JP5075650B2 - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポジ型レジスト組成物を用いて1回目のパターニングを行った後、その上にさらにレジスト組成物を塗布して2回目のパターニングを行うことにより1つのレジストパターンを形成するレジストパターン形成方法に関する。
基板の上に微細なパターンを形成し、これをマスクとしてエッチングを行うことによって該パターンの下層を加工する技術(パターン形成技術)は、半導体産業のIC作成等に広く採用され、大きな注目を浴びている。
微細パターンは、通常、有機材料からなり、例えばリソグラフィー法やナノインプリント法等の技術によって形成される。たとえばリソグラフィー法においては、基板等の支持体の上に、樹脂等の基材成分を含むレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。そして、上記レジストパターンをマスクとして、基板をエッチングにより加工する工程を経て半導体素子等が製造される。
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト組成物をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト組成物をネガ型という。
近年、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されており、たとえばArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィーにより、45nmレベルの解像性でのパターン形成が可能となっている。また、解像性の更なる向上のために、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト組成物には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト組成物として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。たとえばポジ型の化学増幅型レジストは、通常、基材成分として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を含有しており、レジストパターン形成時に、露光によって酸発生剤から酸が発生すると、露光部がアルカリ現像液に対して可溶性となる。
解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、液浸露光ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
最近、新しく提案されているリソグラフィー技術の1つとして、パターニングを2回以上行ってレジストパターンを形成するダブルパターニングプロセスがある(たとえば、非特許文献2〜3参照)。
このダブルパターニングプロセスによれば、たとえば、支持体上に、第一のレジスト組成物を用いてパターニングして第一のレジストパターンを形成した後、該第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二のレジスト組成物を用いてパターニングすることにより、1回のパターニングで形成されるレジストパターンよりも高解像性のレジストパターンが形成できると考えられる。
特開2003−241385号公報 プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5754巻,第119−128頁(2005年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5256巻,第985〜994頁(2003年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第6153巻,第615301−1〜19頁(2006年).
しかしながら、上述のようなダブルパターニングプロセスにおいて、支持体として表面に反射防止膜が形成されたものを用い、当該支持体上に良好なレジストパターンを形成することが難しい。たとえば第二のレジスト組成物によるレジストパターンが形成されなかったり、形成されたとしてもその形状が悪い等の問題がある。第二のレジスト組成物としてネガ型レジスト組成物を用いた場合には、ネガのレジストパターンのネッキングやパターン倒れが生じ、さらには現像等によりパターンが消失することもある。このような問題は、形成しようとするレジストパターンが微細化するほど顕著になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、表面に反射防止膜が形成された支持体上に、第一のレジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用いるダブルパターニングプロセスにより良好なレジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]表面に反射防止膜が形成された支持体の前記反射防止膜上に、ポジ型レジスト組成物(ただし、架橋剤を含有するものを除く)を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を選択的に露光し、現像して第一のレジストパターンを形成する第一のパターニング工程と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体表面の疎水化処理を行う疎水化処理工程と、前記疎水化処理工程後の前記支持体上に、第二のレジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成し、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、現像してレジストパターンを形成する第二のパターニング工程とを有することを特徴とするレジストパターン形成方法。
[2]前記疎水化処理として、ヘキサメチルジシラザン処理を行う[1]に記載のレジストパターン形成方法。
[3]前記疎水化処理として、100℃超の温度でのベーク処理を行う[1]または[2]に記載のレジストパターン形成方法。
[4]前記第二のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である[1]〜[3]のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
本発明によれば、表面に反射防止膜が形成された支持体上に、第一のレジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用いるダブルパターニングプロセスにより良好なレジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供できる。
≪レジストパターン形成方法≫
以下、本発明のレジストパターン形成方法の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。
本実施形態においては、まず、図1(a)に示すように、基板1aと、基板1a上に形成された反射防止膜1bとからなる支持体1上に、ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜2を形成する。そして、第一のレジスト膜2を選択的に露光し、現像する。現像により、第一のレジスト膜2の露光部が除去され、未露光部が残留し、その結果、図1(b)に示すように、支持体1上に、複数のレジストパターン3(第一のレジストパターン)が形成される。
次に、複数のレジストパターン3が形成された支持体1表面の疎水化処理を行う。
次に、複数のレジストパターン3が形成された支持体1上に、図1(c)に示すように、第二のレジスト組成物としてネガ型レジスト組成物を塗布し、複数のレジストパターン3間の空隙を充填する第二のレジスト膜6を形成する。そして、第二のレジスト膜6の、複数のレジストパターン3を形成した位置とは異なる位置を選択的に露光し、現像する。現像により、第二のレジスト膜6の未露光部が除去され、露光部が残留し、その結果、図1(d)に示すように、支持体1上に、複数のレジストパターン3およびレジストパターン7からなるレジストパターンが形成される。
このように、本実施形態によれば、支持体1上に、第一のパターニング工程で形成したレジストパターン3よりも狭ピッチの密なレジストパターンが形成される。
なお、本実施形態は、第二のレジスト組成物としてネガ型レジスト組成物を用いる例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、第二のレジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用いてもよい。この場合、たとえば第二のレジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用いる以外は上記と同様にして第二のレジスト膜を形成した後、同じパターンで、複数のレジストパターン3の間が未露光部となるように、露光位置を若干ずらして選択的露光を行い、現像すると、図1(d)と同様、支持体1上に、第一のパターニング工程で形成したレジストパターン3よりも狭ピッチの密なレジストパターンが形成される。
以下、各工程について、より詳細に説明する。
[第一のパターニング工程]
基板1aとしては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
反射防止膜1bとしては、従来公知のものが利用でき、無機系の反射防止膜であってもよく、有機系の反射防止膜であってもよい。
無機系の反射防止膜としては、従来公知の無機BARCが利用できる。
ここで、「BARC」とは、Bottom 反射防止膜(Anti−Reflection Coating)の略であり、レジスト膜の下層に形成されるものをいう。
無機系の反射防止膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基材上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の反射防止膜としては、従来公知の有機BARCが利用できる。
有機系の反射防止膜は、たとえば、当該反射防止膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
有機系の反射防止膜を形成するための有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、電子線や光に対する感受性を必ずしも必要とするものではない。半導体素子や液晶表示素子の製造において、一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、レジストパターンを用いて有機膜をエッチングすることにより、レジストパターンを有機膜へ転写し、有機膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。このような有機膜形成用材料としては、従来、有機BARCなどの有機膜を形成するために用いられている材料であってよい。例えば、ブリューワサイエンス社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
中でも、酸素プラズマエッチングによりエッチングしやすく、かつハロゲンガス、具体的にはCFガス又はCHFガス等のフッ化炭素系ガスに対して耐性が比較的高い材料が好ましい。
反射防止膜1bの厚さは、好ましくは10〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、反射防止膜の下層(基板等)からの化学的影響を防ぐことができ、基板エッチング時に充分な耐エッチング性が確保できる等の効果がある。
また、反射防止膜1bと基板1aとの間に、有機膜が設けられていてもよい。該有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを形成でき、半導体の製造等において有用である。有機膜としては、たとえば多層レジスト法における下層膜が挙げられる。ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と、下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法とに分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
有機膜を設ける場合、有機膜は、たとえば、有機膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
有機膜の厚さは、好ましくは10〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、高アスペクト比のパターンが形成できる、基板エッチング時に充分な耐エッチング性が確保できる等の効果がある。
有機膜形成用材料について、詳しくは後述する。
支持体1上に、ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
具体的には、たとえば支持体1上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いてポジ型レジスト組成物を塗布し、80〜150℃の温度条件下、ベーク処理(プレベーク)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、有機溶剤を揮発させることにより第一のレジスト膜2を形成できる。
第一のレジスト膜2の厚さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
ポジ型レジスト組成物について、詳しくは後述する。
次に、上記のようにして形成した第一のレジスト膜2を選択的に露光し、現像して複数のレジストパターン3を形成する。
レジストパターン3の形成は、従来公知の方法を利用して行うことができ、たとえば、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介して、または介さずに、第一のレジスト膜2を選択的に露光し、80〜150℃の温度条件下、ベーク処理(PEB(露光後加熱))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施して施し、例えば0.1〜10質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液でアルカリ現像すると、第一のレジスト膜2の露光部が除去されてレジストパターン3が形成される。
上記アルカリ現像後に水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で行われるため)通常100℃の条件で行われ、処理時間は、好ましくは30〜90秒間である。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。
第一のレジスト膜2の選択的露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光で行ってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のマスクパターンを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜(パターニング工程(1)においては第一のレジスト膜2)の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
[疎水化処理工程]
次に、レジストパターン3が形成された支持体1表面の疎水化処理を行う。
本発明において、「疎水化処理」とは、100℃で30〜90秒間のベーク処理を行った場合よりも、処理後の支持体表面(反射防止膜表面)の疎水性を高める処理をいう。
従来、現像を行った後、形成されたレジストパターン表面を乾燥させるために、100℃で30〜90秒間程度のベーク処理(ポストベーク)を行うことがあるが、このような従来のポストベーク処理では、本発明の効果は充分には得られない。
支持体表面の疎水性は、接触角(contact angle)を測定することにより評価できる。「接触角」は、測定対象面に水滴を接触させた際、該水滴の自由表面が当該測定対象面と接する位置にて、該水滴表面と測定対象面とがなす角度であり、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学社製)、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(製品名、協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(製品名、協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
本発明においては、上記疎水化処理後、当該支持体を水平に設置した時の支持体表面の接触角(静的接触角)が、50°以上であることが好ましく、51°以上であることがより好ましく、52°以上であることがさらに好ましい。上限値は特にないが、第2のレジスト組成物のパターン形成工程における現像処理が問題なく行える範囲であればよい。
接触角の大きさは、疎水化処理の処理条件(処理温度、処理時間等)を調節することにより調節できる。
疎水化処理の具体的な方法としては、たとえば、100℃超の温度でベーク処理を行う方法、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシリル化剤で表面処理を行う方法等が挙げられる。これらの疎水化処理方法は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、疎水化処理としては、特に、100℃超の温度でのベーク処理を行う方法、および/またはHMDS処理を行う方法が好ましい。
疎水化処理として、100℃超の温度でのベーク処理を行う場合、そのベーク温度は、疎水性の向上効果に優れることから、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。ベーク温度の上限値は、第一のレジスト膜に用いられている樹脂成分のガラス転移温度より低い値に調整すればよく、好ましくは250℃以下、より好ましくは170℃以下である。ベーク時間は、ベーク温度によっても異なるが、通常、30〜120秒間が好ましく、30〜90秒間がより好ましい。
HMDS処理は、従来、シリコンウェーハ等の表面処理に用いられている方法と同様にして実施できる。具体的には、第一のレジストパターンが形成された支持体表面にHMDSの溶液または蒸気を接触させ、加熱することにより実施できる。
HMDS処理における加熱温度は、80〜150℃が好ましく、85〜130℃がより好ましい。加熱時間は、加熱温度によっても異なるが、通常、15〜120秒間が好ましく、30〜100秒間がより好ましく40〜90秒間がさらに好ましい。
[第二のパターニング工程]
次に、レジストパターン3が形成された支持体1上に、第二のレジスト組成物としてネガ型レジスト組成物を塗布し、複数のレジストパターン3間の空隙を充填する第二のレジスト膜6を形成する。
第二のレジスト膜6は、第一のレジスト膜2と同様、従来公知の方法によって形成することができる。
第二のレジスト膜6の膜厚は、少なくとも、レジストパターン3の高さと同じか、それよりも厚いことが好ましい。すなわち、支持体1を第二のレジスト膜6側から見た場合に、その表面が平坦であることが好ましい。
ネガ型レジスト組成物について、詳しくは後述する。
次に、第二のレジスト膜6の、複数のレジストパターン3が形成された位置とは異なる位置を選択的に露光し、現像する。これにより、第二のレジスト膜6の未露光部が除去されて、複数のレジストパターン3間に、それぞれ、複数のレジストパターン7が形成される。結果、支持体1上に、複数のレジストパターン3と、第二のレジスト膜6に新たに形成された複数のレジストパターン7とからなるレジストパターンが形成される。
ここで、本発明においては、レジストパターン3、つまり第一のパターニングで形成した第一のレジストパターンと完全に一致する場合以外はすべて「第一のレジストパターンを形成した位置とは異なる位置」であり、全く重複していない場合、および一部重複している場合を含むものとする。
本発明においては、第一のレジストパターンを形成した位置と、第二のパターニング工程で選択的に露光する位置とが全く重複しないことが好ましい。これにより、第一のパターニング工程で形成した第一のレジストパターンよりも、パターン間の間隔(ピッチ)が狭い狭ピッチのレジストパターンが得られる。
第一のレジストパターン(レジストパターン3)を形成した位置とは異なる位置の選択的露光は、たとえば、第一のパターニング工程で用いたマスクパターンと異なるマスクパターンを用いる方法等により行うことができる。
たとえばラインアンドスペースのレジストパターンを形成する場合を例に挙げると、第一のパターニング工程で、複数のラインが一定のピッチで配置されたラインアンドスペースのマスクパターンを用いてラインアンドスペースのレジストパターンを形成した後、第二のパターニング工程で、当該マスクパターンを変更して、第一のパターニング工程で形成したラインパターンとラインパターンとの中間位置にラインパターンを形成することにより、最初に形成したラインアンドスペースのレジストパターン(疎パターン)よりも狭ピッチの、ラインアンドスペースのレジストパターン(密パターン)が形成される。
「疎パターン」としては、ラインアンドスペースのレジストパターンにおいて、ライン幅:スペース幅=1:2以上にスペース幅が広いラインアンドスペースパターンが好ましい。
本発明においては、上記第1の実施形態に示すように、狭ピッチの密なラインアンドスペースパターンを容易に形成できることから、前記第一のレジストパターンが、ラインアンドスペースのレジストパターンであることが好ましい。
具体的には、例えば、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:3のラインアンドスペースパターン(図1におけるレジストパターン3、疎パターン)を形成した後、第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜の、前記疎パターンの各ライン間の中間の位置に、各ラインに対して平行に、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:3のラインアンドスペースパターン(図1におけるレジストパターン7)を形成する。その結果、支持体上には、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:1のラインアンドスペースパターン(密パターン)が形成される。
また、第一のパターニング工程で用いたマスクパターンを回転移動させたり、第一のパターニング工程で用いたマスクパターンとは異なるマスクパターン(たとえば、第一のパターニング工程においてラインアンドスペースのマスクパターン、第二のパターニング工程においてホールのマスクパターン等)を用いたりすること等により、微細な、および/または、多様なレジストパターンを形成することができる。
本発明のレジストパターン形成方法においては、上記第二のパターニング工程後、さらに、該第二のパターニング工程と同様のパターニング工程を複数回繰り返して行ってもよい。すなわち、上記第二のパターニング工程でレジストパターンが形成された支持体上に、レジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成し、該レジスト膜を選択的に露光し、現像してレジストパターンを形成する操作を複数回行ってもよい。これにより、さらに狭ピッチのより密なパターンや複雑な形状のパターンを形成することができる。
本発明のレジストパターン形成方法においては、上記第二のパターニング工程後、形成されたレジストパターンをマスクとして用いて、支持体1(基板1a、反射防止膜1b)のエッチングを行ってもよい。支持体1をエッチングすることにより、半導体デバイス等を製造することができる。
エッチングの方法は、公知の方法が利用できる。たとえば有機膜(レジストパターン、有機系の反射防止膜等)のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、酸素プラズマエッチング、またはCFガスもしくはCHFガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが好ましい。
基板や無機系の反射防止膜のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングが好ましく、特にCFガス又はCHFガスを用いたエッチングが好ましい。
<ポジ型レジスト組成物>
ポジ型レジスト組成物、すなわち、第一のレジスト膜を形成するために用いられるポジ型レジスト組成物(以下、第一のポジ型レジスト組成物という。)、第二のレジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用いる場合の当該ポジ型レジスト組成物(以下、第二のポジ型レジスト組成物という。)としては、それぞれ、特に制限はなく、露光光源、リソグラフィー特性等に応じ、公知のポジ型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
ポジ型レジスト組成物は、非化学増幅型であってもよく、化学増幅型であってもよい。本発明においては、特に、化学増幅型のポジ型レジスト組成物が、レジストパターンを高感度、高解像性で形成できることから好ましい。
非化学増幅型ポジ型レジスト組成物としては、例えば、露光により基材成分中の主鎖が分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する主鎖分解型ポジ型レジスト組成物や、露光により基材成分の現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物を挙げることができる。具体例としては、たとえば、ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂を含有するものが挙げられる。
化学増幅型ポジ型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)が、有機溶剤(S)(以下、(S)成分という。)に溶解してなるものが一般的である。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000以下の低分子量の有機化合物(以下、低分子化合物という。)と、分子量が2000より大きい高分子量の樹脂(重合体)とに大別される。前記低分子化合物としては、通常、非重合体が用いられる。樹脂(重合体)の場合は、「分子量」としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000より大きい樹脂を示すものとする。
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物(A2)(以下、(A2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
[(A1)成分]
(A1)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
前記ベース樹脂として、具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有する樹脂の親水基を酸解離性溶解抑制基で保護したものが挙げられる。
親水基を有する樹脂としては、たとえば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン(PHS)やヒドロキシスチレン−スチレン共重合体等の、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を有する樹脂(PHS系樹脂)、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン又はα−低級アルキルヒドロキシスチレンのエチレン性2重結合が開裂して形成される構成単位である。「α−低級アルキルヒドロキシスチレン」は、フェニル基が結合する炭素原子に低級アルキル基が結合していることを示す。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
低級アルキル基は炭素数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、前記低級アルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
アクリル酸エステルから誘導される構成単位において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
本発明に用いられるポジ型レジスト組成物における(A1)成分としては、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するものが好ましい。
(A1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
・構成単位(a1)
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”−1)〜(a1”−6)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
Figure 0005075650
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示す。]
一般式(a1”−1)〜(a1”−6)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 0005075650
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは低級アルキル基または脂肪族環式基を表す。]
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005075650
[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
Yの低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 0005075650
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 0005075650
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
Figure 0005075650
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示し;Yはアルキレン基または脂肪族環式基を示す。]
一般式(a1−0−1)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
は、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
が炭素数1〜10のアルキレン基である場合、炭素数1〜6であることが更に好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005075650
[上記式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5の低級アルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yはアルキレン基または脂肪族環式基を表しnは0〜3の整数を表し;mは0または1を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
式中、X’は前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0005075650
Figure 0005075650
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Figure 0005075650
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Figure 0005075650
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Figure 0005075650
Figure 0005075650
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、一般式(a1−1)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−6)および(a1−1−35)〜(a1−1−41)なる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−35)〜(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
Figure 0005075650
(式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R11は低級アルキル基を示す。)
Figure 0005075650
(式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R12は低級アルキル基を示す。hは1〜3の整数を表す)
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R11の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a2)
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、共重合体(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005075650
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、R’は水素原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、前記R”は水素原子、または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキルキル基であり、mは0または1の整数であり、A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
Figure 0005075650
Figure 0005075650
Figure 0005075650
Figure 0005075650
Figure 0005075650
(A1)成分において、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−2−9)、(a2−2−10)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a3)
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、(a3−2)で表される構成単位、(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005075650
(式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
・構成単位(a4)
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 0005075650
(式中、Rは前記と同じである。)
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1)、(a2)および(a3)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
(A)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上2000以下であって、親水性基を有するとともに、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基XまたはX’を有する低分子化合物が好ましい。
具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部を、上記酸解離性溶解抑制基XまたはX’で置換したものが挙げられる。
(A2)成分は、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
なお、酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
<(B)成分>
(B)成分としては、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005075650
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R”〜R”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”は、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基(パーフルオロアルキル基)が、酸の強度が強くなるので好ましい。
”としては、直鎖状もしくは環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 0005075650
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 0005075650
[式中、R41〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
41〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R4”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部等が挙げられる。これらの中でも、フッ素化アルキルスルホン酸イオンが好ましく、炭素数1〜4のフッ素化アルキルスルホン酸イオンがより好ましく、炭素数1〜4の直鎖状のパーフルオロアルキルスルホン酸イオンが特に好ましい。具体例としては、トリフルオロメチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0005075650
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005075650
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0005075650
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0005075650
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<任意成分>
ポジ型レジスト組成物には、パターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは、炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンをいい、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
また、ポジ型レジスト組成物には、前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、また、パターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
ポジ型レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えば該レジスト組成物の塗布膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜含有させることができる。
[(S)成分]
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
具体例としては、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。更に、後述するアルコール系溶剤、フッ素系溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤等が挙げられる。
これらの中でも、第一のポジ型レジスト組成物に用いる(S)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい。これらの(S)成分は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と、極性溶媒との組み合わせが好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、1:9〜9:1の範囲内とすることが好ましく、2:8〜8:2の範囲内とすることがより好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
第二のポジ型レジスト組成物に用いる(S)成分としては、第二のポジ型レジスト組成物の基材を溶かし、かつ、第一のポジ型レジスト組成物の基材を溶かさない有機溶剤(S)を用いることが好ましい。
(S)成分が有機溶剤(S)を含有すると、上記第一のレジストパターンが形成された支持体上に、当該第二のポジ型レジスト組成物を塗布した際に、第一のレジストパターン形状が保たれ、レジストパターンを安定に形成することができる。
ここで、第一のポジ型レジスト組成物の基材を溶かさないとは、支持体上に第一のポジ型レジスト組成物を塗布し、乾燥させて、23℃条件下、膜厚0.2μmの第一のレジスト膜を形成し、これを有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても膜厚の変動が生じないことを示す。
有機溶剤(S)としては、下層側の第一のレジスト膜と相溶性を有さない溶剤であればいずれも使用可能である。
このような有機溶剤(S)として、具体的には、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤等が挙げられる。これらは1種または2種以上混合して用いることができる。
ここで、「アルコール系溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「フッ素系溶剤」とは、フッ素原子を含む化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「水酸基を有さないエーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、水酸基を有さず、かつ常温常圧下で液体である化合物である。該水酸基を有さないエーテル系有機溶剤は、さらに、水酸基に加えてカルボニル基も有さないことが好ましい。
アルコール系溶剤としては、1価アルコールがさらに好ましく、その中でも、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価アルコール、又は3価アルコール及びその誘導体は含まれない。
アルコール系溶剤の沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
アルコール系溶剤の具体例としては、n−ペンチルアルコール(沸点138.0℃)、s−ペンチルアルコール(沸点119.3℃)、t−ペンチルアルコール(101.8℃)、イソペンチルアルコール(沸点130.8℃)、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも呼ぶ)(沸点107.9℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.3℃)、2−エチルブタノール(沸点147℃)、ネオペンチルアルコール(沸点114℃)、n−ブタノール(沸点117.7℃)、s−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.5℃)、1−プロパノール(沸点97.2℃)、n−ヘキサノール(沸点157.1℃)、2−ヘプタノール(沸点160.4℃)、3−ヘプタノール(沸点156.2℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128.0℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点112.0℃)、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃)等が挙げられる。特に(S1’)成分を含有することによる効果が良好であることから、イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール、n−ブタノール等が好適である。その中でもイソブタノール、n−ブタノールが好ましく、イソブタノールが最も好ましい。
フッ素系溶剤としてはパーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、下記一般式(s1’−1)で表される化合物が好適なものとして挙げられる。
40−O−R41 …(s1’−1)
[式中、R40、R41はそれぞれ独立して炭化水素基である。または、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。−O−はエーテル結合を示す。]
前記式中、R40、R41の炭化水素基としては、たとえばアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。なかでも、R40、R41のいずれもアルキル基であることが好ましく、R40とR41とが同じアルキル基であることがより好ましい。
40、R41の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、ネガ型レジスト組成物の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
40、R41の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。
40およびR41は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R40の末端と、R41の末端とが結合して環を形成する。また、アルキレン基の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。
かかるエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の沸点(常圧下)は、30〜300℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。該温度範囲の下限値以上であることにより、ネガ型レジスト組成物の塗布時のスピンコート中、(S’)成分が蒸発しにくくなって塗布ムラが抑制され、塗布性が向上する。一方、上限値以下であることにより、プリベークによって(S’)成分がレジスト膜中から充分に除かれ、第二のレジスト膜の形成性が向上する。また、該温度範囲であると、レジストパターンの膜減り低減効果、保存時の組成の安定性がより向上する。また、PAB工程やPEB工程の加熱温度の観点からも好ましい。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点171℃)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、レジストパターンの膜減り低減効果が良好なことから、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤であることが好ましく、なかでも1,8−シネオール、ジブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
有機溶剤(S)としては、塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点から、アルコール系溶剤が好ましい。すなわち、(S)成分は、アルコール系溶剤を含むことが好ましい。
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
(S)成分の使用量は特に限定されない。通常、化学増幅型レジスト組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
<ネガ型レジスト組成物>
第二のレジスト組成物としてネガ型レジスト組成物を用いる場合、当該ネガ型レジスト組成物としては、特に制限はなく、露光光源、リソグラフィー特性等に応じ、公知のネガ型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
ネガ型レジスト組成物は、非化学増幅型であってもよく、化学増幅型であってもよい。本発明においては、特に、化学増幅型のネガ型レジスト組成物が、レジストパターンを高感度、高解像性で形成できることから好ましい。
化学増幅型のネガ型レジスト組成物としては、アルカリ現像液に可溶性の樹脂(アルカリ可溶性樹脂)成分(A’)(以下、(A’)成分という。)、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)成分(以下、(B’)成分という。)および架橋剤成分(C’)(以下、(C’)成分という。)を有機溶剤(S’)(以下、(S’)成分という。)に溶解してなるものが一般的である。
かかるネガ型レジスト組成物においては、露光により(B’)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により(A’)成分と(C’)成分との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して可溶性から、アルカリ現像液に対して不溶性へと変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を、基板等の支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して不溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
<(A’)成分>
(A’)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ネガ型レジスト組成物、ArF用ネガ型レジスト組成物等のアルカリ可溶性樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有するノボラック樹脂、PHS系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるネガ型レジスト組成物における(A’)成分としては、フッ素化されたヒドロキシアルキル基(たとえば後述する一般式(a1’−1−1)で表される基等)を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
(A’)成分の好適なものとして、具体的には、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1’)を含む樹脂(A1’)が挙げられる。
また、樹脂(A1’)以外の、(A’)成分の好適なものとしては、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位と、好ましくは、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位および/または環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位を有する樹脂(A2’)が挙げられる。
[樹脂(A1’)]
樹脂(A1’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1’)を含む。
また、当該樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)に加えて、さらに、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2’)(以下、構成単位(a2’)と略記する。)を有することが好ましい。
・構成単位(a1’)
構成単位(a1’)において、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に、フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合した基を意味する。
また、「脂肪族環式基を主鎖に有する」とは、該脂肪族環式基の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が、樹脂(A1’)の主鎖を構成することを意味する。
本発明においては、(A’)成分が、係る構成単位(a1’)を含む樹脂(A1’)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が高まって、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、脂肪族環式基(たとえば、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造など)を主鎖に有することにより、炭素密度が高まってエッチング耐性も向上する。
ここで、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基において、当該ヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子の一部または全部がフッ素原子によって置換されているものである。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基においては、フッ素化によって、ヒドロキシ基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。該アルキル基の炭素数は、特に限定するものではないが、1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、4〜12であることが最も好ましい。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基におけるヒドロキシ基の数は、特に限定するものではないが、1つであることが好ましい。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシ基が結合した炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す。)に、フッ素化アルキル基および/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。
ここで、当該α位に結合するフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。また、該フッ素化アルキル基のアルキル基としては、炭素数が1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1がより好ましい。
「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」における脂肪族環式基は、単環式基であっても多環式基であってもよい。構成単位(a1’)において、脂肪族環式基は、エッチング耐性等に優れることから、多環であることが好ましい。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)、および該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等が含まれる。これらの脂肪族環式基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
ここで、「置換基を有する」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の原子または基)で置換されていることを意味する。本発明において、脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
単環式基としては、シクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な脂肪族環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のホトレジスト組成物用樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、工業上入手しやすいことから、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
これら例示した脂環式基の中でも、後述する構成単位(a1’−1)のように、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンから3個の水素原子を除いた基が好ましく、特にノルボルナンから3個の水素原子を除いた基が好ましい。
構成単位(a1’)としては、下記一般式(a1’−1)で表される構成単位(a1’−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a1’−1)を有することにより、特にアルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、解像性等のリソグラフィー特性も向上する。
Figure 0005075650
[式中、Zはフッ素化されたヒドロキシアルキル基であり、rは0または1である。]
式(a1’−1)中、rは0または1であり、工業上入手が容易であることから、0であることが好ましい。
また、式(a1’−1)中、Zで表される「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」は、上述と同様のものが挙げられる。
なかでも、Zとしては、下記一般式(a1’−1−1)で表される基であることが、レジストパターン形状に優れ、ラインエッジラフネス(LER)等が低減されることから好ましい。なお、「ラインエッジラフネス(LER)」とは、ライン側壁の不均一な凹凸のことをいう。
Figure 0005075650
[式中、R11”,R12”はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基であり、m”,n”はそれぞれ独立して1〜5の整数であり、qは1〜5の整数である。]
式(a1’−1−1)中、R11”,R12”は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。
低級アルキル基としては、炭素数5以下の直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
なかでも、R11”,R12”が共に水素原子であることが好ましい。
qは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、最も好ましくは1である。
m”およびn”は、それぞれ独立して1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。特に、合成上の面において優れていることから、m”およびn”が1であることが好ましい。
構成単位(a1’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)中、構成単位(a1’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、50〜90モル%が好ましく、55〜90モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a1’)を含有することによる効果が向上し、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・構成単位(a2’)
樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)に加えて、さらにヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2’)を含むことが好ましい。
本発明においては、(A’)成分が、係る構成単位(a2’)を含む樹脂(A1’)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、(C’)成分との架橋性が高まり、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(コントラスト)が大きくなって、ネガ型レジストとしてより充分に機能することができる。
係る構成単位(a2’)としては、たとえば、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a210’)(以下、構成単位(a210’)と略記する。)、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a220’)(以下、構成単位(a220’)と略記する。)等が好ましく用いられる。
これら構成単位(a2’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
・・構成単位(a210’)
本発明において、構成単位(a210’)は、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位である。
構成単位(a210’)としては、前記構成単位(a1’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」において、フッ素化されていないヒドロキシアルキル基、すなわちアルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子がフッ素原子によって置換されていない以外は、前記構成単位(a1’)と同様の構成単位が好適なものとして挙げられる。
構成単位(a210’)としては、下記一般式(a2’−1)で表される構成単位(a2’−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a2’−1)を有することにより、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、良好なコントラストが得られやすく、エッチング耐性も向上する。
Figure 0005075650
[式中、R”,R”はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基であり、Yは水素原子またはヒドロキシアルキル基であり、rは0または1であり、pは1〜3の整数である。]
前記一般式(a2’−1)で表される構成単位(a2’−1)は、ヒドロキシアルキル基を有するノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造を主鎖に有する構成単位である。
式(a2’−1)中、R”,R”は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。低級アルキル基としては、前記式(a1’−1−1)中のR11”,R12”で表される低級アルキル基と同様のものが挙げられる。なかでも、R”,R”が共に水素原子であることが好ましい。
Yは、水素原子またはヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基としては、好ましくは炭素数が10以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは炭素数8以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状の低級ヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基における水酸基の数と結合位置は、特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
Yとしては、特に水素原子が好ましい。
rは0または1であり、0が好ましい。
pは1〜3の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a2’−1)の具体例としては、下記化学式(a2’−1−1)〜(a2’−1−7)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005075650
これらの中でも、上記化学式(a2’−1−1)、(a2’−1−2)、(a2’−1−3)が好ましい。
構成単位(a210’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)中、構成単位(a210’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、20〜45モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより、アルカリ溶解性が向上し、良好なコントラストが得られやすくなる等の構成単位(a210’)を含有することによる効果が向上する。他方、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・・構成単位(a220’)
構成単位(a220’)は、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
水酸基含有アルキル基は、水酸基含有環状アルキル基と水酸基含有鎖状アルキル基とに大別できる。
構成単位(a220’)が水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位(以下、構成単位(a221’)と略記する。)の場合、レジストパターンの膨潤抑制効果が高くなる。また、解像性も向上する。さらに、良好なコントラストやエッチング耐性も得られやすくなる。
構成単位(a221’)としては、たとえば、後述の樹脂(A2’)を構成する「水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a22’)」についての説明において例示する構成単位のうち、脂肪族環式基が飽和炭化水素基であるものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのα位に結合している置換基が、フッ素原子、フッ素化アルキル基であるものがより好ましく、フッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)であるものが最も好ましい。
構成単位(a220’)が水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位(以下、構成単位(a222’)と略記する。)の場合、(A’)成分全体の親水性が高くなってアルカリ現像液に対する溶解性が高まり、解像性が向上する。また、レジストパターン形成時の架橋反応の制御性が良好となり、パターン形状や解像性が向上する。さらに、膜密度が向上する傾向があり、これにより、エッチング時の膜減りが抑制でき、耐熱性も向上する傾向がある。
構成単位(a222’)としては、たとえば、後述の樹脂(A2’)を構成する「環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a23’)」についての説明において例示する構成単位のうち、ヒドロキシアルキル基を有するものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのエステル部にヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、そのなかでもアクリル酸エステルのα位に結合している置換基がフッ素原子、フッ素化アルキル基であるものがより好ましく、フッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)であるものが最も好ましい。
構成単位(a220’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)中、構成単位(a220’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a220’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
構成単位(a220’)が、前記構成単位(a221’)と前記構成単位(a222’)との両方を含む場合、両者の混合割合はモル比で、構成単位(a221’):構成単位(a222’)=9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがより好ましく、6:4〜7:3であることがさらに好ましい。
構成単位(a221’)と構成単位(a222’)とを、前記混合割合でバランスよく配合することによって良好な露光余裕度が得られる。また、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。さらに、エッチング耐性も向上する。
・他の構成単位
本発明に用いられるネガ型レジスト組成物において、樹脂(A1’)は、前記の各構成単位(a1’)、(a2’)以外の構成単位として、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の(A’)成分に用いられている構成単位を適宜用いることができる。
本発明においては、樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)の合計が、当該樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、70モル%以上を占めることを意味し、好ましくは80モル%以上である。中でも好ましいのは、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)からなる樹脂である。
本発明において、樹脂(A1’)における構成単位(a1’)と構成単位(a2’)との組み合わせとしては、構成単位(a1’)と構成単位(a210’)との組み合わせが好ましい。当該組合せの一例として、下記化学式(A1’−1)〜(A1’−4)が挙げられる。
Figure 0005075650
樹脂(A1’)の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算値)は2000〜10000であることが好ましく、3000〜6000であることがさらに好ましく、3000〜5000であることが特に好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより良好なコントラストを得ることができ、上限値以下であることによりレジストパターンの膨潤を抑制することができる。その結果、解像性が向上する。また、パターンの膨潤を抑制できることから、焦点深度幅(DOF)特性の向上効果や、ラインエッジラフネス(LER)の抑制効果を得ることができる。また、上記質量平均分子量をこの範囲とすることは、レジストパターンの膨潤抑制効果も高い点から好ましい。質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがさらに好ましい。
(A’)成分において樹脂(A1’)を用いる場合、上記樹脂(A1’)の1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)を用いる場合、(A’)成分中に含まれる樹脂(A1’)の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
[樹脂(A2’)]
樹脂(A2’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(以下、構成単位(a21’)と略記する。)を有する。
また、当該樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加え、好ましくは、さらに、水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、構成単位(a22’)と略記する。)を有する。
また、当該樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加え、または、構成単位(a21’)と構成単位(a22’)とに加え、好ましくは、さらに、環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(以下、構成単位(a23’)と略記する。)を有する。
・構成単位(a21’)
構成単位(a21’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位である。構成単位(a21’)を含むことにより、アリカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、レジストの膨潤が抑制されて、パターン形状やLWR等のリソグラフィー特性が向上する。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基は、前記構成単位(a1’)のものと同様であり、脂肪族環式基(フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合する前の状態)としては、なかでもシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
構成単位(a21’)は、アクリル酸から誘導される構成単位であることが好ましく、特に、アクリル酸エステルのカルボニルオキシ基[−C(O)O−]の酸素原子(−O−)に上記脂肪族環式基が結合した構造(アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が上記脂肪族環式基で置換されている構造)が好ましい。
構成単位(a21’)として、より具体的には、下記一般式(1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005075650
[式中、R’は水素原子、アルキル基又はハロゲン化アルキル基であり;s、t、t’はそれぞれ独立して1〜5の整数である。]
式(1)中、R’は水素原子、アルキル基又はハロゲン化アルキル基である。
R’のアルキル基としては、炭素数5以下の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
R’のハロゲン化アルキル基は、好ましくは炭素数5以下の低級アルキル基の水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置換された基である。アルキル基の具体例は、上記の説明と同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。ハロゲン原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
本発明においてR’は、好ましくは水素原子またはアルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
sは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
tは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
t’は1〜3の整数であり、好ましくは1〜2の整数であり、1が最も好ましい。
前記一般式(1)で表される構成単位においては、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a21’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)中、構成単位(a21’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましく、40〜90モル%が特に好ましく、45〜85モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a21’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
・構成単位(a22’)
樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加えて、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a22’)を有することが好ましい。係る構成単位(a22’)を含む樹脂(A2’)をネガ型レジスト組成物に配合すると、この構成単位(a22’)の水酸基(アルコール性水酸基)が、(B’)成分から発生する酸の作用によって(C’)成分と反応し、これにより樹脂(A2’)がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化する。
「水酸基含有脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基に水酸基が結合している基である。
脂肪族環式基に結合している水酸基の数は、1〜3個が好ましく、さらに好ましくは1個である。
脂肪族環式基は、単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基であることが好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂肪族環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基(水酸基が結合する前の状態)の具体例としては、上記構成単位(a21’)の脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
構成単位(a22’)の脂肪族環式基としては、なかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすいことから、好ましい。そのなかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
脂肪族環式基には、水酸基以外に、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が結合していてもよい。
構成単位(a22’)において、水酸基含有脂肪族環式基は、アクリル酸エステルのエステル基(−C(O)O−)に結合していることが好ましい。
この場合、構成単位(a22’)において、アクリル酸エステルのα位(α位の炭素原子)には、水素原子に代わって、他の置換基が結合していてもよい。置換基としては、好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。
これらの説明は、上記構成単位(a21’)の一般式(1)中のR’の説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいものは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいものは水素原子である。
構成単位(a22’)の具体例として、例えば下記一般式(2)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005075650
[式中、R’は前記と同じであり;R”は水素原子、アルキル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基であり;r’は1〜3の整数である。]
式(2)中、R’は、上記一般式(1)中のRの説明と同様である。
R”のアルキル基は、R’のアルキル基と同じである。
前記一般式(2)において、R’、R”は水素原子であることが最も好ましい。
r’は1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
水酸基の結合位置は、特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に結合していることが好ましい。
構成単位(a22’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)中、構成単位(a22’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a22)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
・構成単位(a23’)
樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加えて、または、構成単位(a21’)および構成単位(a22’)に加えて、さらに、環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a23’)を有することが好ましい。
構成単位(a23’)を含む樹脂(A2’)をネガ型レジスト組成物に配合すると、構成単位(a23’)のアルコール性水酸基が、前記構成単位(a22’)の水酸基とともに、(B’)成分から発生する酸の作用によって(C’)成分と反応する。そのため、樹脂(A2’)が、アルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化しやすくなり、解像性等のリソグラフィー特性向上の効果が得られる。また、膜減りが抑制できる。また、パターン形成時の架橋反応の制御性が良好となる。さらに、膜密度が向上する傾向がある。これにより、耐熱性が向上する傾向がある。さらにはエッチング耐性も向上する。
構成単位(a23’)において、「環式構造を有さない」とは、脂肪族環式基や芳香族基を有さないことを意味する。
構成単位(a23’)は、環式構造を有さないことにより、前記構成単位(a22’)と明らかに区別される。
側鎖にアルコール性水酸基を有する構成単位としては、例えば、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、上記構成単位(a21’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」におけるヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基は、例えば主鎖(アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂した部分)のα位の炭素原子に直接結合していてもよいし、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換してエステルを構成していてもよい。
構成単位(a23’)においては、これらのうち少なくとも一方または両方が存在していることが好ましい。
なお、α位にヒドロキシアルキル基が結合していない場合、α位の炭素原子には、水素原子に代わって、アルキル基またはハロゲン化アルキル基が結合していてもよい。これらについては、一般式(1)中のR’の説明と同様である。
構成単位(23’)としては、下記一般式(3)で表される構成単位(a23’)が好ましい。
Figure 0005075650
[式中、R”は水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R”は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基であり、かつR”、R”の少なくとも一方はヒドロキシアルキル基である。]
”におけるヒドロキシアルキル基は、好ましくは炭素数が10以下のヒドロキシアルキル基であり、直鎖状、分岐鎖状であることが望ましく、更に好ましくは炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基であり、最も好ましくはヒドロキシメチル基またはヒドロキシエチル基である。
水酸基の数、結合位置は、特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
”におけるアルキル基は、好ましくは炭素数が10以下のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基であり、最も好ましくはエチル基、メチル基である。
”におけるハロゲン化アルキル基は、好ましくは、炭素数が5以下の低級アルキル基(好ましくはエチル基、メチル基)において、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
”におけるアルキル基、ヒドロキシアルキル基としては、R”のアルキル基、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
一般式(3)で表される構成単位として、具体的には、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸から誘導される構成単位(ただし、ここではアクリル酸エステルから誘導される構成単位は含まない。)、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位が挙げられる。
これらの中で、構成単位(a23’)が、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、膜密度の向上の点から好ましく、中でも(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸エチルエステルまたは(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸メチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a23’)が、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、架橋効率の点で好ましい。中でも、α−メチル−アクリル酸ヒドロキシエチルエステルまたはα−メチル−アクリル酸ヒドロキシメチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a23’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)中、構成単位(a23’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜30モル%が特に好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a23’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・他の構成単位
樹脂(A2’)は、前記の各構成単位(a21’)〜(a23’)以外の構成単位として、共重合可能な他の構成単位を有していてもよい。
かかる構成単位としては、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の樹脂成分に用いられている構成単位が使用でき、たとえば、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a24’)が挙げられる。
構成単位(a24’)としては、上記ポジ型レジスト組成物の(A)成分における構成単位(a2)の説明において例示する構成単位と同様のものが挙げられる。
構成単位(a24’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
構成単位(a24’)を樹脂(A2’)に含有させる場合、樹脂(A2’)中の構成単位(a24’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a24)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
本発明においては、樹脂(A2’)は、特に構成単位(a21’)〜(a23’)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、構成単位(a21’)〜(a23’)の合計が50モル%以上を占めることを意味し、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上である。最も好ましくは100モル%である。すなわち樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)、構成単位(a22’)および構成単位(a23’)からなる樹脂であることが最も好ましい。
樹脂(A2’)としては、特に下記式(A2'−1)の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
Figure 0005075650
[式中、R’は前記と同じである。]
樹脂(A2’)の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算値)は、好ましくは2000〜30000であり、より好ましくは2000〜10000であり、さらに好ましくは3000〜8000である。この範囲とすることにより、アルカリ現像液に対する良好な溶解速度が得られ、高解像性の点からも好ましい。当該質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。
(A’)成分においては、樹脂(A2’)を用いる場合、上記樹脂(A2’)の1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)を用いる場合、(A’)成分中に含まれる樹脂(A2’)の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
樹脂(A1’)、樹脂(A2’)等の(A’)成分は、例えば各構成単位を誘導するモノマーを常法によりラジカル重合する方法、国際公開第2004/076495号パンフレットに記載の方法等により合成することができる。
また、(A’)成分は、樹脂(A1’)、樹脂(A2’)以外に、従来のネガ型レジスト組成物に用いられている他の高分子化合物(ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂など)等を用いることもできる。
ネガ型レジスト組成物中の(A’)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
<(B’)成分>
(B’)成分としては、特に限定されず、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(B’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(B)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(B’)成分は、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B’)成分の使用量は、(A’)成分100質量部に対し、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部とされる。上記範囲の下限値以上とすることにより充分なパターン形成が行われ、上記範囲の上限値以下であれば溶液の均一性が得られやすく、良好な保存安定性が得られる。
<(C’)成分>
(C’)成分は、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
また、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤という。
(C’)成分としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤およびグリコールウリル系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、メラミンとホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
尿素系架橋剤としては、尿素とホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、尿素とホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもビスメトキシメチル尿素が好ましい。
アルキレン尿素系架橋剤としては、たとえば下記一般式(c1’−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005075650
[式中のR’とR’はそれぞれ独立に水酸基又は低級アルコキシ基であり、R’とR’はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基であり、vは0又は1〜2の整数である。]
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
vは0又は1〜2の整数であり、好ましくは0または1である。
アルキレン尿素系架橋剤としては、特に、vが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはvが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
上記一般式(c1’−1)で表される化合物は、アルキレン尿素とホルマリンを縮合反応させることにより、またこの生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
アルキレン尿素系架橋剤の具体例としては、例えば、モノ及び/又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化エチレン尿素等のエチレン尿素系架橋剤;モノ及び/又はジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化プロピレン尿素等のプロピレン尿素系架橋剤;1,3−ジ(メトキシメチル)4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリジノンなどを挙げられる。
グリコールウリル系架橋剤としては、N位がヒドロキシアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシアルキル基の一方又は両方で置換されたグリコールウリル誘導体が挙げられる。かかるグリコールウリル誘導体は、グリコールウリルとホルマリンとを縮合反応させることにより、またこの生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
(C’)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C’)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が最も好ましい。(C’)成分の含有量が下限値以上であると、架橋形成が充分に進行し、膨潤の少ない良好なレジストパターンが得られる。また、この上限値以下であると、レジスト塗布液の保存安定性が良好であり、感度の経時的劣化が抑制される。
<(S’)成分>
(S’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(S)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明においては、特に、(S’)成分として、当該ネガ型レジスト組成物の基材を溶かし、かつ、前記第一のポジ型レジスト組成物の基材を溶かさない有機溶剤(S’)を用いることが好ましい。
この様な有機溶剤(S’)としては、前記ポジ型レジスト組成物の(S)成分で挙げた有機溶剤(S)と同様のものが挙げられる。
(S’)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
(S’)成分全体の使用量は特に限定されず、当該ネガ型レジスト組成物が、第一のレジストパターンが形成された支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
<任意成分>
ネガ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D’)(以下、(D’)成分という。)を含有することが好ましい。
(D’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(D)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(D’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
ネガ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E’)(以下、(E’)成分という。)を含有させることができる。
(E’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(E)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(E’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
ネガ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
<有機膜形成用材料>
前記第一のパターニング工程で用いられる支持体1において、基板1aと反射防止膜1bとの間に有機膜を設ける場合、該有機膜を形成するための有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、電子線や光に対する感受性を必ずしも必要とするものではない。半導体素子や液晶表示素子の製造において、一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、レジストパターンを用いて有機膜をエッチングすることにより、レジストパターンを有機膜へ転写し、有機膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。
このような有機膜形成用材料として、ノボラック樹脂、アクリル樹脂及び可溶性ポリイミドからなる群から選択される少なくとも一種の樹脂成分を含むものが挙げられる。
これらの材料は、酸素プラズマエッチング等のエッチングを行いやすいと同時に、フッ化炭素系ガスに対する耐性が強く、本発明において好適である。すなわち一般に、基板等のエッチングはフッ化炭素系ガス等のハロゲンガスを用いて行われるので、この様な材料から有機膜を構成することにより、有機膜パターンを形成する際に酸素プラズマエッチングを用いて加工性を向上させるとともに、基板等をエッチングするフッ化炭素系ガス等のハロゲンガスを用いた後工程においては、耐エッチング性を向上させることができる。
これらの樹脂成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の中でも、ノボラック樹脂、及び側鎖に脂環式部位又は芳香族環を有するアクリル樹脂は、安価で汎用的に用いられ、フッ化炭素系ガスを用いたドライエッチングに対する耐性に優れるので、好ましく用いられる。
ノボラック樹脂としては、たとえばポジ型レジスト組成物に一般的に用いられているものが使用可能であるし、ノボラック樹脂を主成分として含むi線やg線用のポジ型レジストも使用可能である。
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
フェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
付加縮合反応時の触媒は、特に限定されるものではないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等が使用される。
ノボラック樹脂は、市販されているものを使用することもできる。
ノボラック樹脂の質量平均分子量(Mw)の下限値としては、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、6000以上がより好ましく、7000以上がさらに好ましい。上限値としては、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、10000以下がさらに好ましく、9000以下が最も好ましい。
Mwが3000以上であると、高温でベークしたときに昇華しにくく、装置等が汚染されにくい。また、Mwを5000以上とすることにより、フッ化炭素系ガス等に対する耐エッチング性が優れるので好ましい。
また、Mwが50000以下であると、微細な凹凸を有する基板に対する良好な埋め込み特性が優れ、特に10000以下であると、ドライエッチングしやすい傾向があり、好ましい。
ノボラック樹脂としては、特に、Mwが5000〜50000、好ましくは8000〜30000であり、かつ分子量500以下の低核体、好ましくは200以下の低核体の含有量が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法において1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下であるノボラック樹脂が好ましい。低核体の含有量は、少ないほど好ましく、望ましくは0質量%である。
上記範囲内のMwを有するノボラック樹脂において、分子量500以下の低核体の含有量が1質量%以下であることにより、微細な凹凸を有する基板に対する埋め込み特性が良好になる。低核体の含有量が低減されていることにより埋め込み特性が良好になる理由は明らかではないが、分散度が小さくなるためと推測される。
ここで、「分子量500以下の低核体」とは、ポリスチレンを標準としてGPC法により分析した際に分子量500以下の低分子フラクションとして検出されるものである。
「分子量500以下の低核体」には、重合しなかったモノマーや、重合度の低いもの、例えば、分子量によっても異なるが、フェノール類2〜5分子がアルデヒド類と縮合したものなどが含まれる。
分子量500以下の低核体の含有量(質量%)は、このGPC法による分析結果を、横軸にフラクション番号、縦軸に濃度をとってグラフとし、全曲線下面積に対する、分子量500以下の低分子フラクションの曲線下面積の割合(%)を求めることにより測定される。
アクリル樹脂としては、ポジ型レジスト組成物に一般的に用いられているものが使用可能であり、例えば、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位と、カルボキシ基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含有するアクリル樹脂を挙げることができる。
エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができる。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの一方あるいは両方を示す。
カルボキシ基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシ基及びエステル結合を有する化合物等を例示することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
可溶性ポリイミドとは、有機溶剤により液状にできるポリイミドである。
有機膜形成用材料には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えば有機膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜含有させることができる。
有機膜形成用材料は、上述した樹脂成分等の材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。有機溶剤としては、上述した化学増幅型レジスト組成物の有機溶剤についての説明において例示したものと同様のものを用いることができる。
上記本発明のレジストパターン形成方法によれば、表面に反射防止膜が形成された支持体上に、第一のレジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用いるダブルパターニングプロセスにより良好なレジストパターンを形成できる。
すなわち、従来のダブルパターニングプロセスにおいては、支持体上にポジ型レジスト組成物を用いて第一のレジストパターンを形成し、その上にさらに第二のレジスト組成物を塗布する。このとき、支持体として表面に反射防止膜が形成されたものを用いた場合、第一のレジストパターン形成時の現像等の処理により支持体表面の表面物性が変化(たとえば親水性が向上)し、この表面物性が、通常の乾燥処理(振り切り乾燥、ポストベーク等)を行ってもあまり元の状態に回復せず、パターンの形成不良(ネッキング、パターン倒れ)やパターンの消滅等を引き起こしていたと推測される。たとえば親水性が高まることで、第二のレジスト膜を形成した際、該レジスト膜との密着性が低下し、第二のレジスト膜の現像時にレジストと支持体との界面に現像液が浸透しやすくなる。そのため、たとえば第二のレジスト組成物がネガ型の場合、たとえパターンが形成されたとしても、支持体との界面部分が現像液に溶解し、ネッキングやパターン倒れ、パターンの剥離、消滅等が生じていたと推測される。本発明のレジストパターン形成方法においては、第一のレジストパターンを形成した後、疎水化処理を施すことにより、上記問題が改善されると推測される。
以下、本発明を、実施例を示して説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記実施例1〜4および比較例1において、ポジ型レジスト組成物としては東京応化工業(株)製の「TArF−P6239」を用いた。
下記実施例1〜4および比較例1において、ネガ型レジスト組成物としては東京応化工業(株)製の「TArF−N027」を用いた。
[実施例1〜4、比較例1]
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、前記ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、該第一のレジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S306(製品名、ニコン社製、NA(開口数)=0.78,σ Dipole Y)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(バイナリーマスク)を介して選択的に照射した(露光量:32.0mJ/cm)。その後、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。これにより、ライン幅80nm、ピッチ320nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)が形成された支持体を得た。
次に、前記支持体に対し、実施例1〜4ではそれぞれ、表1に示す処理条件(温度(℃)および時間(秒(s)))で疎水化処理(100℃超のベーク処理またはHMDS処理)を施した。HMDS処理については、東京応化工業(株)製の「OMP」を塗布して表1に示す条件で処理を行った。
比較例1では、疎水化処理は行わず、100℃60秒でのベーク処理を行った。
また、上記ベーク処理またはHMDS処理が接触角に与える影響を見るために、別途、上記と同様にして第一のレジスト膜を形成し、露光量:32.0mJ/cmにてオープンフレーム露光(マスクを介さない露光)を行い、続いて、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。このとき、支持体上には第一のレジスト膜が残存していなかった。
その後、当該支持体に対し、表1に示す各ベーク処理またはHMDS処理を施した。該処理後の支持体表面の接触角(静的接触角)を、下記の手順で測定した。測定結果を表1にしめす。
(接触角の測定方法)
支持体を水平に設置し、その表面に水2μLを滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて接触角を測定した。
また、対照として、ポジ型レジスト組成物を塗布する前の支持体表面(有機系反射防止膜表面)の接触角を上記と同様にして測定したところ、該接触角は63.0°であった。
Figure 0005075650
次に、前記L/Sパターンが形成された支持体上に、それぞれ、前記ネガ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚160nmのレジスト膜(第二のレジスト膜)を形成した。
次に、該第二のレジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S306(製品名、ニコン社製、NA(開口数)=0.78,σ Dipole Y)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(バイナリーマスク)を介して選択的に照射した(露光量:14.0mJ/cm)。その後、90℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
上記処理後の基板表面を、測長SEM(日立製作所社製、商品名:S−9220)により観察した。
その結果、実施例1〜4では、第一のレジスト膜に形成したL/Sパターンのライン間に、それぞれ、第二のレジスト膜に由来するラインが形成されており、結果として、支持体上に、ライン幅80nm、ピッチ約160nmのL/Sパターンが形成されていた。また、各ラインの断面形状は、矩形性が高く、良好であった。
一方、比較例1では、支持体上にパターンが存在していなかった。
本発明のレジストパターン形成方法の好ましい実施態様を説明する概略工程図である。
符号の説明
1…支持体、1a…基板、1b…反射防止膜、2…第一のレジスト膜、3…第一のレジストパターン、6…第二のレジスト膜、7…第二のレジストパターン。

Claims (4)

  1. 表面に反射防止膜が形成された支持体の前記反射防止膜上に、ポジ型レジスト組成物(ただし、架橋剤を含有するものを除く)を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を選択的に露光し、現像して第一のレジストパターンを形成する第一のパターニング工程と、
    前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体表面の疎水化処理を行う疎水化処理工程と、
    前記疎水化処理工程後の前記支持体上に、第二のレジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成し、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、現像してレジストパターンを形成する第二のパターニング工程と
    を有することを特徴とするレジストパターン形成方法。
  2. 前記疎水化処理として、ヘキサメチルジシラザン処理を行う請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
  3. 前記疎水化処理として、100℃超の温度でのベーク処理を行う請求項1または2に記載のレジストパターン形成方法。
  4. 前記第二のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
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