JP5222638B2 - レジストパターン形成方法 - Google Patents
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微細パターンは、通常、有機材料からなり、例えばリソグラフィー法やナノインプリント法等の技術によって形成される。たとえばリソグラフィー法においては、基板等の支持体の上に、露光により現像液に対する溶解性が変化するレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。そして、上記レジストパターンをマスクとして、基板をエッチングにより加工する工程を経て半導体素子等が製造される。
露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が低下するレジスト材料をネガ型という。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。化学増幅型レジスト組成物には、通常、前記酸発生剤とともに、該酸発生剤から発生した酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分が配合されており、たとえばポジ型の化学増幅型レジストの基材成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。また、化学増幅型レジスト組成物の基材成分としては主に樹脂が用いられている。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
このダブルパターニングプロセスでは、たとえば、支持体上に第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜をパターニングすることにより複数のレジストパターンを形成した後、その上に第二のレジスト材料を塗布して前記複数のレジストパターン間に第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜をパターニングすることにより、1回のパターニングで形成されるレジストパターンよりも高解像性のレジストパターンが形成できると考えられる。
しかし、上述のようなダブルパターニングプロセスにおいて、レジスト材料として化学増幅型レジスト組成物を用いた場合、特に、第一のレジスト膜に用いられる化学増幅型レジスト組成物がポジ型である場合、2回目のパターニングを行った際に第一のレジスト膜に形成したレジストパターン(第一のレジストパターン)が損なわれやすい問題がある。たとえば第一のパターンの形状の変化(高さの減少(膜減り)、ラインパターンのライン幅の減少(パターン細り)等)が生じたり、第一のパターンそのものが消滅する等の問題がある。このような問題は、第一のレジスト膜が薄膜化するほど、または第一のレジスト膜に形成しようとするレジストパターンの寸法が微細化するほど生じやすい。
上記のようなレジストパターン形状の不良を防ぐため、1回目のパターニング後に、例えばフリージング材を用いて第一のレジストパターンを保護する技法もあるが(非特許文献4)、当該技法はスループット向上の点で好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、支持体上に、ポジ型の第一の化学増幅型レジスト組成物を用いて1回目のパターニングを行い、第一のレジストパターンを形成した後、その上にさらに第二の化学増幅型レジスト組成物を用いて2回目のパターニングを行うダブルパターニングプロセスにおいて、第一のレジストパターンを損なうことなく2回目のパターニングを実施でき、微細なレジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二の化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成し、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、露光後ベーク処理を施し、現像してレジストパターンを形成する第二のパターニング工程とを有し、
前記第一の化学増幅型レジスト組成物および前記第二の化学増幅型レジスト組成物がそれぞれ、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であり、
前記第二のパターニング工程における露光後ベーク処理が、前記第一のレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度で行われ、
前記第二のパターニング工程における露光後ベーク処理のベーク温度と、前記第一のパターニング工程における露光後ベーク処理のベーク温度との差が5℃以上であることを特徴とする。
「構成単位」とは、樹脂成分(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
本発明のレジストパターン形成方法は、化学増幅型レジスト組成物を用いる方法である。
化学増幅型レジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分を必須の成分として含有するものであり、露光により酸発生剤成分から酸が発生すると、該酸の作用により、当該化学増幅型レジスト組成物全体のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する。たとえばポジ型の化学増幅型レジスト組成物の場合、一般的に、酸解離性溶解抑制基を有する化合物(たとえば後述する(A)成分)が配合されており、露光により前記酸発生剤成分から酸が発生すると、該酸の作用により当該化合物から酸解離性溶解抑制基が解離する。この酸解離性溶解抑制基は、解離前は当該化合物全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸発生剤成分から発生した酸により解離する性質を有する基であり、この酸解離性溶解抑制基が解離することで、当該化合物のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。また、ネガ型の化学増幅型レジスト組成物の場合、一般的に、アルカリ現像液に可溶性の樹脂(アルカリ可溶性樹脂)と架橋剤とが配合されており、露光により前記酸発生剤成分から酸が発生すると、該酸の作用によりアルカリ可溶性樹脂と架橋剤とが反応し、アルカリ可溶性樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する。
そのため、化学増幅型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、酸発生剤成分から発生した酸の作用によりレジスト膜の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないため、アルカリ現像により、ポジ型の場合は露光部が、ネガ型の場合は未露光部が溶解除去され、レジストパターンが形成される。
本発明の第一の態様においては、前記第二のパターニング工程における露光後ベーク処理を、前記第一のレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度で行う。
本発明の第二の態様においては、前記第二のレジスト膜の最適露光量(Eop2)を前記第一のレジスト膜の最適露光量(Eop1)以下にして、前記第二のパターニング工程における露光を前記第二のレジスト膜の最適露光量(Eop2)にて行う。
本発明において、第一の化学増幅型レジスト組成物として用いられるのは、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物である。
また、第二の化学増幅型レジスト組成物として用いられるのは、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であってもよく、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少するネガ型レジスト組成物であってもよいが、ポジ型レジスト組成物であることが、本発明の有用性が高いことから好ましい。
また、本発明においては、第二の化学増幅型レジスト組成物が、有機溶剤として、第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤を含有することが好ましい。これにより、第二の化学増幅型レジスト組成物を塗布した際に、第一のレジストパターンの溶解や、第一のレジストパターンと第二のレジスト膜との間の界面でのミキシングの発生を抑制することができ、本発明の効果がさらに向上する。該有機溶剤については、詳しくは後述する。
第一の化学増幅型レジスト組成物として用いられるポジ型レジスト組成物、第二の化学増幅型レジスト組成物として用いられるポジ型またはネガ型のレジスト組成物は、それぞれ、公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。かかるポジ型レジスト組成物およびネガ型レジスト組成物については、詳しくは後述する。
第一のパターニング工程では、まず、図1(a)に示すように、支持体1上に、第二の化学増幅型レジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜2を形成する。
次に、第一のレジスト膜2を、図1(b)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク3を介して、選択的に露光し、露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を施す。これにより、第一のレジスト膜2の露光部のアルカリ溶解性が増大するため、アルカリ現像液による現像を行うことにより、第一のレジスト膜2の露光部が除去され、未露光部が残留し、結果、図1(c)に示すように、支持体1上に、複数の第一のレジストパターン2aが形成される。
次に、第二の化学増幅型レジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用い、図2に示す手順で第二のパターニング工程を行う。
第二のパターニング工程では、まず、第一のパターニング工程でレジストパターン2aが形成された支持体1(図2(a))上に、化学増幅型のポジ型レジスト組成物を塗布し、図2(b)に示すように、複数のレジストパターン2a間の空隙を充填する第二のレジスト膜4を形成する。
次に、第二のレジスト膜4を、図2(c)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク5を介して、選択的に露光し、PEB処理を施す。
このとき、第二のレジスト膜4の選択的露光は、複数のレジストパターン2a間の空隙部分が未露光部となるように行う。また、PEB処理は、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度で行う。これにより、PEB処理後にアルカリ現像液による現像を行った際に、レジストパターン2aを損なうことなく第二のレジスト膜4の露光部を除去でき、結果、図2(d)に示すように、支持体1上に、複数のレジストパターン2aおよびレジストパターン4aからなるレジストパターンが形成される。このようにして形成されるレジストパターンは、第一のパターニング工程で形成したレジストパターン2aよりも狭ピッチの密なものである。
[第一のパターニング工程]
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層膜が挙げられる。特に、有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを形成でき、半導体の製造等において有用であることから好ましい。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と、下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法とに分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基材上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
具体的には、たとえば支持体1上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いてポジ型レジスト組成物を塗布し、80〜150℃の温度条件下、ベーク処理(プレベーク)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、有機溶剤を揮発させることにより第一のレジスト膜2を形成できる。
第一のレジスト膜2の厚さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。
フォトマスクとして、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。
当該バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
当該ハーフトーン型位相シフトマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが用いられる。
なお、本実施形態ではフォトマスク3を介して露光を行っているが本発明はこれに限定されず、フォトマスクを介さない露光、たとえばEB等による描画により選択的露光を行ってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスクを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜(パターニング工程(1)においては第一のレジスト膜2)の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
すなわち、第一のレジスト膜2は、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物からなるものであり、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物からなるレジスト膜は、露光後、PEB処理を行うことで、酸発生剤成分から発生した酸の当該レジスト膜内での拡散と、該酸の作用による当該レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性の増大とが進行する。このとき、PEB処理におけるベーク温度(PEB温度)が充分でないと、酸の発生および拡散が充分に進行せず、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が充分に増加しないため、露光部と未露光部との間のアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が小さく、現像しても良好なレジストパターンを形成できない。つまり、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物からなるレジスト膜のパターニングを行うためには、当該レジスト膜の露光、PEB処理および現像を行った際に、該レジスト膜の露光部がアルカリ現像液で溶解除去されるのに充分な現像液溶解性を発現するPEB温度でPEB処理を行う必要がある。以下、このPEB温度を有効PEB温度ということがある。
そのため、第一のパターニング工程にて第一のレジスト膜2をパターニングするためには、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるベーク温度、つまり第一のレジスト膜2の有効PEB温度の最低値以上の温度でPEB処理を行う。すなわち、第一のレジスト膜2の有効PEB温度の最低値をTmin1、第一のパターニング工程のPEB温度をTpeb1とすると、第一のパターニング工程で第一のレジストパターンを形成するためにはTmin1≦Tpeb1である必要がある。
Tmin1は、使用するポジ型レジスト組成物の組成によって異なっており、ポジ型レジスト組成物の組成は、後述する第二のパターニング工程におけるPEB温度や、露光光源、露光量等のリソグラフィー条件を考慮して、適宜決定すればよい。
第一のレジスト膜に対し、第一のパターニング工程で使用する露光光源(たとえばArFエキシマレーザー、EB・EUV等)にて、露光量を変化させて露光し、所定のベーク温度で30〜120秒間のPEB処理を行い、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23℃)を用いて現像を行う。
このとき、露光量を増加させていった際に、露光量が所定値以上になると、第一のレジスト膜の露光部の現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上となる場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるベーク温度であると判定される。
一方、露光量を増加させていっても、第一のレジスト膜の露光部の現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上とはならず、それよりも低い溶解速度で飽和を示す場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度であると判定される。
ベーク時間は、通常、40〜120秒間であり、好ましくは60〜90秒間施される。
上記アルカリ現像後、水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で行われるため)通常100℃の条件で行われ、処理時間は、好ましくは30〜90秒間である。
次に、レジストパターン2aが形成された支持体1上に、第二の化学増幅型レジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を塗布し、複数のレジストパターン2a間の空隙を充填する第二のレジスト膜4を形成する。
第二のレジスト膜4は、第一のレジスト膜2と同様、従来公知の方法によって形成することができる。
第二のレジスト膜6の膜厚は、少なくとも、レジストパターン3の高さと同じか、それよりも厚いことが好ましい。すなわち、支持体1を第二のレジスト膜6側から見た場合に、その表面が平坦であることが好ましい。
第二のレジスト膜4の選択的露光は、複数のレジストパターン2a間の空隙部分が未露光部となるように行う。これにより、PEB処理後にアルカリ現像液による現像を行った際に、第二のレジスト膜4の露光部が除去され、未露光部が残留し、複数の第一のレジストパターン2a間に、それぞれ、複数のレジストパターン4aが形成される。結果、図2(d)に示すように、複数のレジストパターン2a間に、レジストパターン4aが形成される。かかる露光は、たとえば第一のパターニング工程で用いたフォトマスクを、複数のレジストパターン2a間が未露光部となるように、露光位置を若干ずらすことにより実施できる。また、このとき、第一のパターニング工程で用いたフォトマスクとは別のフォトマスクを使用してもよい。
このとき形成されるレジストパターン4aの位置は、レジストパターン2aの位置と全く重複していなくてもよく、レジストパターン2aの位置と一部重複していてもよいが、レジストパターン4aの位置とレジストパターン2aの位置とが全く重複していないことが好ましい。これにより、第一のパターニング工程で形成した第一のレジストパターンよりも、パターン間の間隔(ピッチ)が狭い狭ピッチのレジストパターンが得られる。
たとえばラインアンドスペースのレジストパターンを形成する場合を例に挙げると、第一のパターニング工程で、複数のラインが一定のピッチで配置されたラインアンドスペースのフォトマスクを用いてラインアンドスペースのレジストパターンを形成した後、第二のパターニング工程で、当該フォトマスクの位置を変更して、第一のパターニング工程で形成したラインパターンとラインパターンとの中間位置にラインパターンを形成することにより、最初に形成したラインアンドスペースのレジストパターン(疎パターン)よりも狭ピッチの、ラインアンドスペースのレジストパターン(密パターン)が形成される。
「疎パターン」としては、ラインアンドスペースのレジストパターンにおいて、ライン幅:スペース幅=1:2以上にスペース幅が広いラインアンドスペースパターンが好ましい。
ここで、「最適露光量」とは、当該レジスト膜を選択的に露光し、PEB処理し、現像した際に、レジストパターンが、設計パターン寸法の通りに忠実に再現される露光量をいう。第二のパターニング工程における露光を、第一のレジスト膜2の最適露光量(Eop1)よりも小さい第二のレジスト膜4の最適露光量(Eop2)で行うことにより、第二のレジスト膜の露光部では、アルカリ現像液に対する溶解性を増大させるのに充分な酸を発生させることができ、しかも第一のレジストパターン2aへ露光の影響も少ない。
Eop2の値がEop1より小さく、かつ、その差が大きい場合(例えば10mJ/cm2以上。好ましくは20mJ/cm2以上。)は、後述する(A)成分の選択の際に自由度が増すという点で好ましい。Eop1あるいはEop2は、後述の(D)成分や、(B)成分によって調節することが可能である。
ここで、本発明において、前記第二のレジスト膜の最適露光量(Eop2)を前記第一のレジスト膜の最適露光量(Eop1)以下にして、前記第二のパターニング工程における露光を前記第二のレジスト膜の最適露光量(Eop2)にて行う場合は、この後の第二のパターニング工程におけるPEB処理を、前記Tpeb1より低い温度にしなくてもよい。たとえば第一のレジスト膜の最適露光量(Eop1)が、第二のレジスト膜の最適露光量(Eop2)に比べて大きい(感度が遅い)場合、第一のパターニング工程のPEB温度と、第二のパターニング工程のPEB温度との間に温度差をつけなくても、レジストパターンを形成することができる。ただし、この場合においても、第二のパターニング工程におけるPEB温度は、第一のパターニング工程におけるPEB温度と同じか、またはそれよりも低い温度であることが好ましく、第一のレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度であることが最も好ましい。
第二のパターニング工程におけるPEB処理は、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度で行う。これにより、第一のレジストパターンを損なうことなく2回目のパターニングを実施できる。
かかる効果が得られる理由としては以下のことが考えられる。すなわち、従来のダブルパターニングプロセスでは、上述したように、第二のパターニング工程の現像後に第一のレジストパターンのパターン細り、膜減り、消失等の問題が生じやすい。本発明者らの検討によれば、その原因として、(1)第二のパターニング工程での露光の際に第一のレジストパターンに光が入射すること、(2)第二のパターニング工程でのPEB処理時に、第二のレジスト膜で発生した酸が第一のレジストパターンにまで拡散すること、等により、第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性が増大することが考えられる。
すなわち、第二のパターニング工程では、図2(c)に示すように、第二のレジスト膜4の露光部に第一のレジストパターン2aが存在するため、露光の際に、第一のレジストパターン2aにも光が入射する。第一のレジストパターン2aは、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物からなり、酸発生剤成分が含まれているため、該光の入射により酸が発生する。また、第二のレジスト膜4の露光部が第一のレジストパターン2aと接しているため、第二のレジスト膜4の露光部で発生した酸がPEB処理時に拡散し、第一のレジストパターン2a内まで拡散する。これらの酸が、第一のレジストパターン2aのアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ、これにより、第二のパターニング工程の現像時に、第二のレジスト膜4の露光部とともに第一のレジストパターン2aも溶解し、上記のような問題が生じていたと考えられる。
一方、上述したとおり、第一のパターニング工程にて第一のレジスト膜2をパターニングするためには、第一のレジスト膜2の有効PEB温度の最低値(Tmin1)以上の温度でPEB処理を行う必要がある。いいかえれば、PEB温度がTmin1よりも低い場合、第一のレジスト膜2の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は充分に増大しないため、現像しても露光部は溶解除去されない。したがって、第二のパターニング工程のPEB温度(Tpeb2)を、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度、つまりTmin1よりも低い温度とすることにより、第一のレジストパターン2aのアルカリ現像液に対する溶解性の増大を抑制でき、第一のレジストパターン2aを損なうことなく第二のパターニング工程を実施できる。
第一のレジスト膜に対し、第二のパターニング工程で使用する露光光源(たとえばArFエキシマレーザー、EB・EUV等)にて、露光量を変化させて露光し、所定のベーク温度で30〜120秒間のPEB処理を行い、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23℃)を用いて現像を行う。
このとき、露光量を増加させていっても、第一のレジスト膜の露光部の現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上とはならず、それよりも低い溶解速度で飽和を示す場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度であると判定される。
Tmin2は、使用するポジ型レジスト組成物の組成によって異なっており、ポジ型レジスト組成物の組成は、第二のパターニング工程におけるPEB温度や、露光光源、露光量等のリソグラフィー条件を考慮して、適宜決定すればよい。
第二のパターニング工程のPEB処理に用いるベーク温度が、第二のレジスト膜4のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる温度であるかどうかは、前記第一のパターニング工程で説明した「第一のパターニング工程のPEB処理に用いるベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる温度であるかどうか」と同様の手順により判定できる。
ベーク時間は、通常、40〜120秒間であり、好ましくは60〜90秒間施される。
Tmin1とTmin2との差は10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましい。該差が大きいほど、本発明の効果に優れる。また、プロセスの余裕度が向上する等の利点もある。該差の上限は特に限定されないが、装置面を考慮すると、50℃以下が好ましい。
同様に、Tpeb1とTpeb2との差は5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。また、該差の上限は特に限定されないが、50℃以下が好ましい。
たとえば、第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物がそれぞれポジ型であり、酸解離性溶解抑制基を有する化合物(たとえば後述する(A)成分)を含有する場合、第二の化学増幅型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基が、第一の化学増幅型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが低いものであると、Tmin2がTmin1よりも低くなる。
また、第一の化学増幅型レジスト組成物の酸発生剤成分として、発生する酸が比較的強酸であるものを用い、第二の化学増幅型レジスト組成物の酸発生剤成分として、発生する酸が比較的弱強であるものを用いることによっても、Tmin2をTmin1よりも低くすることができる。
これら第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基の組み合わせや、酸発生剤成分の組み合わせについては、詳しくは後述する。
上記アルカリ現像後、水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で行われるため)通常100℃の条件で行われ、処理時間は、好ましくは30〜90秒間である。
以下、第2の実施形態として、第二の化学増幅型レジスト組成物としてネガ型レジスト組成物を用いる場合の実施形態を、図3を用いて説明する。
本実施形態は、第1の実施形態と同様にして第一のパターニング工程を行った後、図3に示す手順で第二のパターニング工程を行うことにより実施できる。
まず、第一のパターニング工程でレジストパターン2aが形成された支持体1(図3(a))上に、化学増幅型のネガ型レジスト組成物を塗布し、図3(b)に示すように、複数のレジストパターン2a間の空隙を充填する第二のレジスト膜6を形成する。
次に、第二のレジスト膜6を、図3(c)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク7を介して、選択的に露光し、露光後ベーク(PEB)処理を施す。これにより、第二のレジスト膜6の露光部のアルカリ溶解性が減少する。
このとき、第二のレジスト膜6の選択的露光は、複数のレジストパターン2a間の空隙部分が露光部となるように行う。かかる露光は、たとえば、フォトマスク7として、第一のパターニング工程で用いたフォトマスク3とは異なるものを用いる方法等により行うことができる。また、PEB処理は、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度で行う。これにより、PEB処理後にアルカリ現像液による現像を行った際に、レジストパターン2aを損なうことなく第二のレジスト膜6の未露光部を除去でき、結果、図3(d)に示すように、複数のレジストパターン2a間に、レジストパターン6aが形成される。
このとき、第二のパターニング工程のPEB処理に用いるベーク温度が、第二のレジスト膜6のアルカリ現像液に対する溶解性を減少させる温度であるかどうか(有効PEB温度であるかどうか)は、以下の手順により判定できる。
第二のレジスト膜に対し、第二のパターニング工程で使用する露光光源(たとえばArFエキシマレーザー、EB・EUV等)にて、露光量を変化させて露光(全面露光)し、所定のベーク温度で30〜120秒間のPEB処理を行い、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23℃)を用いて現像を行う。
このとき、(1)露光量を増加させていった際に、所定値以上の露光量で第二のレジスト膜の露光部が残膜していることを確認できればよい。少なくとも70%以上の残膜が確認できれば、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を減少させるベーク温度であると判定される。一方、露光量を増加させていっても、第二のレジスト膜の露光部において、70%以上の残膜を確認できない場合は、当該ベーク温度が、第二のレジスト膜6のアルカリ現像液に対する溶解性を減少させないベーク温度であると判定される。ここで、残膜(%)は、「露光、PEBおよび現像を行う前のレジスト膜の膜厚」に対する「露光、PEBおよび現像を行った後のレジスト膜の膜厚」の割合(%)である。
または、(2)露光量を増加させていった際に、露光量が所定値以上になると、第二のレジスト膜の露光部の現像液に対する溶解速度が1nm/秒未満となる場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を減少させるベーク温度であると判定される。
一方、露光量を増加させていっても、第二のレジスト膜の露光部の現像液に対する溶解速度が1nm/秒未満とはならず、それよりも高い溶解速度で飽和を示す場合は、当該ベーク温度が、第二のレジスト膜6のアルカリ現像液に対する溶解性を減少させないベーク温度であると判定される。
具体的には、例えば、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:3のラインアンドスペースパターン(図1におけるレジストパターン3、疎パターン)を形成した後、第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜の、前記疎パターンの各ライン間の中間の位置に、各ラインに対して平行に、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:3のラインアンドスペースパターン(図1におけるレジストパターン7)を形成する。その結果、支持体上には、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:1のラインアンドスペースパターン(密パターン)が形成される。
また、第一のパターニング工程で用いたフォトマスクを回転移動させたり、第一のパターニング工程で用いたフォトマスクとは異なるフォトマスク(たとえば、第一のパターニング工程においてラインアンドスペースパターンのフォトマスク、第二のパターニング工程においてホールのマスクパターン等)を用いたりすること等により、微細なレジストパターン、および/または、多様なレジストパターンを形成することができる。
エッチングの方法は、公知の方法が利用できる。たとえば有機膜(レジストパターン、有機系の反射防止膜等)のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、酸素プラズマエッチング、またはCF4ガスもしくはCHF3ガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが好ましい。
基板や無機系の反射防止膜のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングが好ましく、特にCF4ガス又はCHF3ガスを用いたエッチングが好ましい。
化学増幅型のポジ型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を有機溶剤(S)(以下、(S)成分という。)に溶解してなるものが一般的である。かかるレジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000未満の低分子量の有機化合物(低分子化合物)と、分子量が2000以上の高分子量の有機化合物(高分子化合物)とに大別される。
前記低分子化合物としては、通常、非重合体が用いられる。
前記高分子化合物としては、樹脂成分(重合体、共重合体)が用いられる。以下、単に「樹脂成分」という場合は、分子量が2000以上の樹脂成分を示すものとする。
樹脂成分の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物(A2)(以下、(A2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
(A1)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
前記ベース樹脂として、具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有する樹脂の親水基を酸解離性溶解抑制基で保護したものが挙げられる。
親水基を有する樹脂としては、たとえば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン(PHS)やヒドロキシスチレン−スチレン共重合体等の、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を有する樹脂(PHS系樹脂)、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン又はα−低級アルキルヒドロキシスチレンのエチレン性2重結合が開裂して形成される構成単位である。「α−低級アルキルヒドロキシスチレン」は、フェニル基が結合する炭素原子に低級アルキル基が結合していることを示す。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。α位の炭素原子に結合する置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、前記低級アルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
アクリル酸エステルから誘導される構成単位において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
(A1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものである。酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基において、脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)であってもよく、該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等であってもよい。脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、5〜15であることが好ましい。
単環式の脂環式基の具体例としては、シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。さらに具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式の脂環式基の具体例としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。さらに具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が、工業上入手しやすく、好ましい。中でも、アダマンタンまたはノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
(i)の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
(ii)の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
式(1−2)で表される酸解離性溶解抑制基の具体例としては、例えば、1−メチル−1−シクロブチル基、1−エチル−1−シクロブチル基、1−イソプロピル−1−シクロブチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−イソプロピル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−イソプロピル−1−シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘプチル基、1−エチル−1−シクロヘプチル基、1−イソプロピル−1−シクロヘプチル基、1−メチル−1−シクロオクチル基、1−エチル−1−シクロオクチル基などが挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。
Y2がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
Y2が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
Y2が−NH−の場合における置換基(アルキル基、アシル基等)の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
Y2が「A−O−B」である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R1’、R2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR1’、R2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y2としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるY2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
その中でも、一般式(a1−1)又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−7)、(a1−1−36)〜(a1−1−42)および(a1−3−49)〜(a1−3−56)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−5)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−36)〜(a1−1−42)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−49)〜(a1−3−52)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、又は式(a1−3−53)〜(a1−3−56)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるものも好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
R13は、水素原子が好ましい。
R14の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
aは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、共重合体(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH2−、−CH2−O−CH2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−等が挙げられる。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−2−9)、(a2−2−10)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。
該脂肪族多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
(A)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A2)成分としては、分子量が500以上2000以下であって、親水性基を有するとともに、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基XまたはX’を有する低分子化合物が好ましい。
具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部を、上記酸解離性溶解抑制基XまたはX’で置換したものが挙げられる。
(A2)成分は、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
なお、酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(B)成分としては、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
また、R1”〜R3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49[式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。
R47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
R49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、一般式:−O−R50−C(=O)−O−R51[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R51は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R51における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
式(b−1)におけるR1”〜R3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R4”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R4”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
R4”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Q1は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
Q1としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
X−Q1−Y1−で表される基において、Y1のアルキレン基としては、前記Q1で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y1として、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−;−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−;−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−等が挙げられる。
これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート等のアルキルスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b7)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
R7に付された符号(r1、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
ポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
ポジ型レジスト組成物には、パターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは、炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンをいい、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
具体例としては、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。更に、後述するアルコール系溶剤、フッ素系溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
これらの中でも、当該ポジ型レジスト組成物を第一の化学増幅型レジスト組成物として用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が(S)成分として好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と、極性溶媒との組み合わせが好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、1:9〜9:1の範囲内とすることが好ましく、2:8〜8:2の範囲内とすることがより好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
(S)成分が(S2)成分を含有すると、第一のレジストパターンが形成された支持体上に、当該第二の化学増幅型レジスト組成物を塗布した際に、第一のレジストパターン形状が良好に保たれ、レジストパターンを安定に形成することができる。
ここで、「第一のレジスト膜を溶解しない」とは、支持体上に第一の化学増幅型レジスト組成物を塗布し、乾燥させて、23℃条件下、膜厚0.2μmのレジスト膜を形成し、これを当該有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても、当該レジスト膜の消失または膜厚の顕著な変動が生じない(好ましくは、該レジスト膜の膜厚が0.16μm以下とならない)ことを示す。
ここで、「アルコール系溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「フッ素系溶剤」とは、フッ素原子を含む化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「水酸基を有さないエーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、水酸基を有さず、かつ常温常圧下で液体である化合物である。該水酸基を有さないエーテル系有機溶剤は、さらに、水酸基に加えてカルボニル基も有さないことが好ましい。
ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価アルコール、又は3価アルコール及びその誘導体は含まれない。
アルコール系溶剤の沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
アルコール系溶剤の具体例としては、n−ペンチルアルコール(沸点138.0℃)、s−ペンチルアルコール(沸点119.3℃)、t−ペンチルアルコール(101.8℃)、イソペンチルアルコール(沸点130.8℃)、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも呼ぶ)(沸点107.9℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.3℃)、2−エチルブタノール(沸点147℃)、ネオペンチルアルコール(沸点114℃)、n−ブタノール(沸点117.7℃)、s−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.5℃)、1−プロパノール(沸点97.2℃)、n−ヘキサノール(沸点157.1℃)、2−ヘプタノール(沸点160.4℃)、3−ヘプタノール(沸点156.2℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128.0℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点112.0℃)、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃)等が挙げられる。特に(S1’)成分を含有することによる効果が良好であることから、イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール、n−ブタノール等が好適である。その中でもイソブタノール、n−ブタノールが好ましく、イソブタノールが最も好ましい。
R40−O−R41 …(s1’−1)
[式中、R40、R41はそれぞれ独立して炭化水素基である。または、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。−O−はエーテル結合を示す。]
R40、R41の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、ネガ型レジスト組成物の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R40、R41の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。
R40およびR41は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R40の末端と、R41の末端とが結合して環を形成する。また、アルキレン基の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。
かかるエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点171℃)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、レジストパターンの膜減り低減効果が良好なことから、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤であることが好ましく、なかでも1,8−シネオール、ジブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(S)成分の使用量は特に限定されず、通常、当該化学増幅型レジスト組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
化学増幅型のネガ型レジスト組成物としては、アルカリ現像液に可溶性の樹脂(アルカリ可溶性樹脂)成分(A’)(以下、(A’)成分という。)、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)成分(以下、(B’)成分という。)および架橋剤成分(C’)(以下、(C’)成分という。)を有機溶剤(S’)(以下、(S’)成分という。)に溶解してなるものが一般的である。
かかるネガ型レジスト組成物においては、露光により(B’)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により(A’)成分と(C’)成分との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して可溶性から、アルカリ現像液に対して不溶性へと変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を、基板等の支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して不溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
かかるネガ型レジスト組成物としては、特に制限はなく、露光光源、リソグラフィー特性等に応じ、公知のネガ型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
(A’)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ネガ型レジスト組成物、ArF用ネガ型レジスト組成物等のアルカリ可溶性樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有するノボラック樹脂、PHS系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるネガ型レジスト組成物における(A’)成分としては、フッ素化されたヒドロキシアルキル基(たとえば後述する一般式(a1’−1−1)で表される基等)を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
(A’)成分の好適なものとして、具体的には、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1’)を含む樹脂(A1’)が挙げられる。
また、樹脂(A1’)以外の、(A’)成分の好適なものとしては、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位と、好ましくは、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位および/または環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位を有する樹脂(A2’)が挙げられる。
樹脂(A1’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1’)を含む。
また、当該樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)に加えて、さらに、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2’)(以下、構成単位(a2’)と略記する。)を有することが好ましい。
構成単位(a1’)において、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に、フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合した基を意味する。
また、「脂肪族環式基を主鎖に有する」とは、該脂肪族環式基の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が、樹脂(A1’)の主鎖を構成することを意味する。
本発明においては、(A’)成分が、係る構成単位(a1’)を含む樹脂(A1’)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が高まって、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、脂肪族環式基(たとえば、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造など)を主鎖に有することにより、炭素密度が高まってエッチング耐性も向上する。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基においては、フッ素化によって、ヒドロキシ基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。該アルキル基の炭素数は、特に限定するものではないが、1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、4〜12であることが最も好ましい。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基におけるヒドロキシ基の数は、特に限定するものではないが、1つであることが好ましい。
ここで、当該α位に結合するフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。また、該フッ素化アルキル基のアルキル基としては、炭素数が1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1がより好ましい。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)、および該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等が含まれる。これらの脂肪族環式基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
ここで、「置換基を有する」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の原子または基)で置換されていることを意味する。本発明において、脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
単環式基としては、シクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な脂肪族環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のホトレジスト組成物用樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、工業上入手しやすいことから、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
これら例示した脂環式基の中でも、後述する構成単位(a1’−1)のように、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンから3個の水素原子を除いた基が好ましく、特にノルボルナンから3個の水素原子を除いた基が好ましい。
また、式(a1’−1)中、Zで表される「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」は、上述と同様のものが挙げられる。
なかでも、Zとしては、下記一般式(a1’−1−1)で表される基であることが、レジストパターン形状に優れ、ラインエッジラフネス(LER)等が低減されることから好ましい。なお、「ラインエッジラフネス(LER)」とは、ライン側壁の不均一な凹凸のことをいう。
低級アルキル基としては、炭素数5以下の直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
なかでも、R11”,R12”が共に水素原子であることが好ましい。
qは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、最も好ましくは1である。
m”およびn”は、それぞれ独立して1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。特に、合成上の面において優れていることから、m”およびn”が1であることが好ましい。
樹脂(A1’)中、構成単位(a1’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、50〜90モル%が好ましく、55〜90モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a1’)を含有することによる効果が向上し、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)に加えて、さらにヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2’)を含むことが好ましい。
本発明においては、(A’)成分が、係る構成単位(a2’)を含む樹脂(A1’)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、(C’)成分との架橋性が高まり、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(コントラスト)が大きくなって、ネガ型レジストとしてより充分に機能することができる。
係る構成単位(a2’)としては、たとえば、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a210’)(以下、構成単位(a210’)と略記する。)、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a220’)(以下、構成単位(a220’)と略記する。)等が好ましく用いられる。
これら構成単位(a2’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、構成単位(a210’)は、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位である。
構成単位(a210’)としては、前記構成単位(a1’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」において、フッ素化されていないヒドロキシアルキル基、すなわちアルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子がフッ素原子によって置換されていない以外は、前記構成単位(a1’)と同様の構成単位が好適なものとして挙げられる。
構成単位(a210’)としては、下記一般式(a2’−1)で表される構成単位(a2’−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a2’−1)を有することにより、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、良好なコントラストが得られやすく、エッチング耐性も向上する。
式(a2’−1)中、R1”,R2”は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。低級アルキル基としては、前記式(a1’−1−1)中のR11”,R12”で表される低級アルキル基と同様のものが挙げられる。なかでも、R1”,R2”が共に水素原子であることが好ましい。
Yは、水素原子またはヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基としては、好ましくは炭素数が10以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは炭素数8以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状の低級ヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基における水酸基の数と結合位置は、特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
Yとしては、特に水素原子が好ましい。
rは0または1であり、0が好ましい。
pは1〜3の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a210’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)中、構成単位(a210’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、20〜45モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより、アルカリ溶解性が向上し、良好なコントラストが得られやすくなる等の構成単位(a210’)を含有することによる効果が向上する。他方、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
構成単位(a220’)は、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
水酸基含有アルキル基は、水酸基含有環状アルキル基と水酸基含有鎖状アルキル基とに大別できる。
構成単位(a221’)としては、たとえば、後述の樹脂(A2’)を構成する「水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a22’)」についての説明において例示する構成単位のうち、脂肪族環式基が飽和炭化水素基であるものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのα位に結合している置換基が、フッ素原子、フッ素化アルキル基であるものがより好ましく、フッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF3)であるものが最も好ましい。
構成単位(a222’)としては、たとえば、後述の樹脂(A2’)を構成する「環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a23’)」についての説明において例示する構成単位のうち、ヒドロキシアルキル基を有するものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのエステル部にヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、そのなかでもアクリル酸エステルのα位に結合している置換基がフッ素原子、フッ素化アルキル基であるものがより好ましく、フッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF3)であるものが最も好ましい。
樹脂(A1’)中、構成単位(a220’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a220’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
構成単位(a221’)と構成単位(a222’)とを、前記混合割合でバランスよく配合することによって良好な露光余裕度が得られる。また、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。さらに、エッチング耐性も向上する。
本発明に用いられるネガ型レジスト組成物において、樹脂(A1’)は、前記の各構成単位(a1’)、(a2’)以外の構成単位として、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の(A’)成分に用いられている構成単位を適宜用いることができる。
本発明においては、樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)の合計が、当該樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、70モル%以上を占めることを意味し、好ましくは80モル%以上である。中でも好ましいのは、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)からなる樹脂である。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがさらに好ましい。
樹脂(A1’)を用いる場合、(A’)成分中に含まれる樹脂(A1’)の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
樹脂(A2’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(以下、構成単位(a21’)と略記する。)を有する。
また、当該樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加え、好ましくは、さらに、水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、構成単位(a22’)と略記する。)を有する。
また、当該樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加え、または、構成単位(a21’)と構成単位(a22’)とに加え、好ましくは、さらに、環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(以下、構成単位(a23’)と略記する。)を有する。
構成単位(a21’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位である。構成単位(a21’)を含むことにより、アリカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、レジストの膨潤が抑制されて、パターン形状やLWR等のリソグラフィー特性が向上する。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
R’のアルキル基としては、炭素数5以下の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
R’のハロゲン化アルキル基は、好ましくは炭素数5以下の低級アルキル基の水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置換された基である。アルキル基の具体例は、上記の説明と同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。ハロゲン原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
本発明においてR’は、好ましくは水素原子またはアルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
sは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
tは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
t’は1〜3の整数であり、好ましくは1〜2の整数であり、1が最も好ましい。
前記一般式(1)で表される構成単位においては、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
樹脂(A2’)中、構成単位(a21’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましく、40〜90モル%が特に好ましく、45〜85モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a21’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加えて、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a22’)を有することが好ましい。係る構成単位(a22’)を含む樹脂(A2’)をネガ型レジスト組成物に配合すると、この構成単位(a22’)の水酸基(アルコール性水酸基)が、(B’)成分から発生する酸の作用によって(C’)成分と反応し、これにより樹脂(A2’)がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化する。
脂肪族環式基に結合している水酸基の数は、1〜3個が好ましく、さらに好ましくは1個である。
脂肪族環式基は、単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基であることが好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂肪族環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基(水酸基が結合する前の状態)の具体例としては、上記構成単位(a21’)の脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
構成単位(a22’)の脂肪族環式基としては、なかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすいことから、好ましい。そのなかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
脂肪族環式基には、水酸基以外に、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が結合していてもよい。
この場合、構成単位(a22’)において、アクリル酸エステルのα位(α位の炭素原子)には、水素原子に代わって、他の置換基が結合していてもよい。置換基としては、好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。
これらの説明は、上記構成単位(a21’)の一般式(1)中のR’の説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいものは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいものは水素原子である。
R”のアルキル基は、R’のアルキル基と同じである。
前記一般式(2)において、R’、R”は水素原子であることが最も好ましい。
r’は1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
水酸基の結合位置は、特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に結合していることが好ましい。
樹脂(A2’)中、構成単位(a22’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a22)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加えて、または、構成単位(a21’)および構成単位(a22’)に加えて、さらに、環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a23’)を有することが好ましい。
構成単位(a23’)を含む樹脂(A2’)をネガ型レジスト組成物に配合すると、構成単位(a23’)のアルコール性水酸基が、前記構成単位(a22’)の水酸基とともに、(B’)成分から発生する酸の作用によって(C’)成分と反応する。そのため、樹脂(A2’)が、アルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化しやすくなり、解像性等のリソグラフィー特性向上の効果が得られる。また、膜減りが抑制できる。また、パターン形成時の架橋反応の制御性が良好となる。さらに、膜密度が向上する傾向がある。これにより、耐熱性が向上する傾向がある。さらにはエッチング耐性も向上する。
構成単位(a23’)は、環式構造を有さないことにより、前記構成単位(a22’)と明らかに区別される。
側鎖にアルコール性水酸基を有する構成単位としては、例えば、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、上記構成単位(a21’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」におけるヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基は、例えば主鎖(アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂した部分)のα位の炭素原子に直接結合していてもよいし、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換してエステルを構成していてもよい。
構成単位(a23’)においては、これらのうち少なくとも一方または両方が存在していることが好ましい。
なお、α位にヒドロキシアルキル基が結合していない場合、α位の炭素原子には、水素原子に代わって、アルキル基またはハロゲン化アルキル基が結合していてもよい。これらについては、一般式(1)中のR’の説明と同様である。
水酸基の数、結合位置は、特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
R4”におけるアルキル基は、好ましくは炭素数が10以下のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基であり、最も好ましくはエチル基、メチル基である。
R4”におけるハロゲン化アルキル基は、好ましくは、炭素数が5以下の低級アルキル基(好ましくはエチル基、メチル基)において、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
R3”におけるアルキル基、ヒドロキシアルキル基としては、R4”のアルキル基、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、構成単位(a23’)が、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、膜密度の向上の点から好ましく、中でも(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸エチルエステルまたは(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸メチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a23’)が、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、架橋効率の点で好ましい。中でも、α−メチル−アクリル酸ヒドロキシエチルエステルまたはα−メチル−アクリル酸ヒドロキシメチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
樹脂(A2’)中、構成単位(a23’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜30モル%が特に好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a23’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
樹脂(A2’)は、前記の各構成単位(a21’)〜(a23’)以外の構成単位として、共重合可能な他の構成単位を有していてもよい。
かかる構成単位としては、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の樹脂成分に用いられている構成単位が使用でき、たとえば、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a24’)が挙げられる。
構成単位(a24’)としては、上記ポジ型レジスト組成物の(A)成分における構成単位(a2)の説明において例示する構成単位と同様のものが挙げられる。
構成単位(a24’)を樹脂(A2’)に含有させる場合、樹脂(A2’)中の構成単位(a24’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a24)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
ここで、「主成分」とは、構成単位(a21’)〜(a23’)の合計が50モル%以上を占めることを意味し、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上である。最も好ましくは100モル%である。すなわち樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)、構成単位(a22’)および構成単位(a23’)からなる樹脂であることが最も好ましい。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。
樹脂(A2’)を用いる場合、(A’)成分中に含まれる樹脂(A2’)の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、(A’)成分は、樹脂(A1’)、樹脂(A2’)以外に、従来のネガ型レジスト組成物に用いられている他の高分子化合物(ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂など)等を用いることもできる。
(B’)成分としては、特に限定されず、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(B’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(B)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(B’)成分は、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B’)成分の使用量は、(A’)成分100質量部に対し、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部とされる。上記範囲の下限値以上とすることにより充分なパターン形成が行われ、上記範囲の上限値以下であれば溶液の均一性が得られやすく、良好な保存安定性が得られる。
(C’)成分は、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤という。
(C’)成分としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤およびグリコールウリル系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
R3’とR4’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R3’とR4’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
vは0又は1〜2の整数であり、好ましくは0または1である。
アルキレン尿素系架橋剤としては、特に、vが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはvが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
(C’)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が最も好ましい。(C’)成分の含有量が下限値以上であると、架橋形成が充分に進行し、膨潤の少ない良好なレジストパターンが得られる。また、この上限値以下であると、レジスト塗布液の保存安定性が良好であり、感度の経時的劣化が抑制される。
ネガ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D’)(以下、(D’)成分という。)を含有することが好ましい。
(D’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(D)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(D’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
(E’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(E)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(E’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(S)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明においては、特に、(S’)成分として、当該ネガ型レジスト組成物の各成分を溶解することに加えて、第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤(以下、(S2’)成分という。)を含有することが好ましい。
(S)成分が(S2’)成分を含有すると、第一のレジストパターンが形成された支持体上に、当該第二の化学増幅型レジスト組成物を塗布した際に、第一のレジストパターン形状が良好に保たれ、レジストパターンを安定に形成することができる。
ここで、「第一のレジスト膜を溶解しない」とは、支持体上に第一の化学増幅型レジスト組成物を塗布し、乾燥させて、23℃条件下、膜厚0.2μmのレジスト膜を形成し、これを当該有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても、当該レジスト膜の消失または膜厚の顕著な変動が生じない(好ましくは、該レジスト膜の膜厚が0.16μm以下とならない)ことを示す。
この様な有機溶剤(S2’)としては、前記ポジ型レジスト組成物の(S)成分で挙げた有機溶剤(S2)と同様のものが挙げられる。
(S’)成分全体の使用量は特に限定されず、当該ネガ型レジスト組成物が、第一のレジストパターンが形成された支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
上記本発明のレジストパターン形成方法に用いる第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物の組成は、それぞれ、第一のパターニング工程および第二のパターニング工程におけるリソグラフィー条件(PEB温度、露光量等)が上記の条件を満たすよう、公知の化学増幅型レジスト組成物のなかから適宜選択できる。
上述したように、本発明においては、第二のパターニング工程における露光後ベーク処理が、第一のレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度で行うため、少なくとも、第二のレジスト膜の有効PEB温度(Tmin2)が、第一のレジスト膜の有効PEB温度(Tmin1)よりも低くなるように、また、好ましくはそれらの差が所望の値となるように、第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物の組み合わせを設定する。
たとえば、第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物がそれぞれポジ型であり、酸解離性溶解抑制基を有する化合物(たとえば後述する(A)成分)を含有する場合、第二の化学増幅型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基を、第一の化学増幅型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが低いものとする。これにより、第二の化学増幅型レジスト組成物の方が、第一の化学増幅型レジスト組成物よりも、露光時のアルカリ現像液に対する変化が生じやすいものとなり、Tmin2がTmin1よりも低くなる。
以下に、酸解離性溶解抑制基または構成単位(a1)の具体的な構造と、それらが第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物のいずれに適しているかを説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
かかる基として、具体的には、前記式(1−1)、(1−3)〜(1−9)で表される基のように、当該多環式の脂肪族環式基の環骨格を構成する炭素原子にアルキル基(式(1−1)、(1−3)〜(1−9)におけるR14)が結合して、該炭素原子が第3級炭素原子となっているものが挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、第3級炭素原子に結合したアルキル基がメチル基の場合は、比較的脱保護エネルギーが高く、解離しにくい。そのため、第3級炭素原子に結合したアルキル基がメチル基の場合は、第一の化学増幅型レジストに適している。
一方、第3級炭素原子に結合したアルキル基が炭素数2以上のアルキル基の場合、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。そのため、第3級炭素原子に結合したアルキル基が炭素数2以上のアルキル基の場合は、第二の化学増幅型レジストに適している。
たとえば式(1−1)におけるR14がメチル基である2−メチル−2−アダマンチル基(M)と、R14がエチル基である2−エチル−2−アダマンチル基(E)とを比較すると、Mの脱保護エネルギーが11.2[kcal/mol]であるのに対し、Eの脱保護エネルギーは8.3[kcal/mol]である。
第一の化学増幅型レジストと第二の化学増幅型レジストにおける酸解離性溶解抑制基の脱保護エネルギーの差は、少なくとも約2[kcal/mol]以上であることが好ましく、2.5[kcal/mol]以上であるとさらに好ましい。なお、酸解離性溶解抑制基の脱保護エネルギーは、以下の工程1〜4を含む解析方法による解析結果から、求めることができる。
工程1:特定保護基を導入したポリマーを用いてレジスト組成物を調製する。
工程2:工程1で調製したレジスト組成物によりレジスト膜を形成し、全面露光を行う。このときの露光量はレジストパターニングにおける最適露光量(Eop)と同量とする。
工程3:露光処理後のレジスト膜に対し、リソテックジャパン株式会社製脱保護反応解析装置(PAGA−100)を用いて脱保護反応の解析を行う(本装置はPEB処理を行いながらレジスト膜のIRスペクトルを採取することにより、PEB処理中のレジスト組成物の構造変化を確認することができる。)。
工程4:複数のPEB温度に対してデータ採取を行い、解析を行う。
かかる基として、具体的には、前記式(1−2)で表される基のように、当該単環式の脂肪族環式基の環骨格を構成する炭素原子にアルキル基が結合して、該炭素原子が第3級炭素原子となっているものが挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。たとえば式(1−2)におけるgが2であり、R14がエチル基であるエチルシクロヘキシル基の脱保護エネルギーは8.1[kcal/mol]である。そのため、第3級炭素原子に結合したアルキル基が炭素数2以上のアルキル基の場合は、第二の化学増幅型レジストに好適である。ただし、第一の化学増幅型レジストに用いることもできる。
かかる基として、具体的には、前記式(2−1)〜(2−6)で表される基が挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが高く、解離しにくい。そのため、第一の化学増幅型レジストに適している。
かかる基として、具体的には、前記式(a1−3)におけるX’が挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、連結基がエーテル性酸素原子を含む場合(たとえば式(a1−3)中のY2が「A−O−B」で表される基である場合)は、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。そのため、第二の化学増幅型レジストに適している。
上述した−C(R71)(R72)(R73)で表される基のような脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが高く、解離しにくい。そのため、第一の化学増幅型レジストに好適である。ただし、第二の化学増幅型レジストに用いることもできる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。たとえばアダマントキシメチル基の脱保護エネルギーは8.4[kcal/mol]である。そのため、第二の化学増幅型レジストに適している。
多官能酸解離性溶解抑制基は、例えば特開2005−325325に記載されているもの(一般式:R−[O−CH2]n−(式中、Rは炭素数20以下のn価以上の価数を有する有機基を表し、nは2から5の整数を表す。)で示される基)が挙げられる。
多官能型酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすいため、第二の化学増幅型レジストに適している。ただし、第一の化学増幅型レジストに用いることもできる。
以下に、どのような酸発生剤が第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物のいずれに適しているかを、具体例を挙げて説明する。ただし、酸発生剤が有効PEB温度に与える影響は、酸解離性溶解抑制基の場合に比べて小さいため、特にこれらに限定されるものではない。
かかる酸発生剤は、発生する酸が比較的強酸であるため、第一の化学増幅型レジストに適している。
ただし、第ニの化学増幅型レジストに用いることもできる。特に、式(b1)〜(b7)で表されるアニオン部を有するオニウム塩系酸発生剤については、第二の化学増幅型レジストにも好適である。
(2)前記R4”−SO3 −で表されるアニオン部を有するオニウム塩系酸発生剤であって、R4”がフッ素原子を含み、かつSO3 −の硫黄原子に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合していないもの。
かかる酸発生剤は、いずれの化学増幅型レジストにも使用できる。
(3)前記R4”−SO3 −で表されるアニオン部を有するオニウム塩系酸発生剤であって、R4”がアルキル基であるもの。
かかる酸発生剤は、発生する酸が比較的弱酸であるため、第二の化学増幅型レジストに適している。
(4)前記式(b−3)または(b−4)で表されるアニオン部を有するオニウム塩系酸発生剤。
該酸発生剤は、第一の化学増幅型レジストに適している。
(5)ジアゾメタン系酸発生剤。
該酸発生剤は、いずれの化学増幅型レジストにも使用できるが、第二の化学増幅型レジストに好適である。
(6)オキシムスルホネート系酸発生剤。
該酸発生剤は、いずれの化学増幅型レジストにも使用できるが、第二の化学増幅型レジストに好適である。
[第一の化学増幅型レジスト組成物(ポジ型レジスト組成物)の調製例]
下記表1に示す各成分を混合、溶解して第一の化学増幅型レジスト組成物(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表される質量平均分子量(Mw)7000、分散度1.7の共重合体。式中、( )の右下の数値は、該数値が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a1:a2:a3=45:35:20である。
(A)−2:下記化学式(A)−2で表される質量平均分子量(Mw)7000、分散度1.7の共重合体。式中、( )の右下の数値は、該数値が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a1:a2:a3=35:45:20である。
(A)−3:下記化学式(A)−3で表される質量平均分子量(Mw)7000、分散度1.7の共重合体。式中、( )の右下の数値は、該数値が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a1:a2:a3=40:40:20である。
(B)−1:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEAとPGMEとの混合溶剤(PGMEA:PGME=6:4(質量比)。
上記第一の化学増幅型レジスト組成物[1−1]を用いて、以下の評価を行った。
8インチシリコンウエハに対し、処理温度90℃、処理時間36秒のHMDS処理を施して疎水化処理を行った。
該シリコンウエハ上に、前記ポジ型レジスト組成物[1−1]を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、該第一のレジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(製品名、ニコン社製、NA(開口数)=0.60,σ 0.60)により、露光量を0〜100mJ/cm2の範囲内で変化させてオープンフレーム露光(フォトマスクを介さない露光)を行った。
その後、所定のPEB温度(85℃、90℃、95℃、100℃または110℃)で60秒間のPEB処理を行った。該処理ウエハ上のレジスト膜に対し、リソテックジャパン株式会社製レジスト現像アナライザRDA−800を用いて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する現像速度(nm/s)を求めた。
そして、露光量を横軸、溶解速度を縦軸にとり、各PEB温度でPEB処理した際の第一のレジスト膜の現像液に対する溶解速度曲線を作成した。その結果を図4に示す。
図4に示す結果から、ポジ型レジスト組成物[1−1]は、90℃以下のPEB温度では、露光量を増やしても溶解速度があまり増加せず、1nm/sより低い値で飽和を示すことが確認できた。一方、PEB温度が100℃以上であると、露光量が所定値を超えたときに溶解速度の大幅な増大が見られた。
上記結果から、第一の化学増幅型レジスト組成物としてポジ型レジスト組成物[1−1]を用いた場合、PEB温度が90℃以下であれば、第一のレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しないことがわかった。
レジスト組成物[1−2]〜[1−4]についても同様の結果が得られた。
第二の化学増幅型レジスト組成物として、下記表2に示す各成分を混合、溶解して、調製をおこなった。
(A)−4:下記化学式(A)−4で表される共重合体[Mw:7000、分散度:1.5]。
(A)−5:下記化学式(A)−5で表される共重合体[Mw:7000、分散度:1.5]。
(A’)−1:下記化学式(A’)−1で表される共重合体[Mw:4700、分散度:1.48、プロメラス社製]。
(B)−2 :下記式(B)−2で表される化合物。
(B’)−1:トリフェニルスルホニウムヘプタフルオロ−n−プロパンスルホネート
(C’)−1:テトラエトキシメチル化グリコールウリル E−9401(製品名、三和ケミカル社製)。
(D)−2 :トリエタノールアミン
(D’)−1:トリイソプロパノールアミン。
(E’)−1:マロン酸。
(S)−3:イソブタノール。
まず、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚85nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、第一のレジスト膜を形成する上記第一の化学増幅型レジスト組成物[1−1]を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次いで、該第一のレジスト膜に対して、ArF露光装置XT−1700i(ASML社製;NA(開口数)=1.2)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
その後、表3の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに30℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間の条件でアルカリ現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。これにより、ライン幅45nm、ピッチ180nmのラインアンドスペース(1:3)のレジストパターン(以下「L/Sパターン」という。)が形成された。
続いて、前記L/Sパターンが形成された支持体上に、上記第二の化学増幅型レジスト組成物[ポジ型2−1]を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(第二のレジスト膜)を形成した。
次に、該第二のレジスト膜に対して、ArF露光装置XT−1700i(ASML社製;NA(開口数)=1.2)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
その後、表3の条件でPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で8秒(または30秒上のコメントを参照)間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、上記ダブルパターニングによるレジストパターン形成方法により、第一のレジスト膜に形成されたL/Sパターンのライン間に、第二のレジスト膜に由来するライン(幅45nm)が形成され、最終的に、支持体上に、ライン幅約45nm、ピッチ約90nmの微細なL/Sパターンが形成されていた。
第一の化学増幅型レジスト組成物を[1−2]に変更し、各レジストパターンのターゲットをL/S=50nm/150nmにした他は、実施例1と同様の操作をおこなった。
その結果、上記ダブルパターニングによるレジストパターン形成方法により、第一のレジスト膜に形成されたL/Sパターンのライン間に、第二のレジスト膜に由来するライン(幅50nm)が形成され、最終的に、支持体上に、ライン幅約50nm、ピッチ約100nmの微細なL/Sパターンが形成されていた。
第一の化学増幅型レジスト組成物を[1−3]に変更し、PEB条件を表3にあるように変更し、各レジストパターンのターゲットをL/S=55nm/165nmにした他は、実施例1と同様の操作をおこなった。
その結果、上記ダブルパターニングによるレジストパターン形成方法により、第一のレジスト膜に形成されたL/Sパターンのライン間に、第二のレジスト膜に由来するライン(幅55nm)が形成され、最終的に、支持体上に、ライン幅約55nm、ピッチ約110nmの微細なL/Sパターンが形成されていた。
第一の化学増幅型レジスト組成物を[1−3]、第二の化学増幅型レジスト組成物を[ポジ型2−2]、PEB条件を表3にあるように変更し、各レジストパターンのターゲットをL/S=55nm/165nmにした他は、実施例1と同様の操作をおこなった。
その結果、上記ダブルパターニングによるレジストパターン形成方法により、第一のレジスト膜に形成されたL/Sパターンのライン間に、第二のレジスト膜に由来するライン(幅55nm)が形成され、最終的に、支持体上に、ライン幅約55nm、ピッチ約110nmの微細なL/Sパターンが形成されていた。
第一の化学増幅型レジスト組成物を[1−4]、第二の化学増幅型レジスト組成物を[ポジ型2−2]、PEB条件を表3にあるように変更し、各レジストパターンのターゲットをL/S=70nm/210nmにした他は、実施例1と同様の操作をおこなった。
その結果、上記ダブルパターニングによるレジストパターン形成方法により、第一のレジスト膜に形成されたL/Sパターンのライン間に、第二のレジスト膜に由来するライン(幅70nm)が形成され、最終的に、支持体上に、ライン幅約70nm、ピッチ約140nmの微細なL/Sパターンが形成されていた。
本参考例では、第一の化学増幅型レジスト組成物[1−4]が、第二の化学増幅型レジスト組成物[ポジ型2−2]に比べ感度が遅いので、PEBの温度差をつけなくても、L/Sパターンを形成することができたと推測される。
PEB条件を表3に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてL/Sパターンを得た。
その結果、PEB温度110℃では第二のレジスト膜をパターニングした後の第一のレジストパターンが消滅した。
第二の化学増幅型レジスト組成物を[ネガ型2−1]、露光量EopおよびPEB条件を表3に記載の条件に変更した他は、実施例1と同様にしてレジストパターンの形成を行った。
その結果、第一のレジスト膜に形成されたL/Sパターンのライン間に、第二のレジスト膜に由来するライン(幅42nm)が形成され、最終的に、支持体上に、ライン幅約42〜44nm、ピッチ約88nmの微細なL/Sパターンが形成されていた。
第一の化学増幅型レジスト組成物を[1−3]、露光量EopおよびPEB条件を表3に記載の条件に変更した他は、参考例6と同様にしてレジストパターンの形成を行った。
その結果、第一のレジスト膜に形成されたL/Sパターンのライン間に、第二のレジスト膜に由来するライン(幅55nm)が形成され、最終的に、支持体上に、ライン幅約55nm、ピッチ約110nmの微細なL/Sパターンが形成されていた。
露光量EopおよびPEB条件を表3に記載の条件に変更した他は、参考例6と同様にしてL/Sパターンを得た。
その結果、第二のレジスト膜をパターニングした後の第一のレジストパターン形状は著しく変化し、一部にパターンの消滅が観察された。
Claims (6)
- 支持体上に、第一の化学増幅型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を選択的に露光し、露光後ベーク処理を施し、現像して第一のレジストパターンを形成する第一のパターニング工程と、
前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二の化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成し、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、露光後ベーク処理を施し、現像してレジストパターンを形成する第二のパターニング工程とを有し、
前記第一の化学増幅型レジスト組成物および前記第二の化学増幅型レジスト組成物がそれぞれ、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であり、
前記第二のパターニング工程における露光後ベーク処理が、前記第一のレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させないベーク温度で行われ、
前記第二のパターニング工程における露光後ベーク処理のベーク温度と、前記第一のパターニング工程における露光後ベーク処理のベーク温度との差が5℃以上であることを特徴とするレジストパターン形成方法。 - 前記第二のレジスト膜の最適露光量(Eop2)を前記第一のレジスト膜の最適露光量(Eop1)以下にして、前記第二のパターニング工程における露光を前記第二のレジスト膜の最適露光量(Eop2)にて行う請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記Eop 2 と前記Eop 1 との差が20mJ/cm 2 以上である請求項2に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記第一の化学増幅型レジスト組成物および第二の化学増幅型レジスト組成物がそれぞれ酸解離性溶解抑制基を有する化合物を含有し、
前記第二の化学増幅型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基は、前記第一の化学増幅型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが低いものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。 - 前記第二の化学増幅型レジスト組成物は、前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤は、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤および水酸基を有さないエーテル系有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項5に記載のレジストパターン形成方法。
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