溶解し、該溶液中に、塩酸等の酸を添加し、この混合溶液中に、化合物(1−03)を添加することにより反応させることができる。
このとき使用する酸としては、化合物(1−03)と化合物(1−04)との反応を進行させ得るものであれば特に制限はない。好ましくは塩酸、硫酸、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、リン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等を好ましい具体例として挙げることができる。なかでも塩酸が好ましい。塩酸ガスを用いる場合には、これを有機溶剤中に吹き込めばよく、化合物(1−04)を有機溶剤中に添加する前に吹き込むことが好ましい。これらの酸は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いてもよい。
酸の添加量は、酸の種類により適宜調整すればよい。
反応条件は、用いる原料の組み合わせ等に応じて適宜選定すれば良いが、例えば、反応温度は、10〜80℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。反応時間は、1〜96時間が好ましく、3〜72時間がより好ましい。
反応終了後、反応液に水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等の塩基を添加して、反応液中の酸を中和する。この際に、過剰に塩基を加えることにより、中和と共に保護基R201を解離させても良いし、中和した後、さらに塩基を添加して保護基R201を解離させても良い。該塩基の種類は、中和に用いる塩基と同一であっても良いし、異なっていても良い。
このようにして得られる反応液はさらに、必要に応じて濃縮を行った後、例えば、分液ロートに移して抽出し、濃縮、乾燥を行うことにより目的物を得ることができる。
得られた化合物の構造は、H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
置換フェノール化合物(1b)は、前記フェノール化合物(1a)における−OHの水素原子の一部が炭素数1〜10のアルキル基で置換された化合物である。該置換フェノール化合物も、一分子中に少なくとも2つの−OHを有する。
置換フェノール化合物におけるアルキル基としては、前記R101〜R105の炭素数1〜10のアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該置換フェノール化合物において、水素原子が炭素数1〜10のアルキル基で置換される−OHは、フェノール性水酸基のみであることが好ましい。すなわち、該置換フェノール化合物としては、前記一般式(1−1)におけるフェノール性水酸基(ベンゼン環に直接結合した水酸基)の水素原子の一部が前記アルキル基で置換され、ZおよびZにおけるカルボキシ基末端の水酸基の水素原子が前記アルキル基で置換されていない化合物が好ましい。
(B1)成分は、前記化合物(1)における少なくとも2つの−OHのうち、少なくとも1つの−OHの水素原子が前記基(I)で置換され、少なくとも1つの−OHの水素原子が前記基(II)で置換されたものである。
(B1)成分において、基(I)または基(II)でその水素原子が置換される「−OH」は、フェノール性水酸基であってもよく、カルボキシ基(−CO−OH)中の−OH(以下、カルボン酸性水酸基ということがある。)であってもよい。
本発明において、(B1)成分は、化合物(1)の中の全てのカルボン酸性水酸基の水素原子が基(II)で置換され、一部または全部のフェノール性水酸基の水素原子が基(I)で置換されているものであることが好ましい。かかる化合物は、レジストパターン形成時に、露光部において、基(II)が解離した際に、フェノール性水酸基よりも酸性の強いカルボキシ基が形成されるため、アルカリ現像液に対する溶解コントラストが向上する。そのため、解像性、パターン形状等も向上する。また、フェノール性水酸基とカルボン酸性水酸基とでは、カルボン酸性水酸基の方が、反応性が高いことから、カルボン酸性水酸基のみに選択的に基(II)を導入しやすく、その製造が容易である。
(B1)成分の分子量は1500〜6000であることが好ましい。
該分子量が以上であると、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。該分子量は、2000以上が好ましく、3000以上がより好ましい。
また、該分子量が6000以下であると、解像性が向上し、また、ラフネスが低減し、良好な形状のレジストパターンが形成できる。該分子量は、5000以下が好ましく、4000以下がより好ましい。
(B1)成分の分子量は、たとえば当該化合物の構造を、H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認し、該構造から算出できる。
(B1)成分は、スピンコート法によりアモルファス(非晶質)な膜を形成しうる材料である。ここで、アモルファスな膜とは、結晶化しない光学的に透明な膜を意味する。スピンコート法は、一般的に用いられている薄膜形成手法の1つである。
当該化合物がスピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる材料であるかどうかは、8インチシリコンウェーハ上にスピンコート法により形成した塗膜が全面透明であるか否かにより判別できる。より具体的には、例えば以下のようにして判別できる。まず、当該化合物に、一般的にレジスト溶剤に用いられている溶剤を用いて、例えば乳酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=40/60(質量比)の混合溶剤(以下、EMと略記する)を、濃度が14質量%となるよう溶解し、超音波洗浄器を用いて超音波処理(溶解処理)を施して溶解させ、該溶液を、ウェーハ上に1500rpmにてスピンコートし、任意に乾燥ベーク(PAB,Post Applied Bake)を110℃、90秒の条件で施し、この状態で、目視にて、透明かどうかによりアモルファスな膜が形成されているかどうかを確認する。なお、透明でない曇った膜はアモルファスな膜ではない。
本発明において、(B1)成分は、上述のようにして形成されたアモルファスな膜の安定性が良好であることが好ましく、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されていることが好ましい。
本発明のレジスト組成物において、(B1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B1)成分としては、特に、前記化合物(1)におけるZおよびZが式(z1)で表される基であり、その末端のカルボキシ基の水素原子が基(II)で置換され、かつ化合物(1)の少なくとも1つのフェノール性水酸基の水素原子が基(I)で置換されている化合物が好ましい。
[(B1)成分の製造方法]
(B1)成分は、前記化合物(1)における−OHの水素原子の一部または全部を、基(I)および基(II)で置換することにより製造できる。
好ましい製造方法としては、まず、化合物(1)の−OHの水素原子の一部を基(II)で置換し、得られた化合物中の−OHの水素原子の一部または全部を基(I)で置換する方法が挙げられる。かかる製造方法は、特に、前記化合物(1)におけるZおよびZが式(z1)で表される基である場合に好適である。すなわち、フェノール性水酸基とカルボン酸性水酸基とでは、カルボン酸性水酸基の方が、反応性が高い。そのため、化合物(1)の−OHの水素原子の一部を基(II)で置換して得られる化合物は、通常、当該分子中の全てのカルボキシ基の水素原子が基(II)で置換され、フェノール性水酸基の水素原子が全く基(II)で置換されていないものである。そのため、該化合物に基(I)を導入すると、(B1)成分として、化合物(1)の中の全てのカルボン酸性水酸基の水素原子が基(II)で置換され、一部または全部のフェノール性水酸基の水素原子が基(I)で置換されているものが得られる。
このように、分子中の全てのカルボキシ基の水素原子が基(II)のみで置換され、フェノール性水酸基の水素原子の一部または全部が基(I)のみで置換された化合物は、上述したように、製造が容易であることに加え、レジスト組成物に用いた場合に、解像性、パターン形状等に優れる。
化合物(1)への基(II)の導入(−OHの水素原子の置換)は、周知の方法を利用して実施できる。
また、基(I)の導入は、たとえば、化合物(1)またはその−OHの水素原子の一部が基(II)で置換された化合物と、下記一般式(I’)で表される化合物(I’)とを反応させることにより実施できる。
Figure 2010097081
[式中、R〜R、XおよびA’はそれぞれ前記と同じである。]
当該化合物(I’)は、常法を利用して製造できる。
たとえばA’が−C(=O)−W−O−[Wは2価の連結基である。]で表される基である場合、当該化合物(下記式(I’−1)で表される化合物)は、以下のようにして製造できる。
まず、有機酸H(Bは、例えば、メタンスルホン酸イオン等の、有機酸のアニオン部を表わす。)の溶液中に、式(I’−01)で表される化合物および式(I’−02)で表される化合物を加えて反応させた後、純水および有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)を加えて、有機層を回収し、この有機層中から式(b1−03)で表される化合物を回収する。
次に、一般式(I’−03)で表される化合物を、有機溶剤(例えば、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)に加えて冷却し、そこへ下記一般式(I’−04)で表される化合物を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から下記一般式(I’−05)で表される化合物を得る。
次に、式(I’−05)で表される化合物に純水を添加し、加水分解を行うことにより−ORを解離(脱保護)させ、下記一般式(I’−06)で表される化合物を得る。加水分解は、たとえば酸(塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸等)または塩基を加えて加熱する等により実施できる。
次に、式(I’−06)で表される化合物を有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)および水の混合溶媒に溶解させ、そこへ所望のアニオンXの塩L(Lは対イオンである。)を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から化合物(I’)を回収する。
における対イオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、有機カチオンが挙げられる。また、Xがメチドアニオンである場合は、水素イオンであってもよい。
前記アルカリ金属カチオンとしては、たとえば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
前記有機カチオンとしては、たとえば、トリエチルアンモニウムイオン等の(モノ、ジ、トリまたはテトラ)アルキルアンモニウムイオンが挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、R〜R、XおよびWはそれぞれ前記と同じであり、Bは有機酸のアニオン部であり、Lはアルカリ金属カチオンであり、Xはハロゲン原子であり、R”は保護基である。]
のハロゲン原子としては、臭素原子または塩素原子が好ましい。
”の保護基としては、加水分解により脱保護可能な有機基であれば特に限定されず、たとえば酸性条件下で加水分解を行う場合は、前記Rで挙げた酸解離性溶解抑制基が利用できる。
上記(B1)成分は、ポジ型レジストの基材成分(膜形成能を有する有機化合物であって、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する有機化合物)としての機能と、露光により酸を発生する酸発生剤としての機能の両方を備えている。
そのため、本発明のレジスト組成物においては、従来化学増幅型のポジ型レジスト組成物に用いられている酸発生剤を含有しなくても、あるいは従来化学増幅型のポジ型レジスト組成物に用いられている基材成分を含有しなくても、実際に、レジストパターンを形成することができる。すなわち、従来の化学増幅型のポジ型レジスト組成物は、少なくとも、基材成分と酸発生剤とを含有する2成分系のものが一般的であるが、本発明のレジスト組成物は、(B1)成分が基材成分としての機能および酸発生剤としての機能の両方を備えているため、1成分単独であってもレジストパターンを形成することができる。
本発明のレジスト組成物の好ましい実施形態としては、以下のものが挙げられる。
第一の実施形態:(B1)成分を主成分として含有する。
第二の実施形態:(B1)成分に加えて、さらに、該(B1)成分に該当しない、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)を含有する。
上記第一の実施形態において、本発明のレジスト組成物が(B1)成分を「主成分として含有する」とは、当該レジスト組成物が、基本的に、当該(B1)成分から構成されることを意味する。
この場合、レジスト組成物中の(B1)成分の含有量は、当該レジスト組成物の全固形分(後述する有機溶剤を除く全成分の合計)に対し、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%であることがさらに好ましく、100質量%であってもよい。すなわち、本発明のレジスト組成物は、(B1)成分および有機溶剤のみからなるものであってもよい。
また、この場合、当該レジスト組成物中には、樹脂(たとえば(A)成分)が含まれないことが好ましい。
上記第二の実施形態において、(B1)成分から発生する酸は、当該(B1)成分中の基(II)に含まれる酸解離性溶解抑制基を解離させる作用を有するとともに、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる作用を有する。
(B1)成分および(A)成分を併用する場合、当該レジスト組成物中の(B1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、5〜25質量部がより好ましく、5〜15質量部が最も好ましい。上記範囲とすることにより、解像性、レジストパターン形状が向上する。
<(A)成分>
本明細書において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が2000以上のものが用いられる。以下、分子量が2000以上の重合体を樹脂という。樹脂の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂(以下、(A1)成分ということがある。)を用いてもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物(以下、(A2)成分ということがある。)を用いてもよく、これらを併用してもよい。
(A)成分としては、例えば従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等の基材成分として提案されている任意のものが利用でき、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類等に応じて適宜選択できる。(A)成分としては、一般的に、酸解離性溶解抑制基を有するものが用いられる。
[(A1)成分]
(A1)成分としては、化学増幅型ポジ型レジスト用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)を1種単独で、又は2種以上混合して使用することができる。
該ベース樹脂としては、通常、酸解離性溶解抑制基を含む構成単位を有する樹脂が用いられる。該構成単位における酸解離性溶解抑制基としては、前記一般式(II)中のRと同様のものが挙げられる。該構成単位として、より具体的には、後述する構成単位(a1)、(a7)等が挙げられる。
(A1)成分は、酸解離性溶解抑制基を含む構成単位以外の他の構成単位を含んでもよい。該他の構成単位としては、化学増幅型レジスト用のベース樹脂に用いられるものとして提案されている任意の構成単位が利用でき、かかる構成単位としては、たとえば後述する構成単位(a2)〜(a7)等が挙げられる。
・構成単位(a1):
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸発生剤から露光により発生した酸の作用により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものである。
該酸解離性溶解抑制基としては、前記一般式(II)中のRと同様のものが挙げられる。
ここで、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「α位の置換基としての低級アルキル基」の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;XおよびXはそれぞれ独立に酸解離性溶解抑制基を示し;Yは2価の連結基を示す。]
一般式(a1−0−1)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。
該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、「−A−O(酸素原子)−B−(ただし、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。)」等が挙げられる。
が−NH−の場合における置換基(アルキル基、アシル基等)の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
が「A−O−B」である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
Bにおける炭化水素基としては、前記Aで挙げたものと同様の2価の炭化水素基が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5の低級アルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の中でも、一般式(a1−1)又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−4)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)および(a1−3−25)〜(a1−3−28)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−3)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)および式(a1−1−20)〜(a1−1−23)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−25)〜(a1−3−26)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、又は式(a1−3−27)〜(a1−3−28)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるものも好ましい。
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R11は低級アルキル基を示す。]
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R12は低級アルキル基を示す。hは1〜6の整数を表す。]
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R11の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R14は低級アルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数である。]
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R14は低級アルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数であり、n’は1〜6の整数である。]
前記一般式(a1−3−01)または(a1−3−02)において、Rについては上記と同様である。
13は、水素原子が好ましい。
14の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
aは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
・構成単位(a2):
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、メバロニックラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、前記R”は水素原子、または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であり、R29は2価の連結基であり、s’は0または1であり、s”は0または1であり、A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、mは0または1の整数である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
29としては、前記一般式(a1−0−2)中のYと同様のものが挙げられる。R29としては、アルキレン基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。Yがアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。分岐鎖状のアルキレン基としては、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。R29としては、メチレン基が最も好ましい。
各式中、s’は0であってもよく、1であってもよい。
また、各式中、s”は0であってもよく、1であってもよく、1であることが好ましい。
以下に、s’が0である場合の前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
また、s’が1である場合の前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の好ましい具体例としては、上記各式中、α位の炭素原子に結合したカルボニルオキシ基における酸素原子(−O−)と、該酸素原子に結合したラクトン含有環式基との間に、−CH−C(=O)−O−、−C(CH−C(=O)−O−が介在するものが挙げられる。
(A1)成分において、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)として、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
・構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A1)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。また、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、(a3−2)で表される構成単位、(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010097081
[式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・構成単位(a4):
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他のアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 2010097081
[式中、Rは前記と同じである。]
・構成単位(a5):
構成単位(a5)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。
ここで、「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレン、およびヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。なお、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことである。
構成単位(a5)としては、たとえば、下記一般式(a5−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 2010097081
[式(a5−1)中、R’は水素原子または低級アルキル基であり;Rは低級アルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜2の整数である。]
前記一般式(a5−1)中、R’の低級アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。
R’としては、水素原子または低級アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
qは0〜2の整数である。これらのうち、qは0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
の低級アルキル基としては、R’の低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2である場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(a5)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・構成単位(a6):
構成単位(a6)は、スチレンから誘導される構成単位である。
本明細書において、「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。スチレンは、フェニル基の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
構成単位(a6)としては、たとえば、下記一般式(a6−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 2010097081
[式(a6−1)中、R’は前記と同じであり;Rは炭素数1〜5の低級アルキル基であり;rは0〜3の整数である。]
前記一般式(a6−1)中、R’およびRは、それぞれ上記式(a5−1)中のR’およびRと同様のものが挙げられる。
rは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
rが1である場合、Rの置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
rが2または3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(a6)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・構成単位(a7):
構成単位(a7)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位であって、当該構成単位中に含まれる水酸基の水素原子の少なくとも1つが、酸解離性溶解抑制基または酸解離性溶解抑制基を含む有機基で置換された構成単位である。
構成単位(a7)における酸解離性溶解抑制基としては、特に限定されず、KrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用の樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。好ましいものとして、具体的には、下記酸解離性溶解抑制基(7−1)、下記酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)に例示する第3級アルキル基含有基等が挙げられる。
酸解離性溶解抑制基を有する有機基としては、特に限定されず、たとえばKrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。具体的には、上記で挙げた酸解離性溶解抑制基を有する有機基が挙げられ、たとえば、酸解離性溶解抑制基(7−1)を有する有機基として下記酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2)、下記酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)に例示する第3級アルキル基含有基(たとえば第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基など)等が挙げられる。
・酸解離性溶解抑制基(7−1):
酸解離性溶解抑制基(7−1)としては、下記一般式(7−1a)で表される基、下記一般式(7−1b)で表される基が挙げられる。
Figure 2010097081
[式(7−1a)中、R27は直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し;Xは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。式(7−1b)中、Xは前記式(7−1a)におけるXと同じであり;Rは水素原子若しくは炭素数1〜5の低級アルキル基を表し、又は、XおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよく;Rは水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
前記一般式(7−1a)中、R27は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。
該アルキレン基は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましく、炭素数1〜2であることがさらに好ましい。
前記式(7−1a)および(7−1b)中、Xは、それぞれ独立して、脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。
ここで、本明細書および特許請求の範囲における「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを意味し、飽和または不飽和のいずれでもよく、通常は飽和であることが好ましい。
における脂肪族環式基は1価の脂肪族環式基である。脂肪族環式基は、たとえば、従来のArFレジストにおいて多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、炭素数5〜7の脂肪族単環式基、炭素数10〜16の脂肪族多環式基が挙げられる。
炭素数5〜7の脂肪族単環式基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が例示でき、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
炭素数10〜16の脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
の芳香族環式炭化水素基としては、炭素数10〜16の芳香族多環式基が挙げられる。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基等が挙げられ、2−ナフチル基が工業上特に好ましい。
の低級アルキル基としては、上記一般式(a5−1)のR’の低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
前記式(7−1b)中、Rの低級アルキル基としては、上記一般式(a5−1)のR’の低級アルキル基と同様のものが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
は、低級アルキル基または水素原子を表す。Rの低級アルキル基としては、Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。Rは、工業的には水素原子であることが好ましい。
特に、RおよびRのいずれか一方が水素原子であって、他方がメチル基であることが好ましい。
また、前記一般式(7−1b)においては、XおよびRが、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよい。この場合、前記一般式(7−1b)においては、Rと、Xと、Xが結合した酸素原子と、該酸素原子およびRが結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
酸解離性溶解抑制基(7−1)としては、レジストパターン形状等に優れることから、Rが水素原子であり、かつ、Rが水素原子または低級アルキル基であることが好ましい。
酸解離性溶解抑制基(7−1)の具体例としては、たとえばXが低級アルキル基である基、すなわち1−アルコキシアルキル基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−iso−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、iso−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基等が挙げられる。
また、Xが脂肪族環式基である基としては、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−(2−アダマンチル)オキシメチル基、下記式(7−1−1)で表される1−(1−アダマンチル)オキシエチル基等が挙げられる。
が芳香族環式炭化水素基である基としては、下記式(7−1−2)で表される1−(2−ナフチル)オキシエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、1−エトキシエチル基が特に好ましい。
Figure 2010097081
・酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2):
酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2)としては、下記一般式(7−2)で表される基が挙げられる。かかる構造を有する有機基(7−2)においては、露光により(B1)成分から酸が発生すると、該酸により、Yに結合した酸素原子と、RおよびRが結合した炭素原子との間の結合が切れて、−C(R)(R)−OXが解離する。
Figure 2010097081
[式(7−2)中、Xは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基または炭素数1〜5の低級アルキル基を表し;Rは水素原子若しくは低級アルキル基を表し、又は、XおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよく;Rは低級アルキル基または水素原子を表し;Yは2価の脂肪族環式基を表す。]
前記一般式(7−2)中、X、R、Rとしては、上記一般式(7−1b)中のX、R、Rとそれぞれ同じである。
Yにおける2価の脂肪族環式基としては、上記Xにおける脂肪族環式基からさらに水素原子1つを除いた基が挙げられる。
・酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)は、上記酸解離性溶解抑制基(7−1)および酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2)(以下、これらをまとめて「酸解離性溶解抑制基等(7−1)〜(7−2)」ということがある。)に分類されない酸解離性溶解抑制基含有基である。
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)としては、従来公知の酸解離性溶解抑制基含有基のうち、上記酸解離性溶解抑制基等(7−1)〜(7−2)に分類されない任意の酸解離性溶解抑制基含有基が使用できる。
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)として具体的には、たとえば、第3級アルキル基含有基が好適なものとして挙げられる。
ここで、本明細書において、「第3級アルキル基」とは、第3級炭素原子を有するアルキル基を示す。「アルキル基」は、上述のように、1価の飽和炭化水素基を示し、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)のアルキル基および環状構造を有するアルキル基を包含する。
「第3級アルキル基含有基」は、その構造中に第3級アルキル基を含む基を示す。
第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基のみから構成されていてもよく、第3級アルキル基と、第3級アルキル基以外の他の原子又は基とから構成されていてもよい。
第3級アルキル基とともに第3級アルキル基含有基を構成する前記「第3級アルキル基以外の他の原子又は基」としては、カルボニルオキシ基、カルボニル基、アルキレン基、酸素原子等が挙げられる。
第3級アルキル基含有基としては、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基、環状構造を有する第3級アルキル基含有基等が挙げられる。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基として分岐鎖状の第3級アルキル基を含有し、かつ、その構造内に環状構造を有さない基である。
分岐鎖状の第3級アルキル基としては、たとえば、下記一般式(7−3a)で表される基が挙げられる。
Figure 2010097081
式(7−3a)中、R21〜R23は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。該アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
炭素数が1〜5のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、一般式(7−3a)で表される基の全炭素数が4〜7となるように、上記R21〜R23のアルキル基を組み合わせることが好ましく、全炭素数が4〜6となるように該アルキル基を組み合わせることがより好ましく、全炭素数が4〜5となるように該アルキル基を組み合わせることが最も好ましい。一般式(7−3a)で表される基の具体例としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等が好ましく挙げられ、tert−ブチル基がより好ましい。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、上述した分岐鎖状の第3級アルキル基;上述した分岐鎖状の第3級アルキル基が直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基に結合してなる第3級アルキル基含有鎖状アルキル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
第3級アルキル基含有鎖状アルキル基におけるアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基がさらに好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、たとえば下記一般式(7−3b)で表される基が挙げられる。式(7−3b)中のR21〜R23は、前記式(7−3a)中のR21〜R23とそれぞれ同様である。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)、tert−ペンチルオキシカルボニル基が好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、たとえば下記一般式(7−3c)で表される基が挙げられる。式(7−3c)中のR21〜R23は、前記式(7−3a)中のR21〜R23とそれぞれ同様である。fは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ペンチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基が好ましい。
Figure 2010097081
これらの中で、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、第3級アルキルオキシカルボニル基または第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基が好ましく、第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が特に好ましい。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基は、その構造内に、第3級炭素原子と環状構造とを有する基である。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基において、環状構造は、環を構成する炭素数が4〜12であることが好ましく、5〜10であることがより好ましく、6〜10であることが最も好ましい。環状構造としては、例えばモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。好ましくは、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基としては、例えば、第3級アルキル基として下記(1)または(2)の基を有する基等が挙げられる。
(1)環状のアルキル基(シクロアルキル基)の環を構成する炭素原子に、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合し、該炭素原子が第3級炭素原子となっている基。
(2)シクロアルキル基の環を構成する炭素原子に、第3級炭素原子を有するアルキレン基(分岐鎖状のアルキレン基)が結合している基。
前記(1)の基における直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることが最も好ましい。
(1)の基の具体例としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロアルキル基、1−エチル−1−シクロアルキル基等が挙げられ、より具体的には、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。
前記(2)の基において、分岐鎖状のアルキレン基が結合しているシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
(2)の基の具体例としては、たとえば、下記一般式(IV)で表される基が挙げられる。
Figure 2010097081
式(IV)中、R24は、置換基を有していてもよく有していなくてもよいシクロアルキル基である。該シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
25、R26は、それぞれ独立して、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基としては、前記式(7−3a)中のR21〜R23のアルキル基と同様のものが挙げられる。
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)において、第3級アルキル基含有基としては、レジストパターン形状又はリソグラフィー特性(焦点深度幅(DOF)等)に優れる点から、前記一般式(7−3b)で表される鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が最も好ましい。
(A1)成分は、上記構成単位(a1)〜(a7)の何れにも該当しない構成単位(a8)を含んでいてもよい。
構成単位(a8)としては、上述の構成単位(a1)〜(a7)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
本発明に用いられる(A1)成分としては、以下の樹脂(A11)、樹脂(A12)等が好ましい。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
樹脂(A11):ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a5)および酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂。
樹脂(A12):酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有するアクリル系樹脂。
特に、樹脂(A11)は、電子線、EUV用に好適である。
「樹脂(A11)」
樹脂(A11)において、構成単位(a5)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A11)中の構成単位(a5)の割合は、樹脂(A11)を構成する全構成単位の合計に対し、50〜90モル%であることが好ましく、55〜85モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることがさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、適度なアルカリ溶解性が得られ、構成単位(a1)を含有させることによる効果が充分に得られる。該範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
樹脂(A11)において、構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A11)中の構成単位(a1)の割合は、樹脂(A11)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、15〜35モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
また、樹脂(A11)は、任意に、構成単位(a5)および(a1)以外の他の構成単位を有していてもよい。
該他の構成単位としては、たとえば、構成単位(a6)が挙げられる。
樹脂(A11)が構成単位(a6)を有する場合、樹脂(A11)中の構成単位(a6)の割合は、樹脂(A11)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜20モル%が好ましく、3〜15モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、構成単位(a6)を有することによる効果が高く、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
また、樹脂(A11)は、任意に、構成単位(a2)〜(a4)、(a7)〜(a8)等を有していてもよい。
本発明において、樹脂(A11)の好適なものとしては、たとえば、構成単位(a5)および構成単位(a1)を有する共重合体が好ましく、該共重合体としては、構成単位(a5)および構成単位(a1)からなる共重合体、構成単位(a5)、構成単位(a1)および構成単位(a6)からなる共重合体等が挙げられる。
樹脂(A11)としては、構成単位(a1)が、酸解離性溶解抑制基として、アセタール型酸解離性溶解抑制基を有するものが好ましく、中でも、該アセタール型酸解離性溶解抑制基の末端に脂肪族環式基を有するものが好ましい。
樹脂(A11)としては、特に、下記一般式(A11−1)に示される2種の構成単位を有する共重合体が好ましい。
Figure 2010097081
[式(A11−1)中、R’およびRは前記と同じであり;n15は0又は1である。]
式(A11−1)中、n15は0が好ましい。
アダマンタンと−CH−O−(CHn15−との結合位置は、アダマンタンの1位又は2位であることが好ましく、2位であることがより好ましい。
「樹脂(A12)」
「アクリル系樹脂」は、構成単位(a1)等のアクリル酸エステルから誘導から誘導される構成単位を含み、かつ構成単位(a5)〜(a7)等のスチレン系の構成単位を含まない樹脂である。
樹脂(A12)において、構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A12)中、構成単位(a1)の割合は、樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
樹脂(A12)は、構成単位(a1)に加えて、さらに、構成単位(a2)を有することが好ましい。
樹脂(A12)において、構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A12)中の構成単位(a2)の割合は、樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
また、樹脂(A12)は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および構成単位(a2)に加えて、構成単位(a3)を有することが好ましい。
樹脂(A12)において、構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A12)中、構成単位(a3)の割合は、当該樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
樹脂(A12)は、任意に、構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位を有していてもよい。該他の構成単位としては、たとえば、構成単位(a4)が挙げられる。
構成単位(a4)を樹脂(A12)に含有させる場合、その割合は、樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
本発明において、樹脂(A12)は、構成単位(a1)、(a2)および(a3)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。

樹脂(A12)としては、特に、下記一般式(A12−1)に示される3種の構成単位を有する共重合体が好ましい。
Figure 2010097081
[式中、Rは前記と同じであり、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、R10はアルキル基である。]
式(A12−1)中、R10のアルキル基は、前記一般式(a1−1−01)中のR11と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4'−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3'−フルオロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;
トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;
2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、及び2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;
1,1−ビス[3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル]イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、及びビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、及び2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、及び1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等の多核枝分かれ型化合物;フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜12核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、(A)成分としては、リソグラフィー特性が向上することから、(A1)成分を含有することが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(B1)成分に該当しない、露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、(B2)成分という。)を含有してもよい。
(B2)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られており、いずれのものも使用できる。
<その他の任意成分>
本発明のレジスト組成物は、任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B1)成分等の酸発生剤成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、当該レジスト組成物中に含まれる(B1)成分および(A)成分の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
「(B1)成分および(A)成分の合計」は、当該レジスト組成物中に(A)成分が含まれない場合は(B1)成分のみの含有量を示す。
本発明のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、当該レジスト組成物中に含まれる(B1)成分および(A)成分の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のレジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
<有機溶剤>
本発明のレジスト組成物は、前記(B1)成分および任意成分を有機溶剤(以下、(S)成分という。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
上記本発明のレジスト組成物、および該レジスト組成物に配合されている(B1)成分は、従来知られていない新規なものである。
また、該レジスト組成物によれば、基材成分としてポリマーを用いる場合と同等レベルの良好なレジスト膜を形成できる。また、該レジスト膜は耐熱性にも優れている。
また、本発明のレジスト組成物は、溶解コントラストが向上している。そのため、高解像性のレジストパターン、たとえばパターン寸法200nm以下、さらには数十nmレベルの超微細なレジストパターンを形成できる。また、該レジストパターンは、矩形性が高く、ラフネスが低減されている等、優れた形状を有する。
また、本発明のレジスト組成物によれば、レジストパターンを形成する際、露光後のアウトガスが少ないという効果も得られる。
上記効果が得られる理由としては、当該ポジ型組成物に酸発生剤として配合される(B1)成分が、その骨格に1〜4つのトリフェニルメタン構造を含むこと、基(I)および基(II)を同一分子中に含むこと等によると推測される。
すなわち、まず、(B1)成分自体が、その骨格により、高い耐熱性を有すると考えられる。
また、基材成分と酸発生剤成分とを別々に配合した従来の化学増幅型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、比較的分子量が小さい酸発生剤成分が含まれることで、これが可塑剤として作用して当該レジスト膜のガラス転移温度を低下させ、耐熱性を低下させているおそれがある。これに対し、本発明において、基(I)は、露光時に酸を発生する酸発生基であり、これが比較的高分子量の化合物(1)に導入されていることにより、酸発生剤成分による可塑効果が低減され、耐熱性の低下が抑制されていると考えられる。このように、耐熱性が高いことは、レジストパターンを形成する際、PEBを行った際にレジスト膜の熱ダレを生じにくくさせ、結果、露光域で発生した酸の未露光域への拡散が抑制され、未露光域と露光域とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が向上し、解像性やレジストパターン形状の向上に寄与すると推測される。
また、(B1)成分においては、基(II)が、−CH−COO−の末端にR(酸解離性溶解抑制基)が結合した構造を有することで、露光時にRが解離した際、カルボキシ基を発現する。そのため、たとえばRがフェノール性水酸基に直接結合している場合に比べてアルカリ現像液に対する溶解性が高い。このことも、溶解コントラストに寄与していると推測される。
また、(B1)成分が、基(I)および基(II)を同一分子中に含み、酸発生剤としての機能と、基材成分としての機能とを有することにより、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜中での酸発生基が、局在化することなく均一に分布すると考えられる。また、酸の発生部位と酸解離性溶解抑制基とが同じ分子内の近傍に存在するため、発生した酸が効率よく酸解離性溶解抑制基の解離に利用されること等が考えられる。これらのことも、溶解コントラストや種々のリソグラフィー特性の向上に寄与していると推測される。
また、酸発生基である基(I)のカチオン部が比較的高分子量の上記骨格に結合していることにより、上記骨格に結合していない同様の構造の酸発生剤を単独で配合する場合に比べて、該酸発生剤に起因するアウトガスを低減できる。また、(B1)成分が酸発生剤としての機能を有することから、後述するように、他の酸発生剤の配合量を少なくするか、または全く配合しないこともできるため、該他の酸発生剤に起因するアウトガスを低減できる。
また、(B1)成分が非重合体であり、性質の均一性が高いことも理由として考えられる。すなわち、レジスト材料の基材成分として高分子量の重合体(樹脂)を用いる従来のレジストは、分子量分散やアルカリ溶解性分散を制御することが難しい。そのため、これらの分散や、その分子サイズそのものが原因となるLERなどの低減には限界がある。上記問題の解決策として考えられている従来の低分子化合物(低分子材料)も、上述した非特許文献1,2等に記載されているように、アルカリ可溶性基を酸解離性溶解抑制基で保護することから、分子ごとに、保護されるアルカリ可溶性基の位置やその保護率などにばらつきが発生し、結果、その性質にもばらつきが生じて上記と同様の問題が生じる。
一方、(B1)成分は非重合体であり、かつ−OHとしてトリフェニルメタン構造に結合したフェノール性水酸基を有する化合物(1)に基(I)および基(II)が導入された構造を有する。該化合物(1)においては、その−OHに基(I)および基(II)を導入して保護する際に、保護される−OHの位置の選択性が比較的高く、その構造や分子量にばらつきが少なく、分子ごとのアルカリ現像液に対する溶解性や親水性・疎水性等の性質のばらつきが少ない。つまり、カルボン酸性水酸基を有する場合、フェノール性水酸基よりも反応性の高いカルボン酸性水酸基が選択的に保護される傾向があるため、上記のようなばらつきが特に少ないものとなる。そのため、(B1)成分を用いることにより、均一な性質のレジスト膜が形成でき、それによって上記効果が得られると推測される。
さらに、基(I)および基(II)を位置選択的に導入できるため、基(I)および基(II)の種類を選択することにより、(B1)成分全体の性質を調節しやすいという利点も有する。たとえば基(II)としてアダマンタン等の多環構造を有する基を選択した場合と、シクロヘキサン等の単環構造を有する基を選択した場合と、鎖状構造の基を選択した場合とでは、(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性は、多環構造を有する基<単環構造を有する基<鎖状構造の基となる。
また、本発明のレジスト組成物においては、従来化学増幅型のポジ型レジスト組成物に用いられている酸発生剤を含有しなくても、あるいは従来化学増幅型のポジ型レジスト組成物に用いられている基材成分を含有しなくても、実際に、レジストパターンを形成することができる。
そのため、従来のポジ型レジスト組成物に比べて、酸発生剤の配合量を少なくするか、または全く配合しないこともできる。すなわち、従来の化学増幅型のポジ型レジスト組成物は、少なくとも、基材成分と酸発生剤とを含有する2成分系のものが一般的であるが、本発明のレジスト組成物は、(B1)成分が基材成分としての機能および酸発生剤としての機能の両方を備えているため、1成分単独であってもレジストパターンを形成することができる。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法における各工程は、本発明のレジスト組成物を用いる以外は周知の手法を用いて行うことができる。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。すなわち、まず、支持体上に、上記レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、任意に80〜150℃程度の温度条件で40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間のプレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を施してレジスト膜を形成する。形成されたレジスト膜を、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、80〜150℃程度の温度条件で40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間のPEB(露光後加熱)を施す。続いて、アルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いてアルカリ現像処理した後、好ましくは純水を用いて水リンス処理を行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUVに対して有効であり、中でも、EBまたはEUVに対して有効である。
レジスト膜の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)により行ってもよく、液浸露光により行ってもよい。
液浸露光は、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography)であり、解像性の更なる向上のための手法の1つとして知られている(たとえばプロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)、第5754巻,第119−128頁(2005年)参照。)。液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして注目されている。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスクを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ該レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
上記のうち、液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題および汎用性の観点から、水が好ましく用いられる。
本発明のレジスト組成物においては、上述したように、従来化学増幅型のポジ型レジスト組成物に用いられている酸発生剤を含有しなくてもレジストパターンを形成することができる。そのため、浸漬露光時の物質溶出を抑制できるため、本発明のレジスト組成物は、液浸露光用として有用である。
すなわち、液浸露光においては、上述のように、液浸露光時にレジスト膜が液浸溶媒に接触することになる。レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じ、特に、従来の酸発生剤を用いた場合は、その溶出が顕著に生じる。物質溶出は、レジスト層を変質させ、リソグラフィー特性を悪化させる。
これに対し、本発明のレジスト組成物においては、(B1)成分中に酸発生基である基(I)が保持されていることにより、浸漬露光時の液浸溶媒中への物質溶出が抑制される。物質溶出が抑制されることで、レジスト膜の変質や、液浸溶媒の屈折率の変化も抑制できる。これにより、形状等のリソグラフィー特性が良好となる。また、露光装置のレンズの汚染を低減でき、そのため、これらに対する保護対策を行わなくてもよく、プロセスや露光装置の簡便化に貢献できる。
≪化合物≫
本発明の第三の態様の化合物は、前記本発明の第一の態様のレジスト組成物における(B1)成分と同じものである。
該化合物は、従来知られていない新規化合物である。また、該化合物は、レジスト組成物の酸発生剤として有用である。
≪酸発生剤≫
本発明の第四の態様の酸発生剤は、前記本発明の第三の態様の化合物からなるものである。
該酸発生剤は、レジスト組成物に配合して用いられる。該酸発生剤が配合されるレジスト組成物としては、酸発生剤が配合されるものであれば特に限定されないが、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分、および露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型の化学増幅型レジスト組成物が好適である。
≪溶解抑制剤≫
上記本発明の第三の態様の化合物は、ポジ型レジスト組成物用の溶解抑制剤としても好適に用いることができる。該化合物からなる溶解抑制剤を用いることにより、該溶解抑制剤を含有するポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜(露光前)のアルカリ溶解性が抑制される。そのため、該レジスト膜を選択的に露光した際に、露光部と未露光部との間のアルカリ溶解性の差(溶解コントラスト)が大きくなり、解像性や形状が良好なレジストパターンが形成できる。
かかる溶解抑制剤は、酸解離性溶解抑制基を有する樹脂成分と酸発生剤成分とを含む2成分系の化学増幅型レジスト組成物に添加して用いることができ、また、酸解離性溶解抑制基を有さない樹脂成分と酸発生剤成分と溶解抑制剤とを用いる、いわゆる3成分系の化学増幅型のレジスト組成物としても用いることができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例では、化学式(1)で表される単位を「化合物(1)」と記載し、他の式で表される化合物についても同様に記載する。
[合成例1(化合物(2)の合成)]
化合物(2−1)(16.0g)および純水(131.7g)を三口フラスコに添加し、そこへ塩酸(5.20g)を滴下した。12時間、加熱還流を行った。水層をt−ブチルメチルエーテル(TBME)(131.7g)にて洗浄し、化合物(2−2)(10.0g)を得た。
化合物(2−2)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=2.30(d,6H,Ha),4.53(s,2H,Hb),7.59(s,2H,Ar),7.71−7.89(m,10H,Ar)。
Figure 2010097081
化合物(2−2)(20g)に純水(45.3g)及びジクロロメタン(90.5g)を添加し、そこへノナフルオロブタンスルホン酸カリウム(16.8g)を加えて室温で15時間攪拌した。その後、分液によりジクロロメタン層を取り出し、希塩酸(45.3g)にて2回洗浄を行った後、純水(45.3g)にて4回洗浄を行った。ジクロロメタン層を濃縮、乾固することにより、白色固体として目的の化合物(2)(26.4g)を得た。
Figure 2010097081
化合物(2)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=2.30(d,6H,Ha),4.39(s,2H,Hb),7.32(s,2H,Ar),7.70−7.87(m,10H,Ar)。
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−123.7,−119.3,−112.4,−78.6。
上記の結果から、化合物(2)が上記式(2)に示す構造を有することが確認できた。
[合成例2(化合物(3)の合成)]
窒素雰囲気下、三口フラスコに前記化合物(2)(1.99g)及びジクロロメタン(19.9g)を添加し5℃以下に冷却した。そこへN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.02g)を添加し5℃以下で5分間撹拌した後、エチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDCl)(0.69g)を添加した。その後10分間撹拌した後、化合物(1)(3.71g)のジクロロメタン溶液(22.3g)をゆっくりと滴下した、滴下終了後室温まで昇温し、室温にて31時間撹拌した後、希塩酸洗浄、希アンモニア洗浄を行い、さらに中性になるまで純水にて水洗を繰り返した。その有機相をn−ヘキサン(199.0g)へ滴下し、再沈することによって目的の化合物(3)(4.61g)を得た。
化合物(3)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=8.86(s,OH),8.76(s,OH),7.74−7.84(m,PAG−ArH),7.62(s,PAG−ArH),6.75−6.95(m,ArH),6.54−6.58(m,ArH),6.34(s,ArH),6.05(s,CH),5.94(s,CH),5.83(s,CH),4.98(s,PAG−CH),4.66−4.80(m,OCH),3.59−3.60(br s,CH),2.37(s,PAG−CH),1.47−2.19(m,CH+Adamanthyl).
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−77.3,−111.5,−118.1,−122.4.
上記の結果から、化合物(3)が下記式(3)に示す構造を有し、式(3)中のRのうち、平均17.30mol%が式(PAG)で表される基(PAG基)であることが確認できた。
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子または下記式(PAG)で表される基である。]
Figure 2010097081
[合成例3(化合物(4)の合成)]
窒素雰囲気下、三口フラスコに化合物(2)(11.06g)及びジクロロメタン(94.57g)を添加し5℃以下に冷却した。そこへN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.08g)を添加し5℃以下で5分間撹拌した後、エチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDCl)(4.19g)を添加した。その後10分間撹拌した後、化合物(1)(3.71g)のジクロロメタン溶液(22.3g)をゆっくりと滴下した、滴下終了後室温まで昇温し、室温にて49時間撹拌した後、希塩酸洗浄、希アンモニア洗浄を行い、さらに中性になるまで純水にて水洗を繰り返した。その有機相をn−ヘキサン(199.0g)へ滴下し、再沈することによって目的の化合物(4)を得た(11.00g)。
化合物(4)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=7.75−7.87(m,40H,PAG−ArH),7.63(s,8H,PAG−ArH),6.95(s,4H,ArH),6.89(d,2H,ArH),6.84(d,2H,ArH),6.63(s,2H,ArH),6.60(s,4H,ArH),6.05(s,2H,CH),4.99(s,8H,PAG−CH),4.77(s,4H,OCH),4.65(s,4H,OCH),3.67(s,2H,CH),2.36(s,24H,PAG−CH),1.47−2.19(m,58H,CH+Adamanthyl).
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−77.3,−111.5,−118.1,−122.4.
上記の結果から、化合物(4)が下記式(4)に示す構造を有し、式(4)中のRの全て(100mol%)が式(PAG)で表される基(PAG基)であることが確認できた。
Figure 2010097081
[式中、Rは水素原子または前記式(PAG)で表される基である。]
[合成例4(化合物(5)の合成)]
窒素雰囲気下、三口フラスコに化合物(2’)(17.03g,Br体/Cl体=84.5/15.5(mol%))ジクロロメタン(150.5g)を添加し5℃以下に冷却した。そこへN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.95g)を添加し10℃以下で5分間撹拌した後、エチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDCl)(18.4g)をゆっくりと添加した。その後10分間撹拌した後、化合物(1)(10.0g)のジクロロメタン溶液(50.0g)をゆっくりと滴下した、滴下終了後室温まで昇温し、室温にて12時間撹拌した後、希塩酸洗浄を行い、さらに中性になるまで純水にて水洗を繰り返した。その有機相をn−ヘキサン(1700.0g)へ滴下し、再沈することによって化合物(5)を得た(21.6g)。
化合物(5)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=7.75−7.87(m,40H,PAG−ArH),7.66(s,8H,PAG−ArH),6.96(s,4H,ArH),6.89(d,2H,ArH),6.84(d,2H,ArH),6.62(s,2H,ArH),6.60(s,4H,ArH),6.05(s,2H,CH),5.00(s,8H,PAG−CH),4.76(s,4H,OCH),4.65(s,4H,OCH),3.66(s,2H,CH),2.37(s,24H,PAG−CH),1.46−2.18(m,58H,CH+Adamanthyl).
上記の結果から、化合物が下記に示す構造を有し、式(5)中のRの全て(100mol%)が式(PAG)で表される基(PAG基)であることが確認できた。
Figure 2010097081
[合成例5(化合物(6)の合成)]
前記化合物(5)(15.1g,Br体/Cl体=38.5/61.5(mol%))及びジクロロメタン(150.5g)及びパーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(8.5g)、純水(75.3g)を添加し室温にて12時間撹拌した。その後、希塩酸洗浄を行い、さらに中性になるまで純水にて水洗を繰り返した。その有機相をn−ヘキサン(1500g)へ滴下し、再沈することによって化合物(6)を得た(18.2g)。
化合物(6)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=7.75−7.87(m,40H,PAG−ArH),7.63(s,8H,PAG−ArH),6.95(s,4H,ArH),6.89(d,2H,ArH),6.84(d,2H,ArH),6.63(s,2H,ArH),6.60(s,4H,ArH),6.05(s,2H,CH),4.99(s,8H,PAG−CH2),4.77(s,4H,OCH2),4.65(s,4H,OCH2),3.67(s,2H,CH2),2.36(s,24H,PAG−CH3),1.47−2.19(m,58H,CH3+Adamanthyl).
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−77.3,−111.5,−118.1,−122.4.
上記の結果から、化合物(6)が下記に示す構造を有し、式(6)中のR’の全て(100mol%)が式(PAG)で表される基(PAG基)であることが確認できた。
Figure 2010097081
[合成例6〜27(化合物(7)〜(28)の合成)]
上記合成例5において、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩を、以下の表1〜8に示す反応物(X)にそれぞれ変更して(等モル量)合成したこと以外は同様の方法で行った。これにより、上記一般式(6)中のR’に代えて表1〜8に示すR’がそれぞれ導入された化合物(7)〜(28)を得た。各化合物について、NMRによる分析を行い、その結果を表1〜8に併記した。表1〜8中、「↑」は、化合物(8)〜(28)のR’におけるカチオンが、化合物(7)のR’におけるカチオンと同じものであることを示す。
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
Figure 2010097081
<実施例1、比較例1〜2>
下記表9に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
Figure 2010097081
表9中の[ ]内に示す数値は配合量(質量部)である。また、表9中の略号は下記のものを示す。
(B1)−1:前記化合物(3)。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表される質量平均分子量(Mw)10000、分散度(Mw/数平均分子量)1.7の共重合体(式中、m:n=70:30(モル比))。
(A)−2:前記化合物(1)(WO2007/034719の記載(段落番号[0152]の合成例5)をもとにして合成した化合物)。
(B2)−1:トリフェニルスルホニウム ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−オクチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:PGMEAとPGMEとの混合溶剤(PGMEA:PGME=6:4(質量比)。
(S)−2:γ−ブチロラクトン。
Figure 2010097081
得られたレジスト組成物を用いて以下の評価を行った。
[レジストパターンの形成(1)]
実施例1、比較例1〜2のレジスト組成物を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理(90℃、36秒間)を施した8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、100℃で60秒間のベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚60nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて描画(露光)を行い、100℃で60秒間のベーク処理(PEB)を行い、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(23℃)を用いて30秒間の現像を行った後、純水にて15秒間リンスし、さらに、100℃で60秒間のポストベークを行った。
その結果、いずれの例においても、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:1のラインアンドスペースのレジストパターン(以下、LSパターンという。)が形成された。
[形状]
上記[レジストパターンの形成(1)]において、前記ライン幅が100nmのLSパターンが形成される最適露光量EOP(μC/cm)を求め、該EOPで形成されたライン幅80nmのLSパターンの形状を、側長SEMS−9220(Hitachi社製)にて観察し、下記判定基準で評価した。その結果を表10に示す。
(判定基準)
○:レジストパターンの断面形状の矩形性が高く、良好な形状である。
△:レジストパターンの断面形状のトップ部分がまるみを帯びており、矩形性が低い。
Figure 2010097081
<実施例2、比較例3>
下記表11に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
Figure 2010097081
表11中の[ ]内に示す数値は配合量(質量部)である。また、表11中、(E)−1、(S)−1および(S)−2はそれぞれ表9に示したものと同じであり、その他の略号はそれぞれ下記のものを示す。
(B1)−2:前記化合物(4)。
(A)−3:α−メタクリロイルオキシ−γブチロラクトン/2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート=4/4/2(モル比)、質量平均分子量(Mw)10000、分散度(Mw/数平均分子量)1.7の共重合体。
(B2)−2:4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−2:トリ−n−ペンチルアミン。
得られたレジスト組成物を用いて以下の評価を行った。
[レジストパターンの形成(2)]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、上記で調製した実施例2および比較例3のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
次に、ArF液浸露光装置NSR−S302B(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,σ 2/3Annu))により、6%ハーフトーンマスクパターンを介して、前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
その後、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液NMD−3(東京応化工業株式会社製)で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行い、100℃で60秒間ポストベークを行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースパターン(以下「L/Sパターン」という。)が形成された。
上記120nmのL/Sパターンが形成される際の感度を最適露光量EOP(mJ/cm)とした。その結果を表12に示す。
[露光余裕度(ELマージン)の評価]
上記[レジストパターンの形成(2)]で得られた各LSパターンのライン幅120nmの±5%(114nm、126nm)で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を算出した。得られた結果を表12に示す。
ELマージン(%)=(|E1−E2|/Eop)×100
上記式中、E1はホール直径114nmのLSパターンを形成する際の露光量(mJ/cm)であり、E2はホール直径126nmのLSパターンを形成する際の露光量(mJ/cm)である。
ELマージンは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さいことを示す。
[マスクエラーファクター(MEF)評価]
上記EOPにおいて、ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンをターゲットとするマスクパターンと、ライン幅110nm、ピッチ240nmのL/Sパターンをターゲットとするマスクパターンとを用いてL/Sパターンを形成し、以下の式からMEFの値を求めた。その結果を表12に示す。
MEF=|CD120−CD110|/|MD120−MD120
上記式中、CD120、CD110は、それぞれ、ライン幅120nm、110nmをターゲットとするマスクパターンを用いて形成されたL/Sパターンの実際のライン幅(nm)である。MD120、MD110は、それぞれ、当該マスクパターンがターゲットとするライン幅(nm)であり、MD120=120、MD110=110である。
MEFの値が1に近いほど、マスクパターンに忠実なレジストパターンが形成されたことを示す。
[形状]
上記EOPで形成されたライン幅120nmのLSパターンの形状を、側長SEMS−9220(Hitachi社製)にて観察し、下記判定基準で評価した。その結果を表12に示す。
(判定基準)
○:レジストパターンの断面形状の矩形性が高く、良好な形状である。
△:レジストパターンの断面形状のトップ部分がまるみを帯びており、矩形性が低い。
Figure 2010097081

Claims (14)

  1. 下記一般式(1−1)で表されるフェノール化合物および該フェノール化合物における−OHの水素原子の一部が有機基で置換された置換フェノール化合物からなる群から選択され、一分子中に少なくとも2つの−OHを有する化合物(1)における−OHのうち、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(I)で表される基で置換され、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(II)で表される基で置換されている化合物(B1)を含有するレジスト組成物。
    Figure 2010097081
    [式中、n11は1〜3の整数であり;Aは(n11+1)価の連結部であり;aおよびn1はそれぞれ独立に1以上の整数であり、n2およびn5はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつa+n1+n2+n5が5以下であり;bは1以上の整数であり、n3およびn4はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつb+n3+n4が4以下であり;cは1以上の整数であり、n6およびn7はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつc+n6+n7が4以下であり;R101〜R107はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または芳香族炭化水素基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく;ZおよびZはそれぞれ独立に下記一般式(z1)で表される基である。]
    Figure 2010097081
    [式中、R113は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。]
    Figure 2010097081
    [式中、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基であり;RおよびRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基であり、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく;A’は単結合または2価の連結基であり;Xはアニオンである。]
    Figure 2010097081
    [式中、Rは酸解離性溶解抑制基である。]
  2. 前記一般式(1−1)中のZおよびZの少なくとも一方が前記一般式(z1)で表される基である請求項1に記載のレジスト組成物。
  3. 前記化合物(B1)中、前記一般式(z1)中の−OHの水素原子が前記一般式(II)で表される基で置換されている請求項2に記載のレジスト組成物。
  4. 前記一般式(I)中のXが下記一般式(x−1)で表されるアニオンである請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
    Figure 2010097081
    [式中、R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基である。]
  5. 前記化合物(B1)を主成分として含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  6. さらに、前記化合物(B1)に該当しない、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  7. 前記基材成分(A)が、酸解離性溶解抑制基を含む構成単位を有する樹脂である請求項6に記載のレジスト組成物。
  8. さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  9. 支持体上に、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
  10. 下記一般式(1−1)で表されるフェノール化合物および該フェノール化合物における−OHの水素原子の一部が有機基で置換された置換フェノール化合物からなる群から選択され、一分子中に少なくとも2つの−OHを有する化合物(1)における−OHのうち、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(I)で表される基で置換され、少なくとも1つの−OHの水素原子が下記一般式(II)で表される基で置換されている化合物。
    Figure 2010097081
    [式中、n11は1〜3の整数であり;Aは(n11+1)価の連結部であり;aおよびn1はそれぞれ独立に1以上の整数であり、n2およびn5はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつa+n1+n2+n5が5以下であり;bは1以上の整数であり、n3およびn4はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつb+n3+n4が4以下であり;cは1以上の整数であり、n6およびn7はそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつc+n6+n7が4以下であり;R101〜R107はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または芳香族炭化水素基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく;ZおよびZはそれぞれ独立に下記一般式(z1)で表される基である。]
    Figure 2010097081
    [式中、R113は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。]
    Figure 2010097081
    [式中、Rは置換基を有していてもよいアリーレン基であり;RおよびRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基であり、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく;A’は単結合または2価の連結基であり;Xはアニオンである。]
    Figure 2010097081
    [式中、Rは酸解離性溶解抑制基である。]
  11. 前記一般式(1−1)中のZおよびZの少なくとも一方が前記一般式(z1)で表される基である請求項10に記載の化合物。
  12. 前記一般式(z1)中の−OHの水素原子が前記一般式(II)で表される基で置換されている請求項11に記載の化合物。
  13. 前記一般式(I)中のXが下記一般式(x−1)で表されるアニオンである請求項10〜12のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2010097081
    [式中、R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基である。]
  14. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の化合物からなる酸発生剤。
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