JP2005091863A - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高解像性で、矩形性の良好なレジストパターンが得られるポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いたパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物において、前記樹脂成分(A)が、ヒドロキシスチレンから誘導される第1の構成単位(a1)、およびアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される第2の構成単位(a2)を含み、前記構成単位(a1)の水酸基および前記構成単位(a2)のアルコール性水酸基のうちの一部が前記酸解離性溶解抑制基で保護された共重合体(A1)であり、前記酸発生剤成分(B)が、ジアゾメタン系酸発生剤とオニウム塩系酸発生剤とを含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターンの形成方法に関する。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手法としては一般に露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザ(248nm)が導入され、さらに、ArFエキシマレーザ(193nm)が導入され始めている。
微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を有機溶剤に溶解した化学増幅型レジスト組成物が知られている。
KrFエキシマレーザを用いて露光する方法に好適なレジスト材料として提案されている化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、一般に、ベース樹脂として、ポリヒドロキシスチレン系樹脂の水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護したものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、その酸解離性溶解抑制基としては、1−エトキシエチル基に代表される鎖状エーテル基又はテトラヒドロピラニル基に代表される環状エーテル基等のいわゆるアセタール基、tert−ブチル基に代表される第3級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基に代表される第3級アルコキシカルボニル基等が主に用いられている。
一方、レジスト材料の面からの超微細化対応策に加え、パターン形成方法の面からも、レジスト材料のもつ解像度の限界を超える技術の研究・開発が行われている。
そのような微細化技術の1つとして、最近、通常のリソグラフィー技術によりレジストパターンを形成した後、該レジストパターンに熱処理を行い、パターンサイズを微細化するサーマルフロープロセスが提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。
サーマルフローは、ホトリソグラフィー技術により一旦レジストパターンを形成した後、レジストを加熱し、軟化させ、パターンの隙間方向にフローさせることにより、レジストパターンのパターンサイズ、つまり、レジストが形成されていない部分のサイズ(ホールパターンの孔径やラインアンドスペース(L&S)パターンのスペース幅など)を小さくする方法である。
特開平4−211258号公報 特開2000−188250号公報 特開2000−356850号公報
近年、微細化の速度がますます加速するなかで、レジスト材料にはさらなる解像性の向上が求められている。しかし、上述したような従来のポリヒドロキシスチレン系樹脂は、充分な解像性を有しているとはいえない。また、レジストパターンの断面形状において、例えばレジストパターン側壁の垂直性が悪かったり、ラインアンドスペース(L&S)パターン等のレジストパターンのトップ部の形状が丸みをおびるなど、矩形性がよくないという問題がある。このような矩形性の問題は、特に、現像後の加熱によりレジストをフローさせるサーマルフロープロセスにおいて重要となる。
よって本発明の課題は、高解像性で、矩形性の良好なレジストパターンが得られるポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
前記課題を解決する本発明の第1の発明は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物において、
前記樹脂成分(A)が、ヒドロキシスチレンから誘導される第1の構成単位(a1)、およびアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される第2の構成単位(a2)を含み、前記構成単位(a1)の水酸基および前記構成単位(a2)のアルコール性水酸基のうちの一部が前記酸解離性溶解抑制基で保護された共重合体(A1)であり、
前記酸発生剤成分(B)が、ジアゾメタン系酸発生剤とオニウム塩系酸発生剤とを含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
前記課題を解決する本発明の第2の発明は、基板上に、前記ポジ型レジスト組成物を用いてポジ型レジスト膜を形成し、該ポジ型レジスト膜に対して選択的に露光処理を行った後、現像処理を施してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を意味する。
本発明により、高解像性で、矩形性の良好なレジストパターンが得られるポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いたパターン形成方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
≪ポジ型レジスト組成物≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という)とを含む。
(A)成分においては、露光により(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。
そのため、レジストパターンの形成において、マスクパターンを介して露光すると又は露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性をのまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
<(A)成分>
本発明において、(A)成分は、ヒドロキシスチレンから誘導される第1の構成単位(a1)と、アルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される第2の構成単位(a2)を必須の構成単位として有し、第1の構成単位(a1)の水酸基および第2の構成単位(a2)のアルコール性水酸基のうちの一部が酸解離性溶解抑制基で保護された共重合体(以下、共重合体(A1)という)である。
この共重合体(A1)は、第1の構成単位(a1)および第2の構成単位(a2)のほかに、さらにスチレンから誘導される第3の構成単位(a3)を有していてもよい。
[第1の構成単位(a1)]
構成単位(a1)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位であり、下記一般式(I)で表される。即ち、ここでのヒドロキシスチレンとは、文字どおりのヒドロキシスチレン又はα−メチルヒドロキシスチレンの両方を意味する。
下記一般式(I)で表される構成単位(a1)において、水酸基の位置は、o−位、m−位、p−位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。
Figure 2005091863
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
[第2の構成単位(a2)]
構成単位(a2)は、アルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
共重合体(A1)は、構成単位(a2)を有することにより、従来の、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂(以下、PHS樹脂ということがある)よりも、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなっている。
すなわち、従来のPHS樹脂は、酸解離性溶解抑制基で保護した単位以外は全て、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(ヒドロキシスチレン単位)であった。ヒドロキシスチレン単位の水酸基は、フェノール性水酸基である。一方、共重合体(A1)は、ヒドロキシスチレン単位に代えて、フェノール性水酸基よりもアルカリ溶解性に劣るアルコール性水酸基をベース樹脂側鎖中の一部に導入しうる構成単位(構成単位(a2))を有している。そのため、共重合体(A1)のアルカリ現像液に対する溶解性が、PHS樹脂に比べて小さくなっている。これにより、保護率を低くしディフェクトを低減できるとともに解像性が向上できる。
したがって、本発明における構成単位(a2)は、そのような作用を有する限り、アルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位であれば、限定されるものではないが、高解像性、対ドライエッチング性に優れることから、アルコール性水酸基を有する脂肪族多環式基含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
上記アルコール性水酸基を有する脂肪族多環式基を構成する多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。この様な多環式基は、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
構成単位(a2)としては、特に、下記一般式(II)で表される、少なくとも1つのアルコール性水酸基を有するアダマンチル基含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を好適に用いることができる。
下記一般式(II)で表される構成単位(a2)の中で最も好ましいのは下記一般式(IIa)で表される構成単位である。
Figure 2005091863
(式中、Rは水素原子又はメチル基、xは1〜3の整数である。)
[酸解離性溶解抑制基]
共重合体(A1)においては、第1の構成単位(a1)の水酸基と第2の構成単位(a2)のアルコール性水酸基のうち、一部の水酸基が酸解離性溶解抑制基で保護されている必要がある。
前記酸解離性溶解抑制基としては、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物およびArF用ポジ型レジスト組成物における、酸解離性溶解抑制基として提案されているものを適宜用いることができ、例えば、tert−ブチル基、tert−アミル基、1‐メチルシクロペンチル基、1‐エチルシクロペンチル基、1‐メチルシクロヘキシル基、1‐エチルシクロヘキシル基等の鎖状又は環嬢の第3級アルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の環状エーテル基、又は下記一般式(III)で表される、1位が炭素数1〜8の鎖状、分岐状、又は環状のアルコキシ基で置換された1−低級アルコキシアルキル基等を用いることができる。この中でも、特に一般式(III)で表される1−低級アルコキシアルキル基が好ましい。それらの具体例としては、1−エトキシエチル基、1‐イソプロポキシエチル基のような鎖状又は分岐状アルコキシアルキル基、1‐シクロヘキシルオキシエチル基のような環状アルコキシアルキル基が挙げられ、それらの中でも特に、解像性能に優れることから、1−エトキシエチル基が好ましい。
Figure 2005091863
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜8の鎖状又は分岐状のアルキル基、または炭素数5〜7のシクロアルキル基を表す。)
本発明において、共重合体(A1)における水酸基の保護割合は、構成単位(a1)の水酸基と構成単位(a2)のアルコール性水酸基との合計の10モル%以上25モル%以下の範囲であることが好ましく、15モル%以上20モル%以下であることがより好ましい。
水酸基の保護割合を上記範囲の上限以下とすることにより、現像後のレジストパターンの矩形性が良好なものとなる。また、現像後のレジストパターンのパターン欠陥(現像欠陥)を効果的に防止することができる。一方、水酸基の保護割合を上記範囲の下限以上とすることにより、良好な解像性能が得られる。
共重合体(A1)において、酸解離性溶解抑制基で保護されている水酸基は、構成単位(a1)の水酸基であっても、構成単位(a2)のアルコール性水酸基であってもよく、特に限定されないが、構成単位(a1)の水酸基(ヒドロキシスチレンのフェノール性水酸基)のみ、又は構成単位(a1)の水酸基および構成単位(a2)のアルコール性水酸基の両方が、酸解離性溶解抑制基で保護されていることが好ましい。また、酸解離性溶解抑制基にも依存するが、構成単位(a1)の水酸基および構成単位(a2)のアルコール性水酸基の両方が酸解離性溶解抑制基で保護されていることがより好ましい。
共重合体(A1)において、前記酸解離性溶解抑制基で保護する前の共重合体の構成単位(a1)と前記構成単位(a2)とのモル比は85:15〜70:30の範囲内であることが好ましく、より好ましい範囲は82:18〜78:22である。
構成単位(a2)が上記の範囲より多いと、現像液に対する溶解性が不足し、他方、少ないと、構成単位(a2)を用いたことによる効果が十分に得られない。
また、共重合体(A1)において、前記酸解離性溶解抑制基で保護する前の共重合体の構成単位(a1)と構成単位(a2)との合計が、共重合体(A1)を構成する全構成単位の合計の90モル%以上であることが好ましい。90モル%より少ないと、解像性が劣化する傾向がある。構成単位(a1)と構成単位(a2)との合計は、より好ましくは95モル%以上であり、100モル%でもよい。
[第3の構成単位(a3)]
構成単位(a3)は、スチレンから誘導される構成単位であり、下記一般式(IV)で表される。即ち、ここでのスチレンとは、文字どおりのスチレンとα−メチルスチレンの両方を意味する。
Figure 2005091863
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
本発明において、構成単位(a3)は必須ではないが、これを含有させると、焦点深度が向上する、耐ドライエッチング性が向上するなどの利点が得られる。
構成単位(a3)を有する場合、共重合体(A1)中の構成単位(a3)の割合は、共重合体(A1)を構成する全構成単位の合計の0.5〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは2〜5モル%である。構成単位(a3)が上記範囲より多いと、現像液に対する溶解性が劣化する傾向にある。
共重合体(A1)において、水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護される前の共重合体の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算、以下同様)は、2000以上8500以下であることが好ましく、より好ましくは4500以上8500以下である。該質量平均分子量が8500以下であると、得られるレジストパターンの矩形性が向上する。また、マイクロブリッジの発生を防止することができる。また、該質量平均分子量が2000以上であると耐エッチング性や耐熱性が良好である。
ここでのマイクロブリッジとは、現像欠陥の一種であり、例えばラインアンドスペースパターンにおいて、隣接するレジストパターンの表面に近い部分どうしがレジストでつながれて橋かけ状態になった欠陥をいう。マイクロブリッジは、質量平均分子量が高いほど、また露光後加熱(PEB)の温度が高いほど発生し易い。
また、共重合体(A1)の、水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護される前における分散度(Mw/Mn比)は、分散度が小さい単分散であると、解像性に優れ好ましい。具体的には、2.0以下、好ましくは1.5以下である。
共重合体(A1)は、例えば、水酸基が保護されていない、構成単位(a1)に相当するモノマーと、水酸基が保護されていない、構成単位(a2)に相当するモノマーとを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス(2−メチルプロピオネート)のようなラジカル重合開始剤を用いる公知のラジカル重合法等の常法により共重合させた後、構成単位(a1)および/または構成単位(a2)の水酸基を、周知の手法により酸解離性溶解抑制基で保護する方法により製造することができる。
または、構成単位(a1)の水酸基が予め酸解離性溶解抑制基で保護された構成単位に相当するモノマーを調製し、このモノマーと構成単位(a2)に相当するモノマーとを常法により共重合させた後、加水分解により、酸解離性溶解抑制基で保護された水酸基の一部を水酸基に変え、さらに必要であれば構成単位(a2)の水酸基を、周知の手法により酸解離性溶解抑制基で保護する方法によっても製造することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物における共重合体(A1)、すなわち(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。一般的には、固形分濃度にして、8〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
<(B)成分>
本発明において、(B)成分としては、少なくとも1種のジアゾメタン系酸発生剤と、少なくとも1種のオニウム塩系酸発生剤の両方が用いられる。上記(A)成分と、この酸発生剤の混合物とを組み合わせて用いることにより、高解像性の、矩形性の良好なレジストパターンが形成できる。
ジアゾメタン系PAGとしては、従来公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができ、中でも、透明性、適度な酸の強度、およびアルカリ溶解性などの点から、例えば、下記一般式(V)で表されるビスアルキルスルホニルジアゾメタン等が好ましく用いられる。
Figure 2005091863
式(V)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数3〜8、好ましくは4〜7の分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基を表す。R及びRとして、より具体的には、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等を例示することができる。これらの中でも、シクロヘキシル基は、得られるレジストパターンの矩形性がさらに改善され、また、解像性も向上するため好ましい。この理由としては、シクロヘキシル基が嵩高い基であるため、発生した酸がレジスト中を拡散しにくいことが考えられる。
ビスアルキルスルホニルジアゾメタンの具体例としては、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタンなどの炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基を有するビスアルキルスルホニルジアゾメタン;ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンなどの炭素数5〜6の環状アルキル基を有するビスアルキルスルホニルジアゾメタン;ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのアリール基を有するビスアリールスルホニルジアゾメタン等を挙げることができる。これらの中でも、特に、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンは、矩形性の改善効果が高く、高解像性のレジストパターンが得られる点から、好ましい。
これらの(B)成分は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートが挙げられる。これらのなかでもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩が好ましい。これらのオニウム塩系酸発生剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分は、ジアゾメタン系酸発生剤が主成分であることが好ましい。ここで、「ジアゾメタン系酸発生剤が主成分である」とは、(B)成分中、ジアゾメタン系酸発生剤の配合量が最も多いことを意味する。
(B)成分中、ジアゾメタン系酸発生剤の配合量は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜90質量%がさらに好ましく、最も好ましくは80〜90質量%である。
一方、(B)成分中、オニウム塩系酸発生剤の配合量は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、10〜45質量%がさらに好ましく、最も好ましくは10〜20質量%である。
本発明においては、(B)成分として、ジアゾメタン系酸発生剤およびオニウム塩系酸発生剤以外に、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して配合することができるが、本発明の効果のためには、(B)成分中、ジアゾメタン系酸発生剤およびオニウム塩系酸発生剤の合計量が80質量%以上であることが好ましく、100質量%であってもよい。
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対し、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部とされる。上記範囲より少ないとパターン形成が十分に行われないし、上記範囲を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
<含窒素有機化合物(C)>
本発明のポジ型レジスト組成物には、矩形性等のレジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(C)(以下、(C)成分という)を配合させることができる。
この(C)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は、(A)成分に対して、通常0.01〜5.0質量%の範囲で用いられる。
<架橋剤(D)>
本発明のポジ型レジスト組成物を、後述のサーマルフロー処理を含む工程に使用する場合、本発明のポジ型レジスト組成物は、さらに架橋剤(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分は、加熱により(A)成分と反応して架橋を形成する成分である。(D)成分を配合することにより、サーマルフロー処理を施した際の、レジストパターンの矩形性がさらに向上する。
(D)成分としては、サーマルフロー処理に好適な化学増幅型レジスト組成物における架橋剤成分として知られているものを適宜使用することができる。
具体的には、(D)成分として、少なくとも2個の架橋性のビニルエーテル基を有する化合物を用いることができ、アルキレングリコールやジアルキレングリコール、トリアルキレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールや、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ペンタグリコールなどの多価アルコールの少なくとも2個の水酸基をビニルエーテル基で置換した化合物を用いることができる。好ましい(D)成分の具体例としては、シクロヘキシルジメタノールジビニルエーテルが挙げられる。
(D)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分を用いる場合、(D)成分は、(A)成分に対して、通常0.1〜25質量%、好ましくは1〜15質量%の範囲で用いられる。
<その他の任意成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。これらの中でも、溶解抑制剤を配合すると、さらに解像性や矩形性が向上するので好ましい。
<有機溶剤>
本発明のポジ型レジスト組成物は、必須成分である(A)成分と(B)成分、および必要に応じて配合される(C)成分、(D)成分、その他の任意成分を、有機溶剤に溶解させて製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)、γ−ブチロラクトン等のヒドロキシ基やラクトンを有する極性溶剤との混合溶剤は、ポジ型レジスト組成物の保存安定性が向上するため、好ましい。ELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が6:4〜4:6であると好ましい。
PGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比が8:2〜2:8、好ましくは8:2〜5:5であると好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、従来のKrF用ポジ型レジスト組成物と同様に、レジストパターンの形成に用いることができる。
プレベークにおける加熱温度および露光後加熱(PEB)における加熱温度は、一般に90℃以上でよいが、矩形性の良好なレジストパターンを形成するためには、特にそれぞれ90〜120℃、好ましくは90〜110℃が好ましい。また、この温度範囲とすることにより、マイクロブリッジの発生も効果的に抑制することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物により、高解像性で、矩形性の良好なレジストパターンが得られる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物により、マイクロブリッジ等の現像欠陥を低減させることもできる。
さらに、本発明においては、共重合体(A1)における水酸基の保護割合が、従来のPHS樹脂における水酸基の保護割合よりも低い保護率で、アルカリ現像液に対する十分な不溶性が得られる。
ここで、本発明における解像性能の向上効果、矩形性の向上効果は、例えば、現像工程を経て得られたレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)によりレジストパターンを観察して確認することができる。
また、本発明における現像欠陥の抑制効果は、例えば、上記SEM又は現像欠陥検査装置にてレジストパターンを観察して、マイクロブリッジの有無およびその他の欠陥の有無を調べることによって確認することができる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、後述するサーマルフロー処理を有するパターン形成方法にも好適に用いることができ、良好なフローレートが得られる。特に、本発明のポジ型レジスト組成物は、レジスト組成物の保存安定性に悪影響を与え得る架橋剤成分((D)成分)を含まない組成でも、サーマルフロー処理を有するパターン形成方法によって、良好な微細レジストパターンを形成することができる。これは、加熱により、共重合体(A1)の構成単位(a1)と構成単位(a2)との間に架橋反応が生じるためと推測される。なお、所望に応じ、(D)成分を含有させることもできる。
また、サーマルフロー処理前の現像工程において、上記したように、解像性能および矩形性が高く、現像欠陥が防止されたレジストパターンを形成することができるので、これにサーマルフロー処理を施して得られる狭小化レジストパターンにおいても、高解像性能および高矩形性が達成され、さらに現像欠陥の低減も達成される。
≪レジストパターン形成方法≫
次に、本発明のレジストパターン形成方法について説明する。
まずシリコンウェーハ等の基板上に、上記本発明のポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布した後、プレベークを行う。次いで、露光装置などを用い、ポジ型レジスト組成物の塗膜に対して、所望のマスクパターンを介して選択的に露光を行った後、PEB(露光後加熱)を行う。続いて、アルカリ現像液を用いて現像処理した後、リンス処理を行って、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流し、乾燥させる。
ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光は、好ましくはKrFエキシマレーザーを用いて行うが、電子線レジストやEUV(極端紫外光)等にも有用である。
なお、基板とレジスト組成物の塗膜との間に、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
<サーマルフロー処理>
本発明のレジストパターン形成方法においては、好ましくは、上述のようにして形成されたレジストパターンにサーマルフロー処理を施してレジストパターンを狭小化する。以下、サーマルフロー処理について説明する。
サーマルフロー処理は、レジストパターンを1回以上、加熱することによって行われる。加熱の回数を多くした方が、単位温度当たりのレジストパターンサイズの変化量(以下、フローレートということもある)が小さくなるので好ましいが、工程数が増え、処理に要する時間が長くなって、スループットが悪化する面もある。
ここで、サーマルフロー処理におけるフローレートが小さい方が、狭小化されたレジストパターンにおける、ウエーハ上のパターン寸法の面内均一性が高く、レジストパターンの断面形状も優れたものとなる。レジスト膜厚が1000nm以下であれば、膜厚によるフローレートへの影響はほとんど無い。
サーマルフロー処理における加熱温度は100〜200℃、好ましくは110〜180℃の範囲から、レジストパターンの組成に応じて選択される。加熱を2回以上行う場合、第2回目以降の加熱は、第1回目の加熱と同じ温度またはそれ以上の温度で行う。
加熱時間は、スループットに支障がなく、所望のレジストパターンサイズが得られる範囲であればよく、特に制限されないが、通常は、各回の加熱を30〜270秒間の範囲内とするのが好ましく、より好ましくは60〜120秒間の範囲内とする。
サーマルフロー処理を有するレジストパターン形成方法は、通常の方法では形成が困難である、微細なレジストホールパターンの形成に好適に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、特に、本発明のポジ型レジスト組成物を用いて行うので、架橋剤成分を含まない組成でも、また前記架橋剤成分(D)を含有する組成でも、良好なフローレートが得られる。したがって、解像性能が高く、レジストパターンの矩形性が良好で、現像欠陥が防止されており、しかもパターン寸法の面内均一性が高い狭小化レジストパターンが得られる。
以下、本発明を、実施例を示して詳しく説明する。
実施例1
まず(A)成分を用意した。すなわち、p−ヒドロキシスチレンと、前記一般式(IIa)においてRがメチル基であるアダマンタノールメタクリレートとの共重合体(モル比80:20、質量平均分子量(Mw)は8000、分散度(Mw/Mn)は1.78)とエチルビニルエーテルを、酸触媒下で公知の手法により反応させて、前記共重合体の水酸基を1−エトキシエチル基で保護した樹脂X(Mw=10000、Mw/Mn=1.7)を(A)成分として使用した。
この樹脂XをH−NMRで分析した結果、p−ヒドロキシスチレンとアダマンタノールの合計水酸基の数に対する1−エトキシエトキシ基の数は18%であった。これより、水酸基の保護割合が18モル%であると認められた。
この(A)成分100質量部と、(B)成分として、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン5.0質量部、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン6.0質量部、およびトリフェニルスルホニムトリフルオロメタンスルホネート2.0質量部と、(C)成分として、トリエタノールアミン0.15質量部、およびトリイソプロピルアミン0.15質量部を、PGMEAとELの混合溶剤(PGMEA:ELの質量比が6:4)に500質量部に溶解させてポジ型レジスト組成物を得た。
一方、8インチのシリコンウェーハ上に有機反射防止膜(ブリューワーサイエンス社製、商品名DUV−44)を205℃で加熱して膜厚65nmに形成した基板を用意した。
上記で得られたポジ型レジスト組成物を、基板上にスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で100℃、90秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚410nmのレジスト層を形成した。
ついで、KrFスキャナー(波長λ248nm)S203B(Nikon社製、NA(開口数)=0.68,2/3輪帯照明)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、縮小投影露光に用いられるマスクである、通常のクロムレチクルを介して選択的に照射した。
そして、110℃、60秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後15秒間、純水を用いて水リンスした。振り切り乾燥を行った後、100℃で60秒間加熱して乾燥させてレジストパターンを形成した。
このようにして口径140nmのレジストホールパターンが形成された。また、そのレジストパターンを形成した基板を、日立社製の走査型電子顕微鏡(測長SEM、S−9200)により観察したところ、レジストパターンの断面形状は、矩形性が高く、良好なものであった。
また、該基板を、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置KLA2132により観察したところ、表面欠陥(ディフェクト)の数はわずか10個以下であり、現像欠陥が有効に防止されていることが認められた。
未露光部の純水接触角(静的接触角、以下同様。)を測定したところ、59度であり良好な親水性を有していた。
口径140nmのレジストホールパターンの焦点深度は0.6μmであった。
また、同様にして形成したラインアンドスペース1:1のレジストパターンを観察したところ、線幅120nmでも優れた解像性能が得られることが認められた。
実施例2
実施例1において、(B)成分として、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン4.0質量部、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン1.0質量部、およびトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート4.0質量部を用い、(C)成分として、トリエタノールアミン0.3質量部、およびトリイソプロパノールアミン0.3質量部を用い、さらに、下記式[化6]で表される溶解抑制剤2質量部を加えた以外は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物を得た。
Figure 2005091863
一方、8インチのシリコンウェーハ上に有機反射防止膜(ブリューワーサイエンス社製、商品名DUV−44)を225℃で60秒間加熱して膜厚65nmに形成した基板を用意した。
上記で得られたポジ型レジスト組成物を、基板上にスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で100℃、60秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚287nmのレジスト層を形成した。
ついで、KrFスキャナー(波長λ248nm)NSR−S203B(Nikon社製、NA(開口数)=0.68,2/3輪帯照明)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、8%ハーフトーンレクチルを介して選択的に照射した。
さらに、110℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後15秒間の純水リンスを行い、振り切り乾燥を行った後、100℃で60秒間加熱してレジストパターンを形成した。
日立社製の走査型電子顕微鏡(測長SEM、S−9200)にてレジスト特性を確認した結果、パターンサイズ120nmのラインアンドスペースパターンが形成されており、その形状は、矩形性の高いものであり、焦点深度幅は0.3μmであった。また、現像欠陥を測定したところ5個以下であった。
比較例1
(B)成分として、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン5.0質量部、を用いた以外は実施例2と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、該ポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した。
その結果、パターンサイズ130nmのラインアンドスペースパターンが形成されており、トップ部の形状が丸くなっており、矩形性の低いものであった。
比較例2
(B)成分として、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート5.0質量部を用いた以外は実施例2と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、該ポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した。
その結果、パターンサイズ150nmのラインアンドスペースパターンが形成されており、その形状は、T−TOP形状となっており、矩形性の低いものであった。
実施例3
実施例1において同様のポジ型レジスト組成物を用意した。
実施例1で用いたのと同じ反射防止膜付基板上に、上記ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で100℃、90秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚410nmのレジスト層を形成した。
ついで、実施例1で用いたのと同じKrFスキャナーにより、KrFエキシマレーザー(248nm)を、6%ハーフトーンレチクル(口径150nmのホールパターン)を介して選択的に照射した。
そして、110℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに実施例1と同様にして現像、水リンス、および乾燥を順に行ってレジストパターンを形成した。
このようにして口径150nmのレジストホールパターンが形成された。また、そのレジストパターンを形成した基板を、実施例1と同様にして観察したところ、レジストパターンの形状は矩形性が高かった。また、表面欠陥(ディフェクト)の数はわずか10個以下であった。さらに、口径150nmのレジストホールパターンの焦点深度は0.6μmであった。
なお、レジストホールパターンの口径の測定は、測長SEMを用いて行った。
続いて、上記レジストホールパターンが形成された基板に対して、ホットプレートを用いて所定条件で加熱するサーマルフロー処理行って、狭小化されたレジストホールパターンを得た。
サーマルフロー処理における加熱条件を変化させながら、得られたレジストホールパターンの寸法を測定し、これによりフローレートを求めた。すなわち、上記のようにして口径150nmのレジストホールパターンが形成された基板を5枚用意し、それぞれに対して、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃の各温度で90秒間加熱した。いずれの温度においても、加熱によりレジストホールパターンの口径が狭小化して良好な形状の狭小化レジストホールパターンが得られるが、温度によって狭小化後の口径が異なる。そこで、温度を横軸とし、各温度におけるレジストパターの寸法変化量(口径の変化量)を縦軸としたグラフを作成し、このグラフから狭小化後のレジストパターンの寸法(口径)が100nmとなるときの、単位温度変化量(℃)当たりのレジストパターン寸法変化量、すなわちフローレートを求めた。
狭小化後のレジストパターンの寸法(口径)は、140℃で147nm、145℃で140nm、150℃で128nm、155℃で100nm、160℃で80nmであり、口径100nmとなるときのフローレートは4.8nm/℃であった。
以上の結果から明らかなように、本発明のポジ型レジスト組成物を用いた実施例1〜3では、高解像性で、矩形性の良好なレジストパターンが得られた。また、現像欠陥も低減されていた。
また、本発明のポジ型レジスト組成物をサーマルフロー処理を有するパターン形成方法に用いた実施例3では、良好なフローレートが得られた。

Claims (12)

  1. 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物において、
    前記樹脂成分(A)が、ヒドロキシスチレンから誘導される第1の構成単位(a1)、およびアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される第2の構成単位(a2)を含み、前記構成単位(a1)の水酸基および前記構成単位(a2)のアルコール性水酸基のうちの一部が前記酸解離性溶解抑制基で保護された共重合体(A1)であり、
    前記酸発生剤成分(B)が、ジアゾメタン系酸発生剤とオニウム塩系酸発生剤とを含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
  2. 前記共重合体(A1)の、前記構成単位(a1)の水酸基と前記構成単位(a2)のアルコール性水酸基との合計の10モル%以上25モル%以下が前記酸解離性溶解抑制基により保護されており、かつ前記酸解離性溶解抑制基で保護する前の前記共重合体(A1)の質量平均分子量が2000以上8500以下である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
  3. 前記共重合体(A1)中、前記酸解離性溶解抑制基で保護する前の前記構成単位(a1)と前記構成単位(a2)とのモル比が85:15〜70:30である請求項1または2記載のポジ型レジスト組成物。
  4. 前記構成単位(a2)が、アルコール性水酸基を有する脂肪族多環式基含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  5. 前記構成単位(a2)が、アルコール性水酸基を有するアダマンチル基含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である請求項4に記載のポジ型レジスト組成物。
  6. 前記酸解離性溶解抑制基が、1−低級アルコキシアルキル基である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  7. 前記共重合体(A1)が、さらにスチレンから誘導される第3の構成単位(a3)を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  8. 前記共重合体(A1)の、前記酸解離性溶解抑制基で保護する前の分散度(Mw/Mn比)が2.0以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  9. さらに含窒素有機化合物を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  10. 基板上に設けたポジ型レジスト膜に対して選択的に露光処理を行った後、現像処理を施して形成したレジストパターンにサーマルフロー処理を施して前記レジストパターンを狭小化させるレジストパターン形成方法において、前記ポジ型レジスト膜の形成に用いられる請求項1〜9のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  11. 基板上に、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いてポジ型レジスト膜を形成し、該ポジ型レジスト膜に対して選択的に露光処理を行った後、現像処理を施してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。
  12. 前記現像処理を施して形成したレジストパターンにサーマルフロー処理を施して前記レジストパターンを狭小化させる請求項11記載のレジストパターン形成方法。

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