JPWO2002048693A1 - 蛍光分析装置および蛍光分析方法 - Google Patents

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Abstract

蛍光分子の挙動を解析するための蛍光分析装置であって、レーザ光源と、蛍光分子を含む試料を載せた基板を支持する試料台と、前記レーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、前記試料に対して共焦点領域を走査する走査機構と、前記試料からの蛍光を集光する光学系と、集光した蛍光を検出する光検出器と、光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段とを有し、前記基板上の試料に対して前記走査機構により共焦点領域を走査し、前記蛍光強度記録手段に記録された蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定し、前記試料に所定時間光ビームを照射後、前記試料中の蛍光分子にレーザを照射し、励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子に関する分析データを取得することを特徴とする蛍光分析装置。

Description

技術分野
本発明は、蛍光標識された生体分子(特に細胞内生体分子)の挙動を安定かつ簡便に解析することができる、蛍光分析装置および蛍光分析方法に関するものである。本発明の装置および方法は、共焦点光学系を用いる測定、例えば蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy)による解析、蛍光強度分布解析(Fluorescence Intensity Distribution Analysis)、およびこれら解析を同時に行う一分子蛍光分析(Fluorescence Intensity Multiple Distribution Analysis)の際に利用可能である。
背景技術
従来、蛋白質機能解析の研究は、蛋白質をコードする遺伝子配列の解析が主な研究対象であったが、近年のヒトゲノム解析の急速な進展により、蛋白質機能解析の研究は、蛋白質が細胞内でどのように動き、機能しているかを解析する方向へと移行しつつある。
細胞内では、さまざまな遺伝子発現やシグナル伝達作用によって、特異的な機能を有する様々な分子(酵素、レセプターをはじめとする機能蛋白質;細胞構造を保持する蛋白質、脂質、糖鎖蛋白質;イオン等の生物学的活性分子等)が常に変化し、その生命機構を維持している。
例えば、レセプターと呼ばれる一連の蛋白質群は、シグナル情報を受容し、細胞のシグナル伝達・応答機能に重要な役割を果たすことが知られている。より詳しくは、レセプター蛋白質はシグナル物質を受容し、これにより同一もしくは異種のレセプターまたは他の蛋白質分子、核酸等と相互作用しながら細胞内を移動し、細胞内局在部位を変化させる等してシグナル特異的な応答反応を誘起することが知られている。
よって、あるシグナルに対する細胞の応答メカニズムを解析する場合、そのシグナルを受容するレセプター蛋白質分子が、細胞内においてどのような挙動を示すかを解析することは重要である。また、細胞のシグナル伝達・応答機能においてみられるこのような蛋白質分子の相互作用は、その他の細胞機能の発現の際にも共通して起こると考えられ、これら他の細胞機能のメカニズムを解析する上においても、細胞内での生体分子の挙動を解析することは非常に重要である。
このような生体機能を観測・解析するためには、細胞を生きたまま観測することが望ましい。生きたままの細胞を観察する従来の手法として顕微鏡観察があるが、解像力が不足しており分子レベルでの解析は不可能であった。そこで、光学顕微鏡で不足している解像力を補うために、蛋白質等の生体分子を蛍光物質により標識する方法が発達してきた。しかし、この蛍光標識法は、細胞内へ蛍光物質を取り込むために、細胞膜の透過性を上げるか、細胞内へ蛍光物質を注入しなければならず、細胞に対して毒性や障害を生じさせることが問題となっていた。
そのため、生体分子の解析に関して新たな技術が開発されつつあり、特異性や感度の点で進歩しつつある。その一例として、緑色蛍光蛋白質(GFP)を標識マーカーとして目的蛋白質を蛍光標識し観測する技術がある。この技術は、目的蛋白質をコードする遺伝子とGFPをコードする遺伝子とをベクター内に組み込んで細胞内に導入し、その融合蛋白質を発現させることにより、目的蛋白質を標識するものである。この技術は、マーカーとなるGFP自体が、オワンクラゲ由来の生体分子であり細胞に対して毒性がないため、細胞を生かしたまま目的蛋白質の挙動を観察できる点で優れている。
上記技術により蛍光標識された細胞内蛋白質は、位相差顕微鏡もしくは微分干渉顕微鏡で観測するのが一般的である。位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡を用いた場合、その解像力は0.数μm程度である。この解像力は、生きた細胞内のミクロな構造を画像として観察するには充分であるが、細胞内の蛋白質分子の相互作用を微細に解析するためには不充分である。
細胞内蛋白質分子の相互作用を微細に解析する手法としては、上述の顕微鏡画像を接眼レンズを通じて観察する方法以外に、共焦点光学系を用いて微小領域での解析が行われるようになり、例えば、蛋白質分子の数、大きさ等の物理量を計測する蛍光相関分光法(FCS;Fluorescence Correlation Spectroscopy)が、近年開発されている。FCSは、レーザ光照射により励起照射されるf(10−15)Lオーダーの微小な共焦点領域(計測領域)において、蛍光で標識した標的分子の媒質中におけるゆらぎ運動を測定し、自己相関関数(Autocorrelation function)を用いることにより、個々の標的分子の微小運動を正確に測定する技術である(Jerker Widengren,Rudorf Rigler.Cell.Mol.Biol.44(5),857−879)。この方法により、分子の数、大きさ等の物理量を算出することができる。
また、ごく最近では、蛋白質等の分子の相互作用を微細に解析する手法として、蛍光強度分布解析(FIDA;Fluorescence Intensity Distribution Analysis)が開発されている(P Kask,et al,PNAS 23,96,13761,1999;WO98/16814)。FIDAは、レーザ光照射により励起照射されるf(10−15)Lオーダーの微小な共焦点領域(計測領域)において、蛍光で標識した標的分子の媒質中におけるゆらぎ運動を測定し、ポアソン分布関数解析により、一分子あたりの蛍光強度(ブライトネス)、蛍光分子の数を算出する技術である(図1参照)。図1は、微小な共焦点領域に出入りする蛍光分子の蛍光強度のゆらぎをポアソン分布関数解析した例を示す。
更に、FCSによる解析およびFIDAを同時に行うことができる一分子蛍光分析(FIMDA;Fluorescence Intensity Multiple Distribution Analysis)も開発されている(K Palo,Biophysical Journal,79,2858−2866,2000)。FIMDAによれば、蛍光分子の並進拡散時間、分子数、および一分子あたりの蛍光強度(ブライトネス)に関するデータを同時に取得することができる。
これらFCSによる解析、FIDA、およびFIMDAは何れも、共焦点領域内の蛍光分子のゆらぎ運動を計測し、この計測により得られるデータを、それぞれの関数により解析する技術である。
これまでFCS技術は、主に単純な溶液中に含まれる微量な蛍光分子の計測に用いられてきた。しかし、FCSによる蛍光分子の的確な測定方法および条件などは吟味・明確化されておらず、蛍光分子が安定に解析されていないのが現状である。なかでも、FCSを用いて生細胞内の蛍光分子の分子運動を計測する手法についての検討はなされていない。また、FIDA、FIMDAについては、それぞれ解析法が提案されたにすぎない。
一般に、所定の反応領域で生体分子が反応している際、各生体分子の分布位置は一様ではない。従って、FCSに限らず、任意の場所で反応が生じる生体分子について、詳細かつ高い回収率で測定データを得ることは困難である。
そこで本発明者らは、本発明を為すにあたり、これらFCS等の共焦点光学系を用いる測定技術によって蛍光分子のゆらぎ運動が安定に解析されない原因を検討し、更に、細胞内の蛍光分子の計測について解析が困難となる原因について検討した。なお、以下に記載の問題点は、蛍光分子のゆらぎ運動を解析する際に固有の問題であって、従来の蛍光画像の観測においては問題とならなかったものである。
上記事情に鑑み、本発明は、所定の反応領域の任意の微小部分で起こる反応結果の測定を向上させることを目的とする。特に、反応結果としての蛍光強度を、共焦点光学系を用いて高S(シグナル)/N(ノイズ)比により測定する装置および方法を提供することを目的とする。すなわち本発明は、蛍光標識された生体分子(特に細胞内生体分子)の挙動を安定かつ簡便に分析することを目的とする。
より具体的には、生体分子の挙動を解析するにあたり新たに見出した下記▲1▼〜▲6▼の問題を解決することを目的とする。
(1)蛍光標識された生体分子の挙動を解析する際に、標識用蛍光物質が一般に有している性質より生じる問題。
▲1▼ 蛍光物質は、励起光を照射した初期の時間は蛍光量が安定せず、蛍光量の増減を繰り返す。そのため、再現性のあるデータを取得するためには、数回計測した後のデータを解析に採用しなければならず、余計な時間と労力を必要とする。
▲2▼ また、蛍光分析(例えばFCSによる分析)の際のレーザ出力が0.5mWと生体分子に対して高いので、蛍光物質の蛍光量が計測時間内に減少するという計測上の不具合がある。このような蛍光量の減少は、光退色(フォトブリーチング)と称されるものである。このように計測途中で明らかな蛍光の減衰が生じると、計測データから設定される関数(FCSによる分析の場合、自己相関関数)は不適切なものとなる。
実際に、FCS計測中(60秒間)に蛍光が減衰する様子を図3に示す。これは、1mWのレーザをGFP遺伝子導入ヒト培養細胞(MCF−7)に照射したときのデータである。横軸は計測時間の経過、縦軸は蛍光強度(kHz)を示す。波形は117ミリ秒ごとの蛍光シグナルの変化をプロットしている。図3より、蛍光強度が、約100kHzから60kHzに低下していることが分かる。このデータから自己相関関数を設定した結果を図4に示す。横軸は拡散時間(マイクロ秒)、縦軸は自己相関関数を示す。実線は実測値を示し、自己相関関数による解析前である。破線は、実測値から自己相関関数により解析された後である。図4より、1000ミリ秒以上のシグナルのカーブが不規則な波形を示しており、正しい解析が行われていないことが分かる。このように、計測時間内に顕著な蛍光の減衰が生じると、自己相関関数で正確に分子の挙動を解析できないことになる。
(2)細胞内で機能している生体分子を解析する際に生じる問題。
▲3▼ 本発明者らが細胞内蛍光分子の計測を試みた際、単純な溶液中に含まれる蛍光分子を計測する場合と比べて困難な点に遭遇した。そのなかでも最も特徴的な点は、溶液中の分子は溶液内を比較的均一な状態で分散して存在することが多いのに対し、細胞内の分子の場合は、その分子の機能に応じて細胞内のさまざまな部位(例えば、細胞膜、ミトコンドリア等の細胞内小器官、あるいは細胞核など)に局在して存在する場合が多いことである。
従って、FCS等を用いて細胞内の分子の挙動を解析する場合には、標的となる蛍光分子が局在する細胞内位置に、計測領域である共焦点領域を適切に設定することが重要であり、かつ必須の要件となる。
そこで、本発明者らは以下に記載するとおり、更に問題点を検討した。
FCS等の計測の試料となる細胞は、その種類によっても異なるが実験によく用いられる底面接着型の培養細胞の場合、径は5μm〜1000μm程度であるのに対し、厚みは3μm〜50μm程度であり、偏平なおわんをふせたような形状をしている。よって、細胞内の特定部分(例えば細胞核内)に共焦点領域を設定する場合には、上述の細胞全体の大きさより更に小さい領域内に厳密に位置を設定しなければならない。特に細胞の厚み方向の設定は、極めて小さい領域内に正確に位置を設定し、共焦点領域が試料細胞から外れてしまうことのないようにしなければならない。このように、FCS等による計測は、極めて小さい領域内に正確に共焦点領域を設定することが要求される。
また、FCS等の計測により細胞内の特定の標的蛍光分子について拡散係数等の物理化学的な性質を決定したい場合には、1個の細胞においてのみ計測するのではなく、同じ標的分子を含む少なくとも数個の細胞(好ましくは多数の細胞)について計測を行う必要がある。このように多くのデータを取得して分子の物理化学的な性質を決定するほうが、得られる値の再現性、信頼性が高いことは明らかである。
しかし、FCS等の計測をおこなうためには、極めて小さい領域内に正確に共焦点領域を設定する煩雑さがあり、多数の細胞に対してこの操作をおこなう場合、測定時間が長くなるという問題がある。そのため、多数の細胞について連続して計測を行う場合、標的蛍光分子が局在する細胞内の位置に、共焦点領域を適切かつ簡便に設定することが要求される。
従って、本発明の目的の一つは、細胞内分子の挙動を解析する際に、標的とする蛍光分子が局在する細胞位置に共焦点位置を、適切かつ簡便に設定することができる装置および方法を提供することである。特に、細胞の厚み方向の位置について、共焦点領域を正確かつ簡便に設定することができ、更に、連続して多数の細胞を計測する場合でも再現性よく共焦点領域を設定することができる装置および方法を提供することである。
▲4▼ 計測試料を細胞内分子とした場合、細胞特有の多重散乱がノイズとなり、蛍光シグナルを計測する際特に問題となる。この多重散乱の原因は、細胞を構成する蛋白質の一部に微弱な蛍光を発する芳香族アミノ酸が存在するためであると考えられる。
(3)蛍光タンパク質を標識用蛍光物質として使用した場合に生じる問題。
▲5▼ 更に、計測試料が細胞内蛍光分子であるか、溶液中の蛍光分子であるかにかかわらず、蛍光蛋白質(例えばGFP)を蛍光マーカーとして使用した場合、以下の問題を生じる。
GFPをFCS計測した場合、蛍光シグナルの変動があり、GFP分子の濃度や分子量を正確に計測できない。この蛍光シグナルの変動は、「ブリンキング」という現象に起因するものであり、これにより実際よりも質量が小さい分子としてFCS計測されてしまう。
以下に、GFPのブリンキングと、その原因となる立体構造に関する報告について解説する。GFPはオワンクラゲ由来の生体分子であるため、レーザ入射光強度が高いと、蛍光蛋白質の一時的消光、すなわちブリンキングという現象を起こす。このブリンキングの時間は約2〜3秒間である(Dickson RM,Cubitt AB,Tsien RY,Moerner WE.Related Articles;On/off blinking and switching behaviour of single molecules of green fluorescent protein.Nature.1997 Jul 24;388(6640):355−8)。また、この現象は、GFPが陽イオン状態、陰イオン状態および両性イオン状態の3つの立体構造を容易に遷移することによって、放射される蛍光に変化が起こるためであると報告されている(Weber W,Helms V,McCammon JA,Langhoff PW.Free in PMC,Related Articles shedding light on the dark and weakly fluorescent states of green fluorescent proteins.Proc Natl Acad Sci USA.1999 May 25;96(11):6177−82)。
上記2点の報告から、ブリンキングという現象は、GFPの立体構造の変化がレーザ照射中に起こることに依るものと推察される。レーザ照射により電磁波や磁界が引き起こされ、これにより、計測領域においてGFPが陽イオン状態、陰イオン状態および両性イオン状態という3つの立体構造を遷移し、計測データが変化してしまうことが推察される。
▲6▼ また、GFP分子は、励起光を受けてから安定に蛍光を生じるまで、時間的に遅れる問題がある。従来の蛍光物質の分子量が300〜700ダルトンであるのに対して、GFP分子が約27,000ダルトンと非常に大きいため、励起光を受けてから蛍光を発するまでにより長い時間を要する。FCS計測では、マイクロ秒という短い時間単位で蛍光シグナルを解析しなければならないため、この励起から蛍光に要する時間の長さは無視できず問題となる。
以上述べたとおり、本発明の目的の一つは、解析したい蛍光分子を安定に光らせ、かつノイズを減らすことにより、正確に生体分子の挙動を解析することができる装置および方法を提供することである。
発明の開示
上記▲1▼〜▲6▼の各問題を解決するため、本発明は以下の各手段を提供する。
(1) レーザ光源と、
前記レーザ光源からの光ビームを蛍光分子を含む試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
集光した蛍光を検出する光検出器と
前記光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段とを有し、
前記試料に所定時間光ビームを照射後、励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子に関する分析データを取得することを特徴とする蛍光分析装置。
(2)レーザ光源と、
前記レーザ光源からの光ビームを蛍光分子を含む試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
集光した蛍光を検出する光検出器と、
前記光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段と、
前記蛍光強度記録手段に記録された初期の蛍光強度と所定時間経過後の蛍光強度の減衰率を検出する蛍光強度減衰率検出手段とを有し、
前記蛍光強度減衰率検出手段により得られる減衰率の値が、(i)予め定められた第1の値未満である場合には蛍光分析を行い、(ii)第1の値以上であって予め定められた第2の値未満である場合には、さらに連続して試料に光ビームを照射後、再度蛍光強度の減衰率を検出し、(iii)第2の値以上である場合には光ビームの強度を下げて試料に照射後、再度蛍光強度の減衰率を検出することを特徴とする蛍光分析装置。
(3)レーザ光源と、
前記レーザ光源からの光ビームを蛍光分子を含む試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
集光した蛍光を検出する光検出器と、
前記光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段と、
前記レーザ光源からの光ビームの強度を調節する光強度調節手段とを有することを特徴とする蛍光分析装置。
(4)蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
(a)蛍光分子を含む試料に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成し、前記試料に対して所定時間光ビームを照射する工程と、
(b)前記工程(a)を行った後、前記試料に前記レーザ光源からの光ビームを照射し共焦点領域を形成し、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出し、蛍光分析を行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
(5)蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
(a)蛍光分子を含む試料に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域3を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で形成された共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出する工程と、
(c)前記工程(b)で蛍光強度を検出した後所定時間光ビームを照射後に、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出する工程と、
(d)前記工程(b)と前記工程(c)でそれぞれ検出された蛍光強度を比較し、蛍光強度の減衰率を検出する工程と、
(e)前記工程(d)で検出された減衰率が、(i)予め定められた第1の値未満である場合には蛍光分析を行い、(ii)第1の値以上であって予め定められた第2の値未満である場合には、さらに連続して光ビームを試料に照射後、工程(a)からの工程を再度行い、(iii)第2の値以上である場合には光ビームの強度を下げて試料に照射後、工程(a)からの工程を再度行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
(6)蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
(a)蛍光分子を含まない細胞を有する試料に対して、レーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で形成された共焦点領域内の細胞からの蛍光強度を検出する工程と、
(c)前記工程(b)で検出された蛍光強度が、所定値以下となるように前記光ビーム強度を調整する工程と、
(d)前記工程(c)で調整された光ビームの強度で、蛍光分子を含む細胞に光ビームを照射し、共焦点領域を形成する工程と、
(e)前記工程(d)で形成された細胞内の共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光を検出し、蛍光分析を行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
(7)レーザ光源と、
蛍光分子を含む試料を載せた基板を支持する試料台と、
前記レーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
前記試料に対して共焦点領域を走査する走査機構と、
前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
集光した蛍光を検出する光検出器と、
光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段とを有し、
前記基板上の試料に対して前記走査機構により共焦点領域を走査し、前記蛍光強度記録手段に記録された蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定し、蛍光分子にレーザを照射し、励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子に関する分析データを取得することを特徴とする蛍光分析装置。
(8)蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
(a)蛍光分子を含む試料を基板上に載せ、この基板に対してレーザ光源からの光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で形成された共焦点領域を前記基板上の試料に対して走査し、蛍光分子からの蛍光強度分布を測定する工程と、
(c)前記工程(b)で検出された蛍光の強度の最大値が検出される付近に光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(d)前記工程(c)で形成された共焦点領域内に由来する、前記光ビームにより励起された前記蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより、蛍光分子の挙動を解析する工程を具備することを特徴とする蛍光分子の蛍光分析方法。
(9)レーザ光源と、
蛍光分子を含む試料を載せた基板を支持する試料台と、
前記レーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
前記試料に対して共焦点領域を走査する走査機構と、
前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
集光した蛍光を検出する光検出器と、
光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段とを有し、
前記基板上の試料に対して前記走査機構により共焦点領域を走査し、前記蛍光強度記録手段に記録された蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定し、
前記試料に所定時間光ビームを照射後、前記試料中の蛍光分子にレーザを照射し、励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子に関する分析データを取得することを特徴とする蛍光分析装置。
(10)蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
(a)蛍光分子を含む試料を基板上に載せ、この基板に対してレーザ光源からの光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で形成された共焦点領域を前記基板上の試料に対して走査し、蛍光分子からの蛍光強度分布を測定する工程と、
(c)前記工程(b)で検出された蛍光の強度の最大値が検出される付近に光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(d)前記試料に対して所定時間光ビームを照射する工程と、
(e)前記工程(d)を行った後、前記試料に前記レーザ光源からの光ビームを照射し共焦点領域を形成し、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出し、蛍光分析を行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<第一の実施形態>
[蛍光分析装置]
以下、本発明の第一の実施形態に係る蛍光分析装置について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、本実施の形態の蛍光分析装置は、レーザ光源1と、前記レーザ光源1からの光ビームの強度を減弱する光強度調節手段(NDフィルタ)2と、適切な光強度調節手段2を設定する光減衰選択手段(NDフィルタチェンジャー)3と、前記レーザ光源1からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系4、5と、蛍光分子を含有する試料を載せるステージ6と、前記試料からの蛍光を集光する光学系7〜11と、集光した蛍光を検出する光検出器(アバランシャルフォトダイオード)12と、蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段(コンピュータ)13と、蛍光強度の減衰率を検出する蛍光強度減衰率検出手段(コンピュータ)14と、光ビームを前照射する時間を制御するコントローラ15を具備する。このように、本発明の蛍光分析装置は、共焦点レーザ顕微鏡を利用したものである。なお、蛍光強度記録手段13と蛍光強度減衰率検出手段14は別の装置として設けてもよいが、1台のコンピュータ内に2つの手段の機能をもたせてもよい。
図2においてレーザ光源1から放射されるレーザは、アルゴンイオンレーザ、ヘリウム−ネオンレーザ、クリプトン、ヘリウム−カドミウム等、蛍光物質を励起可能なものであれば何れでもよい。
レーザ光源1からのレーザ照射量を、最適なレーザ出力となるよう減弱するために、図2に示すとおり、光強度調節手段(NDフィルタ)2を備えていることが好ましい。例えば、光強度調節手段2としてレーザ減弱フィルタ(NDフィルタ)を使用することができる。本発明の実施例で後述するとおり、レーザ強度の減弱度が異なる2種類以上のフィルタ、好ましくは5種類以上のフィルタを使用することにより、レーザ強度を調節することができる。
なお、適切な光強度調節手段(NDフィルタ)2の選択、設定は、光減衰選択手段(NDフィルタチェンジャー)3により行われてもよい。光減衰選択手段(NDフィルタチェンジャー)3は、コンピュータからの制御により、最適なレーザ出力となるような光強度調節手段2を選択、設定する手段である。
図2においてレーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系4、5は、具体的にダイクロイックミラー4、および対物レンズ5を意味する。レーザ光源1からの光ビームは、図2中の矢印で示すような経路で、まず光強度調節手段(NDフィルタ)2の減弱度に従ってその強度が減弱され、次いで、ダイクロイックミラー4により入射光に対して90度ステージの方向に屈折し、対物レンズ5を通ってステージ6上の試料に照射される。このようにして光ビームは、微小な1点で前記試料に集光され共焦点領域が形成される。
本発明においてステージ6上の試料は、蛍光分子が懸濁された溶液であってもよいし、蛍光分子を細胞膜上もしくは細胞内に含有する培養細胞であってもよい。なお、細胞内に蛍光分子を含有している細胞試料は、公知の遺伝子工学的手法を用いて、蛍光蛋白質と解析したい蛋白質分子との融合蛋白質を細胞内で発現させることにより作成される。
本実施の形態に係る装置においては、図3に示されるように蛍光強度が減衰する場合、試料に対して所定時間光ビームを照射した後、試料から放射される蛍光を検出し、蛍光分析を行う。そのため、レーザ光源1は、所定時間光ビームを照射するためのコントローラ15により制御されていてもよい。ここで所定時間とは、解析したい蛍光分子が励起光を受けてから安定に蛍光を発するまでに必要な時間であって、かつ蛍光計測不能な状態まで蛍光が減衰しない時間をいう。例えば、解析したい蛍光分子が、GFPとの融合蛋白質である場合、この所定時間は、好ましくは1〜5分間である。
図2において共焦点領域内の蛍光分子から放射された蛍光を集光する光学系7〜11は、具体的にフィルター7、チューブレンズ8、反射鏡9、ピンホール10、レンズ11を意味する。蛍光分子から放射された蛍光は、図2中の矢印で示すような経路で、まず、ダイクロイックミラー4を光進行方向に透過し、フィルター7、チューブレンズ8を経て、反射鏡9により屈折し、ピンホール10に結像した後、レンズ11を通過して光検出器12に集光される。
集光された蛍光を検出する光検出器(アバランシャルフォトダイオード)12は、受容した光信号を電気信号に変換し、蛍光強度記録手段(コンピュータ)13に送信する。
蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段13は、伝達された蛍光強度データの記録・解析を行う。具体的には、FCSによる解析を行う場合には、この蛍光強度データの解析により自己相関関数を設定する。自己相関関数の変化により、蛍光分子の動き(例えば、蛍光分子の2量体化による分子量の増大および分子数の減少、あるいは蛍光分子のDNA特定領域への結合による分子数の減少など)を検出することができる。また、得られた蛍光強度データを、FIDAにより解析すれば、蛍光分子の動き(例えば、蛍光分子の2量体化による、一分子あたりの蛍光強度(ブライトネス)の増大および分子数の減少など)を検出することができる。また、FCSによる解析およびFIDAを同時に行うことができる一分子蛍光分析(FIMDA)によれば、分子量の変化、分子数の変化、および分子あたりの蛍光強度の変化を同時に検出することもできる。
本実施の形態に係る蛍光分析装置は、図2に示されるとおり、蛍光強度減衰率検出手段14を更に有していることが好ましい。蛍光強度減衰率検出手段14は、蛍光の計測時間(例えば1分間)のうちの初期の蛍光強度と、所定時間経過後(例えば、蛍光の計測時間の終了時)の蛍光強度の減衰率を検出するものである。
図3に示すとおり、蛍光計測中(1分間のあいだ)に蛍光強度は減衰する。上述の蛍光強度減衰率検出手段14は、この減衰率を検出するものである。ここで、初期の蛍光強度には、例えば、計測開始5秒間の蛍光強度の平均値を採用し、所定時間経過後の蛍光強度には、計測終了前5秒間の蛍光強度の平均値を採用する。各平均値を用いて、計測開始5秒間の蛍光強度の平均値を100%としたときの所定時間経過後の蛍光強度の減衰率を得る。
従来技術で述べたとおり、計測時間中の減衰率が高い場合は、適切な関数(FCSの場合には自己相関関数)を得ることができない。従って、この減衰率検出手段を使用することにより、蛍光計測中にリアルタイムで蛍光の減衰率をコンピュータ判定することが可能となり、解析可能な蛍光シグナルのみを効率よく取得することが可能となる。
本実施の形態の蛍光分析装置は、得られる蛍光データの解析手法を変えることにより、種々の蛍光分析装置として利用可能である。例えば、解析手法として、FCS、FIDA、またはFIMDAを採用することにより、それぞれ、蛍光相関分析装置、蛍光強度分布解析装置、または一分子蛍光分析装置として利用可能である。
なお、本実施の形態の蛍光分析装置の動作について、詳しくは以下の蛍光分析方法の説明も参照されたい。
[蛍光分析方法]
以下、第一の実施形態に係る装置を用いて行うことができる蛍光分析方法について詳細に説明する。ただし、この蛍光分析方法は、第一の実施形態に係る装置を使用しないで行ってもよい。
本発明の蛍光分析方法は、
蛍光分子を含む試料に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成し、前記試料に対して所定時間光ビームを照射する第一の工程と、
前記第一の工程を行った後、前記試料に前記レーザ光源からの光ビームを照射し共焦点領域を形成し、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出し、蛍光分析を行う第二の工程とを具備することを特徴とする。
以下、工程を追って説明する。
第一の工程において蛍光分子を含む試料は、蛍光分子を懸濁した溶液であってもよいし、あるいは、蛍光蛋白質(例えばGFP)と解析したい生体分子(例えばエストロゲンレセプター)との融合分子をコードする融合遺伝子を生細胞内で発現させた細胞試料であってもよい。この細胞試料の調製は、公知の遺伝子工学的手法を用いて行うことができる。試料は、蛍光分析装置のステージ上の基板の上に置かれる。
このような任意の試料に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成する。共焦点領域は、レーザ光源から照射された光ビームが、対物レンズを介してステージ上の基板に載せられた試料内の微小な1点に集中して照射されることにより形成される。FCS計測において計測領域となるこの共焦点領域は、容積は約0.24fL(約0.25〜1.7μ四方)である。
試料に対して共焦点領域を形成した上で、所定時間光ビームを照射する。ここで所定時間とは、蛍光分子が放射する蛍光が安定になるのに必要な時間であって、蛍光物質の分解、変性等が起こらない時間をいう。具体的には、蛍光分子がGFPの場合、1〜5分間の照射時間が好ましい。更に好ましくは、後述するとおり、蛍光分子が発する蛍光強度の減衰率を測定することにより、この光ビームの照射時間は調整される。
次いで前記第一の工程により蛍光が安定化した後、第二の工程において、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出し、蛍光分析を行う。
蛍光分析は、共焦点領域内の蛍光分子のゆらぎから得られる蛍光強度データを所望の解析手段で解析することにより行われる。解析手段としては、上述のとおり、FCSによる解析、FIDA、FIMDAを使用するができる。
別の態様において、本発明の蛍光分析方法は、以下(a)〜(e)の工程を具備する。
(a)蛍光分子を含む試料に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で形成された共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出する工程と、
(c)前記工程(b)で蛍光強度を検出した後所定時間光ビームを照射後に、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出する工程と、
(d)前記工程(b)と前記工程(c)でそれぞれ検出された蛍光強度を比較し、蛍光強度の減衰率を検出する工程と、
(e)前記工程(d)で検出された減衰率が、(i)予め定められた第1の値未満である場合には蛍光分析を行い、(ii)第1の値以上であって予め定められた第2の値未満である場合には、さらに連続して光ビームを試料に照射後、工程(a)からの工程を再度行い、(iii)第2の値以上である場合には光ビームの強度を下げて試料に照射後、工程(a)からの工程を再度行う工程とを具備する。
以下、工程順に説明する。
{工程(a)}
まず工程(a)で、蛍光分子を含む試料に対して共焦点領域を形成する。共焦点領域は、上述のとおり微小な計測領域である。
{工程(b)}
次いで、工程(b)で共焦点領域内の蛍光分子からの初期の蛍光強度を検出する。ここで検出される初期の蛍光強度とは、例えば、蛍光計測の時間(例えば1分)の初期の時間(例えば5秒間)における蛍光強度の平均値をとることができる。
{工程(c)}
工程(c)で所定時間(即ち、蛍光計測時間にわたって)光ビームを照射後、再度蛍光分子からの蛍光強度を検出する。工程(c)で検出する蛍光強度は、蛍光計測の時間(例えば1分)の最後の時間(例えば最後の5秒間)における蛍光強度の平均値をとることができる。
{工程(d)}
工程(d)で、それぞれの蛍光強度の値から蛍光強度の減衰率を検出し、この減衰率の値に応じて、更に光ビームを照射すべきか決定する。減衰率は、初期の蛍光強度を100%としたときの割合(%)で表示することができる。
{工程(e)}
減衰率の値が(i)予め定められた第1の値未満である場合、例えば、減衰率20%未満である場合、これ以上光ビームを照射する必要がなく、蛍光分析を行うことができる。減衰率の値が(ii)第1の値以上であって予め定められた第2の値未満である場合、例えば、減衰率20%以上であって50%未満である場合、更に連続して光ビームを照射した後、再度工程(a)に戻って減衰率の検出を行う。再度減衰率を検出し、第1の値未満となった場合、蛍光分析を行うことができる。ここで更なる光ビームの照射時間は、工程(d)で検出された減衰率の値に応じて適宜設定できるが、1〜5分間が好ましい。減衰率の値が(iii)第2の値以上である場合、例えば減衰率50%以上である場合、光ビームの強度を下げて工程(a)からの工程を再度行う。ここで光ビームの強度は、蛍光強度の大幅な減衰が起こらない程度まで下げられる。再度減衰率を検出し、第1の値未満となった場合、蛍光分析を行うことができる。
減衰率の検出は、図2に示す蛍光強度減衰率検出手段14により行うことができる。
なお、ここで第1の値は、蛍光強度の減衰率が高いために、図4に示すような不適切な関数データ(自己相関関数データ)が得られる場合を除くように設定される。また、第2の値は、照射レーザ強度が高いことが原因で、蛍光強度の大幅な減衰が起こるような場合を除くように設定される。
好ましくは、第1の値は、10〜30%、第2の値は、40〜60%であり、より好ましくは、それぞれ20%、50%である。
以上述べたように、蛍光分析を行う前に光ビームを前照射しておく所定時間は、蛍光強度の減衰率が予め設定された第1の値未満となるまでの時間とすることが望ましい。
以下、本発明の蛍光分析方法を、FCSにより蛍光データを解析(蛍光相関分析)する場合を例に説明するが、本発明の蛍光分析方法は、FCSによる解析に限定されないことはいうまでもない。
本発明の蛍光分析方法において、蛍光強度の減衰率が予め設定された第1の値未満となった場合に蛍光相関分析を行うことができる。より好ましくは、蛍光強度の減衰率が予め設定された第1の値未満であって、かつ工程(c)で検出された蛍光強度が所定の値(A値)未満である場合に、蛍光相関分析を行う。蛍光強度が所定の値(A値)未満であるとは、蛍光分子の濃度がFCSの検出限界より低いことを意味する。具体的には、蛍光分子あたりの蛍光強度×100倍の蛍光強度(A値)が検出限界である。なおこの場合、蛍光分子あたりの蛍光強度は、予め蛍光相関分析の前に測定しておくことが必要となる。
上述したとおり、計測領域における蛍光強度が検出限界より低い場合には、蛍光相関分析を行うことができるが、更に好ましくは、蛍光相関分析により取得された蛍光シグナルが、拡散時間の理論値以上の場合のデータのみを、蛍光相関分析のデータとして取得する。理論値の算出法は、後述の実施例1に示すとおりである。拡散時間が理論値以上の場合は、2量体以上の相互結合をしていること、あるいは他の生体分子(タンパク質等)と結合していることを示す。理論値未満の場合は、所定の蛍光分子が存在しないと予想される。
あるいは、蛍光強度の減衰率が予め設定された第1の値未満であって、かつ工程(c)で検出された蛍光強度が所定の値(A値)以上である場合には、試料の計測領域を変更することが好ましい。計測領域を変更して、より蛍光強度の低い部分(計測領域)で蛍光相関分析を行うことが好ましい。ここで蛍光強度の低い部分とは、検出される蛍光強度が所定の値(A値)未満である計測領域をいう。
(細胞内蛍光分子の蛍光相関分析方法)
本発明の蛍光分析方法を、細胞内蛍光分子に適用する際には、まず、蛍光分子を含まない細胞を有する試料に対して共焦点領域を形成し、前記細胞からの蛍光強度を検出する。次いで、前記蛍光強度が所定の値以下となるように光ビーム強度を調整する。
ここで光ビーム強度は、蛍光分子を含まない細胞で蛍光シグナルを捉えず、蛍光蛋白質を発現している細胞で特異的に蛍光シグナルを捉えることができるように、そして細胞特有のノイズが最も少なくなるように設定される。蛍光分子を含まない細胞が発する蛍光強度の上限値(即ち、所定の値)は、例えばMCF−7ヒト乳癌細胞について、好ましくは1.0kHz以下と設定される。
光ビーム強度の調整は、図2に示される光強度調節手段2により行うことができる。
次いで、蛍光分子を含まない細胞の蛍光強度が所定の値以下となるように調整された光ビームの強度を用いて、蛍光分子を含む細胞について蛍光を検出し、蛍光相関分析を行う。これにより、細胞特有の散乱等のノイズを除去することが可能となる。
(蛍光分析方法のまとめ)
以上、詳述した本発明の蛍光分析方法について、その具体的な方法を図5にまとめて示す。
図5においても、FCSにより蛍光データを解析(蛍光相関分析)する場合を例に説明するが、本発明の蛍光分析方法は、FCSによる解析に限定されない。
図5に示す手段▲1▼、▲2▼、▲4▼、▲5▼および▲6▼は、従来技術の問題点▲1▼、▲2▼、▲4▼、▲5▼および▲6▼に対応する解決手段である。
FCS解析前の設定として、解析したい蛍光分子あたりの蛍光強度を計測しておく。更に、蛍光分子の分子量、大きさから拡散時間の理論値を計算しておく。なお、拡散時間の理論値の設定の仕方については、後の実施例において説明する。
図5に示す蛍光相関分析方法では、まず、蛍光分子を含む試料にレーザ照射し、蛍光量の減衰率を判定する(手段▲1▼)。減衰率が50%以上である場合には、照射しているレーザ強度を下げて蛍光減衰しないようにする(手段▲2▼)。そして再度、蛍光量の減衰率を判定する(手段▲1▼)。蛍光量の減衰率が20%以上50%未満の場合は、そのレーザ強度のまま連続してレーザを照射する(手段▲5▼、▲6▼)。1〜5分間の適切な照射時間の経過後、再度、蛍光量の減衰率を判定する(手段▲1▼)。蛍光量の減衰率が20%未満の場合、その共焦点領域における蛍光強度を判定して、予め計測しておいた蛍光分子あたりの蛍光強度×100倍の蛍光量(A値)以上であれば、蛍光分子の濃度が検出限界以上であるため、別の共焦点領域(計測領域)へ移動する。A値未満の場合、蛍光シグナルから得られる拡散時間を、予め計算しておいた拡散時間の理論値(B値)と比較する(手段▲1▼−2)。蛍光シグナルから得られた拡散時間の値が、理論値と比べて高い場合は、陽性と判断し、自己相関関数のデータを取得する。あるいは、蛍光シグナルから得られた拡散時間の値が、理論値と比べて低い場合は、陰性と判断し、その旨を表示し、自己相関関数のデータを取得しない(手段▲4▼)。陰性の場合、計測する領域の細胞を変え、高い蛍光を示す領域へ移動した後、手段▲1▼へ戻り減衰率を計測する。
以上、本発明の第一の実施形態に係る蛍光分析装置および蛍光分析方法により、従来技術に記載される問題が解決された。
具体的に、蛍光物質が有している問題、▲1▼励起光を照射した初期の蛍光の不安定さについては、蛍光の減衰率を判定することにより、蛍光データの解析(FCS解析)に使えないような蛍光シグナルを保存せず、解析可能なシグナルのみを効率よく取得することにより解決された。また、蛍光物質が有している問題、▲2▼計測中に蛍光が減衰することについては、試料に照射する蛍光量が強すぎると蛍光の減衰がより顕著に起こるため、データ取得前に蛍光減衰の起きない程度の低いレーザ強度を決定しておくことにより解決された。
細胞特有の多重散乱等のノイズの問題▲4▼については、良好なS/N(シグナル/ノイズ)比を得るために、分解能を損なうことなく、かつノイズが最も少ない適切な光量が得られるレーザ強度を設定することにより解決された。
そして、蛍光蛋白質に特有の問題▲5▼および▲6▼については、蛍光蛋白質がレーザによる損傷、変性を受けない程度に、蛍光蛋白質の立体構造が安定化するまであらかじめレーザを照射し、蛍光量を安定化させることにより解決された。
以上説明したように、第一の実施形態に係る蛍光分析装置および蛍光分析方法によれば、蛍光の計測において、蛍光の不安定な状態でのデータ取得を回避することができ、蛍光分子を安定に解析することができる。特に、解析したい蛍光分子を安定に光らせ、かつノイズを減らすことにより、正確に生体分子の挙動を解析することができる。これにより、特に細胞内の蛍光分子を計測する場合に煩雑であった操作が効率よいものとなる。
<第二の実施形態>
[蛍光分析装置]
以下、本発明の第二の実施形態に係る蛍光分析装置について、図6を参照して説明する。
図6に示すように、本実施の形態の蛍光分析装置は、レーザ光源21と、蛍光分子を含有する試料(例えば細胞)を載せた試料台22と、前記レーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系23〜29と、前記試料に対して共焦点領域を走査する走査機構30と、前記試料からの蛍光を集光する光学系31〜35と、集光した蛍光を検出する光検出器36と、蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段37と、蛍光強度分布を測定した際に最大蛍光強度を示す位置を検出・記録する蛍光強度最大値記録手段38を具備する。このように、本発明の蛍光分析装置は、共焦点レーザ顕微鏡を利用したものである。
なお、本実施の形態の蛍光分析装置は、共焦点領域の設定が難しい分析試料として、蛍光分子を含有する細胞を用いた場合を例に説明するが、蛍光分子の懸濁液を分析試料として使用してもよい。
図6において細胞試料に光ビームを照射するためのレーザ光源21は、アルゴンイオンレーザ(488nm、514nm)、ヘリウムネオンレーザ(633nm)等、蛍光物質を励起可能な任意のレーザを使用することができる。
図6において蛍光分子を含有する試料細胞を載せた基板を支持する試料台22は、縦横方向(図6に示すXY軸方向)、上下方向(図6に示すZ軸方向)に移動可能なものである。ここで試料細胞は、細胞培養液または緩衝液を含むスライドチャンバーの基板上に載せられた状態で、試料台22に置かれている。なお、蛍光分子を含有する試料細胞は、蛍光蛋白質と解析したい蛋白質分子との融合蛋白質を細胞内で発現するように調製された細胞である。
図6においてレーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系23〜29は、具体的に反射ミラー23、反射ミラー24、干渉フィルター25、分光フィルター(excitation filter)26、レンズ27、ダイクロイックミラー28、および対物レンズ29を意味する。レーザ光源21からの光ビームは、図6中の破線矢印で示すような経路で、まず反射ミラー23および反射ミラー24により屈曲し、次いで干渉フィルター25により減弱され、更に分光フィルター26により波長が選択され、次いでレンズ27を通過した後、ダイクロイックミラー28により試料台22の方向に屈曲し、対物レンズ29を介して試料台22上の試料細胞に照射される。このようにして光ビームは、微小な1点で前記試料に集光され共焦点領域が形成される。
ここで、光ビームが試料に集光された試料測定部の模式図、およびこの集光により形成された共焦点領域の模式図をそれぞれ、図7Aおよび図7Bに示す。
図7Aは、レーザ光源から照射された光ビーム41が、対物レンズ42を介してステージ上のスライドチャンバー基板43に載せられた試料細胞44内の微小な1点(即ち、共焦点領域45)に集中して照射される様子を示す。なお、生きた細胞内の蛍光分子の動きを計測する場合、スライドチャンバー内は、DMEM培養液もしくはリン酸塩緩衝溶液(PBS)等で満たされている。
図7Bは、蛍光計測において計測領域となる共焦点領域を示す。その大きさは、符号46で示される直径が0.4μm、符号47で示される長軸が2μm、容積は約10−15Lである。
図6において、形成された共焦点領域を走査する走査機構30は、細胞試料を載せた試料台22を縦横方向および上下方向に移動させる機構である。言い換えれば、試料台22の移動は走査機構30により制御されている。
走査機構30は、試料台22の下面に取り付けられたラック30aと、このラックとかみ合うピニオン30b、ピニオンを回転させるモーター30cと、モーターの回転角を検出し外部へ出力するエンコーダー30dからなっている。モーター30cを駆動するとピニオン30bが回転し、ラック30aに駆動力が伝達され試料台22が移動する。同時にモーター回転角をエンコーダー30dが検出し蛍光強度最大値記録手段38に出力することによって、試料台の位置が記録される。この図では、X軸方向の駆動のみを図示しているが、Y軸、Z軸に関しても同様な機構によって走査することが可能である。また、ここでは回転式のモーターを用いているが、超音波モーターを直接試料台に取り付けて試料台を移動させても同様に走査をおこなうことができる。
図8に試料台を横方向(X方向)、縦方向(Y方向)および上下方向(Z方向)に駆動可能な走査機構の詳細を示す。図8においてX方向への移動は、X方向移動ブロックを兼ねる試料台を移動させることにより行う。同様にY方向への移動は、Y方向移動ブロックを移動させることにより、Z方向への移動は、Z方向移動ブロックを移動させることにより行う。なお図8において各々の移動ブロックは、支持部により支持されている。
本発明において走査機構は、XYZ方向に移動できる任意の機構でよい。
Z方向への走査は、光学素子(例えばCCDカメラ)または試料ステージそのものを機械的に移動させてもよいが、光学素子のフォーカシング機構による実質的な移動でもよい。さらに、XY方向への移動についても、所定の反応領域中におけるXY移動は、光学素子そのものを機械的にXY移動させるより、光学素子を反応領域の近傍位置で停止させた状態で、ガルバノミラーのような光路変更手段によって焦点位置をXY方向に移動させるようにしてもよい。ただし、マイクロプレートやDNAチップのように一つの支持体上に複数の反応領域を配置している場合には、各反応領域の近傍位置へ光学素子そのものを機械的にXY方向へ移動させるのが好ましい。
なお、本発明において反応領域としての液体は、平面上に存在するドロップ状のスポットであってもよいし、微小ウエル中に収容されていてもよいし、貫通した微小のキャピラリー中に毛管力で保持されていてもよい。
このような走査機構を用いて、細胞試料に対して共焦点領域を走査することにより、細胞内の蛍光分子が存在する位置に共焦点領域を設定することができる。具体的には、細胞内の蛍光分子が存在する位置に光ビームを照射すると、蛍光分子が励起されて蛍光を発するため、蛍光強度が最大値を示す領域付近に共焦点領域を設定することで、蛍光分子が存在する位置に適切に共焦点領域を設定することができる。蛍光強度が最大値を示す領域の検出については、分析装置の有している蛍光強度スキャン機能を用いて、試料内の蛍光強度分布を測定することにより行われる。
好ましくは、走査機構を用いて、基板上の試料を基板平面と垂直方向に走査することにより、蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定する。より好ましくは、走査機構を用いて、基板と平行な平面の第一の走査を行い、次に第一の走査における蛍光強度の最大値に近接する領域に対して、基板上の試料を基板平面と垂直方向に第二の走査を行い、この第二の走査における蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定する。ここで「蛍光強度の最大値に近接する領域」とは、好ましくは最大値から5μm以内の範囲、より好ましくは最大値から1μm以内の範囲をいう。
更に好ましくは、本発明の蛍光分析装置は、レーザ光源からの光ビームを基板の細胞の存在しない培養液または緩衝液部分に集光し共焦点領域を形成し、基板平面と垂直方向に共焦点領域を走査したときの蛍光強度の最大値を記録し、基板に対する共焦点領域の相対位置を記録する蛍光強度最大値記録手段38を更に有している。
蛍光強度最大値記録手段38は、蛍光強度記録手段37に接続されており、蛍光強度記録手段37からの蛍光強度信号を記録する。また、蛍光強度最大値記録手段38は、走査機構30とも接続されており、走査機構30から出力される試料台22の位置が入力される。蛍光強度最大値記録手段38は、蛍光強度が最大となったときにその蛍光強度と試料台の位置を記録しており、この値を用いて蛍光計測を行うのに好ましい付近に共焦点位置を設定することができる。
具体的には、蛍光強度最大値記録手段38は、試料細胞の存在しない培養液または緩衝液部分に対して基板平面と垂直方向に蛍光強度分布を測定したときの、最大蛍光強度を示す位置を検出・記録する。このとき蛍光強度の最大値が検出される位置を、基板の上面とすることができる。この手段を用いて基板上面を検出することにより、走査機構30は、前記基板の上面より試料が載っている側についてのみ共焦点領域の走査を行えばよい。このような走査により、蛍光分子の存在する位置を簡便に、より適切に捉えることが可能となる。
図6において共焦点領域内の蛍光分子から放射された蛍光を集光する光学系31〜35は、具体的に分光フィルター(emission filter)31、チューブレンズ32、反射ミラー33、レンズ34、およびピンホール35を意味する。蛍光分子から放射された蛍光は、図6中の実線矢印で示すような経路で、まず、ダイクロイックミラー28を透過し、分光フィルター31により波長が選択され、チューブレンズ32を通過して反射ミラー33により屈曲し、次いでレンズ34を通過し、共焦点上のピンホール35で焦点面以外のバックグラウンド光を除去した後、光検出器36に集光される。
集光された蛍光を検出する光検出器(APD;Avalanche Photo Diode)36は、受容した光信号を電気信号に変換し、蛍光強度記録手段37に伝達する。
蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段37は、伝達された蛍光強度データの記録・解析を行う。
具体的には、FCSによる解析を行う場合には、この蛍光強度データの解析により自己相関関数を設定する。蛍光分子の動き(例えば、蛍光分子の2量体化による分子量の増大および分子数の減少、あるいは蛍光分子のDNA特定領域への結合による分子数の減少など)を、自己相関関数の変化により検出することができる。また、得られた蛍光強度データを、FIDAにより解析し、蛍光分子の動き(例えば、蛍光分子の2量体化による、分子あたりの蛍光強度(ブライトネス)の増大および分子数の減少など)を検出することもできる。また、FCSによる解析およびFIDAを同時に行うことができる一分子蛍光分析(FIMDA)によれば、分子量の変化、分子数の変化、および分子あたりの蛍光強度の変化を同時に検出することもできる。
本実施の形態の蛍光分析装置は、得られる蛍光データの解析手法を変えることにより、種々の蛍光分析装置として利用可能である。例えば、解析手法として、FCS、FIDA、またはFIMDAを採用することにより、それぞれ、蛍光相関分析装置、蛍光強度分布解析装置、または一分子蛍光分析装置として利用可能である。
なお、本実施の形態の蛍光分析装置の動作について、詳しくは以下の蛍光分析方法の説明も参照されたい。
[蛍光分析方法]
以下、第二の実施形態に係る装置を用いて行うことができる蛍光分析方法について詳細に説明する。ただし、この蛍光分析方法は、第二の実施形態に係る装置を使用しないで行ってもよい。
第二の実施形態に係る蛍光分析方法は、
(a)蛍光分子を含む試料を基板上に載せ、この基板に対してレーザ光源からの光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で形成された共焦点領域を前記基板上の試料に対して走査し、蛍光分子からの蛍光を検出する工程と、
(c)前記工程(b)で検出された蛍光の強度の最大値が検出される付近に光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(d)前記工程(c)で形成された共焦点領域内に由来する、前記光ビームにより励起された前記蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより、蛍光分子の挙動を解析する工程を具備することを特徴とする。
FCSにより解析する場合には、工程(d)において、蛍光分子の拡散速度を解析し、分子の物理量を計測する。
以下、工程を追って説明する。
{工程(a)}
蛍光分子を含む試料として、蛍光蛋白質(例えばGFP)と解析したい生体分子(例えばエストロゲンレセプター)との融合分子をコードする融合遺伝子を生細胞内で発現させた細胞試料を用いた場合を例に、以下説明する。この細胞試料の調製は、公知の遺伝子工学的手法を用いて行うことができる。この生細胞試料は、蛍光分析装置で測定するため、図6に示すようなスライドチャンバー内で培養する。
なお、スライドチャンバーとは、厚さ130μm程のガラス基板上に、液体を入れられるようなチャンバーを備えた構造を有するものである。よって、培養液を満たせばチャンバー内で細胞を培養することができ、倒立型の顕微鏡を用いればチャンバー内の細胞を培養液中で生かしたまま観察可能である。
このように細胞試料を載せたスライドチャンバー基板に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成する。共焦点領域が形成される様子は、上述の図7の説明に記載されるとおりである。
{工程(b)}
次に工程(b)において、スライドチャンバー基板上の細胞試料に対して、走査機構を用いて共焦点領域を走査し、そのとき検出される蛍光分子からの蛍光を検出する。好ましくは、共焦点領域を走査したときの蛍光強度分布を測定する。この測定は、蛍光分析装置の有している蛍光強度スキャン機能を用いて行うことができる。
共焦点領域を細胞試料に対して走査する動作としては、好ましくは、基板平面と垂直方向に共焦点領域を走査する。この動作は、より好ましくは、基板平面と平行な平面上の走査を行い、次にこの走査において検出された蛍光強度の最大値に近接する領域に対して、基板平面と垂直方向に走査を行う。この動作について図9を参照して説明する。
図9Aおよび図9Bは、それぞれ、細胞核内に蛍光分子が局在する試料細胞を例に、試料台の上面から見た図と試料台の側面からみた図を示す。図9Aに示すとおり、試料台平面(即ち、基板平面)と平行な平面上をXY平面とし、X軸方向、Y軸方向を設定する。また図9Bに示すとおり、試料台平面に垂直な方向(即ち、光軸方向)をZ軸方向とする。
まずX軸、Y軸方向に関して、蛍光強度分布を走査し、蛍光強度が最大値を示すXY軸上の位置P(PX、PY)を検出する。これにより、細胞核の存在するX軸上の領域(a−b)およびY軸上の領域(c−d)内の一点が検出される。次いで、この一点について、Z軸方向の蛍光強度分布を走査し、蛍光強度が最大値を示すZ軸上の位置P(PZ)を検出する。これにより、Z軸方向について細胞核の存在する領域(e−f)に含まれる一点が検出される。
このようにして、細胞核内の蛍光分子が存在する位置P(PX、PY、PZ)に共焦点領域が設定される。
また、共焦点領域を細胞試料に対して走査する動作として、更に好ましくは、以下のとおりである。まず、細胞を含む試料を載せた基板の細胞の存在しない培養液または緩衝液部分に光ビームを集光し共焦点領域を形成し、基板平面と垂直に共焦点領域を走査する。そのとき、蛍光強度の最大値が検出される位置を前記基板の上面とし、次いで、基板の上面より試料が載っている側についてのみ共焦点領域の走査を行う。
基板上面の検出に関して具体的な動作を、図10を参照して説明する。
図10Aに示すとおり、試料台(ステージ)は、縦横方向(XY方向)および上下方向(Z軸方向)につき駆動が抑制されている。細胞を含む試料を載せた基板の、細胞の存在しない部分は、培養液あるいはリン酸塩緩衝溶液で満たされている。このような細胞の存在しない基板部分を、XY方向の駆動抑制を解除して視野の中央に移動し、XY方向についてステージを固定する。次いで、Z軸方向の駆動抑制を解除して、レーザ光を照射する。Z軸方向に関して、対物レンズ側から試料側の方向(a→b)へ500μm程度の範囲(ab間)の蛍光強度分布を測定する。
この測定により得られる特徴的な蛍光強度分布図を図10Bに示す。細胞が付着していない部分を測定したため、測定範囲内に蛍光分子は存在せず、全測定領域にわたって検出される蛍光強度(kHz)はごく小さな値である。しかし、基板の上面および下面に相当するZ軸座標において、それぞれごく小さな蛍光強度のピークがみられる。そのピーク間をつなぐように、基板内部に相当する領域において蛍光強度の上昇がみられる。このような分布は、基板下面から基板にレーザ光が入射し、基板中を通過して、基板上から試料中(ここでは培養液中)へ抜け出る際の特徴的な蛍光強度分布である。
このようにして、図10Bの大きい方のピーク位置のZ軸座標をよみとることで基板上面のZ軸上の位置を検出することができる。
続いて、細胞内の蛍光分子が存在する位置に共焦点領域を設定する動作を図11を参照して説明する。
上述したとおり、基板上面のZ軸座標を検出したら、共焦点位置のZ軸座標をいったん基板上面に設定し、Z軸方向につきステージを固定する。次にXY方向の駆動抑制を解除し、顕微鏡下で培養細胞を確認しながら、細胞が付着している基板部分を視野の中央に移動する。この位置でレーザ光を試料に照射すると、ピンホール状の輝点として共焦点領域を観察できるようになる。さらにXY方向にステージを微調整して共焦点領域が明るく観察される位置でXY方向についてステージを固定する。
このXY座標の位置でレーザ光を試料に照射したまま、今度は、検出された基板上面から上方へ約20μmないし40μm、Z軸にそって(図11Aにおいてa→b方向に)蛍光強度分布を測定する。
その結果を示す典型的な強度分布図は、図11Bのとおりである。図11Bに示すとおり、鋭いピークを持つ蛍光強度曲線が得られ、このピーク位置に蛍光分子が存在すると考えられる。
このようなスキャン操作を行えば、個々の細胞について蛍光分子が局在する部位を検出でき、個々の細胞ごとに適切な位置に共焦点領域を設定することができる。
次に、上述のようにスライドチャンバー基板の上面を予め検出する意義およびその効果を図12を参照して説明する。
試料細胞は、スライドチャンバー基板の上面に付着して存在する。この細胞に対してZ軸方向に蛍光強度を走査する際、スライドチャンバー基板上面のZ軸上の位置を検出しない図12Aの場合、距離aの範囲を走査することが必要である。一方、基板上面のZ軸上の位置Aを予め検出している図12Bの場合、細胞内の蛍光分子は基板上面の位置Aより少なくとも上方に位置するため、位置Aを起点として距離bの範囲を走査すればよい。両者を比較すると、明らかに図12Bの方が基板下面の距離a’だけ走査する範囲を短縮することができる。また、細胞外にはずれた不適切な位置に共焦点領域を設定してしまうことを防ぐことができる。
更に、計測に使用するスライドチャンバーは、平面性がよく、一度スライド基板上面のZ軸上の位置Aを検出すれば、以降、同一チャンバー内の細胞については位置Aを起点として蛍光強度分布を測定すればよい。従って、同一チャンバー内の細胞については連続して、効率よく多数の細胞に対して計測することが可能となる。このような効率のよい計測によって、蛍光分子にレーザを照射する時間は短縮され、蛍光の減退や蛍光物質の分解を抑えることができる。
一方、同一チャンバー内の細胞について連続して計測を行う場合、ある細胞から次の細胞へ移る際、ステージをステージ面と平行方向(即ち、X軸方向およびY軸方向)に移動させるが、この操作はステージ面と垂直方向(即ち、Z軸方向)の位置のずれを伴うことが多い。しかしこの場合も、基板上面のZ軸上の位置を予め検出しておけば、その位置情報をもとに、そのずれを簡単に補正することができる。
{工程(c)}
次に工程(c)において、前記工程(b)で検出された蛍光の強度の最大値が検出される付近(最大値に近接する領域)に光ビームを集光し共焦点領域を形成する。ここで、最大値が検出される付近(最大値に近接する領域)とは、好ましくは最大値から5μm以内の範囲、より好ましくは最大値から1μm以内の範囲をいう。
工程(c)により、細胞内の蛍光分子に光ビームが照射され、蛍光分子は励起され蛍光を発する。
{工程(d)}
最後に工程(d)において、前記工程(c)で形成された共焦点領域内に由来する、光ビームにより励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子の挙動を解析する。FCSにより解析する場合には、工程(d)において、蛍光分子の拡散速度を解析し、分子の物理量を計測する。
なお、蛍光相関分光法(FCS)とは、上述のとおり、蛍光で標識した標的分子の媒質中におけるゆらぎ運動を測定し、自己相関関数(Autocorrelation function)を用いることにより、個々の標的分子の微小運動を正確に測定する技術である。
本発明におけるFCSの適用を原理的に説明すれば、次の通りである。FCSでは、試料中の共焦点領域から発生する蛍光信号を検出定量する。この時、蛍光標識した標的分子は媒質中で運動しているから、標的分子がこの共焦点領域内に入ってくる頻度および前記領域内にとどまる時間に応じて、検出される蛍光強度は変化する。従って、例えば2量体化によって見かけの分子量が増大すれば、標的分子の運動は遅くなり、見かけの分子数も減少するため、微小な計測領域内に入ってくる頻度が低下し、観察される蛍光強度は変化する。その蛍光強度の変化によって、標的分子の見かけの分子量変化を追跡することが可能になる。その他、標的分子が他の生体内分子(例えば核酸)と相互作用することによる、標的分子の運動の変化、および細胞質から細胞核内への局在の変化なども、拡散時間や分子数の変化として生きた細胞内においてリアルタイムに検出することができる。
このように微小な領域で分子ゆらぎを捕えるFCS解析は、高感度、特異的に分子間相互作用を検出する上で有効である。具体的には、蛍光分子が希薄に存在する状態(蛍光分子濃度が10−10〜10−7Mの範囲)においても高い計測感度をもつため、細胞内に微量に存在する分子を高感度に検出することができる。
このように、蛍光分子の挙動の解析は、共焦点領域内の蛍光分子のゆらぎから得られる蛍光強度データを所望の解析手段を用いて解析することにより行われる。解析手段としては、FCSによる解析に加えて、上述のとおり、FIDA、FIMDAを使用することもできる。
以上説明したように、第二の実施形態に係る蛍光分析装置および蛍光分析方法によれば、計測領域である共焦点領域を、標的となる細胞内蛍光分子が局在する細胞位置に適切かつ簡便に設定することができる。よって、多数の細胞について連続的に計測を行う際も、適切かつ再現性よく蛍光分子の挙動を速やかに計測することが可能である。
また本発明は、蛍光蛋白質(例えば緑色蛍光蛋白質)を用いて細胞内の蛋白質分子を細胞に毒性の低い条件で蛍光標識する技術を併用することにより、細胞内に微量にしか存在しない分子の生細胞内での挙動を、リアルタイムに検出することを可能にしている。
<第三の実施形態>
[蛍光分析装置]
以下、本発明の第三の実施形態に係る蛍光分析装置について、図13を参照して説明する。
第三の実施形態に係る蛍光分析装置は、第二の実施形態に係る蛍光分析装置の特徴部分と第二の実施形態に係る蛍光分析装置の特徴部分を共に具備している。
図13に示すように、本実施の形態の蛍光分析装置は、レーザ光源51と、蛍光分子を含有する試料(例えば細胞)を載せた試料台52と、前記レーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系53〜59と、前記試料に対して共焦点領域を走査する走査機構60と、前記試料からの蛍光を集光する光学系61〜65と、集光した蛍光を検出する光検出器66と、蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段67と、蛍光強度分布を測定した際に最大蛍光強度を示す位置を検出・記録する蛍光強度最大値記録手段68と、所定時間経過後の蛍光強度の減衰率を測定する蛍光強度減衰率検出手段69と、前記レーザ光源からの光ビームの強度を減弱する光強度調節手段(NDフィルタ)71と、適切な光強度調節手段71を設定する光減衰選択手段(NDフィルタチェンジャー)70と、前記レーザ光源からの光ビームを前照射する時間を制御するコントローラ72を具備する。
図13においてレーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系53〜59は、具体的に反射ミラー53、反射ミラー54、干渉フィルター55、分光フィルター(excitation filter)56、レンズ57、ダイクロイックミラー58、および対物レンズ59を意味する。また、共焦点領域内の蛍光分子から放射された蛍光を集光する光学系61〜65は、具体的に分光フィルター(emission filter)61、チューブレンズ62、反射ミラー63、レンズ64、およびピンホール65を意味する。また、走査機構60は、試料台52の下面に取り付けられたラック60aと、このラックとかみ合うピニオン60b、ピニオンを回転させるモーター60cと、モーターの回転角を検出し外部へ出力するエンコーダー60dからなっている。
本実施の形態の装置を構成する各構成部材については、第一の実施の形態および第二の実施の形態に係る装置を構成する各構成部材と同じである。各構成部材に関しては、前述の説明を参照されたい。
なお、蛍光強度記録手段67と蛍光強度最大値記録手段68と蛍光強度減衰率検出手段69は別の装置として設けてもよいが、1台のコンピュータ内に2もしくは3の手段の機能をもたせてもよい。
[蛍光分析方法]
以下、第三の実施形態に係る装置を用いて行うことができる蛍光分析方法について説明する。ただし、この蛍光分析方法は、第三の実施形態に係る装置を使用しないで行ってもよい。
第三の実施形態に係る蛍光分析方法は、第一の実施形態に係る蛍光分析方法の特徴部分と第二の実施形態に係る蛍光分析方法の特徴部分を共に具備している。
第三の実施形態に係る蛍光分析方法は、
(a)蛍光分子を含む試料を基板上に載せ、この基板に対してレーザ光源からの光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で形成された共焦点領域を前記基板上の試料に対して走査し、蛍光分子からの蛍光強度分布を測定する工程と、
(c)前記工程(b)で検出された蛍光の強度の最大値が検出される付近に光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
(d)前記試料に対して所定時間光ビームを照射する工程と、
(e)前記工程(d)を行った後、前記試料に前記レーザ光源からの光ビームを照射し共焦点領域を形成し、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出し、蛍光分析を行う工程とを有することを特徴とする。
本実施の形態の方法を構成する各工程については、第一の実施の形態および第二の実施の形態に係る方法を構成する各工程と同じである。各工程に関しては、前述の説明を参照されたい。
以上、第三の実施形態に係る蛍光分析装置および蛍光分析方法は、第一の実施形態および第二の実施形態が有する特徴を両方具備しているため、それぞれの効果を兼ね備える。すなわち、蛍光の計測において、蛍光の不安定な状態でのデータ取得を回避することができ、蛍光分子を安定に解析することができる。特に、解析したい蛍光分子を安定に光らせ、かつノイズを減らすことにより、正確に生体分子の挙動を解析することができる。これにより、特に細胞内の蛍光分子を計測する場合に煩雑であった操作が効率よいものとなる。加えて、計測領域である共焦点領域を、標的となる細胞内蛍光分子が局在する細胞位置に適切かつ簡便に設定することができる。よって、多数の細胞について連続的に計測を行う際も、適切かつ再現性よく蛍光分子の挙動を速やかに計測することが可能である。
本発明の装置および方法は、蛍光で標識した標的分子を共焦点光学系のような限定された微小な測定用のボリューム中の蛍光量を測定することにより、該測定用ボリュームよりも大きなボリュームを含む試料から所望の分析結果を詳細に取得するようなあらゆる分析装置および方法に適用することができ、限られた微小な測定用ボリュームから最大限の有用な測定出力を得ることができる。ここで、測定用ボリュームは、本発明を用いて1箇所に厳選することが、最も高いデータ回収率を達成するため好ましい。しかし、反応原理または測定原理に応じて予め決められた複数箇所の測定ボリュームを必要とする場合には、本発明を用いることにより、所定個数の測定ボリュームのそれぞれから最大限の測定出力を得ることもできる。可能であれば、所定個数より少ない箇所における測定ボリュームから充分なデータを回収することによって、測定に要する費用と時間を顕著に削減することができる。
また、測定対象物である試料は、細胞に限定されることなく、生物材料(例えば、核酸、酵素、ホルモン、アレルゲン、抗原、抗体、タンパク質)を含有する一定量の液体であってもよい。また、測定すべき試料溶液中の生物材料は、基板上に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。但し、上述したFCS、FIDA、FIMDAにおいては、測定用のシグナルを発生する標識物質としての蛍光分子をゆらぎ運動が可能な条件にするのが好ましい。
また、試料を収容する手段としては、微小な管状容器、例えばキャピラリ型反応容器(EP 969083 A1参照);多孔質容器、例えばフィルタ型反応容器(USP 5843767参照);マトリックス状容器、例えばマイクロタイタープレートであってもよい。また、試料中の標的分子と反応させる試薬として、試薬を被覆した1個以上の懸濁可能な微粒子(USP 6150516参照)を含んでいてもよい。試料を収容する手段が、測定用のビームを通過または反射させることが、データ取得に有利な場合には、該手段が、適宜の光透過性または光反射性を有する材料を有することが好ましい。
実施例
(実施例1)
1.自己相関関数における拡散時間の理論値の設定
共焦点領域の半径をωとした場合、拡散時間=ω /4Dとなる。このとき、Dは拡散定数で、次に示す式で表せる。
D=(k・T)/(6π・η・r)[(kg・K・cm・s・m・1000)/(K・kg・cm・s)]=(k・T)/(6π・η・r)[m/s]
ここで、k=1.38×10−23J/K、T=絶対温度(293K)、η=粘度、r=分子の半径である。
さらに、分子の半径(r)は、次に示す式で表せる。
Figure 2002048693
ここで、NA=アボガドロ数 6.023×1023mol−1、p=分子密度である。
たとえば、GFP分子は、27,000キロダルトンであるから、上記の式にあてはめると、このFCS装置における拡散時間の理論値は、0.14ミリ秒となる。同様に、GFPとエストロゲンホルモン受容体との融合蛋白質では、約90,000キロダルトンになり、拡散時間は0.22ミリ秒と推定できる。
2.FCS計測による拡散時間の計測
実際に、GFP分子の溶液を計測した場合のデータを、表1に示す。
Figure 2002048693
GFP分子の溶液について、TE溶液(Tris−EDTA;10mM Tris−Cl,1mM EDTA)を溶媒として、濃度を公比10として6濃度(0.01、0.1、1、100、1000nM)のサンプルを調製し、各20μLについてFCS計測を行った。計測時間は60秒とし、各3回の平均値と標準偏差(SD)を示した。作成した検量線が比例していた濃度は、1〜100nMで、それ以外の低濃度、高濃度においては、濃度依存的にはならなかった。共焦点領域あたりの分子数は、1nM=0.35、10nM=3.44、100nM=48.81であった。FCS計測において、共焦点領域あたりの分子数は、計測上限値が100個であることから、濃度依存的に計測できる分子数は約1〜100程度であり、濃度でいうと一般に0.01〜700nM、好ましくは0.1〜500nM、より好ましくは1〜100nMであることがわかった。
図14に、各濃度ごとの拡散時間をプロットした。検出上限以上の1000nMでは、拡散時間が理論値を下回り正しく解析できなかった。また、0.01nMという低濃度では、拡散時間を求めることができなかった。
(実施例2)
3.レーザ減弱フィルタ(NDF)
ヒトエストロゲンレセプターERβ遺伝子とGFPの融合遺伝子(配列番号1)を、発現ベクターに組み込まれた形で、ヒト大腸がん細胞株MDAに導入した。この細胞をFCS計測し、レーザの照射回数による蛍光強度の減衰率の違いを調べた
その結果を図15に示す。横軸は、レーザ照射 300μW(NDF1.5)、100μW(NDF2.0)により1分間の計測を行った回数、縦軸は蛍光強度の減衰率を示す。NDF1.5は、減弱度3%のレーザ減弱フィルターであり、NDF2.0は、減弱度1%のレーザ減弱フィルターである。10mWのレーザがNDF1.5により減弱されると300μWになり、NDF2.0により減弱されると100μWになる。
減衰率は、計測開始5秒間の蛍光強度の平均値を100%としたときの、計測終了前5秒間の蛍光強度の平均値を(%)で表した値である。それぞれのデータを基に自己相関関数を設定したところ、照射回数3回目以降で正しい拡散係数を示す自己相関関数が設定された。このことから、減衰率20%未満のデータであれば、正しく解析できることが判った。また、減衰率50%未満であれば、連続してレーザ照射することにより減衰率を20%未満に下げることができ、正しく解析できることが判った。
4.レーザ減弱フィルタ(NDF)の最適化によるレーザ強度の設定
細胞内生体分子は、蛍光を受けることによって、蛍光の消光、分解といった現象がみられる。特に、励起するレーザのエネルギーが高い場合、計測中の蛍光の消光、分解といった現象を引き起こしやすいため、最適な減弱フィルタを決めておく必要がある。
そこで、蛍光蛋白質(GFPリコンビナント、クロンテック社)を10nMの濃度でTE溶液に懸濁したものをサンプルとし、NDFを変えることによって、FCS計測にとって最適なレーザ強度を設定した。
NDFは、0(減弱度0%)、0.3(減弱度50%)、0.5(減弱度30%)、1.0(減弱度10%)、1.5(減弱度3%)、2.0(減弱度1%)、4.0(減弱度0.01%)を使用した。
その結果を図16および図17に示す。横軸は、ともにNDFの各フィルタを示す。縦軸は、図16は共焦点領域あたり(0.24fL)の分子数を示し、図17は拡散時間を示す。理論値に近い分子数を示すのは、NDF1.0、1.5、2.0であり、理論値に近い拡散時間を示すのは、NDF2.0であることが判った。
照射したレーザ強度が10mWであるから、NDF2.0、1.5、1.0を使用した場合、それぞれ減弱されてレーザ強度は0.1、0.3、1mWであった。よって、適切なレーザ強度は、0.1〜1mW、好ましくは0.1mWであることが判った。
(実施例3)
[Z軸方向の蛍光強度分布と自己相関関数の設定との関係について]
レーザ照射により形成される共焦点領域内に由来する、光ビームにより励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより、実際にFCS計測で自己相関関数が設定され得るかどうかを調べた。
その結果を図18に示す。試料細胞として、蛍光蛋白質(GFP)とヒトエストロゲンレセプターβ(hERβ)との融合蛋白質を発現している細胞を使用した。まず、試料細胞が付着した基板上面から約20μm上方へ(即ち、細胞試料側へ)Z軸(光軸)にそって蛍光強度分布を調べた。その蛍光強度曲線を図18Aに示す。蛍光ピーク値を示した点aおよび蛍光の観察されなかった点bの2点を用いて、それぞれFCS計測を実施した。これら点aおよびbでFCS計測を実施したときの自己相関関数を設定した図を図18Bに示す。
その結果、蛍光が観察された点aにおいてのみ、FCS計測のデータから適切な自己相関関数を設定することができた。従って、図18Aに示すようなZ軸方向の蛍光強度曲線をとり、そのピーク値付近に共焦点領域を形成しFCS計測を行えば、適切な自己相関関数を設定できることが証明された。
(実施例4)
[FCS計測による細胞内蛍光強度分布データと共焦点レーザ走査顕微鏡による細胞内蛍光分子の分布データとの比較]
FCS計測において、Z軸方向(光軸方向)の蛍光強度分布データを計測対象細胞について取得することで、蛍光分子の細胞内での分布が適切に検出されているかどうか、以下のとおり確認した。すなわち、緑色蛍光蛋白質(GFP)とヒトエストロゲンレセプターβ(hERβ)との融合蛋白質を発現する細胞を試料として用いて、FCS計測によりZ軸方向の蛍光強度分布データを取得し、一方で共焦点レーザ走査顕微鏡による蛍光分子の分布データを取得し、各データの比較を行った。その結果を図19〜図22に示す。
GFPとhERβとの融合蛋白質は、波長488nm付近のレーザを照射すると、GFP由来の緑色蛍光を発することは確認済みである。またhERβは、核内レセプター蛋白質であるので、その融合蛋白質が細胞核内に局在することは、予め蛍光顕微鏡下での観察により確認済みである。
FCS計測では、スライドチャンバーで培養した前記細胞について、まず共焦点領域のXY座標を、細胞核の中心に設定してから、細胞の厚み方向(Z軸座標の方向)に蛍光強度分布を計測した。その計測の様子を図19Aに示し、その計測結果を図19Bに示す。図19Bの蛍光強度分布図から、前記融合蛋白質が存在する細胞核の厚みを概算した。図19Bより、細胞核の厚みはおよそ6μmと示唆された。
一方、共焦点レーザ顕微鏡では、図20に示すように、細胞につき厚み方向に一定の間隔でXY平面上のスライス蛍光画像を取得した。次に、図21に示すように、画像解析ソフトウエア上で、取得した画像につきZ軸方向に重ね、3次元構成させ、蛍光分子の存在する核のXZ軸平面画像を構成した。この画像上で、細胞核の中央となる線上で、Z軸方向の蛍光分布データを図22に示すようにグラフ化し、細胞核の厚みを概算した。
図20における画像1〜18は、GFP/ERβを発現している細胞に対して、Z軸方向に0.7μm間隔で、約12μmの範囲にわたり、XY平面上の蛍光をスキャンしたスライス画像を示す。蛍光分子が存在する細胞核に由来する蛍光は、画像5から現れ、画像13で消失するので、細胞核のZ軸方向の厚みは、およそ6μmと示唆された。
図22は、縦軸が蛍光強度、横軸がZ軸方向の相対的な位置(μm)を示す。蛍光分子が均一に存在する核の領域は、Z軸方向のポジション5.3から11.3までの領域となり、グラフ中シャドウの領域で示す。よって、核のZ方向の厚みはおよそ6μmと示唆された。
この結果より、FCS計測による蛍光強度分布データからわりだされる細胞核の大きさと、共焦点レーザ走査顕微鏡による観察から導かれる核の大きさが一致した。よって本発明の方法を使用すれば、適切に細胞内蛍光分子が存在する位置に共焦点領域を設定できることが証明された。
(実施例5)
[細胞核内に局在するGFP/ERβ融合蛋白質の拡散時間のFCS測定]
1.細胞試料の調製
オワンクラゲ由来の緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子とヒトエストロゲンレセプターβ(hERβ)遺伝子(GENBANK AB006590)との融合遺伝子(配列番号1)を、発現ベクターに組み込まれた形で、ヒト乳がん組織由来培養細胞株MCF−7にトランスフェクションした。これにより、GFPとhERβとの融合蛋白質(GFP/hERβ)を安定して発現する細胞クローン(MCF−7/GFP/hERβ)を得た。このMCF−7/GFP/hERβ細胞を用いて、GFP/hERβ融合蛋白質の拡散時間をFCSにより測定した。
MCF−7細胞は、付着増殖型の細胞であり、培養器の基底面に付着して増殖する。また蛍光顕微鏡下の観察から、上記細胞においてGFP/hERβ融合蛋白質は、細胞核内に局在していることが分かっている。
FCS計測に先立ち、MCF−7/GFP/hERβ細胞をラブテックチャンバー(Nunc,Cat#136439)に適量(〜約1×10/セル)播種し、10%FBS(ウシ胎児血清)添加MEM培養液で、5%COインキュベータ内37℃にて1〜2日間培養した。計測直前に培養液を抜き取り、フェノールレッドおよび血清不含DMEMもしくはダルベッコPBSで培養液を置換した。FCSによる計測は、この置換後の培養液下で行った。
細胞を播種し、培養液をDMEMもしくはPBSで置換したラブテックチャンバーをFCS装置のステージにのせ、まず明視野観察を行い、MCF−7/GFP/hERβ細胞の形態を観察した。
2.スライドチャンバーの基板上面の検出
スライドチャンバー(以下、ラブテックチャンバーともいう)の基板上面のZ軸座標を以下に記載するとおり検出した。
まず、通常は縦横方向および上下方向(即ち、図10Aに示されるX、Y、Zの3方向)につき駆動が抑制されているステージ上のラブテックチャンバーについて、細胞の付着していない部分を視野中心に設定した。
次にアルゴンレーザを入射し、ステージをZ軸(光軸)方向に上下して、FCS計測における共焦点領域(計測領域)を輝点として顕微鏡下で確認し、ステージを固定した。
続いて、このチャンバー上の細胞の付着していない箇所で、Z軸方向に蛍光強度のスキャンを行い、細胞が付着している基板の上面の検出を行った。
使用した Nuncのラブテックチャンバーは、細胞が付着する基板が厚さ130μm程のガラス板となっており、厚みも均一であり平面性もよく保たれている。上記計測において、基板下面は対物レンズ上に滴下した水に、そして基板上面はDMEMもしくはPBSに接している。そのため、Z軸(光軸)方向の蛍光スキャンを行うと、基板の下面および上面で小さな蛍光強度ピークが確認され、これにより基板上面・下面のZ軸方向の位置を検出することができた。しかも、上面のピークの方がピーク値が高いことから、上面と下面とを区別して検出可能であった(図10B参照)。
3.細胞内蛍光分子分布の計測
次に、上述のとおり、細胞が付着した基板上面のZ軸座標を検出したら、共焦点位置のZ軸座標をいったんは基板上面に設定し、Z軸方向につきステージを固定した。
次に、XY方向(基板平面に平行な方向)の駆動抑制を解除し、顕微鏡下で培養細胞を確認しながら、細胞が付着している基板部分を視野の中央に移動した。この位置でレーザ光を試料に照射すると、ピンホール状の輝点として共焦点領域を観察できるようになる。さらにXY方向にステージを微調整して、共焦点領域が明るく観察される位置でXY方向についてステージを固定した。このX、Y座標の位置でレーザ光を試料に照射したまま、今度は、基板から上面約20μm、Z軸(基板平面に垂直な方向)にそって蛍光強度分布を調べた。蛍光の観察されなかった点および蛍光ピーク値を示した点についてFCS計測を実施した。
その結果、蛍光が観察された点においてのみ、FCS計測のデータから適切な自己相関関数を設定することができた(図18参照)。
(実施例6)
GFP分子を含有する溶液を、TE溶液(Tris−EDTA;10mM Tris−Cl,1mM EDTA)を溶媒として、濃度を公比10として6濃度(0.01nM,0,1nM,1nM,10nM,100nM,1000nM)調製した。各濃度の溶液20μLを用いてFCSとFIDA計測を行った。計測時間は60秒とし、各々3回、分子数を測定し、その平均値と標準偏差を表2に示す。
Figure 2002048693
FCSとFIDA計測それぞれについて、GFP濃度と計測により得られた分子数との関係を図23に示す。GFP濃度1〜100nMにおいて、分子数の値は比例していたが、これ以外の低濃度、高濃度においては濃度依存的ではなかった。FCSおよびFIDA計測において、共焦点領域あたり計測可能な分子数は、上限100個であることから、濃度依存的に計測できる分子数は、約1〜100程度であり、濃度でいうと一般に0.01〜700nM、好ましくは0.1〜500nM、より好ましくは1〜100nMであることがわかった。
また、表2に記載のデータを用いて、濃度0.1nM GFPのときのブライトネス(Q)である23kHzを、一量体の蛍光強度(ブライトネス)として、二量体化していると仮定した場合の計測結果を表3に示す。
Figure 2002048693
C1:一量体の濃度、Q1:一量体のブライトネス、C2:2量体の濃度、Q2:二量体のブライトネスとする。全体の分子数に対する二量体の割合は、GFP濃度10nM、1nM、0.1nMにおいて、それぞれ33、21、4%になり、GFPは高濃度になるほど、二量体で浮遊している分子が増加することがわかった。このデータを図24に示す。
ここで使用した解析手法FIDAは、レーザー照射して発するサンプル中における蛍光分子の励起光をAPD(高感度フォト検出器)によって計測し、計測した蛍光シグナルを40マイクロ秒という非常に短時間あたりに分解したフォトンカウントについて、ダブル・ポアソン分布解析によって統計処理解析する。結果として、分子の蛍光強度(ブライトネス;qn)と分子数(cn)が算出される。分子種類が複数個あっても分布解析によって識別することができる。それぞれの分子種についてブライトネスと分子数を乗した数値が総蛍光量として計算できる。このFIDA法により、細胞内蛍光分子を計測すると、凝集状態が高い分子能で判別できるため、GFP融合受容体導入細胞では、GFP特有の凝集反応による重合化か、リガンドによる生理的重合化であるかを判別するには、好ましいことがわかった。FIDA法によれば、一分子あたりの蛍光強度(ブライトネス)を解析することができるので、分子の二量体化を、一量体に対して、2倍の蛍光強度の差で明確に識別することができる。すなわち、分子が二量体化した際、二量体分子一分子あたりの蛍光強度は、一量体の2倍の蛍光強度として検出できるため、分子の二量体化を明確に解析することができる。
産業上の利用可能性
以上説明したように本発明の蛍光分析装置および蛍光分析方法は、蛍光標識された生体分子(特に細胞内生体分子)の挙動を分子レベルで解析する際に有効である。
【配列表】
Figure 2002048693
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Figure 2002048693
Figure 2002048693

【図面の簡単な説明】
図1は蛍光強度分布解析(FIDA)の概略を説明する図。
図2は本発明の第一の実施形態に係る蛍光分析装置の構成を示す図。
図3は細胞内の蛍光分子計測中における蛍光強度減退の様子を示す図。
図4は図3に示す蛍光強度データを用いた自己相関関数を示す図。
図5は本発明の蛍光分析方法に関する具体例を示すチャート図。
図6は本発明の第二の実施形態に係る蛍光分析装置の構成を示す図。
図7Aは光ビームが試料に集光された試料測定部の模式図。図7Bは光ビームの集光により形成された共焦点領域の模式図。
図8は走査機構の詳細を示す図。
図9A,Bは細胞核内に蛍光分子が局在する試料細胞を示す図。図9Aは上面図。図9Bは側面図。
図10A,Bはスライドチャンバー基板上面の検出を説明する図。図10Aはスライドチャンバー基板上面の検出方法を示す模式図。図10Bはスライドチャンバー基板のZ軸方向についての蛍光強度分布を示す図。
図11A,Bは細胞内蛍光分子分布の計測を説明する図。図11Aは細胞内蛍光分子の分布を計測する方法を示す模式図。図11Bは細胞のZ軸方向についての蛍光強度分布を示す図。
図12A,Bはスライドチャンバー基板の上面を予め検出する意義および効果を説明する図。図12Aはスライドチャンバー基板上面のZ軸上の位置を検出しない場合を示す図。図12Bはスライドチャンバー基板上面のZ軸上の位置を予め検出した場合を示す図。
図13は本発明の第三の実施形態に係る蛍光分析装置の構成を示す図。
図14は緑色蛍光蛋白質(GFP)の濃度の違いによる、FCS計測される拡散時間の違いを示すグラフ図。
図15はレーザの照射回数の違いによる、蛍光強度の減衰率の違いを示すグラフ図。
図16はレーザ強度の違いによる、FCS計測される蛍光分子の分子数の違いを示すグラフ図。
図17はレーザ強度の違いによる、FCS計測される蛍光分子の拡散時間の違いを示すグラフ図。
図18AはGFP/ERβ発現細胞における細胞核内のZ軸方向の蛍光強度分布を示す図。図18Bは各共焦点領域位置におけるFCS計測による自己相関関数を示す図。
図19AはFCSにより細胞内蛍光強度分布データを計測する方法を示す模式図。図19Bは細胞のZ軸方向についての蛍光強度分布を示す図。
図20は共焦点レーザ走査顕微鏡による細胞内蛍光分子の分布データを示す写真。共焦点レーザ走査顕微鏡によるXY平面スライス蛍光画像(Z軸方向に0.7μmごとのスキャン画像)を示す写真。
図21は共焦点レーザ走査顕微鏡による細胞内蛍光分子の分布データを示す写真(図20のつづき)。図21は図20の画像1〜18のXY蛍光画像をZ軸方向に再構築した写真。
図22は共焦点レーザ走査顕微鏡による細胞内蛍光分子の分布データを示す図(図21のつづき)。図22は図21に示した細胞核の中央部の軸Aにおける蛍光強度曲線を示す図。
図23はFCSとFIDA計測それぞれにおける、GFP濃度と計測された分子数との関係を示すグラフ図。
図24はFIDA計測における、GFP濃度と一分子あたりの蛍光強度(ブライトネス)との関係を示す折れ線グラフ図、およびGFP濃度と二量体化したGFP分子の割合との関係を示す棒グラフ図。

Claims (20)

  1. レーザ光源と、
    前記レーザ光源からの光ビームを蛍光分子を含む試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
    前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
    集光した蛍光を検出する光検出器と
    前記光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段とを有し、
    前記試料に所定時間光ビームを照射後、励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子に関する分析データを取得することを特徴とする蛍光分析装置。
  2. レーザ光源と、
    前記レーザ光源からの光ビームを蛍光分子を含む試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
    前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
    集光した蛍光を検出する光検出器と、
    前記光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段と、
    前記蛍光強度記録手段に記録された初期の蛍光強度と所定時間経過後の蛍光強度の減衰率を検出する蛍光強度減衰率検出手段とを有し、
    前記蛍光強度減衰率検出手段により得られる減衰率の値が、(i)予め定められた第1の値未満である場合には蛍光分析を行い、(ii)第1の値以上であって予め定められた第2の値未満である場合には、さらに連続して試料に光ビームを照射後、再度蛍光強度の減衰率を検出し、(iii)第2の値以上である場合には光ビームの強度を下げて試料に照射後、再度蛍光強度の減衰率を検出することを特徴とする蛍光分析装置。
  3. 前記蛍光強度減衰率検出手段により得られる減衰率の値が、予め定められた第1の値未満であり、前記光検出器により検出された蛍光強度が所定の値以上の場合には、試料の計測領域を変更し、蛍光強度のより低い領域で蛍光分析を行うことを特徴とする請求項2に記載の蛍光分析装置。
  4. 前記蛍光強度減衰率検出手段により得られる減衰率の値が、予め定められた第1の値未満であり、前記光検出器により検出された蛍光強度が所定の値未満の場合には、蛍光分析を行い、取得された蛍光シグナルが拡散時間の理論値以上の場合のみ蛍光分析のデータを取得することを特徴とする請求項2に記載の蛍光分析装置。
  5. レーザ光源と、
    前記レーザ光源からの光ビームを蛍光分子を含む試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
    前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
    集光した蛍光を検出する光検出器と、
    前記光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段と、
    前記レーザ光源からの光ビームの強度を調節する光強度調節手段とを有することを特徴とする蛍光分析装置。
  6. 蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
    (a)蛍光分子を含む試料に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成し、前記試料に対して所定時間光ビームを照射する工程と、
    (b)前記工程(a)を行った後、前記試料に前記レーザ光源からの光ビームを照射し共焦点領域を形成し、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出し、蛍光分析を行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
  7. 蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
    (a)蛍光分子を含む試料に対してレーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)で形成された共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出する工程と、
    (c)前記工程(b)で蛍光強度を検出した後所定時間光ビームを照射後に、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出する工程と、
    (d)前記工程(b)と前記工程(c)でそれぞれ検出された蛍光強度を比較し、蛍光強度の減衰率を検出する工程と、
    (e)前記工程(d)で検出された減衰率が、(i)予め定められた第1の値未満である場合には蛍光分析を行い、(ii)第1の値以上であって予め定められた第2の値未満である場合には、さらに連続して光ビームを試料に照射後、工程(a)からの工程を再度行い、(iii)第2の値以上である場合には光ビームの強度を下げて試料に照射後、工程(a)からの工程を再度行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
  8. 前記工程(e)において、前記工程(d)で検出された蛍光強度の減衰率が、予め定められた第1の値未満であり、前記工程(c)で検出された蛍光強度が所定の値以上の場合には、試料の計測領域を変更し、蛍光強度のより低い領域で蛍光分析を行うことを特徴とする請求項7に記載の蛍光分析方法。
  9. 前記工程(e)において、前記工程(d)で検出された蛍光強度の減衰率が、予め定められた第1の値未満であり、前記工程(c)で検出された蛍光強度が所定の値未満の場合には、蛍光分析を行い、取得された蛍光シグナルが拡散時間の理論値以上の場合のみ蛍光分析のデータを取得することを特徴とする請求項7に記載の蛍光分析方法。
  10. 蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
    (a)蛍光分子を含まない細胞を有する試料に対して、レーザ光源からの光ビームを集光し、共焦点領域を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)で形成された共焦点領域内の細胞からの蛍光強度を検出する工程と、
    (c)前記工程(b)で検出された蛍光強度が、所定値以下となるように前記光ビーム強度を調整する工程と、
    (d)前記工程(c)で調整された光ビームの強度で、蛍光分子を含む細胞に光ビームを照射し、共焦点領域を形成する工程と、
    (e)前記工程(d)で形成された細胞内の共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光を検出し、蛍光分析を行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
  11. レーザ光源と、
    蛍光分子を含む試料を載せた基板を支持する試料台と、
    前記レーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
    前記試料に対して共焦点領域を走査する走査機構と、
    前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
    集光した蛍光を検出する光検出器と、
    光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段とを有し、
    前記基板上の試料に対して前記走査機構により共焦点領域を走査し、前記蛍光強度記録手段に記録された蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定し、蛍光分子にレーザを照射し、励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子に関する分析データを取得することを特徴とする蛍光分析装置。
  12. 前記走査機構が、前記基板上の試料を前記基板平面と垂直方向に走査し、前記蛍光強度記録手段に記録された蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定することを特徴とする請求項11に記載の蛍光分析装置。
  13. 前記走査機構が、前記基板と平行な平面の走査を行い、次に前記蛍光強度記録手段に記録された蛍光強度の最大値に近接する領域に対して、前記基板上の試料を前記基板平面と垂直方向に走査し共焦点領域を設定することを特徴とする請求項12に記載の蛍光分析装置。
  14. 前記レーザ光源からの光ビームを前記基板上の蛍光分子の存在しない培養液または緩衝液部分に集光し共焦点領域を形成し、前記基板平面と垂直方向に共焦点領域を走査したときの蛍光強度の最大値を記録し、前記基板に対する共焦点領域の相対位置を記録する蛍光強度最大値記録手段を更に有し、
    前記蛍光強度最大値記録手段に記録された基板に対する共焦点領域の相対位置を前記基板の上面とし、前記走査機構が前記基板の上面より試料が載っている側についてのみ共焦点領域の走査を行うことを特徴とする請求項11ないし13の何れか1項に記載の蛍光分析装置。
  15. 蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
    (a)蛍光分子を含む試料を基板上に載せ、この基板に対してレーザ光源からの光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)で形成された共焦点領域を前記基板上の試料に対して走査し、蛍光分子からの蛍光強度分布を測定する工程と、
    (c)前記工程(b)で検出された蛍光の強度の最大値が検出される付近に光ビームを集光し共焦点領城を形成する工程と、
    (d)前記工程(c)で形成された共焦点領域内に由来する、前記光ビームにより励起された前記蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより、蛍光分子の挙動を解析する工程を具備することを特徴とする蛍光分子の蛍光分析方法。
  16. 請求項15に記載の蛍光分析方法であって、前記(b)の工程が、共焦点領域を前記基板上の試料に対して、前記基板平面と垂直方向に走査し、蛍光分子からの蛍光強度分布を測定することを特徴とする蛍光分子の蛍光分析方法。
  17. 請求項16に記載の蛍光分析方法であって、前記(b)の工程の前に、前記基板と平行な平面方向の走査を行い、蛍光強度の最大値が検出される付近で前記(b)の工程を行うことを特徴とする蛍光分子の蛍光分析方法。
  18. 請求項15ないし17の何れか1項に記載の蛍光分析方法であって、前記(a)の工程の前に、前記レーザ光源からの光ビームを蛍光分子の存在しない培養液または緩衝液部分に集光し共焦点領域を形成し、前記基板平面と垂直方向に共焦点領域を走査したときの蛍光強度の最大値が検出される位置を前記基板の上面とし、前記(b)の工程において前記基板の上面より試料が載っている側についてのみ共焦点領域の走査を行うことを特徴とする蛍光分子の蛍光分析方法。
  19. レーザ光源と、
    蛍光分子を含む試料を載せた基板を支持する試料台と、
    前記レーザ光源からの光ビームを前記試料に集光し共焦点領域を形成する光学系と、
    前記試料に対して共焦点領域を走査する走査機構と、
    前記試料からの蛍光を集光する光学系と、
    集光した蛍光を検出する光検出器と、
    光検出器により検出される蛍光強度の変化を記録する蛍光強度記録手段とを有し、
    前記基板上の試料に対して前記走査機構により共焦点領域を走査し、前記蛍光強度記録手段に記録された蛍光強度の最大値に近接する領域に共焦点領域を設定し、
    前記試料に所定時間光ビームを照射後、前記試料中の蛍光分子にレーザを照射し、励起された蛍光分子からの蛍光強度を測定することにより蛍光分子に関する分析データを取得することを特徴とする蛍光分析装置。
  20. 蛍光分子の挙動を解析する蛍光分析方法において、
    (a)蛍光分子を含む試料を基板上に載せ、この基板に対してレーザ光源からの光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)で形成された共焦点領域を前記基板上の試料に対して走査し、蛍光分子からの蛍光強度分布を測定する工程と、
    (c)前記工程(b)で検出された蛍光の強度の最大値が検出される付近に光ビームを集光し共焦点領域を形成する工程と、
    (d)前記試料に対して所定時間光ビームを照射する工程と、
    (e)前記工程(d)を行った後、前記試料に前記レーザ光源からの光ビームを照射し共焦点領域を形成し、共焦点領域内の蛍光分子からの蛍光強度を検出し、蛍光分析を行う工程とを有することを特徴とする蛍光分析方法。
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