JP2008222859A - 高い降伏値を有するカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の製造方法 - Google Patents

高い降伏値を有するカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い降伏値を有するカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の製造方法を提供する。
【解決手段】セルロース質原料からのアルカリセルロースの製造を、水酸化ナトリウムを5〜8重量%含む含水有機溶媒(全量100重量%)中であって、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.0〜2.5モルの水酸化ナトリウムを用いて45〜55℃で120〜180分間行い、次いで、得られたアルカリセルロースのエーテル化反応を、60〜70℃で100〜150分間行なう。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い降伏値を有することにより、水溶液とした場合に高い軟塑性能を与えるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(以下“CMC−Na”と略す。)の製造方法に関する。
CMC−Naは、セルロースにアルカリの存在下、モノクロル酢酸などのエーテル化剤を作用させて製造されるセルロースエーテルである。CMC−Naは、増粘剤、分散剤、保護コロイド剤、石油ボーリング用泥水添加剤などとして広く用いられている。
CMC−Naの製造方法は、反応媒体として水を用いる水媒法および有機溶媒を用いる溶媒法の二方法に大別される。水媒法と比較して溶媒法は少量のアルカリ量でアルカリセルロースを得ることができ、エーテル化反応が比較的短時間で達成され、エーテル化剤の有効利用率が高く、少量のエーテル化剤の使用で済み、しかも高粘度のCMC−Naを製造しやすいので、工業的に非常に多く実用化されている。溶媒法において、有機溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトンおよびこれらの混合溶媒が使用されているが、イソプロピルアルコールが最も一般的である。
溶媒法によるCMC−Naの製造は、含水有機溶媒中において、解砕したセルロース質原料または粉末状セルロース質原料にアルカリを作用させることによって行なわれる。
CMC−Naの製造において重要なことは、水不溶性のセルロース質原料に化学反応させて、水溶性の糊剤を得ることである。水溶性の糊剤は、水酸化ナトリウムでセルロース質原料の結晶構造を破壊させた後に、モノクロル酢酸などのエーテル化剤を添加することによって得ることができる。
CMC−Na水溶液の粘性挙動の特徴は、チクソトロピー性(揺変性)や粘着性があることであり、この性質を利用したCMC−Naの用途は多く開発されている。例えば食品添加剤や化粧品などへの粘稠性の付与や、建築または土木用途での保形性の付与がある(特許文献1および2参照)。なお揺変性とは、粘度がズリ速度に依存するという性質である。
一方、従来のCMC−Naは粘着性が高く、ゼリー状となったCMC−Na水溶液は、接触感覚として過度のネバリ感やベタツキ感を生じさせる。従来のCMC−Naは、この性質のため、接触感覚としてサラット感が求められるクリーム状ペースト、軟膏基材、特殊歯磨ペースト、マヨネーズ、ケチャプ等へのCMC−Naの使用は困難であるという問題があった。この問題は、CMC−Na水溶液が軟塑性能を十分に有さないことに起因する。
CMC−Naのエーテル化度および粘度は、CMC−Naの粘性に大きな影響を与える因子であり、これらの因子を制御するCMC−Naの製造方法が提案されている(特許文献3〜7参照)。しかしながら、これらの方法では、軟塑性能が十分に備わったCMC−Na水溶液を得ることができないという問題点があった。
また、CMC−Na組成物として、低粘度のCMC−Naと高粘度のCMC−Naの混合物であることを特徴とするCMC−Na組成物が提案されている(特許文献8参照)。当該CMC−Na組成物により、粘度をさして高めることなく、揺変性の大きなCMC−Na水溶液を得ることができる。しかしながら軟塑性能の付与という面では、必ずしも満足できるものではなかった。
特開平10−155434号公報 特開平11−106561号公報 特開平9−176201号公報 特開2000−34301号公報 特開2002−47301号公報 特開2003−137902号公報 特開2006−348138号公報 特開平5−214162号公報 NEW FOOD INDUSTRY、22、No.4〜6、p.24〜27(1980)
本発明は上記事情に鑑み、軟塑性能の高いCMC−Na水溶液を得るために、降伏値の高いCMC−Naの製造方法を提供することを目的とする。
第1発明は、前記目的を達成するために、セルロース質原料からのアルカリセルロースの製造を、水酸化ナトリウムを5〜8重量%含む含水有機溶媒(全量100重量%)中であって、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.0〜2.5モルの水酸化ナトリウムを用いて45〜55℃で120〜180分間行い、次いで、得られたアルカリセルロースのエーテル化反応を、60〜70℃で100〜150分間行なうことを特徴とするカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の製造方法を提供する。
第2発明は、請求項1記載の製造方法において、得られるCMC−Naの水溶液粘度を19500〜20500mPa・sとしたときの降伏値が32000〜200000mPa・sである製造方法に関する。
ここで降伏値とは、クリーム類やマヨネーズ等の軟塑性体に外力を加えたとき、当該軟塑性体が流動し始める応力の限界値である。すなわち、クリーム類やマヨネーズ等の軟塑性体はそのまま放置した場合には固体と同じように流動しないが、比較的小さい外力を加えることにより容易に流動させることができる。この外力を当該軟塑性体より除いた場合であっても、外力を加えることにより流動した後の形が保たれるため、当該軟塑性体を任意の形に成形することができる。この性質を塑性(plasticity)といい、軟塑性体が流動し始める応力の限界値を降伏値という。
降伏値を持つ物質として、ポマード、化粧クリーム、軟膏、練り歯磨、バター、粘度ペースト、マヨネーズ、ケチャップ、塗料、印刷インキ、油絵具等の軟塑性体が挙げられる(非特許文献1参照)。
本発明によると降伏値の高いCMC−Naを得ることができる。このため、本発明によれば、接触感覚として、サラット感が求められるクリーム状ペースト、軟膏基材、特殊歯磨ペースト、マヨネーズおよびケチャプ等の粘性調整剤として好適に用いることができるCMC−Naを得ることができる。
本発明においては、水酸化ナトリウムを含む含水有機溶媒中で、セルロース質原料からアルカリセルロースを製造した後、該アルカリセルロースをエーテル化することにより、CMC−Naを製造する。セルロース質原料としては、特に限定されないが、粉砕パルプ、木材パルプ、コットンリンターパルプなどを使用することができる。
上記製造工程において含水有機溶媒を使用すると、エーテル化によりCMC−Naを製造する際のカルボキシメチルエーテル化剤の有効利用率を高めることができる。
前記含水有機溶媒中の有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(以下“IPAと略す)、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられるが、これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。特に入手の手軽さ、低価格、取り扱いやすさの点で、IPA、エチルアルコールおよびメチルアルコールが好ましい。さらに、IPA−ベンゼン、エチルアルコールーベンゼン、エチルアルコールートルエンなどの混合溶媒も用いることができる。
含水有機溶媒中の水:有機溶媒の重量比は5:95〜50:50が好ましく、より好ましくは10:90〜30:70である。水:有機溶媒の重量比が5:95を外れて水の量が少なくなると、水によるセルロース分子へのアタックが減少し、結晶化領域の破壊が少なくなり、水溶液の粘性が低くなる傾向がある。一方、水:有機溶媒の重量比が50:50を外れて水の量が多くなると、水とカルボキシメチルエーテル化剤との間で副反応が進み、カルボキシメチルエーテル化剤の有効利用率が低下する傾向がある。
含水有機溶媒:セルロース質原料の重量比は3.0:1〜10.0:1が好ましく、より好ましくは4.0:1〜6.0:1である。含水有機溶媒:セルロース質原料の重量比が3.0:1を外れて含水有機溶媒が少なくなると、含水有機溶媒とセルロース質原料の十分な撹拌混合ができなくなるため、反応機に対する撹拌時の負荷が大きくなり、また均一に反応しにくくなる傾向がある。一方、含水有機溶媒:セルロース質原料の重量比が10.0:1を外れて含水有機溶媒が多くなると、原料経費が高くなる傾向がある。
アルカリセルロースを製造する際に用いる、前記含水有機溶媒中における水酸化ナトリウムの含有量は、5〜8重量%(全量100重量%)である。該水酸化ナトリウムの含有量が5重量%未満では、セルロース質原料の結晶化領域が十分に破壊されず、カルボキシメチルエーテル化反応の促進が不十分となる。一方、8重量%を超えると、得られるCMC−Naの水溶液に粘着性やチクソトロピー性が発現するため好ましくない。
前記水酸化ナトリウムの添加量は、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.0〜2.5モルである。水酸化ナトリウムの添加量が1.0モル未満では、エーテル化度0.4以上のCMCナトリウム塩を得ることが困難となる。さらに、セルロース質原料の結晶化領域が十分に破壊されず、カルボキシメチルエーテル化反応の促進が不十分となる。一方、水酸化ナトリウムの添加量が2.5モルを超えると、エーテル化反応においてカルボキシメチルエーテル化剤を副分解させ、カルボキシメチルエーテル化剤の有効利用率が低下する。さらに、得られるCMC−Naの水溶液にチクソトロピー性が発現するため好ましくない。
前記セルロース質原料に水酸化ナトリウムを作用させてアルカリセルロースを製造する反応は、45〜55℃で行なう。通常、アルカリセルロースの製造は、低温での反応が好ましいが、本発明ではより高温である45〜55℃で行なうことを特徴とする。反応温度が55℃を超えると、セルロース質原料の重合度が低下し、高粘度のCMC−Naの取得が困難となる。一方、反応温度が45℃未満では、セルロース質原料において均一なアルカリ化が促進され、得られるCMC−Naの水溶液にチクソトロピー性が発現するため好ましくない。
前記セルロース質原料に水酸化ナトリウムを作用させてアルカリセルロースを製造する反応は、120〜180分間行なう。反応時間が120分間未満では、十分にアルカリ化反応が進まず、得られるCMC−Na水溶液の透明性が低下する傾向がある。反応時間が180分間を超えると、セルロース質原料の重合度が低下し、高粘度のCMC−Naの取得が困難となる。
前記アルカリセルロースのエーテル化反応は、60〜70℃で行なう。反応温度が60℃未満では、エーテル化反応が十分に進行せず、0.4以上のエーテル化度を有するCMC−Naを得ることができない。反応温度が70℃を超えると、得られるCMC−Naの水溶液に粘着性やチクソトロピー性が発現するため好ましくない。
前記アルカリセルロースのエーテル化反応は、100〜150分間行なう。反応時間が100分間未満では、エーテル化反応が完結せず、0.4以上のエーテル化度を有するCMC−Naを得ることができない。反応時間が150分間を超えると、得られるCMC−Naの水溶液に粘着性やチクソトロピー性が発現するため好ましくない。
前記アルカリセルロースをエーテル化するために用いられるカルボキシメチルエーテル化剤としては、モノクロル酢酸、モノクロル酢酸ナトリウム、モノクロル酢酸メチル、モノクロル酢酸エチル、モノクロル酢酸イソプロピルなどが挙げられる。これらの中では、原料入手のしやすさの点でモノクロル酢酸およびモノクロル酢酸ナトリウムが好ましい。
本発明は、CMC−Naの水溶液粘度を19500〜20500mPa・sとしたときの降伏値が32000〜200000mPa・sであるCMC−Naを製造する方法である。該CMC−Naは、エーテル化度が0.4〜0.7であり、かつ、1%水溶液の粘度が30〜500mPa・sであることが特徴である。
CMC−Naのエーテル化度が0.4未満であると、CMC−Naが十分な水溶性を有さず、該CMC−Na水溶液に弾力性を付与することができない。エーテル化度が0.7%を超えると、CMC−Na水溶液にチクソトロピー性が発現し、軟塑性能の高いCMC−Na水溶液を得ることができない。
CMC−Naの1%水溶液の粘度が30mPa・s未満であると、高粘度のCMC−Na溶液を得るために使用するCMC−Naが多量となるため、好ましくない。一方、CMC−Naの1%水溶液の粘度が500mPa・sを超えると、CMC−Na水溶液に粘着性やチクソトロピー性が発現するため好ましくない。
以下、実施例によって、本発明にかかるCMC−Naの製造方法を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
2軸の攪拌翼を備えた容量3Lのニーダー型反応機に、家庭用ミキサーなどで粉砕したパルプ(商品名:L−DPTT、日本製紙(株)製)100gを仕込んだ。IPA:水を80:20の重量比で混合した含水有機溶媒500gに、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.2モルに相当する水酸化ナトリウム28gを溶解して、5.3重量%の水酸化ナトリウム溶液(全量100重量%)とした後、50℃に調整し、パルプを仕込んだ前記反応機内に投入し、次いで、50℃で150分間撹拌してアルカリセルロース化反応を行い、アルカリセルロースを得た。
次いで、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り0.5モルに相当するモノクロル酢酸27gを等重量のIPAに溶解させた後、25℃に調整したモノクロル酢酸溶液を、前記アルカリセルロースに対して、該アルカリセルロース製造時と同じ温度である50℃で、30分間かけて添加した。
上記モノクロル酢酸溶液添加後、30分間かけて65℃に昇温し、この温度で125分間エーテル化反応を行なった。反応時には、反応機に冷却管を設備して、IPAの気化発散を防止した。
上記反応後、未反応の過剰の水酸化ナトリウムを、50重量%の酢酸で中和し、pH6.5〜7.5とした。
スラリー状となった上記中和物を反応機より取り出し、遠心分離によりIPAを除去して、粗CMC−Naを得た。
この粗CMC−Naを、70重量%メタノール水溶液で洗浄し、副生物の食塩、グリコール酸ナトリウムおよび酢酸ナトリウムを除去した。この洗浄操作を2回繰り返した後、90〜105℃で4時間乾燥し、粉砕してCMC−Naを得た。
前記CMC−Naの製造条件を表1に示す。得られたCMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および降伏値は次の方法により測定した。結果を表2に示す。
エーテル化度
無水物のCMC−Na試料1gを精秤し、ろ紙に包んで磁製ルツボの中に入れ、600℃で灰化し、生成した水酸化ナトリウムを0.1N硫酸によりフェノールフタレインを指示薬として滴定し、以下の式を用いてエーテル化度を計算した。以下の式中、Aは、中和に要した0.1N硫酸の量(mL)、fは0.1N硫酸の力価を示す。
エーテル化度=(162×A×f)/(10000−80×A×f)
1%水溶液粘度
300mLのトールビーカーに、約2.5gのCMC−Na試料を精秤し、次式により求めた1%水溶液を得るために必要な溶解水量の水を加えてガラス棒にて分散させた。
溶解水量(g)=試料(g)×(99−水分(%))
得られた水溶液を一昼夜放置した後、マグネチックスターラーで約5分間撹拌して完全な溶液とし、その後30分間、25℃の恒温水槽に入れた。該溶液を25℃とした後、ガラス棒でゆるやかにかき混ぜ、BM型粘度計にローターおよびガードを取り付け、回転数60rpm、25℃で粘度計を回転させ、回転開始3分後の粘度計目盛を読み取った。読み取り目盛から以下の式を用いて粘度を求めた。なお式中kは、ローターと回転数によって決まる換算乗数であり、ローターNo.1、2、3および4を使用した場合、kの値はそれぞれ、1、5、20および100である。
1%水溶液粘度(mPa・s)=読み取り目盛×k
なお、CMC−Na試料の水分は、CMC−Na試料1〜2gを秤量瓶に精秤し、104.8〜105.2℃の乾燥機中において2時間乾燥し、乾燥したことによる減量から次式により求めた。
水分(%)=減量(g)/試料(g)×100
降伏値
CMC−Na水溶液粘度を19500〜20500mPa・sに調整した。均一に撹拌したCMC−Na水溶液について、BH型粘度計でNo.6のローターを用い、回転数20rpm、25℃の条件で粘度を測定した。粘度が低い場合には、CMC−Naを追加して再度粘度を調整し、粘度が高い場合には、水を添加して再度粘度を調整した。このようにして粘度を調整したCMC−Na水溶液を、B−8H型粘度計でNo.4のローターを用い、最も回転数の少ない0.5rpmで25℃条件下、通常の測定と同様に粘度計を2分間回転させた。
粘度計の指針をクランプにより固定した後、モーターの回転を止めた。次に、クランプを放して指針の動きを自由として、指針が静止する位置の粘度計目盛を測定した。CMC−Na水溶液に降伏値があれば指針は粘度計目盛0に復帰することなく静止する。粘度計指針の静止位置に対応した粘度計目盛の値が、降伏値の算出基礎となる。
粘度計指針の静止位置は、上記クランプを放して指針の動きを自由としてから5分後に測定した。ただし、粘度計指針の始めの偏角が大きいと、回転部の慣性で指針が行き過ぎる場合がある。このため、当該静止位置より数目盛高い位置まで手動でローターを回転させ、粘度計指針をクランプにより固定し、次いでクランプを放して、再び粘度計指針の静止位置を再度測定する。これらの粘度計指針の静止位置に対応する粘度計目盛のうち、より高い目盛値が降伏値の算出基礎となり、これをθ0とする。降伏値は以下の式を用いて算出した。式中、乗じる係数8000は、B−8H型粘度計の回転数0.5rpmにおけるずり応力係数である。
降伏値(mPa・s)=θ0×8000
実施例2
2軸の攪拌翼を備えた容量3Lのニーダー型反応機に、家庭用ミキサーなどで粉砕したパルプ(商品名:L−DPTT、日本製紙(株)製)100gを仕込んだ。IPA:水を80:20の重量比で混合した含水有機溶媒500gに、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.8モルに相当する水酸化ナトリウム41gを溶解して、7.6重量%の水酸化ナトリウム溶液(全量100重量%)とした後、50℃に調整し、パルプを仕込んだ前記反応機内に投入し、次いで、50℃で150分間撹拌してアルカリセルロース化反応を行い、アルカリセルロースを得た。
次いで、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り0.8モルに相当するモノクロル酢酸43gを等重量のIPAに溶解させた後、25℃に調整したモノクロル酢酸溶液を、上記アルカリセルロースに対して、該アルカリセルロース製造時と同じ温度である50℃で、30分間かけて添加した。
上記モノクロル酢酸溶液添加後、30分間かけて65℃に昇温し、この温度で125分間エーテル化反応を行なった。反応時には、反応機に冷却管を設備して、IPAの気化発散を防止した。
上記反応後、実施例1と同様の方法によりCMC−Naを得た。前記CMC−Naの製造条件を表1に示す。得られたCMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および降伏値は前記の方法により測定した。結果を表2に示す。
実施例3
2軸の攪拌翼を備えた容量3Lのニーダー型反応機に、家庭用ミキサーなどで粉砕したパルプ(商品名:L−DPTT、日本製紙(株)製)100gを仕込んだ。IPA:水を80:20の重量比で混合した含水有機溶媒500gに、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.5モルに相当する水酸化ナトリウム34gを溶解して、6.4重量%の水酸化ナトリウム溶液(全量100重量%)とした後、47℃に調整し、パルプを仕込んだ前記反応機内に投入し、次いで、47℃で130分間撹拌してアルカリセルロース化反応を行い、アルカリセルロースを得た。
次いで、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り0.65モルに相当するモノクロル酢酸35gを等重量のIPAに溶解させた後、25℃に調整したモノクロル酢酸溶液を、上記アルカリセルロースに対して、該アルカリセルロース製造時と同じ温度である47℃で、30分間かけて添加した。
上記モノクロル酢酸溶液添加後、30分間かけて62℃に昇温し、この温度で110分間エーテル化反応を行なった。反応時には、反応機に冷却管を設備して、IPAの気化発散を防止した。
上記反応後、実施例1と同様の方法によりCMC−Naを得た。前記CMC−Naの製造条件を表1に示す。得られたCMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および降伏値は前記の方法により測定した。結果を表2に示す。
実施例4
2軸の攪拌翼を備えた容量3Lのニーダー型反応機に、家庭用ミキサーなどで粉砕したパルプ(商品名:N−DPS、日本製紙(株)製)100gを仕込んだ。IPA:水を80:20の重量比で混合した含水有機溶媒500gに、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.5モルに相当する水酸化ナトリウム34gを溶解して、6.4重量%の水酸化ナトリウム溶液(全量100重量%)とした後、50℃に調整し、パルプを仕込んだ前記反応機内に投入し、次いで、50℃で150分間撹拌してアルカリセルロース化反応を行い、アルカリセルロースを得た。
次いで、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り0.65モルに相当するモノクロル酢酸35gを等重量のIPAに溶解させた後、25℃に調整したモノクロル酢酸溶液を、上記アルカリセルロースに対して、該アルカリセルロース製造時と同じ温度である50℃で、30分間かけて添加した。
上記モノクロル酢酸溶液添加後、30分間かけて65℃に昇温し、この温度で125分間エーテル化反応を行なった。反応時には、反応機に冷却管を設備して、IPAの気化発散を防止した。
上記反応後、実施例1と同様の方法によりCMC−Naを得た。前記CMC−Naの製造条件を表1に示す。得られたCMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および降伏値は前記の方法により測定した。結果を表2に示す。
比較例1および2
アリカリセルロース化反応に使用する水酸化ナトリウム量およびエーテル化反応に使用するモノクロル酢酸量を表1にしたがって変化させた以外は、実施例1と同様の方法によりCMC−Naを得た。CMC−Naの製造条件を表1に示す。得られたCMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および降伏値は前記の方法により測定した。結果を表2に示す。
比較例3〜6
アリカリセルロース化反応時間および反応温度ならびにエーテル化反応時間および反応温度を表1にしたがって変化させた以外は、実施例3と同様の方法によりCMC−Naを得た。CMC−Naの製造条件を表1に示す。得られたCMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および降伏値は前記の方法により測定した。結果を表2に示す。
比較例7
アリカリセルロース化反応温度およびエーテル化反応温度を表1にしたがって変化させた以外は、実施例4と同様の方法によりCMC−Naを得た。CMC−Naの製造条件を表1に示す。得られたCMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および降伏値は前記の方法により測定した。結果を表2に示す。
Figure 2008222859
Figure 2008222859
表1および表2によると、アルカリセルロース化反応を特定範囲の水酸化ナトリウム量の存在下で行い、かつ、アルカリセルロース化反応およびエーテル化反応を、特定の温度および時間の範囲で行なうことにより、降伏値の高いCMC−Naを得ることができる。
表1および表2によると、アルカリセルロース化反応に使用する水酸化ナトリウム量が、特定範囲にない比較例1および2、アリカリセルロース化反応温度およびエーテル化反応温度が特定範囲にない比較例3、4および7、ならびにアリカリセルロース化反応時間およびエーテル化反応時間が特定範囲にない比較例5および6は、降伏値が低いことがわかる。
本発明のCMC−Naの製造方法により、食品用、化粧品用、医薬用等の粘性調整剤として有用なCMC−Naを製造することができる。

Claims (2)

  1. セルロース質原料からのアルカリセルロースの製造を、水酸化ナトリウムを5〜8重量%含む含水有機溶媒(全量100重量%)中であって、セルロース質原料のグルコース単位1モル当り1.0〜2.5モルの水酸化ナトリウムを用いて45〜55℃で120〜180分間行い、次いで、得られたアルカリセルロースのエーテル化反応を、60〜70℃で100〜150分間行なうことを特徴とするカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の製造方法。
  2. 得られるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の水溶液粘度を19500〜20500mPa・sとしたときの降伏値が32000〜200000mPa・sである請求項1記載の製造方法。
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