JP2009002999A - レジストパターン形成方法、表面改質材料 - Google Patents

レジストパターン形成方法、表面改質材料 Download PDF

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隆之 細野
Hiroaki Tomita
浩明 富田
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諭 前盛
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Abstract

【課題】液浸露光におけるディフェクトを低減できる新規なレジストパターン形成方法、および該方法に好適に用いられる表面改質材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、前記浸漬露光後のレジスト膜上に、アルカリ現像液に溶解可能な樹脂成分(R)が有機溶剤(S)に溶解してなる表面改質材料を塗布して表面改質層を形成することによりレジスト積層体を得る工程、および前記レジスト積層体をアルカリ現像液で現像処理する工程を含むレジストパターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、レジストパターン形成方法、および該レジストパターン形成方法に用いられる表面改質材料に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
パターンの微細化のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、液浸露光ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)、第5754巻,第119−128頁(2005年).
液浸露光においては、通常のリソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)に加えて、液浸露光技術に対応した特性を有するレジスト材料が求められる。具体例を挙げると、液浸媒体が水である場合において、非特許文献1に記載されているようなスキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合には、液浸媒体がレンズの移動に追随して移動する水追随性が求められるため、撥水性の高いレジスト膜を形成する必要がある。
しかし、そのような撥水性の高いレジスト膜を使用する場合、現像後のレジスト膜未露光部に欠陥(ディフェクト)が発生しやすいという問題がある。ディフェクトとは、例えばKLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジスト膜を真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。この不具合とは、例えば現像後のスカム、泡、ゴミ、ブリッジ(レジストパターン間の橋掛け構造)、色むら、析出物、残渣物等である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、液浸露光におけるディフェクトを低減できる新規なレジストパターン形成方法、および該方法に好適に用いられる表面改質材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、浸漬露光後、現像を行う前のレジスト膜表面に、特定の表面改質材料を用いて表面改質層を形成することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の態様は、支持体上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、前記浸漬露光後のレジスト膜上に、アルカリ現像液に溶解可能な樹脂成分(R)が有機溶剤(S)に溶解してなる表面改質材料を塗布して表面改質層を形成することによりレジスト積層体を得る工程、および前記レジスト積層体をアルカリ現像液で現像処理する工程を含むレジストパターン形成方法である。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様のレジストパターン形成方法に用いられる表面改質材料である。
本明細書および特許請求の範囲において、「構成単位」とは、樹脂(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明により、液浸露光におけるディフェクトを低減できる新規なレジストパターン形成方法、および該方法に好適に用いられる表面改質材料を提供できる。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程(以下、レジスト膜形成工程という。)、前記レジスト膜を浸漬露光する工程(以下、浸漬露光工程という。)、前記浸漬露光後のレジスト膜上に、アルカリ現像液に溶解可能な樹脂成分(R)が有機溶剤(S)に溶解してなる表面改質材料を塗布して表面改質層を形成することによりレジスト積層体を得る工程(以下、表面改質工程という。)、および前記レジスト積層体をアルカリ現像液で現像処理する工程(以下、現像工程という。)を含む。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
(レジスト膜形成工程)
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
レジスト組成物としては、特に制限はなく、これまでレジスト組成物として提案されている化学増幅型、非化学増幅型等の多数のレジスト組成物の中から、使用する露光光源、リソグラフィー特性等に応じて適宜選択して用いることができる。
レジスト組成物については、詳しくは後述する。
レジスト膜の形成は、従来公知の方法によって行うことができる。具体的には、たとえばレジスト組成物を支持体上にスピンナー等で塗布し、80〜150℃の温度で40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間のベーク処理(プレベーク(ポストアプライベーク(PAB)))を施すことによりレジスト膜を形成できる。
レジスト膜の厚さは、特に制限はない。解像性、エッチング耐性等を考慮すると、30〜400nmの範囲内であることが好ましく、50〜300nmがより好ましい。
(浸漬露光工程)
次に、前記レジスト膜を、所望のマスクパターンを介して選択的に浸漬露光する。
このとき、予め、レジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー等の放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるレジスト組成物は、KrF又はArFエキシマレーザー、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられる。フッ素系不活性液体は、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本発明においては、液浸媒体として、水が好ましく用いられる。水は、コスト、安全性、環境問題および汎用性の観点からも好ましい。
本発明においては、前記浸漬露光工程後、現像工程を行うまでの間に、前記レジスト膜に対して露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を施すことが好ましい。これにより、ディフェクトの低減効果がさらに向上する。また、レジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物を用いる場合には、PEBを行うことにより、レジスト膜内での酸の拡散や、ポジ型の場合はレジスト膜内での酸解離性溶解抑制基の解離、ネガ型の場合はレジスト膜内での架橋反応等が促進され、高い感度でレジストパターンを形成できる。
PEB処理は、前記浸漬露光に引き続いて行うか、またはこの後の表面改質工程における表面改質材料の塗布後、現像工程を行う前に行うことが好ましい。
PEB温度は、80〜150℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。PEB時間は、40〜120秒間が好ましく、50〜100秒間がより好ましく、60〜90秒間がさらに好ましい。
(表面改質工程)
次に、前記浸漬露光後のレジスト膜上に、アルカリ現像液に溶解可能な樹脂成分(R)が有機溶剤(S)に溶解してなる表面改質材料を塗布して表面改質層を形成することによりレジスト積層体を得る。
表面改質材料については、詳しくは後述する。
塗布した表面改質材料を乾燥させることにより表面改質層が形成される。乾燥方法としては、特に制限はなく、公知の方法が使用できる。たとえばベーク処理を行ってもよく、窒素ガス等の乾燥用ガスを用いてもよく、また、スピンナーを用いて表面改質材料の塗布を行った場合には、そのまま振り切り乾燥を行ってもよい。
表面改質工程を行う前に前述したPEBを行っている場合、表面改質材料を塗布した後のベーク処理のベーク温度は、60〜120℃が好ましく、70 〜100℃がより好ましい。ベーク時間は、40〜120秒間が好ましく、60〜90秒間がより好ましい。
表面改質層の厚さは、現像液で現像できる厚さであれば特に限定されないが、ディフェクトの低減の為には、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。該厚さの上限としては、特に限定されないが、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。150nm以下であると、アルカリ現像により除去しやすい等の利点を有する。
表面改質層の厚さは、表面改質材料中の(R)成分の濃度、塗布条件等を調節することにより調節でき、たとえば(R)成分の濃度が低いほど、薄い膜厚の表面改質層が形成される。
(現像工程)
次いで、該レジスト積層体を、アルカリ水溶液からなるアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理する。そして、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。水リンスは、例えば、レジスト積層体を回転させながらレジスト積層体表面に水を滴下または噴霧して、レジスト積層体上の現像液および該アルカリ現像液によって溶解した表面改質層およびレジスト膜を洗い流すことにより実施できる。
また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
このようにして、レジスト膜がマスクパターンに忠実な形状にパターニングされたレジストパターンが得られる。
≪表面改質材料≫
上記レジストパターン形成方法に用いられる本発明の表面改質材料は、アルカリ現像液に溶解可能な樹脂成分(R)(以下、(R)成分という。)が有機溶剤(S)(以下、(S)成分という。)に溶解してなるものである。
<(R)成分>
(R)成分としては、アルカリ現像液に溶解可能なものであれば特に限定されない。たとえば、これまで、液浸露光においてアルカリ現像液に可溶性のトップコートを形成するために用いられている材料において樹脂成分として用いられている任意のものを利用できる。
かかる樹脂成分としては、主に、主鎖環状型の樹脂が用いられている。たとえば国際公開第05/019937号パンフレット、国際公開第04/074937号パンフレットには、ArFエキシマレーザーを光源とする液浸露光において用いられるトップコートとして、−Q−NH−SO−R(ただし、Qは炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基であり、Rはフッ素化アルキル基である。)、−CO−O−R(ただし、Rはフッ素化アルキル基である。)で表される基を含む主鎖環状型の樹脂を有機溶剤に溶解してなる組成物から形成された保護膜等が開示されている。
本発明においては、特に、(R)成分が、フッ素原子を含有する主鎖環状型の樹脂(R1)を含有することが好ましい。
かかる構造の樹脂(R1)を含有することにより、表面の疎水性が高い表面改質層が得られ、液浸露光におけるディフェクト低減効果が向上する。
ここで、「主鎖環状型の樹脂」とは、当該樹脂を構成する構成単位が、単環または多環式の環構造を有し、該環構造の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が主鎖を構成する構成単位(以下、「主鎖環状型構成単位」ということがある。)を有することを意味する。
主鎖環状型構成単位としては、後述する構成単位(r1)〜(r2)等のポリシクロオレフィン(多環式のオレフィン)から誘導される構成単位、後述する構成単位(r3)において挙げるジカルボン酸の無水物含有構成単位等が挙げられる。
これらのなかでも、レジストとした際のエッチング耐性が特に優れることから、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位を主鎖に有することが好ましい。
ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、下記一般式(r’)で表される基本骨格を有する構成単位が好ましい。
Figure 2009002999
[式中、aは0または1である。]
式(r’)中、aは0または1であり、工業上入手が容易であることを考慮すると、0であることが好ましい。
「一般式(r’)で表される基本骨格を有する構成単位」は、一般式(r’)で表される構成単位(すなわちビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)から誘導される構成単位、およびテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセンから誘導される構成単位)であってもよく、また、後述する構成単位(r1)〜(r3)等のように、その環骨格上に置換基を有していてもよい。つまり、「一般式(r’)で表される基本骨格を有する構成単位」には、その環骨格(ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタンまたはテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデカン)を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が水素原子以外の原子または置換基で置換された構成単位も含まれる。
樹脂(R1)は、主鎖環状型構成単位以外の構成単位を有していてもよいが、本発明の効果のためには、樹脂(R1)中、主鎖環状型構成単位の割合が、樹脂(R1)を構成する全構成単位に対し、50〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%がより好ましい。
また、レジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物を用いる場合は、樹脂(R1)は、酸解離性基を有さない樹脂であることが好ましい。
本明細書および特許請求の範囲において、「酸解離性基」とは、化学増幅型レジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜中の酸発生剤成分(B)から露光により発生した酸の作用によって解離する基を意味する。たとえば後述する構成単位(r1)における−Q−NH−SO−Rや、構成単位(r2)における−CO−O−R等は「酸解離性基」には含まれない。
酸解離性基としては、酸発生剤成分(B)から発生した酸の作用により解離する基であれば特に制限はなく、たとえば、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものが挙げられる。酸解離性溶解抑制基の具体例としては、後述する構成単位(a2)、(a3)、(a5)等において酸解離性溶解抑制基として例示するものと同様のものが挙げられる。
ここで、酸解離性溶解抑制基における「溶解抑制」とは、当該基が、アルカリ現像液等のアルカリに対する当該樹脂成分の溶解性を抑制する作用(溶解抑制性)を有することを意味する。
本発明において、「酸解離性基」は、溶解抑制性を有するものであってもよく、溶解抑制性を有さないものであってもよい。
・構成単位(r1)
樹脂(R1)は、本発明の効果に優れることから、下記一般式(r1)で表される構成単位(r1)を有することが好ましい。
Figure 2009002999
[式(r1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基、または下記一般式(r1a)で表される基(r1a)であり、R〜Rのうち少なくとも1つは前記基(r1a)であり;aは0または1である。]
Figure 2009002999
[式(r1a)中、Qは炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基であり;Rはフッ素化アルキル基である。]
一般式(r1)で表される構成単位(a1)は、前記一般式(r’)で表される基本骨格を有する構成単位において、その環上の特定の位置に、置換基として、少なくとも、一般式(r1a)で表される基(r1a)を有するものである。
本発明においては、かかる構成単位を有することにより、表面改質層表面の疎水性が向上する。
式(r1)中、aは上記式(r’)中のaと同様である。
〜Rのアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。かかるアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
〜Rのフッ素化アルキル基は、直鎖または分岐鎖状のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。フッ素化アルキル基におけるアルキル基としては、上記R〜Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキル基のフッ素化率(フッ素化アルキル基中の、水素原子とフッ素原子との合計の数に対する、フッ素原子の数の割合(%))は、10〜100%が好ましく、30〜100%がより好ましく、50〜100%がさらに好ましい。フッ素化率が10%以上であると、表面改質層表面の疎水性向上効果に優れ、液浸露光におけるディフェクト低減効果に優れる。
一般式(r1a)において、Qのアルキレン基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がさらに好ましい。かかるアルキレン基としては、たとえばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、ペンテン基、イソペンテン基、ネオペンテン基等が挙げられる。これらの中でも、合成のしやすさ等の点で、直鎖状のアルキレン基が好ましく、特にメチレン基が好ましい。
のフッ素化アルキル基は、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。
直鎖または分岐鎖状のアルキル基としては、前記R〜Rのフッ素化アルキル基と同様のものが挙げられる。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
フッ素化アルキル基のフッ素化率(フッ素化アルキル基中の、水素原子とフッ素原子との合計の数に対する、フッ素原子の数の割合(%))は、10〜100%が好ましく、30〜100%がより好ましく、50〜100%が特に好ましく、100%、すなわち水素原子がすべてフッ素原子で置換されたものであることが最も好ましい。フッ素化率が10%以上であると、表面改質層表面の疎水性向上効果に優れる。そのため、(R)成分中の樹脂(R1)の割合が少なくても、充分な疎水性向上効果が得られる。
のフッ素化アルキル基としては、直鎖または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、特に、アルキル基の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基が好ましい。パーフルオロアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
本発明においては、R〜Rのうち、少なくとも1つが前記一般式(r1a)で表される基(r1a)であり、残りの0〜3個が水素原子、直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、および直鎖もしくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基から選択される1種以上である。本発明においては、R〜Rのうちの1つが基(r1a)であることが好ましく、特に、R〜Rのうちの1つが基(r1a)であり、かつ他の3つが水素原子であることが好ましい。
構成単位(r1)としては、特に、下記一般式(r1−1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2009002999
式(r1−1)中、aは上記と同様である。
pは1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1が最も好ましい。
qは1〜5の整数であり、1〜4の整数が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(r1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(R1)中、構成単位(r1)の割合は、樹脂(R1)を構成する全構成単位の合計に対して、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、45モル%以上がさらに好ましい。30モル%以上とすることによって、本発明の効果が向上する。
構成単位(r1)の割合の上限は、特に制限はなく、100モル%であってもよい。たとえば後述する構成単位(r2)等の他の構成単位を含む場合は、それらの構成単位とのバランスを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。
構成単位(r1)を誘導するモノマーは、たとえば、米国特許第6420503号に開示されている手法により合成できる。
・構成単位(r2)
樹脂(R1)は、上記構成単位(r1)に加えて、さらに下記一般式(r2)で表される構成単位(r2)を有することが好ましい。
構成単位(r2)は、前記一般式(r’)で表される基本骨格を有する構成単位において、a=0の場合はその環上の5位、a=1の場合はその環上の8位に、フッ素化アルキルオキシカルボニル基が結合したものである。
樹脂(R1)が構成単位(r2)を有することにより、表面改質層表面の疎水性がさらに向上する。
Figure 2009002999
[式(r2)中、Rはフッ素化アルキル基であり;aは0または1である。]
式(r2)中、aは上記式(r’)におけるaと同様である。
のフッ素化アルキル基は、上述した式(r1a)においてRのフッ素化アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
のフッ素化アルキル基としては、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたものが好ましく、かかるフッ素化アルキル基としては、たとえば、アルキル基の水素原子の1つが、パーフルオロアルキル基で置換された基(パーフルオロアルキル基にアルキレン基が結合した基)が挙げられる。
フッ素化アルキル基としては、特に、フッ素化率が、30〜90%のものが好ましく、50〜80%がより好ましい。上記フッ素化率の範囲で用いることにより、レジスト膜表面の疎水性向上効果に優れる。
構成単位(r2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(R1)中、構成単位(r2)の割合は、樹脂(R1)の全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜30モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(r2)を有することによる効果に優れ、上限値以下とすることにより、本願発明の効果が向上する。
構成単位(r2)を誘導するモノマーは、たとえば、特開2000−235263号公報に記載されるように、(メタ)アクリル酸のフッ素化アルキルエステルと、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンとを、公知の反応であるDiels−Alder反応により反応させることにより合成できる。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
・構成単位(r3)
樹脂(R1)は、本発明の効果に優れることから、下記一般式(r3)で表される構成単位(r3)を有することが好ましい。
構成単位(r3)を有することにより、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。
Figure 2009002999
[式(r3)中、R64はアルカリ可溶性基を有する有機基であり、a”は0または1である。]
式(r3)中、a”は0または1である。
64はアルカリ可溶性基を有する有機基である。
64におけるアルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基と同程度のpKaを有する基であって、アルコール性水酸基やカルボキシル基などのアルカリ可溶性を与える基を有する基が挙げられる。すなわち、pKaが小さい基(特に限定するものではないが、好適には例えばpKaが6〜12の範囲内のもの)である。
64として、より具体的には、例えば結合位置などが特に限定されないアルコール性水酸基;アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基;カルボキシル基等が挙げられる。中でも、アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基、またはカルボキシル基が好ましい。
アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基において、電子吸引性基としては、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基において、ハロゲンは前記ハロゲン原子と同様である。アルキル基は炭素数が例えば1〜3程度の低級アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基またはエチル基、最も好ましくはメチル基である。具体的には、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等が挙げられるが、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
電子吸引性基の数は、1または2であり、好ましくは2である。
前記アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基として、より具体的かつ好適には、−CR7172OH基を有し、R71及びR72は、それぞれ独立にアルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基であり、その少なくともひとつはハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基から選ばれる電子吸引性基であるものとして表すことができる。
ここでのハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基とは前記したものと同様であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基が挙げられる。
これらの中でも、電子吸引性基がフッ素原子又はフッ素化アルキル基であるものが好ましく、特にはR71及びR72がともにフッ素化アルキル基であるものが好ましい。
64としては、特に、下記一般式(r31)で表される基が好ましい。
Figure 2009002999
[式(r31)中、c”は1〜5の整数であり、d”およびe”は、それぞれ独立して、1〜5の整数である。]
構成単位(r3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(R1)中、構成単位(r3)の割合は、樹脂(R1)の全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、5〜25モル%がより好ましく、5〜20モル%がさらに好ましい。上記範囲とすることにより構成単位(r3)を有することによる効果に優れる。
・その他の構成単位(r4)
樹脂(R1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記構成単位(r1)〜(r3)以外の構成単位(r4)を含んでいてもよい。
構成単位(r4)としては、上述の構成単位(r1)〜(r3)に分類されない構成単位であって、構成単位(r1)〜(r3)を誘導するモノマーと共重合可能なモノマーから誘導される構成単位であれば特に限定するものではない。
かかる構成単位(r4)としては、公知のエチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位を目的に応じて任意に用いることができる。
構成単位(r4)として、より具体的には、たとえば、後述する化学増幅型レジスト組成物の基材成分(A)において挙げる構成単位、ジカルボン酸の無水物含有構成単位、置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位等が挙げられる。
ジカルボン酸の酸無水物含有構成単位とは、−C(O)−O−C(O)−構造を有する構成単位をいう。そのようなものとしては、例えば、単環式または多環式の環状酸無水物を含有する構成単位が挙げられ、より具体的には、下記(r41)に示す単環式の無水マレイン酸から誘導される構成単位、下記式(r42)に示す多環式の無水マレイン酸から誘導される構成単位、および下記式(r43)に示すイタコン酸から誘導される構成単位等が挙げられる。
Figure 2009002999
Figure 2009002999
置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセン等が挙げられる。
また、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、上記置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位の環上に、置換基として、例えば、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基等の多環式基を有する構成単位が挙げられる。
樹脂(R1)において、構成単位(r1)〜(r4)等の構成単位の組み合わせおよび比率は、要求される特性等によって適宜調整可能である。
樹脂(R1)は、本発明の効果に優れることから、少なくとも構成単位(r1)を有することが好ましい。かかる樹脂としては、たとえば、構成単位(r1)を含み、かつ構成単位(r2)および構成単位(r3)を含まない一元系の重合体(ただし構成単位(r4)を含む共重合体であってもよい)、構成単位(r1)および構成単位(r2)を含み、かつ構成単位(r3)を含まない二元系の共重合体(ただし構成単位(r4)を含む共重合体であってもよい)等が挙げられる。構成単位(r1)、構成単位(r2)および構成単位(r3)含む三元系の共重合体(ただし構成単位(r4)を含む共重合体であってもよい)等が挙げられる。
樹脂(R1)が、構成単位(r1)および構成単位(r2)を含み、かつ構成単位(r3)を含まない二元系の共重合体である場合、各構成単位の割合(モル比)は、本発明の効果に優れる点で、樹脂(R1)を構成する全構成単位に対し、構成単位(r1)が40〜95モル%であることが好ましく、40〜90モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることが最も好ましく、構成単位(r2)が5〜60モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、10〜30モル%であることが最も好ましい。
樹脂(R1)が、構成単位(r1)、構成単位(r2)および構成単位(r3)を含む三元系の共重合体である場合、各構成単位の割合(モル比)は、本発明の効果に優れる点で、樹脂(R1)を構成する全構成単位に対し、構成単位(r1)が30〜80モル%であることが好ましく、35〜75モル%であることがより好ましく、40〜70モル%であることが最も好ましく、構成単位(r2)が5〜60モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、10〜30モル%であることが最も好ましく、構成単位(r3)が1〜30モル%であることが好ましく、5〜25モル%であることがより好ましく、10〜20モル%であることが最も好ましい。
樹脂(R1)は、たとえば、所定の構成単位を誘導するモノマーを、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
樹脂(R1)の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量。以下同様。)は、特に限定するものではないが、20000以下が好ましく、10000以下がより好ましい。Mwが20000以下であると、(S)成分への溶解性等に優れ、ディフェクト低減効果が向上する。また、異物の発生を低減できる。ここで、異物とは、当該組成物を溶液とした際に、当該溶液中に生じる微粒子状物等の固形物である。
Mwの下限値は、特に限定するものではないが、2000以上が好ましく、4000以上がより好ましい。Mwが4000以上であると、エッチング耐性が向上し、また、現像時にレジストパターンの膨潤が生じにくく、パターン倒れが生じにくい等の利点がある。
分散度(Mw/Mn(数平均分子量))は、1.0〜5.0程度が好ましく1.0〜3.0がより好ましい。
樹脂(R1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
(R)成分中の樹脂(R1)の含有量は、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、75〜100質量%がより好ましい。樹脂(R1)の含有量が、50質量%以上であることにより、当該表面改質材料を用いて形成される表面改質層表面の疎水性が向上し、液浸露光におけるディフェクト低減効果が向上する。
<(S)成分>
本発明において、(S)成分は、前記(R)成分を溶解するものであればよく、特に限定されないが、アルコール系溶剤および水酸基を有さないエーテル系有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(S1)(以下、(S1)成分という。)を含有することが好ましい。該(S1)成分を含有することにより、レジスト膜上に当該表面改質材料を塗布した際にレジスト膜を損なうことなく表面改質層を形成することができる。
ここで、「アルコール系有機溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
アルコール系有機溶剤の沸点は、80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性の観点から最も好ましい。ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれる水酸基の数が1個の場合を意味するものであり、多価アルコール及びその誘導体(たとえば一部の水酸基の水素原子がアルキル基等の置換基で置換されたもの)は含まれない。
本発明においては、アルコール系有機溶剤が、炭素数4〜6のアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。かかるアルコールは、レジスト膜との相溶性が低く、そのため、本発明の効果に優れる。また、(R)成分の溶解性に優れること、環境等に対する安全性が高いこと等の点でも好ましい。
炭素数4〜6のアルコールとしては、1価アルコールがさらに好ましく、その中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
炭素数4〜6のアルコールの具体例としては、n−ペンタノール(沸点138.0℃)、s−ペンタノール(沸点119.3℃)、t−ペンタノール(101.8℃)、イソペンタノール(沸点130.8℃)、イソブタノール(沸点107.9℃)、2−エチルブタノール(沸点147℃)、ネオペンタノール(沸点114℃)、n−ブタノール(沸点117.7℃)、s−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.5℃)、n−ヘキサノール(沸点157.1℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128.0℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点112.0℃)、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃)等が挙げられる。
本発明においては、特に、アルコール系有機溶剤が、2−メチル−1−プロパノール(イソブタノール)、4−メチル−2−ペンタノールおよびn−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特に2−メチル−1−プロパノール、4−メチルー2−ペンタノールが好ましい。
「エーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、常温常圧下で液体である化合物である。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の沸点(常圧下)は、30〜300℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。該温度範囲の下限値以上であることにより、上記沸点の範囲とすることで、(S)成分が、ベークによって塗膜中から充分に除かれ、表面改質層の形成性が向上する。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、表面改質材料をレジスト膜上に塗布した際に該レジスト膜を溶解しにくく、本発明の効果に優れることから、下記一般式(s1−1)で表される化合物(s1−1)が好ましい。
60−O−R61 …(s1−1)
[式中、R60、R61はそれぞれ独立して1価の炭化水素基である。または、R60およびR61それぞれ2価の炭化水素基であって、R60とR61とが結合して環を形成していてもよい。]
前記式中、R60、R61の1価の炭化水素基としては、たとえばアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。なかでも、R60、R61のいずれもアルキル基であることが好ましく、R60とR61とが同じアルキル基であることがより好ましい。
60、R61の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、表面改質材料の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
60、R61の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R60およびR61それぞれ2価の炭化水素基であって、R60とR61とが結合して環を形成していてもよい。
前記2価の炭化水素基としては、前記アルキル基またはアリール基から水素原子1つを除いた基、すなわちアルキレン基またはアリーレン基が挙げられ、特にアルキレン基が好ましい。また、該アルキレン基またはアリーレン基においては、炭素原子の一部が酸素原子で置換されていてもよい。
60およびR61は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R60の末端と、R61の末端とが結合して環を形成していることが好ましい。
エーテル化合物(s1−1)の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(ジイソアミルエーテル)(沸点171℃)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
本発明において、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、本発明の効果に優れることから、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤が好ましく、なかでもジイソペンチルエーテルおよび/または1,8−シネオールを含むことが好ましい。
(S1)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明において、(S1)成分は、アルコール系溶剤および水酸基を有さない環状または鎖状のエーテル系有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特に、2−メチル−1−プロパノール、4−メチルー2−ペンタノール、ジイソペンチルエーテルおよび1,8−シネオールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(S)成分中、(S1)成分の割合は、本発明の効果のためには、(S)成分の総質量の50〜100質量%が好ましく、75〜100質量%が好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、100質量%が最も好ましい。
(S)成分としては、(S1)成分以外の有機溶剤(以下、(S2)成分という。)を用いてもよい。
(S2)成分としては、例えば従来、レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から、上記(S1)成分に該当しない任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。該溶剤としては、後述するレジストパターン形成方法において説明する化学増幅型レジスト組成物において挙げる有機溶剤(S’)と同様のもの(ただし、上記(S1)成分を除く。)が挙げられる。かかる溶剤は、(R)成分の溶解性に優れる。そのため、たとえば前記(S1)成分と該溶剤とを併用することにより、(R)成分等の溶解性やその他の特性を調整することができる。
(S2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、当該表面改質材料中の(R)成分の濃度が、当該表面改質材料をレジスト膜上に塗布可能な濃度となる量であればよく、所望の表面改質層の厚さに応じて適宜設定される。
表面改質材料中の(R)成分の濃度は、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましい。
<酸性化合物(T)>
本発明の表面改質材料は、さらに酸性化合物(T)(以下、(T)成分という。)を含有することが好ましい。該(T)成分を含有することにより、本発明の効果がさらに向上する。
(T)成分としては、たとえば、下記一般式(T−1)で表される酸性化合物(T1)、一般式(T−2)で表される酸性化合物(T2)、一般式(T−3)で表される酸性化合物(T3)、一般式(T−4)で表される酸性化合物(T4)等が挙げられる。このような酸性化合物は、いずれも重要新規利用規則(SNUR)の対象となっておらず、人体に対する悪影響がないとされていることから、本発明において好ましく用いられる。
Figure 2009002999
[式(T−1)〜(T−4)中、aは1〜5の整数であり、bは10〜15の整数であり、cは2〜3の整数であり、dおよびeはそれぞれ独立に2〜3の整数であり、R23およびR24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数1〜15のフルオロアルキル基であって、前記アルキル基または前記フルオロアルキル基は、水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基およびアミノ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]
aは1〜5の整数であり、3または4が好ましい。
bは10〜15の整数である。
cは2〜3の整数であり、3が最も好ましい。
dおよびeは、それぞれ独立に、2〜3の整数であり、3が最も好ましい。
23およびR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜15のアルキル基または炭素数1〜15のフルオロアルキル基である。
23およびR24におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。該アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
23およびR24におけるフルオロアルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。R23およびR24におけるフルオロアルキル基としては、前記アルキル基の炭素原子に結合した水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)が好ましい。
23およびR24において、前記アルキル基または前記フルオロアルキル基は、水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基およびアミノ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。ここで、置換基を有するとは、当該アルキル基またはフルオロアルキル基の炭素原子に結合した水素原子またはフッ素原子が当該置換基で置換されていることを意味する。
置換基としてのアルコキシ基中のアルキル基としては、前記R23およびR24におけるアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
23としては、水素原子が特に好ましい。
24としては、フルオロアルキル基が好ましく、置換基としてカルボキシ基を有するフルオロフルオロアルキル基が特に好ましい。
酸性化合物(T1)としては、具体的には、(CSONH、(CSONH等が好ましい。
酸性化合物(T2)としては、具体的には、C1021COOH等が好ましい。
酸性化合物(T3)としては、具体的には、下記構造式(T−31)で表される化合物が好ましい。
酸性化合物(T4)としては、具体的には、下記構造式(T−41)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009002999
(T)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
表面改質材料中の(T)成分の含有量は、前記(R)成分に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
<他の任意成分>
本発明の表面改質材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(R)成分、(S)成分および(T)成分以外の他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、たとえば、一般的にレジスト組成物に配合されている成分を挙げることができ、具体例としては、後述する「化学増幅型レジスト組成物」において挙げる成分が挙げられる。
<レジスト組成物>
レジスト組成物としては、特に制限はなく、これまでレジスト組成物として提案されている化学増幅型、非化学増幅型等の多数のレジスト組成物の中から、使用する露光光源、リソグラフィー特性等に応じて適宜選択して用いることができる。
レジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物であってもよい。好ましくはポジ型レジスト組成物である。
レジスト組成物は、非化学増幅型レジスト組成物であってもよく、化学増幅型レジスト組成物であってもよい。好ましくは化学増幅型レジスト組成物である。
非化学増幅型レジスト組成物としては、例えば、露光により基材成分中の主鎖が分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する主鎖分解型ポジ型レジスト組成物や、露光により基材成分がアルカリ現像液に対して可溶性に変化するポジ型レジスト組成物、露光により基材成分がアルカリ現像液に対して難溶解性に変化するネガ型レジスト組成物を挙げることができる。
化学増幅型レジスト組成物としては、一般的に、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)と、放射線の照射(露光)により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有するものが一般的である。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、(B)成分から酸が発生し、該酸が(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を変化させる。その結果、当該レジスト膜の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないため、アルカリ現像により、ポジ型の場合は露光部が、ネガ型の場合は未露光部が溶解除去され、レジストパターンが形成される。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000未満の低分子量の有機化合物(以下、低分子化合物という。)と、分子量が2000以上の高分子量の樹脂(重合体)とに大別される。前記低分子化合物としては、通常、非重合体が用いられる。樹脂(重合体)の場合は、「分子量」としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000以上の樹脂を示すものとする。
(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する低分子化合物であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂であってもよく、これらの混合物であってもよい。
(A)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
化学増幅型レジスト組成物の(A)成分としては、親水性基を有するものが好ましい。
(A)成分における親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基(−C(O)−)、エステル基(エステル結合;−C(O)−O−)、アミノ基、アミド基からなる群から選択される1種以上が好ましい。これらの内、水酸基(特にはアルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、カルボキシ基、エステル基がより好ましい。
中でもカルボキシ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基が、ナノレベルでラインエッジラフネス(パターン側壁の凹凸)の小さいパターンを形成でき好ましい。
化学増幅型レジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、(A)成分として、アルカリ現像液に可溶の基材成分が用いられるとともに、さらに架橋剤が配合される。
かかるネガ型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により(A)成分と架橋剤との間で架橋が起こり、(A)成分がアルカリ現像液に対して可溶性から難溶性へと変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
ネガ型レジスト組成物の(A)成分としては、通常、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下、アルカリ可溶性樹脂という。)が用いられる。
該アルカリ可溶性樹脂としては、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。
架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
化学増幅型レジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分が用いられる。
かかるポジ型レジスト組成物は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、レジストパターン形成時に、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により酸解離性溶解抑制基が解離し、(A)成分がアルカリ現像液に対して可溶性へと変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して難溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
ポジ型レジスト組成物の(A)成分としては、親水性基と酸解離性溶解抑制基とを有するものが好ましく、下記(A−1)成分および/または(A−2)成分がより好ましい。親水性基は酸解離性溶解抑制基を兼ねていてもよい。
・(A−1)成分:親水性基および酸解離性溶解抑制基を有する樹脂。
・(A−2)成分:親水性基および酸解離性溶解抑制基を有する低分子化合物。
以下、(A−1)成分および(A−2)成分の好ましい態様をより具体的に説明する。
[(A−1)成分]
(A−1)成分としては、親水性基を有する構成単位と酸解離性溶解抑制基を有する構成単位とを有する樹脂が好ましい。
当該樹脂中の、前記親水性基を有する構成単位の割合は、当該樹脂を構成する全構成単位の合計量に対し、20〜80モル%であることが好ましく、20〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。
当該樹脂中の、前記酸解離性溶解抑制基を有する構成単位の割合は、当該樹脂を構成する全構成単位の合計量に対し、20〜80モル%であることが好ましく、20〜70モル%がより好ましく、30〜60モル%がさらに好ましい。
好ましくは、前記親水性基を有する構成単位が、カルボキシ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基を有する構成単位であり、より好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アルコール性水酸基を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステル、ヒドロキシスチレンから誘導される単位である。
(A−1)成分として、より具体的には、親水性基および酸解離性溶解抑制基を有するノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、(α−低級アルキル)アクリル酸エステル樹脂、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位と(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有する共重合樹脂等が好適に用いられる。
なお、本明細書において、「(α−低級アルキル)アクリル酸」とは、アクリル酸(CH=CH−COOH)およびα−低級アルキルアクリル酸の一方あるいは両方を示す。α−低級アルキルアクリル酸は、アクリル酸におけるカルボニル基が結合している炭素原子に結合した水素原子が、低級アルキル基で置換されたものを示す。「(α−低級アルキル)アクリル酸エステル」は「(α−低級アルキル)アクリル酸」のエステル誘導体であり、アクリル酸エステルおよびα−低級アルキルアクリル酸エステルの一方あるいは両方を示す。
「(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエチレン性2重結合が開裂して形成される構成単位であり、以下(α−低級アルキル)アクリレート構成単位ということがある。「(α−低級アルキル)アクリレート」は、アクリレートおよびα−低級アルキルアクリレートの一方あるいは両方を示す。
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン又はα―低級アルキルヒドロキシスチレンのエチレン性2重結合が開裂して形成される構成単位であり、以下ヒドロキシスチレン単位ということがある。「α−低級アルキルヒドロキシスチレン」は、フェニル基が結合する炭素原子に低級アルキル基が結合していることを示す。
「α−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位」及び「α−低級アルキルヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」において、α位に結合している低級アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
該低級アルキル基は、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
(A−1)成分として好適な樹脂成分としては、特に限定するものではないが、例えば、下記構成単位(a1)のようなフェノール性水酸基を有する単位と、下記構成単位(a2)および下記構成単位(a3)からなる群より選ばれる少なくとも1つのような酸解離性溶解抑制基を有する構成単位、そして必要に応じて用いられる、構成単位(a4)のようなアルカリ現像液に対して難溶性の構成単位を有する樹脂成分(以下、(A−11)成分ということがある。)が挙げられる。
当該(A−11)成分においては、露光によって酸発生剤から発生する酸の作用によって、構成単位(a2)および/または構成単位(a3)において開裂が生じ、これによって、はじめはアルカリ現像液に対して難溶性であった樹脂において、そのアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。その結果、露光・現像により、化学増幅型のポジ型のパターンを形成することができる。
・・構成単位(a1)
構成単位(a1)は、フェノール性水酸基を有する単位であって、好ましくは下記一般式(I)で表されるヒドロキシスチレンから誘導される単位である。
Figure 2009002999
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基を示す。)
Rは水素原子又は低級アルキル基である。低級アルキル基については上記の通りであり、特に水素原子またはメチル基が好ましい。Rの説明は以下同様である。
−OHのベンゼン環への結合位置は、特に限定されるものではないが、式中に記載の4の位置(パラ位)が好ましい。
構成単位(a1)は、パターンを形成する点からは、(A−11)成分中に40〜80モル%、好ましくは50〜75モル%含まれることが好ましい。40モル%以上とすることにより、アルカリ現像液に対する溶解性を向上させることができ、パターン形状の改善効果も得られる。80モル%以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・構成単位(a2)
構成単位(a2)は、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位であって、下記一般式(II)で表される。
Figure 2009002999
(式中、Rは上記と同じであり、Xは酸解離性溶解抑制基を示す。)
酸解離性溶解抑制基Xは、第3級炭素原子を有するアルキル基であって、当該第3級アルキル基の第3級炭素原子がエステル基[−C(O)O−]に結合している酸離性溶解抑制基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基のような環状アセタール基などである。
この様な酸解離性溶解抑制基Xは、例えば化学増幅型のポジ型レジスト組成物において用いられているものの中から上記以外のものも任意に使用することができる。
構成単位(a2)として、例えば下記一般式(III)で表されるもの等が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2009002999
式中、Rは上記と同じであり、R11、R12、R13は、それぞれ独立に低級アルキル基(直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。好ましくは炭素数は1〜5である。)である。または、R11、R12、R13のうち、R11が低級アルキル基であり、R12とR13が結合して、単環または多環の脂肪族環式基を形成していてもよい。該脂肪族環式基の炭素数は好ましくは5〜12である。
11、R12、R13が脂肪族環式基を有さない場合には、例えばR11、R12、R13がいずれもメチル基であるものが好ましい。
11、R12、R13のいずれかが脂肪族環式基を有する場合において、脂肪族環式基が単環の脂肪族環式基である場合は、構成単位(a2)として、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基を有するもの等が好ましい。
脂肪族環式基が多環の脂環式基である場合、構成単位(a2)として好ましいものとしては、例えば下記一般式(IV)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009002999
[式中、Rは上記と同じであり、R14は低級アルキル基(直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。好ましくは炭素数は1〜5である。)]
また、多環の脂肪族環式基を含む酸解離性溶解抑制基を有するものとして、下記一般式(V)で表されるものも好ましい。
Figure 2009002999
[式中、Rは上記と同じであり、R15、R16は、それぞれ独立に低級アルキル基(直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。好ましくは炭素数は1〜5である。)である。]
(A−11)成分中、構成単位(a2)の割合は、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは10〜35モル%の範囲内とされる。
・・構成単位(a3)
構成単位(a3)は、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位であって、下記一般式(VI)で表されるものである。
Figure 2009002999
(式中、Rは上記と同じであり、X’は酸解離性溶解抑制基を示す。)
酸解離性溶解抑制基X’としては、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基のような第3級アルキルオキシカルボニル基;tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基のような第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基;tert−ブチル基、tert−ペンチル基などの第3級アルキル基;テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基などの環状アセタール基;エトキシエチル基、メトキシプロピル基などのアルコキシアルキル基などが挙げられる。
中でも、tert―ブチルオキシカルボニル基、tert―ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基が好ましい。
酸解離性溶解抑制基X’としては、例えば化学増幅型のポジ型レジスト組成物において用いられているものの中から上記以外のものも任意に使用することができる。
一般式(VI)において、ベンゼン環に結合している基(−OX’)の結合位置は特に限定するものではないが式中に示した4の位置(パラ位)が好ましい。
(A−11)成分中、構成単位(a3)の割合は、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは、10〜35モル%の範囲とされる。
・・構成単位(a4)
構成単位(a4)は、アルカリ現像液に対して難溶性の構成単位であって、下記一般式(VII)で表されるものである。
Figure 2009002999
(式中、Rは上記と同じであり、R4’は低級アルキル基を示し、n’は0または1〜3の整数を示す。)
4’の低級アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、炭素数は好ましくは1〜5とされる。
n’は0または1〜3の整数を示すが、0であることが好ましい。
(A−11)成分中、構成単位(a4)の割合は、好ましくは1〜40モル%、より好ましくは5〜25モル%とされる。1モル%以上とすることにより、形状の改善(特に膜減りの改善)の効果が高くなり、40モル%以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A−11)成分においては、前記構成単位(a1)と、構成単位(a2)および構成単位(a3)からなる群より選ばれる少なくとも一つとを必須としつつ、任意に構成単位(a4)を含んでもよい。また、これらの各単位を全て有する共重合体を用いてもよいし、これらの単位を1つ以上有する重合体同士の混合物(たとえば、構成単位(a1)を有する重合体または共重合体と、構成単位(a2)を有する重合体または共重合体との混合物)としてもよい。又はこれらを組み合わせてもよい。
また、(A−11)成分は、前記構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a4)以外のものを任意に含むことができるが、これらの構成単位の合計の割合が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%が最も好ましい。
(A−11)成分としては、特に、「前記構成単位(a1)および(a3)を有する共重合体のいずれか1種、または該共重合体の2種以上の混合物」、または、「構成単位(a1)、(a2)および(a4)を有する共重合体のいずれか1種、または該共重合体の2種以上の混合物」を、それぞれ用いるか又は混合した態様が、リソグラフィー特性、耐熱性等に優れることから最も好ましい。
特には、第三級アルキルオキシカルボニル基で保護したポリヒドロキシスチレンと、1−アルコキシアルキル基で保護したポリヒドロキシスチレンとの混合物であることが好ましい。かかる混合を行う場合、各重合体の混合比(質量比)(第三級アルキルオキシカルボニル基で保護したポリヒドロキシスチレン/1−アルコキシアルキル基で保護したポリヒドロキシスチレン)は、例えば1/9〜9/1、好ましくは2/8〜8/2とされ、さらに好ましくは2/8〜5/5である。
上記(A−11)成分以外に、(A−1)成分として好適な樹脂成分としては、(α−低級アルキル)アクリル酸エステル樹脂(以下、(A−12)成分という。)が挙げられる。
(A−12)成分としては、酸解離性溶解抑制基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a5)を有する樹脂が好ましい。α−低級アルキル基については上記と同様である。
構成単位(a5)の酸解離性溶解抑制基は、露光前の(A−12)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有すると同時に、露光後に(B)成分から発生した酸の作用により解離し、この(A−12)成分全体をアルカリ現像液に対して可溶性へ変化させる基である。
また、(A−12)成分においては、構成単位(a5)における酸解離性溶解抑制基が、(B)成分から発生した酸により解離すると、カルボン酸を生成する。これにより、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
酸解離性溶解抑制基としては、例えばArFエキシマレーザーのレジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。一般的には、(α−低級アルキル)アクリル酸のカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、または環状または鎖状のアルコキシアルキル基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステルを形成する基」とは、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換することによりエステルを形成する基である。すなわちアクリル酸エステルのカルボニルオキシ基[−C(O)−O−]の末端の酸素原子に、鎖状または環状の第3級アルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、第3級アルキル基とは、第3級炭素原子を有するアルキル基である。
鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基としては、例えばtert−ブチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。
環状の第3級アルキルエステルを形成する基としては、後述する「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示するものと同様のものが挙げられる。
「環状または鎖状のアルコキシアルキル基」は、カルボキシ基の水素原子と置換してエステルを形成する。すなわち、アクリル酸エステルのカルボニルオキシ基[−C(O)−O―]の末端の酸素原子に前記アルコキシアルキル基が結合している構造を形成する。かかる構造においては、酸の作用により、酸素原子とアルコキシアルキル基との間で結合が切断される。
このような環状または鎖状のアルコキシアルキル基としては、1−メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−イソプロポキシエチル、1−シクロヘキシルオキシエチル基、2−アダマントキシメチル基、1−メチルアダマントキシメチル基、4−オキソ−2−アダマントキシメチル基、1−アダマントキシエチル基、2−アダマントキシエチル基等が挙げられる。
構成単位(a5)としては、環状、特に、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基を含む構成単位が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環または多環のいずれでもよく、例えばArFレジスト等において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。耐エッチング性の点からは多環の脂環式基が好ましい。また、脂環式基は炭化水素基であることが好ましく、特に飽和の炭化水素基(脂環式基)であることが好ましい。
単環の脂環式基としては、例えば、シクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。多環の脂環式基としては、例えばビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。多環の脂環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもアダマンタンから1個の水素原子を除いたアダマンチル基、ノルボルナンから1個の水素原子を除いたノルボルニル基、トリシクロデカンからの1個の水素原子を除いたトリシクロデカニル基、テトラシクロドデカンから1個の水素原子を除いたテトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
より具体的には、構成単位(a5)は、下記一般式(I’)〜(III’)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される単位であって、そのエステル部に上記した環状のアルコキシアルキル基を有する単位、具体的には2−アダマントキシメチル基、1−メチルアダマントキシメチル基、4−オキソ−2−アダマントキシメチル基、1−アダマントキシエチル基、2−アダマントキシエチル基等の置換基を有していても良い脂肪族多環式アルキルオキシ低級アルキル(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される単位から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2009002999
[式(I’)中、Rは上記と同じであり、Rは低級アルキル基である。]
Figure 2009002999
[式(II’)中、Rは上記と同じであり、R及びRはそれぞれ独立に低級アルキル基である。]
Figure 2009002999
[式(III’)中、Rは上記と同じであり、Rは第3級アルキル基である。]
式(I’)〜(III’)中、Rの水素原子または低級アルキル基としては、上述したアクリル酸エステルのα位に結合している水素原子または低級アルキル基の説明と同様である。
の低級アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基であることが、工業的に入手が容易であることから好ましい。
及びRの低級アルキル基は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましい。中でも、RおよびRが共にメチル基である場合が工業的に好ましい。具体的には、2−(1−アダマンチル)−2−プロピルアクリレートから誘導される構成単位を挙げることができる。
は鎖状の第3級アルキル基または環状の第3級アルキル基である。鎖状の第3級アルキル基としては、例えばtert−ブチル基やtert−ペンチル基が挙げられ、tert−ブチル基が工業的に好ましい。
環状の第3級アルキル基としては、前述の「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示したものと同じであり、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基等を挙げることができる。
また、基−COORは、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。また、アクリレート構成単位のカルボキシ基残基も同様に式中に示した8または9の位置に結合していてよい。
構成単位(a5)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
(A−12)成分中、構成単位(a5)の割合は、(A−12)成分を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%であることが好ましく、30〜50モル%がより好ましく、35〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによってパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A−12)成分は、前記構成単位(a5)に加えてさらに、ラクトン環を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a6)を有することが好ましい。構成単位(a6)は、レジスト膜の支持体への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a6)において、α位の炭素原子に結合しているのは、低級アルキル基または水素原子である。α位の炭素原子に結合している低級アルキル基は、構成単位(a5)の説明と同様であって、好ましくはメチル基である。
構成単位(a6)としては、アクリル酸エステルのエステル側鎖部にラクトン環からなる単環式基またはラクトン環を有する多環の環式基が結合した構成単位が挙げられる。なお、このときラクトン環とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつの目の環として数える。したがって、ここではラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a6)としては、例えば、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた単環式基や、ラクトン環含有ビシクロアルカンから水素原子を1つ除いた多環式基を有するもの等が挙げられる。
構成単位(a6)として、より具体的には、例えば以下の一般式(IV’)〜(VII’)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2009002999
[式(IV’)中、Rは上記と同じであり、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または低級アルキル基である。]
Figure 2009002999
[式(V’)中、Rは上記と同じであり、mは0または1である。]
Figure 2009002999
[式(VI’)中、Rは上記と同じである。]
Figure 2009002999
[式(VII’)中、Rは上記と同じである。]
式(IV’)中において、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または低級アルキル基であり、好ましくは水素原子である。R、Rにおいて、低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
一般式(IV’)〜(VII’)で表される構成単位の中でも、(IV’)で表される構成単位が安価で工業的に好ましく、(IV’)で表される構成単位の中でもRがメチル基、RおよびRが水素原子であり、メタクリル酸エステルとγ−ブチロラクトンとのエステル結合の位置が、そのラクトン環上のα位であるα−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトンであることが最も好ましい。
構成単位(a6)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
(A−12)成分中、構成単位(a6)の割合は、(A−12)成分を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%が好ましく、20〜50モル%がより好ましく、30〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A−12)成分は、前記構成単位(a5)に加えて、または前記構成単位(a5)および(a6)に加えて、さらに、極性基含有多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a7)を有することが好ましい。
構成単位(a7)により、(A−12)成分全体の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ現像液に対する溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a7)において、α位の炭素原子に結合しているのは、低級アルキル基または水素原子である。α位の炭素原子に結合している低級アルキル基は、構成単位(a5)の説明と同様であって、好ましくはメチル基である。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
多環式基としては、前述の構成単位(a5)である「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示した脂肪族環式基のうち、多環式のものから適宜選択して用いることができる。
構成単位(a7)としては、下記一般式(VIII’)〜(IX’)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2009002999
[式(VIII’)中、Rは上記と同じであり、nは1〜3の整数である。]
式(VIII’)中のRは上記式(I’)〜(III’)中のRと同様である。
これらの中でも、nが1であり、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
Figure 2009002999
[式(IX’)中、Rは上記と同じであり、kは1〜3の整数である。]
これらの中でも、kが1であるものが好ましい。また、シアノ基がノルボルニル基の5位又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a7)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
(A−12)成分中、構成単位(a7)の割合は、(A−12)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%が好ましく、15〜40モル%がより好ましく、20〜35モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A−12)成分においては、これらの構成単位(a5)〜(a7)の合計が、(A−12)成分を構成する全構成単位の合計に対し、70〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%であることがより好ましい。
(A−12)成分は、前記構成単位(a5)〜(a7)以外の構成単位(a8)を含んでいてもよい。
構成単位(a8)としては、上述の構成単位(a5)〜(a7)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではない。
構成単位(a8)としては、例えば多環の脂肪族炭化水素基を含み、かつ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該多環の脂肪族炭化水素基は、例えば、前述の「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示した脂肪族環式基のうち、多環式のものから適宜選択して用いることができる。特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、イソボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易い等の点で好ましい。構成単位(a8)としては、非酸解離性基であることが最も好ましい。
構成単位(a8)として、具体的には、下記(X’)〜(XII’)の構造のものを例示することができる。
Figure 2009002999
(式中、Rは上記と同じである。)
Figure 2009002999
(式中、Rは上記と同じである。)
Figure 2009002999
(式中、Rは上記と同じである。)
構成単位(a8)を有する場合、(A−12)成分中の構成単位(a8)の割合は、(A−12)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜25モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。
(A−12)成分は、少なくとも構成単位(a5)、(a6)および(a7)を有する共重合体であることが好ましい。係る共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a5)、(a6)および(a7)からなる共重合体、上記構成単位(a5)、(a6)、(a7)および(a8)からなる共重合体等が例示できる。
(A−1)成分は、前記構成単位に係るモノマーを公知の方法で重合することにより得ることができる。例えば、各構成単位に係るモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
(A−1)成分は、質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算質量平均分子量、以下同様。)30000以下であることが好ましく、20000以下であることが好ましく、12000以下であることがさらに好ましい。下限値は、2000以上であればよく、パターン倒れの抑制、解像性向上等の点で、好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上とされる。
[(A−2)成分]
(A−2)成分としては、分子量が500以上2000未満であって、親水性基を有するとともに、上述の(A−1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基XまたはX’を有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基XまたはX’で置換したものが挙げられる。
(A−2)成分は、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
なお、酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
<(B)成分>
(B)成分としては、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートが挙げられる。これらのなかでもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩が好ましい。
オキシムスルホネート化合物の例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルが好ましい。
ジアゾメタン系酸発生剤の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
(B)成分として、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは2〜10質量部とされる。上記範囲の下限値以上とすることにより充分なパターン形成が行われ、上記範囲の上限値以下であれば溶液の均一性が得られやすく、良好な保存安定性が得られる。
<任意成分>
化学増幅型レジスト組成物には、パターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
また、化学増幅型レジスト組成物には、前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
化学増幅型レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えば該レジスト組成物の塗布膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜含有させることができる。
<有機溶剤(S’)>
レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S’)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S’)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
具体例としては、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの中でも、PGMEA、EL、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
(S’)成分の使用量は特に限定されない。通常、化学増幅型レジスト組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
上記本発明のレジストパターン形成方法によれば、液浸露光におけるディフェクトを効果的に低減できる。
液浸露光においては、レジスト膜に対して浸漬露光を行うと、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する。たとえばポジ型の場合は露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高まり、ネガ型の場合は露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する。そして、アルカリ現像を行うことにより、ポジ型の場合は露光部が除去され、ネガ型の場合は未露光部が除去されてレジストパターンが形成される。
このとき、レジスト膜の、浸漬露光により放射線が照射されなかった部分(たとえばポジ型の場合は未露光部)の表面には、水等の浸漬媒体の影響によるディフェクト(ウォーターマークディフェクト等)が生じやすいが、本発明のレジストパターン形成方法では、浸漬露光後、レジスト膜の表面に前記表面改質材料を塗布し、表面改質層を形成することによって、前記ディフェクトを低減できる。
かかる効果は、前記表面改質材料を塗布して表面改質層を形成する際に、特に該表面改質材料が酸性化合物(T)を含む場合に、該表面改質材料が、ほんのわずかにレジスト膜表面を溶解させ、これが影響していると考えられる。
また、本発明の表面改質材料を用いて形成される表面改質層は、レジストパターンを形成する際、アルカリ現像によって除去することができる。そのため、別途、該表面改質層を除去する工程を設ける必要がなく、レジストパターン形成を容易に行うことができる。
[実施例1−1]
下記化学式(R)−1で表される共重合体(Mw7500、Mw/Mn1.33)100質量部と、下記化学式(T)−1で表される化合物0.4質量部と、2−メチル−1−プロパノールとを混合、溶解して固形分濃度約3質量%の表面改質材料(1)を調製した。
式(R)−1中、( )の右下に付した数値は各構成単位の割合(モル%)を示す。
Figure 2009002999
[実施例1−2]
下記化学式(R)−2で表される共重合体(Mw4400、Mw/Mn1.48)100質量部と、下記化学式(T)−1で表される化合物0.3質量部と、ジイソアミルエーテルと4−メチル−2−ペンタノールとの混合溶剤(質量比で8:2)に混合、溶解して固形分濃度約2質量%の表面改質材料(2)を調製した。
式(R)−2中、( )の右下に付した数値は各構成単位の割合(モル%)を示す。
Figure 2009002999
[実施例2]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機反射防止膜用材料(製品名:ARC−29A、ブリューワーサイエンス社製)を塗布し、205℃で60秒間焼成して、膜厚77nmの反射防止膜を形成して基板とした。
その基板上に、市販のポジ型レジスト組成物溶液(製品名:TAI6029、東京応化工業社製)を、スピンナーを用いて均一に塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次に、ArF液浸露光装置(波長193nm)NSR−S609B(製品名、Nikon社製、NA(開口数)=1.07、Dipole)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に露光した。露光後、110℃、90秒間の条件でPEB処理を行った。
次に、前記レジスト膜上に、実施例1−1で調製した表面改質材料(1)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱した。その結果、レジスト膜上に、膜厚90nmの表面改質層が形成された。
次に、23℃にて、アルカリ現像液(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で20秒間の現像処理を行い、その後、純水を用いて25秒間水リンスした後、100℃で45秒間のポストベークを行った。
その結果、レジスト膜の一部(露光部)に、ライン幅55nm、ピッチ110nmのラインアンドスペースのレジストパターン(L/Sパターン)が形成された。
上記と同じ操作を、別途1回(合計2回)行った。得られた各基板のレジスト膜表面を、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置KLA2371(製品名)を用いて観察し、各基板表面のレジスト膜の未露光部(L/Sパターンが形成されていない領域)のディフェクト数を求めた。
[実施例3]
表面改質層の膜厚を75nmに変更したこと以外は、実施例2と同様にディフェクト数を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2において、表面改質材料(1)をスピンナーで塗布した後、90℃で60秒間の加熱を行う代わりに、そのまま振り切り乾燥を行うことにより表面改質層を形成した以外は実施例2と同様にしてレジストパターンを形成し、ディフェクト数を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例2において、露光後で、かつPEB前に表面改質層を形成したこと以外は同様にしてレジストパターンを形成し、ディフェクト数を測定した。
[実施例6]
実施例2おいて、表面改質材料(1)の代わりに、表面改質材料(2)を用いて膜厚35nmの表面改質層を形成した以外は同様にしてレジストパターンを形成し、ディフェクト数を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例7]
表面改質層の膜厚を20nmに変更したこと以外は、実施例6と同様にレジストパターンを形成し、ディフェクト数を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例8]
表面改質層の膜厚を15nmに変更したこと以外は、実施例6と同様にレジストパターンを形成し、ディフェクト数を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
レジスト膜上に、実施例1−1で調製した表面改質材料(1)を塗布しなかった以外は実施例3と同様にしてレジストパターンを形成し、ディフェクト数を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例2において、露光前に表面改質層を形成したこと以外は同様の方法でレジストパターンを形成し、ディフェクト数を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2009002999
上記結果に示すように、露光後、現像処理を行う前にレジスト膜上に表面改質層を設けることにより、表面改質層を設けない場合や、露光前に表面改質層を設ける場合に比べて、レジスト膜の未露光部表面のディフェクト数を大幅に低減できた。

Claims (6)

  1. 支持体上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、前記浸漬露光後のレジスト膜上に、アルカリ現像液に溶解可能な樹脂成分(R)が有機溶剤(S)に溶解してなる表面改質材料を塗布して表面改質層を形成することによりレジスト積層体を得る工程、および前記レジスト積層体をアルカリ現像液で現像処理する工程を含むレジストパターン形成方法。
  2. 前記表面改質材料が、さらに、酸性化合物(T)を含有する請求項1記載のレジストパターン形成方法。
  3. 前記樹脂成分(R)が、フッ素原子を含有する主鎖環状型の樹脂(R1)を含有する請求項1または2記載のレジストパターン形成方法。
  4. 前記樹脂(R1)が、下記一般式(r1)で表される構成単位(r1)を有する請求項3記載のレジストパターン形成方法。
    Figure 2009002999
    [式(r1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基、または下記一般式(r1a)で表される基(r1a)であり、R〜Rのうち少なくとも1つは前記基(r1a)であり;aは0または1である。]
    Figure 2009002999
    [式(r1a)中、Qは炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基であり;Rはフッ素化アルキル基である。]
  5. 前記樹脂(R1)が、さらに、下記一般式(r2)で表される構成単位(r2)を有する請求項4記載のレジストパターン形成方法。
    Figure 2009002999
    [式(r2)中、Rはフッ素化アルキル基であり;aは0または1である。]
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法に用いられる表面改質材料。
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