JP7030705B2 - 水溶性ヒドロキシエチルセルロースの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水溶性ヒドロキシエチルセルロースの製造方法、特に、アルカリセルロースに対して酸化エチレンを反応させることで水溶性ヒドロキシエチルセルロースを製造するための方法に関する。
水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、セルロースを原料とした半合成高分子であり、ノニオン系水溶性高分子としての特性を有することから、化粧品、医薬品およびトイレタリー製品をはじめとする種々の産業分野において、増粘剤、乳化安定剤、分散剤、保水剤または保護コロイド剤等として幅広く利用されている。
水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、通常、スラリー法またはアルカリセルロース法のいずれかの方法により製造されている。
スラリー法は、反応溶媒としての親水性有機溶剤中でセルロースとアルカリ金属水酸化物等のアルカリとを反応させてアルカリセルロースを調製し、このアルカリセルロースを含む反応溶媒に引き続き酸化エチレンを添加して反応させることで水溶性ヒドロキシエチルセルロースを製造する方法である(例えば、特許文献1および2参照。)。ここで用いられる親水性有機溶剤は、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール若しくはイソアミルアルコール等の脂肪族アルコール類、ジオキサン若しくは1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類またはアセトン若しくはメチルエチルケトン等のケトン類である。スラリー法は、アルカリセルロースの調製工程と、調製されたアルカリセルロースと酸化エチレンとの反応工程とを同一の反応容器内で連続的に実行することができ、その点において水溶性ヒドロキシエチルセルロースの製造工程を効率化、合理化することができることから、水溶性ヒドロキシエチルセルロースの一般的な製造方法として利用されている。
スラリー法による水溶性のヒドロキシエチルセルロースの製造では、ヒドロキシエチルセルロースのグルコース単位当りの酸化エチレンの平均付加モル数が多くなるよう制御されている。例えば、特許文献2において、酸化エチレンの平均付加モル数(モル置換度)は2.0以上になるよう制御されており、また、スラリー法により製造された市販の水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、一般に酸化エチレンの平均付加モル数が2.5程度である。これは、親水性有機溶剤を反応溶媒とするアルカリセルロースの調製過程において、セルロースの各グルコース単位とアルカリとが均一に反応しにくいことから、生成するアルカリセルロースに組成の偏りが生じ、そのためにアルカリセルロースに対する酸化エチレンの付加反応が不均一になったり、酸化エチレンが重合状態で付加した状態になりやすいことによるものと推察される。
したがって、スラリー法は、製造工程の効率化や合理化を進める上で有利であるが、酸化エチレンの平均付加モル数を上記のように制御することから、酸化エチレンの使用量が多くなる。
一方、アルカリセルロース法は、セルロースをアルカリ金属水酸化物等のアルカリの水溶液に浸漬することでセルロースとアルカリとを反応させてアルカリセルロースを調製し、このアルカリセルロースに対して酸化エチレンを反応させることで水溶性ヒドロキシエチルセルロースを製造する方法である(例えば、特許文献3および4参照。)。アルカリセルロース法により得られる水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数がスラリー法よりも少ない1.5程度に設定されている。これは、この製造方法においてセルロースの各グルコース単位とアルカリとを均一に反応させやすいことから生成するアルカリセルロースに組成の偏りが生じにくく、そのためにアルカリセルロースに対する酸化エチレンの付加反応が均一になりやすいためと推察される。
しかし、アルカリセルロース法の過程において調製されたアルカリセルロースは、過剰なアルカリが残存するため、酸化エチレンとの反応において副生成物等の不純物が生じやすい。このため、生成した水溶性ヒドロキシエチルセルロースを含む反応系から副生成物等の不純物を取り除くための精製工程が必要となるが、この精製工程が煩雑となることから負担が大きい。そこで、アルカリセルロース法は、精製工程の負担を軽減するための提案がされている。例えば、特許文献3は、アルカリセルロースと酸化エチレンとの反応溶媒として難水溶性有機溶媒を用いるとともに、生成したヒドロキシエチルセルロースの洗浄溶液として当該難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からなる混合溶媒を用いることを提案している。また、特許文献4は、生成したヒドロキシエチルセルロースを難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からなる混合溶媒を用いて洗浄後、当該混合溶媒と酸との混合溶媒を用いてさらに洗浄することを提案している。
なお、アルカリセルロース法は、酸化エチレンの使用量を抑制すれば副生成物等の不純物の生成量を抑えることができ、その結果として精製工程の負担を軽減可能である。しかし、酸化エチレンの使用量を抑えて製造したヒドロキシエチルセルロースは、酸化エチレンの平均付加モル数が低下し、それに伴って親水性基であるヒドロキシエチル基の数が減少することから、水溶性を示しにくくなる。
特開昭59-75902号公報 特開平1-123801号公報 特開平6-199902号公報 特開2003-12535号公報
本発明は、酸化エチレンの使用量を抑えてアルカリセルロースから水溶性のヒドロキシエチルセルロースを製造できるようにするものである。
本発明に係る水溶性ヒドロキシエチルセルロースの製造方法は、アルカリセルロースに対し、そのグルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.1~1.0モルになるよう酸化エチレンを反応させてヒドロキシエチルセルロースを調製する工程と、調製したヒドロキシエチルセルロースを機械的に粉砕する工程とを含む。
ここで用いられるアルカリセルロースは、通常、セルロースをアルカリの水溶液に浸漬することでセルロースとアルカリとを反応させて得られるスラリーから液分を分離することで得られるものである。
本発明の製造方法の一形態では、アルカリセルロースに対し、そのグルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.7モル未満になるよう酸化エチレンを反応させる。
本発明の製造方法は、アルカリセルロースに対して酸化エチレンを反応させて調製されたヒドロキシエチルセルロースを機械的に粉砕する工程を含むため、酸化エチレンの使用量を抑えて水溶性のヒドロキシエチルセルロースを製造することができる。
本発明に係る水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.1~1.0モルである。この水溶性ヒドロキシエチルセルロースの一形態において、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数は0.7未満である。
本発明に係る水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、通常、2質量%水溶液の損失正接(tanδ)が周波数0.1~100rad/sの範囲で1.0未満である。
本発明に係る水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.1~1.0モルに抑えられていることから、その水溶液が従来のヒドロキシエチルセルロースの水溶液とは相違したレオロジー物性を示す。
本発明の他の目的または効果は、以下の詳細な説明において触れる場合がある。
実施例等において用いた、日本国厚生省薬務局審査課監修、医薬品添加物規格1993、薬事日報社、250項-254項「ヒドロキシエチルセルロース、定量法」に記載された装置図。 実施例3および比較例2で得られたヒドロキシエチルセルロースをそれぞれ用いて調製した2質量%水溶液について、周波数0.1~100rad/sの範囲の損失正接(tanδ)を求めた結果を示すグラフ。 実施例3で得られたヒドロキシエチルセルロースについて耐塩性を評価した結果を示すグラフ。
本発明に係る水溶性ヒドロキシエチルセルロースの製造方法では、先ず、酸化エチレンの平均付加モル数が特定の範囲にあるヒドロキシエチルセルロースを調製する。このヒドロキシエチルセルロースは、アルカリセルロースに対して酸化エチレンを反応させることで調製することができる。
アルカリセルロースは、セルロースにアルカリを反応させることで調製することができる。ここで用いられるセルロースとしては、例えば、シート状または粉末状等のコットンリンターおよび木材パルプ等を例示することができる。
アルカリとしては、セルロースのヒドロキシル基に作用し、アルカリセルロースを形成可能なものであれば、各種のものを用いることができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。特に、安価で汎用的なことから、水酸化ナトリウムを用いるのが好ましい。
セルロースにアルカリを反応させる方法として、アルカリの水溶液にセルロースを浸漬し、攪拌翼を備えた容器内で20分~2時間程度混合する方法を採用することができる。ここで使用されるアルカリ水溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、通常は10~30質量%に設定するのが好ましい。また、アルカリ水溶液の使用量は、アルカリ水溶液中でセルロースが分散することにより生成するスラリーの流動性を確保し、セルロースとアルカリとの反応の均一性を高めるため、通常、セルロース100質量部に対して1,000~6,000質量部に設定するのが好ましく、2,000~5,000質量部に設定するのがより好ましい。また、混合時の温度は、通常、20~50℃に設定するのが好ましい。
目的のアルカリセルロースは、以上の方法により調製したアルカリセルロースを含むスラリーから余剰のアルカリを含む液分を分離することで得られる。スラリーから液分を分離する方法としては、種々の固液分離法、例えば、加圧濾過、自然濾過、減圧濾過または遠心濾過等を採用することができる。このうち、スラリーに含まれる固形分を圧搾することができ、それによって余剰のアルカリを含む液分をより効果的に分離可能なことから、加圧濾過によるのが特に好ましい。
目的のヒドロキシエチルセルロースの調製では、得られたアルカリセルロースに対して酸化エチレンを反応させる。ここでは、アルカリセルロースおよび酸化エチレンを反応容器に仕込み、これらを攪拌しながら反応させる。この際、反応容器に反応溶媒を併せて仕込み、反応溶媒中でアルカリセルロースと酸化エチレンとを反応させることもできる。反応溶媒を用いると、アルカリセルロースの各グルコース単位に対する酸化エチレンの均一な反応を促進させることができる。
酸化エチレンの使用量は、生成するヒドロキシエチルセルロースにおいて、そのグルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.1~1.0モル(0.1モル以上、1.0モル以下)になるよう制御する。特に、この製造方法の好ましい一形態においては、酸化エチレンの上記平均付加モル数が0.1モル以上、0.7モル未満になるよう制御する。グルコース単位における酸化エチレンの付加反応率は、反応条件によって変動するものの、一般には40~60%程度であることから、酸化エチレンの上記平均付加モル数は、通常、アルカリセルロースの調製のために用いた原料セルロース100質量部に対する酸化エチレンの使用量を7~80質量部、或いは、多少の余裕を持たせた5~100質量部に設定することで上記範囲に制御可能である。
なお、これまでのスラリー法やアルカリセルロース法によるヒドロキシエチルセルロースの製造においては、生成するヒドロキシエチルセルロースに水溶性を付与するために、そのグルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が製法に応じて1.5~2.5モル程度になるよう制御されている。この場合、グルコース単位における酸化エチレンの上記付加反応率を考慮すると、酸化エチレンの使用量は、アルカリセルロースの調製のために用いた原料セルロース100質量部に対する酸化エチレンの使用量を100~150質量部に設定する必要がある。したがって、本発明の製造方法は、これまでの製造方法に比べ、酸化エチレンの使用量の抑制が可能である。
アルカリセルロースと酸化エチレンとを反応溶媒中で反応させる場合、反応溶媒は、各種のものを用いることができ、種類が特に限定されるものではない。但し、反応溶媒としては、通常、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコールまたはイソアミルアルコール等のアルコール類、ジオキサンまたは1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン類を用いるのが好ましい。これらの反応溶媒は、二種以上のものが併用されてもよい。
反応溶媒は、アルカリセルロースの各グルコース単位に対する酸化エチレンの均一な反応が促進されやすいようにするために、通常、アルカリセルロース100質量部に対して600質量部以下になるよう、使用量を制御するのが好ましい。
アルカリセルロースと酸化エチレンとの反応では、均一な反応を進行させるため、反応容器の内容物、すなわち、アルカリセルロース、酸化エチレンおよび該当する場合は反応溶媒を充分に混合してから反応を開始させるのが好ましい。例えば、温度変化に伴うアルカリセルロースの結晶性の変化を抑えながら反応系内で酸化エチレンが均一に分散するようにするため、内容物の温度を10~20℃に制御し、10分~1時間程度攪拌する。その後、反応容器を加熱することで内容物を昇温させ、アルカリセルロースと酸化エチレンとの反応を開始させる。反応温度は、発熱反応による急激な上昇を抑えつつ、反応を円滑に促進させるため、通常、30℃~80℃に設定するのが好ましく、40~60℃に設定するのがより好ましい。アルカリセルロースと酸化エチレンとの反応の進行状況は反応温度等の反応条件により変動するため、反応時間を一概に決めるのが困難であるが、通常は1~10時間程度である。
反応終了後、反応容器に洗浄溶剤を添加して反応系を洗浄し、反応による副生成物および残存するアルカリ等の不純物をヒドロキシエチルセルロースから濾別除去することで目的のヒドロキシエチルセルロースのウェットケーキを得る。洗浄溶剤として、例えば、疎水性有機溶剤30~50質量%、メタノール20~60質量%および水10~30質量%の組成のものを使用することができる。疎水性有機溶剤の種類は、特に限定されないが、通常、25℃での水への溶解度が約3質量%以下のものが好ましい。このような疎水性有機溶剤は、水との分離が容易なことから、使用後の洗浄溶剤からの回収・精製が容易であり、容易に再利用することができる。上記疎水性有機溶剤として好ましいものは、例えば、メチルイソブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジ-n-プロピルケトンおよびジイソブチルケトン等の炭素数が6~10の脂肪族ケトンである。特に、比較的沸点が低く、蒸留による回収が容易であることから、メチルイソブチルケトンが好ましい。
次に、得られたウェットケーキを酸で処理し、中和する。中和処理のための酸は、種類が特に限定されるものではなく、有機酸および無機酸のいずれであってもよい。有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸およびプロピオン酸等を挙げることができる。また、無機酸としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸およびリン酸等を挙げることができる。これらのうち、アルカリの中和によって生成する塩を洗浄溶剤に溶解させて洗い流し易いことから、酢酸または硝酸を用いるのが特に好ましい。
酸を用いたウェットケーキの中和処理方法としては、例えば、上述の洗浄溶剤と同様の組成の溶剤に酸を添加することで中和溶剤を調製し、この中和溶剤にウェットケーキを投入して洗浄する方法を採ることができる。この場合、ウェットケーキから濾別除去された中和溶剤のpHが6~8になるまで、中和溶剤を用いてウェットケーキを繰返し中和処理するのが好ましい。
本発明の製造方法では、酸化エチレンの使用量を抑制することができることから、反応系やウェットケーキにおいて副生成物等の不純物量が少なく、従来の製造方法に比べて反応系の洗浄やウェットケーキの中和処理に要する負担が軽減される。
中和処理後のウェットケーキを乾燥すると、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.1~1.0モルの範囲にある目的のヒドロキシエチルセルロースが得られる。このヒドロキシエチルセルロースは、酸化エチレンの上記平均付加モル数が少ないことから親水性基であるヒドロキシエチル基が少なく、水溶性を示さない。なお、ここでの水溶性の判断基準は、後記の実施例に記載のとおりである。
本発明の製造方法では、次に、得られたヒドロキシエチルセルロースを機械的に粉砕する。これにより、目的の水溶性のヒドロキシエチルセルロースが得られる。先の工程で得られたヒドロキシエチルセルロースは、酸化エチレンの上記平均付加モル数が少ないものの、グルコース単位への酸化エチレンの付加が比較的均一であることから、機械的に粉砕することで物理的な衝撃を加えると、セルロースの結晶構造が容易に解砕され、それによって水溶性を示すものと考えられる。なお、ヒドロキシエチルセルロースにおける酸化エチレンの上記平均付加モル数は、通常、この工程での粉砕処理の前後において同じである。
ヒドロキシエチルセルロースの機械的な粉砕においては、通常、ボールミルやビーズミルなどの回転式粉砕機、石臼式摩砕機、高圧ホモジナイザーまたはジェットミル等の粉砕機を利用することができる。粉砕方法は、ヒドロキシエチルセルロースの変質を引き起こしにくい方法であれば特に限定されるものではなく、基本的に湿式法および乾式法のいずれであってもよいが、均一な粉砕効果を期待できるとともに、粉砕時の発熱や過度の衝撃によるヒドロキシエチルセルロースの変質を抑制しやすいことから、湿式法によるのが好ましい。
本発明の製造方法により得られる水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.1~1.0モル、特に好ましい形態では当該平均付加モル数がより少ない範囲である0.1モル以上、0.7モル未満である。
これまでの製造方法により得られる水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、酸化エチレンの上記平均付加モル数が1.5~2.5程度であることから、その水溶液はゾル物性を示す。これに対し、本発明の水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、その濃度が2質量%の水溶液を調製したときの損失正接(tanδ)が周波数0.1~100rad/sの範囲で1.0未満であって典型的なゲル物性を示す。このようにレオロジー特性が相違する理由は詳らかではないが、本発明の水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、分子全体に親水性基であるヒドロキシエチル基が均一に存在する一方、ヒドロキシエチル基の付加量がこれまでのものに比べて少ないことから分子全体に疎水性部分が均一に存在し、水中において疎水性部分による会合が生じることによるものと推察される。
本発明の水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、これまでの水溶性ヒドロキシエチルセルロースと同様に化粧品、医薬品およびトイレタリー製品をはじめとする種々の産業分野において、増粘剤、乳化安定剤、分散剤、保水剤または保護コロイド剤等として利用可能である。
一方、本発明の水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、これまでの水溶性ヒドロキシエチルセルロースとレオロジー特性が相違するため、これまでの水溶性ヒドロキシエチルセルロースとは異なる用途展開を期待することができる。例えば、化粧品分野において用いると、ゲルとしてのレオロジー特性により、ぬめり感の少ない製品の開発が見込まれる。また、各種の成分や薬剤の分離や沈降を防止する機能も見込まれることから、新たな機能剤として、これまでとは異なる利用方法や産業分野での利用拡大も期待される。さらに、これまでと同様の乳化安定剤、分散剤、保水剤または保護コロイド剤等としての利用においても、従来のノニオン系水溶性高分子としての特性に加え、分子全体に親水性部分と疎水性部分とを均一に有することによる性能向上または新たな機能付加を期待することができる。
以下に実施例および比較例等を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例等によってなんら限定されるものではない。なお、実施例5は参考例である。
実施例等において、ヒドロキシエチルセルロースのグルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数は、日本国厚生省薬務局審査課監修、医薬品添加物規格1993、薬事日報社、250項-254項「ヒドロキシエチルセルロース、定量法」に記載された装置を用いて所要の項目を測定し、これらの測定項目から算出した。具体的には次のとおりである。なお、以下の説明におけるA~Hは、上記医薬品添加物規格1993に記載された上記装置の図(図1)に付された符号である。
105℃で2時間乾燥したヒドロキシエチルセルロース0.075g(a)を分解フラスコBに入れ、それに57質量%のヨウ化水素酸5mLを加えた。また、赤りん1.0gをガス洗浄器Dに入れ、それに液の高さが3~4cmになる量のイオン交換水を加えた。さらに、ヨウ化エチル吸収管E、エチレン吸収管Fおよび臭素吸収管Gは、それぞれに硝酸銀・エタノール試液10mL、臭素・酢酸試液15mLおよびヨウ化カリウム溶液10mLを入れた。
二酸化炭素導入管Aから二酸化炭素を1秒間に1~2気泡となるように通じながら分解フラスコBを140~145℃で60~90分間加熱した。空冷管C内のくもりが消え、ヨウ化エチル吸収管E内の溶液が略透明になったとき、ヨウ化エチル吸収管Eを50~60℃に加温し、ヨウ化エチル吸収管Eとエチレン吸収管Fの間の連結を取りはずした。ヨウ化カリウム10mLを入れた300mLコニカルビーカーにエチレン吸収管Fおよび臭素吸収管Gの溶液を移し、これにエチレン吸収管Fおよび臭素吸収管Gを水洗した洗液を合わせて150mLとした後、栓をして5分間放置した。これに指示薬としてデンプン試液2mLを入れ、0.05Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した(c)。同様の方法で空試験を行い、0.05Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した(b)。また、300mLコニカルビーカーにヨウ化エチル吸収管Eの溶液を移し、これにヨウ化エチル吸収管Eを水洗した洗液を合わせて150mLとした。これに希硫酸3mLと指示薬としての硫酸第二鉄アンモニウム試液3mLとを加え、0.05Nチオシアン酸アンモニウム溶液で滴定した(e)。同様の方法で空試験を行い、0.05Nチオシアン酸アンモニウム溶液で滴定した(d)。
また、強熱残分(質量%)を次の手順により求めた。質量既知の50mL容の磁性るつぼにヒドロキシエチルセルロース4gを秤り入れ、これに98質量%硫酸2mLを添加した。これを650℃で2時間過熱して灰化させ、得られた灰分の質量X(g)を秤量した。これとは別にヒドロキシエチルセルロース4gを秤り、これを105℃で2時間乾燥させた後に秤量して乾燥減量から含水量Y(質量%)を求めた。灰分は、硫酸ナトリウムになっているが、本強熱残分は、炭酸ナトリウム換算表記とし、次の式(1)より強熱残分(質量%)を求めた。
Figure 0007030705000001
ヒドロキシエチルセルロースのグルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数は、次の式(2)より求めた。
Figure 0007030705000002
式(2)において、Oxはオキシエチレン基(質量%)であり、次の式(3)により求めたものである。
Figure 0007030705000003
式(3)において、a~fは次のとおりである。
a:試料量(g)
b:チオ硫酸ナトリウム空試験(mL)
c:チオ硫酸ナトリウム滴定量(mL)
d:チオシアン酸アンモニウム空試験(mL)
e:チオシアン酸アンモニウム滴定量(mL)
f:強熱残分(質量%)×1.547
fの式中の1.547は、炭酸ナトリウムの分子量106を2で除した値で酢酸ナトリウムの分子量82を除した値である。
[製造例](アルカリセルロースの調製)
5L容積のフラスコ内において20質量%水酸化ナトリウム水溶液2,000gにセルロース(日本製紙株式会社製のパルプ:商品名「NDPT」)50gを浸漬し、温度を30℃に維持して30分間攪拌混合した。これにより得られたスラリーを加圧濾過することで水酸化ナトリウム水溶液を除去し、150gのウエットケーキ状のアルカリセルロースを得た。
[実施例1]
1L容積のニーダーに製造例で得られたウエットケーキ状のアルカリセルロース150g、酸化エチレン3.5gおよびメチルイソブチルケトン50gを15℃に温度を制御しながら仕込んだ後、同温度で30分間攪拌混合した。次に、攪拌混合を継続しながら加熱して50℃に昇温し、アルカリセルロースと酸化エチレンとを3時間反応させた。
ニーダー内の反応物を濾別することでウェットケーキを得、このウェットケーキをメチルイソブチルケトン100g、メタノール100gおよび水50gの組成の洗浄溶剤で洗浄した。さらに、同じ組成の洗浄溶剤に酢酸2gを添加することで調製した中和溶剤50gによりウェットケーキをさらに洗浄することで中和し、180gの中和ウェットケーキを得た。そして、この中和ウェットケーキを乾燥し、50gのヒドロキシエチルセルロースを得た。
次に、得られたヒドロキシエチルセルロースを機械的に粉砕した。ここでは、ヒドロキシエチルセルロースの2質量%水分散液(スラリー)を調製し、このスラリーをジェットミルで処理した。ジェットミルは、リックス株式会社の商品名「G-smasher」を用い、処理条件を下記のように設定した。粉砕後のヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数を測定したところ、0.1モルであった。
エア圧力 :0.6MPa
衝突板 :平板
スラリー量 :300mL
スラリー供給量 :100mL/分
パス回数 :10
[実施例2]
酸化エチレンの使用量を6.5gに変更した点を除いて実施例1と同様に操作し、190gの中和ウェットケーキを得た。そして、この中和ウェットケーキを乾燥し、52gのヒドロキシエチルセルロースを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースは、実施例1と同様の方法で機械的に粉砕した。粉砕後のヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数を測定したところ、0.2モルであった。
[実施例3]
酸化エチレンの使用量を16gに変更した点を除いて実施例1と同様に操作し、200gの中和ウェットケーキを得た。そして、この中和ウェットケーキを乾燥し、54gのヒドロキシエチルセルロースを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースは、実施例1と同様の方法で機械的に粉砕した。粉砕後のヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数を測定したところ、0.5モルであった。
[実施例4]
酸化エチレンの使用量を25gに変更した点を除いて実施例1と同様に操作し、212gの中和ウェットケーキを得た。そして、この中和ウェットケーキを乾燥し、58gのヒドロキシエチルセルロースを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースは、実施例1と同様の方法で機械的に粉砕した。粉砕後のヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数を測定したところ、0.7モルであった。
[実施例5]
酸化エチレンの使用量を35gに変更した点を除いて実施例1と同様に操作し、230gの中和ウェットケーキを得た。そして、この中和ウェットケーキを乾燥し、62gのヒドロキシエチルセルロースを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースは、実施例1と同様の方法で機械的に粉砕した。粉砕後のヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数を測定したところ、1.0モルであった。
[比較例1]
製造例で得られたアルカリセルロースを酸化エチレンと反応させずにそのまま実施例1と同様の方法で機械的に粉砕処理した。
[比較例2]
酸化エチレンの使用量を50gに変更した点を除いて実施例1と同様に操作し、220gの中和ウェットケーキを得た。そして、この中和ウェットケーキを乾燥し、68gのヒドロキシエチルセルロースを得た。このヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数を測定したところ、1.5モルであった。
[比較例3]
1L容積のニーダーにセルロース(日本製紙株式会社製のパルプ:商品名「NDPT」)50g、20質量%水酸化ナトリウム水溶液80gおよびtert-ブタノール300gを30℃に温度を制御しながら仕込み、同温度で30分間攪拌混合した。次に、温度を15℃に冷却して酸化エチレン16gを加え、同温度で30分間さらに攪拌混合した。その後、攪拌混合を継続しながら加熱して50℃に昇温し、3時間反応させた。
ニーダー内の反応物を濾別することでウェットケーキを得、このウェットケーキをメチルイソブチルケトン100g、メタノール100gおよび水50gの組成の洗浄溶剤で洗浄した。さらに、同じ組成の洗浄溶剤に酢酸2gを添加することで調製した中和溶剤50gによりウェットケーキをさらに洗浄することで中和し、200gの中和ウェットケーキを得た。そして、この中和ウェットケーキを乾燥し、54gのヒドロキシエチルセルロースを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースは、実施例1と同様の方法で機械的に粉砕した。粉砕後のヒドロキシエチルセルロースは、グルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数を測定したところ、0.5モルであった。
[評価]
(1)水溶性
実施例1~5および比較例3で得られた粉砕処理前のヒドロキシエチルセルロース並びに比較例2で得られたヒドロキシエチルセルロースの水溶性を調べた。ここでは、各ヒドロキシエチルセルロースの2質量%水分散液を調製し、その40gを透明なポリプロピレン樹脂製容器(外径29mm、高さ118mm)に入れた。そして、これを2,000rpmで5分間の条件で遠心分離器(株式会社コクサンの型番「N-40α」)により処理し、沈降分離の有無を目視により確認した。沈降分離が認められない場合は水溶性が有るものと判断し、沈降分離が認められる場合は水溶性が無いものと判断した。
また、実施例1~5および比較例3で得られた粉砕処理後のヒドロキシエチルセルロース並びに比較例1で得られた粉砕処理後のアルカリセルロースの水溶性を調べた。ここでは、実施例1~5および比較例1、3での粉砕処理後のスラリーの40gを透明なポリプロピレン樹脂製容器(外径29mm、高さ118mm)に入れた。そして、これを2,000rpmで5分間の条件で遠心分離器(株式会社コクサンの型番「N-40α」)により処理し、沈降分離の有無を目視により確認した。沈降分離が認められない場合は水溶性が有るものと判断し、沈降分離が認められる場合は水溶性が無いものと判断した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007030705000004
(2)レオロジー物性
水溶性の評価において水溶性有りと評価された、実施例1~5で得られた粉砕処理後のヒドロキシエチルセルロースおよび比較例2で得られたヒドロキシエチルセルロースについて、レオロジー物性を測定した。ここで、実施例1~5で得られた粉砕処理後のヒドロキシエチルセルロースについては、水溶性の評価のために用いたスラリー(すなわち、粉砕処理後のヒドロキシエチルセルロースの水溶液)を測定対象とした。また、比較例2で得られたヒドロキシエチルセルロースについては、水溶性の評価のために調製した2質量%水溶液を測定対象とした。測定装置および測定条件は次のとおりである。
測定装置:
レオメーター:TAインスツルメント社の型番「AR-2000」
プレート :60mm、1°コーンプレート
測定温度 :25℃
歪分散測定 :0.1%~1,000%(1Hz)
周波数分散測定:300rad/s~0.1rad/s(歪み1%)
一般に、水溶液の損失弾性率(G”)を貯蔵弾性率(G’)で除する(G”/G’)ことで求められる損失正接(tanδ)の値が、1.0未満の場合(すなわち、貯蔵弾性率(G’)が損失弾性率(G”)よりも大きい場合。)、当該水溶液はゲル物性を示すものと評価される。本評価においても、0.1~100rad/sの周波数範囲におけるtanδの値が1.0未満の場合、ゲル物性を示すものと評価した。結果を表2に示す。
なお、実施例3のスラリーおよび比較例2で得られたヒドロキシエチルセルロースの水溶液については、周波数0.1~100rad/sの範囲における貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G”)から求めた損失正接(tanδ)(すなわちG”/G’)の値を図2に示す。図2によると、実施例3のスラリーは、上記周波数範囲において損失正接(tanδ)が1.0未満であることからゲル物性を示すのに対し、比較例2で得られたヒドロキシエチルセルロースの水溶液は、同周波数範囲において損失正接(tanδ)が1.0以上であり、ゾル物性を示すことがわかる。
Figure 0007030705000005
(3)耐塩性
実施例3で得られたスラリーの50gについて、温度を25℃に調整した状態で塩化ナトリウム(NaCl)を0.5質量%、1質量%または3質量%添加した場合の粘度をBM型粘度計(TOKIMEC社製)で測定した。この際、ロータNo.2の回転数を30rpmに設定した。結果を図3に示す。
実施例3で得られた水溶性ヒドロキシエチルセルロースに代表される本発明の水溶性ヒドロキシエチルセルロースは、ノニオン系であり、図3によると水溶液中の電解質の影響による粘度の変化が少ないことから、種々の用途で用いられた場合において良好な安定性を示すものと期待される。

Claims (1)

  1. アルカリセルロースに対し、そのグルコース単位当たりの酸化エチレンの平均付加モル数が0.1モル以上、0.7モル未満になるよう使用量を制御した酸化エチレンを反応させて水溶性を示さないヒドロキシエチルセルロースを調製する工程と、
    前記ヒドロキシエチルセルロースを機械的に粉砕する工程と、
    を含み、
    前記アルカリセルロースは、セルロースをアルカリの水溶液に浸漬することで前記セルロースと前記アルカリとを反応させて得られるスラリーから液分を分離することで得られるものである、
    水溶性ヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
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セルロースの事典,株式会社朝倉書店,2000年11月10日,p.490

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