JPH034888B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、表示素子の製造方法及び製造装置に
関するものである。

表示素子としては、液晶表示素子、エレクトロ
クロミツク表示素子、電気泳動表示素子等があ
り、電極をガラス、プラスチツク等の基板に形成
した電極板を電極面を相対向して配置し、電極板
をシール材を介して重ね合せてシールし、内部に
液晶等の電気光学的液体を封入したものがある。

これらの中でも液晶表示素子は、現在最もよく
使用されている表示素子であり、例えば第１図に
示すように透明電極４Ａ，４Ｂを有する２枚の電
極板１，２と、シール材３とから構成されてお
り、内部には液晶５が封入されている。

このような液晶表示素子は、夫々の電極板１，
２を形成しておき、少なくとも一方の電極板にシ
ール材を付与し、加圧してシール材を硬化させて
いる。

第２図及び第３図は、この加圧シールをするた
めの装置の断面説明図である。第２図において、
６は圧着するためのテーブルであり、７Ａ，７Ｂ
は力を均一に加えるための緩衝材であり、８は力
を加えるためのエアーシリンダー等であり、９
Ａ，９Ｂは加熱用のヒーターであり、１０はエア
ーシリンダーの力をセル１１に伝えるための型で
ある。

又、第３図は、膜１２を用いてセルを加圧する
タイプの装置を示しており、１２は圧力をセル１
１に伝えるための膜であり、型１３との間に圧縮
気体を注入してセルに圧力をかけるものであり、
パイプを通じて図の上方の図示されていない圧縮
気体源に接続されている。

この場合の下側のテーブル６は第２図と同じも
のであり、加熱用のヒーター９Ｂを有し、上面に
緩衝材７Ｂが設けられている。又、この図には示
されていないが、上の型１３の上下位置を規定す
るための機構を設けても良い。

このような装置にかけられる液晶表示素子のセ
ルは、一対の透明電極を設けた電極板をその少な
くとも一方にシール材をスクリーン印刷等により
印刷付与したものを電極面が相対向するように配
置する。

この第２図又は第３図の例は、熱硬化型のシー
ル材を用いた場合に使用される装置で、下側の型
６上の緩衝材７Ｂ上にセル１１を配し、エアシリ
ンダー８により上側の型１０を押し下げ加圧し、
又は加圧気体により膜12を押し下げ加圧し、ヒー
ター９Ａ，９Ｂにより加熱してシール材を硬化さ
せる。

又、常温硬化型のシール材では、加熱をせずに
常温で加圧のみを行い、紫外線硬化型のシール材
では加圧して紫外線を照射して硬化を行う。

このような従来のシール材を硬化させるための
装置を用いてシールすると、液晶を注入するセル
の電極板表面に水、シール材から放出される気体
等が吸着され、後に液晶を注入して封止し液晶表
示素子とした場合に液晶に悪影響を生ぜしめ、寿
命が低下する傾向があつた。

本発明は、かかる欠点を防止すべくなされたも
のであり、２枚の電極板を電極面が相対向するよ
うにシール材を介して重ね合せてシール材を硬化
して表示素子を製造する表示素子の製造方法にお
いて、隔壁膜により２つの空間に分離された空間
を有する型の一方の空間にシール材を付与された
一対の電極板を配置し、その２つの空間内を減圧
し、次いで電極板の配置されていない側の空間の
減圧度を低下させ、さらに必要に応じて加圧気体
を導入して、減圧下でシール材を硬化することを
特徴とする表示素子の製造方法、及び、その表示
素子の製造装置において、上下に分割された２つ
の型の間に隔壁膜を設けて２つの空間に分離され
た空間を形成し、その２つの空間内を個別に減圧
可能にして、その圧力差により電極板を加圧して
シール材を硬化させるとともにシール材の硬化に
ともない発生する気体をセル外に排出すること特
徴とする表示素子の製造装置である。

本発明の製造方法によれば、シール材の硬化工
程を減圧下で行うためシール材の硬化にともなつ
て発生する気体が速みやかにセル外に排出され、
電極板に付着しにくいため表示素子の寿命が長く
なる。

次いで本発明の製造方法を好ましい装置に基づ
いて図面を参照して説明する。

第４図は、本発明に使用するシール材を硬化さ
せるための好ましい装置の断面図である。

この装置内に配される表示素子のセル１４は前
述の液晶表示素子のセルをはじめエレクトロクロ
ミツク表示素子のセル、電気泳動表示素子のセル
等２枚の電極板間に液状の表示物質例えば液晶、
ビオロゲン溶液、又は表示補助物質、例えば
WO₃層を着消色させるための過塩素酸リチウム
を溶解したプロピレンカーボネート溶液等があ
る。以下の説明では液晶表示素子のセルの例に基
づいて説明する。

液晶表示素子のセルの２枚の電極板は、通常透
明電極を形成したガラス、プラスチツク等の透明
基板であるが、一方を反射電極として不透明基板
としたり、半導体基板としたり、基板を３枚以上
設けた多層セルとすることもあり、又、電極も２
層の電極とすることもあるが、この例では最も単
純な一層の透明電極を一面に設けた透明基板を示
している。

この電極板を電極面が相対向するようにしてシ
ールするものであり、電極板の少なくともいずれ
か一方には加熱硬化型、常温硬化型、紫外線硬化
型等のシール材がスクリーン印刷等により付与さ
れている。もちろん、このシール材中及び電極板
間にセル間隙を規制するガラス繊維、アルミナ粒
子等のスペーサーを配することもでき、又、シー
ル材はセル周辺のみならず表示面内に点状若しく
は線状に付与しても良い。

特に、本発明においては、セルの表示面内に液
晶を充填しない部分を面内シールにより形成する
場合には有用である。これは車用の大型のセル等
では表示面内であつても表示を行わない部分が多
くありセル間隙を一定に保つため及び充填液晶量
を減らすために表示面内にシール材により液晶が
入らない閉空間を形成することが考えられてい
る。このような閉空間を形成すると常圧下でシー
ルしようとすると加圧してシール材が２枚の電極
板と接した後に内部に閉じ込められた空気が逃げ
られなくなるためその部分でのみシール材が押し
つぶされなく、セル間隙が広がつてしまうという
問題点があり、色ムラ等の欠点を生じてしまうこ
ととなる。

シール材は、印刷高さはシール後のセル間隙に
比して２倍以上にも高くされており、加圧により
押しつぶされ、通常シール材中に混入されるガラ
ス繊維、アルミナ粒子等によるスペーサーによつ
て規制される高さにまでその高さを減じるととも
に巾方向へ拡がり、２枚の電極板を密着させてお
り、充分にシール材が押しつぶされない場合に
は、その部分でセルがふくらんでしまうこととな
る。

しかも液晶セルではそのセル間隙は通常±1μ
程度にまで制御されており、セル間隙の不均一
は、色ムラ等の見にくさを増加する。

このような閉空間を表示面内にシール材で形成
したセルにおいても本発明の方法によれば減圧下
でシールするため容易に押しつぶすことができ、
セル間隙を一定に保つことができる。

又、このような閉空間を有するセルは、前述の
如く車用のインスツルメントパネルのような大型
セルのみならず、針付デジタル時計のような小型
セルにおいても針孔を形成する部分に面内シール
を形成しておき、シール後に針孔を形成するよう
にして用いることもできる。

さらに、この電極板内面上に必要に応じて
SiO₂，Al₂O₃、ポリイミド等のオーバーコートを
形成する、SiO₂、Al₂O₃等の斜め蒸着をする、ラ
ビングをする等の公知の配向処理を行つておく。

このような液晶セル１４を加熱用ヒーター１５
を埋設した型１６上に緩衝材１７を介して載置す
る。この型１０の上には可撓性及び伸張性を有す
る隔壁膜１８と上側の型１９を配する。この隔壁
膜は、耐熱性のシリコンゴム、ガラス繊維入りの
ゴムシート等が用いられ、型１９に接合されてい
ても良いし、分離されていても良い。

この型１６は、減圧ポンプ１７と接続されてお
り、途中にはバルブ２と減圧解除用のバルブ２１
が設けられ、型１９も減圧ポンプとの間にバルブ
２２及び減圧解除用のバルブ２３が設けられてい
る。

即ち、下側の型１６上にシール材を付与した一
対の電極板を相対向させた液晶セル１４を配し、
可撓性の隔壁膜１８を配し、さらに上側の型１９
を配し、下側の型と隔壁膜による下側の空間２４
と、上側の型と隔壁膜による上側の空間２５をい
ずれも個別に減圧可能としている。又、この上側
の型は、隔壁膜を下側の型の側壁上面に押し付け
ている。

次いで操作を説明する。

下側の型１６の上にシール材を付与した一対の
電極板を相対向させた液晶セルを載置し、隔壁膜
１８、上側の型１９を配置して後、バルブ２１と
２３とを閉じ、バルブ２０と２２とを開けて減圧
ポンプ１７により排気して、下側の空間２４と上
側の空間２５とを−0.2〜−１Kg／cm²の減圧下に
おき、次いでバルブ２２を閉じ、バルブ２３を少
し開けて上側の空間２５の減圧度を低下させ、液
晶セルにかかる加圧力を調整する。これにより、
液晶セルの電極板の電極面に付着していた酸素、
水分等の気体も速やかに排出されるとともに、電
極板のシール材が均一に圧着される。次いでヒー
ター１５により100〜200℃に加熱、又は型内もし
くは型外に配置された紫外線照射源より紫外線を
照射して、シール材を硬化させる。このシール材
の硬化時にもシール材から気体が発生することが
あるが、これも減圧下にあるため、セル外に排出
され、電極面に付着しない。

この際、本発明では隔壁膜により２つの空間に
分離された空間を有するので、上側の空間２５の
減圧度を調整する際、低減圧度に保つ、減圧を解
除するのほか、加圧気体を導入する等して加圧力
を強めることもできる。

なお、加熱には時間がかかることが多く、液晶
セルを載置する前に型を予熱しておくことが好ま
しい。

シールが硬化した後に、バルブ２０を閉じ、バ
ルブ２１を開けて乾燥空気、N₂ガス等を導入し
て下側の空間２４の減圧を解除して大気圧にもど
す。

なお、バルブ２０は、空間２４が一定の減圧状
態になつた状態で閉じて減圧ポンプを停止しても
良いし、減圧を継続若しくは断続しても良い。

この第４図のような隔壁膜１８と型１６を用い
た装置を使用することにより、第２図の装置のよ
うにセルの形状、大きさにより型１０を変える必
要がなく、かつ大きなセルでの大きな加圧力を発
生させる機構及びそれを受けて支える機構が不必
要であり減圧ポンプのみで良く、かつ均一に力を
加えることも容易である。

又、第３図のような装置に比しても、加圧気体
を用いなくてもよいため機構が単純で良い。

このようにして液晶セルを形成した後、液晶材
料、例えばネマチツク液晶、コレステリツク液晶
に必要に応じて２色性染料、光学活性物質等を添
加したものを注入し、注入口を封止する。

次いで必要に応じて偏光板、カヤー偏光板、反
射板、カラーフイルター、1/4波長板、導光板等
を積層し、ノングレア処理、文字、数字、図形等
の印刷等をして液晶表示素子とする。

実施例 ガラス基板上に透明電極を形成したものの表面
をラビング処理し、一方の基板に熱硬化性のエボ
キシ樹脂をスクリーン印刷により印刷し、これを
電極面が相対向するように合せ、第４図の装置を
用い、150℃に温度を上げた下側の型１６の上に
緩衝材２６を介して載置した。

次いでその上に隔壁膜として１mm厚のシリコン
ゴムシールを載置し、型１９に相当する押え枠で
型１６の側壁上面に密着させ、バルブ２１と２３
とを閉じ、バルブ２０と２２とを開けて減圧ポン
プ１７により排気して、下側の空間２４と下側の
空間２５とを−0.6Kg／cm²に減圧し、次いでバル
ブ２２を閉じ、バルブ２３を少し開けて上側の空
間２５の減圧度を徐々に低下させて、基板にかか
る加圧力を徐々に高くし、上側の空間２５の減圧
を解除した状態で10分間保持し、次いでバルブ２
０を閉じ、バルブ２１を開けてN₂ガスを導入し
て大気圧にもどし、隔壁膜と押え枠を取り除い
て、液晶セルを取り出した。

この液晶セルのシール材の拡がりは極めて均一
であり、セル間隙もほぼ一定に保たれ従来の加圧
シール方法と同等のシール状態が得られた。さら
に、この減圧時にバルブ２２を調節するほかにバ
ルブ２３のさきに加圧ポンプを接続して、上側の
空間２５の圧力を調整することにより、基板にか
かる加圧力をさらに強く調整することができる。

また、上下両空間を減圧状態に保つている間
は、隔壁膜がセルを押圧していない状態であるた
め、セル内の酸素、水分等の排出がスムーズに進
みやすい。

以上の例では液晶セルの場合、しかも単体の液
晶セルの場合についてのみ説明したが、エレクト
ロクロミツクセル、電気泳動セル等にも応用で
き、一対の電極板から複数個のセルを同時に形成
し、後に切断して分離する通常の量産方法、３枚
以上の電極板により２層以上の液晶層を形成する
多層セルの製法にも使用でき、今後種々の応用が
可能なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は液晶表示素子の断面図。第２図及び第
３図は、従来のシール材硬化用の加圧装置の断面
図。第４図は本発明のシール材硬化に適した加圧
装置の断面図。 型……１６，１９、減圧ポンプ……１７、隔壁
膜……１８、バルブ……２０，２１，２２，２
３。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ２枚の電極板を電極面が相対向するようにシ
   ール材を介して重ね合せてシール材を硬化して表
   示素子を製造する表示素子の製造方法において、
   隔壁膜により２つの空間に分離された空間を有す
   る型の一方の空間にシール材を付与された一対の
   電極板を配置し、その２つの空間内を減圧し、次
   いで電極板の配置されていない側の空間の減圧度
   を低下させ、さらに必要に応じて加圧気体を導入
   して、減圧下でシール材を硬化することを特徴と
   する表示素子の製造方法。 ２ ２枚の電極板を電極面が相対向するようにシ
   ール材を介して重ね合せてシール材を硬化し表示
   素子を製造する表示素子の製造装置において、上
   下に分割された２つの型の間に隔壁膜を設けて２
   つの空間に分離された空間を形成し、その２つの
   空間内を個別に減圧可能にして、その圧力差によ
   り電極板を加圧してシール材を硬化させるととも
   にシール材の硬化にともない発生する気体をセル
   外に排出すること特徴とする表示素子の製造装
   置。