JPH089629B2 - セフェム化合物の製造法 - Google Patents

セフェム化合物の製造法

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JPH089629B2
JPH089629B2 JP3205224A JP20522491A JPH089629B2 JP H089629 B2 JPH089629 B2 JP H089629B2 JP 3205224 A JP3205224 A JP 3205224A JP 20522491 A JP20522491 A JP 20522491A JP H089629 B2 JPH089629 B2 JP H089629B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】セファロスポリン抗生物質分野における密
度の高い研究の結果、臨床的に重要なセファロスポリン
化合物が数多く得られた。この分野で極く最近開発され
たものの一つに、3位にハロゲンが直接結合しているセ
フエム化合物がある。数種の3−ハロゲン−3−セフエ
ム類が米国特許第3,925,372号、同第4,06
4,343号および同第3,962,227号に記載され
ている(Chauvette)。これらの強力な抗菌化合物は、対
応する3−ヒドロキシ−3−セフエム類をハロゲン化し
て製造される。3−ヒドロキシ−3−セフエムを3−ク
ロロもしくは3−ブロモ−3−セフエムにハロゲン化す
る方法は、具体的には、3−ヒドロキシ−3−セフエム
化合物を、通常はジメチルホルムアミドの存在下に、ホ
スゲン、オキサリルクロリド、チオニルクロリド、チオ
ニルブロミドを含むブロム化剤もしくはクロル化剤、あ
るいは三塩化リンと三臭化リンのようなハロゲン化リン
と反応させて実施する。
【0002】半合成ペニシリンおよびセファロスポリン
抗生物質の製造における化学的修飾も、6位または7位
にアシルアミノ基を有するβ−ラクタム基質で行われて
いる。これらは反応条件下において安定ではあるが、最
高の抗菌活性を得るには好ましくない。従って、すべて
ではないが、殆んどの既知の臨床的に重要なペニシリン
およびセファロスポリンの製造に共通する工程は、6−
もしくは7−アシルアミノ基を開裂して、所望のかたち
に再アシル化することができるような6−もしくは7−
アミノ化合物を得る工程である。ペニシリンおよびセフ
ァロスポリンのアシルアミノ側鎖の開裂に最も広く用い
られている方法は、6−もしくは7−アシルアミノ化合
物を、まず対応するイミノハライドに変換し、さらにイ
ミノエーテルに変換した後に酸加水分解またはアルコー
リシスによって核(6−もしくは7−アミノ)化合物を得
る方法である。この一般法およびその改良法について
は、下記米国特許に記載されている。第3,549,62
8号、第3,575,970号,第3,697,515号,第
3,845,043号および第3,868,368号。
【0003】数多くの酸ハライド類、特にリン、炭素お
よび硫黄またはその酸素酸から誘導した酸クロリドは、
上記3工程のアミド開裂工程におけるイミノハライド中
間体の製造に有用であると開示されている。特に好まし
いイミノハライド形成剤としては、塩化ホスホリル、五
塩化リン、三塩化リン、塩化チオニル、ホスゲン、オキ
サリルクロリドおよび三塩化カテキルリンがある。実験
経験から、五塩化リンがイミノハライド中間体の製造に
おける好ましい酸ハライド試薬である。セファロスポリ
ンスルホキシドも、セファロスポリン抗生物質の合成に
おいて広く用いられている中間体である。セファロスポ
リンのスルホキシド型を用いて実施した反応または合成
が完了した後にスルホキシド基を還元すると、還元され
た、あるいはスルフィド状態のセファロスポリン化合物
が得られる。
【0004】セファロスポリンスルホキシドの還元に関
する好ましい先行技術は、マーフィー等の方法である
〔Murphy et al.,米国特許第3,641,
014号〕。この方法においては、セファロスポリンス
ルホキシドは、 1) 水素および水素化触媒 2) 第一スズ、第一鉄、第一銅または第一マンガンカ
チオン 3) ジチオナイト、ヨージドまたはフエロシアニド、 4) 三価のリン化合物、 5) ハロシラン類、または 6) クロロメチレンイミニウムクロリド で還元されている。これらの還元剤のあるものは、アセ
チルクロリドあるいは三塩化リンのような活性剤を必要
とする。例えば、ナトリウムジチオネートは、還元に際
してアセチルクロリドで活性化される。セファロスポリ
ンスルホキシドの別な還元方法は、米国特許第4,04
4,002号に開示されており(Hatfield)、同特許には
臭素捕集剤の存在下にアシルブロミドを用いてセファロ
スポリンスルホキシドを還元する方法が詳述されてい
る。さらに、最近、ジメチルホルムアミドの存在下に三
塩化リン、五塩化リン、またはホスゲンを用いて3−ヒ
ドロキシセフエムスルホキシド類を還元/クロロ化する
方法が報告されている(Kukolja and Spry)。
【0005】我々は、最近、リン酸素酸からではなく
て、そのアリールエステルから誘導した新しい化合物群
を見い出した。さらに詳述すると、特定の亜リン酸トリ
アリールを当量の塩素もしくは臭素と反応させると、反
応初期に、熱力学的には不安定ではあるが、動力学的に
コントロールされた生成物が得られ、β−ラクタム化合
物の製造に好都合に用いられることを見出した。これら
の新規亜リン酸トリアリール−ハロゲン化合物について
は、本件と同じ日に出願した係属中の米国出願第8,4
69号に開示されている。本発明は、最近見い出された
亜リン酸トリアリール−ハロゲン化合物を用いて得られ
るセファロスポリンアミノ体を常法により処理し、有用
な抗生物質を製造する方法に関する。本発明は以下に記
載する具体化された製法を提供するものである:式(I):
【化14】 で表わされる亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレ
ックスを使用して製造される式:
【化15】 で表わされる化合物またはその塩をアシル化し、脱エス
テル化することを特徴とする、7−(D−2−フェニル
−2−アミノアセトアミド)−3−クロロ−3−セフェ
ム−4−カルボン酸[すなわち7−(D−フェニルグリ
シルアミド)−3−クロロ−3−セフェム−4−カルボ
ン酸]の製造方法。[式中、Xは塩素または臭素、Zは
水素、ハロゲン、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アル
コキシ、Rは水素またはカルボン酸保護基である]
【0006】本発明で使用されるセファロスポリンアミ
ノ体は種々の方法により製造することができるが、本発
明では特に下記に記載する具体化された製法により製造
されるアミノ体を使用している。 6−アシルアミノ
ペニシリンもしくは7−アシルアミノセファロスポリン
を、実質的に無水の不活性有機溶媒中、約30℃以下に
おいて、ハロゲン化剤化合物1当量に対して約1.0乃
至約1.2当量の第三アミン塩基の存在下に、約1.0乃
至約2.0当量の亜リン酸トリアリール−ハロゲンコン
プレックスと反応させて、6−ハロアルキリデンアミノ
ペニシリンもしくは7−ハロアルキリデンアミノセファ
ロスポリン(以下、便宜的にペニシリンもしくはセファ
ロスポリン・イミノハライドという)を得、次いでハロ
アルキリデンアミノ体が完全に形成された後に少なくと
も3倍過剰のC1〜C15脂肪族アルコールと塩化水素を
加えて、6−アミノペニシリンまたは7−アミノセファ
ロスポリンを製造する方法。ただし、6−アシルアミノ
ペニシリンもしくは7−アシルアミノセファロスポリン
がヒドロキシ、アミノもしくはカルボキシで置換されて
いる場合には、これらの置換基を通常のヒドロキシ、ア
ミノもしくはカルボキシ保護基で保護しておくものとす
る。また、6−アシルアミノペニシリンもしくは7−ア
シルアミノセファロスポリンは下記式(IV)で表わされる
化合物である。
【化16】 〔式中、Rはカルボン酸保護基;R1は水素もしくはメト
キシ;R7CO−はカルボン酸から誘導したアシル基;Y
【化17】 から選んだ二価のラジカル;をそれぞれ表わす。但し、
Aは水素、塩素、臭素、保護ヒドロキシ、C1〜C4アル
コキシ、メチル、C1〜C4のアルカンスルホニルオキシ
もしくはC1〜C4アルキルフェニルスルホニルオキシ;
Bは1) C2〜C4アルカノイル、カルバモイルオキシ
もしくはC1〜C4アルキルカルバモイルオキシ、2)
1〜C4アルコキシ、3) 塩素もしくは臭素、または
4) 式−SR9で表わされる基(但し、R9は、(a) C1
〜C4アルカノイル、(b) C1〜C4アルキル、フェニル
またはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、保護ヒ
ドロキシ、塩素、臭素、フッ素、ニトロ、シアノ、メタ
ンスルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選んだ
1または2個の置換基で置換されたフェニル、または
(c) 酸素、硫黄および窒素から選んだ1〜4個のヘテ
ロ原子を含む、非置換またはC1〜C4アルキル、C1
4アルコキシ、塩素、臭素、オキソ、ハロ(C1〜C4
ルキル)、保護アミノ、保護アミノ(C1〜C4アルキ
ル)、保護ヒドロキシ、保護ヒドロキシ(C1〜C4アルキ
ル)、保護カルボキシもしくは保護カルボキシ(C1〜C4
アルキル)で置換された5または6員環のヘテロ環であ
る。);をそれぞれ表わす。〕
【0007】 亜リン酸トリアリール−ハロゲンコン
プレックスを、式(V)で表わされる7−アシルアミノセ
ファロスポリン化合物と反応させ、次いでハロアルキリ
デンアミノ体が完全に形成された後に少なくとも3倍過
剰のC1〜C15脂肪族アルコールと塩化水素を加えて、
6−アミノペニシリンまたは7−アミノセファロスポリ
ンを製造する方法。
【化18】 〔式中、Rはカルボン酸保護基;R1は水素もしくはメト
キシ;R7CO−はカルボン酸から誘導したアシル基;M
は水素、塩素、臭素、保護ヒドロキシ、C1〜C4アルコ
キシ、メチル、C1〜C4アルキルフェニルスルホニルオ
キシもしくは式−CH2Bで表わされる基;Bは1) C2
〜C4アルカノイル、カルバモイルオキシもしくはC1
4アルキルカルバモイルオキシ;2) C1〜C4アルコ
キシ、3) 塩素もしくは臭素、または4) 式−SR9
で表わされる基(但し、R9は、(a) C1〜C4アルカノ
イル、(b) C1〜C4アルキル、フェニルまたはC1〜C
4アルキル、C1〜C4アルコキシ、保護ヒドロキシ、塩
素、臭素、フッ素、ニトロ、シアノ、メタンスルホンア
ミドおよびトリフルオロメチルから選んだ1または2個
の置換基で置換されたフェニル、または(c) 酸素、硫
黄および窒素から選んだ1〜4個のヘテロ原子を含む、
非置換またはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、
塩素、臭素、オキソ、ハロ(C1〜C4アルキル)、保護ア
ミノ、保護アミノ(C1〜C4アルキル)、保護ヒドロキ
シ、保護ヒドロキシ(C1〜C4アルキル)、保護カルボキ
シもしくは保護カルボキシ(C1〜C4アルキル)で置換さ
れた5または6員環のヘテロ環である。);をそれぞれ表
わす。〕
【0008】 式(X):
【化19】 で表わされる化合物を、実質的に無水の不活性有機溶媒
中、約30℃以下において、ハロゲン化剤化合物1当量
に対して約1.0乃至約1.2当量の第三アミン塩基の存
在下に、約2.0乃至約3.0当量の亜リン酸トリアリー
ル−ハロゲンコンプレックスと反応させて、式(IX):
【化20】 で表わされるイミノハライド化合物を得、次いで少なく
とも3倍過剰量のC1〜C15脂肪族アルコールと塩化水
素を加え、イミノハライド部分をアミノ部分に変換し、
3位ハロゲン化セファロスポリンアミノ体を製造する方
法。〔上記式中、Xは塩素もしくは臭素;Rはカルボン
酸保護基;R1は水素もしくはメトキシ;R7はカルボン酸
から誘導したアシル残基をそれぞれ表わす。但し、R7
がアミノ、ヒドロキシもしくはカルボキシ基で置換され
ている場合には、まずこれらの置換基を通常のアミノ、
ヒドロキシもしくはカルボキシ保護基で保護しておくも
のとする。〕
【0009】 式(XV):
【化21】 で表わされる7−アシルアミノセファロスポリンスルホ
キシドを、実質的に無水の不活性有機溶媒中、約30℃
以下において、少なくとも1当量のハロゲン捕集剤と約
1乃至約2当量の第三アミン塩基の存在下に、約2乃至
約3当量の亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレッ
クスと反応させて式(XIV):
【化22】 で表わされるセファロスポリンイミノハライドを得、次
いでイミノハライド体が完全に形成された後に少なくと
も3倍過剰量のC1〜C15脂肪族アルコールと塩化水素
を加え、イミノハライド部分をアミノ部分に変換するこ
とを特徴とするセファロスポリンアミノ体の製造方法。
〔式中、Xは塩素もしくは臭素、Rはカルボン酸保護
基、R1は水素もしくはメトキシ、R7は式R7COOH
で表わされるC1〜C20カルボン酸から誘導したアシル
残基、Yは、
【化23】 から選んだ二価のラジカルをそれぞれ表わす。但し、
A'は水素、塩素、臭素、保護ヒドロキシ、C1〜C4
ルコキシ、メチル、C1〜C4アルカンスルホニルオキ
シ、C1〜C4アルキルフェニルスルホニルオキシもしく
は式−CH2Bで表わされる基、Bは1) C2〜C4アル
カノイル、カルバモイルオキシもしくはC1〜C4アルキ
ルカルバモイルオキシ、2) C1〜C4アルコキシ、3)
塩素もしくは臭素、4) C1〜C4アルコキシカルボ
ニルもしくは(C2〜C6ハロアルコキシ)カルボニル、ま
たは5) 式−SR9で表わされる基(但し、R9は、(a)
1〜C4アルカノイル、(b) C1〜C4アルキル、フェ
ニルまたはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、保
護ヒドロキシ、塩素、臭素、フッ素、ニトロ、シアノ、
メタンスルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選
んだ1または2個の置換基で置換されたフェニル、また
は(c) 酸素、硫黄および窒素から選んだ1〜4個のヘ
テロ原子を含む、非置換またはC1〜C4アルキル、C1
〜C4アルコキシ、塩素、臭素、オキソ、ハロ(C1〜C4
アルキル)、保護アミノ、保護アミノ(C1〜C4アルキ
ル)、保護ヒドロキシ、保護ヒドロキシ(C1〜C4アルキ
ル)、保護カルボキシもしくは保護カルボキシ(C1〜C4
アルキル)で置換された5または6員環のヘテロ環であ
る。);をそれぞれ表わす。但し、R7がヒドロキシ、ア
ミノもしくはカルボキシで置換されている場合には、こ
れらの基を、まず通常のヒドロキシ、アミノもしくはカ
ルボキシ保護基で保護しておくものとする。〕
【0010】 式(XVII):
【化24】 で表わされる7−アシルアミノ−3−ヒドロキシセファ
ロスポリンスルホキシドを、実質的に無水の不活性有機
溶媒中、約30℃以下において、少なくとも1当量のハ
ロゲン捕集剤および約2.0乃至約5.0当量の第三アミ
ン塩基の存在下に、約3乃至約5当量の亜リン酸トリア
リール−ハロゲンコンプレックスと反応させて、式(I
X):
【化25】 で表わされるハロセファロスポリンイミノハライドを
得、次いでイミノハライド体が完全に形成された後にC
1〜C15脂肪族アルコールと塩化水素を加え、イミノハ
ライド部分をアミノ部分に変換することを特徴とする3
−ハロセファロスポリンアミノ体を製造する方法。〔式
中、Xは塩素もしくは臭素;Rはカルボン酸保護基;R1
は水素もしくはメトキシ;R7は式R7COOHで表わさ
れるC1〜C20カルボン酸から誘導したアシル残基;をそ
れぞれ表わす。但し、R7がヒドロキシ、アミノもしく
はカルボキシ基で置換されている場合には、これらの基
を、通常のヒドロキシ、アミノもしくはカルボキシ保護
基で保護しておくものとする。〕
【0011】6−および7−アシルアミノ基の具体例と
しては、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミ
ド、ブチルアミド、クロロアセトアミド、2−ブロモプ
ロピオンアミド、シアノアセトアミド、トリフルオロメ
チルチオアセトアミド、4−t−ブトキシカルボニルア
ミノ−4−t−ブトキシカルボニルブチルアミド、ベン
ズアミド、4−メチルベンズアミド、3−ニトロベンズ
アミド、2−ヨードベンズアミド、4−ベンジルオキシ
ベンズアミド、3−シアノベンズアミド、2,6−ジク
ロロベンズアミド、4−トリフルオロメチルベンズアミ
ド、3,4−ジエトキシベンズアミドおよび3−メタン
スルホンアミドベンズアミドがあげられる。R7が式:
0−(Q)m−CQ12で示される基を表わす場合、アシ
ルアミノ基の具体例にはフェニルアセトアミド、4−ブ
ロモフェニルアセトアミド、3,5−ジニトロフェニル
アセトアミド、4−ベンジルオキシフェニルアセトアミ
ド、フェノキシアセトアミド、4−クロロフェノキシア
セトアミド、2−プロポキシフェノキシアセトアミド、
4−カルバミルフェノキシアセトアミド、シクロヘキサ
ジエニルアセトアミド、フェニルチオアセトアミド、
2,5−ジクロロフェニルチオアセトアミド、3−ニト
ロフェニルチオアセトアミド、2−トリフルオロメチル
フェニルチオアセトアミド、2−フェニルプロピオンア
ミド、2−フェノキシプロピオンアミド、2−フェニル
−2−メチルプロピオンアミド、2−(4−クロロフェ
ニル)プロピオンアミド、2−フリルアセトアミド、2
−チエニルアセトアミド、5−イソオキサゾリルアセト
アミド、2−チアゾリルアセトアミド、2−チエニルプ
ロピオンアミド、5−チアゾリルアセトアミド、2−ク
ロロアセトアミドチアゾール−5−イルアセトアミド、
5−ブロモチエン−2−イルアセトアミド、1−テトラ
ゾリルアセトアミド、5−テトラゾリルアセトアミドな
どが含まれる。
【0012】R7が式R0−CH(W)−(但し、Wは保護
されたヒドロキシである。)で表わされる置換アリール
アルキル基であるとき、アシルアミノ基の具体例には、
2−ホルミルオキシ−2−フェニルアセトアミド、2−
ベンジルオキシ−2−(4−メトキシフェニル)アセトア
ミド、2−(4−ニトロベンジルオキシ)−2−(3−ク
ロロフェニル)アセトアミド、2−クロロアセトキシ−
2−(4−メトキシフェニル)アセトアミド、2−ベンジ
ルオキシ−2−フェニルアセトアミド、2−トリメチル
シリルオキシ−2−(4−クロロフェニル)アセトアミ
ド、2−ベンズヒドリルオキシ−2−フェニルアセトア
ミドなどがあげられる。Wが保護されたアミノ基である
場合の具体例には、2−(4−ニトロベンジルオキシカ
ルボニルアミノ)−2−フェニルアセトアミド、2−
(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルアミノ)−2
−フェニルアセトアミド、2−クロロアセトアミド−2
−(1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)アセトアミ
ド、2−(4−メトキシベンジルオキシカルボニルアミ
ノ)−2−(4−メトキシフェニル)アセトアミド、2−
ベンズヒドリルオキシカルボニルアミノ−2−フェニル
アセトアミド、2−(1−カルボメトキシ−2−プロペ
ニル)アミノ−2−フェニルアセトアミド、2−(4−ニ
トロベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−(2−チエ
ニル)アセトアミドなどがある。
【0013】Wが保護されたカルボキシ基である場合、
式R7CONH−で表わされる基の具体例には2−(4−
ニトロベンジルオキシカルボニル)−2−(2−チエニ
ル)アセトアミド、2−ベンズヒドリルオキシカルボニ
ル−2−フェニルアセトアミド、2−(2,2,2−トリ
クロロエトキシカルボニル)−2−(4−クロロフェニ
ル)アセトアミド、2−t−ブトキシカルボニル−2−
(4−ベンジルオキシフェニル)アセトアミドなどがあ
る。式:
【化26】 で表わされるイミド基はマレインイミド、3−エチルマ
レインイミド、3,4−ジメチルマレインイミド、スク
シンイミド、フタルイミドおよび3,4,5,6−テトラ
ヒドロフタルイミドである。
【0014】式(XII)におけるR9は非置換のヘテロ環で
あって、その具体例としては、ピリジル、ピラジニル、
ピリダジニル、ピリミジル、1,2,4−トリアジニル、
ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、1,2,4−ト
リアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チア
ジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チ
アジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4
−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1
H−テトラゾリル、2H−テトラゾリルなどがあげられ
る。R9で表わされる好ましいヘテロ環は下記のとおり
である。
【化27】 〔式中、aは水素またはC1〜C4アルキルである。〕こ
れらの製法に用いられている亜リン酸トリアリール−ハ
ロゲンコンプレックスは、最近、特定の亜リン酸トリア
リールと塩素もしくは臭素との反応から得られた化合物
である。
【0015】式(II):
【化28】 で表わされる亜リン酸トリアリールを、実質的に無水の
不活性有機溶媒中、当量の塩素もしくは臭素と反応させ
ると式(I):
【化29】 で表わされる動力学的にコントロールされた生成物が得
られる。但し、上記式中、Zは水素、ハロゲン、C1
4アルキルもしくはC1〜C4アルコキシ、Xは塩素も
しくは臭素をそれぞれ表わす。
【0016】Zの定義におけるハロゲンには、塩素、臭
素またはヨウ素が含まれる。また、C1〜C4のアルキル
にはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチ
ル、sec−ブチル、t−ブチルおよびイソブチルが、C1
〜C4アルコキシにはメトキシ、エトキシ、イソプロポ
キシ、t−ブトキシおよびブトキシが包含される。
【0017】動力学的にコントロールされた生成物の一
般式に記載された点(・)は、ただ単に当量のハロゲンと
亜リン酸トリアリールが化学的に結合(combine)された
ものであって、その結合様式が、通常点なし〔例えば、
(PhO)3PCl2〕で表わされる熱力学的に安定な既知
誘導体の結合様式と異なることを示す。この亜リン酸ト
リアリール・ハロゲン動力学的コンプレックスの分子構
造は正確には決定されていないが、物理化学的データに
よれば、この動力学的生成物のリン中心はカチオンの性
質を持っている。本明細書中の「動力学的化合物」、
「動力学的コンプレックス」、「亜リン酸トリアリール
−ハロゲンコンプレックス(化合物)」、「動力学的にコ
ントロールされたハロゲン化(還元)剤化合物」および
「動力学的にコントロールされた生成物」という用語は
すべて同義語として用いられている。
【0018】動力学的にコントロールされたハロゲン化
剤化合物の製造に適する亜リン酸トリアリールとして
は、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリ(p−メトキシ
フェニル)、亜リン酸トリ(o−クロロフェニル)、亜リン
酸トリ(p−クロロフェニル)、亜リン酸トリ(p−トリ
ル)、亜リン酸トリ(o−トリル)、亜リン酸トリ(m−ブロ
モフェニル)、亜リン酸トリ(p−ブロモフェニル)、亜リ
ン酸トリ(p−ヨードフェニル)、亜リン酸トリ(p−プロ
ピルフェニル)、亜リン酸トリ(p−t−ブチルフェニ
ル)、亜リン酸トリ(m−トリル)、亜リン酸トリ(p−イソ
プロポキシフェニル)などが挙げられる。入手しやすい
ことから、亜リン酸トリフェニルが好ましい。
【0019】動力学的にコントロールされたハロゲン化
剤化合物の製造および以下に記載する還元法と還元−ハ
ロゲン化における媒質としては広範囲の不活性有機溶媒
が用いられる。ここで言う不活性有機溶媒とは、本発明
の反応条件下において、反応体とも生成物とも事実上反
応しない有機溶媒を意味する。ハロゲン化剤化合物はプ
ロトン性化合物と反応しやすいので、水、アルコール
類、アミン類(第三アミン以外)、チオール類、有機酸お
よびその他のプロトン性化合物は、この場合の反応媒質
から除かれる。
【0020】実質的に無水の非プロトン性の有機溶媒が
好ましい。本明細書で言う「実質的に無水」の溶媒とし
ては、一般的には無水有機溶媒が好ましいが、市販の溶
媒に含まれている微量の水分は無視してもよい。本明細
書に記載の動力学的生成物は溶媒中の水分と反応する
が、過剰の試薬を用いることによって容易に加水分解に
よる損失分を補うことが出来る。通常の実験室的手法を
用いて溶媒を乾燥し、反応混合物を湿気から遮断するの
が好ましい。
【0021】適当な溶媒としては、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペン
タン、ベンゼン、トルエン、o−、m−もしくはp−キシ
レン、メシチレンなどの脂肪族および芳香族炭化水素
類;ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン
のような環状および非環状エーテル類;酢酸エチル、ギ
酸メチル、酢酸メチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、酢酸
(sec−ブチル)、プロピオン酸メチル、酪酸メチルのよ
うなカルボン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオ
ンニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;クロロ
ホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロ
エタン(エチレンジクロリド)、1,1,2−トリクロロエ
タン、1,1−ジブロモ−2−クロロエタン、2−クロ
ロプロパン、1−クロロブタン、クロロベンゼン、フル
オロベンゼン、o−、m−もしくはp−クロロトルエン、o
−、m−もしくはp−ブロモトルエン、ジクロロベンゼン
などの芳香族および脂肪族ハロゲン化炭化水素類;およ
びニトロメタン、ニトロエタン、1−もしくは2−ニト
ロプロパン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物が適す
る。
【0022】動力学的にコントロールされた亜リン酸ト
リアリール・ハロゲン化合物の製造、またはそのハロゲ
ン化工程の媒質として特定の不活性有機溶媒を用いるこ
とは必須要件ではないが、至適溶媒の選択に際しては、
極性、融点もしくは沸点、およびハロゲン化生成物の単
離の容易さを考慮するとよい。
【0023】動力学的にコントロールされた生成物の製
造において好ましい溶媒は、炭化水素類、特に芳香族炭
化水素類およびハロゲン化炭化水素類である。クロロホ
ルム以外のハロゲン化炭化水素が好ましく、最も好まし
のが塩化メチレンである。
【0024】亜リン酸トリアリールおよび塩素もしくは
臭素の動力学的にコントロールされた反応によって得ら
れたハロゲン化剤化合物を溶液中で放置すると、主とし
て亜リン酸トリアリールの性質、溶媒、ハロゲンおよび
溶液の温度に依存して、様々な割合で対応する熱力学的
化合物に変換もしくは異性化される。実験データによれ
ば、酸(HX)もしくは過剰の亜リン酸トリアリールが存
在すると、動力学的生成物から熱力学的生成物への変換
率が高くなる。
【0025】亜リン酸トリフェニルと塩素を塩化メチレ
ン中、室温において反応させて得られた動力学的にコン
トロールされた生成物の半減期は、31P核磁気共鳴スペ
クトルによれば約8時間である。同一条件下における亜
リン酸トリフェニル−臭素動力学的コンプレックスの半
減期は約39時間であった。すでに指摘したように、動
力学的コンプレックスの半減期(変換速度)は、溶媒およ
びハロゲン化水素酸(HX)もしくは過剰の亜リン酸トリ
アリールの存在によって影響され得る。従って、例え
ば、動力学的コンプレックスの製造に用いる溶媒を十分
に乾燥させなかった場合には半減期が短くなり、また、
動力学的コンプレックスと溶媒中の水分との反応で生成
したハロゲン化水素酸は安定型への変換率を増加させ
る。表Iは、亜リン酸トリフェニルと塩素との反応で得
られた動力学的にコントロールされた生成物およびその
対応する熱力学的にコントロールされた生成物の諸性質
をまとめたものである。
【0026】
【表1】
【0027】動力学的にコントロールされた生成物と
は、2つ以上の生成物が得られる反応においては、より
早く形成された生成物を意味し、その熱力学的安定性は
考慮しない。生成物が熱力学的平衡に達する前にこのよ
うな反応を中止すると、より早く形成される生成物の方
がより多く存在するので、この反応は動力学的にコント
ロールされているという。不活性有機溶媒中の亜リン酸
トリアリールと塩素もしくは臭素との反応を含めて、い
くつかの例では、動力学的にコントロールされた生成物
の形成率と熱力学的平衡化率は、動力学的にコントロー
ルされた生成物の相当量が熱力学的に安定な生成物に異
性化または平衡化される前に、動力学的にコントロール
された生成物が形成され、使用されるような比率(反応
速度)になっている。
【0028】動力学的にコントロールされた生成物の生
成と安定性を最大にするために、初期生成物の熱力学的
平衡化のポテンシャルが最少となるように反応条件が選
択される。動力学的コントロールを最も簡単に行うに
は、反応温度および動力学的生成物が形成された後のそ
の生成物の温度を低くすることであり、さらに、得られ
た動力学的生成物を直ちに次の反応に用いることなどに
よって熱力学的平衡化が起るべき時間を最小限にするこ
とである。
【0029】具体的には、反応体である亜リン酸トリア
リールと塩素もしくは臭素を、実質的に無水の不活性有
機溶媒中、約30℃以下で反応させる。動力学的にコン
トロールされた生成物はもっと高温でも形成されるが、
このような条件は、熱力学的に安定な生成物への異性化
を助ける。ハロゲン化剤化合物は約30℃以下で製造す
るのが好ましい。最低反応温度は、反応溶媒の凝固点に
よって定まる。最も好ましい反応温度は約−70℃乃至
約0℃である。
【0030】亜リン酸トリアリールそのものも、塩素も
しくは臭素との動力学的反応生成物と幾分反応して、対
応する熱力学的生成物への変換率を実質的に増加させ
る。従って、必須要件ではないが、動力学的化合物が形
成される間、混液中に過剰のハロゲンが存在することが
好ましい。これは、亜リン酸トリアリールを当量のハロ
ゲン溶液に加えることによって、あるいはハロゲンと亜
リン酸トリアリールを所望の温度において同時に一定量
の不活性有機溶媒に加えることによって実施される。
【0031】両反応体の同時添加は、反応混液に常にハ
ロゲンの色が残っているような割合で行い、亜リン酸ト
リアリールの最後の1滴でこの色を消すようにして実施
する。また、過剰のハロゲンは、アセチレン類またはア
ルケン、ジエン、シクロアルケンもしくはビシクロアル
ケンを含むオレフィン類のような公知ハロゲン捕集剤を
用いて脱色することも出来る。好ましい捕集剤はC2
6アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン
もしくはアミレン)である。
【0032】本発明に用いる動力学的にコントロールさ
れた亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレックス
は、その溶液にpKb値が約6乃至約10の第三アミン塩
基約10乃至約100モル%を添加することによって安
定化される。例えば、塩化メチレン中で亜リン酸トリフ
ェニルと塩素との反応で得られる動力学的にコントロー
ルされた生成物の溶液に約50モル%のピリジンを加え
ると、室温で長時間放置しても、31P NMRによって
検定される熱力学的平衡生成物は微量である。第三アミ
ン塩基は、新しく調整した亜リン酸トリアリール−ハロ
ゲンコンプレックスの溶液に加えるか、または、必要に
応じて亜リン酸トリアリールとハロゲンとの反応混合物
に加えて、動力学的にコントロールされた生成物の安定
した溶液を得ることも出来る。
【0033】ハロゲン捕集剤 本発明の還元工程が進むにつれて、塩素もしくは臭素
(使用した亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレッ
クスによる)が副生成物として得られる。このハロゲン
副生成物とセファロスポリン生成物との望ましくない反
応を避けるには、形成された塩素もしくは臭素と反応さ
せるか、あるいはこのハロゲンを不活性化させるために
ハロゲン捕集剤を用いる。本明細書に言う“ハロゲン捕
集剤"とは、塩素もしくは臭素と容易に反応し、本発明
の製法において還元剤として用いている亜リン酸トリア
リール−ハロゲンコンプレックスとは反応しない有機物
質のことである。
【0034】本発明に用い得るハロゲン捕集剤の具体例
には、アルケン、シクロアルケン、ビシクロアルケン、
ジエン、シクロジエン、ビシクロジエン、アルキンまた
は塩素もしくは臭素と容易に電子置換し得る置換芳香族
炭化水素類(例えば、一価フェノールとエーテルおよび
一価と多価フェノールのエステル類)があげられる。こ
のようなハロゲン捕集剤の具体例には、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−
ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3
−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、
1−オクテン、異性体ノネンなどのC2〜C10アルケン
類;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン
およびシクロオクテンのような5〜8個の環炭素を有す
るシクロアルケン類;ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘ
プタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエ
ン、シクロオクタジエン、2,3−ジメチルブタジエン
−1,3−イソプレンなどのC4〜C8ジエン類および5
〜8個の環炭素を有するシクロジエン類;アセチレン、
メチルアセチレン、エチルアセチレン、ジメチルアセチ
レン、1−ペンチン、2−ペンチン、異性化ヘキシン、
3−メチル−1−ブチン、3,3−ジメチル−1−ブチ
ンおよび塩素もしくは臭素が容易に付加し得るアセチレ
ン結合を有するアセチレン類(フェニレンアセチレンは
塩素捕集剤としては不充分である)のようなC2〜C6
ルキン類;カムフェンおよびピネンのような二環の不飽
和炭化水素類;フェノールエーテル類、置換フェノール
エーテル類、および下記式(XVIII)で表わされる低級ア
ルカノイルフェノールエステル類がある。
【0035】
【化30】 〔式中、R'4はC1〜C4アルキルもしくはC2〜C5アル
カノイル;R'5およびR'6は独立して水素、C1〜C4
ルコキシ、C2〜C5アルカノイルもしくはC1〜C4アル
キルをそれぞれ表わす〕
【0036】このような誘導体の具体例には、ハイドロ
キノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンジメチルエ
ーテル、アニソール、フェネトール、m−ジメトキシベ
ンゼン、ペラトロール、プロピオン酸フェニル、酢酸フ
ェニル、二酢酸レゾルシノール、および塩素もしくは臭
素と容易に反応する同様なフェノールエーテル類および
エステル類が含まれる。好ましいハロゲン捕集剤はC2
〜C6アルケン、例えばエチレン、プロピレン、ブチレ
ン、アミレン、シクロペンテンもしくはシクロヘキセン
である。
【0037】理論的には、本発明法で還元されるスルホ
キシド1当量に対して少なくとも1モル当量のハロゲン
が生成されるので、このセファロスポリンスルホキシド
の還元においては、セファロスポリンスルホキシド出発
物質1当量に対して少なくとも1モル当量のハロゲン捕
集剤を用いる。通常は、出発物質1当量に対して約1乃
至約3モル当量のハロゲン捕集剤を用いるが、さらに過
剰量のハロゲン捕集剤を用いても還元工程に影響を及ぼ
すことはない。
【0038】本発明工程中のハロゲン化に用いられる出
発物質の7−アシルアミノセファロスポリンおよび6−
アシルアミノペニシリンはすべて公知物質であるか、常
法によって公知物質から製造し得るものである。本発明
に用いられるペニシリンおよびセファロスポリン化合物
の製法は、特許および化学文献に十分に記載されてい
る。例えば、3−エキソメチレンセファム化合物は米国
特許第3,932,393号、同第4,052,387号、
および同第4,060,688号に記載されており、2−
メチル−3−セフエム類は、Journal of the America
n Chemical Society,97,5020(1975)および
98,2342(1976)に記載されている。また、Pe
nicillins and Cephalosporins(E.H.Flynn,ed.,A
cademicPress,New York,1972)には広範囲のペニ
シリン類およびセファロスポリン類ならびにこれらの製
造法が記載されている。
【0039】本発明の出発物質は下記一般式で示され
る:
【化31】 〔式中、R、R1、R7およびYは前記と同意義であ
る。〕この出発物質については、保護されていないアミ
ノ、ヒドロキシ、カルボキシまたは他のプロトン性置換
基が存在しない限り、それぞれのR、R1、YおよびR7
の性質は、本発明の重要々件ではない。本発明法の条件
下においては修飾されるのは6位あるいは7位のアミド
基である(−CONH−から
【化32】 への変換。但し、Xは塩素もしくは臭素である。)。
R、R1、R7およびYは影響を受けない。他の殆んどの
化学的製法と同様に、生成物として得られるイミノハラ
イドもしくは核エステルの収率が、反応に用いる基質毎
に異なることは言うまでもない。
【0040】本発明方法の7−アシルアミノセファロス
ポリン出発物質は、下記式(V)で表わされる1−オキサ
デチアセフエム化合物であってもよい。
【化33】 [式中、R、R1およびR7は前記と同意義であり、Mは
前記−Aもしくは−CH2Bである]。これらも公知化
合物であるか、あるいは常法によって公知化合物から得
られる化合物である。この化合物は、本発明に用い得る
対応する1−カルバーデチアセフエムおよび1−アザ−
デチアセフエムと同様に、米国特許第4,123,528
号に開示されている。
【0041】前記各製法は、それぞれ第三アミン塩基の
存在下に実施する。具体的には、ハロゲン化剤1当量あ
たり約1.0乃至1.2当量、好ましくは約1.0当量の
第三アミン塩基を用いる。本発明の製法および後述する
エノール−ハロゲン化/イミノ−ハロゲン化の組合せに
好ましい第三アミン塩基のpKb値は約1乃至約10、さ
らに好ましくは約6乃至約10である。本発明に用いら
れる適切な第三アミン塩基の具体例には、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチル
ジメチルアミン、ベンジルジエチルアミンなどのトリア
ルキルアミン類; ジメチルアニリン、ジエチルアニリ
ン、N,N−ジエチル−4−メチルアニリン、N−メチ
ル−N−エチルアニリン、N,N−ジメチルトルイデン
などのジアルキルアリールアミン類; ピリジン、コリジ
ン、キノリン、イソキノリン、2,6−ルチジン、2,4
−ルチジン、トリエチレンジアミン、1,5−ジアザビ
シクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,5−ジア
ゾビシクロ[5.4.0]−5−ウンデセン(DBU)、トリ
エチレンジアミンなどの単環および二環の第三アミン
類; およびジビニルベンゼンとビニルピリジンから得ら
れた共重合体のような重合性第三アミン塩基[Halensle
ben and Wurm, Angew.Chem.Intl.Ed.Engl.,1
5,163(1976)]がある。最も好ましい第三アミン
塩基はピリジンである。
【0042】セファロスポリンスルホキシド 本発明製法の第1工程は、一般に広範囲の公知セファロ
スポリンスルホキシド類の還元に適用出来る。対応する
セファロスポリン化合物に還元し得るセファロスポリン
スルホキシド類は下記式(XII)で表わされる。
【化34】 [式中、R1、R2、R3、R'およびYは前記と同意義で
ある]これらの出発物質は、保護されていないアミノ基
もしくは非エノール性ヒドロキシ基を有しない限り、R
1、R2、R3およびYの性質は重要要件ではない。R1
2、R3およびYは本発明の製法によって影響を受けな
い。他の殆んどの化学的製法と同様に、本製法によるセ
ファロスポリン生成物の収率は、セファロスポリン毎に
異なる。
【0043】本発明の製法に用いられるスルホキシド類
については米国特許に記載されている。前記式(XII)に
おいてAが(C1〜C4アルコキシ)カルボニルもしくは
(C2〜C6ハロアルコキシ)カルボニルである化合物につ
いては米国特許第3,953,436号に開示されている
(Spry)。また、3−ヒドロキシ−3−セフエムスルホ
キシド類および3−エキソメチレンセフエムスルホキシ
ド類については米国特許第3,917,587号(Chauve
tte)および同第4,052,387号(Kukolja)に記載さ
れている。さらに、AがC1〜C4アルカンスルホニルオ
キシ、フェニルもしくは置換フェニルスルホニルオキシ
であるスルホキシド類は、米国特許第3,985,737
号に記載の製法に従って製造される。2−メチル−3−
セフエム類は、Journalof the American Chemical
Society, 97,5020(1975)および98,23
42(1976)に記載されており、さらに、米国特許第
3,647,786号にはセファロスポリンスルホキシド
類の一般的な合成法が開示されている(Cooper)。
【0044】本発明の製法において好ましいセファロス
ポリンスルホキシド類は、前記式において、R'がカル
ボン酸保護基、R1が水素、R2が水素、R3が式:R7
O−で表わされるアシル基(但し、式中R7はR0−(Q)m
−CQ12 で表わされるアリールアルキル基を表わ
し、R0は2−チエニル、フェニルもしくは置換フェニ
ル、Qは酸素原子、mは0もしくは1、Q1およびQ2
水素である。)、そしてYが
【化35】 で表わされる二価のラジカル(式中、Aは前記と同意義
である。)をそれぞれ表わす場合である。
【0045】セファロスポリンカルボン酸を用いて本発
明を実施すると、動力学的コンプレックスはスルホキシ
ドと反応するだけではなく、カルボキシとも反応して、
通常の単離工程では酸に加水分解される酸ハライドを形
成するので、収率は低下する。セファロスポリンスルホ
キシドの4−カルボキシ基は、本発明によって還元する
前に保護しておくのが好ましい。セファロスポリンスル
ホキシド酸を用いた場合に、還元生成物の収率を増加さ
せるには、さらに1当量の動力学的コンプレックスを用
いることが出来る。混液を水溶液で処理すると、対応す
るセファロスポリン酸が単離される。
【0046】前記定義中の“保護されたアミノ"とは、
通常用いられるアミノ保護基、例えば、t−ブトキシカ
ルボニル(t−BOC)、ベンジルオキシカルボニル、4
−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベン
ジルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシ
カルボニル、またはアセト酢酸メチルで形成された1−
カルボメトキシ−2−プロペニルで置換されたアミノ基
を意味する。J.W.Barton著 “Protective Group
s in Organic Chemistry"(J.F.W.McOmie編, Pl
enumPress, New York, N.Y.,1973)第2章に記
載のアミノ保護基も適する。
【0047】“保護されたヒドロキシ"とは、ホルミル
オキシ、クロロアセトキシ、ベンジルオキシ、ベンズヒ
ドリルオキシ、トリチルオキシ、4−ニトロベンズヒド
リルオキシ、トリメチルシリルオキシ、フェナシルオキ
シ、t−ブトキシ、メトキシメトキシ、テトラヒドロピ
ラニルオキシなどのヒドロキシ基で形成された、容易に
開裂し得る基を意味する。他の保護ヒドロキシ基、例え
ばC.B.Reese著、Protective Groups in Organic
Chemistry(同上)第3章に記載の基も、本明細書で言う
“保護ヒドロキシ" に含まれる。
【0048】“カルボン酸保護基"とは、化合物の他の
官能基が反応する間、カルボン酸の官能性を阻止あるい
は保護するのに用いられる通常のカルボン酸保護基を意
味する。このようなカルボン酸保護基の特徴は、加水分
解あるいは加水素分解によって対応するカルボン酸に容
易に開裂し得る点にある。カルボン酸エステル保護基の
具体例には、メチル、t−ブチル、ベンジル、4−メト
キシベンジル、C2〜C6アルカノイルオキシメチル、2
−ヨードエチル、4−ニトロベンジル、ジフェニルメチ
ル(ベンズヒドリル)、フェナシル、4−ハロフェナシ
ル、ジメチルアリル、2,2,2−トリクロロエチル、ト
リ(C1〜C3アルキル)シリル、スクシンイミドメチルお
よび同様なエステル形成基が含まれる。
【0049】これらの保護基はカルボキシをエステルと
して保護するに加えて、第三アミン塩基の存在下にアセ
チルクロリド、プロピオニルクロリド、イソブチリルク
ロリドなどの酸クロリド類と混合無水物を形成して保護
することもある。他の公知カルボキシ保護基、例えば、
E.Haslam著 “Protective Groups in OrganicChem
istry" (同上)第5章に記載の基も本明細書で言うカル
ボキシ保護基として適する。このようなエステル形成基
の性質は重要要件ではない。
【0050】前記定義において記載したヒドロキシ、ア
ミノおよびカルボキシ保護基はすべてではない。このよ
うな保護基の機能は、本発明が実施される間、反応性の
基を保護し、後の段階で、他の分子に影響を及ぼすこと
なく除去し得る点にある。この分野では多くの保護基が
知られており、本明細書に記載しなかった他の保護基
も、本発明に用いる基質に適用出来る。
【0051】亜リン酸トリフェニル−ハロゲンコンプレ
ックス(Z=水素)は、本発明のハロゲン化において好ま
しいハロゲン化剤であり、最も好ましいのは亜リン酸ト
リフェニル−塩素動力学的コンプレックスである。エノ
ール−ハロゲン化の場合に最も良い結果が得られるの
は、エノール基質1当量に対して約1.1乃至約1.2当
量のハロゲン化剤を用いた場合である。エノール−ハロ
ゲン化/イミノ−ハロゲン化の場合には、エノール基質
1当量に対して約2.2乃至約2.4当量、最も好ましく
は約2.3当量のハロゲン化剤化合物を用いる。
【0052】反応条件 本発明工程におけるハロゲン化反応は約0℃以下で実施
するのが好ましい。より好ましい反応温度は約−10℃
以下である。本発明は、一般に約−70℃以下では実施
しない。最も好ましい反応温度は約−10℃乃至約−7
0℃である。利点はないが、本発明のクロル化を30℃
以上または−70℃以下で実施してもさしつかえない。
反応媒質の凝固点および基質の溶解度が低温における条
件限定要因であるが、高温の選択における主要因子は熱
力学的に不安定なハロゲン化剤の機能である。ハロゲン
化剤を溶液中で前記第三アミン塩基で安定化させてある
場合には、高温域における本発明の実施は殆んど問題が
なくなり、ハロゲン化剤を著しく消費することもハロゲ
ン化工程を阻害することもなく、容易に高温で実施し得
る。
【0053】上記イミノハライドを形成する反応は、通
常約30℃以下、好ましくは約0℃以下、最も好ましく
は約−10℃以下で実施する。本工程は一般に約−70
℃以下では実施しない。最も好ましい温度範囲は約−1
0℃乃至約−70℃である。
【0054】本発明は30℃以上または−70℃以下で
実施してもさしつかえない。反応媒質の凝固点および基
質の溶解度が低温における条件限定要因であるが、高温
の選択における主要因子は熱力学的に不安定なハロゲン
化剤およびイミノハライド生成物の機能である。前述の
ように、ハロゲン化剤を溶液中、第三アミン塩基で安定
化させると、温度の上限はそれほど重要な要因ではなく
なり、ハロゲン化剤の相当量を損失することも、ハロゲ
ン化に影響を及ぼすこともなく、高温で反応を実施する
ことが出来る。
【0055】本発明の還元工程は、実質的に不活性な有
機溶媒中で実施される。このような溶媒に関する記載と
その具体例については亜リン酸トリアリール−ハロゲン
コンプレックスのところで示した。この製法に好ましい
溶媒は炭化水素類、特に芳香族炭化水素類およびハロゲ
ン化炭化水素類である。クロロホルム以外のハロゲン化
炭化水素類が好ましく、最も好ましいのは塩化メチレン
である。
【0056】具体的には一般に約30℃以下、好ましく
は約10℃以下で実施する。この反応は約−50℃以下
では実施しない。最も好ましい温度範囲は約0℃乃至約
−30℃である。
【0057】本発明の還元工程を約30℃以上または−
50℃以下で実施してもさしつかえない。反応媒質の凝
固点、基質の溶解度および反応速度が低温における条件
限定要因であるが、高温の選択を回避すべき原因となる
因子は熱力学的に不安定な亜リン酸トリアリール−ハロ
ゲンコンプレックスとセファロスポリン生成物の安定性
である。亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレック
スを前述のように、溶液中で第三アミン塩基で安定化さ
せると高温はそれほど重要な因子ではなくなり、還元剤
の相当量を損失することも、還元に影響を及ぼすことも
なく、容易に高温で反応を実施し得る。
【0058】本発明の還元工程は、具体的には、固体も
しくは溶液としてのセファロスポリンスルホキシドを、
不活性有機溶媒中、所望の温度において、亜リン酸トリ
アリール−ハロゲンコンプレックス(スルホキシド1当
量に対して約1乃至約1.3モル当量)とハロゲン捕集剤
(スルホキシド1当量に対して約1乃至約3モル当量)と
を混液に加えることによって実施される。この反応は、
例えば、薄層クロマトグラフィーで追跡することが出来
る。還元は、好ましい反応条件下においては約30分乃
至約2時間で通常完了する。セファロスポリン生成物の
単離精製は、抽出、結晶化、再結晶、濾過および摩砕を
含む通常の実験室手法で実施される。セファロスポリン
生成物は公知化合物であって、保護基を脱離すると抗生
物質として、あるいは他のセファロスポリン化合物の中
間体として有用である。
【0059】本発明において還元剤として用いられてい
る亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレックスは強
力なハロゲン化剤でもある。このコンプレックスは塩基
の存在下に、エノール性ヒドロキシ基を対応するビニル
クロリドに、また、アミド基を対応するイミノハライド
に変換し得る。亜リン酸トリアリール−ハロゲン動力学
的コンプレックスの多様反応性は、本発明の各具体例に
おいて利用している。従って、本発明は、セファロスポ
リンスルホキシドの還元/ハロゲン化の工程をも包含し
得る。本発明のこのような一面については以下の反応図
I〜IIIに示されている。
【0060】反応図I: 還元/エノール−ハロゲン化
【化36】
【0061】反応図II: 還元/イミノ−ハロゲン化
【化37】
【0062】反応図III: 還元/エノール−ハロゲン
化/イミノ−ハロゲン化
【化38】 [式中、Rはカルボキシ保護基を表わし、R1、R2
3、R7、XおよびYは前記と同意義である。但し、Y
【化39】 である場合、Aはヒドロキシではない。
【0063】反応図IIおよびIIIに示されているイミノ
ハライド生成物は単離し得るし、あるいは公知の手法
(イミノエーテルを経たアルコーリシス)によって対応す
る核エステルに変換し得る。
【化40】
【0064】反応図Iの還元/エノール−ハロゲン化に
おいては、3−ヒドロキシセファロスポリンスルホキシ
ドを、実質的に無水の不活性有機溶媒中、約30℃以下
において、少なくとも1モル当量の捕集剤の存在下に約
2乃至約3当量の亜リン酸トリアリール−ハロゲン動力
学的コンプレックスと反応させて3−ハロセファロスポ
リンを製造する。
【0065】本発明工程の一例を示す反応図IIにおいて
は、7−アシルアミノセファロスポリンスルホキシド
を、実質的に無水の不活性有機溶媒中、約30℃以下に
おいて、少なくとも1当量のハロゲン捕集剤と約1.0
乃至約2.0当量の第三アミン塩基の存在下に、約2乃
至約3の亜リン酸トリアリール−ハロゲン動力学的コン
プレックスと反応させてセファロスポリンイミノハライ
ドを製造する。
【0066】反応図IIIは本発明1工程の好ましい例で
あって、7−アシルアミノ−3−ヒドロキシセファロス
ポリン・スルホキシドを、実質的に無水の不活性有機溶
媒中、約30℃以下の温度において、少なくとも1当量
のハロゲン捕集剤と約2乃至約5当量の第三アミン塩基
の存在下に、約3乃至約5当量の亜リン酸トリアリール
−ハロゲンコンプレックスと反応させることによって3
−ハロセファロスポリンイミノハライドを製造してい
る。反応図IIIに示した製法で最も良い結果が得られる
のは、溶媒として塩化メチレンを用い、また、7−アシ
ルアミノ−3−ヒドロキシセファロスポリンスルホキシ
ド出発物質1当量に対して約4.4当量の亜リン酸トリ
フェニル−塩素動力学的コンプレックスと約3.8当量
のピリジンを用いた場合である。
【0067】反応図I〜IIIに示した多効果/一段階工程
は、亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレックスを
用いて実施したセファロスポリンスルホキシドの一般的
な還元法の場合と同じ反応条件下に実施する。(1)セフ
ァロスポリンスルホキシドの特定の構造的条件、(2)反
応図IIおよびIIIに示した製法における第三アミン塩基
の存在要件、および(3)個々の多変換工程に対する独特
な化学量論的条件を除けば、反応図I〜IIIに示した多変
換工程の諸要件はすべて、本発明の基本製法の要件と同
じである。これらの要件には、温度範囲、溶媒、亜リン
酸トリアリール−ハロゲン動力学的コンプレックス、ハ
ロゲン捕集剤およびその選択が含まれている。
【0068】上記の工程によって得られるセファロスポ
リン生成物は、例えば、抽出、結晶、再結晶および摩砕
など、通常の実験室手法によって単離精製される。イミ
ノハライド生成物は酸触媒によるアルコーリシスもしく
は加水分解に対して感受性を示し、さらに求核性攻撃に
も感受性を示すことから、生成物を単離する際には、こ
のようなイミノハライドの反応が生じる反応条件を避け
る注意が必要である。例えば、プロピレンオキシドのよ
うな非求核性酸捕集剤の濃度を一定に保つことによって
中性の条件を保持すると、イミノハライドの溶液を水お
よび食塩水で洗浄して減圧下に蒸発させて、実質的に純
粋な生成物を得ることが出来る。
【0069】第1の工程で得られるイミノハライド生成
物は対応する7−アミノセファロスポリン類への中間体
であるので、本発明の製法においては第2工程として、
得られたイミノハライド生成物を還元/ハロゲン化反応
の混液から単離しないで、好ましくはそのまま過剰のC
1〜C15脂肪族アルコールと、より好ましくはβ−ジ置
換第一級脂肪族アルコールまたは1,2−もしくは1,3
−ジオールと反応させて対応する核エステルに変換す
る。
【0070】β−ジ置換脂肪族アルコールおよび1,2
−もしくは1,3−ジオールを用いて、セフエムイミノ
ハライドをイミノエーテル中間体を経てセフエム核エス
テルに変換する改良アルコーリシスについては米国特許
第3,845,043号に開示されている。
【0071】イミノエーテル化およびそれに続くイミノ
ハライド生成物のアルコーリシスには、C4〜C12β−
ジ置換第一級脂肪族アルコール、C3〜C15脂肪族1,3
−ジオールまたはC2〜C12脂肪族1,2−ジオールが好
ましい。
【0072】β−ジ置換第一級脂肪族アルコールとして
は、式:
【化41】 [式中、RXおよびRYはβ−ジ置換第一級脂肪族アルコ
ールの炭素数が4乃至約12個となるようなアルキル基
を表わす。また、RXとRYは互いに隣接する炭素原子と
一体となってC5〜C8シクロアルキル基を形成すること
もある。]で表わされる化合物が適する。
【0073】このようなアルコール類の具体例としては
イソブタノール、2−メチルブタノール、2−エチルブ
タノール、2−エチルヘキサノール、ヒドロキシメチル
シクロペンタン、ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2
−ブチルオクタノール、2−プロピルヘキサノールなど
が挙げられる。1,2−もしくは1,3−ジオール類とし
ては下記式のものが適する。
【化42】 [式中、RcおよびRdは水素または1,2−ジオールの
炭素数が2乃至12個となるようなアルキル; Rwおよ
びRzは各々水素、メチルもしくはエチル; ReおよびR
fは水素または1,3−ジオールの炭素数が3乃至15個
となるような炭化水素基をそれぞれ表わす]
【0074】1,2−ジオール類の具体例には1,2−プ
ロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,2−
ブタンジオール、3,4−ペンタンジオールおよび3,4
−ヘキサンジオールが、また、1,3−ジオール類の具
体例には1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−
1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−
プロパンジオール、2,4−ペンタンジオールおよび2,
2−ジフェニル−1,3−プロパンジオールが含まれ
る。イミノハライド生成物の開裂に最も好ましいアルコ
ールもしくはジオールはイソブタノール、1,2−プロ
パンジオールおよび1,3−プロパンジオールである。
【0075】本発明においては、イミノハライド生成物
の開裂に過剰のアルコールまたはジオールを用いる。こ
のアルコールまたはジオールの過剰量は重要要件ではな
いが、前記1,2−もしくは1,3−ジオールを用いる場
合には約2〜3倍過剰で充分である。また、β−ジ置換
第一級脂肪族アルコールを用いる場合には、約3〜6倍
の過剰量が一般に好ましい。アルコールもしくはジオー
ルはさらに過剰に用いても反応に影響を及ぼさないの
で、しばしば10〜15倍、一般には3〜15倍過剰に
用いられる。イミノハライドの開裂に前記以外の脂肪族
アルコールを用いる場合には、さらに過剰、具体的には
10〜100倍過剰に用いる。このアルコールもしくは
ジオールは本発明に従って得られたイミノクロリドが含
まれるハロゲン化反応混液に加えるだけである。
【0076】イミノエーテルの形成を経たイミノハライ
ドのアルコーリシスは酸触媒で実施する。ハロゲン化反
応混液は一般に十分酸性であるので、混液に酸を加えな
くてもアルコールもしくはジオールの添加によってアル
コーリシスがおこる。しかしながら、アルコーリシス率
を高め、それ故に核エステルの形成率を高めるには、混
液を、例えば、アルコールもしくはジオールの添加後に
塩化水素を加えることによって酸性化するのが好まし
い。これは塩化水素を混液に短時間導通することによっ
て達成される。しかし、他の有機および無機酸を用いる
ことも出来る。具体的には少なくとも約1当量の塩化水
素を導通して核エステルの形成を促進させる。
【0077】生成物の核エステルは、濾取するだけで結
晶性の塩酸塩として単離することが出来る。前記製法に
従って製造した非結晶性の核エステルは、通常の実験室
手法によって混液から単離される。また、この核エステ
ルは単離せずに溶液中に反応(アシル化)させることが出
来る。公知の手法を用いて核エステルをアシル化すると
7−アシルアミノセファロスポリンエステルが得られ、
そのまま次の化学修飾に用いる中間体として使用しても
よいし、脱エステル化して公知抗生物質としてもよい。
【0078】前記還元/エノール・イミノハロゲン化
(反応図III)を、亜リン酸トリアリール−塩素コンプレ
ックスを用いて得られたイミノクロリドのアルコーリシ
ス工程と組合わせると、対応する7−アシルアミノ−3
−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボン酸スルホキ
シドから7−アミノ−3−クロロ−3−セフエム−4−
カルボン酸エステルを製造する改良法が得られる。先行
技術においては、この変換は3工程、即ち、還元、クロ
ル化および側鎖の開裂、あるいは2工程、即ち、還元と
クロロ化を組合わせて次に側鎖を開裂させるか(米国特
許第3,115,643号参照)、もしくはスルホキシド
を還元した後にクロル化と側鎖の開裂を組合わせて(米
国特許第4,044,002号参照)実施されている。本
発明により、還元、クロル化および開裂は中間体を単離
せずに、一工程で実施することが出来、生成物が高収率
で得られる。
【0079】3−ハロセフエム核エステルは公知化合物
であって通常のアシル化技術によってアシル化され、既
知抗生物質に脱エステル化し得る。特に重要であるの
は、比較的新規で臨床的にも重要な抗生物質である7−
(D−2−フェニル−2−アミノアセトアミド)−3−ク
ロロ−3−セフエム−4−カルボン酸の製法におけるこ
の核エステル中間体の有用性である。
【0080】従って、本発明の目的は、このような抗生
物質の新規製造方法を提供することにある。本発明の好
ましい一例を示すと以下のようになる: (i) 亜リン酸トリフェニルと塩素の当量を、実質的に
無水の不活性有機溶媒中で反応させて得られた動力学的
にコントロールされた生成物約4.0乃至約5.0当量
を、実質的に無水の不活性有機溶媒中、約−10℃乃至
約−30℃において、約3.5乃至約4.0当量のピリジ
ンと約1乃至約3当量のC2〜C6アルケンの存在下に7
−アシルアミノ−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−
カルボン酸エステルスルホキシドと反応させ; (ii) 3−クロロ−3−セフエムイミノクロリドの形成
が完了したならば約3乃至約15当量のイソブタノー
ル、1,3−プロパンジオールもしくは1,2−プロパン
ジオールを加え; そして (iii) 混液を塩酸で酸性化して、式:
【化43】 で表わされる7−アミノ−3−クロロ−3−セフエム−
4−カルボン酸エステル・塩酸塩を製造し、次いで(iv)
得られた化合物を常法によりアシル化して脱エステル化
することにより、7−(D−2−フェニル−2−アミノ
アセトアミド)−3−クロロ−3−セフェム−4−カル
ボン酸を製造する。最も好ましい不活性有機溶媒は塩化
メチレンである。
【0081】3−ヒドロキシ−3−セフエムスルホキシ
ド基質としては、7位に通常のペニシリンおよびセファ
ロスポリンカルボキシアミド基を有するものが好まし
い。特に好ましい3−ヒドロキシ−3−セフエムスルホ
キシド類は、 式: R0−(Q)m−CQ12CONH− [式中、R0は2−チエニル、フェニルまたは置換フェニ
ル、Qは酸素原子、mは0もしくは1、Q1およびQ2
独立して水素をそれぞれ表わす。]で表わされるアシル
アミノ基を有する化合物である。
【0082】反応性からは必要ではないが、経済的理由
から好ましいのは7−置換フェニルアセトアミド、フェ
ノキシアセトアミドおよび2−チエニルアセトアミドで
ある。同様に、生成物の塩酸塩の結晶性性質、および、
それ故に高純度の核エステルを容易に単離し得ることか
ら、この好ましい製法例におけるカルボキシ保護基とし
ては4−ニトロベンジル基が好ましい。
【0083】
【0084】以下の実施例は本発明をさらに詳述するも
のであるが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。以下の実施例において、核磁気共鳴スペクト
ルはNMRと省略し、その化学シフトはδ値(ppm単位)
で示し、結合定数Jは1秒あたりの振動数(Hz)で示し
た。NMRスペクトルは、テトラメチルシランを標準物
質として用いて、Varian Associates T−60スペク
トロメーターで測定した。
【0085】実施例14'−ニトロベンジル 7−(1−クロロ−2−フェニル
エチリデン)イミノ−3−メチル−3−セフエム−4−
カルボキシレート −15℃において塩素を塩化メチレン50mlに導通する
と同時に亜リン酸トリフェニル(TPP)3.2ml(12.
3mmol)を滴下した。塩素とTPPの添加速度は、両者
を添加する間、混液に塩素の淡黄色が認められる割合と
した。TPP添加終了間際に塩素の添加を停止した。次
に黄色の混液が脱色されるまでTPPを加えた。さらに
塩素を導通し、最後の1滴で混液が脱色されるように残
りのTPPを加えた。
【0086】得られた亜リン酸トリフェニル−塩素動力
学的コンプレックス(TPP−C)の溶液に、−15℃に
おいて4'−ニトロベンジル 7−フェニルアセトアミ
ド−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレート
4.68g(10mmol)を加え、さらにピリジン1.01ml
(12.5mmol)を含む塩化メチレン4mlを12分間にわ
たって滴下した。混液を−10℃乃至−15℃において
さらに15分間撹拌し、プロピレンオキシド2.1mlを
加えた。冷却浴を取り除き、混液をさらに15分間撹拌
すると温度は約0℃に上昇した。混液を水25mlで洗浄
し、塩化カルシウム・2水和物で乾燥して減圧下に蒸発
に付すと、シロップ状物質が得られ、結晶化した。得ら
れた生成物は、プロピレンオキシド6滴を含むジエチル
エーテル25mlの存在下に粉末化して濾取し、エーテル
で洗浄して室温において減圧乾燥すると標記化合物4.
58g(94.2%)が白色の結晶として得られた。融点1
32〜133℃
【0087】NMR(CDCl3, ピリジンd−5) δ 2.18(s,3)、3.37(ABq,2,J=16Hz)、
3.96(s,2)、5.05(d,1,J=5Hz)、5.37(s,
2)、5.5(d,1,J=5Hz)、7.3(s,5,ArH)、7.
4〜8.4(m,4,ArH)。 元素分析 C232035SCl 計算値:C,56.35;H,4.15;N,8.65;S,6.6
0;Cl,7.30 実験値:C,56.60;H,4.25;N,8.83;S,6.4
9;Cl,7.07
【0088】実施例22',2',2'−トリクロロエチル 6−(1−クロロ−2
−フェニルエチリデン)イミノペニシラネート 実施例1に記載の製法に従って、亜リン酸トリフェニル
−塩素コンプレックス(約12.3mmol)および塩化メチ
レン45mlから成る溶液を調製し、−30℃において
2',2',2'−トリクロロエチル 6−フェニルアセト
アミドペニシラネート4.66g(10mmol)を加え、さら
に塩化メチレン5mlを用いてペニシリンエステルを混液
に流し入れた。この溶液に、ピリジン,1.01ml(1
2.5mmol)を含む塩化メチレン4mlを20分間にわたっ
て滴下し、混液を−20℃乃至−30℃で約15分間撹
拌した後にプロピレンオキシド2.1mlを加えて塩化水
素および過剰のクロル化剤を分解した。
【0089】混液を、15分間を要して約0℃に暖め、
氷水25mlで洗浄して塩化カルシウム・2水和物で乾燥
した。この溶液を減圧下に蒸発に付すと油状物質11g
が得られ、ジエチルエーテル約1mlを加えると結晶化し
た。さらにプロピレンオキシド4滴を含むジエチルエー
テル25mlを加えて室温で5分間撹拌し、白色の結晶性
物質に濾取してジエチルエーテル25mlで洗浄し、室温
において減圧乾燥すると標記化合物2.52gが得られ
た。融点84〜85.5℃。濾液を減圧下に12gのスラ
リーに濃縮し、エーテル/ヘキサン(1:1)20mlで希
釈して標記化合物をさらに1.06g得た。総収量74%
【0090】NMR(CCl4) δ 1.56(s,3)、1.68(s,3)、3.96(s,2)、
4.57(s,1)、4.8(s,2)、5.3(d,1,J=4H
z)、3.93(d,1,J=4Hz)、7.3(s,5)。 元素分析 C181823SCl4 計算値: C44.65;H,3.75;N,5.78;S,6.6
2;Cl,29.29 実験値: C44.76;H,3.84;N,5.90;S,6.7
1;Cl,29.06
【0091】実施例34'−ニトロベンジル 7−(1−クロロ−2−フェノキ
シエチリデン)イミノ−3−クロロ−3−セフエム−4
−カルボキシレート 実施例1に記載の製法に従って、亜リン酸トリフェニル
−塩素コンプレックス(約12.3mmol)と塩化メチレン
45mlから成る溶液を調製し、−15℃において4'−
ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−3−ク
ロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート5.04g
(10mmol)を、塩化メチレン5mlを用いて溶液に流し入
れた。直ちにピリジン1.01ml(12.5mmol)を含む塩
化メチレン4mlを15分間にわたって滴下し、−10℃
乃至−15℃でさらに15分間撹拌した後にプロピレン
オキシド2.1mlを加えた。冷却浴を取り除き、15分
間で温度を約0℃に昇温し、氷水25mlで洗浄して塩化
カルシウム・2水和物で乾燥し、減圧下に濃縮してシロ
ップ状物質約20gを得た。
【0092】この残渣にジエチルエーテル約50mlを加
えても結晶は認められなかった。エーテルを残渣からデ
カンテーションし、残渣を減圧乾燥して濃厚な油状物質
11gを得た。この残渣は各50mlのエーテル/ヘキサ
ン(1:1)で3回洗浄した。得られた濃厚油状物質をジ
エチルエーテル25mlで摩砕し、結晶化した生成物を濾
取してエーテルで洗浄し、室温で減圧乾燥すると標記化
合物3.58g(68.6%)が淡い着色した結晶として得
られた。融点94〜97℃。
【0093】NMR(CDCl3, ピリジンd−5) δ 3.56(ABq,2,J=18Hz)、4.8(s,2)、
5.13(d,1,J=5Hz)、5.3(s,2)、5.53(bd,
1,J=5Hz)、6.8〜8.3(m,9)。 元素分析 C221736SCl2 計算値:C,50.59;H,3.28;N,8.04;S,6.1
4;Cl,13.57 実験値:C,50.32;H,3.36;N,8.20;S,5.9
2;Cl,13.57
【0094】実施例44'−ニトロベンジル 6−(1−クロロ−2−フェノキ
シエチリデン)イミノペニシラネート 4'−ニトロベンジル 6−フェノキシアセトアミドペ
ニシラネート9.71g(20mmol)および塩化メチレン7
5mlから成る溶液を約15分間、塩化カルシウム・2水
和物で乾燥した。溶液を濾過して約40mlに濃縮し、T
PP−C溶液への添加用とした。実施例1に記載の製法
に従って亜リン酸トリフェニル−塩素コンプレックス
(約24.3mmol)および塩化メチレン約50mlから成る
溶液を−15℃乃至−20℃で調製した。TPP−C溶
液を−40℃に冷却し、上記ペニシリンエステル溶液を
加えると混液の温度は約−22℃に昇温した。ピリジン
2.02ml(25mmol)を含む塩化メチレン8mlを−20
℃乃至−30℃において15分間にわたって滴下し、約
15分間撹拌した後にプロピレンオキシド4.2ml(60
mmol)を加えた。
【0095】混液を約15分間で0℃に暖め、氷水50
mlで速やかに洗浄して塩化カルシウム・2水和物で乾燥
した。乾燥した溶液を濾過し、減圧下に約27gに濃縮
した。次にエーテル50mlおよび四塩化炭素20ml(2
回)を順次加え、得られた溶液はその都度減圧下に留去
して油状物質とした。核磁気共鳴スペクトルによれば、
この粗製生成物は亜リン酸トリフェニルを含む標記化合
物であった。 NMR(CDCl3) δ 1.33(s,3)、1.46(s,3)、4.46(s,1)、
4.8(s,2)、5.2(s,2)、5.3(d,1,J=4Hz)、
5.57(d,1,J=4Hz)、6.7〜8.3(m,9)。
【0096】実施例54’−ニトロベンジル 7−(1−クロロ−2−フェノ
キシエチリデン)イミノ−3−アセトキシ−3−セフエ
ム−4−カルボキシレート 塩化メチレン45mlを−10℃に冷却し、亜リン酸トリ
フェニル3.16ml(12mmol)を滴下すると同時に塩素
を導通した。この同時添加は、亜リン酸エステルの最後
の1滴で脱色されるまでは、混液が常に淡黄色(塩素が
過剰)であるように調製した。この溶液に、塩化メチレ
ン5mlを用いて4'−ニトロベンジル 7−フェノキシ
アセトアミド−3−アセトキシ−3−セフエム−4−カ
ルボキシレート5.28g(10mmol)を流し込んだ。さら
にピリジン1.01ml(12.5mmol)を含む塩化メチレン
5mlを−10℃において15分間にわたって滴下した。
【0097】これを−10℃でさらに15分間撹拌した
後にプロピレンオキシド2.1ml(30mmol)を加えた。
混液を0℃において10分間撹拌した後に氷水50mlで
洗浄し、塩化カルシウムで乾燥して減圧下に蒸発に付し
た。得られた油状物質はエーテルから結晶化しなかっ
た。残渣から減圧下に溶媒を完全に留去し、四塩化炭素
25mlを加えて再び蒸発乾固した。NMRスペクトルに
よれば、この末精製生成物は標記イミノクロリドであっ
た。 NMR(CDCl3) δ 2.06(s,3)、3.41(ABq,2,J=18Hz)、
4.83(s,2)、5.05(d,1,J=5Hz)、5.28(s,
2)、5.56(bd,1,J=5Hz)、6.8〜8.3(m,Ar
H)。
【0098】実施例64'−ニトロベンジル 7−[1−クロロ−2−(2−チ
エニル)エチリデン]イミノ−3−メチル−3−セフエム
−4−カルボキシレート 実施例1に記載の製法に従って亜リン酸トリフェニル−
塩素コンプレックス(約12mmol)と塩化メチレン45ml
から成る溶液を調製し、塩化メチレン5mlを用いて4'
−ニトロベンジル 7−(2−チエニルアセトアミド)−
3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレート4.
74g(10mmol)を−10℃において流し込んだ。5分
後にピリジン1.01ml(12.5mmol)を含む塩化メチレ
ン5mlを20〜30分間にわたって滴下し、−10℃で
約30分間撹拌した後に室温まで暖め、約2時間撹拌し
た。
【0099】この混液にプロピレンオキシド2.1ml(3
0mmol)を加え、10分後に混液を氷水50mlで洗浄
し、塩化カルシウム・2水和物で乾燥して減圧下に蒸発
に付した。得られた油状物質に塩化メチレン−エーテル
(1:1)を加えて結晶化させ、標記化合物2.03g(4
1.3%)を濾取した。融点129〜132℃。濾液を蒸
発に付すと、さらに1.95g(39.6%)の標記化合物
が得られた。総収率80.9%。 NMR(CDCl3) δ 2.16(s,3)、3.33(ABq,2,J=18Hz)、
4.16(s,2)、5.03(d,1,J=4Hz)、5.33(s,
2)、5.5(bd,1,J=4Hz)、6.8〜8.4(m,Ar
H)。 元素分析 C2118352Cl 計算値:C,51.27;H,3.69;N,8.54;S,13.
03 実験値:C,51.30;H,3.72;N,8.31;S,12.
91
【0100】実施例74'−ニトロベンジル 7−(α−クロロベンジリデン)
イミノ−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレ
ート 実施例1に記載の製法に従って、亜リン酸トリフェニル
3.16ml(12mmol)を用いて塩化メチレン45ml中で
亜リン酸トリフェニル−塩素コンプレックスの溶液を調
製した。この溶液に、−10℃において4'−ニトロベ
ンジル 7−ベンズアミド−3−メチル−3−セフエム
−4−カルボキシレート4.14g(10mmol)およびピリ
ジン1.01ml(12.5mmol)を加えた。氷浴を取り除い
て0℃に加熱し、約3分間撹拌するとイミノクロリドの
結晶化が始まった。室温において1時間放置した後に結
晶を濾取してエーテルで洗浄し、乾燥して標記化合物
2.28g(48.3%)を得た。融点175℃。濾液を塩
化メチレンで希釈して希塩酸および食塩水で順次洗浄
し、塩化カルシウム・2水和物で乾燥した。この溶液を
減圧下に留去し、得られた油状物質をジエチルエーテル
で摩砕して濾取し、エーテルで洗浄して乾燥すると標記
化合物の二次晶1.72g(36.4%)が得られた。総収
率84.7%。
【0101】NMR(CDCl3) δ 2.20(s,3)、3.43(ABq,2,J=18Hz)、
5.15(d,1,J=5Hz)、5.37(s,2)、5.75(d,
1,J=5Hz)、7.2〜8.4(m,ArH)。 元素分析 C221835SCl 計算値:C,55.99;H,3.84;N,8.90;S,6.7
9;Cl,7.51 実験値:C,56.16;H,4.06;N,9.00;S,6.5
4;Cl,7.67
【0102】実施例84'−ニトロベンジル 7−(1−クロロ−2−フェノキ
シエチリデン)イミノ−3−メチル−3−セフエム−4
−カルボキシレート 実施例1に記載の製法に従って、塩化メチレン45ml中
で亜リン酸トリフェニル3.95ml(15mmol)および塩
素を用いて亜リン酸トリフェニル−塩素コンプレックス
の溶液を調製し、塩化メチレン5mlを用いて4'−ニト
ロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−3−メチル
−3−セフエム−4−カルボキシレート4.84g(10m
mol)を加えた。さらにピリジン1.3ml(15.6mmol)を
含む塩化メチレン8mlを−10℃において30分間にわ
たって滴下した。氷浴を取り除いて混液を30分間撹拌
し、プロピレンオキシド2.1ml(30mmol)を加えた。
10分後に混液を氷水50mlで洗浄して塩化カルシウム
・2水和物で乾燥し、減圧下に蒸発に付し、得られた油
状物質にジエチルエーテル50mlを加えて結晶化して標
記化合物3.44g(68.6%)を濾取した。融点110
〜111℃ NMR(CDCl3, ピリジンd−5) δ 2.16(s,3)、3.26(ABq,2,J=18Hz)、
4.83(s,2)、5.01(d,1,J=5Hz)、5.28(s,
2)、5.52(bd,1,J=5Hz)、6.7〜8.2(m,Ar
H)。
【0103】実施例94'−ニトロベンジル 7−(1−クロロ−2−フェノキ
シエチリデン)イミノ−3−メチレンセフアム−4−カ
ルボキシレート/4'−ニトロベンジル 7−アミノ−
3−メチレンセフアム−4−カルボキシレート・塩酸塩 実施例1に記載の製法に従って亜リン酸トリフェニル−
塩素化合物(約12.3mmol)の溶液を調製し、4'−ニト
ロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−3−メチレ
ンセフアム−4−カルボキシレート4.84g(10mmol)
を加え、さらにピリジン1.01ml(12.5mmol)を含む
塩化メチレン4mlを15分間にわたって滴下した。混液
を−10℃乃至−15℃で約15分間撹拌した後にプロ
ピレンオキシド2.1ml(30mmol)を加え、15分後に
混液を氷水25mlで素早く洗浄して塩化カルシウム・2
水和物で約5分間乾燥し、減圧下に蒸発に付し、得られ
た濃厚油状物質約11gを四塩化炭素25mlに溶解し
た。四塩化炭素を留去して得られた生成物のNMRスペ
クトルによれば、この生成物は亜リン酸トリフェニルを
含む標記イミノクロリドであった。 NMR(CCl4) δ 3.4(ABq,2)、4.87(s,2)、5.30(m,
3)、5.45(s,2)、6.7〜8.4(m,ArH)。
【0104】粗製のイミノクロリドを塩化メチレン50
mlに溶解してイソブタノール5.1ml(55mmol)および
塩化水素で処理した。混液の温度が約20℃乃至約30
℃に昇温してから冷却浴を使用した。室温で2時間放置
した後に生成物を濾取して洗浄乾燥し、4'−ニトロベ
ンジル 7−アミノ−3−メチレンセフアム−4−カル
ボキシレート・塩酸塩3.58g(92.7%)を白色に近
い結晶として得た。融点180〜181℃ NMR(DMSO,d−6) δ 3.67(bs,2)、5.0(d,1,J=5Hz)、5.35
〜5.53(m,6)、7.6〜8.4(m,ArH)。
【0105】実施例104'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチル−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 イソブタノール4.1ml(44mmol)および塩化メチレン
40mlから成る溶液に、25℃において、実施例1で製
造した4'−ニトロベンジル 7−(1−クロロ−2−フ
ェニルエチリデン)イミノ−3−メチル−3−セフエム
−4−カルボキシレート2.89g(8mmol)を加えた。得
られた溶液を緩和な速度で約1分15秒間塩化水素で処
理すると標記核エステルの塩酸塩がゼラチン状固体とし
て沈澱し、直ちに結晶化して溶液をペースト状にした。
【0106】撹拌効果は無かったので混液を塩化メチレ
ン40mlで希釈し、得られた希アルコリシス混液を室温
で2時間撹拌し、標記化合物2.52g(81.6%)を濾
取した。融点183.5℃。濾液を塩化水素で処理する
とさらに0.47gの標記化合物が得られた(融点183.
5℃)。このアルコリシスの合計収率は96.8%。 NMR(DMSO d−6) δ 2.21(s,3)、3.65(ABq,2,J=16Hz)、
5.18(q,2,J=4Hz,β−ラクタムH)、5.41(s,
2)、7.6〜8.4(m,ArH)。
【0107】実施例114'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチル−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 (A) 4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトア
ミド−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレー
トから 亜リン酸トリフェニル2.89ml(11mmol)および塩化
メチレン50mlから成る溶液に、−15℃において塩素
を導通して亜リン酸トリフェニル−塩素コンプレックス
の溶液を調製した。この溶液に4'−ニトロベンジル
7−フェノキシアセトアミド−3−メチル−3−セフエ
ム−4−カルボキシレート5.02g(10mmol)およびピ
リジン0.85ml(11.5mmol)を加えて−15℃乃至−
10℃において1時間撹拌し、イソブタノール6.0ml
(64.8mmol)を加えた。冷却浴を取り除き、混液を2
時間にわたって室温に暖めると、約15分後に標記核エ
ステル・塩酸塩が結晶化し、これを濾取して塩化メチレ
ンで洗浄し、乾燥すると標記化合物3.55g(92%)が
白色の結晶として得られた。融点189℃(分解)。
【0108】(B) 4'−ニトロベンジル 7−ヘプタ
ノイルアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カルボ
キシレートから 基質として4'−ニトロベンゾイル 7−ヘプタノイル
アミド−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレ
ート4.61g(10mmol)を用いて工程(A)の実験操作を
繰り返し、核エステル・塩酸塩6.32g(93.8%)を
白色の結晶として得た。融点188.5℃(分解)。
【0109】(C) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから(テトラヒドロフラン中) 亜リン酸トリフェニル(11mmol)およびテトラヒドロフ
ラン(THF)から成る溶液に、−10℃において塩素を
導通して亜リン酸トリフェニル−塩素コンプレックスの
溶液を調製し、4'−ニトロベンジル 7−フェノキシ
アセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カルボ
キシレート4.84g(10mmol)を加えた。続いてピリジ
ン0.95ml(11mmol)を加えて−10℃で1時間撹拌
し、室温に暖めてさらに2時間撹拌した。次にイソブタ
ノール6.0ml(65mmol)を加え、2時間後に結晶性の
核エステル・塩酸塩を濾取してTHFで洗浄し、乾燥し
た。収量3.03g(78.5%)。融点151〜153℃
(分解)
【0110】(D) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから(アセトニトリル中) 亜リン酸トリフェニル(約11mmol)およびアセトニトリ
ル45mlから成る溶液に、−10℃において塩素を導通
して亜リン酸トリフェニル−塩素コンプレックスの溶液
を調製し、この溶液に4'−ニトロベンジル7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレート4.84g(10mmol)およびピリジン0.
95ml(11mmol)を−10℃において加えた。混液を−
10℃で2時間撹拌した後に氷浴を取り除き、さらに2
時間撹拌した後にイソブタノール6.0ml(65mmol)を
加えた。結晶種を植えて生成物を結晶化させ、1時間撹
拌した後に濾取してアセトニトリルで洗浄し、乾燥し
た。収量2.55g(66.1%)。融点184℃(分解)。
【0111】(E) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから(酢酸エチル中) 亜リン酸トリフェニル−塩素試薬の形成およびその開裂
工程の溶媒として酢酸エチルを用いた点を除いて工程
(D)の操作を繰返した。収量2.48g(64.2%)。融
点177〜179℃(分解)。
【0112】(F) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから[亜リン酸トリ(o−トリル)−塩素コ
ンプレックスを使用] 亜リン酸トリ(o−トリル)−塩素コンプレックスは以下
のようにして製造した。亜リン酸トリ(o−トリル)3.9
1g(11mmol)を塩化メチレン45mlに加えて窒素雰囲
気中で−10℃に冷却し、黄色を呈するまで塩素を導通
した。次に亜リン酸トリ(o−トリル)約0.5mmolを加え
て溶液を脱色し、4'−ニトロベンジル7−フェノキシ
アセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カルボ
キシレート4.84g(10mmol)およびピリジン1.01m
l(12.5mmol)を加えた。冷却浴を取り除いて90分間
撹拌し、イソブタノール5.1ml(55mmol)を加えた。
混液に塩化水素を導通してからおよそ5分後に結晶化が
開始し、90分後に生成物を濾取して塩化メチレン25
mlで洗浄し、減圧乾燥した。収量3.46g(89.6
%)。融点184℃(分解)。
【0113】(G) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから[塩基としてジビニルベンゼン−ビ
ニルピリジン共重合体を使用] 塩化メチレン50mlに、−10℃において塩素を導通
し、次に溶液が常に黄色を呈する割合で亜リン酸トリフ
ェニルを滴下して亜リン酸トリフェニル−塩素動力学的
コンプレックスの溶液を調製した。亜リン酸トリフェニ
ルの滴下がほぼ完了した時点で塩素の浸漬を停止した。
次に溶液が脱色されるまで亜リン酸トリフェニルを加え
た。亜リン酸トリフェニルは合計3.0ml(11.4mmol)
使用した。
【0114】この溶液に4'−ニトロベンジル 7−フ
ェノキシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4
−カルボキシレート5.0g(10.3mmol)を加え、さら
にジビニルベンゼン−ビニルピリジン共重合体5.0gを
加えた。冷却浴を取り除いて混液を室温で2時間撹拌
し、重合体を濾去して約20mlの塩化メチレンで洗浄し
た。濾液をイソブタノール6.0ml(64.8mmol)で処理
して塩化水素を約2分間導通すると、およそ3分後に核
生成物・塩酸塩の結晶化が始まり、それを1時間後に濾
取して塩化メチレンで洗浄し、乾燥した。核エステル・
塩酸塩の収量は2.98g(75%)であった。融点183
℃(分解)。
【0115】(H) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから[亜リン酸トリ(p−メトキシフェニ
ル)−塩素コンプレックスを使用] 亜リン酸トリ(p−メトキシフェニル)−塩素コンプレッ
クスの溶液は以下のようにして調製した。塩化メチレン
45mlに、−10℃乃至−20℃において亜リン酸トリ
(p−メトキシフェニル)4.6g(11.5mmol)および塩化
メチレン約5mlから成る溶液を滴加し、同時に終点が無
色となるように塩素を導通した。亜リン酸試薬を全部添
加した後に、さらに塩素を加えて溶液を淡黄色に着色し
た。過剰の塩素による溶液の色は、亜リン酸エステルを
さらに加えなくても消えた。
【0116】得られた溶液に、塩化メチレン5mlを用い
て4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド
−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレート
4.84g(10mmol)を流し込み、次いでピリジン1.0
1ml(12.5mmol)を含む塩化メチレン4mlを15分間
にわたって加えた。混液を−10℃において15分間撹
拌した後にイソブタノール5.1ml(55mmol)を加え
た。塩化水素を混液に導通し、短時間後に冷却浴を取り
除いた。室温において2時間放置した後に核エステル・
塩酸塩0.89g(23%)を濾取した。融点173〜17
4℃。
【0117】(I) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから[塩基としてトリエチルアミンを使
用] 塩化メチレン45mlに、−10℃において亜リン酸トリ
フェニル3.16ml(12mmol)と同時に塩素を導通して
亜リン酸トリフェニル−塩素動力学的コンプレックスの
溶液を調製した。この間、溶液を淡黄色に保った。さら
に亜リン酸トリフェニル(0.5mmol)を加えて溶液を脱
色した。得られた溶液に、塩化メチレン5mlを用いて
4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−
3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレート4.
84g(10mmol)を流し込んだ。5分後にトリエチルア
ミン1.8ml(13mmol)を含む塩化メチレン8mlを15
分間にわたって加えた。混液を−10℃において15分
間撹拌した後に冷却浴を取り除き、イソブタノール5.
1ml(55mmol)を加えた。次に塩化水素を約3分間導通
し、結晶種を植えて室温に暖めた。2時間後に標記核エ
ステル・塩酸塩1.28g(33.2%)を濾取した。融点
180.5℃(分解)。
【0118】(J) 4'−ニトロベンジル 7−フェノ
キシアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートから[塩基としてDBUを使用] トリエチルアミン塩基の代わりに1,5−ジアザビシク
ロ[5.4.0]−5−ウンデセン(DBU)1.95ml(13
mmol)を用いて工程(I)の操作をくり返して核エステル
・塩酸塩0.59g(15.3%)を得た。融点181℃(分
解)
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】実施例124’−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メトキシ−3
−セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 亜リン酸トリフェニル0.4ml(1.5mmol)および塩化メ
チレン10mlから成る溶液を撹拌し、溶液が黄緑色を呈
するまで塩素を−10℃において導通した。亜リン酸ト
リフェニルを少量滴加すると溶液は完全に脱色された。
得られた溶液に4'−ニトロベンジル 7−フェノキシ
アセトアミド−3−メトキシ−3−セフエム−4−カル
ボキシレート0.5g(1mmol)、さらにピリジン0.12m
l(1.5mmol)を加えた。冷却浴を取り除いて混液を室温
で1.5時間撹拌し、イソブタノール0.6ml(6.4mmo
l)を加えると、5分以内に標記核・塩酸塩の結晶化が始
まった。1.5時間後に標記化合物0.3g(75%)を灰
白色の結晶として濾取した。融点185℃(分解)。
【0123】NMR(DMSO d−6) δ 3.92(bs,2),4.0(s,3),5.02(d,1,J=5
Hz),5.32(d,1,J=5Hz),5.45(s,2),7.6〜
8.4(m,ArH)。 元素分析 C151636SCl 計算値:C,44.84;H,4.01;N,10.4
6;Cl,8.82;S,7.98 実験値:C,44.69;H,4.17;N,10.3
4;Cl,9.05;S,7.77
【0124】実施例134'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチレンセフ
アム−4−カルボキシレート・塩酸塩 4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−
3−メチレンセフアム−4−カルボキシレート・1−オ
キシド5.02g(10mmol)、アミレン2.4ml(22.5m
mol)および塩化メチレン50mlから成る溶液に、15℃
においてアセチルブロミド1.67ml(22.5mmol)を1
0分間にわたって滴下した。混液を0℃に冷却して氷水
25mlを加え、30分間撹拌した。塩化メチレン層を分
離して各25mlの水および稀食塩水で順次洗浄し、無水
硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下に25mlに濃縮した。
【0125】亜リン酸トリフェニル2.89ml(11mmo
l)および塩化メチレン25mlから成る溶液に、溶液が黄
色を呈するまで−10℃において塩素を導通して亜リン
酸トリフェニル−塩素動力学的コンプレックスの溶液を
調製し、さらに亜リン酸トリフェニル0.12ml(0.4
6mmol)を加えて溶液を脱色した。得られた溶液に、−
10℃において前記濃縮液を加えた。次にピリジン0.
93ml(11.5mmol)を加えて氷浴を取り除き、混液を
室温に暖めた。1時間後にイソブタノール5.1ml(55
mmol)を加えると約10分後に結晶化が始まった。混液
を室温で90分間撹拌した後に標記核エステル・塩酸塩
3.17g(82.1%)を濾取した。融点182℃(分解) NMR(DMSO d−6) δ 3.6(bs,2),4.95(d,2,J=5Hz),5.33〜
5.7(m,6),7.6〜8.4(m,Ar H)。
【0126】実施例14ベンズヒドリル 7−アミノ−3−アセトキシメチル−
3−セフエム−4−カルボキシレート 2,4−ジクロロベンゾイル セファロスポリンC ジ
ベンズヒドリルエステル1.39g(1.5mmol)および塩
化メチレン10mlから成る溶液に、−35℃においてピ
リジン0.484ml(6mmol)を加えた。得られた溶液
に、塩化メチレン10ml中、−10℃において亜リン酸
トリフェニル1.57ml(6mmol)と塩素から製造した亜
リン酸トリフェニル−塩素試薬の溶液を加えて約18℃
で150分間反応させた後に混液を−5℃に冷却し、イ
ソブタノール3.0mlで処理した。混液を約20℃に暖
めて溶媒を留去し、得られた暗褐色のシロップ状残渣を
塩化メチレン20mlおよび水10mlに溶解した。
【0127】塩酸を加えて水層のpH値を0.9に調整
し、塩化メチレン層を分離してpH7.5において水で抽
出した。塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥して
減圧下に蒸発に付し、得られた暗褐色のシロップ状物質
約3.5gを酢酸エチル−トルエン(3:7)3.5mlに溶解
して、9mmカラムを用いてシリカゲル40g上にクロマ
トグラフした。最初に酢酸エチル−トルエン(3:7)混
液で溶出し、次にトルエン−酢酸エチル(1:1)混液で
溶出すると標記化合物0.24g(36%)が得られた。
【0128】実施例157−アミノ−3−アセトキシメチル−3−セフエム−4
−カルボン酸(7−ACA) 2,4−ジクロロベンゾイル セファロスポリンC2.9
4g(5mmol)、キノリン0.16ml(1.34mmol)、N,N
−ジエチルアニリン2.39ml(15mmol)および塩化メ
チレン30mlから成るスラリーに、室温においてアセチ
ルクロリド2.45ml(34.5mmol)を加えた。混液を−
25℃に冷却してジエチルアニリン0.6ml(3.75mmo
l)を加え、さらに亜リン酸トリフェニル3.68ml(14
mmol)および塩化メチレン15mlから誘導した亜リン酸
トリフェニル−塩素試薬の溶液を加えた。
【0129】冷却浴を取り除いて混液を2時間にわたっ
て室温に暖めた。混液を−15℃に冷却してプロピレン
グリコール8.5ml(116mmol)を加え、20℃におい
て約0.5時間撹拌した後に再び−15℃に冷却し、氷
水25mlと合併した。水層を分離し、水酸化アンモニウ
ム3.3mlを加えてpHを3.5に調整し、氷浴で1.5時
間撹拌して7−ACA0.4g(29%)を濾取した。
【0130】実施例167−アミノ−3−メチル−3−セフエム−4−カルボン
酸(7−ADCA) 7−フェノキシアセトアミド−3−メチル−3−セフエ
ム−4−カルボン酸3.40g(10mmol)、キノリン0.
158ml(1.34mmol)、N,N−ジエチルアニリン2.
38ml(15mmol)および塩化メチレン30mlから成るス
ラリーに、室温においてアセチルクロリド2.46ml(3
4.5mmol)を加えた。混液を18〜22℃において約6
時間撹拌して−15℃に冷却し、N,N−ジエチルアニ
リン0.6ml(3.75mmol)および亜リン酸トリフェニル
3.68mlと塩素によって塩化メチレン15ml中で得ら
れた亜リン酸トリフェニル−塩素試薬の溶液を加えた。
冷却浴を取り除き、次の7分間で混液をほぼ室温まで暖
めた。
【0131】混液を−20℃に冷却してイソブタノール
10.7ml(116mmol)を加え、再び冷却浴を取り除い
た。アルコールを加えてから約45分後に多量の固体沈
澱がみとめられた。室温でさらに0.5時間放置した後
に混液を0℃に冷却し、7−ADCA1.95g(73%)
を濾取した。NMRスペクトルによれば、生成物には若
干の不純物が含まれていた。
【0132】実施例177−アミノ−3−アセトキシメチル−3−セフエム−4
−カルボン酸(7−ACA) 7−フェノキシアセトアミド−3−アセトキシメチル−
3−セフエム−4−カルボン酸ナトリウム4.18g(9.
76mmol)、キノリン0.154ml(1.31mmol)、N,N
−ジエチルアニリン2.91ml(18.2mmol)、および塩
化メチレン29mlから成るスラリーに、アセチルクロリ
ド2.40ml(33.6mmol)を室温において加えた。室温
において1時間15分放置した後に混液を−35℃に冷
却し、塩化メチレン15ml中で亜リン酸トリフェニル
3.6ml(13mmol)および塩素から製造した亜リン酸ト
リフェニル−塩素動力学的コンプレックスの溶液を加え
た。混液を−25℃乃至−20℃において約60分間撹
拌してイソブタノール10.5mlを加え、0℃に暖めて
2時間撹拌した。この混液を氷水50gに注加し、水層
を分離してpH3.5に調整した。この水溶液を窒素雰囲
気中、氷浴で1時間撹拌して7−ACA2.7g(78%)
を濾取した。
【0133】実施例187−アミノ−3−アセトキシメチル−3−セフエム−4
−カルボン酸(7−ACA) セファロスポリンCのナトリウム塩4.55gをクロロホ
ルム(Amylene−inhibited)142mlに懸濁し、これを
67mlまで蒸留した。このクロロホルム懸濁液を26℃
に冷却してキノリン0.464ml(3.94mmol)、ジエチ
ルアニリン6.95ml(43.5mmol)およびアセチルクロ
リド9.30ml(131mmol)を加え、7分間にわたって
撹拌しながら約35℃に暖め、加熱を中止した。2時間
撹拌した後、ビユフナー濾斗で、ガラス濾紙にハイフロ
紙を重ねたものを用いて濾過した。
【0134】塩素と亜リン酸トリフェニル8.9ml(34
mmol)を−20℃においてクロロホルム35mlに同時に
添加して調製した亜リン酸トリフェニル−塩素試薬の溶
液を、−30℃において上記濾液とジエチルアニリン
3.2ml(20mmol)との混液に加えた。混液を−20℃
乃至−15℃で60分間撹拌した後に−35℃に冷却
し、プロピレングリコール15mlを加えた。この混液を
0℃で2時間撹拌して氷51gに注加し、クロロホルム
層を分離して氷水5gで再抽出した。水性抽出液を合
し、水酸化アンモニウム約7.5mlを加えてpH値を3.
5に調整し、液面に気流を吹きつけて残っているクロロ
ホルムを除去しながら氷浴で60分間撹拌した。スラリ
ーを濾過し、得られた生成物を水6ml、メタノール15
mlおよびアセトン5mlで順次洗浄し、7−ACA(風乾
済み)1.87g(73%)を得た。
【0135】実施例197−アミノ−3−アセトキシメチル−3−セフエム−4
−カルボン酸(7−ACA) (A) シクロヘキサンで安定化し、4Aモレキュラーシ
ーブスで乾燥させた塩化メチレン80mlにセファロスポ
リンC・ナトリウム塩・2水和物4.8g(10mmol)を懸
濁し、水酸化カリウムで乾燥させたジエチルアニリン
7.4g(8ml,50mmol)およびアセチルクロリド4.7g
(4.3ml,60mmol)を加えた。混液を氷浴中、30〜4
0℃で1時間、さらに室温で2時間撹拌し、不溶性物質
1.65gを濾去した。
【0136】反応混液を氷−アルコール浴で冷却し、以
下のように調製した亜リン酸トリフェニル−塩素動力学
的化合物の溶液に加えた。まず、亜リン酸トリフェニル
6.8g(5.8ml,22mmol)を無水塩化メチレン100ml
に加えて氷−アルコール温度に冷却し、溶液が黄色を呈
するまで塩素を導通した。さらに亜リン酸トリフェニル
を2〜3滴加えると溶液は脱色された。この上記2つの
溶液を氷−アルコール温度において混合し、ジエチルア
ニリン3.3g(3.5ml,22mmol)および塩化メチレン2
0mlから成る溶液を10分間にわたって加えた。混液を
冷却下に2時間撹拌し、さらに約−35℃に冷却して、
3Aモレキュラーシーブスで乾燥したイソブタノール
6.0g(7.4ml,80mmol)で処理した。
【0137】次に塩化水素を約30秒間導通して混液を
一夜冷却した。この塩化メチレン溶液に水20mlを加
え、得られた2層混液を5分間強撹拌した。塩化メチレ
ン層を分離して水20mlで洗浄し、水層と洗浄液を合し
て酢酸エチルで洗浄し、飽和炭酸水素アンモニウム溶液
を加えてpHを3.8に調整した。氷浴温度で30分間放
置した後に水性スラリーを濾過して7−ACA1.5g
(減圧乾燥、83%)を得た。
【0138】(B) セファロスポリンC・ナトリウム塩
・2水和物4.8g(10mmol)をテトラヒドロフラン(5
Aモレキュラーシーブスで乾燥済み)80mlに懸濁し、
水酸化カリウムで乾燥したジエチルアニリン7.4g(8.
0ml,50mmol)およびアセチルクロリド4.7g(4.3m
l,60mmol)を加えた。この混液を水浴中、約30〜4
0℃で1時間、さらに室温で約2.5時間撹拌し、不溶
物質5.7gを濾去した。
【0139】混液を氷−アルコール浴で冷却し、工程
(A)と同様に調製した亜リン酸トリフェニル−塩素コン
プレックス溶液(但し、塩化メチレンの代わりにテトラ
ヒドロフランを溶媒として用いた)に加え、ジエチルア
ニリン3.3g(22mmol)およびテトラヒドロフラン20
mlから成る溶液を10分間にわたって滴下した。混液を
冷却下に2時間撹拌し、さらに約−35℃に冷却してプ
ロピレングリコール16mlで処理した。塩化水素を約1
5秒間導通して混液を一夜冷却し、工程(A)と同様な処
理をすると7−ACA1.2g(45%)が得られた。
【0140】(C) N−クロロアセチル・セファロスポ
リンCキノリン塩・1水和物3.3g(5mmol)を塩化メチ
レン(シクロヘキサンで安定化し、4Aモレキュラーシ
ーブスで乾燥済み)40mlに懸濁し、水酸化カリウムで
乾燥したジエチルアニリン3.0g(20mmol)およびアセ
チルクロリド1.9g(1.8ml,25mmol)を加えて室温で
1時間撹拌した。混液を氷−アルコール浴で冷却し、亜
リン酸トリフェニル3.4g(11mmol)を用いて前記工程
(A)と同様に調製した亜リン酸トリフェニル−塩素コン
プレックスの溶液に加えた。
【0141】この混液にジエチルアニリン1.6g(11m
mol)および塩化メチレン10mlから成る溶液を10分間
にわたって滴下して冷却下に2時間撹拌し、さらに約−
35℃に冷却してイソブタノール(3Aモレキュラーシ
ーブスで乾燥済み)3.7mlで処理した。混液に塩化水素
を約15秒間導通して一夜冷却し、工程(A)に記載の操
作を実施して7−ACA 730mg(54%)を得た。
【0142】実施例202',2',2'−トリクロロエチル 7−アミノ−3−メ
チル−3−セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩
(ベンゼン中) (A) ベンゼン45mlに、10〜15℃において塩素お
よび亜リン酸トリフェニル3.16ml(12mmol)を同時
に加えた。亜リン酸トリフェニルの最後の1滴で溶液が
透明になるまでは、混液はわずかに黄色を呈していた。
この溶液に2',2',2'−トリクロロエチル 7−フェニ
ルアセトアミド−3−メチル−3−セフエム−4−カル
ボキシレート4.64g(10mmol)を加えて10〜15℃
において5分間撹拌し、ピリジン1.1ml(12.5mmol)
を含むベンゼン8mlを15分間にわたって加えた。混液
を合計45分間撹拌した後にイソブタノール5.1ml(5
5mmol)を加え、塩化水素を約90秒間導通した。混液
を室温において2時間撹拌し、この間に結晶化した標記
核エステル・塩酸塩3.5g(91.6%)を濾取した。融
点179℃(分解)。 NMR(DMSO d−6) δ 2.27(s,3),3.6(ABq,2,J=16Hz),5.
00(s,2),5.12(q,2,J=4Hz,β−ラクタム
H)。
【0143】(B) 10〜15℃の代わりに室温(20
〜25℃)で実施する点を除いて実施例20工程(A)の
操作を繰り返して標記核エステル・塩酸塩3.26g(8
5.4%)を得た。融点179℃(分解)
【0144】実施例 214'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−クロロ−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 亜リン酸トリフェニル2.63ml(10mmol)および塩化
メチレン50mlから成る溶液に、0〜5℃において、溶
液が黄色を呈するまで塩素を導通した。溶液が透明にな
るまで亜リン酸トリフェニルを滴加して過剰の塩素を除
去した。これには、さらに0.47ml(1.8mmol)の亜リ
ン酸トリフェニルを要し、その結果11.8mmolの亜リ
ン酸トリフェニル−塩素動力学的化合物が得られた。こ
の溶液に4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセト
アミド−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレ
ート5.04g(10mmol)およびピリジン1.01ml(1
2.5mmol)を含む塩化メチレン2mlを加えると混液の温
度が5〜12℃に昇温した。
【0145】混液を室温で2時間撹拌してイソブタノー
ル5.1ml(55mmol)を加えると10分以内に標記核エ
ステル・塩酸塩の結晶化が始まった。これを1.5時間
後に濾取して乾燥すると標記化合物3.71g(91.4
%)がほぼ白色の結晶して得られた。融点180〜18
1℃(分解) NMR(DMSOd−6) δ 3.7(bs,2),5.33(q,2,β−ラクタムH),5.
46(s,2),7.5〜8.4(ArH)。
【0146】実施例224'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチル−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 亜リン酸トリフェニル2.89ml(11mmol)と塩化メチ
レン50mlから成る溶液に、0〜5℃において、溶液が
黄色を呈するまで塩素を導通した。次に亜リン酸トリフ
ェニル0.17ml(0.65mmol)を加えて透明な溶液と
し、0〜5℃において塩化メチレン5mlを用いて4'−
ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−3−メ
チル−3−セフエム−4−カルボキシレート4.84g
(10mmol)を流し込んだ。
【0147】次にピリジン1.01ml(12.5mmol)を加
えると混液は5〜10℃に昇温した。混液を室温に暖め
て2時間撹拌し、イソブタノール5.1ml(55mmol)を
加え、約20分後に塩化水素を微量導通すると生成物が
直ちに結晶化した。2.5時間後に生成物を濾取して乾
燥し、標記核エステル・塩酸塩3.29g(85.3%)を
得た。融点177℃(分解)。濾液を塩化水素で処理する
とさらに0.32gの標記化合物が得られた。総収率93
%。
【0148】実施例234'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチル−3−セ
フエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 亜リン酸トリ
フェニル2.89ml(11mmol)と塩化メチレン50mlか
ら成る溶液に、5〜10℃において、溶液が淡黄色を呈
するまで塩素を導通した。次に亜リン酸トリフェニルを
2滴加えて透明な溶液とし、5〜10℃において4'−
ニトロベンジル 7−フェニルアセトアミド−3−メチ
ル−3−セフエム−4−カルボキシレート4.67g(1
0mmol)、さらにピリジン0.85ml(10.5mmol)を加
えた。この溶液を室温に暖め、2時間後に15℃に冷却
してイソブタノール5.1ml(55mmol)を加えた。混液
を室温において2時間撹拌し、この間に結晶化した生成
物を3回に分けて濾取した。総収量3.5g(90.6
%)。融点188℃(分解)。
【0149】実施例244'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチル−2−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 基質として4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセ
トアミド−3−メチル−2−セフエム−4−カルボキシ
レート4.84g(10mmol)を用いた点を除いて、実施例
23に記載の操作を繰り返し、標記核エステル・塩酸塩
3.27g(84.7%)を得た。融点184℃(分解)。 NMR(DMSO d−6) δ 1.96(s, ),5.12(bs,2),5.4(m),6.34
(bs,1),7.6〜8.4(ArH)。
【0150】実施例254'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチレンセフ
アム−4−カルボキシレート・塩酸塩 基質として4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセ
トアミド−3−メチル−2−セフアム−4−カルボキシ
レート4.83g(10mmol)を用いた点を除いて、実施例
23に記載の操作を繰り返して標記核エステル・塩酸塩
3.58g(92.8%)を得た。融点176.5〜177℃
(分解)。NMRスペクトルによれば、この生成物は実施
例9で得られた生成物と同一であった。
【0151】実施例264'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−アセトキシ−
3−セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 亜リン酸トリフェニル2.89ml(11mmol)と塩化メチ
レン50mlから成る溶液に、5〜10℃において、溶液
が黄色を呈するまで塩素を導通した。次に亜リン酸トリ
フェニルを3滴加えて透明な溶液とし、冷却浴を取り除
いて4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミ
ド−3−アセトキシ−3−セフエム−4−カルボキシレ
ート5.28g(10mmol)およびピリジン0.85ml(1
0.5mmol)を加え、室温で2時間撹拌した後にイソブタ
ノール6.0ml(64.8mmol)を加えると8分以内に生成
物の結晶化が始まった。これを2時間後に濾取して標記
核エステル・塩酸塩2.57g(59.9%)を白色の結晶
として得た。融点160℃(分解)。濾液中にも生成物が
みとめられたが単離しなかった。 NMR(DMSOd−6) δ 2.2(s,3),3.93(bs,2),5.45(m),7.6〜
8.4(ArH)。
【0152】実施例274'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチル−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩[亜リン酸ト
リ(p−クロロフェニル)−塩素動力学的コンプレックス
を使用] 亜リン酸トリ(p−クロロフェニル)5.17g(12.5mmo
l)、ピリジン0.27ml(3.28mmol)および塩化メチレ
ン25mlから成る溶液に、−70℃において塩素を導通
した。アミレン0.40mlを加えて過剰の塩素を除去
し、4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミ
ド−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレート
2.42g(5mmol)およびピリジン0.79ml(9.22mmo
l)を含む塩化メチレン4mlを11分間にわたって滴下し
た。3時間後に冷却浴を取り除いてイソブタノール6.
94mlを加え、混液を約−10℃に暖めた後に塩化水素
を約1分間導通した。15分後に混液を濾取し、標記化
合物1.86g(96%)を白色の固体として得た。融点1
84〜185℃(分解)。
【0153】実施例28ベンジル 7−(1−クロロ−2−フェニルエチリデン)
−7−メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフエム
−4−カルボキシレート ピリジン0.1mlを含む塩化メチレン45ml中で、−1
5℃において塩素と亜リン酸トリフェニル(12.3mmo
l)から製造した亜リン酸トリフェニル−塩素コンプレッ
クスの溶液に、ベンジル 7−フェニルアセトアミド−
7−メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフエム−
4−カルボキシレート5.11g(10mmol)を加え、さら
にピリジン1.01ml(12.5mmol)を含む塩化メチレン
4mlを10分間にわたって滴下した。−15℃乃至−1
0℃において50分間撹拌した後にプロピレンオキシド
2.1ml(30mmol)を加え、0℃においてさらに10分
間撹拌した後に氷水25mlで洗浄して塩化カルシウムで
乾燥し、減圧下に蒸発に付してシロップ状物質11gを
得た。生成物を四塩化炭素中で3回摩砕し、エーテル5
0mlに溶かし、沈澱0.5gを、デカンテーションして除
去し、減圧下に約25mlに濃縮した。
【0154】得られた油状物質をヘキサン25mlで稀釈
し、ヘキサン−エーテル(1:1)で2回洗浄し、減圧下
に四塩化炭素から2回蒸発に付し、標記化合物2.5gを
泡状物質として得た。 IR (CHCl3) 1780,1730cm-1 NMR(CDCl3,ピリジン d−5) δ 1.96(s,3),3.3(ABq),3.43(s,2),3.9
3(s,2),4.86(ABq),4.93(s,1),5.25(s,
1),7.3(ArH)。
【0155】実施例294'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチル−3−
セフエム−4−カルボキシレート・臭化水素酸塩 ピリジン2.10ml(26mmol)を含む塩化メチレン10
0ml中で、−10℃乃至−15℃において亜リン酸トリ
フェニル6.67ml(25.4mmol)と臭素1.30ml(2
5.4mmol)から製造した亜リン酸トリフェニル−臭素コ
ンプレックスの溶液25.4mlに、4'−ニトロベンジル
7−フェノキシアセトアミド−3−メチル−3−セフ
エム−4−カルボキシレート9.67g(20mmol)を加え
た。−10℃乃至−15℃において1時間放置した後に
冷却浴を取り除き、イソブタノール13.88ml(150
mmol)を加えた。混液を室温で2時間撹拌し、標記化合
物4.76g(55.3%)を濾取した。融点179〜18
1℃(分解)
【0156】元素分析 C151635SBr 計算値:C,41.87;H,3.75;N,9.77;
S,7.45;Br,18.57 実験値:C,42.04;H,3.57;N,9.54;
S,7.54;Br,18.37 NMR(DMSO d−6) δ 2.2(s,3),3.65(bs,2),5.27(m,2,β−ラ
クタムH),5.42(s,2),7.6〜8.4(m,4,ArH)。
【0157】実施例30ベンズヒドリル 7−(α−クロロ−4−メチルベンジ
リデンイミノ)−7−メトキシ−3−(1−メチル−1,
2,3,4−テトラゾール−5−イルチオ)メチル−1−
デチア−1−オキサ−3−セフエム−4−カルボキシレ
ート ベンズヒドリル 7−(4−メチルベンズアミド)−7−
メトキシ−3−(1−メチル−1,2,3,4−テトラゾー
ル−5−イルチオ)メチル−1−デチア−1−オキサ−
3−セフエム−4−カルボキシレート200mgおよび重
クロロホルム10mlから成る溶液に、−15℃乃至0℃
において、数時間にわたって亜リン酸トリフェニル−塩
素コンプレックス(常法により製造)4当量およびピリジ
ン4当量を加えた。過剰量のコンプレックスとピリジン
を要したのは、オキサセフエム出発物質中に不純物が含
まれていたためである。四塩化炭素およびエーテルを順
次加えて塩および不純物を沈澱させ、溶媒を留去して油
状物質を得た。
【0158】この油状物質のエーテル抽出液のNMRス
ペクトルによれば、この物質には標記化合物と亜リン酸
トリフェニルが含まれていた。 NMR(CDCl) δ 2.25(s,3),3.53(s,3),3.65(s,3),4.
16(s,2),4.53(bs,2),5.16(s,1,C6−H)。
【0159】実施例314'−ニトロベンジル 7−フェニルアセトアミド−3
−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート 亜リン酸トリフェニル2.89ml(11mmol)を塩化メチ
レン50mlに溶かした溶液に、−15℃において溶液が
黄変するまで塩素を導通した。この溶液に亜リン酸トリ
フェニル2滴を加えて脱色し、得られた亜リン酸トリフ
ェニル−塩素試薬溶液に4'−ニトロベンジル 7−フ
ェニルアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−
4−カルボキシレート4.54g(10mmol)を加え、さら
にピリジン0.89ml(11mmol)を塩化メチレン8mlに
溶かした溶液を40分間にわたって滴下した。ピリジン
溶液を加える間、反応温度を−15℃乃至−10℃に保
った。
【0160】次いで混液を−15℃乃至−10℃におい
てさらに60分間撹拌し、冷却浴を取り除いた。濃塩酸
1mlを加えて、上記反応で得られた少量のイミノクロリ
ドを加水分解した。混液を室温で30分間撹拌した後に
3Aエタノール100mlで稀釈し、15分間撹拌して標
記化合物2.67g(54.7%)を白色の結晶として濾取
した。融点214℃(分解)。濾液を約50mlに減圧濃縮
し、標記化合物の2次晶1.52g(31.1%)を単離し
た。総収率85.8%
【0161】NMR(DMSO d−6): δ 3.62(s,2),3.94(ABq,2,J=18Hz),
5.3(d,1,J=5Hz),5.52(s,2),5.82(q,1,
J=5,8Hz),7.2〜8.4(ArH)。 元素分析 C221836SCl 計算値:C,54.16;H,3.72;N,8.61;C
l,7.27;S,6.57 実験値:C,53.91;H,3.92;N,844;C
l,7.27;S,6.55
【0162】実施例324'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−
3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート 実施例1に記載の方法に従って、亜リン酸トリフェニル
6.31ml、塩化メチレン45mlおよび塩素から、−1
5℃において亜リン酸トリフェニル−塩素動力学的生成
物を製造した。この溶液に、−15℃乃至−10℃にお
いて4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミ
ド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレ
ート5.24g(10mmol)を加え、最後に塩化メチレン5
mlで洗い込んだ。ピリジン1.01ml(12.5mmol)を塩
化メチレン8mlに溶かした溶液を30分間にわたって滴
下し、−10℃で2時間撹拌して濃塩酸1mlを加えた。
混液をさらに30分間撹拌した後に、各100mlの水で
3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒
を留去した。得られた油状物質を2Bエタノール100
mlから結晶化させて標記化合物4.19g(83.2%)を
得た。融点142.5〜146℃。
【0163】NMR(CDCl3) δ 3.7(ABq,2,J=18Hz),4.60(s,2),5.
12(d,1,J=5Hz),5.4(s,2),5.93(q,1,J=
5,9Hz),6.8〜8.4(ArH)。 元素分析 C221837SCl 計算値:C,52.44;H,3.60;N,8.34;S,
6.36;Cl,7.04 実験値:C,52.67;H,3.73;N,8.12;
S,6.15;Cl,6.95
【0164】実施例334'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−
3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート[亜
リン酸トリ(o−トリル)−塩素コンプレックス使用] 亜リン酸トリ(o−トリル)3.91g(10mmol)を塩化メ
チレン45mlに溶かした溶液に、溶液が黄変するまで塩
素を−10℃において導通した。亜リン酸エステル約
0.5mmolを加えて溶液を脱色し、−10℃において塩
化メチレン5mlを用いて4'−ニトロベンジル 7−フ
ェノキシアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム
−4−カルボキシレート5.4g(10mmol)を流し込ん
だ。
【0165】次いでピリジン1.01ml(12.5mmol)を
加えて混液を−10℃で90分間撹拌し、濃塩酸1mlを
加えた。混液をさらに30分間撹拌し、各25mlの水
(2回)および稀食塩水25mlで順次洗浄して硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。得られた油状
残渣を2Bエタノール50mlから結晶化させて標記化合
物3.35g(66.5%)を得た。NMRスペクトルによ
れば、この生成物は実施例32の生成物と同一であっ
た。
【0166】実施例344'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−
3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート (A) 塩基を用いないクロロ化 実施例31に記載の方法に従って、−10℃において亜
リン酸トリフェニル2.89mlの塩化メチレン溶液から
亜リン酸トリフェニル−塩素試薬の溶液を調製した。こ
の溶液に4'−ニトロベンジル 7−フェノキシアセト
アミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキ
シレート4.86g(10mmol)を加えて−10℃で2時間
撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)によれば、
約2時間後にはクロル化がおよそ50%完了し、イミノ
クロリドが多少みとめられた。
【0167】(B) 2,6−ルチジン 上記工程(A)の混液に2,6−ルチジン1.2ml(10.5
mmol)を加えて−10℃で60分間撹拌し、濃塩酸1ml
を加えた。冷却浴を取り除いて混液をさらに30分間撹
拌し、各100mlの水(2回)および稀食塩水100mlで
順次洗浄した。混液を硫酸マグネシウムで乾燥して減圧
下に溶媒を留去し、得られた油状残渣を2Bエタノール
75mlから結晶化させて標記化合物3.83g(76%)を
得た。融点124〜126℃。
【0168】実施例354'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−クロロ−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 (A) 塩化メチレン;ピリジン 亜リン酸トリフェニル6.31ml(25mmol)および塩化
メチレン45mlから成る溶液に、溶液が黄変するまで、
−10℃において塩素を導通した。亜リン酸トリフェニ
ル数滴を加えて溶液を脱色し、−15℃において4'−
ニトロベンジル7−アセトアミド−3−ヒドロキシ−3
−セフエム−4−カルボキシレート4.86g(10mmol)
を加え、さらにピリジン2.02ml(12.5mmol)および
塩化メチレン8mlから成る溶液を40分間にわたって滴
下した。混液を−10℃において30分間撹拌し、イソ
ブタノール9.25ml(100mmol)を加えた。氷浴を取
り除いて塩化水素で約30秒間処理した。5分以内に生
成物の結晶化が始まったが、混液は約20℃において2
時間撹拌し、標記核エステルの塩酸塩3.33g(82%)
を濾取した。融点181℃(分解)。 NMR(DMSO d−6) δ 4.06(bs,2),5.33(q,2,J=4.5Hz,β−
ラクタムH),5.5(s,2),7.8〜8.3(ArH),〜8.
6(brs,−NH3)。
【0169】(B) 1,2−ジクロロエタン:ピリジン 塩化メチレンの代わりに1,2−ジクロロエタンを溶媒
として用いた点を除いて、前記実施例35(A)に記載の
方法を繰返し、標記化合物3.10g(76.4%)を得
た。
【0170】(C) 塩化メチレン;キノリン ピリジン塩基の代わりにキノリンを用いた点を除いて上
記工程(A)を繰返し、標記化合物3.20g(79.8%)
を単離した。融点181℃(分解)。
【0171】(D) 塩化メチレン;イソキノリン ピリジン塩基の代わりにイソキノリンを用いた点を除い
て上記工程(A)を繰返した。混液は前記混液よりも幾分
暗色であり、標記化合物の収量は2.29g(56.4%)
であった。融点181℃(分解)。
【0172】(E) 塩化メチレン;N,N−ジメチルアニ
リン ピリジン塩基の代わりにN,N−ジメチルアニリンを用
いた点を除いて上記工程(A)を繰返し、標記化合物0.
91g(22.4%)を単離した。融点182℃(分解)。
【0173】(F) アセトニトリル;ピリジン 亜リン酸トリフェニル7.9ml(30mmol)およびアセト
ニトリル45mlから成る混液に、−10℃において塩素
を導通した。混液が固化したので10℃に暖め、再び液
化させた。塩素は混液が黄色を呈するまで導通し、次い
で亜リン酸トリフェニル0.1mlを加えて溶液を脱色し
た(約30.4mmolの亜リン酸トリフェニル−塩素動力学
的化合物が形成された)。
【0174】この溶液に4'−ニトロベンジル 7−フ
ェノキシアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム
−4−カルボキシレート5.4g(10mmol)を加え、さら
にピリジン2.42ml(30mmol)を含むアセトニトリル
8mlを0℃乃至10℃において30分間にわたって滴下
した。混液を1時間撹拌した後に冷却浴を取り除き、室
温で90分間撹拌した。さらにイソブタノール9.25m
l(100mmol)を加えて室温で90分間放置し、標記化
合物0.95g(23.4%)を得た。融点186℃(分
解)。
【0175】(G) 4'−ニトロベンジル 7−フェニ
ルアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−
カルボキシレートから 実施例35工程(A)に従って、塩素、亜リン酸トリフェ
ニル2.89ml(11mmol)および塩化メチレン45mlか
ら、亜リン酸トリフェニル−塩素動力学的化合物の溶液
を調製した。この溶液に4'−ニトロベンジル 7−フ
ェニルアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−
4−カルボキシレート2.3g(5mmol)を加え、さらにピ
リジン0.89ml(11mmol)および塩化メチレン5mlか
ら成る溶液を、−15℃乃至−10℃において、撹拌下
に15分間隔で滴下した。
【0176】混液を−15℃乃至−10℃において1.
5時間撹拌した後に冷却浴を取り除き、イソブタノール
6ml(64.8mmol)を加えた。混液を1時間撹拌しなが
ら23℃に暖め、結晶化した生成物を濾取すると標記化
合物1.59g(78.3%)が白色の結晶として得られ
た。融点188℃(分解)。
【0177】(H) 亜リン酸トリ(o−トリル)−塩素動
力学的コンプレックスを使用 亜リン酸トリ(o−トリル)9.24g(26mmol)および塩
化メチレン45mlから成る溶液に、溶液が黄変するまで
塩素を−10℃において導通した。亜リン酸エステル約
0.5mmolを加えて過剰の塩素を除去し、塩化メチレン
5mlを用いて4'−ニトロベンジル 7−フェノキシア
セトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カル
ボキシレート5.44g(10mmol)を流し込んだ。ピリジ
ン2.58ml(32mmol)を含む塩化メチレン8mlを−1
0℃において30分間にわたって滴下し、同温において
30分間撹拌した後にイソブタノール9.25ml(100
mmol)を加えた。氷浴を取り除いて塩化水素を約60秒
間導通し、室温で90分間撹拌し、標記化合物3.31g
(81.5%)を濾取した。融点183℃(分解)。
【0178】実施例364'−ニトロベンジル 7−(1−クロロ−2−フェノキ
シエチリデン)イミノ−3−クロロ−3−セフエム−4
−カルボキシレート イソブタノールの代わりにプロピレンオキシド4.2ml
を加えた点を除いて実施例35(A)の操作を繰返した。
混液を0℃で15分間撹拌して氷水50mlで洗浄し、塩
化カルシウム・2水和物で乾燥して減圧下に蒸発に付す
と暗色のシロップ状物質21gが得られた。プロピレン
オキシド数滴を含むジエチルエーテルを残渣に加えると
少量のタールが沈澱した。
【0179】次に塩化メチレン5mlを加え、得られた溶
液を約1gの暗色タールからデカンテーションした。減
圧下に溶媒を留去し、得られたシロップ状物質をエーテ
ル−ヘキサン(1:1)50mlで摩砕して3回デカンテー
ションし、得られた半固体を数日間冷蔵庫で保管した後
エーテルで摩砕して固体1.08gを得た。この固体はN
MRによって4'−ニトロベンジル 7−フェノキシア
セトアミド−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキ
シレートと同定された。濾液を減圧下に蒸発に付し、得
られた泡状物質を塩化メチレン数mlに溶解してエーテル
で稀釈し、さらにプロピレンオキシド数滴を含む2Bア
ルコール約50mlで稀釈すると標記イミノクロリド0.
24gが結晶化した。融点97〜98℃。生成物の構造
はNMRスペクトルで確認した。
【0180】NMR (CDCl3,ピリジン d−5) δ 3.56(ABq,2,J=18Hz),4.8(s,2),5.
03(d,1,J=5Hz),5.3(s,2),5.53(d,1,J=
5Hz),6.9〜8.3(ArH)。 実施例37
【0181】4'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−
クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 (A) 亜リン酸トリフェニル6.31ml(24mmol)およ
び塩化メチレン45mlから成る溶液に、−10℃におい
て過剰の塩素を導通して亜リン酸トリフェニル−塩素化
合物(約25.5mmol)の溶液を調製した。さらに亜リン
酸トリフェニル(約1.5mmol)を加えて黄色の溶液を脱
色した。この溶液に、塩化メチレン5mlを用いて4'−
ニトロベンジル 7−フェノキシアセトアミド−3−ヒ
ドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレート5.2
4g(10mmol)を流し込んだ。
【0182】さらにピリジン2.02mlを含む塩化メチ
レン8mlを40分間にわたって滴下し、温度は−10℃
乃至−15℃に維持した。混液を−10℃乃至−15℃
において25分間撹拌した後にイソブタノール9.25m
l(100mmol)を加えた。氷浴を取り除き、塩化水素を
約30秒間導通した。次に結晶種を植えて20℃で約2
時間撹拌し、標記化合物3.49g(86%)を白色の結晶
として得た。融点179〜180℃(分解)。
【0183】(B) イソブタノールの代わりに1,3−
プロパンジオール3.61mlを用いた点を除いて前記工
程(A)を繰返し、標記化合物3.25g(80%)を単離し
た。融点182℃(分解)。
【0184】実施例38〜50 各々記載の亜リン酸トリアリールおよびハロゲンから誘
導したハロゲン化剤を用い、実施例31に記載の一般法
に従って以下の変換反応を実施した。実施例38 亜リン酸トリフェニル−塩素を用いて2',2',2'−ト
リクロロエチル 7−フェニルアセトアミド−3−ヒド
ロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレートを2',
2',2'−トリクロロエチル−7−フェニルアセトアミ
ド−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート
に変換した。
【0185】実施例39 亜リン酸トリフエニル−臭素を用いてベンズヒドリル
7−ホルムアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4
−カルボキシレートをベンズヒドリル 7−ホルムアミ
ド−3−ブロモ−3−セフエム−4−カルボキシレート
に変換した。
【0186】実施例40 亜リン酸トリ(4−メトキシフエニル)−塩素を用いて t
−ブチル 7−アセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セ
フエム−4−カルボキシレートをt−ブチル7−アセト
アミド−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレ
ートに変換した。
【0187】実施例41 亜リン酸トリ(o−トリル)−塩素を用いて4'−メトキシ
ベンジル 7−ベンズアミド−3−ヒドロキシ−3−セ
フエム−4−カルボキシレートを4'−メトキシベンジ
ル 7−ベンズアミド−3−クロロ−3−セフエム−4
−カルボキシレートに変換した。
【0188】実施例42 亜リン酸トリフエニル−塩素を用いて2−ヨードエチル
7−フエノキシアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−
セフエム−4−カルボキシレートを2−ヨードエチル
7−フエノキシアセトアミド−3−クロロ−3−セフエ
ム−4−カルボキシレートに変換した。
【0189】実施例43 亜リン酸トリフエニル−臭素を用いて4'−ニトロベン
ジル 7−メトキシ−7−フエニルアセトアミド−3−
ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレートを
4'−ニトロベンジル 7−メトキシ−7−フエニルア
セトアミド−3−ブロモ−3−セフエム−4−カルボキ
シレートに変換した。
【0190】実施例44 亜リン酸トリ(4−エチルフエニル)−塩素を用いて4'
−クロロフエナシル7−(2−フエニルプロピオンアミ
ド)−3−ヒドロキシ−3−セフアム−4−カルボキシ
レートを4'−クロロフエナシル 7−(2−フエニルプ
ロピオンアミド)−3−クロロ−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートに変換した。
【0191】実施例45 亜リン酸トリフエニル−塩素を用いてベンジル 7−メ
トキシ−7−(2−チエニル)アセトアミド−3−ヒドロ
キシ−3−セフエム−4−カルボキシレートをベンジル
7−メトキシ−7−(2−チエニル)アセトアミド−3
−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換
した。
【0192】実施例46 亜リン酸トリ(2−エトキシフエニル)−塩素を用いて
4'−ニトロベンジル7−(5−テトラゾリル)アセトア
ミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシ
レートを4'−ニトロベンジル 7−(5−テトラゾリ
ル)アセトアミド−3−クロロ−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートに変換した。
【0193】実施例47 亜リン酸トリ(p−プロピルフエニル)−臭素を用いてピ
バロイルオキシメチル7−[2−t−ブトキシカルボニル
アミノ−2−フエニルアセトアミド]−3−ヒドロキシ
−3−セフエム−4−カルボキシレートをピバロイルオ
キシメチル7−[2−t−ブトキシカルボニルアミノ−2
−フエニルアセトアミド]−3−ブロモ−3−セフエム
−4−カルボキシレートに変換した。
【0194】実施例48 亜リン酸トリフエニル−塩素を用いて4'−ニトロベン
ジル 7−[2−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル
アミノ)−2−フエニルアセトアミド]−3−ヒドロキシ
−3−セフエム−4−カルボキシレートを4'−ニトロ
ベンジル 7−[2−(4−ニトロベンジルオキシカルボ
ニルアミノ)−2−フエニルアセトアミド]−3−クロロ
−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換した。
【0195】実施例49 亜リン酸トリ(o−トリル)−塩素を用いて4'−ニトロベ
ンジル7−[2−クロロアセトアミドチアゾール−5−
イルアセトアミド]−3−ヒドロキシ−3−セフエム−
4−カルボキシレートを4'−ニトロベンジル 7−[2
−クロロアセトアミドチアゾール−5−イルアセトアミ
ド]−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレー
トに変換した。
【0196】実施例50 亜リン酸トリフエニル−臭素を用いて2',2',2'−ト
リクロロエチル 7−クロロアセトアミド−3−ヒドロ
キシ−3−セフエム−4−カルボキシレートを2',2',
2'−トリクロロエチル 7−クロロアセトアミド−3
−ブロモ−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換
した。
【0197】実施例51〜59 下記亜リン酸トリアリールおよび塩素から誘導したクロ
ル化剤と下記3−ヒドロキシセフエム類を用いて、前記
実施例35(A)に記載の方法に従って4'−ニトロベン
ジル 7−アミノ−3−クロロ−3−セフエム−4−カ
ルボキシレート・塩酸塩を製造した。実施例51 4'−ニトロベンジル 7−ホルムアミド−3−ヒドロ
キシ−3−セフエム−4−カルボキシレート;亜リン酸
トリフエニル
【0198】実施例52 4'−ニトロベンジル 7−フエニルアセトアミド−3
−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレート;
亜リン酸トリ(o−トリル)
【0199】実施例53 4'−ニトロベンジル 7−(2−チエニルアセトアミ
ド)−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシ
レート;亜リン酸トリフエニル
【0200】実施例54 4'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレー
ト;亜リン酸トリフエニル
【0201】実施例55 4'−ニトロベンジル 7−ベンズアミド−3−ヒドロ
キシ−3−セフエム−4−カルボキシレート;亜リン酸
トリフエニル
【0202】実施例56 4'−ニトロベンジル 7−フエニルチオアセトアミド
−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレー
ト;亜リン酸トリ(o−トリル)
【0203】実施例57 4'−ニトロベンジル 7−[2−(t−ブトキシカルボニ
ルアミノ)−2−フエニルアセトアミド]−3−ヒドロキ
シ−3−セフエム−4−カルボキシレート;亜リン酸ト
リフエニル
【0204】実施例58 4'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレー
ト;亜リン酸トリ(p−メトキシフエニル)
【0205】実施例59 4'−ニトロベンジル 7−フエニルアセトアミド−3
−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレート;
亜リン酸トリ(p−トリル)
【0206】実施例60〜67 塩素もしくは臭素および下記亜リン酸トリアリールから
誘導したハロゲン化剤を用いて、実施例35(A)に記載
の一般法に従って下記変換反応を実施した。実施例60 亜リン酸トリフエニルを用いてt−ブチル 7−フエニ
ルアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−
カルボキシレートをt−ブチル 7−アミノ−3−クロ
ロ−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換した。
【0207】実施例61 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−ニトロベンジル
7−メトキシ−7−フエノキシアセトアミド−3−ヒド
ロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレートを4'−
ニトロベンジル 7−メトキシ−7−アミノ−3−クロ
ロ−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換した。
【0208】実施例62 亜リン酸トリ(o−トリル)を用いて2',2',2'−トリク
ロロエチル 7−アセトアミド−3−ヒドロキシ−3−
セフエム−4−カルボキシレートを2',2',2'−トリ
クロロエチル 7−アミノ−3−ブロモ−3−セフエム
−4−カルボキシレートに変換した。
【0209】実施例63 亜リン酸トリ(p−エトキシフエニル)を用いてベンジル
7−(4−クロロフエノキシアセトアミド)−3−ヒド
ロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレートをベンジ
ル 7−アミノ−3−クロロ−3−セフエム−4−カル
ボキシレートに変換した。
【0210】実施例64 亜リン酸トリフエニルを用いてベンズヒドリル 7−メ
トキシ−7−フエニルアセトアミド−3−ヒドロキシ−
3−セフエム−4−カルボキシレートをベンズヒドリル
7−メトキシ−7−アミノ−3−クロロ−3−セフエ
ム−4−カルボキシレートに変換した。
【0211】実施例65 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−ニトロベンジル
7−(3−ニトロベンズアミド)−3−ヒドロキシ−3−
セフエム−4−カルボキシレートを4'−ニトロベンジ
ル 7−アミノ−3−ブロモ−3−セフエム−4−カル
ボキシレートに変換した。
【0212】実施例66 亜リン酸トリ(m−トリル)を用いて4'−メトキシベンジ
ル 7−(2−ホルミルオキシ−2−フエニルアセトア
ミド)−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキ
シレートを4'−メトキシベンジル 7−アミノ−3−
クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換し
た。
【0213】実施例67 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−ニトロベンジル
7−(2−チエニルアセトアミド)−3−ヒドロキシ−3
−セフエム−4−カルボキシレートを4'−ニトロベン
ジル 7−アミノ−3−ブロモ−3−セフエム−4−カ
ルボキシレートに変換した。
【0214】実施例68〜75 塩素もしくは臭素および下記亜リン酸トリアリールから
誘導したハロゲン化剤を用いて、実施例36に記載の一
般法に従って下記変換反応を実施した。実施例68 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−ニトロベンジル
7−メトキシ−7−ベンズアミド−3−ヒドロキシ−3
−セフエム−4−カルボキシレートを4'−ニトロベン
ジル 7−メトキシ−7−(α−クロロベンジリデン)イ
ミノ−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレー
トに変換した。
【0215】実施例69 亜リン酸トリ(o−トリル)を用いてベンジル 7−フエ
ニルアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4
−カルボキシレートをベンジル 7−(1−クロロ−2
−フエニルエチリデン)イミノ−3−クロロ−3−セフ
エム−4−カルボキシレートに変換した。
【0216】実施例70 亜リン酸トリフエニルを用いて2',2',2'−トリクロ
ロエチル 7−(2−チエニルアセトアミド)−3−ヒド
ロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレートを2',
2',2'−トリクロロエチル7−[1−クロロ−2−(2
−チエニル)エチリデン]イミノ−3−クロロ−3−セフ
エム−4−カルボキシレートに変換した。
【0217】実施例71 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−メトキシベンジル
7−アセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−
4−カルボキシレートを4'−メトキシベンジル 7−
(1−クロロエチリデン)イミノ−3−クロロ−3−セフ
エム−4−カルボキシレートに変換した。
【0218】実施例72 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−ニトロベンジル
7−フエノキシアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セ
フエム−4−カルボキシレートを4'−ニトロベンジル
7−(1−ブロモ−2−フエノキシエチリデン)イミノ
−3−ブロモ−3−セフエム−4−カルボキシレートに
変換した。
【0219】実施例73 亜リン酸トリ(o−メトキシフエニル)を用いてt−ブチル
7−(2−クロロアセトキシ−2−フエニルアセトア
ミド)−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキ
シレートをt−ブチル 7−(1−クロロ−2−クロロア
セトキシ−2−フエニルエチリデン)イミノ−3−クロ
ロ−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換した。
【0220】実施例74 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−ニトロベンジル
7−(4−クロロベンズアミド)−3−ヒドロキシ−3−
セフエム−4−カルボキシレートを4'−ニトロベンジ
ル 7−(4−クロロ−α−クロロベンジリデン)イミノ
−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレートに
変換した。
【0221】実施例75 亜リン酸トリフエニルを用いて4'−ニトロベンジル
7−フエニルアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セフ
エム−4−カルボキシレートを4'−ニトロベンジル
7−(1−ブロモ−2−フエニルエチリデン)イミノ−3
−ブロモ−3−セフエム−4−カルボキシレートに変換
した。
【0222】実施例764'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−ブロモ−3−セフエム−4−カルボキシレート(亜
リン酸トリフエニル−臭素を使用) 臭素2.30ml(45mmol)および塩化メチレン90mlか
ら成る溶液に、−70℃において亜リン酸トリフエニル
12.22ml(mmol)を加えて溶液を脱色した。この溶液
に、塩化メチレン10mlを用いて4'−ニトロベンジル
7−フエノキシアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−
セフエム−4−カルボキシレート10.6g(20mmol)を
流し込んだ。混液を−35℃乃至−30℃に暖め、ピリ
ジン3.64ml(45mmol)を含む塩化メチレン16mlを
35分間にわたって滴下した。4時間後に氷水50mlを
加えて混液を0.5時間撹拌すると3つの層に分かれ
た。中間層の塩化メチレン層を水50mlおよび食塩水で
洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、29.7gになる
まで減圧下に溶媒を留去した。これにメタノール150
mlを加えて結晶化を誘発し、標記化合物3.78gを得
た。融点138〜139℃
【0223】NMR(DMSO d−6) δ 4.0(ABq,C2−H),4.65(s,2,側鎖CH2),
5.28(d,1,J=5Hz),5.47(s,2,エステルC
2),5.8(q,1,J=5,8Hz),6.9〜8.4(Ar
H)。
【0224】実施例77ベンジル 7−(1−クロロ−2−フエニルエチリデン)
−7−メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフエム
−4−カルボキシレート ピリジン0.1mlを含む塩化メチレン45ml中で、−1
5℃において塩素と亜リン酸トリフエニル(12.3mmo
l)から製造した亜リン酸トリフエニル−塩素コンプレッ
クスの溶液ベンジル 7−フエニルアセトアミド−7−
メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフエム−4−
カルボキシレート5.11g(10mmol)を加え、さらにピ
リジン1.01ml(12.5mmol)を含む塩化メチレン4ml
を10分間にわたって滴下した。−15℃乃至−10℃
において50分間撹拌した後にプロピレンオキシド2.
1ml(30mmol)を加え、0℃においてさらに10分間撹
拌して氷水25mlで洗浄し、塩化カルシウムで乾燥して
減圧下に蒸発に付した。
【0225】得られたシロップ状物質11gを四塩化炭
素で3回摩砕し、エーテル50mlに溶解した。このエー
テル性溶液を沈澱物0.5gからデカンテーションし、減
圧下に約25mlに濃縮した。これをヘキサン25mlで希
釈し、得られた油状物質をヘキサン−エーテル(1:1)
で2回洗浄し、さらに減圧下において四塩化炭素溶液か
ら2回蒸発させて、標記化合物2.5gを泡状物質として
得た。 IR(CHCl3) 1780,1730cm-1 NMR(CDCl3,ピリジン d−5): δ 1.96(s,3),3.3(ABq),3.43(s,2),3.9
3(s,2),4.86(ABq),4.93(s,1),5.25(s,
1),7.3(ArH)。
【0226】実施例784'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−クロロ−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩[亜リン酸ト
リ(p−クロロフエニル)−塩素動力学的コンプレックス
使用] 亜リン酸トリ(p−クロロフエニル)10.34g、ピリジ
ン0.53ml(6.5mmol)および塩化メチレン50mlから
成る溶液に、−70℃において塩素の塩化メチレン溶液
15mlを加えた。アミレン0.52mlを加えて過剰の塩
素を除去し、得られた亜リン酸トリ(p−クロロフエニ
ル)−塩素コンプレックス溶液に、塩化メチレン10ml
を用いて4'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセト
アミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキ
シレート5.28gを流し込んだ。
【0227】次にピリジン1.57ml(19.5mmol)を含
む塩化メチレン9mlを33分間にわたって滴下し、2時
間後に混液を2℃に暖めた。イソブタノール6.94ml
を加え、塩化水素を2分間導通して混液を減圧下に濃縮
し、得られたシロップ状物質に酢酸エチル50mlを加え
た。得られたゴム状物質をメタノール約100mlで摩砕
し、白色の固体、即ち、亜リン酸トリ(p−クロロフエニ
ル)を濾去した。濾液を減圧下に蒸発乾固し、得られた
残渣にトルエン−酢酸エチル(1:1)15mlを加え、さ
らにゴム状残渣を溶解するに充分な量のメタノールを加
えた。この混液を約5分間放置すると、標記化合物0.
97gが白色の固体として結晶化した。融点184〜1
86℃(分解)
【0228】実施例794'−ニトロベンジル 7−フエニルアセトアミド−3
−メチレンセフアム−4−カルボキシレート 塩化メチレン75mlに、−20℃において塩素および亜
リン酸トリフエニル10mlを、混液が淡緑色を示すよう
な割合で加えた。混液の温度は−20℃乃至−25℃に
維持した。添加終了後、アミレン3mlを加え、得られた
亜リン酸トリフエニル−塩素動力学的コンプレックス
(TPP−C)の溶液を−30℃において保存した。上記
TPP−C溶液5.0mlとアミレン0.5mlから成る混液
を撹拌し、4'−ニトロベンジル7−フエニルアセトア
ミド−3−メチレンセフアム−4−カルボキシレート・
1−オキシド500mgを加えた。混液を10℃で45分
間撹拌し、メタノール2mlを加えて減圧下に蒸発乾固し
た。
【0229】残渣をエーテルでスラリーして標記生成物
410mgを濾取した。本生成物および実施例80〜86
の生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、以下の表
IIに記した。
【0230】実施例804'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−メチレンセフアム−4−カルボキシレート 実施例79に記載の方法に従って4'−ニトロベンジル
7−フエノキシアセトアミド−3−メチレンセフアム
−4−カルボキシレート・1−オキシド500mgを還元
して標記化合物370mgを得た。
【0231】実施例814'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート 実施例79に記載の方法に従って4'−ニトロベンジル
7−フエノキシアセトアミド−3−クロロ−3−セフ
エム−4−カルボキシレート・1−オキシド500mgを
還元してた標記化合物310mgを得た。
【0232】実施例824'−ニトロベンジル 7−(2−チエニルアセトアミ
ド)−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレー
実施例79に記載の方法に従って4'−ニトロベンジル
7−(2−チエニルアセトアミド)−3−メチル−3−
セフエム−4−カルボキシレート・1−オキシド500
mlを還元して標記化合物260mgを得た。
【0233】実施例834'−ニトロベンジル 7−ヘプタノイルアミノ−3−
メチル−3−セフエム−4−カルボキシレート 実施例79に記載の方法に従って4'−ニトロベンジル
7−ヘプタノイルアミノ−3−メチル−3−セフエム
−4−カルボキシレート・1−オキシド500mgを還元
して標記化合物270mgを得た。
【0234】実施例844'−メトキシベンジル 7−(2−チエニルアセトアミ
ド)−3−メチル−3−セフエム−4−カルボキシレー
実施例79に記載の方法に従って4'−メトキシベンジ
ル 7−(2−チエニルアセトアミド)−3−メチル−3
−セフエム−4−カルボキシレート・1−オキシド50
0mgを還元して標記化合物470mgを得た。
【0235】実施例85ベンジル 7−(2−チエニルアセトアミド)−3−メチ
ル−3−セフエム−4−カルボキシレート 実施例79に記載の方法に従ってベンジル 7−(2−
チエニルアセトアミド)−3−メチル−3−セフエム−
4−カルボキシレート・1−オキシド300mgを、亜リ
ン酸トリフエニル−塩素コンプレックス溶液3mlおよび
アミレン0.3mlを用いて還元し、標記化合物240mg
を得た。
【0236】実施例862',2',2'−トリクロロエチル 7−フエノキシアセ
トアミド−3−メチレンセフアム−4−カルボキシレー
実施例79に記載の方法に従って2',2',2'−トリク
ロロエチル 7−フエノキシアセトアミド−3−メチレ
ンセフアム−4−カルボキシレート・1−オキシド30
0mgを、TPP−C溶液3mlおよびアミレン0.3mlを
用いて還元し、標記化合物80mgを得た。
【0237】
【表2】
【0238】実施例874'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−メチレンセフアム−4−カルボキシレート (安定
化させたTPP−Cを使用) ピリジン0.8ml(10mmol)を含む塩化メチレン150m
lに、−20℃において塩素および亜リン酸トリフエニ
ル20mlを加えた。この添加は溶液が淡緑色を呈する速
度で行ない、この間、反応溶媒を−20℃に維持した。
安定化させた亜リン酸トリフエニル−塩素動力学的コン
プレックスの溶液に、アミレン8mlおよび4'−ニトロ
ベンジル 7−フエノキシアセトアミド−3−メチレン
セフアム−4−カルボキシレート・1−オキシド19.
13gを加えた。混液を−15℃乃至−20℃において
約1時間撹拌し、室温に暖めて減圧下に濃縮し、得られ
たシロップ状残渣にメタノール40mlを加えて30分間
撹拌し、標記化合物11.58gを濾取し、標準物質のN
MRと比較して固定した。
【0239】実施例884'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレート 塩化メチレン45mlに−15℃において亜リン酸トリフ
エニル6.1mlおよび塩素を加えてTPP−Cコンプレ
ックスの溶液を調製した。塩素に対する澱粉−ヨウ素反
応が陰性となるまで亜リン酸トリフエニルを加え、得ら
れた溶液に、−15℃においてアミレン3mlおよび4'
−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−3−
ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレート・1
−オキシド10.6gを加えた。40分後に混液を室温に
暖め、未反応の出発物質5.08gを濾去した。濾液を約
35mlに減圧濃縮し、0℃に冷却して酢酸10mlを加え
ると、標記化合物の酢酸ソルベート1.81gが2回の濾
過により得られた。 NMR(CDCl3) δ 2.05(s,3,(C 3COOH),3.6(bs,2)4.5
3(S,2),5.01(d,1,J=4Hz),5.31(ABq,
2),5.65(q,1,J=4,9Hz),6.8〜8.4(Ar
H)。
【0240】実施例894'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキシレート 実施例88に記載の方法に従って、−20℃において塩
化メチレン70mlおよび亜リン酸トリフエニル17.1m
lを用いてTPP−Cコンプレックスの溶液を調製し
た。これにアミレン2.2mlおよび4'−ニトロベンジル
7−フエノキシアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−
セフエム−4−カルボキシレート・1−オキシド10.
6gを加えると混液は−8℃に昇温した。45分後に、
ピリジン3mlを含む塩化メチレン15mlを70分間にわ
たって添加し、その後、−10℃乃至−15℃に45分
間保持した。混液を約35mlに減圧濃縮して2Bエタノ
ール10mlを加え、さらに濃縮して酢酸数mlを加え、結
晶化した標記化合物3.2gを濾取した(二次晶を含む)。
この生成物の構造は、標記化合物の標準物質のNMRデ
ータと比較して同定した。
【0241】実施例904'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−クロロ−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩 約−20℃乃至約−10℃において塩化メチレン150
mlに塩素と亜リン酸トリフエニル36.8ml[以下に使用
するセフエムスルホキシド(22.3g)に対して3.5当
量]を、溶液が黄色を呈するように同時添加して亜リン
酸トリフエニル−塩素動力学的コンプレックス溶液を調
製した。亜リン酸トリフエニルの最後の一滴を加えると
混液は塩素に対するヨウ素−澱粉反応で陰性を示した。
混液を−25℃に冷却してアミレン5.1mlおよび4'−
ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−3−ヒ
ドロキシ−3−セフエム−4−カルボキシレート・1−
オキシド22.3gを順次加え、−15℃乃至−10℃で
25分間撹拌した後にピリジン11ml(セフエムスルホ
キシド1当量あたり3.4当量)を含む塩化メチレン30
mlを53分間にわたって滴下した。添加が終了してから
15分後にイソブタノール37ml(10当量)を加え、塩
化水素を6分間導通した。結晶化した標記化合物を濾取
して塩化メチレン100mlで洗浄し、減圧乾燥した。収
量6.4g(37%)。 NMR(DMSO d−6) δ 4.06(bs,2),5.33(q,2,J=4.5Hz,β−
ラクタムH),5.5(s,2),7.8〜8.3(ArH),〜8.
6(vbs,−NH3)。
【0242】実施例91〜134 至適反応条件を見い出すために実施例90に記載の反応
を細かく検討し、その結果を表IIIにまとめた。実施例
90に記載の方法を実施し、試薬量および反応時間は表
に記載のとおりとした。基質となるセフエムスルホキシ
ドとその使用量22.3g、ピリジンの溶媒としての塩化
メチレン30mlおよびイソブタノール37mlは、いずれ
の実施例においても一定とした。
【0243】
【表3】
【表4】
【表5】
【0244】実施例1354'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−クロロ−3−
セフエム−4−カルボキシレート 実施例90に記載の方法に従って、亜リン酸トリフエニ
ル23ml、塩素および塩化メチレン100mlから亜リン
酸トリフエニル−塩素(TPP−C)コンプレックス溶液
を調製した。この溶液に、−10℃乃至−15℃におい
てシクロペンテン5.28ml(セフエムスルホキシド出発
物質に対して3.0当量)および4'−ニトロベンジル
7−フエノキシアセトアミド−3−ヒドロキシ−3−セ
フエム−4−カルボキシレート・1−オキシド11.1
5gを加えた。ピリジン6.3mlを含む塩化メチレン15
mlを60分間にわたって滴下し、この間の温度を−10
℃乃至−15℃に保った。次にイソブタノール18.5m
lを約3分間導通し、混液を室温に暖めて2時間後に標
記化合物を濾取した。収率80.4%。
【0245】実施例136〜139 ハロゲン捕集剤を変えた点を除いて実施例135に記載
の製法および試薬(当量)を用いた。表IVは、実施例13
5〜139の結果をまとめたものである。
【表6】
【0246】実施例1404'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−クロロ−3−
セフエム−4−カルボキシレート・塩酸塩(アセトニト
リル使用) (A) 実施例90に記載の方法に従って、亜リン酸トリ
フエニル23.0ml、塩素およびアセトニトリル100m
lからTPP−Cコンプレックスを調製し、アミレン3.
2mlおよび4'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセ
トアミド−3−ヒドロキシ−3−セフエム−4−カルボ
キシレート・1−オキシド11.15gを加えた。さらに
ピリジン6.2mlのアセトニトリル溶液およびイソブタ
ノール18.5mlを順次加えた。混液に塩化水素を導通
すると40℃に昇温し、これを氷浴を用いて約25℃に
冷却した。標記化合物は28℃で結晶化し、その収率は
46.5%であった。
【0247】(B) 反応媒質としてテトラヒドロフラン
100mlを用いた点を除いて上記工程(A)の一般法を実
施し、イソブタノールおよび塩化水素を添加した後に塩
化メチレン約25mlを加えた。収率35.1%
【0248】実施例1414'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−クロロ−3−
セフエム−4−カルボキシレート(室温) ピリジン0.93mlを含む塩化メチレン100mlに、2
1〜25℃において、混液が淡緑色を呈する速度で塩素
と亜リン酸トリフエニル22.9mlを同時に添加して調
製した亜リン酸トリフエニル−塩素コンプレックス溶液
に、アミレン4.2mlおよび4'−ニトロベンジル7−フ
エノキシアセトアミド−3−クロロ−3−セフエム−4
−カルボキシレート・1−オキシド11.2gを加えると
混液は約30℃に昇温した。この混液を22℃に冷却
し、ピリジン5.3mlを含む塩化メチレン15mlを1時
間にわたって滴下した。ピリジン溶液の添加が終了して
から15分後にイソブタノール18.5mlを加え、塩化
水素を5分間導通して2時間後に標記化合物5.69gを
濾取した。
【0249】実施例1424'−ニトロベンジル 7−アミノ−3−メチレンセフ
アム−4−カルボキシレート・塩酸塩 実施例90に記載の方法に従って塩素と亜リン酸トリフ
エニル31.6mlから亜リン酸トリフエニル−塩素コン
プレックスを調製し、アミレン5.1mlおよび4'−ニト
ロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−3−メチレ
ンセフアム−4−カルボキシレート・1−オキシド1
9.13gを加えた。30分後にピリジン6.3mlを含む
塩化メチレン16mlの滴下を開始し、1時間にわたって
実施した。15分後に、ピリジン3.1mlを含む塩化メ
チレン8mlをさらに0.5時間にわたって加え、滴下終
了15分後にイソブタノール37mlを加えた。混液に塩
化水素を6分間導通し、2時間後に標記化合物10.5g
(69.5%)を濾取した。 NMR(DMSO d−6) δ 3.67(bs,2),5.0(d,1,J=5Hz),5.35〜
5.53(m,6),7.6〜8.4(m,A rH)。
【0250】実施例1434'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−メチレンセフアム−4−カルボキシレート(亜リン
酸トリフエニル−臭素動力学的コンプレックスを使用) (A) 塩化メチレン150mlに、−30℃において亜リ
ン酸トリフエニル19.9mlおよび臭素3.9mlを加えて
亜リン酸トリフエニル−臭素コンプレックス溶液を調製
した。臭素に対するヨウ素−澱粉反応が陰性を示した後
でも混液はわずかに着色していた。この溶液に、−45
℃においてアミレン8mlおよび4'−ニトロベンジル
7−フエノキシアセトアミド−3−メチレンセフアム−
4−カルボキシレート・1−オキシド19.14gを加え
た。薄層クロマトグラフィー(TLC}によれば、還元は
20分後に完了していた。混液を室温に暖めて約40ml
に減圧濃縮し、メタノール40mlを加えると30秒以内
に結晶化が始まり、標記化合物14.06g(76.8%)
を濾取してNMRで構造を同定した。
【0251】(B) 亜リン酸トリフエニル−臭素コンプ
レックス溶液を−60℃に冷却してからアミレンおよび
3−メチレンセフアムスルホキシドを加えた点を除いて
工程(A)の方法を実施した。混液を−40℃乃至−45
℃に保った。TLCによれば反応は1時間後に完了し、
標記化合物14.06gを単離した。
【0252】実施例144〜153 実施例79に記載の方法に従って、以下に記載の亜リン
酸トリアリール−ハロゲンコンプレックスを用いてセフ
ァロスポリンスルホキシドを還元した。
【0253】実施例144 ベンズヒドリル 7−ホルムアミド−3−アセトキシメ
チルセフエム−4−カルボキシレート・1−オキシド;
亜リン酸トリフエニル−塩素コンプレックス
【0254】実施例145 4'−メトキシベンジル 7−[2−(2−チエニル)アセ
トアミド]−3−クロロ−3−セフエム−4−カルボキ
シレート・1−オキシド;亜リン酸トリフエニル−臭素
コンプレックス
【0255】実施例146 2',2',2'−トリクロロエチル 7−クロロアセトア
ミド−3−ブロモメチル−3−セフエム−4−カルボキ
シレート・1−オキシド;亜リン酸トリ(p−メトキシフ
エニル)−塩素コンプレックス
【0256】実施例147 ベンジル 7−ベンズアミド−3−メチル−3−セフエ
ム−4−カルボキシレート・1−オキシド;亜リン酸ト
リフエニル−塩素コンプレックス
【0257】実施例148 4'−ニトロベンジル 7−フエノキシアセトアミド−
3−セフエム−4−カルボキシレート・1−オキシド;
亜リン酸トリフエニル−塩素コンプレックス
【0258】実施例149 t−ブチル 7−[2−(2−フリル)−2−メトキシイミ
ノアセトアミド]−3−(1−メチル−1,2,3,4−テ
トラゾール−5−イル)チオメチル−3−セフエム−4
−カルボキシレート・1−オキシド;亜リン酸トリフエ
ニル−塩素コンプレックス
【0259】実施例150 ベンズヒドリル 7−(2−ホルミルオキシ−2−フエ
ニルアセトアミド)−3−(1−メチル−1,2,3,4−
テトラゾール−5−イル)チオメチル−3−セフエム−
4−カルボキシレート・1−オキシド;亜リン酸トリ(p
−クロロフエニル)−塩素コンプレックス
【0260】実施例151 4'−ニトロベンジル 7−(4−ニトロベンジルオキシ
カルボニルアミノ)−3−メトキシメチル−3−セフエ
ム−4−カルボキシレート・1−オキシド;亜リン酸ト
リ(トリール)−塩素コンプレックスもしくは亜リン酸ト
リフエニル−臭素コンプレックス
【0261】実施例152 4'−メトキシベンジル 7−フエニルアセトアミド−
3−アセチルチオメチル−3−セフエム−4−カルボキ
シレート・1−オキシド;亜リン酸トリフエニル−塩素
コンプレックス
【0262】実施例153 ベンズヒドリル 7−[2−(2−チエニル)アセトアミ
ド]−3−メトキシカルボニル−3−セフエム−4−カ
ルボキシレート・1−オキシド;亜リン酸トリ(p−メト
キシフエニル)−臭素コンプレックス
【0263】実施例154〜163 実施例144〜153の出発物質として用いられている
7−アシルアミノセファロスポリンスルホキシドは亜リ
ン酸トリアリール−ハロゲンコンプレックスとピリジン
塩基を用いて前記反応図IIに従って対応するセファロス
ポリンイミノハライドに変換され、さらにイミノクロリ
ドのアルコーリシス用にイソブタノール、1,2−プロ
パンジオールもしくは1,3−プロパンジオールを用い
て対応する7−アミノセファロスポリンエステルに変換
した。
【0264】実施例163〜172 実施例90に記載の方法に従って、以下に示す7−アシ
ルアミノ−3−ヒドロキシセファロスポリンスルホキシ
ドエステルを、記載の試薬を用いて対応する7−アミノ
−3−クロロセファロスポリンエステルに変換した。
【0265】
【表7】
【0266】実施例1737−(2−チエニルアセトアミド)−3−メチル−3−セ
フエム−4−カルボン酸 過剰の塩素を含む塩化メチレン75mlに−20℃乃至−
35℃において亜リン酸トリフエニル10mlを加えて亜
リン酸トリフエニル−塩素コンプレックス溶液を調製し
た。過剰の塩素を除去するにはアミレン3mlを用いた。
亜リン酸トリフエニル−塩素コンプレックス溶液30ml
(12.9mmol)に、0℃においてアミレン0.5mlと7−
(2−チエニルアセトアミド)−3−メチル−3−セフエ
ム−4−カルボン酸スルホキシド0.90g(2.2mmol)
を加えると、スルホキシドは0〜5℃において5分後に
溶解した。混液を0〜5℃において25分間撹拌する
と、この間に沈澱が形成された。水0.1mlを加えて5
分間撹拌し、さらにエーテル50mlを加えて生成物を濾
取し、45℃(120mmHg)で2日間観光して標記スル
フイド0.5gを得た。
【0267】NMR (DMSO d−6) δ 8.21(d,J=8Hz,NH),7.38(m), 6.9
6(d,J=4Hz),5.67(d,d,J=5,8Hz,C7−H),
4.81(d,J=5Hz,C6−H),3.82(s),3.60(A
B,C2−H),203(s,メチル)。
【0268】実施例1747−(D−2−フェニル−2−アミノアセトアミド)−3
−クロロ−3-セフェム−4−カルボン酸 3-α-カルボキシベンジルアミノクロトン酸メチル・ナ
トリウム塩(フェニルグリシンとアセト酢酸メチルとか
ら製造)500mg(1.85mmol)のアセトニトリル20
ml 溶液にジメチルベンジルアミン4滴を加え、得られ
た溶液をドライアイス−四塩化炭素混液中で撹拌下に冷
却した。この冷溶液にクロロギ酸メチル184mg(1.
95mmol)をゆっくりと加え、混合無水物を形成させ
た。20分後、実施例21、実施例35(A)、実施例
141又は実施例90もしくは実施例135にて製造し
た7-アミノ-3-クロロ-3-セフェム-4-カルボン酸p−
ニトロベンジル750mg(1.85mmol)およびトリエ
チルアミン188mg(1.85mmol)の前もって冷却し
ておいたアセトン40ml 溶液を加えた。この添加を3
分間続け、次いでその反応混合物を冷却下に30分間撹
拌した後、室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物
を濾過して不溶性の不純物を除去し、減圧下に蒸発させ
た。得られた反応生成物の残渣を酢酸エチル-水の混液
に溶解し、その溶液のpHを7に調節した。有機層を分
離し、水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、
有機層を減圧下に濃縮して少容量とした。その反応混合
物の濃縮物にn-ヘキサンを加え、7-[N-(1-カルボメ
トキシ-2-プロペニル)-D-α-フェニルグリシルアミ
ド]-3-クロロ-3-セフェム-4-カルボン酸p−ニトロベ
ンジル620mgを析出させた。
【0269】この生成物は以下の元素分析値および核磁
気共鳴スペクトルを与えた: 元素分析値:C272648SClとして 理論値:C,53.87;H,4.35;N,9.31
% 実測値:C,54.05;H,4.13;N,9.36
% NMR (DMSO d6):τ8.20(s,3H,エナミン
CH3)、6.60(ABq,2H,C2−H2)、6.45(s,3
H,エステルCH3)、5.48(s,1H,エナミンビニル
H)、4.90−4.1(m,5H,C6−H,C7−H,α-CH
およびエステルCH2)、3.10−1.5(m,9H,芳香
族H)
【0270】上記生成物540mg(0.9mmol)を、水
20ml を含有するアセトニトリル40ml に溶解し、得
られた溶液をまず氷水中で冷却し、次いで一時的にpH
1.5に酸性とした後、pH2.5に調節した。その混
合物を蒸発させ、得られた残留物をテトラヒドロフラン
40ml およびメタノール80ml に溶解した。その溶液
に5%パラジウム-炭素(エタノール中、室温にて水素5
0psiで45分間前もって還元した)540mgを加え、
得られた溶液を50psi水素圧下に室温で2.5時間水
素添加した。触媒を濾過し、濾過フィルターをメタノー
ル、THFおよび水で洗浄した。得られた濾液および洗
液をまとめ、減圧下に蒸発乾固した。反応生成物の残渣
を水-酢酸エチルに溶解し、その溶液のpHを4.5に調
節した。水層を分離し、それを酢酸エチルで洗浄し、蒸
発させて約2ml の少容量にした。冷却し、その冷濃縮
物から7-(D-2-フェニル-2−アミノアセトアミド)−
3−クロロ−3-セフェム−4−カルボン酸生成物65m
gを結晶固形物として析出させた。
【0271】得られた生成物は以下の物理的性質を有し
ている: 元素分析値:C151434SCl・1/2H2Oとして 理論値:C,47.80;H,4.01;N,11.1
5;Cl,9.40% 実測値:C,47.55;H,4.12;N,10.9
8;Cl,9.21% IRスペクトル(null):吸光度ピーク(μ) 2.9(ア
ミドNH)、5.70(β-ラクタムカルボニル)、5.9
5(アミドカルボニル)、6.28(カルボキシレート) NMR (D2O/DCl):τ6.5−6.7(ABq,2H,
2−H2)、4.84(d,1H,C6−H)、4.26(d,1
H,C7−H)、2.44(s,5H,芳香族H)UVスペクト
ル(pH7緩衝液):λmax 265mμ(ε=6,800).
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラリー・シー・ブラスツァーク アメリカ合衆国インディアナ州インディア ナポリス・ノース・カレッジ・アベニュー 5119番地 (72)発明者 ジャック・ダブリュ・フィッシャー アメリカ合衆国インディアナ州インディア ナポリス・ウッドクレスト・ロード2014番 地 (72)発明者 チャールズ・エイ・バネル アメリカ合衆国インディアナ州ラファイエ ット・クラウフット2005番地 (56)参考文献 特開 昭55−113789(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)式(I): 【化4】 で表わされる亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレ
    ックスをハロゲン化剤として使用し、第三アミン塩基の
    存在下に実質的に無水の不活性有機溶媒中、約30℃以
    下の温度においてこれを式(X): 【化5】 で表わされる化合物と反応させて、式(IX): 【化6】 で表わされるイミノハライド化合物を得、 (ii)イミノハライド化合物が完全に形成された後にC1
    〜C15脂肪族アルコールと塩化水素を加えることによ
    り、イミノハライド部分をアミノ部分に変換して3位ハ
    ロゲン化セファロスポリンアミノ体を製造し、次いで (iii)得られたアミノ体またはその塩をアシル化し、脱
    エステル化することを特徴とする、7−アシルアミノ−
    3−ハロセファロスポリン化合物の製造方法 [上記式中、Xは塩素または臭素;Zは水素、ハロゲ
    ン、C1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルコキシ;R
    はカルボン酸保護基;R1は水素もしくはメトキシ;R7
    はカルボン酸から誘導したアシル残基をそれぞれ表わ
    す。但し、R7がアミノ、ヒドロキシもしくはカルボキ
    シ基で置換されている場合には、まずこれらの置換基を
    通常のアミノ、ヒドロキシもしくはカルボキシ保護基で
    保護しておくものとする。]。
  2. 【請求項2】 (i)式(I): 【化11】 で表わされる亜リン酸トリアリール−ハロゲンコンプレ
    ックスを、実質的に無水の不活性有機溶媒中、約30℃
    以下において、ハロゲン捕集剤および第三アミン塩基の
    存在下に、式(XVII): 【化12】 で表わされる7−アシルアミノ−3−ヒドロキシセファ
    ロスポリンスルホキシドと反応させて、式(IX): 【化13】 で表わされる3−ハロセファロスポリンイミノハライド
    を得、 (ii)イミノハライド体が完全に形成された後にC1〜C
    15脂肪族アルコールと塩化水素を加え、イミノハライド
    部分をアミノ部分に変換して3−ハロセファロスポリン
    アミノ体を製造し、次いで (iii)得られたアミノ体またはその塩をアシル化し、脱
    エステル化することを特徴とする、請求項1に記載の7
    −アシルアミノ−3−ハロセファロスポリン化合物の製
    造方法 [式中、Xは塩素または臭素、Zは水素、ハロゲン、C
    1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルコキシ;Rはカル
    ボン酸保護基;R1は水素もしくはメトキシ;R7は式R
    7COOHで表わされるC1〜C20カルボン酸から誘導し
    たアシル残基;をそれぞれ表わす。但し、R7がヒドロ
    キシ、アミノもしくはカルボキシ基で置換されている場
    合には、これらの基を、通常のヒドロキシ、アミノもし
    くはカルボキシ保護基で保護しておくものとする。]。
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