JP5412139B2 - ポジ型レジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物及びレジストパターン形成方法 Download PDF

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本発明は、ポジ型レジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを有機溶剤に溶解してなる化学増幅型レジストが用いられている。たとえばポジ型の化学増幅型レジストは、ベース樹脂として酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂と、酸発生剤成分とが有機溶剤に溶解してなるものであり、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
これまで、化学増幅型レジストのベース樹脂としては、KrFエキシマレーザー(248nm)に対する透明性が高いポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂(PHS系樹脂)が用いられてきた。しかし、PHS系樹脂は、ベンゼン環等の芳香環を有するため、248nmよりも短波長、たとえば193nmの光に対する透明性が充分ではない。そのため、PHS系樹脂をベース樹脂成分とする化学増幅型レジストは、たとえば193nmの光を用いるプロセスでは解像性が低いなどの欠点がある。
そのため、現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が主に用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
レジストパターンの解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下「液浸露光」ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
液浸露光においては、通常のリソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)に加えて、液浸露光技術に対応した特性を有するレジスト材料が求められる。例えば、液浸露光においては、レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じる。この物質溶出の量は、レジスト膜表面の特性(例えば親水性・疎水性等)の影響を受けるため、例えばレジスト膜表面の疎水性が高まることによって、物質溶出が低減され得る。
近年、含フッ素化合物について、その撥水性、透明性等の特性が着目され、様々な分野での研究開発が活発に行われている。たとえばレジスト材料分野では、現在、ポジ型の化学増幅型レジストのベース樹脂として用いるために、含フッ素高分子化合物に、種々の酸不安定性基を導入することが行われている。
液浸露光用レジスト組成物においては、レジスト膜に撥水性を付与するため、含フッ素高分子化合物を用いる方法が報告されている(たとえば、非特許文献2参照)。
また、最近提案されているリソグラフィー技術の1つとして、パターニングを2回以上行ってレジストパターンを形成するダブルパターニングプロセスがある(たとえば、非特許文献3〜4参照)。
このダブルパターニングプロセスでは、たとえば、支持体上に第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜をパターニングすることにより複数のレジストパターンを形成した後、その上に第二のレジスト材料を塗布して前記複数のレジストパターン間に第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜をパターニングすることにより、1回のパターニングで形成されるレジストパターンよりも高解像性のレジストパターンが形成できると考えられる。
特開2003−241385号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5754巻,第119−128頁(2005年). ジャーナルオブフォトポリマーサイエンスアンドテクノロジー(Journal of Photopolymer.Sci.Technol.)、第19巻、No.4,第565−568頁(2006年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5256巻,第985〜994頁(2003年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第6153巻,第615301−1〜19頁(2006年).
しかし、上述のようなダブルパターニングプロセスにおいて、レジスト材料として化学増幅型レジスト組成物を用いた場合、特に、第一のレジスト膜に用いられる化学増幅型レジスト組成物がポジ型である場合、2回目のパターニングを行った際に第一のレジスト膜に形成したレジストパターン(第一のパターン)が損なわれやすい問題がある。具体的には、たとえば第一のパターンの形状の変化(高さの減少(膜減り)、ラインパターンのライン幅の減少(パターン細り)等)が生じたり、第一のパターンそのものが消滅したりする等の問題がある。この問題は、第二のレジスト材料に用いられる有機溶剤による影響、または2回目のパターニングにおける露光などの影響により起こる。このような問題は、第一のレジスト膜が薄膜化するほど、または第一のレジスト膜に形成しようとするレジストパターンの寸法が微細化するほど生じやすい。
上記のようなレジストパターン形状の不良を防ぐため、1回目のパターニング後に、例えばフリージング材を用いて第一のレジストパターンを保護する技法もあるが、当該技法はスループット向上の点で好ましくない。
そのため、ダブルパターニングによるレジストパターンの形成において、たとえばポジ型の化学増幅型レジスト組成物を用いて形成した第一のレジストパターン上に、直接、第二の化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成し、2回目のパターニングを行って微細なレジストパターンを形成する場合、2回目のパターニングの際に第一のレジストパターンが損なわれるのを抑制する必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、支持体上に、第一のレジスト組成物を用いて1回目のパターニングを行い、第一のレジストパターンを形成した後、その支持体上に、さらに化学増幅型レジスト組成物を用いて2回目のパターニングを行うダブルパターニングプロセスにおいて、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物、及び当該ポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、支持体上に、第一のレジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する工程と、前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二のレジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する工程と、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法において、前記第一のレジスト組成物として用いられるポジ型レジスト組成物であり、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、含フッ素化合物成分(F)とを含有し、前記含フッ素化合物成分(F)が、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基を含む構成単位(f1)のみを有する含フッ素高分子化合物(F1)および前記構成単位(f1)と下記一般式(f2−1)で表される構成単位(f2)とを有する含フッ素高分子化合物(F2)からなる群から選択される少なくとも一種の含フッ素樹脂成分を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。R71〜R73はそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、R72とR73とが相互に結合して脂肪族多環式基を形成しかつR71が水素原子若しくはメチル基、R73が脂肪族多環式基でかつR71とR72がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、又はR71〜R73の全てが相互に結合した脂肪族多環式基である。]
本発明の第二の態様は、支持体上に、前記第一の態様のポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する工程と、前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する工程と、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法である。
本明細書および本特許請求の範囲において、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
また、「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「構成単位」とは、高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
本発明のポジ型レジスト組成物、及び当該ポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法によれば、ダブルパターニングプロセスにおいて、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できる。
≪ポジ型レジスト組成物≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、支持体上に、第一のレジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する工程と、前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二のレジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する工程と、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法において、前記第一のレジスト組成物として用いられるポジ型レジスト組成物である。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下「(A)成分」という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、含フッ素化合物成分(F)とを含有する。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、酸発生剤から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成できる。
<(A)成分>
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物をいう。
かかる基材成分としては、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が2000以上のものが用いられる。以下、分子量が2000以上の重合体を高分子化合物という。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、高分子化合物を単に「樹脂」ということがある。
[(A1)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂成分(A1)(以下「(A1)成分」という。)を含むことが好ましい。
当該(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
また、当該(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、又は構成単位(a1)と構成単位(a2)とに加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
ここで、本明細書および本特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
・構成単位(a1)
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子(−O−)に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”−1)〜(a1”−6)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し;R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示す。]
前記一般式(a1”−1)〜(a1”−6)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは低級アルキル基または脂肪族環式基を表す。]
上記式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005412139
[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
Yの低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特に、R17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19が、それぞれ独立に、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示し;Yは2価の連結基を示す。]
一般式(a1−0−1)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは、上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。
該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、「−A−O(酸素原子)−B−(ただし、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。)」等が挙げられる。
が−NH−の場合における置換基(アルキル基、アシル基等)の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
が「A−O−B」である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
Bにおける炭化水素基としては、前記Aで挙げたものと同様の2価の炭化水素基が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5の低級アルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、一般式(a1−1)又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には、式(a1−1−1)〜(a1−1−4)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)および(a1−3−25)〜(a1−3−28)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−3)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)および式(a1−1−20)〜(a1−1−23)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、又は式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるものも好ましい。
Figure 0005412139
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し、R11は低級アルキル基を示す。)
Figure 0005412139
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し、R12は低級アルキル基を示す。hは1〜6の整数を表す。)
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R11の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
hは、1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
Figure 0005412139
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し;R14は低級アルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数である。)
Figure 0005412139
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し;R14は低級アルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数であり、n’は1〜6の整数である。)
前記一般式(a1−3−01)または(a1−3−02)において、Rについては上記と同様である。
13は、水素原子が好ましい。
14の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
aは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
前記一般式(a1−3−01)で表される構成単位、および前記一般式(a1−3−02)で表される構成単位を誘導するモノマー(以下まとめて「モノマーW」という。)は、たとえば以下に示す製造方法により製造することができる。
モノマーWの製造方法:
塩基の存在下、下記一般式(X−1)で表される化合物が反応溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(X−2)で表される化合物を添加し、反応させることにより、下記一般式(X−3)で表される化合物(以下、化合物(X−3)という。)を得た後、化合物(X−3)が溶解した溶液に、下記一般式(X−4)で表される化合物を塩基の存在下で添加し、反応させることにより、モノマーWが得られる。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基;トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。
反応溶媒としては、原料である化合物(X−1)および化合物(X−2)を溶解できるものであればよく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基であり;AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Xは酸解離性溶解抑制基であり、X10およびX12はそれぞれ独立して水酸基またはハロゲン原子であって、X10およびX12のいずれか一方が水酸基であり、他方がハロゲン原子であり、X11はハロゲン原子である。]
前記式中、R、X、A、Bは、いずれも上記と同じである。
10、X11およびX12におけるハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。
10またはX12のハロゲン原子としては、反応性に優れることから、塩素原子、臭素原子が好ましい。
11としては、反応性に優れることから、臭素原子または塩素原子が好ましく、臭素原子が特に好ましい。
・構成単位(a2)
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(=O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりする上で有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0または1〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1の整数である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5の低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a1−0−2)中のYで説明した2価の連結基と同様であり、それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、もしくはそれらの組み合わせであることが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記YのうちAにおける脂肪族炭化水素基で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
s”は、1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
(A1)成分において、構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a3)
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。
該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。
該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、下記式(a3−2)で表される構成単位、下記式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005412139
(式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
式(a3−1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは、1であることが好ましく、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a4)
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構造のものを例示することができる。
Figure 0005412139
(式中、Rは前記と同じである。)
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
本発明において、(A1)成分は、構成単位(a1)を有する共重合体であることが好ましく、かかる共重合体としては、たとえば、上述した構成単位(a1)および(a2)からなる共重合体、構成単位(a1)および(a3)からなる共重合体;構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体;上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
本発明において、(A1)成分としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
Figure 0005412139
[式中、Rは前記と同じであり、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20は低級アルキル基である。]
式(A1−11)中、R20の低級アルキル基は、Rの低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分中、(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性等の効果が向上する。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分を含有してもよい。
すなわち、(A)成分は、前記(A1)成分であってもよく、前記(A1)成分に該当しない樹脂成分であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物成分(A2)(以下「(A2)成分」ということがある。)であってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。そのなかでも、(A)成分は、前記(A1)成分を含むことが好ましい。
前記(A1)成分に該当しない樹脂成分としては、これまでArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のもの、たとえばポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂(PHS系樹脂)、前記(A1)成分以外の(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)、を用いることができる。
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A2)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<(B)成分>
本発明において、酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005412139
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
式(b−1)で表される化合物のカチオン部として、好ましいものとしては、下記式(I−1−1)〜(I−1−10)で表されるカチオン部が挙げられる。これらの中でも、式(I−1−1)〜(I−1−8)で表されるカチオン部等の、トリフェニルメタン骨格を有するものが好ましい。
下記式(I−1−9)〜(I−1−10)中、R、R10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5の低級アルキル基、アルコキシ基、水酸基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
Figure 0005412139
”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
−Q−で表される基において、Qは、酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
における脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
において、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
における「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NR06−(R06はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
−NR06−において、R06はアルキル基、アシル基等の置換基である。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
上記のなかでも、かかるXとしては、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
また、本発明において、Xは、リソグラフィー特性、レジストパターン形状がより向上することから、前述した(A1)成分における構成単位(a0)中のRと類似骨格を有する構造のものが好ましく、そのなかでも極性部位を有するものが特に好ましい。
極性部位を有するものとしては、たとえば、上述したXの脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基、すなわち、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NR06−(R06はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等、で置換されたものが挙げられる。R06は前記と同じである。
本発明において、R”は、置換基としてX−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
のフッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
前記式(b−2)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては、上記式(b−1)におけるR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート等のアルキルスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を、下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオンに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Figure 0005412139
[式中、pは1〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、iは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、m1〜m5はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 0005412139
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 0005412139
[式中、R81〜R86はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
81〜R86において、アルキル基は、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
81〜R86に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR81〜R86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0005412139
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005412139
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0005412139
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0005412139
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(B)成分としてオニウム塩系酸発生剤を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<(F)成分>
本発明において、含フッ素化合物成分(F)(以下「(F)成分」という。)は、塩基解離性基を含む構成単位(f1)のみを有する含フッ素高分子化合物(F1)(以下「(F1)成分」という。)および前記構成単位(f1)と後述の一般式(f2−1)で表される構成単位(f2)とを有する含フッ素高分子化合物(F2)(以下「(F2)成分」という。)からなる群から選択される少なくとも一種の含フッ素樹脂成分を含むものである。
[(F1)成分]
(F1)成分は、塩基解離性基を含む構成単位(f1)のみを有する含フッ素高分子化合物である。
・構成単位(f1)
構成単位(f1)における「塩基解離性基」とは、塩基の作用により解離し得る有機基である。塩基としては、一般的にリソグラフィー分野において用いられているアルカリ現像液が挙げられる。すなわち、「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(たとえば、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃))の作用により解離する基である。
塩基解離性基は、アルカリ現像液の作用により加水分解が生じることにより解離する。そのため、該塩基解離性基が解離すると同時に親水基が形成され、(F1)成分の親水性が高まり、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。
塩基解離性基としては、上記定義に該当する有機基であれば特に限定されるものではなく、フッ素原子を含むものであってもよく、フッ素原子を含まないものであってもよい。
(F1)成分において、構成単位(f1)中の塩基解離性基以外の部位にフッ素原子が含まれていない場合には、フッ素原子を含む塩基解離性基であることを要する。一方、構成単位(f1)中の塩基解離性基以外の部位にフッ素原子が含まれている場合には、フッ素原子を含む塩基解離性基であってもよく、フッ素原子を含まない塩基解離性基であってもよい。
なお、フッ素原子を含む塩基解離性基は、塩基解離性基における水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基をいう。
構成単位(f1)において、塩基解離性基は、フッ素原子を含むことが好ましい。特に、構成単位(f1)中に含まれるフッ素原子が、塩基解離性基のみに存在することが好ましい。塩基解離性基がフッ素原子を含む場合、アルカリ現像液の作用により該塩基解離性基が解離した際、フッ素原子も構成単位(f1)から解離するため、アルカリ現像液に対する親和性がより高くなる。
フッ素原子を含む塩基解離性基の具体例としては、たとえば、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表される基が挙げられる。
本発明において、塩基解離性基は、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表される基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、露光時には疎水性であって現像時には親水性となる特性に優れ、かつ、合成が容易である点から、下記一般式(II−1)または(II−4)で表される基であることが特に好ましい。
Figure 0005412139
[式中、Rはそれぞれ独立してフッ素原子を有する有機基である。]
式(II−1)〜(II−4)中、Rはフッ素原子を有する有機基である。
「有機基」は、少なくとも1つの炭素原子を含む基である。
の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
において、有機基の炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましく、1〜5が最も好ましい。
は、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、フッ素化率が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。「フッ素化率」は、当該有機基における(水素原子およびフッ素原子の合計数)に対する(フッ素原子数)の割合(%)である。
としては、たとえば、置換基を有していてもよいフッ素化炭化水素基が好ましく挙げられる。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有さない炭化水素基である。脂肪族炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
すなわち、Rとしては、フッ素化飽和炭化水素基またはフッ素化不飽和炭化水素基であることが好ましく、フッ素化飽和炭化水素基、すなわちフッ素化アルキル基であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、下記に挙げる無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、また、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。
無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、第3級アルキル基が好ましい。
無置換の環状のアルキル基としては、例えば、モノシクロアルカン、またはビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等のポリシクロアルキル基などが挙げられる。
無置換の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
フッ素化炭化水素基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基等が挙げられる。
において、フッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましい。特に、下記一般式(III−1)または(III−2)で表される基が好ましく、中でも、式(III−1)で表される基が好ましい。
Figure 0005412139
[式(III−1)中、R41’は無置換の炭素数1〜9のアルキレン基であり、R42’は炭素数1〜9のフッ素化アルキル基である。但し、R41’とR42’との炭素数の合計は10以下である。また、式(III−2)中、R74〜R76は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であり、R74〜R76の少なくとも1つはフッ素原子を有するアルキル基である。]
式(III−1)中、R41’のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。また、その炭素数は1〜5が好ましい。
41’としては、特に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
42’としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。なかでも、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基が好ましい。
式(III−2)中、R74〜R76のアルキル基としては、エチル基またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R74〜R76のアルキル基のうち、いずれか1つがフッ素化アルキル基であればよく、全てがフッ素化アルキル基で合ってもよい。
構成単位(f1)のなかで好適なものとしては、たとえば、下記の一般式(f1−1)又は一般式(f1−2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。Xは二価の有機基であり、Aarylは置換基を有していてもよい二価の芳香族環式基であり、X01は単結合又は二価の連結基であり、Rはそれぞれ独立にフッ素原子を有する有機基である。]
式(f1−1)または(f1−2)中、Rは前記と同じである。
式(f1−1)または(f1−2)において、Rとしては、フッ素化炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がさらに好ましく、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CF−CF−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが特に好ましい。
式(f1−1)または(f1−2)において、Rにおける低級アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「低級アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、Rとしては、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基がより好ましい。
一般式(f1−1)中、Xは、二価の有機基である。
Xは酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
「酸解離性部位」とは、当該有機基内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。Xが酸解離性部位を有する場合、好ましくは第三級炭素原子を有する酸解離性部位を有することが好ましい。
Xとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられる。
該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
また、該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の基における「ヘテロ原子」とは、炭素原子および水素原子以外原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04(R04はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−、または「これらの基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
一般式(f1−2)中、Aarylは、置換基を有していてもよい二価の芳香族環式基である。Aarylとして具体的には、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
arylにおける芳香族環式基の環骨格としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環又はナフタレン環が特に好ましい。
arylにおいて、芳香族環式基が有してもよい置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。Aarylの芳香族環式基が有してもよい置換基としては、フッ素原子であることが好ましい。
arylの芳香族環式基としては、置換基を有さないものであってもよく、置換基を有するものでもよく、置換基を有さないものであることが好ましい。
arylにおいて、芳香族環式基が置換基を有するものである場合、置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよく、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
一般式(f1−2)中、X01は、単結合または二価の連結基である。二価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−C(=O)−、又はそれらの組み合わせなどが挙げられ、−O−と炭素数1〜10のアルキレン基との組み合わせが最も好ましい。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基が挙げられ、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、炭素数4〜10の環状のアルキレン基が好ましい。
前記一般式(f1−1)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(f1−11)〜(f1−16)で表される構成単位が挙げられる。
また、前記一般式(f1−2)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(f1−21)〜(f1−26)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
前記一般式(f1−11)〜(f1−16)、(f1−21)〜(f1−26)中、RおよびRはそれぞれ前記と同じであり;R51〜R52はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基であり;R53〜R54はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり;a1、a2、a3、a5、a7、a9、およびa11〜a13はそれぞれ独立して1〜5の整数であり;a4、a6、a8、およびa10はそれぞれ独立して0〜5の整数であり;a14〜a16は0〜5の整数であり;d1〜d5はそれぞれ独立して0または1であり;Rは置換基であり、eは0〜2の整数であり;Aは炭素数4〜20の環状のアルキレン基である。
式(f1−11)〜(f1−16)、(f1−21)〜(f1−26)中、Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−11)中、a1は1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
式(f1−12)中、a2、a3は、それぞれ独立して、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d1は0であることが好ましい。
式(f1−13)中、a4は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a5は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。低級アルキル基としては前記Rで挙げた低級アルキル基と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化低級アルキル基としては前記Rで挙げたハロゲン化低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
eは、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
d2は0であることが好ましい。
式(f1−14)中、a6は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a7は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d3は0であることが好ましい。
およびeは、それぞれ前記と同様である。
式(f1−15)中、a14は、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0または1が最も好ましい。
51〜R52は、それぞれ独立して直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられ、これらの中でも炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましく、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
53〜R54は、それぞれ独立して水素原子または直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。R53〜R54における直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基としては、前記R51〜R52と同様である。
式(f1−16)中、Aは、炭素数4〜20の環状のアルキレン基であり、炭素数5〜15の環状のアルキレン基が好ましく、炭素数6〜12の環状のアルキレン基がより好ましい。具体例としては、上述した置換基を有していていもよい炭化水素基における「環状の脂肪族炭化水素基」に例示したものが挙げられ、かかる環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
式(f1−21)中、a8は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a9は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d4は0であることが好ましい。
およびeは、それぞれ前記と同様である。
式(f1−22)中、a10は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a11は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
d5は0であることが好ましい。
およびeは、それぞれ前記と同様である。
式(f1−23)中、a12は1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
およびeは、それぞれ前記と同様である。
式(f1−24)中、a13は1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
およびeは、それぞれ前記と同様である。
式(f1−25)〜(f1−26)中、a15、a16は、それぞれ、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0または1が最も好ましい。
51〜R52、R53〜R54は、それぞれ前記と同様である
式(f1−25)〜(f1−26)中、Rおよびeは、それぞれ前記と同様である。
以下に、上記一般式(f1−11)〜(f1−16)、一般式(f1−21)〜(f1−26)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
Figure 0005412139
構成単位(f1)としては、前記一般式(f1−11)〜(f1−16)および(f1−21)〜(f1−26)のいずれかで表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、前記一般式(f1−11)〜(f1−14)および(f1−21)〜(f1−24)のいずれかで表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、前記一般式(f1−11)〜(f1−13)、(f1−21)および(f1−22)のいずれかで表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましく、前記一般式(f1−11)または(f1−22)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
(F1)成分中、構成単位(f1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、2000〜100000が好ましく、3000〜100000がより好ましく、4000〜50000がさらに好ましく、5000〜50000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.8が最も好ましい。
(F)成分中、(F1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[(F2)成分]
(F2)成分は、前記構成単位(f1)と後述の一般式(f2−1)で表される構成単位(f2)とを有する含フッ素高分子化合物である。
・構成単位(f1)
構成単位(f1)は、前記(F1)成分における構成単位(f1)と同じである。
(F2)成分中、構成単位(f1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F2)成分中、構成単位(f1)の割合は、(F2)成分を構成する全構成単位の合計に対し、10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、30〜80モル%がさらに好ましく、40〜80モル%が特に好ましい。構成単位(f1)の割合が前記範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、露光時には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となり、再付着系のディフェクトが低減する、また、液浸露光時のスキャン追随性が向上する。上限値以下であると、構成単位(f2)とのバランスが良好となり、液浸スキャン露光時由来のディフェクトを抑制できる。
・構成単位(f2)
構成単位(f2)は、下記一般式(f2−1)で表される構成単位である。
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。R71〜R73はそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、R72とR73とが相互に結合して脂肪族多環式基を形成しかつR71が水素原子若しくはメチル基、R73が脂肪族多環式基でかつR71とR72がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、又はR71〜R73の全てが相互に結合した脂肪族多環式基である。]
前記式(f2−1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。Rは、前記式(f1−1)または(f1−2)におけるRと同様のものが挙げられる。
前記式(f2−1)中、R71〜R73は、それぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、R72とR73とが相互に結合して脂肪族多環式基を形成しかつR71が水素原子若しくはメチル基、R73が脂肪族多環式基でかつR71とR72がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、又はR71〜R73の全てが相互に結合した脂肪族多環式基である。
71〜R73がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である場合:
当該アルキル基の炭素数は1〜3が好ましく、−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、4〜7であることがより好ましく、4〜6であることがさらに好ましく、4〜5であることが特に好ましい。
−C(R71)(R72)(R73)で表される基として具体的には、tert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられ、なかでもtert−ブチル基が最も好ましい。
71〜R73が、R72とR73とが相互に結合して脂肪族多環式基を形成し、かつ、R71が水素原子若しくはメチル基である場合:
当該脂肪族多環式基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。また、炭素原子および水素原子のみからなる炭化水素基であってもよく、その他の原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子)を有していてもよく、炭化水素基であることが好ましい。
当該脂肪族多環式基の炭素数は、4〜15であることが好ましく、4〜12であることがより好ましく、5〜10が最も好ましい。
当該脂肪族多環式基として、具体的には、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
当該ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などには、置換基が結合していてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
上記のなかでも、当該脂肪族多環式基としては、アダマンタンから1個の水素原子を除いた基が最も好ましい。
71は水素原子若しくはメチル基であり、メチル基であることが好ましい。
71が水素原子である場合、上記(A1)成分における構成単位(a4)についての説明で例示した構成単位と同様のものが挙げられる。具体的には、上記一般式(a4−1)、又は(a4−3)〜(a4−5)で表される構成単位が好適なものとして挙げられる。
73が脂肪族多環式基で、かつ、R71とR72がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である場合:
73の脂肪族多環式基については、上述したR72とR73とが相互に結合して形成する脂肪族多環式基の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。
71〜R73の全てが相互に結合した脂肪族多環式基である場合:
上記(A1)成分における構成単位(a4)についての説明で例示した構成単位と同様のものが挙げられる。具体的には、上記一般式(a4−2)で表される構成単位が好適なものとして挙げられる。
以下に、上記一般式(f2−1)で表される構成単位の具体例を示す。
なお、下記一般式(f2−1−14)、(f2−1−15)〜(f2−1−17)、(f2−1−31)は、上記一般式(a4−1)、(a4−3)〜(a4−5)、(a4−2)とそれぞれ同じである。
Figure 0005412139
(F2)成分中、構成単位(f2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、構成単位(f2)は、前記一般式(f2−1)における基「−C(R71)(R72)(R73)」が2回目のパターニングの際に解離しないもの、又は解離しにくいものほど好ましい。
ここでいう「2回目のパターニングの際に解離しないもの、又は解離しにくいもの」とは、構成単位(f2)の場合、以下に示す(i)、(ii)の構成単位が該当する。
(i)基「−C(R71)(R72)(R73)」が酸非解離性基である構成単位:
前記一般式(f2−1)においては、R72とR73とが相互に結合して脂肪族多環式基を形成しかつR71が水素原子である場合の構成単位、R71〜R73の全てが相互に結合した脂肪族多環式基である場合の構成単位が、(i)の構成単位に該当する。
(ii)基「−C(R71)(R72)(R73)」が、露光後、ベーク温度90℃以下の温度条件でベーク処理を施した際に解離しない基である構成単位:
(ii)の構成単位としては、たとえば、前記一般式(f2−1)において、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子(−O−)から、基「−C(R71)(R72)(R73)」が解離するのに必要なエネルギー(脱保護エネルギー)が8.5(kcal/mol)以上である構成単位が挙げられる。かかる構成単位は、脱保護エネルギーが9〜20(kcal/mol)であるものがより好ましく、9.5〜15(kcal/mol)であるものがさらに好ましい。脱保護エネルギーが下限値以上であると、ダブルパターニングプロセスにおいて、2回目のパターニングの際に当該基が解離しにくいため、第一のレジストパターンの形状等が損なわれにくくなる。
前記一般式(f2−1)においては、R71〜R73がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である場合の構成単位、R72とR73とが相互に結合して脂肪族多環式基を形成しかつR71がメチル基である場合の構成単位、R73が脂肪族多環式基でかつR71とR72がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である場合の構成単位が、(ii)の構成単位に該当する。
なお、基「−C(R71)(R72)(R73)」の脱保護エネルギーは、以下の工程1〜4を含む解析方法による解析結果から、求めることができる。
工程1:本発明に係る、(F2)成分を含有するポジ型レジスト組成物を調製する。
工程2:工程1で調製したポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、全面露光を行う。このときの露光量は、レジストパターニングにおける最適露光量(Eop)と同量とする。
工程3:露光処理後のレジスト膜に対し、リソテックジャパン株式会社製の脱保護反応解析装置(製品名:PAGA−100)を用いて脱保護反応の解析を行う(本装置は、露光後加熱(PEB)処理を行いながら、レジスト膜のIRスペクトルを採取することにより、PEB処理中のポジ型レジスト組成物の構造変化を確認することができる。)。
工程4:複数のPEB温度に対してデータ採取を行い、解析を行う。
(F2)成分中、構成単位(f2)の割合は、(F2)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜80モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましく、15〜50モル%がさらに好ましく、20〜40モル%が特に好ましい。構成単位(f2)の割合が前記範囲の下限値以上であると、本発明の効果がより向上する。また、レジストパターンの形成において、露光時には疎水性であって、露光、PEBを行った際に親水性が高まるという特性がより顕著になる。また、ラインアンドスペースパターンにおいてはブリッジディフェクトが抑制でき、コンタクトホールパターンにおいては開口不良ディフェクトが抑制できる。また、炭化水素基の割合が高まり、スキャン追随性が向上する。上限値以下であると、構成単位(f1)とのバランスが良好となる。
[その他の構成単位]
(F)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位(f1)、構成単位(f2)以外の構成単位(以下「構成単位(f3)」という。)を有していてもよい。
構成単位(f3)としては、構成単位(f1)を誘導する化合物および構成単位(f2)を誘導する化合物と共重合可能な化合物から誘導される構成単位であればよく、特に限定されない。かかる構成単位としては、これまで化学増幅型レジスト用のベース樹脂における構成単位として提案されているもの(たとえば上述した構成単位(a1)〜(a4)等)が挙げられる。
本発明において、(F2)成分は、構成単位(f1)と構成単位(f2)とを有する含フッ素高分子化合物であり、かかる含フッ素高分子化合物としては、構成単位(f1)および構成単位(f2)からなる共重合体;構成単位(f1)、構成単位(f2)および構成単位(f3)からなる共重合体等が挙げられる。
なかでも、(F2)成分としては、構成単位(f1)および構成単位(f2)からなる共重合体が特に好ましい。
(F2)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜35000がより好ましく、4000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分中、(F2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、(F)成分は、(F1)成分および(F2)成分からなる群から選択される少なくとも一種の含フッ素樹脂成分を含むものであり、なかでも(F1)成分又は(F2)成分であることが好ましい。
(F1)成分若しくは(F2)成分、又はこれらの混合物の合計の含有量は、(F)成分中、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよく、100質量%であることが最も好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、本発明の効果がより向上する。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(F)成分は、前記(F1)成分又は(F2)成分に該当しない、従来から知られている多数の含フッ素化合物成分を含有してもよい。
(F)成分の全体の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜100000が好ましく、3000〜100000がより好ましく、4000〜50000がさらに好ましく、5000〜50000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、当該(F)成分を構成する各構成単位を誘導するモノマーを、たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
構成単位(f2)を誘導するモノマーとしては、CH=C(R)−C(=O)−O−C(R71)(R72)(R73)[式中、R、R71、R72、R73はそれぞれ前記と同じである。]で表される化合物が挙げられ、かかる化合物としては市販のものが利用できる。
構成単位(f1)を誘導するモノマーとしては、塩基解離性基と、重合性基とが2価の連結基を介して結合した化合物が挙げられる。
「重合性基」とは、当該重合性基を有する化合物がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、たとえばエチレン性二重結合を有する基が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、たとえば、CH=CR−で表される基(式中、Rは前記と同じである。)が挙げられる。
2価の連結基としては、−Aaryl−X01−(式中、Aaryl、X01はそれぞれ前記と同じである。)、−C(=O)−O−X−(式中、Xは前記と同じである。)で表される基等が挙げられる。
たとえば前記一般式(f1−1)で表される構成単位を誘導するモノマー、前記式(f1−2)で表される構成単位を誘導するモノマーとしては、それぞれ、下記一般式(f0−1)表される含フッ素化合物、下記一般式(f0−2)で表される含フッ素化合物が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中、R、X、Aaryl、X01およびRはそれぞれ前記と同じである。]
式(f0−1)または(f0−2)で表される含フッ素化合物(以下「含フッ素化合物(F0)」という。)は、たとえば、下記一般式(f0−1−0)または(f0−2−0)で表される化合物(以下まとめて「化合物(V−1)」という。)のカルボキシ基にR[Rは前記と同じである。]を導入する(カルボキシ基末端の水素原子をRで置換する)ことにより製造できる。
の導入は、従来公知の方法を利用して行うことができる。たとえば、化合物(V−1)と、下記一般式(V−2)で表される化合物(V−2)とを反応させることにより、含フッ素化合物(F0)を製造することができる。
Figure 0005412139
[式中、R、X、Aaryl、X01、およびRはそれぞれ前記と同じである。]
化合物(V−1)と化合物(V−2)とを反応させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、反応溶媒中、塩基の存在下で、化合物(V−1)および化合物(V−2)を接触させる方法が挙げられる。
化合物(V−1)、化合物(V−2)としては、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
化合物(V−1)としては、たとえば、カルボキシアルキル(メタ)アクリレート、こはく酸モノ((メタ)アクリロイルオキシアルキル)等のアクリル酸エステルから誘導される低分子化合物;アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する高分子化合物等を用いることができる。
化合物(V−2)としては、たとえばフッ素化アルキルアルコール等を用いることができる。
反応溶媒としては、原料である化合物(I)および化合物(II)を溶解できるものであればよく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
塩基としては、たとえばトリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基;水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基等が挙げられる。
縮合剤としては、例えばエチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール等のカルボジイミド試薬やテトラエチルピロホスフェイト、ベンゾトリアゾール−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop試薬)等が挙げられる。
また、必要に応じて酸を用いてもよい。酸としては、脱水縮合等で通常用いられるものを使用することができ、具体的には塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物(V−2)の添加量は、化合物(V−1)に対し、およそ1〜3当量が好ましく、1〜2当量がより好ましい。
反応温度は、−20〜40℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
反応時間は、化合物(V−1)および化合物(V−2)の反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、30〜480分間が好ましく、60〜360分間がより好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜40質量部がより好ましく、0.5〜30質量部が特に好ましく、1〜15質量部が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であると、ダブルパターニングプロセスにおいて、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できる、という本発明の効果がさらに向上する。また、当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光用として好適な疎水性を有するものとなる。上限値以下であると、リソグラフィー特性が向上する。
<任意成分>
[(D)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物は、任意の成分として、さらに、含窒素有機化合物成分(D)(以下「(D)成分」という。)を含有することが好ましい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよく、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、中でも(D)成分としてトリアルキルアミンを用いることが好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
[(E)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[(S)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤(以下「(S)成分」という。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
(S)成分は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、PGMEA、PGME、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
レジスト材料の(S)成分への溶解方法としては、たとえば、上記各成分を通常の方法で混合、撹拌するだけでも行うことができ、また、必要に応じディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
以上説明した、本発明のポジ型レジスト組成物によれば、ダブルパターニングプロセスにおいて、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できる、という効果を有する。その理由は、以下のように推測される。
ダブルパターニングプロセスにおいて、含フッ素化合物成分(F)を含有する従来のポジ型レジスト組成物を、第一のレジスト組成物として用いた場合、たとえば第一のパターンの形状の変化(高さの減少(膜減り)、ラインパターンのライン幅の減少(パターン細り)等)が生じたり、第一のパターンそのものが消滅したりする等の問題がある。これは、第一のパターンに含まれる従来の(F)成分が、露光後の低温(たとえば90℃以下)によるベーク処理で解離しやすい等、脱保護エネルギーが比較的低い酸解離性基を含んでいたため、その酸解離性基が2回目のパターニングの際、酸の作用により解離しやすかったことに起因する、と考えられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、塩基解離性基を含む構成単位(f1)のみを有する含フッ素高分子化合物(F1)および前記構成単位(f1)と一般式(f2−1)で表される構成単位(f2)とを有する含フッ素高分子化合物(F2)からなる群から選択される少なくとも一種の含フッ素樹脂成分を含む。(F1)成分は、酸解離性基を含むことを必須とするものではなく、(F2)成分は、脱保護エネルギーが高めの酸解離性基を含むものである。したがって、本発明に係る(F)成分においては、2回目のパターニングの際、酸解離性基の解離が起きない、または起きにくい。そのため、本発明のポジ型レジスト組成物は、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できる、と考えられる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できることから、ダブルパターニングプロセスにおける第一のレジスト組成物用として用いられるものである。
すなわち、本発明のポジ型レジスト組成物は、支持体上に、第一のレジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する工程と、前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二のレジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する工程と、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法において、前記第一のレジスト組成物として用いられるポジ型レジスト組成物である。
かかるレジストパターン形成方法における各工程の説明は、後述する本発明の第二の態様である≪レジストパターン形成方法≫における各工程の説明と同様である。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、上記本発明のポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する工程(以下「膜形成工程(1)」という。)と、前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(以下「パターニング工程(1)」という。)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する工程(以下「膜形成工程(2)」という。)と、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程(以下「パターニング工程(2)」という。)とを含む。
以下、各工程について、より詳細に説明する。
[膜形成工程(1)]
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層膜が挙げられる。特に、有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを形成でき、半導体の製造等において有用であることから好ましい。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と、下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法とに分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基材上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
支持体上に、第一のレジスト組成物として上記本発明のポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。第一のレジスト組成物として本発明のポジ型レジスト組成物を用いることにより、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できる。
具体的には、たとえば支持体上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いることにより、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、80〜150℃の温度条件下、ベーク処理(プレベーク)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、有機溶剤を揮発させることにより第一のレジスト膜を形成できる。
第一のレジスト膜の厚さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
[パターニング工程(1)]
次に、前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する。
具体的には、たとえば上記のようにして形成した第一のレジスト膜を、フォトマスクを介して選択的に露光し、好ましくは露光後加熱(PEB)処理を施し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。
フォトマスクとして、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。
当該バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
当該ハーフトーン型位相シフトマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが用いられる。
なお、フォトマスクを介さない露光、たとえばEB等による描画により選択的露光を行ってもよい。
第一のレジスト膜の選択的露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光で行ってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスクを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、当該浸漬露光によって露光される第一のレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
PEB処理は、第一のレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるベーク温度で行う。
すなわち、第一のレジスト膜は、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物からなるものであり、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物からなるレジスト膜は、露光後、PEB処理を行うことで、酸発生剤成分から発生した酸の当該レジスト膜内での拡散と、該酸の作用による当該レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性の増大とが進行する。
具体的には、たとえば所定のパターンが形成されたフォトマスクを介して第一のレジスト膜を選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施される。
PEB処理後、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する。
アルカリ現像は、アルカリ水溶液、例えば濃度0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、公知の方法により実施できる。かかるアルカリ現像により、第一のレジスト膜の露光部が除去されて第一のレジストパターンが形成される。
上記アルカリ現像後、水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で行われるため)通常100℃程度の条件で行われ、処理時間は、好ましくは30〜90秒間である。
[膜形成工程(2)]
次に、第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二のレジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する。たとえば、第一のレジストパターンがラインアンドスペースのレジストパターン(以下「LSパターン」という。)である場合、そのLSパターンにおける複数のレジストパターン間のスペース部を充填するように、第二のレジスト膜を、第一のレジスト膜と同様、従来公知の方法によって形成することができる。
第二のレジスト膜の膜厚は、少なくとも、第一のレジストパターンの高さと同じか、それよりも厚いことが好ましい。すなわち、支持体を第二のレジスト膜側から見た場合に、その表面が平坦であることが好ましい。
[パターニング工程(2)]
次に、前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する。
具体的には、たとえば、第二のレジスト膜の、複数のレジストパターンが形成された位置とは異なる位置を、フォトマスクを介して選択的に露光し、PEB処理を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する。
これにより、化学増幅型レジスト組成物がポジ型の場合には第二のレジスト膜の露光部、化学増幅型レジスト組成物がネガ型の場合には未露光部がそれぞれ除去されて、前記LSパターンにおいては、複数のレジストパターン間に、それぞれ、新しく複数のレジストパターンが形成される。その結果、支持体上に、複数のレジストパターンと、第二のレジスト膜に新たに形成された複数のレジストパターンとからなるレジストパターンが形成される。
ここで、本発明においては、第一のレジストパターンと完全に一致する場合以外はすべて「第一のレジストパターンを形成した位置とは異なる位置」であり、全く重複していない場合、および一部重複している場合を含むものとする。
本発明においては、たとえば、最終的にラインアンドスペースのレジストパターンを形成する場合、第一のレジストパターンを形成した位置と、パターニング工程(2)で選択的に露光する位置とが全く重複しないことが好ましい。これにより、パターニング工程(1)で形成した第一のレジストパターンよりも、パターン間の間隔(ピッチ)が狭い狭ピッチのパターンが形成できる。
第二のレジスト膜の選択的露光は、たとえばパターニング工程(1)で用いたフォトマスクを、露光位置を若干ずらすことにより実施できる。また、このとき、パターニング工程(1)で用いたフォトマスクとは別のフォトマスクを使用してもよい。
第二のレジスト膜から形成されるレジストパターンの位置は、第一のレジストパターンの位置と全く重複していなくてもよく、第一のレジストパターンの位置と一部重複していてもよいが、第二のレジスト膜から形成されるレジストパターンの位置と、第一のレジストパターンの位置とが全く重複していないことが好ましい。これにより、パターニング工程(1)で形成した第一のレジストパターンよりも、パターン間の間隔(ピッチ)が狭い狭ピッチのレジストパターンが得られる。
たとえばラインアンドスペースのレジストパターンを形成する場合を例に挙げると、パターニング工程(1)で、複数のラインが一定のピッチで配置されたラインアンドスペースのフォトマスクを用いてラインアンドスペースのレジストパターンを形成した後、パターニング工程(2)で、当該フォトマスクの位置を変更して、パターニング工程(1)で形成したラインパターンとラインパターンとの中間位置にラインパターンを形成することにより、最初に形成したラインアンドスペースのレジストパターン(疎パターン)よりも狭ピッチの、ラインアンドスペースのレジストパターン(密パターン)が形成される。
「疎パターン」としては、ラインアンドスペースのレジストパターンにおいて、ライン幅:スペース幅=1:2以上にスペース幅が広いラインアンドスペースパターンが好ましい。
露光後、PEB処理を行う。
PEB処理は、パターニング工程(1)におけるPEB処理と同様の方法によって行うことができる。
PEB処理後、第二のレジスト膜のアルカリ現像を行う。アルカリ現像は、アルカリ水溶液、例えば濃度0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、公知の方法により実施できる。かかるアルカリ現像により、化学増幅型レジスト組成物がポジ型の場合には第二のレジスト膜の露光部、化学増幅型レジスト組成物がネガ型の場合には未露光部がそれぞれ除去されてレジストパターンが形成される。
上記アルカリ現像後、水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で行われるため)通常100℃程度の条件で行われ、処理時間は、好ましくは30〜90秒間である。
本発明のレジストパターン形成方法においては、狭ピッチの密なラインアンドスペースパターンを容易に形成できることから、前記第一のレジストパターンが、ラインアンドスペースのレジストパターンであることが好ましい。
具体的には、例えば、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:3のラインアンドスペースパターン(疎パターン)を形成した後、フォトマスクを、ラインの方向に対して垂直方向に200nm平行移動させ、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:3のラインアンドスペースパターンを形成する。その結果、ライン幅100nm、ライン幅:スペース幅=1:1のラインアンドスペースパターン(密なパターン)を形成することができる。
また、パターニング工程(1)で用いたフォトマスクを回転移動させたり、パターニング工程(1)で用いたフォトマスクとは異なるフォトマスク(たとえば、パターニング工程(1)においてラインアンドスペースのフォトマスク、パターニング工程(2)においてホールのフォトマスク等)を用いたりすること等により、微細なレジストパターン、および/または、多様な形状のレジストパターンを形成することができる。さらに、パターニング工程(1)で得られた第一のラインアンドスペースのレジストパターンに対して直交させた位置関係で露光し現像する、すなわち、クロスラインパターニングを行うことにより、ホール状又は格子状のレジストパターンを形成することもできる。
本発明のレジストパターン形成方法においては、上記パターニング工程(2)の後、さらに、上述した膜形成工程(2)およびパターニング工程(2)と同様の操作を複数回繰り返して行ってもよい。すなわち、上記パターニング工程(2)でレジストパターンが形成された支持体上に、第二のレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成し、該レジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する操作を複数回行ってもよい。これにより、さらに狭ピッチのより密なパターンや複雑な形状のパターンを形成することができる。
本発明のレジストパターン形成方法においては、上記パターニング工程(2)の後、形成されたレジストパターンをマスクとして用いて、支持体のエッチングを行ってもよい。このように支持体をエッチングすることにより、半導体デバイス等を製造することができる。
エッチングの方法は、公知の方法が利用できる。たとえば有機膜(レジストパターン、有機系の反射防止膜等)のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、酸素プラズマエッチング、またはCFガスもしくはCHFガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが好ましい。
基板や無機系の反射防止膜のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングが好ましく、特にCFガス又はCHFガスを用いたエッチングが好ましい。
(化学増幅型レジスト組成物)
本発明のレジストパターン形成方法においては、第二のレジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物が用いられる。
当該化学増幅型レジスト組成物は、化学増幅型のポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよく、化学増幅型のポジ型レジスト組成物であることが好ましい。
・化学増幅型のポジ型レジスト組成物について
化学増幅型のポジ型レジスト組成物としては、特に限定されるものではなく、従来ArFレジスト等において多数提案されているポジ型レジスト組成物の中から、使用する露光光源、リソグラフィー特性等に応じて適宜選択して用いることができる。
化学増幅型のポジ型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを有機溶剤(S)に溶解してなるものが一般的である。
かかる化学増幅型のポジ型レジスト組成物において、(A)成分、(B)成分は、上記本発明のポジ型レジスト組成物における(A)成分、(B)成分と同様のものが挙げられる。
[(S)成分]
(S)成分としては、第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤(以下「(S)成分」という。)を含むものが好ましい。
(S)成分が(S)成分を含むことにより、第一のレジストパターンが形成された支持体上に、第二のレジスト組成物として当該化学増幅型のポジ型レジスト組成物を塗布した際に、第一のレジストパターン形状が良好に保たれ、レジストパターンを安定に形成することができる。
ここで、「第一のレジスト膜を溶解しない」とは、支持体上に上記本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、乾燥させて、23℃条件下、膜厚0.2μmのレジスト膜を形成し、これを当該有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても、当該レジスト膜の消失または膜厚の顕著な変動が生じない(好ましくは、該レジスト膜の膜厚が0.16μm以下とならない。)ことを示す。
かかる化学増幅型のポジ型レジスト組成物において、(S)成分は、(S)成分を単独で用いてもよく、上記本発明のポジ型レジスト組成物における(S)成分についての説明において例示したものと併用してもよい。
(S)成分としては、第一のレジスト膜を溶解せず、かつ、かかる化学増幅型のポジ型レジスト組成物の各成分を溶解するものが好ましく、具体的には、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点から、アルコール系有機溶剤が好ましい。
ここで、「アルコール系有機溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。前記脂肪族炭化水素を構成する主鎖の構造は、鎖状構造であってもよく、環状構造であってもよく、該鎖状構造中に環状構造を有していてもよく、また、該鎖状構造中にエーテル結合を含むものであってもよい。
「フッ素系有機溶剤」とは、フッ素原子を含む化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「水酸基を有さないエーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、水酸基を有さず、かつ常温常圧下で液体である化合物である。該水酸基を有さないエーテル系有機溶剤は、さらに、水酸基に加えてカルボニル基も有さないことが好ましい。
アルコール系有機溶剤としては、1価アルコールがさらに好ましく、その中でも、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価アルコール、3価アルコール及びその誘導体は含まれない。
アルコール系有機溶剤の沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
かかるアルコール系有機溶剤としては、たとえば1価アルコール、2価アルコールが挙げられ、具体的には、鎖状構造のものとしてプロピレングリコール(PG);1−ブトキシ−2−プロパノール(BP)、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、n−ペンチルアルコール、s−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも呼ぶ。)、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール等が挙げられる。
また、環状構造を有するものとしてシクロペンタンメタノール、1−シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール(CM)、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6−テトラヒドロベンジルアルコール、exo−ノルボルネオール、2−メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5−ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
アルコール系有機溶剤のなかでは、鎖状構造の1価アルコールが好ましく、1−ブトキシ−2−プロパノール(BP);イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール、n−ブタノールが好ましく、1−ブトキシ−2−プロパノール(BP)が最も好ましい。
フッ素系有機溶剤としてはパーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、下記一般式(s−1)で表される化合物が好適なものとして挙げられる。
40−O−R41 …(s−1)
[式中、R40、R41はそれぞれ独立して炭化水素基である。または、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。−O−はエーテル結合を示す。]
前記式中、R40、R41の炭化水素基としては、たとえばアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。なかでも、R40、R41のいずれもアルキル基であることが好ましく、R40とR41とが同じアルキル基であることがより好ましい。
40、R41の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、レジスト組成物の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
40、R41の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。
40およびR41は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R40の末端と、R41の末端とが結合して環を形成する。また、アルキレン基の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。
かかるエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の沸点(常圧下)は、30〜300℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。該温度範囲の下限値以上であることにより、レジスト組成物の塗布時のスピンコート中、(S)成分が蒸発しにくくなって塗布ムラが抑制され、塗布性が向上する。一方、上限値以下であることにより、プリベークによって(S)成分がレジスト膜中から充分に除かれ、第二のレジスト膜の形成性が向上する。また、該温度範囲であると、レジストパターンの膜減り低減効果、保存時の組成の安定性がより向上する。また、PAB工程やPEB工程の加熱温度の観点からも好ましい。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点171℃)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、レジストパターンの膜減り低減効果が良好なことから、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤であることが好ましく、なかでも1,8−シネオール、ジブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(S)成分において、上記有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、通常、当該化学増幅型レジスト組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
かかる化学増幅型のポジ型レジスト組成物は、任意の成分として、さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有することが好ましく、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)を含有させることもできる。これら(D)成分、(E)成分は、上記本発明のポジ型レジスト組成物における(D)成分、(E)成分と同様のものが挙げられる。
また、かかる化学増幅型のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
・化学増幅型のネガ型レジスト組成物について
化学増幅型のネガ型レジスト組成物としては、アルカリ現像液に可溶性の樹脂(アルカリ可溶性樹脂)成分(A’)(以下「」(A’)成分」という。)、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)成分(以下「(B’)成分」という。)および架橋剤成分(C’)(以下「(C’)成分」という。)を有機溶剤(S’)(以下「(S’)成分」という。)に溶解してなるものが一般的である。
かかるネガ型レジスト組成物においては、露光により(B’)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により(A’)成分と(C’)成分との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して可溶性から、アルカリ現像液に対して不溶性へと変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を、基板等の支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して不溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
かかるネガ型レジスト組成物としては、特に制限はなく、露光光源、リソグラフィー特性等に応じ、公知のネガ型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
[(A’)成分]
(A’)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ネガ型レジスト組成物、ArF用ネガ型レジスト組成物等のアルカリ可溶性樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有するノボラック樹脂、PHS系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるネガ型レジスト組成物における(A’)成分としては、フッ素化されたヒドロキシアルキル基(たとえば後述する一般式(a1’−1−1)で表される基等)を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
(A’)成分の好適なものとして、具体的には、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1’)を有する樹脂(A1’)が挙げられる。
また、樹脂(A1’)以外の、(A’)成分の好適なものとしては、たとえばフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位と、好ましくは、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位および/または環式構造を有さず、かつ、側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位を有する樹脂(A2’)が挙げられる。
[樹脂(A1’)]
樹脂(A1’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1’)を含む。
また、当該樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)に加えて、さらに、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2’)を有することが好ましい。
・構成単位(a1’)
構成単位(a1’)において、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に、フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合した基を意味する。
また、「脂肪族環式基を主鎖に有する」とは、該脂肪族環式基の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が、樹脂(A1’)の主鎖を構成することを意味する。
本発明においては、(A’)成分が、構成単位(a1’)を有する樹脂(A1’)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が高まって、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、脂肪族環式基(たとえば、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造など)を主鎖に有することにより、炭素密度が高まってエッチング耐性も向上する。
ここで、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基において、当該ヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子の一部または全部がフッ素原子によって置換されているものである。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基においては、フッ素化によって、ヒドロキシ基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。該アルキル基の炭素数は、特に限定するものではないが、1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、4〜12であることが最も好ましい。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基におけるヒドロキシ基の数は、特に限定するものではないが、1つであることが好ましい。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシ基が結合した炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す。)に、フッ素化アルキル基および/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。
ここで、当該α位に結合するフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。また、該フッ素化アルキル基のアルキル基としては、炭素数が1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1がより好ましい。
「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」における脂肪族環式基は、単環式基であっても多環式基であってもよい。構成単位(a1’)において、脂肪族環式基は、エッチング耐性等に優れることから、多環であることが好ましい。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)、並びに該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等が含まれる。これらの脂肪族環式基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
ここで、「置換基を有する」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の原子または基)で置換されていることを意味する。本発明において、脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
単環式基としては、シクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な脂肪族環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のホトレジスト組成物用樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、工業上入手しやすいことから、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
これら例示した脂環式基の中でも、後述する構成単位(a1’−1)のように、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンから3個の水素原子を除いた基が好ましく、特にノルボルナンから3個の水素原子を除いた基が好ましい。
構成単位(a1’)としては、下記一般式(a1’−1)で表される構成単位(a1’−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a1’−1)を有することにより、特にアルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、解像性等のリソグラフィー特性も向上する。
Figure 0005412139
[式中、Zはフッ素化されたヒドロキシアルキル基であり、rは0または1である。]
式(a1’−1)中、rは0または1であり、工業上入手が容易であることから、0であることが好ましい。
また、式(a1’−1)中、Zで表される「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」は、上述と同様のものが挙げられる。
なかでも、Zとしては、下記一般式(a1’−1−1)で表される基であることが、レジストパターン形状に優れ、ラインエッジラフネス(LER)等が低減されることから好ましい。なお、「ラインエッジラフネス(LER)」とは、ライン側壁の不均一な凹凸のことをいう。
Figure 0005412139
[式中、R11”,R12”はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基であり、m”,n”はそれぞれ独立して1〜5の整数であり、qは1〜5の整数である。]
式(a1’−1−1)中、R11”,R12”は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。
低級アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
なかでも、R11”,R12”が共に水素原子であることが好ましい。
qは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、最も好ましくは1である。
m”およびn”は、それぞれ独立して1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。特に、合成上の面において優れていることから、m”およびn”が1であることが好ましい。
構成単位(a1’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)中、構成単位(a1’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、50〜90モル%が好ましく、55〜90モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a1’)を含有することによる効果が向上し、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・構成単位(a2’)
樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)に加えて、さらにヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2’)を含むことが好ましい。
本発明においては、(A’)成分が、かかる構成単位(a2’)を有する樹脂(A1’)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、(C’)成分との架橋性が高まり、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(コントラスト)が大きくなって、ネガ型レジスト組成物としてより充分に機能することができる。
かかる構成単位(a2’)としては、たとえば、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a210’)、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a220’)等が好ましく用いられる。
これら構成単位(a2’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
・・構成単位(a210’)
本発明において、構成単位(a210’)は、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位である。
構成単位(a210’)としては、前記構成単位(a1’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」において、フッ素化されていないヒドロキシアルキル基、すなわちアルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子がフッ素原子によって置換されていない以外は、前記構成単位(a1’)と同様の構成単位が好適なものとして挙げられる。
構成単位(a210’)としては、下記一般式(a2’−1)で表される構成単位(a2’−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a2’−1)を有することにより、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、良好なコントラストが得られやすく、エッチング耐性も向上する。
Figure 0005412139
[式中、R13”,R14”はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基であり、Y’は水素原子またはヒドロキシアルキル基であり、rは0または1であり、gは1〜3の整数である。]
前記一般式(a2’−1)で表される構成単位(a2’−1)は、ヒドロキシアルキル基を有するノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造を主鎖に有する構成単位である。
式(a2’−1)中、R13”,R14”は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基である。低級アルキル基としては、前記式(a1’−1−1)中のR11”,R12”で表される低級アルキル基と同様のものが挙げられる。なかでも、R13”,R14”が共に水素原子であることが好ましい。
Y’は、水素原子またはヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基としては、好ましくは炭素数が10以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは炭素数8以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状の低級ヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基における水酸基の数と結合位置は、特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
Y’としては、特に水素原子が好ましい。
rは0または1であり、0が好ましい。
gは1〜3の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a2’−1)の具体例としては、下記化学式(a2’−1−1)〜(a2’−1−7)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005412139
これらの中でも、上記化学式(a2’−1−1)、(a2’−1−2)、(a2’−1−3)が好ましい。
構成単位(a210’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)中、構成単位(a210’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、20〜45モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより、アルカリ溶解性が向上し、良好なコントラストが得られやすくなる等の構成単位(a210’)を含有することによる効果が向上する。他方、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・・構成単位(a220’)
構成単位(a220’)は、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
水酸基含有アルキル基は、水酸基含有環状アルキル基と水酸基含有鎖状アルキル基とに大別できる。
構成単位(a220’)が水酸基含有環状アルキル基を有する構成単位(以下、構成単位(a221’)と略記する。)の場合、レジストパターンの膨潤抑制効果が高くなる。
また、解像性も向上する。さらに、良好なコントラストやエッチング耐性も得られやすくなる。
構成単位(a221’)としては、たとえば、後述の樹脂(A2’)を構成する「水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a22’)」についての説明において例示する構成単位のうち、脂肪族環式基が飽和炭化水素基であるものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのα位に結合している置換基が、フッ素原子、フッ素化アルキル基であるものがより好ましく、フッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)であるものが最も好ましい。
構成単位(a220’)が水酸基含有鎖状アルキル基を有する構成単位(以下、構成単位(a222’)と略記する。)の場合、(A’)成分全体の親水性が高くなってアルカリ現像液に対する溶解性が高まり、解像性が向上する。また、レジストパターン形成時の架橋反応の制御性が良好となり、パターン形状や解像性が向上する。さらに、膜密度が向上する傾向があり、これにより、エッチング時の膜減りが抑制でき、耐熱性も向上する傾向がある。
構成単位(a222’)としては、たとえば、後述の樹脂(A2’)を構成する「環式構造を有さず、かつ、側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a23’)」についての説明において例示する構成単位のうち、ヒドロキシアルキル基を有するものが挙げられる。なかでも、アクリル酸エステルのエステル部にヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、そのなかでもアクリル酸エステルのα位に結合している置換基がフッ素原子、フッ素化アルキル基であるものがより好ましく、フッ素化アルキル基であるものが特に好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)であるものが最も好ましい。
構成単位(a220’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)中、構成単位(a220’)の割合は、樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a220’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
構成単位(a220’)が、前記構成単位(a221’)と前記構成単位(a222’)との両方を含む場合、両者の混合割合はモル比で、構成単位(a221’):構成単位(a222’)=9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがより好ましく、6:4〜7:3であることがさらに好ましい。
構成単位(a221’)と構成単位(a222’)とを、前記混合割合でバランスよく配合することによって良好な露光余裕度が得られる。また、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。さらに、エッチング耐性も向上する。
・他の構成単位
本発明に用いられるネガ型レジスト組成物において、樹脂(A1’)は、前記の各構成単位(a1’)、(a2’)以外の構成単位として、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の(A’)成分に用いられている構成単位を適宜用いることができる。
本発明においては、樹脂(A1’)は、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)の合計が、当該樹脂(A1’)を構成する全構成単位の合計に対して、70モル%以上を占めることを意味し、好ましくは80モル%以上である。中でも好ましいのは、構成単位(a1’)および構成単位(a2’)からなる樹脂である。
本発明において、樹脂(A1’)における構成単位(a1’)と構成単位(a2’)との組み合わせとしては、構成単位(a1’)と構成単位(a210’)との組み合わせが好ましい。当該組合せの一例として、下記化学式(A1’−1)〜(A1’−4)が挙げられる。
Figure 0005412139
樹脂(A1’)の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算値)は2000〜10000であることが好ましく、3000〜6000であることがさらに好ましく、3000〜5000であることが特に好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより良好なコントラストを得ることができ、上限値以下であることによりレジストパターンの膨潤を抑制することができる。その結果、解像性が向上する。また、パターンの膨潤を抑制できることから、焦点深度幅(DOF)特性の向上効果や、ラインエッジラフネス(LER)の抑制効果を得ることができる。また、上記質量平均分子量をこの範囲とすることは、レジストパターンの膨潤抑制効果も高い点から好ましい。質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがさらに好ましい。
(A’)成分において樹脂(A1’)を用いる場合、上記樹脂(A1’)の1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A1’)を用いる場合、(A’)成分中に含まれる樹脂(A1’)の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
[樹脂(A2’)]
樹脂(A2’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(a21’)を有する。
また、当該樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加え、好ましくは、さらに、水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a22’)を有する。
また、当該樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加え、または、構成単位(a21’)と構成単位(a22’)とに加え、好ましくは、さらに、環式構造を有さず、かつ、側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a23’)を有する。
・構成単位(a21’)
構成単位(a21’)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位である。構成単位(a21’)を含むことにより、アリカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、レジストの膨潤が抑制されて、パターン形状やLWR等のリソグラフィー特性が向上する。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基は、前記構成単位(a1’)のものと同様であり、脂肪族環式基(フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合する前の状態)としては、なかでもシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
構成単位(a21’)は、アクリル酸から誘導される構成単位であることが好ましく、特に、アクリル酸エステルのカルボニルオキシ基[−C(=O)−O−]の酸素原子(−O−)に上記脂肪族環式基が結合した構造(アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が上記脂肪族環式基で置換されている構造)が好ましい。
構成単位(a21’)として、より具体的には、下記一般式(1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005412139
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基を示し;y、t、xはそれぞれ独立して1〜5の整数である。]
式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。
Rの低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
Rのハロゲン化アルキル基は、炭素数5以下の低級アルキル基の水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置換された基である。低級アルキル基の具体例は、上記の説明と同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。ハロゲン原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
本発明においてRは、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
yは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
tは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
xは1〜3の整数であり、好ましくは1〜2の整数であり、1が最も好ましい。
前記一般式(1)で表される構成単位においては、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a21’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)中、構成単位(a21’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましく、40〜90モル%が特に好ましく、45〜85モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a21’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
・構成単位(a22’)
樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加えて、さらに水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a22’)を有することが好ましい。かかる構成単位(a22’)を有する樹脂(A2’)をネガ型レジスト組成物に配合すると、この構成単位(a22’)の水酸基(アルコール性水酸基)が、(B’)成分から発生する酸の作用によって(C’)成分と反応し、これにより樹脂(A2’)がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化する。
「水酸基含有脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基に水酸基が結合している基である。
脂肪族環式基に結合している水酸基の数は、1〜3個が好ましく、さらに好ましくは1個である。
脂肪族環式基は、単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基であることが好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂肪族環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基(水酸基が結合する前の状態)の具体例としては、上記構成単位(a21’)の脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
構成単位(a22’)の脂肪族環式基としては、なかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすいことから、好ましい。そのなかでも、シクロヘキシル基、アダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
脂肪族環式基には、水酸基以外に、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が結合していてもよい。
構成単位(a22’)において、水酸基含有脂肪族環式基は、アクリル酸エステルのエステル基(−C(=O)−O−)に結合していることが好ましい。
この場合、構成単位(a22’)において、アクリル酸エステルのα位(α位の炭素原子)には、水素原子に代わって、他の置換基が結合していてもよい。置換基としては、好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。
これらの説明は、上記構成単位(a21’)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいものは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基がより好ましく、最も好ましいものは水素原子である。
構成単位(a22’)の具体例として、例えば下記一般式(2)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005412139
[式中、Rは前記と同じであり;R”は水素原子、アルキル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基であり;r’は1〜3の整数である。]
式(2)中、Rは、上記一般式(1)中のRの説明と同様である。
”のアルキル基は、炭素数1〜5の低級アルキル基であることが好ましく、Rの低級アルキル基と同様である。
前記一般式(2)において、R、R”は水素原子であることが最も好ましい。
r’は1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
水酸基の結合位置は、特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に結合していることが好ましい。
構成単位(a22’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)中、構成単位(a22’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a22’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
・構成単位(a23’)
樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)に加えて、または、構成単位(a21’)および構成単位(a22’)に加えて、さらに、環式構造を有さず、かつ、側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a23’)を有することが好ましい。
構成単位(a23’)を含む樹脂(A2’)をネガ型レジスト組成物に配合すると、構成単位(a23’)のアルコール性水酸基が、前記構成単位(a22’)の水酸基とともに、(B’)成分から発生する酸の作用によって(C’)成分と反応する。そのため、樹脂(A2’)が、アルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化しやすくなり、解像性等のリソグラフィー特性向上の効果が得られる。また、膜減りが抑制できる。また、パターン形成時の架橋反応の制御性が良好となる。さらに、膜密度が向上する傾向がある。これにより、耐熱性が向上する傾向がある。さらにはエッチング耐性も向上する。
構成単位(a23’)において、「環式構造を有さない」とは、脂肪族環式基や芳香族基を有さないことを意味する。
構成単位(a23’)は、環式構造を有さないことにより、前記構成単位(a22’)と明らかに区別される。
側鎖にアルコール性水酸基を有する構成単位としては、例えば、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、上記構成単位(a21’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」におけるヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基は、例えば主鎖(アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂した部分)のα位の炭素原子に直接結合していてもよいし、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換してエステルを構成していてもよい。
構成単位(a23’)においては、これらのうち少なくとも一方または両方が存在していることが好ましい。
なお、α位にヒドロキシアルキル基が結合していない場合、α位の炭素原子には、水素原子に代わって、アルキル基またはハロゲン化アルキル基が結合していてもよい。これらについては、一般式(1)中のRの説明と同様である。
構成単位(23’)としては、下記一般式(3)で表される構成単位(a23’)が好ましい。
Figure 0005412139
[式中、R”は水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R”は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基であり、かつ、R”、R”の少なくとも一方はヒドロキシアルキル基である。]
”におけるヒドロキシアルキル基は、好ましくは炭素数が10以下のヒドロキシアルキル基であり、直鎖状、分岐鎖状であることが望ましく、更に好ましくは炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基であり、最も好ましくはヒドロキシメチル基またはヒドロキシエチル基である。
水酸基の数、結合位置は、特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
”におけるアルキル基は、好ましくは炭素数が10以下のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基であり、最も好ましくはエチル基、メチル基である。
”におけるハロゲン化アルキル基は、好ましくは、炭素数が5以下の低級アルキル基(好ましくはエチル基、メチル基)において、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
”におけるアルキル基、ヒドロキシアルキル基としては、R”のアルキル基、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
一般式(3)で表される構成単位として、具体的には、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸から誘導される構成単位(ただし、ここではアクリル酸エステルから誘導される構成単位は含まない。)、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位が挙げられる。
これらの中で、構成単位(a23’)が、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、膜密度の向上の点から好ましく、中でも(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸エチルエステルまたは(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸メチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a23’)が、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、架橋効率の点で好ましい。中でも、α−メチル−アクリル酸ヒドロキシエチルエステルまたはα−メチル−アクリル酸ヒドロキシメチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a23’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)中、構成単位(a23’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜30モル%が特に好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a23’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
・他の構成単位
樹脂(A2’)は、前記の各構成単位(a21’)〜(a23’)以外の構成単位として、共重合可能な他の構成単位を有していてもよい。
かかる構成単位としては、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の樹脂成分に用いられている構成単位が使用でき、たとえば、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a24’)が挙げられる。
構成単位(a24’)としては、上記ポジ型レジスト組成物の(A)成分における構成単位(a2)の説明において例示する構成単位と同様のものが挙げられる。
構成単位(a24’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
構成単位(a24’)を樹脂(A2’)に含有させる場合、樹脂(A2’)中の構成単位(a24’)の割合は、樹脂(A2’)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a24’)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
樹脂(A2’)は、特に構成単位(a21’)〜(a23’)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、構成単位(a21’)〜(a23’)の合計が50モル%以上を占めることを意味し、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上である。最も好ましくは100モル%である。すなわち樹脂(A2’)は、構成単位(a21’)、構成単位(a22’)および構成単位(a23’)からなる樹脂であることが最も好ましい。
樹脂(A2’)の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算値)は、好ましくは2000〜30000であり、より好ましくは2000〜10000であり、さらに好ましくは3000〜8000である。この範囲とすることにより、アルカリ現像液に対する良好な溶解速度が得られ、高解像性の点からも好ましい。当該質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。
(A’)成分においては、樹脂(A2’)を用いる場合、上記樹脂(A2’)の1種または2種以上を混合して用いることができる。
樹脂(A2’)を用いる場合、(A’)成分中に含まれる樹脂(A2’)の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
樹脂(A1’)、樹脂(A2’)等の(A’)成分は、例えば各構成単位を誘導するモノマーを常法によりラジカル重合する方法、国際公開第2004/076495号パンフレットに記載の方法等により合成することができる。
また、(A’)成分は、樹脂(A1’)、樹脂(A2’)以外に、従来のネガ型レジスト組成物に用いられている他の高分子化合物(ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂など)等を用いることもできる。
ネガ型レジスト組成物中の(A’)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
[(B’)成分]
酸発生剤成分(B’)としては、特に限定されず、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(B’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(B)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(B’)成分は、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のネガ型レジスト組成物における(B’)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
[(C’)成分]
架橋剤成分(C’)は、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
また、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物、エポキシ基を有する化合物が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤、エポキシ基を有する化合物を用いたものをエポキシ系架橋剤という。
(C’)成分としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、メラミンとホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
尿素系架橋剤としては、尿素とホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、尿素とホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもビスメトキシメチル尿素が好ましい。
アルキレン尿素系架橋剤としては、たとえば下記一般式(c1’−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005412139
[式中のR’とR’はそれぞれ独立に水酸基又は低級アルコキシ基であり、R’とR’はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基であり、vは0又は1〜2の整数である。]
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
vは0又は1〜2の整数であり、好ましくは0または1である。
アルキレン尿素系架橋剤としては、特に、vが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはvが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
上記一般式(c1’−1)で表される化合物は、アルキレン尿素とホルマリンを縮合反応させることにより、またこの生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
アルキレン尿素系架橋剤の具体例としては、例えば、モノ及び/又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化エチレン尿素等のエチレン尿素系架橋剤;モノ及び/又はジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化プロピレン尿素等のプロピレン尿素系架橋剤;1,3−ジ(メトキシメチル)4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリジノンなどを挙げられる。
グリコールウリル系架橋剤としては、N位がヒドロキシアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシアルキル基の一方又は両方で置換されたグリコールウリル誘導体が挙げられる。かかるグリコールウリル誘導体は、グリコールウリルとホルマリンとを縮合反応させることにより、またこの生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、エポキシ基を有するものであれば特に限定されず、任意に選択して用いることができる。その中でも、エポキシ基を2つ以上有するものが好ましい。エポキシ基を2つ以上有することにより、架橋反応性が向上する。
エポキシ基の数は、2つ以上であることが好ましく、より好ましくは2〜4つであり、最も好ましくは2つである。
エポキシ系架橋剤として好適なものを以下に示す。
Figure 0005412139
(C’)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C’)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が最も好ましい。(C’)成分の含有量が下限値以上であると、架橋形成が充分に進行し、膨潤の少ない良好なレジストパターンが得られる。また、この上限値以下であると、レジスト塗布液の保存安定性が良好であり、感度の経時的劣化が抑制される。
[任意成分]
ネガ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物成分(D’)(以下「(D’)成分」という。)を含有することが好ましい。
(D’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(D)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(D’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
ネガ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E’)(以下「(E’)成分」という。)を含有させることができる。
(E’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(E)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
(E’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
ネガ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[(S’)成分]
(S’)成分としては、上記ポジ型レジスト組成物の(S)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明においては、特に、(S’)成分として、当該ネガ型レジスト組成物の各成分を溶解することに加えて、第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤(以下「(S’)成分」という。)を含有することが好ましい。
(S)成分が(S’)成分を含有すると、第一のレジストパターンが形成された支持体上に、当該化学増幅型のネガ型レジスト組成物を塗布した際に、第一のレジストパターン形状が良好に保たれ、レジストパターンを安定に形成することができる。
この様な有機溶剤(S’)としては、上記化学増幅型のポジ型レジスト組成物の(S)成分で挙げた有機溶剤(S)と同様のものが挙げられる。
(S’)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
(S’)成分の使用量は特に限定されず、当該ネガ型レジスト組成物が、第一のレジストパターンが形成された支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
以上説明した、本発明のレジストパターン形成方法によれば、ダブルパターニングプロセスにおいて、ダブルパターニングプロセスにおいて、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できる。
また、本発明のレジストパターン形成方法により、2回目のパターニング前後における第一のレジストパターンの寸法変化が小さく、高解像性で、かつ、良好な形状のレジストパターンを安定に形成できる。さらに、本発明のレジストパターン形成方法によれば、フリージング剤等を用いる必要がなく、作業性が向上する。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<含フッ素樹脂成分の合成>
以下に示すように、各合成例により、含フッ素高分子化合物を合成した。
(合成例1)
化合物(1)−2の合成例:
窒素雰囲気下0℃で、メタクリル酸30g(348mmol)のTHF溶液300mlに、トリエチルアミン61g(600mmol)、ブロモ酢酸メチル64g(418 mmol)を加え、室温まで戻し、3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた反応物に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、減圧下で溶媒を留去して、化合物(1)−1を無色液体として47g得た(収率85%)。
次に、窒素雰囲気下、0℃で、化合物(1)−1の30g(190mmol)を溶解したTHF溶液700 mlに、2.38質量%TMAH水溶液700 mlを加え、室温で3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、減圧下でTHF溶媒を留去した。得られた反応水溶液に0℃下10N塩酸50mlを加え、酸性に調整した後、酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄し、減圧下で溶媒を留去して化合物(1)−2を無色液体として26g得た(収率95%)。
Figure 0005412139
化合物(1)−1、化合物(1)−2についてのH−NMRをそれぞれ測定した。その結果を以下に示す。
化合物(1)−1のスペクトルデータ:
H−NMR(CDCl) 6.23(s,1H,Hb),5.67(d,1H,Hb),4.13(s,2H,Hc),3.78(s,3H,Hd),2.00(s,3H,Ha)
化合物(1)−2のスペクトルデータ:
H−NMR(CDCl) 6.23(s,1H,Hb),5.67(d,1H,Hb),4.69(s,2H,Hc),2.00(s,3H,Ha)
Figure 0005412139
(合成例2)
化合物(1)の合成例:
窒素雰囲気下0℃で、2,2,2−トリフルオロエタノール23.48g(234.5mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩51.9g(270.6mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.11g(0.9mmol)のTHF溶液200 mlに、前記化合物化合物(1)−2の26g(180.39mmol)を加え、室温まで戻し、3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、反応液を0℃に冷やし、水を加えて反応を停止した。酢酸エチルで3回抽出し得られた有機層を水で2回洗浄した。減圧下溶媒留去して得られた粗製生物をシリカゲルろ過(酢酸エチル)により精製し、化合物(1)を無色液体として25g得た。
Figure 0005412139
得られた化合物(1)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)6.24(s,1H,Hb),5.70(s,1H,Hb),4.80(s,2H,Hc),4.60−4.51(m,2H,Hd),1.99(s,3H,Ha)
上記の結果から、化合物(1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005412139
(合成例3)
高分子化合物(F1−1)の合成例:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだフラスコ内で、5.00g(22.12mmol)の化合物(1)を、11.67gのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(和光純薬社製:V−601)1.1mmolを添加して溶解した。これを窒素雰囲気下、3時間かけて67℃にて重合反応を行った。所定時間の終了後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別し、ヘプタン/IPA(イソプロパノール)混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(F1−1)5gを得た。
この高分子化合物(F1−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は32,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は2.78であった。
Figure 0005412139
(合成例4)
高分子化合物(F2−1)の合成例:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコ内で、15.00g(66.37mmol)の化合物(1)と、5.18g(22.12mmol)の化合物(2)を、30.27gのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)4.4mmolを添加して溶解した。これを窒素雰囲気下、3時間かけて、67℃に加熱したテトラヒドロフラン16.82gに滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、反応液を4時間加熱撹拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別し、ヘプタン/IPA混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(F2−1)17gを得た。
この高分子化合物(F2−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は28,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は2.35であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、f1/f2=76.9/23.1であった。
Figure 0005412139
(合成例5)
高分子化合物(F2−2)の合成例:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコ内で、15.00g(66.37mmol)の化合物(1)と、3.14g(22.1mmol)の化合物(3)を、30gのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)4.4mmolを添加して溶解した。これを窒素雰囲気下、3時間かけて、67℃に加熱したテトラヒドロフラン17gに滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、反応液を4時間加熱撹拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別し、ヘプタン/IPA混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(F2−2)を得た。
この高分子化合物(F2−2)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は20,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は2.4であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、f1/f2=77/23であった。
Figure 0005412139
(合成例6)
高分子化合物(F3−1)の合成例:
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、20.00g(88.44mmol)の化合物(1)、6.60g(29.48mmol)の化合物(4)を39.90gのテトラヒドロフランを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を23.58mmol添加し溶解させた。これを窒素雰囲気下、3時間かけて、67℃に加熱したテトラヒドロフラン22.17gに滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、反応液を4時間加熱撹拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(F3−1)を13g得た。
この高分子化合物(F3−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は13,800であり、分散度(Mw/Mn)は1.50であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、f1/f3=77.6/22.4であった。
Figure 0005412139
<アルカリ現像液に対する分解性の評価>
上記合成例により得られた、それぞれエステル化合物である高分子化合物(F1−1)、高分子化合物(F2−1)、高分子化合物(F2−2)、高分子化合物(F3−1)を用いて、以下に示す方法により、アルカリ現像液に対する分解性試験を行った。
[アルカリ現像液に対する分解性試験]
スクリュー管に、高分子化合物0.1gと、テトラヒドロフラン4.9gと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38質量%水溶液5gとを加え、10時間室温で反応させた。その後、1N−HClにて中和させ、減圧濃縮によりテトラヒドロフランを除去後、水/酢酸エチルにて抽出操作を行い、有機層を減圧濃縮して生成物を得た。そして、得られた生成物の構造をH−NMRで確認することにより、アルカリ現像液に対する分解性を評価した。
かかる分解性試験の結果、高分子化合物(F1−1)、高分子化合物(F2−1)、高分子化合物(F2−2)、高分子化合物(F3−1)は、いずれも、分子内の「−O−CH−CF」が分解して分子内に「−C(=O)−OH」が生成する、すなわち、アルカリ現像液の作用によって分解反応を起こす、ことが確認できた。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
(実施例1〜3、比較例1〜2)
下記の表1に示す各成分を混合して溶解することによりポジ型レジスト組成物を調製した。
Figure 0005412139
表1中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
表中、「−」は未配合であることを意味する。
(A)−1:下記化学式(A1−11−1)で表される、Mw7000、Mw/Mn1.8の共重合体。式中、( )の右下の数値は、各構成単位の割合(モル%)を示す。
Figure 0005412139
(B)−1:下記化学式(b−3−1)で表される化合物。
(B)−2:下記化学式(b3−1)で表される化合物。
Figure 0005412139
(F)−1:前記高分子化合物(F3−1)。
(F)−2:前記高分子化合物(F1−1)。
(F)−3:前記高分子化合物(F2−1)。
(F)−4:前記高分子化合物(F2−2)。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1: サリチル酸。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
<2回目のパターニングによる第一のレジストパターンのダメージ低減効果の評価>
第一のレジスト組成物として表1に示す各例のポジ型レジスト組成物を用いて第一のレジストパターンを形成し、その後、2回目のパターニングを想定した種々の条件による処理をそれぞれ行った。そして、当該処理後の第一のレジストパターンの形状を観察することにより、2回目のパターニングによる第一のレジストパターンのダメージ低減効果について評価した。
・第一のレジストパターンの形成
[膜形成工程(1)]
まず、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、表1に示す各例のポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
[パターニング工程(1)]
次いで、該第一のレジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースのレジストパターンをターゲットとするマスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的にそれぞれ照射した。
そして、110℃、60秒間の条件で、露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥(*)を行った。
・種々の条件による処理
処理(1):
前記振り切り乾燥(*)を行った後、100℃、60秒間の条件でベーク処理(ポストベーク)して乾燥を行い、第一のレジストパターン(以下「1stパターン(PB100)」という。)を形成した。
処理(2):
1stパターン(PB100)が形成されたシリコンウェーハ上の中心付近に、1−ブトキシ−2−プロパノール(BP)5mLを滴下した後、回転時間30秒間、回転数約1500rpmの条件で回転させて、シリコンウェーハ全面にBPを広げ、振り切り乾燥を行った。
その後、120℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥した。
処理(3):
1stパターン(PB100)に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)のオープンフレーム露光(マスクを介さない露光)を、露光量10.0mJ/cmで行った。
そして、90℃、60秒間の条件で、露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
処理(4):
[パターニング工程(1)]における前記振り切り乾燥(*)を行った後、150℃、60秒間の条件でベーク処理(ポストベーク)して乾燥を行い、第一のレジストパターン(以下「1stパターン(PB150)」という。)を形成した。
処理(5):
1stパターン(PB150)が形成されたシリコンウェーハ上の中心付近に、1−ブトキシ−2−プロパノール(BP)5mLを、滴下した後、回転時間30秒間、回転数約1500rpmの条件で回転させて、シリコンウェーハ全面にBPを広げ、振り切り乾燥を行った。
その後、120℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥した。
処理(6):
1stパターン(PB150)に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)のオープンフレーム露光(マスクを介さない露光)を、露光量10.0mJ/cmで行った。
そして、90℃、60秒間の条件で、露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
・第一のレジストパターンのダメージ低減効果の評価
上記処理(1)〜(6)後のレジストパターンについて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、上空から見たパターン形状と、パターンの断面形状を観察することにより、第一のレジストパターンのダメージ低減効果を評価した。
かかる評価の結果、実施例1〜3のポジ型レジスト組成物は、処理(1)〜(6)のいずれの場合も、(F)成分が未配合の比較例1のポジ型レジスト組成物と同様に、良好な形状のレジストパターンを形成できることが確認できた。
一方、従来用いられている(F)成分を含有する比較例2のポジ型レジスト組成物は、特に処理(6)において、パターンの形状の変化(高さの減少(膜減り)、ラインパターンのライン幅の減少(パターン細り)等)が顕著に認められ、さらに第一のレジストパターンそのものが消滅していることが確認された。
したがって、本発明に係る実施例1〜3のポジ型レジスト組成物、及びこれらポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法によれば、ダブルパターニングプロセスにおいて、2回目のパターニングの影響を受けにくい第一のレジストパターンを形成できることが分かる。

Claims (7)

  1. 支持体上に、第一のレジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する工程と、
    前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程と、
    前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二のレジスト組成物として化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する工程と、
    前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程と
    を含むレジストパターン形成方法において、
    前記第一のレジスト組成物として用いられるポジ型レジスト組成物であり、
    酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、含フッ素化合物成分(F)とを含有し、
    前記含フッ素化合物成分(F)が、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基を含む構成単位(f1)のみを有する含フッ素高分子化合物(F1)および前記構成単位(f1)と下記一般式(f2−1)で表される構成単位(f2)とを有する含フッ素高分子化合物(F2)からなる群から選択される少なくとも一種の含フッ素樹脂成分を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
    Figure 0005412139
    [式中、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。R71〜R73はそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、R72とR73とが相互に結合して脂肪族多環式基を形成しかつR71が水素原子若しくはメチル基、R73が脂肪族多環式基でかつR71とR72がそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基、又はR71〜R73の全てが相互に結合した脂肪族多環式基である。]
  2. 前記構成単位(f1)が、下記の一般式(f1−1)又は一般式(f1−2)で表される構成単位である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 0005412139
    [式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。Xは二価の有機基であり、Aarylは置換基を有していてもよい二価の芳香族環式基であり、X01は単結合又は二価の連結基であり、Rはそれぞれ独立にフッ素原子を有する有機基である。]
  3. 前記基材成分(A)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂成分(A1)を含む請求項1又は2記載のポジ型レジスト組成物。
  4. 前記樹脂成分(A1)が、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項3記載のポジ型レジスト組成物。
  5. 前記樹脂成分(A1)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項3又は4記載のポジ型レジスト組成物。
  6. さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  7. 支持体上に、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成する工程と、
    前記第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程と、
    前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、化学増幅型レジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成する工程と、
    前記第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法。
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