JP5507380B2 - パターン形成方法 - Google Patents
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微細なパターンは、通常、有機材料からなり、例えばリソグラフィー法やナノインプリント法等の技術によって形成される。たとえばリソグラフィー法においては、基板等の支持体上に、レジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。そして、上記レジストパターンをマスクとして、基板をエッチングにより加工する工程を経て半導体素子等が製造される。露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が低下するレジスト材料をネガ型という。
近年、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。レジストパターンの微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されており、たとえばArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィーにより、45nmレベルの解像性でのパターン形成が可能となっている。また、解像性の更なる向上のために、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。化学増幅型レジスト組成物には、一般的に、前記酸発生剤とともに、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分が配合されている。たとえばポジ型の化学増幅型レジストの基材成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
また、化学増幅型レジスト組成物の基材成分としては、主に樹脂が用いられている。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
ダブルパターニングプロセスにはいくつか種類があり、たとえば、(1)リソグラフィー工程(レジスト組成物の塗布から露光、現像まで)およびエッチング工程を2回以上繰り返してパターンを形成する方法、(2)リソグラフィー工程を続けて2回以上繰り返す方法等がある。
(1)の方法によるパターンの形成は、たとえば以下の手順で実施される。まず、基板と下層膜とハードマスクとが積層された積層体を用意する。次に、ハードマスク上にレジスト膜を設け、該レジスト膜を、フォトマスクを介して選択的に露光し、現像することにより、所定のサイズのレジストパターンが複数、所定の位置に配置された第一のレジストパターンを形成する。次に、該第一のレジストパターンをマスクとしてハードマスクのエッチングを行った後、残った第一のレジストパターンを除去する。これにより、第一のレジストパターンが転写されたハードマスクが得られる。次に、該ハードマスク上にレジスト組成物を塗布することにより、ハードマスク内の間隙を充填するレジスト膜を形成する。そして、該レジスト膜を、パターン配置の異なるフォトマスクを介して選択的に露光し、現像して第二のレジストパターンを形成する。次に、該第二のレジストパターンをマスクとしてハードマスクのエッチングを行った後、残った第二のレジストパターンを除去する。これにより、第一のレジストパターンおよび第二のレジストパターンが転写されたハードマスクが得られる。このハードマスクをマスクとしてエッチングを行うことにより、下層膜にハードマスクのパターンが転写され、結果、使用したフォトマスクよりも狭ピッチのパターンが形成される。
(2)の方法では、たとえば、支持体上に第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜をパターニングすることにより複数のレジストパターン(第一のレジストパターン)を形成した後、その上に第二のレジスト材料を塗布して前記複数のレジストパターン間の間隙を充填する第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜をパターニングする。
これらのダブルパターニングプロセスによれば、同じ露光波長の光源を用いても、また、同じレジスト組成物を用いても、1回のリソグラフィー工程で形成する場合(シングルパターニング)よりも高解像性のレジストパターンを形成することが可能である。また、ダブルパターニングプロセスは、既存の露光装置を用いて行うことができる。
高解像のレジストパターンを形成できる技術として、上述のようなダブルパターニングプロセスを用いることも考えられる。しかし、上記のようなダブルパターニングプロセスのうち、(1)の方法は、基板上にパターンを形成するためには、レジスト膜のパターニング(レジスト膜の形成、露光、現像)を少なくとも2回、その下層のハードマスクのエッチングを少なくとも2回行う必要があるなど、工程数の増大や薬液使用量の増大、それらに伴う製造コストの増大が問題となる。また、(2)の方法は、ラインアンドスペースパターンの形成には適しているものの、孤立スペースパターン(トレンチパターン)やホールパターンの形成には適していない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、微細パターンの形成に有用なパターン形成方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明のパターン形成方法は、支持体上に、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、露光後ベークを行い、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像することにより、前記第一のレジストパターンを除去してパターンを形成する工程(2)とを有するパターン形成方法であって、前記化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)とを含有するものであり、前記パターン反転用組成物は、前記基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基を解離し得る酸強度を有する酸成分(H)と、酸解離性溶解抑制基を有さない基材成分(A”)とを含有するものであり、かつ、前記パターン反転用膜は、アルカリ現像液に対する溶解速度が0.3〜3.5nm/秒であることを特徴とする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「構成単位」とは、高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
本発明のパターン形成方法は、支持体上に、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、露光後ベークを行い、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像することにより、前記第一のレジストパターンを除去してパターンを形成する工程(2)とを有する。
図1〜2に、本発明のパターン形成方法の実施形態例を示す。
本実施形態では、工程(1)を図1に示す手順で行う。
すなわち、まず、図1(a)に示すように、支持体1上に、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜2を形成する。
次に、第一のレジスト膜2を、図1(b)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク3を介して露光し、露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行う。これにより、第一のレジスト膜2のうち、露光された領域(露光部)のアルカリ現像液に対する溶解性が増大し、一方、露光されていない領域(未露光部)のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないか、変化してもその変化量がわずかであるため、露光部と未露光部との間にアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が生じる。そのため、アルカリ現像液による現像を行うと、第一のレジスト膜2の露光部が除去され、未露光部が残留し、その結果、図1(c)に示すように、支持体1上に、離間配置された複数のレジストパターン2aから構成されるパターン(第一のレジストパターン)が形成される。
工程(2)では、まず、複数のレジストパターン2aから構成されるパターンが形成された支持体1(図2(a))上に、第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布し、複数のレジストパターン2a間の間隙を充填するパターン反転用膜6を形成する(図2(b))。
その際、前記パターン反転用組成物がレジストパターン2a中にも広がり、レジストパターン2aは、前記パターン反転用組成物に溶存していた酸成分(H)を含むレジストパターンに変化する。そして、レジストパターン2aを構成する成分と前記酸成分(H)とが反応し、第一のレジストパターンは、アルカリ現像液に対する溶解性が増大したレジストパターンに変化する。
次に、アルカリ現像液による現像を行うと、レジストパターン2aが除去される一方、レジストパターン2a間に充填されたパターン反転用膜6は除去されずに残る。パターン反転用膜6のうち、レジストパターン2aの上面に存在する部分は、その厚さが薄いため、アルカリ現像時にレジストパターン2aとともに除去される。その結果、図2(c)に示すように、レジストパターン2aのあった位置6cに、レジストパターン2aのイメージが反転したパターン(反転パターン)が形成される。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層膜が挙げられる。特に、有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを形成でき、半導体の製造等において有用であることから好ましい。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法と、に分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
ここで、「化学増幅型レジスト組成物」は、露光により酸を発生する酸発生剤成分を必須の成分として含有するものであり、該酸の作用により、当該化学増幅型レジスト組成物全体のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する性質を有する。たとえばポジ型の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
工程(1)における化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)とを含有するものである。この化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いて形成した第一のレジスト膜に対して露光および露光後ベークを行うと、前記酸発生剤成分(B)から発生する酸の作用により当該基材成分(A)から酸解離性溶解抑制基が解離する。
この酸解離性溶解抑制基は、解離前は当該基材成分(A)全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸発生剤成分(B)から発生した酸の作用により解離する性質を有する基であり、この酸解離性溶解抑制基が解離することで、当該基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、該化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的露光および露光後ベークを行うと、レジスト膜の露光部が、酸発生剤成分(B)から発生した酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないため、アルカリ現像により露光部のみが溶解除去され、レジストパターンが形成される。
かかる化学増幅型ポジ型レジスト組成物の具体例について、詳しくは後述する。
具体的には、たとえば支持体1上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いて第一のポジ型レジスト組成物を塗布し、好ましくは80〜150℃の温度条件下、ベーク処理(プレベーク)を40〜120秒間、より好ましくは60〜90秒間施し、有機溶剤を揮発させることにより第一のレジスト膜2を形成できる。
第一のレジスト膜2の厚さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。微細なレジストパターンを形成しやすいことから、ArFエキシマレーザー、EUV、EBのいずれかが好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。
フォトマスク3としては、特に限定されず、公知のものを利用でき、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。
当該バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
当該ハーフトーン型位相シフトマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが用いられる。
なお、本実施形態では、フォトマスク3を介して露光を行っているが、本発明はこれに限定されず、フォトマスクを介さない露光、たとえばEB等による描画により選択的露光を行ってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズと支持体上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスクを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜(工程(1)においては第一のレジスト膜2)の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体を、簡便な方法で除去できることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物として具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
より詳細に説明すると、化学増幅型ポジ型レジスト組成物からなる第一のレジスト膜2は、露光およびPEBを行うことで、酸発生剤成分(B)からの酸の発生と、発生した酸の当該レジスト膜2内での拡散と、該酸の作用による当該レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性の増大とが進行する。このとき、露光量およびPEBのベーク温度(PEB温度)が充分でなく、供給されるエネルギー量が充分でないと、露光部において、酸の発生および拡散が充分に進行せず、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が充分に増加しない。
そのため、露光部と未露光部との間のアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が小さく、現像しても良好なレジストパターンを形成できない。つまり、第一のレジストパターンを形成するためには、当該第一のレジスト膜2の露光、PEBおよび現像を行った際に、該レジスト膜2の露光部が、アルカリ現像液で溶解除去されるのに充分なアルカリ現像溶解性を発現する露光量およびPEB温度で、露光およびPEBを行う必要がある。
第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるためには、露光量、PEB温度ともにある程度以上の値が必要となる。たとえば露光量が少なすぎると、PEB温度を高くしても、アルカリ現像液に対する溶解性の増大は見られない。また、露光量が多くても、PEB温度が低すぎると、アルカリ現像液に対する溶解性の増大は見られない。
以下、露光後のレジスト膜に、アルカリ現像液で溶解除去されるのに充分なアルカリ現像溶解性を発現させることができるPEB温度を有効PEB温度ということがある。
工程(1)でのPEB温度(Tpeb1)は、当該露光量にて露光された第一のレジスト膜2の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大し得る温度、つまり、第一のレジスト膜2の有効PEB温度の最低値(Tmin1)以上の温度であればよい。すなわち、Tmin1≦Tpeb1であればよい。
Tpeb1は、使用する第一のポジ型レジスト組成物の組成によっても異なるが、通常、70〜150℃の範囲内であり、80〜140℃が好ましく、85〜135℃がより好ましい。
該PEB処理におけるベーク時間は、通常、40〜120秒間であり、好ましくは60〜90秒間施される。
第一のレジスト膜2に対し、工程(1)で使用する露光光源(たとえばArFエキシマレーザー、EB、EUV等)にて、露光量を変化させて露光し、所定のベーク温度で30〜120秒間のPEB処理を行い、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23℃)を用いて現像を行う。
このとき、所定のベーク温度にて露光量を増加させていった際に、露光量が所定値以上になると、第一のレジスト膜2の露光部のアルカリ現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上となる場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大するベーク温度(第一のレジスト膜2のTmin1以上の温度)であると判定される。一方、露光量を増加させていっても、第一のレジスト膜2の露光部の現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上とはならず、それよりも低い溶解速度で飽和を示す場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しないベーク温度(第一のレジスト膜2のTmin1未満の温度)であると判定される。
また、このとき、アルカリ現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上となる変化が生じた時点の露光量以上の露光量が、当該PEB温度において、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する露光量であると判定される。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で主に行われるため)、処理温度が、好ましくは120〜160℃程度の条件で行われ、処理時間が、好ましくは30〜90秒間である。
次に、第一のレジストパターンが形成された支持体1上に、パターン反転用組成物を塗布し、レジストパターン2a間の間隙を充填するパターン反転用膜6を形成する。
当該パターン反転用組成物は、第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤(以下「(S’)成分」という。)と、前記基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基を解離し得る酸強度を有する酸成分(H)と、酸解離性溶解抑制基を有さない基材成分(A”)とを含有する。
パターン反転用組成物が(S’)成分を含有することで、パターン反転用組成物を塗布した際の、パターン反転用組成物中の有機溶剤によるレジストパターン2aの溶解を抑制でき、レジストパターン2aの形状の悪化や消失、レジストパターン2aとパターン反転用膜6との界面でのミキシングの発生等を防止することができる。
(S’)成分としては、第一のレジストパターンを溶解せず、かつ、パターン反転用組成物に配合される成分を溶解し得るものであればよい。なかでも、アルコール系有機溶剤又は水酸基を有さないエーテル系有機溶剤であることが好ましい。そのなかでも、支持体上への塗布性、樹脂成分などのパターン反転用組成物に配合される成分の溶解性の点から、アルコール系有機溶剤が好ましい。
ここで、「アルコール系有機溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。前記脂肪族炭化水素を構成する主鎖の構造は、鎖状構造であってもよく、環状構造であってもよく、該鎖状構造中に環状構造を有していてもよく、また、該鎖状構造中にエーテル結合を含むものであってもよい。
「水酸基を有さないエーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、水酸基を有さず、かつ、常温常圧下で液体である化合物である。該水酸基を有さないエーテル系有機溶剤は、さらに、水酸基に加えてカルボニル基も有さないことが好ましい。
1価アルコールとしては、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、なかでも1級の1価アルコールが最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、炭素原子および水素原子のみから構成される炭化水素化合物の水素原子の1つが水酸基で置換された化合物を意味し、2価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。該炭化水素化合物は、鎖状構造のものであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。
2価アルコールとは、前記炭化水素化合物の水素原子の2つが水酸基で置換された化合物を意味し、3価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。
2価アルコールの誘導体としては、2価アルコールの水酸基の1つが置換基(アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基等)で置換された化合物が挙げられる。
かかるアルコール系有機溶剤として具体的には、鎖状構造のものとして、プロピレングリコール(PG);1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB)、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、n−ペンチルアルコール、s−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも称する。IBA。)、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)等が挙げられる。
また、環状構造を有するものとして、シクロペンタンメタノール、1−シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール(CM)、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6−テトラヒドロベンジルアルコール、exo−ノルボルネオール、2−メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5−ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
R40−O−R41 …(s−1)
[式中、R40、R41はそれぞれ独立して1価の炭化水素基であり、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。−O−はエーテル結合を示す。]
R40、R41の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、パターン反転用組成物の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R40、R41の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。
R40およびR41は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R40の末端と、R41の末端とが結合して環を形成する。また、アルキレン基の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。
かかるエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点171℃;DIAE)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、パターン反転用膜の膜減り低減効果が良好なことから、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤であることが好ましく、なかでも1,8−シネオール、ジブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテル(DIAE)からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
また、パターン反転用組成物は、(S’)成分を用いることによる効果を損なわない範囲で、(S’)成分以外の有機溶剤(以下、(S”)成分という。)を含有してもよい。
(S”)成分としては、パターン反転用組成物に配合される成分を溶解し得るものが好ましい。具体的には、後述する第一のポジ型レジスト組成物の説明で挙げる(S)成分と同様のものが挙げられる。
(S”)成分の配合量は、パターン反転用組成物に用いられる全有機溶剤中、0〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
パターン反転用組成物に用いられる全有機溶剤の使用量は、特に限定されず、通常、当該パターン反転用組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。例えば、パターン反転用組成物の固形分濃度が1〜30質量%の範囲内となるように用いられる。
具体的には、たとえば第一のレジストパターンが形成された支持体1上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いてパターン反転用組成物を塗布し、ベーク処理(プレベーク)を施し、有機溶剤を揮発させることにより、レジストパターン2a間の間隙を充填するパターン反転用膜6を形成できる。
パターン反転用組成物の塗布により、パターン反転用組成物がレジストパターン2a中にも広がり、レジストパターン2aは、前記パターン反転用組成物に溶存していた酸成分(H)を含むレジストパターンに変化する。そして、この酸成分(H)の作用によって、レジストパターン2aを構成する基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基が解離し、第一のレジストパターンはアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
また、ベーク処理を施すことにより、酸成分(H)と、レジストパターン2aを構成する基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基との相互作用が増して、第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性がより増大する。そして、次のアルカリ現像により、レジストパターン2aが除去され、反転パターンが形成される。
ベーク時間は、40〜120秒間が好ましく、60〜90秒間がより好ましい。
パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度が遅い(または現像時間が短い)のにパターン反転用膜6の厚さが厚すぎると、工程(2)でのアルカリ現像時にレジストパターン2aの上面のパターン反転用膜6がうまく取り除けず、逆に、パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度が速い(または現像時間が長い)のにパターン反転用膜6の厚さが薄すぎると、工程(2)でのアルカリ現像時にレジストパターン2aだけでなくパターン反転用膜6もすべてアルカリ現像液に溶解してしまい、良好な反転パターンが形成できないおそれがある。
たとえば第一のレジストパターンがラインパターンの場合、該ラインパターンと同じ位置に、該ラインパターンの寸法(ライン幅)とほぼ同じ寸法(スペース幅)のスペースパターンが反転パターンとして形成される。また、第一のレジストパターンがドットパターンの場合、該ドットパターンと同じ位置に、該ドットパターンの寸法(ドット直径)とほぼ同じ寸法(ホール直径)のホールパターンが反転パターンとして形成される。
当該溶解速度が下限値以上であることにより、適度な膜減りを生じるようになり、後述するように、レジストパターン2a上に形成されたパターン反転用膜が現像時にレジストパターン2aとともに溶解して除去され、解像性の良好な反転パターンが形成されやすくなる。一方、当該溶解速度が上限値以下であることにより、現像後、アルカリ現像液に溶解して除去されることなく、パターン反転用膜6が形成される。
かかる溶解速度は、後述の基材成分(A”)の種類や、基材成分(A”)と溶解抑制剤成分との組合せ等により制御できる。
[アルカリ現像液に対する溶解速度の測定]
シリコン基板等の支持体上に、パターン反転用組成物を、スピンナーを用いて均一に塗布し、プレベーク(PAB)処理等を行ってパターン反転用膜を形成し、次いで、当該パターン反転用膜に対して、上記アルカリ現像を行い、その際の当該パターン反転用膜の溶解速度(単位時間当たりの膜減り量、単位:nm/s)をナノスペック(ナノメトリクス社製)により求める。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で主に行われるため)、処理温度が、好ましくは120〜160℃程度の条件で行われ、処理時間が、好ましくは30〜90秒間である。
このように反転パターンとして形成されるスペースパターンやホールパターンは、1回のリソグラフィー工程で直接形成される場合に比べて、解像力や形状、リソグラフィーマージン(たとえば露光量に対する余裕度(ELマージン)、焦点深度に対する余裕度(DOFマージン)、パターン形状の垂直性等)のパターン形成能に優れたものである。すなわち、レジスト膜の極一部、微細な領域を除去する必要があるスペースパターンやホールパターンを直接形成する場合、上述したように、弱い光入射強度下でのパターン形成を強いられ、パターン形成能に制限が大きいが、上記反転パターンを形成する際のパターン形成能は、第一のレジストパターン(孤立ラインパターンやドットパターン、ラインアンドスペースパターン等)を形成する際のパターン形成能に依存するため、スペースパターンやホールパターンを直接形成する場合に比べてパターン形成能に制限が少なく、良好なレジストパターンを形成できる。
また、かかるパターン形成方法においては、第一のポジ型レジスト組成物として上述したような架橋形成能を有する等の特定のレジスト組成物を用いなければならない等の制限はなく、これまで提案されている従来公知の化学増幅型ポジ型レジスト組成物をそのまま用いることができる。また、パターン反転用組成物も、これまで提案されている樹脂組成物等をそのまま用いることができる。
エッチングの方法は、公知の方法(ドライエッチング、ウェットエッチング)が利用できる。たとえば有機膜(レジストパターン、有機系の反射防止膜等)のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、酸素プラズマエッチング、またはCF4ガスもしくはCHF3ガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが特に好ましい。基板や無機系の反射防止膜のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングがより好ましく、特にCF4ガス又はCHF3ガスを用いたエッチングが好ましい。
本発明のパターン形成方法において、化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)と、酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)(以下「(A)成分」という。)とを含有するものであり、これまで提案されている多数の化学増幅型ポジ型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
かかる第一のポジ型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により(A)成分の酸解離性溶解抑制基が解離し、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像により露光部のみが除去され、レジストパターンが形成される。
(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を有する基材成分である。
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物である。基材成分としては、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を「低分子化合物」という。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、分子量が1000以上の重合体を「樹脂」ということがある。
重合体の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物成分(A2)(以下、(A2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
本発明においては、(A)成分が(A1)成分を含有することが好ましい。
以下、(A1)成分および(A2)成分の好ましい態様をより具体的に説明する。
(A1)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物、EB用ポジ型レジスト組成物、EUV用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
前記ベース樹脂として、具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有する樹脂の当該親水基を酸解離性溶解抑制基で保護したものが挙げられる。
当該親水基を有する樹脂としては、たとえばノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン(PHS)やヒドロキシスチレン−スチレン共重合体等の、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を有する樹脂(PHS系樹脂)、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有するアクリル系樹脂等が挙げられる。
これらは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「ヒドロキシスチレン」とは、α位の炭素原子(フェニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているヒドロキシスチレンのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているもの、並びにそれらの誘導体も含む概念とする。具体的には、少なくともベンゼン環と、該ベンゼン環に結合する水酸基が維持されており、たとえば、ヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等の置換基に置換されたもの、ならびに、ヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、さらに炭素数1〜5のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、さらに1〜2個の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2〜3である。)等を包含するものとする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子(アクリル酸のカルボニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該α位の炭素原子に結合する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
ヒドロキシスチレンまたはアクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
本発明において、ヒドロキシスチレンまたはアクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
(A1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに、−SO2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)を有することが好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、構成単位(a1)および(a2)に加えて、構成単位(a1)および(a0)に加えて、または構成単位(a1)と(a2)と(a0)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光により(B)成分から発生した酸の作用により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものである。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基としては、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和又は不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。
該脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。また、これらのモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基またはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されたものであってもよい。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基等が挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
R15〜R16のアルキル基としては、R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’のアルキル基としては、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基は、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2の2価の連結基としては、特に限定されず、たとえばアルキレン基、2価の脂肪族環式基、2価の芳香族環式基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。
Y2がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
Y2が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基であること以外は上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。Y2における脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカンまたはテトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基が特に好ましい。
Y2が2価の芳香族環式基である場合、該芳香族環式基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。芳香族炭化水素環としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環又はナフタレン環が特に好ましい。
芳香族炭化水素環が有してもよい置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
Y2が−NH−である場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
これら直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式−[A−C(=O)−O]m’−B−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
R1’、R2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR1’、R2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y2としては、上記一般式(a1−0−2)におけるY2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
構成単位(a1)としては、上記の中でも、一般式(a1−1)または(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には、前記式(a1−1−1)〜(a1−1−4)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、式(a1−1−26)、式(a1−1−32)〜(a1−1−33)および式(a1−3−25)〜(a1−3−32)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、式(a1−1−1)〜(a1−1−3)および式(a1−1−26)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)および式(a1−1−32)〜(a1−1−33)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるもの、式(a1−3−29)〜(a1−3−32)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−03)で表されるものが好ましい。
R11のアルキル基は、Rにおけるアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。
R12のアルキル基は、Rにおけるアルキル基と同様ものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
R13は、水素原子が好ましい。
R14のアルキル基は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様であり、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
yは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
n’は1または2が最も好ましい。
Y2’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
Y2”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性溶解抑制基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(=O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)におけるラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R29は単結合または2価の連結基である。該2価の連結基としては、前記一般式(a1−0−2)中のY2で説明した2価の連結基と同様ものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、またはそれらの組み合わせが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記Y2の説明中、Aにおける脂肪族炭化水素基で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
R29としては、特に、単結合または−R29’−C(=O)−O−[式中、R29’は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]が好ましい。R29’における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基)等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
構成単位(a3)において、脂肪族炭化水素基に結合する極性基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましく、1個が最も好ましい。
前記極性基が結合する脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
構成単位(a3)としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基またはフッ素化アルコール基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
また、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が多環式基の場合、構成単位(a3)としては、下記式(a3−1)で表される構成単位、一般式(a3−2)で表される構成単位、一般式(a3−3)で表される構成単位等が好ましい。中でも、一般式(a3−1)で表される構成単位が好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a0)は、−SO2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a0)のなかで好適なものとしては、たとえば下記一般式(a0−1)で表される構成単位が挙げられる。
前記式(a0−1)中、R2は2価の連結基である。
R2としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
R2における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、上記一般式(a1−0−2)中のY2についての説明のなかで例示した「Aにおける炭化水素基」と同様である。
R2におけるヘテロ原子を含む2価の連結基は、上記一般式(a1−0−2)中のY2における「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と同様である。
R2がアルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
R2が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
AおよびBにおける置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、上述したR2における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式−[A−C(=O)−O]d−B−で表される基において、dは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
「酸解離性部位」とは、R2の構造内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。R2が酸解離性部位を有する場合、好ましくは第三級炭素原子を有する酸解離性部位を有することが好ましい。
R3における環式基とは、その環骨格中に−SO2−を含む環を含有する環式基を示し、該環をひとつの目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。R3における環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
なかでも、R3は、その環骨格中に−O−SO2−を含む環式基、すなわち−O−SO2−中のーO−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環、であることが特に好ましい。
R3における環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、4〜15であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。
ただし、該炭素数は、環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
R3における環式基は、脂肪族環式基であってもよく、芳香族環式基であってもよく、脂肪族環式基であることが好ましい。
R3における脂肪族環式基としては、上述したR2における炭化水素基、すなわち「Aにおける炭化水素基」の説明において例示した環状の脂肪族炭化水素基の環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO2−または−O−SO2−で置換されたものが挙げられる。
より具体的には、たとえば、前記単環式基としては、その環骨格を構成する−CH2−が−SO2−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH2−CH2−が−O−SO2−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。また、前記多環式基としては、その環骨格を構成する−CH2−が−SO2−で置換されたポリシクロアルカン(ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等)から水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH2−CH2−が−O−SO2−で置換されたポリシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基は、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基は、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基は、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
R3として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH2−、−CH2−O−CH2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
tは0〜2の整数のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
tが2である場合、複数のR28は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R28におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記R3における環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
R3として具体的には、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)及び(3−4−1)で表される環式基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される環式基が最も好ましい。
−A−C(=O)−O−B−において、A、Bは、それぞれ直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。具体的には、−(CH2)2−C(=O)−O−(CH2)2−、−(CH2)2−O−C(=O)−(CH2)2−が挙げられる。
A’はメチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、5〜55モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましく、15〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより、形成されるレジストパターンの露光余裕度(ELマージン)、LWR(ラインワイズラフネス)等のリソグラフィー特性に優れる。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)、(a0)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
該他の構成単位は、上述の構成単位(a1)〜(a3)、(a0)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
該他の構成単位としては、例えば、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)等が挙げられる。
構成単位(a4)における脂肪族多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
かかる共重合体としては、たとえば、構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体;構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a0)からなる共重合体;構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
(A)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
たとえば、構成単位(a0)を誘導するモノマーとしては、下記一般式(a0−1−0)で表される化合物(以下「化合物(a0−1−0)」という。)が挙げられる。
たとえば、塩基の存在下、下記一般式(X−1)で表される化合物(X−1)が反応溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(X−2)で表される化合物(X−2)を添加し、反応させることにより、上記化合物(a0−1−0)が得られる。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基;トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。縮合剤としては、例えばエチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール等のカルボジイミド試薬やテトラエチルピロホスフェイト、ベンゾトリアゾール−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop試薬)等が挙げられる。
また、必要に応じて酸を用いてもよい。酸としては、脱水縮合等で通常用いられるものを使用することができ、具体的には塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4'−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3'−フルオロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、及び2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;1,1−ビス[3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル]イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、及びビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、及び2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、及び1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等の多核枝分かれ型化合物;フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはジメチルフェノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜12核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
第一のポジ型レジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
また、R1”〜R3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
該アリール基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシアルキルオキシ基、−O−R50−C(=O)−(O)n”−R55[式中、R50はアルキレン基または単結合であり、R55は酸解離性基または酸非解離性基であり、n”は0または1である。]等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
R47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
そして、R47およびR48は、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることが好ましく、R47およびR48がいずれも水素原子であることが特に好ましい。
R49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。
具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R48およびR49は、相互に結合して一つの環構造を形成していても良い。この場合、R48とR49と、R49が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR48が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。
R55における酸解離性基としては、酸(露光時に(B)成分から発生する酸)の作用により解離しうる有機基であれば特に限定されず、たとえば前記(A)成分の説明で挙げた酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。中でも、第3級アルキルエステル型のものが好ましい。
R55における酸非解離性基としては、好ましくはデシル基、トリシクロデシル基、アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)メチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基が挙げられる。
該アルキル基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、前記アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえば環を形成する2つのうちの一方または両方が環式基(環状のアルキル基またはアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
R1”〜R3”のうちの2つが結合して環を形成する場合、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
R1”〜R3”のうちの2つが結合して形成される環の具体例としては、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、9H−チオキサンテン、チオキサントン、チアントレン、フェノキサチイン、テトラヒドロチオフェニウム、テトラヒドロチオピラニウムなどが挙げられる。
R1”〜R3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つはアリール基であることが好ましい。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
式(I−11−12)〜(I−11−13)中、R81、R83〜R86において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R81、R83〜R86に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR81、R83〜R86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R4”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R4”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R4”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R4”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R4”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
R4”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Q5は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
Q5としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
RXにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
RXにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
「ヘテロ原子を含む置換基」(以下、ヘテロ原子含有置換基ということがある。)は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのアルコキシ基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜17であることがより好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10が特に好ましい。具体的には、この後例示する直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基の具体例と同様のものが挙げられる。該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。これらのシクロアルキル基は、その環に結合した水素原子の一部または全部が、フッ素原子、フッ素化アルキル基等の置換基で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
前記ヘテロ原子含有置換基としての−C(=O)−R80、−COOR79において、R80、R79におけるアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン化アルキル基におけるアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が特に好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン化アルコキシ基としては、前記アルコキシ基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルコキシ基としては、フッ素化アルコキシ基が好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基が有する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。不飽和炭化水素基としてはプロペニル基が特に好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば以下の式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
該アルキレン基は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい。その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−R94−、−S−R95−、−R96−O−R97−、−R98−S−R99−等が挙げられる。ここで、R94〜R99はそれぞれ独立にアルキレン基である。該アルキレン基としては、前記Q”におけるアルキレン基として挙げたアルキレン基と同様のものが挙げられる。中でも、−O−CH2−、−CH2−O−CH2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−等が好ましい。
該置換基としてのアルキル基としては、前記ヘテロ原子含有置換基としてのアルコキシ基におけるアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該アルキル基としては、特に、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのハロゲン原子、アルコキシ基、−C(=O)−R80、−COOR79、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基としては、それぞれ、前記脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
脂肪族環式基の水素原子を置換する置換基としては、上記の中でも、アルキル基、酸素原子(=O)、水酸基が好ましい。
脂肪族環式基が有する置換基の数は、1つであってもよく、2以上であってもよい。置換基を複数有する場合、該複数の置換基はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
RX−Q5−Y5−で表される基において、Y5のアルキレン基としては、前記Q5で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y5として、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−;−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−;−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−等が挙げられる。
これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては、上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
R7に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R8におけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基としては、それぞれ、上記Rにおけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
r1〜r2、w1〜w5は、それぞれ、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
v0〜v5は0〜2が好ましく、0または1が最も好ましい。
t3は、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
q3は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R7”としては、前記R4”と同様のものが挙げられる。
上記「R7”−COO−」の具体的としては、トリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、1−アダマンタンカルボン酸イオンなどが挙げられる。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
第一のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
第一のポジ型レジスト組成物は、さらに、任意の成分として、含窒素有機化合物(以下、(D)成分という。)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよい。
(D)成分としては、通常、低分子化合物(非重合体)が用いられている。(D)成分としては、たとえば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、脂肪族アミンが好ましく、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、たとえば、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,2’−ジビリジル、4,4’−ジビリジルなどが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
塩基解離性基を含有する構成単位(f1)としては、たとえば、後述する一般式(a”13−0)で表される構成単位と同様のものが挙げられる。
(F1)成分としては、たとえば米国特許出願公開第2009/0197204号明細書に記載のものが挙げられる。
j”は、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が最も好ましい。
R30は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が特に好ましく、エチル基が最も好ましい。
h”は、3又は4が好ましく、4が最も好ましい。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.8が最も好ましい。
第一のポジ型レジスト組成物における(F1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜40質量部がより好ましく、0.3〜30質量部が特に好ましく、0.5〜15質量部が最も好ましい。上記範囲の下限値以上とすることで当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光用としても好適な疎水性を有するものとなり、上限値以下であると、リソグラフィー特性が向上する。
かかる(F1)成分は、液浸露光用のレジスト組成物の添加剤としても好適に用いることができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、γ−ブチロラクトン、EL、CHが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、PGME、CH及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
本発明において、パターン反転用組成物は、前記(S’)成分と、前記基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基を解離し得る酸強度を有する酸成分(H)と、酸解離性溶解抑制基を有さない基材成分(A”)とを含有するものである。
パターン反転用組成物としては、アルカリ現像を行うと、前記第一のレジストパターンは除去される一方で、支持体上に除去されずに残るパターン反転用膜を形成し得るものであればよい。たとえば、パターン反転用組成物は、前記工程(2)でパターン反転用膜を形成するために行うベーク処理(プレベーク)後の第一のレジストパターンよりも低いアルカリ現像溶解性を有するパターン反転用膜を形成し得るものが挙げられる。本発明において、当該パターン反転用膜は、アルカリ現像液に対する溶解速度が0.3〜3.5nm/秒である。
なかでも、パターン反転用組成物としては、図2(b)におけるパターン反転用膜6のレジストパターン2a上面に存在する部分が厚くなったり、その厚さがばらついたりしても、図2(c)の反転パターンを形成できることから、アルカリ現像時に支持体上から除去されない程度で、かつ、前記工程(2)でのベーク処理後の第一のレジストパターンよりも低い、という適度なアルカリ現像溶解性(所定の溶解速度)を有するパターン反転用膜を形成し得るものが好ましい。
酸成分(H)(以下「(H)成分」ともいう。)は、前記基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基を解離し得る酸強度を有するものである。
「基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基を解離し得る酸強度を有するもの」とは、前記第一のレジストパターンが形成された支持体上にパターン反転用組成物を塗布した際、又はベーク処理(プレベーク)を施した際、基材成分(A)に作用して、基材成分(A)から酸解離性溶解抑制基を解離させることができる酸化合物を包含する。
(H)成分のなかで好適なものとしては、たとえば、前記第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすいことから、高級脂肪酸、高級アルキルスルホン酸、高級アルキルアリールスルホン酸、スルホン酸基を有するその他の酸成分が挙げられる。なかでも、(H)成分としては、その化合物の濃度1300ppm(質量基準)の水溶液における25℃でのpHが、3.0以下となるものが好ましい。
なお、pHは、市販のpH/ORPメーターにより測定される値である。
上記炭素数8〜20のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、その鎖中にフェニレン基又は酸素原子等が介在していてもよいし、アルキル基中の水素原子の一部が水酸基やカルボキシ基で置換されていてもよい。
高級アルキルアリールスルホン酸としては、平均炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは9〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等が挙げられ、具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸が挙げられる。
スルホン酸基を有するその他の酸成分としては、平均炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは9〜15のアルキル基を有するアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸が挙げられ、具体的には、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等が挙げられる。
これらの中でも、平均炭素数15のアルキル基を有するアルキルスルホン酸、平均炭素数12のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。
前記式(h−2)で表される化合物としては、たとえばC10F21COOHが挙げられる。
当該アルキル基中の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
前記式(h−3)で表される化合物としては、たとえば下記化学式で表される化合物が挙げられる。
前記式(h−4)で表される化合物としては、たとえば下記化学式で表される化合物が挙げられる。
本発明において、(H)成分は、濃度1300ppmの水溶液とした際の25℃でのpHが3.0以下となる化合物であることが好ましく、当該pHが2.95以下となる化合物であることがより好ましく、当該pHが2.9以下となる化合物であることがさらに好ましい。(H)成分として、当該pHが3.0以下となる化合物を含有することにより、工程(2)で、第一のレジストパターンが充分に除去され、解像性の良好なパターンが形成される。(H)成分における好ましい当該pHの下限値は、特に限定されないが、パターン反転用組成物の安定性等を考慮すると、(H)成分は、当該pHが1.5以上となる化合物であることが好ましい。
パターン反転用組成物中、(H)成分の含有量(質量基準)は、基材成分(A”)100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
(H)成分の含有量が下限値以上であると、前記第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなる。(H)成分の含有量が上限値以下であると、装置内部等への影響が少なくなり好ましい。
基材成分(A”)(以下「(A”)成分」ともいう。)は、酸解離性溶解抑制基を有さない、膜形成能を有する有機化合物である。
本発明におけるパターン反転用組成物は、(A”)成分が樹脂成分(A”1)(以下「(A”1)成分」ともいう。)を含有する樹脂組成物であることが好ましい。
以下、(A”1)成分の好ましい態様をより具体的に説明する。
(A”1)成分としては、たとえば、酸解離性溶解抑制基を有さず、極性基を含有する構成単位を有する樹脂が挙げられる。極性基を含有する構成単位を有することにより、(A”1)成分は、前記(S’)成分に対する溶解性が良好となる。また、アルカリ現像液に対して若干の溶解性を有するようになる。
このような(A”1)成分のなかで好適なものは、極性基として、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、塩基解離性基、下記一般式(f2−0−1)で表される基、下記一般式(f2−0−2)で表される基、及び下記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む構成単位(a”1)を有する樹脂成分が挙げられる。
構成単位(a”1)は、極性基として、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、塩基解離性基、前記一般式(f2−0−1)で表される基、前記一般式(f2−0−2)で表される基、及び前記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む構成単位である。
本発明において「塩基解離性基」とは、塩基の作用により解離し得る有機基をいう。塩基としては、一般的にリソグラフィー分野において用いられているアルカリ現像液が挙げられる。すなわち、「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(たとえば、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃))の作用により解離する基である。
塩基解離性基は、アルカリ現像液の作用により加水分解が生じることにより解離する。そのため、該塩基解離性基が解離すると同時に親水基が形成され、(A”1)成分の親水性が高まり、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。
本発明において、塩基解離性基は、下記一般式(II−1)〜(II−5)で表される基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、現像時には親水性となる特性に優れ、かつ、合成が容易である点から、下記一般式(II−1)、(II−4)、(II−5)で表される基であることが特に好ましい。
「有機基」は、少なくとも1つの炭素原子を含む基である。
R0の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
R0において、有機基の炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましく、1〜5が最も好ましい。
R0は、フッ素化率が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
「フッ素化率」は、当該有機基における(水素原子およびフッ素原子の合計数)に対する(フッ素原子数)の割合(%)である。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有さない炭化水素基である。脂肪族炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
すなわち、R0としては、フッ素化飽和炭化水素基またはフッ素化不飽和炭化水素基であることが好ましく、フッ素化飽和炭化水素基、すなわちフッ素化アルキル基であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、下記に挙げる無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、第3級アルキル基が好ましい。
無置換の環状のアルキル基としては、例えば、モノシクロアルカン、またはビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等のポリシクロアルキル基などが挙げられる。
無置換の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
R41’としては、特に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
R42’としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。なかでも、トリフルオロメチル基(−CF3)、テトラフルオロエチル基(−C2F4H)、−C2F5が好ましい。
式(III−2)中、R74〜R76のアルキル基としては、エチル基またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R74〜R76のアルキル基のうち、いずれか1つがフッ素化アルキル基であればよく、全てがフッ素化アルキル基で合ってもよい。
前記式(f2−0−1)中、Qは、2価の連結基又は単結合である。
2価の連結基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、ペンテン基、イソペンテン基、ネオペンテン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。また、Qにおける2価の連結基はヘテロ原子を含んでいてもよく、エーテル基、エステル基、上述のアルキレン基中の水素原子および/又は炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子で置換された基等も挙げられる。これらの中でも、合成のしやすさ等の点で、直鎖状のアルキレン基が好ましく、特にメチレン基が好ましい。
かかる直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。かかるアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、メチル基が特に好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
フッ素化アルキル基のフッ素化率は、10〜100%が好ましく、30〜100%がより好ましく、50〜100%が特に好ましく、100%、すなわち水素原子がすべてフッ素原子で置換されたものであることが最も好ましい。フッ素化率が10%以上であると、パターン反転用膜表面の疎水性が高まり、アルカリ現像液に対する溶解速度の制御が図られる。
上記のなかでも、R5のフッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、アルキル基の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。パーフルオロアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基が最も好ましい。
前記式(f2−0−2)中、Q及びR5は、いずれも、前記式(f2−0−1)におけるQ及びR5と同様である。
前記式(f2−0−3)中、R51,R52は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、又はフッ素化低級アルキル基である。
R51,R52において、炭素数1〜5の低級アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
R51,R52において、フッ素化低級アルキル基としては、前記R51,R52の低級アルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
なかでも、R51,R52としては、水素原子が好ましく、共に水素原子であることが最も好ましい。
mf,nfは、それぞれ独立して0〜5の整数(ただし、mf+nf≧1)であり、1〜3の整数であることが好ましく、アルカリ現像液に対する溶解速度の点から、mf及びnfが共に1であることが最も好ましい。
q’は、0〜5の整数であり、0〜3の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、最も好ましくは1である。
p’は1〜5の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
また、本発明において「主鎖環状型構成単位」とは、単環又は多環式の環構造を有し、該環構造の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が主鎖を構成する構成単位をいう。主鎖環状型構成単位を含むことにより、膜表面の疎水性の高いパターン反転用膜が得られ、エッチング耐性も向上する。この理由は、主鎖が環状型であることにより、炭素密度が高くなっているためと推測される。
構成単位(a”1)としては、前記(S’)成分に対する溶解性が良好で、また、アルカリ現像液に対して若干の溶解性を有するようになり、かつ、エッチング耐性に優れることから、下記一般式(a”11−1)で表される構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a”11)」という。)が好適に例示できる。
R20としては、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
R6のアルキル基としては、R20のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R6の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2である場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR6は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
(A”1)成分中の構成単位(a”11)の割合は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して50〜90モル%であることが好ましく、55〜85モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることがさらに好ましい。構成単位(a”11)の割合が該範囲の下限値以上であると、パターン反転用組成物とした際に所定のアルカリ溶解性が得られ、該範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
また、構成単位(a”1)としては、主鎖がアクリル骨格(前記構成単位(a3)等)の場合よりもパターン反転用膜とした際のエッチング耐性が優れることから、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a”12)」という。)が好適に例示できる。
ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、下記一般式(a”12−0’)で表される基本骨格を有する構成単位が好ましい。
R61〜R64において、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、前記R5における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
R61〜R64において、フッ素化アルキル基としては、前記R5のフッ素化アルキル基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
ただし、R61〜R64のうち少なくとも一つは、前記一般式(f2−0−1)で表される基、前記一般式(f2−0−2)で表される基、又は前記一般式(f2−0−3)で表される基であり、前記一般式(f2−0−1)で表される基又は前記一般式(f2−0−3)で表される基であることがより好ましい。
なかでも、R61〜R64のうち、少なくとも1つが前記一般式(f2−0−1)で表される基であって、残りの0〜3個が水素原子および直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基から選択される1種以上のもの;少なくとも1つが前記一般式(f2−0−3)で表される基であって、残りの0〜3個が水素原子および直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基から選択される1種以上のものがさらに好ましい。
そのなかでも、R61〜R64のうちの1つが前記一般式(f2−0−1)で表される基であって、残りの3個が水素原子であるもの;R61〜R64のうちの1つが前記一般式(f2−0−3)で表される基であって、残りの3個が水素原子であるものが特に好ましい。
bは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1が最も好ましい。
mf,nfは、上記式(f2−0−3)におけるmf,nfといずれも同じであり、最も好ましくはmf及びnfが共に1である。
mf,nfは、上記式(f2−0−3)におけるmf,nfといずれも同じであり、好ましくはmf及びnfが共に1である。
p’は、上記式(f2−0−3−1)におけるp’と同じであり、1または2であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
なかでも、構成単位(a”12)としては、前記一般式(a”12−1’)〜(a”12−2’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種であることが特に好ましい。
(A”1)成分中の構成単位(a”12)の割合は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10〜100モル%がさらに好ましい。構成単位(a”12)の割合が該範囲の下限値以上であると、パターン反転用組成物とした際に所定のアルカリ溶解性が得られる。また、解像性が向上し、アルカリ現像時における残渣物の発生も抑制できる。
より具体的には、前記式(a”12−1’) で表される構成単位は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜50モル%が好ましく、1〜45モル%がより好ましく、5〜35モル%がさらに好ましい。前記の式(a”12−2’)又は式(a”12−3’) で表される構成単位は、それぞれ、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して15〜80モル%が好ましく、20〜75モル%がより好ましく、25〜75モル%がさらに好ましい。これらの範囲とすることで、上記と同様の効果が得られる。
また、構成単位(a”1)としては、現像の際にアルカリ現像液に対して若干の溶解性を有し、所定の溶解速度に制御しやすいことから、下記一般式(a”13−0)で表される構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a”13)」という。)が好適に例示できる。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記低級アルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
Q0における2価の連結基は、その構造中に酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
「酸解離性部位」とは、Q0の構造内における、酸が作用して解離する部位をいう。具体的には、たとえば、カルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基のうち、当該アセタールを形成している酸素原子に結合している基から一つ以上の水素原子を除いた部位などが挙げられる。
これらの置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基は、それぞれ、上述した一般式(a1−0−2)におけるY2の「ヘテロ原子を含む2価の連結基」、当該Y2が「A−O−B」である場合のAおよびBの「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Q0における2価の連結基は、「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」、「ヘテロ原子を含む2価の連結基」にそれぞれフッ素原子が含まれているものでもよく、フッ素原子が含まれていないものでもよい。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
アルキルアルキレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
これらR08には、フッ素原子が含まれていてもよく、フッ素原子が含まれていなくてもよい。
また、構成単位(a”13)は、一般式(a”13−0)におけるQ0がフッ素原子を有していてもよい2価の連結基である場合、下記一般式(a”13−01)で表される構成単位、または後述の一般式(a”13−02)で表される構成単位であることが好ましい。
前記式(a”13−01)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(a”13−0)におけるRと同じである。
前記式(a”13−01)中、Q01はフッ素原子を有さない2価の連結基であり、上記式(a”13−0)におけるQ0のなかでフッ素原子を含まないものが挙げられる。
前記式(a”13−01)中、R1はフッ素原子を有する有機基であり、上記式(a”13−0)におけるR0のなかでフッ素原子を含むものが挙げられる。
また、ハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記「アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、Rとしては、水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基がより好ましい。
式(a”13−01−1)または(a”13−01−2)において、R1としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がさらに好ましく、−CH2−CF3、−CH2−CF2−CF3、−CH(CF3)2、−CH2−CF2−CF2−CF3が特に好ましく、−CH2−CF3、−CH2−CF2−CF3が最も好ましい。
Xは酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
「酸解離性部位」とは、当該有機基内における、酸が作用して解離する部位をいう。Xが酸解離性部位を有する場合、好ましくは第三級炭素原子を有する酸解離性部位を有することが好ましい。
Xとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられる。
該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
また、該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR05(R05はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−、または「これらの基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
Aarylにおける芳香族環式基の環骨格としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環又はナフタレン環が特に好ましい。
Aarylにおいて、芳香族環式基が有してもよい置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。Aarylの芳香族環式基が有してもよい置換基としては、フッ素原子であることが好ましい。
Aarylの芳香族環式基としては、置換基を有さないものであってもよく、置換基を有するものでもよく、置換基を有さないものであることが好ましい。
Aarylにおいて、芳香族環式基が置換基を有するものである場合、置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよく、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基が挙げられ、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、炭素数4〜10の環状のアルキレン基が好ましい。
また、前記一般式(a”13−01−2)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(a”13−01−21)〜(a”13−01−26)で表される構成単位が挙げられる。
式(a”13−01−12)中、a2、a3は、それぞれ独立して、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d1は0であることが好ましい。
a5は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R25の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。低級アルキル基としては前記Rで挙げた低級アルキル基と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化低級アルキル基としては前記Rで挙げたハロゲン化低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
eは、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
d2は0であることが好ましい。
a7は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d3は0であることが好ましい。
R25およびeは、それぞれ前記と同様である。
R56〜R57は、それぞれ独立して直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられ、これらの中でも炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましく、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
R58〜R59は、それぞれ独立して水素原子または直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。R58〜R59における直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基としては、前記R56〜R57と同様である。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
a9は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d4は0であることが好ましい。
R25およびeは、それぞれ前記と同様である。
a11は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d5は0であることが好ましい。
R25およびeは、それぞれ前記と同様である。
R25およびeは、それぞれ前記と同様である。
式(a”13−01−24)中、a13は1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R25およびeは、それぞれ前記と同様である。
R56〜R57、R58〜R59は、それぞれ前記と同様である。
式(a”13−01−25)〜(a”13−01−26)中、R25およびeは、それぞれ前記と同様である。
一般式(a”13−01)で表される構成単位の割合が上記範囲の下限値以上であると、パターンの形成において、アルカリ現像処理により親水性となる特性が向上し、所定の溶解速度が得られやすくなる。上限値以下であると、他の構成単位とのバランスをとることができる。
前記式(a”13−02)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(a”13−0)におけるRと同じである。
前記式(a”13−02)中、Q02はフッ素原子を有する2価の連結基であり、上記式(a”13−0)におけるQ0のなかでフッ素原子を含むものが挙げられる。
前記式(a”13−02)中、R0はフッ素原子を有していてもよい有機基であり、上記式(a”13−0)におけるR0と同じである。
また、ハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記「アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、Rとしては、水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基がより好ましい。
Q1として具体的には、たとえば−O−、−CH2−O−又は−C(=O)−O−と、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基;−O−、−CH2−O−若しくは−C(=O)−O−等が挙げられる。
この2価の炭化水素基は、上記式(a”13−0)のQ0についての説明における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
なかでも、Q1は、合成上およびポジ型レジスト組成物中における安定性の点から、−C(=O)−O−と置換基を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基がより好ましく、−C(=O)−O−と脂肪族炭化水素基とからなる基がさらに好ましく、−C(=O)−O−と直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基とからなる基が特に好ましい。
Q1の好適なものとして具体的には、特に、下記一般式(Q1−1)で表される基が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
当該フッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、上記「Rq2〜Rq3におけるアルキル基」と同様のものが挙げられる。
Rq1におけるフッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましく、炭素数が1〜2であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基においては、当該フッ素化アルキル基に含まれるフッ素原子および水素原子の合計数に対するフッ素原子の数の割合(フッ素化率(%))が、30〜100%であることが好ましく、50〜100%であることがより好ましい。該フッ素化率が高いほど、パターン反転用膜表面の疎水性が高まる。
R01としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。具体的には、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がさらに好ましく、−CH2−CF3、−CH2−CF2−CF3、−CH(CF3)2、−CH2−CF2−CF2−CF3が特に好ましく、−CH2−CF3が最も好ましい。
R01’のアルキル基において、炭素数は1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数は1〜5が特に好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基が好ましい。
一般式(a”13−02)で表される構成単位の割合が上記範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、アルカリ現像処理により親水性となる特性が向上し、所定の溶解速度が得られやすくなる。上限値以下であると、他の構成単位とのバランスをとることができる。
なかでも、構成単位(a”13)としては、前記一般式(a”13−02)で表される構成単位が特に好ましい。
(A”1)成分は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、前記の構成単位(a”1)以外の構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a”2)」という。)を含んでいてもよい。
構成単位(a”2)としては、上述の構成単位(a”1)に分類されない構成単位であって、構成単位(a”1)を誘導するモノマーと共重合可能なモノマーから誘導される構成単位であれば特に限定されるものではない。
具体的には、前述の構成単位(a4)、スチレンから誘導される構成単位、置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位等が挙げられる。
本明細書において、「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体(ただし、上記ヒドロキシスチレンを除く。)を含む概念とする。また、フェニル基の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基等の置換基で置換されたもの等も包含するものとする。
構成単位(a”2)として、スチレンから誘導される構成単位を有することにより、アルカリ現像液に対する溶解性を調整することができる。また、パターン反転用膜とした際、耐熱性やドライエッチング耐性が向上する。
スチレンから誘導される構成単位のなかで好適なものとしては、下記一般式(a”21−1)で表される構成単位が挙げられる。
前記式(a”21−1)中、R4のアルキル基は、上記一般式(a”11−1)におけるR6のアルキル基と同様のものが挙げられる。
xは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
xが1である場合、R4の置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。xが2または3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR4は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、上記置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位の環上に、置換基として、例えば、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基等の多環式基を有する構成単位が挙げられる。
直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。かかるアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、プロピル基が特に好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
上記のなかでも、R27のフッ素化アルキル基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の水素原子の1つが、パーフルオロアルキル基で置換された基(パーフルオロアルキル基にアルキレン基が結合した基)が好ましく挙げられ、−(CH2)f−CF3、−(CH2)f−C2F5[f=1〜3]がより好ましく、−CH2−CF3、−CH2−C2F5が特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、特に、フッ素化率(フッ素化アルキル基中の、水素原子とフッ素原子との合計の数に対するフッ素原子の数の割合(%))が、30〜90%のものが好ましく、50〜80%がより好ましい。フッ素化率が30%以上であると、パターン反転用膜表面の疎水性向上効果に優れる。また、フッ素化率が90%以下であると、現像特性が向上する。
(A”1−1)成分のなかで好適なものとしては、たとえば、複数の構成単位(a”1)からなる共重合体、構成単位(a”1)と構成単位(a”2)とからなる共重合体が挙げられる。
構成単位(a”1)と構成単位(a”2)とからなる共重合体として具体的には、構成単位(a”11)と前記一般式(a”21−1)で表される構成単位とからなる共重合体、構成単位(a”12)と前記一般式(a”22−1)で表される構成単位とからなる共重合体が好適に例示できる。
本発明において、(A”1)成分としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
bは1〜3の整数が好ましく、1が最も好ましい。
q’は0〜3の整数が好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
mf,nfは、1〜3の整数が好ましく、最も好ましくはmf及びnfが共に1である。
R27’は、−CH2−CF3、−CH2−C2F5であることが特に好ましい。
当該混合樹脂組成物の混合割合は、質量比で、式(A”1−13)で表される共重合体/式(A”1−14)で表される共重合体=25/75〜75/25であることが好ましく、30/70〜70/30であることがより好ましく、40/60〜60/40であることがさらに好ましい。
当該質量比の下限値以上である[式(A”1−13)で表される共重合体の配合割合が大きくなる]と、パターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度が制御しやすく、プロセスマージンが良好となり、一方、当該質量比の上限値以下である[式(A”1−13)で表される共重合体の配合割合が小さくなる]と、アルカリ現像性を良好に維持し、現像残渣の低減効果が向上する。
また、(A”1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。
また、主鎖環状型構成単位を有する場合、(A”1)成分は、たとえば特開2006−291177号公報に記載の方法により合成できる。
上述した樹脂成分以外のものとしては、たとえば、レジストパターン形成の際に用いられるトップコート用の樹脂として従来から知られている多数のもの、ノボラック樹脂などが挙げられる。
トップコート用の樹脂として、具体的には、特開2005−099648号公報、特開2005−264131号公報、特開2006−184574号公報、特開2007−072336号公報、特開2007−078745号公報、特開2007−078743号公報、特開2007−024959号公報、特開2006−064711号公報、特開2006−184575号公報、特開2006−194962号公報、特開2007−078744号公報に開示されている樹脂などが使用可能である。
ノボラック樹脂は、現像の際にアルカリ現像液に対して若干の溶解性を有し、所定の溶解速度に制御しやすく、かつ、主鎖がエッチング耐性に優れることから好ましい。エッチング耐性という点では、上記構成単位(a3)、(a”11)〜(a”13)のいずれかを有する樹脂よりも優れるため、ノボラック樹脂を用いることが好ましい。
前記フェノール類としては、たとえばフェノール;m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類;2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール等のジメチルフェノール類;m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5−トリエチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2−メチル−4−イソプロペニルフェノール、2−エチル−4−イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシフェノール類等を挙げることができる。これらの中では、3,4−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、m−クレゾール、p−クレゾールが特に好ましい。
前記フェノール類は、一種を単独で用いてもよいし、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、3,4−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、m−クレゾール、およびp−クレゾールから選ばれる2種以上を組み合わせて用いることが特に好ましい。
前記アルデヒド類としては、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド等の従来公知のものが挙げられ、ホルムアルデヒドが好ましい。
前記酸性触媒としては、たとえば塩酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられ、シュウ酸が好ましい。
パターン反転用組成物中、(A”)成分の含有量は、形成しようとする膜厚等に応じて調整すればよい。
パターン反転用組成物には、上記の(S’)成分、(H)成分及び(A”)成分以外に、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばパターン反転用膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
溶解抑制剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
パターン反転用組成物における溶解抑制剤の含有量は、(A”)成分100質量部に対し、0〜25質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.5〜18質量部がさらに好ましい。上記範囲とすることでパターン反転用膜形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
この非化学増幅型のポジ型レジスト組成物としては、(S’)成分と、(H)成分と、これまで感放射線性組成物に用いられている、たとえばノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂等のアルカリ可溶性樹脂と、ナフトキノンジアジド基含有化合物などの感光性成分とを含有するレジスト組成物が挙げられる。該レジスト組成物には、必要に応じて増感剤を含有させることもできる。
本実施例において、基材成分(A)として用いた高分子化合物(A1−1)は、下記化学式で表される化合物(1)〜(5)を用いて、以下に示すポリマー合成例により合成することによって得た。
当該ポリマー合成例で使用した化合物(1)は、以下に示すモノマー合成例により合成した。
500mlの3つ口フラスコに、窒素雰囲気下、アルコール(1)20g(105.14mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩30.23g(157.71mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)0.6g(5mmol)のTHF溶液300mlを入れ、そこに、氷冷下(0℃)で前駆体(1)16.67g(115.66mmol)を加えた後、室温で12時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、50mlの水を加えて反応を停止した。反応溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチルで3回抽出して得られた有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム、1N―HClaqの順で洗浄した。減圧下、溶媒留去して得られた生成物を乾燥させ、化合物(1)を得た。
1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ(ppm)=6.22(s,1H,Ha),5.70(s,1H,Hb),4.71−4.85(m,2H,Hc,d),4.67(s,2H,Hk),3.40−3.60(m,2H,He,f),2.58−2.70(m,1H,Hg),2.11−2.21(m,2H,Hh),2.00(s,3H,Hi),1.76−2.09(m,2H,Hj).
上記の結果から、化合物(1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、11.77g(69.23mmol)の化合物(2)、15.00g(47.47mmol)の化合物(1)、16.58g(63.29mmol)の化合物(3)、4.65g(27.69mmol)の化合物(4)、3.27g(13.85mmol)の化合物(5)を、76.91gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を22.1mmol添加し溶解させた。これを窒素雰囲気下、3時間かけて、78℃に加熱したMEK42.72gに滴下した。滴下終了後、反応液を4時間加熱撹拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のノルマル(n−)ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、n−ヘプタン/イソプロピルアルコール混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(A1−1)を41g得た。
この高分子化合物(A1−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.56であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、a2/a0/a11/a12/a3=35/22/18/13/12であった。
本実施例において、溶解抑制剤(b−1−1)は、以下に示す(i)〜(iii)により合成することによって得た。
(i)化合物(V)の合成
20℃以下で制御したメタンスルホン酸(60.75g)に酸化リン(8.53g)と2,6−ジメチルフェノール(8.81g)とジフェニルスルホキシド(12.2g)を少量ずつ添加した。温度を15〜20℃で制御しながら30分熟成した後、40℃まで昇温し2時間熟成した。その後、15℃以下に冷却した純水(109.35g)に反応液を滴下した。滴下終了後、ジクロロメタン(54.68g)を加え、撹拌後、ジクロロメタン層を回収した。別容器に20〜25℃のヘキサン(386.86g)を仕込み、ジクロロメタン層を滴下した。滴下終了後、20〜25℃で30分間熟成した後、ろ過することによって化合物(V)を得た(収率70.9%)。
1H−NMR(DMSO−d6、600MHz):δ(ppm)=7.61−7.72(m,10H,phenyl),7.14(s,2H,Hc),3.12(s,3H,Hb),2.22(s,6H,Ha)。
上記の結果から、化合物(V)が下記に示す構造を有することが確認できた。
前記化合物(V)(28.98g)とジクロロメタン(289.80g)とトリエチルアミン(9.47g)を混合し、撹拌しながら10℃まで冷却した。そこへ、ウンデカン酸クロリド(17.69g)を滴下し、室温まで昇温した後、1時間撹拌した。反応液を飽和臭化ナトリウム水溶液(109.36g)で2回、純水(109.36g)で4回洗浄し、有機層を濃縮することにより化合物(VI)を38g得た。
1H−NMR(DMSO−d6, 400MHz) : δ(ppm)=7.79−7.93(m, 12H,Ar)、2.73(t,2H,−CO−CH2−)、2.19(s,6H,Ar−CH3)、1.65−1.72(m,2H,−CH2−)、1.25−1.38(m,14H,−CH2−)、0.85(t,3H,−CH3)
上記の結果から、化合物(VI)が上記に示す構造を有することが確認できた。
ジクロロメタン(20g)と水(20g)に、化合物(VI)(2g)を添加し、撹拌した。さらに、化合物(VII)(1.76g)を添加し、1時間撹拌した。反応液を分液後、水(20g)で4回洗浄した。有機溶媒層を濃縮乾固することにより溶解抑制剤(b−1−1)2.40gを得た。
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=7.79−7.93(m,12H,Ar),4.55(t,2H,CF2CH2),2.73(t,2H,−CO−CH2−),2.19(s,6H,Ar−CH3),1.94(m,3H,Ad),1.82(m,6H,Ad),1.64−1.72(m,8H,Ad,−CH2−),1.25−1.38(m,14H,−CH2−),0.85(t,3H,−CH3)
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−111.2
上記の結果から、溶解抑制剤(b−1−1)が上記に示す構造を有することが確認できた。
表1に示す各成分を混合して溶解し、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を調製した。
(A)−1:前記高分子化合物(A1−1)。
(B)−1:下記化学式(B1)で表される化合物からなる酸発生剤。
(B)−2:下記化学式(B2)で表される化合物からなる酸発生剤。
(E)−1:サリチル酸。
(F)−1:米国特許出願公開第2009/0197204号明細書のExample32と同様にして合成された含フッ素高分子化合物(F1−1−1)。質量平均分子量(Mw)18000、分子量分散度1.5。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、f1/f2=78/22(モル比)である。
(S)−2:PGMEAとPGMEとシクロヘキサノン(CH)との混合溶剤(PGMEA:PGME:CH=45:30:25(質量比))。
表2に示す各成分を混合して溶解し、パターン反転用組成物をそれぞれ調製した。
(A)−2:下記化学式(A”1−11−1)で表される構成単位の組合せからなる、質量平均分子量(Mw)1800、分子量分散度1.26の共重合体。構成単位の割合(モル%)はa”11: a”21=75:25である。
(A)−3:下記化学式(A”1−11−1)で表される構成単位の組合せからなる、質量平均分子量(Mw)2000、分子量分散度1.24の共重合体。構成単位の割合(モル%)はa”11: a”21=80:20である。
(A)−5:下記化学式(A”1−13−1)で表される構成単位の組合せからなる、質量平均分子量(Mw)3700、分子量分散度1.58の共重合体。構成単位の割合(モル%)はa”22:a”122=70:30である。
(H)−2:下記化学式(H2)で表される化合物からなる酸成分。濃度1300ppmの水溶液とした際の25℃でのpH2.50。
Add−2:前記の溶解抑制剤(b−1−1)。
(S)−4:4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)。
(S)−5:ジイソペンチルエーテル(DIAE)とMIBCとの混合溶剤(DIAE:MIBC=80:20(質量比))。
(S)−6:DIAEとMIBCとの混合溶剤(DIAE:MIBC=90:10(質量比))。
基板上に、上記パターン反転用組成物を用いて膜厚100〜200nmのパターン反転用膜を形成した。
次いで、当該パターン反転用膜を、23℃にて2.38質量%TMAH水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて、LDノズルで30秒間現像した。
そして、当該現像の前後の膜厚を、それぞれナノスペック(ナノメトリクス社製)により測定し、当該パターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度(単位時間当たりの膜減り量、単位:nm/s)を求めた。その結果を表2に併記した。
化学増幅型ポジ型レジスト組成物として上記レジスト組成物(1−1)を用い、パターン反転用組成物として上記パターン反転用組成物(2−1)〜(2−4)をそれぞれ用いて、反転パターン形成を以下のようにして行った。
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、前記第一のレジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TILC−057」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚35nmのトップコートを形成した。
次に、該トップコートが形成された第一のレジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ライン幅150nm/ピッチ300nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下「LSパターン」という。)をターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、前記第一のレジスト膜に対してArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、95℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行い、その後、140℃で60秒間のポストベークを行った。
その結果、前記第一のレジスト膜に、幅150nmのラインが等間隔(ピッチ300nm)に配置されたLSパターン(以下これを「LSパターン(a)」という。)が形成された。かかるLSパターン(a)が形成される最適露光量Eop、すなわち感度を求めたところ、32.0(mJ/cm2)であった。
次いで、前記LSパターン(a)が形成された該有機系反射防止膜上に、上記パターン反転用組成物(2−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、140℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、該第一のレジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ライン幅120nm/ピッチ240nmのLSパターンをターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、前記第一のレジスト膜に対してArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、95℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行い、その後、140℃で60秒間のポストベークを行った。
その結果、前記第一のレジスト膜に、幅120nmのラインが等間隔(ピッチ240nm)に配置されたLSパターン(以下これを「LSパターン(b)」という。)が形成された。かかるLSパターン(b)が形成される最適露光量Eop、すなわち感度を求めたところ、32.0(mJ/cm2)であった。
次いで、前記LSパターン(b)が形成された該有機系反射防止膜上に、上記パターン反転用組成物(2−2)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、140℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
実施例2の工程(1)において、フォトマスクのサイズを
ライン幅130nm/ピッチ240nm、
ライン幅140nm/ピッチ240nm、
ライン幅150nm/ピッチ240nm
と変更した以外は同様にして、工程(1)と工程(2)の操作を行うことによりパターン形成を行った。
なお、工程(1)における露光量は、いずれのフォトマスクを用いた場合も上記Eop(32.0(mJ/cm2))と同じとした。
その結果、第一のレジスト膜に形成されたLSパターンのライン部分がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該LSパターンのスペース部分に、パターン反転用膜に由来するラインが形成されることにより、当該LSパターンの反転パターン(SLパターン)がそれぞれ形成された。
実施例2の工程(1)において、フォトマスクを、特定の図形パターンをターゲットとするフォトマスクに変更した以外は同様にして、第一のレジストパターン形成を行い、第一のレジスト膜に、特定の図形パターン(図形が浮かび上がったような状態)を形成した。
次いで、実施例2の工程(2)と同様の操作を行うことにより、第一のレジスト膜に形成された特定の図形パターン(第一のレジスト膜部分)がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該図形パターンのスペース部分に、パターン反転用膜が形成されることにより、当該図形パターンの反転パターン(図形が沈んでいるような状態)が形成された。
実施例2の工程(1)において、フォトマスクを、ドットパターンをターゲットとするフォトマスクに変更した以外は同様にして、第一のレジストパターン形成を行い、第一のレジスト膜に、直径200nmのドットが等間隔(ピッチ400nm)に配置されたドットパターンを形成した。
次いで、実施例2の工程(2)と同様の操作を行うことにより、第一のレジスト膜に形成されたドットパターンのドット部分(第一のレジスト膜部分)がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該ドットパターンのスペース部分に、パターン反転用膜が形成されることにより、当該ドットパターンの反転パターン、すなわちホール直径約200nm/ピッチ約400nmのホールパターンが形成された。
[工程(1)]
実施例2の工程(1)と同様にして、第一のレジスト膜(膜厚100nm)に、幅120nmのラインが等間隔(ピッチ240nm)に配置されたLSパターン(以下これを「LSパターン(c)」という。)が形成された。かかるLSパターン(c)が形成される最適露光量Eop、すなわち感度を求めたところ、32.0(mJ/cm2)であった。
次いで、前記LSパターン(c)が形成された該有機系反射防止膜上に、上記パターン反転用組成物(2−3)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、140℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚200nmのレジスト膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
実施例3の工程(1)において、フォトマスクのサイズを
ライン幅130nm/ピッチ240nm、
ライン幅140nm/ピッチ240nm、
ライン幅150nm/ピッチ240nm
と変更した以外は同様にして、工程(1)と工程(2)の操作を行うことによりパターン形成を行った。
なお、工程(1)における露光量は、いずれのフォトマスクを用いた場合も上記Eop(32.0(mJ/cm2))と同じとした。
その結果、第一のレジスト膜に形成されたLSパターンのライン部分がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該LSパターンのスペース部分に、パターン反転用膜に由来するラインが形成されることにより、当該LSパターンの反転パターン(SLパターン)がそれぞれ形成された。
実施例3の工程(1)において、フォトマスクを、特定の図形パターンをターゲットとするフォトマスクに変更した以外は同様にして、第一のレジストパターン形成を行い、第一のレジスト膜に、特定の図形パターン(図形が浮かび上がったような状態)を形成した。
次いで、実施例3の工程(2)と同様の操作を行うことにより、第一のレジスト膜に形成された特定の図形パターン(第一のレジスト膜部分)がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該図形パターンのスペース部分に、パターン反転用膜が形成されることにより、当該図形パターンの反転パターン(図形が沈んでいるような状態)が形成された。
実施例3の工程(1)において、フォトマスクを、ドットパターンをターゲットとするフォトマスクに変更した以外は同様にして、第一のレジストパターン形成を行い、第一のレジスト膜に、直径200nmのドットが等間隔(ピッチ400nm)に配置されたドットパターンを形成した。
次いで、実施例3の工程(2)と同様の操作を行うことにより、第一のレジスト膜に形成されたドットパターンのドット部分(第一のレジスト膜部分)がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該ドットパターンのスペース部分に、パターン反転用膜が形成されることにより、当該ドットパターンの反転パターン、すなわちホール直径約200nm/ピッチ約400nmのホールパターンが形成された。
[工程(1)]
実施例2の工程(1)と同様にして、第一のレジスト膜(膜厚100nm)に、幅150nmのラインが等間隔(ピッチ300nm)に配置されたLSパターン(以下これを「LSパターン(d)」という。)が形成された。かかるLSパターン(d)が形成される最適露光量Eop、すなわち感度を求めたところ、31.0(mJ/cm2)であった。
次いで、前記LSパターン(d)が形成された該有機系反射防止膜上に、上記パターン反転用組成物(2−4)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、140℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚70nmのレジスト膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
Claims (8)
- 支持体上に、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、露光後ベークを行い、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、
前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像することにより、前記第一のレジストパターンを除去してパターンを形成する工程(2)とを有するパターン形成方法であって、
前記化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)とを含有するものであり、
前記パターン反転用組成物は、前記基材成分(A)中の酸解離性溶解抑制基を解離し得る酸強度を有する酸成分(H)と、酸解離性溶解抑制基を有さない基材成分(A”)とを含有するものであり、かつ、
前記パターン反転用膜は、アルカリ現像液に対する溶解速度が0.3〜3.5nm/秒であることを特徴とするパターン形成方法。 - 前記酸成分(H)は、濃度1300ppmの水溶液とした際の25℃でのpHが3.0以下となる化合物である請求項1記載のパターン形成方法。
- 前記基材成分(A”)は、極性基として、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、塩基解離性基、下記一般式(f2−0−1)で表される基、下記一般式(f2−0−2)で表される基、及び下記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む構成単位(a”1)を有する樹脂成分を含有する請求項1又は2記載のパターン形成方法。
- 前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤が、アルコール系有機溶剤又は水酸基を有さないエーテル系有機溶剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
- 前記基材成分(A)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂成分(A1)を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
- 前記樹脂成分(A1)が、さらに、−SO2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)、及びラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を有する請求項5記載のパターン形成方法。
- 前記樹脂成分(A1)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項5又は6記載のパターン形成方法。
- 前記第一のレジストパターンが、ラインパターン及び/又はドットパターンを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
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